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技術 研削装置

出願人 積水化学工業株式会社
発明者 野口勝俊山下卓也平子智章
出願日 2016年1月20日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-008926
公開日 2017年7月27日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-127927
状態 特許登録済
技術分野 研削機械のドレッシング及び付属装置
主要キーワード 内周面積 可動スペーサ 真空発生機 混合態様 カバー周壁 往移動 時間加重 バネ軸
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

操作者が装置の自重支える負担を無くして操作性を向上させた研削装置を提供する。

解決手段

本発明は、被削材表面を研削するための研削装置100であって;駆動機構を収容するハウジングと;駆動機構から突設された出力軸300と、出力軸300に固定され且つ出力軸300の直交面に沿って延在する研削刃400と;研削刃400の被削材表面と対向すべき側に開口しかつ研削刃400の全周を覆う周壁部520、および吸引口525を含むカバー500と;吸引口525に接続された吸引機部と、を含み;研削装置100の重量X(kgf)と、カバー500の開口端が被削材の表面に接触した状態で吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、の関係が、Y/X>1を満たす。

概要

背景

被削材の表面を研削するための研削装置には、塵埃飛散を防止するための集塵カバーを有するものが知られている。

たとえば特開2012−171064号公報(特許文献1)には、回転駆動されて被加工面を研削する研削刃周りに配置され、該被加工面と対向する一端が開口する環状の周壁部と、該周壁部の他端側に位置して該周壁部と共に該研削刃が収容される収容空間を画成し、該研削刃を回転駆動する動力工具に装着される端壁部と、環状に構成されて該周壁部の該一端側に装着され該被加工面に当接するシール部材と、を備え、該シール部材は、該周壁部の該一端側から該周壁部の他端側へと向かう方向に気流を発生させるガイド手段を有することを特徴とする研削用集塵カバーが開示されている。シール部材としては、フェルト製帯状に形成された布体が環状に構成された布体リングが用いられている。

また、特開2012−176474号公報(特許文献2)には、スピンドルディスク形先端工具が取り付け可能な携帯型のディスクグラインダーであって、前記先端工具の全周を覆う周壁と背面側を覆う天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とするディスクグラインダーが開示されている。このディスクグラインダーでは、周壁の先端にスカート(シール部材)が設けられており、このスカート(シール部材)が、フェルトブラシ、スポンジ等を用いて構成されてよいことが記載されている。

概要

操作者が装置の自重支える負担を無くして操作性を向上させた研削装置を提供する。本発明は、被削材表面を研削するための研削装置100であって;駆動機構を収容するハウジングと;駆動機構から突設された出力軸300と、出力軸300に固定され且つ出力軸300の直交面に沿って延在する研削刃400と;研削刃400の被削材表面と対向すべき側に開口しかつ研削刃400の全周を覆う周壁部520、および吸引口525を含むカバー500と;吸引口525に接続された吸引機部と、を含み;研削装置100の重量X(kgf)と、カバー500の開口端が被削材の表面に接触した状態で吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、の関係が、Y/X>1を満たす。

目的

本発明は上記の問題に鑑み、操作者が装置の自重を支える負担を無くして操作性を向上させた研削装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

被削材の表面を研削するための研削装置であって、駆動機構を収容するハウジングと、前記駆動機構から突設された出力軸と、前記出力軸に固定され且つ前記出力軸の直交面に沿って延在する研削刃と、前記研削刃の前記表面と対向すべき側に開口しかつ前記研削刃の全周を覆う周壁部、および吸引口を含むカバーと、前記吸引口に接続された吸引機部とを含み、前記研削装置の重量X(kgf)と、前記カバーの開口端が前記被削材の表面に接触した状態で前記吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、の関係が、下記式(I):Y/X>1(I)を満たす、研削装置。

請求項2

前記出力軸が、前記駆動機構からの突設方向に往復動可能であり、前記周壁部の前記対向すべき側とは反対側を封止し、前記出力軸に連動可能に連結された可撓部と前記周壁部に固定された固定部とを含む膜体を含む、請求項1に記載の研削装置。

請求項3

前記重力とは反対方向の力Y(kgf)と、前記被削材の表面に対する前記カバーの前記開口端における静止摩擦係数μおよび前記カバーが前記被削材の表面に接触させられた状態で前記吸引機部を稼働させた場合に前記カバーが前記被削材の表面に吸着する実吸引力N(kgf)と、が満たす下記式(II):Y=μN(II)の関係において、前記吸引力N(kgf)と、前記カバーの前記開口端の内周面積Sc(cm2)、前記可撓部の内周面積Sd(cm2)、および前記吸引機部による真空度P(kPa)と、の関係が、下記式(III):N=P(Sc−Sd)(III)を満たす、請求項2に記載の研削装置。

請求項4

前記研削刃の前記突設方向の位置を調節する出刃量調節部を含み、前記出刃量調節部が、前記ハウジングの前記対向すべき側に、前記出力軸に連動可能に設けられた押圧面を有し、前記押圧面と前記カバーとの間に設けられ且つ前記突設方向に伸縮する伸縮部を含む、請求項2に記載の研削装置。

請求項5

前記重力とは反対方向の力Y(kgf)と、前記被削材の表面に対する前記カバーの前記開口端における静止摩擦係数μおよび前記カバーが前記被削材の表面に接触させられた状態で前記吸引機部を稼働させた場合に前記カバーが前記被削材の表面に吸着する実吸引力N(kgf)と、が満たす下記式(II):Y=μN(II)の関係において、前記実吸引力N(kgf)と、前記カバーの前記開口端の内周面積Sc(cm2)、前記可撓部の内周面積Sd(cm2)、前記吸引機部による真空度P(kPa)、および前記カバーが前記被削材の表面に接触させられた状態で前記吸引機部を稼働させた場合に前記伸縮部が前記押圧面を付勢する反力F(kgf)と、の関係が、下記式(IV):N=P(Sc−Sd)+F(IV)を満たす、請求項4に記載の研削装置。

請求項6

前記伸縮部の反力Fが0kgf以上35.2kgf以下である、請求項5に記載の研削装置。

請求項7

前記静止摩擦係数μが0.21以上である、請求項3、5および6のいずれか1項に記載の研削装置。

請求項8

前記吸引機部による真空度Pが1kPa以上90kPa以下である、請求項3および5から7のいずれか1項に記載の研削装置。

請求項9

前記研削装置の重量X(kgf)と、前記カバーの開口端が前記被削材の表面に接触した状態で前記吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)との関係が、下記式(V):Y/X<5(V)を満たす、請求項1から8のいずれか1項に記載の研削装置。

請求項10

前記カバーの開口端の全周に対して固定された、圧縮弾性を有する通気性摺接部材を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の研削装置。

請求項11

前記通気性摺接部材の、前記被削材の表面に対する静止摩擦係数が0.3以下である、請求項10に記載の研削装置。

請求項12

前記カバーが調圧弁を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の研削装置。

技術分野

0001

本発明は、研削装置に関する。より具体的には、本発明は、操作性と塵埃飛散防止性とを両立させた研削装置に関する。

背景技術

0002

被削材の表面を研削するための研削装置には、塵埃飛散を防止するための集塵カバーを有するものが知られている。

0003

たとえば特開2012−171064号公報(特許文献1)には、回転駆動されて被加工面を研削する研削刃周りに配置され、該被加工面と対向する一端が開口する環状の周壁部と、該周壁部の他端側に位置して該周壁部と共に該研削刃が収容される収容空間を画成し、該研削刃を回転駆動する動力工具に装着される端壁部と、環状に構成されて該周壁部の該一端側に装着され該被加工面に当接するシール部材と、を備え、該シール部材は、該周壁部の該一端側から該周壁部の他端側へと向かう方向に気流を発生させるガイド手段を有することを特徴とする研削用集塵カバーが開示されている。シール部材としては、フェルト製帯状に形成された布体が環状に構成された布体リングが用いられている。

0004

また、特開2012−176474号公報(特許文献2)には、スピンドルディスク形先端工具が取り付け可能な携帯型のディスクグラインダーであって、前記先端工具の全周を覆う周壁と背面側を覆う天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とするディスクグラインダーが開示されている。このディスクグラインダーでは、周壁の先端にスカート(シール部材)が設けられており、このスカート(シール部材)が、フェルトブラシ、スポンジ等を用いて構成されてよいことが記載されている。

先行技術

0005

特開2012−171064号公報
特開2012−176474号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記の特許文献1および特許文献2ではいずれも、シール部材が、バネ部材を介してカバーに設けられている。当該バネ部材がシール部材に対して付勢することで、シール部材を被削材の表面に接触させる。

0007

ここで、特許文献1および特許文献2のシール部材はいずれも、凸部(特許文献1における凸部41A)および保持片(特許文献2における保持片35)を有する保持部材に固定されており、当該凸部および当該保持片が、それぞれ、カバー周壁の内側に設けられた凹部(特許文献1における凹部21a)および保持溝(特許文献2における保持溝32c)に遊嵌されている。特許文献1および特許文献2のシール部材は、バネ部材によって押し下げられることで被削材の表面に接触させられなければならない。このため、シール部材における保持部材に固定された面は、設計上、カバーに対して固定されてはならないことが必須となる。上述のように、シール部材の保持部材がカバーに対して遊嵌された状態で設けられるのはそのためである。

0008

しかしながら、上述のような遊嵌構造は、その構造上、多くの空気を通すことを免れない。したがって、カバーの内部を吸引し続けたとしても、カバーの被削材表面に対する吸着力は無い。このため、研削作業中において、被削材表面に対する装置の保持性が悪い。
つまり、垂直壁面傾斜壁面(特に垂直壁面より傾斜の大きい傾斜壁面)、および天井面を加工する場合には、装置の自重に起因して鉛直方向にかかる負荷操作者支え続けなければならない。このような負荷は操作者にとって負担が大きい。したがって、これまでの装置は操作性に優れているとは言えない。

0009

そこで本発明は上記の問題に鑑み、操作者が装置の自重を支える負担を無くして操作性を向上させた研削装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

(1)
本発明は、被削材の表面を研削するための研削装置である。本発明の研削装置は、ハウジングと、出力軸と、研削刃と、カバーと、吸引機部と、を含む。
ハウジングは、駆動機構を収容している。出力軸は駆動機構から突設されている。研削刃は、出力軸に固定され、且つ、出力軸の直交面に沿って延在する。カバーは、周壁部および吸引口を含む。周壁部は、研削刃の、被削材の表面と対向すべき側とは反対側に開口し、研削刃の全周を覆っている。吸引機部は、吸引口に接続されている。
さらに、研削装置の重量X(kgf)(以下において、自重Xと記載する)と、カバーの開口端が被削材の表面に接触した状態で吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、の関係が、下記式(I):
Y/X>1 (I)
を満たす。

0011

このように、周壁部により研削刃を取り囲むカバーが吸引口を介して吸引機部に接続されているため、カバーの開口端を被削面に接触させた状態で吸引機部を作動させることにより、カバー内部が減圧されて開口端が被削面に吸引される。被削面が水平でない場合(被削面が水平面に対して180°をなす天面である場合も含む。)であっても、カバー内部の吸引圧(負圧)によって、重力とは反対方向の力Yが研削装置の自重Xより大きくなるように働くため、作業中、研削装置を水平面でない被削面に吸着させることができる。したがって、操作者が研削装置の自重Xを支える負担を無くすことができる。

0012

なお、自重Xには、吸引機部の重量、および吸引機部と吸引口とを接続する排気ホースの重量は含まない。

0013

(2)
上記(1)の研削装置は、出力軸が駆動機構からの突設方向に往復動可能であり、膜体を含んでよい。膜体は、周壁部の、被削材の表面と対向すべき側とは反対側を封止し、出力軸に連動可能に連結された可撓部と、周壁部に固定された固定部とを含む。

0014

この場合、カバーの開口端を被削面に接触させた状態で吸引機部を作動させることにより、カバー内部が減圧されて開口端が被削面に吸引されるとともに、カバー内部の吸引圧(負圧)が、カバーに固定された膜体の可撓部を被削面に向かって引き込むため、当該可撓部に連動する出力軸およびそれに固定された研削刃も同様に引き込む。このため、カバーの開口端を被削面に接触された状態で吸引機部を作動させることで、研削刃を被削面に容易に当てることができる。したがって、吸引機部が作動している限り、自重Xを支える負担がないだけでなく、研削刃が加工面に触れた状態で装置を容易に加工面に押し付け続けることもできる。したがって、操作者の技量にかかわらず安定した加工仕上げも可能となる。

0015

(3)
上記(2)の研削装置は、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、被削材の表面に対するカバーの開口端における静止摩擦係数μおよびカバーが被削材の表面に接触させられた状態で吸引機部を稼働させた場合にカバーが被削材の表面に吸着する実吸引力N(kgf)と、が満たす下記式(II):
Y=μN (II)
の関係において、実吸引力N(kgf)と、カバーの開口端の内周面積Sc(cm2)、可撓部の内周面積Sd(cm2)、および吸引機部による真空度P(kPa)と、の関係が、下記式(III):
N=P(Sc−Sd) (III)
を満たしてよい。

0016

このように、上述の式(I),(II),(III)の関係を満たすようにカバーの開口端の内周面積Scおよび可撓部の内周面積Sdを設計し、カバーの開口端に静止摩擦係数μを有する材料を選択し、かつ吸引機部による真空度Pを設定することによって、吸引機部が作動している限り、自重Xを支える負担がないだけでなく、研削刃が加工面に触れた状態で装置を容易に加工面に押しつけ続けることもできる。

0017

なお、被削面が水平面に対して180°をなす天面である場合は、研削装置の静止時に摩擦が働かないため、静止摩擦係数μは1とみなすことができる。

0018

(4)
上記(2)の研削装置は、出力軸の突設方向における研削刃の位置を調節する出刃量調節部を含んでよい。出刃量調節部は、押圧面を有し、伸縮部を含む。押圧面は、ハウジングの、被削面に対向すべき側に、出力軸に連動可能に設けられる、伸縮部は、押圧面とカバーとの間に設けられ、出力軸の突設方向に伸縮する。

0019

この場合、吸引機部の作動により出力軸に固定された研削刃が被削面へ向かって引き込まれる時に、研削刃を固定している出力軸に連動して押圧面も被削面へ向かって押し下げられる。これによって、押圧面とカバーとの間に設けられた伸縮部が伸縮する。それとともに、押圧面へ向かって伸縮付勢による反力が生じ、押圧面に連動する出力軸に固定された研削刃が被削面とは反対側に引き戻される力が作用する。これによって、吸引機部の作動による研削刃の被削面への引き込みがそれ単独では研削刃を被削面へ過剰な力で押し付けることになる場合であっても、上記の反力による適度な引き戻しの作用によって押し付け力を適切に調整することができる。

0020

(5)
上記(4)の研削装置は、重力とは反対方向の力Y(kgf)と、被削材の表面に対するカバーの開口端における静止摩擦係数μおよびカバーが被削材の表面に接触させられた状態で吸引機部を稼働させた場合にカバーが被削材の表面に吸着する実吸引力N(kgf)と、が満たす下記式(II):
Y=μN (II)
の関係において、実吸引力N(kgf)と、カバーの開口端の内周面積Sc(cm2)、可撓部の内周面積Sd(cm2)、吸引機部による真空度P(kPa)、およびカバーが被削材の表面に接触させられた状態で吸引機部を稼働させた場合に伸縮部が押圧面を付勢する反力F(kgf)と、の関係が、下記式(IV):
N=P(Sc−Sd)+F (IV)
を満たしてよい。

0021

このように、上記式(I),(II),(IV)の関係を満たすようにカバーの開口端の内周面積Scおよび可撓部の内周面積Sdを設計し、カバーの開口端に静止摩擦係数μを有する材料と反力Fを与える伸縮力およびストロークを有する伸縮部とを選択し、かつ吸引機部による真空度Pを設定することによって、吸引機部の作動による研削刃の被削面への引き込みがそれ単独では研削刃を被削面へ過剰な力で押し付けることになる場合であっても、上記の反力による適度な引き戻しの作用によって押し付け力を適切に調整することができる。

0022

なお、被削面が水平面に対して180°をなす天面である場合、研削装置に当該天面の方向への負荷がかからずに静止している状態においては、自重に対する摩擦が働かないため、この状態での静止摩擦係数μは1とみなす。

0023

(6)
上記(5)の研削装置は、伸縮部の反力Fが0kgf以上35.2kgf以下であってよい。

0024

この場合、研削刃の被削面への押し付け力を適切に調整することが容易である。

0025

(7)
上記(3)、(5)および(6)のいずれかの研削装置は、静止摩擦係数μが0.21以上であってよい。

0026

これによって、被削面が鉛直方向である場合および傾斜している場合に、装置を研削面に吸着させることがより容易となる。

0027

(8)
上記(3)および(5)から(7)のいずれかの研削装置は、吸引機部による真空度Pが1kPa以上90kPa以下であってよい。

0028

これによって、装置を研削面に吸着させることがより容易となる。

0029

(9)
上記(1)から(8)のいずれかの研削装置は、研削装置の重量X(kgf)と、カバーの開口端が被削材の表面に接触した状態で吸引機部を作動させた場合に生じる、重力とは反対方向の力Y(kgf)との関係が、下記式(V):
Y/X<5 (V)
を満たしてよい。

0030

これによって、装置を研削面に吸着させながら研削面に沿って動かすことも容易となる。

0031

(10)
上記(1)から(9)のいずれかの研削装置は、カバーの開口端の全周に対して固定された、圧縮弾性を有する通気性摺接部材を含んでよい。

0032

この場合、通気性摺接部材がカバーの開口端の全周に対して固定されているため、カバーが通気性摺接部材を介して被削材の表面に接触させられた状態で、カバー内部を吸引機部によって効率よく減圧することができる。
また、通気性摺接部材は、カバー内部の吸引圧で圧縮されても通気性を維持するため、カバー内を吸引させた状態であってもカバー内部と外部とを連通する空隙を適度に確保することができる。このため、カバー内部の減圧中に、当該空隙から適度な少量の外気吸入することで、被削材の表面とカバーとの間で塵埃の飛散を抑制することができる。
そして、通気性摺接部材はその摺動性により、被削材の表面に吸着し、かつ、塵埃の飛散が抑制された状態を保ったまま、吸着力に抗って容易に移動させることができる。
さらに、通気性摺接部材は圧縮弾性を有するため、被削材の表面への接触性が良好で塵埃の飛散を抑制しやすい。

0033

なお、通気性摺接部材がカバーの開口端の全周に対して固定されているとは、通気性摺接部材が、通気性摺接部材の固定面とカバーの開口端との相対的位置関係が変化しないように設けられることをいう。

0034

(11)
上記(10)の研削装置は、通気性摺接部材の、被削材の表面に対する静止摩擦係数が0.3以下であってよい。

0035

これによって、研削装置を静止状態で被削材の表面に吸着させた状態から操作者が研削装置を動かす時の負担を軽くすることができる。

0036

(12)
上記(1)から(11)に記載の研削装置は、カバーが調圧弁を含んでよい。

0037

これによって、調圧弁がなければ吸引機部によるカバー内の吸引圧(負圧)が過剰である場合に、適量の空気をカバー内に供給して吸引圧を調整することができる。

図面の簡単な説明

0038

第1実施形態の研削装置の外観斜視図である。
図1の研削装置をII-II線を含む平面で切断した模式的断面図である。
図2一部拡大図である。
図1の研削装置の模式的切欠き図(未使用時)である。
図1の研削装置を作動させて被削材の表面に接触させた時の、当該研削装置の模式的切欠き図である。
図5の状態から研削刃の角度の微調整を行う時の図1の研削装置の模式的切欠き図である。
第2実施形態の一例である研削装置の部分断面図である。
第2実施形態の他の例である研削装置の部分断面図である。
第3実施形態の研削装置の一部切欠き部分断面図である。
第4実施形態の研削装置の部分断面図である。
第4実施形態の研削装置の動作後を示す部分断面図である。
第5実施形態の研削装置の模式的部分断面図である。
第6実施形態の研削装置の部分断面図である。
第6実施形態の研削装置の一部切欠き部分断面図である。

実施例

0039

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。

0040

[1.第1実施形態]
[1−1.基本構成
図1は、本発明の第1実施形態の研削装置の外観斜視図である。図2は、図1の研削装置をII-II線を含む平面で切断した模式的断面図である。図3は、図2の一部拡大図である。図4は、図1の研削装置の模式的切欠き図(未使用時)である。図5は、図1の研削装置を作動させて被削材の表面に接触させた時の、当該研削装置の模式的切欠き図である。図6は、図5の状態から研削刃の角度の微調整を行う時の図1の研削装置の模式的切欠き図である。
なお、以下の説明においては、図2の上側を研削装置の上側、図2の下側を研削装置の下側(被削材が位置する側)と記載することがある。しかしながらこれらの方向は説明の便宜上定めるものであり、使用時における絶対的方向を示すものではない。

0041

図1から図6に示す研削装置100は、ディスクグラインダまたはケレン装置などとも呼ばれるべきものであり、コンクリート、金属、石材などの被削材を研削刃で削ってその表面を調整する装置である。研削装置100は、ハウジング200、出力軸300、研削刃400、カバー500、通気性摺接部材600、および吸引機部(図示せず)を含む。さらに、研削装置は、出刃量調節部700および把持部800を含む。

0042

[1−2.ハウジングおよび出力軸]
ハウジング200は、図示されない駆動機構を収容している。駆動機構は、駆動源(本実施形態では電動モータ)と、駆動源の駆動力を伝える動力伝動部(本実施形態ではギア)とを主として含む。ハウジング200は、電動モータを収容する筒状のモータケース210と、モータケース210の一端に設けられた、ギアを収容するギアケース220とを含む。モータケース210の他端からは、電動モータへ電力を供給する図示しない電力供給源に接続される電源コード290が延長している。

0043

図2および図4に示すように、ギアケース220から、ギアに接続された連結突起221が、モータケース210の延在方向と交わる(本実施形態では直交する)方向に突設されている。連結突起221は、出力軸300の基端に穿成された連結穴311に連結固定させられることにより、その突設方向に出力軸300が延設される。これによって、電動モータのからギアによって伝達された回転駆動力が出力軸300に伝達されるように構成される。

0044

[1−3.研削刃]
出力軸300の先端部390には研削刃400が設けられている。研削刃400は、中央が開口した円板状であり、中央の開口部に出力軸300が貫通させられることで、出力軸300の突設方向(回転軸O方向に一致)に対する直交面の方向に延在する。出力軸300には、研削刃400を上下両面から挟み込むワッシャ391とナット392とが装着されている。研削刃400は、上側の面がワッシャ391で抑えられ、被削材の表面に対向する下側の面がナット392で締め込まれることで、出力軸300と同軸(回転軸O)で一体的に回転するように固定されている。

0045

[1−4.カバ−]
研削装置100には、研削装置100を被削面に吸引させるとともに、研削刃400による加工によって発生する塵埃の飛散を防止するためのカバー500が装着されている。

0046

カバー500は、周壁部520、吸引口525、およびダイヤフラム540を含む。カバー500の内部は作業空間Sが形成されている。
周壁部520は、研削刃400の周りを覆うように配置され被削材の表面に対向する側(下側)で開口した円筒状部材523と、円筒状部材523に連結された連結具521とを含む。本実施形態では、図4に示すように、非研削時において、研削刃400は、カバー500の開口端510(つまり円筒状部材523の開口端)よりも上方に位置しており、作業空間S内に完全に収容されている。これによって、研削刃400が不用意に他の箇所へ接触することを防止することができる。周壁部520は、作業空間S内の空気が吸引された場合(後述)に、その負圧に抗う剛性を有する。

0047

周壁部520の上端部に連結された連結具521は、周壁部520の上端に沿う円環状部材であり、ダイヤフラム540および出刃量調節部700を連結している。

0048

ダイヤフラム540(膜体)は、作業空間Sの密閉性を確保するよう、周壁部520の上部を封止している。ダイヤフラム540は、可撓部543と固定部545とを含む。可撓部543は中央に貫通孔を有する容器状であり、当該貫通孔に出力軸300が貫通させられるとともに、出力軸300と連動可能となるように出刃量調節部700を介して出力軸300に固定されている。このため、作業空間Sの封止状態が保たれたまま出力軸300が回転軸O方向に往復動可能となる。固定部545は可撓部の周縁に形成されたフランジ状であり、連結具521に固定されている。ダイヤフラム540は、ゴムまたはエラストマーなどの弾性材で構成される。

0049

周壁部520の円筒状部材523には吸引口525が穿設されており(図2参照)、吸引口525を介して作業空間Sに連通する排気ホース529(図1および図4参照)が接続されている。排気ホース529は図示しない集塵機または真空発生機などの吸引機部に接続されている。吸引機部を作動させることで、作業空間S内の空気を吸引し吸引口525および排気ホース529を通じて排出する。

0050

本実施形態では、図4に示すように、カバー500は、開口端510が出力軸の突出方向に対する直交面OPから角度θをもって傾斜するように構成されている。このよう傾斜した開口端510を有するように構成されることで、カバー500は、被削材表面900に対して研削刃400を当てる角度を決定しかつ一定に保つガイド機能を具える。角度θは被削材表面900に対する研削刃400の推奨角度であればよく、直交面OPに対して10°以上20°以下、好ましくは15°以上20°以下であってよい。これによって、作業者は、被削材表面900に対する研削刃400の角度決めが容易となるとともに、推奨角度を維持しながら作業することも容易となるため、研削作業の作業性を高めることができる。

0051

カバー500の開口端510の内周面積Sc(本実施形態では図2中の内径Dcから導出される面積)は、たとえば78.5cm2以上707cm2以下、好ましくは133cm2以上491cm2以下であってよい。内周面積Scが上記下限値以上であることは、吸引により研削装置100の自重Xを支えやすい点で好ましい。内周面積Scが上記上限値以下であることは、ダイヤフラム540の可撓部543の内周面積Sd(本実施形態では図2中の内径Ddから導出される面積)の大きさにも依るが、被削材表面900に吸着したまま研削装置100を被削材表面900上で動かしやすい点で好ましい。

0052

ダイヤフラム540の可撓部543の内周面積Sdは、カバー500の開口端510の内周面積Scのたとえば25%以上75%以下、好ましくは40%以上60%以下であってよい。内周面積Sdの割合が上記下限値以上であることは、被削材表面900に吸着したまま研削装置100を被削材表面900上で動かしやすい点で好ましい。内周面積Sdが上記上限値以下であることは、吸引により研削装置100の自重Xを支えやすい点で好ましい。

0053

[1−5.通気性摺接部材]
本実施形態では、開口端510に対しては、その全周に沿って通気性摺接部材600が固定されている。本実施形態における通気性摺接部材600は、開口端510の面に固定されている。これにより、通気性摺接部材600の上面の固定面611が開口端510に対して固定される一方、下面の摺接面619が被削材表面900に接触させられる(図5で後述)。

0054

通気性摺接部材600は、圧縮時通気性、摺動性および圧縮弾性を有する通気性素材で構成されてよい。
通気性摺接部材600の圧縮時通気性は、吸引機部によってカバー500の作業空間S内部が吸引されて圧縮された状態でも、作業空間S内部と外部とを連通する空隙を閉塞せずに確保することで通気性を維持する性質をいう。具体的には、吸引機部による真空圧(吸引圧)によって開口端510の面によって押しつけられる圧力と同じか、またはそれ以上の圧力で押圧されても当該空隙を確保する。これによって、適切な気体流量を確保して集塵性を良好に発揮することができ、かつ、通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900に押しつけられた状態で、被削材表面900を容易に移動することができる。本実施形態では、吸引機部による真空圧(吸引圧)に抗って通気性摺接部材600が当該空隙を確保できればよい。

0055

通気性摺接部材600の摺動性は、被削材表面900に押圧された状態で低摩擦での移動を可能にする性質をいう。

0056

具体的には、通気性摺接部材600の動摩擦係数はたとえば0.17以下であってよい。これによって、カバー500の作業空間S内部の吸引圧などによって通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900に押しつけられた状態で、被削材表面900を容易に移動することができる。
また、通気性摺接部材600の動摩擦係数はたとえば0.14以上であってよい。これによって、被削材表面900が研削装置100より鉛直下方に存在する面でない場合(たとえば、被削材表面900が鉛直方向などの非水平面、および研削装置100より鉛直上方に存在する面などの場合)であっても、被削材表面900に吸着した状態で研削装置100を動かしている最中の操作者が、研削装置100の自重を支える負担が少なくて済む。

0057

さらに、通気性摺接部材600の静止摩擦係数μはたとえば0.21以上であってよい。これによって、被削材表面900が研削装置100より鉛直下方に存在する面でない場合(たとえば、被削材表面900が鉛直方向などの非水平面、および研削装置100より鉛直上方に存在する面などの場合)であっても、研削装置100を静止させかつ被削材表面900に吸着した状態において、操作者が研削装置100の自重を支える負担を無くすことが容易である。さらには、操作者が研削装置100から手を離したとしても、研削装置100を完全に被削材表面900に吸着させ、その自重による落下を容易に防止することができる場合もある。
また、通気性摺接部材600の静止摩擦係数μはたとえば0.3以下であってよい。これによって、研削装置100を静止させかつ被削材表面900に吸着させた状態から操作者が研削装置100を動かす時の負担を軽くすることができる。

0058

通気性摺接部材600の摩擦係数は、たとえば、乾燥したプレキャストコンクリート粗度係数標準値0.013(係数の範囲:0.011以上0.016以下))に、研削装置100(自重3.75kg)を、通気性摺接部材600を介して吸引させ(静圧13kPa)た場合の引張抵抗から求めることができる。なお、上述の粗度係数は、マニングの平均公式(v=1/n・R2/3・I1/2で表される。ただし、vは流速(m/秒)、nは粗度係数、Rは径深流積潤辺)、Iは勾配を示す。)から導出することができる。

0059

通気性摺接部材600の圧縮弾性は、所定の時間加重した後、除重時に元に戻ろうとする性質をいう。これによって、作業時に被削材表面900の方向に対して開口端510の面の方向がぶれても、通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900へ追随しやすいため、作業空間S内の負圧状態を維持しやすく、塵埃の飛散の抑制もしやすい。なお、通気性摺接部材600による弾性力は、後述の伸縮部750による反力F(弾性力)に比べて小さい。

0060

通気性素材は、圧縮弾性を良好に確保する観点から、ポリオレフィンポリエステルポリアミドなどの樹脂の単独または複数種混合態様であってよい。摺動性を確保する観点から、通気性摺接部材600の少なくとも被削材表面900と接触する部分において、上記の樹脂からはゴムおよびエラストマーが除かれる。本実施形態では、ポリエステルが選択される。また、異なる特性の通気性素材を積層して通気性摺接部材600が構成されてもよい。たとえば、通気性摺接部材600は、より圧縮弾性に優れる樹脂製素材の下に、より摺動性に優れる樹脂製素材を積層した多層構造であってもよい。

0061

通気性素材は、圧縮時通気性を確保する観点から、連続空隙を有する態様のものであればよく、たとえば繊維体および多孔質体が挙げられる。繊維体としては不織布(JIS L0222に準ずる)およびフェルトが挙げられる。本実施形態においては、化学繊維製不織布または化学繊維製フェルトが用いられる。繊維体の目付は、たとえば0.15g/cm3以上であってよい。これによって、通気性を良好に確保することができる。また、当該目付は、0.6g/cm3以下であってよい。これによって、圧縮弾性を良好に確保することができる。

0062

図3に示すように、通気性摺接部材600の摺接面619の幅wは、非圧縮時の通気性摺接部材600の外径のたとえば10%以上、好ましくは20%以上であってよい。これによって、摺接面619が被削材表面900に接触する面積を十分に確保することができるため、カバー500が被削材表面900を良好に吸引することができる。当該幅wは、非圧縮時の通気性摺接部材600の外径のたとえば25%以下、好ましくは35%以下であってよい。これによって、通気性摺接部材600の通気性を確保しやすい。
摺接面619の幅wは、固定面611の幅と同じまたはそれ以上である。これによって、摺接面619が被削材表面900に接触する面積を十分に確保することができるため、カバー500が被削材表面900を良好に吸引することができる。

0063

通気性摺接部材600の非固定部分かつ開口端510から下を構成する部分の高さhは、幅wのたとえば50%以上であってよい。これによって、作業時に被削材表面900の方向に対して開口端510の面の方向がぶれても、通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900へ追随しやすいため、塵埃の飛散を抑制しやすい。当該高さhは、幅wのたとえば200%以下であってよい。これによって、通気性摺接部材600が、圧縮力、または圧縮力および摩擦力を受けても、摺接面619が被削材表面900へ接触した状態が安定的に保たれるため、作業空間Sの密閉状態が安定に保たれ、塵埃の飛散を抑制しやすい。

0064

本実施形態では、通気性摺接部材600は、通気性素材をくり抜き加工により全周連続する環状に構成されたものである。これによって、作業空間S内の密閉性をより好ましく得ることができる。しかしながら通気性摺接部材600はこの態様に限定されず、たとえば、帯状に成形された通気性素材をその両端が突き合わせられると共に、通気性素材の肉厚半径方向幅となるように環状にして構成されたものであってもよい。

0065

[1−6.出刃量調節部および把持部]
本実施形態の研削装置100は、研削刃400が固定された出力軸300を回転軸O方向に動かして研削刃400の出刃量を調節する出刃量調節部700を含む。

0066

出刃量調節部700は、カバー500の上部に配設され、主に押圧部710と伸縮部750とで構成される。押圧部710は、回転軸O方向へ往復動作する部分であり、伸縮部750は、当該往復動作を可能にする部分である。

0067

押圧部710は、その上部を構成する第一押圧部材712と、下部を構成する第二押圧部材714とを含む。第一押圧部材712と第二押圧部材714とはいずれも中央部に上下方向の貫通孔を有する。第一押圧部材712と第二押圧部材714とは、それらの間にダイヤフラム540の可撓部543を挟持した状態で互いに連結されている。この連結態様において、第一押圧部材712および第二押圧部材714それぞれの貫通孔とダイヤフラム540の可撓部543の貫通孔とが略同軸となるように位置していることで、出力軸300が、押圧部710(第一押圧部材712および第二押圧部材714)とカバー500(ダイヤフラム540)とを貫通し、カバー500内部に突出する。

0068

さらに、押圧部710は出力軸300に連設するように構成される。本実施形態では、押圧部710の第一押圧部材712が、固定具711を介し、出力軸300に連結突起221で連結固定させられたギアケース220と固定されることで、押圧部710が出力軸300に連設される。これによって、押圧部710の回転軸O方向への往復動作と、出力軸300およびそれに設けられた研削刃400の回転軸O方向への往復動作と、を連動させることができる。

0069

第二押圧部材714は、その外周が、連結具521の内周よりも小さくなるように構成されている。この構成が、第二押圧部材714がダイヤフラム540を固定したまま連結具521の内部に遊挿されることを可能にするため、押圧部710の、回転軸O方向かつ下方向への移動(往動作)を可能にする。

0070

第一押圧部材712にはフランジ部が突設されており、当該フランジ部の下面を構成する押圧面719とカバー500(より具体的には連結具521)との間には、回転軸O方向に伸縮する伸縮部750が設けられている。伸縮部750は、その両端がそれぞれ押圧面719と連結具521とに固定されている。本実施形態では、伸縮部750は、回転軸O方向にバネ軸が延在させられた圧縮コイルばねで体現される。

0071

伸縮部750は、伸縮することにより、押圧部710の回転軸O方向への往復動作を可能にする。伸縮部750は、押圧部710の回転軸O方向かつ下方向への移動(往動作)の場合には縮み、それとともに、押圧面719へ向かって伸縮付勢による反力を生じさせる。これによって、押圧面719に連動する出力軸300に固定された研削刃400を、被削材表面900とは反対側にわずかに引き戻し、研削刃400の被削材表面900への押し付け力を緩めて微調整する。本実施形態における出刃量調節部700は、このように研削刃400の被削材表面900への押し付け力を微調整するために研削刃400の出刃量を調節する。

0072

伸縮部750は、押圧面719に対してたとえば0kgf以上35.2kgf以下、好ましくは1.0kgf以上20kgf以下の反力F(弾性力)を生じさせることができるものであってよい。当該反力Fが上記下限値以上であることは、被削材表面900への研削刃400の押し当て力が過剰になることを防止しやすい点で好ましく、上記下限値以下であることは、被削材表面900に対して研削刃400の押し当て力が不足することを防止しやすい点で好ましい。

0073

伸縮部750の伸縮定数(本実施形態ではばね定数)および確保すべきストローク(縮み長さ)は、所望の反力Fの値に基づいて決定することができる。たとえば、伸縮定数は
0.5N/mm以上35.2N/mm以下、好ましくは1.0N/mm以上20N/mm以下であってよい。伸縮定数が上記下限値以上であることは、確保すべきストロークが適度に短くて済み、研削装置100の出力軸300方向の高さを適度にコンパクトに構成することができる点で好ましく、上記上限値以下であることは、研削刃400の押し当て力の調整が容易であり、また、研削刃400およびそれに伴う押圧部710のストロークが適度に確保されるため研削刃400が被削材表面900へ当たったことを、押圧部710などが動いた感覚として操作者が感知しやすい点で好ましい。なお、上述の伸縮定数は、伸縮部750が複数で構成される場合には、それぞれの伸縮部の伸縮定数の合計に相当する。

0074

本実施形態では、把持部800は押圧部710に一対(図1参照)固定されている。一対の把持部800は、いずれも回転軸Oの直交面に沿って延在し、回転軸Oを中心に互いに180°をなすように配設されている。したがって、操作者が両手で把持部800を把持することで、研削装置100を容易に操作することができる。たとえば、研削装置100を被削材表面900方向へ移動させることを容易に行うことができる。

0075

[1−7.変形例]
本実施形態では、カバー500の開口端510に通気性摺接部材600が設けられている例を挙げたが、本発明はこの態様に限定されるものではない。たとえば、通気性摺接部材600の代わりに、摺動性および圧縮弾性を有し圧縮時通気性を有しない素材、摺動性を有し圧縮弾性および圧縮時通気性を有しない素材であってもよい。これら代替素材としては、繊維質および多孔質体が挙げられ、多孔質体の場合は独立気泡タイプの多孔質体であってもよい。これら代替素材の静止摩擦係数μは、通気性摺接部材600と同じであってもよいし、異なっていてもよい。研削装置に対し働く重力と反対方向の力Y(kgf)と研削装置の自重X(kgf)との関係が後述の式(I)を満たすように当業者が適宜決定することができる。

0076

本実施形態では、ダイヤフラム540として容器形ダイヤフラムを挙げたが、可撓部および固定部の形状はこれに限定されるものではない。たとえば、容器形のダイヤフラム540の代わりに、平板形ダイヤフラムおよび折り返し形ダイヤフラムなど、可撓部と固定部とを有するシール材であればどのような膜体であってよい。これらの膜体は、研削刃400の所望のストロークなどに応じて当業者が適宜選択することができる。

0077

本実施形態では、出刃量調節部700を有する態様を挙げたが、研削装置100はこの態様に限定されるものではない。たとえば、上述のような伸縮部750の反力がなくても吸引機部によるカバー500内の吸引による被削材表面900に対する研削刃400の押し当て力が適度である場合は、出刃量調節部700が除外されてもよい。たとえば、出刃量調節700を有する研削装置100よりも、静止摩擦係数μが大きい場合、吸引機部による吸引力が小さい場合、後述の調圧弁を有する場合などが該当する。

0078

[1−8.研削装置の使用]
研削装置100を使用する場合、モータケース210に設けられた図示しない電源スイッチをオン切り替えることで、電動モータに電力が供給され、出力軸300とともに研削刃400が回転する。さらに、図示しない吸引機部の電源スイッチをオンに切り替えることで、吸引口525を介した作業空間S内から排気ホース529内への気流が発生する。

0079

吸引機部が作動している場合は、図5に示すように、通気性摺接部材600の摺接面619を被削材表面900に接触させるとカバー500が被削材表面900に吸着する。吸引機部が生じさせる吸引着力によりカバー500の作業空間Sが減圧されると、ダイヤフラム540の可撓部543が被削材表面900に向かって引き込まれる。この可撓部543の動きに連動して、出力軸300およびそれに固定された研削刃400も同様に被削材表面900に向かって引き込まれ、研削刃400が被削材表面900に接触する。したがって、吸引機部を作動させることで、研削刃400を容易に被削材表面900に押し当てる(付勢する)ことができる。これによって、研削加工が行われる。つまり、研削刃400を被削材表面900に押し当てるために操作者の力を必要とせず、吸引機部を作動している限り、研削刃400が被削材表面900に押し当てられた状態を保って研削し続けることができる。したがって、本発明の研削装置100は作業性に優れる。

0080

特に本実施形態では、上述のとおり、被削材表面900に対して研削刃400の推奨角度で当てることができるようにカバー500の開口端510が傾斜構造となっているため、操作者の力および技量を要することなく、吸引機部を作動させるだけで研削刃400を当該推奨角度で押し当てることができ、かつ、その状態を維持することができる。

0081

この時、吸引機部が生じさせる吸引力によって出力軸300に固定された研削刃400が回転軸O方向に被削材表面900に向かって引き込まれると同時に、当該出力軸300が固定された押圧部710も同じ向きに連動する。したがって、可動である押圧部710の押圧面719と不動であるカバー500の連結具521との間に設けられた伸縮部750は、押圧面719に連動して縮む。それと同時に、縮められた伸縮部750が押圧面719を付勢する反力(弾性力)によって、押圧部710およびそれに連動する研削刃400を、被削材表面900に向かう方向とは反対方向に引き戻す力も作用する。したがって、吸引機部の作動による研削刃400の被削材表面900への引き込みがそれ単独では研削刃400を被削材表面900へ過剰な力で押し付けることになる場合であっても、上記の反力による適度な引き戻しの作用によって押し付け力を適切に調整することができる。

0082

被削材表面900が水平でない場合、吸引機部が作動している時の研削装置100には、その吸引圧によって重力と反対方向の力Y(kgf)が働いている。なお、上記の被削材表面900が水平でない場合には、被削材表面900が水平面に対して180°をなす天面である場合が含まれる。図5では、被削材表面900が水平面に対して90°をなす垂直面である場合を例示している。

0083

重力と反対方向の力Yによって、研削装置100の鉛直方向に働く力は、研削装置100の自重X(kgf)よりも小さくなる。具体的には、吸引機部が作動している時の力Yと自重Xとの関係は、下記式(I)の関係を満たす。
Y/X>1 (I)
この場合、カバー500内部の吸引圧(負圧)によって、重力とは反対方向の力Yが研削装置100の自重Xより大きくなるように働くため、操作者が水平面でない被削材表面900にあてがった研削装置100から手を離したとしても、研削装置100が自重Xにより落下しない。このため、操作者が研削装置100の自重Xを支える負担を無くすことができる。吸引機部による吸着力が、上述の式(I)の関係を満たす程度に達している場合、その吸引状態を、特に吸着と記載する。

0084

なお、研削装置100の自重Xからは、研削装置100の構成要素のうち、吸引機部の重量および排気ホース529の重量は除かれる。具体的には、研削装置100の自重Xは、たとえば14kgf以下、好ましくは10kgf以下であってよい。自重Xの範囲が上記上限値以下であることは、操作者が研削装置100の自重Xを支える負担を無くすために吸引機部に必要とされるエネルギーを節約しやすい点で好ましい。研削装置100の自重Xの範囲内の下限値は特に限定されないが、通常2.5kgf程度である。

0085

また、研削装置100は、重力とは反対方向の力Yと、被削材表面900の静止摩擦係数μおよびカバー500が被削材表面900に接触させられた状態で吸引機部を稼働させた場合にカバー500が被削材表面900を吸引する実吸引力N(kgf)との関係は、下記式(II)で示される。
Y=μN (II)

0086

この関係において、実吸引力Nと、カバー500の開口端510の内周面積Sc(cm2)、可撓部の内周面積Sd(cm2)、吸引機部による真空度P(kPa)、および伸縮部750の反力F(kgf)とは、下記式(IV)の関係を満たしてよい。
N=P(Sc−Sd)+F (IV)

0087

なお、被削材表面900が図5とは異なり水平面と180°をなす天面である場合、研削装置100に当該天面の方向への負荷がかからずに静止している状態においては、自重Xに対する摩擦が働かないため、この状態での静止摩擦係数μは1とみなす。

0088

吸引機部の真空度Pの設定値は、たとえば1kPa以上90kPa以下、好ましくは13kPa以上15kPa以下であってよい。真空度Pが上記下限値以上であることは、研削刃400を押し当てやすい点で好ましく、上記上限値以下であることは、被削材表面900に吸着させたまま研削装置100を被削材表面900上で動かしやすい点で好ましい。

0089

また、吸引機部が作動している時の力Yと自重Xとの関係は、下記式(V)の関係を満たしてよい。
Y/X<5 (V)
この場合、被削材表面900に吸着させたまま研削装置100を被削材表面900上で動かしやすい点で好ましい。

0090

またこのとき、通気性摺接部材600も圧縮される。カバー500の開口端510と通気性摺接部材600の固定面611との相対的位置関係は、被削材表面900に接触させていない図4の場合と同じである。従って、通気性摺接部材600が吸引力によって圧縮される。通気性摺接部材600が有する圧縮時通気性により、吸引中であっても作業空間Sと外部とを連通する空隙が保持されるため、当該空隙を通じて作業空間Sへ適度な少量の外気を吸入するが、この吸入のみを許して作業空間S内は良好に減圧される。

0091

したがって、研削装置100は良好に被削材表面900に吸着する。このため、被削材表面900が水平でない場合であっても、操作者が研削装置100の自重を支える負担が軽減される。

0092

通気性摺接部材600は摺動性を有するため、図5のように研削刃400を被削材表面900から浮かせていても、吸引状態を保ったまま滑らかに被削材表面900上を移動させることも容易である。

0093

さらに通気性摺接部材600は圧縮弾性を有するため、被削材表面900上を移動させている時に被削材表面900の方向に対して開口端510の面の方向がぶれても、通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900へ追随しやすいため、吸引状態を良好に保つことができる。

0094

研削加工によって生じる塵埃は、吸引口525を介した作業空間S内から排気ホース529内への気流に乗って排出される。通気性摺接部材600が有する圧縮時通気性により、圧縮中に確保される空隙を通じて作業空間Sへ適度な少量の外気を吸入することで、被削材表面900とカバー500の開口端510付近でも外部から作業空間Sへの気流が常に発生するため、外部への塵埃の飛散を抑制することができる。

0095

そして、通気性摺接部材600はその摺動性により、カバー500が被削材表面900に吸着されて塵埃の飛散が抑制された状態を保ったまま、容易に移動させることができる。

0096

また、通気性摺接部材600は圧縮弾性を有するため、研削加工中、または研削加工しながらの移動中に、被削材表面900の方向に対して開口端510の面の方向がぶれても、通気性摺接部材600の摺接面619が被削材表面900へ追随しやすいため、吸引状態を良好に保つことができる。したがって、被削材表面900への接触性が良好で塵埃の飛散を抑制しやすい。

0097

また、カバー500と出刃量調節部700との間に介在させられたダイヤフラム540が弾性材で構成されている場合、図5の状態において、出刃量調節部700に、回転軸Oと交差する方向へ負荷をかける(たとえば出刃量調節部700に固定されている把持部800またはモータケース210に、当該方向に負荷をかければよい)と、図6に示すように、カバー500が被削材表面900に吸着したまま、出刃量調節部700の方の傾きを若干変化させることができる。出刃量調節部700における押圧部710を構成する第二押圧部材714が、カバー500における連結具521に遊挿可能なように、第二押圧部材714の外周が連結具521の内周より小さく構成されているため、封止状態を保ったままこのような相対位置変化許容する。

0098

これによって、出刃量調節部700に固定されている出力軸300の回転軸Oが、変化前の回転軸Oからずれ(具体的には図6に示すように、変化後の回転軸Oが変化前の回転軸Oと交差する方向にずれ)、研削刃400が被削材表面900に当たる角度を微調整することができる。したがって、図5の状態で研削することで研削刃400が被削材表面900に当たる特定角度摩耗したとしても、図6のように研削刃400の角度を微調整することで、当該特定角度の摩耗面とは異なる面を用いて研削を行うことができる。なお、微調整のための角度(図中角度θ’で示される。負荷を受けていない場合を0度とする)は、0度超3度以下であってよい。

0099

本発明では、上述の通り、操作者の力を要さずに吸引機部によって研削刃400が被削材表面900に押し当てられた状態となるため、研削加工中に研削刃400の角度の微調整を行う場合、操作者は、出刃量調節部700に、回転軸Oと交差する方向へ負荷をかけるだけでよい。したがって、研削加工中の研削刃400の角度調整も容易となる。

0100

なお、第1実施形態の変形例で挙げたような、出刃量調節部700を有しない研削装置の場合は、上記式(II)の関係において、実吸引力Nと、カバー500の開口端510の内周面積Sc(cm2)、可撓部の内周面積Sd(cm2)、吸引機部による真空度P(kPa)、および伸縮部750の反力F(kgf)とは、下記式(III)の関係を満たす。
N=P(Sc−Sd) (III)

0101

[2.他の実施形態]
図7から図12は、他の実施形態の研削装置を示す。他の実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明を行い、同じ点については説明を省略する。また、他の実施形態においても、第1実施形態で述べた変形例を適宜適用でき、かつ、それぞれの実施形態が第1実施形態と異なる要素は適宜互いに組み合わせることもできる。

0102

[2−1.第2実施形態]
図7は、第2実施形態の一例である研削装置の部分断面図であり、第1実施形態の図3の一部に対応する。図7に示す研削装置100aでは、通気性摺接部材600aが保持部材650aを介してカバー500aの開口端510a付近の内壁に固定されている。保持部材650aは、通気性摺接部材600の上部側面を挟持して固定面611aを固定している。さらに保持部材650aには側面に嵌合部(本例では嵌合突起)が設けられており、カバー500aの開口端510a付近の内壁に設けられた嵌合部(本例では嵌合凹部)に嵌合されて固定される。作業空間Sa内の密閉性をより良好とするために、保持部材650aと開口端510a付近の内壁との間にはガスケットが介在していてもよい。

0103

図8は、第2実施形態の他の例である研削装置の部分断面図であり、第1実施形態の図3の一部に対応する。図8に示す研削装置100bでは、通気性摺接部材600bが保持部材650bを介してカバー500bの開口端510b面に固定されている。保持部材650bは、通気性摺接部材600bの上部側面を挟持して固定面611bを固定している。さらに保持部材650bには上面に嵌合部(本例では嵌合突起)が設けられており、カバー500bの開口端510b面に設けられた嵌合部(本例では嵌合凹部)に嵌合されて固定される。

0104

第2実施形態の図7の例および図8の例のいずれも、通気性摺接部材600a,600bが圧縮を受けた場合であっても開口端510a,510bに対する通気性摺接部材600a,600bの固定面611a,611bの相対的位置が変わらないことは第1実施形態と同様である。つまり、いずれも通気性摺接部材600a,600bは開口端510a,510bに対して固定されている。
また、第2実施形態の図7の例および図8の例のいずれも、保持部材650a,650bはカバー500a,500bから着脱可能に構成されていてよい。これによって、通気性摺接部材600a,600bのみを交換することができる。

0105

[2−2.第3実施形態]
図9は、第3実施形態の研削装置の一部切欠き部分断面図であり、第1実施形態の図4の一部に対応する。図9に示す研削装置100cでは、カバー500cの開口端510cが回転軸Oの直交面と平行となるように構成されている。研削刃400cは回転軸O周りがカップ状に形成されており、研削刃400cの、当該直交面に延在する加工面全体が被削材表面900に接触させられることにより、研削加工が行われる。

0106

[2−3.第4実施形態]
図10は、第4実施形態の研削装置の部分断面図であり、第1実施形態の図5に対応する。図11は、第4実施形態の研削装置の動作後を示す部分断面図である。
図10および図11に示す研削装置100eは、出刃量調節部700eがさらに可動スペーサ760eを含むことを除いて、第1実施形態の研削装置100と同様である。本実施形態における出刃量調節部700eは、研削時に研削刃400が固定された出力軸300を回転軸O方向の被削材表面900側へ往移動させ、非研削時に研削刃400が固定された出力軸300を反対側へ復移動させる。つまり本実施形態における出刃量調節部700eは、研削時および非研削時の間で出刃量を調節する。

0107

研削装置100eの出刃量調節部700eを構成する可動スペーサ760eは、カバー500(本実施形態では連結具521)と押圧面719との間に設けられている。可動スペーサ760eは、カバー500と押圧面719との間の距離を変化させることができるものであればどのような構成であってもよい。本実施形態では、可動スペーサ760eは剛性部材であり、その一端部がカバー500と押圧部710のいずれか一方、具体的にはカバー500の方に回転自在に固定されている。

0108

図10に示すように研削刃400が被削材表面900に押し当てられている時に、可動スペーサ760eを動かすと、図11に示すように、作業空間S内の負圧に抗ってカバー500と押圧面719との間を広げることができる。これによって、研削刃400を被削材表面900から引き離すことができる。

0109

図10の状態と図11の状態を繰り返すことで、研削する必要がない被削材表面900上では、操作者は研削装置100eの把持部800などを持って回転軸O方向の負荷をかけずに被削材表面900上を移動させることができ、研削する必要がある被削材表面900上では、研削刃400を被削材表面900に接触させた状態で移動させることができる。この一連の作業はカバー500が被削材表面900に吸着したまま行われるため、終始、塵埃の飛散を防止しながら研削作業を行うことができる。また、図11の状態から研削装置100eを被削材表面900から外す場合は、図10の状態からはがす場合に比べて研削刃400がカバー500内に収容されているため研削刃400を保護しながら外すことができる点で好ましい。

0110

[2−4.第5実施形態]
図12は、第5実施形態の研削装置の模式的部分断面図であり、第1実施形態の図2に対応する。
図12に示す研削装置100fは、調圧弁527fを含むことを除いて、第1実施形態の研削装置100と同様である。

0111

調圧弁527fは、本実施形態ではカバー500fの周壁部520fに設けられており、カバー500f内の吸引圧(負圧)が過剰となる時にカバー500fの内外気体連通路が形成されるように構成されている。これによって、調圧弁527fがなければ吸引機部によるカバー500f内の吸引圧が過剰となる場合であっても、適切な負圧に調整することができる。カバー500f内の吸引圧が過剰となる場合としては、たとえば、研削刃400を被削材表面900へ過剰な力で押し付けることになるため押し付け力を緩める必要がある場合、および、カバー500fが被削材表面900に吸着する力が強すぎて移動が困難となるため吸着力を弱めて(たとえば、上記式(V)を満たすように調整して)移動を容易にする必要がある場合が挙げられる。

0112

なお、本実施形態では第1実施形態と同じ出刃量調節部700を有するものを挙げたが、本実施形態の変形例として、出刃量調節部700を有しない態様であってもよい。この場合、把持部は直接カバー500fに固定することができる。この変形例においては、出刃量調節部700を有する態様とは異なり、研削刃400の被削材表面900への押し付け力の調整には、伸縮部の反力の作用の代わりに、調圧弁527fによる加圧の作用を利用する。

0113

[2−5.第6実施形態]
図13は、第6実施形態の研削装置の部分断面図であり、第1実施形態の図2の一部に対応する。図14は、第6実施形態の研削装置の一部切欠き部分断面図であり、第1実施形態の図6の一部に対応する。図13および図14に示す研削装置100gは、第1実施形態における出刃量調節部700およびダイヤフラム540に相当する構造を有さない。したがって、研削刃400は、図14に示すように、通気性摺接部材600が被削材表面900に押し当てられた状態となった場合に被削材表面900に接触する出刃量に固定設定されている。なお、本実施形態の研削装置100gは、出刃量調節能を有しないため、把持部800gはカバー500の連結具521gに固定されている。また、研削刃400が出力軸方向に動かないため、ダイヤフラム540の代わりの封止材としてはガスケットが代替されればよい。

0114

この場合、吸引機部によってカバーが被削材表面900に吸着する実吸引力N(上記式(I)の関係を満たすもの)は、吸引機部による真空度Pとカバー開口端の内周面積Scとの積で表される。

0115

研削刃400の押し付け力を強めたい場合、または研削刃400の摩耗が進んだ場合は、通気性摺接部材600の高さおよび圧縮弾性を利用し、把持部800gを軽く押し込むことまたは吸引機部の設定を変えて吸引圧を大きくすることなどによって、被削材表面900に研削刃400が好ましく押しつけられた状態を得ることができる。

0116

[3.実施形態の各部と請求項の各構成要素との対応関係
本発明においては、実施形態の研削装置100,100a,100b,100c,100e,100f,100gが請求項の「研削装置」に相当し、ハウジング200が「ハウジング」に相当し、出力軸300が「出力軸」に相当し、研削刃400,400cが「研削刃」に相当し、カバー500,500a,500b,500c,500fが「カバー」に相当し、開口端510,510a,510b,510cが「開口端」に相当し、周壁部520,520fが「周壁部」に相当し、吸引口525が「吸引口」に相当し、調圧弁527fが「調圧弁」に相当し、通気性摺接部材600,600a,600bが「通気性摺接部材」に相当し、ダイヤフラム540が「膜体」に相当し、可撓部543が「可撓部」に相当し、固定部545が「固定部」に相当し、出刃量調節部700が「出刃量調節部」に相当し、押圧面719が「押圧面」に相当し、伸縮部750が「伸縮部」に相当し、把持部800,800gが「把持部」に相当し、被削材表面900が「被削材の表面」に相当し、回転軸Oの方向が「出力軸の突設方向」に相当し、直交面OPが「直交面」に相当し、角度θが「角度」に相当する。

0117

本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な変形がなされる。

0118

100,100a,100b,100c,100e,100f,100g研削装置
200ハウジング
300出力軸
400,400c研削刃
500,500a,500b,500c,500fカバー
510,510a,510b,510c開口端
520,520f周壁部
525吸引口
527f調圧弁
540ダイヤフラム(膜体)
543 可撓部
545 固定部
600,600a,600b通気性摺接部材
700,700e 出刃量調節部
719押圧面
750伸縮部
800,800g把持部
900被削材表面
O回転軸(回転軸の方向Oは出力軸300の突設方向に一致)
OP直交面
θ 角度

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