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技術 レアアースを含有する残渣の処理方法

出願人 太平洋セメント株式会社
発明者 小早川真岡村隆吉生田考御手洗義夫森澤友博
出願日 2016年1月20日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-008936
公開日 2017年7月27日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-127816
状態 特許登録済
技術分野 金属の製造または精製 汚泥処理
主要キーワード 下降温度 太陽炉 ボロン磁石 乾燥脱水 深海底 レアアース 熔融物 急冷水
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この項目の情報は公開日時点(2017年7月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

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課題

レアアースを含有するを酸で処理した後に発生する酸性の残渣の体積を小さくすることができ、かつ、低コストで処理することができる残渣の処理方法を提供する。

解決手段

レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント石灰炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、得られた混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程、を含むレアアースを含有する残渣の処理方法。

概要

背景

レアアースは、ネオジム・鉄・ボロン磁石LED電球燃料電池等に用いられる原料として、最先端技術産業に不可欠な元素であり、近年、その需要急増している。一方、レアアースの寡占的産出国であった中国が、輸出奨励政策から規制強化政策へと方針を変更するなどの事情下において、レアアースの供給不足や価格高騰が懸念されており、レアアースの新たな供給源の確保が課題となっている。
このような状況下において、太平洋の広範囲分布しているレアアースを高含有率で含む深海が、レアアースの新たな供給源として注目されている。
レアアースを高含有率で含む泥(例えば、太平洋の深海の泥)は、その資源量が膨大であること、希酸中に1〜3時間浸漬するという簡易な方法で抽出することができること、トリウムウラン等の放射性元素をほとんど含まないこと、等の数々の利点を有している。

レアアースを含有する泥の乾燥質量中のレアアースの質量の割合は、レアアースの含有率が高いことで知られる太平洋の深海底であっても、0.3質量%以下にすぎない。このため、レアアースを含有する泥から、希酸を用いてレアアースを抽出する際に、多量の酸性の残渣(泥)が発生するという問題がある。
該酸性の残渣を、有用な物の原料として用いる技術として、特許文献1には、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣を含む焼成物製造用原料を加熱してなることを特徴とする焼成物が記載されている。
また、該酸性の残渣を、簡易に処理することができる方法として、特許文献2には、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣と、アルカリ性固化材を混合して、固化体を得ることを特徴とするレアアースを含有する残渣の固化処理方法が記載されている。

概要

レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣の体積を小さくすることができ、かつ、低コストで処理することができる残渣の処理方法を提供する。レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント石灰炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、得られた混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程、を含むレアアースを含有する残渣の処理方法。なし

目的

本発明の目的は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣の体積を小さくすることができ、かつ、低コストで処理することができる残渣の処理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

レアアースを含有するを酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント石灰炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、上記混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程、を含むレアアースを含有する残渣の処理方法

請求項2

上記残渣1m3に対する上記成分調整材の量が、50〜250kgである請求項1に記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。

請求項3

上記加熱工程において、加熱前に比べて、上記混合物の体積が70%以上減少するまで、加熱を行う請求項1又は2に記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。

請求項4

上記熔融が、太陽炉を用いて行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。

技術分野

0001

本発明は、太平洋の深海海底分布する、レアアースを高含有率で含むを典型例とするレアアースを含有する泥を、酸で処理した後に発生する酸性の残渣の処理方法に関する。

背景技術

0002

レアアースは、ネオジム・鉄・ボロン磁石LED電球燃料電池等に用いられる原料として、最先端技術産業に不可欠な元素であり、近年、その需要急増している。一方、レアアースの寡占的産出国であった中国が、輸出奨励政策から規制強化政策へと方針を変更するなどの事情下において、レアアースの供給不足や価格高騰が懸念されており、レアアースの新たな供給源の確保が課題となっている。
このような状況下において、太平洋の広範囲に分布しているレアアースを高含有率で含む深海の泥が、レアアースの新たな供給源として注目されている。
レアアースを高含有率で含む泥(例えば、太平洋の深海の泥)は、その資源量が膨大であること、希酸中に1〜3時間浸漬するという簡易な方法で抽出することができること、トリウムウラン等の放射性元素をほとんど含まないこと、等の数々の利点を有している。

0003

レアアースを含有する泥の乾燥質量中のレアアースの質量の割合は、レアアースの含有率が高いことで知られる太平洋の深海底であっても、0.3質量%以下にすぎない。このため、レアアースを含有する泥から、希酸を用いてレアアースを抽出する際に、多量の酸性の残渣(泥)が発生するという問題がある。
該酸性の残渣を、有用な物の原料として用いる技術として、特許文献1には、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣を含む焼成物製造用原料を加熱してなることを特徴とする焼成物が記載されている。
また、該酸性の残渣を、簡易に処理することができる方法として、特許文献2には、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣と、アルカリ性固化材を混合して、固化体を得ることを特徴とするレアアースを含有する残渣の固化処理方法が記載されている。

先行技術

0004

特開2015−123385号公報
特開2015−120124号公報

発明が解決しようとする課題

0005

通常、残渣は埋め立て資材等として利用されている。しかし、多量に発生した残渣を、埋め立て資材として使用するには、埋め立て地の容量から限界がある。そこで、残渣の体積を小さく(減容)することが求められている。
残渣の減容方法として、例えば、加熱乾燥等による脱水が挙げられる。しかし、脱水では減容化率が小さいという問題がある。また、脱水後の残渣を永続的に乾燥状態に保つことは難しく、乾燥後の残渣は雨水等を容易に吸収し、粘土状になってしまうという問題がある。
他の方法として、残渣を高温(例えば、1,500℃)で加熱して熔融する方法が挙げられる。しかし、該方法には多くのエネルギーが必要であり、燃料設備等のコストが高くなるという問題がある。
本発明の目的は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣の体積を小さくすることができ、かつ、低コストで処理することができる残渣の処理方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、特定の成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程、を含む処理方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント石灰炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、上記混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程、を含むレアアースを含有する残渣の処理方法。
[2] 上記残渣1m3に対する上記成分調整材の量が、50〜250kgである前記[1]に記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。
[3] 上記加熱工程において、加熱前に比べて、上記混合物の体積が70%以上減少するまで、加熱を行う前記[1]又は[2]に記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。
[4] 上記熔融が、太陽炉を用いて行われる前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレアアースを含有する残渣の処理方法。

発明の効果

0007

本発明によれば、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣の体積を小さくすることができる。
また、低い加熱温度(1,200〜1,300℃)で処理を行うことができるため、燃料等のコストを低減することができ、また、加熱手段として、例えば、太陽炉を用いることも可能である。

0008

本発明のレアアースを含有する残渣の処理方法は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント、石灰、炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る成分調整工程、および、上記混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る加熱工程を含むものである。以下、詳細に説明する。

0009

[成分調整工程]
本工程は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣に、セメント、石灰、炭酸カルシウム含有物質、および高炉スラグ微粉末からなる群より選ばれる1種以上からなる成分調整材を添加して混合し、混合物を得る工程である。
本発明における処理の対象である酸性の残渣は、レアアースを含有する泥を酸(例えば、希塩酸)で処理して、レアアースを液中に抽出した後に発生する残渣である。
レアアースとは、周期律表の第3族のランタノイド(La(ランタン)〜Lu(ルテチウム)の計15種の元素)に、同じく第3族のSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を加えた計17種の元素をいう。
レアアースを含有する泥の一例として、深海底(例えば、海の深さとして、3,500〜6,000mの領域)に層状(例えば、海底から、深さが数10m程度までの地盤)に分布する、レアアースの含有率が大きい泥が挙げられる。
本発明において、レアアースを含有する泥(乾燥状態のもの)の中のレアアースの含有率(質量基準)は、資源であるレアアースを採掘する際の経済性の観点から、好ましくは1,000ppm以上、より好ましくは2,000ppm以上である。

0010

酸性の残渣の含水比(酸性の残渣の固形分100質量%に対する水分の割合)は、特に限定されないが、加熱手段の負荷を軽減する観点から、好ましくは300質量%以下、より好ましくは250質量%以下である。
酸性の残渣の含水比が大きい場合等、本工程の前に酸性の残渣の含水比を低減させる工程を設けてもよい。含水比を低減させるには、泥をタンク等の容器貯留して、泥の固形分を沈澱させ、その上澄みを回収する沈澱方式や、スクリューデカンター等の装置を用いる遠心分離方式や、フィルタープレス等の装置を用いる加圧脱水方式等の方法で脱水すればよい。
中でも、低コストで簡易に脱水することができる点で、沈澱方式及び遠心分離方式が好ましく、沈澱方式が、より好ましい。
なお、脱水の程度は、沈澱方式、遠心分離方式、加圧脱水方式の順に大きくなる。

0011

本工程において用いられるセメントとしては、普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメント中庸熱ポルトランドセメント低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉スラグセメントフライアッシュセメント等の混合セメントや、エコセメント等を使用することができる。中でも、コストや汎用性の観点から普通ポルトランドセメントが好ましい。
石灰としては、生石灰消石灰等が挙げられる。
炭酸カルシウム含有物質としては、石灰石珊瑚貝殻等が挙げられる。
高炉スラグ微粉末としては、高炉銑鉄を製造する際に副生する溶融状態スラグを、水で急冷破砕して得られる水砕スラグ粉砕物や、徐冷・破砕して得られる徐冷スラグの粉砕物等が挙げられる。
本工程において、セメント等を成分調整材として添加することで、残渣の熔融温度を低下することができる。

0012

酸性の残渣1m3に対する成分調整材の量は、好ましくは50〜250kg、より好ましくは70〜230kg、さらに好ましくは80〜200kg、特に好ましくは100〜150kgである。該量が50kg以上であれば、残渣の体積の減少量がより大きくなる。該量が250kg以下であれば、成分調整材を過剰に添加することによるコストの増大を防ぐことができる。

0013

[加熱工程]
本工程は、成分調整工程で得られた混合物を1,200〜1,300℃で加熱して熔融した後、冷却して、土工資材を得る工程である。
加熱手段としては、特に限定されるものではなく、連続式の手段とバッチ式の手段のいずれも用いることができる。
連続式の加熱手段としては、例えば、ロータリーキルン、太陽炉等が挙げられる。
バッチ式の加熱手段としては、例えば、焼却炉ガス等を燃料として用いるもの)、電気炉マイクロ波加熱装置、太陽炉等が挙げられる。
中でも、処理の効率を高める観点からは、ロータリーキルンが好ましく、エネルギーコスト低減の観点からは、太陽炉が好ましい。
ここで、太陽炉とは、レンズ反射鏡等を用いて太陽光集光することで高温を作り出すことができる装置である。

0014

加熱温度は、1,200〜1,300℃、好ましくは1,220〜1,280℃である。該温度が1,200℃未満の場合、熔融が不十分となり、残渣の体積の減少量が小さくなる。該温度が1,300℃を超える場合、加熱に必要なエネルギーが増大し、コストが増加する。
本工程において、混合物の体積が70%以上、好ましくは75%以上減少するまで、加熱を行うことが好ましい。該体積が70%以上減少するまで加熱を行うことで、酸性の残渣の減容の目的が十分に達せられ、残渣の運搬等の負担を軽減したり、埋め立て地での処分可能な残渣の量を増大させることができる。

0015

通常、酸性の残渣を加熱、熔融するためには、1,500℃程度で加熱する必要がある。しかし、本発明によれば、1,200〜1,300℃というより低い温度で、酸性の残渣を熔融することができるため、加熱に必要なエネルギーを節減することができる。
また、加熱温度が低いことから、太陽炉を用いても十分な加熱、熔融を行うことができるため化石エネルギーを使用しなくてもよい。また、加熱手段の設備において、より安価な耐熱容器を使用することができ、コストをより低減することができる。例えば、太陽炉を用いて熔融を行う場合、坩堝として一般的な耐火レンガからなるものを使用することができる。
冷却方法は、特に限定されるものではなく、自然冷却でも強制冷却でもよい。
冷却後に得られた土工資材は、埋め立て資材、人工骨材、徐冷スラグ、急冷水砕スラグ、レンガの原料、漁礁等として利用することができる。

0016

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用した試料は、レアアースを含有する泥を、酸で処理し、レアアースを回収した後に得た酸性の残渣(泥)である。該残渣の化学組成を表1に示す。なお、残渣の含水比は204質量%であった。

0017

0018

[実施例1]
残渣74ミリリットルに、成分調整材として普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)を表2に示す量で添加して混合した。混合は、残渣と成分調整材をポリ袋に入れて、手で十分に揉むことで行った。次いで、得られた混合物を、電気炉を用いて加熱した。加熱は、温度が1,250℃となるまでは、上昇温度が5℃/分となるように行い、1,250℃に達した後、該温度を20分間維持することで行った。該加熱によって、残渣は完全に熔融した。
加熱後、下降温度が20℃/分となるようにして、常温(約25℃)になるまで冷却を行った。
冷却した熔融後の混合物の含水比、及び、体積(残渣の体積を100体積%とした場合の体積%)を測定した。

0019

[実施例2]
成分調整材の添加量を表2に示す量にした以外は、実施例1と同様にして、加熱等を行った。冷却した熔融後の混合物の含水比、及び、体積を測定した。
なお、実施例1と同様に加熱によって、残渣は完全に熔融した。

0020

[比較例1]
加熱を行わない残渣の含水比を表2に示す。また、加熱を行わない残渣の体積を100体積%とした。
[比較例2]
残渣を、乾燥機を用いて、105℃の条件下で24時間静置する乾燥脱水を行った。乾燥脱水後の含水比、及び、体積を測定した。
[比較例3]
成分調整材を使用しない以外は、実施例1と同様にして、加熱等を行った。冷却した熔融後の混合物の含水比、及び、体積を測定した。
なお、加熱によって残渣は熔融したが、得られた熔融物は、実施例1〜2で得られた熔融物と比較して、粘性が高いものであり、また、残渣が熔融物になる際の体積の減少率は、小さかった。
結果を表2に示す。

0021

実施例

0022

表2から、本発明の残渣の処理方法(実施例1〜2)によれば、酸性の残渣の体積を、処理前(100体積%)の19体積%にまで減少させうることがわかる。
一方、酸性の残渣を乾燥脱水した場合(比較例2)や、成分調整材を添加せずに1,250℃で加熱した場合(比較例3)には、酸性の残渣の体積の減少量は、実施例1〜2と比べて小さいことがわかる。

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