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課題

抗生物質ダプトマイシンを含み、傷からの滲出液および血液などの水性体液により硬化セメントの表面からダプトマイシンが溶解して局所的な抗菌効果を確実にする骨セメントの提供。

解決手段

メチルメタクリレートと、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートコポリマーと、ラジカル開始剤などの少なくとも1つの重合開始剤と、少なくとも1つの重合促進剤と、少なくとも1つの放射線不透過剤とで構成される抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメント。ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物、並びに好ましくは水中での溶解度の異なる2種類のカルシウム塩を組み合わせた、少なくとも2つの異なる放出特性を含む少なくとも1つのカルシウム塩を含む骨セメント。

概要

背景

関節内部人工器官は、患者可動性を維持することを目的として広範囲関節疾患において広範囲に非常にうまく使用されている。残念ながら患者の少数は、関節内部人工器官ならびに周囲の骨組織および軟組織感染症を起こしている。これらの感染症を治療するため、関節内部人工器官の一段階または二段階の再置換を実施することが一般的である。1つの抗生物質または2つ以上の抗生物質を含む再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントが、再置換用関節内部人工器官の恒久的な機械的固定好都合であることがわかった。これらの抗生物質は、少なくとも手術直後に、新たな微生物定着から再置換用関節内部人工器官ならびに周囲の骨組織および軟組織を保護する。医師による個人に合わせた抗生物質の混合に加えて、工業的に製造された再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントが好都合であることがわかった。したがって、ヘレウスメディカルゲーエムベーハーは再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメント、COPAL(登録商標)G+C、およびCOPAL(登録商標)G+Vを製造し、供給している。COPAL(登録商標)G+Cは、ゲンタマイシンおよびクリンダマイシンの組み合わせを含む。COPAL(登録商標)G+Vはゲンタマイシンおよびバンコマイシンの組み合わせを含む。関節内部人工器官の感染症がメチシリン耐性ブドウ球菌MRSA、MRSE)によって引き起こされた場合、ゲンタマイシンおよびバンコマイシンの組み合わせは、これまで特に良く適している。しかしながら、ブドウ球菌および腸球菌のバンコマイシン耐性株も長年知られている。現在のMRSA/MRSEに加えて、これらのバンコマイシン耐性菌は、近い将来、関節関連感染症の原因として増えることが予想されている。したがって、バンコマイシン耐性菌に対して有効な少なくとも1つの抗生物質を含む再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントを開発することは理にかなっている。

多耐性グラム陽性菌による、特にバンコマイシン耐性菌によるインプラント関連感染症は、治療するのがきわめて難しく、患者にとって大変危険である。それゆえ、これらの難しいインプラント関連感染症に対しては、これらの問題のある病原菌による再感染から局所的に安全に保護することが予想される抗生物質を含む再置換用セメントが望ましい。

ダプトマイシン(CAS103060−53−3)は、バンコマイシン耐性菌に対して有効な抗生物質である。ダプトマイシンは環状リポペプチドである。その作用機序はバンコマイシンおよびテイコプラニンなどのグリコペプチド抗生物質の作用機序とかなり異なる。その結果、ダプトマイシンは通常、バンコマイシン耐性グラム陽性菌に対してさえ抗菌効果を有する。ダプトマイシンはグラム陽性菌の細胞膜に埋め込まれ、孔を形成し、それを通って細菌性細胞細胞質からカリウムイオンが出て細胞の周囲に到達する。カリウムイオンの流出によって、細菌性細胞は脱分極され、死滅する。ダプトマイシンは孔の形成のための補因子としてカルシウムイオンに依存する(非特許文献1および非特許文献2)。

これまでポリメチルメタクリレート骨セメントで使用されてきた抗生物質、例えばゲンタマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、およびコリスチンは、抗菌効果のための補因子に依存しない。これは、これまで知られた抗生物質修飾ポリメチルメタクリレート骨セメントが、体液の成分が抗菌効果のための補因子として必要とされないで、傷からの滲出液および血液などの体液による硬化ポリメチルメタクリレート骨セメントからの抗生物質の溶解時に局所的な抗菌効果を有したことを意味する。

一段階および二段階の敗血症再置換手術において、感染した骨組織および軟組織は、感染した関節内部人工器官の外植後に根治的創傷郭清を受ける。これは、感染した骨組織および軟組織が外科的手段により除去されることを意味する。したがって、傷からの滲出液の形成は一段階および二段階の再置換手術において確認される。傷からの滲出液の目的は、細胞片および他の組織残留物などの壊死組織片を排出することである。一段階の再置換において、それは再置換用内部人工器官の機械的固定に使用される骨セメントとあらかじめ郭清された骨インプラントベッドの表面との間の境界に形成される。

二段階の再置換手術では、傷からの滲出液がまず、最初の創傷郭清の後、スペーサの表面と骨組織および/または軟組織との間で形成され、その後再度、再置換用関節内部人工器官の実装の間の2回目の創傷郭清の後、形成される。通常、傷からの滲出液はドレナージによって患者から排出される。ドレナージは、傷からの滲出液の流れがおさまるまで患者に留置される。これに関連して、傷からの滲出液の量は、患者によって数百ミリリットルから数リットルまで異なり得る。傷からの滲出液は主に水とタンパク質で構成される。傷からの滲出液は、明確な濃度のアルカリおよびアルカリ土類イオンを含まない。その組成は大きく異なる。傷からの滲出液は、抗生物質修飾ポリメチルメタクリレート骨セメントの表面から抗生物質を溶解させる。抗菌効果のために補因子を必要としない抗生物質を使用することは常に、傷からの分泌物中に溶解した抗生物質によりセメント表面および周囲の骨組織の抗生物質保護を保証する。それに対して、ダプトマイシンの有効性カルシウムイオン濃度が十分高いことに依存する。しかしながら、その濃度は患者間でそれぞれ異なり得る。したがって、ダプトマイシンのみで構成されたポリメチルメタクリレート骨セメントは、再現可能な局所的抗菌効果を確実には有しない。

概要

抗生物質ダプトマイシンを含み、傷からの滲出液および血液などの水性体液により硬化セメントの表面からダプトマイシンが溶解して局所的な抗菌効果を確実にする骨セメントの提供。メチルメタクリレートと、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートコポリマーと、ラジカル開始剤などの少なくとも1つの重合開始剤と、少なくとも1つの重合促進剤と、少なくとも1つの放射線不透過剤とで構成される抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメント。ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物、並びに好ましくは水中での溶解度の異なる2種類のカルシウム塩を組み合わせた、少なくとも2つの異なる放出特性を含む少なくとも1つのカルシウム塩を含む骨セメント。なし

目的

本発明の主題は、一段階(one−stage)および二段階(two−stage)の敗血症再置換手術の範囲で、再置換用関節内部人工器官の固着を目的とした

効果

実績

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請求項1

(i)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(a2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(iii)少なくとも1つの重合開始剤と、(iv)少なくとも1つの放射線不透過剤と、を含む抗菌性重合可能骨セメントであって、前記骨セメントが、(v)成分1として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物と、(vi)少なくとも1つのカルシウム塩と、を含むことを特徴とする骨セメント。

請求項2

前記骨セメントが、(vi)としてa)成分2として、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩と、b)成分3として、室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩とを含む組み合わせを含み、任意にc)成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つが平均粒径1〜250μmを有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の骨セメント。

請求項3

(i)成分Aがペーストとして存在し、(a1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(a2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、成分Bがペーストとして存在し、(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(b2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、あるいは(ii)成分Aが粉末として存在し、(a1)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートを含む少なくとも1つの粉末ポリマーおよび/またはポリメチルメタクリレートコポリマーを含む粉末混合物と、(a2)少なくとも1つの粉末放射線不透過剤と、(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、成分Bが液体またはペーストとして存在し、(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(b2)任意で、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、少なくとも成分Aが、(a4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、および/または成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含む、2つの成分AおよびBを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の骨セメント。

請求項4

(v)ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1と、(vi)a)室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2と、b)室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3とが、それぞれ独立して、成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤であり、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む、ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項5

少なくとも成分Aが、(a4)として、それぞれが独立して成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤として、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む、成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、それぞれが独立して成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤として、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む、成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項6

a)前記骨セメントが、(a4)および/または(b4)として、少なくとも成分1および2の組み合わせの粒子として、あるいはそれぞれが独立して、少なくとも成分1および2の組み合わせと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含む粒子状製剤として存在し、あるいはb)前記骨セメントが、(a4)および/または(b4)として、成分1、2、および3の組み合わせの粒子として、あるいはそれぞれが独立して、成分1、2、および3の組み合わせと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含む粒子状製剤として存在する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項7

a)室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2が、グルコン酸カルシウムグルクロン酸カルシウム乳酸カルシウム酢酸カルシウム、および/またはソルビン酸カルシウム、または前記カルシウム塩うちの少なくとも2つを含む混合物を含むことを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項8

b)室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3が、硫酸カルシウム二水和物硫酸カルシウム半水和物、α−リン酸三カルシウム、および/またはβ−リン酸三カルシウムを含むことを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項9

アミノグリコシド系抗生物質、および/またはリンコサミド抗生物質、および/またはアンサマイシン抗生物質、および/またはフルオロキノロン系抗生物質、および/またはβ−ラクタム系抗生物質の群から選択される少なくとも1つの第2の抗生物質を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の骨セメント。

請求項10

請求項3〜9のいずれか一項に記載の成分AおよびBを混合することにより硬化性骨セメントまたは局所放出剤担体を製造する方法。

請求項11

請求項3〜9のいずれか一項に記載の成分AおよびBを混合し形成することにより局所放出剤担体を製造する方法。

請求項12

請求項10または11に記載の方法により得られる局所放出剤担体。

請求項13

細菌によって引き起こされる感染症治療および/または予防のための、特に細菌多耐性病原体(MDR病原体)による感染症の治療および/または予防のための方法に使用するための組成物であって、前記組成物は、(i)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(ii)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(iii)少なくとも1つの重合開始剤と、(iv)放射線不透過剤と、(v)成分1として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物と、(vi)特に1つのカルシウム塩が急速に放出され、任意で少なくとも1つのさらなるカルシウム塩が遅延して放出される、少なくとも2つの異なるカルシウム塩の組み合わせと、(viii)任意で、少なくとも1つの重合促進剤と、を含むことを特徴とする組成物。

請求項14

重合可能な骨セメントを製造するためのキットであって、前記キットが成分Aおよび成分Bを含むことを特徴とし、(i)成分Aがペーストとして存在し、(a1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(a2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、成分Bがペーストとして存在し、(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(b2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、あるいは(ii)成分Aが粉末として存在し、(a1)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートを含む少なくとも1つの粉末ポリマーおよび/またはポリメチルメタクリレートコポリマーを含む粉末混合物と、(a2)少なくとも1つの粉末放射線不透過剤と、(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、成分Bが液体またはペーストとして存在し、(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(b2)任意で、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、少なくとも成分Aが(a4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、ならびに/あるいは任意で、成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および、室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、前記キットが少なくとも成分1および2または1および3、好ましくは成分1、2、および3を含むキット。

請求項15

請求項9または請求項14に記載の成分Aおよび成分Bを混合することにより得られる重合可能な骨セメント。

請求項16

ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1と、少なくとも1つのカルシウム塩、好ましくは水中で異なる溶解度を有する少なくとも2つのカルシウム塩が、水分、水、体液などの水性媒体、または水溶液の存在下で放出されることを特徴とする、請求項13に記載の細菌によって引き起こされる感染症の治療および/または予防のための、特に細菌多耐性病原体による感染症の治療および/または予防のための方法に使用するための重合硬化性骨セメント。

請求項17

請求項15に記載の骨セメントを形成および重合することにより得られる形成体

請求項18

一次全関節内部人工器官機械的固定用、再置換用全関節内部人工器官の機械的固定用、骨粗鬆症骨組織の増強用、特に好ましくは椎体形成術用、椎骨形成術用、および骨粗鬆症骨組織における穿孔の拡大用、骨空洞充填用大腿骨形成術用、スペーサ製造用、関節内部人工器官の機械的固定用、頭蓋欠損被覆用、または局所抗生物質治療用の担体材料の製造用の、外科用インプラントまたはインプラントの一部、抗菌性インプラント、再置換用インプラント、スクリュー手術用プレートとしての、あるいは薬剤活性物質の局所放出用担体材料としての、特に請求項10〜17のいずれか一項に記載の細菌によって引き起こされる感染症の治療および/または予防に使用するための外科用インプラント。

技術分野

0001

本発明の目的は、メチルメタクリレートと、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートコポリマーと、少なくとも1つの重合開始剤と、少なくとも1つの重合促進剤と、少なくとも1つの放射線不透過剤(radiopaquer)とを含む抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメントであり、これらの成分は、粉末成分および液体モノマー成分で、または室温でペースト状になる2つの成分で存在し得る。本発明によるポリメチルメタクリレート骨セメントは、環状リポペプチドダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物、ならびに好ましくは少なくとも2つの異なる放出特性を含む少なくとも1つのカルシウム塩を含む。

0002

本発明の主題は、一段階(one−stage)および二段階(two−stage)の敗血症再置換手術の範囲で、再置換用関節内部人工器官の固着を目的とした抗菌性骨セメントであり、グラム陽性菌、特にメチシリン耐性ブドウ球菌MRSA、MRSE)またはバンコマイシン耐性ブドウ球菌根本的な感染の原因である。さらに、抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメントはまた、二段階敗血症再置換手術における一時的プレースホルダとしてのスペーサの製造に良く適している。

背景技術

0003

関節内部人工器官は、患者可動性を維持することを目的として広範囲関節疾患において広範囲に非常にうまく使用されている。残念ながら患者の少数は、関節内部人工器官ならびに周囲の骨組織および軟組織感染症を起こしている。これらの感染症を治療するため、関節内部人工器官の一段階または二段階の再置換を実施することが一般的である。1つの抗生物質または2つ以上の抗生物質を含む再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントが、再置換用関節内部人工器官の恒久的な機械的固定好都合であることがわかった。これらの抗生物質は、少なくとも手術直後に、新たな微生物定着から再置換用関節内部人工器官ならびに周囲の骨組織および軟組織を保護する。医師による個人に合わせた抗生物質の混合に加えて、工業的に製造された再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントが好都合であることがわかった。したがって、ヘレウスメディカルゲーエムベーハーは再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメント、COPAL(登録商標)G+C、およびCOPAL(登録商標)G+Vを製造し、供給している。COPAL(登録商標)G+Cは、ゲンタマイシンおよびクリンダマイシンの組み合わせを含む。COPAL(登録商標)G+Vはゲンタマイシンおよびバンコマイシンの組み合わせを含む。関節内部人工器官の感染症がメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA、MRSE)によって引き起こされた場合、ゲンタマイシンおよびバンコマイシンの組み合わせは、これまで特に良く適している。しかしながら、ブドウ球菌および腸球菌のバンコマイシン耐性株も長年知られている。現在のMRSA/MRSEに加えて、これらのバンコマイシン耐性菌は、近い将来、関節関連感染症の原因として増えることが予想されている。したがって、バンコマイシン耐性菌に対して有効な少なくとも1つの抗生物質を含む再置換用ポリメチルメタクリレート骨セメントを開発することは理にかなっている。

0004

多耐性グラム陽性菌による、特にバンコマイシン耐性菌によるインプラント関連感染症は、治療するのがきわめて難しく、患者にとって大変危険である。それゆえ、これらの難しいインプラント関連感染症に対しては、これらの問題のある病原菌による再感染から局所的に安全に保護することが予想される抗生物質を含む再置換用セメントが望ましい。

0005

ダプトマイシン(CAS103060−53−3)は、バンコマイシン耐性菌に対して有効な抗生物質である。ダプトマイシンは環状リポペプチドである。その作用機序はバンコマイシンおよびテイコプラニンなどのグリコペプチド抗生物質の作用機序とかなり異なる。その結果、ダプトマイシンは通常、バンコマイシン耐性グラム陽性菌に対してさえ抗菌効果を有する。ダプトマイシンはグラム陽性菌の細胞膜に埋め込まれ、孔を形成し、それを通って細菌性細胞細胞質からカリウムイオンが出て細胞の周囲に到達する。カリウムイオンの流出によって、細菌性細胞は脱分極され、死滅する。ダプトマイシンは孔の形成のための補因子としてカルシウムイオンに依存する(非特許文献1および非特許文献2)。

0006

これまでポリメチルメタクリレート骨セメントで使用されてきた抗生物質、例えばゲンタマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、およびコリスチンは、抗菌効果のための補因子に依存しない。これは、これまで知られた抗生物質修飾ポリメチルメタクリレート骨セメントが、体液の成分が抗菌効果のための補因子として必要とされないで、傷からの滲出液および血液などの体液による硬化ポリメチルメタクリレート骨セメントからの抗生物質の溶解時に局所的な抗菌効果を有したことを意味する。

0007

一段階および二段階の敗血症再置換手術において、感染した骨組織および軟組織は、感染した関節内部人工器官の外植後に根治的創傷郭清を受ける。これは、感染した骨組織および軟組織が外科的手段により除去されることを意味する。したがって、傷からの滲出液の形成は一段階および二段階の再置換手術において確認される。傷からの滲出液の目的は、細胞片および他の組織残留物などの壊死組織片を排出することである。一段階の再置換において、それは再置換用内部人工器官の機械的固定に使用される骨セメントとあらかじめ郭清された骨インプラントベッドの表面との間の境界に形成される。

0008

二段階の再置換手術では、傷からの滲出液がまず、最初の創傷郭清の後、スペーサの表面と骨組織および/または軟組織との間で形成され、その後再度、再置換用関節内部人工器官の実装の間の2回目の創傷郭清の後、形成される。通常、傷からの滲出液はドレナージによって患者から排出される。ドレナージは、傷からの滲出液の流れがおさまるまで患者に留置される。これに関連して、傷からの滲出液の量は、患者によって数百ミリリットルから数リットルまで異なり得る。傷からの滲出液は主に水とタンパク質で構成される。傷からの滲出液は、明確な濃度のアルカリおよびアルカリ土類イオンを含まない。その組成は大きく異なる。傷からの滲出液は、抗生物質修飾ポリメチルメタクリレート骨セメントの表面から抗生物質を溶解させる。抗菌効果のために補因子を必要としない抗生物質を使用することは常に、傷からの分泌物中に溶解した抗生物質によりセメント表面および周囲の骨組織の抗生物質保護を保証する。それに対して、ダプトマイシンの有効性カルシウムイオン濃度が十分高いことに依存する。しかしながら、その濃度は患者間でそれぞれ異なり得る。したがって、ダプトマイシンのみで構成されたポリメチルメタクリレート骨セメントは、再現可能な局所的抗菌効果を確実には有しない。

先行技術

0009

G.M.Eliopoules,S.Wiley,E.Reiszner,P.G.Spitzer,G.Caputo,R.C.Moellering:In vitro and in vivo activity of LY146032,a new lipopeptide antibiotic.Antimicrob.Agents Chemother.30(1986)532−535
R.N.Jones,A.L.Barry:Antimicrobial activity and spectrum of LY146032,a lipopeptide antibiotic,including susceptibility testing recommendations.Antimicrob.Agents Chemother.31(1987)625−629

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の目的は、抗生物質ダプトマイシンを含み、周囲の水性体液化学組成にかかわらず、傷からの滲出液および血液などの水性体液により硬化セメントの表面からダプトマイシンが溶解するとダプトマイシンの局所的な抗菌効果を確実にする抗菌効果を有するポリメチルメタクリレート骨セメントを開発することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、不十分な量のカルシウムイオンを含む体液の存在下でさえダプトマイシンの局所的な抗菌効果が明らかであるような、数日にわたってポリメチルメタクリレート骨セメントからダプトマイシンおよびカルシウムイオンの同時放出が実現可能であるという驚くべき発見に基づく。その結果、たとえ少量から非常に少量の含有量のカルシウムイオンを含む大量の傷からの滲出液が、骨インプラントベッドおよび周囲の軟組織により放出されても、セメント表面、再置換用関節内部人工器官の表面、および再置換用セメントの周囲の骨組織の最適な局所的抗菌保護を実現することができる。本発明は、ダプトマイシンとともに、水易溶性生理学的に許容できるカルシウム塩、および低水溶性の生理学的に許容できるカルシウム塩をポリメチルメタクリレート骨セメントに組み込むことに基づく。水易溶性カルシウム塩は、ダプトマイシンの多量の初期放出並行してカルシウムイオンの多量の初期放出を生じさせる。その後、少量のダプトマイシンが、数日間放出される。これは少量のカルシウムイオンが低水溶性カルシウム塩から遅れて放出されることによって並行される。これは初めの2日間にわたってのダプトマイシンの初期抗菌効果とその後の数日にわたっての抗菌効果の両方を確実にする。

0012

この目的は、請求項1に記載の骨セメントおよび請求項13に記載の細菌感染の治療および/または予防のために使用される組成物、ならびに請求項15に記載の細菌感染の治療および/または予防のための方法に使用される重合可能な骨セメント、あるいは請求項16〜18に記載の形成体またはインプラントによって達成された。好ましい実施形態は、従属請求項および明細書中に詳細に説明されている。

0013

本発明の主題は、
(i)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(ii)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーであって、特にモノマー中で膨張または溶解できる有機ポリマーと、
(iii)少なくとも1つの重合開始剤と、
(iv)少なくとも1つの放射線不透過剤と、
(v)成分1として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物と、
(vi)少なくとも1つのカルシウム塩、特に少なくとも1つの薬理学的に許容できるカルシウム塩と、
を含む抗菌性の重合可能な骨セメントである。

0014

本発明によると、骨セメントは速放性カルシウム塩、および任意で遅延放出性カルシウム塩を含み、好ましくは存在する少なくとも1つのカルシウム塩が1〜250μmの平均粒径を有する。他の実施形態によると、存在する少なくとも1つのカルシウム塩は、放出のために定義されている少なくとも2つの異なる平均粒径を有する。したがって、1つの部分は10〜150μmの平均粒径を有し得、少なくとも第2の部分は160〜250μmの平均粒径を有し得る。

0015

本発明で記載されている平均粒径は全て、沈降分析によって測定されている。

0016

さらに、好ましくは成分1、すなわちダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物は1〜250μmの平均粒径を有し、特に10〜250μm、好ましくは100〜250μmの平均粒径を有する。

0017

少なくとも1つのカルシウム塩の放出特性は、異なる方法および様式で制御され得る。したがって、放出特性は、異なる粒径部分による持続濃度に関して制御することができる。同様に、放出特性は骨セメント中の異なる溶解度を有するカルシウム塩を用いることにより制御することができる。別の選択肢は、少なくとも1つの賦形剤を含む製剤の形態の骨セメントに少なくとも1つのカルシウム塩を組み込むことである。

0018

本発明の他の主題は、(vi)として、特に水中で異なる溶解度を有する少なくとも2つのカルシウム塩を含む組み合わせを含み、好ましくは、
a)成分2として、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩と、
b)成分3として、室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩とを含み、任意に
c)成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つが平均粒径1〜250μmを有する、骨セメントである。

0019

本発明の他の主題は、
(i)成分Aがペーストとして存在し、
(a1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(a2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、
成分Bがペーストとして存在し、
(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(b2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、あるいは
(ii)成分Aが粉末として存在し、
(a1)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートを含む少なくとも1つの粉末ポリマーおよび/またはポリメチルメタクリレートコポリマーを含む粉末混合物と、
(a2)少なくとも1つの粉末放射線不透過剤と、
(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、
成分Bが液体またはペーストとして存在し、
(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(b2)任意で、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、
少なくとも成分Aが、(a4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、および/または
成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含む、
2つの成分AおよびBを含む骨セメントである。

0020

好ましくは、成分Aおよび/またはBはそれぞれ独立して、少なくとも成分1および2、成分1および3、または成分1、2、および3を含む。あるいは、成分Aは少なくとも成分1、任意で成分2を含み、または成分Aは成分1、任意で成分3を含み、または成分Aは成分1、2、および3を含み、同時に成分Bは少なくとも成分2、任意で成分1を含み、または成分2、任意で成分3、任意で成分1を含み、または成分Bは成分1、2、および3を含む。別の実施形態によると、成分Bは少なくとも成分1、任意で成分2を含み、または成分Bは成分1、任意で成分3を含み、または成分Bは成分1、2、および3を含み、同時に成分Aは少なくとも成分2、任意で成分1を含み、または成分Aは成分2および成分3、任意で成分1を含み、または成分Aは成分1、2、および3を含む。

0021

成分1、2、および3は、好ましくは別個粒子として、ポリメチルメタクリレート骨セメント中に存在し、これらの粒子は、好ましくはポリメチルメタクリレート骨セメントの粉末成分中または少なくとも1つのペースト状成分中に存在する。

0022

本発明の有利な改良例では、成分1、2、および3の粒子はそれぞれ、粒子状製剤中の組み合わせとして存在し、前記粒子状製剤は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート骨セメントの粉末成分中または少なくとも1つのペースト状成分中に存在する。

0023

本発明の他の主題は、
(v)ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1と、(vi)a)室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2と、b)室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3とを含み、それぞれが独立して、成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤であり、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む骨セメントである。

0024

2つのペースト状成分で構成されるポリメチルメタクリレート骨セメントは貯蔵中安定し、骨セメント生地を形成するために適用直前のみに混合されることが独国公開特許第102007050762号、独国公開特許第102008030312号、および独国公開特許第102007052116号に記載されている。これらの骨セメントは適切なカートリッジに分離して貯蔵された2つのセメントペーストを有する。これらのそれぞれは、少なくとも1つのモノマーおよび適切なポリマーに加えてレドックス開始剤系の成分を含む。レドックス開始剤系は通常、過酸化物、促進剤、適用できる場合、適切な還元剤で構成される。ラジカルは、レドックス開始剤系の全ての成分が同時に作用する場合にのみ形成される。このため、レドックス開始剤系のそれぞれの成分は、これらがラジカル重合を引き起こせないように別々のセメントペースト中に適切に配置される。

0025

一実施形態の変形例によると、本発明の主題は、
少なくとも成分Aが、(a4)として、それぞれが独立して成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤として、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む、成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、
成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、それぞれが独立して成分1、2、または3の粒子状で存在し、あるいは、それぞれが独立して粒子状製剤として、それぞれが独立して、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つを含み、任意でそれぞれが独立して1〜250μmの平均粒径を含む、成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含む骨セメントである。

0026

特に好ましくは、成分1、2、および3の粒子はそれぞれ、粒子状製剤中の組み合わせとして含まれ、成分Aおよび/またはB中に含まれてもよい。

0027

一実施形態の変形例によると、
a)骨セメントは、(a4)および/または(b4)として、少なくとも成分1および2の組み合わせの粒子として、あるいは、それぞれが独立して、少なくとも成分1および2の組み合わせと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含む粒子状製剤として存在し、あるいは
b)骨セメントは、(a4)および/または(b4)として、成分1、2、および3の組み合わせの粒子として、あるいは、それぞれが独立して、成分1、2、および3の組み合わせと、少なくとも1つの薬理学的賦形剤とを含む粒子状製剤として存在する。

0028

好ましくは、(vi)の少なくとも1つのカルシウム塩、特に室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩は、糖酸の少なくとも1つのカルシウム塩、1〜10個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、特に乳酸の塩、1〜10個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の塩、フルーツ酸の塩、単糖類の塩、二糖類の塩、および/または対応する誘導体塩化カルシウム、好ましくはCaCl2、またはその水和物から選択される。

0029

実施形態の特に好ましい変形例によると、骨セメントは、a)室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2として、グルコン酸カルシウムグルクロン酸カルシウム乳酸カルシウム酢酸カルシウム、および/またはソルビン酸カルシウム、またはこれらのカルシウム塩のうちの少なくとも2つを含む混合物を含む。

0030

好ましくは、(vi)の少なくとも1つのカルシウム塩、特に室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩は、硫酸塩、リン酸塩を含む少なくとも1つの無機陰イオン、または6〜31個の炭素原子を有する脂肪酸の塩を含むカルシウム塩を含む。

0031

実施形態のさらなる特に好ましい変形例によると、骨セメントは、b)成分3として、硫酸カルシウム二水和物硫酸カルシウム半水和物、α−リン酸三カルシウム、および/またはβ−リン酸三カルシウムを含む、室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩を含む。

0032

本発明による骨セメントは、ダプトマイシンに加えて、アミノグリコシド系抗生物質、および/またはリンコサミド抗生物質、および/またはアンサマイシン抗生物質、および/またはフルオロキノロン系抗生物質、および/またはβ−ラクタム系抗生物質の群から選択される、少なくとも1つの第2の抗生物質を含んでもよい。好ましくは、さらなる抗生物質は、ゲンタマイシン、トブラマイシン、およびクリンダマイシンから選択される。抗生物質は、広い抗菌保護範囲を有する抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメントにより、より広い抗菌作用範囲を生じさせることができる。これらの抗生物質は、異なる標的の細菌性細胞を攻撃し、次にダプトマイシンにより、ポリメチルメタクリレート骨セメントが抗菌効果を有する可能性を高める。

0033

本発明の他の主題は、硬化性骨セメントまたは局所放出剤担体を製造する方法、ならびに成分AおよびBを混合することにより前記方法により得ることができる重合可能な骨セメントおよび局所放出剤担体である。重合可能な骨セメントは、局所放出剤担体を製造するために形成され、重合される。

0034

本発明の他の主題は、細菌によって引き起こされる感染症の治療および/または予防のための、特に細菌多耐性病原体(MDR病原体)による感染症の治療および/または予防のための方法に使用するための、特に再置換用セメントとしての組成物であり、その組成物は、(i)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、(ii)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、(iii)少なくとも1つの重合開始剤と、(iv)放射線不透過剤と、(v)成分1として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物と、(vi)特に1つのカルシウム塩が急速に放出され、任意で少なくとも1つのさらなるカルシウム塩が遅延して放出される、少なくとも2つの異なるカルシウム塩の組み合わせと、(vii)任意で、少なくとも1つの重合促進剤とを含む。好ましくは、成分1、2、および/または3のうちの少なくとも1つは、1〜250μmの平均粒径を有する。カルシウム塩として、少なくとも1つの水溶性カルシウム塩および/または少なくとも1つの低水溶性カルシウム塩と考えることが好ましい。

0035

細菌によって引き起こされる感染症の治療および/または予防のための骨セメントまたは放出剤担体の使用は、特に好ましくは細菌多耐性病原体(MDR病原体)、例えばVRSA、MRSA、VRE等による感染症の治療および/または予防を含む。以下のものがMDR病原体と考えられる。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株、バンコマイシン中間感受性黄色ブドウ球菌(VISA)株、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(DRSA)株、基質特異性拡張型β−ラクタマーゼESBL)産生病原体。

0036

多耐性グラム陽性菌(MRGP/MDRGP)は、バンコマイシン/グリコペプチド耐性腸球菌(VRE、GRE)、ペニシリン耐性肺炎球菌等を含み得る。多耐性グラム陰性菌(MRGN/MDRGN)は、とりわけ緑膿菌、すなわち創傷感染および敗血症の原因として細菌アシネトバクターバウマニ(Acinetobacter baumannii)を含み得る。

0037

本発明の他の主題は、特に再置換用セメントとして成分AおよびBを含む重合可能な骨セメントを製造するためのキットであり、
(i)成分Aがペーストとして存在し、
(a1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(a2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、
成分Bがペーストとして存在し、
(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(b2)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、あるいは
(ii)成分Aが粉末として存在し、
(a1)少なくとも1つのポリメチルメタクリレートを含む少なくとも1つの粉末ポリマーおよび/またはポリメチルメタクリレートコポリマーを含む粉末混合物と、
(a2)少なくとも1つの粉末放射線不透過剤と、
(a3)少なくとも1つの重合開始剤とを含み、
成分Bが液体またはペーストとして存在し、
(b1)ラジカル重合のための少なくとも1つのモノマーと、
(b2)任意で、少なくとも1つのポリメチルメタクリレートおよび/または1つのポリメチルメタクリレートコポリマーを含む少なくとも1つの有機ポリマーと、
(b3)少なくとも1つの重合促進剤とを含み、
少なくとも成分Aが(a4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、ならびに/あるいは任意で、
成分Bがペーストとして存在し、(b4)として、ダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物の成分1、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および、室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される成分1、2、および3のうちの少なくとも1つを含み、
前記キットが少なくとも成分1および2、または少なくとも成分1および3、好ましくは成分1、2、および3を含む、キットである。

0038

これに関連して、成分1、2、または3は、それぞれ独立して、粒子状製剤として、または粒子状製剤中の組み合わせで、任意に少なくとも1つの薬理学的賦形剤を含んで、キット中に含まれてもよい。

0039

さらなる他の実施形態によれば、本発明の主題は、細菌によって引き起こされる感染症の治療および/または予防のための、特に細菌多耐性病原体による感染症の治療および/または予防のための方法に使用するための重合硬化性骨セメントであり、成分1はダプトマイシン、ダプトマイシンの薬理学的に許容できる塩、ダプトマイシンの多形体、ダプトマイシンを含む溶媒和物および/または水和物、および少なくとも1つのカルシウム塩、好ましくは成分2および3としては水中で異なる溶解度を有する少なくとも2つのカルシウム塩であり、特に1つのカルシウム塩が急速に放出され、任意で少なくとも1つのさらなるカルシウム塩が遅延して放出され、その放出が水分、水、体液などの水性媒体、または水溶液の存在下で行われる。好ましくは、成分2および3は、室温の水中で5g/l以上の溶解度を有する水溶性のカルシウム塩の成分2、および室温の水中で5g/l未満の溶解度を有する低水溶性のカルシウム塩の成分3から選択される。

0040

本発明の他の主題は、重合可能な骨セメントを形成および重合することにより得られる形成体である。

0041

本発明の他の主題は、特に細菌、特に多耐性病原体によって引き起こされる感染症の治療および/または予防のための方法に使用するための外科用インプラントである。例としては、一次全関節内部人工器官の機械的固定用、再置換用全関節内部人工器官の機械的固定用、骨粗鬆症骨組織の増強用、特に好ましくは椎体形成術(vertebroplasty)用、椎骨形成術(kyphoplasty)用、および骨粗鬆症骨組織における穿孔の拡大用、骨空洞充填用大腿骨形成術(femuroplasty)用、スペーサの製造用、関節内部人工器官の機械的固定用、頭蓋欠損被覆用、または局所抗生物質治療用の担体材料の製造用の、外科用インプラントまたはインプラントの一部、抗菌性インプラント、再置換用インプラント、スクリュー(nail)、手術用プレート、あるいは薬剤活性物質の局所放出用担体材料である。

0042

好ましくは、(i)モノマーは、それぞれが独立してアルキル基中に1〜20個の炭素原子を有し、それぞれが独立してアリール基中に6〜14個の炭素原子を有し、それぞれが独立してアリールアルキル基中に6〜14個の炭素原子を有し、およびそれぞれが独立してアルキルエステル基中に1〜10個の炭素原子を有する、少なくとも1つのアルキル−2−アクリル酸アルキルエステルアリール−2−アクリル酸アルキルエステル、アリールアルキル−2−アクリル酸アルキルエステル、またはこれらのモノマーの少なくとも2つを含む混合物から選択され、ならびに/あるいは
(ii)有機ポリマーは、好ましくは、それぞれが独立してアルキル基中に1〜20個の炭素原子を有し、それぞれが独立してアリール基中に6〜14個の炭素原子を有し、それぞれが独立してアリールアルキル基中に6〜14個の炭素原子を有し、およびそれぞれが独立してアルキルエステル基中に1〜10個の炭素原子を有する、少なくとも1つのポリ(アルキル−2−アクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アリール−2−アクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アリールアルキル−2−アクリル酸アルキルエステル)、またはこれらのポリマーの少なくとも2つを含む混合物から選択される。

0043

本発明による骨セメントは、可溶性有機ポリマー、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)に加えて、ラジカル重合のためのモノマー、特にメタクリル酸メチルエステル、粒子状無機添加剤を、好ましくは組成物全量に対して0.01〜0.5重量%、特に0.01〜0.25重量%、好ましくは0.02〜0.14重量%の濃度で含んでもよい。本発明によれば、粉末成分および液体モノマー成分を混合することにより製造される骨セメント生地は、0.02〜0.14重量%の濃度の粒子状無機添加剤を含む。上述の成分に加えて、本発明による骨セメントは、放射線不透過剤、重合開始剤、および/または重合促進剤、任意で増粘効果のみを有する添加剤以外のさらなる充填剤を含む。

0044

粒子状無機添加剤は、発熱性二酸化ケイ素、発熱性混合酸金属ケイ素ベントナイトモンモリロナイト、およびこれらの添加剤の少なくとも2つを含む混合物の群から選択することができる。さらに疎水性にするために発熱性二酸化ケイ素を使用することも可能である。

0045

本発明による骨セメント、ペースト、液体、および/または粉末成分は、少なくとも1つの重合開始剤(好ましくはラジカル重合のためのモノマー中で溶解できる)、少なくとも1つの重合促進剤(好ましくはラジカル重合のためのモノマー中で溶解できる)、適用できる場合少なくとも1つの重合共促進剤、または少なくとも1つの重合開始剤、少なくとも1つの重合促進剤、および適用できる場合少なくとも1つの重合共促進剤を含んでもよい。

0046

重合開始剤として、特に過酸化物およびバルビツール酸誘導体が考えられ、好ましくは少なくとも1g/l、より好ましくは少なくとも3g/l、さらにより好ましくは少なくとも5g/l、特に好ましくは少なくとも10g/lの過酸化物およびバルビツール酸誘導体が25℃の温度で重合可能なモノマー中に溶解することができる。

0047

本発明によれば、過酸化物は、少なくとも1つのペルオキソ基(−O−O−)を含む化合物を意味することと理解される。過酸化物は好ましくは、遊離酸基を含まない。過酸化物は、無機過酸化物または有機過酸化物であってもよく、例えば、毒性学的に許容できるヒドロペルオキシドであってもよい。特に好ましい実施形態によれば、過酸化物は、クメン−ヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチル−ヒドロペルオキシド、t−ブチル−ヒドロペルオキシド、t−アミル−ヒドロペルオキシド、ジ−イソプロピルベンゼンモノ−ヒドロペルオキシド、およびこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。バルビツール酸誘導体は好ましくは、1−モノ置換バルビツレート、5−モノ置換バルビツレート、1,5−二置換バルビツレート、および1,3,5−三置換バルビツレートからなる群から選択されるバルビツール酸誘導体である。本発明によるペーストの特定の改良例によれば、バルビツール酸誘導体は、1,5−二置換バルビツレートおよび1,3,5−三置換バルビツレートからなる群から選択される。1,5−二置換チオバルビツレートまたは1,3,5−三置換チオバルビツレートを使用することが好ましい。好ましい実施形態によれば、置換基はそれぞれ1〜10個の炭素原子の長さを有する。特に好ましい実施形態によれば、バルビツール酸誘導体は、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−フェニル−5−エチル−バルビツール酸、および1,3,5−トリメチル−バルビツール酸から成る群から選択される。

0048

重合開始剤および重合促進剤は、それぞれ独立して、成分Aおよび/またはB中に、0.01〜5重量%存在することができる。

0049

重金属塩および重金属錯体からなる群から選択される重金属化合物は、重合促進剤として好ましい。本発明による好ましい重金属化合物は、水酸化銅(II)、メタクリル酸銅(II)、アセチルアセトン銅(II)、2−エチル−ヘキサン酸銅(II)、水酸化コバルト(II)、2−エチル−ヘキサン酸コバルト(II)、塩基性炭酸銅(II)、2−エチル−ヘキサン酸鉄(II)、2−エチル−ヘキサン酸鉄(III)、およびこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。

0050

他の実施形態によれば、骨セメントまたは少なくとも1つのペースト、液体、もしくは粉末成分は、N,N−ジメチルp−トルイジン、N,N−ビスヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−アニリントリオクチルメチルアンモニウムクロリドテトラブチルアンモニウムクロリド塩化リチウムサッカリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−5−エン、フタルイミドマレイミドスクシンイミドピロメリット酸ジイミド、およびこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される重合促進剤を含むことができる。

0051

本発明の他の有利な改良例によると、重合促進剤として、重金属塩と、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス−ヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−アニリン、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、塩化リチウム、サッカリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−5−エン、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミド、およびピロメリット酸ジイミドを含む群の少なくとも1つのメンバーと組み合わせの使用を含む。これに関連して、2つの異なる重合促進剤の組み合わせ、および3つの異なる重合促進剤の組み合わせが、本発明の範囲で開示されている。

0052

本発明の有利な改良例は、本発明による組成物またはペーストA、B、または液体B、または粉末成分Aのいずれかは、適用できる場合、少なくとも1つの共重合促進剤を含み、三級アミンおよびアミジンが、重合共促進剤として好ましく、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス−ヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−アニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、および1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−5−エンが共促進剤/促進剤として特に好ましい。

0053

特にペースト状の本発明による骨セメントは、ある(合計)量の重合開始剤、重合促進剤、重合共促進剤を含んでもよく、あるいは骨セメントの全重量に対して、またはペーストA、B、液体B、または粉末成分Aのいずれかの全重量に対して、それぞれが互いに独立して、最大10重量%、好ましくは1〜5重量%の、重合開始剤、重合促進剤、および重合共促進剤を含んでもよい。

0054

特にペースト状の、またはペーストA、B、または液体B、または粉末成分Aの形態の本発明による骨セメントは、上述の成分以外にさらなる含有物を含んでもよい。

0055

成分Aおよび成分Bの混合比は通常、1:10〜10:1の体積%、好ましくは1:2〜2:1の体積%である。

0056

放射線不透過剤は、この分野で一般的な放射線不透過剤であってもよい。適切な放射線不透過剤は、ラジカル重合のためのモノマー中で溶解できても、溶解できなくてもよい。放射線不透過剤は、好ましくは、金属酸化物(例えば二酸化ジルコニウム)、硫酸バリウム、毒性学的に許容できる重金属粒子(例えばタンタル)、フェライトマグネタイト(また適用できる場合、超磁性(supramagnetic)マグネタイト)、および生体適合性カルシウム塩からなる群から選択される。これらの放射線不透過剤は、好ましくは、10nm〜500μmの範囲の平均粒径を有する。さらに、考えられる放射線不透過剤はまた、3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨード安息香酸エステルガドリニウム化合物、例えば1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸DOTA)のエステルを含むガドリニウムキレートを含む。骨セメント、またはペーストA、B、液体B、または粉末成分Aのいずれかにおける放射線不透過剤の濃度、特に二酸化ジルコニウムの濃度は、それぞれ互いに独立して、対応する組成物全量に対して、例えば3〜30重量%の範囲であってもよい。放射線不透過剤は、本明細書では充填剤と見なされない。

0057

重合安定剤は、ペースト中に含まれるラジカル重合のためのモノマーの自発的な重合を防ぐのに適切でなければならない。さらに、安定剤は、本発明によるペースト中に含まれる他の含有物との相互作用を妨害してはならない。このような種類の安定剤は、先行技術で知られている。好ましい実施形態によれば、こうした安定剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールおよび/または2,6−ジ−tert−ブチル−フェノールである。

0058

本発明による抗菌性ポリメチルメタクリレート骨セメントは、再置換用セメントとして、一段階および二段階の敗血症再置換手術のため、スペーサの製造のため、および局所放出剤担体の製造のために使用される。局所放出剤担体は、球形、豆形、または棒状などの任意の適切な三次元形状をとってもよい。造粒または成形方法において押し出され得る、または得ることができる形状が特に好ましい。

0059

本発明を以下に示す実施例によって解説するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。

0060

まず、ターブラミキサーを用いて1.5リットルのプラスチックボトル中で成分を混合することにより、以下の組成を有する基礎セメント粉末を製造した。
88.9重量%のポリメチルメタクリレート−co−メチルアクリレート(Mw>400,000g/ml)、10.0重量%の二酸化ジルコニウム、1.1重量%の過酸化ジベンゾイル

0061

ターブラミキサーを用いて、基礎セメント粉末を、ダプトマイシン(活量係数AC=943)、硫酸ゲンタマイシン(Fukang Fujian、活量係数AC=580)、グルコン酸カルシウム(Sigma−Aldrich)、および硫酸カルシウム二水和物(Sigma−Aldrich)と混合することにより、セメント粉末調査例1〜4を製造した。

0062

実施例1〜4のセメント粉末の組成



活量係数AC=580を有する硫酸ゲンタマイシン
活量係数AC=943を有するダプトマイシン

0063

その後の試験体の作製のために、実施例1〜4のセメント粉末をそれぞれ、20mlのモノマー液と混合した。それぞれの場合のモノマー液は、18.50メチルメタクリレート、0.38gのN,N−ジメチル−p−トルイジン、0.002gのハイドロキノン、および微量のクロロフィリン(E241)で構成された。実施例1〜4のセメント粉末をそれぞれ、20mlのモノマー液と混合した後、約60秒後、塑性変形可能な生のセメント生地を製造し、試験体を作製するために使用した。セメント生地は約4分後に硬化した。

0064

3.3mm×10.0mm×75.0mmの大きさの帯状の試験体を、ISO5833−E/F:2002に従って、曲げ強度および曲げ弾性率の測定のために作製した。直径6.0mmおよび高さ10.0mmの円筒形状の試験体を、圧縮強度の測定のために作製した。Zwick Z010万能試験装置を、ISO5833に従って、曲げ強度、曲げ弾性率、および圧縮強度の測定に使用した。

0065

0066

ISO5833は、50MPa超の曲げ強度、1,800MPa超の曲げ弾性率、および70MPa超の圧縮強度を必要とする。実施例1〜4のセメントは、曲げ強度、曲げ弾性率、および圧縮強度に関してISO5833の要件を満たしている。

0067

ダプトマイシン、ゲンタマイシン、およびカルシウムのインビトロ放出を試験するために、実施例1〜4のセメント粉末を使用して円筒状の試験体(直径25mm、高さ10mm)を作製した。この目的で、1つずつの試験体を20mlの水性0.1MのTris−HCl緩衝液pH7.4中で、37℃で5日間、貯蔵した。各セメントの3つの試験体を同時に溶出した。各日、溶出媒体を完全に除去し、新しい溶出媒体に取り換えた。溶出液のダプトマイシンおよびゲンタマイシンの含有量をHPLC−MS/MS(AZB Biopharm GmbH、ベルリン、AZB Report:AZB15−025)によって測定した。測定結果の平均を下記の表に示している。

0068

0069

0070

ICP−MSを溶出液のカルシウム濃度の測定に使用した。

0071

実施例

0072

さらに、抗菌効果を試験するために、円筒状試験体(直径6mm、高さ15mm)を、実施例1〜4のセメント粉末およびモノマー液を使用して作製した。これらの試験体を、試験病原菌として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)CCUG 45315(VRSA)を用いて、CERTIKA増殖試験で使用した。実施例1〜4のセメントからの試験体は、CERTIKA増殖試験(Quality Labs GmbH Nurnberg、ワークオーダー1935のレポート、測定20140925−R06−01−10)で、試験病原菌の完全な抑制を示した。

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