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課題

解決手段

ヒト化された前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ドメインを含む前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドであって、PSMA結合ドメインは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域とを含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2及びHCDR3が、それぞれ特定のアミノ酸配列を有する、PSMA結合ポリペプチド。

概要

背景

前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼIIおよびN−アセチル化α結合した酸性ジペプチダーゼ1としても知られており、遺伝子FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ1)によってコードされるペプチダーゼファミリーM28に属す二量体2型膜貫通糖タンパク質である。タンパク質は、栄養葉酸および神経ペプチドN−アセチル−L−アスパルチル−L−グルタミン酸塩を含む異なる代替基質上のグルタミン酸カルボキシペプチダーゼとして作用し、前立腺、および少ない範囲で、小腸中枢および末梢神経系ならびに腎臓等のいくつかの組織発現する。PSMAをコードする遺伝子は、少なくとも3つの変異型を産生するために代替的に挿入される。この遺伝子の変異は、食品葉酸の腸吸収不良に関連し得、低血液葉酸値および続発性高ホモシステイン血症に至り得る。脳中のこのタンパク質発現は、グルタミン酸興奮毒性に関連するいくつかの病的状態関与し得る。

PSMAは、十分に確立された、高度に限局性前立腺癌関連細胞膜抗原である。前立腺癌細胞内、PSMAは正常な前立腺上皮上より1000倍高く発現する(Su et al., Cancer Res. 1995 44:1441−1443)。PSMA発現は前立腺癌進行と共に増大し、転移性疾患ホルモン難治性、より高悪性度病変の場合に最高となる(Israeli et al., Cancer Res. 1994, 54:1807−1811; Wright et al., Urologic Oncology: Seminars and Original Investigations 1995 1:18−28; Wright et al., Urology 1996 48:326−332; Swe et al., Urology 1998 52:637−640)。さらに、PSMAは、膀胱癌膵癌悪性黒色腫肺癌および腎臓癌を含むが、正常な新血管系統上ではない様々な他の固形腫瘍の新血管系統上で豊富に発現する(Chang et al., Urology 2001 57:801−805; Divgi et al., Clin. Cancer Res. 1998 4:2729−3279)。

PSMAは、ワクチンまたはモノクローナル抗体を用いた指向療法等、免疫アプローチにおいて重要な標的であることが示されている。分泌性タンパク質である他の前立腺限局的分子(PSA、前立腺性酸性ホスファターゼ)とは異なり、PSMAは非分泌型内在性細胞表面膜タンパク質であり、このため抗体療法において理想の標的である。PROSTASCINT商標登録)(カプロマブペンデチド)は、新たに診断された再発性前立腺癌患者造影および病期決定においてFDAによって承認されている111Inラベル化抗PSMAマウスモノクローナル抗体である(Hinkle et al., Cancer 1998, 83:739−747)。しかしながら、カプロマブはPSMAの細胞内エピトープに結合し、PSMAの内部ドメイン内在化または曝露を必要とするため、アポトーシスまたは壊死細胞に選択的結合する(Troyer et al., Urologic Oncology: Seminars and Original Investigations 1995 1:29−37; Troyer et al., Prostate 1997 30:232−242)。その結果、カプロマブは、治療的に有益ではない場合がある(Liu et al., Cancer Res. 1997 57:3629−3634)。

PSMAの外部ドメインを標的とする他のモノクローナル抗体が開発されている(例えば、J591、J415、J533、およびE99)(Liu et al., Cancer Res. 1997 57:3629−3634)。放射ラベル化J591は、現在、臨床試験中である(Tagawa et al., Cancer 2010 116(S4):1075)。しかしながら、証拠は、PSMAが推定リガンドの内在化を媒介する受容体として作用し得ることを示唆する。PSMAは構成的に内在化を実施し、PSMA特異的抗体は内在化率を誘発および/または増大することができ、これは次いで、エンドソーム中で抗体を蓄積させる(Liu et al., Cancer Res. 1998 58:4055−4060)。PSMA特異的内在抗体は、前立腺癌細胞の内側への毒素薬剤、または放射同位体送達を標的とする治療開発に役立ち得る一方(Tagawa et al., Cancer 2010 116(S4):1075)、PSMA特異的抗体は、エフェクター細胞によって認識される前に内在化し得るため、天然または遺伝子操作したエフェクター機序(例えば、抗体依存性細胞介在性細胞傷害ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞介在性ファゴサイトーシスADCP)、または再指向T細胞の細胞傷害(RTCC))を利用するPSMA特異的抗体は問題である。

概要

前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現細胞を特異的標的し、前立腺癌、腫瘍関連血管形成又は良性前立腺肥大症の治療に有用である、単一特異性及び多重特異性ポリペプチド治療に用いるポリペプチドの提供。ヒト化された前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ドメインを含む前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドであって、PSMA結合ドメインは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域とを含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2及びHCDR3が、それぞれ特定のアミノ酸配列を有する、PSMA結合ポリペプチド。なし

目的

1つの実施形態では、本明細書の開示は、アミノ末端からカルボキシル末端側への順で(a)ヒトPSMAと特異的結合するPSMA結合ドメイン、(b)ヒンジ領域、および(c)免疫グロブリン定常領域を含む前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドを提供する

効果

実績

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請求項1

ヒト化された前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ドメインを含む前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドであって、前記PSMA結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、(ii)HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、を含み、LCDR1、LCDR2およびLCDR3が、それぞれ配列番号15、配列番号16および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有し、HCDR1、HCDR2およびHCDR3が、それぞれ配列番号9、配列番号10および配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する、PSMA結合ポリペプチド。

請求項2

アミノ末端からカルボキシル末端へ向けて、(a)前記PSMA結合ドメイン、(b)第1ヒンジ領域、および(c)免疫グロブリン定常領域、を含む、請求項1に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項3

第2結合ドメインをさらに含む、請求項1または2に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項4

アミノ末端からカルボキシル末端側への順で、またはカルボキシル末端からアミノ末端側への順で、(a)前記PSMA結合ドメイン、(b)第1ヒンジ領域、(c)免疫グロブリン定常領域、(d)第2ヒンジ領域、および(e)第2結合ドメインを含む、請求項3に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項5

前記第2結合ドメインが、前記第2ヒンジ領域に対してカルボキシル末端側またはアミノ末端側である、請求項3または4に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項6

前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号5または配列番号23に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号2、配列番号25、または配列番号27に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項7

ヒトPSMAへの結合において、前記PSMA結合ドメインが、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する単鎖Fv(scFv)と競合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項8

前記第1ヒンジ領域が、(i)II型レクチン軸領域または(ii)免疫グロブリンのヒンジ領域に由来する、請求項2〜7のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項9

前記第2ヒンジ領域が、(i)II型Cレクチンの軸領域または(ii)免疫グロブリンのヒンジ領域に由来する、請求項4〜8のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項10

前記第2ヒンジ領域が、配列番号63、配列番号64、配列番号65、または配列番号66に示されるアミノ酸配列を含む、請求項4〜9のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項11

前記PSMA結合ドメインが、単鎖Fv(scFv)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項12

前記scFvが、配列番号19、配列番号21、配列番号30、配列番号31、配列番号34、または配列番号35に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項13

配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号43、配列番号70、または配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項14

前記第2結合ドメインが、T細胞、CD3、CD3ε、あるいはT細胞受容体(TCR)複合体またはその成分と特異的に結合する、請求項3〜13のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項15

CD3εへの結合において、前記第2結合ドメインが、CRIS−7およびHuM291からなる群から選択されるモノクローナル抗体と競合する、請求項14に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項16

前記第2結合ドメインが、CRIS−7およびHuM291からなる群から選択されるモノクローナル抗体に由来する免疫グロブリン軽鎖可変領域および免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項14または15に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項17

前記第2結合ドメインの軽鎖可変領域および重鎖可変領域が、(a)配列番号47の残基139〜245に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号47の残基1〜121に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに、(b)配列番号78の残基634〜740に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号78の残基496〜616に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、からなる群から選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項18

配列番号49、配列番号51、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号158、配列番号160、配列番号162、または配列番号164に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチド。

請求項19

第1ポリペプチド鎖および第2ポリペプチド鎖を含む二量体PSMA結合タンパク質であって、前記ポリペプチド鎖のそれぞれが、請求項1〜18のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチドである、二量体PSMA結合タンパク質。

請求項20

請求項1〜19のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチドをコードする、単離された核酸

請求項21

請求項20に記載の核酸を含む、組換え宿主細胞

請求項22

請求項19に記載のPSMA結合タンパク質、ならびに医薬上許容される担体希釈剤、または賦形剤を含む組成物

請求項23

前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現細胞に対する再指向性のT細胞の細胞傷害性RTCC)を誘発するための方法であって、前記PSMA発現細胞を、請求項1〜18のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチドまたは請求項19に記載の二量体PSMA結合タンパク質と接触させることを含み、前記接触は、前記PSMA発現細胞に対するRTCCが誘発される条件下にあり、ヒトまたは動物の体に対して行われる治療を目的とした治療方法ではない、方法。

請求項24

前立腺特異的膜抗原(PSMA)の過剰発現を特徴とする対象における疾患を治療するための方法において使用するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチドまたは請求項19に記載の二量体PSMA結合タンパク質であって、好ましくは、前記疾患は、癌、前立腺障害新生血管障害前立腺癌大腸癌胃癌去勢抵抗性前立腺癌、良性前立腺肥大症固体腫瘍成長明細胞癌、大腸癌、膀胱癌、または肺癌である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のPSMA結合ポリペプチドまたは請求項19に記載の二量体PSMA結合タンパク質。

技術分野

0001

本出願は、2011年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/478,449号の利益を請求するものであり、これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。

0002

本発明は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現細胞を特異的標的し、例えば、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌)、腫瘍関連血管形成、または良性前立腺肥大症(BPH)等のPSMA過剰発現を特徴とする障害治療に有用である単一特異性および多重特異性タンパク質治療学に関する。1つの実施形態では、多重特異性タンパク質治療は、T細胞上のPSMA発現細胞とT細胞受容体複合体の両方に結合して標的依存性T細胞の細胞傷害活性化および増殖を誘発する。

0003

添付の配列表
本明細書に添付して電子媒体提出したテキストファイル名称:「Sequence_Listing.txt」、サイズ:272,014バイト;作成日:2012年4月20日)の内容は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

背景技術

0004

前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼIIおよびN−アセチル化α結合した酸性ジペプチダーゼ1としても知られており、遺伝子FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ1)によってコードされるペプチダーゼファミリーM28に属す二量体2型膜貫通糖タンパク質である。タンパク質は、栄養葉酸および神経ペプチドN−アセチル−L−アスパルチル−L−グルタミン酸塩を含む異なる代替基質上のグルタミン酸カルボキシペプチダーゼとして作用し、前立腺、および少ない範囲で、小腸中枢および末梢神経系ならびに腎臓等のいくつかの組織発現する。PSMAをコードする遺伝子は、少なくとも3つの変異型を産生するために代替的に挿入される。この遺伝子の変異は、食品葉酸の腸吸収不良に関連し得、低血液葉酸値および続発性高ホモシステイン血症に至り得る。脳中のこのタンパク質発現は、グルタミン酸興奮毒性に関連するいくつかの病的状態関与し得る。

0005

PSMAは、十分に確立された、高度に限局性の前立腺癌関連細胞膜抗原である。前立腺癌細胞内、PSMAは正常な前立腺上皮上より1000倍高く発現する(Su et al., Cancer Res. 1995 44:1441−1443)。PSMA発現は前立腺癌進行と共に増大し、転移性疾患ホルモン難治性、より高悪性度病変の場合に最高となる(Israeli et al., Cancer Res. 1994, 54:1807−1811; Wright et al., Urologic Oncology: Seminars and Original Investigations 1995 1:18−28; Wright et al., Urology 1996 48:326−332; Swe et al., Urology 1998 52:637−640)。さらに、PSMAは、膀胱癌膵癌悪性黒色腫肺癌および腎臓癌を含むが、正常な新血管系統上ではない様々な他の固形腫瘍の新血管系統上で豊富に発現する(Chang et al., Urology 2001 57:801−805; Divgi et al., Clin. Cancer Res. 1998 4:2729−3279)。

0006

PSMAは、ワクチンまたはモノクローナル抗体を用いた指向療法等、免疫アプローチにおいて重要な標的であることが示されている。分泌性タンパク質である他の前立腺限局的分子(PSA、前立腺性酸性ホスファターゼ)とは異なり、PSMAは非分泌型内在性細胞表面膜タンパク質であり、このため抗体療法において理想の標的である。PROSTASCINT商標登録)(カプロマブペンデチド)は、新たに診断された再発性前立腺癌患者造影および病期決定においてFDAによって承認されている111Inラベル化抗PSMAマウスモノクローナル抗体である(Hinkle et al., Cancer 1998, 83:739−747)。しかしながら、カプロマブはPSMAの細胞内エピトープに結合し、PSMAの内部ドメイン内在化または曝露を必要とするため、アポトーシスまたは壊死細胞に選択的結合する(Troyer et al., Urologic Oncology: Seminars and Original Investigations 1995 1:29−37; Troyer et al., Prostate 1997 30:232−242)。その結果、カプロマブは、治療的に有益ではない場合がある(Liu et al., Cancer Res. 1997 57:3629−3634)。

0007

PSMAの外部ドメインを標的とする他のモノクローナル抗体が開発されている(例えば、J591、J415、J533、およびE99)(Liu et al., Cancer Res. 1997 57:3629−3634)。放射ラベル化J591は、現在、臨床試験中である(Tagawa et al., Cancer 2010 116(S4):1075)。しかしながら、証拠は、PSMAが推定リガンドの内在化を媒介する受容体として作用し得ることを示唆する。PSMAは構成的に内在化を実施し、PSMA特異的抗体は内在化率を誘発および/または増大することができ、これは次いで、エンドソーム中で抗体を蓄積させる(Liu et al., Cancer Res. 1998 58:4055−4060)。PSMA特異的内在抗体は、前立腺癌細胞の内側への毒素薬剤、または放射同位体送達を標的とする治療開発に役立ち得る一方(Tagawa et al., Cancer 2010 116(S4):1075)、PSMA特異的抗体は、エフェクター細胞によって認識される前に内在化し得るため、天然または遺伝子操作したエフェクター機序(例えば、抗体依存性細胞介在性細胞傷害ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞介在性ファゴサイトーシスADCP)、または再指向T細胞の細胞傷害(RTCC))を利用するPSMA特異的抗体は問題である。

0008

1つの実施形態では、本明細書の開示は、アミノ末端からカルボキシル末端側への順で(a)ヒトPSMAと特異的結合するPSMA結合ドメイン、(b)ヒンジ領域、および(c)免疫グロブリン定常領域を含む前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドを提供する。ある実施形態では、適切なPSMA結合ドメインとしては、配列番号21で表されるアミノ酸配列を有する単鎖Fv(scFv)とヒトPSMA結合において競合する結合ドメインが挙げられる。ある実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、それぞれの免疫グロブリン定常領域および/またはヒンジ領域間の結合を介して第2の同一ポリペプチド鎖と二量体を形成可能である。

0009

ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、(i)CDRLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、ならびに/または(ii)CDR HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。あるバリエーションでは、LCDR3は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有し、および/またはHCDR3は、配列番号11で表されるアミノ酸配列を有する;一部のかかる実施形態では、LCDR1およびLCDR2は、それぞれ配列番号15および配列番号16で表されるアミノ酸配列を有し、ならびに/またはHCDR1およびHCDR2は、それぞれ配列番号9および配列番号10で表されるアミノ酸配列を有する。別のバリエーションでは、(i)軽鎖可変領域は、配列番号5または配列番号23で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;ならびに/または(ii)重鎖可変領域は、配列番号2、配列番号25、または配列番号27で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。軽鎖および重鎖可変領域の片方または両方がヒト化されていることができる。

0010

あるバリエーションでは、PSMA結合ドメインは、本明細書に開示された免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域を含む単鎖Fv(scFv)である。ある実施形態では、PSMA結合scFvは、例えば、配列番号19、配列番号21、配列番号30、配列番号31、配列番号34、または配列番号35で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むscFvを含む。ある実施形態では、scFvの重鎖可変領域は、軽鎖可変領域に対するカルボキシル末端(本明細書において「VL−VH配向」とも称する)である。VL−VH配向を有するscFvのいくつかの実施形態では、scFvは配列番号21、配列番号30、または配列番号31で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。scFvの軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、ペプチドリンカー、例えば、アミノ酸配列(Gly4Ser)n、式中n=1〜5(配列番号165)を含むペプチドリンカーによって結合することができる。

0011

本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドのいくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンのヒンジ領域等由来である。かかる免疫グロブリンのヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域であっても改変免疫グロブリンのヒンジ領域であってもよい。

0012

本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドのさらなる実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、免疫グロブリンCH2およびCH3ドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。別の実施形態では、免疫グロブリン定常領域は免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含み、定常領域は免疫グロブリンCH1ドメインを含まない。

0013

あるバリエーションでは、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)から選択される少なくとも1つのエフェクター機能を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域由来であり、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。別の実施形態では、免疫グロブリンのヒンジ領域は、IgG1のヒンジ領域由来であり、免疫グロブリン定常領域は、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。

0014

いくつかの実施形態では、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドは、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号43、配列番号70、または配列番号72で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。

0015

なおさらなる実施形態では、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドは、(d)免疫グロブリン定常領域に対する第2ヒンジ領域カルボキシル末端、および(e)第2ヒンジ領域に対する第2結合ドメインカルボキシル末端をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2ヒンジ領域は、2型Cレクチンまたは免疫グロブリンのヒンジ領域の軸領域に由来するものを含む。あるバリエーションでは、第2ヒンジ領域は、配列番号63、配列番号64、配列番号65、または配列番号66で表されるアミノ酸配列を有する。

0016

別の実施形態では、本明細書の開示は、ヒトPSMAと特異的結合する前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合ポリペプチドを提供し、(i)CDRLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、ならびに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む第1結合ドメインを含む;LCDR3は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有し、ならびに/またはHCDR3は、配列番号11で表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、LCDR1およびLCDR2は、それぞれ配列番号15および配列番号16で表されるアミノ酸配列を有し、ならびに/またはHCDR1およびHCDR2は、それぞれ配列番号9および配列番号10で表されるアミノ酸配列を有する。一部のバリエーションでは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17で表されるアミノ酸配列を有し、ならびにHCDR1、HCDR2、およびHCDR3は、それぞれ配列番号9、配列番号10および配列番号11で表されるアミノ酸配列を有する。一部のバリエーションでは(i)軽鎖可変領域は、配列番号5または配列番号23で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;ならびに/または(ii)重鎖可変領域は、配列番号2、配列番号25、または配列番号27で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号3、配列番号4、または配列番号22で表される核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列によってコードされる;ならびに/または重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号24、または配列番号26で表される核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列によってコードされる。軽鎖および重鎖可変領域の片方または両方がヒト化されていることができる。いくつかの実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、第2の同一ポリペプチド鎖と二量体を形成可能である。

0017

本明細書に開示されたある実施形態では、第1結合ドメインは、免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域を含む単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、PSMA結合scFvは、例えば、配列番号19、配列番号21、配列番号30、配列番号31、配列番号34、または配列番号35で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むscFvを含む。ある実施形態では、scFvの重鎖可変領域は、軽鎖可変領域に対するカルボキシル末端(「VL−VH配向」)である。VL−VH配向を有するscFvのいくつかの実施形態では、scFvは配列番号21、配列番号30、または配列番号31で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。scFvの軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、ペプチドリンカー、例えば、アミノ酸配列(Gly4Ser)n、式中n=1〜5(配列番号165)を含むペプチドリンカーによって結合することができる。

0018

ある実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、免疫グロブリン定常領域をさらに含む。例えば、一部のバリエーションでは、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。一部のバリエーションでは、PSMA結合ポリペプチドは、1つまたは複数のヒンジ領域をさらに含む。ある実施形態では、ヒンジ領域は、例えば、2型Cレクチンの軸領域に由来しても免疫グロブリンのヒンジ領域に由来してもよい。

0019

別の実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、アミノからカルボキシル末端側への順で、第1結合ドメイン、ヒンジ領域、および免疫グロブリン定常領域を含む。この形態のPSMA結合ポリペプチドはPSMA特異的SMIP分子とも呼ばれ得る。一般的SMIP配置は、例えば、米国特許公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、および同第2005/0136049号(これらは、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に提供される。

0020

別の実施形態では、ポリペプチド配向は、ポリペプチドがアミノからカルボキシル末端側への順で、免疫グロブリン定常領域、ヒンジ領域および第1結合ドメインを含むように逆行する。この配向において、ポリペプチドは、PSMA特異的PIMS分子とも呼ばれ得る。一般的PIMS配置は、例えば、米国特許公開第2009/0148447号(これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された免疫グロブリン定常領域および、任意に、ヒンジ領域を有するPSMA結合ポリペプチドは、それぞれの免疫グロブリン定常領域および/またはヒンジ領域間の結合を介して第2の同一ポリペプチド鎖と二量体を形成可能である。

0021

別の実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、例えば、単鎖Fv(scFv)等の第2結合ドメインを含む。例えば、一部のバリエーションでは、PSMA結合ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端側への順でまたはカルボキシル末端からアミノ末端側への順で(a)第1結合ドメイン、(b)第1ヒンジ領域、(c)免疫グロブリン定常領域、(d)第2ヒンジ領域、および(e)第2結合ドメインを含む。

0022

さらに別の実施形態では、本明細書の開示は、本明細書に開示された他の実施形態のPSMA結合ポリペプチドを提供し、追加の結合ドメイン(例えば、第2結合ドメイン)を含み、第2結合ドメインはT細胞と特異的結合する。ある実施形態では、第2結合ドメインは、T細胞受容体(TCR)複合体またはその成分と特異的結合する。いくつかの実施形態では、第2結合ドメインは、CD3(例えば、CD3ε)に特異的結合するものを含む。あるバリエーションでは、第2結合ドメインは、CRIS−7またはHuM291モノクローナル抗体とCD3結合において競合する。一部のかかるバリエーションでは、第2結合ドメインは、CRIS−7またはHuM291モノクローナル抗体由来である免疫グロブリン軽鎖可変領域および免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。例えば、ある実施形態では、第2結合ドメインの軽鎖および重鎖可変領域は、CRIS−7またはHuM291モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖CDRをそれぞれ含むヒト化可変領域である。別の実施形態では、第2結合ドメインの軽鎖および重鎖可変領域は、(a)配列番号47の残基139〜245で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号47の残基1〜121で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに(b)配列番号78の残基634〜740で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号78の残基496〜616で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域から選択される。

0023

第2結合ドメインを含むPSMA結合ポリペプチドのある実施形態では、第2結合ドメインは、単鎖Fv(scFv)である。例えば、CRIS−7モノクローナル抗体に由来する軽鎖および重鎖可変領域を含む第2結合ドメインのいくつかの実施形態では、第2結合ドメインは、(i)配列番号47の残基1〜245で表されるアミノ酸配列、ならびに(ii)配列番号78の残基496〜742で表されるアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むscFvである。一部のかかる実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、配列番号49、配列番号51、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号158、配列番号160、配列番号162、または配列番号164で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むscFvである。

0024

別の実施形態では、本明細書の開示は、第1および第2ポリペプチド鎖を含む二量体PSMA結合タンパク質を提供し、前記ポリペプチド鎖のそれぞれは、本明細書に開示された任意の実施形態のPSMA結合ポリペプチドである。

0025

別の実施形態では、本明細書の開示は、アミノ末端からカルボキシル末端側への順で(a)ヒトPSMAと特異的結合する結合ドメイン、(b)ヒンジ領域、(c)免疫グロブリン定常領域、および(d)免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを含むPSMA結合ポリペプチドを提供する。ヘテロ二量体化ドメインは、例えば、免疫グロブリンCH1ドメインまたは免疫グロブリンCLドメインを含むことができる。ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、配列番号21で表されるアミノ酸配列を有する単鎖Fv(scFv)とヒトPSMA結合において競合する。ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、例えば、上に開示されたPSMA結合ドメインを含む。

0026

いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンのヒンジ領域等由来である。かかる免疫グロブリンのヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域であっても改変免疫グロブリンのヒンジ領域であってもよい。さらなる実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、免疫グロブリンCH2およびCH3ドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、もしくは任意のそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH2およびCH3ドメイン;IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEIgMもしくは任意のそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH3ドメイン;またはIgE、IgMもしくはそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH3およびCH4ドメイン等を含む。

0027

ある実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)から選択される少なくとも1つのエフェクター機能を含む。一部のかかる実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域由来であり、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。より具体的なバリエーションでは、免疫グロブリンのヒンジ領域は、IgG1のヒンジ領域由来であり、免疫グロブリン定常領域は、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。

0028

ある実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、配列番号46、配列番号58、配列番号59、配列番号60、または配列番号61で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。

0029

別の実施形態では、本明細書の開示は、ヘテロ二量体化ドメイン(例えば、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン)によって結合し、ヘテロ二量体を形成する2つの非同一ポリペプチド鎖を含むPSMA結合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシル末端側への順で(a)PSMAと特異的結合する第1結合ドメイン、(b)第1ヒンジ領域、(c)第1免疫グロブリン定常領域、および(d)第1免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを含む第1ポリペプチド鎖、ならびにアミノ末端からカルボキシル末端側への順で(a’)第2ヒンジ領域(b’)第2免疫グロブリン副領域、および(c’)第1ポリペプチド鎖の第1免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインと異なる第2免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを含む第2単鎖ポリペプチドを含み、第1および第2免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは互いに結合してヘテロ二量体を形成する。ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、配列番号21で表されるアミノ酸配列を有する単鎖Fv(scFv)とヒトPSMA結合において競合する。ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、例えば、上に開示されたPSMA結合ドメインを含む。

0030

ある実施形態では、ヘテロ二量体化ドメインは、免疫グロブリンCH1ドメインまたは免疫グロブリンCLドメインのいずれかを含むドメインを含む。一部のかかる実施形態では、第1免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、第1免疫グロブリンCH1ドメインを含み、第2免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、第1免疫グロブリンCLドメインを含む。あるいは、他の実施形態では、第1免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、第1免疫グロブリンCLドメインを含み、第2免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、第1免疫グロブリンCH1ドメインを含む。

0031

いくつかの実施形態では、第1および第2ヒンジ領域の少なくとも1つは、免疫グロブリンのヒンジ領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンのヒンジ領域等に由来する。かかる免疫グロブリンのヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域であっても改変免疫グロブリンのヒンジ領域であってもよい。さらなる実施形態では、第1および第2免疫グロブリン定常領域の少なくとも1つは、免疫グロブリンCH2およびCH3ドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、もしくは任意のそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH2およびCH3ドメイン;IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgMもしくは任意のそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH3ドメイン;またはIgE、IgMもしくはそれらの組み合わせの免疫グロブリンCH3およびCH4ドメイン等を含む。

0032

本明細書に開示されたヘテロ二量体PSMA結合タンパク質のあるバリエーションでは、第1および第2ポリペプチド鎖の片方または両方は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)から選択される少なくとも1つのエフェクター機能を含む。一部のかかる実施形態では、第1および第2ヒンジ領域のそれぞれは、免疫グロブリンのヒンジ領域に由来し、第1および第2免疫グロブリン定常領域のそれぞれは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。ある実施形態では、第1および第2ヒンジ領域のそれぞれは、IgG1のヒンジ領域に由来し、第1および第2免疫グロブリン定常領域のそれぞれは、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。

0033

本明細書に開示されたヘテロ二量体PSMA結合タンパク質のいくつかの実施形態では、第2ポリペプチド鎖は第2結合ドメインをさらに含む。例えば、第2ポリペプチド鎖は、第2ヒンジ領域に対する第2結合ドメインアミノ末端をさらに含むことができる。

0034

あるバリエーションでは、本明細書に開示されたヘテロ二量体PSMA結合タンパク質は、単一特異性(すなわち、PSMA単一特異性)であることができる。あるいは、他の実施形態では、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質は、多重特異性である。例えば、ヘテロ二量体の各ポリペプチド鎖は、異なる結合ドメイン、例えば、PSMA結合ドメインを含む第1ポリペプチド鎖およびPSMAと異なる第2標的抗原に特異的な第2結合(例えば、第2ヒンジ領域に対するアミノ末端)を含む第2ポリペプチド鎖を含むことができる。

0035

多重特異性、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質のいくつかの実施形態では、第2結合ドメインは、T細胞と特異的結合する。ある実施形態では、T細胞結合ドメインは、例えば、上に開示された追加の結合ドメインおよび第2結合ドメインを含む。T細胞に特異的結合する第2結合ドメインを含むヘテロ二量体PSMA結合タンパク質のある実施形態では、例えば(a)第1ポリペプチド鎖は、配列番号46で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチド鎖は、配列番号47で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;(b)第1ポリペプチド鎖は、配列番号58で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチド鎖は、配列番号57で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;(c)第1ポリペプチド鎖は、配列番号59で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチド鎖は、配列番号57で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;(d)第1ポリペプチド鎖は、配列番号60で表されるアミノ酸配列と少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチド鎖は、配列番号47で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む;または(e)第1ポリペプチド鎖は、配列番号61で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチド鎖は、配列番号47で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。

0036

本明細書に開示された二量体またはヘテロ二量体PSMA結合タンパク質のある実施形態では、PSMA結合タンパク質は、マウスモノクローナル抗体107−1A4と比較してPSMA発現細胞によって延長された血清半減期、低減した内在化、および/またはPSMA発現細胞表面上の延長された持続時間を示す。

0037

別の実施形態では、本明細書の開示は、PSMA結合ポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。例えば、あるバリエーションでは、核酸は、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号32、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号48、配列番号50、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号157、配列番号159、配列番号161、または配列番号163で表されるヌクレオチド配列を含む。

0038

別の実施形態では、本明細書の開示は、組換え宿主細胞内の本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質発現用の発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、PSMA結合ポリペプチドをコードする核酸セグメントを含み、核酸セグメントは、宿主細胞内核酸セグメントの発現に適した調節配列使用可能に結合されている。いくつかの実施形態では、核酸セグメントは、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号32、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号48、配列番号50、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号157、配列番号159、配列番号161、または配列番号163で表されるヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、発現ベクターは、第1および第2発現単位を含み、第1および第2発現単位はそれぞれ本明細書に開示されたある実施形態のヘテロ二量体PSMA結合タンパク質の第1および第2ポリペプチド鎖をコードする第1および第2核酸セグメントを含み、第1および第2核酸セグメントは、宿主細胞内核酸セグメントの発現に適した調節配列に使用可能に連結している。あるバリエーションでは、(a)第1核酸セグメントは、配列番号44で表されるヌクレオチド配列を含み、第2核酸セグメントは、配列番号45で表されるヌクレオチド配列を含む;(b)第1核酸セグメントは、配列番号53で表されるヌクレオチド配列を含み、第2核酸セグメントは、配列番号52で表されるヌクレオチド配列を含む;(c)第1核酸セグメントは、配列番号54で表されるヌクレオチド配列を含み、第2核酸セグメントは、配列番号52で表されるヌクレオチド配列を含む;(d)第1核酸セグメントは、配列番号55で表されるヌクレオチド配列を含み、第2核酸セグメントは、配列番号45で表されるヌクレオチド配列を含む;または(e)第1核酸セグメントは、配列番号56で表されるヌクレオチド配列を含み、第2核酸セグメントは、配列番号45で表されるヌクレオチド配列を含む。

0039

別の実施形態では、本明細書の開示は、本明細書に開示された発現ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。

0040

別の実施形態では、本明細書の開示は、PSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質産生方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチド産生方法である。ある実施形態では、方法は、一般に発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養することを含み、発現ベクターは、PSMA結合ポリペプチドをコードする核酸セグメントを含み、宿主細胞内核酸セグメントの発現に適した調節配列に使用可能に結合されており、培養は、核酸セグメントが発現し、したがって、PSMA結合ポリペプチドを産生する条件下にある。あるバリエーションでは、核酸セグメントは、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号32、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号48、配列番号50、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号157、配列番号159、配列番号161、または配列番号163で表されるヌクレオチド配列を含む。ある実施形態では、方法は、PSMA結合ポリペプチド回収をさらに含む。

0041

いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に開示された二量体PSMA結合タンパク質産生方法である。あるバリエーションでは、発現ベクターの核酸セグメントは、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドをコードし、培養は、核酸セグメントが発現する条件下にあり、コードされたPSMA結合ポリペプチドは、二量体PSMA結合タンパク質として産生する。方法は、二量体PSMA結合タンパク質回収をさらに含むことができる。

0042

他の実施形態では、方法は、本明細書に開示されたヘテロ二量体PSMA結合タンパク質産生方法である。ある実施形態では、方法は、一般に第1および第2発現単位を含む組換え宿主細胞を培養することを含み、第1および第2発現単位はそれぞれ本明細書に説明するヘテロ二量体PSMA結合タンパク質の第1および第2ポリペプチド鎖をコードする第1および第2核酸セグメントを含み、第1および第2核酸セグメントは、宿主細胞内核酸セグメントの発現に適した調節配列に使用可能に連結しており、培養は、第1および第2核酸セグメントが発現し、コードされたポリペプチド鎖が、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質として産生する条件下にある。いくつかの実施形態では、方法は、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質回収をさらに含む。

0043

別の実施形態では、本明細書の開示は、本明細書に説明する任意のPSMA結合ポリペプチドもしくはタンパク質ならびに医薬上許容される担体希釈液、または賦形剤を含む組成物を提供する。

0044

別の実施形態では、本明細書の開示は、PSMA発現細胞に対する抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)誘発方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、PSMA発現細胞に対するADCCまたはCDC誘発方法は、PSMA発現細胞を第1および第2ポリペプチド鎖を含む二量体PSMA結合タンパク質と接触させることを含み、各ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドであり、前記接触は、PSMA発現細胞に対してADCCまたはCDCを誘発する条件下にある。他の実施形態では、PSMA発現細胞に対するADCCまたはCDC誘発方法は、段落[0031]のように、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質と細胞を接触させることを含み、前記接触は、PSMA発現細胞に対してADCCまたはCDCを誘発する条件下にある。

0045

別の実施形態では、本明細書の開示は、PSMA発現細胞に対する再指向T細胞の細胞傷害(RTCC)誘発方法を提供する。一部のバリエーションでは、PSMA発現細胞に対するRTCC誘発方法は、PSMA発現細胞を第1および第2ポリペプチド鎖を含む二量体PSMA結合タンパク質と接触させることを含み、前記ポリペプチド鎖のそれぞれは、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドであり、前記接触は、PSMA発現細胞に対してRTCCを誘発する条件下にある。他の実施形態では、PSMA発現細胞に対するRTCC誘発方法は、本明細書に開示されたヘテロ二量体PSMA結合タンパク質と細胞を接触させることを含み、前記接触は、PSMA発現細胞に対してRTCCを誘発する条件下にある。

0046

別の実施形態では、本明細書の開示は、対象のPSMA過剰発現を特徴とする障害の処置方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量の上に開示された二量体PSMA結合タンパク質を対象に投与することを含む。一部のかかる実施形態では、二量体PSMA結合タンパク質の第1および第2ポリペプチド鎖は、PSMA結合ポリペプチド(例えば、上に開示されたもの)であり、二量体PSMA結合タンパク質は対象中に再指向T細胞の細胞傷害(RTCC)を誘発する。他のバリエーションでは、方法は、治療有効量のヘテロ二量体PSMA結合タンパク質(例えば、上に開示されたもの)を対象に投与することを含む。一部のバリエーションでは、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質は、上に開示されたタンパク質であり、ヘテロ二量体PSMA結合タンパク質は対象中にRTCCを誘発する。開示された方法のある実施形態では、障害は、癌、例えば、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌)、大腸癌胃癌、淡明細胞腎細胞癌、膀胱癌、または肺癌等である。いくつかの実施形態では、障害は、例えば、前立腺癌または良性前立腺肥大症等の前立腺障害である。他のバリエーションでは、障害は、新生血管障害である。治療する新生血管障害は、例えば、固体腫瘍成長を特徴とする癌、例えば、淡明細胞型腎細胞癌、大腸癌、膀胱癌、および肺癌等であることができる。

0047

本発明のこれらのおよび他の実施形態および/または他の態様は、本発明の以下の発明を実施するための形態および添付図について言及時に明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0048

PSMA(+)(LNCaP)およびPSMA(−)(DU−145)前立腺癌細胞系におけるTSC085、TSC092およびTSC122と親107−1A4マウス抗体(TSC045)を比較するために使用された結合試験の結果を例証するグラフである。
PSMA(+)(C4−2)およびPSMA(−)(DU−145)前立腺癌細胞系におけるヒト化TSC188およびTSC189を比較するために使用された結合試験の結果を例証するグラフである。
PSMA(+)(C4−2)およびPSMA(−)(DU−145)前立腺癌細胞系における親ヒト化SMIP分子TSC188およびTSC189ならびにキメラインターセプター分子TSC122に対するヒト化SCORPION分子TSC194およびTSC199の結合を比較するために使用された結合試験の結果を例証するグラフである。
インターセプターおよびSMIP足場を足場とするPSMA結合タンパク質に対する親107−1A4マウス抗体を比較する内在化実験の結果を例証するグラフである。
2つの異なるドナー(AGおよびVVとしてラベル)のヒト血液由来T細胞の存在下で、低減する濃度(300、100、30、10および0pM)でキメラTSC122インターセプター分子と共に24時間に渡り観察された強力な標的依存性細胞傷害活性を例証するグラフである。
親キメラインターセプター分子TSC122と並んだTSC200、TSC202、TSC204の細胞傷害を例証するグラフである。
キメラインターセプター分子TSC122と比較したヒト化107−1A4SCORPION分子(TSC194、TSC199、TSC212、TSC213)によって媒介されるT細胞の細胞傷害を例証するグラフである。
C4−2細胞と反応する抗PSMA二重特異性分子(TSC194、TSC199、TSC202およびTSC122)により誘発されたCD4+T細胞(図7A)およびCD8+T細胞(図7B)の標的依存性増殖を例証するグラフである。
C4−2細胞と反応する抗PSMA二重特異性分子(TSC194、TSC199、TSC202およびTSC122)により誘発されたCD4+T細胞(図7A)およびCD8+T細胞(図7B)の標的依存性増殖を例証するグラフである。
C4−2細胞上のPSMAに対するmAb J591およびJ415対107−1A4 mAbおよびキメラおよびヒト化107−1A4 SMIP分子の競合結合試験を例証するグラフである。具体的に、図8Aは、ヒト化J591抗体(Hu591)がC4−2細胞上のPSMAに対する結合において107−1A4、J591またはJ415マウス抗体と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;図8Bは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてキメラ107−1A4 SMIP分子(TSC085)と競合するどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;ならびに図8Cは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてヒト化107−1A4 SMIP分子(TSC189)と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す。
C4−2細胞上のPSMAに対するmAb J591およびJ415対107−1A4 mAbおよびキメラおよびヒト化107−1A4 SMIP分子の競合結合試験を例証するグラフである。具体的に、図8Aは、ヒト化J591抗体(Hu591)がC4−2細胞上のPSMAに対する結合において107−1A4、J591またはJ415マウス抗体と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;図8Bは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてキメラ107−1A4 SMIP分子(TSC085)と競合するどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;ならびに図8Cは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてヒト化107−1A4 SMIP分子(TSC189)と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す。
C4−2細胞上のPSMAに対するmAb J591およびJ415対107−1A4 mAbおよびキメラおよびヒト化107−1A4 SMIP分子の競合結合試験を例証するグラフである。具体的に、図8Aは、ヒト化J591抗体(Hu591)がC4−2細胞上のPSMAに対する結合において107−1A4、J591またはJ415マウス抗体と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;図8Bは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてキメラ107−1A4 SMIP分子(TSC085)と競合するどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す;ならびに図8Cは、3つのマウス抗体がC4−2細胞上のPSMAに対する結合においてヒト化107−1A4 SMIP分子(TSC189)と競合するかどうかを決定する競合結合アッセイの結果を示す。

実施例

0049

I.一般的詳細
本発明は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)と特異的結合するPSMA結合ポリペプチドおよびタンパク質を提供する。治療有効量の本発明のPSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質をそれを必要としている患者に投与することは、ある癌および前立腺障害等のPSMA過剰発現に関連するある障害の治療に有用である。1つの実施形態では、PSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質はPSMA過剰発現標的細胞とT細胞に同時に結合し、したがって、PSMA過剰発現標的細胞とT細胞を「架橋」する。標的に対する両ドメインの結合は、強力な標的依存性再指向T細胞の細胞傷害(RTCC)を引き出す(例えば、標的依存性T細胞の細胞傷害、T細胞活性化およびT細胞増殖を誘発する)。

0050

本明細書で使用する項の題名は、構成目的のみであり、記載の主題を限定するものとして解釈されない。特許、特許出願、記事書物、および論文が挙げられるが、これらに限定されない本明細書に引用した全文書、または一部文書は、任意の目的で参照によってそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。1つまたは複数の組み込まれた文書または一部文書が出願中の用語の定義と矛盾する用語を定義する場合、本出願に示す定義が制御する。

0051

本明細書の発明を実施するための形態において、任意の濃度範囲割合範囲、比範囲、または整数範囲は、別段の指定のない限り、列挙した範囲内の任意の整数値、適切な場合、その留分(整数の10分の1および100分の1等)を含むものと理解されるべきである。本明細書で使用する「約」とは、別段の指定のない限り、提示の範囲、値、または構造の±20%を意味する。本明細書で使用する用語「a」および「an」とは、別段の指定のない限り、列挙した成分「の1つまたは複数」を指すものと理解されるべきである。代用物(例えば、「または」)の使用は、代用物の1つ、両方、もしくは任意のそれらの組み合わせのいずれかを意味するものと理解されるべきである。本明細書で使用する用語「を含む(include)」と「を含む(comprise)」は同意語として使用される。さらに、本明細書に記載の様々な成分(例えば、ドメインまたは領域)および置換基の組み合わせを含むポリペプチドは、各ポリペプチドが個別に説明された場合と同一範囲で本明細書に開示されているものと理解されるべきである。したがって、各ポリペプチドの特定の成分の選択は、本明細書の開示の範囲内である。
II.定義

0052

本明細書で使用する用語「結合ドメイン」または「結合領域」とは、抗原、リガンド、受容体、基質、または阻害剤(例えば、CD3、PSMA)等の標的分子を特異的に認識して結合する能力を保有するタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、またはペプチドのドメイン、領域、部分、または部位を指す。例示的な結合ドメインとしては、単鎖抗体可変領域(例えば、ドメイン抗体、sFv、scFv、scFab)、受容体外部ドメイン、およびリガンド(例えば、サイトカインケモカイン)が挙げられる。ある実施形態では、結合ドメインは、抗原結合部位(例えば、可変重鎖配列および可変軽鎖配列または代替的フレームワーク領域(FR)(例えば、任意に1つまたは複数のアミノ酸置換を含むヒトFR)内に置いた抗体由来の3本の軽鎖補体決定領域、(CDR)および3本の重鎖CDRを含むかまたはそれらからなる。特定の標的に特異的結合する本明細書に開示の結合ドメインを同定するための様々なアッセイウエスタンブロットELISAファージディスプレイライブラリースクリーニング、およびBIACORE(商標登録)相互作用分析等)が既知である。本明細書で使用するPSMA結合ポリペプチドは、「第1結合ドメイン」および、任意に、「第2結合ドメイン」を有することができる。ある実施形態では、「第1結合ドメイン」とは、PSMA結合ドメインであり、特定のポリペプチド形態(例えば、SMIPまたはPIMS)に応じて、アミノ末端に位置してもカルボキシル末端に位置してもよい。第1および第2結合ドメインの両方を含むある実施形態では、第2結合ドメインは、T細胞表面抗原(例えば、CD3)に結合するマウスモノクローナル抗体(例えば、CRIS−7)に由来するscFv等のT細胞結合ドメインである。他の実施形態では、第2結合ドメインは、第2PSMA結合ドメインである。さらに他の実施形態では、第2結合ドメインは、PSMA結合ドメインまたはT細胞結合ドメイン以外の結合ドメインである。

0053

105M−1以上の親和性またはKa(すなわち、単位1/Mで相互作用する特定の結合の平衡結合定数)で標的と結合するが、試験試料に存在する他の成分には有意に結合しない場合、結合ドメインは標的に「特異的結合する」。結合ドメインは、「高い親和性」結合ドメインおよび「低い親和性」結合ドメインに分類できる。「高い親和性」結合ドメインは、少なくとも107M−1、少なくとも108M−1、少なくとも109M−1、少なくとも1010M−1、少なくとも1011M−1、少なくとも1012M−1、または少なくとも1013M−1Kaの結合ドメインを指す。「低い親和性」結合ドメインは、最大107M−1、最大106M−1、最大105M−1Kaの結合ドメインを指す。あるいは、親和性は、単位Mで相互作用する特定の結合の平衡解離定数(Kd)(例えば、10−5M〜10−13M)と定義することができる。本明細書の開示によって、結合ドメインポリペプチドおよび単鎖ポリペプチドの親和性を、従来技術(例えば、Scatchard et al. (1949) Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660、ならびに米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または均等物を参照されたい)を用いて容易に決定することができる。

0054

「CD3」は、T細胞受容体複合体サブユニットである6鎖の多タンパク質複合体として当該技術分野において知られている(例えば、Abbas and Lichtman, 2003; Janeway et al., p. 172and 178, 1999を参照されたい)。哺乳動物において、T細胞受容体複合体のCD3サブユニットは、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、およびCD3ζ鎖のホモ二量体である。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖は、単一免疫グロブリンドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連した細胞表面タンパク質である。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖の膜貫通領域は負的に負荷し、これは、これらの鎖に正に帯電したT細胞受容体鎖に結合させる特徴である。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖の細胞内尾は、それぞれ免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして既知である単一の保存的モチーフを含み、各CD3ζ鎖は3を有する。ITAMは、TCR複合体のシグナル伝達能において重要であることが考えられる。本明細書の開示に使用されるCD3は、ヒト、サルマウスラット、または他の哺乳動物を含む様々な動物種に由来し得る。

0055

本明細書で使用する「保存的置換」とは、あるアミノ酸と類似の特性を有する別のアミノ酸との置換として当該技術分野において認識されている。例示的な保存的置換は、当該技術分野において周知である(例えば、WO97/09433号、page 10、1997年3月13日公開; Lehninger, Biochemistry, Second Edition; Worth Publishers, Inc. NY:NY (1975), pp.71−77; Lewin, Genes IV, Oxford University Press, NY and Cell Press, Cambridge, MA (1990), p. 8を参照されたい)。ある実施形態では、保存的置換は、ロイシンからセリンへの置換を含む。

0056

本明細書で使用する用語「誘導体」とは、酵素を用いたまたは用いない化学的または生物学的手段、例えば、グリコシル化アルキル化アシル化エステル形態、またはアミド形態によるペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基改変を指す。

0057

本明細書で使用する設計化したポリペプチドまたはタンパク質「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列とは、ポリペプチド起点を指す。ある実施形態では、特定の配列(「開始」または「親(parent)」または「親の(parental)」配列と呼ばれることもある)に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、開始配列またはその部分と本質的に同一のアミノ酸配列を有し、前記部分は少なくとも10〜20個のアミノ酸、少なくとも20〜30個のアミノ酸、または少なくとも30〜50個のアミノ酸、または少なくとも50〜150個のアミノ酸からなるか、あるいは開始配列中にその起点を有するとして当業者識別可能である。

0058

別のポリペプチドに由来するポリペプチドは、開始ポリペプチド、例えば、別のアミノ酸残基と置換されているかまたは1つもしくは複数のアミノ酸残基が挿入されたかもしくは欠失した1つまたは複数のアミノ酸残基と比較して1つまたは複数の変異を有することができる。ポリペプチドは、天然ではないアミノ酸配列を含むことができる。かかるバリエーションは必然的に、開始ポリペプチドと100%未満の配列同一性または類似性を有する。1つの実施形態では、変異型は、開始ポリペプチドのアミノ酸配列と約60%〜100%未満のアミノ酸配列同一性または類似性のアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、変異型は、開始ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%〜100%未満、約80%〜100%未満、約85%〜100%未満、約90%〜100%未満、約95%〜100%未満のアミノ酸配列同一性または類似性のアミノ酸配列を有する。

0059

別段の提示のない限り、本明細書で使用する免疫グロブリン分子の可変領域内のアミノ酸残基位置は、カバット番号付け法(Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed. Bethesda, MD: Public Health Service, National Institutes of Health (1991))によって番号付け、免疫グロブリン分子の定常領域内のアミノ酸残基位置は、EU命名法によって番号付ける(Ward et al., 1995 Therap. Immunol. 2:77−94)。

0060

本明細書で使用する用語「二量体」とは、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)および他の相互作用(例えば、電気静的相互作用、塩架橋、水素結合、および疎水相互作用)を含む分子内力の1つまたは複数の形態を介して互いに結合し、適切な条件下(例えば、組換えタンパク質の発現、純化、および/もしくは保存に適した水溶液中の生理的条件下、または電気泳動変性しないおよび/もしくは低減しない条件下)で安定している2つのサブユニットからなる生物学的実体を指す。「ヘテロ二量体」または「ヘテロ二量体タンパク質」とは、本明細書で使用する場合、2つの異なるポリペプチドから形成された二量体を指す。ヘテロ二量体は、4つのポリペプチド(すなわち、2つの軽鎖および2つの重鎖)から形成された抗体を含まない。「ホモ二量体」または「ホモ二量体タンパク質」とは、本明細書で使用する場合、2つの同一ポリペプチドから形成された二量体を指す。

0061

本明細書で使用する「ヒンジ領域」または「ヒンジ」とは、(a)膜貫通型タンパク質(例えば、1型膜貫通型タンパク質)のインタードメイン領域;または(b)2型C−レクチンの軸領域由来であるポリペプチドを指す。例えば、ヒンジ領域は、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバのインタードメイン領域由来であることができる;この特定のクラス内の適切なヒンジ領域としては、(i)野生型および改変免疫グロブリンヒンジを含む免疫グロブリンのヒンジ領域(例えば、上および/または核領域(1つまたは複数)からなる)もしくはその機能的変異型、ならびに(ii)免疫グロブリンV様または免疫グロブリンC様ドメインに接続する領域(またはその機能的変異型)が挙げられる。

0062

「野生型免疫グロブリンのヒンジ領域」とは、抗体重鎖に見られる、(IgG、IgA、およびIgDにおける)CH1ドメインとCH2ドメイン間に介入されてそれらを接続するかまたは(IgEおよびIgMにおける)CH1ドメインとCH3ドメイン間に介入されてそれらを接続する天然上および中心ヒンジアミノ酸配列を指す。ある実施形態では、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域配列はヒトであり、ヒトIgGヒンジ領域を含むことができる。

0063

「改変野生型免疫グロブリンのヒンジ領域」もしくは「改変免疫グロブリンのヒンジ領域」とは、(a)最大30%のアミノ酸変化(例えば、最大25%、20%、15%、10%、または5%のアミノ酸置換または欠失)を有する野生型免疫グロブリンのヒンジ領域、または(b)長さ約5アミノ酸(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸)最大約120個のアミノ酸(例えば、長さ約10〜約40個のアミノ酸または約15〜約30個のアミノ酸または約15〜約20個のアミノ酸または約20〜約25アミノ酸を有する)、最大約30%のアミノ酸変化(例えば、最大約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%のアミノ酸置換または欠失もしくはそれらの組み合わせ)を有し、PCT/米国特許第2010/62436号およびPCT/米国特許第2010/62404号に開示のIgG核ヒンジ領域を有する野生型免疫グロブリンのヒンジ領域の一部を指す。

0064

本明細書で使用する用語「ヒト化」とは、ヒトに対して免疫原性の低い非ヒト種(例えば、マウスまたはラット)に由来しつつ、遺伝学的技術の使用によって元の抗体の抗原結合特性を保持する抗体または免疫グロブリン結合タンパク質およびポリペプチドの作製プロセスを指す。いくつかの実施形態では、抗体または免疫グロブリン結合タンパク質およびポリペプチド(例えば、軽鎖および重鎖可変領域、Fab、scFv)の結合ドメイン(1つまたは複数)はヒト化されている。非ヒト結合ドメインは、「再形成」(Verhoeyen, et al., 1988 Science 239:1534−1536; Riechmann, et al., 1988 Nature 332:323−337; Tempest, et al., Bio/Technol 1991 9:266−271)、「高キメラ化」(Queen, et al., 1989 Proc Natl Acad Sci USA 86:10029−10033; Co, et al., 1991 Proc Natl Acad Sci USA 88:2869−2873; Co, et al., 1992J Immunol 148:1149−1154)、および「化粧張り」(Mark, et al., “Derivation of therapeutically active humanized and veneered anti−CD18 antibodies. In: Metcalf BW, Dalton BJ, eds. Cellular adhesion: molecular definition to therapeutic potential. New York: Plenum Press, 1994: 291−312)を含むCDRグラフト(Jones et al., Nature 321:522(1986))およびその変異型として既知である技術を用いてヒト化することができる。非ヒト供給源に由来する場合、ヒンジ領域および定常領域ドメイン等の抗体または免疫グロブリン結合タンパク質およびポリペプチドの他の領域もヒト化できる。

0065

「免疫グロブリン二量体化ドメイン」または「免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン」とは、本明細書で使用する場合、第2ポリペプチド鎖の異なる免疫グロブリンドメインと選択的に相互作用するかまたは結合するポリペプチド鎖の免疫グロブリンドメインを指し、異なる免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの相互作用は、第1および第2ポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に実質的に関与するかまたは効率的に促進する(すなわち、「ヘテロ二量体」とも呼ばれる2つの異なるポリペプチド鎖間の二量体形成)。第1ポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインおよび/または第2ポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの不在下で第1および第2ポリペプチド鎖間の二量体化に統計的有意な低下がある場合、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン間の相互作用は、第1および第2ポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に「実質的に関与するかまたは効率的に促進する」。ある実施形態では、第1および第2ポリペプチド鎖が共発現する場合、互いに少なくとも60%、少なくとも約60%〜約70%、少なくとも約70%〜約80%、少なくとも80%〜約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の第1および第2ポリペプチド鎖形態ヘテロ二量体である。代表的な免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしては、そこに提供される野生型免疫グロブリンCH1およびCLドメインならびに改変(または変異)免疫グロブリンCH1およびCLドメインを含む免疫グロブリンCH1ドメイン、免疫グロブリンCLドメイン(例えば、CκまたはCλアイソタイプ)、またはその誘導体が挙げられる。

0066

「免疫グロブリン定常領域」または「定常領域」とは、1つまたは複数の定常領域ドメインの一部またはすべてと一致するかまたはそれらに由来するペプチドまたはポリペプチド配列について言及するように本明細書において定義した用語である。ある実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、1つまたは複数の定常領域ドメインの一部またはすべてであるが抗体源の定常領域ドメインのすべてではないものと一致するかまたはそれらに由来する。ある実施形態では、定常領域は、IgGCH2およびCH3ドメイン(例えば、IgG1 CH2およびCH3ドメインを含む。ある実施形態では、定常領域は、CH1ドメインを含まない。ある実施形態では、定常領域を作製する定常領域ドメインは、ヒトである。いくつかの実施形態では(例えば、CD3または別のT細胞表面抗原に特異的結合する第2結合ドメインを含むPSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質のあるバリエーションでは)、本開示の融合タンパク質の定常領域ドメインは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)ならびに補体活性化および補体依存性細胞傷害(CDC)のエフェクター機能がないかほとんどないのに対し、一部のFC受容体(FCRn、新生児Fc受容体等)の結合能を保持し、比較的長いin vivo半減期を保持する。他のバリエーションでは、本開示の融合タンパク質は、ADCCおよびCDCの片方または両方のかかるエフェクター機能を保持する定常ドメインを含む。ある実施形態では、本開示の結合ドメインは、ヒトIgG1定常領域に融合され、IgG1定常領域は、1つまたは複数の以下のアミノ酸変異:234位のロイシン(L234)、235位のロイシン(L235)、237位のグリシン(G237)、318位のグルタミン酸(E318)、320位のリジン(K320)、322位のリジン(K322)、もしくは任意のそれらの組み合わせ(EU番号付け)を有する。例えば、任意の1つまたは複数のこれらのアミノ酸は、アラニンに変異することができる。さらなる実施形態では、IgG1Fcドメインは、アラニン(すなわち、それぞれL234A、L235A、G237A、E318A、K320A、およびK322A)に変異している各L234、L235、G237、E318、K320、およびK322(EU番号付け)を有し、任意にN297A変異も同様に有する(すなわち、CH2ドメインのグリコシル化を本質的に除去する)。

0067

Fc領域」または「Fcドメイン」とは、細胞上の抗体受容体および補体のC1q成分への結合に関与する抗体源部分に相当するかまたは由来するポリペプチド配列を指す。Fcは、タンパク質結晶を容易に形成する抗体断片である「断片結晶」を表す。当初タンパク質分解消化によって記載された異なるタンパク質断片は、免疫グロブリンタンパク質の全体の一般的構造を定義することができる。当初文献に定義されていたように、Fc断片はジスルフィド結合した重鎖ヒンジ領域、CH2、およびCH3ドメインからなる。しかしながら、より最近、本用語は、CH3、CH2、および第2のかかる鎖とジスルフィド結合した二量体を形成する上で十分な少なくとも一部のヒンジからなる単鎖に適用されている。免疫グロブリン構造および機能の総説については、Putnam, The Plasma Proteins, Vol. V (Academic Press, Inc., 1987), pp. 49−140;およびPadlan, Mol. Immunol. 31:169−217, 1994を参照されたい。本明細書で使用する用語Fcは、天然配列の変異型を含む。

0068

本明細書で使用する用語「SMIP」とは、例えば、米国特許公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、および同第2005/0136049号(これらは、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に一般に開示されるようにタンパク質足場について言及するために使用される。実施例および本明細書の開示全体に記載する「PSMA特異的SMIP分子」または「SMIP分子」とは、SMIP足場(例えば、アミノからカルボキシル末端側への順で)、第1結合ドメイン、ヒンジ領域、および免疫グロブリン定常領域を含むPSMA結合タンパク質であるものと理解されるべきである。

0069

本明細書で使用する用語「PIMS」とは、例えば、米国特許公開第2009/0148447号(これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に一般に開示されるようにタンパク質足場について言及するために使用される。実施例および本明細書の開示全体に記載する「PSMA特異的PIMS分子」または「PIMS分子」とは、PIMS足場(例えば、アミノからカルボキシル末端側への順で)、免疫グロブリン定常領域、ヒンジ領域および第1結合ドメインを含むPSMA結合タンパク質であるものと理解されるべきである。

0070

本明細書で使用する用語「インターセプター」とは、PCT出願のPCT/米国特許第2010/62436号およびPCT/米国特許第2010/62404号(これらは、それらの全体が本明細書に組み込まれる)に一般に開示されるように単一特異性または多重特異性ヘテロ二量体タンパク質足場について言及するために使用される。実施例および本明細書の開示全体に記載する「PSMA特異的インターセプター分子」または「インターセプター分子」とは、インターセプター足場、例えば、2つの非同一ポリペプチド鎖を含むPSMA結合タンパク質であり、各ポリペプチド鎖は免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを含むものと理解されるべきである。界面免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは異なる。1つの実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、CH1ドメインまたはその誘導体を含む。別の実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、CLドメインまたはその誘導体を含む。1つの実施形態では、CLドメインは、CκもしくはCλアイソタイプまたはその誘導体である。

0071

本明細書で使用する「SCORPION」とは、多重特異性結合タンパク質足場について言及するために使用される用語である。SCORPION(商標)は、Emergent Product Development Seattle,LLC商標である。多重特異性結合タンパク質およびポリペプチドは、例えば、PCT出願WO2007/146968号、米国特許出願第2006/0051844号、PCT出願WO2010/040105号、PCT出願WO2010/003108号、および米国特許第7,166,707号(これらは、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。SCORPIONポリペプチドは、2つの結合ドメイン(ドメインは、同一または異なる標的と特異的結合するように設計することができる)、2つのヒンジ領域、および免疫グロブリン定常領域を含む。SCORPIONタンパク質は、2つの同一、ジスルフィド結合SCORPIONポリペプチドを含むホモ二量体タンパク質である。実施例および本明細書の開示全体に記載する「PSMA特異的SCORPION分子」または「SCORPION分子」とは、SCORPION足場、例えば、2つの結合ドメイン(ドメインは、同一または異なる標的と特異的結合するように設計することができる)、2つのヒンジ領域、および免疫グロブリン定常領域を含むPSMA結合タンパク質であるものと理解されるべきである。

0072

本明細書で使用する2型C−レクチンの「軸領域」とは、Cタイプレクチン様ドメイン(CTLD;(例えば、ナチュラルキラー細胞受容体のCTLDに類似)と膜貫通ドメイン間に位置する2型C−レクチンの余剰細胞ドメイン部分を指す。例えば、ヒトCD94分子(GenBank寄託番号AAC50291.1、PRI1995年11月30日)において、余剰細胞ドメインはアミノ酸残基34〜179と一致し、CTLDはアミノ酸残基61〜176と一致する。したがって、ヒトCD94分子の軸領域は、膜およびCTLD間で見られるアミノ酸残基34〜60を含む(Boyington et al., Immunity 10:75, 1999を参照されたい;他の軸領域の詳細については、Beavil et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 89:753, 1992;およびFigdor et al., Nature Rev. Immunol. 2:77, 2002も参照されたい)。これらの2型C−レクチンは、軸領域および膜貫通領域またはCTLD間で6〜10連結アミノ酸を有することもできる。別の例では、233アミノ酸ヒトNKG2Aタンパク質(GenBank寄託番号P26715.1、PRI2010年6月15日)は、アミノ酸71〜93の膜貫通ドメインおよびアミノ酸94〜233の余剰細胞ドメインを有する。CTLDは、アミノ酸119〜231からなり、軸領域は、アミノ酸99〜116を含み、これは、5および2アミノ酸接合によって側面に位置する。他の2型C−レクチン、ならびにそれらの余剰細胞リガンド結合ドメイン、インタードメインもしくは軸領域、およびCTLDは、当該技術分野において知られている(例えば、ヒトCD23、CD69、CD72、NKG2AおよびNKG2Dの配列ならびにそれらの詳細において、それぞれGenBank寄託番号NP_001993.2;AAH07037.1、PRI2006年7月15日;NP_001773.1、PRI2010年6月20日;AAL65234.1、PRI2002年1月17日、およびCAA04925.1、PRI2006年11月14日を参照されたい)。

0073

本明細書で使用する膜貫通型タンパク質(例えば、1型膜貫通型タンパク質)の「インタードメイン領域」とは、2つの隣接ドメイン間に位置する膜貫通型タンパク質の余剰細胞ドメインの一部を指す。インタードメイン領域例としては、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバの隣接Igドメインを連結する領域(例えば、IgG、IgA、IgD、もしくはIgE由来の免疫グロブリンのヒンジ領域;CD2のIgVおよびIgC2ドメインを連結する領域;またはCD80もしくはCD86のIgVおよびIgCドメインを連結する領域)が挙げられる。インタードメイン領域の別の例は、CD22、1型シアル酸結合Ig様レクチンの非IgおよびIgC2ドメインを連結する領域である。

0074

2型C−レクチンの軸領域「に由来する」または膜貫通型タンパク質インタードメイン領域(例えば、免疫グロブリンのヒンジ領域)「に由来する」ポリペプチド領域とは、約5〜約150個のアミノ酸配列、約5〜約100個のアミノ酸配列、約5〜約50個のアミノ酸配列、約5〜約40個のアミノ酸配列、約5〜約30個のアミノ酸配列、約5〜約25アミノ酸配列、約5〜約20個のアミノ酸配列、約10〜約25アミノ酸配列、約10〜約20個のアミノ酸配列、約8〜約20個のアミノ酸配列、約9〜約20個のアミノ酸配列、約10〜約20個のアミノ酸配列、約11〜約20個のアミノ酸配列、約12〜約20個のアミノ酸配列、約13〜約20個のアミノ酸配列、約14〜約20個のアミノ酸配列、約15〜約20個のアミノ酸配列、または約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸配列を指し、これらのすべてまたは少なくとも一部は以下(i)野生型軸領域もしくはインタードメイン領域配列;(ii)野生型軸領域もしくはインタードメイン領域配列の断片;(iii)(i)または(ii)のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド;または(iv)欠失、挿入、置換、もしくは任意のそれらの組み合わせを有する、例えば、1つもしくは複数の変化は置換を含むかまたは1つもしくは複数の変異は1つの欠失のみを含む1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのアミノ酸中の(i)もしくは(ii)のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、軸領域誘導体は、NKG2A、NKG2D、CD23、CD64、CD72、またはCD94の約8〜約20個のアミノ酸に由来するもの等、野生型軸領域配列と比較してタンパク質分解切断に対してより耐性である。

0075

本明細書で使用する用語「連結アミノ酸」または「連結アミノ酸残基」とは、ヒンジおよび隣接免疫グロブリン定常領域間、またはヒンジおよび隣接結合ドメイン間、または2つの免疫グロブリン可変ドメインおよび隣接免疫グロブリン可変ドメインを連結するペプチドリンカー間等のポリペプチドの2つの隣接領域またはドメイン間の1つまたは複数の(例えば、約2〜10)アミノ酸残基を指す。連結アミノ酸は、ポリペプチド構築物設計(例えば、ポリペプチドをコードする核酸分子構築物中の制限酵素部位の使用に起因するアミノ酸残基)の結果であることができる。

0076

本明細書で使用する語句「CH3およびCH1またはCL間リンカー」とは、CH3ドメイン(例えば、野生型CH3または変異CH3)のC末端ならびにCH1ドメインもしくはCLドメイン(例えば、Ck)のN末端間の1つもしくは複数の(例えば、約2〜12、約2〜10、約4〜10、約5〜10、約6〜10、約7〜10、約8〜10、約9〜10、約8〜12、約9〜12、もしくは約10〜12)アミノ酸残基を指す。

0077

本明細書で使用する用語「必要としている患者」とは、治療が奏効するかまたは本明細書に提供されるPSMA結合タンパク質もしくはポリペプチドまたはその組成物を用いて改善される疾患、障害もしくは状態リスクのあるかまたはそれらを呈している患者を指す。

0078

本明細書で使用する用語「ペプチドリンカー」とは、同一の軽鎖および重鎖可変領域を含む抗体と同一標的分子に対して重鎖可変領域を軽鎖可変領域と接続し、得られたポリペプチドが特異的な結合親和性を保持するように2つの副結合ドメインの相互作用と互換性のあるスペーサー機能を提供するアミノ酸配列を指す。ある実施形態では、リンカーは、5〜約35アミノ酸、例えば、約15〜約25アミノ酸からなる。

0079

本明細書で使用する用語「医薬上許容される」とは、当該技術分野において周知である経路を用いて投与時にアレルギー性または他の重篤副作用を産生しない分子構成要素および組成物を指す。動物における、特にヒトにおける使用において、連邦もしくは州政府規制当局によって承認されているかまたは米国薬局方もしくは他の一般に認識された薬局方に掲載された分子構成要素および組成物は、「医薬上許容される」とみなされる。

0080

本明細書で使用する用語「プロモーター」とは、結合RNAポリメラーゼに関与し転写を開始するDNA領域を指す。

0081

本明細書で使用する用語「核酸」、「核酸分子」、もしくは「ポリヌクレオチド」とは、単一または二重鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドならびにそのポリマーを指す。特に限定されない限り、用語は、基準ヌクレオチドと類似の結合特性を有し、天然ヌクレオチドに類似の方法で代謝される天然核酸のアナログを含む核酸を包含する。別段の指定のない限り、特定の核酸配列はまた保存的に修飾されたその変異型(例えば、縮退コドン置換)および補体配列ならびに明白に提示された配列も暗に包含される。具体的には、縮退コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基と置換されている配列を生成することによって達成できる(Batzer et al. (1991) Nucleic Acid Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605−2608; Cassol et al. (1992); Rossolini et al. (1994) Mol. Cell. Probes 8:91−98)。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNA同義的に使用される。本明細書で使用する用語「核酸」、「核酸分子」、または「ポリヌクレオチド」とは、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを用いて生成したDNAまたはRNAアナログ、ならびにその誘導体、断片およびホモログを含むことが意図される。

0082

用語「発現」とは、核酸によってコードされる生成物生体合成を指す。例えば、目的のポリペプチドをコードする核酸セグメントの場合、発現は、mRNA内への核酸セグメント転写ならびに1つもしくは複数のポリペプチド内へのmRNA翻訳に関与する。

0083

用語「発現単位」と「発現カセット」は本明細書において同義的に使用され、目的のポリペプチドをコードする核酸セグメントを示し、宿主細胞内核酸セグメントの発現を提供することが可能である。発現単位は、典型的には、転写プロモーター、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、および転写ターミネーターをすべて作動可能な配置で含む。転写プロモーターおよびターミネーターに加えて、発現単位は、例えば、エンハンサーまたはポリアデニル化シグナル等の他の核酸セグメントをさらに含むことができる。

0084

用語「発現ベクター」とは、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の発現単位を含む線形または円形の核酸分子を指す。1つまたは複数の発現単位に加えて、発現ベクターは、例えば、1つもしくは複数の複製起源または1つもしくは複数の選択マーカー等の追加の核酸セグメントも含むことができる。発現ベクターは、一般には、プラスミドもしくはウイルスDNAに由来するかまたは両要素を含むことができる。

0085

本明細書で使用する用語「配列同一性」とは、2つ以上のポリヌクレオチド配列間または2つ以上のポリペプチド配列間の関連を指す。ある配列中の位置が比較配列の相当する位置の同一核酸塩基またはアミノ酸残基に占められる場合、配列は、該位置で「同一」と記載される。「配列同一性」の割合とは、同一核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列において生じ、「同一」位置数が得られる位置数を決定することによって計数される。次いで、「同一」位置数を比較窓中の位置の総数割り、100を掛けて「配列同一性」の割合を得る。「配列同一性」の割合とは、比較窓上の至適整列した2配列の比較によって決定する。核酸配列の比較窓は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900または1000またはそれ以上の核酸長であることができる。ポリペプチド配列の比較窓は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300またはそれ以上のアミノ酸長であることができる。比較用に配列を至適に整列するため、比較窓中の一部のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、添加またはすき間と呼ばれる欠失を含むことができ、基準配列は一定を保つ。至適アライメントは、すき間を有してさえ、基準配列と比較配列間の潜在的「同一」位置数が最も高いアライメントである。2配列間の「配列同一性」の割合は、国立生物工学情報センターから利用可能であった(2004年9月1日時点)プログラムBLAST2配列」版を用いて決定することができる。このプログラムはBLASTNプログラム(ヌクレオチド配列比較用)とBLASTPプログラム(ポリペプチド配列比較用)を組み込み、Karlin and Altschul (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(12):5873−5877, 1993)のアルゴリズムに基づく。「BLAST2配列」を利用する場合、2004年9月1日時点でデフォルトパラメーターであったパラメーターを、ワード長(3)、オープンギャップペナルティ(11)、延長ギャップペナルティ(1)、すき間の欠落(50)、期待値(10)およびマトリックス選択肢が挙げられるが、これらに限定されない他の任意の必要なパラメーターに使用することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、2配列が互いに比較して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%配列同一性を有する場合、「実質的に類似の配列同一性」または「実質的な配列同一性」を有するとみなされる。

0086

本明細書で使用する「ポリペプチド」または「ポリペプチド鎖」とは、共有結合したアミノ酸の単、線形および連続的配列である。それは、鎖内ジスルフィド結合を介して非線形状で共に連結する2つのポリペプチド鎖(例えば、軽鎖がジスルフィド結合を介して重鎖と連結する半分の免疫グロブリン分子)を含まない。ポリペプチドは、1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合を有することも形成することもできる。本明細書に記載のポリペプチドに関して、配列番号に特定されるものに相当するアミノ酸残基についての言及は、かかる残基の翻訳後の改変を含む。

0087

「タンパク質」とは、1つまたは複数のポリペプチド鎖を含む巨分子である。タンパク質は炭水化物基等の非ペプチド成分も含むことができる。炭水化物および他の非ペプチド置換基は、タンパク質が産生する、細胞によってタンパク質に加えることができ、細胞種で変わる。タンパク質は、アミノ酸骨格構造に関して本明細書において定義する;炭水化物基等の置換基は、一般に、特定されないが、存在し得る。

0088

本明細書で使用する「小モジュラー免疫薬タンパク質」またはSMIPとは、例えば、米国特許公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、および同第2005/0136049号に一般に開示されているタンパク質足場を指す。SMIP(商標)は、(商標)は、Emergent Product Development Seattle,LLC商標である。SMIPタンパク質は、結合ドメイン、ヒンジ領域および免疫グロブリン定常領域を有するポリペプチド鎖を含むことができる。

0089

用語「アミノ末端」および「カルボキシル末端」とは、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書で使用する。文脈上、無理のない限り、これらの用語は特定の配列または一部のポリペプチドに関連して使用され、近位または相対的位置を示す。例えば、ポリペプチド内の基準配列に対するカルボキシル末端に位置するある配列は、基準配列のカルボキシル末端の近位であるが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボキシル末端にある必要はない。

0090

「T細胞受容体」(TCR)は、CD3と共にT細胞表面上に見られる分子であり、一般に主な組織適合性複合体MHC)分子に結合した抗原を認識することに関与する。それは、ほとんどのT細胞内の最も可変的なαおよびβ鎖のジスルフィド結合したヘテロ二量体からなる。他のT細胞内では、可変γおよびδ鎖からなる代替的受容体が発現する。TCR各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバであり、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質尾を保有する(Abbas and Lichtman, Cellular and Molecular Immunology (5th Ed.), Editor: Saunders, Philadelphia, 2003; Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 4th Ed., Current Biology Publications, p148, 149, and 172, 1999を参照されたい)。本明細書の開示に使用されるTCRは、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物を含む様々な動物種に由来し得る。

0091

「TCR複合体」とは、本明細書で使用する場合、CD3鎖と他のTCR鎖との結合によって形成された複合体を指す。例えば、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖ホモ二量体、TCRα鎖、およびTCRβ鎖を構成することができる。あるいは、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖ホモ二量体、TCRγ鎖、およびTCRδ鎖を構成することができる。

0092

「TCR複合体の成分」とは、本明細書で使用する場合、TCR鎖(すなわち、TCRα、TCRβ、TCRγまたはTCRδ)、CD3鎖(すなわち、CD3γ、CD3δ、CD3εまたはCD3ζ)、または2つ以上のTCR鎖もしくはCD3鎖によって形成された複合体(例えば、TCRαおよびTCRβ複合体、TCRγおよびTCRδ複合体、CD3εおよびCD3δ複合体、CD3γおよびCD3ε複合体、またはTCRα、TCRβ、CD3γ、CD3δ、および2つのCD3ε鎖の副TCR複合体)を指す。

0093

「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」および「ADCC」とは、本明細書で使用する場合、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞およびマクロファージ等の単球細胞)が標的細胞上の結合抗体(またはFcγR結合が可能な他のタンパク質)を認識し、続いてその標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性プロセスを指す。本質的に、活性化FcγRを有する任意のエフェクター細胞がADCCを媒介するきっかけとなり得る。ADCCを媒介する主な細胞はNK細胞であり、これはFcγRIIIのみを発現するが、単球は、それらの活性化、局所化、または分化状態に応じて、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現することができる。造血細胞上のFcγR発現の総説については、例えば、Ravetch et al., 1991, Annu. Rev. Immunol., 9:457−92を参照されたい。

0094

用語「ADCC活性を有する」とは、ポリペプチドまたはタンパク質についての言及において本明細書で使用する場合、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、IgG(例えば、IgG1)由来等のCH2およびCH3ドメインを有する免疫グロブリンのヒンジ領域および免疫グロブリン定常領域を含むもの)は、Fc受容体(例えば、NK細胞)を発現する細胞可溶性免疫エフェクター細胞上の細胞可溶性Fc受容体(例えば、FcγRIII)の結合を介して抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)媒介が可能であることを意味する。

0095

「補体依存性細胞傷害」および「CDC」とは、本明細書で使用する場合、正常な血清中成分(「補体」)が標的抗原に結合した抗体または他のC1q−補体結合タンパク質と共に、標的抗原を発現する標的細胞の溶解を示すプロセスを指す。補体は、調和して規則正しい配列中で作用してそれらの効果を発揮する血清タンパク質群からなる。

0096

用語「従来の補体経路」および「従来の補体系」とは、本明細書で使用する場合、同義語であり、活性化の特定の経路を指す。従来の経路は、C1〜C9設計された9つの主なタンパク質成分を順に開始する抗原抗体複合体を必要とし、活性化に関与する。活性化プロセス中のいくつもの工程において、生成物は、連続工程触媒する酵素である。このカスケードは、比較的小さな初回シグナルによって大量補体の増幅および活性化を提供する。

0097

用語「CDC活性を有する」とは、ポリペプチドまたはタンパク質についての言及において本明細書で使用する場合、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、IgG(例えば、IgG1)由来等のCH2およびCH3ドメインを有する免疫グロブリンのヒンジ領域および免疫グロブリン定常領域を含むもの)は、C1q補体タンパク質の結合および従来の補体系の活性化を介して依存性細胞傷害(CDC)媒介が可能であることを意味する。

0098

「再指向T細胞の細胞傷害」および「RTCC」とは、本明細書で使用する場合、細胞傷害T細胞と標的細胞の両方に特異的結合可能な多重特異性タンパク質を用いて細胞傷害T細胞が標的細胞に補充され、標的依存性細胞傷害T細胞反応が標的細胞に対して引き出されるT細胞媒介性プロセスを指す。

0099

用語「新血管新生」と「血管形成」は、本明細書において同義的に使用される。新血管新生および血管形成は、細胞、組織、または臓器内の新規血管産出を指す。血管形成の制御は、ある病態において典型的に改変され、多くの場合、疾患関連の病的損傷は、改変されたまたは未調節の血管形成に関する。持続性、未調節の血管形成は、内皮細胞による異常増殖を特徴とするもの等の様々な病態に生じ、血管の漏出および浸透等の状態に見られる病的損傷を支持する。

0100

用語「新生血管障害」とは、増大したまたは未調節の血管形成活性に少なくとも部分的に媒介された病理を有する任意の疾患または障害を指すために本明細書で使用する。かかる疾患または障害例としては、固形腫瘍を含む様々な癌が挙げられる。PSMA過剰発現を特徴とする血管系を含むかかる疾患または障害(例えば、淡明細胞型腎細胞癌、大腸癌、膀胱癌、および肺癌等の固形腫瘍を含むある癌)は、本明細書に詳述のとおり血管形成を阻害するある治療法に特に反応する。

0101

本明細書で使用する用語「処置(treatment)」、「処置する(treating)」、または「改善する」とは、治療的処置または予防(prophylactic/preventative)処置のいずれかを指す。処置は、処置中の個体の疾患の少なくとも1つの症状を改善するかまたは処置が個体の進行性疾患悪化を遅延化することができるかまたは追加の関連疾患発現を予防する場合、治療的である。

0102

本明細書で使用する用語、特異的な結合分子または化合物の「治療的有効量(または投与量)」または「有効量(または投与量)」とは、処置中の疾患の1つまたは複数の症状の統計的有意な改善に至る化合物の十分な量を指す。各活性成分について言及時、単独投与する治療的有効量とは、成分単独を指す。併用について言及時、治療的有効量とは、連続投与するか(同一製剤でまたは別々の製剤で同時に)同時投与するかに関わらず、治療効果に至る活性成分の併用量を指す。

0103

本明細書で使用する用語「形質転換」、「トランスフェクション」、および「形質導入」とは、細胞内への核酸(すなわち、ヌクレオチドポリマー)移動を指す。本明細書で使用する用語「遺伝子形質転換」とは、細胞内へのDNA、特に組換えDNAの移動および挿入を指す。移した核酸は、発現ベクターを介して細胞内に導入できる。

0104

本明細書で使用する用語「変異型」とは、基準核酸またはポリペプチドとは異なるが、その本質的な特性を保持する核酸またはポリペプチドを指す。一般に、変異型は全体に密接に類似し、多くの領域内において基準核酸またはポリペプチドと同一である。例えば、変異型は、活性な部分または全長基準核酸またはポリペプチドと比較して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%配列同一性を示し得る。

0105

用語「軽鎖可変領域」(「軽鎖可変ドメイン」または「VL」とも呼ばれる)および「重鎖可変領域」(「重鎖可変ドメイン」または「VH」とも呼ばれる)はそれぞれ抗体軽鎖および重鎖由来の可変結合領域を指す。可変結合領域は、「補体決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として既知である不連続で十分に定義された副領域で構成されている。1つの実施形態では、FRはヒト化されている。用語「CL」、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」または「軽鎖定常領域」とは、すなわち、抗体軽鎖由来の定常領域を指す。用語「CH」とは、抗体アイソタイプに応じてCH1、CH2、およびCH3(IgA、IgD、IgG)、またはCH1、CH2、CH3、およびCH4ドメイン(IgE、IgM)にさらに分割可能な「免疫グロブリン重鎖定常領域」または「重鎖定常領域」を指す。「Fab」(抗原結合断片)は、抗原に結合する抗体の一部であり、鎖内ジスルフィド結合を介して軽鎖に連結する重鎖の可変領域およびCH1ドメインを含む。

0106

III.PSMA結合ポリペプチド、タンパク質、およびその成分
本明細書の開示は、結合ドメイン、特に、PSMAと特異的結合する第1結合ドメインを含むポリペプチドおよびタンパク質を提供する。本開示の結合ドメインを含むポリペプチドおよびタンパク質は、免疫グロブリン定常領域、リンカーペプチド、ヒンジ領域、免疫グロブリン二量体化/ヘテロ二量体化ドメイン、連結アミノ酸、タグ等をさらに含むことができる。開示されたポリペプチドおよびタンパク質のこれらの成分を以下にさらに詳述する。

0107

さらに、本明細書に開示されたPSMA結合ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の様々な異なる形態の抗体または融合タンパク質形態であることができる(例えば、融合タンパク質は、SMIP分子、PIMS分子、SCORPION分子またはインターセプター分子形態であることができる)。

0108

本発明によるPSMA結合タンパク質は、一般に(a)本明細書に説明するPSMA結合ドメインを含む少なくとも1つのPSMA結合ポリペプチド鎖を含む。あるバリエーションでは、PSMA結合ポリペプチドは、(b)PSMA結合ドメインに対するヒンジ領域カルボキシル末端、および(c)免疫グロブリン定常領域(例えば、SMIP分子)をさらに含む。さらなるバリエーションでは、PSMA結合ポリペプチドは、(d)免疫グロブリン定常領域に対する第2ヒンジ領域カルボキシル末端、および(e)第2ヒンジ領域に対する第2結合ドメインカルボキシル末端(例えば、SCORPIONポリペプチド)をさらに含む。

0109

さらに他のバリエーションでは、PSMA結合ポリペプチドは、(b)PSMA結合ドメインに対するヒンジ領域アミノ末端、および(c)ヒンジ領域に対する免疫グロブリン副領域アミノ末端(例えば、PIMSポリペプチド)を含む。

0110

典型的に、上記形態(SMIP、SCORPION、またはPIMS)のPSMA結合ポリペプチドは、典型的に免疫グロブリン定常領域および/またはヒンジ領域を介した(例えば、IgGCH2およびCH3ドメインならびにIgGヒンジ領域を含む免疫グロブリン定常領域を介した)ジスルフィド結合によりホモ二量体化が可能である。したがって、本発明のある実施形態では、2つの同一PSMA結合ポリペプチドはホモ二量体化して二量体PSMA結合タンパク質を形成する。

0111

他の実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、第2の、非同一ポリペプチド鎖中の異なるヘテロ二量体化ドメインとヘテロ二量体化が可能なヘテロ二量体化ドメインをさらに含む。あるバリエーションでは、ヘテロ二量体化のための第2ポリペプチド鎖は、第2結合ドメインを含む。したがって、本発明のある実施形態では、2つの非同一ポリペプチド鎖(1つ目はPSMA結合ドメインを含み、2つ目は任意に第2結合ドメインを含む)は二量体化してヘテロ二量体PSMA結合タンパク質を形成する。

0112

PSMA結合ポリペプチド、タンパク質、およびそれらの様々な成分について、本明細書の以下に詳述する。

0113

A.結合ドメイン
上に示したように、本明細書に開示の免疫グロブリン結合ポリペプチドは、PSMAと特異的結合する結合ドメインを含む。一部のバリエーションでは、PSMA結合ドメインは、配列番号5および配列番号2にそれぞれ示すアミノ酸配列(例えば、mAb 107−1A4)を有するVLおよびVH領域を有する抗体、または配列番号21に示すアミノ酸配列を有する単鎖Fv(scFv)とPSMA結合において競合可能である。ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、(i)CDRLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)、ならびに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含む。適切なPSMA結合ドメインとしては、mAb 107−1A4由来のVLおよびVH領域を有するものが挙げられる。一部のかかる実施形態では、LCDR3は配列番号17で表されるアミノ酸配列を有し、ならびに/またはHCDR3は配列番号11で表されるアミノ酸配列を有し、ならびにLCDR1およびLCDR2は任意にそれぞれ配列番号15および配列番号16で表されるアミノ酸配列を有し、HCDR1およびHCDR2は任意にそれぞれ配列番号9および配列番号10で表されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、例えば、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、それぞれ配列番号15、16、および17に示すアミノ酸配列を有する;ならびに/またはHCDR1、HCDR2、およびHCDR3は、それぞれ配列番号9、10、および11に示すアミノ酸配列を有する。

0114

ある実施形態では、PSMA結合タンパク質は、PSMA以外の標的に結合する1つまたは複数の追加の結合ドメイン(例えば、第2結合ドメイン)を含むことができる。これらの他の標的分子は、例えば、特定の細胞種、毒素、追加の細胞受容体、抗体等への結合ドメインポリペプチドを標的とする特定のサイトカインまたは分子を含むことができる。

0115

ある実施形態では、結合ドメインは、例えば、インターセプターまたはSCORPION分子部分として、T細胞補充のためのTCR結合ドメインを含み、PSMA発現細胞を標的とすることができる。ある実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドヘテロ二量体は、TCR複合体もしくはその成分(例えば、TCRα、TCRβ、CD3γ、CD3δ、およびCD3ε)に特異的結合する結合ドメインならびにPSMAに特異的結合する別の結合ドメインを含むことができる。

0116

本開示の結合ドメインが由来し得る例示的な抗CD3抗体としては、CRIS−7モノクローナル抗体(Reinherz, E. L. et al. (eds.), Leukocyte typingII., Springer Verlag, New York, (1986);それぞれ配列番号153
(QVVLTQSPAIMAFPGEKVTMTSASSSVSYMNWYQQKSGTPKRWIYDSS
KLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMETEDAATYYCQQWSRNPPTFGGGTKLQITR)および配列番号154
(QVQLQQSGAELARPGSVMSCKASGYTFTRSTMHWVKQRPGQGLEWIGYINP
SSAYTNYNQKFKDKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCASPQVHYDYNGFPYWGQGTLVTVSA))に示されるVLおよびVHアミノ酸配列;HuM291(Chau et al. (2001) Transplantion 71:941−950;それぞれ配列番号86(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSV
SYMNWYQQKPGAPKRLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIK)および配列番号87(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFISY
MHVRQAPGQGLEWMGYINPRSGYTHYNQKLKDKATLTADKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSAYYDYDGFAYWGQGTLVTVSS))に示されるVLおよびVHアミノ酸配列;BC3モノクローナル抗体(Anasetti et al. (1990) J. Exp. Med. 172:1691);OKT3モノクローナル抗体(Ortho multicenter Transplant Study Group (1985) N. Engl. J. Med. 313:337)およびOKT3 ala−ala等のその誘導体(OKT3 AA−FLまたはOKT3 FLとも呼ばれる)、234位および235位にアラニン置換を有するヒト化Fc変異型(Herold et al. (2003) J. Clin. Invest. 11:409);ビジリズマブ(Carpenter et al. (2002) Blood 99:2712)、G19−4モノクローナル抗体(Ledbetter et al., 1986, J. Immunol. 136:3945)ならびに145−2C11モノクローナル抗体(Hirsch et al. (1988) J. Immunol. 140: 3766)が挙げられる。例示的な抗TCR抗体は、BMA031モノクローナル抗体である(Borst et al. (1990) Human Immunology 29:175−188)。

0117

いくつかの実施形態では、結合ドメインは、目的の標的に特異的なVHおよびVL領域を含む単鎖Fv断片(scFv)である。ある実施形態では、VHおよびVL領域は、ヒトである。

0118

ある実施形態では、PSMA結合ドメインは、配列番号19、21、30、31、34または35のscFvのアミノ酸配列を含むかまたは、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一のscFvである。

0119

関連実施形態では、PSMA結合ドメインは、軽鎖可変領域(VL)(例えば、配列番号23)または重鎖可変領域(VH)(例えば、配列番号25または配列番号27)のアミノ酸配列、または両方を含むかまたは、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または100%同一の配列である。

0120

さらなる実施形態では、各CDRは、目的の標的(例えば、PSMA)に特異的結合するモノクローナル抗体またはその断片もしくは誘導体由来と比較して1つ、2つ、または3つ以下の置換、挿入または欠失を含む。

0121

CD3εに特異的結合する第2結合ドメインを含むPSMA結合タンパク質のいくつかの実施形態では、第2結合ドメインは、CRIS−7またはHuM291モノクローナル抗体とCD3ε結合において競合する。あるバリエーションでは、CD3結合ドメインは、CRIS−7またはHuM291モノクローナル抗体に由来する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)および免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含む(例えば、第2結合ドメインのVLおよびVHは、モノクローナル抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRをそれぞれ含むヒト化可変領域であることができる)。例えば、CRIS−7に由来するVLおよびVH領域は、(a)配列番号47の残基139〜245で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVL領域ならびに配列番号47の残基1〜122で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVH領域、ならびに(b)配列番号78の残基634〜740で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVL領域、ならびに配列番号78の残基496〜616で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%もしくは100%同一のアミノ酸配列を含むVH領域から選択できる。

0122

ある実施形態では、本明細書に開示の結合ドメインVLおよび/またはVH領域は、既知のモノクローナル抗体(例えば、107−1A4、CRIS−7、またはHuM291)のVLおよび/またはVHに由来し、既知のモノクローナル抗体のVLおよび/またはVHと比較して約1つまたは複数の(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)挿入、約1つまたは複数の(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)欠失、約1つまたは複数の(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)、または上記変化の組み合わせを含む。各CDRが変化を含まないかまたは最大1つ、2つ、または3つの変化を含み、修飾VLおよび/またはVH領域を含む結合ドメインを提供し、依然として野生型結合ドメインに類似の親和性でその標的と特異的結合することができる場合、挿入(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)または置換(1つまたは複数)は、VLおよび/またはVH領域内(本領域のアミノまたはカルボキシル末端または両端を含む)の任意の箇所であることができる。

0123

一部のバリエーションでは、結合ドメインは、ペプチドリンカーによって結合する免疫グロブリンVLおよびVH領域を含む単鎖Fv(scFv)である。VLおよびVH領域に結合するためのペプチドリンカーの使用は、当該技術分野において周知であり、大量の刊行物がこの特定の分野に存在する。広範囲に使用されるペプチドリンカーは、Gly−Gly−Gly−Gly−Serアミノ酸配列の3反復(Gly4Ser)3)(配列番号152)からなる15merである。他のリンカーも使用されており、ファージディスプレイ技術ならびに選択的感染性ファージ技術が適切なリンカー配列多様化するおよび選択に使用されている(Tang et al., J. Biol. Chem. 271, 15682−15686, 1996; Hennecke et al., Protein Eng. 11, 405−410, 1998)。ある実施形態では、VLおよびVH領域は、式(Gly4Ser)n、式中n=1〜5(配列番号165)を含むアミノ酸配列を有するペプチドリンカーによって結合する。他の適切なリンカーは、無作為変異法を介した単純リンカー(例えば(Gly4Ser)n)の至適化によって得ることができる。

0124

ある実施形態では、結合ドメインは、ヒト化免疫グロブリンVLおよび/またはVH領域を含む。ヒト化免疫グロブリンVLおよびVH領域技術は、当該技術分野において知られており、例えば、米国特許出願第2006/0153837号に論じられている。

0125

「ヒト化」は、元の分子の抗原結合特性を完全に保持する免疫原性の低い抗体に至ることが予期される。元の抗体のすべての抗原結合特性を保持するために、その抗原結合部位構造は「ヒト化」版で再産生されるべきである。これは、重要なフレームワーク残基を保持するかまたは保持しないヒト可変フレームワークドメインおよび定常領域上に非ヒトCDRのみグラフトすることによって(Jones et al., Nature 321:522(1986); Verhoeyen et al., Science 239:1539 (1988))または(リガンド結合特性を保持するための)完全非ヒト可変ドメイン再結合によって、ただし(抗原性を低減するために)露出残基の慎重な置換を介してヒト様表面でそれらを「覆う」ことによって(Padlan, Molec. Immunol. 28:489 (1991))達成できる。

0126

本質的に、CDRグラフトによるヒト化は、ヒト可変領域フレームワークおよびヒト定常領域上の非ヒト抗体CDRのみの再結合に関与する。理論的に、これは、免疫原性を実質的に低減または除去するべきである(アロタイプまたはイディオタイプ差が存在する場合を除く)。しかしながら、元の抗体の一部フレームワーク残基も保持する必要があり得ることが報告されている(Reichmann et al., Nature, 332:323 (1988); Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10,029 (1989))。

0127

保持する必要があるフレームワーク残基は、コンピュータモデル化により同一性に従う。あるいは、重要なフレームワーク残基は、既知の抗原結合部位構造の比較によって潜在的に同定できる(Padlan, Molec. Immunol., 31(3):169−217 (1994)、参照によって本明細書に組み込まれる)。

0128

抗原結合に潜在的に影響を及ぼす残基は、数群に分類される。第1群は、抗原部位表面と連続的な残基を含み、したがって、抗原と直接接触させることができる。これらの残基は、アミノ末端残基およびCDR隣接部を含む。第2群は、抗体のCDRまたは別のペプチド鎖に接触することによってCDRの構造または相対的アライメントを改変し得る残基を含む。第3群は、可変ドメインの構造的完全性に影響し得る埋没した側鎖を有するアミノ酸を含む。これらの群の残基は、通常、同位置に見られるが(上記Padlan, 1994)、同定されるそれらの位置は番号付け系に応じて異なり得る(Kab et al., “Sequences of proteins of immunological interest, 5th ed., Pub. No. 91−3242, U.S. Dept. Health & Human Services, NIH, Bethesda, Md., 1991を参照されたい)。

0129

本明細書に記載の実施形態は、SMIP、SCORPION、およびインターセプター分子のヒト化に関与し、抗体に関与しないが、当該技術分野におけるヒト化抗体に関する知識は本発明によるポリペプチドに適応可能である。

0130

B.ヒンジ領域
ある実施形態では、ヒンジは、野生型ヒト免疫グロブリンのヒンジ領域である。ある他の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基を、融合タンパク質構築物設計の一部として野生型免疫グロブリンのヒンジ領域のアミノまたはカルボキシル末端に追加することができる。例えば、ヒンジアミノ末端への追加の連結アミノ酸残基は「RT」、「RSS」、「TG」、または「T」であることもでき、ヒンジカルボキシル末端は「SG」であることもでき、ヒンジ欠失は、カルボキシル末端で追加された「SG」を有するΔP等、添加と組み合わせることもできる。

0131

ある実施形態では、ヒンジは、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域内の1つまたは複数のシステイン残基が1つまたは複数の他のアミノ酸残基(例えば、セリンまたはアラニン)と置換された改変免疫グロブリンヒンジである。

0132

例示的な改変免疫グロブリンヒンジとしては、1つ、2つまたは3つの異なるアミノ酸残基(例えば、セリンまたはアラニン)によって置換された野生型ヒトIgG1ヒンジに見られる1つ、2つまたは3つのシステイン残基を有する免疫グロブリンヒトIgG1ヒンジ領域が挙げられる。改変免疫グロブリンヒンジは、別のアミノ酸(例えば、セリンまたはアラニン)と置換されたプロリンをさらに有することができる。例えば、上記の改変ヒトIgG1ヒンジは、別のアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン)によって置換された野生型ヒトIgG1ヒンジ領域の3つのシステインに対するカルボキシル末端に位置するプロリンをさらに有することができる。1つの実施形態では、核ヒンジ領域のプロリンは置換されていない。

0133

ある実施形態では、ヒンジポリペプチドは、野生型ヒトIgG1ヒンジ、野生型ヒトIgG2ヒンジ、または野生型ヒトIgG4ヒンジ等の野生型免疫グロブリンのヒンジ領域を含むかまたは、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一の配列である。

0134

さらなる実施形態では、PSMA結合ポリペプチドに存在するヒンジは、免疫グロブリンヒンジに基づかないかまたは由来しない(すなわち、野生型免疫グロブリンヒンジまたは改変免疫グロブリンヒンジではない)ヒンジであり得る。かかるヒンジ例としては、膜貫通型タンパク質のインタードメイン領域または2型C−レクチンの軸領域に由来する約5〜約150個のアミノ酸ペプチド、例えば、約8〜25アミノ酸ペプチドおよび約7〜18アミノ酸ペプチドが挙げられる。

0135

ある実施形態では、インタードメインまたは軸領域ヒンジは、7〜18アミノ酸を有し、αらせん状に巻いた巻き構造を形成することができる。ある実施形態では、インタードメインまたは軸領域ヒンジは、0、1、2、3、または4システインを含む。例示的なインタードメインまたは軸領域ヒンジは、CD69、CD72、CD94、NKG2AおよびNKG2D軸領域由来の10〜150個のアミノ酸断片等のインタードメインまたは軸領域のペプチド断片である。

0136

ある実施形態では、ヒンジ配列は、約5〜150個のアミノ酸、5〜10個のアミノ酸、10〜20個のアミノ酸、20〜30個のアミノ酸、30〜40個のアミノ酸、40〜50個のアミノ酸、50〜60個のアミノ酸、5〜60個のアミノ酸、5〜40個のアミノ酸、8〜20個のアミノ酸、または10〜15アミノ酸を有する。ヒンジは、主に可塑性であることができるが、より硬い特徴を提供することも、最小のβシート構造を有する主にαらせん状構造を含むこともできる。ヒンジの長さまたは配列は、ヒンジが直接または間接的に(ヘテロ二量体化ドメイン等の別の領域またはドメインを介して)接続した結合ドメインの結合親和性、ならびにヒンジが直接または間接的に接続したFc領域部分の1つもしくは複数の活性に影響を及ぼすことができる。

0137

ある実施形態では、ヒンジ配列は、血漿および血清中で安定し、タンパク質分解切断に耐性である。IgG1上ヒンジ領域内第1リジンは、タンパク質分解切断を最小限に抑えるように変異していることができる、例えば、リジンは、メチオニントレオニン、アラニンまたはグリシンと置換されることができるか、またが欠失していることができる。

0138

本発明のいくつかの実施形態では、PSMA結合ポリペプチドは、第2ポリペプチド鎖を有するヘテロ二量体を形成可能であり、(a)免疫グロブリン定常領域に対するアミノ末端近位(例えば、免疫グロブリン定常領域がCH2およびCH3ドメインを含むアミノ末端〜CH2ドメイン、または免疫グロブリン副領域がCH3およびCH4ドメインを含むアミノ末端〜CH3ドメイン)で、(b)結合ドメイン(例えば、scFv)と免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン間に介入されてそれらを接続し、(c)(例えば、免疫グロブリン定常領域がCH2およびCH3ドメインまたはCH3およびCH4ドメインを含む)免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインと免疫グロブリン定常領域間に介入されてそれらを接続し、(d)免疫グロブリン定常領域と結合ドメイン間に介入されてそれらを接続し、(e)ポリペプチド鎖のアミノ末端にあるか、または(F)ポリペプチド鎖のカルボキシル末端にあるヒンジ領域を含む。本明細書に記載のヒンジ領域を含むポリペプチド鎖は、異なるポリペプチド鎖と結合して本明細書に提供されるヘテロ二量体タンパク質を形成可能であり、形成されたヘテロ二量体はその標的特異性またはその特異的な標的結合親和性を保持する結合ドメインを含む。

0139

ある実施形態では、別のポリペプチド鎖とヘテロ二量体を形成するポリペプチドに存在するヒンジは、野生型免疫グロブリンのヒンジ領域またはその改変免疫グロブリンのヒンジ領域等の免疫グロブリンヒンジであることができる。ある実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の一方のポリペプチド鎖のヒンジは、ヘテロ二量体の他方のポリペプチド鎖の相当するヒンジと同一である。ある他の実施形態では、ある鎖のヒンジは、他鎖と(長さまたは配列が)異なる。異なる鎖中の異なるヒンジに、ヒンジが接続している結合ドメインの結合親和性の異なる操作をさせ、ヘテロ二量体がある結合ドメイン標的に対して他の結合ドメイン標的より選択的に結合可能であるようにする。例えば、ある実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、片鎖にCD3またはTCR結合ドメインを有し、他方鎖にPSMA結合ドメインを有する。2鎖中に2つの異なるヒンジを有することは、ヘテロ二量体をまずPSMAに結合させて、次いでCD3または他のTCR成分に結合させ得る。したがって、ヘテロ二量体は、CD3+T細胞をPSMA発現細胞(例えば、PSMA発現腫瘍細胞)に補充し得、これは順に、PSMA発現細胞を損傷または破壊し得る。

0140

本発明による使用に適した例示的なヒンジ領域を下表1および2に示す。追加の例示的なヒンジ領域は、WO2011/090762号の配列番号241〜244、601、78、763〜791、228、379〜434、618〜749(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。

0141

C.免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン
ある実施形態では、本発明のPSMA結合ポリペプチドまたはタンパク質は、「免疫グロブリン二量体化ドメイン」または「免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン」を含むことができる。

0142

「免疫グロブリン二量体化ドメイン」または「免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン」とは、本明細書で使用する場合、別のポリペプチド鎖の異なる免疫グロブリンドメインと選択的に相互作用するかまたは結合するポリペプチド鎖の免疫グロブリンドメインを指し、異なる免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの相互作用は、第1および第2ポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に実質的に関与するかまたは効率的に促進する(すなわち、「ヘテロ二量体」または「ヘテロ二量体タンパク質」とも呼ばれる2つの異なるポリペプチド鎖間の二量体形成)。第1ポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインおよび/または第2ポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの不在下で第1および第2ポリペプチド鎖間の二量体化に統計的有意な低下がある場合、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン間の相互作用は、第1および第2ポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に「実質的に関与するかまたは効率的に促進する」。ある実施形態では、第1および第2ポリペプチド鎖が共発現する場合、互いに少なくとも60%、少なくとも約60%〜約70%、少なくとも約70%〜約80%、少なくとも80%〜約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の第1および第2ポリペプチド鎖形態ヘテロ二量体である。代表的な免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしては、本明細書に提供される野生型免疫グロブリンCH1およびCLドメインならびに改変(または変異)免疫グロブリンCH1およびCLドメインを含む免疫グロブリンCH1ドメイン、免疫グロブリンCL1ドメイン(例えば、CκまたはCλアイソタイプ)、またはその誘導体が挙げられる。

0143

二量体化/ヘテロ二量体化ドメインは、片方または両ポリペプチド鎖が結合ドメインを含む2つの非同一ポリペプチド鎖からヘテロ二量体を形成することが所望される場合に使用することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のあるヘテロ二量体の一方のポリペプチド鎖メンバは、結合ドメインを含まない。上に示したように、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質は、各ポリペプチド鎖中に免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを含む。ヘテロ二量体のポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは互いに異なるため、両鎖のヘテロ二量体化を促進して片鎖のホモ二量体化を最小限に抑えるように異なって修飾することができる。実施例に示すように、本明細書に提供される免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、異なるポリペプチド間の効率的なヘテロ二量体化を可能とし、得られたヘテロ二量体タンパク質の精製を促進する。

0144

本明細書に提供されるように、本明細書の開示によって2つの異なる単鎖ポリペプチド(例えば、一方は短く、一方は長い)のヘテロ二量体化を促進する上で有用な免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしては、免疫グロブリンCH1およびCLドメイン、例えば、ヒトCH1およびCLドメインが挙げられる。ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、野生型IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、またはIgMCH1ドメイン等の野生型CH1ドメインである。さらなる実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、PCT公開WO2011/090762号の配列番号114、186〜192および194(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)にそれぞれ説明される野生型ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、またはIgM CH1ドメインである。ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、WO2011/090762号の配列番号114(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される野生型ヒトIgG1 CH1ドメインである。

0145

さらなる実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、改変IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、またはIgMCH1ドメイン等の改変免疫グロブリンCH1ドメインである。ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、改変ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、またはIgM CH1ドメインである。なおさらなる実施形態では、野生型免疫グロブリンCLドメイン(例えば、ヒトCL)とのジスルフィド結合形成に関与する野生型CH1ドメイン(例えば、ヒトCH1)のシステイン残基は、改変CH1ドメインと野生型CLドメイン間でジスルフィド結合が形成されないように、改変免疫グロブリンCH1ドメイン中で欠失しているかまたは置換されている。

0146

ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、野生型Cκドメインまたは野生型Cλドメイン等の野生型CLドメインである。ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、WO2011/090762号の配列番号112および113(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)にそれぞれ説明される野生型ヒトCκまたはヒトCλドメインである。さらなる実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、改変CκまたはCλドメイン、例えば、改変ヒトCκまたはヒトCλドメイン等の改変免疫グロブリンCLドメインである。

0147

ある実施形態では、野生型免疫グロブリンCH1ドメイン(例えば、ヒトCH1)とのジスルフィド結合形成に関与する野生型CLドメイン(例えば、ヒトCL)のシステイン残基は、改変免疫グロブリンCLドメイン中で欠失しているかまたは置換されている。かかる改変CLドメインは、それらのアミノ末端にアミノ酸欠失をさらに含むことができる。例示的なCκドメインは、野生型ヒトCkドメインの第1アルギニンおよび最終システインが共に欠失しているWO2011/090762号の配列番号141(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。ある実施形態では、野生型ヒトCkドメインから欠失した第1アルギニンは、そのカルボキシル末端にアルギニンを有し、改変Ckドメインのアミノ末端を別のドメイン(例えば、免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む副領域等の免疫グロブリン副領域)と連結するリンカーによって提供できるため、改変Ckドメイン中で野生型ヒトCkドメインの最終システインのみ欠失している。例示的なCλドメインは、野生型ヒトCλドメインの第1アルギニンが欠失し、CH1ドメイン中のシステインとのジスルフィド結合形成に関与するシステインがセリンによって置換されているWO2011/090762号の配列番号140(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。

0148

さらなる実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、野生型Cκドメインと比較して、Cκ−Cκ界面で鎖内水結合ネットワーク形成に関与し得る位置で1つまたは複数のアミノ酸置換を含む改変Cκドメインである。例えば、ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、異なるアミノ酸と置換されるN29、N30、Q52、V55、T56、S68またはT70位に1つまたは複数のアミノ酸を有する改変ヒトCκドメインである。アミノ酸番号は、WO2011/090762号の配列番号141(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される改変ヒトCκ配列中のそれらの位置に基づく。ある実施形態では、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、N29、N30、V55、またはT70位に1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を有する改変ヒトCκドメインである。上記位置で置換基として使用されるアミノ酸は、アラニンであることも、アルギニン、トリプトファン、チロシン、グルタミン酸塩、グルタミン、またはリジン等の大量側鎖部分を有するアミノ酸残基であることもできる。野生型ヒトCk配列のアミノ酸残基を上記位置(例えば、N30)で置換するために使用することができる追加のアミノ酸残基としては、アスパラギン酸塩、メチオニン、セリンおよびフェニルアラニンが挙げられる。例示的な改変ヒトCκドメインは、WO2011/090762号の配列番号142〜178(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。改変ヒトCκドメインは、CH1ドメインとのヘテロ二量体化を促進するが、別のCκドメインとのホモ二量体化を最小限に抑えるものである。代表的な改変ヒトCκドメインは、WO2011/090762号の配列番号160(N29W V55A T70A)、161(N29Y V55A T70A)、202(T70E N29A N30A V55A), 167 (N30R V55A T70A), 168 (N30K V55A T70A), 170 (N30E V55A T70A), 172 (V55R N29A N30A), 175 (N29W N30Y V55A T70E), 176 (N29Y N30Y V55A T70E), 177 (N30E V55A T70E), 178 (N30Y V55A T70E), 838 (N30D V55A T70E), 839(N30M V55A T70E)、840(N30S V55A T70E)、および841(N30F V55A T70E)(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。

0149

ある実施形態では、本明細書に記載のCkドメイン変異に加えてまたは代替的に、ポリペプチドヘテロ二量体の両免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン(すなわち、免疫グロブリンCH1およびCLドメイン)は、得られた免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインが変異部位でアミノ酸残基間に塩架橋(すなわち、イオン性相互作用)を形成するように変異を有する。例えば、ポリペプチドヘテロ二量体の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、変異Ckドメインと組み合わせた変異CH1ドメインであることができる。変異CH1ドメイン中、野生型ヒトCH1ドメインの68位のバリン(V68)は、負電荷を有するアミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩)によって置換されているが、第1アルギニンおよび最終システインが欠失している変異ヒトCkドメインの29位のロイシン(L29)は、正電荷を有するアミノ酸残基(例えば、リジン、アルギニンまたはヒスチジン)によって置換されている。得られた変異CH1ドメインの負電荷を有するアミノ酸残基と得られた変異Ckドメインの正電荷を有するアミノ酸残基間の電荷−電荷相互作用は塩架橋を形成し、これは変異CH1およびCkドメイン間のヘテロ二量体界面を安定させる。あるいは、野生型CH1のV68は、正電荷を有するアミノ酸残基によって置換されることができるが、第1アルギニンおよび最終システインが欠失している変異ヒトCkドメインのL29は、負電荷を有するアミノ酸残基によって置換されることができる。V68が負電荷または正電荷のいずれかを有するアミノ酸によって置換されている例示的な変異CH1配列は、WO2011/090762号の配列番号844および845(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。L29が負電荷または正電荷のいずれかを有するアミノ酸によって置換されている例示的な変異Ck配列は、WO2011/090762号の配列番号842および843(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される。

0150

CH1ドメインのV68およびCkドメインのL29中の変異に加えてまたは代替的に、ヒトCH1ドメインのV68およびヒトCkドメインのL29以外の位置は、逆電荷を有するアミノ酸と置換されて、アミノ酸間でイオン性相互作用を生じることができる。かかる位置は、無作為変異法、CH1−Ck対の結晶構造分析等の任意の適切な方法により同定し、一連の基準(例えば、イオン性相互作用に関与する傾向、潜在的パートナー残基への接近等)を用いてCH1−Ck界面でアミノ酸残基を同定し、CH1−Ck界面でアミノ酸残基間の適切な位置をさらに同定することができる。

0151

ある実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドヘテロ二量体は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを1対のみ含む。例えば、ポリペプチドヘテロ二量体の第1鎖は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしてCH1ドメインを含むことができ、第2鎖は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしてCLドメイン(例えば、CκまたはCλ)を含むことができる。あるいは、第1鎖は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしてCLドメイン(例えば、CκまたはCλ)を含むことができ、第2鎖は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしてCH1ドメインを含むことができる。本明細書に説明する第1および第2鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、結合して本開示のヘテロ二量体タンパク質を形成することが可能である。

0152

ある他の実施形態では、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質は、免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインを2対有することができる。例えば、ヘテロ二量体の第1鎖は、2つのCH1ドメインを含むことができ、第2鎖は、第1鎖中の2つのCH1ドメインに関する2つのCLドメインを有することができる。あるいは、第1鎖は、2つのCLドメインを含むことができ、第2鎖は、第1鎖中の2つのCLドメインに関する2つのCH1ドメインを有することができる。ある実施形態では、第1ポリペプチド鎖は、CH1ドメインおよびCLドメインを含み、第2ポリペプチド鎖は、第1ポリペプチド鎖のCH1ドメインおよびCLドメインにそれぞれ結合するCLドメインおよびCH1ドメインを含む。

0153

ヘテロ二量体タンパク質が一方のヘテロ二量体化対(すなわち、各鎖の1つの免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン)のみ含む実施形態では、各鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するアミノ末端に位置することができる。あるいは、各鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するカルボキシル末端に位置することができる。

0154

ヘテロ二量体タンパク質が2つのヘテロ二量体化対(すなわち、各鎖の2つの免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン)を含む実施形態では、各鎖の両免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインが、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するアミノ末端に位置することができる。あるいは、各鎖の両免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインが、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するカルボキシル末端に位置することができる。さらなる実施形態では、各鎖の1つの免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するアミノ末端に位置することができ、各鎖の他の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインは、該鎖の免疫グロブリン定常領域に対するカルボキシル末端に位置することができる。すなわち、それらの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、各鎖の2つの免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン間に介入する。

0155

D.免疫グロブリン定常領域
本明細書において示されるように、ある実施形態では、本明細書に開示のPSMA結合ポリペプチド(例えば、SMIP、PIMS、SCORPION、およびインターセプター分子)は各ポリペプチド鎖中に免疫グロブリン定常領域(定常領域とも呼ばれる)を含む。免疫グロブリン定常領域の含有によって、対象に投与後、循環由来の2つのPSMA結合ポリペプチド鎖から形成されたホモ二量体およびヘテロ二量体タンパク質のクリアランス緩慢化する。変異または他の改変によって、免疫グロブリン定常領域は、当該技術分野において知られており本明細書に記載のように、二量体ポリペプチドエフェクター機能(例えば、ADCC、ADCP、CDC、補体固定、およびFc受容体への結合)の調節をさらに比較的容易にすることができ、処置中の疾患に応じて増大することも低減することもできる。ある実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドホモ二量体およびヘテロ二量体のポリペプチド鎖の片方または両方の免疫グロブリン定常領域は、1つまたは複数のこれらのエフェクター機能の媒介が可能である。他の実施形態では、1つまたは複数のこれらのエフェクター機能は、相当する野生型免疫グロブリン定常領域と比較して、本明細書に開示のポリペプチドホモ二量体およびヘテロ二量体のポリペプチド鎖の片方または両方の免疫グロブリン定常領域内で低減または欠損する。例えば、(例えば、CD3結合ドメインの含有を介して)RTCCを引き出すように設計された二量体PSMA結合ポリペプチドにおいて、免疫グロブリン定常領域は、好ましくは、相当する野生型免疫グロブリン定常領域と比較して、エフェクター機能が低減しているか有さない。

0156

本明細書に開示のPSMA結合ポリペプチドに存在する免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、もしくは任意のそれらの組み合わせの一部またはすべてを含んでもそれらに由来してもよい。例えば、免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH2およびCH3の両ドメイン、CH3およびCH4の両ドメイン、2つのCH3ドメイン、CH4ドメイン、2つのCH4ドメイン、およびCH2ドメインおよび一部のCH3ドメインを含むことができる。

0157

本明細書に開示のPSMA結合ポリペプチドの免疫グロブリン定常領域を形成することができるCH2ドメインは、ある免疫グロブリンクラスもしくはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgD)由来および様々な種(ヒト、マウス、ラット、および他の哺乳動物等)由来の野生型免疫グロブリンCH2ドメインであることもその改変免疫グロブリンCH2ドメインであることもできる。

0158

ある実施形態では、CH2ドメインは、例えばPCT公開WO2011/090762号の配列番号115、199〜201および195〜197(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)にそれぞれ説明されるヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの野生型CH2ドメイン等の野生型ヒト免疫グロブリンCH2ドメインである。ある実施形態では、CH2ドメインは、WO2011/090762号の配列番号115(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)で表される野生型ヒトIgG1 CH2ドメインである。

0159

ある実施形態では、CH2ドメインは、297位のアスパラギンでアミノ酸置換(例えば、アスパラギンからアラニンへの置換)を含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)である。かかるアミノ酸置換は、この部位でグリコシル化を低減するかまたは除き、FcγRおよびC1qへの効率的Fc結合を無効にする。297位でAsnをAlaと置換した改変ヒトIgG1 CH2ドメイン配列は、WO2011/090762号の配列番号324で表される(前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)。

0160

ある実施形態では、CH2ドメインは、234〜238位に少なくとも1つの置換または欠失を含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)である。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、234位、235位、236位、237位もしくは238位、234位および235位、234位および236位、234位および237位、234位および238位、234〜236位、234位、235位および237位、234位、236位および238位、234位、235位、237位、および238位、236〜238位、または234〜238位の2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸の他の任意の組み合わせの置換を含むことができる。加えてまたは代替的に、改変CH2領域は、234〜238位、例えば、236位または237位の1つの1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つの)アミノ酸欠失を含み、他の位置は置換されていることができる。上記変異(1つまたは複数)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性またはFc受容体結合能を低減または除去する。ある実施形態では、234〜238位の1つまたは複数位置のアミノ酸残基は、1つまたは複数のアラニン残基と置換されている。さらなる実施形態では、234〜238位のアミノ酸残基の1つのみが欠失しているが、234〜238位の残りのアミノ酸の1つまたは複数は、別のアミノ酸(例えば、アラニンまたはセリン)と置換されることができる。

0161

ある他の実施形態では、CH2ドメインは、253位、310位、318位、320位、322位、および331位のアミノ酸置換を1つまたは複数含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)である。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、253位、310位、318位、320位、322位、もしくは331位、318位および320位、318位および322位、318位、320位および322位、または253位、310位、318位、320位、322位、および331位の2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つのアミノ酸の他の任意の組み合わせの置換を含むことができる。上記変異(1つまたは複数)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の補体依存性細胞傷害(CDC)を低減または除去する。

0162

ある他の実施形態では、297位のアミノ酸置換に加えて、改変CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、234〜238位に1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つの)追加の置換をさらに含むことができる。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、297位に加えて、234位および297位、234位、235位、および297位、234位、236位および297位、234〜236位および297位、234位、235位、237位および297位、234位、236位、238位および297位、234位、235位、237位、238位および297位、236〜238位および297位、または234〜238位の2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸の任意の組み合わせの置換を含むことができる。加えてまたは代替的に、改変CH2領域は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つの)アミノ酸欠失、236位または237位等の234〜238位を含むことができる。追加の変異(1つまたは複数)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性またはFc受容体結合能を低減または除去する。ある実施形態では、234〜238位の1つまたは複数位置のアミノ酸残基は、1つまたは複数のアラニン残基と置換されている。さらなる実施形態では、234〜238位のアミノ酸残基の1つのみが欠失しているが、234〜238位の残りのアミノ酸の1つまたは複数は、別のアミノ酸(例えば、アラニンまたはセリン)と置換されることができる。

0163

ある実施形態では、234〜238位の1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つの)アミノ酸置換に加えて、本明細書に開示の融合タンパク質中の変異CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、補体固定(例えば、I253、H310、E318、K320、K322、またはP331位)に関与する1つまたは複数の位置に1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの)追加のアミノ酸置換(例えば、アラニンとの置換)を含むことができる。変異免疫グロブリンCH2領域例としては、234位、235位、237位(存在する場合)、318位、320位および322位にアラニン置換を有するヒトIgG1、IgG2、IgG4およびマウスIgG2a CH2領域を含む。例示的な変異免疫グロブリンCH2領域は、L234、L235、G237、E318、K320、およびK322にアラニン置換を有するマウスIGHG2c CH2領域である。

0164

なおさらなる実施形態では、297位のアミノ酸置換ならびに234〜238位の追加の欠失(1つまたは複数)もしくは置換(1つまたは複数)に加えて、改変CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、253位、310位、318位、320位、322位、および331位に1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの)追加の置換をさらに含むことができる。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、(1)297位の置換、(2)234〜238位の1つもしくは複数の置換もしくは欠失またはそれらの組み合わせ、ならびにE318、K320およびK322位の1つ、2つ、3つの置換等のI253、H310、E318、K320、K322、およびP331位の1つもしくは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの)アミノ酸置換を含むことができる。上記位置のアミノ酸は、アラニンまたはセリンによって置換されることができる。

0165

ある実施形態では、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、以下(i)297位のアスパラギンのアミノ酸置換ならびに234位、235位、236位もしくは237位の1アミノ酸置換;(ii)297位のアスパラギンのアミノ酸置換および234〜237位の2つのアミノ酸置換;(iii)297位のアスパラギンのアミノ酸置換および234〜237位のうち3つのアミノ酸置換;(iv)297位のアスパラギンのアミノ酸置換、234位、235位および237位のアミノ酸置換、および236位のアミノ酸欠失;(v)234〜237位のうち3つのアミノ酸置換、ならびに318位、320位および322位のアミノ酸置換;または(vi)234〜237位のうち3つのアミノ酸置換、236位のアミノ酸欠失、ならびに318位、320位および322位のアミノ酸置換を含む。

0166

297位のアスパラギンでアミノ酸置換を有する例示的な改変免疫グロブリンCH2領域としては、L234、L235、G237およびN297にアラニン置換を有し、G236で欠失しているヒトIgG1 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号325、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、V234、G236、およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG2CH2領域(WO2011/090762号の配列番号326、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、F234、L235、G237およびN297にアラニン置換を有し、G236で欠失しているヒトIgG4 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号322、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、F234およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号343、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、L235およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号344、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、G236およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号345、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)、およびG237およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(WO2011/090762号の配列番号346、前記配列は、参照によって本明細書に組み込まれる)が挙げられる。

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