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技術 熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び放熱装置

出願人 日立化成株式会社
発明者 吉川徹矢嶋倫明
出願日 2016年1月12日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-003847
公開日 2017年7月20日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-126614
状態 特許登録済
技術分野 半導体または固体装置の冷却等 電気装置の冷却等 炭素・炭素化合物 積層体(2) 高分子組成物
主要キーワード 仮固定力 軟化流動性 初期熱 鱗片黒鉛 重量累積粒度分布 質量組成 一次シート 加熱流動性
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課題

発熱体放熱体とを低い熱抵抗密着させることができ、圧縮性耐熱性耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性に優れる熱伝導シートを提供する。

解決手段

熱伝導シートは、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有する。そして、黒鉛粒子(B)が鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、又は棒状粒子の場合には長軸方向が、熱伝導シートの厚み方向に配向している。

概要

背景

近年、多層配線板を用いた半導体パッケージにおける配線及び電子部品の搭載密度高密度化による発熱量が増大し、半導体素子高集積化による単位面積当たりの発熱量が増大しており、半導体パッケージからの熱放散性を高めることが望まれている。

半導体パッケージ等の発熱体アルミ、銅等の放熱体との間に、熱伝導グリース又は熱伝導シートを挟んで密着させることにより熱を放散する放熱装置が一般に簡便に使用されている。通常、熱伝導グリースよりも熱伝導シートの方が、放熱装置を組み立てる際の作業性に優れている。

近年、CPU(中央処理装置、Central Processing Unit)のチップマルチコア化及びマルチチップ化により大面積化する傾向がある。また、発熱体であるCPUと放熱体との圧着圧力を低くする傾向がある。そのため、熱伝導シートには圧着時の柔軟性が求められている。また、チップ段差によって熱伝導シートが厚くなっても低熱抵抗となるよう、熱伝導シートは熱伝導性に優れることが求められている。

発熱体と放熱体とを熱伝導性材料を介して密着する方法としては、常温バネ等の治具により加圧する方法、加熱圧着する方法などがある。いずれの方法でも、密着時の温度において十分に熱伝導シートが柔軟であることが、高い密着を得る上で重要である。

加熱圧着する方法としては、熱伝導性材料として金属インジウム等の低融点金属を用いて発熱体と放熱体とを溶融圧着する方法が挙げられる。この方法では、得られる放熱装置は極めて熱伝導性に優れるが、修理等のために発熱体から放熱体を剥離することが困難な場合がある。また、金属の融液は粘度が低いため、融点を超える温度に再加熱した場合に金属が流出してしまう恐れがある。このような点では加熱しても粘性を保つことが可能な樹脂系の熱伝導シートが有利であるが、一般に、樹脂系の熱伝導シートは金属インジウム等に比べて、熱伝導率が劣る。

一方、常温でバネ等の治具により加圧する方法では、半導体素子等が動作して発生する熱により溶融して固体シートから液状流動性体に変化することで高い密着性を得る、いわゆるフェイズチェンジシートも一般に使用されている。しかし、一般に、フェイズチェンジシートは熱伝導率が低く、また、液化して厚さが薄くなることで低熱抵抗化するため、チップ段差が生じるマルチチップ化に対応することは困難である。

熱伝導シートとして、熱伝導フィラを充填した樹脂シートも知られている。熱伝導フィラを充填した熱伝導性に優れる樹脂シートとして、熱伝導性の高い無機粉末を熱伝導フィラとして選択し、さらに無機粉末をシート面に対し垂直に配向させた樹脂シートが種々提案されている。
例えば、シート面に関してほぼ垂直な方向に熱伝導フィラ(窒化ホウ素)が配向した熱伝導シート(例えば、特許文献1参照)、及びゲル状物質に分散された炭素繊維がシート面に対して垂直に配向した構造の熱伝導シート(例えば、特許文献2参照)が提案されている。

概要

発熱体と放熱体とを低い熱抵抗で密着させることができ、圧縮性耐熱性耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性に優れる熱伝導シートを提供する。熱伝導シートは、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有する。そして、黒鉛粒子(B)が鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、又は棒状粒子の場合には長軸方向が、熱伝導シートの厚み方向に配向している。なし

目的

近年、多層配線板を用いた半導体パッケージにおける配線及び電子部品の搭載密度の高密度化による発熱量が増大し、半導体素子の高集積化による単位面積当たりの発熱量が増大しており、半導体パッケージからの熱放散性を高めることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有し、前記鱗片状粒子の場合には面方向、前記楕球状粒子の場合には長軸方向又は前記棒状粒子の場合には長軸方向が、厚み方向に配向している熱伝導シート

請求項2

前記エラストマ(A)が、イソブテンスチレンとの共重合体、イソブテンとエチレンとの共重合体及びイソブテンの単独重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の熱伝導シート。

請求項3

前記黒鉛粒子(B)が、膨張黒鉛粉末を含む請求項1又は請求項2に記載の熱伝導シート。

請求項4

25℃における引張強度が、0.1MPa以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項5

25℃におけるタック力が、3.0kPa以上70kPa未満である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項6

前記脂環族炭化水素樹脂(C)が、25℃で固形状である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項7

前記脂環族炭化水素樹脂(C)の軟化温度が、40℃〜150℃である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項8

前記脂環族炭化水素樹脂(C)の含有率が、前記エラストマ(A)に対して、10質量%〜200質量%である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項9

前記黒鉛粒子(B)の含有率が、15体積%〜50体積%である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

請求項10

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有する組成物を準備する工程と、前記組成物をシート化してシートを得る工程と、前記シートの複数枚を重ねるか、前記シートの1枚を折り畳むか、又は前記シートの1枚を捲回させるかにより積層体を作製する工程と、前記積層体の側端面をスライスする工程と、を有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。

請求項11

前記スライスする工程では、前記黒鉛粒子(B)の質量平均粒子径の2倍以下の厚みでスライスする請求項10に記載の熱伝導シートの製造方法。

請求項12

請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱伝導シートを、発熱体放熱体の間に介在させてなる放熱装置

技術分野

0001

本発明は、熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び放熱装置に関する。

背景技術

0002

近年、多層配線板を用いた半導体パッケージにおける配線及び電子部品の搭載密度高密度化による発熱量が増大し、半導体素子高集積化による単位面積当たりの発熱量が増大しており、半導体パッケージからの熱放散性を高めることが望まれている。

0003

半導体パッケージ等の発熱体アルミ、銅等の放熱体との間に、熱伝導グリース又は熱伝導シートを挟んで密着させることにより熱を放散する放熱装置が一般に簡便に使用されている。通常、熱伝導グリースよりも熱伝導シートの方が、放熱装置を組み立てる際の作業性に優れている。

0004

近年、CPU(中央処理装置、Central Processing Unit)のチップマルチコア化及びマルチチップ化により大面積化する傾向がある。また、発熱体であるCPUと放熱体との圧着圧力を低くする傾向がある。そのため、熱伝導シートには圧着時の柔軟性が求められている。また、チップ段差によって熱伝導シートが厚くなっても低熱抵抗となるよう、熱伝導シートは熱伝導性に優れることが求められている。

0005

発熱体と放熱体とを熱伝導性材料を介して密着する方法としては、常温バネ等の治具により加圧する方法、加熱圧着する方法などがある。いずれの方法でも、密着時の温度において十分に熱伝導シートが柔軟であることが、高い密着を得る上で重要である。

0006

加熱圧着する方法としては、熱伝導性材料として金属インジウム等の低融点金属を用いて発熱体と放熱体とを溶融圧着する方法が挙げられる。この方法では、得られる放熱装置は極めて熱伝導性に優れるが、修理等のために発熱体から放熱体を剥離することが困難な場合がある。また、金属の融液は粘度が低いため、融点を超える温度に再加熱した場合に金属が流出してしまう恐れがある。このような点では加熱しても粘性を保つことが可能な樹脂系の熱伝導シートが有利であるが、一般に、樹脂系の熱伝導シートは金属インジウム等に比べて、熱伝導率が劣る。

0007

一方、常温でバネ等の治具により加圧する方法では、半導体素子等が動作して発生する熱により溶融して固体シートから液状流動性体に変化することで高い密着性を得る、いわゆるフェイズチェンジシートも一般に使用されている。しかし、一般に、フェイズチェンジシートは熱伝導率が低く、また、液化して厚さが薄くなることで低熱抵抗化するため、チップ段差が生じるマルチチップ化に対応することは困難である。

0008

熱伝導シートとして、熱伝導フィラを充填した樹脂シートも知られている。熱伝導フィラを充填した熱伝導性に優れる樹脂シートとして、熱伝導性の高い無機粉末を熱伝導フィラとして選択し、さらに無機粉末をシート面に対し垂直に配向させた樹脂シートが種々提案されている。
例えば、シート面に関してほぼ垂直な方向に熱伝導フィラ(窒化ホウ素)が配向した熱伝導シート(例えば、特許文献1参照)、及びゲル状物質に分散された炭素繊維がシート面に対して垂直に配向した構造の熱伝導シート(例えば、特許文献2参照)が提案されている。

先行技術

0009

特開2002−26202号公報
特開2001−250894号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、一般に、樹脂系の熱伝導シートは、使用により熱又は湿度に曝されると酸化したり、加水分解したり、場合によっては可塑剤揮発したり、架橋の進行等により樹脂が硬くなったりする傾向がある。樹脂が硬くなると、温度変動に伴う部材の熱膨張追従して変形できなくなる結果、熱伝導シートの密着性が低下する傾向がある。
このように、室温(25℃)でのハンドリング強度及びタック性を良好にした上で、耐熱性及び耐湿度性を有しながら、高熱伝導性及び段差吸収性につながる高圧縮性を有用なレベル両立させることは難しい。

0011

本発明の目的は、発熱体と放熱体とを低い熱抵抗で密着させることができ、圧縮性、耐熱性、耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性に優れる熱伝導シートを提供することである。

課題を解決するための手段

0012

上記課題を解決するための具体的手段は、以下の態様を含む。
<1>イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、
鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)と、
脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有し、
前記鱗片状粒子の場合には面方向、前記楕球状粒子の場合には長軸方向又は前記棒状粒子の場合には長軸方向が、厚み方向に配向している熱伝導シート。

0013

<2> 前記エラストマ(A)が、イソブテンスチレンとの共重合体、イソブテンとエチレンとの共重合体及びイソブテンの単独重合体からなる群より選択される少なくとも1種である<1>に記載の熱伝導シート。

0014

<3> 前記黒鉛粒子(B)が、膨張黒鉛粉末を含む<1>又は<2>に記載の熱伝導シート。

0015

<4> 25℃における引張強度が、0.1MPa以上である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0016

<5> 25℃におけるタック力が、3.0kPa以上70kPa未満である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0017

<6> 前記脂環族炭化水素樹脂(C)が、25℃で固形状である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0018

<7> 前記脂環族炭化水素樹脂(C)の軟化温度が、40℃〜150℃である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0019

<8> 前記脂環族炭化水素樹脂(C)の含有率が、前記エラストマ(A)に対して、10質量%〜200質量%である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0020

<9> 前記黒鉛粒子(B)の含有率が、15体積%〜50体積%である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱伝導シート。

0021

<10>イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有する組成物を準備する工程と、
前記組成物をシート化してシートを得る工程と、
前記シートの複数枚を重ねるか、前記シートの1枚を折り畳むか、又は前記シートの1枚を捲回させるかにより積層体を作製する工程と、
前記積層体の側端面をスライスする工程と、
を有する<1>〜<9>のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。

0022

<11> 前記スライスする工程では、前記黒鉛粒子(B)の質量平均粒子径の2倍以下の厚みでスライスする<10>に記載の熱伝導シートの製造方法。

0023

<12> <1>〜<9>のいずれか1項に記載の熱伝導シートを、発熱体と放熱体の間に介在させてなる放熱装置。

発明の効果

0024

本発明によれば、発熱体と放熱体とを低い熱抵抗で密着させることができ、圧縮性、耐熱性、耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性に優れる熱伝導シートを提供することができる。

0025

以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。

0026

〔熱伝導シート〕
本実施形態の熱伝導シートは、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)(以降「(A)成分」又は「エラストマ(A)」とも称する。)と、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)(以降「(B)成分」とも称する。)と、脂環族炭化水素樹脂(C)(以降「(C)成分」とも称する。)と、を含有し、前記鱗片状粒子の場合には面方向、前記楕球状粒子の場合には長軸方向又は前記棒状粒子の場合には長軸方向が、熱伝導シートの厚み方向に配向している。

0027

かかる構成であることで、熱伝導シートは、発熱体と放熱体とを低い熱抵抗で密着させることができ、圧縮性、耐熱性、耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性に優れる。

0028

<イソブチレン構造を含むエラストマ(A)>
熱伝導シートは、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)の少なくとも1種を含む。ここで、「イソブチレン構造」とは、「−CH2−C(CH3)2−」をいう。
イソブチレン構造を含むエラストマ(A)は、例えば、耐熱性及び耐湿度性に優れた応力緩和剤粘着性付与剤とを兼ねて主に機能すると考えられる。すなわち、脂環族炭化水素樹脂(C)のみでは不足しがちな柔軟性及び粘着性を補う役割を果たすと考えることができる。見方を変えれば、脂環族炭化水素樹脂(C)は、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)のみでは不足しがちな凝集力及び加熱時の流動性を補う役割を果たしているとも言え、(A)成分と(C)成分とは相互補完の関係にあると考えられる。

0029

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)は、イソブチレン構造を含んでいればその他の構造については特に制限されない。イソブチレン構造を含むエラストマ(A)としては、例えば、イソブテン(別名:イソブチレン、略名:ブテン)の単独重合体、イソブテンとスチレンとの共重合体、及びイソブテンとエチレンとの共重合体が挙げられる。靭性、柔軟性及び粘着性を両立する観点からは、イソブテンとスチレンとの共重合体、イソブテンとエチレンとの共重合体及びイソブテンの単独重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。

0030

共重合体は、ランダム共重合体ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよく、ブロック共重合体(つまり、ポリイソブチレン構造を有する共重合体)であることが好ましい。

0031

共重合体中のイソブチレン構造の含有率は特に制限されない。例えば、共重合体中のイソブチレン構造の含有率は、40質量%〜99質量%が挙げられ、50質量%〜95質量%であってもよく、60質量%〜95質量%であってもよい。

0032

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)は、固形状であっても液状であってもよい。本明細書において「液状」とは、25℃において流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。本明細書において「粘度」とは、25℃でレオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。一方、本明細書において「固形状」とは、上記「液状」の定義に該当しないものをいう。

0033

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。例えば、イソブテンの単独重合体は、固形状のものと液状のものとを併用してもよい。

0034

イソブチレン構造を含むエラストマ(A)の分子量は、特に制限されない。
固形状のイソブテンの単独重合体は、重量平均分子量(Mw)又は粘度平均分子量(Mv)が40000以上であることが好ましく、40000〜100000であることがより好ましく、50000〜80000であることがさらに好ましい。
固形状のイソブテンの単独重合体の重量平均分子量(Mw)又は粘度平均分子量(Mv)が40000以上であると、仮固定に必要な粘着力を十分に得ることができ、また耐熱性に優れ、熱伝導シートの強度にも優れる傾向にある。また、粘度平均分子量が100000以下であると、脂環族炭化水素樹脂(C)との相溶性に優れる傾向にある。

0035

なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法によって測定される。粘度平均分子量(Mv)は、FCC法によって測定される。
PC法では、分子量分布から標準ポリスチレン検量線を使用して換算して、重量平均分子量が求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(東ソー株式会社、PStQuick MP−H、PStQuick B)を用いて3次式近似する。本明細書におけるGPCの測定条件を以下に示す。

0036

装置:(ポンプ:L−2130型[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
検出器:L−2490型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
カラムオーブン:L−2350[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成株式会社、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃

0037

FCC法では、次のMark−Houwinkの式から、粘度平均分子量(Mv)を算出する。
[η] = K Mvα
α及びKは、それぞれ、測定温度、溶媒の種類、及び高分子の種類によって決まる既知定数であり、化学便覧等を参照できる。固有粘度[η]は、JISK7367−1:2002(プラスチック毛細管形粘度計を用いたエラストマ希釈溶液の粘度の求め方−)に準拠して測定する。

0038

液状のイソブテンの単独重合体は、数平均分子量(Mn)が1000〜3000であることが好ましく、1300〜3000であることがより好ましく、2000〜3000であることがさらに好ましい。数平均分子量が3000以下であると軟化効果が十分となる傾向があり、1000以上であると耐熱性が十分となる傾向がある。数平均分子量(Mn)はVPO法(蒸気圧分子量測定法、Vapor Pressure Osomometry)により測定される。

0039

VPO法では、エラストマを溶媒に完全に溶解し、濃度の異なる3種類以上のサンプル溶液を調製し、サンプル溶液及びリファレンスとしての純溶媒の凝縮時のエンタルピーの変化によって生じた温度差を、サーミスタープローブ等で測定することで分子量を求める。

0040

熱伝導シート中、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)の含有率は、例えば、粘着力、密着性、シート強度及び耐加水分解性の観点からは、3質量%〜50質量%であることが好ましく、4質量%〜45質量%であることがより好ましく、5質量%〜40質量%であることがさらに好ましい。
イソブチレン構造を含むエラストマ(A)の含有率が3質量%以上であると、粘着性及び密着性がより向上する傾向がある。イソブチレン構造を含むエラストマ(A)の含有率が50質量%以下であると、シート強度及び熱伝導性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。

0041

熱伝導シートは、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)に加えてその他のエラストマを含有してもよい。その他のエラストマとしては、例えば、ポリブテンを挙げることができる。ポリブテンの分子量は特に制限されない。

0042

ポリブテンの含有量は、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。

0043

<黒鉛粒子(B)>
熱伝導シートは、黒鉛粒子(B)の少なくとも1種を含む。
黒鉛粒子(B)は、高熱伝導性フィラとして主に機能すると考えられる。黒鉛粒子(B)は、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種である。また、黒鉛粒子(B)が、鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向に、その六員環面が配向していることが好ましい。

0044

黒鉛粒子(B)の形状としては、鱗片状がより好ましい。鱗片状の黒鉛粒子を選択することで、熱伝導性がより向上する傾向にある。これは例えば、鱗片状の黒鉛粒子は、熱伝導シート中で、所定の方向へより容易に配向するためと考えることができる。なお、六員環面とは、六方晶系において六員環が形成されている面であり、(0001)結晶面を意味する。

0045

黒鉛粒子(B)の結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の面方向、楕球状粒子の長軸方向又は棒状粒子の長軸方向に配向しているかどうかは、X線回折測定により確認することができる。黒鉛粒子(B)の結晶中の六員環面の配向方向は、具体的には以下の方法で確認する。

0046

先ず、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向、楕球状粒子の長軸方向又は棒状粒子の長軸方向が、シートの面方向に沿って配向した測定用サンプルシートを作製する。測定用サンプルシートの具体的な作製方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。

0047

樹脂と10体積%以上の量の黒鉛粒子(B)との混合物をシート化する。ここで用いる「樹脂」とは、X線回折の妨げになるピークが現れない材料で、かつシート物を形成可能な材料であれば特に制限されない。具体的には、アクリルゴム、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SIBS(スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体)等、バインダとしての凝集力を有する非晶質樹脂を使用することができる。

0048

この混合物のシートが、元の厚みの1/10以下となるようにプレスし、プレスしたシートの複数枚を積層して積層体を形成する。この積層体を更に1/10以下まで押しつぶす操作を3回以上繰り返して測定用サンプルシートを得る。この操作により、測定用サンプルシート中では、黒鉛粒子(B)が鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向が、測定用サンプルシートの面方向に沿って配向した状態になる。

0049

上記のように作製した測定用サンプルシートの表面に対してX線回折測定を行う。2θ=77°付近に現れる黒鉛の(110)面に対応するピークの高さH1と、2θ=27°付近に現れる黒鉛の(002)面に対応するピークの高さH2とを測定する。このように作製した測定用サンプルシートでは、H1をH2で割った値が0〜0.02となる。

0050

このことより、「黒鉛粒子(B)の結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向に配向している」とは、黒鉛粒子(B)を含有するシートの表面に対し、X線回折測定を行い、2θ=77°付近に現れる黒鉛粒子(B)の(110)面に対応するピークの高さを、2θ=27°付近に現れる黒鉛粒子(B)の(002)面に対応するピークの高さで割った値が0〜0.02となる状態をいう。

0051

本明細書において、X線回折測定は以下の条件で行なう。
装置:ブルカーエイエックス(株)製「D8DISCOVER」
X線源波長1.5406nmのCuKα、40kV、40mA
ステップ(測定刻み幅):0.01°
ステップタイム:720sec

0052

ここで、「黒鉛粒子が鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向が熱伝導シートの厚み方向に配向している」とは、鱗片状粒子の場合には面方向、楕球状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向と、熱伝導シートの表面とのなす角度(以下、「配向角度」ともいう)が、60°以上であることをいう。配向角度は、80°以上であることが好ましく、85°以上であることがより好ましく、88°以上であることがさらに好ましい。

0053

配向角度は、熱伝導シートの断面をSEMで観察し、任意の50個の黒鉛粒子(B)について、鱗片状粒子の場合には面方向と、楕球状粒子の場合には長軸方向と、及び棒状粒子の場合には長軸方向と、熱伝導シート表面(主面)とのなす角度(配向角度)を測定したときの平均値である。

0054

黒鉛粒子(B)の粒子径は特に制限されない。黒鉛粒子(B)の平均粒子径は、熱伝導シートの平均厚みの1/2〜平均厚みであることが好ましい。黒鉛粒子(B)の平均粒子径が熱伝導シートの平均厚みの1/2以上であると、熱伝導シート中に効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導率が向上する傾向がある。黒鉛粒子(B)の平均粒子径が熱伝導シートの平均厚み以下であると、熱伝導シートの表面からの黒鉛粒子(B)の突出が抑えられ、熱伝導シートの表面の密着性に優れる傾向がある。

0055

尚、特開2008−280496号公報に記載されているような積層スライス法を用いる場合、原料として用いる黒鉛粒子(B)の粒子径は、質量平均粒子径として、熱伝導シートの平均厚みの1/2倍以上であることが好ましく、平均厚みを超えてもよい。原料として用いる黒鉛粒子(B)の粒子径が熱伝導シートの平均厚みを超えてもよい理由は、例えば、熱伝導シートの平均厚みを超える粒子径の黒鉛粒子(B)を含んでいても、黒鉛粒子(B)ごとスライスして熱伝導シートを形成するため、結果的に黒鉛粒子(B)が熱伝導シートの表面から突出しないからである。またこのように黒鉛粒子(B)ごとスライスすると、熱伝導シートの厚み方向に貫通する黒鉛粒子(B)が多数生じ、極めて効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する傾向にある。

0056

積層スライス法を用いる場合、原料として用いる黒鉛粒子(B)の粒子径は、質量平均粒子径として、熱伝導シートの平均厚みの1倍〜5倍であることがより好ましい。黒鉛粒子(B)の質量平均粒子径が、熱伝導シートの平均厚みの1倍以上であると、更に効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する。熱伝導シートの平均厚みの5倍以下であると、黒鉛粒子(B)の表面部に占める面積が大きくなりすぎるのが抑えられ、密着性の低下が抑制できる。

0057

黒鉛粒子(B)の質量平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法を適応したレーザー回折式粒度分布装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックシリーズMT3300」)を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線小粒径側から描いた場合に、重量累積が50%となる粒子径に対応する。

0058

黒鉛粒子(B)としては、例えば、球状黒鉛粉末鱗片黒鉛粉末人造黒鉛粉末薄片化黒鉛粉末、酸処理黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末及び炭素繊維フレークを用いることができる。中でも、黒鉛粒子(B)としては、結晶化度が高くかつ大粒径の鱗片が得やすい観点から、シート化した膨張黒鉛粉砕して得る膨張黒鉛粉末が好ましい。

0059

黒鉛粒子(B)の粒子径分布は特に制限されず、横軸に粒子径を、縦軸頻度をとった粒子径分布が単一のピークを有する単分散系であっても、粒子径分布が複数のピークを有する多分散系であってもよい。また粒子径分布が狭いものであっても、粒子径分布が広いものであってもよい。
前述のように大粒子の方が効率的な熱伝導パスを形成でき、熱伝導性の観点から好適であるが、大粒子かつ粒度分布が狭いと、大粒子どうしにより形成される空隙も大きくなる傾向があるため、熱伝導シートの面内で熱伝導性のバラツキが大きくなる傾向がある。このため、適度に小粒子を存在させて大粒子により生じた空隙に小粒子が充填できるよう、ある程度広い粒子径分布であるか、又は複数のピークが存在する多分散の粒径分布であることが好ましい。粒子径分布の形状は、粒子形状等により大きく異なるため、定量的に一概に限定されないが、上記の理由から、熱伝導シートの平均厚みに近い平均粒子径を有する大粒子と、大粒子により形成される空隙の大きさよりも小さい平均粒子径を有する小粒子とを含み、且つ小粒子がその空隙に収まる量で含有されるような粒子径分布であることが特に好ましい。

0060

熱伝導シート中の黒鉛粒子(B)の含有率は、例えば、熱伝導性と密着性のバランスの観点からは、15体積%〜50体積%であることが好ましく、20体積%〜45体積%であることがより好ましく、25体積%〜40体積%であることがさらに好ましい。
黒鉛粒子(B)の含有率が15質量%以上であると、熱伝導性がより向上する傾向にある。黒鉛粒子(B)の含有率が50質量%以下であると、粘着性及び密着性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。

0061

黒鉛粒子(B)の含有率(体積%)は、次式により求めた値である。
黒鉛粒子(B)の含有量(体積%)=(Bw/Bd)/((Aw/Ad)+(Bw/Bd)+(Cw/Cd)+(Dw/Dd))×100
Aw:エラストマ(A)の質量組成(質量%)
Bw:黒鉛粒子(B)の質量組成(質量%)
Cw:脂環族炭化水素樹脂(C)の質量組成(質量%)
Dw:その他の任意成分の質量組成(質量%)
Ad:エラストマ(A)の密度
Bd:黒鉛粒子(B)の密度(本明細書においてBdは2.1で計算する。)
Cd:脂環族炭化水素樹脂(C)の密度
Dd:その他の任意成分の密度

0062

<脂環族炭化水素樹脂(C)>
熱伝導シートは脂環族炭化水素樹脂(C)の少なくとも1種を含む。脂環族炭化水素樹脂(C)は、例えば、上述の通り、(A)成分と相互補完的に、耐熱性と耐湿度性に優れた凝集力及び加熱時の流動性を向上する効果があると考えられる。

0063

脂環族炭化水素樹脂(C)としては、例えば、水素化された芳香族系石油樹脂(以降、「水素石油樹脂」ともいう)、水素化テルペンフェノール樹脂、及びシクロペンタジエン系石油樹脂が挙げられる。これらの脂環族炭化水素樹脂(C)は、市販の脂環族炭化水素樹脂から適宜選択して用いることができる。

0064

中でも、脂環族炭化水素樹脂(C)としては、水素化された芳香族系石油樹脂、及び水素化テルペンフェノール樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの脂環族炭化水素樹脂(C)は、安定性が高く、かつイソブチレン構造を含むエラストマ(A)との相溶性に優れるため、熱伝導シートを構成した場合に、より優れた熱伝導性、柔軟性、及びハンドリング性が達成できる傾向にある。

0065

水素化された芳香族系石油樹脂としては、例えば、荒川化学工業株式会社製「アルコン」、及び出光興産株式会社製「アイマーブ」を挙げることができる。
また、水素化テルペンフェノール樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製「クリアロン」を挙げることができる。
また、シクロペンタジエン系石油樹脂としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「クイントン」、及び丸善石油化学株式会社製「マルカレッツ」を挙げることができる。

0066

脂環族炭化水素樹脂(C)は、25℃で固形であることが好ましい。
脂環族炭化水素樹脂(C)は、熱可塑性であることが好ましく、軟化温度が40℃〜150℃であることが好ましい。熱可塑性の樹脂を使用すると、熱圧着時軟化流動性が向上する結果、密着性が向上する傾向がある。また、軟化温度が40℃以上であると、室温付近での凝集力を保てる結果、必要なシート強度が得やすくなって取扱い性に優れる傾向にある。軟化温度が150℃以下であると、熱圧着時の軟化流動性が高くなる結果、密着性が向上する傾向にある。軟化温度としては、80℃〜130℃であることがより好ましい。尚、軟化温度は、環球法(JIS−K2207:1996)で測定される。

0067

脂環族炭化水素樹脂(C)の重量平均分子量は、特に制限されない。熱伝導シートの強度と柔軟性の観点からは、脂環族炭化水素樹脂(C)の重量平均分子量は、200〜10000であることが好ましく、500〜2000であることがより好ましい。

0068

熱伝導シート中の脂環族炭化水素樹脂(C)の含有率は、例えば、粘着力、密着性、及びシート強度の観点からは、エラストマ(A)に対して、10質量%〜200質量%であることが好ましく、25質量%〜100質量%であることがより好ましく、40質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
脂環族炭化水素樹脂(C)の含有率が(A)成分に対して10質量%以上であると、粘着力、加熱流動性、及びシート強度が十分となる傾向があり、200質量%以下であると、柔軟性が十分となってハンドリング性及び耐サーマルサイクル性に優れる傾向がある。

0069

<その他の成分>
熱伝導シートは、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外のその他の成分を、目的に応じて含有してもよい。例えば、難燃性を付与する目的で、難燃剤を含有してもよい。

0070

難燃剤としては特に限定されず、通常用いられる難燃剤から適宜選択することができる。例えば、赤りん系難燃剤及びりん酸エステル系難燃剤を挙げることができる。中でも、安全性に優れ、可塑性効果により密着性が向上する観点から、りん酸エステル系難燃剤が好ましい。

0071

赤りん系難燃剤としては、純粋な赤りん粉末の他に、安全性又は安定性を高める目的で種々のコーティングを施したもの、マスターバッチ化したもの等を用いてもよい。具体的には、燐化学工業株式会社製のノーバレッド、ノーバエクセル、ノーバクエル、ノーバペレット(いずれも商品名)等が挙げられる。

0072

りん酸エステル系難燃剤としては、トリメチルホスフェートトリエチルホスフェートトリブチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステルトリフェニルホスフェートトリクレジルホスフェートクレジルジフェニルホスフェートトリキシレニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、トリス(t−ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステルレゾルシノールビスジフェニルホスフェートビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でもビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、耐加水分解性に優れ、かつ可塑効果により密着性を向上する効果に優れる観点から好ましい。

0073

熱伝導シート中の難燃剤の含有率は制限されず、難燃性が発揮される量で用いることができ、30質量%以下程度とすることが好ましい。

0074

熱伝導シートは、必要に応じて、酸化防止剤ラジカルトラップ剤pH調整剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤の含有率は、熱伝導シート中、5質量%以下であることが好ましい

0075

〔熱伝導シートの物性及び構成〕
熱伝導シートは、貼り付け性及びハンドリング強度の観点からは、25℃における引張強度が0.1MPa以上であることが好ましく、0.2MPa以上であることがより好ましい。
また、熱伝導シートは、貼り付け性及びハンドリング強度の観点からは、25℃におけるタック力が3.0kPa以上70kPa未満であることが好ましく、4.0kPa以上50kPa未満であることが好ましい。

0076

引張強度及びタック力は、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)、黒鉛粒子(B)、及び脂環族炭化水素樹脂(C)の種類及び含有率を、上述のそれぞれの好適な範囲で適宜選択することで、調整することが可能である。

0077

熱伝導シートの平均厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、熱伝導シートの平均厚みは、50μm〜3000μmとすることができ、熱伝導性及び密着性の観点からは、100μm〜1000μmであることが好ましい。
熱伝導シートの平均厚みは、マイクロメータを用いて3箇所の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる。

0078

熱伝導シートは、少なくとも一方の面に保護フィルムを有していてもよく、両面に保護フィルムを有していることが好ましい。これにより、熱伝導シートの粘着面を保護することができる。

0079

保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンポリエステルポリプロピレンポリエチレンテレフタレートポリイミドポリエーテルイミドポリエーテルナフタレートメチルペンテン等の樹脂フィルム、コート紙、コート布、及びアルミ等の金属箔が使用できる。これらの保護フィルムは、1種単独で使用しても、2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよい。保護フィルムは、シリコーン系シリカ系等の離型剤などで表面処理されていることが好ましい。

0080

〔熱伝導シートの製造方法〕
熱伝導シートの製造方法は、上記の構成を有するものが得られるのであれば特に制限されない。熱伝導シートの製造方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。

0081

その製造方法は、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)と、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子(B)と、脂環族炭化水素樹脂(C)と、を含有する組成物を準備する工程(「準備工程」ともいう)と、前記組成物をシート化してシートを得る工程(「シート作製工程」ともいう)と、前記シートの複数枚を重ねて、前記シートの1枚を折り畳んで、又は前記シートの1枚を捲回させて積層体を作製する工程(「積層体作製工程」ともいう)と、前記積層体の側端面をスライスする工程(スライシング工程)と、を有する。

0082

熱伝導シートをかかる方法で製造することで、効率的な熱伝導パスが形成され易く、そのため高熱伝導性と密着性に優れる熱伝導シートが得られる傾向にある。

0083

<準備工程>
熱伝導シートを構成する組成物の調製は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じてその他の成分を均一に混合することが可能であれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。また、組成物は市販のものを入手して準備してもよい。組成物の調製の詳細は、特開2008−280496号公報の段落[0033]を参照することができる。

0084

<シート作製工程>
シート作製工程は、先の工程で得られた組成物をシート化できれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。例えば、圧延、プレス、押出、及び塗工からなる群から選択される少なくとも1つの成形方法を用いて実施することが好ましい。シート作製工程の詳細は、特開2008−280496号公報の段落[0034]を参照することができる。

0085

<積層体作製工程>
積層体作製工程は、先の工程で得られたシートの積層体を形成する。積層体は、例えば、独立した複数枚のシートを順に重ね合わせた形態に限らず、1枚のシートを切断せずに折り畳んだ形態であっても、又はシートの1枚を捲回させた形態であってもよい。積層体作製工程の詳細は、特開2008−280496号公報の段落[0035]〜[0037]を参照することができる。

0086

<スライシング工程>
スライシング工程は、先の工程で得られた積層体の側端面をスライスできれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。熱伝導シートの厚み方向に貫通する黒鉛粒子(B)によって極めて効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する観点から、黒鉛粒子(B)の質量平均粒子径の2倍以下の厚みでスライスすることが好ましい。スライシング工程の詳細は、特開2008−280496号公報の段落[0038]を参照することができる。

0087

<放熱装置>
放熱装置は、発熱体と放熱体の間に、上述の熱伝導シートを介在させてなる。熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とが積層されていることで、発熱体からの熱を放熱体に効率よく伝導することができる。また、発熱体から放熱体を取り外す際に容易に熱伝導シートを除去することができる。

0088

熱伝導シートを特に好適に使用できる温度範囲が、例えば、−10℃〜120℃であることから、発熱体としては、例えば、半導体パッケージ、ディスプレイLED、及び電灯を好適な発熱体の例として挙げることができる。

0089

放熱体としては、例えば、アルミ又は銅のフィン、板等を利用したヒートシンクヒートパイプに接続されているアルミ又は銅のブロック、内部に冷却液体をポンプで循環させているアルミ又は銅のブロック、及びペルチェ素子及びこれを備えたアルミ又は銅のブロックを挙げることができる。

0090

放熱装置は、発熱体と放熱体とに熱伝導シートの各々の面を接触させることで構成される。発熱体と熱伝導シートの一方の面とを接触させる方法、及び放熱体と熱伝導シートの他方の面とを接触させる方法は、それぞれを十分に密着させた状態で固定できる方法であれば特に制限されない。

0091

具体的には、発熱体と放熱体との間に熱伝導シートを配置し、0.1MPa〜2MPa程度に加圧可能なクリップ等の治具で固定し、この状態で発熱体を発熱させるか、又はオーブン等により80℃〜180℃程度に加熱する方法が挙げられる。この方法で好ましい圧力の範囲は、0.15MPa〜1MPaであり、好ましい温度の範囲は、100℃〜170℃である。圧力を0.1MPa以上又は加熱温度を80℃以上とすることで、優れた密着性が得られる傾向にある。また、圧力が2MPa以下又は加熱温度が180℃以下であることで、密着の信頼性がより向上する傾向にある。これは熱伝導シートが過度圧縮されて厚みが薄くなったり、周辺部材の歪み又は残留応力が大きくなりすぎたりすることを抑制できるためと考えられる。

0092

熱伝導シートは、発熱体と放熱体との間に配置して圧着する前の初期厚みに対する、圧着後により減少した厚みの割合(圧縮率)が、5%〜35%であってもよい。

0093

固定においては、クリップの他、ネジ、バネ等の治具を用いてもよく、接着剤等の通常用いられる手段で更に固定されていることが、密着を持続させる上で好ましい。

0094

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。

0095

(実施例1)
下記材料を4L加圧ニーダ投入し、到達温度170℃の条件で混練し、組成物を調製した。

0096

<エラストマ(A)>
・スチレン−イソブテン(別名:イソブチレン)−スチレントリブロックコポリマー(SIBS)(株式会社カネカ製「SIBSTER102T」、スチレン含有率:15%、密度:0.942g/cm3):240g
・ポリブテン200N(日油株式会社製、数平均分子量:2650、密度:0.91g/cm3):360g
<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」、質量平均粒子径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の面方向に配向していることを確認した。):2156g
<脂環族炭化水素樹脂(C)>
水素化石油樹脂(荒川化学工業株式会社製「アルコンP90」、密度:0.991g/cm3):400g
<難燃剤>
・ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製「CR−741」、密度:1.26g/cm3):844g

0097

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び難燃剤のそれぞれの含有率は、順に、15.0質量%、53.9質量%、10.0質量%、及び21.1質量%であった。各材料の密度から計算される黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。

0098

この組成物を押出機に入れ、幅20cm、1.5mm〜1.6mm厚の平板形状に押出して一次シートを得た。得られた一次シートを、40mm×150mmの型刃を用いてプレス打ち抜きし、打ち抜いたシートを61枚積層し、高さが80mmになるよう、高さ80mmのスペーサを挟んで積層方向に120℃で2分間圧力をかけ、積層体を得た。次いで、この80mm×150mmの積層体の側端面を木工スライサーでスライスし、縦80mm×横150mm×厚さ0.13mmの熱伝導シート(I)を得た。

0099

熱伝導シート(I)の断面をSEMで観察し、任意の50個の黒鉛粒子(B)について、鱗片状粒子の面方向と熱伝導シート表面とのなす角度(以下、「配向角度」ともいう)を測定したところ、配向角度の平均値は90度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0100

上記で得られた熱伝導シートについて以下の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
なお、耐熱性試験の前後における熱抵抗の変化を耐熱性の指標とした。HAST(Highly−Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)耐性試験の前後における熱抵抗の変化を耐熱性及び耐湿度性の指標とした。タック力を仮固定性の指標とし、引張強度をハンドリング性の指標とし、タック力及び引張強度により貼り付けのハンドリング性を評価した。

0101

(熱伝導率の測定)
熱伝導シートを直径14mmの円形に打ち抜き、厚さ1mmの27mm角銅板の2枚を準備し、この2枚の銅板の間の中央に打ち抜いた熱伝導シートを挟んだ。これを23N〜24Nの強さを持つクリップ2個で固定した。加圧力はそれぞれ0.3MPaに相当する。この試料を165℃のオーブンで1時間加熱した。室温(25℃)まで冷却後、ずれないように銅板の縁をエポキシ接着剤で固定し、そしてクリップを取り外して、圧着サンプルを得た。

0102

続いて、圧着サンプルの25℃での熱伝導率を、熱拡散率測定装置(NETZCH社製「LFA447」)を用いて測定した。予め銅板の熱伝導率を測定しておき、熱拡散率測定装置の3層法により、熱伝導シート部分の熱伝導率λ(W/mK)を求めた。

0103

(熱抵抗の測定)
熱抵抗Rth(K・cm2/W)は、上記の熱伝導率λと熱伝導シートの厚みt(mm)から下式により求めた。なお、熱伝導シートの厚みt(mm)は、圧着サンプルの厚みから予め測定しておいた2枚の銅板の厚みを引くことで求めた値である。圧着サンプル及び銅板の厚みは、それぞれマイクロメータで測定した。圧着サンプルは3個作製し、各3ショット測定し、その平均値を採用した。
Rth=10×t/λ

0104

(圧縮率の測定)
上記の圧着サンプルの作製において、熱伝導シートを2枚の銅板に挟む前に予め熱伝導シートの初期厚みt1を測定し、そして、熱圧着後の圧着サンプルの厚みt2を測定した。初期厚みt1及び圧着サンプルの厚みt2は、それぞれマイクロメータで測定した。
圧縮率は、熱伝導シートの初期厚みt1に対する、熱圧着により減少した厚み(t1−t2)の割合(%)として求めた。
圧縮率(%)=(t1−t2)/t1×100

0105

耐熱性試験後の熱抵抗の測定)
エポキシ接着剤が劣化しても銅板が剥がれないように、圧着サンプルをクリップで再固定してステンレスバットに載せ、150℃に設定したエスペック株式会社製「セーフティオーブンSPHH101型」の中に入れて、200時間、熱処理した。熱抵抗の測定のためクリップを外す際に、エポキシ接着剤を銅板の縁に再塗布した。そして、上記の熱抵抗の測定を行なった。

0106

HAST耐性試験後の熱抵抗の測定)
エポキシ接着剤が劣化しても銅板が剥がれないように、圧着サンプルをクリップで再固定してステンレスバットに載せ、110℃、85%RHに設定した株式会社平山製作所製「HASTTEST PC−R8D型」の中に125時間入れた。熱抵抗の測定のためクリップを外す際に、エポキシ接着剤を銅板の縁に再塗布した。そして、上記の熱抵抗の測定を行なった。

0107

(タック力の測定)
タック力は、以下の装置及び条件で測定した。
使用装置:株式会社レスカ製のタッキング試験機「TAC2」
温度:25℃
押し込み速度:120mm/分
引き上げ速度:600mm/分
荷重:490mN(50gf)
時間:10秒

0108

(引張強度の測定)
引張強度は、熱伝導シートから1cm×5cmに打ち抜いたサンプルシートを用い、以下の装置及び条件で測定した。
使用装置:東洋精機株式会社製「STROGRAPH E−S」
温度:25℃
引張速度:5mm/分

0109

熱伝導シート(I)の初期熱伝導率は14.8(W/mK)、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は13.9(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.39(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0110

(実施例2)
スチレン−イソブテン−スチレントリブロックコポリマー及びポリブテンの代わりに、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)として、イソブテンの単独重合体(新日本石油株式会社製「テトラックス6T」、粘度平均分子量:60000、25℃で固形状、密度:0.92g/cm3)の600gを用いた以外は実施例1と同様の方法で組成物を調製し、そして、この組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法で縦80mm×横150mm×厚さ0.14mmの熱伝導シート(II)を得た。

0111

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び難燃剤の含有率は、順に、15.0質量%、53.9質量%、10.0質量%、及び21.1質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。

0112

熱伝導シート(II)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は89度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0113

得られた熱伝導シート(II)について、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表1に示す。

0114

得られた熱伝導シート(II)の初期熱伝導率は15.6(W/(mK))、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は13.0(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.21(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0115

(実施例3)
実施例1と同様にして、但し、下記材料を下記配合量で用いて組成物を調製した。

0116

<エラストマ(A)>
・スチレン−イソブテン−スチレントリブロックコポリマー(SIBS)(株式会社カネカ製「SIBSTER102T」):210g
・ポリブテン(日油株式会社製「200N」):390g
<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」):2156g
<脂環族炭化水素樹脂(C)>
・水素化石油樹脂(荒川化学工業株式会社製「アルコンP90」):100g
<難燃剤>
・ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製「CR−741」):844g
<その他の樹脂>
テルペンフェノール(ヤスハラケミカル株式会社製「YSポリスターT80」):300g

0117

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び難燃剤の含有率は、順に、15.1質量%、53.9質量%、2.5質量%、21.1質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。
得られた組成物を用いて、縦80mm×横150mm×厚さ0.14mmの熱伝導シート(III)を得た。

0118

熱伝導シート(III)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は89度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は、熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0119

得られた熱伝導シート(III)について、実施例1と同様にして以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示す。

0120

得られた熱伝導シート(III)の初期熱伝導率は15.9(W/mK)、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は4.2(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.21(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0121

(実施例4)
脂環族炭化水素樹脂(C)として、水素化石油樹脂(荒川化学工業株式会社製「アルコンP90」)に代えて、水素化テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製「クリアロンP85」、軟化温度:85℃、密度:0.98g/cm3)を用いた以外は実施例2と同様の方法で組成物を調製し、そして、この組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法で縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(IV)を得た。

0122

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び難燃剤の含有率は、順に、15.0質量%、53.9質量%、10.0質量%、及び21.1質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。

0123

熱伝導シート(IV)の黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は90度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0124

得られた熱伝導シート(IV)について、熱圧着温度を125℃、クリップ数を1個(圧力0.15MPa相当)とした以外は実施例1と同様にして以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示す。

0125

得られた熱伝導シート(IV)の初期熱伝導率は15.5(W/mK)、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は3.2(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.17(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0126

(実施例5)
実施例1と同様にして、但し、難燃剤を使用せず、下記材料を下記配合で用いて組成物を調製した。

0127

<エラストマ(A)>
・スチレン−イソブテンジブロックコポリマー(SIB)(株式会社カネカ製「SIBSTER062M」、スチレン含有率:23%、密度:0.947g/cm3):668g
・ポリブテン(日油株式会社製「200N」):817g
<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」)、質量平均粒子径:270μm):1675g
<脂環族炭化水素樹脂(C)>
・水素化石油樹脂(荒川化学工業株式会社製アルコン「P90」):817g

0128

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の含有率は、順に、37.3質量%、42.2質量%、及び20.5質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、25体積%であった。
得られた組成物を用いて、縦80mm×横150mm×厚さ0.51mmの熱伝導シート(V)を得た。

0129

熱伝導シート(V)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は90度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0130

得られた熱伝導シート(V)について、熱圧着温度を125℃、クリップ数を1個(圧力0.15MPa相当)とした以外は実施例1と同様にして以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示す。

0131

得られた熱伝導シート(V)の初期熱伝導率は14.7(W/mK)と良好な値を示し、初期熱抵抗は0.27(K・cm2/W)と厚さの割には良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.24(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.24(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は27%と良好であった。
タック力は5.4(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.40(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0132

0133

(比較例1)
脂環族炭化水素樹脂(C)を使用せず、代わりにその他の樹脂として、テルペンフェノール(ヤスハラケミカル株式会社製「YSポリスターT80」)を400g用いた以外は実施例3と同様の方法で組成物を調製し、そして、この組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法で、縦80mm×横150mm×厚さ0.14mmの熱伝導シート(VI)を得た。
組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、その他の樹脂、及び難燃剤の含有率は、順に15.1質量%、53.9質量%、0質量%、10質量%、及び21.1質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。

0134

熱伝導シート(VI)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は90度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0135

得られた熱伝導シート(VI)について、実施例1と同様にして以下のような評価を行なった。評価結果を表2に示す。

0136

得られた熱伝導シート(VI)の初期熱伝導率は15.6(W/mK)と良好な値を示し、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は11%と良好であった。
タック力は2.0(kPa)と弱く、仮固定力が不足した。
引張強度は0.09(MPa)と弱く、やぶけやすいため、ハンドリング性に劣っていた。

0137

(比較例2)
実施例1と同様にして、但し、イソブチレン構造を含むエラストマ(A)及び脂環族炭化水素樹脂(C)を使用せず、下記材料を下記配合で用いて組成物を調製した。

0138

<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」):2156g、
<その他の樹脂>
アクリル酸ブチルアクリル酸エチルアクリロニトリルアクリル酸共重合体(ナガセケムテックス株式会社製「HTR−280改2DR」、共重合質量比:82/10/3/5、Tg:−39℃、重量平均分子量:53万、密度:1.056g/cm3):333g
・テルペンフェノール(ヤスハラケミカル株式会社製「YSポリスターT80」、軟化温度:80℃、密度:0.994g/cm3):333g
<難燃剤>
・ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製「CR−741」、密度1.26g/cm3)1067g

0139

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、その他の樹脂、及び難燃剤の含有率は、順に、0質量%、55.4質量%、0質量%、17.2質量%、及び27.4質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、39体積%であった。
この組成物を用いて実施例1と同様の方法で、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(VII)を得た。

0140

熱伝導シート(VII)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は89度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0141

得られた熱伝導シート(VII)の初期熱伝導率は15.5(W/mK)と良好な値を示し、初期熱抵抗は0.09(K・cm2/W)と良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.08(K・cm2/W)と良好な値を保持した。しかし、HAST耐性試験後の熱抵抗は0.15(K・cm2/W)と悪化が見られた。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は3.4(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.07(MPa)と弱く、やぶけやすいため、ハンドリング性に劣っていた。

0142

(比較例3)
実施例1と同様にして、但し、脂環族炭化水素樹脂(C)を使用せず、下記材料を下記配合で用いて組成物を調製した。

0143

<エラストマ(A)>
・スチレン−イソブテン−スチレントリブロックコポリマー(SIBS)(株式会社カネカ製「SIBSTER102T」):350g
・ポリブテン(日油株式会社製「200N」):650g
<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」):2156g
<難燃剤>
・ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製「CR−741」):844g

0144

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び難燃剤の含有率は、順に、25.0質量%、53.9質量%、0質量%、及び21.1質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、37体積%であった。
この組成物を用いて実施例1と同様の方法で、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(VIII)を得た。

0145

熱伝導シート(VIII)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は90度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0146

得られた熱伝導シート(VIII)の初期熱伝導率は13.6(W/mK)とやや低く、初期熱抵抗は0.12(K・cm2/W)とやや劣っていた。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.10(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.11(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は7%と悪かった。
タック力は1.3(kPa)と弱く、仮固定力が不足した。
引張強度は0.33(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0147

(比較例4)
実施例1と同様にして、但し、脂環族炭化水素樹脂(C)及び難燃剤を使用せず、下記材料を下記配合で用いて組成物を調製した。

0148

<エラストマ(A)>
・イソブテンの単独重合体(新日本石油株式会社製「テトラックス6T」、粘度平均分子量:60000、密度:0.92g/cm3):660g
・ポリブテン(日油株式会社製「200N」):929g
<黒鉛粒子(B)>
・鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成株式会社製「HGF−L」):1970g、
<その他の樹脂>
・テルペンフェノール(ヤスハラケミカル株式会社製「YSポリスターT80」):440g

0149

組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及びその他の樹脂の含有率は、順に、39.7質量%、49.3質量%、0質量%、及び11.0質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は、30体積%であった。
この組成物を用いて、実施例1と同様の方法で縦80mm×横150mm×厚さ0.59mmの熱伝導シート(IX)を得た。

0150

熱伝導シート(IX)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は89度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0151

得られた熱伝導シート(IX)の初期熱伝導率は22.5(W/mK)と良好な値を示し、初期熱抵抗は0.23(K・cm2/W)と厚みの割には良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.22(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.23(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は10%と良好であった。
タック力は3.6(kPa)であり、良好な仮固定性を発揮できる数値であった。
引張強度は0.06(MPa)と弱く、やぶけやすかった。

0152

(比較例5)
脂環族炭化水素樹脂(C)を使用せず、代わりにその他の樹脂として、テルペンフェノール(ヤスハラケミカル株式会社製「YSポリスターT80」)を817g用いた以外は実施例5と同様の方法で組成物を調製し、そして、縦80mm×横150mm×厚さ0.0.51mmの熱伝導シート(X)を得た。
組成物全体に対する、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及びその他の樹脂の含有率は、順に、37.2質量%、42.4質量%、0質量%、及び20.5質量%であった。各材料の密度から計算される、黒鉛粒子(B)の含有量は25体積%であった。

0153

熱伝導シート(X)において、黒鉛粒子(B)の配向角度の平均値は89度であり、黒鉛粒子(B)の鱗片状粒子の面方向は熱伝導シートの厚み方向に配向していることが認められた。

0154

得られた熱伝導シート(X)の初期熱伝導率は13.3(W/mK)とやや低いが、初期熱抵抗は0.27(K・cm2/W)と厚みの割には良好な値を示した。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.24(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.24(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
圧縮率は28%と良好であった。
タック力は0.1(kPa)と仮固定できないレベルであった。
引張強度は0.17(MPa)であり、良好なハンドリング性が得られる強度であった。

0155

実施例

0156

以上から、実施例の熱伝導シートは、優れた熱伝導性を有し、発熱体と放熱体とを低い熱抵抗で密着させることができ、圧縮性、耐熱性、耐湿度性、及び貼り付けのハンドリング性にも優れることが分かる。

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