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課題

通液性を確保し、且つタンパク質吸着量の向上及び非特異吸着の低減が可能な分離材を提供すること。

解決手段

スチレン系モノマを含むモノマ重合することにより得られる多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、アミノ基を有する親水性高分子を含む被覆層と、を備え、モード径が0.10〜0.40μmである、分離材。

概要

背景

従来、タンパク質に代表される生体高分子を分離精製する場合、一般的には合成高分子母体とする多孔質型粒子親水性天然高分子架橋ゲルを母体とする粒子が用いられている。上記の多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体は、塩濃度による体積変化が小さく、カラム充填クロマトグラフィーで用いた場合、通液時の耐圧性が良いといった利点を持っている。しかし、このイオン交換体は、タンパク質等の分離に用いた場合、疎水的相互作用に基づく不可逆吸着等の非特異吸着が起き、ピークの非対称化が発生したり、あるいは、該疎水的相互作用でイオン交換体に吸着されたタンパク質が吸着されたまま回収できない問題点があった。

一方、デキストランアガロース等の多糖に代表される親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とする上記のイオン交換体の場合、タンパク質の非特異吸着がほとんどないという利点がある。ところが、このイオン交換体は、水溶液中で著しく膨潤したり、溶液イオン強度による体積変化及び、遊離酸形負荷形との体積変化が大きく、機械的強度も充分ではないという欠点を有する。特に、架橋ゲルをクロマトグラフィーで使用する場合、通液時の圧力損失が大きく、通液によりゲル圧密化するといった欠点がある。

親水性天然高分子の架橋ゲルが持つ欠点を克服するため、いわば“骨格”となる剛直な物質と組み合わせる試みがこれまでになされている。

例えば特許文献1では、多孔性高分子の細孔内に天然高分子ゲル等のゲルを保持した複合体を、ペプチド合成の分野で用いるという記載があり、それにより反応性物質負荷係数を高め、高収率で合成できることが発明の効果として挙げられている。しかもこの特許文献1では、硬質合成高分子物質でゲルを包囲するため、カラムベッドの形態で使用しても、容積変化がなく、カラムを通過するフロースルーの圧力が変化しないという効果が挙げられている。

特許文献2及び3では、セライト等の無機多孔質体にデキストラン、セルロースといった多糖等のキセロゲルを保持させ、このゲルに収着性能を付加するためにジエチルアミノメチルDEAE)基等を付与したものをヘモグロビンの除去に使用している。その効果として、カラムでの通液性の良さを挙げている。

特許文献4では、いわゆるマクロネットワーク構造のコポリマの細孔を、モノマから合成した架橋共重合体のゲルで埋めたハイブリッドコポリマのイオン交換体が挙げられている。特許文献4では、架橋共重合体のゲルの架橋度が低い場合、圧力損失、体積変化等の問題があるが、ハイブリッドコポリマにすることで通液特性が改善され、圧力損失が少なくなること、また、イオン交換容量が向上し、リーク挙動が改善されることが挙げられている。

また、有機合成ポリマ基体の細孔内に巨大網目構造を有する親水性天然高分子の架橋ゲルを充填した複合化充填材が提案されている(特許文献5及び6参照)。

特許文献7では、メタクリル酸グリシジルアクリル架橋モノマにより構成される多孔質粒子が合成されている。

概要

通液性を確保し、且つタンパク質吸着量の向上及び非特異吸着の低減が可能な分離材を提供すること。スチレン系モノマを含むモノマを重合することにより得られる多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、アミノ基を有する親水性高分子を含む被覆層と、を備え、モード径が0.10〜0.40μmである、分離材。なし

目的

米国特許第4965289号明細書
米国特許第4335017号明細書
米国特許第4336161号明細書
米国特許第3966489号明細書
特開平1−254247号公報
米国特許第5114577号明細書
特開2009−244067号公報






従来のカラム充填材では、天然高分子の課題である

効果

実績

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請求項1

スチレン系モノマを含むモノマ重合することにより得られる多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、アミノ基を有する親水性高分子を含む被覆層と、を備え、モード径が0.10〜0.40μmである、分離材

請求項2

空隙率が30〜70体積%である、請求項1に記載の分離材。

請求項3

多孔質ポリマ粒子の比表面積が30m2/g以上である、請求項1又は2に記載の分離材。

請求項4

前記スチレン系モノマを含むモノマが、ジビニルベンゼンをモノマ全質量基準で50質量%以上含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離材。

請求項5

前記多孔質ポリマ粒子における粒径変動係数が3〜15%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材。

請求項6

前記アミノ基を有する親水性高分子が、多糖類又はその変性体にアミノ基が導入された高分子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材。

請求項7

前記アミノ基を有する親水性高分子が、アガロース又はその変性体にアミノ基が導入された高分子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材。

請求項8

前記多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの前記被覆層を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離材。

請求項9

カラム充填した場合、カラム圧が0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離材。

請求項10

前記多孔質ポリマ粒子の破壊強度が10mN以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分離材。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載の分離材を備えるカラム。

技術分野

0001

本発明は分離材及びカラムに関する。

背景技術

0002

従来、タンパク質に代表される生体高分子を分離精製する場合、一般的には合成高分子母体とする多孔質型粒子親水性天然高分子架橋ゲルを母体とする粒子が用いられている。上記の多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体は、塩濃度による体積変化が小さく、カラムに充填クロマトグラフィーで用いた場合、通液時の耐圧性が良いといった利点を持っている。しかし、このイオン交換体は、タンパク質等の分離に用いた場合、疎水的相互作用に基づく不可逆吸着等の非特異吸着が起き、ピークの非対称化が発生したり、あるいは、該疎水的相互作用でイオン交換体に吸着されたタンパク質が吸着されたまま回収できない問題点があった。

0003

一方、デキストランアガロース等の多糖に代表される親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とする上記のイオン交換体の場合、タンパク質の非特異吸着がほとんどないという利点がある。ところが、このイオン交換体は、水溶液中で著しく膨潤したり、溶液イオン強度による体積変化及び、遊離酸形負荷形との体積変化が大きく、機械的強度も充分ではないという欠点を有する。特に、架橋ゲルをクロマトグラフィーで使用する場合、通液時の圧力損失が大きく、通液によりゲル圧密化するといった欠点がある。

0004

親水性天然高分子の架橋ゲルが持つ欠点を克服するため、いわば“骨格”となる剛直な物質と組み合わせる試みがこれまでになされている。

0005

例えば特許文献1では、多孔性高分子の細孔内に天然高分子ゲル等のゲルを保持した複合体を、ペプチド合成の分野で用いるという記載があり、それにより反応性物質負荷係数を高め、高収率で合成できることが発明の効果として挙げられている。しかもこの特許文献1では、硬質合成高分子物質でゲルを包囲するため、カラムベッドの形態で使用しても、容積変化がなく、カラムを通過するフロースルーの圧力が変化しないという効果が挙げられている。

0006

特許文献2及び3では、セライト等の無機多孔質体にデキストラン、セルロースといった多糖等のキセロゲルを保持させ、このゲルに収着性能を付加するためにジエチルアミノメチルDEAE)基等を付与したものをヘモグロビンの除去に使用している。その効果として、カラムでの通液性の良さを挙げている。

0007

特許文献4では、いわゆるマクロネットワーク構造のコポリマの細孔を、モノマから合成した架橋共重合体のゲルで埋めたハイブリッドコポリマのイオン交換体が挙げられている。特許文献4では、架橋共重合体のゲルの架橋度が低い場合、圧力損失、体積変化等の問題があるが、ハイブリッドコポリマにすることで通液特性が改善され、圧力損失が少なくなること、また、イオン交換容量が向上し、リーク挙動が改善されることが挙げられている。

0008

また、有機合成ポリマ基体の細孔内に巨大網目構造を有する親水性天然高分子の架橋ゲルを充填した複合化充填材が提案されている(特許文献5及び6参照)。

0009

特許文献7では、メタクリル酸グリシジルアクリル架橋モノマにより構成される多孔質粒子が合成されている。

先行技術

0010

米国特許第4965289号明細書
米国特許第4335017号明細書
米国特許第4336161号明細書
米国特許第3966489号明細書
特開平1−254247号公報
米国特許第5114577号明細書
特開2009−244067号公報

発明が解決しようとする課題

0011

従来のカラム充填材では、天然高分子の課題である通液性、耐久性や、ポリマ粒子の課題である耐アルカリ性、耐圧性、非特異吸着の低減、タンパク質吸着量が低い点等を充分なレベルで解決することは難しい。

0012

そこで、本発明は、通液性を確保し、且つタンパク質吸着量の向上及び非特異吸着の低減が可能な分離材及びカラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明は、下記[1]〜[10]に記載の分離材及び下記[11]に記載のカラムを提供する。
[1]スチレン系モノマを含むモノマを重合することにより得られる多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、アミノ基を有する親水性高分子を含む被覆層と、を備え、モード径が0.10〜0.40μmである、分離材。
[2]空隙率が30〜70体積%である、[1]に記載の分離材。
[3] 多孔質ポリマ粒子の比表面積が30m2/g以上である、[1]又は[2]に記載の分離材。
[4] スチレン系モノマを含むモノマが、ジビニルベンゼンをモノマ全質量基準で50質量%以上含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離材。
[5] 多孔質ポリマ粒子における粒径変動係数が3〜15%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離材。
[6] アミノ基を有する親水性高分子が、多糖類又はその変性体にアミノ基が導入された高分子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[7] アミノ基を有する親水性高分子が、アガロース又はその変性体にアミノ基が導入された高分子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[8] 多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの被覆層を備える、[1]〜[7]のいずれかに記載の分離材。
[9] カラムに充填した場合、カラム圧が0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離材。
[10] 多孔質ポリマ粒子の破壊強度が10mN以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の分離材。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の分離材を備えるカラム。

発明の効果

0014

本発明によれば、通液性を確保し、且つタンパク質吸着量の向上及び非特異吸着の低減が可能な分離材及びカラムを提供することができる。また、本発明に係る分離材及びカラムは、耐アルカリ性の点でも優れている。

0015

以下、本発明の好適な実施形態について説明をするが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。

0016

<分離材>
本実施形態の分離材は、多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を備える。なお、本明細書中、「多孔質ポリマ粒子の表面」とは、多孔質ポリマ粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマ粒子の内部における細孔の表面を含むものとする。

0017

(多孔質ポリマ粒子)
本実施形態の多孔質ポリマ粒子は、スチレン系モノマを含むモノマを重合することにより得られ、スチレン系モノマ由来構造単位を有する。また、本実施形態の多孔質ポリマ粒子は、スチレン系モノマと多孔質化剤とを含む組成物を反応させることにより得ることができる。多孔質ポリマ粒子は、例えば、従来の懸濁重合乳化重合等によって合成することができる。モノマとしては、スチレン系モノマを使用することができる。具体的なスチレン系モノマとしては、以下のような多官能性スチレン系モノマ、単官能性スチレン系モノマ等が挙げられる。

0018

多官能性スチレン系モノマとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニルジビニルナフタレン、ジビニルフェナントレン等のジビニル化合物が挙げられる。これらの多官能性スチレン系モノマは、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも耐久性、耐酸性及び耐アルカリ性に更に優れることから、ジビニルベンゼンを使用することが好ましい。

0019

モノマは、スチレン系モノマとしてジビニルベンゼンを含む場合、ジビニルベンゼンを、モノマ全質量基準で50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことがさらに好ましい。ジビニルベンゼンをモノマ全質量基準で50質量%以上含むことにより、耐アルカリ性及び耐圧性に更に優れる傾向にある。

0020

単官能性スチレン系モノマとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン及びその誘導体が挙げられる。これらの単官能性スチレン系モノマは、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、耐酸性及び耐アルカリ性に更に優れるという観点から、スチレンを使用することが好ましい。また、カルボキシ基、アミノ基、水酸基アルデヒド基等の官能基を有するスチレン誘導体も使用することができる。

0021

多孔質化剤としては、重合時に相分離を促し、粒子の多孔質化を促進する有機溶媒である脂肪族又は芳香族炭化水素類エステル類ケトン類エーテル類アルコール類等が挙げられる。具体的には、トルエンキシレンシクロヘキサンオクタン酢酸ブチルフタル酸ジブチルメチルエチルケトンジブチルエーテル1−ヘキサノール、2−オクタノールデカノールラウリルアルコールシクロヘキサノール等が挙げられる。これら多孔質化剤は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。

0022

上記多孔質化剤は、モノマ全質量に対して0〜200質量%使用できる。多孔質化剤の量によって、多孔質ポリマ粒子の空隙率をコントロールできる。さらに、多孔質化剤の種類によって、多孔質ポリマ粒子の細孔の大きさ及び形状をコントロールすることができる。

0023

また、溶媒として使用する水を多孔質化剤とすることもできる。水を多孔質化剤とする場合は、モノマに油溶性界面活性剤を溶解させ、水を吸収することによって、多孔質化することが可能となる。

0024

多孔質化に使用される油溶性界面活性剤としては、分岐C16〜C24脂肪酸鎖状飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノラウレートソルビタンモノオレエートソルビタンモノミリステート又はヤシ脂肪酸から誘導されるソルビタンモノエステル;分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のジグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1(炭素数18個、二重結合数1個)脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート又はヤシ脂肪酸のジグリセロールモノエステル;分岐C16〜C24アルコール(例えば、ゲルベアルコール)、鎖状不飽和C16〜C22アルコール又は鎖状飽和C12〜C14アルコール(例えば、ヤシ脂肪アルコール)のジグリセロールモノ脂肪族エーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。

0025

これらのうち、ソルビタンモノラウレート(例えば、SPAN(スパン登録商標)20、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは純度約50%を超える、最も好ましくは純度約70%を超えるソルビタンモノラウレート);ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN(スパン、登録商標)80、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは純度約50%を超える、最も好ましくは純度約70%を超えるソルビタンモノオレエート);ジグリセロールモノオレエート(例えば、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは純度約50%を超える、最も好ましくは純度約70%を超えるジグリセロールモノオレエート);ジグリセロールモノイソステアレート(例えば、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは純度約50%を超える、最も好ましくは純度約70%を超えるジグリセロールモノイソステアレート);ジグリセロールモノミリステート(好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは純度約50%を超える、最も好ましくは純度約70%を超えるソルビタンモノミリステート);ジグリセロールのココイル(例えば、ラウリル基ミリストイル基等)エーテル;及びこれらの混合物が好ましい。

0026

これらの油溶性界面活性剤は、モノマ全質量に対して、5〜80質量%の範囲で用いることが好ましい。油溶性界面活性剤の含有量が5質量%以上であると、水滴の安定性が充分となることから、大きな単一孔を形成しやすくなる。また、油溶性界面活性剤の含有量が80質量%以下であると、重合後に多孔質ポリマ粒子が形状をより保持しやすくなる。

0027

重合反応に用いられる水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体等が挙げられる。水性媒体には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性イオン系の界面活性剤のうち、いずれも用いることができる。

0032

界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の中でも、モノマ重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。

0033

必要に応じて添加される重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル過酸化ラウロイルオルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤は、モノマ100質量部に対して、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することができる。

0034

重合温度は、モノマ及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、25〜110℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。

0035

多孔質ポリマ粒子の合成において、粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散安定剤を用いてもよい。

0036

高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコールポリカルボン酸セルロース類ヒドロキシエチルセルロースカルボキシメチルセルロースメチルセルロース等)、ポリビニルピロリドンが挙げられ、トリポリリン酸ナトリウム等の無機水溶性高分子化合物も併用することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましい。高分子分散安定剤の添加量は、モノマ100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。

0037

モノマが単独で重合することを抑えるために、亜硝酸塩類亜硫酸塩類ハイドロキノン類アスコルビン酸類水溶性ビタミンB類、クエン酸ポリフェノール類等の水溶性重合禁止剤を用いてもよい。

0038

多孔質ポリマ粒子の平均粒径は、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。また、多孔質ポリマ粒子の平均粒径は、通液性の更なる向上の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上である。

0039

多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数(C.V.)は、通液性の更なる向上の観点から、3〜15%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましく、5〜10%であることがさらに好ましい。C.V.を低減する方法としては、マイクロプロセスサーバー(例えば株式会社日立製作所製)等の乳化装置により単分散化することが挙げられる。

0040

多孔質ポリマ粒子又は分離材の平均粒径及び粒径のC.V.(変動係数)は、以下の測定法により求めることができる。
1)超音波分散装置を使用して粒子を水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の多孔質ポリマ粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス株式会社製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径及び粒径のC.V.(変動係数)を測定する。

0041

多孔質ポリマ粒子の細孔容積は、多孔質ポリマ粒子の全体積基準で30体積%以上70体積%以下であることが好ましく、40体積%以上70体積%以下であることがより好ましい。多孔質ポリマ粒子は、細孔径が0.1μm以上0.5μm未満である細孔、すなわちマクロポアー(マクロ孔)を有することが好ましい。多孔質ポリマ粒子の細孔径は、より好ましくは0.2μm以上0.5μm未満である。細孔径が0.1μm以上であると、細孔内に物質が入りやすくなる傾向にあり、細孔径が0.5μm未満であると、比表面積が充分なものになる。これらは上述の多孔質化剤により調整可能である。

0042

また、本実施形態の多孔質ポリマ粒子の細孔径分布のモード径(細孔径分布の最頻値最大頻度径)は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることがより好ましい。細孔径分布のモード径がこの範囲にあると、粒子中に液が流れやすくなり、動的吸着量を多くしやすい。

0043

多孔質ポリマ粒子の比表面積は、30m2/g以上であることが好ましい。より高い実用性の観点から、比表面積は35m2/g以上であることがより好ましく、40m2/g以上であることがさらに好ましい。比表面積が30m2/g以上であると、分離する物質の吸着量が大きくなる傾向にある。

0044

多孔質ポリマ粒子の破壊強度は、10mN以上であることが好ましく、15mN以上であることがより好ましい。多孔質ポリマ粒子の破壊強度が上記範囲であると、多孔質ポリマ粒子の耐久性に優れ、カラム内に充填を行う際に破砕したり、カラムの通液速度を上げた際に粒子が潰れたりすることを抑制できるため、カラム圧が高くなりにくい。

0045

本実施形態の多孔質ポリマ粒子の破壊強度は、以下のようにして算出することができる。
微小圧縮試験機(Fisher製)を用いて、室温(25℃)条件にて荷重負荷速度1mN/秒で、四角柱の平滑な端面(50μm×50μm)により粒子を50mNまで圧縮したときの荷重及び圧縮変位を測定する。上記測定中変位量が最も大きく変化する点の荷重を破壊強度(mN)とする。

0046

(被覆層)
本実施形態の被覆層は、アミノ基を有する親水性高分子を含む。アミノ基を有する親水性高分子で多孔質ポリマ粒子を被覆することによりカラム圧の上昇を抑制することができるとともに、タンパク質の非特異吸着を抑制することが可能となる上、分離材のタンパク質吸着量を、天然高分子を用いた場合と同等又はそれ以上とすることが可能となる。さらに、アミノ基を有する親水性高分子が架橋されていると、カラム圧の上昇をより抑制することが可能となる。

0047

(アミノ基を有する親水性高分子)
アミノ基を有する親水性高分子は、例えば、水酸基を有する高分子にアミノ基が導入された高分子である。アミノ基は、−NR1R2で表される基であり、R1及びR2は、例えば、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。

0048

水酸基を有する高分子は、1分子中に2個以上の水酸基を有することが好ましく、親水性高分子であることがより好ましい。水酸基を有する高分子としては、例えば、多糖類又はその変性体等が挙げられる。より好ましくは、アガロース、デキストラン、セルロース、ポリビニルアルコール、及びキトサン、並びにこれらの変性体等が挙げられる。水酸基を有する高分子の重量平均分子量は、1万〜20万であってよい。

0049

ここで、変性体とは、分子中に疎水性基が導入されたものを指す。水酸基を有する高分子は、界面吸着能を向上させる観点から、変性体であることが好ましい。疎水基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基エチル基プロピル基等が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基ナフチル基等が挙げられる。疎水基は、水酸基と反応する官能基(例えば、エポキシ基)及び疎水基を有する化合物(例えば、グリシジルフェニルエーテル)を、水酸基を有する高分子と従来公知の方法で反応させることにより、導入することができる。このような変性体としては、例えば、多糖類の変性体、好ましくはアガロースの変性体、デキストランの変性体、セルロースの変性体、ポリビニルアルコールの変性体、キトサンの変性体等が挙げられる。

0050

すなわち、アミノ基を有する親水性高分子は、多糖類又はその変性体にアミノ基が導入された高分子であってよく、好ましくは、アガロース若しくはその変性体、デキストラン若しくはその変性体、セルロース若しくはその変性体、ポリビニルアルコール若しくはその変性体、又は、キトサン若しくはその変性体にアミノ基が導入された高分子である。

0051

(被覆層の形成方法
アミノ基を有する親水性高分子を含む被覆層は、例えば、以下に示す方法により形成することができる。
まず、水酸基を有する高分子の溶液を多孔質ポリマ粒子表面に吸着させる。水酸基を有する高分子の溶液の溶媒としては、水酸基を有する高分子を溶解することのできるものであれば、特に限定されないが、水が最も一般的である。溶媒に溶解させる高分子の濃度は、5〜20(g/L)が好ましい。
この溶液を、例えば40〜95℃で多孔質ポリマ粒子に含浸させる。含浸方法は、水酸基を有する高分子の溶液に多孔質ポリマ粒子を加えて一定時間放置する。含浸時間は多孔質体表面状態によっても変わるが、通常一昼夜含浸すれば高分子濃度が多孔質体の内部で外部濃度と平衡状態となる。その後、室温にて、高分子が溶解する程度の温度の水、アルコール等で洗浄し、粒子表面に過剰に吸着した高分子を洗浄する。これにより、分離材前駆体が得られる。

0052

架橋処理
水酸基を有する高分子は、架橋されていてもよい。この場合、上記の多孔質ポリマ粒子表面に吸着された水酸基を有する高分子に架橋剤を加えて架橋反応させ、架橋体を形成する。このとき、架橋体は、水酸基を有する3次元架橋網目構造を有する。

0053

架橋剤としては、例えばエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリングルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物メチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物などのような水酸基に活性な官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。また、水酸基を有する高分子としてキトサンのようなアミノ基を有する化合物を使用する場合には、ジクロロオクタンのようなジハライドも架橋剤として使用できる。

0054

この架橋反応には通常触媒が用いられる。該触媒は架橋剤の種類に合わせて適宜従来公知のものを用いることができるが、例えば、架橋剤がエピクロルヒドリン等の場合には水酸化ナトリウム等のアルカリが有効であり、ジアルデヒド化合物の場合には塩酸等の鉱酸が有効である。

0055

架橋剤による架橋反応は、通常、分離材前駆体を適当な媒体中に分散、懸濁させた系に架橋剤を添加することによって行われる。架橋剤の添加量は、水酸基を有する高分子として多糖類を使用した場合、単糖類の1単位を1モルとすると、それに対して0.1〜100モル倍の範囲内で、分離材前駆体の性能に応じて選定することができる。一般に、架橋剤の添加量を少なくすると、被覆層が多孔質ポリマ粒子から剥離しやすくなる傾向にある。また、架橋剤の添加量が過剰で、かつ、水酸基を有する高分子との反応率が高い場合、原料の水酸基を有する高分子の特性が損なわれる傾向にある。

0056

また、触媒の使用量としては、架橋剤の種類により異なるが、通常、水酸基を有する高分子として多糖類を使用する場合に、多糖類を形成する単糖類の1単位を1モルとすると、これに対して0.01〜10モル倍の範囲、さらに好ましくは0.1〜5モル倍で使用される。

0057

例えば、該架橋反応条件を温度条件とした場合、反応系の温度を上げ、その温度が反応温度に達すれば架橋反応が生起する。

0058

水酸基を有する高分子の溶液等を含浸させた多孔質ポリマ粒子を分散、懸濁させる媒体としては含浸させた高分子溶液から高分子、架橋剤等を抽出してしまうことなく、かつ、架橋反応に不活性なものである必要がある。その具体例としては水、アルコール等が挙げられる。

0059

架橋反応は、通常、5〜90℃の範囲の温度で、1〜10時間かけて行う。好ましくは、20〜90℃の範囲の温度である。

0060

架橋反応終了後、生成した粒子を濾別し、次いで水、メタノールエタノール等の親水性有機溶媒で洗浄し、未反応の高分子、懸濁用媒体等を除去すれば、多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部が、水酸基を有する高分子を含む被覆層により被覆された分離材前駆体が得られる。

0061

(アミノ基の導入)
水酸基を有する高分子にアミノ基を導入する方法としては、水酸基を有する高分子と、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン、モノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−ジ−アルカノールアミン等のアミン化合物とを反応させる方法が挙げられる。これらのアミン化合物は、ジエチルアミノエチルクロライド等の水素原子の一部が塩素原子置換されたアルキル基を少なくとも1つ有する。これらのアミン化合物の使用量は、分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。反応条件は、40〜90℃で、0.5〜12時間であることが好ましい。これにより、本実施形態に係る分離材が得られる。

0062

分離材は、多孔質ポリマ粒子1g当たり、好ましくは30〜500mg、より好ましくは30〜400mgの被覆層を備える。被覆層の量は熱分解重量減少等で測定することができる。

0063

水酸基を有する高分子には、アミノ基以外のイオン交換基リガンドプロテインA)等が導入されてもよい。イオン交換基の導入方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。

0064

ハロゲン化アルキル化合物としては、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸及びそのナトリウム塩ハロゲン化アルキル基を有する4級アンモニウム塩酸塩などが挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物は、臭化物又は塩化物であることが好ましい。ハロゲン化アルキル化合物の使用量としては、イオン交換基を付与する分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。

0065

イオン交換基の導入には、反応を促進させるために、有機溶媒を用いることが有効である。有機溶媒としては、エタノール、1−プロパノール2−プロパノール、1−ブタノールイソブタノール、1−ペンタノールイソペンタノール等のアルコール類が挙げられる。

0066

通常、イオン交換基の導入は、分離材表面の水酸基に行われるので、湿潤状態の粒子を、ろ過等により水切りした後、所定濃度アルカリ性水溶液に浸漬し、一定時間放置した後、水−有機溶媒混合系で、上記ハロゲン化アルキル化合物を添加して反応させる。この反応は温度40〜90℃で、0.5〜12時間行うことが好ましい。上記の反応で使用されるハロゲン化アルキル化合物の種類により、付与されるイオン交換基が決定される。

0067

イオン交換基として、強塩基性基の4級アンモニウム基を導入する方法としては、まず、3級アミノ基を導入し、該3級アミノ基にエピクロルヒドリン等のハロゲン化アルキル化合物を反応させ、4級アンモニウム基に変換させる方法が挙げられる。また、4級アンモニウムの塩酸塩等を分離材に反応させてもよい。

0068

イオン交換基として、弱酸性基であるカルボキシ基を導入する方法としては、上記ハロゲン化アルキル化合物として、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸又はそのナトリウム塩を反応させる方法が挙げられる。これらハロゲン化アルキル化合物の使用量は、イオン交換基を導入する分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。

0069

イオン交換基として、強酸性基であるスルホン酸基の導入方法としては、分離材に対してエピクロロヒドリン等のグリシジル化合物を反応させ、亜硫酸ナトリウム重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩飽和水溶液に分離材を添加する方法が挙げられる。反応条件は、30〜90℃で1〜10時間であることが好ましい。

0070

一方、イオン交換基の導入方法として、アルカリ性雰囲気下で、分離材に1,3−プロパンスルトンを反応させる方法も挙げられる。1,3−プロパンスルトンは、分離材の全質量に対して0.4質量%以上使用することが好ましい。反応条件は、0〜90℃で0.5〜12時間であることが好ましい。なお、水酸基を有する高分子にアミノ基を導入する工程は、前述の架橋処理の後であっても前であってもよい。

0071

本実施形態の分離材又は多孔質ポリマ粒子の細孔容積、モード径、平均細孔径、比表面積及び空隙率は、水銀圧入測定装置(オートポア:株式会社島津製作所製)にて測定した値であり、以下のようにして測定する。試料約0.05gを、標準5mL粉体セルステム容積0.4mL)に加え、初期圧21kPa(約3psia、細孔直径約60μm相当)の条件で測定する。水銀パラメータは、装置デフォルトの水銀接触角130degrees、水銀表面張力485dynes/cmに設定する。また、細孔径0.1〜3μmの範囲に限定してそれぞれの値を算出する。

0072

本実施形態の分離材のモード径(細孔径分布の最頻値、最大頻度径)は、通液性及びタンパク質吸着量に優れ、非特異吸着を低減できる観点から、0.10〜0.40μmである。分離材のモード径は、通液性の点で更に優れる観点から、好ましくは0.10〜0.35μm、より好ましくは0.10〜0.30μmである。

0073

本実施形態の分離材の比表面積は、30m2/g以上であることが好ましい。より高い実用性の観点から、比表面積は35m2/g以上であることがより好ましく、40m2/g以上であることがさらに好ましい。比表面積が30m2/g以上であると、分離する物質の吸着量が大きくなる傾向にある。分離材の比表面積の上限は特に限定されないが、例えば300m2/g以下とすることができる。

0074

本実施形態の分離材の空隙率は、30〜70体積%であることが好ましく、40〜70体積%であることがより好ましい。空隙率がこの範囲にあると、タンパク質吸着量を多くすることができる。

0075

本実施形態の分離材は、タンパク質を静電的相互作用による分離、イオン交換精製、アフィニティ精製に用いるのに好適である。例えば、タンパク質を含む混合溶液の中に本実施形態の分離材を添加し、静電的相互作用によりタンパク質だけを分離材に吸着させた後、該分離材を溶液からろ別し、塩濃度の高い水溶液中に添加すれば、分離材に吸着しているタンパク質を容易に脱離、回収できる。また、本実施形態の分離材は、カラムクロマトグラフィーにおいて、使用することも可能である。すなわち、本実施形態のカラムは、本実施形態の分離材を備え、例えば、本実施形態の分離材を充填してなっている。

0076

本実施形態の分離材を用いて分離できる生体高分子としては、水溶性物質が好ましい。具体的には、血清アルブミン免疫グロブリン等の血液タンパク質などのタンパク質、生体中に存在する酵素バイオテクノロジーにより生産されるタンパク質生理活性物質、DNA、生理活性をするペプチド等の生体高分子などであり、好ましくは分子量が200万以下、より好ましくは50万以下である。また、公知の方法に従い、タンパク質の等電点イオン化状態等によって、分離材の性質、条件等を選ぶ必要がある。公知の方法としては、例えば、特開昭60−169427号公報等に記載の方法が挙げられる。

0077

本実施形態の分離材は、多孔質ポリマ粒子上の被覆層を架橋処理後、分離材の表面にイオン交換基、プロテインAを導入することにより、タンパク質等の生体高分子の分離において、天然高分子からなる粒子又は合成ポリマからなる粒子のそれぞれの利点を有する。特に本実施形態の分離材における多孔質ポリマ粒子は、上述の方法で得られるものであるため、耐久性及び耐アルカリ性を有する。また、本実施形態の分離材は、タンパク質の非特異吸着を低減し、タンパク質の吸脱着が起こりやすい傾向にある。さらに、本実施形態の分離材は、同一流速下でのタンパク質等の吸着量(動的吸着量)が大きい傾向にある。

0078

本明細書における通液速度とは、φ7.8×300mmのステンレスカラムに本実施形態の分離材を充填し、液を通した際の通液速度を表す。本実施形態の分離材は、カラムに充填した場合、カラム圧0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上であることが好ましい。カラムクロマトグラフィーでタンパク質の分離を行う場合、タンパク質溶液等の通液速度としては、一般に400cm/h以下の範囲であるが、本実施形態の分離材を使用した場合は、通常のタンパク質分離用の分離材よりも速い通液速度800cm/h以上で使用することができる。

0079

本実施形態の分離材の平均粒径は、10〜300μmであることが好ましい。分取用又は工業用のクロマトグラフィーでの使用には、カラム内圧極端な増加を避けるために、10〜100μmであることが好ましい。

0080

本実施形態の分離材は、カラムクロマトグラフィーでカラム充填材として使用した場合、使用する溶出液の性質によらず、カラム内での体積変化がほとんどないため、操作性に優れる。

0081

分離材のモード径、比表面積等は、多孔質ポリマ粒子の原料、多孔質化剤、水酸基を有する高分子、水酸基を有する高分子を架橋させる架橋剤、被覆層の形成方法等を適宜選択することによって、調整することができる。

0082

なお、本実施形態では、イオン交換基を導入する形態の分離材について説明したが、イオン交換基を導入しなくても分離材として用いることができる。このような分離材は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーに利用することができる。

0083

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0084

<実施例1>
(多孔質ポリマ粒子の合成)
500mLの三口フラスコ中で、純度96%のジビニルベンゼン(DVB960、新日鉄住金化学株式会社)16g、ソルビタンモノオレエート(スパン80)6g、及び過酸化ベンゾイル0.64gをポリビニルアルコール水溶液(0.5質量%)に加え、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化させた。得られた乳化液フラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、撹拌機を用いて約8時間撹拌をして粒子を得た。得られた粒子をろ過後、アセトン洗浄を行い、多孔質ポリマ粒子を得た。得られた多孔質ポリマ粒子の粒径をフロー型粒径測定装置で測定し、平均粒径及び粒径のC.V.値を算出した。また、多孔質ポリマ粒子のモード径、比表面積、空隙率を水銀圧入法にて測定した。結果を表1に示す。

0085

(破壊強度の評価)
多孔質ポリマ粒子の破壊強度を以下のようにして評価した。微小圧縮試験機(Fisher製)を用いて、室温(25℃)条件にて荷重負荷速度1mN/秒で、四角柱の平滑な端面(50μm×50μm)により分離材を50mNまで圧縮したときの荷重及び圧縮変位を測定した。上記測定中の変位量が最も大きく変化する点の荷重を破壊強度(mN)とした。結果を表1に示す。

0086

線流速の評価)
多孔質ポリマ粒子をφ7.8×300mmのステンレスカラムにスラリー(溶媒:メタノール)濃度30質量%にて15分間かけて充填した。その後、カラムに流速を変えて水を流し、流速とカラム圧の関係を測定し、カラム圧0.3MPa時の線流速を算出した。結果を表1に示す。

0087

(被覆層の形成)
アガロース水溶液(2質量%)100mLに水酸化ナトリウム4g、グリシジルフェニルエーテル0.4gを加え、70℃で12時間反応させることにより、アガロースにフェニル基を導入した。

0088

得られた変性アガロースをイソプロピルアルコールで3回再沈殿させ、洗浄した。4.5g/Lの変性アガロース水溶液700mLに多孔質ポリマ粒子を10g投入し、55℃で24時間撹拌することにより、多孔質ポリマ粒子の表面に被覆層を形成した。その後、室温にて、多孔質ポリマ粒子の表面を55℃の純水で洗浄した。多孔質ポリマ粒子1gに対する変性アガロースの吸着量(被覆層の量)は、乾燥させた粒子の熱重量減少を測定することにより算出した。結果を表2に示す。

0089

粒子に吸着した変性アガロースを次のようにして架橋させた。10gの粒子を分散させた0.4M水酸化ナトリウム水溶液にエチレングリコールジグリシジルエーテルを39g添加し、室温にて8時間撹拌した。その後、加熱した2質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、純水で洗浄し、粒子(分離材)を水中で保管した。

0090

(アミノ基の導入)
分離材の分散液について、遠心分離により水を除去した後、分離材20gを、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩を所定量溶解させた水溶液100mLに分散させ、70℃で10分撹拌した。その後、70℃に加温した5MのNaOH水溶液100mLを添加し、1時間反応させた。反応終了後濾過、水/エタノール(体積比8/2)で2回洗浄し、ジエチルアミノエチル(DEAE)基を導入したDEAE変性分離材を得た。得られたDEAE変性分離材のモード径、比表面積、空隙率を水銀圧入法にて測定した。結果を表2に示す。

0091

(イオン交換容量の評価)
分離材のイオン交換容量を以下のように測定した。5mL容量のDEAE変性分離材を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLに1時間浸漬し、室温で撹拌した。その後、洗浄液として用いた水のpHが7以下となるまで洗浄を行った。洗浄した分離材を0.1Nの塩酸20mLに浸漬し、1時間撹拌させた。DEAE変性分離材をろ過で取り除いた後、ろ液塩酸水溶液中和滴定することによって、DEAE変性分離材のイオン交換容量を測定した。結果を表3に示す。

0092

(カラム特性評価
上記の多孔質ポリマ粒子の線流速の評価と同様にして、得られたDEAE変性分離材の線流速を評価した。結果を表3に示す。
また、動的吸着量を以下のようにして測定した。20mmol/LのTris−塩酸緩衝液(pH8.0)をカラムに10カラム容量流した。その後、BSA濃度2mg/mLの20mmol/L Tris−塩酸緩衝液を流し、UVによりカラム出口でのBSA濃度を測定した。カラム入口出口のBSA濃度が一致するまで液を流し、5カラム容量分の1M NaClのTris−塩酸緩衝液で希釈した。10%breakthroughにおける動的吸着量は以下の式を用いて算出した。結果を表3に示す。
q10=cfF(t10−t0)/VB
q10:10%breakthroughにおける動的吸着量(mg/mL wet resin)
cf:注入しているBSA濃度
F:流速(mL/min)
VB:ベッド体積(mL)
t10:10%breakthroughにおける時間
t0:BSA注入開始時

0093

(タンパク質の非特異吸着能評価)
DEAE変性分離材0.5gをBSA濃度20mg/mLのリン酸緩衝液(pH7.4)50mLに投入し、室温で24時間撹拌を行った。その後、遠心分離で上澄みをとった後、分光光度計でろ液のBSA濃度を算出することにより、粒子に吸着したBSA量を算出した。BSAの濃度は、分光光度計により280nmの吸光度から算出した。結果を表3に示す。

0094

(耐アルカリ性評価)
DEAE変性分離材を0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で24時間撹拌し、リン酸緩衝液で洗浄後、カラム特性評価と同様の条件にて充填した。BSAの10%breakthrough動的吸着量を測定し、アルカリ処理前の動的吸着量と比較した。動的吸着量の減少率が3%以下である場合を○、3%を超え20%以下である場合を△、20%を超える場合を×とした。結果を表3に示す。

0095

<実施例2>
被覆層の形成においてエチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量を10gに変更した以外は、実施例1と同様にして分離材の作製及び評価を行った。

0096

<実施例3>
被覆層の形成においてエチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量を40gに変更した以外は、実施例1と同様にして分離材の作製及び評価を行った。

0097

<比較例1>
被覆層の形成において、多孔質ポリマ粒子の表面を55℃の純水で洗浄する代わりに多孔質ポリマ粒子を80℃の純水で充分にろ過洗浄した以外は、実施例1と同様にして分離材の作製及び評価を行った。

0098

<比較例2>
被覆層の形成においてエチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量を40gに変更し、多孔質ポリマ粒子の表面を15℃の純水で洗浄した以外は、実施例1と同様にして分離材の作製及び評価を行った。

0099

0100

0101

実施例

0102

表2,3の結果より、分離材のモード径が0.10〜0.40μmであると、動的吸着量が向上し、更には通液性の向上及び非特異吸着の低減の点でも優れることが分かる。

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