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技術 処理対象の熱伝達率算出方法、及びこれを用いた処理対象の熱処理方法

出願人 出光興産株式会社学校法人智香寺学園
発明者 市谷克実巨東英金森英夫
出願日 2016年1月13日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-004794
公開日 2017年7月20日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-125754
状態 未査定
技術分野 熱的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 円周側面 厚み方向位置 表面温度測定装置 円板状体 温度計算値 初期温度分布 冷却試験 熱伝導式
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月20日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

熱処理シミュレーション歪み値計算値を高精度に求めるために、複数の場所の熱伝達率を考慮することのできる処理対象の熱伝達率算出方法を提供すること。

解決手段

処理対象の熱伝達率算出方法は、処理対象を模した板状体からなる試験片の第1表面、及び第2表面のそれぞれについて、第1表面及び流体間の界面温度時間変化を与える第1冷却曲線と、第2表面及び流体間の界面温度の時間変化を与える第2冷却曲線とを測定する工程S1と、測定された第1冷却曲線及び第2冷却曲線に基づいて、熱伝導方程式を設定し、第1表面における流体との界面の熱伝達率と、第2表面における流体との界面の熱伝達率とを同定する工程S2と、同定された熱伝達率及び熱伝達率に基づいて、試験片の内部の温度分布推定する工程S3と、推定された温度分布と測定値との差が所定の範囲内となったら、熱伝達率の最終的な同定を行う工程S6とを実施する。

概要

背景

従来、熱処理シミュレーションの普及に伴い、鋼の焼入れ時の硬さや、焼入れ歪み等をCAEコンピュータシミュレーションで計算できるようになってきている。シミュレーションには、金属材料機械的特性や、冶金学的相変化冷却剤熱伝達率などの様々な物性データが必要となる。このうち、金属材料の物性に関しては、各種の検討で物性が取得され、データベース化されている。

一方、冷却剤の熱伝達率に関しては、例えば、JIS K2242の熱処理油冷却試験により測定された冷却曲線から熱伝達率を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
熱処理シミュレーションを活用することにより、鋼の焼入れ時の硬さに関しては、シミュレーションの計算値と、実測値とが略一致することが確認された。
そして、所定の熱処理油を用いて熱処理対象を熱処理するに際し、予め、冷却剤による熱処理対象の冷却曲線を測定し、冷却曲線に基づいて冷却剤の熱伝達率を同定し、同定された熱伝達率に基づいて、冷却剤の温度制御等を行いながら、熱処理対象の冷却を行うことにより、所望の硬さを有する熱処理対象を得られる、という効果が得られる。

概要

熱処理シミュレーションの歪み値の計算値を高精度に求めるために、複数の場所の熱伝達率を考慮することのできる処理対象の熱伝達率算出方法を提供すること。処理対象の熱伝達率算出方法は、処理対象を模した板状体からなる試験片の第1表面、及び第2表面のそれぞれについて、第1表面及び流体間の界面温度時間変化を与える第1冷却曲線と、第2表面及び流体間の界面温度の時間変化を与える第2冷却曲線とを測定する工程S1と、測定された第1冷却曲線及び第2冷却曲線に基づいて、熱伝導方程式を設定し、第1表面における流体との界面の熱伝達率と、第2表面における流体との界面の熱伝達率とを同定する工程S2と、同定された熱伝達率及び熱伝達率に基づいて、試験片の内部の温度分布推定する工程S3と、推定された温度分布と測定値との差が所定の範囲内となったら、熱伝達率の最終的な同定を行う工程S6とを実施する。

目的

本発明の目的は、熱処理シミュレーションの歪み値の計算値と、実測値の一致させることのできる処理対象の熱伝達率算出方法、及びこれを用いた処理対象の熱処理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

処理対象を、流体によって冷却する処理対象の熱伝達率算出方法であって、以下の工程からなることを特徴とする処理対象の熱伝達率算出方法。第1工程:前記処理対象を模した板状体からなる試験片の第1表面、及び第2表面のそれぞれについて、前記第1表面及び前記流体間の界面温度時間変化を与える第1冷却曲線と、前記第2表面及び前記流体間の界面温度の時間変化を与える第2冷却曲線とを測定する。第2工程:測定された第1冷却曲線及び第2冷却曲線に基づいて、下記式(1)で表される熱伝導方程式を設定し、下記式(2)、式(3)で表される境界条件と、式(4)で表される初期条件とに基づいて、前記第1表面における前記流体との界面の熱伝達率h1と、前記第2表面における前記流体との界面の熱伝達率h2とを同定する。第3工程:同定された熱伝達率h1及び熱伝達率h2に基づいて、前記試験片内部の温度分布推定する。第4工程:推定された温度分布に基づいて、熱伝達率h1、h2の修正を行い、第1工程からを繰り返し、前記推定された温度分布と測定値との差が所定の範囲以内となったら熱伝達率h1、h2の最終的な同定を行う。x:第1表面から第2表面に至る厚み方向位置(m,0≦x≦板状体の厚さL)t:時間(s)T(x,t):任意の時間における任意の厚み方向位置の温度(K)α:熱拡散率(m2/s)k1:第1表面の熱伝導率(W/(m・K))k2:第2表面の熱伝導率(W/(m・K))[数4]T=F(x)(t=0,0≦x≦L)・・・(4)T:初期における試験片の厚さ方向の温度分布(K)

請求項2

請求項1に記載の処理対象の熱伝達率算出方法を用いて熱伝達率の同定を行った後、前記処理対象の姿勢を変更して、再度請求項1に記載の処理対象の熱伝達率算出方法を用いて前記温度分布を推定し、前記処理対象の温度分布が大きくなったら、前記処理対象の姿勢を逆向きに変更し、前記処理対象の温度分布が小さくなったら、前記処理対象の姿勢を同方向にさらに変更することを特徴とする処理対象の熱処理方法

請求項3

請求項2に記載の処理対象の熱処理方法において、前記第1表面の冷却曲線及び前記第2表面の冷却曲線を測定する工程では、前記試験片には、前記試験片の外周端面の厚さ方向中央から、前記第1表面の中央に貫通する第1孔と、前記試験片の外周端面の厚さ方向中央から、前記第2表面の中央に貫通する第2孔が形成され、前記第1孔及び前記第2孔のそれぞれに熱電対の挿入することにより、前記第1表面及び前記流体間の界面温度、前記第2表面及び前記流体間の界面温度を測定することを特徴とする処理対象の熱処理方法。

技術分野

0001

本発明は、処理対象熱伝達率算出方法、及びこれを用いた処理対象の熱処理方法に関する。

背景技術

0002

従来、熱処理シミュレーションの普及に伴い、鋼の焼入れ時の硬さや、焼入れ歪み等をCAEコンピュータシミュレーションで計算できるようになってきている。シミュレーションには、金属材料機械的特性や、冶金学的相変化冷却剤の熱伝達率などの様々な物性データが必要となる。このうち、金属材料の物性に関しては、各種の検討で物性が取得され、データベース化されている。

0003

一方、冷却剤の熱伝達率に関しては、例えば、JIS K2242の熱処理油冷却試験により測定された冷却曲線から熱伝達率を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
熱処理シミュレーションを活用することにより、鋼の焼入れ時の硬さに関しては、シミュレーションの計算値と、実測値とが略一致することが確認された。
そして、所定の熱処理油を用いて熱処理対象を熱処理するに際し、予め、冷却剤による熱処理対象の冷却曲線を測定し、冷却曲線に基づいて冷却剤の熱伝達率を同定し、同定された熱伝達率に基づいて、冷却剤の温度制御等を行いながら、熱処理対象の冷却を行うことにより、所望の硬さを有する熱処理対象を得られる、という効果が得られる。

先行技術

0004

特開平07−146264号公報
特開2006−266751号公報

発明が解決しようとする課題

0005

前記特許文献1及び前記特許文献2に記載の技術では、熱処理対象全体が同一の熱伝達率であるとみなして計算し、求められた熱伝達率に基づいて、熱処理対象の冷却条件等を決定していた。
この場合、硬さに関しては、計算値と実測値が一致するようになったが、焼入れ歪みに関しては、計算値と実測値があまり一致しないという課題がある。

0006

本発明の目的は、熱処理シミュレーションの歪み値の計算値と、実測値の一致させることのできる処理対象の熱伝達率算出方法、及びこれを用いた処理対象の熱処理方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る処理対象の熱処理方法は、処理対象を、流体によって冷却する処理対象の熱伝達率算出方法であって、以下の工程からなることを特徴とする処理対象の熱伝達率算出方法。
第1工程:前記処理対象を模した板状体からなる試験片の第1表面、及び第2表面のそれぞれについて、前記第1表面及び前記流体間の界面温度時間変化を与える第1冷却曲線と、前記第2表面及び前記流体間の界面温度の時間変化を与える第2冷却曲線とを測定する。
第2工程:測定された第1冷却曲線及び第2冷却曲線に基づいて、下記式(1)で表される熱伝導方程式を設定し、下記式(2)、式(3)で表される境界条件と、式(4)で表される初期条件とに基づいて、前記第1表面における前記流体との界面の熱伝達率h1と、前記第2表面における前記流体との界面の熱伝達率h2とを同定する。
第3工程:同定された熱伝達率h1及び熱伝達率h2に基づいて、前記試験片内部の温度分布推定する。
第4工程:推定された温度分布に基づいて、熱伝達率h1、h2の修正を行い、第1工程からを繰り返し、前記推定された温度分布と測定値との差が所定の範囲以内となったら熱伝達率h1、h2の最終的な同定を行う。

0008

x:第1表面から第2表面に至る厚み方向位置(m,0≦x≦板状体の厚さL)
t:時間(s)
T(x,t):任意の時間における任意の厚み方向位置の温度(K)
α:熱拡散率(m2/s)

0009

k1:第1表面の熱伝導率(W/(m・K))

0010

k2:第2表面の熱伝導率(W/(m・K))

0011

[数4]
T=F(x)(t=0,0≦x≦L)・・・(4)
T:初期における試験片の厚さ方向の温度分布(K)

0012

この発明によれば、熱処理シミュレーションの歪み値の計算値と、実測値の一致させることのできる処理対象の熱伝達率算出方法を実現できる。

0013

本発明の処理対象の熱処理方法は、前記の処理対象の熱伝達率算出方法を用いて熱伝達率の同定を行った後、処理対象の姿勢を変更して、再度前記の処理対象の熱伝達率算出方法を用いて温度分布を推定し、処理対象の温度分布が大きくなったら、処理対象の姿勢を逆向きに変更し、処理対象の温度分布が小さくなったら、処理対象の姿勢を同方向にさらに変更する。

0014

本発明では、
前記第1表面の冷却曲線及び前記第2表面の冷却曲線を測定する工程では、
前記試験片には、前記試験片の外周端面の厚さ方向中央から、前記第1表面の中央に貫通する第1孔と、前記試験片の外周端面の厚さ方向中央から、前記第2表面の中央に貫通する第2孔が形成され、
前記第1孔及び前記第2孔のそれぞれに熱電対の挿入することにより、前記第1表面及び前記流体間の界面温度、前記第2表面及び前記流体間の界面温度を測定するのが好ましい。

0015

この発明によれば、流体と処理対象の界面に極めて近い位置で温度測定を行うことができるため、高精度な測定を行うことができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施形態に係る金属の表面温度測定装置の構造を表す模式図。
前記実施形態における被測定体の構造を表す側面図。
前記実施形態における試験片の構造を表す側面図及び平面図。
前記実施形態における熱伝達率の同定を説明するための模式図。
前記実施形態における熱伝達率の同定を説明するためのグラフ
前記実施形態における熱伝達率の同定を説明するためのグラフ。
前記実施形態における試験片の冷却曲線を表すグラフ。
前記実施形態における温度と熱伝達率の関係を表すグラフ。
前記実施形態における試験片の時間毎の温度分布を表すグラフ。
前記実施形態における試験片の姿勢・位置変更を表す模式図。
前記実施形態における作用を説明するためのフローチャート

実施例

0017

以下、本発明の実施の一形態について説明する。
[1]表面温度測定装置の構成
図1には、本発明の実施形態に係る金属の表面温度測定装置が示されている。表面温度測定装置は、加熱器としての加熱用電気炉1と、処理対象の冷却容器2と、被測定体3と、温度計4及び記録計4Aを備えている。
加熱用電気炉1は、被測定体3を所定温度(約800℃)まで加熱するためのものであり、強い磁場または交番磁場を炉内に形成しない無誘電式のものなどを用いる。冷却容器2は、検査対象となる冷却剤、例えば潤滑油を入れる容器であり、被測定体3の下方に配置されている。温度計4は、熱電対の部分を有しており、その測定部は被測定体3の内部に組み込まれており、被測定体表面の温度を測定する。記録計4Aは、温度計4が測定した温度を記録する。

0018

図2には、被測定体3の側面図が示されている。被測定体3は、移動手段3A(図1)により上下動可能な支持体5と、この支持体5に回動可能に支持された試験片6とを備える。なお、以下の説明では、試験片6の表面6Cを本発明の第1表面、裏面6Dを本発明の第2表面として説明する。
試験片6は、図3に示されるように、金属製の円板状体から構成され、外周端面となる円周側面には、孔6A、6Bが形成されており、熱電対7が挿入されている。
この試験片6は、直径35mm、厚さ10mmのSUS303から構成されている。
孔6Aは、円周側面略中央から一方の試験片6の表面6Cまで貫通し、孔6Bは、円周側面略中央から他方の裏面6Dまで貫通している。この孔6A、6Bの表面近傍には、熱電対7の温度検出子となる熱電対を最表面に配置し、表面6C及び裏面6Dと冷却流体の界面に極めて近い部分の温度の測定が可能となっている。

0019

[2]熱伝達率h1,h2の同定
前述した式(1)〜式(4)の導入と、熱伝達率h1,h2の同定は、以下のようにして得られる。
今、図4に示されるように、試験片6の表面6C及び裏面6Dから熱伝達率h1,h2で、温度T=0の冷媒で冷却される厚さLの無限平板熱伝導式は、下記式(5)で表される。

0020

0≦x≦L,t>0

0021

境界条件は、下記式(6)、式(7)で表される。

0022

x=0,t>0



x=L,t>0

0023

初期条件は、下記式(8)で表現することができる。

0024

t=0,0≦x≦L

0025

これを解くために、厚さ方向の任意の場所xと時間tの関数である温度Tを、下記式(9)のように変数分離する。

0026

0027

このように変数分離すると、三角関数直交関係を利用し、固有値問題を解くと、下記式(10)に示される解が導かれる。

0028

0029

ここで、N(βm)は、下記式(11)である。

0030

0031

Tはt→0のとき、初期温度F(x)となるから、以下の式(12)が導かれる。

0032

0<x<L

0033

固有関数としては、以下の式(13)のようになる。

0034

0035

よって、熱伝達率を表す固有値は、以下の式(14)のようになる。

0036

0037

ノルムは、以下の式(15)のようになる。

0038

0039

ここで、
α:熱拡散率(Thermal Diffusivity,m2/s)
k:熱伝導度(Heat Conductivity,W/m・K)
c:比熱(Specific Heat,J/kg・K)
ρ:密度(Density,kg/m3)
h:熱伝達率(Heat Transfer Coefficients,W/m2・K)
とすると、H1=h1/k1,H2=h2/k2(m−1)となる。

0040

熱伝達率h1,h2の同定は、次の手順により求められる。
まず、経過時間tにおける試験片6の表面6Cの温度の測定値をTm1(i)、裏面6Dの温度をTm2(i)とすると、経過時間t+Δtにおける測定値は、
Tm1(i+1),ΔT1=Tm1(i+1)−Tm1(i)
Tm2(i+1),ΔT2=Tm2(i+1)−Tm2(i)
となる。
熱伝達率h1,h2の予想値は、図5に示される微小時間Δtに対する試験片6の表面6C及び裏面6Dの温度変化率冷却速度)ΔT1/Δt,ΔT2/Δtを同定プロセスの初期値目安に用いた。

0041

前述した式(14)は、固有値βmとH1,H2の関係を示している。仮にH1=H2=100とした場合、式(14)の関係を図に表すと、図6のようになる。
H1≠H2の場合、固有値βmについては、m=60まで式(13)を計算した。
ΔT1/ΔT2∝H1/H2を目安の値として用いて、まず、H1,H2を暫定的に求め、次に温度測定結果に対して、温度計算値との差を0.02℃以下となるように、両面の暫定H1,H2をそれぞれ修正し、最終のH1,H2の同定を行う。
用いた冷却曲線を図7、同定した各温度における熱伝達率を図8、試験片6の時間毎の温度分布を図9に示す。

0042

具体的な熱伝達率の算出は、3つのサブルーチンによって行われ、以下のように行う。
[2-1]固有値算出のサブルーチン
固有値βmは、板厚L、温度依存α、熱伝導率kを設定し、下記式(16)の関係から算出する。

0043

0044

具体的には、左辺を大きい値から減少させ、右辺に一致するβm*を複数個、例えば、60個見出す
このとき最初に用いるH1,H2は、図5に示すような値を代入する。
その後、後述する温度比較サブルーチンによって測定値に一致するH1,H2を求めていく。
まず、式(16)の左辺の値の大きい方からある値の間隔で減少させていき、一致する点を通り越して、式(16)の右辺の値が負になった場合、値の間隔を1/10にして増加させ、これがまた通り越したら、値の間隔をまた1/10にして減少させ、これを繰り返して交点を求める。

0045

次に、求めた60個の固有値βm(m=1〜60)を用いて、下記式(17)に基づいて、T*(x*,t)の算出を行う。m→∞は、60個見出したβm*を使って60回の総和を計算する。

0046

0047

[2-2]計算値と測定値の温度比較サブルーチン
算出された温度のうち、表面温度計算値表面温度測定値と比較し、測定値に合致するまでH1,H2を変更し、変更したH1,H2に合致する60個のβm*を求め、再び式(17)でT*(x*,t)を算出し、その温度を測定値と比較する、という手順を繰り返す。
なお、固有関数には、式(18)を用いる。

0048

なお、式(17)中のF(x*)dx*は、初期温度分布を用いて計算し、積分は台形数値積分を行う。

0049

[2-3]冷却曲線の読込のサブルーチン
まず、初期条件を設定するとともに、冷却曲線からデータを読み込む温度間隔を設定する。このときの初期温度から温度間隔を減じた時の温度を冷却曲線から読み取る。同時にそのときの時間を読み取り、その時間間隔を算出する。
初回は、板厚方向の各点の温度、すなわち冷却開始温度を初期条件に設定する。
次に、冷却曲線から読み取ったデータを、述する固有値算出のサブルーチン、計算値と測定値の比較のサブルーチンに入力する。

0050

固有値算出のサブルーチンで同定された熱伝達率結果、表面6Cの初期温度、裏面の初期温度、Δt後の表面6Cの温度、裏面6Dの温度を記録する。
このとき、式(10)では、板厚方向の温度分布が計算される。
計算された板厚方向の各点の温度分布を記録する。
各点の温度分布を次回の初期条件に設定する。
温度間隔の温度データを上述と同様に冷却曲線から読み取り、固有値計算のサブルーチン、計算値及び測定値の比較サブルーチンにデータを入力し、同定された熱伝達率及び低下した温度を記録する。ここで、板厚方向の各点の温度を次々回の初期条件に設定する。

0051

表面6C及び裏面6Dの熱伝達率h1,h2を同定するにあたっては、ある熱伝達率h1,h2とその級数解λnとからなる組(h1,λn),(h2,λn)を多数用意し、これらの熱伝達率h1,h2に対応する級数解λnを順次固有関数に代入して温度測定値に近い温度計算値を与える組(h1,λn),(h2,λn)を数組選定し、これらの組(h1,λn),(h2,λn)と温度計算値との関係から帰納法により回帰式を求め、この回帰式より温度測定値を与える熱伝達率h1,h2とその級数解λxnとを求め、この組を固有関数に代入し、その代入によって算出される温度計算値が温度測定値に一致するように、熱伝達率h1,h2を修正して同定する。
求めた、2面の熱伝達率h1,h2を用いて、市販の熱処理シミュレーションソフトを活用すれば、冷却ムラが生じた場合の熱処理歪を精度よく計算することができる。
市販の熱処理シミュレーションソフトとしては、Deform-HT((株)ヤマナカゴキン)、COSMAP有限会社アイデアマップ)、DANTE(Dante Solutions,Incorporated (USA))等が上げられる。

0052

[3]処理対象の姿勢制御及び作用
以上のようにして求められた試験片6の内部の温度分布を、図10に示されるように、種々の姿勢について行い、その姿勢毎の温度分布を把握する。
実際の処理対象の冷却時には、処理対象をまず一定の姿勢で冷却しながら、その際の処理対象の内部の温度分布を推定し、内部の温度分布の差が所定の閾値を超えたら、これを解消する方向に姿勢を変更する。

0053

具体的には、図11に示されるフローチャートに基づいて行う。
まず、試験片6を所定の姿勢で冷却容器2中に投入し、試験片6の表面6C及び裏面6Dの表面温度を測定し、表面6Cの第1冷却曲線及び裏面6Dの第2冷却曲線を測定する(工程S1:第1工程)。
次に、第1冷却曲線及び第2冷却曲線に基づいて表面6C及び裏面6Dの熱伝達率h1,h2の同定を行う(工程S2:第2工程)。
同定された熱伝達率h1,h2に基づいて、試験片6の内部の温度分布を推定する(工程S3:第3工程)。

0054

推定された温度分布の計算値と測定値との差が所定の範囲以下となっているか否かを判定する(工程S4:第4工程)。
所定の範囲以下となっていない場合は、熱伝達率h1,h2を修正して(工程S5:第4工程)、工程S1から工程S3を繰り返す。
所定の範囲以下となったら、熱伝達率h1,h2の最終的な同定を行う(工程S6)。
熱伝達率h1,h2の最終的な同定が終了したら、試験片6の姿勢を変更して、工程S1から工程S3を繰り返すが、姿勢変更前後における温度分布が小さくなったかを判定し(工程S7)、小さくなった場合は、同方向への姿勢の変更を行い(工程S8)、大きくなった場合は、逆方向への姿勢の変更を行い(工程S9)、工程S1から工程S4を繰り返す。

0055

[4]実施形態の効果
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
試験片6の表面6C及び裏面6Dの異なる熱伝導率を用いて、試験片6の内部の温度分布を推定し、冷却流体内における姿勢・位置を変更しているので、冷却によって処理対象に歪み等が生じることを少なくすることができる。
また、試験片6に、表面6Cに至る孔6Aと、裏面6Dに至る孔6Bが形成されていることにより、試験片6と流体の界面に極めて近い位置で、熱電対7による温度測定を行うことができるため、高精度な測定を行うことができる。

0056

[5]実施形態の変形
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前述した実施形態では、円板状の試験片6を使用していたが、本発明はこれに限られず、角板状の試験片を用いてもよく、板状の試験片であれば形状は限定されない。
その他、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等を採用してもよい。

0057

1…加熱用電気炉、2…冷却容器、3…被測定体、4…温度計、4A…記録計、5…支持体、6…試験片、6A…孔、6B…孔、6C…表面、6D…裏面、7…熱電対、S1…工程、S2…工程、S3…工程、S4…工程、S5…工程、S6…工程、S7…工程、S8…工程、S9…工程

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