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技術 磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 吉崎聡一郎渡辺誠寺島敬
出願日 2017年1月11日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2017-002657
公開日 2017年7月20日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2017-125260
状態 特許登録済
技術分野 電磁鋼板の製造 金属の化成処理 軟質磁性材料
主要キーワード 大型変圧器 コイル外径 照射間隔 二次再結晶現象 コイル径 精錬プロセス 二次再結晶完了 粒界拡散
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課題

増硫法で、コイル内の磁気特性偏差を安定して低減できる方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。

解決手段

mass%で、C:0.08%以下、Si:4.5%以下、Mn:0.5%以下、sol.Al:0.0100%未満、N:0.0100%未満、S:0.0100%以下、Se:0.0100%以下およびO:0.0050%以下を含有するスラブを、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍して方向性電磁鋼板を製造する際、上記一次再結晶焼鈍後平均粒径dを10〜25μmとし、上記焼鈍分離剤として、Sr,Mg,Ca,Ba,Ti,SbおよびSnの硫酸塩ならびに硫化物のうちから選ばれる1種以上を、S含有量sで0.2〜2mass%の範囲で含有し、かつ、上記sとdが、2.0≦(s/d)×100≦12.0を満たして含有するものを用いる。

概要

背景

電磁鋼板は、変圧器モーター鉄心材料等として広く用いられている軟磁性材料であり、中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位Goss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積していることで、優れた磁気特性を示すため、主として大型変圧器の鉄心材料等として使用されている。上記Goss方位への集積度を高める方法としては、二次再結晶現象を利用するのが一般的である。したがって、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を安定的に製造するためには、上記二次再結晶を制御することが重要となる。

ところで、方向性電磁鋼板を安定かつ安価に製造する技術の一つとして、特許文献1には、鋼素材スラブ)中にインヒビタ形成成分を含有させずに、脱炭焼鈍後二次再結晶完了前に、地鉄中のS量を増加することによって、二次再結晶を発現させる技術(「増硫法」)が提案されている。この増硫法では、地鉄中のS量を増加することによって、粒界偏析するS量が増加し、Goss方位以外の方位を囲む粒界の移動が大きく抑制されるため、二次再結晶が安定的に発現し、磁気特性が向上するとされている。

しかし、上記特許文献1に開示の技術は、仕上焼鈍後のコイル内における磁気特性の偏差バラツキ)が大きいという問題がある。そこで、この問題を改善する技術として、特許文献2には、焼鈍分離剤中に、硫化物および/または硫酸塩を含有させることにより、仕上焼鈍工程の昇温過程において鋼板に対して増硫処理を施し、その際、コイル最内巻部からコイル径コイル外径の90%となる位置に塗布される焼鈍分離剤中の硫化物および/または硫酸塩の濃度を、コイル径がコイル外径の90%を超えたところから最外巻部までの位置に塗布される焼鈍分離剤中の硫化物および/または硫酸塩の濃度の50%以上400%以下の範囲で増加させ、昇温過程の800℃でのコイル内における増硫量最大値最小値の差を30ppm以下に抑制することによって、鋼板内における磁気特性の偏差を低減する技術が提案されている。

概要

増硫法で、コイル内の磁気特性の偏差を安定して低減できる方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。mass%で、C:0.08%以下、Si:4.5%以下、Mn:0.5%以下、sol.Al:0.0100%未満、N:0.0100%未満、S:0.0100%以下、Se:0.0100%以下およびO:0.0050%以下を含有するスラブを、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍して方向性電磁鋼板を製造する際、上記一次再結晶焼鈍後平均粒径dを10〜25μmとし、上記焼鈍分離剤として、Sr,Mg,Ca,Ba,Ti,SbおよびSnの硫酸塩ならびに硫化物のうちから選ばれる1種以上を、S含有量sで0.2〜2mass%の範囲で含有し、かつ、上記sとdが、2.0≦(s/d)×100≦12.0を満たして含有するものを用いる。

目的

本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特許文献1や特許文献2に開示された増硫法を適用した方向性電磁鋼板の製造方法において、コイル内の磁気特性の偏差を安定して低減することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

C:0.08mass%以下、Si:4.5mass%以下、Mn:0.5mass%以下、sol.Al:0.0100mass%未満、N:0.0100mass%未満、S:0.0100mass%以下、Se:0.0100mass%以下およびO:0.0050mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブ熱間圧延して熱延板とし、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、上記一次再結晶焼鈍後結晶粒平均粒径dを10〜25μmとし、上記焼鈍分離剤として、Sr,Mg,Ca,Ba,Ti,SbおよびSnの硫酸塩ならびに硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を、S含有量sで0.2〜2mass%の範囲で含有し、かつ、上記S含有量sと上記dが下記式を満たすものを用いることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。記2.0≦(s/d)×100≦12.0

請求項2

上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.05〜0.5mass%、Sn:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.5mass%、P:0.01〜0.2mass%、Cr:0.01〜0.5mass%、Cu:0.01〜0.5mass%、Nb:0.002〜0.01mass%およびMo:0.01〜0.2mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。

請求項3

上記冷延板の最終板厚を0.23mm以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を、安定的かつ安価に製造する方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

電磁鋼板は、変圧器モーター鉄心材料等として広く用いられている軟磁性材料であり、中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位Goss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積していることで、優れた磁気特性を示すため、主として大型変圧器の鉄心材料等として使用されている。上記Goss方位への集積度を高める方法としては、二次再結晶現象を利用するのが一般的である。したがって、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を安定的に製造するためには、上記二次再結晶を制御することが重要となる。

0003

ところで、方向性電磁鋼板を安定かつ安価に製造する技術の一つとして、特許文献1には、鋼素材スラブ)中にインヒビタ形成成分を含有させずに、脱炭焼鈍後二次再結晶完了前に、地鉄中のS量を増加することによって、二次再結晶を発現させる技術(「増硫法」)が提案されている。この増硫法では、地鉄中のS量を増加することによって、粒界偏析するS量が増加し、Goss方位以外の方位を囲む粒界の移動が大きく抑制されるため、二次再結晶が安定的に発現し、磁気特性が向上するとされている。

0004

しかし、上記特許文献1に開示の技術は、仕上焼鈍後のコイル内における磁気特性の偏差バラツキ)が大きいという問題がある。そこで、この問題を改善する技術として、特許文献2には、焼鈍分離剤中に、硫化物および/または硫酸塩を含有させることにより、仕上焼鈍工程の昇温過程において鋼板に対して増硫処理を施し、その際、コイル最内巻部からコイル径コイル外径の90%となる位置に塗布される焼鈍分離剤中の硫化物および/または硫酸塩の濃度を、コイル径がコイル外径の90%を超えたところから最外巻部までの位置に塗布される焼鈍分離剤中の硫化物および/または硫酸塩の濃度の50%以上400%以下の範囲で増加させ、昇温過程の800℃でのコイル内における増硫量最大値最小値の差を30ppm以下に抑制することによって、鋼板内における磁気特性の偏差を低減する技術が提案されている。

先行技術

0005

特開2004−353036号公報
特開2006−152364号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記特許文献2に開示の技術を用いることで、コイル内の磁気特性の偏差をある程度は小さくすることができる。しかし、発明者らの知見では、上記改善効果は、コイルによってバラツキが大きく、特に、製品板厚が0.23mm以下の場合には、安定して磁気特性に優れる製品を製造することが難しいという問題があった。

0007

本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特許文献1や特許文献2に開示された増硫法を適用した方向性電磁鋼板の製造方法において、コイル内の磁気特性の偏差を安定して低減することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。

課題を解決するための手段

0008

発明者らは、上記課題の解決に向けて、一次再結晶焼鈍後の鋼板と、焼鈍分離剤中に含まれるS含有量に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、一次再結晶焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径と焼鈍分離剤中に含まれるS含有量との関係を適正化することで、増硫効果が安定化し、ひいては、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を安定して得ることができることを見出し、本発明を開発するに至った。

0009

すなわち、本発明は、C:0.08mass%以下、Si:4.5mass%以下、Mn:0.5mass%以下、sol.Al:0.0100mass%未満、N:0.0100mass%未満、S:0.0100mass%以下、Se:0.0100mass%以下およびO:0.0050mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブ熱間圧延して熱延板とし、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、上記一次再結晶焼鈍後の結晶粒平均粒径dを10〜25μmとし、上記焼鈍分離剤として、Sr,Mg,Ca,Ba,Ti,SbおよびSnの硫酸塩ならびに硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を、S含有量sで0.2〜2mass%の範囲で含有し、かつ、上記S含有量sと上記dが下記式;
2.0≦(s/d)×100≦12.0
を満たして含有するものを用いることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。

0010

本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.05〜0.5mass%、Sn:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.5mass%、P:0.01〜0.2mass%、Cr:0.01〜0.5mass%、Cu:0.01〜0.5mass%、Nb:0.002〜0.01mass%およびMo:0.01〜0.2mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。

0011

また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記冷延板の最終板厚を0.23mm以下とすることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を、工業的に安定してかつ安価に製造することが可能になる。

図面の簡単な説明

0013

板厚0.18mm、0.23mmの鋼板における一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中のS含有量sが磁気特性に及ぼす影響を示すグラフである。
板厚0.27mmの鋼板における一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中のS含有量sが磁気特性に及ぼす影響を示すグラフである。

0014

まず、本発明を開発するに至った実験について説明する。
C:0.03mass%、Si:3.5mass%、Mn:0.05mass%、sol.Al:0.0075mass%、N:0.0050mass%、S:0.0020mass%、Se:0.0010mass%およびO:0.0010mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する連続鋳造製のスラブを、1200℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、その後、1050℃×30秒の熱延板焼鈍を施した。
次いで、1回目の冷間圧延で中間板厚1.5mmとし、1050℃×120秒の中間焼鈍を施した後、2回目の冷間圧延で最終板厚0.18、0.23mmまたは0.27mm厚の冷延板とし、その後、780〜900℃の温度範囲で120秒間均熱保持する脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を、vol%比でH2:N2=50:50、露点60℃の雰囲気下で施し、一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dを8〜26μmの範囲で種々に変化させた。ここで、上記平均粒径は、JIS G0551に規定された計数法によって得た平均粒径である。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とし、硫酸Mg(硫酸塩)を、焼鈍分離剤中に含まれるS含有量sで0.1〜1.5mass%の範囲で種々に変化させて添加した焼鈍分離剤を、一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に12.5g/m2(両面)塗布し、乾燥した。
次いで、N2ガス雰囲気下で、昇温速度15℃/hrで昇温し、1160℃×5hrの均熱処理する仕上焼鈍を施した。

0015

斯くして得た製品板の磁気特性(磁束密度B8)をJIS C2556に規定された方法で測定した。
図1は、板厚が0.23mmおよび0.18mmにおける一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中に含まれるS含有量sが磁気特性に及ぼす影響を示したグラフである。この図から、一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中に含まれるS含有量sには適正範囲が存在し、一次再結晶粒の平均粒径dが大きくなるほど、適正な焼鈍分離剤中のS含有量sが大きくなることがわかる。

0016

上記のように、一次再結晶後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中S含有量sとが関係する理由は、まだ十分に明らかとなっていないが、発明者らは以下のように考えている。
仕上焼鈍時に、焼鈍分離剤中に添加した硫酸塩や硫化物から分解したSが鋼板内部へ侵入するときは、体拡散よりも粒界拡散が支配的となると考えられ、粒界が多いほど、つまり、一次再結晶粒が小さいほど、焼鈍分離剤に添加したSの鋼中への侵入が促進され、逆に、一次再結晶粒が大きいほど、上記Sの鋼中への侵入は進み難くなる。
そのため、一次再結晶粒が小さく、鋼中へのS侵入が進みやすい場合でかつ焼鈍分離剤中へのS添加量が多い場合には、鋼中へのSの侵入が過剰となり、磁気特性に悪影響が出る。一方、一次再結晶粒が大きく、鋼中へのS侵入が進み難い場合には、S添加量を多くしないと、増硫の効果が得られ難くなる、と考えられる。

0017

一方、図2は、板厚が0.27mmにおける一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中に含まれるS含有量sが磁気特性に及ぼす影響を示したグラフである。この図から、板厚0.27mmでは、磁気特性は、一次再結晶焼鈍後の結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中に含まれるS含有量sに影響されず、sが0.2mass%をこえる領域で良好な磁気特性が得られている。

0018

このように、板厚0.27mmでは、sを0.2mass%で良好な磁気特性が得られるのに対し、板厚が0.23mm以下の方向性電磁鋼板では、増硫法の効果が安定しない理由について、発明者らは以下のように考えている。
方向性電磁鋼板の製品品質(磁気特性)に及ぼす製造条件の変動、特に、製鋼工程における成分変動や焼鈍工程における温度変動などの影響は、一般に、板厚が薄いほど受けやすいため、一次再結晶焼鈍後の結晶粒の大きさも上記製造条件の変動によって大きく変化する。そのため、板厚が0.23mm以下の方向性電磁鋼板は、焼鈍分離剤中に含まれるS含有量の変動の影響も受けて、磁気特性が安定しなかったものと考えられる。
本発明は、上記の新規な知見に基き、開発したものである。

0019

次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。
C:0.08mass%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善するのに有用な元素であるため、0.0010mass%以上含有させることが好ましい。しかし、0.08mass%を超えると、却って一次再結晶集合組織の劣化を招くので、上限は0.08mass%とする。なお、良好な磁気特性を得る観点からは、0.01〜0.06mass%の範囲が好ましい。

0020

Si:4.5mass%以下
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減する有用元素であるので、2.0mass%以上含有させるのが好ましい。しかし、4.5mass%を超えると、冷間圧延性が著しく悪化するので、上限は4.5mass%とする。なお、良好な鉄損特性を得る観点からは、2.0〜4.0mass%の範囲が好ましい。

0021

Mn:0.5mass%以下
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるので、0.01mass%以上含有させるのが好ましい。しかし、0.5mass%を超えると、一次再結晶集合組織が悪化し、磁気特性の劣化を招くので、Mnの上限は0.5mass%とする。好ましくは、0.2mass%以下、さらに好ましくは0.1mass%以下である。

0022

sol.Al:0.0100mass%未満
Alは、鋼中に過剰に存在すると二次再結晶の発現を阻害する。特に、sol.Al量で0.0100mass%以上になると、低温スラブ加熱の製造条件では、二次再結晶が起こり難くなって磁気特性が劣化する。よって、Alはsol.Al量で0.0100mass%未満に制限する。

0023

N:0.0100mass%未満
Nは、sol.Alと同様、鋼中に過剰に存在すると二次再結晶の発現を阻害する。特にN量が0.0100mass%以上になると、二次再結晶が起こり難くなって、磁気特性が劣化する。よって、Nは0.0100mass%未満に制限する。好ましくは0.070mass%以下である。

0024

S:0.0100mass%以下、Se:0.0100mass%以下
S,Seは、Al,Nと同様、鋼中に過剰に存在すると二次再結晶の発現を阻害する元素であり、それぞれ0.0100mass%を超えると、スラブ加熱時に粗大化したMnSやMnSeが一次再結晶組織を不均一にするため、磁気特性が劣化する。よって、SおよびSeは、それぞれ0.0100mass%以下に制限する。好ましくはそれぞれ0.0050mass%以下である。

0025

O:0.0050mass%以下
Oは、S,Seと同様、0.0050mass%以上になると、粗大な酸化物を形成し、二次再結晶を阻害するので、上限は0.0050mass%とする。好ましくは0.0030mass%以下である。

0026

本発明に用いる鋼スラブは、上記成分に加えてさらに、以下に説明する成分のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Ni:0.05〜0.5mass%
Niは、熱延板組織均一性を高め、磁気特性を改善する効果がある。しかし、0.05mass%未満では、上記効果に乏しく、一方、0.5mass%を超えると二次再結晶が不安定となり、逆に磁気特性が劣化するので、添加する場合には、0.05〜0.5mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.07〜0.2mass%の範囲である。

0027

Sn:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.5mass%、P:0.001〜0.2mass%およびCr:0.01〜0.5mass%
これらの元素は、いずれも、鉄損の改善に有効に寄与する元素であるが、含有量が上記下限値に満たないと、その添加効果に乏しく、一方、上記上限値を超えると、二次再結晶粒発達が抑制される。そのため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。より好ましくは、Sn:0.02〜0.2mass%、Sb:0.02〜0.2mass%、P:0.04〜0.12mass%およびCr:0.03〜0.2mass%の範囲である。

0028

Cu:0.01〜0.5mass%
Cuは、仕上焼鈍中における鋼板の窒化や酸化を抑制し、Goss方位粒の優先的な成長を促進して、磁気特性を効果的に向上させる働きがある。しかし、0.01mass%未満では、上記添加効果が小さく、一方、0.5mass%を超える添加は、熱間圧延性を悪化する。よって、Cuは0.01〜0.5mass%の範囲で添加するのが好ましい。より好ましくは0.02〜0.2mass%の範囲である。

0029

Nb:0.002〜0.01mass%
Nbは、一次再結晶粒の成長を抑制し、良好な結晶方位を有する二次再結晶粒の成長を促進して磁気特性を向上させる効果がある。上記効果は0.002mass%以上の添加で発現するが、0.01mass%を超えて添加すると、仕上焼鈍後も地鉄中に残留し、鉄損を劣化させる。よって、Nbは0.002〜0.01mass%の範囲で含有させるのが好ましい。より好ましくは0.002〜0.008mass%の範囲である。

0030

Mo:0.01〜0.2mass%
Moは、粒界に偏析して一次再結晶粒の成長を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を向上させる効果がある。上記効果は0.01mass%以上の添加で発現し、一方、0.2mass%を超える添加は、冷間圧延性を悪化させる。よって、Moは0.01〜0.2mass%の範囲で添加するのが好ましい。より好ましくは0.02〜0.08mass%の範囲である。

0031

次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記成分組成を有する鋼素材(スラブ)を、熱間圧延して熱延板とし、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施す一連の工程からなる。ここで、上記スラブは、本発明に適合する上記成分組成に調整した鋼を、通常公知の精錬プロセス等で溶製した後、常法の連続鋳造法等により鋼素材(スラブ)とする。

0032

その後、上記スラブを、再加熱した後、あるいは、再加熱せずに、熱間圧延し、熱延板とする。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1000〜1300℃の範囲とするのが好ましい。1000℃未満では、熱間圧延における圧延荷重が高くなり過ぎ、圧延することが困難となる。一方、1300℃を超える加熱は、インヒビタを含まない本発明では無意味であり、また、結晶粒が巨大化するため、磁気特性の劣化を招くからである。

0033

次いで、上記熱延板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により、最終板厚の冷延板とする。なお、上記最終板厚は、0.23mm以下とするのが好ましい。0.23mm以下で、本発明の効果がより発現するからである。

0034

次いで、上記冷延板は、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施し、鋼板に含まれるCを0.0050mass%未満に低減する。0.0050mass%以上含まれると、製品板が磁気時効を起こして鉄損が劣化するからである。好ましくは0.0030mass%以下である。なお、脱炭焼鈍時の雰囲気は、湿水素窒素または湿水素アルゴン雰囲気とするのが好ましい。

0035

上記脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍後、鋼板表面にマグネシア(MgO)を主体とする焼鈍分離剤を塗布する。
この際、上記焼鈍分離剤は、一次再結晶焼鈍後から二次再結晶完了までの間に、地鉄中のS量を増加(増硫処理)させるため、硫酸塩あるいは硫化物を、S含有量sが0.2〜2.0mass%となる範囲で、かつ、焼鈍分離剤を塗布する一次再結晶後の結晶粒の平均粒径dとの間で、下記式;
2.0≦(s/d)×100≦12.0
の関係を満たして含有するものであることが必要である。
上記S含有量sが0.2mass%未満であったり、(s/d)×100が2.0未満では、増硫による磁気特性の向上効果が小さく、一方、上記S含有量sが2.0mass%超えであったり、(s/d)×100が12.0超えでは、鋼板中へのSの侵入が過剰となり、却って磁気特性に悪影響を及ぼすからである。なお、好ましいS含有量sは0.3〜1.0mass%の範囲、好ましい(s/d)×100は5.0〜10.0の範囲である。

0036

上記焼鈍分離剤を塗布した鋼板は、その後、仕上焼鈍を施す。この仕上焼鈍の条件は、常法に従って行えば良く、特に制限はない。この仕上焼鈍中に、焼鈍分離剤中の添加した硫酸塩あるいは硫化物が分解して増硫効果を発揮し、ゴス方位に高度に集積した結晶組織が形成され、良好な磁気特性が得られる。

0037

上記仕上焼鈍後の鋼板は、その後、必要に応じて、また、用途に応じて、平坦化焼鈍および適当な絶縁被膜を被成した後、製品板とする。

0038

なお、本発明の方向性電磁鋼板は、鉄損をより低減させるため、磁区細分化処理を施すことが望ましい。磁区細分化の方法としては、一般的に実施されている方法、例えば、最終板厚に冷間圧延した鋼板や中間工程の鋼板の表面にエッチング加工を施して溝を形成したり、製品板の鋼板表面に電子ビームレーザビーム照射したりする方法等を用いることができる。

0039

表1に示した種々の成分組成を有するスラブを、1200℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1050℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回目の冷間圧延で中間板厚1.8mmとし、1050℃×120秒の中間焼鈍を施した後、2回目の冷間圧延で最終板厚0.20mmの冷延板とした。
その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。ここで、上記一次再結晶焼鈍における脱炭処理は、H2:55vol%+N2:45vol%、露点50℃の雰囲気下で、850℃×100秒間保持する条件で行った。
なお、それぞれのコイルについて、一次再結晶粒の平均粒径を、JIS G0551に規定された計数法で測定したところ、成分の違いなどにより、表1に示す違いが生じていた。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とし、硫酸Mgを、表1に示す量を添加した焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、N2ガス雰囲気下で、昇温速度15℃/hrで加熱し、1160℃×5hrの均熱処理する仕上焼鈍を施した。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩系の絶縁張力コーティングを塗布し、焼付形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板の製品板とした。

0040

上記のようにして得た製品板から、試験片採取し、JIS C2556に規定された方法で磁気特性(磁束密度B8、鉄損W17/50)を測定し、その測定結果を、表1中に併記した。表1から、一次再結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中のS含有量sの比(s/d)×100が2.0〜12.0の範囲にある場合に良好な磁気特性が得られていることがわかる。

0041

0042

表2に示した種々の成分組成を有するスラブを、1200℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1050℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回目の冷間圧延で中間板厚1.7mmとし、1050℃×120秒の中間焼鈍を施した後、2回目の冷間圧延で最終板厚0.20mmの冷延板とした。
その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。ここで、上記一次再結晶焼鈍における脱炭処理は、H2:55vol%+N2:45vol%、露点50℃の雰囲気下で、850℃×100秒間保持する条件で行った。
なお、それぞれのコイルについて、一次再結晶粒の平均粒径を、JIS G0551に規定された計数法で測定したところ、成分の違いなどにより、表2に示す違いが生じていた。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とし、硫酸塩や硫化物を表2に示す量で添加した焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、N2ガス雰囲気下で、昇温速度15℃/hrで加熱し、1160℃×5hrの均熱処理する仕上焼鈍を施した。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩系の絶縁張力コーティングを塗布し、焼付と形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板の製品板とした。

0043

上記のようにして得た製品板から、試験片を採取し、JIS C2556に規定された方法で磁気特性(磁束密度B8、鉄損W17/50)を測定し、その測定結果を、表2中に併記した。表2から、Sr,Mg,Ca,Ba,Ti,SbおよびSnの硫酸塩ならびに硫化物のいずれか1種以上を添加した場合でも、一次再結晶粒の平均粒径dと焼鈍分離剤中のS含有量sの比(s/d)×100が2.0〜12.0の範囲にある場合に良好な磁気特性が得られていることがわかる。

0044

0045

表3に示した種々の成分組成を有するスラブを、1200℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚1.7mmの熱延板とし、1030℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回目の冷間圧延で中間板厚1.5mmとし、1050℃×120秒の中間焼鈍を施した後、2回目の冷間圧延で最終板厚0.18mmの冷延板とした。
その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。ここで、上記一次再結晶焼鈍における脱炭処理は、H2:55vol%+N2:45vol%、露点50℃の雰囲気下で、850℃×100秒間保持する条件で行った。
なお、それぞれのコイルについて、一次再結晶粒の平均粒径を、JIS G0551に規定された計数法で測定したところ、成分の違いなどにより、表3に示す違いが生じていた。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とし、硫酸マグネシウムを、表3に示す量を添加した焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、N2ガス雰囲気下で、昇温速度15℃/hrで加熱し、1160℃×5hrの均熱処理する仕上焼鈍を施した。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩系の絶縁張力コーティングを塗布し、焼付と形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板の製品板とした。
さらに、上記絶縁被膜被成後の鋼板表面に、電子ビーム照射による磁区細分化処理を施し、方向性電磁鋼板の製品板とした。なお、電子ビームの照射は、鋼板の片表面に、加速電圧100kV、ビーム電流3mAの条件で、圧延方向の照射間隔を5mmとして、圧延直角方向連続照射した。

0046

上記のようにして得た製品板から、試験片を採取し、JIS C2556に規定された方法で磁気特性(磁束密度B8、鉄損W17/50)を測定し、その測定結果を、表3中に併記した。表3から、本発明に適合する成分組成を有する鋼素材を用い、本発明に適合する方法で製造した方向性電磁鋼板は、優れた磁気特性を有することがわかる。

0047

0048

表4に示した種々の成分組成を有するスラブを、1200℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚1.9mmの熱延板とし、1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延により最終板厚0.23mmの冷延板とした。次いで、表4に示したように、上記冷延板の一部の鋼板表面(片面)に、圧延方向に対して直角方向に、幅:180μm×深さ:15μmの溝を圧延方向に5mm間隔で形成する磁区細分化処理を施した。その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。ここで、上記一次再結晶焼鈍における脱炭処理は、H2:55vol%+N2:45vol%、露点50℃の雰囲気下で、850℃×100秒間保持する条件で行った。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とし、硫酸マグネシウムを、表4に示す量を添加した焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、N2ガス雰囲気下で、昇温速度15℃/hrで加熱し、1160℃×5hrの均熱処理する仕上焼鈍を施した。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩系の絶縁張力コーティングを塗布し、焼付と形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板の製品板とした。

0049

上記のようにして得た製品板から、試験片を採取し、JIS C2556に規定された方法で磁気特性(磁束密度B8、鉄損W17/50)を測定し、その測定結果を、表4中に併記した。表4から、本発明に適合する成分組成を有する鋼素材を用い、本発明に適合する方法で製造した方向性電磁鋼板は、磁区細分化処理の有無にかかわらず優れた磁気特性を有することがわかる。

実施例

0050

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