図面 (/)

技術 含フッ素皮膜及び撥水撥油コーティング組成物

出願人 住友化学株式会社
発明者 櫻井彩香島崎泰治吉田秀和
出願日 2016年1月12日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-003719
公開日 2017年7月20日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-125092
状態 特許登録済
技術分野 けい素重合体 高分子成形体の製造 積層体(2) 塗料、除去剤
主要キーワード 干渉振動 フィッティング範囲 実測プロファイル 屋内設備 実測強度 滑落速度 残差二乗和 進行側
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月20日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

静的接触角で評価される撥水撥油特性耐摩耗性に加えて、良好な滑落特性を実現できる皮膜、およびこの皮膜を得るためのコーティング組成物を得ることを目的とする。

解決手段

本発明は、二乗平均平方根粗さが3.5nm未満であり、パーフルオロポリエーテル構造を含む含フッ素皮膜である。該皮膜は、ポリシロキサン骨格を有しており、フルオロアルキル基が、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子直接結合している構造を更に有することが好ましく、また6μLの水滴滑落角が24.3°以下である、又は32°に傾斜させた皮膜上を20μLの水滴が滑落する速度が0.1cm/秒以上であることが好ましい。

概要

背景

撥水撥油性を有する皮膜の用途、例えば自動車建物窓ガラスなどには、撥水撥油機能の他、更に皮膜の耐摩耗性が要求される。

例えば特許文献1では、透明基体の主面を被覆した状態の含フッ素有機ケイ素化合物膜の水の接触角耐久性試験後の水の接触角を評価している。

概要

静的接触角で評価される撥水撥油特性と耐摩耗性に加えて、良好な滑落特性を実現できる皮膜、およびこの皮膜を得るためのコーティング組成物を得ることを目的とする。本発明は、二乗平均平方根粗さが3.5nm未満であり、パーフルオロポリエーテル構造を含む含フッ素皮膜である。該皮膜は、ポリシロキサン骨格を有しており、フルオロアルキル基が、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子直接結合している構造を更に有することが好ましく、また6μLの水滴滑落角が24.3°以下である、又は32°に傾斜させた皮膜上を20μLの水滴が滑落する速度が0.1cm/秒以上であることが好ましい。なし

目的

本発明は、静的接触角で評価される撥水撥油特性と耐摩耗性に加えて、良好な滑落特性を実現できる皮膜、およびこの皮膜を得るためのコーティング組成物を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

二乗平均平方根粗さが3.5nm未満であり、パーフルオロポリエーテル構造を含む含フッ素皮膜

請求項2

含フッ素皮膜が、ポリシロキサン骨格を有しており、フルオロアルキル基が、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子直接結合している構造をさらに有する請求項1に記載の含フッ素皮膜。

請求項3

含フッ素皮膜が、ポリシロキサン骨格を有しており、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子の自由末端側に前記パーフルオロポリエーテル構造を有する請求項1または2に記載の含フッ素皮膜。

請求項4

膜厚が4.0nm以上、100nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素皮膜。

請求項5

6μLの水滴滑落角が24.3°以下である、又は32°に傾斜させた皮膜上を20μLの水滴が滑落する速度が0.1cm/秒以上である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素皮膜。

請求項6

パーフルオロポリエーテル構造を有する基と、加水分解性基とが、ケイ素原子に結合している化合物(A)と;フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種;とがフッ素系溶剤(C)に溶解した組成物であって、前記フッ素系溶剤(C)とは異なる第2のフッ素系溶剤(D)が更に溶解していることを特徴とする撥水撥油コーティング組成物

請求項7

前記第2のフッ素系溶剤(D)の炭素数が10以上である請求項6に記載の撥水撥油コーティング組成物。

技術分野

0001

本発明は、含フッ素皮膜及び撥水撥油コーティング組成物に関する。

背景技術

0002

撥水撥油性を有する皮膜の用途、例えば自動車建物窓ガラスなどには、撥水撥油機能の他、更に皮膜の耐摩耗性が要求される。

0003

例えば特許文献1では、透明基体の主面を被覆した状態の含フッ素有機ケイ素化合物膜の水の接触角耐久性試験後の水の接触角を評価している。

先行技術

0004

特開平9−137117号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上記した自動車や窓ガラスなどの用途には、上記特許文献1で評価されているような水の静的接触角及びその耐久性(耐摩耗性)に加えて、傾けた皮膜上を液滴が滑る際の滑りやすさ(滑落特性)のような動的な特性も要求される。

0006

本発明は、静的接触角で評価される撥水撥油特性と耐摩耗性に加えて、良好な滑落特性を実現できる皮膜、およびこの皮膜を得るためのコーティング組成物を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、二乗平均平方根粗さが3.5nm未満であり、パーフルオロポリエーテル構造を含む含フッ素皮膜である。前記含フッ素皮膜は、ポリシロキサン骨格を有しており、フルオロアルキル基が、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子直接結合している構造をさらに有することが好ましい。また、前記含フッ素皮膜が、ポリシロキサン骨格を有しており、前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子の自由末端側に前記パーフルオロポリエーテル構造を有することも好ましい。前記含フッ素皮膜の膜厚は、例えば4.0nm以上、100nm以下である。

0008

本発明の含フッ素皮膜は、6μLの水滴滑落角が24.3°以下である、又は32°に傾斜させた皮膜上を20μLの水滴が滑落する速度が0.1cm/秒以上であることが好ましい。

0009

本発明は、パーフルオロポリエーテル構造を有する基と、加水分解性基とが、ケイ素原子に結合している化合物(A)と;フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種;とがフッ素系溶剤(C)に溶解した組成物であって、前記フッ素系溶剤(C)とは異なる第2のフッ素系溶剤(D)が更に溶解していることを特徴とする撥水撥油コーティング組成物も包含する。前記第2のフッ素系溶剤(D)の炭素数は10以上であることが好ましい。

発明の効果

0010

本発明の皮膜によれば、含フッ素皮膜の二乗平均平方根粗さが所定未満に調整されているため、撥水性撥油性に優れるとともに、耐摩耗性に優れ、更に水滴又は油滴の滑落角や、水滴の滑落速度で評価される滑落特性も良好である。

図面の簡単な説明

0011

RR測定におけるフィッティング処理の一例を示したグラフである。

0012

本発明の皮膜は、二乗平均平方根粗さ(以下、RMSと記す)が3.5nm未満であり、後述するパーフルオロポリエーテル構造含む含フッ素皮膜である。RMSで評価される表面粗さが3.5nm未満であると、耐摩耗性及び滑落特性が良好となる。RMSは、好ましくは3.0nm以下であり、より好ましくは2.5nm以下、更に好ましくは2.0nm以下である。RMSの下限は特に限定されないが、例えば0.3nmである。

0013

皮膜が摩耗する際の機構は必ずしも明らかではないが、透明皮膜中の成分同士がシランカップリング反応などによって複数結合した会合体凹凸があると、摩耗剤中の細孔などに物理吸着毛細管現象など)したり、摩耗剤表面の凹凸に引っかかったりすることで、皮膜に応力がかかり、膜ごと剥離すると考えられる。従って、皮膜表面に存在する微細な凸部の高さが小さい、すなわち皮膜表面の粗さが小さい(具体的には、RMSが3.5nm未満)本発明の透明皮膜は、良好な耐摩耗性を達成できる。

0014

RMSの算出には、皮膜表面を走査型プローブ顕微鏡(SPM)のダイナミックフォースモード(DFM)で観察した100μm2の画像を用いる。この画像に、画像処理(1次傾き補正および2次傾き補正および、フラット補正)を行い、この処理後の画像に対し、粗さ解析機能を用いることで最大谷深さ(Rv)及びRMSを算出できる。

0015

RMSは、平均線から測定曲線までの偏差の2乗を平均した値の平方根で、粗さ曲線から求めるものを指し、ピークとは平均線を基準に測定曲線までの距離が前記RMS(2乗平均平方根粗さ)を超えるものを指す。

0016

本発明の透明皮膜は、言い換えると、皮膜の表面の凹凸の平均面から2nmの値よりも高い凸部の被覆面積率(AR)が小さい皮膜であると言うこともできる。2つの物質物理的に接触し、接触面と平行に動かす際には、上述した通り、接触面に存在する凹凸は、物質の剥離を伴うこすれ・摩耗の一因となり得、本発明の透明皮膜においても、接触面に凹凸部が存在していると抵抗成分になると考えられる。透明皮膜の表面の凸部の高さと、透明皮膜に接触する物質(消しゴム、金属、人間の手など)の表面の凹部の深さが、あるしきい値を超えた時に互いが衝突して抵抗成分となるため、耐摩耗性に影響すると考えられる。

0017

通常、平滑な透明皮膜に用いられる平面基板あるいはフィルムあるいは樹脂あるいは金属の表面の凹凸は0.1〜1nm程度の凹凸を有する。また、透明皮膜に接触し摩耗する物質である金属あるいはゴムあるいは人間の手の表面の凹凸も0.1〜1nm、あるいは数μmの凹凸を有する場合もある。このことから、少なくとも透明被膜基材の凹凸をはるかに超える2nmを超えた凸部が存在すると、接触物の凹部と衝突し抵抗成分となるため、耐摩耗性に影響すると考えられる。よって、皮膜の凹凸の平均面から2nmの値よりも高い凸部の被覆面積率(AR)を算出することによって、皮膜の耐摩耗性を評価することができる。

0018

皮膜の表面の凹凸の平均面から2nmの値よりも高い凸部の被覆面積率ARを算出する手順について以下に説明する。膜の平面をXY軸平面と定義し、膜の厚さ方向をZ軸と定義し、膜の凹凸の最も低い位置をZ軸の原点(Z=0)と定義する。被膜の表面の凹凸の平均面から、Z軸方向にさらに2nmの値だけ高いZ軸座標において、XY平面の断面画像を作成し、粗さ解析ソフトおよび粒子解析機能を組み合わせてその画像解析をすることでARが算出できる。

0019

最大谷Rvを用いて以下の式(X1)で表されるZ0は該膜の平均面(膜の表面と呼ぶことがある)のZ軸の値であり、以下の式(X2)であらわされるZをしきい値として粒子解析機能に入力して粒子面積率を得る。このようにして得られる粒子面積率は、皮膜に存在する凸部を、皮膜の平均面からZ軸方向にさらに2nmだけ高いXY平面で切断した際の断面積であり、これが上述した、皮膜の平均面から2nmよりも高い凸部の被覆面積率(AR)[単位:%]である。ARは6.9%未満であり、6.8%未満が好ましく、より好ましくは5.5%以下であり、さらに好ましくは3.5%以下である。ARの下限は特に限定されないが、例えば0.5%である。
Z0(nm)={(Rv)2}1/2・・・(X1)
Z(nm)=Z0+2・・・(X2)

0020

また、皮膜に存在する凸部を、皮膜の平均面からZ軸方向にさらに2nmだけ高いXY平面で切断した際の断面形状を粒子と呼ぶとき、各粒子の面積から計算される円相当径を平均した平均粒子径は、例えば200nm以下であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下である。平均粒子径の下限は特に限定されないが、例えば40nmである。

0021

上記、画像処理(1次傾き補正および2次傾き補正および、フラット補正)は、測定して得られた形状像に対し、試料基板の傾き、たわみ、ゆがみに対し、それらを補正する処理である。試料の傾きは、試料と針との相対的な傾きなどによって生じ、試料のゆがみは、試料のドリフト振動スキャナクリープなどによって生じると考えられる。1次傾き補正とは、処理対象イメージの全データから、最小二乗近似によって一次曲面(平面)を求めてフィテイングし、面内の傾きを補正することである。2次傾き補正は処理対象のイメージの全データから、最小二乗近似によって二次曲面(平面)を求めてフィッテイングし、面内の傾きを補正することである。また、フラット補正はドリフトや振動、スキャナのクリープなどによってイメージデータに生じた、Z方向のひずみやうねりを除去することである。これらの画像補正は、上記の粗さ解析や粒子解析における最大谷深さ(Rv)、RMS、Raなどの値に影響するため、適切な処理を行う必要がある。

0022

前記した適切な処理とは、以下の特徴を有する凹凸部が観察像の端にある場合、それら凹凸部のデータを除外することをいう。下記の凹凸部が存在すると、傾きが過剰に見積もられたり、統計処置で考慮されないためである。

0023

凹凸部の由来としては、偶発的に付着した混入物、透明被膜を含有する凝集物などが考えられる。この凹凸部の特徴としては、観察像の画面端座標に対し、走査探針スキャン方向およびスキャン方向と面内に対して直交する方向に最も高い、あるいは最も低いことを特徴とする。ただし、観察面の中央部の凹凸部の高さと比べ、該凹凸部の高さが同等である場合は、データの除外をする必要はない。

0024

なお、一般的にはJIS R1683(2007)に基づく算術平均粗さ(Ra)が表
面形状の指標として用いられるが、Raは表面全域の平均的な深さ情報を表す数値であり、本発明では局所的な凸構造の形状や数を評価する指標としては必ずしも十分でない。表面内に局所的に大きな凸部あるいは凹部が存在したとしても、Raを用いた評価では平均化されて数値の差としてはとらえられにくい。しかし、実用の観点から考えた場合、表面に局所的な凸部あるいは凹部が存在すると、その点で水や油が引っかかりやすくなることで、撥水撥油性が低下する。また、局所的な凸部あるいは凹部を起点として摩耗試験時に傷が入り、耐摩耗性が低下しやすくなる。RMSによって皮膜の表面形状を評価すると、局所的な凸部あるいは凹部が存在する場合としない場合との値の差が、Raで評価する時より大きくなるため、本発明の膜質評価基準としてより好ましい。

0025

上述した通り、RMSが3.5nm未満に調整された本発明の皮膜は、滑落特性に優れている。滑落特性は、水滴の滑落角、すなわち水滴を着液させた皮膜を傾けた際に、水滴が滑り始める角度や、所定の角度に傾けた皮膜上を水滴が滑落する速度などで評価できる。本発明の皮膜は、6μLの水滴の滑落角を24.3°以下とできるか、又は32°に傾斜させた皮膜上を20μLの水滴が滑落する速度を0.1cm/秒以上とでき、好ましくは滑落角と滑落速度の要件をいずれも満たすことができる。前記滑落角は、好ましくは24.0°以下であり、より好ましくは23.0°以下、更に好ましくは20.0°以下である。滑落角の下限は特に限定されないが、例えば5.0°である。また、前記した滑落速度は、好ましくは0.5cm/秒以上であり、より好ましくは1.0cm/秒以上であり、さらに好ましくは5.0cm/秒以上である。滑落速度の上限は特に限定されないが、例えば30.0cm/秒である。

0026

また、本発明の皮膜は、4.0μLの油滴(ヘキサデカン)の滑落角を13.0°以下とでき、好ましくは11.0°以下、より好ましくは9.0°以下であり、下限は特に限定されないが例えば3.0°である。

0027

本発明の皮膜の、算術平均粗さRaの値は特に限定されないが、Raは例えば0.1〜1.0nm程度であり、これはガラス基材のRaと同程度であるから、本発明の皮膜は極めて平滑であると言える。

0028

皮膜上の液滴の動的特性は、前記した滑落角や滑落速度の他、接触角ヒステリシスによっても評価できる。接触角ヒステリシスとは、液滴を着液させた皮膜の傾きを大きくしていく際に、液滴が動き出す直前の液滴の進行側と皮膜表面とがなす角(前進角)と、液滴の後部側と皮膜表面とがなす角(後退角)の差で表される値である。本発明の皮膜に、6.0μLの水滴を着液させた際の接触角ヒステリシス(前進角−後退角)は、好ましくは13.5°以下であり、より好ましくは11.0°以下、更に好ましくは8.0°以下である。接触角ヒステリシスの下限は特に限定されないが、例えば1.0°である。また、本発明の皮膜に4.0μLの油滴(ヘキサデカン)を着液させた際の接触角ヒステリシスは、好ましくは7.0°以下であり、より好ましくは6.0°以下、更に好ましくは5.0°以下であり、下限は特に限定されないが、例えば0.5°である。

0029

また、本発明の皮膜はフッ素を含有しており、撥水性及び撥油性に優れる。具体的には、水滴量を3.0μLとし、θ/2法により測定した水の静的接触角を113°以上とでき、好ましくは114°以上、更に好ましくは115°以上とできる。接触角の上限は特に限定されないが、例えば120°である。また油滴(ヘキサデカン)量を3.0μLとし、θ/2法により測定した油の静的接触角は65.0°以上とでき、より好ましくは65.5°以上であり、上限は特に限定されないが例えば70°である。

0030

本発明の皮膜は、後述する通り、この皮膜を得るための組成物として、パーフルオロポリエーテル構造を有する基と、加水分解性基とが、ケイ素原子に結合している化合物(A)を含む組成物を用いることが好ましく、このような化合物(A)を用いると、得られる膜は、パーフルオロポリエーテル構造を含む。また、本発明の皮膜は、通常、ポリシロキサン骨格を有している。更に、本発明の皮膜を得るための組成物が、後述するフルオロアルキルシランを含む場合、フルオロアルキル基(好ましくは、末端がトリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基であるフルオロアルキル基)が、ポリシロキサン骨格のケイ素原子に直接結合している皮膜が得られる。また、化合物(A)として、パーフルオロポリエーテル構造を有する基と、加水分解性基とが、ケイ素原子に結合している化合物(A)であって、パーフルオロポリエーテル構造を自由端側に有しているものを用いる場合、パーフルオロポリエーテル構造を有する基が前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子の自由末端側に結合している皮膜が得られる。

0031

本発明の皮膜は、膜厚が4.0nm以上、100nm以下であることが好ましい。膜厚の下限は、より好ましくは4.3nm以上であり、更に好ましくは4.5nm以上である。膜厚の上限は、より好ましくは90nm以下であり、更に好ましくは80nm以下である。更に好ましくは、50nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。

0032

また、本発明の皮膜は、最表面の密度が1.60g/cm3以上である含フッ素皮膜であると言うこともできる。本発明の皮膜は、最表面の密度が高い点にも特徴を有している。最表面の密度は、1.63g/cm3以上が好ましく、より好ましくは1.65g/cm3以上である。最表面の密度の上限は特に限定されないが、例えば1.90g/cm3である。膜の最表面にラフネスが存在するとき、X線反射率測定を用いた測定結果では、界面粗さ(ラフネス)を測定することができる。また、そのラフネスの測定値がきわめて小さい数値である時、例えば0.5nm以下のとき、ラフネス値だけでなく、膜最表面の粗密によって最表面のラフネスを比較することができる。あるもののバルクの密度がAであった場合、表面にラフネスつまり空気層が存在する場合、膜最表面の粗密の測定では、最表面の密度はバルク密度Aとラフネスによって生じる空気の密度Bの平均値として算出されると考えられる。実際、本発明の皮膜は、比較例の皮膜と比較して、膜表面の密度が高い。これはすなわちラフネスの小さい、膜厚方向に対して均一な膜が得られていることを示している。

0033

従来より、組成膜構造等が未知多層薄膜積層構造、膜厚或いは密度を測定する手段としてX線反射率法が用いられている。このX線反射率法は密度の異なる層が接する界面で反射するX線干渉振動を利用して測定するものであり、例えば、電極上に形成した酸化膜等の膜厚の測定やスピンバルブ膜の積層構造の解析に用いられている。

0034

このようなX線反射率測定(XRR)は、主に膜の各界面で反射したX線が干渉する現象を上記のように観測し、この測定結果をシミュレーション演算データを用いてフィッティングすることによって、各層の密度、膜厚およびラフネスを解析することが可能となる。上記した最表面の密度は、フィッティング処理した値を意味する。ここでフィッティングとは、X線測定した際に、検出されるX線スペクトルについて、スペクトル強度理論計算値実測強度との差を補正することである。

0035

図1に、皮膜のXRR測定結果をフィッティング処理した一例を示す。最表面から数十nmの膜厚を有する薄膜の密度は、全反射臨界角度から算出することが可能であり、それ以外の層の密度は、干渉縞振幅の大きさから算出することができる。

0036

また各層の膜厚は振動の周期から算出することが可能である。さらに、ラフネスについては、例えば特開2001−349849号公報に記載されているように、反射率測定データ全体の減衰率高角度側における干渉縞の振幅の減衰から算出することができる。

0037

フィッティング処理の手順を以下に具体的に説明する。まず、単層膜または多層膜からなる膜試料の表面に対する臨界角近傍の角度からのX線入射により測定データを得る。
データの測定点数をNpとし、ある測定箇所nでの入射X線の角度をα(n)としたとき、たとえばα(n)を0.05°〜5°での反射X線強度を各々観測し、入射X線の強度で規格化することで、入射角度α(n)でのX線の反射率R{α(n)}を得る。R{α(n)}に対するα(n)の相関図をXRRプロファイルと呼ぶ。試料の基板や膜厚により、適切な条件で測定する必要があり、適切な条件とは具体的に、入射X線の角度α(n)の測定範囲や入射X線の発散角[°]である。

0038

α(n)において、測定開始の角度は入射X線が全反射する条件を満たす必要がある。一般的にX線が全反射する条件は元素種および密度から推算可能であり、ガラス基板Si基板などでは全反射臨界角が0.23°と言われている。さらに測定終了角度はバックグラウンドと同程度の信号強度となる角度であるほうが好ましい。

0039

入射X線の発散角について、基板上の膜の膜厚が厚くなるほど、X線の干渉の周期[°]が短くなることが知られており、膜厚が厚いほど、入射X線の発散角[°]を小さくする必要がある。一般的に膜の厚みが100nm以上だと、発散角は、0.015°以下、300nm以上だと、発散角が0.003°以下とする必要があると言われている。発散角を0.015°以下にするためには、Ge(110)などの分光結晶で1回反射させるなどの方法がある。さらに発散角が0.003°以下にするためには、Ge(110)などの分光結晶で2回反射させるなどの方法がある。これらの分光結晶はX線を反射する際に入射強度が激減する。そのため、必要以上に分光結晶を導入しないほうがよい。

0040

このようにして測定して得られた実測プロファイルに対し、基板および膜あるいは多層膜のそれぞれに対して、膜厚、密度、ラフネス(空気と膜の界面、膜と間の界面、膜と基板の界面)のパラメーター初期設定し、これらのパラメーターを少なくとも1個以上変化させてシミュレーション演算により得られるシミュレーション演算プロファイルと呼ぶ。このシミュレーション演算プロファイルが実測プロファイルに近くなるようにフィッティングすることにより、膜試料の構造を決定する。

0041

フィッティング処理の手順としては、例えば、最小2乗法による解析が用いられる。シミュレーション演算プロファイルと実測プロファイルとの残差二乗和を最小にするようなパラメーターを決定する。これが測定データに最もフィッティングする一組のパラメーターである。

0042

残差二乗和(χ2)は、スペクトル強度の計算反射率(Ical)と実験反射率(Iexp)との差であり、式(Y)にて表され、0.01以下であることが望ましい。ここで、Npはフィッティング範囲内のデータ点数である。αiは入射X線の角度である。

0043

上述のフィッティング処理は、リガク社製解析ソフト(GlobalFit)などを用いることで、解析することができる。

0044

以上説明したように、X線反射率測定(XRR)機能によれば、成膜された薄膜の膜種区分、膜厚、膜密度、および、ラフネス状態を測定することが可能となる。

0045

本発明の皮膜は、以下に詳述する組成物を、基板にスプレーコートするとともに、所定の前処理を施すことによって得られる。以下、本発明の皮膜を得るために好適な組成物、スプレーコートの条件、及び前処理条件について順に説明する。

0046

本発明の皮膜を得るための組成物としては、所定の化合物(A)と共に、フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種がフッ素系溶剤(C)に溶解した組成物を用いるか、又は所定の化合物(A)と共に、(i)フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種及び(ii)フッ素系溶剤(D)とが、フッ素系溶剤(C)(フッ素系溶剤(D)とは異なる)に溶解した組成物を用いることが重要である。化合物(A)が有するパーフルオロポリエーテル構造によって撥水撥油性を発揮出来ると共に、上記した(B1)及び(B2)の1種以上、及び必要に応じて更にフッ素系溶剤(D)を用いることによって、皮膜表面粗さを低減でき、耐摩耗性と滑落特性を良好にできる。

0047

化合物(A)は、フッ素を含有すると共に、含フッ素単量体同士又は他の単量体と共に重合反応(特に重縮合反応)を通じて結合することによって皮膜のマトリックスとなり得る化合物であれば良い。化合物(A)は、好ましくは含フッ素基と加水分解性基を含有する化合物が好ましく、より好ましくは、パーフルオロポリエーテル構造を有する基と、加水分解性基とが、ケイ素原子に結合している化合物である。

0048

前記パーフルオロポリエーテル構造とは、ポリアルキレンエーテル基またはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基の全部の水素原子フッ素原子に置き換わった構造であり、パーフルオロポリアルキレンエーテル基、またはパーフルオロポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基という事もできる。パーフルオロポリエーテル構造もまた、撥水・撥油性を有する。パーフルオロポリエーテル構造の最も長い直鎖部分に含まれる炭素数は、例えば5以上であることが好ましく、10以上がより好ましく、より好ましくは20以上である。前記炭素数の上限は特に限定されず、例えば200程度であってもよい。

0049

化合物(A)は、上記パーフルオロポリエーテル構造を自由端側に有していることが好ましい。パーフルオロポリエーテル構造がケイ素原子と結合する側には、適当な連結基が存在していてもよく、当該連結基なしで上記パーフルオロポリエーテル構造が直接ケイ素原子に結合してもよい。連結基としては、例えば、アルキレン基芳香族炭化水素基などの炭化水素基、(ポリアルキレングリコール基、又はこれらの水素原子の一部がFに置換された基、及びこれらが適当に連結した基などが挙げられる。連結基の炭素数は、例えば1以上、20以下であり、好ましくは2以上、10以下である。

0050

なお、一つの連結基には複数のケイ素原子が結合してもよく、一つの連結基に複数のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基が結合してもよい。ケイ素原子に結合する含フッ素基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、1または2であるのが好ましく、1であるのが特に好ましい。

0051

前記加水分解性基は、加水分解脱水縮合反応を通じて、化合物(A)同士を、又は化合物(A)と基材表面の活性水素水酸基など)とを結合する作用を有する。こうした加水分解性基としては、例えばアルコキシ基(特に炭素数1〜4のアルコキシ基)、ヒドロキシ基アセトキシ基ハロゲン原子(特に塩素原子)などが挙げられる。好ましい加水分解性基は、アルコキシ基及びハロゲン原子であり、特にメトキシ基エトキシ基、塩素原子が好ましい。

0052

ケイ素原子に結合する加水分解性基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、2または3であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。2つ以上の加水分解性基がケイ素原子に結合している場合、異なる加水分解性基がケイ素原子に結合していてもよいが、同じ加水分解性基がケイ素原子に結合しているのが好ましい。ケイ素原子に結合する含フッ素基と加水分解性基との合計数は、通常4であるが、2または3(特に3)であってもよい。3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、H、NCOなどが結合できる。

0053

化合物(A)のパーフルオロポリエーテル構造を有する基は、直鎖状であっても良いし、側鎖を有していてもよい。

0054

化合物(A)としては、例えば下記式(1)の化合物が挙げられる。

0055

0056

上記式(1)中、
Rfはフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rfは好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。
Rf2はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf2は好ましくはそれぞれ独立して、フッ素原子、または炭素数1〜2の含フッ素アルキル基であり、より好ましくはすべてフッ素原子である。
R3はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表す。R3はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子、または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
R4はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R4は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Dはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表し(Rは水素原子又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基)を表す。Dは好ましくはそれぞれ独立して、−COO−、−O−、−OCO−であり、より好ましくはすべて−O−である。
Eはそれぞれ独立して、加水分解性基を表す。Eは、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、塩素原子が好ましい。
a2、b2、c2、d2、e2はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であって、a2、b2、c2、d2、e2の合計値は13以上である。好ましくはa2、c2、d2はそれぞれ独立してb2の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくはc2またはd2は0であり、特に好ましくはc2およびd2は0である。
e2は好ましくはa2、b2、c2、d2の合計値の1/5以上であり、a2、b2、c2、d2の合計値以下である。
b2は、20以上、600以下が好ましく、より好ましくは20以上、200以下であり、更に好ましくは50以上、200以下である。
e2は、4以上、600以下が好ましく、より好ましくは4以上、200以下であり、更に好ましくは10以上、200以下である。
a2、b2、c2、d2、e2の合計値は、20以上、600以下が好ましく、20以上、200以下がより好ましく、50以上、200以下が更に好ましい。
a2、b2、c2、d2、e2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位順序は式中において任意であるが、好ましくは最も固定端側(含フッ素基のケイ素原子と結合する側)のb2を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa2を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置し、より好ましくは最も固定端側のb2またはd2を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa2またはc2を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置する。
nは1以上3以下の整数である。nは2以上3以下が好ましく、より好ましくは3である。

0057

式(1)において、特に、Rfが炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、Rf2が全てフッ素原子、Dが全て−O−、Eがメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子(特にメトキシ基又はエトキシ基)、a2、c2及びd2がいずれも0、nが3、e2が4以上、600以下であることが好ましい。

0058

また化合物(A)としては、下記式(2)及び(2’)の化合物が例示でき、好ましくは下記式(2)の化合物である。

0059

0060

上記式(2)中、
Rfはフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rfは好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。
Rf3はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf3は好ましくはそれぞれ独立して、フッ素原子、または炭素数1〜2の含フッ素アルキル基であり、より好ましくはすべてフッ素原子である。
R5はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表す。R5は好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
R6はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R6は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Gはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表す(Rは水素原子又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基)。Gは好ましくはそれぞれ独立して、−COO−、−O−、−OCO−であり、より好ましくはすべて−O−である。
Jはそれぞれ独立して、加水分解性基を表す。Jは、アルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、塩素原子が好ましい。
Yはそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。Yは好ましくはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
Zはそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。Zは、好ましくは水素原子である。
a3、b3、c3、d3、e3はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であり、a3、b3、c3、d3、e3の合計値は13以上である。好ましくはa3、c3、d3はそれぞれ独立してb3の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくはc3またはd3は0であり、特に好ましくはc3およびd3は0である。
e3は、好ましくはa3、b3、c3、d3の合計値の1/5以上であり、a3、b3、c3、d3の合計値以下である。
b3は、20以上、600以下が好ましく、より好ましくは20以上、200以下であり、更に好ましくは50以上、200以下である。e3は4以上、600以下が好ましく、より好ましくは4以上、200以下であり、更に好ましくは10以上、200以下である。a3、b3、c3、d3、e3の合計値は、20以上、600以下が好ましく、20以上、200以下が好ましく、50以上、200以下が更に好ましい。
h3は0以上2以下の整数であり、好ましくは0以上、1以下であり、
qは1以上20以下の整数であり、好ましくは1以上、18以下である。更に好ましくは、2以上15以下である。
a3、b3、c3、d3、e3を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意であるが、好ましくは最も固定端側(含フッ素基のケイ素原子と結合する側)のb3を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa3を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置し、より好ましくは最も固定端側のb3またはd3を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa3またはc3を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置する。
pは1以上3以下の整数であり、2以上3以下が好ましく、3がより好ましい。
なお、上記式(1)、(2)中の低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0061

0062

上記式(2’)において、a3〜e3、h3、p、q及びRf3、R5、R6、J、Y、Zはいずれも、上記式(2)のそれらと同じものを意味する。

0063

式(2)及び(2’)において、特にRfが炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、Rf3が全てフッ素原子、Gが全て−O−、Jがメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子(特にメトキシ基又はエトキシ基)、Y及びZがいずれも水素原子、a3が0、c3及びd3が0、h3が0以上1以下(特に0)、pが3であることが好ましい。

0064

上述した通り、本発明では、前記化合物(A)と共に、フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種、及び必要に応じて更にフッ素系溶剤(D)を用いることによって、得られる皮膜が平滑化され、耐摩耗性が向上するとともに、滑落特性も向上する。(B1)、(B2)及び(D)は、所定の蒸気圧を示す高沸点化合物であってもよい。すなわち、(B1)、(B2)及び(D)は、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下である高沸点化合物であることが好ましい。なお高沸点化合物は、沸点が存在しなくてもよいが、沸点を有する場合は、その沸点が100℃以上になる化合物が上記化合物に該当する。好ましい化合物では、蒸気圧が1気圧以上となる温度が110℃以上であり、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上である。蒸気圧が1気圧以上になる温度の上限は特に限定されず、蒸気圧が1気圧以上になる前に分解が開始する化合物であっても良い。

0065

上記(B1)及び(B2)の化合物は、これらの1種または2種以上を含むことができる。(B1)、(B2)及び(D)の使用に関して、(B1)及び(B2)の1種以上を用いる態様や、フッ素系溶剤(D)と、(B1)及び(B2)の1種以上とを組み合わせて用いる態様が挙げられ、フッ素系溶剤(D)と、(B1)及び(B2)の1種以上とを組み合わせて用いる態様では、より一層、耐摩耗性と滑落特性が高められるので好ましい。フッ素系溶剤(D)と、(B1)及び(B2)の1種以上とを組み合わせる場合、特にフッ素系溶剤(D)と、フルオロアルキルシラン(B1)を用いることが好ましい。

0066

上記(B1)のフルオロアルキルシランは、該フルオロアルキルシランのケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物であることが好ましい。該フルオロアルキルシランのフルオロアルキル基は、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、特に末端がトリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基である基が好ましい。
フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。

0067

前記(B1)のフルオロアルキルシランのケイ素原子に加水分解性基が結合している場合、該加水分解性基としては、化合物(A)で例示した加水分解性基と同様のものが挙げられ、好ましい加水分解性基は、アルコキシ基、及びハロゲン原子であり、特にメトキシ基、エトキシ基、塩素原子が好ましい。加水分解性基が複数個存在する場合は同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。

0068

ケイ素原子に結合するフルオロアルキル基と加水分解性基との合計数は、通常4であるが、2または3(特に3)であってもよい。3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、H、シアノ基などが結合できる。特にフルオロアルキル基と加水分解性基の合計数が4であることが好ましく、この場合、フルオロアルキル基の数が3で加水分解性基の数が1、フルオロアルキル基及び加水分解性基の数が共に2、フルオロアルキル基の数が1で加水分解性基の数が3のいずれであっても良いが、フルオロアルキル基の数が1で加水分解性基の数が3であることが好ましい。

0069

フルオロアルキル基と加水分解性基の組み合わせは特に限定されず、後述する式(6)を包含するものや、包含しないもののいずれであってもよいが、好ましくは、フルオロアルキル基とアルコキシ基の組み合わせ(フルオロアルキルアルコキシシランなど。特にフルオロアルキルトリアルコキシシランなど)、フルオロアルキル基とハロゲン原子の組み合わせ(フルオロアルキルハロシランなど。特にフルオロアルキルトリハロシラン)が挙げられる。

0070

上記(B1)のフルオロアルキルシランとしては、合成の簡便さから下記式(3)で表される化合物であることが更に好ましい。

0071

上記式(3)中、
Rf1はそれぞれ独立してフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表し、
R1はそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、
R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、
Aはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子又は、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表す)を表し、
Bはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
a1、b1、c1、d1、e1はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であって、
a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意であり、
a1、b1、c1、d1、e1の合計値は100以下であり、
mは1以上3以下の整数である。
上記式(3)中、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0072

Rf1はフッ素原子又は炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のパーフルオロアルキルが好ましい。R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキルであることが好ましい。R2は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。Aは、−O−、−COO−、−OCO−が好ましい。Bは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、塩素原子である。a1は1〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5が特に好ましく、最も好ましくは1〜2である。b1は0〜15が好ましく、より好ましくは0〜10である。c1は0〜5が好ましく、より好ましくは0〜2である。d1は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。e1は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。mは2〜3が好ましく、3がより好ましい。a1、b1、c1、d1、e1の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。

0073

特に、Rf1がフッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキルであり、R1が水素原子であり、Bがメトキシ基又はエトキシ基であると共に、c1、d1及びe1がいずれも0であり、mが3であり、a1が1〜5、b1が0〜5であることが好ましい。

0074

上記(B1)のフルオロアルキルシランとしては、例えばCF3−Si−(OCH3)3、CjF2j+1−Si−(OC2H5)3(jは1〜12の整数)が挙げられ、この中で特にC4F9−Si−(OC2H5)3、C6F13−Si−(OC2H5)3、C7F15−Si−(OC2H5)3、C8F17−Si−(OC2H5)3が好ましい。また、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3が挙げられる(kはいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15である)。また、CF3(CF2)m−(CH2)nSiCl3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OCH3)3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OC2H5)3を挙げることもできる(mはいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、nはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。CF3(CF2)p−(CH2)q−Si−(CH2CH=CH2)3を挙げることもできる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは2〜8であり、qはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。
更に、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3Cl2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OC2H5)2が挙げられる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは3〜7でありqはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。

0075

加水分解性シランオリゴマー(B2)は、2以上の加水分解性基をもつシラン化合物、好ましくは2以上(特に3)の加水分解性基と含フッ素基(特に低級の含フッ素アルキル基)を有するシラン化合物が加水分解縮合することによって生成するオリゴマーの事をいう。オリゴマーに含まれるケイ素原子の数(縮合数)は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。縮合数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。

0076

前記オリゴマーが有する加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基などである。前記オリゴマーは、これら加水分解性基の1種または2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。

0077

加水分解性シランオリゴマー(B2)としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。

0078

0079

上記式(4)中、
Xはそれぞれ独立して、加水分解性基、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表し、
g1は0以上100以下の整数である。
式(4)において、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0080

前記加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。Xのうち少なくとも1つは加水分解性基(特にエトキシ基、メトキシ基)であり、g1は0以上10以下が好ましく、より好ましくは0以上7以下である。Xのうち少なくとも1つが低級の含フッ素アルキル基であることも好ましい。

0081

加水分解性シランオリゴマーとしては、例えば、(H5C2O)3−Si−(OSi(OC2H5)2)4OC2H5、(H3CO)2Si(CH2CH2CF3)−(OSiOCH3(CH2CH2CF3))4−OCH3などが挙げられる。

0082

第2のフッ素系溶剤(D)は、炭素数が10以上であることが好ましい。また、第2のフッ素系溶剤(D)は、パーフルオロオキシアルキレン単位を有しケイ素原子を有さないポリエーテル;フッ素原子の1つ以上がアルコキシ基で置換されていても良いパーフルオロアルキレン単量体に由来する構造単位を有する重合体;パーフルオロオキシアルキレン単位と、オキシアルキレン単位とを有し、ケイ素原子を有さないポリエーテルなどが好ましい。より具体的には、パーフルオロオキシアルキレン単位を有しケイ素原子を有さないポリエーテルとして下記式(5)で表される化合物が例示でき、フッ素原子の1つ以上がアルコキシ基で置換されていても良いパーフルオロアルキレン単量体に由来する構造単位を有する重合体としては、下記式(6)で表される化合物を用いることができ、パーフルオロオキシアルキレン単位と、オキシアルキレン単位とを有し、ケイ素原子を有さないポリエーテルとしては、下記式(7)で表される化合物を例示できる。

0083

X−(OC4F8)a−(OC3F6)b−(OC2F4)c−(OCF2)d−Y ・・・(5)

0084

式(3)において、a、b、c、dはいずれも繰返し単位を表す記号であり、その範囲は常圧で液体を維持できる範囲で適宜設定可能である。また、a、b、c、dで括られる繰返し単位は、互いにランダムに繰り返しても良い。Xは、1個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い炭素数1〜16のアルキル基であり、Yは、1個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い炭素数1〜16のアルコキシ基、又はOH基を表す。

0085

式(3)において、−(OC4F8)−は、−(OCF2CF2CF2CF2)−、−(OCF(CF3)CF2CF2)−、−(OCF2CF(CF3)CF2)−、−(OCF2CF2CF(CF3))−、−(OC(CF3)2CF2)−、−(OCF2C(CF3)2)−および−(OCF(CF3)CF(CF3))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCF2CF2CF2CF2)−である。−(OC3F6)−は、−(OCF2CF2CF2)−、−(OCF(CF3)CF2)−および−(OCF2CF(CF3))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCF2CF2CF2)−である。−(OC2F4)−は、−(OCF2CF2)−および−(OCF(CF3))−のいずれであってもよい。

0086

Xは、好ましくは1個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基(特にトリフルオロメチル基)であり、Yは、好ましくは1個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い炭素数1〜3のアルコキシ基(特にトリフルオロメトキシ基)又はOH基である。

0087

0088

0089

上記式(7)において、p、q、m、nはいずれも繰返し単位を表す記号であり、その範囲は常圧で液体を維持できる範囲で適宜設定可能である。また、pで括られる繰返し単位と、qで括られる繰返し単位とは、互いにランダムに繰り返して良い。

0090

フッ素系溶剤(D)としては、例えばソルベイ社製HT−200,HT−230、TH−270などのパーフルオロポリエーテルなどを用いることができる。

0091

化合物(A)、(B1)、(B2)及び(D)の化合物の濃度は、それぞれ例えば0.01〜10質量%であり、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.02〜3質量%であり、更に好ましくは0.05〜1質量%である。特に、化合物(A)の濃度が0.05〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3質量%、更に好ましくは0.06〜0.15質量%である。上記(B1)、(B2)及び(D)の化合物として2種以上の化合物を含む場合は、それぞれの化合物の合計濃度を上記範囲とするのが好ましい。

0092

化合物(A)と、上記(B1)、(B2)、(D)は適切な質量比で用いることが好ましく、化合物(A)に対する上記(B1)、(B2)及び(D)(合計量)の質量比が0.3〜20であることが好ましい。前記質量比は、より好ましくは0.5〜15であり、更に好ましくは1〜10である。この比率に調整するとき、透明性の高い外観上も良好な膜が得られる。

0093

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、化合物(A)と共に、(B1)及び(B2)の一種以上、及び必要に応じてフッ素系溶剤(D)が、フッ素系溶剤(C)(主溶剤)に溶解している。主溶剤であるフッ素系溶剤(C)は、フッ素系溶剤(D)とは異なる溶剤である。主溶剤としてのフッ素系溶剤(C)は、具体的にはフロン系、ノベック(3M社製)などのハイドロフルオロエーテルフロリナート(3M社製)などのパーフルオロカーボンアサヒクリンAK225(旭ガラス社製)などのハイドロクロロフルオロカーボン、アサヒクリンAC2000(旭ガラス社製)などのハイドロフルオロカーボンなどが挙げられる。含塩素フッ化炭素有機溶媒を用いる場合には、更にクロロホルム等の有機塩素溶媒を添加しても良い。

0094

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、更にシラノール縮合触媒を含んでいても良い。シラノール縮合触媒としては、塩酸硝酸などの無機酸、酢酸などの有機酸チタン錯体(例えば、マツモトファインケミカル社製オルガチクスTC100など)や錫錯体などの金属錯体などが挙げられる。シラノール縮合触媒の量は、化合物(A)と、フルオロアルキルシラン(B1)、加水分解性シランオリゴマー(B2)、フッ素系溶剤(D)とフッ素系溶剤(C)との合計量に対して、例えば0.001〜0.05質量%である。

0095

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等、各種の添加剤を含有していてもよい。

0097

例えば、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレンビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンテトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニルエチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤。

0098

例えば、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル等の硫黄系酸化防止剤。

0099

例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等のリン系酸化防止剤。

0100

例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系酸化防止剤。

0101

また、防錆剤としては、例えば、アルカノールアミン第四アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンメタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体ポリアルケニルアミン、アルキルイミダゾリン誘導体、ジアノアルキルアミンカルボン酸アミドアルキレンジアミンピリミジンおよびこれらのカルボン酸ナフテン酸スルホン酸複合体、亜硝酸カルシウム、アルキルアミンとエステル、ポリアルコールポリフェノール、アルカノールアミン、モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウム亜硝酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウムゼラチン、カルボン酸のポリマー脂肪族および芳香族アミンジアミンエトキシ化アミンイミダゾールベンズイミダゾールニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール、脂肪族および芳香族チオールスルフィドスルホキシドチオ尿素、アセチレンアルコール、2−メルカプトベンズイミダゾール、アミン又は第四アンモニウム塩+ハロゲンイオンアセチレンチオールおよびスルフィド、ジベンジルスルホキシド、アルキルアミン+ヨウ化カリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン安息香酸シクロヘキシルアミンベンゾトリアゾールタンニンリン酸ナトリウムトリエタノールアミンラウリルサルコシン、+ベンゾトリアゾール、アルキルアミン+ベンゾトリアゾール+亜硝酸ナトリウム+リン酸ナトリウム等の防錆剤を例示できる。

0102

紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等の紫外線吸収剤/光安定剤が挙げられる。

0103

防カビ剤/抗菌剤としては、例えば、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等の防カビ剤/抗菌剤を含有しても良い。

0104

生物付着防止剤としては、例えば、テトラメチルチウラムサルファイド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニル)フルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等の生物付着防止剤を例示できる。

0105

消臭剤としては、例えば、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン-1,2-ジカルボン酸アルケン-1,2-ジカルボン酸、シクロアルカン-1,2-ジカルボン酸、シクロアルケン-1,2-ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等の消臭剤が例示できる。

0107

難燃剤としては、例えば、デカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等の難燃剤を含有できる。

0108

帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等の帯電防止剤を例示できる。

0109

本発明の撥水撥油コーティング組成物が各種の添加剤を含む場合、各種の添加剤の含有量としては、例えば、本発明の撥水撥油コーティング組成物の全重量に対して、0.01〜70質量、好ましくは0.05〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。

0110

滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等も本発明撥水撥油コーティング組成物に含有されていてもよい。

0111

本発明の皮膜を得るためのスプレーコートは、例えばアピロス社製スプレーコーターAPI−40RD advance)を用いることによって実現でき、好ましい条件は例えば、スキャン速度500〜700mm/sec、ピッチ3〜7mm、液量4〜8cc/min、アトマイジングエアー250〜450kPa、ギャップ60〜80mmである。

0112

また、本発明の皮膜を得るために好適な基板の前処理条件は8〜12質量%水酸化ナトリウム水溶液に基板を浸し、15〜25分間の超音波洗浄を行った後、純水ですすぎ洗いをし、表面に水分が残らないように十分に乾燥させることである。

0113

スプレーコートした後の条件は特に限定されないが、スプレーコートによる成膜後、室温・空気中で静置し、さらに50〜300℃、好ましくは100〜200℃で10〜60分程度加温乾燥することによって本発明の皮膜を得ることができる。

0114

本発明の皮膜を形成する基板は特に限定されず、有機系材料無機系材料のいずれでも良く、形状は平面、曲面のいずれであっても良い。前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。前記無機系材料としては、鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属、これら金属を含む合金セラミックス、ガラスなどが挙げられる。
基板には予め易接着処理を施しておいても良い。易接着処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いても良い。

0115

本発明の透明皮膜は、タッチパネルディスプレイ等の表示装置光学素子半導体素子建築材料ナノインプリント技術太陽電池、自動車や建物の窓ガラス、調理器具などの金属製品食器などのセラミック製品プラスチック製の自動車部品等に好適に製膜することができ、産業上有用である。また、漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0116

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

0117

特開2014−15609号公報の合成例1、2に記載の方法により、下記式(a)で表される化合物(分子量約8000)を合成した。

0118

0119

上記式(a)において、nは43であり、mは1〜6の整数である。

0120

実施例1
化合物(A)として上記式(a)で表される化合物(以下、化合物(a))、フルオロアルキルシラン(B1)としてFAS9E(C4F9−C2H4−Si−(OC2H5)3、沸点:241℃、東京化成工業社製)、主溶剤としてFC−3283(フロリナート、3M社製)を混合し、室温で所定の時間撹拌して、撥水撥油コーティング組成物を得た。該撥水撥油コーティング組成物中、化合物(A)の比率は0.1質量%であり、フルオロアルキルシラン(B1)の比率は0.2質量%である。得られた撥水撥油コーティング組成物を、前処理を行ったCorning製のガラス基板EAGLEXGの上に、アピロス社製スプレーコートで成膜し、更に150℃で30分間加温乾燥を行い、ガラス基板上に透明皮膜を得た。なお、前記前処理として、撥水撥油10質量%水酸化ナトリウム水溶液にガラス基板を浸し、20分間の超音波洗浄を行った後、純水ですすぎ洗いをし、表面に水分が残らないように十分に乾燥させた。また、スプレーコートは、スキャン速度600mm/sec、ピッチ5mm、液量6cc/min、アトマイジングエアー350kPa、ギャップ70mmである。

0121

実施例2
フッ素系溶剤(D)としてHT−230(パーフルオロポリエーテル化合物、沸点230℃、ソルベイ社製、下記式(8)で表される)を更に用い、その含有量を0.3質量%としたこと以外は実施例1と同様にして皮膜を得た。

0122

0123

実施例3
HT−230の濃度を0.2質量%としたこと以外は実施例2と同様にして皮膜を得た。

0124

比較例1
MIKASA製スピンコーターを用いて、実施例1と同様のガラス基板を3000rpmで20秒回転させ、FAS9Eを用いないこと以外は実施例1と同様のコーティング組成物を該ガラス基板に塗布した。さらに150℃で10分間加温乾燥を行い、ガラス基板上に皮膜を得た。

0125

実施例1〜3及び比較例1で得られた皮膜について、以下の方法で評価した。

0126

(1)膜厚の測定
測定には、リガク社製X線反射率測定装置(SmartLab)を用いた。X線源として45kWのX線発生装置、CuターゲットによるCuKα線波長λ=0.15418nmまたはCuKα1線の波長λ=0.15406nmを使用し、また、モノクロメータは、用いないかあるいはGe(220)モノクロ結晶を使用した。設定条件として、サンプリング幅は0.01°または0.002°、捜査範囲0.0〜2.5°または0.0〜1.6°に設定した。そして、上記設定条件により測定し、反射率測定値を得た。得られた測定値を同社解析ソフト(GlobalFit)を用いて解析した。

0127

(2)接触角の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、液滴法(解析方法:θ/2法)で、皮膜表面の水及び油の接触角を測定した。水滴量は3.0μLであり、油滴量は3.0μLである。油としてはヘキサデカンを用いた。

0128

(3)接触角ヒステリシス及び転落角の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、滑落法(解析方法:接触法、水滴量:6.0μL、油滴量:4.0μL、傾斜方法:連続傾斜、滑落検出:滑落後、移動判定:前進角、滑落判定距離:0.125mm)により、皮膜表面の動的撥水・撥油特性(接触角ヒステリシス、滑落角)を測定した。油としてはヘキサデカンを用いた。

0129

(4)耐摩耗性の評価
三菱鉛筆社製消しゴム付きHB鉛筆を具備したスクラッチ装置を用い、消しゴムがサンプルに接した状態で、荷重500gをかけ、40r/minでサンプルを動かすことによって摩耗試験を行った。摩耗回数100回ごとに接触角を測定し。初期接触角から−15度以下となるまでの回数を測定した。

0130

(5)水滴の滑落速度の測定
32°に傾けた試験片に、マイクロピペッターを用いて20μLの水滴を付着させ、3cmを滑り落ちる速度を測定した。

0131

(6)表面粗さ(算術平均粗さRa、最大谷深さRv、二乗平均平方根粗さRMS)の測定
測定には、セイコーインスツルメンツ社製、走査型プローブ顕微鏡SPA300HVを用いた。測定条件は下記のとおりである。
プローブステーションユニットSPI4000/SPA300HV
カンチレバー : SI−DF20
スキャナ: 20μm
データタイプ:形状像
観察モード: DFM(ダイナミックフォースモード(Dynamic Forcee Mode Microscpoe)
走査エリア: 10000nm×10000nm
走査周波数: 0.25Hz
解析ソフト: (測定装置付随

0132

基板端から少なくとも5mm以上内側の部分を10mm角〜20mm角程度の面積でへき開したものを試料とした。試料のおよそ中心を0.01mm(10μm)幅でスキャンした。前記した観測視野から、約0.3mmずつ場所を変えたものを別視野とし、Ra(算術平均粗さ)、RMSの全ての値について全5視野の平均値を算出した。

0133

(7)凸部断面積の面積率の測定
測定には、皮膜表面を走査型プローブ顕微鏡(SPM)のダイナミックフォースモード(DFM)で観察した100μm2の画像を用いた。この画像に、1次傾き補正および2次傾き補正および、フラット補正を行い、この処理後の画像に対して粗さ解析機能を用いて最大谷深さ(Rv)及びRMSを算出した。

0134

膜の厚さ方向をZ方向として、以下の式(X1)であらわされるZ0をZ軸の値とするXY平面(最大谷の下端部を含むXY平面)を該膜の表面(平均面)と定義し、以下の式(X2)であらわされるZをZ軸の値とするXY平面を切断面として、粒子解析機能を用いて得られる前記切断面で切断される凸部の断面積の面積率(%)を測定した。
Z0(nm)={(Rv)2}1/2・・・(X1)
Z(nm)=Z0+2・・・(X2)

0135

(8)最表面の密度の測定
測定には、リガク社製X線反射率測定装置(SmartLab)を用いた。X線源として45kWのX線発生装置、CuターゲットによるCuKα線の波長λ=0.15418nmまたはCuKα1線の波長λ=0.15406nmを使用し、また、モノクロメータは、用いないかあるいはGe(220)モノクロ結晶を使用した。設定条件として、サンプリング幅は0.01°または0.002°、走査範囲0.0〜2.5°または0.0〜1.6°に設定した。そして、上記設定条件により測定し、反射率測定値を得た。得られた測定値を同社解析ソフト(GlobalFit)を用いて解析した。

0136

実施例1〜3及び比較例1について、上記(1)〜(6)の測定結果を表1に、上記(7)の結果を表2に、上記(8)の結果を表3に示す。

0137

0138

本発明のRMSの要件を満たす実施例1〜3では、耐摩耗試験の回数が2000回を超えており、本要件を満たさない比較例1に比べて耐摩耗性が優れている。また比較例1の皮膜では滑落速度の測定で水滴が全く滑落しなかったのに対し、実施例1〜3の皮膜では、いずれも5.0cm/秒以上の早い速度で水滴が滑落した。特に、組成物として、化合物(A)と共に、(B1)及びフッ素系溶剤(D)を両方含んだ実施例2及び3では、耐摩耗性が4000回以上であり、また水滴の滑落速度が10.0cm/秒以上であり特に優れていた。

0139

0140

本発明の実施例1〜3では、比較例1に比べて、膜表面の凸部のサイズを表す平均粒子径が小さく、また凸部の被覆面積率(AR)が3.2%以下と非常に狭く、平滑性に優れていた。

0141

0142

X線反射率測定の結果、実施例、比較例の透明皮膜において、組成は同じであるが密度の異なる2あるいは3つの層が確認された。この3つの層を基板側から順に基板界面層内部層最表面層としたとき、表3において、基板界面層−基板表面間の界面ラフネスを「基板表面」の欄に、内部層−基板界面層間の界面ラフネスを「基板界面」の欄に、最表面層−内部層間の界面ラフネスを「内部」の欄に、空気−最表面層間の界面ラフネスを「最表面」の欄にそれぞれ示す。また、基板界面層、内部層、最表面(皮膜の最表面)層の密度をそれぞれ示す。

実施例

0143

本発明の皮膜は、ラフネスの測定値がきわめて小さい数値であるため(例えば0.5nm以下)表面ラフネスの値から、膜の表面粗さを比較することは難しいが、膜最表面の粗密として最表面のラフネスを比較することができる。本発明の透明皮膜は、比較例の透明皮膜と比較して、膜表面の密度が高い。これはすなわちラフネスの小さい、膜厚方向に対して均一な膜が得られていることを示している。このように、膜表面がきわめて平滑な皮膜を得ることができ、その結果撥水・撥油性、耐摩耗性に加えて、良好な滑落特性を実現できる皮膜を得ることが出来たと考えられる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ