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技術 光ファイバ母材の製造方法

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 田賀悠記高城充森田圭省
出願日 2016年1月14日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-005100
公開日 2017年7月20日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-124953
状態 特許登録済
技術分野 ガラス繊維の製造、処理
主要キーワード 基準値範囲 ヘリウムガス濃度 スニッファ JIS規格 ヘリウムリークディテクタ 各供給口 漏れ流量 フッ素化合物ガス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月20日)のものです。
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図面 (5)

課題

光ファイバ母材ら線引きされた光ファイバ伝送損失が大きい不良品となることを防ぐ。

解決手段

第一供給口15aからヘリウムガスを供給するとともに、第二供給口11aからヘリウム以外のガスを供給し、第二排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する第一工程と、炉心管4内に多孔質母材1を収容して焼結を行う第二工程と、第一工程で測定したヘリウムガス濃度と、第二工程で焼結した光ファイバ母材1から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める第三工程と、を含み、第一工程、第二工程、および第三工程を実施してヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、第一工程を実施して第二排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、第二工程を実施して光ファイバ母材1を製造する。

概要

背景

炉体内炉心管が配置され、炉体と炉心管との間の空間にガスを供給する供給口と排気する排気口と、炉心管内にガスを供給する供給口と排気する排気口とがそれぞれ設けられて、炉心管内に多孔質母材を収容して焼結を行う光ファイバ母材焼結炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。

概要

光ファイバ母材から線引きされた光ファイバ伝送損失が大きい不良品となることを防ぐ。第一供給口15aからヘリウムガスを供給するとともに、第二供給口11aからヘリウム以外のガスを供給し、第二排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する第一工程と、炉心管4内に多孔質母材1を収容して焼結を行う第二工程と、第一工程で測定したヘリウムガス濃度と、第二工程で焼結した光ファイバ母材1から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める第三工程と、を含み、第一工程、第二工程、および第三工程を実施してヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、第一工程を実施して第二排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、第二工程を実施して光ファイバ母材1を製造する。

目的

本発明の目的は、光ファイバ母材から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなることを防ぐことができる光ファイバ母材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炉体内炉心管が配置され、前記炉体と前記炉心管との間の空間にガスを供給する第一供給口と、前記空間からガスを排気する第一排気口と、前記炉心管内にガスを供給する第二供給口と、前記炉心管からガスを排気する第二排気口と、を備える焼結炉を用いて、前記炉心管内に多孔質母材を収容して焼結を行う光ファイバ母材の製造方法であって、前記第一供給口からヘリウムガスを供給するとともに、前記第二供給口からヘリウム以外のガスを供給し、前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する第一工程と、前記炉心管内に前記多孔質母材を収容して焼結を行う第二工程と、前記第一工程で測定した前記ヘリウムガス濃度と、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバ伝送損失値との関係に基づいて、前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める第三工程と、を含み、前記第一工程、前記第二工程、および前記第三工程を実施して前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、前記第一工程を実施して前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が前記基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、前記第二工程を実施して光ファイバ母材を製造する、光ファイバ母材の製造方法。

請求項2

前記第三工程は、前記第一工程において測定したヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きと、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、前記基準値範囲を求める、請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。

請求項3

前記第三工程は、前記第一工程において前記第一供給口からヘリウムガスを供給し始めてから一定時間経過した後に前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度と、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失との関係に基づいて、前記基準値範囲を求める、請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。

請求項4

前記第一工程、前記第二工程、および前記第三工程を実施して前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、前記炉心管を組み替えた直後に、前記第一工程を実施してヘリウムガス濃度が前記基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、前記第二工程を実施する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバ母材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、光ファイバ母材の製造方法に関する。

背景技術

0002

炉体内炉心管が配置され、炉体と炉心管との間の空間にガスを供給する供給口と排気する排気口と、炉心管内にガスを供給する供給口と排気する排気口とがそれぞれ設けられて、炉心管内に多孔質母材を収容して焼結を行う光ファイバ母材の焼結炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2002−68770号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記のような光ファイバ母材の焼結炉では、炉心管を組み立てたときのずれや、炉心管フランジ面の精度などによって、炉心管の気密性が変化することが考えられる。炉心管の気密性が悪い場合は、炉体側の汚染されたガスが炉心管内に漏れて入るおそれがある。この汚染されたガスが炉心管内に入った状態で光ファイバ母材の焼結を行った場合、金属汚染等により汚染された光ファイバ母材となるおそれがある。そして、汚染された光ファイバ母材から線引きされた光ファイバは、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなるおそれがある。

0005

そこで、本発明の目的は、光ファイバ母材から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなることを防ぐことができる光ファイバ母材の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一態様に係る光ファイバ母材の製造方法は、炉体内に炉心管が配置され、前記炉体と前記炉心管との間の空間にガスを供給する第一供給口と、前記空間からガスを排気する第一排気口と、前記炉心管内にガスを供給する第二供給口と、前記炉心管からガスを排気する第二排気口と、を備える焼結炉を用いて、前記炉心管内に多孔質母材を収容して焼結を行う光ファイバ母材の製造方法であって、
前記第一供給口からヘリウムガスを供給するとともに、前記第二供給口からヘリウム以外のガスを供給し、前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する第一工程と、
前記炉心管内に前記多孔質母材を収容して焼結を行う第二工程と、
前記第一工程で測定した前記ヘリウムガス濃度と、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める第三工程と、
を含み、
前記第一工程、前記第二工程、および前記第三工程を実施して前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、
前記第一工程を実施して前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が前記基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、前記第二工程を実施して光ファイバ母材を製造する。

発明の効果

0007

本発明によれば、光ファイバ母材から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなることを防ぐことができる光ファイバ母材を製造することができる。

図面の簡単な説明

0008

本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法で使用される装置の概略構成図である。
測定開始からの経過時間と測定されたヘリウムガス濃度との関係の一例を示すグラフである。
測定開始10分後のヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きと、それぞれの焼結炉で焼結した光ファイバ母材から得られた光ファイバの伝送損失値の増加量との関係の一例を示すグラフである。
測定開始10分後のヘリウムガス濃度と、それぞれの焼結炉で焼結した光ファイバ母材から得られた光ファイバの伝送損失値の増加量との関係の一例を示すグラフである。

実施例

0009

[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法は、
(1)炉体内に炉心管が配置され、前記炉体と前記炉心管との間の空間にガスを供給する第一供給口と、前記空間からガスを排気する第一排気口と、前記炉心管内にガスを供給する第二供給口と、前記炉心管からガスを排気する第二排気口と、を備える焼結炉を用いて、前記炉心管内に多孔質母材を収容して焼結を行う光ファイバ母材の製造方法であって、
前記第一供給口からヘリウムガスを供給するとともに、前記第二供給口からヘリウム以外のガスを供給し、前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する第一工程と、
前記炉心管内に前記多孔質母材を収容して焼結を行う第二工程と、
前記第一工程で測定した前記ヘリウムガス濃度と、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める第三工程と、
を含み、
前記第一工程、前記第二工程、および前記第三工程を実施して前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、
前記第一工程を実施して前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が前記基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、前記第二工程を実施して光ファイバ母材を製造する。

0010

上記(1)の光ファイバ母材の製造方法によれば、第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定することで炉心管の気密性がわかる。炉心管の気密性と、炉心管によって焼結した光ファイバ母材から線引きされる光ファイバの伝送損失値とは関連する。よって、光ファイバの伝送損失値が正常な範囲内となる、ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めることができる。
上記のように求められた基準値範囲を利用し、多孔質母材の焼結を行う前に、予め上記ヘリウムガス濃度が基準値範囲内であることを少なくとも一回確認することで、炉心管の気密性を確認できる。
したがって、以降、気密性を確認した炉心管で焼結を行うことにより、光ファイバ母材から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなることを防ぐことができる。

0011

(2) (1)の光ファイバ母材の製造方法において、前記第三工程は、
前記第一工程において測定したヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きと、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、前記基準値範囲を求める。
ヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きと、焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、基準値範囲を求めることができる。

0012

(3) (1)の光ファイバ母材の製造方法において、前記第三工程は、
前記第一工程において前記第一供給口からヘリウムガスを供給し始めてから一定時間経過した後に前記第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度と、前記第二工程で焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失との関係に基づいて、前記基準値範囲を求める。
第一供給口からヘリウムガスを供給し始めてから一定時間経過した後に第二排気口から排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度と、焼結した光ファイバ母材から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、基準値範囲を求めることができる。

0013

(4) (1)から(3)のいずれか一の光ファイバ母材の製造方法において、前記第一工程、前記第二工程、および前記第三工程を実施して前記ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めてから、
前記炉心管を組み替えた直後に、前記第一工程を実施してヘリウムガス濃度が前記基準値範囲内であることを少なくとも一回確認して、以降、前記第二工程を実施する。
炉心管を組み替えた直後に、ヘリウムガス濃度が基準値範囲内であることを確認するので、炉心管を組み替えたときのずれによる気密性の悪化を予め検知することができる。

0014

[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0015

図1は、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法で使用する焼結炉の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、焼結炉100は、炉体7内に、炉心管3(以下、第一炉心管という)が配置され、第一炉心管3内に第二炉心管4が第一炉心管3と同軸状に配置されて構成されている。第一炉心管3と第二炉心管4との間には空間(以下、中間室という)10が画成されている。

0016

SiO2粒子からなる多孔質母材1は、出発棒である支持棒2を、第二炉心管4の貫通部4a、第一炉心管3の貫通部3aおよび炉体7の貫通部7aを通して、第二炉心管4の中心部に吊り下げ支持される。第一炉心管3および第二炉心管4は、ともに高純度カーボンで作られた円筒状の側壁部材複数個に分割して多段積重ねられて、その上下が円板状の蓋と底部材封止されて構成されている。第一炉心管3および第二炉心管4の複数個の側壁部材同士の接合箇所接合部3b,4bとする。なお、第一炉心管3および第二炉心管4は、石英分割構造で構成してもよい。

0017

第一炉心管3の外側には、加熱ヒータ5が配置され、加熱ヒータ5の外側を断熱材6で覆って外部への熱放散遮蔽している。炉体7は、ステンレス等の耐食性に優れた金属で形成され、第一炉心管3および第二炉心管4を含む構成部材の全体を囲い、外囲気から完全に封止する。

0018

第二炉心管4には、供給口11aからガスを供給するガス供給管11と、第二炉心管4内のガスを排気口12aから排気するガス排気管12とがそれぞれ独立して連結されている。中間室10には、供給口13aからガスを供給するガス供給管13と中間室10内のガスを排気口14aから排気するガス排気管14とがそれぞれ独立して連結されている。炉体7には、供給口15aからガスを供給するガス供給管15と、炉体内のガスを排気口16aから排気するガス排気管16がそれぞれ独立して連結されている。

0019

各ガス排気管(ガス排気管12、ガス排気管14、ガス排気管16)には、排ガス処理を行うスクラバー17に連結されている。ガス排気管12には、スクラバー17との間にヘリウムガス濃度を測定するヘリウムリークディテクタ18が設けられている。

0020

焼結時には、第二炉心管4内の空間である炉心室8には、ガス供給管11から、母材1の焼結処理用のガスが供給される。この焼結処理用ガスには、例えば、ガラス透明化に有利なヘリウムガスとSiCl4またはCl2などの腐食性ガスが含まれる。なお、母材1の屈折率調整のために高温で分解するCF4、SF6、SiF4等のフッ素化合物ガスが供給されてもよい。供給ガスとしては、上記の例に限定されるものではなく、母材の製造プロセスによって異なる種類のガスが使用される。

0021

焼結時には、炉体7と第一炉心管3との間の空間である炉体室9に、加熱ヒータ5および断熱材6が酸化による劣化を起こさないように、窒素またはアルゴンガス等の不活性ガスがガス供給管15から供給され、ガス排気管16へ排気される。

0022

第一炉心管3と第二炉心管4との間に形成される中間室10は、第二炉心管4の炉心室8と炉体7の空間である炉体室9とを遮断する。焼結時には、中間室10内に不活性ガスとして、例えばヘリウムガスがガス供給管13から供給され、ガス排気管14へ排気される。そして、中間室10内の圧力は、炉心室8および炉体室9の圧力より、多少低い圧力になるように調整される。

0023

以上のように、炉心管を二重構造にして、中間室10の圧力を炉心室8の圧力より低くなるように設定すれば、焼結時に、気密性が悪い箇所から中間室10内に漏れたガスは、排気口14aから排気されると共に、圧力が高い炉心室8に漏れることを防ぐことができる。また、中間室10の圧力を炉体室9の圧力より低くなるように設定すれば、焼結時に、気密性が悪い箇所から中間室10内に漏れたガスは、排気口14aから排気されると共に、圧力が高い炉体室9に漏れることを防ぐことができる。

0024

炉心室8、炉体室9、中間室10の各室内の圧力を圧力計により計測して、各室内の圧力が上記のような圧力差となるように、ガスの供給流量排気流量を調整して調整することが考えられる。

0025

しかしながら、圧力計は各ガス供給管(11,13,15)などに設置されるので、圧力計で計測された圧力は、上記各室内の実際の圧力とずれてしまう。このため、計測された炉心管(第一炉心管3、第二炉心管4)内外の圧力差が所定の範囲であっても、汚染されたガスが炉心室8内に漏れて、焼結した光ファイバ母材から得られる光ファイバの伝送損失が増加するおそれがある。

0026

焼結炉100は、前述のように、第一炉心管3および第二炉心管4は、複数個の側壁部材による多段構成となっており、側壁部材同士の接合箇所である接合部3b,4bが複数存在する。これらの接合箇所全ての気密性を完全に保つことは困難であり、組み立てたときのずれや、炉心管フランジ面の精度などによって、炉心管の気密性が変化する。

0027

以上の考察により、発明者らは、炉心管の更新などで、炉心管を組み替えた後に、この炉心管の気密性が所定の水準を満たしていれば、安定して所定の範囲内の伝送損失値の光ファイバが得られる光ファイバ母材を製造できることをつきとめた。

0028

以下に、本実施形態に係る光ファイバ母材1の製造方法を、図1で示した焼結炉100を使用した例で詳細に説明する。以下の製造方法は、光ファイバ母材1から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失が大きくならないように、第二炉心管4の気密性を予め確認してから光ファイバ母材1を製造できる方法である。

0029

(第一工程)
図1に示すように、第二炉心管4の炉心室8内に多孔質母材1を収容する。この多孔質母材1を焼結する前に、第一工程を実施する。第一工程実施中は、焼結炉100は昇温せずに室温の状態とする。
炉体室9に供給口15aからヘリウムガスを供給する。同時に、炉心室8に供給口11aからヘリウム以外のガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス等)を供給する。また同時に、中間室10内に供給口13aからヘリウム以外のガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス等)を供給する。

0030

上記のようにして、各供給口(11a、13a、15a)からのガス供給を所定時間(例えば、40分程度)続け、ガス排気管12の途中に設けられたヘリウムリークディテクタ18を用いて、炉心室8の排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定する。このヘリウムガス濃度の測定方法としては、例えば、JIS規格Z2331ヘリウム漏れ試験方法に規定された吸込み法(スニッファー法)を用いる。

0031

なお、炉心室8内に多孔質母材1を収容せずに、焼結炉100を昇温(例えば、焼結温度まで昇温)して、第一工程を実施してもよい。この場合は、供給口11aおよび供給口13aから供給するガスは、炉心管がカーボンの場合は酸素ガスを使用すると燃焼するので、酸素以外のガスを使用する。焼結炉100を昇温した場合は、焼結温度での第二炉心管4の気密性に近い状態で、排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定できる。

0032

(第二工程)
加熱ヒータ5により、焼結温度まで焼結炉100内を昇温させる。炉心室8に供給口11aから焼結処理用のガス(例えば、ヘリウムガスとSiCl4またはCl2などの腐食性ガスを含むガス)を供給し、焼結処理を実施する。なお、さらにCF4、SF6、SiF4等のフッ素化合物ガスを供給してもよい。

0033

上記焼結処理中は、炉体室9に、窒素またはアルゴンガス等の不活性ガスを供給口15aから供給する。また、中間室10に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)を供給口13aから供給する。
焼結処理中は、例えば(中間室10内から、或いは各室(炉心室8、炉体室9、中間室10)から)排気するガスの流量、或いは(中間室10内、或いは各室(炉心室8、炉体室9、中間室10)内に)供給するガスの流量を調整するなどにより、中間室10内の圧力が、炉心室8および炉体室9の圧力より、低い圧力になるように調整する。

0034

(第三工程)
第二工程を実施し、焼結して透明化された光ファイバ母材1を線引きする。この線引きで得られた光ファイバに対して、伝送損失値を測定する。
第一工程の測定で得られたヘリウムガス濃度と、上記測定で得られた伝送損失値との関係に基づいて、ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める。

0035

以下、ヘリウムガス濃度の基準値範囲の具体的な求め方について説明する。
第一工程において、ヘリウムガスは所定の流量で炉心室8に徐々に漏れていくものと考えられるので、例えば図2に示すように、時間が経過するに連れてヘリウムリークディテクタ18で測定されるヘリウムガス濃度は増加していく。例えば、異なる焼結炉(或いは、炉心管を組み替える前後の焼結炉)では、炉心室8に漏れるヘリウムガスの流量が異なることが考えられ、図2の特性は、測定する焼結炉によって変化する。

0036

(基準値範囲の求め方1)
第一工程の測定中に、ヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾き(以下、適宜「傾き」と略記する)を求め、その焼結炉100内で、第二工程で焼結した光ファイバ母材1から得られた光ファイバの伝送損失値を求める。
例えば具体例として、炉心室8に漏れるヘリウムガスの流量(漏れ流量)が異なる5つの条件の焼結炉a(最も低い漏れ流量のものであり、この漏れ流量を1倍とする)、b(2倍の漏れ流量)、c(3.5倍の漏れ流量)、d(8倍の漏れ流量)、e(13倍の漏れ流量)を用いて、第一工程の測定開始10分後の「傾き」と、それぞれの焼結炉a〜eで得られた光ファイバの伝送損失値を求めた。この際、炉心管室8、炉体室9、中間室10に供給するガスの流量は同じとした。漏れ流量が少ない1倍、2倍、3.5倍の3つの条件の焼結炉a〜cから得られた光ファイバの伝送損失値は、一般的に正常とされる範囲内の低い値(焼結炉a〜cとも同じ値)であった。これに対して、漏れ流量が多い焼結炉d、eでは、焼結炉a〜cに比べて光ファイバの伝送損失値が増加した。焼結炉a〜cの伝送損失値に対する増加量(dB/km)を縦軸とし、各焼結炉における上記「傾き」の値(ppm/min)を横軸としたグラフを図3に示す。光ファイバの伝送損失値が正常である範囲として、例えば光ファイバの伝送損失の増加量が0.005dB/km以下の範囲とする。図3の例では、伝送損失の増加量が0.005dB/km以下となる、「傾き」の範囲(基準値範囲)は、0〜5200ppm/min程度である。
以上のようにして、ヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きに対して、基準値範囲を求めることができる。なお、伝送損失の増加量は0.005dB/km以外でも良く、製造する光ファイバの種類に応じて適宜設定して良い。

0037

(基準値範囲の求め方2)
第一工程において、ヘリウムガスを供給し始めてから一定時間経過した後(例えば、10分後)にヘリウムガス濃度を測定し、その焼結炉100内で、第二工程で焼結した光ファイバ母材1から得られた光ファイバの伝送損失値を求める。
例えば具体例として、上記の「基準値範囲の求め方1」と同じ5つの条件の焼結炉a〜eを用いて、第一工程の測定開始10分後のヘリウムガス濃度と、それぞれの焼結炉で得られた光ファイバの伝送損失値を求めた。上記の「基準値範囲の求め方1」と同様に、漏れ流量が多いd、eの焼結炉では、1倍、2倍、3.5倍の3つの条件の焼結炉a〜cに比べて光ファイバの伝送損失値が増加した。焼結炉a〜cの伝送損失値に対する増加量を縦軸とし、各焼結炉における第一工程の測定開始10分後のヘリウムガス濃度の値を横軸としたグラフを図4に示す。図4において、光ファイバの伝送損失値が正常である範囲を、例えば図3の例と同様に光ファイバの伝送損失の増加量が0.005dB/km以下の範囲とする。図4の例では、伝送損失の増加量が0.005dB/km以下となる、第一工程の測定開始10分後のヘリウムガス濃度の範囲(基準値範囲)は、0〜31400ppm程度である。
以上のようにして、第一工程の測定開始から一定時間経過した後のヘリウムガス濃度に対して、基準値範囲を求めることができる。

0038

以上の第一工程、第二工程、および第三工程を実施してヘリウムガス濃度の基準値範囲を求める。そして、少なくとも一回、第一工程を実施して、排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度を測定し、上記基準値範囲内であるか否かを確認する。

0039

ヘリウムガス濃度が基準値範囲である場合は、測定した焼結炉100を使用して、以降、第二工程の実施による光ファイバ母材1の製造を繰り返し実施する。すなわち、焼結炉100において、ヘリウムガス濃度が基準値範囲であることが確認できれば、多孔質母材1を一本焼結する毎にあらためて第一工程を実施して確認する必要はない。一方、ヘリウムガス濃度が基準値範囲でない場合、すなわち、伝送損失値が不良となる範囲であった場合は、測定した焼結炉100は使用しないようにする。または、炉心管を組み替えてから改めて第一工程を実施し、ヘリウムガス濃度が基準値範囲であることが確認できれば、第二工程の実施による光ファイバ母材1の製造を行う。

0040

なお、上記基準値範囲内であるか否かの確認は、焼結炉100の炉心管(第一炉心管3或いは第二炉心管4、またはその両方)を組み替えた直後に実施すれば、炉心管を組み替えたときのずれによる気密性の悪化を予め検知することができる。

0041

以上、詳述した本実施形態の光ファイバ母材の製造方法によれば、排気口(第二排気口)12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度から第二炉心管(炉心管)4の気密性がわかる。第二炉心管(炉心管)4の気密性と、焼結した光ファイバ母材1から線引きされる光ファイバの伝送損失値とは関連する。よって、光ファイバの伝送損失値が正常な範囲内となる、ヘリウムガス濃度の基準値範囲を求めることができる。

0042

上記のように求められた基準値範囲を利用し、多孔質母材1の焼結を行う前に、予め排気口12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度が基準値範囲内であることを少なくとも一回確認する。このことで、第二炉心管(炉心管)4の気密性が、光ファイバの伝送損失値が正常な範囲内となる所定の水準になっているか否かを判断できる。
したがって、第二炉心管(炉心管)4の気密性が上記所定の水準になっていれば、以降、気密性を確認した第二炉心管(炉心管)4で焼結を行うことにより、光ファイバ母材1から線引きされた光ファイバが、不良品となるレベルまで伝送損失値が大きくなることを防ぐことができる。

0043

また、上記の基準値範囲は、ヘリウムガス濃度が経時的に増加する傾きと、焼結した光ファイバ母材1から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、求めることができる。或いは、供給口(第一供給口)15aからヘリウムガスを供給し始めてから一定時間経過した後に排気口(第二排気口)12aから排気された排気ガス中のヘリウムガス濃度と、焼結した光ファイバ母材1から線引きした光ファイバの伝送損失値との関係に基づいて、上記基準値範囲を求めることができる。

0044

なお、上記の説明では、炉心管が二重構造となっている焼結炉100を使用したが、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法は、炉心管が二重構造となっていない焼結炉に対しても適用できる。

0045

1光ファイバ母材(多孔質母材)
2支持棒
3 第一炉心管
4 第二炉心管(炉心管)
5加熱ヒータ
6断熱材
7炉体
8炉心室
9 炉体室(空間)
10中間室
11,13,15ガス供給管
11a 供給口(第二供給口)
13a 供給口
15a 供給口(第一供給口)
12,14,16ガス排気管
12a排気口(第二排気口)
14a 排気口
16a 排気口(第一排気口)
17スクラバー
18 ヘリウムリークディテクタ

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