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技術 3次元熱間曲げ焼入れ装置、3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法、および自動車用構造部材の製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 浜田龍次嶋田直明植松一夫岡田信宏
出願日 2016年1月7日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2016-001832
公開日 2017年7月13日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-123273
状態 特許登録済
技術分野 物品の熱処理 誘導加熱一般 熱処理 板・棒・管等の曲げ
主要キーワード 冷却水噴出口 コイル間隙 シート補強材 横断面形 車両構造部材 焼入れ加工 水蒸気膜 ねじり加工
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

製造能率および形状コントロール性を低下させずに、3DQ加工部材機械特性の不均一を抑制し、また、3DQ加工部材の疲労破壊を抑制する。

解決手段

次元熱間曲げ焼入れ装置10は、送り装置12と、誘導加熱コイル30と、冷却装置14と、加工力付与装置15と、を備えている。誘導加熱コイル30の内周50は、挿通される鋼管60の複数の平板部分62それぞれに対し平行に対向する複数の直線部52と、隣り合う直線部52同士を繋ぐ連結部54と、を有しており、連結部54は、隣り合う直線部52を延長させてできる角形状Sよりもコイル外側に広がった形状である。

概要

背景

複雑な形状の鋼管部材金型を用いずに製造できる3次元熱間曲げ焼入れ(3DQ: 3Dimensional Hot Bending and Quench)技術が知られている。3DQは、例えば、自動車構造材の製造に用いられる。3DQ加工により製造される構造材は軽量かつ高強度という特長がある。

3DQは、次のような方法である。すなわち、素材となる鋼管送りながら、誘導加熱装置Ac3変態点以上まで局部的に鋼管を加熱し、誘導加熱装置よりも鋼管の送り方向下流側冷却装置で鋼管を速やかに冷却(焼入れ)する。このとき、鋼管における誘導加熱装置と冷却装置との間には局部的な高温部が生じる。この高温部に加工力を与えることで鋼管を熱間変形させ、冷却装置による冷却により焼入れと形状の固定を行う。

高温部に加工力を与えるための加工力付与手段としては、特許文献1のように冷却手段の鋼管送り方向下流側に配置された可動ローラーダイス、特許文献2のように鋼管送り方向下流側の鋼管端部に取り付けられたチャックマニピュレーター、特許文献3のように鋼管送り方向上流側の鋼管端部に取り付けられたチャックとマニピュレーターが例示される。

3DQでは曲げ加工のほか、ねじり加工も可能である。特許文献1と特許文献3には3DQでねじり加工が可能であることが開示されている。特許文献4には3DQによるねじり部材が開示されている。

概要

製造能率および形状コントロール性を低下させずに、3DQ加工部材機械特性の不均一を抑制し、また、3DQ加工部材の疲労破壊を抑制する。3次元熱間曲げ焼入れ装置10は、送り装置12と、誘導加熱コイル30と、冷却装置14と、加工力付与装置15と、を備えている。誘導加熱コイル30の内周50は、挿通される鋼管60の複数の平板部分62それぞれに対し平行に対向する複数の直線部52と、隣り合う直線部52同士を繋ぐ連結部54と、を有しており、連結部54は、隣り合う直線部52を延長させてできる角形状Sよりもコイル外側に広がった形状である。

目的

本発明が解決しようとする課題は、第1の原因の解消することで、製造能率および形状コントロール性を低下させずに、3DQ加工部材の機械特性の不均一を抑制し、また、3DQ加工部材の疲労破壊を抑制することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

角部及び複数の平板部分を有する鋼管を軸方向に送る送り装置と、前記送り装置によって送られた鋼管が挿通され、鋼管の挿通された部分を加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルよりも送り方向下流に配置され、前記誘導加熱コイルによって加熱された部分を冷却する冷却装置と、鋼管に加工力を付与する加工力付与装置と、を備える3次元熱間曲げ焼入れ装置であって、前記誘導加熱コイルの内周は、挿通される鋼管の複数の平板部分それぞれに対し平行に対向する複数の直線部と、隣り合う直線部同士を繋ぐ連結部と、を有し、前記連結部は、前記隣り合う直線部を延長させてできる角形状よりもコイル外側に広がった形状である、3次元熱間曲げ焼入れ装置。

請求項2

請求項1に記載の3次元熱間曲げ焼入れ装置を用いて、3次元熱間曲げ焼入れ加工部材を製造する方法であって、前記送り装置が送る素材は、前記誘導加熱コイルの内周の前記複数の直線部を延長させてできる多角形に略相似する断面形状の鋼管である、3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法。

請求項3

前記誘導加熱コイルにより、鋼管の平板部分及び角部を共にAc3変態点以上950℃以下の温度に加熱する、請求項2に記載の3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法。

請求項4

請求項2又は請求項3に記載の3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法による自動車用構造部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、3次元熱間曲げ焼入れ装置、3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法、および自動車用構造部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

複雑な形状の鋼管部材金型を用いずに製造できる3次元熱間曲げ焼入れ(3DQ: 3Dimensional Hot Bending and Quench)技術が知られている。3DQは、例えば、自動車構造材の製造に用いられる。3DQ加工により製造される構造材は軽量かつ高強度という特長がある。

0003

3DQは、次のような方法である。すなわち、素材となる鋼管送りながら、誘導加熱装置Ac3変態点以上まで局部的に鋼管を加熱し、誘導加熱装置よりも鋼管の送り方向下流側冷却装置で鋼管を速やかに冷却(焼入れ)する。このとき、鋼管における誘導加熱装置と冷却装置との間には局部的な高温部が生じる。この高温部に加工力を与えることで鋼管を熱間変形させ、冷却装置による冷却により焼入れと形状の固定を行う。

0004

高温部に加工力を与えるための加工力付与手段としては、特許文献1のように冷却手段の鋼管送り方向下流側に配置された可動ローラーダイス、特許文献2のように鋼管送り方向下流側の鋼管端部に取り付けられたチャックマニピュレーター、特許文献3のように鋼管送り方向上流側の鋼管端部に取り付けられたチャックとマニピュレーターが例示される。

0005

3DQでは曲げ加工のほか、ねじり加工も可能である。特許文献1と特許文献3には3DQでねじり加工が可能であることが開示されている。特許文献4には3DQによるねじり部材が開示されている。

先行技術

0006

国際公開第2006/093006号
国際公開第2010/050460号
国際公開第2011/007810号
国際公開第2010/084898号

発明が解決しようとする課題

0007

本発明者達は、素材として角形鋼管を用い、図1の3DQ装置で曲げ加工とねじり加工を実施した。

0008

実験と観察を繰り返した結果、鋼管を大きく曲げ加工あるいはねじり加工すると、鋼管の角部が赤熱した状態で冷却手段を通過することがあり、この場合に加工後の部材に機械特性の不均一が生じることがあることに発明者達は気がついた。また、冷却手段を通過後、鋼管が赤熱するほど温度が高くない場合でも、焼入れ部が焼き戻されるあるいは焼き入れされない可能性がある。よって、機械特性の不均一を防止するためには、曲げ加工あるいはねじり加工において鋼管の角部の温度変化注意して管理する必要があると発明者達は考えた。

0009

もちろん、鋼管の送り速度を低下させ、冷却手段で充分冷却した後、冷却手段から鋼管が出てくるようにすれば、加工後の部材に機械特性の不均一が生じることはない。しかし、それでは鋼管の送り速度が低下した分、製造能率が低下してしまう。

0010

またもちろん、冷却手段による鋼管に対する冷却範囲を長くすれば、充分に冷却することができる。しかし、それでは鋼管に生じる軟化した高温部が冷却手段の内部に向かって長くなり、加工力付与手段による形状コントロールが困難になる。

0011

製造能率を低下させずかつ形状コントロール性を保ったままで加工した鋼管の機械特性の不均一を解消するために、鋼管の角部が赤熱した状態で冷却手段を通過する根源的な原因を発明者達は考えた。

0012

第1の原因は、鋼管の加熱の不均一である。3DQにおいて加熱手段を誘導加熱とした場合、角形鋼管を加熱すると角部が特に加熱される。これはエッジ効果と呼ばれる現象であって、鋼管と誘導加熱装置の誘導加熱コイルとの隙間(クリアランス)が均一であっても、角部、端部、った部分(角部等)は特に加熱されるというものである。特に角部等の先端の曲率半径が小さい場合にエッジ効果が顕著になる。

0013

第2の原因は、曲げ加工あるいはねじり加工時の鋼管角部の冷却不良である。

0014

図2は、一般的な冷却装置(冷却手段)の断面図である。図3は、冷却装置を鋼管送り方向下流から上流に向かって見た図である。冷却水同士が衝突して鋼管への冷却水の衝突圧が損なわれることを避けるため、噴き出される冷却水が図3における方向から見て加工対象である鋼管の面に可能な限り直交しかつ冷却水同士が衝突しないように、冷却装置の冷却水噴出口が設けられる。

0015

図4に、冷却装置を通過する鋼管断面を示す。細線長方形は、ねじり加工も曲げ加工もしない場合の鋼管断面の位置である。点線長方形は、ねじり加工をした場合の鋼管断面の位置である。太線長方形はねじり加工と曲げ加工をした場合の鋼管断面の位置である。鋼管の冷却むらの発生する鋼管角部の位置の変化は、ねじり加工による位置の変化と曲げ加工による位置の変化の合計である。図3のU部に相当する角部では角部の位置がずれた結果、角部に冷却水が衝突する前に冷却水同士が干渉し、角部に冷却水が所定の圧力で衝突しないため、冷却能力が低い。図3のL部に相当する角部では、側面からの冷却水が角部に当たらず、下からの冷却水は鋼管角部の側面側に当たるものの鋼管の側面とのなす角が小さく、冷却水が鋼管表面水蒸気膜突破して鋼管を直接冷却できないため冷却能力が低い。

0016

以上のように、鋼管の角部は、ねじり加工や曲げ加工をしたときに冷却水が適切に当たらないことがあり、冷却不足となる懸念がある。

0017

つまり、第1の原因により鋼管の角部が過剰に加熱されていて、第2の原因により曲げ加工あるいはねじり加工したときに鋼管の角部の過加熱が顕在化する。発明者達は、当初第1の原因に気が付いていなかったが、第2の原因の調査のため、鋼管の平板部分と角部に熱電対を取り付け温度変化を調査するなかで、第1の原因の存在とその影響が無視できないほど大きくなる場合があることに気がついた。第1の原因は、3DQにおいて曲げ加工やねじり加工をしなくても発生しているため、鋼管の角部が過加熱されないよう対策をとり、鋼管角部に過加熱が無い状態で鋼管の適切な送り速度を見直せば、3DQ加工全体の製造能率の底上げになる。

0018

また、3DQ加工した鋼管を疲労試験にかけると疲労破壊することがある。この場合、疲労破壊の起点にCu(銅)が検出されることが多い。この現象について発明者達は次のように考えている。

0019

すなわち、素材となる鋼管の表面にCuが付着することがある。表面にCuが付着した鋼管を1000℃程に誘導加熱すると、Cuが溶融し鋼管表面から鋼管の結晶粒界溶け込む。Cuが結晶粒界に溶け込むと結晶粒界が弱くなる。Cuが溶け込んで結晶粒界が弱くなった鋼管に曲げ加工力が与えられると結晶粒界に沿って微細な亀裂が生じる。微細な亀裂を抱えたままの鋼管に繰り返し負荷が与えられると微細な亀裂が起点になり、疲労破壊が生じる。Cuの融点は1085℃であるが、これより低い加熱温度でこの現象が生じるのは、Cuの供給源が鋼管の搬送ラインで使用されるCuより融点の低い黄銅であるためであると発明者達は推測している。

0020

振動が伝わる箇所に適用される部材、例えば自動車用構造部材(特に足回り部品)などの耐疲労性が必要な部材に3DQ加工部材を適用するためには、この疲労問題を解決する必要がある。

0021

そこで、対策としては、誘導加熱による加熱をCuが溶融しない温度範囲に抑えることが考えられる。しかしながら、上述のように、角形鋼管を誘導加熱する場合は角部が過加熱され、それ以外の部分(平板部分)との温度差ができてしまうため、例えば平板部分の加熱温度をCuが溶融しない温度範囲に抑えるように制御しても、角部においてはCuが溶融する温度まで加熱されてしまう。その結果、角形鋼管の角部において疲労破壊が起こりやすい鋼管が製造される懸念がある。

0022

以上の事情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、第1の原因の解消することで、製造能率および形状コントロール性を低下させずに、3DQ加工部材の機械特性の不均一を抑制し、また、3DQ加工部材の疲労破壊を抑制することである。

課題を解決するための手段

0023

本発明に係る3DQ装置は、角部及び複数の平板部分を有する鋼管を軸方向に送る送り装置と、前記送り装置によって送られた鋼管が挿通され、鋼管の挿通された部分を加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルよりも送り方向下流に配置され、前記誘導加熱コイルによって加熱された部分を冷却する冷却装置と、鋼管に加工力を付与する加工力付与装置と、を備える3次元熱間曲げ焼入れ装置であって、前記誘導加熱コイルの内周は、挿通される鋼管の複数の平板部分それぞれに対し平行に対向する複数の直線部と、隣り合う直線部同士を繋ぐ連結部と、を有し、前記連結部は、前記隣り合う直線部を延長させてできる角形状よりもコイル外側に広がった形状である。

0024

この3DQ装置では、誘導加熱コイルの内周の連結部が、隣り合う直線部を延長させてできる角形状よりもコイル外側に広がった形状とされている。このため、誘導加熱コイルに挿通される鋼管と、誘導加熱コイルとのクリアランスが、鋼管の角部において大きくなる。その結果、誘導加熱コイルによる鋼管の角部の過加熱を抑制することができる。

0025

また、本発明に係る3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法は、上記の3次元熱間曲げ焼入れ装置を用いて、3次元熱間曲げ焼入れ加工部材を製造する方法であって、前記送り装置が送る素材は、前記誘導加熱コイルの内周の前記複数の直線部を延長させてできる多角形に略相似する断面形状の鋼管である。

0026

また、本発明の他の態様に係る3次元熱間曲げ焼入れ加工部材の製造方法は、前記誘導加熱コイルにより、鋼管の平板部分及び角部を共にAc3変態点以上950℃以下の温度に加熱する。

発明の効果

0027

本発明に係る3DQ装置は、製造能率および形状コントロール性を低下させずに、3DQ加工部材の機械特性の不均一を抑制し、また、3DQ加工部材の疲労破壊を抑制することができるという優れた効果を有する。

図面の簡単な説明

0028

3DQ装置の全体構成を示す斜視図である。
角形鋼管を冷却するための一般的な冷却装置の断面図である。
図2の冷却装置を鋼管送り方向下流から上流に向かって見た図である。
曲げ加工やねじり加工した際に冷却装置を通過する鋼管断面の位置を説明するための図である。
素材となる角形鋼管の横断面図である。
本実施形態の誘導加熱コイルを鋼管送り方向下流から上流に向かってみた様子を、挿通される鋼管の断面と共に示す図である。
従来の誘導加熱コイルを鋼管送り方向下流から上流に向かってみた様子を、挿通される鋼管の断面と共に示す図である。
従来の誘導加熱コイルを用いて鋼管を加熱した際の、角部外側曲率半径と、角部と平板部分との温度差と、の関係を示すグラフである。
図6におけるクリアランスの差C2(コイル間隙差C2)と、角部と平板部分との温度差と、の関係を示すグラフである。
(A)は変形例1に係る誘導加熱コイルの内周の一部を示し、(B)は変形例2に係る誘導加熱コイルの内周の一部を示す図である。

実施例

0029

以下、図面を用いて、本発明に係る3次元熱間曲げ焼入れ装置(以下、3DQ装置と略記する。)の実施形態について説明する。

0030

<3DQ装置>
図1には、3DQ装置10の全体構成が示されている。この図に示されるように、本実施形態の3DQ装置10は、送り装置12と、誘導加熱コイル30と、冷却装置14と、加工力付与装置15としての可動ローラーダイス16及び支持ローラー18と、を備えている。

0031

(送り装置)
送り装置12は、鋼管60の後端(送り方向の上流側の端部)を把持するチャック13を備えており、このチャック13が押し出されることで鋼管60が軸方向に送られる。チャック13は、鋼管60の断面形状に応じた構造とされており、本実施形態のチャック13は、後に説明する断面矩形の角形鋼管(鋼管60)の端部を把持可能な構造とされている。

0032

(誘導加熱コイル)
送り装置12によって送られる鋼管60が挿通するように、誘導加熱コイル30が設けられている。鋼管60が誘導加熱コイル30に挿通されると、鋼管60における誘導加熱コイル30に挿通された部分が誘導加熱コイル30によって急速に加熱される。本実施形態の誘導加熱コイル30の詳細な構造については、後に詳述する。

0033

(冷却装置)
誘導加熱コイル30の送り方向下流には、誘導加熱コイル30と近接して、冷却装置14が設けられている。冷却装置14は、誘導加熱コイル30で急速加熱された鋼管60を急速に冷却する。これにより、鋼管60を焼入れして強度を向上させる。冷却装置14の具体的な構造としては、例えば、すでに説明した図2および図3に示される冷却装置を用いることができる。

0034

(加工力付与装置)
加工力付与装置15は、可動ローラーダイス16と支持ローラー18とで構成されている。支持ローラー18は、誘導加熱コイル30の送り方向上流に誘導加熱コイル30に近接して設けられており、鋼管60を軸方向の移動可能に支持する。他方、可動ローラーダイス16は、冷却装置14の送り方向下流に設けられており、鋼管60を保持しつつ、自らが移動可能に構成されている。可動ローラーダイス16が移動して鋼管60に加工力を与え、支持ローラー18が鋼管60から加工反力を受けることで、鋼管60に生じている軟化した高温部が変形する。

0035

(素材となる鋼管)
図5には、素材となる鋼管60の横断面形状が示されている。この図に示されるように、鋼管60は、断面形状が矩形の角形鋼管であり、4つの平板部分62と、平板部分62同士を接続する4つの角部64と、から成っている。隣り合った平板部分62の成す角度は90度とされている。鋼管60は、例えば、電縫鋼管電気抵抗溶接鋼管)が用いられる。

0036

(誘導加熱コイル)
次に、本実施形態の誘導加熱コイル30について説明する。

0037

図6には、本実施形態の誘導加熱コイル30を、鋼管送り方向下流から上流に向かってみた様子が鋼管60の断面と共に示されている。この図に示されるように、誘導加熱コイル30は、素材となる鋼管60の断面に略相似する形状である矩形状のコイル本体32と、コイル本体32の巻き始め部分および巻き終わり部分に設けられた一対の端子34と、を含んで構成されている。一対の端子34の間には、図示しない絶縁体が設けられている。なお、図6に図示されているコイル本体32は1回巻のコイルであるが、複数回巻のコイルであってもよい。

0038

(要部:内周の形状:エッジ効果を抑制する形状)
誘導加熱コイル30は、その内周50の形状に特徴を有している。すなわち、鋼管60の外側面60Aと誘導加熱コイル30の内周50とのクリアランスCが鋼管60の角部64において広くなるように、誘導加熱コイル30の内周50の形状が決められている。なお、ここでいう内周50とは、鋼管送り方向(図6に示される方向)から誘導加熱コイル30を見たときに誘導加熱コイル30の最もコイル内側の縁部を指している。

0039

具体的には、誘導加熱コイル30の内周50は、4つの直線部52と、隣り合う直線部52同士を繋ぐ4つの連結部54と、から成っている。このうち直線部52は、挿通される鋼管60の平板部分62と平行に対向する部分である。したがって、4つの直線部52を延長させた形状を想定すると、その形状は、挿通される鋼管60の断面形状と略相似する形状となる。また、直線部52の長さは、それぞれ対向する鋼管60の平板部分62の長さ(図6に示す断面で見たときの長さ)と略一致する長さ、または平板部分62の長さよりも少し短い長さ(約80%〜100%の長さ)とされている。

0040

一方、隣り合う直線部52を繋ぐ連結部54は、直線部52の端部からコイル外側へ直角に延びる2つの直角部56と、直角部56のコイル外側端から直線部52の延長線と平行に延びる2つの平行部58と、から成っている。

0041

このように形成されていることで、連結部54は、隣り合う直線部52を延長させてできる角形状Sよりもコイル外側に広がった形状になっている(図6の右下に示された連結部54と一点破線Sを参照)。

0042

<作用・効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。

0043

まず、エッジ効果と角部外側曲率半径R(以下、角Rと略記する。)との関係を調べるため、図5に示す素材鋼管60を図7に示す従来の誘導加熱コイル300を用いて加熱し、角部64と平板部分62との温度差を測定した。

0044

図7に、従来の誘導加熱コイル300と鋼管60とのクリアランスを示す。鋼管断面の辺と対向する誘導加熱コイル300とのクリアランスを所定の値(例えば3mm)とし、角部64については角形鋼管の断面の辺と対向する誘導加熱コイルの内周の辺を延長している。鋼管の幅Wは50mm、高さHは40mm、肉厚tは1.4mmで、誘導加熱コイル300と鋼管60とのクリアランスは3mmである。加熱温度は平板部分62の温度が1100℃となるように設定した。

0045

図8に、角Rと、角部64と平板部分62との温度差と、の関係を示す。この図に示されるように、鋼管60の角Rが小さいほど角部64の温度が高くなり、エッジ効果が大きくなった。角Rが5mmのとき温度差が約150℃であり、加熱目標温度(1100℃)に対して15%程度の過加熱となった。

0046

次に、エッジ効果が無視できないほど大きい条件(角Rが小さい)の場合、どの程度角部のコイルを逃がせば良いのかを検証するため、角Rが5mmの素材(鋼管)を用いて、図6に示す本発明による誘導加熱コイル30を用いて加熱を行った。

0047

具体的には、鋼管60の平板部分62に対向する部分(直線部52)に対する、角部64の位置に対向する部分(連結部54)のクリアランスの差C2(コイル間隙差C2)を変化させて、角部64と平板部分62との温度差を測定した。結果を図9に示す。

0048

この図に示されるように、C2=1mmのときは温度差が約110℃であり、C2=2mmのときは温度差が約80℃であり、C3=3mmのときは約60℃であった。このように、角部64に対向する部分のクリアランスを大きくしていくことによって、角部64と平板部分62との温度差は減少した。

0049

以上の実験結果からも判るように、本実施形態の3DQ装置10によれば、誘導加熱コイル30の内周50の連結部54の形状を適切に設定することで、鋼管60の平板部分62と角部64との温度差を減少させることができる。さらに言うと、Ac3変態点は鋼材組成にもよるがおおよそ800〜900℃であるため、誘導加熱コイル30による鋼管60の加熱温度を、平板部分62及び角部64について共にAc3変態点以上950℃以下の温度に設定することも可能である。このような加熱温度によれば、鋼管60表面に付着したCuが融解することが抑制されるので、疲労破壊が起こり難い3DQ加工部材を製造することができる。

0050

制御装置
なお、3DQ装置10は図示しない制御装置を備えており、制御装置は、送り装置12による鋼管送り速度、誘導加熱コイル30に流れる高周波電流、および加工力付与装置15により鋼管60に付与される加工力などを制御する。誘導加熱コイル30の内周50の形状を適切に設定し、かつ、制御装置により高周波電流や送り速度などを制御することにより、鋼管の加熱温度を設定することができる。

0051

〔誘導加熱コイルの変形例〕
なお、上記実施形態の誘導加熱コイル30は、複数の直線部52を延長させてできる形状が矩形状であり、また、連結部54が直角部56と平行部58とから成るものであったが、本発明の「誘導加熱コイル」はこれに限定されない。例えば、以下で説明する変形例に係る誘導加熱コイル130、230であってもよい。

0052

図10(A)には、変形例1に係る誘導加熱コイル130の内周50の一部が示されている。変形例1では、隣り合う直線部52の成す角度は90度でなく、約120度とされている。なお、挿通される鋼管60においても、隣り合う平板部分62の成す角度が120度とされており、直線部52と平板部分62とが平行に対向される。また、変形例1における連結部54は、上記実施形態のような角張った形状ではなく、丸みを帯びた形状とされている。

0053

図10(B)には、変形例2に係る誘導加熱コイル230の内周50の一部が示されている。変形例2においては、連結部54の一部(図の点P)で、隣り合った直線部52を延長してできる角形状Sと重なっているものの、連結部54全体としては、隣り合う直線部52を延長してできる角形状Sよりもコイル外側に広がった形状とされている。連結部54がこのようなの形状とされたものも、同様の効果を奏し、本発明に含まれる。

0054

〔上記実施形態の補足説明
上記実施形態の送り装置12は、チャック13により鋼管60の後端を押し出し、位置が固定された誘導加熱コイル30に鋼管60を挿通させるものであったが、本発明の「送り装置」はこれに限定されない。送り装置は、誘導加熱コイル30に対して鋼管60を軸方向に移動(相対移動)させる装置であればよく、例えば、鋼管60の後端を把持するチャック13が移動せずに誘導加熱コイル30が移動することにより、誘導加熱コイル30に対して鋼管60を軸方向に送るものであってもよい。

0055

また、鋼管に加工力を与えるための加工力付与装置は、特に限定されない。加工力付与装置は、鋼管送り方向下流側の鋼管端部に取り付けられたチャックとマニピュレーターであってもよいし、鋼管送り方向上流側の鋼管後端に取り付けられたチャックとマニピュレーターであってもよい。

0056

また、本発明の送り装置及び加工力付与装置は、各々が協調して制御される3台のマニピュレーターで構成されているものであってもよい。具体的には、鋼管の後端を把持するマニピュレーターが1台、誘導加熱コイルと冷却装置を保持するマニピュレーターが1台、鋼管の先端を把持するマニピュレーターが1台で、送り装置及び加工力付与装置が構成されていてもよい。

0057

また、本発明の3DQ装置を用いれば、様々な自動車用構造部材を製造することができる。例えば、車両前端部および後端部に車幅方向に沿って設けられるバンパー補強部材や、フロントピラードア内に配置されるドアビームシート補強材が挙げられる。特に、本発明に係る3DQ装置によれば、疲労破壊の発生が低減された3DQ加工部材を製造することができるので、サスペンションロアアームなど足回り部品となる車両構造部材の製造に好適に用いることができる。

0058

10 3DQ装置(3次元熱間曲げ焼入れ装置)
12送り装置
14冷却装置
15加工力付与装置
30誘導加熱コイル
50内周
52 直線部
54 連結部
60鋼管
62平板部分
64 角部
S 隣り合う直線部を延長させてできる角形状
230 誘導加熱コイル
300 誘導加熱コイル

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