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技術 橋梁の機能分離型制振構造

出願人 株式会社横河NSエンジニアリング
発明者 前島稔田中好弓
出願日 2016年1月8日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-002621
公開日 2017年7月13日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-122365
状態 特許登録済
技術分野 橋または陸橋
主要キーワード スライド用長孔 緊張ボルト 水平支 組立ボルト 保持パイプ 水平方向移動量 犠牲部材 温度伸縮
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

橋梁機能分離型制振構造において、レベル2以上の大きな地震動に対しても上部構造橋軸方向の移動に追従でき、また効率的な上揚力抑制機構を備えた橋梁の機能分離型制振構造を提供する。

解決手段

橋梁1の下部構造5に、上部構造4の主桁6からの鉛直荷重を支持する支承12に加え、主桁6間に位置する固定柱7を設け、水平荷重に対し固定柱7とその両側の主桁6間に部材軸方向振動を抑制する棒状制振部材8を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離する。固定柱7と両側の棒状制振部材8はそれぞれ連結板14を介して橋軸方向の相対移動許容するように連結する。さらに、固定柱7の両側の連結板14どうしを固定版41を介して一体化することで、上部構造4の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱7の両側の棒状制振部材8どうしの直線状の位置関係が保持されるようにする。

概要

背景

従来から、橋台橋脚に対する橋梁支持構造には鋼製支承が多く使われてきたが、阪神大震災後、橋梁の支持構造に対する耐震構造の見直しが全国規模で行われ、一つとして、ゴム支承鉛プラグ入りゴム支承等の弾性体主体とする免震支承を使用した、いわゆる免震構造系の橋梁が採用されてきている。

特に、ゴム支承は平成8年の道路橋示方書改訂以降に本格採用されてきたが、一つの支承の中に鉛直荷重支持、水平荷重支持、水平方向移動量の確保、桁のたわみによる回転量の確保等、全ての機能を持たせるために支承寸法が大型化し、桁構造も含め不経済となる場合が多発してきている。

そのような背景から、ゴム支承の小型化とコストダウンを実現するために機能分離型支承が開発され、平成16年の道路橋支承便覧の改訂で記述されて以降、採用数が増加している。機能分離型支承とは、鉛直力を支持する機能と地震時の水平力を支持する機能を分離した支承システムの総称である。

機能分離型支承に関しては、例えば、特許文献1に、上部構造物が水平方向に移動自在なように、その鉛直荷重を支持する滑り支承と、上部構造物の鉛直荷重を支持することなく、水平方向全方向にせん断変形して、上部構造の水平荷重を支持する水平荷重支持機構とを備え、水平荷重支持機構は下部構造物の上面に固定され、上部に上部構造物との間に隙間を形成する方形フランジプレートを有する弾性体と、上部構造物の下面に固定され、フランジプレートの橋軸方向及び橋軸直角方向に沿う周面に係合可能で、かつ該フランジプレートの下面に隙間を介して係合可能で上揚力も支持する係合部材とを備えてなる機能分離型橋梁支承装置が開示されている。

また、非特許文献1には機能分離型支承の特徴、メリット、種類、採用にあたっての留意事項等を記載したものが開示されている。

非特許文献1に示されるように、機能分離型支承には(a)鉛直支承として鋼製支承を用いた場合、鉛直剛性が高く活荷重による沈み込みがないので、振動の発生を抑制できる、(b)水平支承は鉛直荷重を支持しないため、前記ゴム支承のように鉛直荷重により形状が決定されることがなく、小型化による設計の自由度が高くなり、水平剛性を自由に設定することができ、橋の固有周期を任意に調整することが可能となる、といったメリットがあるものの、鉛直支承の高さが低くなるため桁下空間が狭隘となるとともに、鉛直支承、水平支承のそれぞれ複数の支承が設置されるために作業空間が狭くなるなどの問題が表面化してきている。

特に、縦置き型コンクリート反力壁タイプについては、(1)水平支承にストッパーがないので、コンクリート反力壁の完成まで移動を拘束することができない、(2)コンクリート反力壁への水平支承の定着方法としてアンカーボルト形式が多く採用されているが、桁の温度伸縮により水平支承が移動するためコンクリート反力壁にひび割れが発生する場合がある、(3)コンクリート反力壁を構築するのに手間やコストがかかる、といった問題点が明らかになってきている。

一方、平成23年3月に発生した東日本大震災では多くの橋梁が損傷し、支承サイドブロックの損傷、変位制限構造用の鋼製ブラケットの損傷等の被害報告がなされている。特に、耐震対策済の橋梁についても損傷していたことが問題視されており、今後予想されるトラフ地震等の巨大地震に備え再度の見直しが迫られている。

また、上述のような従来の機能分離型支承の問題に関しては、これに加え、橋梁では上部構造の水平力相当の反力(水平荷重)が下部構造に伝わるため、今後予想される南海トラフ地震等のレベル2以上の巨大地震に対応するには上記反力壁や下部構造をより大型化したり、あるいは補強をすることで、それ相応耐力を保有させる必要がある。しかしながら、これらの方策は、これまで以上に施工に多大な手間やコストが発生するといった問題が生じる。

これに対し、本願の出願人は、特許文献2に示されるように、橋梁の下部構造上に、上部構造の主桁からの鉛直荷重を支持する支承に加え、主桁間に位置する固定柱を設け、水平荷重に対し固定柱とその両側の主桁間に部材軸方向の振動を抑制する棒状制振部材を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離した機能分離型制振構造であって、主桁には棒状制振部材を支持固定する接合部が設けられ、固定柱を中心に線対称に一対の棒状制振部材からなる水平荷重支持部材が橋軸直角方向に水平に配置され、棒状制振部材の一端は固定柱に取付けられ他端は主桁に設けた接合部に固定され、水平荷重支持部材により上部構造からの水平荷重を低減して下部構造に伝達するようにした橋梁の機能分離型制振構造を開発している。

特許文献2に開示した構造においては、水平荷重を低減させることが可能になるため、これに伴い下部工反力も低減されることから下部構造を大型化する必要がない、あるいは鋼板巻き立て等による下部工補強が不要になるといったメリットが得られ、大規模地震動に対する補強工事を効率良く行うことができる。

概要

橋梁の機能分離型制振構造において、レベル2以上の大きな地震動に対しても上部構造の橋軸方向の移動に追従でき、また効率的な上揚力抑制機構を備えた橋梁の機能分離型制振構造を提供する。橋梁1の下部構造5に、上部構造4の主桁6からの鉛直荷重を支持する支承12に加え、主桁6間に位置する固定柱7を設け、水平荷重に対し固定柱7とその両側の主桁6間に部材軸方向の振動を抑制する棒状制振部材8を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離する。固定柱7と両側の棒状制振部材8はそれぞれ連結板14を介して橋軸方向の相対移動許容するように連結する。さらに、固定柱7の両側の連結板14どうしを固定版41を介して一体化することで、上部構造4の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱7の両側の棒状制振部材8どうしの直線状の位置関係が保持されるようにする。

目的

本発明は、水平荷重に対し固定柱とその両側の主桁間に棒状制振部材を介在させた機能分離型制振構造において、レベル2以上の大きな地震動に対しても、固定柱と棒状制振部材が上部構造の橋軸方向の移動に追従でき、さらに固定柱を利用した効率的な上揚力抑制機構を備えた橋梁の機能分離型制振構造を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

橋梁下部構造に、上部構造主桁からの鉛直荷重を支持する支承に加え、主桁間に位置する固定柱を設け、水平荷重に対し前記固定柱とその両側の主桁間に部材軸方向振動を抑制する棒状制振部材を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離した橋梁の機能分離型制振構造において、前記固定柱とその両側の前記棒状制振部材はそれぞれ連結板を介して橋軸方向相対移動許容する状態で連結されており、前記固定柱の両側に位置する前記連結板どうしを固定部材を介して一体化することで、橋梁の下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、前記固定柱の両側の棒状制振部材どうしの直線状の位置関係が保持されるようにしたことを特徴とする橋梁の機能分離型制振構造。

請求項2

請求項1記載の橋梁の機能分離型制振構造において、前記固定柱と両側の連結板は、前記固定柱または前記連結板に形成された橋軸方向に延びる長孔を貫通して両側の前記連結板どうしを緊結する棒状の緊張材で連結されており、橋梁の下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、前記緊張材が前記長孔に沿って摺動可能となっていることを特徴とする橋梁の機能分離型制振構造。

請求項3

請求項1または2記載の橋梁の機能分離型制振構造において、前記固定部材の少なくとも一つは、前記固定柱の上端部を跨ぎ、両側の前記連結板どうしを連結固定する版状部材であることを特徴とする橋梁の機能分離型制振構造。

請求項4

請求項1、2または3記載の橋梁の機能分離型制振構造において、前記固定部材の少なくとも一つは、前記固定柱を跨いで両側の前記連結板どうしの間隔を保持する幅保持パイプと前記幅保持パイプを貫通して両側の前記連結板どうし緊結する棒状の緊張材とからなるものであることを特徴とする橋梁の機能分離型制振構造。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載の橋梁の機能分離型制振構造において、前記主桁間には主桁間をつなぐ横桁が設けられており、前記固定柱と前記横桁との間に上下方向の相対移動を拘束する上揚力抵抗機構が設けられていることを特徴とする橋梁の機能分離型制振構造。

技術分野

0001

本発明は、棒状制振部材を用いて橋桁などの上部構造からの水平荷重を低減させ、確実に橋台橋脚などの下部構造に伝達する橋梁機能分離型制振構造に関するものである。

背景技術

0002

従来から、橋台や橋脚に対する橋梁の支持構造には鋼製支承が多く使われてきたが、阪神大震災後、橋梁の支持構造に対する耐震構造の見直しが全国規模で行われ、一つとして、ゴム支承鉛プラグ入りゴム支承等の弾性体主体とする免震支承を使用した、いわゆる免震構造系の橋梁が採用されてきている。

0003

特に、ゴム支承は平成8年の道路橋示方書改訂以降に本格採用されてきたが、一つの支承の中に鉛直荷重支持、水平荷重支持、水平方向移動量の確保、桁のたわみによる回転量の確保等、全ての機能を持たせるために支承寸法が大型化し、桁構造も含め不経済となる場合が多発してきている。

0004

そのような背景から、ゴム支承の小型化とコストダウンを実現するために機能分離型支承が開発され、平成16年の道路橋支承便覧の改訂で記述されて以降、採用数が増加している。機能分離型支承とは、鉛直力を支持する機能と地震時の水平力を支持する機能を分離した支承システムの総称である。

0005

機能分離型支承に関しては、例えば、特許文献1に、上部構造物が水平方向に移動自在なように、その鉛直荷重を支持する滑り支承と、上部構造物の鉛直荷重を支持することなく、水平方向全方向にせん断変形して、上部構造の水平荷重を支持する水平荷重支持機構とを備え、水平荷重支持機構は下部構造物の上面に固定され、上部に上部構造物との間に隙間を形成する方形フランジプレートを有する弾性体と、上部構造物の下面に固定され、フランジプレートの橋軸方向及び橋軸直角方向に沿う周面に係合可能で、かつ該フランジプレートの下面に隙間を介して係合可能で上揚力も支持する係合部材とを備えてなる機能分離型橋梁支承装置が開示されている。

0006

また、非特許文献1には機能分離型支承の特徴、メリット、種類、採用にあたっての留意事項等を記載したものが開示されている。

0007

非特許文献1に示されるように、機能分離型支承には(a)鉛直支承として鋼製支承を用いた場合、鉛直剛性が高く活荷重による沈み込みがないので、振動の発生を抑制できる、(b)水平支承は鉛直荷重を支持しないため、前記ゴム支承のように鉛直荷重により形状が決定されることがなく、小型化による設計の自由度が高くなり、水平剛性を自由に設定することができ、橋の固有周期を任意に調整することが可能となる、といったメリットがあるものの、鉛直支承の高さが低くなるため桁下空間が狭隘となるとともに、鉛直支承、水平支承のそれぞれ複数の支承が設置されるために作業空間が狭くなるなどの問題が表面化してきている。

0008

特に、縦置き型コンクリート反力壁タイプについては、(1)水平支承にストッパーがないので、コンクリート反力壁の完成まで移動を拘束することができない、(2)コンクリート反力壁への水平支承の定着方法としてアンカーボルト形式が多く採用されているが、桁の温度伸縮により水平支承が移動するためコンクリート反力壁にひび割れが発生する場合がある、(3)コンクリート反力壁を構築するのに手間やコストがかかる、といった問題点が明らかになってきている。

0009

一方、平成23年3月に発生した東日本大震災では多くの橋梁が損傷し、支承サイドブロックの損傷、変位制限構造用の鋼製ブラケットの損傷等の被害報告がなされている。特に、耐震対策済の橋梁についても損傷していたことが問題視されており、今後予想されるトラフ地震等の巨大地震に備え再度の見直しが迫られている。

0010

また、上述のような従来の機能分離型支承の問題に関しては、これに加え、橋梁では上部構造の水平力相当の反力(水平荷重)が下部構造に伝わるため、今後予想される南海トラフ地震等のレベル2以上の巨大地震に対応するには上記反力壁や下部構造をより大型化したり、あるいは補強をすることで、それ相応耐力を保有させる必要がある。しかしながら、これらの方策は、これまで以上に施工に多大な手間やコストが発生するといった問題が生じる。

0011

これに対し、本願の出願人は、特許文献2に示されるように、橋梁の下部構造上に、上部構造の主桁からの鉛直荷重を支持する支承に加え、主桁間に位置する固定柱を設け、水平荷重に対し固定柱とその両側の主桁間に部材軸方向の振動を抑制する棒状制振部材を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離した機能分離型制振構造であって、主桁には棒状制振部材を支持固定する接合部が設けられ、固定柱を中心に線対称に一対の棒状制振部材からなる水平荷重支持部材が橋軸直角方向に水平に配置され、棒状制振部材の一端は固定柱に取付けられ他端は主桁に設けた接合部に固定され、水平荷重支持部材により上部構造からの水平荷重を低減して下部構造に伝達するようにした橋梁の機能分離型制振構造を開発している。

0012

特許文献2に開示した構造においては、水平荷重を低減させることが可能になるため、これに伴い下部工反力も低減されることから下部構造を大型化する必要がない、あるいは鋼板巻き立て等による下部工補強が不要になるといったメリットが得られ、大規模地震動に対する補強工事を効率良く行うことができる。

0013

特許第3634288号公報
特開2015−031046号公報

先行技術

0014

「機能分離型支承の選定鋼床版端部構造の提案」、日本橋建設協会設計小委員会構造技術部会、平成23年度技術発表会、P1−1〜P1−14

発明が解決しようとする課題

0015

橋梁では、地震動交通振動あるいは、熱伸びなどにより、上部構造と下部構造との間で橋軸方向に相対移動が生ずる場合がある。

0016

これに対し、上述した特許文献2には、固定柱と棒状制振部材との接合部が下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に追従できるように、棒状制振部材の端部を緊結する連結ボルトが固定柱側に取り付けるための連結板に設けたスライド用長孔に沿って橋軸方向に摺動する機構が示されている。

0017

しかしながら、その摺動機構を設けることで、棒状制振部材どうし一体化が損なわれ、連結ボルトのみで緊結した状態だけでは、その摺動方向に連結板が摺動する際、連結板どうしが当初の幅を保持できず、固定柱を挟む両側の棒状制振部材が直線状の位置関係がくずれ(図10参照)、水平荷重支持機構としての本来的な機能が一部損なわれる恐れがある。

0018

また、上揚力および水平方向への移動制限に対しては、主桁支承部に設けられるサイドブロック等で対処できるように設計されているが、レベル2地震時に水平荷重に対して棒状制振部材が機能するためには水平荷重方向への移動が可能となっている必要があり、水平方向の移動に関する設計条件としては、常時およびレベル1地震時には水平方向に対しては、変位拘束機能としての固定状態、そしてレベル2地震時には、棒状制振部材が制振機能を発揮できるように、水平移動が可能な状態となる必要がある。

0019

すなわち、上陽力および水平方向の移動制限に対して、サイドブロック等は常時およびレベル1地震時にはその機能を発揮するが、レベル2地震時にはその機能を発揮しない設計とする必要があり、同時に上揚力に対する抑制機能も失われている状態となるため、別途、その機能の補完の必要性が生じ、これは、支承の大型化に繋がり機能分離型支承とする意義を損ねる。

0020

一方で、下部構造と上部構造との間に、別途、レベル2以上の地震動に対し上揚力を抑制する機構を組み込むことも考えられるが、その場合、上揚力抑制機構が大型化したり、機能分離型支承との取り合い、水平方向の相対移動に対する追従の問題などがある。

0021

本発明は、水平荷重に対し固定柱とその両側の主桁間に棒状制振部材を介在させた機能分離型制振構造において、レベル2以上の大きな地震動に対しても、固定柱と棒状制振部材が上部構造の橋軸方向の移動に追従でき、さらに固定柱を利用した効率的な上揚力抑制機構を備えた橋梁の機能分離型制振構造を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0022

本発明は、橋梁の下部構造に、上部構造の主桁からの鉛直荷重を支持する支承に加え、主桁間に位置する固定柱を設け、水平荷重に対し前記固定柱とその両側の主桁間に部材軸方向の振動を抑制する棒状制振部材を介在させることで、鉛直荷重支持機構と水平荷重支持機構とを分離した橋梁の機能分離型制振構造において、前記固定柱とその両側の前記棒状制振部材はそれぞれ連結板を介して橋軸方向の相対移動を許容する状態で連結されており、前記固定柱の両側に位置する前記連結板どうしを固定部材を介して一体化することで、橋梁の下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、前記固定柱の両側の棒状制振部材どうしの直線状の位置関係が保持されるようにしたことを特徴とするものである。

0023

鉛直荷重支持機構と分離した水平荷重支持機構を備えた機能分離型制振構造においては、水平荷重を低減させることが可能になるため、これに伴い下部工反力も低減されることから下部構造を大型化する必要がない、あるいは鋼板巻き立て等による下部工補強が不要になるといったメリットが得られ、大規模地震動に対する補強工事を効率良く行うことができる。

0024

本発明の機能分離型制振構造では、上部構造からの水平荷重を低減して下部構造に伝達させるために、一対の棒状制振部材からなる水平荷重支持部材が用いられる。棒状制振部材としては、例えば、座屈拘束ブレース摩擦ダンパーオイルダンパーなどが挙げられる。これらの棒状制振部材を用いることによって、下部構造を大型化したり、補強をしなくても、上部構造からの水平荷重を低減して下部構造に伝達することにより、簡便に橋梁を制振して耐震性をも付与できる。

0025

このうち、座屈拘束ブレースは構造物犠牲部材として開発され、構造物に大規模地震動が作用した際、ブレース芯材のある領域を塑性変形させることで、地震エネルギーを吸収し、構造物の制振制御を可能とすることができる棒状制振デバイスであり、例えば、特開2012−013157号公報、特開2003−193699号公報、特開2001−214541号公報、特開2000−027293号公報等に記載されるものが挙げられる。これを本発明の棒状制振部材として用いることによってレベル2以上の大規模地震が発生した場合にも、この座屈拘束ブレースに部材損傷を集中させることにより地震エネルギーを吸収するといった効果が得られる。

0026

棒状制振部材の部材長は、橋台あるいは橋脚の設置可能空間によって決められ、例えば2主桁橋であれば、各主桁の接合部に必要な長さと固定柱の幅を控除した長さの半分となる。また、本願発明の機能分離型制振構造では、橋軸方向に互いに平行に相対向して並立する主桁間における橋軸直角方向の中間の下部構造上部に、上記棒状制振部材(水平荷重支持部材)を支持するための固定柱が設けられる。

0027

固定柱は鋼材を主体としたものであり、一対の上記棒状制振部材(水平荷重支持部材)が該固定柱を中心に水平かつ線対称に設置できる構造で強固なものであれば特に限定されない。例えば、H形鋼を主体としたH形状のもの、角型鋼管を用いた角管形状のものなどである。固定柱の断面寸法は、上部工からの曲げ耐力によって決められ、例えば、降伏軸力が500kNで設置高さが500mm程度の位置に棒状制振部材を設置した場合、断面高さは500mm程度である。

0028

本発明の機能分離型制振構造では、橋梁の主桁には上記棒状制振部材を支持固定する接合部が設けられ、上記固定柱を中心に線対称に一対の上記棒状制振部材からなる水平荷重支持部材が橋軸直角方向に水平に配置され、上記棒状制振部材の一端は前記固定柱に連結板を介して取り付けられ他端は前記接合部に固定される。

0029

水平荷重支持部材が橋軸直角方向に水平に配置されることにより、同方向に対する耐震設計において上部構造からの水平荷重を直接的に減衰させ下部構造に伝えられるといった効果が得られる。また、固定柱を中心に線対称に一対の上記棒状制振部材を配置することにより、上部構造からの水平荷重の伝達が一方の棒状制振部材による引張と他方の棒状制振部材による圧縮とが同時に行われるので、下部構造への水平荷重の伝達は低減される。

0030

このように、上部構造から下部構造への伝達部に一対の棒状制振部材を線対称に設け、引張荷重圧縮荷重を同時に受けるようにしたことで水平荷重支持部材(水平荷重支持機構)の耐力が高まり、下部構造を大型化したり、著しく補強しなくても効率良く橋梁に耐震性を付与できる。

0031

なお、上記接合部は上記棒状制振部材を支持固定するために橋梁の主桁に設けられる部分であり、例えば、接合部が摩擦接合部の場合は、添接板が取り付けられるように高力ボルト孔が設けられたガセットプレートが設置されているといった構造の鋼製部材からなる部分である。

0032

このような構成において、本発明では上記固定柱とその両側の棒状制振部材はそれぞれ連結板を介して橋軸方向の相対移動を許容する形で連結されており、固定柱の両側に位置する連結板どうしを固定部材を介して一体化することで、橋梁の下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、前記固定柱の両側の棒状制振部材どうしの直線状の位置関係が維持されるようにしている。

0033

固定柱とその両側の棒状制振部材を連結板を介して連結しつつ、橋軸方向の相対移動を許容する構造としては、例えば、上述した特許文献2に記載されるように、固定柱または連結板に形成された橋軸方向に延びる長孔を形成し、この長孔を貫通して両側の連結板どうしを緊結する棒状の緊張材で固定柱と棒状制振部材の端部に設けた連結板を連結し、下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、緊張材が長孔に沿って摺動するようにする構造がある。

0034

しかしながら、特許文献2に記載される構造においては、その摺動方向に連結板が摺動する際、連結板どうしが当初の幅を保持できなくなるため、固定柱位置で十分にスムーズに摺動させることができず、後に詳述する図9に示されるように固定柱を挟む両側の棒状制振部材が直線状の位置関係を保持することができず、水平荷重支持機構としての本来的な機能が一部損なわれる恐れがある。

0035

これに対し、本発明では、固定柱の両側に位置する連結板どうしを固定部材を介して一体化することで、連結板どうしが当初の幅を保持することが可能となり、橋梁の下部構造と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱の両側の棒状制振部材同士の直線状の位置関係が保持されるようにし、水平荷重支持機構としての本来的な機能が損なわれないようにしたものである。

0036

固定柱の両側に位置する連結板どうしを一体化するための固定部材の形態の一つとしては、固定柱の上端部を跨ぎ、両側の連結板どうしを連結固定する版状部材を用いることができる。例えば連結板と版状の固定部材に重ね合せ部分を設けてボルト接合したり、あるいは連結板と版状の固定部材を溶接するなどして剛接合とすることで、固定柱の両側の棒状制振部材どうしの直線状の位置関係を保つようにする。

0037

固定柱の上側のみでは剛性が確保できない場合には、さらに連結板の下側にも固定部材を配置するなどして、固定柱を取り囲む形で複数の固定部材を配置してもよい。

0038

なお、上部構造の橋軸方向の移動にスムーズに追従させるためには、固定柱と両側の連結板との間が密着せずにむしろ若干の隙間が生じることが望ましく、固定部材の他の形態のとして、固定柱を跨いで両側の前記連結板どうしの間隔を保持する幅保持パイプと前記幅保持パイプを貫通して両側の前記連結板どうし緊結する棒状の緊張材とからなるものを用いることができる。

0039

幅保持パイプに鋼パイプなどを用いることで、両側の連結板どうしを幅保持パイプに通した緊張材で締め付けたときに、両側の連結板間に幅保持パイプの長さに相当する間隔が保持されるため、幅保持パイプの長さを固定柱の橋軸直角方向の幅以上とすることで、固定柱と連結板との間での締付け緩和し、上部構造の橋軸方向の移動にスムーズに追従させることができる。

0040

以上述べた各形態の固定部材は条件に応じて単独で用いたり、これらを複数組み合わせて用いることができる。

0041

さらに、本発明の橋梁の機能分離型制振構造において、主桁間には主桁間をつなぐ横桁が設けられている場合に、固定柱と横桁との間に上下方向の相対移動を拘束する上揚力抵抗機構を設けることができる。

0042

この上揚力抵抗機構についても、上部構造の橋軸方向の移動に追従できる構造であることが望ましく、例えば上述した固定部材として固定柱の上端部を跨ぎ、両側の連結板どうしを連結固定する版状部材を用いる場合、この版状部材と横桁を所定の剛性を有する鋼材等を介して接合し、必要に応じて横桁等に補剛部材を取り付けることで、鋼材の剛性に応じた上揚力抵抗機構が簡単に形成でき、例えばレベル2以上の地震動に対して支承部のサイドブロックを効かせない構造とした場合等に、有効な上揚力抵抗機構として機能させることができる。

発明の効果

0043

本発明の橋梁の機能分離型制振構造は、簡便に施工でき、上部構造からの水平荷重を効率良く低減して下部構造に伝達することができるので、下部構造の大型化や補強の負担を軽減でき、レベル2以上の巨大地震に対しても効果的に橋梁に耐震性を付与することができるという効果に加え、固定柱の両側の連結板どうしが固定部材によって一体化されていることで、固定柱の両側の棒状制振部材の直線状の位置関係を保持した状態で、上部構造の橋軸方向の移動に追従させることができ、棒状制振部材の機能を十分に発揮させることができる。

0044

また、さらに固定柱と横桁との間に上下方向の相対移動を拘束する上揚力抵抗機構を設けることで、機能分離型制振構造を構成するための固定柱をレベル2以上の地震動に対する上揚力抵抗機構としても機能させることができる。

図面の簡単な説明

0045

本発明の機能分離型制振構造の一例を概略的に示した斜視図である。
座屈拘束ブレースによる棒状制振部材の一例を示す斜視図である。
橋脚などの下部構造上に固定した固定柱部分の詳細を示す斜視図である。
固定柱を下部構造の上部側面に固定した場合の詳細を示す斜視図である。
固定柱部分に上揚力抵抗機構を設けた場合の詳細を示す斜視図である。
固定柱部分に上揚力抵抗機構を設けた場合の他の例を示す斜視図である。
本発明の機能分離型制振構造に常時またはレベル1地震動が作用した場合の挙動概念的に示した説明図である。
本発明の機能分離型制振構造にレベル2地震動が作用した場合の挙動を概念的に示した説明図である。
従来の機能分離型制振構造に急激な地震動が作用した場合の挙動を概念的に示した説明図である。
図9と対比して本発明の機能分離型制振構造の場合を概念的に示した説明図である。

実施例

0046

以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

0047

図1は本発明の機能分離型制振構造の一例を概略的に示したものである。この例での橋梁1は、橋台・橋脚等の下部構造5の上に、橋軸方向の主桁6,6、橋軸直角方向の横桁3、これらの上に設置される床版2等からなる上部構造4が設けられている。

0048

この橋梁1は機能分離型制振構造となっており、固定柱7、座屈拘束ブレースからなる一対の棒状制振部材8,8(水平荷重支持部材)、接合部9等からなる水平荷重支持機構が橋軸直角方向に備わっている。鉛直荷重支持機構は支承12による。橋梁1としては、鋼橋、RC橋、PC橋梁などが挙げられる。

0049

橋軸方向に互いに平行に相対向して並立する主桁6,6間における橋軸直角方向の中間の下部構造5の上部に棒状制振部材8,8を支持するための固定柱7が設けられ、各主桁6には棒状制振部材8を支持固定する接合部9が設けられ、固定柱7を中心に線対称に一対の棒状制振部材8,8からなる水平荷重支持部材が橋軸直角方向に水平に配置され、各棒状制振部材8の一端は連結板14を介して固定柱7に取付けられ、他端は接合部9に固定されている。

0050

固定柱7は、この例ではH形鋼を主体としたH形状のものであり、下部構造5(橋台・橋脚)の上面に載置されている。また、接合部9は上部構造4との一体化を図るもので鋼板高力ボルトなどからなり、この例では各主桁6の側面に設けられている。

0051

そして、水平荷重支持部材により上部構造4からの水平荷重を低減して下部構造5に伝達する。具体的には、例えば、大規模地震等により橋梁1が揺れ、棒状制振部材8の軸力が設定荷重に達した時、ダンパー機能が発揮されることで上部構造4からの水平荷重をそのまま下部構造5へ伝えることなく、これらの荷重を低減させることが可能となる。

0052

このような構造において、後に詳述する図5に示されるように、固定柱7の両側に位置する連結板14どうしを固定部材としての固定版41を介して一体化することで、固定柱7と連結板14との間での締付けを緩和し、橋梁の下部構造5と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱7の両側の棒状制振部材8,8どうしの直線状の位置関係が保持されるようにし、さらに、固定版41を利用して固定柱7と横桁3との間に上下方向の相対移動を拘束する上揚力抵抗機構61を設け、例えばレベル2以上の地震動に対して支承12位置で上揚力に抵抗しているサイドブロック13が効かない状況において、上揚力抵抗機能を発揮させるようにしている。

0053

図2は座屈拘束ブレースによる棒状制振部材8の一例を示したものである。図に示した座屈拘束ブレースは、断面十字フィン状を有する低降伏点鋼材からなる荷重受部と、一般鋼材によって荷重受部よりも各フィン幅寸法及び厚みを大きく形成して荷重受部の一端に溶接固定した端部部材と、荷重受部の他端に溶接固定した端部部材とからなる芯材21を有している。

0054

芯材21の各四隅部には、芯材21の端部部材の各フィンの幅と同等の幅を有する山形鋼からなる座屈防止材22が配置してあり、該座屈防止材22は、端部部材と端部部材の一部に跨る長さを有している。

0055

芯材21の荷重受部の各フィンの外側には端部部材のフィンの厚さと同等の厚さを有するスペーサが配置されており、座屈防止材22により端部部材の一部とスペーサを挟んで組立ボルト23(高力ボルト)と組立ナット締め付けることにより一体的に組み立てられる。

0056

座屈防止材22の一端が端部部材の一部に組立ボルト23によって取付けられる位置には、長孔25が形成されている。したがって、上記組立ボルト23による締め付けを行うと、芯材21の荷重受部と座屈防止材22との間に隙間が形成され、よって、芯材21の端部部材間に引張または圧縮の荷重が作用した場合には、荷重受部は引張変形または圧縮変形する。この時、座屈防止材22は長孔25によって荷重受部の長さ変化を許容し、荷重受部が座屈しようとする荷重に対しては座屈防止材22が抵抗するように作用する。

0057

芯材21の一方の端部には、上端に天端掛り板15を有する連結板14が設けられている。この連結板14を介して座屈拘束ブレース(棒状制振部材8)が固定柱に取り付けられる。据え付けた状態において、連結板14は圧縮時は固定柱本体(フランジ部分)に面接触して荷重を伝え、引張時は固定柱を貫通して両側の連結板14間を緊結する連結ボルトを介して他方の連結板14からの軸力を伝える役割をし、連結板14の上端の天端掛り板15は棒状制振部材8の自重を固定柱に支持する役割、また棒状制振部材8の軸に対して直角方向の可動をスムーズにする役割をする。

0058

本発明では、一形態としてこの天端掛り板15の上面に、固定柱の両側の連結板14を一体化する固定版を取り付けることができ、図示した例では天端掛り板15部分に固定版取付け孔16を設け、固定版41(図1図3図6参照)をボルト接合できるようにしている。

0059

また、連結板14には、図に示すように、スライド用長孔17が設けられている。このスライド用長孔17は、上部構造の橋軸方向への移動に追従するための橋軸方向への可動機能を担う役割を果たす。

0060

さらに、図示した例では、連結板14の下部に橋軸方向前後に張出し部を形成し、張出し部に後述する幅保持パイプ51に通した緊張ボルト52(図3図4図6参照)を固定するためのボルト孔18が設けられている。

0061

図3は橋脚などの下部構造5上に固定した固定柱7部分の詳細を示したものである。

0062

固定柱7は、ベースプレート29とその上に載置、固定されるH形鋼からなる固定柱本体とからなり、橋台や橋脚等の下部構造5の上面に高さ調整モルタル28を介してアンカーボルト30で下部構造5に固定されることにより設置されている。また、H形鋼のフランジには、連結板14に設けられたスライド用長孔17に併せて連結ボルト27を通すための孔が設けられている。

0063

固定柱7への一対の棒状制振部材8,8(この例では座屈拘束ブレース)の取付け構造は図に示すようになっている。すなわち、スライド用長孔17を有する棒状制振部材8は、その端部の連結板14が固定柱7の本体であるH形鋼のフランジに重ねられ連結ボルト27で固定されることにより固定柱7に取付けられている。

0064

上記スライド用長孔17は、前述の通り、上部構造の橋軸方向への移動に追従するための橋軸方向への可動機能を担う役割を果たす。具体的には、例えば、連結板14に設けられたスライド用長孔17に突起付き角ナット31を設置することで該長孔17がガイドレールとなり追従方向に可動な構造になる。

0065

本発明では、このような構成において、固定柱7の両側に位置する連結板14どうしを固定部材を介して一体化することで、固定柱7と連結板14との間での締付けを緩和し、橋梁の下部構造5と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱7の両側の棒状制振部材8,8どうしの直線状の位置関係が保持されるようにして、水平荷重支持機構としての本来的な機能が損なわれないようにしている。

0066

図3の例では、具体的には固定部材として、固定柱7の上端部を跨ぎ、両側の連結板14,14どうしを連結固定する固定版41を用い、さらに連結板14の下部に張出し部を形成し、この張出し部位置に鋼製の幅保持パイプ51を介在させて、両側の連結板14,14どうしを幅保持パイプ51に通した緊張ボルト52で緊結し、固定柱7を取り囲む形で配置した上部の固定版41と下部の幅保持パイプ51に通した緊張ボルト52で、両側の連結板14,14どうしを一体化している。

0067

このような構成において、固定部材としての固定版41と幅保持パイプ51により、両側の連結板14,14間に幅保持パイプ51の長さに相当する間隔が保持されるため、幅保持パイプ51の長さを固定柱の橋軸直角方向の幅以上とすることで、固定柱7と連結板14との間での締付けを緩和し、上部構造の橋軸方向の移動にスムーズに追従させることができる。

0068

図4は固定柱を下部構造の上部側面に固定した場合の詳細を示したものである。この例では、固定柱7は、H形鋼からなる固定柱本体とアンカーボルト30を通すための孔を有する2枚の固定プレート32,32とからなる。そして、H形鋼のフランジには連結板14に設けられたスライド用長孔17に併せて連結ボルト27を通すための孔が、H形鋼のウェブにはアンカーボルト30を通すための孔が各々設けられている。

0069

固定柱7は、図に示すように、2枚の固定プレート32,32でH形鋼を挟みアンカーボルト30で下部構造5の上部側面に固定されることにより設置されている。

0070

固定柱7への一対の棒状制振部材8,8(この例では座屈拘束ブレース)の取付け構造は、図3の場合と同様なので説明は省略する。

0071

図5は前述した図1の実施形態における固定柱7部分の詳細を示したものである。図1に関して説明したように、固定柱7の両側に位置する連結板14どうしを固定版41を介して一体化し、さらに、固定版41を利用して固定柱7と横桁3との間に上下方向の相対移動を拘束する上揚力抵抗機構61を設けている。

0072

この例では、図3および図4の実施形態で用いた幅保持パイプ51および緊張ボルト52を設けていないが、図6のように幅保持パイプ51および緊張ボルト52を設けることでより安定した構造となる。

0073

連結板14,14どうしを固定版41を介して一体化することで、固定柱7と連結板14との間での締付けを緩和し、橋梁の下部構造5と上部構造の橋軸方向の相対移動に対し、固定柱7の両側の棒状制振部材8,8どうしの直線状の位置関係を維持した状態で橋軸方向の相対移動にスムーズに追従させることができる。

0074

図示した例では、上揚力抵抗機構61として、鋼板を組み合わせ、上下に接合用プレートを設けた連結ブロック62の下側の接合用プレートを固定版41にボルト接合し、連結ブロック62の上側の接合用プレートを横桁3の下フランジにボルト接合し、連結ブロック62の応力が伝わる横桁3のウェブ部分リブ状の補剛部材63、64を取り付けている。

0075

前述したように、例えばレベル2以上の地震動に対して支承12位置で上揚力に抵抗しているサイドブロック13が効かない状況において、上揚力抵抗機構61を介して固定柱7と横桁3が間接的に接合されているため、上揚力抵抗機能を発揮させることができる。

0076

また、固定版41は固定柱7に対し、橋軸方向の相対移動が可能であるため、上揚力抵抗機構61には実質的に上下方向の力のみが作用することになる。

0077

図7は本発明の機能分離型制振構造に常時またはレベル1地震動が作用した場合の挙動を、図8は本発明の機能分離型制振構造にレベル2地震動が作用した場合の挙動を概念的に示したものである。

0078

常時またはレベル1の地震動に対しては、図7に示されるように実質的に主桁を受けている支承が鉛直方向の振動を負担し、上揚力に対しても実質的に固定状態の支承位置のサイドブロックのストッパー機能により抵抗することができる。

0079

常時の熱伸びなどによる橋軸方向の相対移動に対しては、前述のように固定柱位置についても変位に追従できる構造となっている。

0080

図8(a)はレベル2以上の地震動により上部構造が図中水右方向に大きく変位し、固定中の右側の棒状制振部材に引張軸力が作用し、左側の棒状制振部材に圧縮軸力が作用する様子を示している。

0081

この状態で支承部分はサイドブロックのストッパー機能が解除されすべり可動となる。このときの上揚力は横桁と連結された固定柱が負担することになる(図1図5図6の実施形態の場合)。

0082

図8(b)は同様にレベル2以上の地震動により上部構造が図中水平左方向に大きく変位し、固定中の右側の棒状制振部材に引張軸力が作用し、左側の棒状制振部材に圧縮軸力が作用する様子を示しており、図8(a)と図8(b)の状態が繰り返されながら、棒状制振部材による振動エネルギーの吸収により水平方向の振動が減衰して行く。

0083

図9は従来の機能分離型制振構造に急激な地震動が作用した場合の挙動を概念的に示したものであり、図10図9と対比して本発明の機能分離型制振構造の場合を概念的に示したものである。

0084

前述したように、固定柱7の両側の連結板14,14どうしを連結ボルト27で緊結し、連結板14が、直接、固定柱7に押し付けられる図9(a)の構造では、連結ボルト27をスライド用長孔に沿って摺動させる構成としても上部構造の橋軸方向への移動に十分追従させることが困難であり、図9(b)に示すように固定柱7位置で両側の棒状制振部材8,8が一直線とならず折れ曲がった角度となり、棒状制振部材8の機能を十分に発揮させることができなくなる恐れがある。

0085

これに対し、本発明の構造では、固定柱7の両側の連結板14,どうしが固定版41や幅保持パイプ51など固定部材によって剛に一体化させることで、固定柱7の両側の棒状制振部材8,8の直線状の位置関係を保持した状態で、上部構造の相対移動に追従させることができるため、棒状制振部材8の機能を十分に発揮させることができる。

0086

1…橋梁、2…床版、3…横桁、4…上部構造、5…下部構造、6…主桁、7…固定柱、8…棒状制振部材、9…主桁側接合部、
12…支承、13…サイドブロック(ストッパー)、14…連結板、15…天端掛り板、16…固定版取付け孔、17…スライド用長孔、18…ボルト孔、
21…芯材、22…座屈拘束材、23…組立ボルト、25…長孔、
27…連結ボルト、28…高さ調整モルタル、29…ベースプレート、30…アンカーボルト、31…溝付角ナット、32…固定プレート
41…固定版、
51…幅保持パイプ、52…緊張ボルト、
61…上揚力抵抗機構、62…連結ブロック、63…補剛部材、64…補剛部材

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