図面 (/)

技術 磁気記録媒体用基板

出願人 昭和電工株式会社
発明者 幸松孝治村瀬功杉本公徳小林智也
出願日 2016年9月6日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-173916
公開日 2017年7月6日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-120680
状態 特許登録済
技術分野 化学的被覆 磁気記録担体
主要キーワード 円盤状板 アルミシリコン合金 インチ規格 フラッタリング ラッピングマシーン Pめっき被膜 大量生産品 切屑分断性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月6日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

ヤング率が高く機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。

解決手段

アルミニウム合金基板の表面にNiP系めっき被膜を形成した磁気記録媒体用基板であって、前記アルミニウム合金基板は、Mgを0.2〜6質量%の範囲内、Siを3〜17質量%の範囲内、Znを0.05〜2質量%の範囲内、Srを0.001〜1質量%の範囲内で含み、前記アルミニウム合金基板の合金組織においてSi粒子平均粒径が2μm以下であり、前記NiP系めっき被膜の膜厚は10μm以上であり、前記磁気記録媒体用基板は、外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下であり、ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用基板により上記課題を解決する。

概要

背景

近年、ハードディスクドライブに用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。特に、MR(magneto resistive)ヘッドやPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術の導入以来、面記録密度の上昇は更に激しさ増している。

また、近年のインタネット網発展ビッグデータ活用の拡大から、データセンターにおけるデータ蓄積量も増大を続け、そしてデータセンターのスペース上の問題から、単位体積当たりの記憶容量を高める必要性が生じている。すなわち、規格化されたハードディスクドライブ一台当たりの記憶容量を高めるため、ドライブケースの内部に納める磁気記録媒体の枚数を増やす試みが行われている。

磁気記録媒体用基板としては、主に、アルミニウム合金基板ガラス基板が用いられている。このうち、アルミニウム合金基板は、ガラス基板に比べ靱性が高く、製造が容易である特徴を有し、比較的径の大きい磁気記録媒体に用いられている。通常の3.5インチ規格化ハードディスクドライブの磁気記録媒体に用いられるアルミニウム合金基板の板厚は1.27mmである。

しかしながら、磁気記録媒体に用いられる基板の板厚を薄くした場合、アルミニウム合金基板はガラス基板に比べフラッタリングが生じやすい。フラッタリングとは、磁気記録媒体を高速回転させた場合に生ずる磁気記録媒体のばたつきであり、このフラッタリングが生ずるとハードディスクドライブにおける安定した読み取りが困難になる。このようなフラッタリングを抑制するためには、例えば、ガラス基板においては、磁気記録媒体用基板の材料としてヤング率の高い材料を使用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。

アルミニウム合金基板は、一般的には次の工程によって製造される。先ず、厚さ2mm以下程度のアルミニウム合金板ドーナツ状に打ち抜き加工して所望の寸法の基板にする。次に、打ち抜かれた基板に対して内外径面取り加工データ面旋削加工を施した後、旋盤加工後の表面粗さやうねり下げるために、砥石による研削加工を行う。その後、表面硬さの付与と表面欠陥抑制の目的から、基板表面にNiPめっきを施す。次に、このNiPめっき被膜が形成された基板の両面(データ面)に対して研磨加工を施す。磁気記録媒体用基板は大量生産品であり、また高いコストパフォーマンスが求められるため、それに用いられるアルミニウム合金には、高い機械加工性と廉価性が求められる。

特許文献2には、優れた切削性を有するとともに、切削工具摩耗チッピング等の損傷を抑制し、さらに良好なアルマイト処理性を有するアルミニウム合金として、Mg:0.3〜6質量%、Si:0.3〜10質量%、Zn:0.05〜1質量%およびSr:0.001〜0.3質量%を含み、残部がAlおよび不純物からなる材料が開示されている。

概要

ヤング率が高く機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。アルミニウム合金基板の表面にNiP系めっき被膜を形成した磁気記録媒体用基板であって、前記アルミニウム合金基板は、Mgを0.2〜6質量%の範囲内、Siを3〜17質量%の範囲内、Znを0.05〜2質量%の範囲内、Srを0.001〜1質量%の範囲内で含み、前記アルミニウム合金基板の合金組織においてSi粒子平均粒径が2μm以下であり、前記NiP系めっき被膜の膜厚は10μm以上であり、前記磁気記録媒体用基板は、外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下であり、ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用基板により上記課題を解決する。

目的

本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、規格化されたハードディスクドライブケースに納める磁気記録媒体の枚数を増やすことを可能とする、薄板化に対応可能な、ヤング率が高く機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

アルミニウム合金基板の表面にNiP系めっき被膜を形成した磁気記録媒体用基板であって、前記アルミニウム合金基板は、Mgを0.2〜6質量%の範囲内、Siを3〜17質量%の範囲内、Znを0.05〜2質量%の範囲内、Srを0.001〜1質量%の範囲内で含み、前記アルミニウム合金基板の合金組織においてSi粒子平均粒径が2μm以下であり、前記NiP系めっき被膜の膜厚は10μm以上であり、前記磁気記録媒体用基板は、外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下であり、ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。

請求項2

前記NiP系めっき被膜は、Pを15〜35質量%の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。

請求項3

前記NiP系めっき被膜は、NiWP系合金であり、前記NiWP系合金はWを15〜22質量%の範囲内、Pを3〜10質量%の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体用基板に関する。

背景技術

0002

近年、ハードディスクドライブに用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。特に、MR(magneto resistive)ヘッドやPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術の導入以来、面記録密度の上昇は更に激しさ増している。

0003

また、近年のインタネット網発展ビッグデータ活用の拡大から、データセンターにおけるデータ蓄積量も増大を続け、そしてデータセンターのスペース上の問題から、単位体積当たりの記憶容量を高める必要性が生じている。すなわち、規格化されたハードディスクドライブ一台当たりの記憶容量を高めるため、ドライブケースの内部に納める磁気記録媒体の枚数を増やす試みが行われている。

0004

磁気記録媒体用基板としては、主に、アルミニウム合金基板ガラス基板が用いられている。このうち、アルミニウム合金基板は、ガラス基板に比べ靱性が高く、製造が容易である特徴を有し、比較的径の大きい磁気記録媒体に用いられている。通常の3.5インチ規格化ハードディスクドライブの磁気記録媒体に用いられるアルミニウム合金基板の板厚は1.27mmである。

0005

しかしながら、磁気記録媒体に用いられる基板の板厚を薄くした場合、アルミニウム合金基板はガラス基板に比べフラッタリングが生じやすい。フラッタリングとは、磁気記録媒体を高速回転させた場合に生ずる磁気記録媒体のばたつきであり、このフラッタリングが生ずるとハードディスクドライブにおける安定した読み取りが困難になる。このようなフラッタリングを抑制するためには、例えば、ガラス基板においては、磁気記録媒体用基板の材料としてヤング率の高い材料を使用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。

0006

アルミニウム合金基板は、一般的には次の工程によって製造される。先ず、厚さ2mm以下程度のアルミニウム合金板ドーナツ状に打ち抜き加工して所望の寸法の基板にする。次に、打ち抜かれた基板に対して内外径面取り加工データ面旋削加工を施した後、旋盤加工後の表面粗さやうねり下げるために、砥石による研削加工を行う。その後、表面硬さの付与と表面欠陥抑制の目的から、基板表面にNiPめっきを施す。次に、このNiPめっき被膜が形成された基板の両面(データ面)に対して研磨加工を施す。磁気記録媒体用基板は大量生産品であり、また高いコストパフォーマンスが求められるため、それに用いられるアルミニウム合金には、高い機械加工性と廉価性が求められる。

0007

特許文献2には、優れた切削性を有するとともに、切削工具摩耗チッピング等の損傷を抑制し、さらに良好なアルマイト処理性を有するアルミニウム合金として、Mg:0.3〜6質量%、Si:0.3〜10質量%、Zn:0.05〜1質量%およびSr:0.001〜0.3質量%を含み、残部がAlおよび不純物からなる材料が開示されている。

先行技術

0008

特開2015−26414号公報
特開2009−24265号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、規格化されたハードディスクドライブケースに納める磁気記録媒体の枚数を増やすことを可能とする、薄板化に対応可能な、ヤング率が高く機械加工性に優れた磁気記録媒体用基板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本実施の形態の一観点によれば、アルミニウム合金基板の表面にNiP系めっき被膜を形成した磁気記録媒体用基板であって、前記アルミニウム合金基板は、Mgを0.2〜6質量%の範囲内、Siを3〜17質量%の範囲内、Znを0.05〜2質量%の範囲内、Srを0.001〜1質量%の範囲内で含み、前記アルミニウム合金基板の合金組織においてSi粒子平均粒径が2μm以下であり、前記NiP系めっき被膜の膜厚は10μm以上であり、前記磁気記録媒体用基板は、外径が53mm以上であり、厚さが0.9mm以下であり、ヤング率が79GPa以上であることを特徴とする。

発明の効果

0011

本発明に係る磁気記録媒体用基板は、ヤング率が高いため薄板化が可能であり、規格化されたハードディスクドライブケースの内部に納められる磁気記録媒体の枚数を増やすことにより高記録容量のハードディスクドライブを提供可能とする効果を有する。

図面の簡単な説明

0012

本発明を適用した磁気記録媒体用基板の製造工程を説明するための斜視図

0013

以下、本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体用基板について詳細に説明する。

0014

本実施の形態における磁気記録媒体用基板は、中心に開口部を有する円盤状のアルミニウム合金基板の表面にNiP系めっき被膜を形成した磁気記録媒体用基板である。そして、この磁気記録媒体用基板を用いた磁気記録媒体は、この磁気記録媒体用基板の面上に、磁性層、保護層及び潤滑膜等を順次積層したものである。また、この磁気記録媒体を用いたハードディスクドライブは、この磁気記録媒体の中心部をスピンドルモータ回転軸に取り付けて、スピンドルモータにより回転駆動される磁気記録媒体の面上を磁気ヘッド浮上走行しながら、磁気記録媒体に対して情報の書き込み又は読み出しを行う。

0015

ハードディスクドライブでは、磁気記録媒体を5000rpm以上で高速回転させるため、磁気記録媒体の機械的特性が低いとばたつき(フラッタリング)が生じ、ハードディスクドライブにおける安定した読み取りが困難になる。本願発明者は、この磁気記録媒体のフラッタリングとヤング率には密接な関係があり、磁気記録媒体のヤング率を高めることでフラッタリングを低減できること、そして磁気記録媒体用基板のヤング率を79GPa以上とすることで、外径は53mm以上、厚さが0.9mm以下の磁気記録媒体を製造することが可能となることを見出した。

0016

本実施の形態における磁気記録媒体用基板であるアルミニウム合金基板組成はMgを0.2〜6質量%の範囲内、好ましくは0.3〜5質量%の範囲内、Siを3〜17質量%の範囲内、好ましくは4〜10質量%の範囲内、Znを0.05〜2質量%の範囲内、好ましくは0.1〜1質量%の範囲内、Srを0.001〜1質量%の範囲内、好ましくは0.005〜0.3質量%の範囲内で含み、合金組織においてSi粒子の平均粒径が2μm以下、好ましくは1.5μm以下であることを特徴とする。本実施の形態におけるアルミニウム合金基板は、Mg、Si、ZnおよびSrの4元素は必須の添加元素であり、その他の適宜加える添加元素、不可避不純物、残部Alによって構成される。

0017

本実施の形態におけるアルミニウム合金基板組成はSiを多量に含むため、アルミニウム合金基板のヤング率を飛躍的に高めることが可能である。しかしながら、Siを多量に含む合金内部にはSi粒子が多量に分散しているため、製造条件に応じてこれらのSi粒子が最終的には5〜10μmのサイズにまで成長する場合がある。そして、アルミニウム合金基板内にこのようなSi粒子が存在すると、その表面に設けるNiP系めっき被膜が均一に成膜できず、メッキ膜膜質が不均一になる場合があった。

0018

そのような問題点を解決するため、本実施の形態においてはアルミニウム合金基板組成にSrを添加し、これによりSi粒子を球状化および微細化させ、その表面に設けるNiP系めっき被膜を均一なものとする。また、本実施の形態におけるSi粒子の球状化および微細化は、アルミニウム合金の機械加工性を高める効果を有する。

0019

以下、各添加元素について詳細に説明する。

0020

Mgは、合金マトリックスに固溶されるとともに過剰Si等と結合してMg2Si等の析出物としてマトリックス中に分散し、ヤング率等の機械的特性を向上させ、他の固溶型元素との相乗効果により合金の切削性を一層向上させる。Mg含有量は、0.2質量%未満では前記効果が乏しく、一方、6質量%を越えると合金溶湯酸化が促進され、また塑性加工性劣化する。

0021

Siは、Al中への固溶量が少ないために化合物形成に要する量を除いて、Siの単体粒子としてマトリックス中に分散される。Si粒子の分散した合金組織においては、切削工具によるSi粒子の粉砕、あるいはSi粒子とAl母相との界面剥離により切屑が速やかに分断し、切削性が向上する。また、必須元素として添加されるSr、あるいは任意に添加されるNa、Caによって、Si粒子は球状化されるとともに微細化され、このことによっても切削性が向上する。Si含有量は、3質量%未満では合金のヤング率を高める効果が低下し、また切屑分断性向上効果に乏しく、一方、17質量%を越えると切屑分断性は向上するものの、切削工具の摩耗が著しくなって磁気記録媒体用基板の生産性が低下する。

0022

Znは、合金マトリックス中に固溶されるとともに、Mgと結合してMgZn2等の析出物としてマトリックス中に分散される。このため、アルミニウム合金の機械的特性を向上させ、他の固溶型元素との相乗効果により、合金の切削性を向上させる。Zn含有量は、0.05質量%未満では前記効果が乏しく、一方、2質量%を越えると、耐食性が低下するおそれがある。

0023

Srは、Siと共存することで、凝固時の共晶Si、初晶Siを直径2μm以下、好ましくは1.5μm以下に球状化させるとともに微細化させる。このため、間接的に切屑分断性を良好にして切削性を向上させるとともに、切削工具の摩耗や損傷を抑制する効果がある。また、連続鋳造押出引抜き等の工程でSi粒子を均一かつ微細に分散させ、一層切削性を向上させる効果がある。加えて、アルミニウム合金基板表面に設けるNiP系めっき被膜の組織が均一となり、そして、メッキ膜の膜質も均一となる。すなわち、Siを多量に含む従来のアルミ合金を磁気記録媒体用基板に用いた場合、Si粒子の表面にはNiP系めっきが形成されにくいため、その個所くぼみピット等の欠陥が生じやすかった。本発明ではそのような従来の問題点を解決し、均一なめっき被膜を有する磁気記録媒体用基板が提供可能となる。

0024

尚、Sr含有量は、0.001質量%未満では前記効果に乏しく、またSi粒子が球状化されず鋭角部が生じることで切削工具の摩耗が顕著になり、一方、1質量%を越えると前記効果が飽和して、多量添加する意味が乏しくなる。また、初晶SrAl4が晶出して、NiP系めっきが形成されにくいため、その個所にくぼみやピット等の欠陥が生じやすくなる。

0025

その他の適宜加える添加元素としては、Fe、Cu、Mn,Cr、Ti、Pb、Bi、Zr、B、V、Na、Caがあり、これらの元素の添加量は各々1質量%以下か、もしくは添加せず、また、これらの元素の添加量の総量は4質量%以下とする。これらの元素の添加効果としては、4000系のアルミシリコン合金で一般的に知られているように、鋳造性流動性引け特性、耐熱割れ性)の改善、機械的性質の向上、機械加工性(切削性)の向上、結晶粒の微細化がある。一方で、これらの添加元素の添加量が各々において1質量%を超えるか、または総量で4質量%を超えると、必須添加元素であるMg、Si、Zn、Srの添加効果が低下するので好ましくない。特に、必須添加元素の添加効果を強調したい場合は、適宜加える添加元素の各々の添加量は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下とする。

0026

本実施の形態におけるアルミニウム合金基板は公知の方法で製造することができる。例えば、成分調整した合金材料加熱溶融し、これを鋳造後、圧延、加熱焼鈍した後、規定の寸法の中央に開口部を有する円盤状板に加工する。

0027

本実施の形態におけるアルミニウム合金基板の外径は53mm以上とする。前述のように、本実施の形態におけるアルミニウム合金基板は、規格化されたハードディスクドライブケースに納める磁気記録媒体の枚数を増やす目的で使用されるものであるから、規格化されたハードディスクドライブケース、すなわち、2.5インチハードディスクドライブ、3.5インチハードディスクドライブ等に収納できる必要がある。そして、2.5インチハードディスクドライブでは最大直径で約67mm、3.5インチハードディスクドライブでは最大直径で約97mm程度の基板が用いられるため、本実施の形態におけるアルミニウム合金基板の外径は少なくとも53mm以上とする必要がある。

0028

本実施の形態における磁気記録媒体用基板は、その表面に膜厚は10μm以上のNiP系めっき被膜を形成する。通常の磁気記録媒体用基板に使用されるNiP系めっき被膜の膜厚は10μm未満であるが、本実施の形態においてはNiP系めっき被膜の膜厚を高め、これにより磁気記録媒体用基板のヤング率を79GPa以上に高めている。

0029

本実施の形態におけるNiP系めっき被膜として、NiP合金を使用し、このNiP合金はPを15〜35質量%の範囲内、不可避不純物、残部Niで構成するのが好ましい。NiP系めっき被膜をこのような構成とすることで、磁気記録媒体用基板のヤング率を、めっき前の基板に比べ高めることができる。

0030

また、本実施の形態においては、NiP系めっき被膜としてNiWP系合金を使用し、このNiWP系合金はWを15〜22質量%の範囲内、Pを3〜10質量%の範囲内で含み、その他の適宜加える添加元素、不可避不純物、残部Niで構成するのが好ましい。NiP系めっき被膜としてこのような高硬度材料とすることで磁気記録媒体用基板のヤング率をさらに高めることができる。

0031

NiWP系めっき被膜は従来から使用されているNiP系めっきと同様の方法を用いて形成することができる。例えば、NiPめっき液にW塩を添加させためっき液を用いることができる。W塩としては、タングステン酸ナトリウムタングステン酸カリウムタングステン酸アンモニウム等を用いることができる。めっきは無電解めっきにより行うのが好ましい。めっき層の厚さは、めっき液への浸漬時間、めっき液の温度によって調整することが可能である。めっき時の条件は、特に限定されるものではないが、めっき浴のpHを5.0〜8.6とし、浴温を70〜100℃、好ましくは85〜95℃とし、浸漬時間を90〜150分間とするのが好ましい。

0032

めっき後の基板に加熱処理を施すのが好ましい。特に、加熱処理を300℃以上とすることで、めっき膜の硬度をより高め、もって磁気記録媒体用基板のヤング率をさらに高めることができる。

0033

本実施の形態における磁気記録媒体用基板の製造方法では、アルミニウム合金基板にめっきを施した後に、この基板の表面に対して研磨加工を施す。また、本実施の形態においては、より平滑で、傷が少ないといった表面品質の向上と生産性の向上との両立の観点から、複数の独立した研磨盤を用いた2段階以上の研磨工程を有する多段階研磨方式を採用するのが好ましい。

0034

具体的には、基板の表面を研磨する工程として、第1の研磨盤を用いてアルミナ砥粒を含む研磨液を供給しながら研磨する粗研磨工程と、磁気記録媒体用基板を洗浄した後に、第2の研磨盤を用いてコロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を供給しながら研磨する仕上げ研磨工程を行う。

0035

ここで、第1及び第2の研磨盤は、例えば図1に示すように、上下一対定盤11、12を備え、互いに逆向きに回転する定盤11、12の間で複数枚の基板Wを挟み込みながら、これら基板Wの両面を定盤11、12に設けられた研磨パッド13により研磨するものである。

0036

以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。

0037

(アルミニウム合金基板の製造)
表1に示す組成(アルミニウム合金組成)で成分調整した合金材料をダイレクトチル鋳造により製造した。なお、鋳造速度80mm/分とした。製造した鋳塊を520℃で10時間保持して均質化処理した後、圧延して厚さ1.2mmの板材とした。その後、この板材を中央に開口部を有する外径97mmの円盤状に打ち抜き、表面、端面をダイヤモンドバイトにより旋削加工し、外径96mm、厚さ0.8mmの基板とした。得られたアルミニウム合金基板の結晶組織を観察し、Si粒子径を測定した。測定結果を表1に示す。

0038

0039

無電解メッキ膜の形成)
アルミニウム合金基板の表面に表1に示す組成(メッキ膜組成)で、膜厚10μmのNiP系めっき膜を形成した。めっき後の加熱温度は、NiP系は300℃、NiWP系は400℃で、3分間とした。

0040

(研磨加工)
研磨盤には、上下一対の定盤を備える3段のラッピングマシーンを用いて行った。このときの研磨パッドには、スウエードタイプ(Filwel製)を用いた。そして、第1段目の研磨にはD50が0.5μmのアルミナ砥粒を、第2段目の研磨にはD50が30nmのコロイダルシリカ砥粒を、第3段目の研磨にはD50が10nmのコロイダルシリカ砥粒を用いた。研磨時間は各段5分間とした。

0041

(評価)
製造した磁気記録媒体用基板のヤング率を測定した。また、表面を1000倍の微分干渉型光顕微鏡で観察し、その平坦性について、優れている、使用可能範囲、劣っている、の3段階で評価した。その結果を表1に示す。なお、表1では、優れているを「◎」、使用可能範囲を「○」、劣っているを「×」で示す。

0042

また、製造した磁気記録媒体用基板を10000rpmで回転させ、磁気記録媒体用基板の最外周面で生ずるフラッタリングを、He−Neレーザ変位計を用いて測定した。測定結果を表1に示す。

0043

実施例1〜12の磁気記録媒体用基板はヤング率が高く、またアルミニウム合金組織内のSi粒子径も小さいので、めっき膜の平坦性に優れていた。そのため、磁気記録媒体用基板を高速回転させた際のフラッタリングが少なかった。

実施例

0044

これに対し、比較例1、3、5の磁気記録媒体用基板は、ヤング率が低いため、基板を高速回転させた際のフラッタリングが大きかった。また、比較例2、4、6、7の磁気記録媒体用基板は、Si粒子径が大きく、そのため、めっき膜表面にピット等が生じ、基板表面の平坦性が劣っていた。特に、比較例7では、初晶SrAl4の晶出も確認された。比較例2、4、6、7のフラッタリングが大きいのは、めっき膜表面のピットの影響である。

0045

11定盤
12 定盤
13研磨パッド
W 基板

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ