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技術 組成物

出願人 住友化学株式会社
発明者 櫻井彩香花岡秀典
出願日 2016年12月19日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2016-245962
公開日 2017年7月6日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-119849
状態 特許登録済
技術分野 けい素重合体 高分子組成物
主要キーワード 屋内設備 熱履歴前 オリゴマー残基 塗り斑 アルキルピリジン化合物 窒素ドープ型 分光放射照度 ビニルピリジンポリマー
関連する未来課題
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図面 (1)

課題

撥水性と、耐熱性及び耐光性とを両立する皮膜の形成に用いられる組成物の提供を目的とする。

解決手段

本発明の組成物は、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物(a)、及び金属原子加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)を含む。

概要

背景

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められている。さらに、屋外での使用にも耐えるよう、耐熱性耐光性も求められている。

このように、基材表面の撥水性等を高めることを目的として、特許文献1には、有機シラン金属アルコキシド共加水分解縮重合させた前駆体溶液を基材表面に塗布して形成される透明膜が提案されている。また特許文献2には、パーフルオロアルキル基を有するケイ素含有有機含フッ素ポリマーが提案されている。

概要

撥水性と、耐熱性及び耐光性とを両立する皮膜の形成に用いられる組成物の提供を目的とする。本発明の組成物は、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物(a)、及び金属原子加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)を含む。なし

目的

)とを両立し、また更に、製膜後に白濁塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない皮膜の形成に用いられる組成物の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物(a)、及び金属原子加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)を含む組成物

請求項2

前記有機ケイ素化合物(a)が、式(Ia)で表される化合物である請求項1に記載の組成物。[式(Ia)中、Yは、単結合又は*−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。*は酸素原子との結合手を表す。Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Ra1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Ra1の全てが炭化水素基の場合、Ra1で表される炭化水素基はアルキル基である。Rs1、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Ls1は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Xは、加水分解性ケイ素基を2個以上有する加水分解性ケイ素含有基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。]

請求項3

前記加水分解性ケイ素含有基が式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基である請求項1又は2に記載の組成物。[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx2は、それぞれ、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−O−Si(Rx7)2−に置き換わっていてもよい。Rx1〜Rx7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Xa1は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。Xa2は、それぞれ独立に、トリアルキルシリル含有基、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、Xa2が加水分解性基の場合、Xa2とXa1とは、同一であっても異なっていてもよい。n2は、1以上50以下の整数を表す。n3は、2以上5以下の整数を表す。n4は、0以上5以下の整数を表す。式(X−3)中、(Si(Rx4)(−Lx2−Si(Xa2)(Xa1)2)−O−)及び(Si(Rx5)(Rx6)−O−)で表される単位の順序は任意である。]

請求項4

前記金属化合物(b)と前記有機ケイ素化合物(a)の比率(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))が、モル基準で0.1以上、100以下である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。

請求項5

さらに溶剤(c)を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の硬化物である皮膜

請求項7

下記式で表される化合物。[式(Ia−1)中、Yは、単結合又は*−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。*は酸素原子との結合手を表す。Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Ra2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rs1、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Ls1は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。Xは、式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基を表す。[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx2は、それぞれ、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−O−Si(Rx7)2−に置き換わっていてもよい。Rx1〜Rx7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Xa1は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。Xa2は、それぞれ独立に、トリアルキルシリル含有基、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、Xa2が加水分解性基の場合、Xa2とXa1とは、同一であっても異なっていてもよい。n2は、2以上20以下の整数を表す。n3は、2以上5以下の整数を表す。n4は、0以上5以下の整数を表す。式(X−3)中、(Si(Rx4)(−Lx2−Si(Xa2)(Xa1)2)−O−)、(Si(Rx5)(Rx6)−O−)で表される単位の順序は任意である。]]

請求項8

下記式で表される化合物。[式(IIa−1)中、Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Rs1は、それぞれ独立に、炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Ra2、Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ry1は、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。n14は、1以上3以下の整数を表す。]

技術分野

0001

本発明は、各種基材撥水性を付与することができる皮膜を形成する組成物に関する。

背景技術

0002

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められている。さらに、屋外での使用にも耐えるよう、耐熱性耐光性も求められている。

0003

このように、基材表面の撥水性等を高めることを目的として、特許文献1には、有機シラン金属アルコキシド共加水分解縮重合させた前駆体溶液を基材表面に塗布して形成される透明膜が提案されている。また特許文献2には、パーフルオロアルキル基を有するケイ素含有有機含フッ素ポリマーが提案されている。

先行技術

0004

特開2013−213181号公報
特開平9-157388号公報
特開2014−234506号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明者らは、上記特許文献1〜2に記載の化合物を用いた場合、耐熱性、耐光性が不足する場合があるとの知見を得た。耐熱性、耐光性が不足すると、皮膜は劣化しやすくなり、結果として撥水性が低下する。また、特許文献3に記載の組成物を用いた場合、耐光性は良いが、製膜後の膜に白濁塗り斑が生じやすく、実質的には製膜後に最表面を拭き上げる工程が必要である。そこで本発明は、撥水性と、耐熱性及び耐光性(以下、耐熱性と耐光性を合わせて「耐候性」という。)とを両立し、また更に、製膜後に白濁や塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない皮膜の形成に用いられる組成物の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、特定の有機ケイ素化合物(a)、及び金属化合物(b)を含む組成物を用いることで、撥水性のみならず耐熱性及び耐光性が良好な皮膜が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち本発明に係る組成物は、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物(a)、及び金属原子加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)を含むことを特徴とする。
前記有機ケイ素化合物(a)は、式(Ia)で表される化合物であることが好ましい。

0007

[式(Ia)中、Yは、単結合又は*−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。*は酸素原子との結合手を表す。Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Ra1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Ra1の全てが炭化水素基の場合、Ra1で表される炭化水素基はアルキル基である。Rs1、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Ls1は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Xは、加水分解性ケイ素基を2個以上有する加水分解性ケイ素含有基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。]

0008

前記加水分解性ケイ素含有基は式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基であることが好ましい。

0009

[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx2は、それぞれ、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−O−Si(Rx7)2−に置き換わっていてもよい。Rx1〜Rx7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Xa1は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。Xa2は、それぞれ独立に、トリアルキルシリル含有基、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、Xa2が加水分解性基の場合、Xa2とXa1とは、同一であっても異なっていてもよい。n2は、1以上50以下の整数を表す。n3は、2以上5以下の整数を表す。n4は、0以上5以下の整数を表す。式(X−3)中、(Si(Rx4)(−Lx2−Si(Xa2)(Xa1)2)−O−)及び(Si(Rx5)(Rx6)−O−)で表される単位の順序は任意である。]

0010

前記金属化合物(b)と前記有機ケイ素化合物(a)の比率(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、モル基準で0.1以上、100以下であることが好ましい。
前記組成物は、さらに溶剤(c)を含むことが好ましい。
また、組成物の硬化物である皮膜も本発明の技術的範囲に包含される。

0011

前記有機ケイ素化合物(a)として、下記式で表される化合物が好ましい。

0012

[式(Ia−1)中、Yは、単結合又は*−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。*は酸素原子との結合手を表す。Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Ra2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rs1、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Ls1は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。Xは、式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基を表す。

0013

[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx2は、それぞれ、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−O−Si(Rx7)2−に置き換わっていてもよい。Rx1〜Rx7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Xa1は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。Xa2は、それぞれ独立に、トリアルキルシリル含有基、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、Xa2が加水分解性基の場合、Xa2とXa1とは、同一であっても異なっていてもよい。n2は、2以上20以下の整数を表す。n3は、2以上5以下の整数を表す。n4は、0〜5の整数を表す。
式(X−3)中、(Si(Rx4)(−Lx2−Si(Xa2)(Xa1)2)−O−)、(Si(Rx5)(Rx6)−O−)で表される単位の順序は任意である。]]

0014

下記式で表される化合物は、有機ケイ素化合物(a)の原料として好ましい化合物である。

0015

[式(IIa−1)中、
Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Rs1は、それぞれ独立に、炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Ra2、Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ry1は、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。n14は、1以上3以下の整数を表す。]

発明の効果

0016

本発明の組成物は、特定の有機ケイ素化合物(a)、及び金属化合物(b)を含むため、撥水性に加え、耐熱性及び耐光性が良好な皮膜を提供することができる。さらに、製膜後に白濁や塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない皮膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

図1は、ウシオ電機社製「SP−9 250DB」の分光放射照度を表す。

0018

本発明の組成物は、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物(a)、及び金属原子に加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物(b)を含む。有機ケイ素化合物(a)に由来するトリアルコキルシリル基により、本発明の組成物から得られる皮膜と液滴(水滴油滴等)との間の摩擦が低減され、液滴が移動しやすくなるとともに、化学的物理的耐久性が高められ、耐熱性、耐光性が向上する。一方、金属化合物(b)に由来する構造は、実質的にスペーサーとして機能することとなり、皮膜の撥水性をさらに高めることができる。このように本発明の組成物は、撥水機能が高められていると同時に、耐光性及び耐熱性(以下、耐光性と耐熱性を合わせて「耐候性」という場合がある)に優れた皮膜を提供できる。さらに、製膜後に白濁や塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない皮膜を提供することができる。そして本発明の有機ケイ素化合物(a)は、加水分解性ケイ素基を2つ以上有するため、基材と強固に結合することができる。有機ケイ素化合物(a)が有する加水分解性ケイ素基は、3つ以上であることが好ましい。また、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下である。
ここで、加水分解性ケイ素基は、加水分解によりシラノール基(Si(OH)基)を形成しうる基(以下、「加水分解性基」ということがある)がケイ素原子に結合した基を意味し、少なくとも1つ(好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ)の加水分解性基が、1つのケイ素原子に結合している基が好ましい。

0019

前記有機ケイ素化合物(a)において、トリアルキルシリル基と加水分解性ケイ素基は、鎖状或いは環状(鎖状及び環状の組合せも含む。以下同じ。)の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサンを介して加水分解性ケイ素基と結合していることが好ましい。これにより、トリアルキルシリル基による撥水性がよりいっそう効果的に発揮される。ここで、ジアルキルシロキサンとは、2個のアルキル基が結合しているケイ素原子と、酸素原子とが交互に連なっている分子鎖を意味するものとする。

0020

有機ケイ素化合物(a)は、式(Ia)で表される化合物であることが好ましい。

0021

0022

[式(Ia)中、Yは、単結合又は*−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。*は酸素原子との結合手を表す。Zは、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Ra1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Ra1の全てが炭化水素基の場合、Ra1で表される炭化水素基はアルキル基である。Rs1、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Ls1は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。Xは、加水分解性ケイ素基を2個以上有する加水分解性ケイ素含有基を表す。n1は、1以上150以下の整数を表す。]

0023

前記式(Ia)中、Ra1の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Ra1の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、直鎖状であることが好ましい。また、Ra1の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。Ra1の炭化水素基としては、メチル基エチル基プロピル基ブチル基等の直鎖状アルキル基等が挙げられる。

0024

Ra1におけるトリアルキルシリルオキシ基に含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。また、Ra1が全てアルキル基である場合の(Ra1)3Si−基又はトリアルキルシリルオキシ基において、3つのアルキル基の合計の炭素数は、好ましくは9以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
前記トリアルキルシリルオキシ基に含まれるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、Ra1が全てアルキル基である場合の(Ra1)3Si−基又はトリアルキルシリルオキシ基において、3つのアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。さらに、Ra1が全てアルキル基である場合の(Ra1)3Si−基又はトリアルキルシリルオキシ基には、メチル基が好ましくは1つ以上、より好ましくは2つ以上、特に好ましくは3つのアルキル基が含まれる。

0025

Ra1が全てアルキル基である場合の(Ra1)3Si−基又はトリアルキルシリルオキシ基において、含まれるトリアルキルシリル基としては、メチルジエチルシリル基、メチルエチルプロピルシリル基、メチルエチルブチルシリル基、メチルジプロピルシリル基、メチルプロピルブチルシリル基、メチルジブチルシリル基等の1つのメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリル基;ジメチルエチルシリル基、ジメチルプロピルシリル基、ジメチルブチルシリル基等の2つのメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリル基;トリメチルシリル基;等が挙げられる。

0026

Ra1が全てアルキル基である場合の(Ra1)3Si−基又はトリアルキルシリルオキシ基において、トリアルキルシリル基に含まれるアルキル基は、その全体がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。該フルオロアルキル基としては、前記アルキル基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子置換された基が挙げられる。該フルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。また、フッ素原子の置換数は、炭素原子の数をnCとしたとき、好ましくは1以上であり、好ましくは2×nC+1以下である。フルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基パーフルオロメチル基)、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基(パーフルオロエチル基)、モノフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基(パーフルオロプロピル基)、モノフルオロブチル基、ジフルオロブチル基、トリフルオロブチル基、テトラフルオロブチル基、ペンタフルオロブチル基、ヘキサフルオロブチル基、ヘプタフルオロブチル基、オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基(パーフルオロブチル基)等が挙げられる。
アルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合、その置換数は、ケイ素原子1つあたり1〜3の範囲で適宜選択できる。

0027

Ra1としては、アルキル基又はトリアルキルシリルオキシ基が好ましく、トリアルキルシリル基がより好ましい。また、複数のRa1のうち、2つ以上がトリアルキルシリルオキシ基であることが好ましく、3つがトリアルキルシリルオキシ基であることがより好ましい。

0028

以下、(Ra1)3Si−Z−(Si(Rs1)2−O−)n1−Y−をトリアルキルシリル基含有分子鎖という場合がある。

0029

前記Yは、*−Si(Rs2)2−Ls1−(ただし、Ls1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)であってもよく、Zは炭素数1〜10の炭化水素基であってもよい。炭化水素基が含まれていても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、化学的・物理的耐久性が高く、耐熱性及び耐光性に優れた皮膜となる。Ls1又はZが2価の炭化水素基である場合、その炭素数は、好ましくは8以下で、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下であり、好ましくは1以上である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基プロピレン基ブチレン基等のアルキレン基等が挙げられる。

0030

さらに、Ls1又はZにおける2価の炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)は、必要により、酸素原子に置き換わっていてもよい。ただし連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることはなく、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わらないことが好ましい。

0031

Zは酸素原子であることが好ましい。Yは、Xが後述する式(X−2)で表される基の場合は酸素原子であることが好ましく、Xが後述する式(X−3)で表される基の場合は*−Si(Rs2)2−Ls1−で表される基であることが好ましい。

0032

Rs1、Rs2のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1、Rs2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。−(Si(Rs1)2−O−)n1−で表されるジアルキルシロキサン鎖としては、(ポリジメチルシロキサン鎖、(ポリ)ジエチルシロキサン鎖等が挙げられる。

0033

n1は、1以上であり、好ましくは150以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは50以下であり、好ましくは3以上である。

0034

また、−Z−(Si(Rs1)2−O−)n1−Y−に含まれる最長直鎖を構成する元素の数は、好ましくは2以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは15以上であり、好ましくは1200以下、より好ましくは700以下、さらに好ましくは500以下である。

0035

Xの加水分解性ケイ素含有基は、加水分解性ケイ素基を2個以上有する基であればよく、例えば、加水分解性ケイ素基が鎖状或いは環状の基部に結合している基であることが好ましい。基部は、炭化水素及び/又は(ポリ)ジアルキルシロキサンであることが好ましい。

0036

Xは、式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基であることが好ましい。

0037

0038

[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx2は、それぞれ、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−O−Si(Rx7)2−に置き換わっていてもよい。
Rx1〜Rx7は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
Xa1は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。
Xa2は、それぞれ独立に、加水分解性基、トリアルコキシシリルオキシ基、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又はトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Xa2が加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基の場合、Xa2とXa1とは、同一であっても異なっていてもよい。
n2は、2以上20以下の整数を表す。
n3は、2以上5以下の整数を表す。
n4は、0以上5以下の整数を表す。
式(X−3)中、(Si(Rx4)(−Lx2−Si(Xa2)(Xa1)2)−O−)及び(Si(Rx5)(Rx6)−O−)で表される単位の順序は任意である。]

0039

Lx1〜Lx2の2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下であり、好ましくは1以上である。Lx1〜Lx2の2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。Lx1〜Lx2の2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。Lx1〜Lx2の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。

0040

Lx1〜Lx2の2価の炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)が−O−又は−Si(Rx7)2−O−に置き換わる場合、Lx1〜Lx2に含まれるメチレン基(−CH2−)のうち、トリメチルシリル基に最も近いメチレン基(−CH2−)が置き換わっていることが好ましい。また、−Si(Xa1)2(Xa2)と直接結合しているメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−Si(Rx7)2−O−に置き換わっていてもよく、置き換わらなくともよく、置き換わらないことが好ましい。

0041

Lx1〜Lx2としては、以下の基を挙げることができる。ただし、*は結合手を表すものとし、左側の*がトリメチルシリル基に近い側であるものとする。

0042

0043

Rx1〜Rx7の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。Rx1〜Rx7の炭化水素基は、鎖状でも環状でもよく、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。Rx1〜Rx7の炭化水素基は、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基である。Rx1〜Rx7の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基等のアルキル基が挙げられる。

0044

Xa1、Xa2の加水分解性基としては、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基ヒドロキシ基アセトキシ基塩素原子イソシアネート基;等が挙げられ、アルコキシ基、イソシアネート基が好ましい。

0045

Xa1、Xa2のトリアルコキシシリルオキシ基に含まれるアルコキシ基は、同一でも異なっていてもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。Xa1、Xa2のトリアルコキシシリルオキシ基としては、トリメトキシシリルオキシ基トリエトキシシリルオキシ基が特に好ましい。

0046

Xa2の炭化水素鎖含有基は、炭化水素鎖を含有しており、この炭化水素鎖を構成する元素数が、トリアルキルシリル基と加水分解性ケイ素基をつなぐ鎖状或いは環状の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサンの元素数よりも少ない基を意味する。また、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数がトリアルキルシリル基含有分子鎖の元素数よりも少ないものであることが好ましい。炭化水素鎖含有基は、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。

0047

なお炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。

0048

前記炭化水素鎖含有基の炭素数は、それが炭化水素基の場合には、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基がより好ましい。

0049

飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基としては、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0050

Xa2のシロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有し、トリアルキルシリル基と加水分解性ケイ素基をつなぐ鎖状或いは環状の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサンを構成する元素数よりも少ない数の元素で構成されるものであればよい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的広がりかさ高さ)が小さな基となる。

0051

また、シロキサン骨格含有基は、鎖状であることが好ましく、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シロキサン骨格含有基において、シロキサン単位(Si−O−)は、好ましくはジアルキルシリルオキシ基であることが好ましい。前記ジアルキルシリルオキシ基としては、ジメチルシリルオキシ基、ジエチルシリルオキシ基等が挙げられる。前記シロキサン単位(Si−O−)の繰り返し数は、好ましくは1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
シロキサン骨格含有基は、シロキサン骨格の一部に2価の炭化水素基を含んでいてもよい。具体的には、シロキサン骨格の一部の酸素原子が2価の炭化水素基で置き換わっていてもよい。シロキサン骨格の一部の酸素原子を置き換えていてもよい2価の炭化水素基としては、トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれるジアルキルシロキサン鎖の酸素原子を置き換えていてもよい2価の炭化水素基と同様の基を好ましく挙げることができる。

0052

また、シロキサン骨格含有基の末端(自由端)のケイ素原子は、隣接するケイ素原子等とのシロキサン単位(Si−O−)形成のための加水分解性基の他、炭化水素基(好ましくはアルキル基)基等を有していてもよい。この場合、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基を有することとなるが、共存するトリアルキルシリル基含有分子鎖よりも元素数が少なければ、スペーサーとしての機能を発揮しうる。また、シロキサン骨格含有基にトリアルキルシリル基が含まれる場合においても、該トリアルキルシリル基のアルキル基は、フルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。

0053

さらに、シロキサン骨格含有基の元素数は、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下であり、通常、10以上である。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖とシロキサン骨格含有基の元素数の差は、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、通常好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。

0054

シロキサン骨格含有基は、式(x1)で表される基であることが好ましい。

0055

0056

[式(x1)中、複数のRx8は、それぞれ独立に、炭化水素基又はヒドロキシ基を表す。Rx9は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。n5は、0以上4以下の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0057

前記式(x1)中、Rx8の炭化水素基としては、Rx1の炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
また、Rx8は、炭化水素基であることが好ましい。Rx8の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わっている場合もある。

0058

また、前記式(x1)中、Rx9の炭素数1〜4のアルキル基としては、式(Ia)におけるRs1として説明した基と同様の基が挙げられる。n5は、0以上3以下の整数であることが好ましい。

0059

シロキサン骨格含有基としては、下記式で表される基が挙げられる。

0060

0061

Xa1は、アルコキシ基又はトリアルコキシシリルオキシ基であることが好ましい。
またXa2としては、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基が好ましく、アルコキシ基又はトリアルコキシシリルオキシ基が好ましい。

0062

n2は、好ましくは2以上10以下の整数、より好ましくは2以上8以下の整数である。
n3は、2以上4以下の整数であることが好ましい。
n4は、0以上4以下の整数であることが好ましい。

0063

Xとしては、下記式で表される基が好ましい。式中、Xa3は加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、n6は2〜10の整数、n7は1〜20の整数、n8は1〜20の整数を表す。*はYとの結合手を表す。

0064

0065

0066

0067

有機ケイ素化合物(a)としては、式(Ia−1)で表される化合物が好ましい。

0068

0069

[式(Ia−1)中、Y、Z、Rs1、n1は、上記と同義である。Ra2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは、式(X−1)〜(X−3)のいずれかで表される基を表す。



[式(X−1)〜(X−3)中、Lx1〜Lx3、Rx1〜Rx8、Bx1〜Bx3、Xa1〜Xa2、n2〜n4は、それぞれ上記と同義である。]]

0070

Ra2のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。Ra2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。

0071

有機ケイ素化合物(a)としては、以下の式で表される化合物が挙げられる。ただしn20は、好ましくは1〜30の整数、より好ましくは1〜20の整数である。

0072

0073

0074

表中、Meはメチル基を意味し、TMSトリメチルシリルオキシ基を意味する。(Y1)〜(Y4)は、それぞれ、以下の式で表される基を意味する。

0075

0076

本発明の有機ケイ素化合物(a)は、例えば、下記式に示すスキームにより合成することができる。

0077

0078

[上記式中、
Lx1、Lx2、Ra1、Rs1、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、Xa1、Xa2、Y、n1、n3、n4は上記と同義である。
Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Ry1、Rx10は、それぞれ独立に、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
Xx1は、ハロゲン原子を表す。
n9は、1〜3の整数を表す。
n14は、1以上3以下の整数を表す。
Rは、アルキル基を表し、M1はアルカリ金属を表す。]

0079

Rs3の炭素数1〜4のアルキル基としては、Ra2のアルキル基と同様の基が挙げられ、Rs3のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。Rs3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
Ry1、Rx10のアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3、特に好ましくは2である。Ry1、Rx10のアルケニル基としては、ビニル基プロペニル基ブテニル基ペンテニル基等が挙げられる。

0080

すなわち、有機ケイ素化合物(a)を製造する際には、例えば、トリアルキルシリル基及びM1O−基(M1は、アルカリ金属を表す。)を有する化合物(以下、「アルカリ金属オキシド」)と、環状ジメチルシロキサンを反応させ(工程(2))、次いで、ケイ素原子にハロゲン原子及びアルケニル基が結合しているケイ素化合物を反応させる(工程(3))。得られた化合物のアルケニル基に由来する炭素炭素二重結合に、環状アルキルシロキサン又はジアルキルシリル基を有するケイ素化合物を反応させ(工程(4)、(6))、さらに、アルケニル基が少なくとも1つと加水分解性基が少なくとも1つケイ素原子に結合しているケイ素化合物又は水素原子が少なくとも1つと加水分解性基が少なくとも1つケイ素原子に結合しているケイ素化合物を反応させることにより(工程(5)、(7)、(8))、有機ケイ素化合物(a)を製造することができる。

0081

上記工程(3)により得られる、下記式で表される化合物も、本発明の範囲に包含される。

0082

0083

[式(IIa)中、Ra1、Rs1、Rs3、Ry1、Z、n1、n14は上記と同義である。]

0084

式(IIa)で表される化合物の中でも、下記式(IIa−1)で表される化合物が好ましい。

0085

0086

[式(IIa−1)中、Ra2、Rs1、Rs3、Ry1、Z、n1、n14は上記と同義である。]

0087

前記アルカリ金属オキシドは、例えば、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基とヒドロキシ基を有する化合物に、有機アルカリ金属化合物(R−M1)を反応させることにより製造することができる(工程(1))。有機アルカリ金属化合物(R−M1)のM1におけるアルカリ金属としては、リチウムが好ましく、有機アルカリ金属化合物(R−M1)としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムが挙げられ、特に好ましくはn−ブチルリチウムである。
前記Xx1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。

0088

工程(4)〜(7)では、触媒を共存させてもよい。触媒としては、塩化白金酸白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体テトラキストリフェニルホスフィン)白金(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)白金(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)白金(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金等が挙げられる。

0089

本発明の組成物に含まれる金属化合物(b)においては、金属原子に加水分解性基が少なくとも1つ結合している。金属化合物(b)は、有機ケイ素化合物(a)に比べて嵩高い基を有しないことが好ましい。これにより、金属化合物(b)に由来する構造が実質的にスペーサーとして機能することとなり、得られる皮膜の撥水性が高められる。
前記金属化合物(b)は、式(Ib−1)又は式(Ib−2)で表される化合物であることが好ましく、式(Ib−1)で表される化合物であることがより好ましい。

0090

0091

[式(Ib−1)中、Rb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、加水分解性基又はフッ化炭素含有基を表し、複数のXb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Xb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、Rb1及びXb2がシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とXb2とは同一であっても異なっていてもよい。Xb2が加水分解性基の場合、Rb1とXb1とは同一でも異なっていてもよい。また、複数の式(Ib−1)間でRb1とXb2は同一であっても異なっていてもよい。Mは、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。m1は、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

0092

0093

[上記式(Ib−2)中、Rb3は、加水分解性シランオリゴマー残基を表し、Xb3は、加水分解性基、炭素数1〜4の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]

0094

式(Ib−1)中、前記Mにおける金属には、Si、Ge等の半金属も含まれる。Mとしては、具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;等が挙げられ、3価金属、4価金属が好ましく、より好ましくはAl、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;であり、さらに好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、特に好ましくはSiである。

0095

式(Ib−1)中、Rb1、Xb1、Xb2の加水分解性基としては、有機ケイ素化合物(a)の加水分解性基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の加水分解性基は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の加水分解性基は、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、該アルコキシ基の炭素数は、1〜2であることがより好ましい。

0096

式(Ib−1)のRb1、Xb1、Xb2のうち、加水分解性基の個数は好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは4以下である。

0097

式(Ib−1)中、Rb1、Xb2のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又はRb1のフッ化炭素含有基の元素数は、有機化合物(a)のトリアルキルシリル基と加水分解性ケイ素基をつなぐ鎖状或いは環状の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサンの元素数よりも少ないことが好ましい。また、Rb1、Xb2のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又はRb1のフッ化炭素含有基に含まれる最長直鎖の炭素数は、トリアルキルシリル基含有分子鎖の元素数よりも少ないものであることが好ましい。これにより、金属化合物(b)に由来する構造がスペーサーとして作用することが可能となる。
Rb1、Xb2のシロキサン骨格含有基としては、Xa2のシロキサン骨格含有基と同様の基が挙げられる。
また、Rb1、Xb2の炭化水素鎖含有基としては、Xa2の炭化水素鎖含有基と同様の基が挙げられる。

0098

式(Ib−1)中、Rb1のフッ化炭素含有基としては、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、特に末端がトリフルオロメチル基である基が好ましい。フッ化炭素含有基としては、式(f1)で表される基が好ましい。

0099

0100

[式(f1)中、
Rf1はそれぞれ独立して、フッ素原子又は1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。
Rb4はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Lf1はそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NRf2−、−NRf2CO−又は−CONRf2−を表す(Rf2は水素原子又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基)。
h1〜h5はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であり、h1〜h5の合計値は100以下である。
h1〜h5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意である。
*はMとの結合手を表す。]

0101

Rf1としては、フッ素原子又は炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のパーフルオロアルキル基が好ましい。Rb4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Lf1は、−O−、−COO−、−OCO−であることが好ましい。h1は、好ましくは1以上30以下、より好ましくは1以上25以下、更に好ましくは1以上10以下、特に好ましくは1以上5以下、最も好ましくは1又は2である。h2は、好ましくは0以上15以下、より好ましくは0以上10以下である。h3は、好ましくは0以上5以下、より好ましくは0以上2以下である。h4は、好ましくは0以上4以下、より好ましくは0以上2以下である。h5は、好ましくは0以上4以下、より好ましくは0以上2以下である。h1〜h5の合計値は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは80以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。

0102

特に、Rf1がフッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキルであり、Rb4が水素原子であり、h3、h4及びh5がいずれも0であり、h1が1以上5以下、h2が0以上5以下であることが好ましい。

0103

前記フッ化炭素含有基としては、例えばCr1F2r1+1−(r1は1〜12の整数)、CF3CH2O(CH2)r2−、CF3(CH2)r3Si(CH3)2(CH2)r2−、CF3COO(CH2)r2−(r2はいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15であり、r3は1〜7であり、好ましくは2〜6である)が挙げられ、また、CF3(CF2)r4−(CH2)r5−、CF3(CF2)r4−C6H4−(r4はいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、r5はいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)も好ましい。

0104

フッ化炭素含有基としては、例えば、フルオロアルキル基、(フルオロアルコキシ)アルキル基、(フルオロアルキルシリル)アルキル基、(フルオロアルキルカルボニルオキシ)アルキル基、(フルオロアルキル)アリール基、(フルオロアルキル)アルケニル基、(フルオロアルキル)アルキニル基等が挙げられる。

0105

フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。
(フルオロアルコキシ)アルキル基としては、例えば(フルオロメトキシ)C5-20アルキル基、(フルオロエトキシ)C5-20アルキル基、(フルオロプロポキシ)C5-20アルキル基、(フルオロブトキシ)C5-20アルキル基などが挙げられる。
(フルオロアルキルシリル)アルキル基としては、例えば(フルオロメチルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロエチルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロプロピルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロブチルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロペンチルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロヘキシルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロへプチルシリル)C5-20アルキル基、(フルオロオクチルシリル)C5-20アルキル基などが挙げられる。
(フルオロアルキルカルボニルオキシ)アルキル基としては、(フルオロメチルカルボニルオキシ)C5-20アルキル基、(フルオロエチルカルボニルオキシ)C5-20アルキル基、(フルオロプロピルカルボニルオキシ)C5-20アルキル基、(フルオロブチルカルボニルオキシ)C5-20アルキル基などが挙げられる。
(フルオロアルキル)アリール基としては、(C1-8フルオロアルキル)フェニル基、(C1-8フルオロアルキル)ナフチル基が挙げられ、(フルオロアルキル)アルケニル基としては、(C1-17フルオロアルキル)ビニル基が挙げられ、(フルオロアルキル)アルキニル基としては、(C1-17フルオロアルキル)エチニル基が挙げられる。

0106

中でも、Rb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基であることが好ましく、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることがより好ましく、加水分解性基であることがさらに好ましい。
また、Xb2は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。

0107

式(Ib−2)中、Rb3の加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は、例えば3以上、好ましくは5以上、より好ましくは7以上である。縮合数は、好ましくは15以下、より好ましくは13以下、更に好ましくは10以下である。
また、前記オリゴマー残基がアルコキシ基を有する場合、該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基等である。前記オリゴマー残基は、これらアルコキシ基の1種又は2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。

0108

加水分解性シランオリゴマー残基は、式(f2)で表される基であることが好ましい。

0109

0110

[上記式(f2)中、Xb4は、それぞれ独立して、加水分解性基又は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基を表す。
h6は0以上100以下の整数である。
*はSiとの結合手を表す。]

0111

式(f2)中、Xb4の加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;アリル基;が好ましい。h6は、好ましくは0以上10以下、より好ましくは0以上7以下である。Xのうち少なくとも一つが低級の含フッ素アルキル基であることも好ましい。Xのうち、少なくとも一つは加水分解性基(特にメトキシ基、エトキシ基、アリル基)であることが好ましい。
Xとしては、加水分解性基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基が好ましい。

0112

Rb3の加水分解性シランオリゴマー残基としては、例えば(C2H5O)3Si−(OSi(OC2H5)2)4O−*、(CH3O)2(CF3CH2CH2)Si−(OSi(OCH3)(CH2CH2CF3))4−O−*などが挙げられる。

0113

また、式(Ib−2)中、Xb3の加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;水素原子;シアノ基;アリル基、イソシアネート基;が挙げられ、アルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基、メトキシ基、イソシアネート基が好ましい。
Xb3としては、加水分解性基、炭素数1〜4の含フッ素アルキル基又はO−基が好ましい。

0114

金属化合物(b)としては、MがSiの場合、例えば、下記式(2−1)〜式(2−5)で表される構造が挙げられる。式中Xb5は、それぞれ独立に、加水分解性基(好ましくは、アルコキシ基又はイソシアネート基)を表すものとする。

0115

0116

また、金属化合物(b)のうち、フッ化炭素含有基を有する化合物としては、例えばCF3−Si−(OCH3)3、CjF2j+1−Si−(OC2H5)3(jは1〜12の整数)が挙げられ、この中で特にC4F9−Si−(OC2H5)3、C6F13−Si−(OC2H5)3、C7F15−Si−(OC2H5)3、C8F17−Si−(OC2H5)3が好ましい。また、CF3CH2O(CH2)kSiCl3、CF3CH2O(CH2)kSi(OCH3)3、CF3CH2O(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3COO(CH2)kSiCl3、CF3COO(CH2)kSi(OCH3)3、CF3COO(CH2)kSi(OC2H5)3が挙げられる(kはいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15である)。また、CF3(CF2)m−(CH2)nSiCl3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OCH3)3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OC2H5)3を挙げることもできる(mはいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、nはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。CF3(CF2)p−(CH2)q−Si−(CH2CH=CH2)3を挙げることもできる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは2〜8であり、qはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。
更に、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3Cl2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OC2H5)2が挙げられる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは3〜7でありqはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。

0117

金属化合物(b)のうち、式(Ib−2)で表される化合物(以下、「加水分解性シランオリゴマー」という場合がある。)としては、例えば、(H5C2O)3−Si−(OSi(OC2H5)2)4OC2H5、Si(OCH3)2(CH2CH2CF3)−(OSi(OCH3)(CH2CH2CF3))4−OCH3などが挙げられる。

0118

本発明の組成物において、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)の比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、モル基準で、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下、よりいっそう好ましくは25以下である。

0119

また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計(後述する溶剤(c)を含む場合、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)と後述する溶剤(c)の合計としてもよい)の含有量は、組成物中、通常50質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計(後述する触媒(d)を含む場合、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)と後述する触媒(d)の合計)の含有量は、組成物中、通常50質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。

0120

本発明の組成物は、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)に加えて、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を1つ有する他の有機ケイ素化合物(a1)を含んでいてもよい。他の有機ケイ素化合物(a1)のトリアルキルシリル基、加水分解性ケイ素基としては、有機ケイ素化合物(a)のトリアルキルシリル基、加水分解性ケイ素基と同様の基が挙げられる。

0121

他の有機ケイ素化合物(a1)は、式(a1)で表される化合物であることが好ましい。

0122

0123

[式(a1)中、
Y1は、酸素原子又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。
Z1は、単結合又は−Ls2−Si(Rs5)2−を表す。
Ra3は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Ra3の全てが炭化水素基の場合、Ra3で表される炭化水素基はアルキル基である。
Rs4、Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
Ls2は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。
Xa3は、それぞれ独立に、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表す。
Xa4は、それぞれ独立に、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基又はトリアルコキシシリルオキシ基を表し、Xa4が加水分解性基の場合、Xa4とXa3とは、同一であっても異なっていてもよい。
n11は、1以上100以下の整数を表す。]

0124

Y1又はLs2の炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、Zの炭素数1〜10の2価の炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。
Z1としては、単結合が好ましい。
Ra3としては、Ra1として例示した基と同様の基が挙げられ、アルキル基又はトリアルキルシリルオキシ基が好ましく、トリアルキルシリル基がより好ましい。
Rs4、Rs5のアルキル基としては、Rs1、Rs2として例示した基と同様の基が挙げられる。(−Si(Rs4)2−O−)n11で表されるジアルキルシロキサン鎖としては、(ポリ)ジメチルシロキサン鎖、(ポリ)ジエチルシロキサン鎖等が挙げられる。
n11は、1以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは20以下、最も好ましくは15以下である。

0125

また、−Z1−(Si(Rs4)2−O−)n11−Y1−に含まれる最長直鎖を構成する元素の数は、好ましくは24以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、好ましくは1200以下、より好ましくは700以下、さらに好ましく250以下である。

0126

有機ケイ素化合物(a1)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。式中、Xa6は加水分解性基(特に、炭素数1〜4のアルコキシ基)を表し、n12は1〜12の整数を表す。n13は、1〜4の整数を表す。

0127

0128

本発明の組成物は、さらに溶剤(c)を含むことが好ましい。溶剤(c)としては、水;アルコール系溶剤エーテル系溶剤ケトン系溶剤エステル系溶剤アミド系溶剤等の親水性有機溶剤芳香族炭化水素系溶剤飽和炭化水素系溶剤等の疎水性有機溶剤が挙げられる、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノールエタノールプロパノールイソプロピルアルコールブタノールエチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタンテトラヒドロフランジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトンメチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼントルエンキシレン等が挙げられ、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサンシクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、水を含んでいてもよい。
水を含む場合、溶剤(c)中、水の含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。

0129

溶剤(c)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計1質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは12質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。溶剤(c)の量がこの範囲にあると、皮膜の厚みの制御が容易である。

0130

本発明の組成物は、さらに、触媒(d)を含んでいてもよい。触媒(d)は、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解触媒として作用しうるものであればよく、例えば、酸性化合物塩基性化合物有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニアアミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn、Zr等の金属元素中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物オクチル酸鉄等の有機鉄化合物亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレートナフテン酸亜鉛オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
中でも、触媒(d)としては、無機酸及び有機金属化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物及び塩酸がより好ましい。

0131

触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。

0132

さらに、本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。

0134

前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニルエチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。

0135

前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。

0136

前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。

0137

前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。

0138

前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン第四級アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンイミダゾールアルキルイミダゾリン誘導体ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールベンゾトリアゾール等のアゾール類メタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体アルキルアミンポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン芳香族アミンエトキシ化アミン、シアノアルキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミンアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミドアルキルエステルピリミジンナフテン酸スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム亜硝酸ナトリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩ポリアルコールポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩ゼラチン;カルボン酸のポリマーニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール脂肪族チオール芳香族チオールアセチレンチオール等のチオール化合物脂肪族スルフィド芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物スルホキシドジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物チオ尿素;アミン又は第四級アンモニウム塩とハロゲンイオンの組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。

0139

前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。

0140

前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノール及び1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。

0141

前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニル)フルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅テトラブチルチウラムサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等が挙げられる。

0142

前記消臭剤としては、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等が挙げられる。

0144

前記難燃剤としてはデカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等が挙げられる。

0145

前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。

0146

また、添加剤としてさらに、滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等を共存させてもよい。

0147

これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、組成物中、通常0.1〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは2〜15質量%である。

0148

上記組成物を空気中で基材と接触させることにより、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)の加水分解性基が加水分解・重縮合され、皮膜が形成される。そして、形成された皮膜は、有機ケイ素化合物(a)に由来するトリアルキルシリル基を有するため、液滴(水滴、油滴等)と皮膜の間の摩擦が低減されており、液滴が移動しやすくなるとともに、化学的・物理的耐久性が高く、耐熱性、耐光性が向上する。一方、トリアルキルシリル基を有しない金属化合物(b)に由来する構造単位は、実質的にスペーサーとして機能するため、皮膜の撥水性は、よりいっそう良好なものとなる。

0149

組成物と基材とを接触させる方法としては、例えば、スピンコーティング法ディップコーティング法、スプレーコーティング法ロールコート法バーコート法ダイコート法などが挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法、スプレーコーティング法によれば、所定の厚さの皮膜を形成することが容易になる。

0150

この際、組成物は、必要に応じて、さらに希釈しておいてもよい。希釈倍率は、例えば2〜100倍であり、好ましくは5〜50倍である。希釈溶剤としては、溶剤(c)として例示した溶媒を適宜使用することができる。

0151

上記組成物の硬化物である皮膜も本発明の範囲に包含される。この皮膜には、ケイ素原子や上記金属原子(好ましくはケイ素原子のみ)が、酸素原子を介して結合した網目状の骨格を有しており、有機ケイ素化合物(a)に由来して、この骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合した構造(A)を有する。

0152

有機ケイ素化合物(a)に由来する構造(A)は、好ましくは、下記式(IA)で表される。

0153

0154

[式(IA)中、Ra1、Z、Rs1、Y、n1は上記と同義である。
Lx5は、鎖状或いは環状の炭化水素及び/又は鎖状或いは環状のジアルキルシロキサンを表す。
n10は、2以上の整数を表す。
Xa6は、それぞれ独立に、下記式で表される構造を表す。

0155

0156

[式中、Xa7は、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、トリアルキルシリル基含有分子鎖又は−O−基を表す。*はLx5との結合手を表す。]]

0157

Xa7の炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基としては、Xa2の炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基と同様の基が挙げられる。Xa7としては、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は−O−基が好ましく、−O−基が特に好ましい。

0158

また、*−Lx5−(Xa6)n9は、下記式で表される基であることが好ましい。

0159

[式中、Lx1〜Lx2、Rx1〜Rx7、Xa6、n2、n3、n4は、それぞれ上記と同義である。]

0160

*−Lx5−(Xa6)n9としては、下記式で表される構造が挙げられる。式中、n6は2〜10の整数、n7は1〜20の整数、n8は1〜20の整数を表す。*はYとの結合手を表す。

0161

0162

0163

0164

構造(A)としては、例えば、以下の式で表される構造が挙げられる。

0165

0166

0167

表中、Meはメチル基を意味し、TMSはトリメチルシリルオキシ基を意味する。(Y1)〜(Y4)は、それぞれ、以下の式で表される基を意味する。

0168

0169

また、本発明の組成物の硬化物である皮膜には、金属化合物(b)に由来して、上記トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合するケイ素原子とは異なるケイ素原子(第2ケイ素原子)に、第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はヒドロキシ基が縮合した基が結合していてもよい。またこの第2ケイ素原子は、他の金属原子(例えば、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn又はZr)に置き換わっていてもよい。こうした第2ケイ素原子や他の金属原子もまた、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも炭素数が少ない炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はヒドロキシ基が結合しているためにスペーサーとして作用し、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水特性向上作用を高めることが可能となる。

0170

金属化合物(b)に由来する構造(B)は、好ましくは、下記式で表される。

0171

0172

[式(IB−1)中、Rb1、M、m1は上記と同義である。Xb7は、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基、または−O−基を表し、Xb7およびRb1がシロキサン骨格含有基、または炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とXb7とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(IB−1)間でRb1とXb7とは同一であっても異なっていてもよい。]

0173

0174

[式(IB−2)中、Rb3は上記と同義である。Xb8は、加水分解性シランオリゴマー残基を表し、Xb8は、加水分解性基、炭素数1〜4の含フッ素アルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、または−O−基を表す。]

0175

式(IB−1)における炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基は、いずれも上記説明した範囲から選択できる。
また、式(IB−2)における加水分解性シランオリゴマー残基、加水分解性基、含フッ素アルキル基、アルキル基は、Xb3について例示した範囲から選択できる。

0176

構造(B)としては、MがSiの場合、例えば、下記式(IB−I−1)〜(IB−I−7)で表される構造を好ましく例示することができる。式中、rは1〜10の整数(特に、1〜3の整数)を表し、qは1〜20の整数(特に、6〜10の整数)を表す。

0177

0178

これらの構造(A)、(B)を含む本発明の皮膜は、皮膜上の液滴の初期接触角をA1、波長300nm以下の領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として、温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、4時間照射した後の皮膜上の液滴の接触角をBZ1としたときに、接触角変化率((BZ1−A1)/A1×100(%))が、下記式で表される関係を満足することが好ましい。
(BZ1−A1)/A1×100(%)≧−9(%)
本発明の皮膜は、特に耐光性が良好であり、高強度の光を照射した場合でも、撥水特性が低下しにくい。前記4時間照射前後の接触角度変化率((BZ1−A1)/A1×100(%))は、より好ましくは−10%以上、さらに好ましくは−7%以上、特に好ましくは−5%以上であり、通常0%以下であり、例えば−0.5%以下であることも許容される。

0179

また本発明の皮膜は、波長300nm以下の領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として、温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、6時間照射したした後の皮膜上の液滴の接触角をBZ2としたとき、接触角変化率((BZ2−A1)/A1×100(%))が、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
(BZ2−A1)/A1×100(%)≧−34(%)
前記6時間照射前後の接触角変化率は、より好ましくは−20%以上、さらに好ましくは−15%以上、特に好ましくは−10%以上であり、また0%以下、さらには0.5%以下であることも許容される。

0180

水銀ランプの照射は、空気雰囲気下で行うことが好ましく、温度は20℃以上、40℃以下であることが好ましく、湿度は40%以上、75%以下であることが好ましい。
上記照射に用いられる水銀ランプとしては、ウシオ電機社製「SP−9 250DB」が挙げられる。

0181

また、本発明の皮膜は、200℃で100時間加熱した後の皮膜上の液滴の接触角をBHとしたとき、接触角変化率((BH−A1)/A1×100(%))が、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
(BH−A1)/A1×100(%)≧−20(%)
前記200℃で100時間加熱した前後の接触角変化率は、より好ましくは−10%以上、さらに好ましくは−7%以上であり、また0%以下、さらには0.5%以下であることも許容される。

0182

上記皮膜を硬化させる際には、組成物と基材とを接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解され、シロキサン骨格が形成される。静置する際、40〜250℃で保持してもよい。
このようにして得られた本発明の皮膜は、従来のフッ素コート剤から得られる皮膜よりも耐候性の点で優れる。

0183

また、本発明の組成物から得られる皮膜は、トリアルキルシリル基含有分子鎖又はトリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わった分子鎖を有するものであり、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化が一定範囲に制御されているものであるため、化学的・物理的耐久性が高い。

0184

本発明の組成物から得られる皮膜は、通常、基材上に形成されており、基材上に皮膜を形成した皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックスガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には、親水化処理を施しておいてもよい。親水化処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂シランカップリング剤テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。

0185

中でも、プライマー層撥水膜基体の間に設けることで、耐湿性耐アルカリ性等の耐久性の耐久性より向上させることができる。プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)を含む下地層形成用組成物プライマー層形成用組成物)を用いて形成された層が好ましい。プライマー層としては、下記式(III)で表される化合物及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含む下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)を用いて形成された層が好ましい。
Si(Xp2)4 …(III)
[ただし、式(III)中、Xp2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基又はイソシアネート基を示す。]

0186

上記式(III)中、Xp2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又はイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXp2が同一であることが好ましい。

0187

このような上記一般式(III)で示される化合物として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4等が好ましく用いられる。本発明において、化合物(III)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0188

下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)に含まれる(P1)成分は、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(III)の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた、一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P1)成分としては、化合物(III)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(III)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(III)が含まれる化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、一般式(III)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0189

また、下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)は、上記(P1)成分と、下記式(IV)で表される化合物及び/又はその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分とを含む、もしくは、上記(P1)成分と上記(P2)成分の部分加水分解共縮合物(ただし、上記(P1)成分及び/又は化合物(IV)を含んでもよい)を含む組成物であってもよい。
(Xp3)3Si−(CH2)p−Si(Xp3)3 …(IV)
[ただし、式(IV)中、Xp3はそれぞれ独立して加水分解性基又は水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]

0190

化合物(IV)は、2価の有機基(好ましくは脂肪族炭化水素基、特にアルキレン基)を挟んで両末端に加水分解性シリル基又はシラノール基を有する化合物である。

0191

式(IV)中、Xp3で示される加水分解性基としては、上記Xp2と同様の基又は原子が挙げられる。化合物(IV)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、Xp3としては、アルコキシ基及びイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(IV)中に複数個存在するXp3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。

0192

化合物(IV)として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられる。本発明において、化合物(IV)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0193

下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)に含まれる成分は、化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(IV)の部分加水分解縮合物は、化合物(III)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P)成分としては、化合物(IV)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(IV)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(IV)が含まれる化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。
一般式(IV)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
また、下地層には、化合物(III)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いてもよい。

0194

下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、撥水膜形成用組成物と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。
下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。

0195

さらに、下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。
下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。

0196

下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り流し塗り回転塗布、浸漬塗布スキージ塗布、スプレー塗布手塗り等の方法で下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)を基体の表面に塗布し、大気中又は窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。

0197

なお、下地層形成用組成物(プライマー層形成用組成物)の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。
プライマー層の厚さは、その上に形成される撥水膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。

0198

本発明の組成物から得られる皮膜は、撥水性と耐熱性及び耐光性(耐候性)を両立でき、更に、製膜後に白濁や塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない。そのため、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。さらに、電車自動車船舶航空機等の輸送機器におけるボディー窓ガラス(フロントガラスサイドガラスリアガラス)、ミラーバンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁テント太陽光発電モジュール遮音板コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0199

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。

0200

接触角の測定
協和界面化学社製「DM700」を使用し、液量を3μLとして、θ/2法にて皮膜表面の水に対する接触角を測定した。

0201

耐光性試験
水銀ランプ(SP−9 250DB,ウシオ電機社製)に均一光照射ユニットウシオ社製)を取り付け、レンズから17.5cmの距離にサンプルを設置した。200−800nmの光強度を強度計VEGA, OPHIL社製)を用いて測定したところ、200mW/cm2であった。温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、水銀ランプをサンプルに4時間又は6時間照射した。透明被膜上の初期接触角をA1、照射後の液滴の接触角をBZとして、下記式に基づいて、照射前後の接触角の変化率を計算した。
接触角変化率(%)={(BZ−A1)/A1}×100(%)
また、上記水銀ランプ(ウシオ電機社製「SP−9 250DB」)の分光放射照度は図1に示す通りであり、波長300nm以下の領域に輝線を有していた。

0202

耐熱性試験
得られた透明皮膜を温度200℃で100時間静置し、耐熱試験を行った。

0203

外観試験
得られた皮膜の表面の異物、白濁の有無を目視で評価した。
○:異物及び白濁がない
×:異物または白濁がある

0204

合成例1
コンデンサーを装着した三ツ口フラスコに、トリクロロイソシアヌル酸3.94gを仕込み窒素置換を実施した。セプタムよりジクロロメタン50mLを仕込み、撹拌、トリス(トリメチルシロキシシラン5.0gを加えた。1時間撹拌した後、ろ過した。濾液ジエチルエーテル150mL、イオン交換水50mL、トリエチルアミン1.87gを仕込んだバスで冷却しながら、濾液を滴下した。室温で1時間撹拌した。イオン交換水で洗浄し、硫酸マグネシウム脱水して、150mmHg、25℃で濃縮し、下記式で表される目的のシラノール化合物(1)を5.8g得た。

0205

0206

三ツ口フラスコに、シラノール化合物(1)を1.56g、THFを7.00g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を3.13mL滴下した。0℃まで昇温し、7.00gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン8.90gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、クロロジメチルビニルシラン0.60gを滴下した。ヘキサン50mLを加えて濾過したのち、水で廃水中性になるまで分液洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。130hPa、25℃で濃縮し、下記式で表される中間体(1)を得た。

0207

0208

四つ口フラスコに1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン5.77gを仕込み、氷冷した。前記中間体(1)に白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液5μLを混合したものを滴下した。15分間撹拌し、2hPa、30℃で濃縮した。−40℃で冷却し、ビニルトリメトキシシラン9.24gに白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液142μLを混合したものを滴下し、常温に戻して2時間撹拌した。2hPa、40℃で濃縮し、下記式で表される化合物(1)を得た。
得られた化合物(1)の1H−NMR(400MHz,基準:CHCl3 (=7.24ppm))の測定結果を以下に示す。

0209

1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.07−0.1((CH3)3−Si)、0.03−0.06((CH3)2−Si)、3.3−4.0(Si−O−CH3)

0210

0211

合成例2
合成例1と同様にして、中間体(1)を得た。
四つ口フラスコにテトラキス(ジメチルシリルオキシ)シラン7.89gを仕込み、氷冷した。前記中間体(1)に白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液5μLを混合したものを滴下した。15分間撹拌し、2hPa、30℃で濃縮した。−40℃で冷却し、ビニルトリメトキシシラン9.24gに白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液142μLを混合したものを滴下し、常温に戻して2時間撹拌した。2hPa、40℃で濃縮し、下記式で表される化合物(2)を得た。
得られた化合物(2)の1H−NMR(400MHz,基準:CDCl3(=7.24ppm))の測定結果を以下に示す。

0212

1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.07−0.1((CH3)3−Si)、0.03−0.06((CH3)2−Si)、3.3−4.0(Si−O−CH3)

0213

0214

合成例3
ヘキサメチルシクロトリシロキサン量を3.34gにしたこと以外は合成例1と同様の手順で、中間体(2)を得た。得られた中間体(2)に対して、合成例2と同様の手順で処理を行い、化合物(3)を得た。
得られた化合物(3)の1H−NMR(400MHz,基準:CDCl3(=7.24ppm))の測定結果を以下に示す。

0215

1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.07−0.1((CH3)3−Si)、0.03−0.06((CH3)2−Si)、3.3−4.0(Si−O−CH3)

0216

0217

合成例4
シラノール化合物(1)を1.56g用いる代わりにトリメチルシラノール0.66gを使用したこと以外は合成例1と同様の手順で、中間体(3)を得た。得られた中間体(3)に対して、合成例1と同様の手順で処理を行い、化合物(4)を得た。
得られた化合物(4)の1H−NMR(400MHz,基準:CDCl3(=7.24ppm))の測定結果を以下に示す。

0218

1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.07−0.1((CH3)3−Si)、0.03−0.06((CH3)2−Si)、3.3−4.0(Si−O−CH3)

0219

0220

実施例1
化合物(1)を6.4×10-5モル、TEOSを1.0×10-3モル、0.01M塩酸水溶液2.8mLをメチルエチルケトン5.0mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(1)とした。

0221

実施例2
化合物(2)を6.3×10-5モル、TEOSを1.0×10-3モル、0.01M塩酸水溶液1.4mLをメチルエチルケトン5.4mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(2)とした。

0222

実施例3
化合物(3)を9.7×10-5モル、TEOSを2.0×10-3モル、0.01M塩酸水溶液4.0mLをメチルエチルケトン8.5mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(3)とした。

0223

実施例4
化合物(4)を6.3×10-5モル、TEOSを1.0×10-3モル、0.01M塩酸水溶液2.4mLをメチルエチルケトン7.2mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(4)とした。

0224

実施例5
化合物(1)を8.6×10-5モル、TEOSを1.0×10-3モル、0.01M塩酸水溶液1.9mLをメチルエチルケトン5.9mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(5)とした。

0225

実施例6
化合物(2)を6.3×10-5モル、TEOSを6.3×10-4モル、0.01M塩酸水溶液1.4mLをメチルエチルケトン5.4mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(6)とした。

0226

実施例7
化合物(2)を6.3×10-5モル、TEOSを1.9×10-3モル、0.01M塩酸水溶液3.7mLをメチルエチルケトン8.7mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(7)とした。

0227

実施例8
化合物(3)を9.7×10-5モル、TEOSを9.6×10-4モル、0.01M塩酸水溶液2.2mLをメチルエチルケトン6.1mLに加え、24時間撹拌して試料溶液を作製した。
試料溶液をメチルエチルケトンで20倍希釈し、塗布溶液(8)とした。

0228

アルカリ洗浄したガラス基板(EAGLEXG、Corning社)にスピンコーターMIKASA社製)を用いて塗布溶液(1)〜(8)を3000rpm、20sでコーティングし、所定の温度で硬化させた。なお、いずれのサンプルについても拭き上げ工程を行わなかった。
作製したサンプルについて、それぞれ初期の接触角を測定するとともに、耐光性を評価した。

0229

比較例1
オプツールDSX−E(ダイキン社製)0.2gとNovec7200(3M社製)39.8gを室温で撹拌して、比較塗布液(1)を得た。実施例と同様の方法で製膜し、評価を行った。

0230

比較例2
化合物(4)0.5g、酢酸ブチル0.57g及びオクタン3.24gを5分間撹拌したものに、10%硝酸水溶液0.22gを添加し3時間撹拌して、比較塗布液(2)を得た。実施例と同様の方法で製膜し、評価を行った。

0231

実施例1〜8及び比較例1〜2で得られた皮膜について、耐光性試験の結果を表3に示す。

0232

0233

実施例1〜8及び比較例1〜2で得られた皮膜について、耐熱性試験の結果を表4に示す。

0234

実施例

0235

目視の評価結果、実施例1〜8及び比較例1のサンプルは、異物や白濁のない透明な膜が得られたため、目視評価は○であった。比較例2は、面内に異物が存在し一部膜厚によると考えられる白濁部分が有ったため、目視評価は×であった。また、比較例2について、耐光性試験、耐熱性試験後のサンプルは、平均的な接触角の低下は比較例1と比較すると小さかったが、表面に存在する異物と斑の周辺で接触角のばらつきが大きくなっていた。

0236

本発明の組成物から得られる皮膜は、撥水性と耐熱性及び耐光性(耐候性)を両立でき、更に、製膜後に白濁や塗り斑が無く、拭き上げ工程を必要としない。そのため、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。さらに、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

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