図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2017年7月6日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
課題
解決手段
(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物であって、該(B)成分と該(C)成分とを混合後、該(A)成分を混合して得られ、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ該(A)成分は該(B)成分よりも多く含有することを特徴とする高増粘性糊料組成物である。
概要
背景
食品や化粧品の分野において、低粘性物質の粘度を向上させたり、ゲル化を行わせるために、増粘用糊料が用いられている。例えば、一般的ゼリーなど多くの食品にはゲル化または増粘効果、さらには15℃〜25℃あたりでの口どけ性効果を期待してゼラチンが多く使用されている。しかしながら、ゼラチンは、動物由来タンパク質由来の素材であるがゆえに、アレルギーなど多くの問題を有しているのみならず、温度不可逆性の特徴により製品製造方法・保管時において多くの問題点を有し、しかも添加量も通常食品中数%〜10%程度添加しなければゲル化または増粘効果を得ることが難しく、その添加量の多さに起因し異臭に起因する製品価値等の低下や不快感の原因となっている。
このような問題に対し、多糖類からなる増粘用糊料を用いることが試されている。このような、増粘用糊料としては、冷菓を製造するための安定剤として、10〜30質量%のキサントモナスガムと10〜30質量%のローカストビーンガムと40〜80質量%のグァガムとの組み合せが提案されている(特許文献1参照)。
また、ビーフカレー、チキンカレー、ハヤシビーフ、ドライカレー等のカレー類、その他牛肉丼、鳥釜飯、焼飯、チキンライス、焼きソバ等の各種調理添加食品の増粘及び粘度低下防止や、肉や野菜などの固相部とラード、サラダ油などの油相部との均質な混合維持、さらに糊状感など、食感低下抑制用として、キサンタンガム又はこれとローカストビーンガム及び/又はグァガム及び/又はタラガム及び/又はカラヤガム及び/又はペクチン及び/又は紅藻類抽出物の1種以上を併用した調理用添加食品素材も提案されている(特許文献2参照)。
さらに、キサンタンとグァガム、解重合されたガラクトマンナン及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の多糖類、及びさらにローカストビーンガムを含むゲル化組成物(特許文献3参照)や、ガラクトマンナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、寒天、大豆水溶性多糖類、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、カラヤガムから選ばれた少なくとも1種の多糖類を増粘剤として用いたときにみられる、液切れ性が悪く、食品に添加した場合、糊状感やべたつき感を示すという欠点を改善するために水分散性セルロースを配合した増粘安定剤(特許文献4参照)も提案されている。
上記の特許文献1ないし3には、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァガムの配合割合が質量比で、特許文献1には、10〜30:10〜30:80〜40、特許文献2には、2:1:1、特許文献3には、20〜80:<20:80〜20とする増粘性糊料が実施例として示されている。また、特許文献4には、液切れ性が悪く、食品に添加した場合、糊状感やべたつき感を示すという欠点を有するものの例としてグァガムとキサンタンガムとを質量比3:1で混合した比較例が示されている。
概要
多糖類を用いた増粘性糊料組成物について、特定食塩濃度を有する液状組成物に含有すると、所望の粘度が得られなかったり、また、所望粘度が得られた場合、得られた液状組成物の各温度域での粘度変化が少ないため、口の中に残ったり、飲み込み難いなどの食感低下を生じるという欠点を克服し、相乗的に優れた増粘性を示す高増粘性糊料組成物を提供する。(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物であって、該(B)成分と該(C)成分とを混合後、該(A)成分を混合して得られ、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ該(A)成分は該(B)成分よりも多く含有することを特徴とする高増粘性糊料組成物である。なし
目的
本発明の目的は、NaClの存在下においても、十分増粘効果を発揮するが、特定温度下では粘度が低下することで、食品に添加した場合に、これまでの増粘剤に見られた飲み込み難かったり、のどに詰まりそうであるような感じを生じるという欠点を克服し、かつ、ゼラチンの好ましい特性を有するがゼラチンに起因する種々の問題を解決し、さらに相乗的に優れた増粘性を示すことができる高増粘性糊料組成物及びその製造方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物であって、該(B)成分と該(C)成分とを混合後、該(A)成分を混合して得られ、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ該(A)成分は該(B)成分よりも多く含有することを特徴とする高増粘性糊料組成物。
請求項2
該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で93:7〜75:25である請求項1に記載の高増粘性糊料組成物。
請求項3
該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で90:10〜80:20である請求項1に記載の高増粘性糊料組成物。
請求項4
更に、該(B)成分と該(C)成分との比が質量比で80:20である請求項1〜3の何れか1項に記載の高増粘性糊料組成物。
請求項5
(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物の製造方法であって、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ、該(A)成分の配合割合が該(B)成分の配合割合より多くなるように配合する工程を含み、前記工程において、該(B)成分と該(C)成分とを混合し、その後、該(A)成分を混合することを特徴とする高増粘性糊料組成物の製造方法。
請求項6
請求項1〜4の何れか一項に記載の高増粘性糊料組成物が添加されてなることを特徴とする低粘性物質。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、含水低粘性物質に添加し、これに高粘性を付与するか、これをゲル化させるか、あるいはこれの粘性をコントロール可能にするための高増粘性糊料組成物であって、特に、特定温度における粘弾性度をこれまでの糊料組成物に比べ低下させることが可能な高増粘性糊料組成物及びその製造方法並びにそれを用いた低粘性物質及びその粘度コントロール方法に関するものである。
背景技術
0002
食品や化粧品の分野において、低粘性物質の粘度を向上させたり、ゲル化を行わせるために、増粘用糊料が用いられている。例えば、一般的ゼリーなど多くの食品にはゲル化または増粘効果、さらには15℃〜25℃あたりでの口どけ性効果を期待してゼラチンが多く使用されている。しかしながら、ゼラチンは、動物由来タンパク質由来の素材であるがゆえに、アレルギーなど多くの問題を有しているのみならず、温度不可逆性の特徴により製品製造方法・保管時において多くの問題点を有し、しかも添加量も通常食品中数%〜10%程度添加しなければゲル化または増粘効果を得ることが難しく、その添加量の多さに起因し異臭に起因する製品価値等の低下や不快感の原因となっている。
このような問題に対し、多糖類からなる増粘用糊料を用いることが試されている。このような、増粘用糊料としては、冷菓を製造するための安定剤として、10〜30質量%のキサントモナスガムと10〜30質量%のローカストビーンガムと40〜80質量%のグァガムとの組み合せが提案されている(特許文献1参照)。
また、ビーフカレー、チキンカレー、ハヤシビーフ、ドライカレー等のカレー類、その他牛肉丼、鳥釜飯、焼飯、チキンライス、焼きソバ等の各種調理添加食品の増粘及び粘度低下防止や、肉や野菜などの固相部とラード、サラダ油などの油相部との均質な混合維持、さらに糊状感など、食感低下抑制用として、キサンタンガム又はこれとローカストビーンガム及び/又はグァガム及び/又はタラガム及び/又はカラヤガム及び/又はペクチン及び/又は紅藻類抽出物の1種以上を併用した調理用添加食品素材も提案されている(特許文献2参照)。
さらに、キサンタンとグァガム、解重合されたガラクトマンナン及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の多糖類、及びさらにローカストビーンガムを含むゲル化組成物(特許文献3参照)や、ガラクトマンナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、寒天、大豆水溶性多糖類、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、カラヤガムから選ばれた少なくとも1種の多糖類を増粘剤として用いたときにみられる、液切れ性が悪く、食品に添加した場合、糊状感やべたつき感を示すという欠点を改善するために水分散性セルロースを配合した増粘安定剤(特許文献4参照)も提案されている。
0003
上記の特許文献1ないし3には、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァガムの配合割合が質量比で、特許文献1には、10〜30:10〜30:80〜40、特許文献2には、2:1:1、特許文献3には、20〜80:<20:80〜20とする増粘性糊料が実施例として示されている。また、特許文献4には、液切れ性が悪く、食品に添加した場合、糊状感やべたつき感を示すという欠点を有するものの例としてグァガムとキサンタンガムとを質量比3:1で混合した比較例が示されている。
先行技術
0004
特開昭55−102360号公報
特開昭52−136932号公報
特開平6−279749号公報
特開2008−50376号公報
発明が解決しようとする課題
0005
特許文献1〜4からも分かるように、キサンタンガムとグァガムとを組み合わせた増粘剤はこれまで知られていた。しかしながら、これらの増粘剤は、粘度向上効果がキサンタンガム単独の場合とほとんど変わらない上に、上記したように、液切れ性が悪く、かつ食品に添加した場合、糊状感やべたつき感を生じ、食品としての品質をそこなうという欠点を有している。また、これら課題を解決するためにさらにローカストビーンガムを組み合わせることが行われているが、その場合、粘度向上効果が見られるものの、増粘剤を用いる対象の温度や塩濃度によって、のど越し性やゼラチンに類似した口どけ性あるいは飲み込み性などの面で未だ満足できるものではなかった。
0006
そこで、本発明の目的は、NaClの存在下においても、十分増粘効果を発揮するが、特定温度下では粘度が低下することで、食品に添加した場合に、これまでの増粘剤に見られた飲み込み難かったり、のどに詰まりそうであるような感じを生じるという欠点を克服し、かつ、ゼラチンの好ましい特性を有するがゼラチンに起因する種々の問題を解決し、さらに相乗的に優れた増粘性を示すことができる高増粘性糊料組成物及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記高増粘性糊料組成物を用いた低粘性物質及びその粘度コントロール方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明者らは、アレルギー原性のないキサンタンガム、グァガム及びローカストビーンガムとの組み合せを有効成分とする高増粘性糊料組成物における欠点(例えば、配合量に起因する素材の風味等が著しく損なわれること、及びゼラチンのような口どけ感が得られないなど)を克服し、相乗的な効果を奏する新規な高増粘性糊料組成物を開発するために、鋭意研究を重ねた。その結果、上記の高増粘性糊料組成物に、各成分の配合順序と配合割合とを特定の範囲に調整することにより、従来のキサンタンガムとローカストビーンガムとからなる糊料組成物やグァガムの配合割合が多い糊料組成物を用いたときに伴う高い増粘効果が得られ、しかもそれを食品に添加した場合に食品が飲み込み難かったり、のどに詰まりそうであるような感じを生じるという食感の劣化が抑制され、しかも著しい増粘性の向上がみられるが、特定の温度において粘性が変化することで口どけ感が上昇することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
0008
すなわち、本発明の増粘性糊料組成物は、(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物であって、該(B)成分と該(C)成分とを混合後、該(A)成分を混合して得られ、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ該(A)成分は該(B)成分よりも多く含有することを特徴とするものである。
本発明の増粘性糊料組成物においては、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で93:7〜75:25であることが好ましく、90:10〜80:20であることがより好ましい。
また、本発明の高増粘性糊料組成物の製造方法は、(A)キサンタンガムと、(B)ローカストビーンガムと、(C)グァガムと、を含有する高増粘性糊料組成物の製造方法であって、該(A)成分と該(B)成分の合計量と該(C)成分との比が質量比で95:5〜70:30であり、かつ、該(A)成分の配合割合が該(B)成分の配合割合より多くなるように配合する工程を含み、前記工程において、該(B)成分と該(C)成分とを混合し、その後、該(A)成分を混合することを特徴とするものである。
さらに、本発明の低粘性物質は、前記高増粘性糊料組成物が添加されてなることを特徴とするものである。
さらにまた、本発明の低粘性物質の粘度コントロール方法は、前記低粘性物質の食塩濃度を0.01%以上に調整し、25℃〜35℃の温度域に維持することを特徴とするものである。
発明の効果
0009
本発明によれば、NaClの存在下においても、十分増粘効果を発揮するが、特定温度下では粘度が低下するので、食品に添加した場合に、これまでの増粘剤に見られた飲み込み難かったり、のどに詰まりそうであるような感じを生じるという欠点を克服することができる高増粘性糊料組成物を提供することができる。以上の結果、本発明の高増粘性糊料組成物によれば、ゼラチンの好ましい特性を有するが、ゼラチン起因する種々の問題が解決され、さらに相乗的に優れた増粘性を示すという効果が得られる。
0010
本発明の高増粘性糊料組成物については、その組成及び配合割合を選択することによって、20℃以上での粘度を従来のキサンタンガム及びローカストビーンガムからなる糊料組成物やさらにグァガムを多く含む糊料組成物に比べ低くすることが可能となる。特に、温度75℃、食塩濃度0.8%の水溶液100gに0.5gを溶解し、60分間撹拌後、30℃まで冷却して調製した試験液を、B型粘度計[東京計器(株)製、回転速度30rpm、No.4ローター使用]で測定した際には、温度25℃〜30℃における粘度を0.9mPa・s以上にでき、しかも31℃〜35℃における粘度を、0.6mPa・s以下にすることができるので有利である。
通常、低粘性物質に対する増粘効果は、添加する増粘剤の量に依存するが、これまでのゼラチンや多糖類を有効成分とする増粘用糊料組成物の場合は、高粘度を与えるためには、3〜10質量%又はそれ以上配合しなければならないが、このように多量の糊料組成物を配合して増粘された製品では、多糖類由来の異味、異臭に起因する不快感を生じるのを避けることができず、問題があった。
0011
しかし、本発明の高増粘性糊料組成物は、高粘度に調製することができるので、少ない配合量で、所望の高粘度を与えることができるため、上記のような問題を解決することができる。
0012
本発明において、(A)成分として用いられるキサンタンガムは、トウモロコシのようなデンプンを細菌により発酵させて得られる水溶性の天然多糖類で、D‐グルコースがβ‐1,4結合した主鎖とこの主鎖のアンヒドログルコースにD‐マンノース、D‐グルクロン酸からなる側鎖が結合した構造を有する物質である。分子量200万ないし5000万程度のものが知られているが、本発明においては、いずれの分子量のものも用いることができる。
0014
また、(C)成分として用いるグァガムは、マメ科植物グァの種子の胚乳部に含有される粘液物質であり、主成分はガラクトマンナンであり、ガラクトースとマンノースが約1:2の割合で結合したものである。
0015
本発明の高増粘性糊料組成物は、前記(A)成分と(C)成分とを予め混合後、ついで前記(B)成分を混合するか、前記(C)成分と(B)成分とを予め混合後、ついで前記(A)成分を混合することにより得ることができる。この場合、前記(A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム及び(C)グァガムの配合割合は、前記(A)成分と(B)成分との合計量と前記(C)成分とを質量比で95:5〜70:30の範囲である。この範囲よりも(C)成分の含有量が多くなると、低粘性物質の粘度を高くすることが難しくなるし、(C)成分の含有量がこの範囲よりも少なくなると、特定温度における粘度コントロール性が失われるので好ましくない。さらに前記(A)成分と(B)成分との配合割合は必ず(A)成分が(B)成分よりも多く配合される必要がある。(A)成分と(B)成分とが同量又は(B)成分の方が多いと、低粘性物質に例えば糊料組成物を0.5質量%添加してもB型粘度が10,000mPa(6rpm)以上の粘度を得ることができない。このことは、所望の粘度を得るために多量の糊料組成物を必要とすることを示し、糊料組成物の配合量が多くなると、低粘性物質の味や臭いなどに変化をもたらすので好ましくない。
低粘性物質を少ない添加量で高い粘度とすること、特定温度での粘度コントロール性、及び糊料組成物を添加した際に低粘性物質の味や臭いなどの変質防止性の面から、好ましい配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計量と(C)成分との配合比が93:7〜75:25、さらに好ましくは90:10〜80:20で、しかも前記(A)成分と(B)との合計量中、(A)成分は必ず、(B)成分よりも配合割合を多くするのが好ましく、その(A)成分の配合割合は51〜80質量%、さらに好ましくは52〜70質量%の範囲である。
0016
特に好ましい範囲の割合で混合することで、高い増粘性が得られる糊料を調整することができ、しかも0.01%以上の食塩濃度下、特定温度、例えば25〜35℃において、それ以外の温度域での粘度よりも30%以上粘度を低下(粘度コントロール性)させるという特徴を得ることが出来る。
0017
本発明の高増粘性糊料組成物としては、できるだけ少ない使用量で低粘性物質に高粘度、例えば10,000mPa・s以上の粘度を付与し得るのが望ましいので、それを製造するに当り、温度75℃のイオン交換水100gに試料0.5gを溶解し、60分間撹拌後、25℃まで冷却して試験液を調製し、24時間後にB型粘度計で測定したときの粘度が10000mPa・s(6rpm)以上になるように、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を前記配合割合の中から適宜配合割合を選択して配合するのが有利であるが、特に特定温度で粘度を低下させる場合は予め前記(A)成分と(B)成分のいずれか1種と(C)成分とを混合後、残りの成分を混合するのが好ましい。
0018
次に、本発明の高増粘性糊料組成物によって増粘し得る低粘性物質としては、室温において液状又はペースト状の形態をとるものであればよく、特に制限はない。このような低粘性物質には、液状食品、液状化粧品、液状医薬品、液状工業製品などが含まれる。
0019
この中の液状食品の例としては、コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、汁粉、ジュース、豆乳、生乳、加工乳、乳酸菌飲料、カルシウム強化飲料、食物繊維含有飲料などの飲料類、コーヒーホワイトナー、ホイッピングクリーム、カスタードクリーム、ソフトクリームなどの乳製品類、スープ、シチュー、ソース、タレ、ドレッシング、練り辛子、練りわさびなどの液状料理、調味料類、フルーツソース、フルーツプレパレーションなどの果肉加工品類、流動食類、ゼリーやプリンなどのゲル状食品、液状又はペースト状サプリメント類、液状又はペースト状ペットフード類を挙げることができる。
0020
上記の液状医薬品の例としては、経口用製剤、経鼻用製剤、点滴用製剤、経管用製剤、軟膏、薬用化粧品、ビタミン含有保健剤、薬用育毛剤、薬用歯磨き剤、浴用剤、駆虫剤、腋臭防止剤、口内清涼剤、生体材料、貼布剤、皮膚塗布剤などを挙げることができる。
0021
上記の液状化粧品の例としては、皮膚用化粧品(化粧水、乳液、美容液、パック、モイスチャークリーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、クレンジングクリーム、洗顔料、バニシングクリーム、エモリエントクリーム、ハンドクリーム、制汗・デオドラント剤、日焼け止め用化粧料など)、仕上用化粧品(ファンデーション、おしろい、口紅、リップクリーム、ほほ紅、サンスクリーン化粧料、まゆ墨、マスカラ等まつげ用化粧料、マニキュアや除光液など)、頭髪用化粧品(シャンプー、ヘアリンス、ヘアトニック、ヘアトリートメント、ポマード、チック、ヘアクリーム、香油、整髪料、ヘアスタイリング剤、ヘアスプレー、染毛料、育毛剤や養毛剤など)、その他ハンドクリーナーのような洗浄剤、浴用化粧品、ひげそり用化粧品、芳香剤、歯磨き剤、軟膏、貼布剤などを挙げることができる。
0022
上記の液状工業製品の例としては、顔料、塗料、インク類、消臭・芳香剤、抗菌・防カビ剤、接着剤、コーティング剤、シーリング剤、放熱剤、各種オイル(切削油、潤滑油等)、パンク補修剤、タイヤ、自転車や自動車用チューブ、界面活性剤(分散剤)、衛生材料、湿潤材料、吸湿材料、吸着材料、表面保護剤、培養材料、洗剤、液体石けん、各種電池などを挙げることができる。
0023
次に、本発明方法に従い、低粘性物質を増粘し、その粘度をコントロールするには、本発明の高増粘性糊料組成物を、低粘性物質に対し、所望の粘度を得るのに必要な量で添加し、加熱しながらよく撹拌し、均一に分散させる。
0024
この際の添加量は、低粘性物質に対し、どの程度の粘度向上を必要とするかに応じて適宜選ばれるが、添加により製品の品質がそこなわれないように、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下の範囲が選ばれる。例えば、蜂蜜程度の粘度(B型粘度(6rpm)で1000mPa・s程度)を付与するには、0.1〜1質量%の範囲内で選ばれ、また、40Pa以上(5℃)程度の弾性を付与するには、0.5〜10質量%の範囲が選ばれる。
0025
加熱温度としては、60〜90℃、好ましくは80〜85℃の範囲の温度が用いられる。この加熱により、粘度はいったん低下するが、これを室温例えば30℃以下に冷却すると、粘度は著しく増大する。単に室温下で混合しただけでも、従来の糊料組成物を用いた場合に比べ、優れた粘度向上が認められるが、いったん80℃以上に加熱して、再度冷却すると、著しい増粘効果が奏される。
0026
本発明方法に従って粘度をコントロールする際の手順としては、あらかじめ混合した(A)成分又は(B)成分のいずれか1種と(C)成分を混合後、それを低粘性物質に加えたのち、残りの(A)成分又は(B)成分を加えてもよいし、また(A)成分又は(B)成分のいずれか1種と(C)成分とを混合後、続いて残りの(A)成分又は(B)成分を混合したものを低粘性物質に加えてもよい。本発明では、特に(C)成分と他の1成分とを混合し、その後他の1成分を混合する方法で得られる糊料組成物を製造したのち、これを水に溶解して一度に低粘性物質に加えるのが有利である。
0027
本発明の高増粘性糊料組成物は、多糖類を用いているにもかかわらず、低粘性物質の著しい高粘度化が可能となるため、例えば、これまでの糊料組成物の使用量と同程度の使用量で10000mPa・s(B型粘度。6rpm)以上の粘度を有する増粘物が得られる。
また、本発明の高増粘性糊料組成物は、特定の温度域で粘度をコントロールすることができるため、口解け性やのど越しなどの食感を変化させることが可能となり、食品や医療品などの安全性や取扱い性が向上するなどの効果を奏する。
さらに、本発明の高増粘性糊料組成物は、特定温度下で変形させることができるため、リチウムイオン電池などの各種電池や自動車用バッテリーなどのシーリング剤や接着剤として用いると、通常使用温度ではしっかり蓋とケースとを密封し、リサイクル時又は修理時などでは特定温度に維持することで粘度を低下させ、蓋とケースとを分離できるなどの優れた効果を奏する。
これらの効果は、他の工業用低粘性物質でも同様であり、例えば、塗料、インク類、消臭・芳香剤、抗菌・防カビ剤、接着剤などでは、通常、固形状態であるものを使用時に液状状態にすることで、搬送性や取扱い性が向上したり、これまでよりも有効成分を多く含有させることができるので、性能向上が期待できる。
また、これまでの低粘性物質に対し要求される粘度であれば、本発明の高増粘性糊料組成物は、従来の糊料組成物を用いた場合の使用量に比べて少なくてすむため、多糖類に起因する異味異臭を抑制できる。したがって、例えば、食品や医薬品などの分野においては、味を阻害しないという優れた効果を奏する。
さらに、本発明に従えば、その使用量は少量で高粘度化が可能であることから、例えば低粘性物質中の成分量を増加させたり、他の成分を追加することが可能となるため、製品の高機能化のほか、商品全体量の削減などによる省資源化の効果を奏する。また、本発明方法に従えば、いったん加熱し、その後冷却することにより、より高い増粘効果が得られるため、特に加工過程で加熱するようなゼリーやプリンなどの食品分野に好適に用いられる。
0028
次に、本発明を実施例および比較例に基づき説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
0029
B型粘度(mPa・s)
得られたサンプルのB型粘度を測定した。なお、B型粘度の測定は、B型粘度計(東京計器社製、No.4またはNo.3ローターを用い、回転速度60rpm、6rpm、1分間測定)を用い、25℃、35℃の2点で測定した。また、25℃に対する35℃の粘度減少率を求めた。
0030
(実施例1)
(B)ローカストビーンガム40gと(C)グァガム10gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(A)キサンタンガム50gを加え、さらに5分間混合し、増粘性糊料組成物を得た。これを糊料組成物の濃度が0.5質量%となるように75℃まで加熱した蒸留水100mlに溶解し、1000rpmで60分間撹拌して自然冷却により25℃まで降温しサンプルを調製した。24時間後に、このようにして得た各サンプルの温度をウォーターバスで25℃に調節し、B型粘度を測定した。次いでウォーターバスの温度を35℃まで上げて、1時間維持したのち、再度B型粘度を測定した。このようにして得たサンプルのB型粘度(60rpm)を表1に、B型粘度(6rpm)を表3に示す。
0031
(参考例2)
(A)キサンタンガム50gと(C)グァガム10gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(B)ローカストビーンガム40gを加え、さらに5分間混合し、増粘性糊料組成物を得た。これを糊料組成物の濃度が0.5質量%となるように75℃まで加熱した食塩濃度0.8%水溶液100mlに溶解し、1000rpmで60分間撹拌して自然冷却により25℃まで降温しサンプルを調製した。24時間後に、このようにして得た各サンプルの温度をウォーターバスで25℃に調節し、B型粘度を測定した。次いでウォーターバスの温度を35℃まで上げて、1時間維持したのち、再度B型粘度を測定した。このようにして得たサンプルのB型粘度(60rpm)を表1に、B型粘度(6rpm)を表3に示す。
0032
(参考例3)
実施例1において、(A)キサンタンガム50gと(C)グァガム10gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(B)ローカストビーンガムを40g加え、さらに5分間混合した以外は全て実施例1と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このようにして得たサンプルのB型粘度を実施例1と同様にして測定した。そのB型粘度(60rpm)を表1に、B型粘度(6rpm)を表3に示す。
0033
弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾き
実施例及び比較例で調製したサンプルについてレオメーター(製品名:回転型レオメーター、kinexus pro,Malvern社製)を用いて粘弾性(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを、周波数1Hz、温度変動範囲60〜5度(1度毎分連続変化)で測定した。
0034
(実施例4)
(B)ローカストビーンガム16gと(C)グァガム20gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(A)キサンタンガム64gを加え、さらに5分間混合し、増粘性糊料組成物を得た。これを糊料組成物の濃度が0.5質量%となるように85℃まで加熱した蒸留水100mlに溶解し、1000rpmで60分間撹拌して自然冷却により60℃まで降温しサンプルを調製した。このサンプルの弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを測定した。このようにして得たサンプルの10℃における弾性率及び損失正接を表6に、10℃及び20℃における弾性率(Pa)を表7に示す。
0035
(参考例5)
実施例4において、(A)キサンタンガム64gと(C)グァガム20gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(B)ローカストビーンガム16gを加え、さらに5分間混合した以外は全て実施例4と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。実施例4と同様にして、このようにして得たサンプルの10℃における弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを測定した。その結果を表6に示す。
0036
(比較例1)
(A)キサンタンガム50gと(B)ローカストビーンガム40gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(C)グァガム10gを加え、さらに5分間混合し、増粘性糊料組成物を得た。これを糊料組成物の濃度が0.5質量%となるように75℃まで加熱した蒸留水100mlに溶解し、1000rpmで60分間撹拌して自然冷却により25℃まで降温しサンプルを調製した。24時間後に、このようにして得た各サンプルの温度をウォーターバスで25℃に調節し、B型粘度を測定した。次いでウォーターバスの温度を35℃まで上げて、1時間維持したのち、再度B型粘度を測定した。このようにして得たサンプルのB型粘度(60rpm)を表2に、B型粘度(6rpm)を表4に示す。
0037
(比較例2)
実施例1において、(A)キサンタンガム50g、(B)ローカストビーンガム50gとし、(C)成分を使用しなかった以外は全て実施例1と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このもののB型粘度(60rpm)を表2に、B型粘度(6rpm)を表4に示す。
0038
(比較例3)
実施例1において、(A)キサンタンガム50g、(C)グァガム10g及び(B)ローカストビーンガム40gの3成分を全てアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより15分間混合した以外は全て実施例1と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このもののB型粘度(60rpm)を表2に、B型粘度(6rpm)を表4に示す。
0039
(比較例4)
参考例2において、(A)キサンタンガム50g、(C)グァガム10g及び(B)ローカストビーンガム40gの3成分を全てアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより15分間混合し調製した以外は全て参考例2と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このもののB型粘度(60rpm)を表2に、B型粘度(6rpm)を表4に示す。
0040
(比較例5)
参考例2において、(A)キサンタンガム50g、(B)ローカストビーンガム50gとし、(C)成分を使用しなかった以外は全て参考例2と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このもののB型粘度(60rpm)を表2に、B型粘度(6rpm)を表4に示す。
0041
(比較例6)
(A)キサンタンガム64gと(B)ローカストビーンガム16gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合後、その中に(C)グァガム20gを加え、さらに5分間混合した以外は全て実施例4と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このサンプルの10℃における弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを参考例5と同様にして測定した。その結果を表6に示す。
0042
(比較例7)
(B)ローカストビーンガム20gと(A)キサンタンガム80gとをアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合することによって、増粘性糊料組成物を調製しサンプルを得た。この糊料組成物の弾性率(40Pa、5℃)を実施例4および参考例5と同様にする為に、濃度が0.4質量%となるように調整し実施例4と同様にしてサンプルを得た。このサンプルの10℃における弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを参考例5と同様にして測定した。その結果を表6に示す。
0043
(比較例8)
(B)ローカストビーンガム16g、(C)グァガム20g、(A)キサンタンガム64g、3成分すべて同時にアイボーイ広口びん(250ml用)に入れ、ハンドシェイクにより5分間混合した以外は全て実施例4と同様にして増粘性糊料組成物を調製し、サンプルを得た。このサンプルの10℃における弾性率(Pa)および損失正接(tanδ)の傾きを実施例4と同様にして測定した。その結果を表6に示す。
0044
(比較例9)
実施例4の増粘性糊料組成物をゼラチンに代え、かつゼラチンの濃度が5%となるように調製した以外は全て実施例と同様にしてサンプルを得た。このサンプルの物性として、実施例4と同様にして10℃及び20℃における弾性率(Pa)を測定した。その結果を表7に示す。
0045
0046
0047
0048
0049
この表から分るように、本発明の糊料組成物を低粘性物質に含有すると、粘度が高くかつ、環境に関わらず特定温度において、粘度を低下させることができる。このような物性を有することから、本発明の糊料組成物を食品や医療品、工業用製品に応用すると、温度により物性、例えば、形状や安全性などの面が向上した製品が得られることが推察される。
0050
粘弾性特性
参考例2及び比較例4で得られたサンプルの貯蔵剪断弾性率(E’)と損失剪断弾性率(E”)及びその比、E”/E’(tanδ)を求めた。その結果を表5に示す。なお、測定条件は次のとおりである。
測定機器:動的粘弾性測定装置
測定条件:振幅…指定値変 位 A200.00
温度…連続変化
周波数…指定値4.00
0051
0052
この表から分るように、比較例4のサンプルは、各温度域でtanδが大きく変化することがない。このことから特定食塩濃度を有する環境下であっても、比較例4のサンプルは一定粘度を有するものであると考えられる。一方、参考例2のものは、30℃付近から急激にtanδの値が増加しているので、特定温度で粘度コントロールが可能であることが分かる。
0053
0054
この表から分るように、本発明の糊料組成物を低粘性物質に含有すると、粘弾性が高くかつ、(C)成分と他の1成分とを混合する事により特定温度での粘弾性の変化を確実に発現させることができる。本発明の糊料組成物は、このような物性を有することから、食品や医療品、工業用製品に応用すると、温度により物性、例えば、形状や安全性、くち溶け性などの面が向上した製品が得られることが推察される。
0055
実施例
0056
この表から分るように、本発明の糊料組成物の製造方法を用いると、ゼラチンの添加量の1/10量の添加量でかつ、ゼラチンにより近いくち溶け性を発現させることができる。本発明の糊料組成物は、このような物性を有することから、ゼラチンの代替素材として食品や医療品、工業用製品に応用すると、温度により物性、例えば、形状や安全性、くち溶け性などの面が向上した製品が得られることが推察される。