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技術 誘導電動機の制御装置

出願人 日本リライアンス株式会社
発明者 齋藤洋治
出願日 2015年12月25日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-254489
公開日 2017年6月29日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2017-118778
状態 特許登録済
技術分野 交流電動機の制御一般
主要キーワード 基準設定温度 いすべり 増加特性 レギュレータ出力 トルク電圧 次抵抗値 下限設定 磁束飽和
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

フラックスレギュレータまたはスリップレギュレータのON/OFF切り替え時に、トルクの変化を抑える。

解決手段

リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映された励磁電流指令Id*の代わりに元励磁電流指令IdRを励磁電流指令Id*’として出力する。リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2に対応する下限値L1=IdR〜IdR×0.5、及び上限値U1=IdR〜IdR×2を設定する。リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合、下限値L2=IdR×0.5及び上限値U2=IdR×2を設定する。そして、リミッタ17−1は、励磁電流指令Id*に対してこの上下限値による制限を加えた励磁電流指令Id*’を出力する。

概要

背景

従来、励磁電流を制御することで所定の回転磁界を発生させ、すべり周波数を制御することで所定のトルクを発生させる誘導電動機制御装置が知られている。例えば、すべり周波数を制御する手法として、スリップの発生を抑えるために、誘導電動機の電流から温度を推定し、推定した温度と基準設定温度との間の差に基づいて、すべり周波数を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。

また、すべり周波数を制御する手法として、誘導電動機のトルク不足を回避するための技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この手法では、誘導電動機への印加電圧及び電流に基づいて回転数を推定すると共に、トルク指令に基づいて回転数を予測する。そして、回転数が低い領域では予測した回転数による速度を補償値とし、それ以外の領域では推定した回転数による速度を補償値とすることで、すべり周波数を算出する。

このように、すべり周波数を制御することで所定のトルクを発生させる手法として、様々な技術が提案されており、励磁電流を制御することで所定の回転磁界を発生させる手法についても同様である。

ところで、励磁電流と当該励磁電流により発生する回転磁界との間には、磁束飽和特性や時間的な遅れがあり、また、すべり周波数は誘導電動機の抵抗の温度に伴い変化する。

このため、励磁電流を制御する際には、発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを考慮する必要があり、すべり周波数を制御する際には、誘導電動機の抵抗温度の変化を考慮する必要がある。

従来、磁束飽和特性や回転磁界の発生の遅れを補償し、誘導電動機の抵抗温度の変化に伴うすべり変動を補償するために、フラックスレギュレータ及びスリップレギュレータが用いられる。フラックスレギュレータは、トルク電圧の変化に基づいて、その指令との間の偏差が0になるように励磁電流を制御する。スリップレギュレータは、励磁電圧の変化に基づいて、その指令との間の偏差が0になるようにすべり周波数を制御する。

しかしながら、励磁電流の制御及びすべり周波数の制御では、電圧レベルの低い低回転領域において、フラックスレギュレータ及びスリップレギュレータを動作させることができない。また、中回転以上の領域においても、トルクが低い場合は、トルク成分に対する電圧が低いため、スリップレギュレータを動作させることができない。

このため、従来の励磁電流の制御においては、誘導電動機の電気角速度出力周波数)の低い領域ではフラックスレギュレータ及びスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFFオンオフ)制御を行うようになっている。従来のすべり周波数の制御においても同様である。

また、従来のすべり周波数の制御においては、トルクの低い領域ではスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFF制御を行うようになっている。

つまり、誘導電動機の回転速度の低い領域では、フラックスレギュレータによる励磁電流の制御が反映されないように、励磁電流指令Id*が算出される。このときのフラックスレギュレータの動作がOFFであり、それ以外の領域の動作がONである。

また、誘導電動機の回転速度の低い領域またはトルクの低い領域では、スリップレギュレータによるすべり周波数係数の制御が反映されないように、すべり周波数係数ωkが算出される。このときのスリップレギュレータの動作がOFFであり、それ以外の領域の動作がONである。

図12は、従来のすべり周波数係数の制御を説明する図である。図12(1)は、スリップレギュレータがOFFからONへ変化するときのすべり周波数係数ωkの範囲を示し、図12(2)は、スリップレギュレータがONからOFFへ変化するときのすべり周波数係数ωkの範囲を示す。

図12(1)を参照して、スリップレギュレータがOFFからONへ変化する場合、トルク電流指令Iq*の絶対値であるトルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ib(>Ia)以下のときに、スリップレギュレータの出力に関わらず、所定の初期値がすべり周波数係数ωkとして用いられる。そして、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ibよりも大きくなると、所定の初期値×2を上限値、所定の初期値×0.5を下限値とした範囲内で、スリップレギュレータの出力がすべり周波数係数ωkとして用いられる。

図12(2)を参照して、スリップレギュレータがONからOFFへ変化する場合、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ia(<Ib)よりも大きいときに、所定の初期値×2を上限値、所定の初期値×0.5を下限値とした範囲内で、スリップレギュレータの出力がすべり周波数係数ωkとして用いられる。そして、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ia以下になると、スリップレギュレータの出力に関わらず、所定の初期値がすべり周波数係数ωkとして用いられる。

概要

フラックスレギュレータまたはスリップレギュレータのON/OFFの切り替え時に、トルクの変化を抑える。リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映された励磁電流指令Id*の代わりに元励磁電流指令IdRを励磁電流指令Id*’として出力する。リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2に対応する下限値L1=IdR〜IdR×0.5、及び上限値U1=IdR〜IdR×2を設定する。リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合、下限値L2=IdR×0.5及び上限値U2=IdR×2を設定する。そして、リミッタ17−1は、励磁電流指令Id*に対してこの上下限値による制限を加えた励磁電流指令Id*’を出力する。

目的

本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、フラックスレギュレータまたはスリップレギュレータのON/OFFの切り替え時に、トルクの変化を抑えることが可能な誘導電動機の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準トルク電圧指令と前記トルク電圧指令との間の偏差が0になるように、フラックスレギュレータ出力値を生成するフラックスレギュレータと、予め設定された元励磁電流指令に、前記フラックスレギュレータにより生成された前記フラックスレギュレータ出力値を加算し、第1励磁電流指令を生成する第1の加算器と、前記第1の加算器により生成された前記第1励磁電流指令に対し、所定の上下限値にて制限を加え、前記励磁電流指令を出力する第1のリミッタと、を備え、前記第1のリミッタは、前記電気角速度の絶対値が予め設定された第1の閾値以下の場合に、前記元励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第2の閾値よりも小さい場合に、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値から前記第2の閾値へ変化したときに、下限値が前記元励磁電流指令から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元励磁電流指令から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記電気角速度の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第2の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力する、ことを特徴とする制御装置。

請求項2

励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値を加算し、第1すべり周波数係数を生成する第2の加算器と、前記第2の加算器により生成された前記第1すべり周波数係数に対し、所定の上下限値にて制限を加え、第2すべり周波数係数を出力する第2のリミッタと、前記トルク電流指令に前記第2のリミッタにより出力された前記第2すべり周波数係数を乗算し、前記すべり周波数を生成する第1の乗算器と、を備え、前記第2のリミッタは、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、前記元すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記元すべり周波数係数から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元すべり周波数係数から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力する、ことを特徴とする制御装置。

請求項3

請求項1に記載の制御装置において、さらに、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値を加算し、第1すべり周波数係数を生成する第2の加算器と、前記第2の加算器により生成された前記第1すべり周波数係数に対し、所定の上下限値にて制限を加え、第2すべり周波数係数を出力する第2のリミッタと、前記トルク電流指令に前記第2のリミッタにより出力された前記第2すべり周波数係数を乗算し、前記すべり周波数を生成する第1の乗算器と、を備え、前記第2のリミッタは、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、前記元すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記元すべり周波数係数から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元すべり周波数係数から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力する、ことを特徴とする制御装置。

請求項4

励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準トルク電圧指令と前記トルク電圧指令との間の偏差が0になるように、フラックスレギュレータ出力値を生成するフラックスレギュレータと、前記フラックスレギュレータにより生成された前記フラックスレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後フラックスレギュレータ出力値を出力する第3のリミッタと、予め設定された元励磁電流指令に、前記第3のリミッタにより出力された前記制限後フラックスレギュレータ出力値を加算し、前記励磁電流指令を生成する第3の加算器と、を備え、前記第3のリミッタは、前記電気角速度の絶対値が予め設定された第1の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第2の閾値よりも小さい場合に、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値から前記第2の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記電気角速度の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記フラックスレギュレータ出力値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第2の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記フラックスレギュレータ出力値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする制御装置。

請求項5

励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後スリップレギュレータ出力値を出力する第4のリミッタと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記第4のリミッタにより生成された前記制限後スリップレギュレータ出力値を加算し、加算結果を生成する第4の加算器と、前記トルク電流指令に前記第4の加算器により生成された前記加算結果を乗算し、前記すべり周波数を生成する第2の乗算器と、を備え、前記第4のリミッタは、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする制御装置。

請求項6

請求項4に記載の制御装置において、さらに、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後スリップレギュレータ出力値を出力する第4のリミッタと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記第4のリミッタにより生成された前記制限後スリップレギュレータ出力値を加算し、加算結果を生成する第4の加算器と、前記トルク電流指令に前記第4の加算器により生成された前記加算結果を乗算し、前記すべり周波数を生成する第2の乗算器と、を備え、前記第4のリミッタは、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする制御装置。

技術分野

0001

本発明は、誘導電動機制御装置に関し、特に、トルクの変化を抑えるための制御技術に関する。

背景技術

0002

従来、励磁電流を制御することで所定の回転磁界を発生させ、すべり周波数を制御することで所定のトルクを発生させる誘導電動機の制御装置が知られている。例えば、すべり周波数を制御する手法として、スリップの発生を抑えるために、誘導電動機の電流から温度を推定し、推定した温度と基準設定温度との間の差に基づいて、すべり周波数を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。

0003

また、すべり周波数を制御する手法として、誘導電動機のトルク不足を回避するための技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この手法では、誘導電動機への印加電圧及び電流に基づいて回転数を推定すると共に、トルク指令に基づいて回転数を予測する。そして、回転数が低い領域では予測した回転数による速度を補償値とし、それ以外の領域では推定した回転数による速度を補償値とすることで、すべり周波数を算出する。

0004

このように、すべり周波数を制御することで所定のトルクを発生させる手法として、様々な技術が提案されており、励磁電流を制御することで所定の回転磁界を発生させる手法についても同様である。

0005

ところで、励磁電流と当該励磁電流により発生する回転磁界との間には、磁束飽和特性や時間的な遅れがあり、また、すべり周波数は誘導電動機の抵抗の温度に伴い変化する。

0006

このため、励磁電流を制御する際には、発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを考慮する必要があり、すべり周波数を制御する際には、誘導電動機の抵抗温度の変化を考慮する必要がある。

0007

従来、磁束飽和特性や回転磁界の発生の遅れを補償し、誘導電動機の抵抗温度の変化に伴うすべり変動を補償するために、フラックスレギュレータ及びスリップレギュレータが用いられる。フラックスレギュレータは、トルク電圧の変化に基づいて、その指令との間の偏差が0になるように励磁電流を制御する。スリップレギュレータは、励磁電圧の変化に基づいて、その指令との間の偏差が0になるようにすべり周波数を制御する。

0008

しかしながら、励磁電流の制御及びすべり周波数の制御では、電圧レベルの低い低回転領域において、フラックスレギュレータ及びスリップレギュレータを動作させることができない。また、中回転以上の領域においても、トルクが低い場合は、トルク成分に対する電圧が低いため、スリップレギュレータを動作させることができない。

0009

このため、従来の励磁電流の制御においては、誘導電動機の電気角速度出力周波数)の低い領域ではフラックスレギュレータ及びスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFFオンオフ)制御を行うようになっている。従来のすべり周波数の制御においても同様である。

0010

また、従来のすべり周波数の制御においては、トルクの低い領域ではスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFF制御を行うようになっている。

0011

つまり、誘導電動機の回転速度の低い領域では、フラックスレギュレータによる励磁電流の制御が反映されないように、励磁電流指令Id*が算出される。このときのフラックスレギュレータの動作がOFFであり、それ以外の領域の動作がONである。

0012

また、誘導電動機の回転速度の低い領域またはトルクの低い領域では、スリップレギュレータによるすべり周波数係数の制御が反映されないように、すべり周波数係数ωkが算出される。このときのスリップレギュレータの動作がOFFであり、それ以外の領域の動作がONである。

0013

図12は、従来のすべり周波数係数の制御を説明する図である。図12(1)は、スリップレギュレータがOFFからONへ変化するときのすべり周波数係数ωkの範囲を示し、図12(2)は、スリップレギュレータがONからOFFへ変化するときのすべり周波数係数ωkの範囲を示す。

0014

図12(1)を参照して、スリップレギュレータがOFFからONへ変化する場合、トルク電流指令Iq*の絶対値であるトルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ib(>Ia)以下のときに、スリップレギュレータの出力に関わらず、所定の初期値がすべり周波数係数ωkとして用いられる。そして、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ibよりも大きくなると、所定の初期値×2を上限値、所定の初期値×0.5を下限値とした範囲内で、スリップレギュレータの出力がすべり周波数係数ωkとして用いられる。

0015

図12(2)を参照して、スリップレギュレータがONからOFFへ変化する場合、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ia(<Ib)よりも大きいときに、所定の初期値×2を上限値、所定の初期値×0.5を下限値とした範囲内で、スリップレギュレータの出力がすべり周波数係数ωkとして用いられる。そして、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値Ia以下になると、スリップレギュレータの出力に関わらず、所定の初期値がすべり周波数係数ωkとして用いられる。

先行技術

0016

特開平5−199786号公報
特開2007−104777号公報

発明が解決しようとする課題

0017

このように、従来の励磁電流の制御及びすべり周波数係数の制御においては、誘導電動機の回転速度の低い領域ではフラックスレギュレータ及びスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFF制御が行われる。

0018

また、従来のすべり周波数係数の制御においては、トルクの低い領域ではスリップレギュレータの動作を停止し、それ以外の領域では動作させるON/OFF制御が行われる。

0019

しかしながら、フラックスレギュレータ及びスリップレギュレータのON/OFFの切り替え時に、電圧誤差が大きい場合には、励磁電流及びすべり周波数係数が過大に変動してしまうという問題があった。励磁電流及びすべり周波数係数が過大に変動すると、トルクが過大に変動することから、アプリケーションによっては、制御対象誤動作を招くことがあった。

0020

図13は、従来技術のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーション結果は、スリップレギュレータがOFFからONに切り替わるときの速度フィードバック値である回転子角速度ω、トルク電流指令Iq*及びすべり周波数係数ωkの特性を示している。トルク電流指令Iq*の増加特性の中で、スリップレギュレータがOFFからONに切り替わる。

0021

図13のαに示すように、スリップレギュレータの動作がOFFからONに切り替わるときに、すべり周波数係数ωkが変動していることがわかる。このような特性では、制御対象の誤動作を招くことがあり得る。

0022

そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、フラックスレギュレータまたはスリップレギュレータのON/OFFの切り替え時に、トルクの変化を抑えることが可能な誘導電動機の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0023

前記課題を解決するために、請求項1の制御装置は、励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準トルク電圧指令と前記トルク電圧指令との間の偏差が0になるように、フラックスレギュレータ出力値を生成するフラックスレギュレータと、予め設定された元励磁電流指令に、前記フラックスレギュレータにより生成された前記フラックスレギュレータ出力値を加算し、第1励磁電流指令を生成する第1の加算器と、前記第1の加算器により生成された前記第1励磁電流指令に対し、所定の上下限値にて制限を加え、前記励磁電流指令を出力する第1のリミッタと、を備え、前記第1のリミッタが、前記電気角速度の絶対値が予め設定された第1の閾値以下の場合に、前記元励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第2の閾値よりも小さい場合に、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値から前記第2の閾値へ変化したときに、下限値が前記元励磁電流指令から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元励磁電流指令から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記電気角速度の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第2の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1励磁電流指令を前記励磁電流指令として出力する、ことを特徴とする。

0024

また、請求項2の制御装置は、励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値を加算し、第1すべり周波数係数を生成する第2の加算器と、前記第2の加算器により生成された前記第1すべり周波数係数に対し、所定の上下限値にて制限を加え、第2すべり周波数係数を出力する第2のリミッタと、前記トルク電流指令に前記第2のリミッタにより出力された前記第2すべり周波数係数を乗算し、前記すべり周波数を生成する第1の乗算器と、を備え、前記第2のリミッタが、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、前記元すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記元すべり周波数係数から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元すべり周波数係数から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力する、ことを特徴とする。

0025

また、請求項3の制御装置は、請求項1に記載の制御装置において、さらに、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値を加算し、第1すべり周波数係数を生成する第2の加算器と、前記第2の加算器により生成された前記第1すべり周波数係数に対し、所定の上下限値にて制限を加え、第2すべり周波数係数を出力する第2のリミッタと、前記トルク電流指令に前記第2のリミッタにより出力された前記第2すべり周波数係数を乗算し、前記すべり周波数を生成する第1の乗算器と、を備え、前記第2のリミッタが、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、前記元すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記元すべり周波数係数から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記元すべり周波数係数から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記第1すべり周波数係数を前記第2すべり周波数係数として出力する、ことを特徴とする。

0026

また、請求項4の制御装置は、励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準トルク電圧指令と前記トルク電圧指令との間の偏差が0になるように、フラックスレギュレータ出力値を生成するフラックスレギュレータと、前記フラックスレギュレータにより生成された前記フラックスレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後フラックスレギュレータ出力値を出力する第3のリミッタと、予め設定された元励磁電流指令に、前記第3のリミッタにより出力された前記制限後フラックスレギュレータ出力値を加算し、前記励磁電流指令を生成する第3の加算器と、を備え、前記第3のリミッタが、前記電気角速度の絶対値が予め設定された第1の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第2の閾値よりも小さい場合に、前記電気角速度の絶対値が前記第1の閾値から前記第2の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記電気角速度の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記フラックスレギュレータ出力値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力し、前記電気角速度の絶対値が前記第2の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記フラックスレギュレータ出力値を前記制限後フラックスレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする。

0027

また、請求項5の制御装置は、励磁電流指令に基づいて励磁電圧指令を算出し、トルク電流指令に基づいてトルク電圧指令を算出し、前記トルク電流指令に基づいてすべり周波数を算出し、前記励磁電圧指令、前記トルク電圧指令及び前記すべり周波数により、インバータを介して誘導電動機を制御する制御装置において、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、前記スリップレギュレータにより生成されたスリップレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後スリップレギュレータ出力値を出力する第4のリミッタと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記第4のリミッタにより生成された前記制限後スリップレギュレータ出力値を加算し、加算結果を生成する第4の加算器と、前記トルク電流指令に前記第4の加算器により生成された前記加算結果を乗算し、前記すべり周波数を生成する第2の乗算器と、を備え、前記第4のリミッタが、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする。

0028

また、請求項6の制御装置は、請求項4に記載の制御装置において、さらに、前記誘導電動機の電気角速度、励磁電流検出値及びトルク電流検出値に基づいて算出された基準励磁電圧指令と前記励磁電圧指令との間の偏差が0になるように、スリップレギュレータ出力値を生成するスリップレギュレータと、前記スリップレギュレータにより生成された前記スリップレギュレータ出力値に対し、所定の上下限値にて制限を加え、制限後スリップレギュレータ出力値を出力する第4のリミッタと、予め設定された元すべり周波数係数に、前記第4のリミッタにより生成された前記制限後スリップレギュレータ出力値を加算し、加算結果を生成する第4の加算器と、前記トルク電流指令に前記第4の加算器により生成された前記加算結果を乗算し、前記すべり周波数を生成する第2の乗算器と、を備え、前記第4のリミッタが、前記トルク電流指令の絶対値が予め設定された第3の閾値以下の場合に、0の値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値よりも大きく、かつ予め設定された第4の閾値よりも小さい場合に、前記トルク電流指令の絶対値が前記第3の閾値から前記第4の閾値へ変化したときに、下限値が前記0の値から漸減して所定の下限設定値へ変化し、上限値が前記0の値から漸増して所定の上限設定値へ変化するように、前記トルク電流指令の絶対値に対応する前記下限値及び前記上限値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力し、前記トルク電流指令の絶対値が前記第4の閾値以上の場合に、前記下限値として前記下限設定値を用い、前記上限値として前記上限設定値を用いて、前記下限値から前記上限値までの範囲内で、前記スリップレギュレータ出力値を前記制限後スリップレギュレータ出力値として出力する、ことを特徴とする。

発明の効果

0029

以上のように、本発明によれば、フラックスレギュレータまたはスリップレギュレータのON/OFFの切り替え時に、トルクの変化を抑えることが可能となる。

図面の簡単な説明

0030

実施例1の制御装置の構成例を示すブロック図である。
リミッタ17−1による励磁電流指令の制御を説明する図である。
リミッタ17−1の処理を示すフローチャートである。
リミッタ18−1によるすべり周波数係数の制御を説明する図である。
リミッタ18−1の処理を示すフローチャートである。
実施例2の制御装置の構成例を示すブロック図である。
リミッタ17−2によるフラックスレギュレータ出力値の制御を説明する図である。
リミッタ17−2の処理を示すフローチャートである。
リミッタ18−2によるスリップレギュレータ出力値の制御を説明する図である。
リミッタ18−2の処理を示すフローチャートである。
実施例1のシミュレーション結果を示す図である。
従来のすべり周波数係数の制御を説明する図である。
従来技術のシミュレーション結果を示す図である。

実施例

0031

以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、フラックスレギュレータの動作をON/OFFさせるときに、フラックスレギュレータの出力を励磁電流指令Id*に直接反映させないように、上下限値による制限を加えることを特徴とする。

0032

また、本発明は、スリップレギュレータの動作をON/OFFさせるときに、スリップレギュレータの出力をすべり周波数係数ωkに直接反映させないように、上下限値による制限を加えることを特徴とする。

0033

例えば、電圧レベルの低い低回転領域では、フラックスレギュレータの出力を励磁電流指令Id*に反映させないようにする。励磁電流指令Id*の上下限値は、以下の式のように、誘導電動機の電気角速度ωeの絶対値である電気角速度絶対値|ωe|に応じて設定される。
上限値=LIMIT(Kmax×(電気角速度絶対値|ωe|−OS))
下限値=LIMIT (Kmin×(電気角速度絶対値|ωe|−OS))
LIMITは、かっこ内の数式の計算結果パラメータとする関数を示し、Kmax及びKminは、予め設定された係数を示す。OSは、オフセット値を示す。

0034

また、電圧レベルの低い低回転領域またはトルク成分に対する電圧が低い低トルク領域では、スリップレギュレータの出力をすべり周波数係数ωkに反映させないようにする。すべり周波数係数ωkの上下限値は、以下の式のように、トルク電流指令絶対値|Iq*|に応じて設定される。
上限値=LIMIT(Kmax×(トルク電流指令絶対値|Iq*|−OS))
下限値=LIMIT (Kmin×(トルク電流指令絶対値|Iq*|−OS))
LIMITは、かっこ内の数式の計算結果をパラメータとする関数を示し、Kmax及びKminは、予め設定された係数を示す。OSは、オフセット値を示す。

0035

〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。実施例1は、予め設定された元の励磁電流指令(元励磁電流指令IdR)にフラックスレギュレータの出力(フラックスレギュレータ出力値Id’)を加算して得られる励磁電流指令Id*に対し、誘導電動機の電気角速度絶対値|ωe|に基づいて上下限値による制限を加える。また、実施例1は、予め設定された元のすべり周波数係数(元すべり周波数係数ωR)にスリップレギュレータの出力(スリップレギュレータ出力値ω’)を加算して得られるすべり周波数係数ωkに対し、トルク電流指令絶対値|Iq*|に基づいて上下限値による制限を加える。

0036

〔制御装置/実施例1〕
図1は、実施例1の制御装置の構成例を示すブロック図である。この制御装置1は、インバータ30を介して誘導電動機であるモータ32を、d軸及びq軸にてベクトル制御する装置である。この制御装置1は、基準電圧指令生成部10、フラックスレギュレータ11、スリップレギュレータ12、加算器13,15,21、速度レギュレータ14、乗算器16、リミッタ17−1,18−1、電流アンプ19,20、座標変換部22,23を備えている。

0037

制御装置1は、励磁電流指令Id*から励磁電圧指令Vd*を生成し、トルク電流指令Iq*からトルク電圧指令Vq*を生成する。そして、制御装置1は、励磁電圧指令Vd*及びトルク電圧指令Vq*からU相、V相及びW相の3相交流電圧指令(U相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*)を生成する。

0038

制御装置1は、U相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*をインバータ30へ出力する。また、制御装置1は、インバータ30とモータ32との間に設けられた電流検出器31により検出されたU相、V相及びW相の3相交流電流検出値(U相交流電流検出値Iu、V相交流電流検出値Iv及びW相交流電流検出値Iw)を入力すると共に、速度センサ33からモータ32の回転子角速度ωを入力する。

0039

インバータ30は、制御装置1からU相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*を入力し、これらの指令から生成したPWM信号によってスイッチング素子ゲートオンオフし、図示しない電源から供給された直流電圧を任意の周波数及び振幅交流電圧へと変換する。そして、インバータ30は、変換した交流電圧をモータ32へ供給する。

0040

速度センサ33は、モータ32の回転に応じたパルス信号を発生する。このパルス信号のカウント値からモータ32の回転子角速度ωが得られ、当該回転子角速度ωが制御装置1に入力される。尚、図1には、速度センサ33から制御装置1へ、回転子角速度ωが入力されるように略して示してある。

0041

制御装置1の基準電圧指令生成部10は、後述する加算器21からモータ32の電気角速度ωeを入力すると共に、後述する座標変換部22から励磁電流検出値Id及びトルク電流検出値Iqを入力する。

0042

基準電圧指令生成部10は、電気角速度ωe、励磁電流検出値Id及びトルク電流検出値Iqに基づいて、以下の式により、基準励磁電圧指令Vdref及び基準トルク電圧指令Vqrefを算出する。
Vdref=r1×Id−ωe×Iq×k1
Vqref=r1×Iq+ωe×Id×k2
r1は、モータ32の1次抵抗値を示し、k1及びk2は、モータ32のインダクタンスの係数を示す。

0043

基準電圧指令生成部10は、基準トルク電圧指令Vqrefをフラックスレギュレータ11に出力し、基準励磁電圧指令Vdrefをスリップレギュレータ12に出力する。基準トルク電圧指令Vqref及び基準励磁電圧指令Vdrefは、現在の電気角速度ωe、励磁電流検出値Id及びトルク電流検出値Iqを得るための理想的な電圧指令値である。

0044

フラックスレギュレータ11は、後述する電流アンプ20からトルク電圧指令Vq*を入力すると共に、基準電圧指令生成部10から基準トルク電圧指令Vqrefを入力し、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差を算出する。そして、フラックスレギュレータ11は、この偏差が0となるように、フラックスレギュレータ出力値Id’を生成し、フラックスレギュレータ出力値Id’を加算器13に出力する。

0045

このフラックスレギュレータ11により、励磁電流指令Id*と当該励磁電流指令Id*により発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを補償するための補償用の指令として、フラックスレギュレータ出力値Id’が生成される。トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が、この磁束飽和特性や時間的な遅れが反映された値である。

0046

スリップレギュレータ12は、後述する電流アンプ19から励磁電圧指令Vd*を入力すると共に、基準電圧指令生成部10から基準励磁電圧指令Vdrefを入力し、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差を算出する。そして、スリップレギュレータ12は、この偏差が0となるように、スリップレギュレータ出力値ω’を生成し、スリップレギュレータ出力値ω’を加算器15に出力する。

0047

このスリップレギュレータ12により、すべり周波数係数ωkがモータ32の抵抗温度の変化に伴い変化することを補償するための補償用の指令として、スリップレギュレータ出力値ω’が生成される。励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が、抵抗温度の変化に伴うすべり周波数係数ωkの変化が反映された値となる。

0048

加算器13は、予め設定された(初期の励磁電流指令Id*である)元励磁電流指令IdRを入力すると共に、フラックスレギュレータ11からフラックスレギュレータ出力値Id’を入力する。そして、加算器13は、元励磁電流指令IdRにフラックスレギュレータ出力値Id’を加算し、励磁電流指令Id*を求め、励磁電流指令Id*をリミッタ17−1に出力する。

0049

リミッタ17−1は、加算器13から励磁電流指令Id*を入力すると共に、後述する加算器21から電気角速度ωeを入力してその絶対値を電気角速度絶対値|ωe|として求め、さらに、予め設定された元励磁電流指令IdRを初期値として入力する。リミッタ17−1は、当該リミッタ17−1が出力する励磁電流指令Id*’が大きく変化しないように、電気角速度絶対値|ωe|に基づいて上下限値を設定し、上下限値の制限を受けた励磁電流指令Id*’を電流アンプ19に出力する。

0050

図2は、リミッタ17−1による励磁電流指令の制御を説明する図であり、図3は、リミッタ17−1の処理を示すフローチャートである。図2において、横軸は、リミッタ17−1が入力する電気角速度ωeの絶対値である電気角速度絶対値|ωe|を示し、縦軸は、リミッタ17−1が出力する励磁電流指令Id*’を示し、図2全体として、リミッタ17−1の出力可能範囲を示している。

0051

図2及び図3を参照して、リミッタ17−1は、励磁電流指令Id*、電気角速度ωe及び初期値である元励磁電流指令IdRを入力する(ステップS301)。そして、リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|を求め、電気角速度絶対値|ωe|と予め設定された閾値ω1,ω2(ω1<ω2)とを比較する(ステップS302)。

0052

リミッタ17−1は、ステップS302において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下であると判定した場合(|ωe|≦ω1)、励磁電流指令Id*’として、初期値である元励磁電流指令IdRを出力する(ステップS303)。

0053

また、リミッタ17−1は、ステップS302において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さいと判定した場合(ω1<|ωe|<ω2)、図2に示す下限値L1及び上限値U1を設定する(ステップS304)。

0054

例えば、リミッタ17−1は、図2に示すように、電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L1及び上限値U1を、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2について下限値L1=IdR〜IdR×0.5、上限値U1=IdR〜IdR×2となるように、所定の数式にて設定する。つまり、下限値L1は、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2の値に対し、元励磁電流指令IdR〜IdR×0.5へ漸減するように設定される。また、上限値U1は、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2の値に対し、元励磁電流指令IdR〜IdR×2へ漸増するように設定される。

0055

尚、下限値L1及び上限値U1は、予め設定されていてもよい。また、リミッタ17−1は、閾値ω1から閾値ω2までの間の電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L1及び上限値U1が格納されたテーブルを用いるようにしてもよい。リミッタ17−1は、当該テーブルから、電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L1及び上限値U1を読み出す。

0056

リミッタ17−1は、ステップS304の後、下限値L1及び上限値U1の範囲内で制限を受けた励磁電流指令Id*’を出力する(ステップS305)。具体的には、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が下限値L1よりも小さい場合、励磁電流指令Id*’として下限値L1を出力する。また、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が下限値L1から上限値U1までの範囲内である場合、励磁電流指令Id*’として励磁電流指令Id*をそのまま出力する。また、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が上限値U1よりも大きい場合、励磁電流指令Id*’として上限値U1を出力する。

0057

また、リミッタ17−1は、ステップS302において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上であると判定した場合(ω2≦|ωe|)、図2に示す下限値L2及び上限値U2を設定する(ステップS306)。

0058

例えば、リミッタ17−1は、図2に示すように、初期値である元励磁電流指令IdRに所定値(0.5)を乗算することで、乗算結果を下限値L2に設定し、元励磁電流指令IdRに所定値(2)を乗算することで、乗算結果を上限値U2に設定する。尚、下限値L2及び上限値U2は、予め設定されていてもよい。

0059

リミッタ17−1は、ステップS306の後、下限値L2及び上限値U2の範囲内で制限を受けた励磁電流指令Id*’を出力する(ステップS307)。具体的には、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が下限値L2よりも小さい場合、励磁電流指令Id*’として下限値L2を出力する。また、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が下限値L2から上限値U2までの範囲内である場合、励磁電流指令Id*’として励磁電流指令Id*をそのまま出力する。また、リミッタ17−1は、入力した励磁電流指令Id*が上限値U2よりも大きい場合、励磁電流指令Id*’として上限値U2を出力する。

0060

これにより、リミッタ17−1から、励磁電流指令Id*と当該励磁電流指令Id*により発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを補償し、かつ変動の少ない励磁電流指令Id*’が出力される。つまり、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ17−1において、フラックスレギュレータ出力値Id’が加算された励磁電流指令Id*に対し、上下限値の制限が加えられる。このため、リミッタ17−1により、変動の少ない励磁電流指令Id*’が出力される。

0061

図1に戻って、電流アンプ19は、リミッタ17−1から励磁電流指令Id*’を入力すると共に、後述する座標変換部22から励磁電流検出値Idを入力し、励磁電流指令Id*’と励磁電流検出値Idとの間の偏差を算出する。そして、電流アンプ19は、この偏差が0となるように、励磁電圧指令Vd*を生成し、励磁電圧指令Vd*を座標変換部23及びスリップレギュレータ12に出力する。

0062

速度レギュレータ14は、回転子角速度指令ω*を入力すると共に、速度センサ33から回転子角速度ωを入力し、回転子角速度指令ω*と回転子角速度ωとの間の偏差を算出する。そして、速度レギュレータ14は、この偏差が0となるように、トルク電流指令Iq*を生成し、トルク電流指令Iq*を乗算器16、リミッタ18−1及び電流アンプ20に出力する。

0063

加算器15は、予め設定された(初期のすべり周波数係数である)元すべり周波数係数ωRを入力すると共に、スリップレギュレータ12からスリップレギュレータ出力値ω’を入力する。そして、加算器15は、元すべり周波数係数ωRにスリップレギュレータ出力値ω’を加算し、加算結果をすべり周波数係数ωkとしてリミッタ18−1に出力する。予め設定された元すべり周波数係数ωRは、定格トルクにおける値である。

0064

リミッタ18−1は、予め設定された(初期のすべり周波数係数である)元すべり周波数係数ωRを入力すると共に、加算器15からすべり周波数係数ωkを入力し、さらに、速度レギュレータ14からトルク電流指令Iq*を入力してその絶対値をトルク電流指令絶対値|Iq*|として求める。そして、リミッタ18−1は、当該リミッタ18−1が出力するすべり周波数係数ωk’が大きく変化しないように、トルク電流指令絶対値|Iq*|に基づいて上下限値を設定し、上下限値の制限を受けたすべり周波数係数ωk’を乗算器16に出力する。

0065

図4は、リミッタ18−1によるすべり周波数係数の制御を説明する図であり、図5は、リミッタ18−1の処理を示すフローチャートである。図4において、横軸は、リミッタ18−1が入力するトルク電流指令Iq*の絶対値であるトルク電流指令絶対値|Iq*|を示し、縦軸は、リミッタ18−1が出力するすべり周波数係数ωk’を示し、図4全体として、リミッタ18−1の出力可能範囲を示している。

0066

図4及び図5を参照して、リミッタ18−1は、すべり周波数係数ωk、トルク電流指令Iq*、及び予め設定された(初期のすべり周波数係数である)元すべり周波数係数ωRを入力する(ステップS501)。そして、リミッタ18−1は、トルク電流指令絶対値|Iq*|を求め、トルク電流指令絶対値|Iq*|と予め設定された閾値I1,I2(I1<I2)とを比較する(ステップS502)。

0067

リミッタ18−1は、ステップS502において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下であると判定した場合(|Iq*|≦I1)、すべり周波数係数ωk’として、予め設定された(初期のすべり周波数係数である)元すべり周波数係数ωRを出力する(ステップS503)。

0068

また、リミッタ18−1は、ステップS502において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さいと判定した場合(I1<|Iq*|<I2)、図4に示す下限値L3及び上限値U3を設定する(ステップS504)。

0069

例えば、リミッタ18−1は、図4に示すように、トルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L3及び上限値U3を、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2について下限値L3=ωR〜ωR×0.5、上限値U3=ωR〜ωR×2となるように、所定の数式にて設定する。つまり、下限値L3は、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2の値に対し、元すべり周波数係数ωR〜ωR×0.5へ漸減するように設定される。また、上限値U3は、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2の値に対し、元すべり周波数係数ωR〜ωR×2へ漸増するように設定される。

0070

尚、下限値L3及び上限値U3は、予め設定されていてもよい。また、リミッタ18−1は、閾値I1から閾値I2までの間のトルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L3及び上限値U3が格納されたテーブルを用いるようにしてもよい。リミッタ18−1は、当該テーブルから、トルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L3及び上限値U3を読み出す。

0071

リミッタ18−1は、ステップS504の後、下限値L3及び上限値U3の範囲内で制限を受けたすべり周波数係数ωk’を出力する(ステップS505)。具体的には、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが下限値L3よりも小さい場合、すべり周波数係数ωk’として下限値L3を出力する。また、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが下限値L3から上限値U3までの範囲内である場合、すべり周波数係数ωk’としてすべり周波数係数ωkをそのまま出力する。また、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが上限値U3よりも大きい場合、すべり周波数係数ωk’として上限値U3を出力する。

0072

また、リミッタ18−1は、ステップS502において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上であると判定した場合(I2≦|Iq*|)、図4に示す下限値L4及び上限値U4を設定する(ステップS506)。

0073

例えば、リミッタ18−1は、図4に示すように、すべり周波数係数ωk’の初期値(ωR)に所定値(0.5)を乗算することで、乗算結果を下限値L4に設定する。また、リミッタ18−1は、すべり周波数係数ωk’の初期値(ωR)に所定値(2)を乗算することで、乗算結果を上限値U4に設定する。尚、下限値L4及び上限値U4は、予め設定されていてもよい。

0074

リミッタ18−1は、ステップS506の後、下限値L4及び上限値U4の範囲内で制限を受けたすべり周波数係数ωk’を出力する(ステップS507)。具体的には、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが下限値L4よりも小さい場合、すべり周波数係数ωk’として下限値L4を出力する。また、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが下限値L4から上限値U4までの範囲内である場合、すべり周波数係数ωk’としてすべり周波数係数ωkをそのまま出力する。また、リミッタ18−1は、入力したすべり周波数係数ωkが上限値U4よりも大きい場合、すべり周波数係数ωk’として上限値U4を出力する。

0075

これにより、リミッタ18−1から、モータ32の抵抗温度の変化に伴うすべり周波数係数ωkの変化を補償し、かつ変動の少ないすべり周波数係数ωk’が出力される。つまり、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ18−1において、スリップレギュレータ出力値ω’が反映されたすべり周波数係数ωkに対し、上下限値の制限が加えられる。このため、リミッタ18−1により、変動の少ないすべり周波数係数ωk’が出力される。

0076

図1に戻って、乗算器16は、速度レギュレータ14からトルク電流指令Iq*を入力すると共に、リミッタ18−1からすべり周波数係数ωk’を入力し、トルク電流指令Iq*にすべり周波数係数ωk’を乗算し、すべり周波数ωsを求める。そして、乗算器16は、すべり周波数ωsを加算器21に出力する。

0077

加算器21は、乗算器16からすべり周波数ωsを入力すると共に、速度センサ33から回転子角速度ωを入力し、すべり周波数ωsに回転子角速度ωを加算し、加算結果の電気角速度ωeを求める。そして、加算器21は、電気角速度ωeを座標変換部22、座標変換部23及び基準電圧指令生成部10に出力する。

0078

電流アンプ20は、速度レギュレータ14からトルク電流指令Iq*を入力すると共に、後述する座標変換部22からトルク電流検出値Iqを入力し、トルク電流指令Iq*とトルク電流検出値Iqとの間の偏差を算出する。そして、電流アンプ20は、この偏差が0となるように、トルク電圧指令Vq*を生成し、トルク電圧指令Vq*を座標変換部23及びフラックスレギュレータ11に出力する。

0079

座標変換部23は、電流アンプ19から励磁電圧指令Vd*を入力すると共に、電流アンプ20からトルク電圧指令Vq*を入力し、さらに、加算器21から電気角速度ωeを入力する。そして、座標変換部23は、電気角速度ωeに基づいて、回転座標系の励磁電圧指令Vd*及びトルク電圧指令Vq*を、U相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*に変換する。座標変換部23は、U相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*をインバータ30に出力する。

0080

座標変換部22は、電流検出器31により検出されたU相交流電流検出値Iu、V相交流電流検出値Iv及びW相交流電流検出値Iwを入力すると共に、加算器21から電気角速度ωeを入力する。そして、座標変換部22は、電気角速度ωeに基づいて、U相交流電流検出値Iu、V相交流電流検出値Iv及びW相交流電流検出値Iwを回転座標系の励磁電流検出値Id及びトルク電流検出値Iqに変換する。座標変換部22は、励磁電流検出値Idを基準電圧指令生成部10及び電流アンプ19に出力する。また、座標変換部22は、トルク電流検出値Iqを基準電圧指令生成部10及び電流アンプ20に出力する。

0081

以上のように、実施例1の制御装置1によれば、フラックスレギュレータ11は、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が0になるようにフラックスレギュレータ出力値Id’を生成し、加算器13は、元励磁電流指令IdRにフラックスレギュレータ出力値Id’を加算して励磁電流指令Id*を生成する。

0082

リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合に、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映された励磁電流指令Id*の代わりに元励磁電流指令IdRを励磁電流指令Id*’として出力する。また、リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合に、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2に対応する下限値L1=IdR〜IdR×0.5、及び上限値U1=IdR〜IdR×2を設定する。そして、リミッタ17−1は、励磁電流指令Id*に対してこの上下限値による制限を加えた励磁電流指令Id*’を出力する。また、リミッタ17−1は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合に、下限値L2=IdR×0.5及び上限値U2=IdR×2を設定する。そして、リミッタ17−1は、励磁電流指令Id*に対してこの上下限値による制限を加えた励磁電流指令Id*’を出力する。

0083

これにより、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合、リミッタ17−1から、励磁電流指令Id*’として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映されない元励磁電流指令IdRが出力される。この場合のフラックスレギュレータ11の動作は、制御装置1全体としてOFFの状態であるといえる。

0084

電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合、リミッタ17−1から、励磁電流指令Id*’として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映され、かつ、元励磁電流指令IdRから漸減する下限値L1及び元励磁電流指令IdRから漸増する上限値U1の制限を受けた指令が出力される。また、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合、リミッタ17−1から、励磁電流指令Id*’として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映され、かつ、所定の下限値L2及び上限値U2の制限を受けた指令が出力される。この場合のフラックスレギュレータ11の動作は、制御装置1全体として上下限値の制限が加えられたONの状態であるといえる。

0085

したがって、リミッタ17−1から、励磁電流指令Id*と当該励磁電流指令Id*により発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを補償し、かつ変動の少ない励磁電流指令Id*’が出力される。つまり、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ17−1において、元励磁電流指令IdRを基準とした上下限値の制限が加えられた励磁電流指令Id*’が出力され、または励磁電流指令Id*’=IdRが出力される。このため、リミッタ17−1により、変動の少ない励磁電流指令Id*’が出力され、結果として、トルクの急激な変化を抑えることができる。

0086

このように、リミッタ17−1を用いることにより、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、励磁電流指令Id*’がステップ状に変化することがないから、結果として、トルクの急激な変化を抑えることができる。

0087

また、実施例1の制御装置1によれば、スリップレギュレータ12は、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が0になるようにスリップレギュレータ出力値ω’を生成し、加算器15は、元すべり周波数係数ωRにスリップレギュレータ出力値ω’を加算してすべり周波数係数ωkを出力する。

0088

リミッタ18−1は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下の場合に、スリップレギュレータ出力値ω’が反映されたすべり周波数係数ωkの代わりに、元すべり周波数係数ωRをすべり周波数係数ωk’として出力する。また、リミッタ18−1は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さい場合に、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2に対応する下限値L3=ωR〜ωR×0.5、及び上限値U3=ωR〜ωR×2を設定する。そして、リミッタ18−1は、すべり周波数係数ωkに対してこの上下限値による制限を加えたすべり周波数係数ωk’を出力する。また、リミッタ18−1は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上の場合に、下限値L4=ωR×0.5及び上限値U4=ωR×2を設定する。そして、リミッタ18−1は、すべり周波数係数ωkに対してこの上下限値による制限を加えたすべり周波数係数ωk’を出力する。

0089

これにより、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下の場合、リミッタ18−1から、すべり周波数係数ωk’として、スリップレギュレータ出力値ω’が反映されない元すべり周波数係数ωRが出力される。この場合のスリップレギュレータ12の動作は、制御装置1全体としてOFFの状態であるといえる。

0090

トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さい場合、リミッタ18−1から、すべり周波数係数ωk’として、スリップレギュレータ出力値ω’が反映され、かつ、元すべり周波数係数ωRから漸減する下限値L3及び元すべり周波数係数ωRから漸増する上限値U3の制限を受けた指令が出力される。また、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上の場合、リミッタ18−1から、すべり周波数係数ωk’として、スリップレギュレータ出力値ω’が反映され、かつ、所定の下限値L4及び上限値U4の制限を受けた指令が出力される。この場合のスリップレギュレータ12の動作は、制御装置1全体として上下限値の制限が加えられたONの状態であるといえる。

0091

したがって、リミッタ18−1から、モータ32の抵抗温度の変化に伴うすべり周波数係数ωkの変化を補償し、かつ変動の少ないすべり周波数係数ωk’が出力される。つまり、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ18−1において、元すべり周波数係数ωRを基準とした上下限値の制限が加えられたすべり周波数係数ωk’が出力され、または、すべり周波数係数ωk’=ωRが出力される。このため、リミッタ18−1により、変動の少ないすべり周波数係数ωk’が出力される。乗算器16は、トルク電流指令Iq*にこのすべり周波数係数ωk’を乗算してすべり周波数ωsを生成する。

0092

このように、リミッタ18−1を用いることにより、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、すべり周波数係数ωk’がステップ状に変化することがないから、結果として、トルクの急激な変化を抑えることができる。

0093

図11は、実施例1のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーション結果は、スリップレギュレータ12がOFFからONに切り替わるときの速度フィードバック値である回転子角速度ω、トルク電流指令Iq*及びすべり周波数係数ωk’の特性を示している。トルク電流指令Iq*の増加特性の中で、スリップレギュレータ12がOFFからONに切り替わる。

0094

ここで、スリップレギュレータ12がOFFとは、図4に示したトルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下の領域における動作をいう。この場合、スリップレギュレータ12により出力されたスリップレギュレータ出力値ω’は、リミッタ18−1により出力されるすべり周波数係数ωk’に反映されない。

0095

また、スリップレギュレータ12がONとは、図4に示したトルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きい領域における動作をいう。この場合、スリップレギュレータ12により出力されたスリップレギュレータ出力値ω’は、リミッタ18−1により出力されるすべり周波数係数ωk’に反映される。

0096

図11に示す特性から、スリップレギュレータ12の動作がOFFからONに切り替わるときに、すべり周波数係数ωk’がさほど変動していないことがわかる。これは、図13に示した従来技術のシミュレーション結果と大きく異なっている。これにより、スリップレギュレータ12がOFFからONに切り替わるときに、制御対象は誤動作することがない。

0097

〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例2は、フラックスレギュレータ出力値Id’に対し、誘導電動機の電気角速度絶対値|ωe|に基づいて上下限値による制限を加える。また、実施例2は、スリップレギュレータ出力値ω’に対し、トルク電流指令絶対値|Iq*|に基づいて上下限値による制限を加える。

0098

〔制御装置/実施例2〕
図6は、実施例2の制御装置の構成例を示すブロック図である。この制御装置2は、図1に示した制御装置1と同様に、インバータ30を介してモータ32を、d軸及びq軸にてベクトル制御する装置である。この制御装置2は、基準電圧指令生成部10、フラックスレギュレータ11、スリップレギュレータ12、リミッタ17−2、リミッタ18−2、加算器13,15,21、速度レギュレータ14、乗算器16、電流アンプ19,20、座標変換部22,23を備えている。

0099

図1に示した実施例1の制御装置1と図6に示す実施例2の制御装置2とを比較すると、両制御装置1,2は、基準電圧指令生成部10、フラックスレギュレータ11、スリップレギュレータ12、加算器13,15,21、速度レギュレータ14、乗算器16、電流アンプ19,20、座標変換部22,23を備えている点で同一である。

0100

一方、制御装置1は、加算器13の後段にリミッタ17−1を備えているのに対し、制御装置2は、フラックスレギュレータ11の後段にリミッタ17−2を備えている点で、制御装置1と相違する。また、制御装置1は、加算器15の後段にリミッタ18−1を備えているのに対し、制御装置2は、スリップレギュレータ12の後段にリミッタ18−2を備えている点で、制御装置1と相違する。以下、図6において、図1と共通する部分には図1と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。

0101

制御装置2は、制御装置1と同様に、U相交流電圧指令Vu*、V相交流電圧指令Vv*及びW相交流電圧指令Vw*を生成し、これらの指令をインバータ30へ出力する。また、制御装置2は、電流検出器31により検出されたU相交流電流検出値Iu、V相交流電流検出値Iv及びW相交流電流検出値Iwを入力すると共に、速度センサ33から回転子角速度ωを入力する。

0102

リミッタ17−2は、フラックスレギュレータ11からフラックスレギュレータ出力値Id’を入力すると共に、加算器21から電気角速度ωeを入力してその絶対値を電気角速度絶対値|ωe|として求め、さらに、予め設定された元励磁電流指令IdRを入力する。リミッタ17−2は、当該リミッタ17−2が出力するフラックスレギュレータ出力値IdLが大きく変化しないように、電気角速度絶対値|ωe|に基づいて上下限値を設定し、上下限値の制限を受けたフラックスレギュレータ出力値IdLを加算器13に出力する。

0103

図7は、リミッタ17−2によるフラックスレギュレータ出力値の制御を説明する図であり、図8は、リミッタ17−2の処理を示すフローチャートである。図7において、横軸は、リミッタ17−2が入力する電気角速度絶対値|ωe|を示し、縦軸は、リミッタ17−2が出力するフラックスレギュレータ出力値IdLを示し、図7全体として、リミッタ17−2の出力可能範囲を示している。

0104

図7及び図8を参照して、リミッタ17−2は、フラックスレギュレータ出力値Id’、電気角速度ωe及び元励磁電流指令IdRを入力する(ステップS801)。そして、リミッタ17−2は、電気角速度絶対値|ωe|を求め、電気角速度絶対値|ωe|と予め設定された閾値ω1,ω2(ω1<ω2)とを比較する(ステップS802)。

0105

リミッタ17−2は、ステップS802において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下であると判定した場合(|ωe|≦ω1)、フラックスレギュレータ出力値IdL=0を出力する(ステップS803)。

0106

また、リミッタ17−2は、ステップS802において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さいと判定した場合(ω1<|ωe|<ω2)、図7に示す下限値L5及び上限値U5を設定する(ステップS804)。

0107

例えば、リミッタ17−2は、図7に示すように、電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L5及び上限値U5を、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2について下限値L5=0〜−IdR×0.5、上限値U5=0〜IdRとなるように、所定の数式にて設定する。つまり、下限値L5は、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2の値に対し、0〜−IdR×0.5へ漸減するように設定される。また、上限値U5は、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2の値に対し、0〜IdRへ漸増するように設定される。

0108

尚、下限値L5及び上限値U5は、予め設定されていてもよい。また、リミッタ17−2は、閾値ω1から閾値ω2までの間の電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L5及び上限値U5が格納されたテーブルを用いるようにしてもよい。リミッタ17−2は、当該テーブルから、電気角速度絶対値|ωe|に対応する下限値L5及び上限値U5を読み出す。

0109

リミッタ17−2は、ステップS804の後、下限値L5及び上限値U5の範囲内で制限を受けたフラックスレギュレータ出力値IdLを出力する(ステップS805)。

0110

また、リミッタ17−2は、ステップS802において、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上であると判定した場合(ω2≦|ωe|)、図7に示す下限値L6及び上限値U6を設定する(ステップS806)。

0111

例えば、リミッタ17−2は、元励磁電流指令IdRに−0.5を乗算することで、乗算結果を下限値L6に設定し、元励磁電流指令IdRを上限値U6に設定する。

0112

リミッタ17−2は、ステップS806の後、下限値L6及び上限値U6の範囲内で制限を受けたフラックスレギュレータ出力値IdLを出力する(ステップS807)。

0113

これにより、後段の加算器13は、リミッタ17−2からフラックスレギュレータ出力値IdLを入力して加算処理を行う。したがって、加算器13は、励磁電流指令Id*と当該励磁電流指令Id*により発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを補償し、かつ変動の少ない励磁電流指令Id*を生成することができる。つまり、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ17−2において、フラックスレギュレータ出力値Id’に対し、上下限値の制限が加えられる。このため、後段の加算器13により、変動の少ない励磁電流指令Id*が生成される。

0114

図6に戻って、加算器13は、予め設定された元励磁電流指令IdRを入力すると共に、リミッタ17−2からフラックスレギュレータ出力値IdLを入力し、元励磁電流指令IdRにフラックスレギュレータ出力値IdLを加算し、励磁電流指令Id*を求める。そして、加算器13は、励磁電流指令Id*を電流アンプ19に出力する。

0115

リミッタ18−2は、スリップレギュレータ12からスリップレギュレータ出力値ω’を入力すると共に、速度レギュレータ14からトルク電流指令Iq*を入力してその絶対値をトルク電流指令絶対値|Iq*|として求め、さらに、予め設定された元すべり周波数係数ωRを入力する。リミッタ18−2は、当該リミッタ18−2が出力するスリップレギュレータ出力値ωLが大きく変化しないように、トルク電流指令絶対値|Iq*|に基づいて上下限値を設定し、上下限値の制限を受けたスリップレギュレータ出力値ωLを加算器15に出力する。

0116

図9は、リミッタ18−2によるスリップレギュレータ出力値の制御を説明する図であり、図10は、リミッタ18−2の処理を示すフローチャートである。図9において、横軸は、リミッタ18−2が入力するトルク電流指令絶対値|Iq*|を示し、縦軸は、リミッタ18−2が出力するスリップレギュレータ出力値ωLを示し、図9全体として、リミッタ18−2の出力可能範囲を示している。

0117

図9及び図10を参照して、リミッタ18−2は、スリップレギュレータ出力値ω’、トルク電流指令Iq*及び元すべり周波数係数ωRを入力する(ステップS1001)。そして、リミッタ18−2は、トルク電流指令絶対値|Iq*|を求め、トルク電流指令絶対値|Iq*|と予め設定された閾値I1,I2(I1<I2)とを比較する(ステップS1002)。

0118

リミッタ18−2は、ステップS1002において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下であると判定した場合(|Iq*|≦I1)、スリップレギュレータ出力値ωL=0を出力する(ステップS1003)。

0119

また、リミッタ18−2は、ステップS1002において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さいと判定した場合(I1<|Iq*|<I2)、図9に示す下限値L7及び上限値U7を設定する(ステップS1004)。

0120

例えば、リミッタ18−2は、図9に示すように、トルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L7及び上限値U7を、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2について下限値L7=0〜−ωR×0.5、上限値U73=0〜ωRとなるように、所定の数式にて設定する。つまり、下限値L7は、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2の値に対し、0〜−ωR×0.5へ漸減するように設定される。また、上限値U7は、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2の値に対し、0〜ωRへ漸増するように設定される。

0121

尚、下限値L7及び上限値U7は、予め設定されていてもよい。また、リミッタ18−2は、閾値I1から閾値I2までの間のトルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L7及び上限値U7が格納されたテーブルを用いるようにしてもよい。リミッタ18−2は、当該テーブルから、トルク電流指令絶対値|Iq*|に対応する下限値L7及び上限値U7を読み出す。

0122

リミッタ18−2は、ステップS1004の後、下限値L7及び上限値U7の範囲内で制限を受けたスリップレギュレータ出力値ωLを出力する(ステップS1005)。

0123

また、リミッタ18−2は、ステップS1002において、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上であると判定した場合(I2≦|Iq*|)、図9に示す下限値L8及び上限値U8を設定する(ステップS1006)。

0124

例えば、リミッタ18−2は、元すべり周波数係数ωRに−0.5を乗算することで、乗算結果を下限値L8に設定し、元すべり周波数係数ωRを上限値U8に設定する。

0125

リミッタ18−2は、ステップS1006の後、下限値L8及び上限値U8の範囲内で制限を受けたスリップレギュレータ出力値ωLを出力する(ステップS1007)。

0126

これにより、後段の加算器15は、リミッタ18−2からスリップレギュレータ出力値ωLを入力して加算処理を行う。したがって、加算器15は、モータ32の抵抗温度の変化に伴うすべり周波数係数ωkの変化を補償し、かつ変動の少ないすべり周波数係数ωkを生成することができる。つまり、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ18−2において、スリップレギュレータ出力値ω’に対し、上下限値の制限が加えられる。このため、後段の加算器15により、変動の少ないすべり周波数係数ωkが生成される。

0127

図6に戻って、加算器15は、予め設定された元すべり周波数係数ωRを入力すると共に、リミッタ18−2からスリップレギュレータ出力値ωLを入力する。そして、加算器15は、元すべり周波数係数ωRにスリップレギュレータ出力値ωLを加算し、加算結果をすべり周波数係数ωkとして乗算器16に出力する。

0128

以上のように、実施例2の制御装置2によれば、フラックスレギュレータ11は、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が0になるようにフラックスレギュレータ出力値Id’を生成する。

0129

リミッタ17−2は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合に、フラックスレギュレータ出力値Id’の代わりにフラックスレギュレータ出力値IdL=0を出力する。また、リミッタ17−2は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合に、電気角速度絶対値|ωe|=ω1〜ω2に対応する下限値L5=0〜−IdR×0.5、及び上限値U5=0〜IdRを設定する。そして、リミッタ17−2は、フラックスレギュレータ出力値Id’に対してこの上下限値による制限を加えたフラックスレギュレータ出力値IdLを出力する。また、リミッタ17−2は、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合に、下限値L6=−IdR×0.5及び上限値U6=IdRを設定する。そして、リミッタ17−2は、フラックスレギュレータ出力値Id’に対してこの上下限値による制限を加えたフラックスレギュレータ出力値IdLを出力する。

0130

加算器13は、元励磁電流指令IdRにフラックスレギュレータ出力値IdLを加算して励磁電流指令Id*を生成する。

0131

これにより、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1以下の場合、加算器13から、励磁電流指令Id*として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映されない元励磁電流指令IdRが出力される。この場合のフラックスレギュレータ11の動作は、制御装置2全体としてOFFの状態であるといえる。

0132

電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω1よりも大きく、かつ閾値ω2よりも小さい場合、加算器13から、励磁電流指令Id*として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映され、かつ、リミッタ17−2において0から漸減する下限値L5及び0から漸増する上限値U5の制限を受けた指令が出力される。また、電気角速度絶対値|ωe|が閾値ω2以上の場合、加算器13から、励磁電流指令Id*として、フラックスレギュレータ出力値Id’が反映され、かつ、下限値L6及び上限値U6の制限を受けた指令が出力される。この場合のフラックスレギュレータ11の動作は、制御装置2全体として上下限値の制限が加えられたONの状態であるといえる。

0133

したがって、加算器13から、励磁電流と当該励磁電流により発生する回転磁界との間の磁束飽和特性や時間的な遅れを補償し、かつ変動の少ない励磁電流指令Id*が出力される。つまり、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、トルク電圧指令Vq*と基準トルク電圧指令Vqrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ17−2において、0を基準とした上下限値の制限が加えられたフラックスレギュレータ出力値IdL、またはフラックスレギュレータ出力値IdL=0が出力される。このため、加算器13により、変動の少ない励磁電流指令Id*が出力される。

0134

このように、リミッタ17−2を用いることにより、フラックスレギュレータ11のON/OFFの切り替え時に、励磁電流指令Id*がステップ状に変化することがないから、結果として、トルクの急激な変化を抑えることができる。

0135

また、実施例2の制御装置2によれば、スリップレギュレータ12は、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が0になるようにスリップレギュレータ出力値ω’を生成する。

0136

リミッタ18−2は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下の場合に、スリップレギュレータ出力値ω’の代わりにスリップレギュレータ出力値ωL=0を出力する。また、リミッタ18−2は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さい場合に、トルク電流指令絶対値|Iq*|=I1〜I2に対応する下限値L7=0〜−ωR×0.5、及び上限値U7=0〜ωRを設定する。そして、リミッタ18−2は、スリップレギュレータ出力値ω’に対してこの上下限値による制限を加えたスリップレギュレータ出力値ωLを出力する。また、リミッタ18−2は、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上の場合に、下限値L8=−ωR×0.5及び上限値U8=ωRを設定する。そして、リミッタ18−2は、スリップレギュレータ出力値ω’に対してこの上下限値による制限を加えたスリップレギュレータ出力値ωLを出力する。

0137

加算器15は、元すべり周波数係数ωRにスリップレギュレータ出力値ωLを加算してすべり周波数係数ωkを生成する。

0138

これにより、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1以下の場合、加算器15から、すべり周波数係数ωkとして、スリップレギュレータ出力値ω’が反映されないすべり周波数係数ωk=ωRが出力される。この場合のスリップレギュレータ12の動作は、制御装置2全体としてOFFの状態であるといえる。

0139

トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I1よりも大きく、かつ閾値I2よりも小さい場合、加算器15から、すべり周波数係数ωkとして、スリップレギュレータ出力値ω’が反映され、かつ、0から−ωR×0.5へ漸減する下限値L7及び0からωRへ漸増する上限値U7の制限を受けた指令が出力される。また、トルク電流指令絶対値|Iq*|が閾値I2以上の場合、加算器15から、すべり周波数係数ωkとして、スリップレギュレータ出力値ω’が反映され、かつ、所定の下限値L8及び上限値U8の制限を受けた指令が出力される。この場合のスリップレギュレータ12の動作は、制御装置2全体として上下限値の制限が加えられたONの状態であるといえる。

0140

したがって、加算器15から、モータ32の抵抗温度の変化に伴うすべり周波数係数ωkの変化を補償し、かつ変動の少ないすべり周波数係数ωkが出力される。つまり、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、励磁電圧指令Vd*と基準励磁電圧指令Vdrefとの間の偏差が大きい場合であっても、リミッタ18−2において、元すべり周波数係数ωRを基準とした上下限値の制限が加えられたスリップレギュレータ出力値ωLが出力され、またはスリップレギュレータ出力値ωL=0が出力される。このため、加算器15により、変動の少ないすべり周波数係数ωkが出力される。乗算器16は、トルク電流指令Iq*にこのすべり周波数係数ωkを乗算してすべり周波数ωsを生成する。

0141

このように、リミッタ18−2を用いることにより、スリップレギュレータ12のON/OFFの切り替え時に、すべり周波数係数ωkがステップ状に変化することがないから、結果として、トルクの急激な変化を抑えることができる。

0142

以上、実施例1,2を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、図2において、IdR×2を上限値U2とし、IdR×0.5を下限値L2としたが、これらは例であり、他の値を用いるようにしてもよい。図4における上限値U4及び下限値L4、図7における上限値U6及び下限値L6、図9における上限値U8及び下限値L8についても同様である。

0143

1,2制御装置
10基準電圧指令生成部
11フラックスレギュレータ
12スリップレギュレータ
13,15,21加算器
14 速度レギュレータ
16乗算器
17−1,17−2,18−1,18−2リミッタ
19,20電流アンプ
22,23座標変換部
30インバータ
31電流検出器
32モータ
33速度センサ
ω回転子角速度
ωe電気角速度
ω* 回転子角速度指令
ωsすべり周波数
ω’,ωL スリップレギュレータ出力値
ωR 元すべり周波数係数
ωk,ωk’ すべり周波数係数
Iu U相交流電流検出値
Iv V相交流電流検出値
Iw W相交流電流検出値
Id励磁電流検出値
Iqトルク電流検出値
Id’,IdL フラックスレギュレータ出力値
IdR 元励磁電流指令
Id*,Id*’ 励磁電流指令
Iq*トルク電流指令
Vdref 基準励磁電圧指令
Vqref基準トルク電圧指令
Vd* 励磁電圧指令
Vq*トルク電圧指令
Vu* U相交流電圧指令
Vv* V相交流電圧指令
Vw* W相交流電圧指令

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