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技術 蛍光X線分析用試料調製方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 團上亮平加岳井敦
出願日 2016年11月29日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-231219
公開日 2017年6月29日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-116534
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 サンプリング、試料調製
主要キーワード 鉱石スラリー 電気コバルト 通過分積算 RF測定値 マグネシウム鉱物 粉砕パラメータ 資材コスト 人的要因
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

ニッケル酸化鉱石湿式精錬プロセスにおけるプロセス分析として、試料の再凝集粉砕装置の違いによる分析誤差を最小限に抑える蛍光X線分析用試料調製方法を提供する。

解決手段

ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーから蛍光X線分析用の試料を調製する蛍光X線分析用試料調製方法であって、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥させる乾燥工程S1と、乾燥させたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕し、粗粉末を得る粗粉砕工程S2と、粗粉末を粉砕機により粉砕することで、微粉末を得る微粉砕工程S3と、ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する検量線作成工程S4と、微粉砕工程S3後の微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧成形し、ブリケットを得る成形工程S5とを有し、検量線作成工程S4では、検量線用の試料を粉砕機で粉砕し、粉砕時間を微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにすることを特徴とする。

概要

背景

蛍光X線分析法は、化学分析などと比較すると、分析結果を短時間で得ることが可能であり、プロセス操業中に得られた中間物の分析結果を、操業条件フィードバックすることを目的として、プロセス操業中の分析方法として広く利用されている。

例えば、特許文献1には、自動粉砕装置自動プレス装置などを備えた、蛍光X線自動分析システムについて記載されており、自動化、省力化が可能であるという面でも、プロセス操業中の分析方法として好適であることが知られている。

資源製錬事業においては、鉱石中の含有成分量を正確かつ迅速に算出することが重要である。通常、原料となる鉱石試料分析試料数は多く、各成分について即日分析する必要があることから、簡便な測定が可能な蛍光X線分析法(XRF)がよく用いられる。蛍光X線分析法は試料にX線照射し、2次的に発生するX線(蛍光X線)を用いて元素定性定量分析を行う方法である。蛍光X線分析法(XRF)は、ICP発光分光分析法等の化学分析のような煩雑な前処理が不要で迅速な分析が可能であり、さらに非破壊で測定が可能である(非特許文献1および非特許文献2参照)。

XRFによる鉱石の分析方法には粉末ペレット法ガラスビード法があるが、ガラスビード法は試料を1000℃以上に溶融させるため、硫黄等の揮発する物質の定量が難しくなることや、前処理に熟練度が必要で、かつ分析にかかる工数が多くなってしまう。特に、操業を行う上では、一日に大量の分析を処理しなければならず、ガラスビード法よりも簡便で人的要因の少ない粉末ペレット法が適していると言える。

粉末ペレット法を用いた蛍光X線分析は、分析対象固体である場合は、分析装置にセットできるように、粉砕して粉体試料を得て、さらにプレス機などを利用し、例えば、平たい円柱状の形状に成形し、分析用試験片(以下、分析用ブリケットという場合がある)を作製する。試料の分析深さが数〜数十μm程度までの表面分析となるため、試料調整及び測定にあたっては、試料の凹凸のない平坦であること、試料面積X線照射面積より大きいこと、均質な状態であること等に注意する必要がある。特に、分析用ブリケットに形成された平面にX線を照射し、その際に試料表面から発生する蛍光X線を測定することにより分析が進行するため、X線を照射する面の平坦性均一性が重要であることが知られている。

例えば、特許文献2には、粉体試料に無機質マトリックス整合剤と有機質固化材を加えるなどの操作により、全体として均一な分析用試料調整法が記載されている。

また、特許文献3には、金属または合金粉末平均粒径や、成形体押し込み率などを規定することによって測定面の均一性を向上させて、分析精度を向上できる試料の作成方法に関わる技術が記載されている。

ところで、ニッケル酸化鉱石湿式精錬プロセスとして、高圧酸浸出法が知られており、ニッケル酸化鉱石をスラリー状(鉱石スラリーという)にして、高温高圧下有価金属硫酸浸出し、不純物を除去し、硫化してニッケルコバルト混合硫化物(MS(Mixed Sulfide)という場合がある)を製造している。更に、MSを原料として電解採取により、電気ニッケル電気コバルト生産されている。ニッケル酸化鉱石は、例えば、表1に示すような組成範囲を有する。

高温高圧下の浸出反応は、オートクレーブで実施されるが、この浸出反応を効率的に進行させるためには、鉱石スラリー中の金属成分バランスが重要である。このため、高温高圧下の浸出反応では、プロセス中から鉱石スラリーをサンプリングして組成を確認し、必要に応じて鉱石種類を変更する等の操業条件にフィードバックする。そして、上述した組成の分析(プロセス分析という場合がある)には、蛍光X線分析法が利用されている。

蛍光X線分析法によれば、サンプリングから分析結果を得られるまでの所要時間が8時間程度なので、操業を継続したまま、すなわち操業効率を低下させることなく、操業条件の調整(フィードバック)が可能である。

一方で、組成の分析に化学分析を用いた場合、分析結果の信頼性が高いものの、分析結果を得るのに数日かかるため、操業を継続したままでの適用が難しい。

すなわち、浸出不良の原因が、鉱石スラリーの成分のバランス悪化であることが分からぬまま数日間継続し、その間は、別の操業条件、例えば、反応温度の上昇、硫酸添加量の増加などで対応しなければならない。このため、資材コストが増加する割に効果を高めることができない。

概要

ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プロセスにおけるプロセス分析として、試料の再凝集や粉砕装置の違いによる分析誤差を最小限に抑える蛍光X線分析用試料調製方法を提供する。ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーから蛍光X線分析用の試料を調製する蛍光X線分析用試料調製方法であって、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥させる乾燥工程S1と、乾燥させたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕し、粗粉末を得る粗粉砕工程S2と、粗粉末を粉砕機により粉砕することで、微粉末を得る微粉砕工程S3と、ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する検量線作成工程S4と、微粉砕工程S3後の微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧・成形し、ブリケットを得る成形工程S5とを有し、検量線作成工程S4では、検量線用の試料を粉砕機で粉砕し、粉砕時間を微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにすることを特徴とする。

目的

本発明は、上述した従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プロセスにおけるプロセス分析として、試料の再凝集や粉砕装置の違いによる分析誤差を最小限に抑える蛍光X線分析用試料調製方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

ニッケル酸化鉱石鉱石スラリーから蛍光X線分析用の試料を調製する蛍光X線分析用試料調製方法であって、上記ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥させる乾燥工程と、乾燥させた上記ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕し、粗粉末を得る粗粉砕工程と、上記粗粉末を粉砕機により粉砕することで、微粉末を得る微粉砕工程と、上記ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する検量線作成工程と、上記微粉砕工程後の上記微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧成形し、ブリケットを得る成形工程とを有し、上記検量線作成工程では、検量線用の試料を上記粉砕機で粉砕し、粉砕時間を上記微粉砕工程における粉砕時間と同じにすることを特徴とする蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項2

上記検量線作成工程では、クロム(Cr)に関する検量線を得ることを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項3

上記ニッケル酸化鉱石は、クロマイトを含む請求項2に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項4

上記検量線作成工程では、マグネシウム(Mg)に関する検量線を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項5

上記ニッケル酸化鉱石は、蛇紋石を含む請求項4に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項6

上記微粉砕工程は、遊星ボールミルにより行う請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項7

上記微粉砕工程での粉砕時間を60分以内とする請求項6に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項8

上記微粉砕工程での試料量を10〜25gとする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項9

上記粗粉砕工程では、上記粗粉末が150μmふるい目開きを通過するように粗粉砕することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

請求項10

上記成形工程では、100kN〜200kNで10秒間〜60秒間加圧・成形することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項記載の蛍光X線分析用試料調製方法。

技術分野

0001

本発明は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis, XRF)における試料調製方法であって、詳しくはニッケル酸化鉱石鉱石スラリーから得られる粉末試料粉砕成形して蛍光X線分析用試料を調製する方法に関する。特に、試料微粉砕化の際に、検量線用試料と測定試料粉砕条件を揃えることにより、正確な蛍光X線分析値を算出する方法に関する。

背景技術

0002

蛍光X線分析法は、化学分析などと比較すると、分析結果を短時間で得ることが可能であり、プロセス操業中に得られた中間物の分析結果を、操業条件フィードバックすることを目的として、プロセス操業中の分析方法として広く利用されている。

0003

例えば、特許文献1には、自動粉砕装置自動プレス装置などを備えた、蛍光X線自動分析システムについて記載されており、自動化、省力化が可能であるという面でも、プロセス操業中の分析方法として好適であることが知られている。

0004

資源製錬事業においては、鉱石中の含有成分量を正確かつ迅速に算出することが重要である。通常、原料となる鉱石試料の分析試料数は多く、各成分について即日分析する必要があることから、簡便な測定が可能な蛍光X線分析法(XRF)がよく用いられる。蛍光X線分析法は試料にX線照射し、2次的に発生するX線(蛍光X線)を用いて元素定性定量分析を行う方法である。蛍光X線分析法(XRF)は、ICP発光分光分析法等の化学分析のような煩雑な前処理が不要で迅速な分析が可能であり、さらに非破壊で測定が可能である(非特許文献1および非特許文献2参照)。

0005

XRFによる鉱石の分析方法には粉末ペレット法ガラスビード法があるが、ガラスビード法は試料を1000℃以上に溶融させるため、硫黄等の揮発する物質の定量が難しくなることや、前処理に熟練度が必要で、かつ分析にかかる工数が多くなってしまう。特に、操業を行う上では、一日に大量の分析を処理しなければならず、ガラスビード法よりも簡便で人的要因の少ない粉末ペレット法が適していると言える。

0006

粉末ペレット法を用いた蛍光X線分析は、分析対象固体である場合は、分析装置にセットできるように、粉砕して粉体試料を得て、さらにプレス機などを利用し、例えば、平たい円柱状の形状に成形し、分析用試験片(以下、分析用ブリケットという場合がある)を作製する。試料の分析深さが数〜数十μm程度までの表面分析となるため、試料調整及び測定にあたっては、試料の凹凸のない平坦であること、試料面積X線照射面積より大きいこと、均質な状態であること等に注意する必要がある。特に、分析用ブリケットに形成された平面にX線を照射し、その際に試料表面から発生する蛍光X線を測定することにより分析が進行するため、X線を照射する面の平坦性均一性が重要であることが知られている。

0007

例えば、特許文献2には、粉体試料に無機質マトリックス整合剤と有機質固化材を加えるなどの操作により、全体として均一な分析用試料調整法が記載されている。

0008

また、特許文献3には、金属または合金粉末平均粒径や、成形体押し込み率などを規定することによって測定面の均一性を向上させて、分析精度を向上できる試料の作成方法に関わる技術が記載されている。

0009

ところで、ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プロセスとして、高圧酸浸出法が知られており、ニッケル酸化鉱石をスラリー状(鉱石スラリーという)にして、高温高圧下有価金属硫酸浸出し、不純物を除去し、硫化してニッケルコバルト混合硫化物(MS(Mixed Sulfide)という場合がある)を製造している。更に、MSを原料として電解採取により、電気ニッケル電気コバルト生産されている。ニッケル酸化鉱石は、例えば、表1に示すような組成範囲を有する。

0010

0011

高温高圧下の浸出反応は、オートクレーブで実施されるが、この浸出反応を効率的に進行させるためには、鉱石スラリー中の金属成分バランスが重要である。このため、高温高圧下の浸出反応では、プロセス中から鉱石スラリーをサンプリングして組成を確認し、必要に応じて鉱石種類を変更する等の操業条件にフィードバックする。そして、上述した組成の分析(プロセス分析という場合がある)には、蛍光X線分析法が利用されている。

0012

蛍光X線分析法によれば、サンプリングから分析結果を得られるまでの所要時間が8時間程度なので、操業を継続したまま、すなわち操業効率を低下させることなく、操業条件の調整(フィードバック)が可能である。

0013

一方で、組成の分析に化学分析を用いた場合、分析結果の信頼性が高いものの、分析結果を得るのに数日かかるため、操業を継続したままでの適用が難しい。

0014

すなわち、浸出不良の原因が、鉱石スラリーの成分のバランス悪化であることが分からぬまま数日間継続し、その間は、別の操業条件、例えば、反応温度の上昇、硫酸添加量の増加などで対応しなければならない。このため、資材コストが増加する割に効果を高めることができない。

0015

特開平01−059043号公報
特開平06−249768号公報
特開2013−108778号公報

先行技術

0016

中井、「蛍光X線の分析実際」、書店、2014年7月25日、第10刷
JIS K 0119蛍光X線分析通則

発明が解決しようとする課題

0017

特許文献2、3に記載されるように、蛍光X線分析法の欠点として分析結果のバラツキがあり、ニッケル酸化鉱石の種類によっては、鉱石スラリーを分析する際に、特にクロム(Cr)やマグネシウム(Mg)の分析値ばらつく。これより、ニッケルやコバルトに対するクロムやマグネシウムのバランスにバラツキが発生する場合があり、上述した操業条件の調整がうまくいかなくなるという問題点がある。

0018

不均一な試料は粒径効果や鉱物効果により蛍光X線の誤差が生じやすい。特に、ニッケル酸化鉱石のXRF分析では、Ni等は粉砕により検出濃度変化を生じにくいが、Mgのような軽元素についてはX線の進入深さが浅いので、凝集した粗大粒子が存在するとX線が散乱してXRF強度が減少し、検出濃度変化を生じやすい。

0019

通常、採掘された鉱石は選鉱工程で粉砕、い分けによる分級がなされ、粒度を調製することにより、粒径効果を小さくかつ、均一化を図っている。その後、XRF測定前の試料調整においても、乾燥、アルミナ乳鉢等による手粉砕し篩分けた後、加圧成形を施している。粉砕にはアルミナ乳鉢等で固体の粉砕を行い、篩い掛けを実施しているが、作業者による差異があり、ばらつきが生じやすい。このため、場合によっては適切な分析試料調製や検量線作成が行えていないまま、XRF測定に供してしまうという課題がある。

0020

そこで、本発明は、上述した従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プロセスにおけるプロセス分析として、試料の再凝集や粉砕装置の違いによる分析誤差を最小限に抑える蛍光X線分析用試料調製方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0021

本発明者らは、上記課題を解決するために、蛍光X線分析の検量線試料についても測定試料と同様に粉砕し、粉砕条件を揃えることで、分析誤差を最小限に抑えることができることを見出し、本発明を完成した。

0022

即ち、上記目的を達成するための本発明の一態様は、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーから蛍光X線分析用の試料を調製する蛍光X線分析用試料調製方法であって、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥させる乾燥工程と、乾燥させたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕し、粗粉末を得る粗粉砕工程と、粗粉末を粉砕機により粉砕することで、微粉末を得る微粉砕工程と、ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する検量線作成工程と、微粉砕工程後の微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧・成形し、ブリケットを得る成形工程とを有し、検量線作成工程では、検量線用の試料を粉砕機で粉砕し、粉砕時間を微粉砕工程における粉砕時間と同じにすることを特徴とする。

0023

本発明の一態様によれば、検量線用の試料を微粉砕し、かつ、粉砕時間を測定試料の微粉砕の時間と同じにすることにより、それぞれの試料における測定誤差や分析誤差を最小限に抑えることができ、XRF測定値の精度を向上させることができる。

0024

このとき、本発明の一態様では、検量線作成工程において、クロム(Cr)に関する検量線を得ることができる。

0025

CrはXRF測定の誤差率が大きな成分であるため、検量線用試料を測定用試料と同じ条件で微粉砕することでCrについての正確な検量線を得ることができる。

0026

このとき、本発明の一態様では、ニッケル酸化鉱石は、クロマイトを含むものでもよい。

0027

クロマイトは、粒径が大きく、硬い鉱物であるが、本発明を適用することで正確な分析が可能となる。

0028

また、本発明の一態様では、検量線作成工程において、マグネシウム(Mg)に関する検量線を得ることができる。

0029

MgもXRF測定の誤差率が大きな成分であるため、検量線用試料を測定用試料と同じ条件で微粉砕することでMgについての正確な検量線を得ることができる。

0030

このとき、本発明の一態様では、ニッケル酸化鉱石は、蛇紋石を含むものでもよい。

0031

蛇紋石は、マグネシウムの分析精度を悪化させる要因となるものであるが、本発明を適用することで正確な分析が可能となる。

0032

本発明の一態様では、微粉砕工程は、遊星ボールミルにより行うことができる。

0033

遊星ボールミルを使用することにより、手粉砕等と比較して作業者によるばらつきを低減することができる。

0034

本発明の一態様では、微粉砕工程での粉砕時間を60分以内とすることができる。

0035

粉砕時間を長くし過ぎた場合には、Mgが再凝集するおそれがあるため、60分以内とすることが好ましい。

0036

本発明の一態様では、微粉砕工程での試料量を10〜25gとすることができる。

0037

試料量を10〜25gとすることで、Cr及びMgの両元素についての試料量を適正範囲とすることができる。

0038

本発明の一態様では、粗粉砕工程において、粗粉末が150μmふるい目開きを通過するように粗粉砕することができる。

0039

微粉砕を行う前に、粗粉砕工程において、150μm以下に粒径を揃えておくことが好ましい。

0040

本発明の一態様では、成形工程において、100kN〜200kNで10秒間〜60秒間加圧・成形することができる。

0041

このようにすることで、蛍光X線分析に適した平板状のブリケットを得ることができる。

発明の効果

0042

本発明によれば、試料の最適な粉砕条件で、検量線用試料と測定試料の粉砕条件を揃えることにより、鉱物効果の影響を少なくし、XRF測定値の正確な分析が行えるようになる。

図面の簡単な説明

0043

本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における試料調整プロセスの概略を示す工程図である。
検量線作成工程において、検量線用試料を5分間ボールミル粉砕した場合のMgの検量線の図である。
検量線作成工程において、検量線用試料を10分間ボールミル粉砕した場合のMgの検量線の図である。
検量線作成工程において、検量線用試料を5分間ボールミル粉砕した場合のNiの検量線の図である。
検量線作成工程において、検量線用試料を10分間ボールミル粉砕した場合のNiの検量線の図である。
本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における、検量線用試料の粉砕時間を5分で固定したときの測定用試料の粉砕時間とMgの濃度比(XRF分析値/化学分析値)との関係図である。
本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における、検量線用試料の粉砕時間を10分で固定したときの測定用試料の粉砕時間とMgの濃度比(XRF分析値/化学分析値)との関係図である。
本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における、検量線用試料の粉砕時間を5分で固定したときの測定用試料の粉砕時間とNiの濃度比(XRF分析値/化学分析値)との関係図である。
本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における、検量線用試料の粉砕時間を10分で固定したときの測定用試料の粉砕時間とNiの濃度比(XRF分析値/化学分析値)との関係図である。

0044

以下、本発明に係る蛍光X線分析用試料調製方法について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
1.蛍光X線分析用試料調製方法
1−1.乾燥工程
1−2.粗粉砕工程
1−3.微粉砕工程
1−4.検量線作成工程
1−5.成形工程

0045

<1.蛍光X線分析用試料調製方法>
図1に、本発明の一実施の形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法における試料調整プロセスの概略を示す。本発明の一実施形態は、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーから蛍光X線分析用の試料を調製する蛍光X線分析用試料調製方法であって、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥させる乾燥工程S1と、乾燥させたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕し、粗粉末を得る粗粉砕工程S2と、粗粉末を粉砕機により粉砕することで、微粉末を得る微粉砕工程S3と、ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する検量線作成工程S4と、微粉砕工程S3後の微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧・成形し、ブリケットを得る成形工程S5とを有する。そして、検量線作成工程S4では、検量線用の試料を粉砕機で粉砕し、粉砕時間を微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにすることを特徴とする。

0046

このように、検量線用の試料を微粉砕し、かつ、粉砕時間を測定試料の微粉砕の時間と同じにすることにより、それぞれの試料における測定誤差や分析誤差を最小限に抑えることができ、XRF測定値の精度を向上させることができる。以下、各工程を順にそれぞれ説明する。

0047

(1−1.乾燥工程)
乾燥工程S1は、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを乾燥して鉱石スラリーの固形分を得る工程をいう。蛍光X線分析用試料調製方法では、乾燥工程S1を有することが好ましい。なぜなら、湿潤状態の鉱石スラリーを次工程である粗粉砕工程S2に使用すると、蛍光X線を測定する際に重量測定に誤差が生じやすい。また、鉱石スラリーには、赤土状、粘土状の固形分が含まれるため、取り扱いに手間を要し、蛍光X線に使用する冶具洗浄作業などに時間を要するからである。さらに、後述する成形工程S5では、金属カップに試料を入れる際に、ヘラなどによりカップ上面を平たくするために調整する必要がなく、ブリケット化することができる。

0048

より具体的には、乾燥工程S1では、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを100℃〜200℃で、1時間〜6時間乾燥して、鉱石スラリーの固形分濃度を40重量%〜45重量%となるように乾燥することが好ましい。

0049

乾燥工程S1では、乾燥温度を100℃〜200℃に制御することで水分を適切に蒸発させることができる。乾燥温度が100℃未満の場合には、水分を十分に蒸発させることができない。一方、乾燥温度が200℃を超える場合には、鉱石中に含まれる結晶水が分解されるため、正確な分析値が得られない可能性がある。

0050

また、乾燥工程S1では、乾燥時間が1時間〜6時間に制御することで、水分を適切に蒸発させることができる。乾燥時間が1時間未満の場合には、水分を適切に蒸発させることができない。一方、乾燥時間が6時間を超える場合には、いたずらに乾燥時間が長時間化するだけで鉱石中に含まれる水分がすでに蒸発しているので、余分なエネルギー損失となる。

0051

さらに、乾燥工程S1では、鉱石スラリーの固形分濃度を40重量%〜45重量%となるように乾燥することが好ましい。これにより、蛍光X線分析用試料調製方法では、後工程である粗粉砕工程S2における粗粉砕の効率化を図ることができる。

0052

このようにして、乾燥工程S1では、固形分濃度が所定の範囲である鉱石スラリーを得ることができる。

0053

(1−2.粗粉砕工程)
次に、粗粉砕工程S2では、乾燥工程S1で乾燥させたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を粉砕する。

0054

粗粉砕工程S2では、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの固形分を、乳鉢やすりなどで粉砕することが好ましい。乳鉢としては、アルミナの乳鉢が特に好ましい。

0055

粗粉砕工程S2では、次工程である微粉砕工程S3における所望の粒度分布からなる微粉末を得るために、粗粉末の粒径を150μm以下に粗粉砕することが好ましい。具体的には、粗粉砕工程S2では、乳鉢などで粉砕した粉末を、150μmふるい目開き(100メッシュ)に通すことにより、粒径が150μm以下である粗粉末を得ることができる。

0056

また、粗粉砕工程S2では、150μmふるい目開きを通らなかった粉末を、再度、乳鉢などで粗粉砕することもできる。そして、粗粉砕工程S2では、再度粗粉砕して得られる粉末を、150μmふるい目開きに通すことにより、粒径が150μm以下である粗粉末を得ることができる。

0057

このように、粗粉砕工程S2では、上述した手順により粒径が150μm以下である粗粉末を得ることができる。

0058

(1−3.微粉砕工程)
微粉砕工程S3では、粗粉砕工程S2により得られた粗粉末を微粉砕する。

0059

蛍光X線分析用試料調製方法では、従来の粗粉砕のみの方法(手作業で粒径150μmまでをふるいわけ)に比べて、微粉砕工程S3を有するので、多少の手間がかかるとも考えられる。しかしながら、蛍光X線分析用の試料は、30g以下の量で充分であるため、試料調製に要する時間が大幅に増加することはない。例えば、従来では、ニッケル酸化鉱石から蛍光X線分析用の試料を準備するために5時間〜6時間程度を要するものであった一方、蛍光X線分析用試料調製方法では、8時間程度に増加する程度である。このため、化学分析に数日間要することを考慮すれば大きな問題にはならない。

0060

また、蛍光X線分析用試料調製方法では、前工程である粗粉砕工程S2を経ずに微粉砕工程S3だけで、目的とする微粉末のサイズにした場合には、粉砕効率が非常に悪く粉砕機の寿命が短くなる。

0061

蛍光X線分析用試料調製方法において、微粉砕工程S3を必要とする理由は、ニッケル酸化鉱石内に含まれるクロマイトや蛇紋石を細かく粉砕する必要があるからである。例えば、クロマイトは、その粒径が大きく、しかも硬い鉱物である。このため、従来の粗粉砕のみでは細かく砕くことができず、分析値のバラツキの原因となっていた。したがって、微粉砕工程S3において、粉砕機等により微粉砕を行ってクロマイトを細かく粉砕することで正確な分析を行うことができる。

0062

また、蛇紋石は、マグネシウム鉱物を多く含んでいて、マグネシウムの分析精度を悪化させる要因となっている。なぜなら、蛇紋石は、Mg濃度の高い成分の粒子を、Fe濃度の高い成分が被覆する構造(以下、「Fe被膜構造」ともいう)となっているからである。この被覆部分は壊れにくく、従来の粉砕程度では、粒径が100μm程度のサイズの蛇
紋石であれば、Fe被膜構造を保持したまま、粉砕後の粉末試料に残留する。

0063

したがって、微粉砕工程S3において、粉砕機により微粉砕を行うと、蛇紋石の構造は破壊、粉砕され、蛇紋石の内部であったMg濃度の高い成分が表面に現れるため、蛍光X線分析をした場合に、X線が充分に照射されるようになり、XRF測定値の正確な分析が行えるようになる。

0064

微粉砕工程S3では、粗粉末を粉砕機により微粉砕する。粉砕機としては、一般に市販されている粉砕機で良いが、遊星ボールミルが好ましい。粉砕条件としては、例えば、測定試料の粉砕状況から十分に粉砕されていることが確認された時の粉砕条件を粉砕パラメータとして決定すればよい。粉砕条件の一例として、粉砕容器のサイズが80mLであり、粉砕容器の材質ジルコニア製であり、粉砕用ボールが5個であり、粉砕用ボールの材質がジルコニア製である。また、粉砕用ボールの直径が10mm〜20mmであり、回転数が400rpm〜650rpmであることが好ましい。

0065

サンプル量は10〜25gが好ましく、15gが特に好ましい。サンプル量が10g未満であると正確なXRF測定値が得られない。また、サンプル量が25gを超えると凝集が生じることがあるため好ましくない。

0066

粉砕時間は0分〜60分であることが好ましく、10分とすることが特に好ましい。粉砕時間が60分を超えると、Mgが再凝集するおそれがあるため好ましくない。

0067

また、微粉砕工程S3では、次の工程である検量線作成工程S4の前に、微粉末が所定の粒度分布であることを確認する確認工程を有していても良い。マグネシウムの分析値の精度を高めるためには、蛇紋石の構造が破壊、粉砕され、蛇紋石の内部であったMg濃度の高い成分が表面に現れるよう、微粉末が所定の粒度分布であることを確認することが望ましいからである。

0068

確認の方法としては、SEMEDS分析により微粉末が均一に粉砕されているかを確認することで鉱石試料の鉱物効果の影響を少なくし、XRF測定値の精度を向上させることができる。また、微粉末が均一に粉砕されていることが確認できた際の粉砕条件を微粉砕工程S3における最適パラメータとすることで、測定精度が高くなる粉砕条件を見出すことができる。

0069

また、確認工程では、上述したSEM−EDS分析に加えて粒度分布を測定することで確認することもできる。この場合、微粉末の粒度分布がD90≦80μm、D50≦30μmとなるように微粉砕されていることが好ましい。なお、D50は、各粒径における粒子数を粒径の小さい側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積通過分積算)の50%となる粒径を意味している。また、D90は、各粒径における粒子数を累積し、その累積体積が全粒子の合計体積(通過分積算)の90%となる粒径を意味している。D50及びD90を求める方法は特に限定されないが、例えば、レーザー光回折散乱式粒度分析計で測定した体積積算値から求めることができる。

0070

(1−4.検量線作成工程)
検量線作成工程S4では、ニッケル酸化鉱石中の金属成分の含有量を算出するための検量線を作成する。ここで、金属成分とは、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)等である。検量線は、これらの金属成分の各々について作成する。

0071

従来は、測定用試料、及び、検量線用の試料については粗粉砕(手粉砕)のみを行っていた。しかしながら、粗粉砕のみの場合、Mg、CrのXRF分析値が化学分析値よりも低値を示す問題が発生していた。例えば、後述する図6において、ボールミル粉砕時間0分(すなわち、粗粉砕のみの場合)では、Mg濃度比が0.81となっており、XRF分析値が化学分析値よりも低い値となっていることが分かる。

0072

これは、上述したように、マグネシウムを含有する蛇紋石がFe被膜構造をとっているためである。そこで、本発明の一実施形態に係る蛍光X線分析用試料調製方法では、検量線用試料についても測定用試料と同様に粉砕機で粉砕し、粉砕時間を微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにすることで、鉱物効果の影響を少なくし、XRF測定値の正確な分析が行えるようにしたものである。

0073

検量線用試料としては、特に限定はされないが、例えば、化学分析により金属成分の含有量が特定されたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを用いる。検量線用試料についても微粉砕を行い、粉砕時間も微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにすることで、正確な検量線を作成することができる。

0074

ニッケル酸化鉱石中の金属成分の中では、上述したような理由で、特に、クロム(Cr)やマグネシウム(Mg)について検量線の分析誤差が生じやすい。したがって、クロム(Cr)やマグネシウム(Mg)について正確な検量線を得る条件を設定することができれば、他の金属元素については特段、特別な条件設定をする必要はない。

0075

検量線作成の工程については、検量線用試料についても微粉砕を行い、粉砕時間も微粉砕工程S3における粉砕時間と同じにするということを除けば、一般的に行われているXRF測定における検量線の作成と同様の方法で各金属成分について検量線を作成する。

0076

(1−5.成形工程)
成形工程S5では、微粉砕工程S3後の微粉末を収納した試料カップを、平板状になるように加圧・成形する。

0077

成形工程S5では、試料カップに、微粉砕工程S3から得られた微粉末を収納する。この際、微粉砕工程S3により微粉末が細かい粒子状となっているので、試料カップに盛られている微粉末の表面をヘラなどで平たくする必要はない。

0078

試料カップの材質としてば、金属等が挙げられる。例えば、スズでメッキされた鉄製などが好ましい。試料カップの大きさは、φ30mm〜50mmであり、深さ8mm〜12mmが好ましい。

0079

成形工程S5では、微粉末を収納した試料カップを、加圧ブレス機により高さ2mm〜3mmの平板状になるように加圧・成形する。加圧・成形する条件としては、圧力が100kN〜200kNで圧縮し、圧縮時間を10秒〜60秒間保持することが好ましい。

0080

このように、成形工程S5では、平板状のブリケットを得ることができる。なお、ブリケットとは、微粉末を収納した試料カップを加圧・成形することによりブリケットされた成型体をいう。

0081

このようにして、成形された試料は蛍光X線分析用試料として好適に用いることができる。したがって、本発明によれば、試料の最適な粉砕条件で、検量線用試料と測定試料の粉砕条件を揃えることにより、鉱物効果の影響を少なくし、XRF測定値の正確な分析が行えるようになる。

0082

以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。

0083

(実施例1)
まず、微粉砕工程S3における最適な粉砕パラメータに関する検討を行った。ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーから成る鉱石試料を105℃で2時間乾燥させ、水分を除去した(乾燥工程S1)。その後、アルミナ製乳鉢で手粉砕した後、目開き150μmの篩で乾式手篩いを行った(粗粉砕工程S2)。

0084

次に、遊星型ボールミルフリッチュ製、P−5)を用いて、鉱石試料が微粉となるまで粉砕した(微粉砕工程S3)。この時のボール衝突エネルギーは、径の小さなボールの方が大きくなる傾向となっており、粉砕速度定数も同様の傾向を示した。ボール重量および砕料量を一定とした条件においては、ボール径が小さくなるほど粒子個数が増えて衝突回数が増加するため、このような傾向になると考えられる。また、容器には先にボールを入れてから粉末試料を入れることで、粉砕試料とボールとの接触確率上がり、粉砕効率が良くなることが分かった。

0085

次に、試料量を一定にした時の粉砕時間について検討した。粉砕時間が長くなるに従いCrのXRF強度比が上昇し続け、クロマイトの粉砕が進んでいることが確認された。しかし、Mgは10分を越えたところで、XRF強度比が減少し始めた。なお、ここでXRF強度比とは、遊星ボールミル粉砕を未実施の時(0分)を基準(1.00)としたときの測定試料のXRF測定値の比をいう。この理由は、試料が再凝集して粗大粒子が増えたことによるものである。具体的には、Mg等の軽元素はX線の進入深さが浅いので、再凝集した粗大粒子が存在するとX線が散乱してMgのXRF強度が減少するためである。以上の結果より、試料量が25gでは、CrとMgの最適粉砕条件を両立することはできない。また、Crの粉砕を優先して粉砕時間を長時間化すると、分析時間が長くなってしまう。

0086

次に、試料量を少なくすることで、粉砕時間を延ばすことと同様の効果が得られると考え、粉砕時間を10分に固定し、試料量を変化させてXRF強度の調査(10〜25g)を行った。Crについては試料量が減少するに従い、XRF強度比が上昇した。なお、ここでのXRF強度比とは、試料量25gを基準(1.00)としたときの測定試料のXRF測定値の比をいう。Crは試料量が18g以上では、XRF強度比があまり上昇せず、Crの粉砕効果が期待できないと判断し、Crの適正範囲は18g以下とした。一方、Mgについては試料量が18gを下回ると、XRF強度比が減少した。これは試料の凝集が起き始めていることを示している。よって、粉砕試料量は両元素の適正範囲が重なる15gに設定した。

0087

以上のような検討を行い、ニッケル酸化鉱石試料を粉砕する際の粉砕パラメータを最適化することで、粉砕が不十分であるという問題を解決できる。具体的には、粉砕時の条件を表2に示す調整幅で変化させ、さらに、最適条件を決定した。

0088

0089

(実施例2)
実施例2では、粗粉砕工程S2までは実施例1と同様にし、上記検討した粉砕パラメータによりニッケル酸化鉱石試料を微粉砕工程S3において微粉砕した。すなわち、サンプル量15g、回転数400rpm、ボールの大きさ20mmφとし、ボールの個数5個、ボールの材質ジルコニアおよび粉砕容器80mLとした。

0090

また、検量線作成工程S4において、検量線用試料を微粉砕工程S3と同様の条件で、粉砕時間5分と10分に分けてボールミル粉砕を行った。

0091

図2に5分間ボールミル粉砕を施したMgの検量線(化学分析値に対するXRF強度)を、図3に10分間ボールミル粉砕を施したMgの検量線の図を示す。両者とも検量線の直線性は良好であることがわかる。同様に、図4に5分間ボールミル粉砕を施したNiの検量線、図5に10分間ボールミル粉砕を施したNiの検量線を示す。Niについても検量線の直線性は良好である。

0092

(実施例3)
実施例3では、粉砕時間の分析値への影響について、測定試料を用いて、粉砕時間と濃度比(XRF分析値/化学分析値)との相関調査を行った。また、測定値の精度を検証するために、ニッケル酸化鉱石について、ICP発光分光分析法による化学分析により金属の含有率を分析した。その結果、鉱石は、表3に示すように、Ni:1.05重量%、Mg:2.26重量%、Cr:2.75重量%をそれぞれ含有するものであった。

0093

0094

図6に5分粉砕の検量線を用いた場合、図7に10分粉砕の検量線を用いたときのMgの粉砕時間と濃度比の関係を示す。XRF検量線は遊星ボールミルの粉砕時間を5分、10分と変えて作成し、各検量線で測定したが、MgのXRF検量線と試料の粉砕時間を同じにすれば、濃度比は1.00に近づき、化学分析値とXRF分析値が良い一致を示した。これは、Mg等の軽元素はX線の進入深さが浅いので、試料の状態を敏感に受けるためと考えられる。一方、図8に5分粉砕の検量線を用いた場合、図9に10分粉砕の検量線を用いたときのNiの粉砕時間と濃度比の関係を示すが、この場合の濃度の変化はほとんど見られなかった。

実施例

0095

したがって、検量線用試料についても測定試料と同様に粉砕し、粉砕条件を揃えることで、Mg等の安定しない元素についても正確な分析が可能であることを確認した。

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