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技術 抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソーム

出願人 国立大学法人北海道大学
発明者 武田晴治千葉仁志惠淑萍
出願日 2015年12月22日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-249328
公開日 2017年6月29日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-116308
状態 特許登録済
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 原料ロット CP電極 CNT分散溶液 コリン型 エタノールアミン型 電位応答 グリセロール型 CNT電極
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重要な関連分野

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図面 (8)

課題

簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソームを提供する。

解決手段

ジアシルホスファチジルコリンと、ジアシルホスファチジルエタノールアミンを構成成分として含み、ジアシルホスファチジルコリンとジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含む。

概要

背景

血液に含まれる低比重リポタンパク質(LDL)が酸化を受けて酸化LDLに変化すると、冠動脈疾患進展につながることが知られている。このため、LDLなどの脂質の酸化を抑制することが健康維持のために重要であると考えられ、昨今、抗酸化能を有する素材機能性食品などの利用に関心が高まってきている。

LDLなど脂質に対して抗酸化能を有する物質探索方法として、いくつか提案がされてきた。

非特許文献1には、抗酸化物質の抗酸化能を評価する方法であるORAC法及びDPPP法が記載されている。また、非特許文献2、3では、レシチンなどから抽出した脂質を用いてリポソームを作製することにより、脂質に対する抗酸化能を評価する方法が報告されている。また、非特許文献4では、LDLの酸化状態CNT電極により評価する方法が報告されている。

概要

簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソームを提供する。ジアシルホスファチジルコリンと、ジアシルホスファチジルエタノールアミンを構成成分として含み、ジアシルホスファチジルコリンとジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含む。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、ことを特徴とする抗酸化能測定用リポソーム

請求項2

R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項1に記載の抗酸化能測定用リポソーム。

請求項3

R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗酸化能測定用リポソーム。

請求項4

一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれるリポソームに、対象物質を接触させる工程と、前記リポソームの酸化度合を測定する工程と、を含む抗酸化能測定方法

請求項5

R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項4に記載の抗酸化能測定方法。

請求項6

R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の抗酸化能測定方法。

請求項7

一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、ことを特徴とするリポソーム。

請求項8

R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項7に記載のリポソーム。

請求項9

R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、ことを特徴とする請求項7又は8に記載のリポソーム。

技術分野

0001

本発明は、抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームに関する。

背景技術

0002

血液に含まれる低比重リポタンパク質(LDL)が酸化を受けて酸化LDLに変化すると、冠動脈疾患進展につながることが知られている。このため、LDLなどの脂質の酸化を抑制することが健康維持のために重要であると考えられ、昨今、抗酸化能を有する素材機能性食品などの利用に関心が高まってきている。

0003

LDLなど脂質に対して抗酸化能を有する物質探索方法として、いくつか提案がされてきた。

0004

非特許文献1には、抗酸化物質の抗酸化能を評価する方法であるORAC法及びDPPP法が記載されている。また、非特許文献2、3では、レシチンなどから抽出した脂質を用いてリポソームを作製することにより、脂質に対する抗酸化能を評価する方法が報告されている。また、非特許文献4では、LDLの酸化状態CNT電極により評価する方法が報告されている。

先行技術

0005

英生ら、山梨県工業技術センター研究報告No.25(2011)p64−67
Food Chemistry,Vol.60,No.2,pp. 165−175,1997
J.Agric.Food Chem.2014,62,6726−6735
Sensors and Actuators B 166−167(2012)833−836

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、非特許文献1に記載のORAC法及びDPPP法による抗酸化能の測定値は、同じ抗酸化物質を用いて実際のLDLなどの脂質に対する抗酸化能を測定した場合の値と相関しないことが示されている(IEEE SENSORS JOURNAL,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 2014,532−537)。また、非特許文献2、3に記載の方法では、原料ロットにより脂質の酸化状態が異なり、また、LDLに対する抗酸化能との相関も得られていない。また、非特許文献4に記載の方法では、ヒト由来試料であるLDLを用いるため、保存性廃棄など汎用性の点で課題を残していた。

0007

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る抗酸化能測定用リポソームは、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、



(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、



(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
ことを特徴とする。

0009

例えば、R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。

0010

例えば、R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。

0011

本発明の第2の観点に係る抗酸化能測定方法は、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、



(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、



(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれるリポソームに、対象物質を接触させる工程と、
前記リポソームの酸化の度合を測定する工程と、
を含む。

0012

例えば、R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。

0013

例えば、R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。

0014

本発明の第3の観点に係るリポソームは、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、



(式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、



(式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
ことを特徴とする。

0015

例えば、R1、R2は、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。

0016

例えば、R3及びR4は、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。

発明の効果

0017

本発明によれば、簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームを提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

飽和脂肪酸含有濃度がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。
不飽和脂肪酸の長さ及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。
飽和脂肪酸の長さがリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。
飽和脂肪酸の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。
様々な抗酸化剤のLDL又はリポソームに対する抗酸化能を示したグラフ図である。
リポソームの保存性について示したグラフ図である。
異なる作製方法によって作製されたリポソームについて酸化の度合を示したグラフ図である。

0019

まず、本実施形態に係るリポソームについて詳細に説明する。

0020

本実施形態に係るリポソームは、ジアシルホスファチジルコリン(以下「α成分」という)と、ジアシルホスファチジルエタノールアミン(以下「β成分」という)と、を構成成分として含む。

0021

本実施形態に係るリポソームに含まれるα成分は、下記一般式1で示される。下記の通り、α成分は、極性基としてフォスファチジルコリン基を有する。なお、本願明細書において、α成分(ジアシルホスファチジルコリン)を単に「不飽和脂肪酸」と称する場合がある。

0022

0023

上記式中、R1及びR2は、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表す。R1、R2は、好ましくは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。R1、R2として、例えば、9−ヘキサデセノイル、9−オクタデセノイル、11−エイコセノイル、13−ドコセノイル、15−テトラコセノイル、9,12−オクタデカエノイルリノール酸)、11,14−エイコサジエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル(α—リノレン酸)、6,9,12−オクタデカトリエノイル(γ—リノレン酸)、エイコサトリエノイル、4,8,12,16−エイコサテトラエノイル、5,8,11,1−エイコサテトラエノイル(アラキドン酸)等の直鎖状又は分枝状の不飽和脂肪酸由来のものが挙げられる。特に、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸が好ましく、さらにアラキドン酸が好ましい。なお、R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよい。

0024

本実施形態に係るリポソームに含まれるβ成分は、下記一般式2で示される。下記の通り、β成分は、極性基としてエタノールアミン基を有する。なお、本願明細書において、β成分(ジアシルホスファチジルエタノールアミン)を単に「飽和脂肪酸」と称する場合がある。

0025

0026

上記式中、R3及びR4は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表す。R3及びR4は、好ましくは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。R3及びR4として、例えば、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイルミリスチン酸)、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル(パルミチン酸)、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル(ステアリン酸)等の直鎖もしくは分枝状の飽和脂肪酸由来ものが挙げられる。特に、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましい。なお、R3及びR4は、同一であっても、異なっていてもよい。

0027

本実施形態に係るリポソームに含まれるα成分とβ成分との組み合わせの好適例は、以下の通りである。
・α成分のR1及びR2:アラキドン酸、β成分のR3及びR4:ミリスチン酸
・α成分のR1及びR2:アラキドン酸、β成分のR3及びR4:パルミチン酸
・α成分のR1及びR2:アラキドン酸、β成分のR3及びR4:ステアリン酸
・α成分のR1及びR2:α−リノレン酸、β成分のR3及びR4:ミリスチン酸
・α成分のR1及びR2:α−リノレン酸、β成分のR3及びR4:パルミチン酸
・α成分のR1及びR2:α−リノレン酸、β成分のR3及びR4:ステアリン酸
・α成分のR1及びR2:リノール酸、β成分のR3及びR4:ミリスチン酸
・α成分のR1及びR2:リノール酸、β成分のR3及びR4:パルミチン酸
・α成分のR1及びR2:リノール酸、β成分のR3及びR4:ステアリン酸

0028

なお、R1及びR2がアラキドン酸の場合、α成分は、DAPC(20−4)(ジアラキドニルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。

0029

また、R1及びR2がα−リノレン酸の場合、α成分は、DLNPC(18−3)(ジリノレノイルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。

0030

また、R1及びR2がリノール酸の場合、α成分は、DLPC(18−2)(ジラウロイルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。

0031

0032

また、R3及びR4がミリスチン酸の場合、β成分は、DMPE(14−0)(ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。

0033

また、R3及びR4がパルミチン酸の場合、β成分は、DPPE(16−0)(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。

0034

また、R3及びR4がステアリン酸の場合、β成分は、DSPE(18−0)(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。

0035

0036

本実施形態に係るリポソームには、α成分とβ成分とが重量比75〜95:25〜5で含まれる。α成分:β成分の重量比は、例えば、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5等である。

0037

本実施形態に係るリポソームは、前述のα成分及びβ成分が上記の重量比で含まれ、かつ所望の効果を発揮する限り、前述のα成分及びβ成分に加えて、他のジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン等を含んでもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、他の成分として、例えば、膜安定化剤としてコレステロールコレスタノール等のステロール類を、荷電物質としてジアルキルホスフェート、ジアシルホスファチジン酸ホスファチジルセリンホスファチジルグリセロールステアリルアミン等を含んでいてもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、他の成分として、ビオチンを結合させたリン脂質蛍光物質を結合させたリン脂質、ローダミン脂溶性色素、酸化されることで退色するため抗酸化能の評価が可能である)等を含んでいてもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、対象物質(被検物質)の抗酸化能を測定するために用いられるので、酸化防止剤を含まないことが好ましい。

0038

本実施形態に係るリポソームは、エクストルーダー(市販品)を用いて作製してもよく、公知の超音波照射による方法や、高速攪拌法等を用いて作製してもよい。本発明の効果を奏する限り、任意の方法で作製され得る。また、本実施形態に係るリポソームの粒径は、例えば、30〜200nm程度である。

0039

本実施形態に係るリポソームの作製方法について例示する。以下、α成分としてDAPC、β成分としてDMPEを、重量比DAPC:DMPE=75:25で含むリポソームの作製方法について例示する。DAPC(α成分)(10mg/mL)320μL、DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーター溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、本実施形態に係るリポソームを作製する。リポソーム溶液フィルター膜通過回数は12回とする。

0040

本実施形態に係るリポソームの他の作製方法について例示する。α成分及びβ成分からなるリポソームと、β成分からなるリポソームと、を混合することでリポソームを作製してもよい。以下、α成分としてDAPC、β成分としてDMPEを含むリポソームの作製方法について例示する。まず、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、DMPE(β成分)(10mg/mL)3.6μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、リポソーム溶液を作製する。次に、DMPE(β成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、60℃で超音波処理によりDMPEリポソーム溶液(脂質懸濁液)を作製する。最後に、前述の通り作製したリポソーム溶液80μLに緩衝溶液55μL、DMPEリポソーム溶液25μLを混合して、本実施形態に係るリポソームを作製する。

0041

また、本実施形態に係るリポソームは、α成分のみからなるリポソームと、β成分のみからなるリポソームと、を混合することによっても作製され得る。

0042

本実施形態に係るリポソームは、公知のリポソームの保存方法で保存され得、例えば、脱気及びアルゴン置換後4℃で保存することができる。なお、光酸化を抑制するために、遮光保存することが望ましい。

0043

次に、本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームについて説明する。

0044

本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームは、対象物質(脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質)の抗酸化能を測定するために用いられるものである。前述の“脂質酸化抑制剤の抗酸化能を測定する”とは、脂質酸化抑制剤がどの程度の抗酸化能を有するのかについて評価することを表し、前述の“脂質酸化抑制剤の候補物質の抗酸化能を測定する”とは、脂質酸化抑制効果を有することが予想される「脂質酸化抑制剤の候補物質」が抗酸化能を有するか否かを評価すること及び「脂質酸化抑制剤の候補物質」がどの程度の抗酸化能を有するのかについて評価することを表す。この場合、脂質酸化抑制剤は、好ましくは、低比重リポタンパク質(LDL)の酸化抑制剤である。本明細書において「抗酸化能」は、(リポソームの酸化とともに過酸化脂質が生成するが)リポソームの酸化に伴う過酸化脂質の生成が、対象物質(脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質)によってどの程度抑制されるかを表す。過酸化脂質の生成を抑制する程度が高いほど、対象物質の抗酸化能は高くなる。なお、本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームとして、前述のリポソームが使用される。

0045

前述のリポソームを用いた抗酸化能測定の具体的方法については、後述する。

0046

次に、本実施形態に係る抗酸化能測定方法について説明する。

0047

次に、本実施形態に係る対象物質の抗酸化能測定方法について説明する。

0048

本実施形態に係る対象物質の抗酸化能測定方法は、
(a)前述のリポソームに、対象物質を接触させる工程と、
(b)リポソームの酸化の度合を測定する工程と、
を含む。

0049

上記工程(a)において、対象物質は、前述の通り、脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質であり、例えば、低比重リポタンパク質(LDL)に対して酸化抑制効果を有する物質又はLDLに対して酸化抑制効果を有することが予想される物質であってもよい。対象物質は、例えば、化合物タンパク質ペプチド、これらの混合物等である。

0050

上記工程(a)における「接触」とは、前述のリポソームに、対象物質が抗酸化能を有しているならば該対象物質が抗酸化能を発揮できるように、該対象物質を近接させることを意味し、例えば、リポソームを含む溶液に該対象物質を添加すること等によってなされ得る。

0051

上記工程(b)において、リポソームの酸化の度合を測定する方法としては、電極(CNT電極等)を用いて電位応答を測定する方法、蛍光物質を用いた方法(DPPP法等)などが例示されるが、リポソームの酸化の度合を測定することができる限り、測定方法は限定されない。

0052

上記工程(b)において、酸化を開始させた状態でリポソームの酸化の度合を測定してもよい。酸化を開始させる手段としては、酸化剤(硫酸銅等)を添加する方法、光(紫外線等)を照射する方法、熱を加える方法、既知ラジカル発生剤を添加する方法等が挙げられる。酸化を開始させるタイミングは、工程(a)及び(b)のいずれでもよい。すなわち、工程(a)では、リポソームに対象物質を接触させる前に酸化を開始してもよく、リポソームに対象物質を接触させた後に酸化を開始してもよく、工程(b)では、リポソームの酸化の度合を測定する前に酸化を開始させてもよい。

0053

本実施形態に係る抗酸化能測定方法は、脂質酸化抑制剤のスクリーニング方法を含む。脂質酸化抑制剤のスクリーニング方法を具体的に説明する。前述のリポソームに、脂質酸化抑制剤の候補物質(例えば、化合物、タンパク質、ペプチド、これらの混合物等)を接触させて、リポソームの酸化の度合を測定し、例えば、リポソームの酸化の度合が標準的な脂質酸化抑制剤のそれと同等以上であれば、該候補物質が脂質酸化抑制剤として使用可能であることが判明する。

0054

以上説明したように、本実施形態に係るリポソームを用いることで、簡便に抗酸化能を測定することが可能である。より具体的には、対象物質の抗酸化能(脂質酸化抑制効果)を評価する場合、従来のヒト由来のLDLを用いると廃棄等の点で不利であったが、汎用性が高いリポソームを用いることで簡便に、また、効率良く抗酸化能の評価が可能であり、本実施形態に係るリポソームを、いわばLDLの代替品として用いることができる。また、ヒトLDLは10日程度しか保存できないが、本実施形態に係るリポソームは作製後2ヵ月間にわたって安定的に保存可能であることが示されており、保存性に優れている。

0055

また、本実施形態に係るリポソームによる抗酸化能の測定値と、ヒトLDLによるそれと、の間で良好な相関が示されているため、対象物質の抗酸化能を精度高く評価することができる。

0056

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0057

(実施例1)
種々のリポソームを作製し、酸化の度合について評価した。

0058

(リポソームの材料)
α成分(極性基:ホファチジルコリン基)として、以下に示される化合物を使用した。
・DAPC(20−4):ジアラキドニルホスファチジルコリン
・DLNPC(18−3):ジリノレノイルホスファチジルコリン
・DLPC(18−2):ジラウロイルホスファチジルコリン

0059

0060

また、β成分(極性基:エタノールアミン基)として、以下に示される化合物を使用した。
・DMPE(14−0):ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン
・DPPE(16−0):ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン
・DSPE(18−0):ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン

0061

0062

また、β成分の比較例として、以下に示される化合物を使用した。
・DMPC(14−0)(コリン型):ジミリストイルホスファチジルコリン
・DMP(14−0)(リン酸型):ジミリストイルホスファチジル酸
・DMPS(14−0)(セリン型):ジミリストイルホスファチジルセリン
・DMPOH(14−0)(グリセロール型):ジミリストイルホスファチジルグリセロール

0063

0064

なお、上記のかっこ内の最初の数字は炭素数、その後の数字は二重結合の数を表し、例えば、(14−0)は炭素数14で二重結合を有しない脂肪酸を表す。

0065

(β成分の含有濃度がα成分含有リポソームの酸化に与える影響)
β成分としてDMPE(14−0)(以下、DMPEとする)を用いて、種々のDMPE含有濃度のリポソームを作製し、β成分の含有濃度がリポソームの酸化に与える影響について検討した。

0066

α成分としてDAPC(20−4)(以下、DAPCとする)、β成分としてDMPEを、以下の重量比で含む各リポソーム(DMPE25、DMPE15、DMPE5、DMPE2、DMPE0)を作製した。
・DMPE25; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=25:75
・DMPE15; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=15:85
・DMPE5 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=5:95
・DMPE2 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=2:98
・DMPE0 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=0:100

0067

各リポソームの作製方法について以下説明する。
・DMPE25:DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(Avanti Mini−Extruder;Avanti Polar Lipids社)(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、リポソームを作製した。リポソーム溶液のフィルター膜の通過回数は12回とした。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE15:DMPE(β成分)(10mg/mL)27μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、5μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.44mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE5:DMPE(β成分)(10mg/mL)11μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、5μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.40mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE2:DMPE(β成分)(10mg/mL)2.7μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)120μL、2.8μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.58mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に希釈せずにそのまま使用した。
・DMPE0:DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、3.7μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.75mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に希釈せずにそのまま使用した。

0068

リポソーム酸化の度合の測定方法について説明する。37℃のリポソーム溶液100μLに、CNT電極(後述)及び銀塩化銀電極参照電極)を浸し、CNT電極の電位測定を開始した。電位測定開始500秒後から1000秒後の間に、硫酸銅(酸化剤)を2.5μMになるように添加し、撹拌して酸化を開始させた。参照電極に対する電位変化量から、酸化の程度を評価した。つまり、リポソームに硫酸銅を添加すると、脂質の酸化とともに過酸化脂質が生成されて、電極の電位正方向にシフトする。グラフ図において、プラス方向の電位が大きくなるほど酸化が進行していることを示している。

0069

CNT電極の作製方法について説明する。まず、PET素材の基板上にカーボンペースト(CP)を施し、Ag/AgClペースト印刷、加熱してCP電極を作製した。使用前に、CNT分散溶液をCP電極上に滴下乾燥し、CNT電極として用いた。

0070

結果を図1に示す。図1において、“0”はDMPE0、“2”はDMPE2、“5”はDMPE5、“15”はDMPE15、“25”はDMPE25を表す。酸化開始後、DMPE(β成分)を含むDMPE25、DMPE15、DMPE5では、時間の経過とともに電位応答の顕著な増加が見られた。DMPE(β成分)含有濃度が増加するにつれて、電位応答が大きくなったが、DMPE15とDMPE25とではその差は小さかった。一方、DMPE(β成分)を少量含むDMPE2では、電位応答はわずかしか見られず、また、DMPE(β成分)を含まないDMPE0では、電位応答は見られなかった。

0071

上より、DMPE(β成分)とDAPC(α成分)とが重量比で25〜5:75〜95含まれるリポソームが酸化を受けやすいことが示された。

0072

(α成分の不飽和脂肪酸の鎖長及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響)
次に、α成分の鎖長及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響について検証した。

0073

β成分としてDMPE(14−0)(以下、DMPEとする)、α成分としてDAPC(20−4)、DLNPC(18−3)又はDLPC(18−2)を用いて、以下の通り、各リポソーム(DAPC(20−4)、DLNPC(18−3)、DLPC(18−2))を作製した。

0074

・DAPC(20−4):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。
・DLNPC(18−3):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DLNPC(18−3)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。
・DLPC(18−2):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DLPC(18−2)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。

0075

リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。

0076

結果を図2に示す。図2において、“DAPC”はDAPC(20−4)、“DLPC”はDLPC(18−2)、“DLNPC”はDLNPC(18−3)を表す。酸化のピークが観察されるまでの時間は、DAPC(20−4)では酸化開始後約9000秒、DLNPC(18−3)では約20000秒、DLPC(18−2)では20000秒以上であった。

0077

以上より、α成分の不飽和脂肪酸の鎖長が長く二重結合の数が多いほうが、リポソームの酸化の進行が速いことが示された。

0078

(β成分の飽和脂肪酸の鎖長がリポソームの酸化に与える影響)
次に、β成分の鎖長がリポソームの酸化に与える影響について検証した。

0079

β成分としてDMPE(14−0)、DPPE(16−0)、DSPE(18−0)、α成分としてDAPC(20−4)を用いて、以下の通り、各リポソーム(DMPE(14−0)、DPPE(16−0)、DSPE(18−0))を作製した。

0080

・DMPE(14−0):DMPE(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DPPE(16−0):DPPE(16−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DSPE(18−0):DSPE(18−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。

0081

リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。

0082

結果を図3に示す。図3において、“DPPE”はDPPE(16−0)、“DMPE”はDMPE(14−0)、“DSPE”はDSPE(18−0)を表す。DSPE(18−0)>DPPE(16−0)>DMPE(14−0)の順に酸化のピーク時間が長くなっていた。

0083

以上より、β成分の飽和脂肪酸の鎖長が長いほうが、酸化時間が長くなる傾向にあることが示された。

0084

(β成分の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響)
次に、β成分の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響について検討した。

0085

β成分として鎖長が同じで極性基部分が異なるDMPE(14−0)(エタノールアミン型)、DMP(14−0)(リン酸型)、DMPC(14−0)(コリン型)、DMPOH(14−0)(グリセロール型)、DMPS(14−0)(セリン型)、α成分としてDAPC(20−4)を用いて、以下の通り、各リポソーム(実施例:DMPE、比較例:DMP、DMPC、DMPOH、DMPS)を作製した。
・DMPE:DMPE(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMP:DMP(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPC:DMPC(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPOH:DMPOH(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPS:DMPS(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。

0086

リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を2.5μMになるように添加して、上記同様に行った。

0087

結果を図4に示す。極性基としてエタノールアミン基を有するDMPEでは、酸化による電位変化が観察された。一方、エタノールアミン型ではない極性基を有するDMP、DMPC、DMPOH、DMPS(比較例)では、電位変化は観察されなかった。

0088

以上より、酸化を評価可能なリポソームの作製には、エタノールアミン基を有するβ成分の添加が必須であることが示された。

0089

(実施例2)
市販の抗酸化剤8種類について、実施例1にて作製したリポソームとヒトLDLとで抗酸化能を比較した。

0090

抗酸化剤として、グルタチオン(GSH)、Trolox、カテキンルテオリンアピゲニンクエン酸ダイゼイン及びナリンギンを用いた。

0091

リポソームとして、実施例1で作製したDAPC(20−4):DMPE(14−0)=75:25(重量比)のリポソームを用いた。LDLとして、20代の健康なから採血により得られたLDLを用いた(Clin Chem Lab Med 2015; aop,Rojeet Shrestha et al,Identification of molecular species of oxidized triglyceride in plasma and its distribution in lipoproteins,DOI 10.1515/cclm−2014−1088 Received November 6,2014;accepted February 11,2015,p1−p11に記載の条件下で超遠心法によりLDLの分画を得た)。

0092

リポソーム酸化及びLDL酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、実施例1と同様に行った。

0093

抗酸化能を以下の通り評価した。DMSOに溶解した抗酸化剤を100μMになるようにリポソーム又はLDLに添加した場合(A)と、抗酸化剤の代わりにDMSOのみを添加した場合(C)と、の電位変化を測定し、酸化開始後10000秒後の電位変化の比(Aの電位変化/Cの電位変化×100)を抗酸化能の測定値とした。

0094

結果を図5に示す。図5において、横軸はLDLに対する抗酸化能の測定値、縦軸はリポソームに対する抗酸化能の測定値を表している。LDLに対する抗酸化能と、作製したリポソームに対する抗酸化能と、では、R=0.95と良い相関が得られた。

0095

以上より、抗酸化能についてリポソームとLDLで良い相関が得られたことが示され、本実施例によるリポソームを、LDLの酸化抑制物質スクリーニングするための、LDLの代替品として利用できることが示された。

0096

(実施例3)
作製したリポソームの保存性について検討した。

0097

リポソームとして、実施例2と同様のものを用いた。リポソーム作製後、1、8、35、72日後のリポソームに酸化剤(硫酸銅)を5μMとなるように添加して、37℃で0、4、8時間後の過酸化脂質量をDPPP法(K.Akasaka,T.Suzuki,H. Ohrui and H.Meguro,Anal Lett.,20,731−745,797−807(1987))により測定した。

0098

結果を図6に示す。図6において、縦軸はDPPPによる過酸化脂質量、横軸はリポソーム作製後の経過日数を表している。また、横軸の“0”、“4”、“8”は酸化時間を表しており、酸化0時間ではDPPPの反応がなく(リポソーム酸化が進行していない状態)、酸化時間が4時間、8時間と長くなるに従いDPPPによる過酸化脂質量が増加する(リポソーム酸化が進行している状態)。リポソーム作製8日後では作製1日後に比して酸化の進行が若干速まる傾向が見られたものの、作製72日後まで酸化の進行の程度に大きな差は見られなかった。

0099

以上より、本実施例のリポソームでは、作製2か月後まで酸化の特性が維持されており、保存性に優れていることが示された。ヒト由来のLDLの保管可能期間は10日前後であるので、本実施例のリポソームでは、大幅に保存性が高まったことがわかる。

0100

(実施例4)
異なる方法によって作製されたリポソームの酸化の度合について評価した。

0101

(DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソーム(A液)の調製)
DMPE(β成分)(10mg/mL)3.6μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、上記同様にリポソームを作製し、A液とした。電極による電位測定時、緩衝溶液で1.88倍に希釈して使用した。

0102

(“DMPE液”の調製)
DMPE(β成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、60℃で超音波処理によりリポソーム(脂質懸濁液)を作製し、DMPE液とした。

0103

(“A液+DMPE溶液”の調製)
A液80μLに緩衝溶液55μL、DMPE液15μLを混合して、A液+DMPE溶液とした。

0104

リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。

0105

結果を図7に示す。図7中、「2+DMPE」は“A液+DMPE溶液”を、「2」は“DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソーム(A液)”を表す。「2+DMPE」では、「2」に比して酸化を受けやすいことが示され、DMPEを添加することにより、DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソームが、DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比80:20のリポソームとなり、酸化が促進されたことが明らかとなった。

実施例

0106

以上より、2種類の組成の異なるリポソーム溶液を混合する作製方法で作製されたリポソームについても、酸化を受けやすいことが示された。

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