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技術 曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法

出願人 ポスコ
発明者 金聖祐申東錫朴萬榮
出願日 2016年11月25日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2016-228836
公開日 2017年6月29日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 2017-115238
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理
主要キーワード 不均一度 クラック抵抗 微細亀裂 製造コスト増 焼鈍熱処理 負荷増加 Ti系介在物 微細クラック
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月29日)のものです。
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図面 (4)

課題

成形時の曲げ部に発生する微細亀裂に対する抵抗性が向上して曲げ加工性に優れ、高い強度を有する冷延鋼板及びその製造方法を提供する。

解決手段

重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たし、鋼板表面から板厚の1/4以内に存在し、長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物のTiの含量が20%以下である、曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板尾その製造方法である。

概要

背景

最近、自動車用鋼板は、地球環境保全のための燃費規制及び搭乗者衝突安全性を確保すべく、非常に高いレベルの強度を有する鋼材の採用を増やしている。このような高強度鋼を製造するためには、一般の固溶強化活用した鋼材または析出強化を用いた鋼材だけでは十分な強度及び延性を確保することが難しい。

その結果、開発された鋼板変態組織を活用する変態強化鋼である。このような変態強化鋼には、二相組織鋼DP鋼)、複合組織鋼(CP鋼)、変態誘起塑性鋼TRIP鋼)等がある。上記TRIP鋼の代表的な技術としては特許文献1がある。

しかし、このような変態組織を活用するにもかかわらず、高強度及び十分な延伸率を確保することが難しい。また、実際のほとんどの加工が曲げ加工ロール成形を通じて行われるが、このような曲げ加工時に発生する亀裂を抑制するために、曲げ加工性もともに確保される必要があるという問題がある。

曲げ加工性を確保するためには、均一な材質を有するフェライト単相鋼またはベイナイト単相鋼が適している。しかし、フェライト単相鋼では高強度鋼を製作することができず、ベイナイト単相鋼の場合は、高強度を確保するために炭素の含量を増加させなければならず、このような場合、延伸率が低くなり溶接性も低くなるため現実的に使用することが難しい。

したがって、高い強度を維持しながら、曲げ加工時に曲げ部において亀裂に対する抵抗性に優れる曲げ加工性が高い鋼の開発が切実に求められている実情がある。

概要

成形時の曲げ部に発生する微細亀裂に対する抵抗性が向上して曲げ加工性に優れ、高い強度を有する冷延鋼板及びその製造方法を提供する。重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たし、鋼板表面から板厚の1/4以内に存在し、長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物のTiの含量が20%以下である、曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板尾その製造方法である。

目的

本発明の一目的は、成形時の曲げ部に発生する微細亀裂に対する抵抗性が向上して曲げ加工性に優れ、高い強度を有する冷延鋼板及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、前記Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、前記Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たし、鋼板表面から板厚の1/4以内に存在し、長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物のTiの含量が20%以下である、曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板

請求項2

前記冷延鋼板微細組織は、面積%で、40〜80%のベイナイト、10〜40%のマルテンサイト及び20%以下(0を含む)のフェライトを含む、請求項1に記載の曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板。

請求項3

前記微細組織は、5%以下の残留オーステナイトを含む、請求項2に記載の曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板。

請求項4

重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、前記Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、前記Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たす鋼材を用意して冷間圧延する段階と、前記冷間圧延された鋼板を750〜850℃の温度範囲焼鈍熱処理する段階と、前記焼鈍熱処理された鋼板を100℃/分以上の冷却速度で下記関係式で定義されるT1とT2の間の温度範囲で冷却し、その後、30℃/分以下の冷却速度で冷却する段階と、を含む、曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。T1=606−161*C−53.6*Si−30.8*Mn−18.3*Cr(℃)T2=535−386*C−15.4*Si−38.7*Mn−15.4*Cr(℃)(前記T1及びT2において、C、Si、Mn、Crの各含量の単位は重量%である)

請求項5

前記冷間圧延前スラブ再加熱し、熱間圧延を行う段階をさらに含む、請求項4に記載の曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、自動車等に用いられる曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

最近、自動車用鋼板は、地球環境保全のための燃費規制及び搭乗者衝突安全性を確保すべく、非常に高いレベルの強度を有する鋼材の採用を増やしている。このような高強度鋼を製造するためには、一般の固溶強化活用した鋼材または析出強化を用いた鋼材だけでは十分な強度及び延性を確保することが難しい。

0003

その結果、開発された鋼板変態組織を活用する変態強化鋼である。このような変態強化鋼には、二相組織鋼DP鋼)、複合組織鋼(CP鋼)、変態誘起塑性鋼TRIP鋼)等がある。上記TRIP鋼の代表的な技術としては特許文献1がある。

0004

しかし、このような変態組織を活用するにもかかわらず、高強度及び十分な延伸率を確保することが難しい。また、実際のほとんどの加工が曲げ加工ロール成形を通じて行われるが、このような曲げ加工時に発生する亀裂を抑制するために、曲げ加工性もともに確保される必要があるという問題がある。

0005

曲げ加工性を確保するためには、均一な材質を有するフェライト単相鋼またはベイナイト単相鋼が適している。しかし、フェライト単相鋼では高強度鋼を製作することができず、ベイナイト単相鋼の場合は、高強度を確保するために炭素の含量を増加させなければならず、このような場合、延伸率が低くなり溶接性も低くなるため現実的に使用することが難しい。

0006

したがって、高い強度を維持しながら、曲げ加工時に曲げ部において亀裂に対する抵抗性に優れる曲げ加工性が高い鋼の開発が切実に求められている実情がある。

先行技術

0007

日本国特開平6−145892号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の一目的は、成形時の曲げ部に発生する微細亀裂に対する抵抗性が向上して曲げ加工性に優れ、高い強度を有する冷延鋼板及びその製造方法を提供することである。

0009

本発明の解決課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から当業者によって明確に理解されることができる。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一側面は、重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、上記Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、上記Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たし、鋼板表面から板厚の1/4以内に存在し、長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物のTiの含量が20%以下である曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板を提供する。

0011

本発明のさらに他の一側面は、重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含み、上記Ti及びNの含量はTi/N≧3.4の関係を満たし、上記Ti、Al、Caの含量はTi/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たす鋼材を用意して冷間圧延する段階と、上記冷間圧延された鋼板を750〜850℃の温度範囲焼鈍熱処理する段階と、上記焼鈍熱処理された鋼板を100℃/分以上の冷却速度で下記関係式で定義されるT1とT2の間の温度範囲で冷却し、その後、30℃/分以下の冷却速度で冷却する段階と、を含む曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法を提供する。
T1=606−161*C−53.6*Si−30.8*Mn−18.3*Cr(℃)
T2=535−386*C−15.4*Si−38.7*Mn−15.4*Cr(℃)
(上記T1及びT2において、C、Si、Mn、Crの各含量の単位は重量%である)

発明の効果

0012

本発明によれば、鋼板の成形時に介在物による曲げ部の微細亀裂が発生しないため、クラック抵抗性が向上した高強度冷延鋼板を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の曲げ特性を評価するための試験方法を示したものである。
本発明の実施例のうち、比較例1で表層下介在物によって形成される曲げ部における微細クラックの典型的な形状を示した写真である。
図2の微細クラックを液体窒素に浸漬し、クラックに沿って破断させた後の破面を観察した写真である。

0014

引張強度1200MPa(1.2GPa)以上の高強度鋼を製造する過程において、通常の製鋼工程では鋼中の介在物の存在は避けられず、特にTiを活用する鋼材の場合、Ti系介在物の形成に伴うノズル詰まり現象、及びこのような介在物等に既在するクラスタ介在物を避けることができない。

0015

本発明の発明者らは、高強度鋼の曲げ成形部におけるクラックの発生を防止するための研究を行った結果、鋼板の表層に存在する介在物の組成から影響を受けるということを知見して本発明に至った。

0016

まず、本発明の冷延鋼板の合金組成について詳細に説明する(以下、重量%)。

0017

本発明の冷延鋼板は、重量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.01〜0.6%、Mn:2〜3%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.01%、Cr:0.3〜1.0%、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Ca:0.01%以下、Nb:0.02〜0.05%、B:0.001〜0.003%、N:0.001〜0.01%、残りはFe及び不可避不純物を含む。

0018

炭素(C):0.1〜0.25%
鋼中のCは変態組織鋼の強度を確保するために重要な元素である。Cの含量が0.1%未満では、高強度(例えば、1.2GPa)を確保することが難しく、0.25%を超えると、延性及び曲げ加工性並びに溶接性が低下して自動車用鋼板への適用が難しい。したがって、本発明におけるCの含量は0.1〜0.25%であることが好ましい。

0019

シリコン(Si):0.01〜0.6%
Siは、添加時に強度及び延伸率を向上させることができる元素であるが、その含量が0.01%未満ではそのような効果を得ることができないだけでなく、組織不均一度が増加し、材質異方性等の問題を引き起こしかねない。Siの含量が0.6%を超えると、表面品質に関連して、表面スケール欠陥を誘発するだけでなく、めっき時の不めっきを誘発する酸化物を表面に形成させて不めっき及びめっき剥離等の問題を引き起こすことがある。したがって、本発明におけるSiの含量は0.01〜0.6%であることが好ましい。

0020

マンガン(Mn):2〜3%
Mnは、鋼材内に存在する場合、固溶強化に大きく寄与する元素であるだけでなく、焼入性の増加に必要である。上記Mnの含量が2%未満の場合は、焼入性が不足して、焼鈍後の冷却中にフェライト変態が過剰に発生して目標とする高強度を確保することが難しい。これに対し、Mnの含量が3%を超えると、Mnを添加する目的である焼入性の向上効果飽和するだけでなく、鋼板内圧延方向に存在するMn偏析帯により曲げ特性が悪くなるという問題点がある。したがって、本発明におけるMnの含量は2〜3%であることが好ましい。

0021

リン(P):0.001〜0.1%
Pは、鋼板を強化させる役割を行う元素であるが、鋼製造時において不純物として混入される可能性がある元素である。上記Pの含量が0.001%未満の場合は、Pの添加による効果を導出することができないだけでなく、不純物除去のための製錬工程における製造コスト増加の問題を引き起こしかねない。これに対し、その含量が0.1%を超えると、鋼の脆性が発生するおそれがある。したがって、上記Pの含量は0.001〜0.1%とすることが好ましい。

0022

硫黄(S):0.0001〜0.01%
Sは、鋼中に不可避に含まれる不純物であり、プレス成形時の曲げ特性だけでなく、延性及び溶接性を阻害する元素である。本発明では、Sの含量を可能な限り抑制することが好ましい。しかし、上記Sの含量が0.0001%未満の場合は、精錬工程における製造コストが大幅に増加するという問題があり、0.01%を超えると、曲げ特性が大きく低下する可能性ある。したがって、本発明におけるSの含量は0.0001〜0.01%とすることが好ましい。

0023

クロム(Cr):0.3〜1.0%
Crは、鋼の硬化能を向上させ、高強度を確保するために添加する成分である。本発明では、フェライト変態の遅延を通じてベイナイトの形成を誘導する元素である。Crの含量が0.3%未満の場合は上記の効果を確保することが難しい。これに対し、1.0%を超えると、その効果が飽和し、熱間圧延後の高い強度によって冷間圧延負荷が増加するだけでなく、製造コストが大幅に増加するようになる。したがって、本発明におけるCrの含量は0.3〜1.0%とすることが好ましい。

0024

アルミニウム(Al):0.01〜0.1%
Alは、鋼中の酸素と結合して脱酸作用を行い、フェライト内のCをオーステナイト分配してマルテンサイトの硬化能を向上させるのに有効な元素である。また、本発明では、製鋼過程におけるTi合金鉄の投入により生成されるTi系介在物を再びAl系介在物に転換するのに重要な元素である。上記Alの含量が0.01%未満の場合は、上述した効果を十分に確保することが難しい。これに対し、Alの含量が0.1%を超えると、過剰なAlNの析出による高温延性の低下に伴いスラブの表面品質を低下させるという問題があり、製造コストが増加するという問題点がある。したがって、本発明におけるAlの含量は0.01〜0.1%とすることが好ましい。

0025

チタン(Ti):0.01〜0.1%
Tiは、鋼板の強度上昇及び焼入性のためにBが添加された場合、BがNと反応せずに固溶状態で存在するよう、鋼中に存在するNのスカベンジングのために添加される元素である。上記スカベンジング(捕集)は、ある特定の化学種と特に反応性の高い物質を少量加えて、他のものには大きな影響を与えずに反応によって該化学種を系から除去することである。この時、添加する物質をスカベンジャーという。Tiは、スカベンジャーとしてNを除去するために添加される元素である。上記Tiの含量が0.01%未満の場合は、不可避に添加されるNを十分にスカベンジできず、鋼中のBがBNとして析出することにより、固溶Bが減少して焼鈍過程における焼入性不足に伴うフェライトが過剰に形成されるため、高い引張強度を確保することが難しい。これに対し、Tiの含量が0.1%を超えると、上述した効果の増加がわずかである一方で、鋳造時のノズル詰まりを誘発するTi系介在物が過剰に生成され、ノズル詰まり物質の脱落に伴い曲げ成形部において微細クラックが頻繁に発生することがある。また、TiNやTiC等の析出物が過剰に形成されて、高温延性の低下に伴いスラブの表面品質を劣位とする可能性があるだけでなく、熱間圧延時の負荷増加、製造コスト上昇の問題がある。したがって、本発明におけるTiの含量は0.01〜0.1%とすることが好ましい。

0026

カルシウム(Ca):0.01%以下
Caは、強力な脱酸元素で、製鋼工程において低融点介在物を形成してより清浄な鋼板を製造するために投入される。また、本発明では、鋼中に存在する際に、Alと同様に鋳造時のノズル詰まりを誘発するTi系介在物をCa系介在物に置換することにより、ノズル詰まり物質による曲げ成形部における微小クラックの低減に寄与することができる。但し、Alが十分に存在する場合は添加しなくてもよい。上記Caの含量が0.01%を超えると、Caの揮発に伴う製造コスト上昇の問題があるため、本発明におけるCaは0.01%以下含まれることが好ましい。

0027

ニオブ(Nb):0.02〜0.05%
Nbは、鋼板の強度上昇及び結晶粒微細化のために添加される元素である。Nbの含量が0.02%未満の場合は、上記の効果を期待することが難しく、0.05%を超えると、製造コスト上昇及び過剰な析出物により曲げ加工性及び延性を低下させかねない。したがって、本発明におけるNbの含量は0.02〜0.05%であることが好ましい。

0028

ボロン(B):0.001〜0.003%
Bは、冷却中のフェライト変態を抑制させる焼入性の増加に重要な役割を行う元素である。上記Bの含量が0.001%未満の場合は、上述した効果を発揮することができず、焼鈍工程中のフェライト変態が過剰になって、本発明で目標とする高強度を確保することが難しい。これに対し、その含量が0.003%を超えると、Bの粒界偏析によって上記効果が飽和するだけでなく、熱間圧延時の脆性が増加するという問題がある。したがって、上記Bの含量は0.001〜0.003%とすることが好ましい。

0029

窒素(N):0.001〜0.01%
Nは鋼板の強度を上昇させることができる固溶強化元素であり、一般的に大気から混入される元素である。その含量は、製鋼工程のうち脱ガス工程で制御される。上記Nの含量が0.001%未満の場合は、過剰な脱ガス処理が必要になって、製造コスト上昇を誘発するようになる。これに対し、0.01%を超えると、AlNやTiN等の析出物が過剰に形成されて、高温延性の低下に伴いスラブの表面品質を低下させるという問題がある。したがって、本発明における上記Nの含量は、0.001〜0.01%とすることが好ましい。

0030

上記組成以外の残りは鉄(Fe)であり、通常の製造過程原料または周囲環境から意図しない不純物が不可避に混入されることがある。一方、本発明では、上記言及された合金組成に加えて、他の合金の追加も排除しない。

0031

本発明では、上記Ti及びNの含量は、Ti/N≧3.4の関係を満たすことが好ましい。上記Ti/Nの値が3.4未満の場合は、溶存N量と比べてTi添加量が不足して、Tiによるスカベンジング効果不足に伴う残留NによるBN等の形成が原因で、Bの添加による強度上昇効果を低下させて強度低下が発生することがある。

0032

一方、本発明では、上記Ti、Al及びCaの含量は、Ti/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たすことが好ましい。鋳造中のノズル詰まり物質の脱落に起因する鋼板表層下のクラスタ介在物(表層直下に位置して巨大に固まった形態の介在物、表層下介在物)による曲げ部における微細クラックの発生を抑制するためには、製鋼工程におけるTiの添加時にTi系介在物を速やかに除去する必要がある。Ti系介在物は、AlやCa等のTiより親酸化性元素が存在する場合、熱力学的に不安定であり、実際の工程では平衡に達するまでの十分な時間を確保しにくいため、Ti系介在物が残存するとノズル詰まりの原因となり得る。また、上記Ti/(Al+8Ca)の値が0.6を超えると、Ti系介在物の除去速度が十分ではないため、表層下のクラスタ介在物による曲げ加工性が劣位となることがある。したがって、本発明における上記Ti/(Al+8Ca)≦0.6の関係を満たすことが好ましい。

0033

以下、本発明の冷延鋼板の微細組織についてさらに詳細に説明する。

0034

本発明の冷延鋼板は、鋼板表面から1/4以内に存在する長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物内の平均Tiの含量が重量%で20%以下であることが好ましい。通常の製鋼工程では介在物の存在は避けられず、Tiを活用する鋼材の場合、Ti系介在物の形成に伴うノズル詰まり現象、及びこのようなノズル詰まりを誘発する物質に起因するクラスタ介在物の存在も避けることができない。但し、Ti系介在物のノズル詰まりは、上述したTi、Al、Caの成分比とともに製鋼工程を通じたAl−Ti系介在物の組成からも影響を受ける。鋼板表層から長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物内の平均Tiの含量が20%を超えると、Ti介在物によるノズル詰まりが激しくノズル詰まり物質に起因する鋼板表層下のクラスタ介在物により曲げ部において微細亀裂が発生するという問題がある。

0035

本発明の冷延鋼板は、その微細組織が面積分率で40〜80%のベイナイト、10〜40%のマルテンサイト、及び20%以下(0を含む)のフェライトを含むことが好ましい。これにより、本発明で目標とする強度及び曲げ性一定水準以上に確保することができる。

0036

上記ベイナイト分率が40%未満の場合は、相間硬度差が大きく増加して優れた曲げ性を確保することが難しい。これに対し、80%を超えると、相対的にマルテンサイト分率が減少して本発明で目標とする強度を確保することが難しい。一方、上記マルテンサイト分率が10%未満の場合は、強度の確保が難しいことがあり、40%を超えると、過剰な硬質相の生成により曲げ特性が悪くなることがある。上記フェライトは、本発明の強度及び曲げ性を適切に確保するためになくてもよい相であるが、その分率が20%を超えると、相間硬度差が増加して曲げ特性が低下しかねない。

0037

一方、必ずしも形成される必要はないが、残留オーステナイトが5%以下で形成されることができる。

0038

以下、本発明の冷延鋼板を製造する方法について詳細に説明する。

0039

本発明の冷延鋼板は、上記合金組成を満たす鋼スラブを用いて製造された冷間圧延された鋼板を用意する。

0040

上記冷間圧延までの工程について、本発明は特に限定されず、本発明が属する技術分野で通常行われる方式で行われる。例えば、上記組成を満たす鋼スラブを用意して再加熱し、熱間圧延及び冷間圧延を行うことで上記冷間圧延された鋼板を用意する。

0041

上記冷延圧延された鋼板を焼鈍熱処理する。上記焼鈍熱処理は、750〜850℃の範囲まで加熱した後、T1〜T2の温度範囲まで100℃/分以上の冷却速度で冷却する。その後、30℃/分以下の冷却速度で冷却する。

0042

T1=606−161*C−53.6*Si−30.8*Mn−18.3*Cr(℃)
T2=535−386*C−15.4*Si−38.7*Mn−15.4*Cr(℃)
(上記T1及びT2において、C、Si、Mn、Crの各含量の単位は重量%である)

0043

上記焼鈍温度は750〜850℃であることが好ましい。その温度が750℃未満では、フェライト分率が20%を超えて強度を確保することが難しく、曲げ加工性が低下することがある。これに対し、850℃を超えると、曲げ加工性は改善するが、高温焼鈍で発生するSi、Mn、B等の表面濃化物の量が大幅に増加して表面欠陥が多量に発生するという問題がある。そのため、上記焼鈍温度は750〜850℃であることが好ましい。

0044

一方、焼鈍後には100℃/分以上の冷却速度で冷却する。100℃/分以上の冷却速度が求められる理由は、上記冷却速度未満で冷却した場合、フェライト及びパーライトが形成されて本発明で目標とする強度を確保しにくくなるからである。

0045

また、上記冷却速度で冷却する際の冷却温度は上記T1〜T2の温度範囲であることが好ましい。上記冷却温度がT1の温度を超えると、ベイナイト領域には該当するが、ベイナイト変態速度が遅く、十分な量のベイナイトを確保することが困難であるため、曲げ加工性が劣位となるという問題がある。これに対し、冷却温度がT2未満の場合は、冷却中のベイナイト領域を維持せずにマルテンサイトが形成されて曲げ加工性が劣位となるという問題がある。

0046

上記冷却後には30℃/分以下の冷却速度で冷却する。このように徐々に冷却する理由は、上記速度以上で速やかに冷却する場合は、十分なベイナイトを確保することができず、曲げ加工性が低下することがあるためである。

0047

一方、本発明では、めっき工程をさらに行ってめっき鋼板を製造することができる。上記めっきは、亜鉛めっきやアルミニウムめっき等、その種類と方法について、本発明では特に限定されず、本発明が属する技術分野で通常のめっき方式が適用されることができる。

0048

以下、本発明の実施例について詳細に説明する。下記実施例は本発明の理解を深めるためのものであるだけで、本発明を限定するものではない。

0049

下記表1の合金組成を有する鋼スラブを用意した後、1200℃で再加熱し、熱間圧延を行って厚さ約3mmの熱延鋼板を製造した。上記熱間圧延時の仕上げ熱間圧延は温度930℃で行った。その後、680℃で巻取り、50%の圧下率で冷間圧延を行い、厚さ約1.5mmの冷延鋼板を製造した。このように用意された鋼板に下記表2の条件で焼鈍熱処理を行い、冷延鋼板を製造した。表2におけるT1とT2の間の冷却後には約7〜8℃/分の冷却速度で冷却した。

0050

一方、表3では、製造された冷延鋼板について、鋼板表面の1/4以内に存在する長軸の長さ5μm以上であるAl−Ti介在物のTiの含量、相分率及び物理的特性を特定してその結果を示した。

0051

上記Al−Ti介在物内のTiの含量は、板厚1/4以内の地点でSEMを用いて500倍の倍率で10ヶ所を観察し、そのうち長軸の長さが5μm以上であるAl−Ti介在物の成分をEDSで分析して得られたTiの含量を基準とした。また、物理的特性のうち、引張強度、降伏強度及び延伸率の場合は、JIS 5号試験片を用いた引張試験を通じて確認した。

0052

曲げ角度は、板サイズ30mm×60mmの試験片(厚さ1.5mm)を使用し、VDA 238規格に準じて、図1のような曲げ変形時の最大荷重がかかる時点における角度を用いて示した。このとき、試験パンチ101は、0.4Rであり、変形速度は20mpmであった。

0053

0054

0055

0056

上記表3に示すように、本発明の条件を満たす発明例の場合は、引張強度が1.2GPa以上であり、曲げ角度が70°以上である曲げ加工性に優れた特性を確保することができる。

0057

これに比べて、比較例1〜3は、鋼中のTi、Al、Caの関係式(Ti/(Al+8Ca))の値が0.6を超えるか、Al−Ti介在物内のTiの含量が20%を超えるため、鋳造時のTi系介在物によるノズル詰まりに起因するクラスタ介在物が存在し、曲げ加工性が劣位となった。

0058

特に、上記比較例1で形成された表層下介在物によって形成される曲げ部における微細クラックは図2に示した通りである。また、上記図2の微細クラックを液体窒素に浸漬し、クラックに沿って破断させた後の破面を観察した写真を図3に示した。

実施例

0059

比較例4及び5は、焼鈍後の冷却温度がT1を超えるか、またはT2未満である場合に該当するが、十分なベイナイトを確保できないため、相間強度差の増加に応じて曲げ加工性が劣位となった。比較例6〜9は、本発明の合金組成範囲を満たせない場合であって、本発明で目標とする強度を確保することができなかった。また、比較例10は、Ti/Nの値が3.4未満とTiによるNのスカベンジング効果不足による焼入性が不足して十分な強度を確保することができなかった。

0060

101試験パンチ
102試験片
103 試験片の厚さ
104 試験パンチの曲率半径(R)

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