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技術 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及び二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 新井啓司
出願日 2015年12月24日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2015-251269
公開日 2017年6月29日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2017-115008
状態 特許登録済
技術分野 テネブレッセンス物質 ナノ構造物 重金属無機化合物(II)
主要キーワード サーモクロミック性 サーモクロミック特性 添加総量 昇温期間 水熱反応温度 定温乾燥機 固定用治具 五酸化二バナジウム
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重要な関連分野

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図面 (2)

課題

本発明の課題は、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することである。

解決手段

本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程と、前記反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程と、200〜250℃の範囲内まで昇温させた前記反応液を100℃以下まで冷却させる工程と、100℃以下まで冷却させた前記反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程と、を有することを特徴とする。

概要

背景

近年、住宅やビル等の建物及び車両等の移動体において、内部(室内、車両内)と外部環境との間で大きな熱交換が生じる箇所(例えば、窓ガラス等)に、省エネルギー性快適性とを両立すべく、サーモクロミック材料を適用することが試みられている。

「サーモクロミック材料」とは、例えば透明状態反射状態等の光学的な性質を、温度によって制御することが可能な材料である。例えば、建物の窓ガラスにサーモクロミック材料を適用した場合、には太陽光反射させて熱を遮断し、には太陽光を透過させて熱を利用することが可能となる。

現在、最も着目されているサーモクロミック材料の一つに、二酸化バナジウム(VO2)を含む材料がある。二酸化バナジウムは、室温付近転移温度を境に相転移することで、サーモクロミック特性(温度により、光学特性が可逆的に変化する性質)を示すことが知られている。したがって、この特性を利用することにより、環境温度依存型のサーモクロミック材料を得ることができる。

サーモクロミック材料の製造方法としては、二酸化バナジウムを含む微粒子又はその分散液を調製し、これを例えば接着材等を介して、サーモクロミック特性を発現させたい部材に設置することで、サーモクロミック材料を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。

ここで、二酸化バナジウムには、A相、B相、C相及びR相等、いくつかの結晶相多形が存在するが、前述のようなサーモクロミック特性を示す結晶構造は、ルチル型の結晶相(以下、「R相」という。)に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。また、二酸化バナジウム含有粒子において、実質的に優良なサーモクロミック特性を発現させるためには、粒子凝集していないこと、粒径ナノメートルオーダーであること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。

前述の特許文献1には、水熱反応によるM相の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法について記載されているが、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子は、粗大粒子を含み平均粒径が大きく、十分なサーモクロミック性が得られないという問題がある。

概要

本発明の課題は、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することである。本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程と、前記反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程と、200〜250℃の範囲内まで昇温させた前記反応液を100℃以下まで冷却させる工程と、100℃以下まで冷却させた前記反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程と、を有することを特徴とする。

目的

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、及び当該製造方法を用いた二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程と、前記反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程と、200〜250℃の範囲内まで昇温させた前記反応液を100℃以下まで冷却させる工程と、100℃以下まで冷却させた前記反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程と、を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項2

前記昇温させる工程において、前記反応液を常温から、210〜240℃の範囲内まで昇温させることを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項3

前記冷却させる工程において、前記反応液を25℃以下まで冷却させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項4

前記水熱反応させる工程において、100℃以下まで冷却させた前記反応液を別の装置に移し替えてから、前記水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項5

前記昇温させる工程において、前記反応液を5.8〜15.0℃/minの範囲内の昇温速度で、常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項6

前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項7

前記水熱反応させる工程において、前記反応液を12〜72時間水熱反応させることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

請求項8

請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により二酸化バナジウム含有粒子を製造する工程を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及び二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法に関する。本発明は、特に、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、及び当該製造方法を用いた二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、住宅やビル等の建物及び車両等の移動体において、内部(室内、車両内)と外部環境との間で大きな熱交換が生じる箇所(例えば、窓ガラス等)に、省エネルギー性快適性とを両立すべく、サーモクロミック材料を適用することが試みられている。

0003

「サーモクロミック材料」とは、例えば透明状態反射状態等の光学的な性質を、温度によって制御することが可能な材料である。例えば、建物の窓ガラスにサーモクロミック材料を適用した場合、には太陽光反射させて熱を遮断し、には太陽光を透過させて熱を利用することが可能となる。

0004

現在、最も着目されているサーモクロミック材料の一つに、二酸化バナジウム(VO2)を含む材料がある。二酸化バナジウムは、室温付近転移温度を境に相転移することで、サーモクロミック特性(温度により、光学特性が可逆的に変化する性質)を示すことが知られている。したがって、この特性を利用することにより、環境温度依存型のサーモクロミック材料を得ることができる。

0005

サーモクロミック材料の製造方法としては、二酸化バナジウムを含む微粒子又はその分散液を調製し、これを例えば接着材等を介して、サーモクロミック特性を発現させたい部材に設置することで、サーモクロミック材料を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。

0006

ここで、二酸化バナジウムには、A相、B相、C相及びR相等、いくつかの結晶相多形が存在するが、前述のようなサーモクロミック特性を示す結晶構造は、ルチル型の結晶相(以下、「R相」という。)に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。また、二酸化バナジウム含有粒子において、実質的に優良なサーモクロミック特性を発現させるためには、粒子凝集していないこと、粒径ナノメートルオーダーであること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。

0007

前述の特許文献1には、水熱反応によるM相の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法について記載されているが、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子は、粗大粒子を含み平均粒径が大きく、十分なサーモクロミック性が得られないという問題がある。

先行技術

0008

特開2011−178825号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、及び当該製造方法を用いた二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、少なくとも水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製し、当該反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させた後、100℃以下まで冷却してから、水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させることで、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子を製造できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。

0011

1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程と、
前記反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程と、
200〜250℃の範囲内まで昇温させた前記反応液を100℃以下まで冷却させる工程と、
100℃以下まで冷却させた前記反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程と、を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0012

2.前記昇温させる工程において、前記反応液を常温から、210〜240℃の範囲内まで昇温させることを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0013

3.前記冷却させる工程において、前記反応液を25℃以下まで冷却させることを特徴とする第1項又は第2項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0014

4.前記水熱反応させる工程において、100℃以下まで冷却させた前記反応液を別の装置に移し替えてから、前記水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0015

5.前記昇温させる工程において、前記反応液を5.8〜15.0℃/minの範囲内の昇温速度で、常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0016

6.前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0017

7.前記水熱反応させる工程において、前記反応液を12〜72時間水熱反応させることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。

0018

8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により二酸化バナジウム含有粒子を製造する工程を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法。

発明の効果

0019

本発明によれば、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、及び当該製造方法を用いた二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
水熱反応による二酸化バナジウム含有粒子の製造においては、水熱反応中に二酸化バナジウム含有粒子の核が生成するとともに、当該核が粒子成長し、二酸化バナジウム含有粒子が生成されると考えられる。これに対し、上記従来の技術における二酸化バナジウム含有粒子の製造方法では、反応液を調製した後、特に温度条件等を規定することなく水熱反応を行うため、昇温過程及び水熱反応中に核生成と粒成長とが同時に起こるものと考えられる。このため、反応液中に核や、核が粒子成長した一次粒子、一次粒子が凝集したり更に粒子成長したりすることで発生する粗大粒子等が混在した状態で反応が進行し、粒径が不均一でサーモクロミック性が不十分な二酸化バナジウム含有粒子が生成されてしまうものと考えられる。
本発明では、次のような機構で、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子が得られるものと考えている。すなわち、調製した反応液を200〜250℃まで昇温させることで、反応液中で粒子成長を生じさせずに、核の生成のみを進行させる。その後、一旦100℃以下まで冷却させることで反応を停止させ、反応液中に核のみが存在する状態を作る。この状態を作ってから、反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応を行うことにより、反応液中の核が一様に粒子成長し、平均粒径が小さく、これによりサーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子が得られると考えている。

図面の簡単な説明

0020

本発明及び従来技術における反応液の温度変化を示す模式図

0021

本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程と、前記反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程と、200〜250℃の範囲内まで昇温させた前記反応液を100℃以下まで冷却させる工程と、100℃以下まで冷却させた前記反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、本発明の効果発現の観点から、前記昇温させる工程において、前記反応液を常温から、210〜240℃の範囲内まで昇温させることが好ましい。
また、本発明においては、前記冷却させる工程において、前記反応液を25℃以下まで冷却させることが好ましい。これにより、より平均粒径の小さい二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
また、本発明においては、前記水熱反応させる工程において、100℃以下まで冷却させた前記反応液を別の装置に移し替えてから、前記水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させることが好ましい。これにより、複数の系で並行して昇温工程及び冷却工程を行い、得られた複数の反応液を混合して、同一の装置で一括して水熱反応工程を行うことが可能となり、生産性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記昇温させる工程において、前記反応液を5.8〜15.0℃/minの範囲内の昇温速度で、常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させることが好ましい。これにより、反応液中でより確実に核を生成させて粗大粒子の生成を抑制し、二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を小さくすることができる。
また、本発明においては、前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることが好ましい。これにより、十分な反応速度が得られ、二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径をより小さく、サーモクロミック性をより向上させることができる。
また、本発明においては、前記水熱反応させる工程において、前記反応液を12〜72時間水熱反応させることが好ましい。これにより、得られる二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を制御しやすく、かつエネルギー消費量が多くなりすぎることを抑制できる。

0022

また、本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法は、上記二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により二酸化バナジウム含有粒子を製造する工程を有することを特徴とする。これにより、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子を含有する二酸化バナジウム含有粒子分散液を製造することができる。

0023

以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。

0024

《二酸化バナジウム含有粒子の製造方法の概要
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合して反応液を調製する工程(反応液調製工程)と、反応液を常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる工程(昇温工程)と、200〜250℃の範囲内まで昇温させた反応液を100℃以下まで冷却させる工程(冷却工程)と、100℃以下まで冷却させた反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させる工程(水熱反応工程)と、を有することを特徴とする。

0025

図1を参照して本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法について説明する。図1(a)及び(b)は、従来技術の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法における反応液の温度変化を示す模式図、図1(c)は、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法における反応液の温度変化を示す模式図である。

0026

図1(a)及び(b)に示すように、従来技術では、反応液の昇温を開始した後は、所定温度で一旦保持させる場合もあるが(図1(b)参照)、水熱反応温度に到達するまで反応液の温度を低下させることなく昇温を行い、水熱反応が終了した後に冷却する。これに対して本発明は、反応液の昇温を開始して200〜250℃に到達した後、一旦100℃以下まで冷却してから、再び昇温を開始して水熱反応温度に到達させ、水熱反応が終了した後に再び冷却する。これにより、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
ここで、水熱反応温度とは、反応液を水熱反応させるのに適した温度であって、昇温工程及び冷却工程を経た後の反応液の昇温が完了し、最終的に到達した温度をいう。また、本発明では、反応液が水熱反応温度に到達したときから水熱反応が開始されるものとする。

0027

以下に、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法で用いられる材料や各種条件、測定方法等について詳細に説明する。

0028

[1:反応液調製工程]
反応液調製工程では、少なくとも、水と、バナジウム(V)を含有する原料とを混合し反応液を調製する。この反応液は、原料が水中に溶解した水溶液であっても良いし、原料が水中に分散した懸濁液であっても良い。

0029

(バナジウム(V)を含有する原料)
本発明において、バナジウム(V)を含有する原料とは、バナジウム(V)を含有するバナジウム化合物、又は、当該バナジウム化合物とその他の化合物との混合物をいう。当該原料としては、溶媒中に溶解されたものを用いても良いし、分散媒中に分散されたものを用いても良い。

0030

原料に含有されるバナジウム化合物としては、五価のバナジウム(V)の化合物であれば、特に限定されず、例えば、五酸化二バナジウム(V2O5)、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、三塩化酸化バナジウム(VOCl3)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)等を用いることができる。中でも、バナジウム原子以外の金属原子を含まないため二酸化バナジウム含有粒子の形成が妨げられず、より純度の高い二酸化バナジウム含有粒子を得られる観点から、五酸化二バナジウム、バナジン酸アンモニウム及び三塩化酸化バナジウムから選定された化合物が好ましい。また、原料に含有されるバナジウム化合物としては、1種のみであっても良いし2種以上であっても良い。

0031

上記した原料に対しては、後述する水熱反応工程を行う前に、過酸化水素の存在下で前処理を行っても良い。水熱反応工程前に過酸化水素の存在下で前処理を行うことにより、特に五酸化二バナジウム等の非イオン性のバナジウム化合物を含有する場合であっても、反応液がゾル状になり、水熱反応が均一に進行し得る。この場合、例えば、バナジウム化合物1モルに対して0.5〜10モルの過酸化水素を反応液に添加し、例えば20〜40℃で、必要に応じて撹拌しながら0.5〜10時間程度反応させれば良い。

0032

(水)
本発明に係る水は、特に限定されないが、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水蒸留水等の精製水を用いることができる。

0033

(本発明に係る反応液が含有していても良いその他の化合物)
本発明に係る反応液には、還元剤を含有させることが好ましい。還元剤としては、水に容易に溶解する性質を有し、かつ、バナジウム(V)を含有する原料の還元剤として機能すれば良く、例えば、ヒドラジン(N2H4)、ヒドラジン一水和物等のヒドラジンの水和物(N2H4・nH2O)、シュウ酸((COOH)2)、シュウ酸二水和物等のシュウ酸の水和物(H2C2O4・nH2O)等が挙げられる。なお、還元剤としては、1種単独で用いられても良いし2種以上を組み合わせて用いられても良い。
反応液中の還元剤の含有量は、特に制限されるものではないが、例えば、バナジウム化合物1モルに対して0.01〜2モルである。

0034

なお、反応液に上記還元剤を含有させる場合、後述する水熱反応工程前に酸化還元反応を行わせるものとしても良い。例えば、水熱反応工程前に、還元剤を含有する反応液を、例えば20〜40℃で、必要に応じて撹拌しながら0.5〜10時間程度反応させれば良い。複数の還元剤を採用する場合は、複数の還元剤を同時に又は順次添加して酸化還元反応を行わせることができる。還元剤による酸化還元反応は、上記した原料に対する過酸化水素による前処理と同時に行っても良く(すなわち、過酸化水素及び還元剤を含有する反応液を用いて前処理を行う。)、又は、過酸化水素による前処理とは別に順次行っても良い。水熱反応工程前に酸化還元反応を行わせることにより、二酸化バナジウムを生成しやすくすることができる。

0035

また、本発明に係る反応液は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)、リン(P)及びチタン(Ti)からなる群から選定される、少なくとも1種の原子を含む化合物を含有していても良い。

0036

これらの原子を含む化合物を、添加剤として本発明に係る反応液に添加することにより、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性(特に、転移温度)を制御することができる。

0037

また、本発明に係る反応液は、酸化性又は還元性を有する物質を更に含むものであって良い。このような物質には、例えば、過酸化水素(H2O2)が含まれる。酸化性又は還元性を有する物質を添加することにより、反応液のpHを調整したり、上記原料を均一に溶解させたりすることができる。

0038

また、本発明に係る反応液は、pH調節剤として、塩酸硫酸硝酸リン酸水酸化アンモニウムアンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリを含んでも良い。反応液のpHは、二酸化バナジウム含有粒子の粒径及びサーモクロミック性の観点から、例えば4〜7である。

0039

[2:昇温工程]
昇温工程では、反応液調製工程で調製した反応液を、常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる。
具体的には、調製した反応液を、水熱反応処理に用いられるオートクレーブ装置等の密閉容器内に収容し、密閉空間内で加熱することによって、常温(例えば25℃)から、200〜250℃の範囲内まで昇温させる。

0040

また、昇温工程では、本発明の効果発現の観点から、常温から、210〜240℃の範囲内まで昇温させることが好ましい。

0041

また、昇温工程では、反応液を5.8〜15.0℃/minの範囲内の昇温速度で、常温から、200〜250℃の範囲内まで昇温させることが好ましい。昇温速度が5.8℃/min以上であると、得られる二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径及び粒径のばらつきを小さくすることができる。一方、15.0℃/minより大きい昇温速度に設定することは、装置その他の昇温手段の設計上困難である。
なお、上記昇温速度としては、常温から、200〜250℃の範囲内までの昇温期間において、5.8〜15.0℃/minの範囲内のいずれか一の値で一定であっても良いし、5.8〜15.0℃/minの範囲内で時間経過とともに昇温速度が変動するものとしても良い。

0042

また、昇温工程においては、反応液が200〜250℃に到達する前の所定温度に到達した時点で昇温を一旦停止し、当該所定温度を0.5〜5時間保持することが好ましい。このように昇温を一旦停止することで材料を全て溶解させることができ、より均一な粒子を形成することができるものと考えている。
なお、この場合には、反応液を所定温度に0.5〜5時間保持した後、当該反応液の昇温を再開して200〜250℃まで昇温させるが、昇温停止前と昇温再開後とで昇温速度が同じであっても異なっていても良い。また、常温から200〜250℃まで昇温する過程において、昇温停止及び温度保持を複数回繰り返すものとしても良い。

0043

[3:冷却工程]
冷却工程では、昇温工程で200〜250℃の範囲内まで昇温させた反応液を100℃以下まで冷却させる。
具体的には、水熱反応処理に用いられるオートクレーブ装置等の密閉容器内に収容された反応液を、密閉空間内で冷却させることによって、100℃以下まで冷却する。

0044

冷却方法としては特に限定されるものではなく、反応液を収容した密閉容器を自然空冷させるものとしても良いし、ファン等により当該密閉容器の外壁面に対して空気を吹き付けるものとしても良い。また、例えば、当該密閉容器の外壁面に対して冷媒等を直接的又は間接的に接触させる熱交換による冷却としても良い。

0045

また、冷却工程では、反応液を25℃以下まで冷却させることが好ましい。これにより、より平均粒径の小さい二酸化バナジウム含有粒子を得ることができる。
また、冷却工程では、反応液を可能な範囲で低い温度に冷却させることで、反応液中で進行する反応をより確実に停止させて平均粒径の小さい粒子を得ることができるが、エネルギー消費量や製造コスト、生産性等の観点から25℃程度まで冷却させることが好ましい。

0046

[4:水熱反応工程]
水熱反応工程では、冷却工程で100℃以下まで冷却させた反応液を水熱反応温度まで昇温させて水熱反応処理を行う。ここで、水熱反応とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低く、100℃以上の熱水亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。

0047

水熱反応工程は、例えば、オートクレーブ装置等の密閉容器内で実施される。
水熱反応処理の条件(反応物の量、処理温度処理圧力、処理時間)は、適宜設定されるが、水熱反応温度は、例えば、200〜350℃の範囲内であり、好ましくは200〜300℃の範囲内、更に好ましくは250〜300℃の範囲内である。温度を350℃以下にすることにより二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を小さくすることができる。一方、温度が高いほど反応速度は速くなり、200℃以上であれば十分な反応速度が得られるとともに、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性がより優れたものとなる。

0048

また、水熱反応処理の時間は、例えば0.1時間〜7日の範囲内であり、12〜72時間の範囲内であることが好ましい。時間を長くすることにより、得られる二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径等を制御することができ、7日以内であると、エネルギー消費量が多くなりすぎることを抑制できる。なお、本発明においては、水熱反応処理の時間には、上記昇温工程及び冷却工程の時間を含まないものとする。
また、水熱反応処理の圧力は特に制限されないが、例えば水熱反応時の飽和水蒸気圧であり、より具体的には、例えば5〜7MPaの範囲内である。

0049

また、水熱反応工程においては、冷却工程で100℃以下まで冷却された反応液を、昇温工程及び冷却工程で用いられた装置とは別の装置に移し替えてから、水熱反応温度まで昇温させて水熱反応させることが好ましい。昇温工程及び冷却工程で用いられた装置とは別の装置で水熱反応工程を行うことで、複数の装置を用いて複数の系で並行して昇温工程及び冷却工程を行い、得られた複数の反応液を混合して、同一の装置で一括して水熱反応工程を行うといったことが可能となる。上記したように水熱反応工程には長時間を要するが、このような方法を採ることにより、二酸化バナジウム含有粒子の生産性を向上させることができる。

0050

また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、二酸化バナジウム含有粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。

0051

なお、水熱反応処理は、バッチ式で実施しても良く、連続式で実施しても良い。

0052

水熱反応処理終了後は、速やかに反応液の温度を150℃以下まで冷却することが好ましい。より好ましくは、30分以内に150℃以下まで冷却する。

0053

以上の工程により、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子を含む懸濁液が得られる。当該懸濁液に対して濾過(例えば限外濾過)や遠心分離を行うことにより、分散媒や溶媒の置換を行い、二酸化バナジウム含有粒子を水やアルコール等によって洗浄しても良い。得られた二酸化バナジウム含有粒子は、任意の手段により乾燥しても良い。これにより、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子が得られる。

0054

《二酸化バナジウム含有粒子》
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって製造された二酸化バナジウム含有粒子は、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有する。
当該二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、1〜200nmの範囲内であることが好ましい。

0055

このような二酸化バナジウム含有粒子を含有する光学フィルム等であれば、ヘイズが発生することを抑制でき、また、可視光透過率を向上させることができる。

0056

本発明の製造方法により製造された二酸化バナジウム含有粒子を、例えばバインダー樹脂中に分散された状態で基材上に設けることで、光学フィルムを製造することができる。

0057

(サーモクロミック性及び透明性)
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、サーモクロミック性と透明性とを有している。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子の可視光透過率は、高いほど好ましいが、70%以上であることが好ましい。

0058

また、二酸化バナジウム含有粒子が有するサーモクロミック性としては、温度変化によって光透過率光反射率等の光学特性が可逆的に変化すれば特に限定されるものではない。例えば、25℃/50%RH及び85℃/85%RHにおける光透過率の差が30%以上であることが好ましい。
二酸化バナジウム含有粒子の光透過率は、例えば、分光光度計V−670(日本分光(株)製)を用いて、波長2000nmにおける光透過率として測定することができる。

0059

また、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、上記したとおり、二酸化バナジウム(VO2)の他、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)、リン(P)及びチタン(Ti)からなる群から選定される、少なくとも1種の原子を含んでいても良い。これらのような原子を含有することにより、二酸化バナジウム含有粒子の相転移特性(特に、調光温度)を制御することが可能となる。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子に対する、これらの原子の添加総量は、バナジウム(V)原子に対して0.1〜5.0原子%程度で十分であり、例えば、1.0原子%である。添加総量が5.0原子%以下であると、十分なサーモクロミック性(例えば、調光前後の光透過率の差)を確保することができる。

0060

《二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法》
本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法は、上記した二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により二酸化バナジウム含有粒子を製造する工程を有することを特徴とする。

0061

本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法としては、上記水熱反応工程後の反応液をそのまま用いて二酸化バナジウム含有粒子分散液としても良いし、上記水熱反応工程後に得られた二酸化バナジウム含有粒子を分散媒に分散させる工程を更に有するものとしても良い。

0062

分散媒としては、特に制限されず、例えばアルコールのような有機溶媒、又は水のような無機性の溶媒を用いることができる。また、分散媒として水を用いる場合、分散媒は水のみからなるものであっても良いし、例えば水に加えて0.1〜10質量%(分散液中)程度の有機溶媒、例えばメタノールエタノールイソプロパノールブタノール等のアルコール、アセトン等のケトン類等を含んでも良い。また、分散媒としては、リン酸緩衝液酢酸緩衝液等の緩衝液を用いることもできる。

0063

二酸化バナジウム含有粒子分散液には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化アンモニウム、アンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリ等のpH調整剤を含有させるものとしても良く、これにより所望のpHに調整しても良い。なお、二酸化バナジウム含有粒子分散液中での二酸化バナジウム含有粒子の凝集が抑制されるという観点から、pHが4〜7であることが好ましい。

0064

例えば、上記のようにして製造した二酸化バナジウム含有粒子分散液を基材上に塗布することで、フィルムを製造することが可能である。

0065

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。

0066

《二酸化バナジウム含有粒子101の調製(比較例)》
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製)の10質量%水溶液30mLに、五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、これを25℃で4時間撹拌して澄んだ赤色のゾルを得た。得られたゾルに、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液2.5gをゆっくり滴下し、反応液を調製した(反応液調製工程)。

0067

滴下後1時間撹拌した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50mL容積テフロン登録商標)製内筒を備える。)内に入れ、昇温速度1℃/minで、25℃(常温)から水熱反応温度である275℃まで昇温し、48時間水熱反応させた(水熱反応工程)。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子101を得た。

0068

《二酸化バナジウム含有粒子102の調製(比較例)》
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製)の10質量%水溶液30mLに、五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、これを25℃で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液2.5gをゆっくり滴下し、反応液を調製した(反応液調製工程)。

0069

滴下後1時間撹拌した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える。)内に入れ、昇温速度1℃/minで、25℃(常温)から190℃まで昇温させた(昇温工程)。190℃で2時間保持した後、更に190℃から水熱反応である275℃まで昇温し、275℃で48時間水熱反応させた(水熱反応工程)。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子102を得た。

0070

《二酸化バナジウム含有粒子103の調製(比較例)》
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製)の10質量%水溶液30mLに、五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、これを25℃で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液2.5gをゆっくり滴下し、反応液を調製した(反応液調製工程)。

0071

滴下後1時間撹拌した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える。)内に入れ、昇温速度1℃/minで、25℃(常温)から190℃まで昇温させた(昇温工程)。次に、炉の電源切り、ファンの送風で上記オートクレーブの外壁面を冷却し、反応液が40℃になるまで冷却させた(冷却工程)。冷却させた反応液を水熱反応温度である275℃まで昇温し、275℃で48時間水熱反応させた(水熱反応工程)。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子103を得た。

0072

《二酸化バナジウム含有粒子104の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、昇温工程で、反応液を200℃まで昇温させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子104を調製した。

0073

《二酸化バナジウム含有粒子105の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、昇温工程で、反応液を210℃まで昇温させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子105を調製した。

0074

《二酸化バナジウム含有粒子106の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、昇温工程で、反応液を240℃まで昇温させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子106を調製した。

0075

《二酸化バナジウム含有粒子107の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、昇温工程で、反応液を250℃まで昇温させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子107を調製した。

0076

《二酸化バナジウム含有粒子108の調製(比較例)》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、昇温工程で、反応液を265℃まで昇温させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子108を調製した。

0077

《二酸化バナジウム含有粒子109の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、冷却工程で、反応液が25℃になるまで冷却させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子109を調製した。

0078

《二酸化バナジウム含有粒子110の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、冷却工程で、反応液が100℃になるまで冷却させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子110を調製した。

0079

《二酸化バナジウム含有粒子111の調製(比較例)》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、冷却工程で、反応液が110℃になるまで冷却させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子111を調製した。

0080

《二酸化バナジウム含有粒子112の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、昇温工程の昇温速度を10℃/minに変更した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子112を調製した。

0081

《二酸化バナジウム含有粒子113の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、水熱反応温度を295℃に変更した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子113を調製した。

0082

《二酸化バナジウム含有粒子114の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、水熱反応温度を250℃に変更した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子114を調製した。

0083

《二酸化バナジウム含有粒子115の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、水熱反応工程で、水熱反応温度である275℃で12時間水熱反応させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子115を調製した。

0084

《二酸化バナジウム含有粒子116の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、水熱反応工程で、水熱反応温度である275℃で72時間水熱反応させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子116を調製した。

0085

《二酸化バナジウム含有粒子117の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、反応液調製工程で、過酸化水素水の水溶液に五酸化バナジウム0.9gとともにモリブデン酸アンモニウムパラ四水和物(和光純薬社製、特級)0.096gを加えた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子117を調製した。

0086

《二酸化バナジウム含有粒子118の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子104の調製において、反応液調製工程で、過酸化水素水の水溶液に五酸化バナジウム0.9gとともに硝酸マグネシウム六水和物(和光純薬社製、特級)0.020gを加えた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子118を調製した。

0087

《二酸化バナジウム含有粒子119の調製(比較例)》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、反応液調製工程で、ヒドラジン一水和物の5質量%水溶液を滴下する代わりに、シュウ酸二水和物(和光純薬社製、特級)を1.25g添加した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子119を調製した。

0088

《二酸化バナジウム含有粒子120の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子103の調製において、反応液調製工程で、ヒドラジン一水和物の5質量%水溶液を滴下する代わりに、シュウ酸二水和物(和光純薬社製、特級)を1.25g添加し、昇温工程で、反応液を25℃(常温)から220℃まで昇温させ、更に冷却工程で、反応液が50℃になるまで冷却させた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子120を調製した。

0089

《二酸化バナジウム含有粒子121の調製(比較例)》
純水30mLに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、和光純薬社製、特級)1.2gを加え、これを60℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬社製、特級)の4.75質量%水溶液2.8gをゆっくり滴下し、反応液を調製した(反応液調製工程)。

0090

滴下後10分間撹拌した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製HU−50型)(SUS製本体に50mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える。)内に入れ、昇温速度1℃/minで、25℃(常温)から水熱反応温度である285℃まで昇温し、24時間水熱反応させた(水熱反応工程)。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子121を得た。

0091

《二酸化バナジウム含有粒子122の調製》
純水30mLに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、和光純薬社製、特級)1.2gを加え、これを60℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、ヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬社製、特級)の4.75質量%水溶液2.8gをゆっくり滴下し、反応液を調製した(反応液調製工程)。

0092

滴下後10分間撹拌した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製HU−50型)(SUS製本体に50mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える。)内に入れ、昇温速度1℃/minで、25℃(常温)から230℃まで昇温させた(昇温工程)。次に、炉の電源を切り、ファンの送風で上記オートクレーブの外壁面を冷却し、反応液が30℃になるまで冷却させた(冷却工程)。冷却させた反応液を水熱反応温度である285℃まで昇温し、285℃で24時間水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子122を得た。

0093

《二酸化バナジウム含有粒子123の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子122の調製において、反応液調製工程で、純水にバナジン酸アンモニウム1.2gとともにタングステン酸アンモニウムパラ五水和物(和光純薬社製、特級)0.029gを加えた以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子123を調製した。

0094

《二酸化バナジウム含有粒子101〜123の評価》
上記のようにして調製した二酸化バナジウム含有粒子101〜123について、以下の評価を行った。その評価結果を表1及び表2に示す。

0095

(1)サーモクロミック性評価
各二酸化バナジウム含有粒子の作製において、水熱反応後に得られた反応生成物を純水で5000倍に希釈し、市販の栓付石英セル(2面透光型45mm×12.5mm×10mm)内に入れ、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により透過スペクトルを測定した。測定時の液温は25℃及び80℃とし、測定波長は1300nmとした。液温25℃及び80℃の光透過率の差を算出し、下記基準に従ってサーモクロミック性を評価した。

0096

◎:20%以上
○:15%以上20%未満
△:10%以上15%未満
×:10%未満

0097

(2)平均粒径評価
作製した二酸化バナジウム含有粒子を走査型電子顕微鏡日本電子株式会社製 JSM−7401F)で撮影し、粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径を粒径と定義し、100個の粒子について測定した個々の粒径の算術平均値を求め、これを平均粒径とした。得られた平均粒径を下記基準に従って評価した。

0098

◎:50nm未満
○:50nm以上100nm未満
△:100nm以上200nm未満
×:200nm以上

0099

(3)光学フィルムのサーモクロミック性評価
まず、上記作製した各二酸化バナジウム含有粒子を用いて以下のようにして光学フィルムを作製した。

0100

下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。

0101

3質量%の二酸化バナジウム含有粒子分散液 28質量部
3質量%のホウ酸水溶液10質量部
5質量%のポリビニルアルコール水溶液PVA−124;重合度:2400、ケン化度:98〜99mol%;株式会社クラレ製) 60質量部
5質量%の界面活性剤水溶液ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製) 2質量部

0102

なお、上記3質量%の二酸化バナジウム含有粒子分散液は、上記各二酸化バナジウム含有粒子の作製において、水熱反応後に得られた反応生成物を限外濾過し、3質量%に濃縮することによって調製したものである。
また、上記ポリビニルアルコールであるPVA−124は、ヒドロキシ基含有繰り返し単位比率が50モル%以上のポリマーである。

0103

厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布した。次いで、塗膜に110℃の温風を2分間吹き付けて乾燥させ、光学機能層を形成した。このようにして、光学フィルムを作製した。

0104

次いで、作製した光学フィルムに対して、次の評価を行った。
作製した光学フィルムを固定用治具に取り付け、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により光学フィルムの透過スペクトルを測定した。測定時の光学フィルムの温度は25℃及び80℃とし、測定波長は2000nmとした。温度20℃及び80℃の光透過率の差を算出し、下記基準に従ってサーモクロミック性を評価した。なお、光透過率の差は、大きいほど好ましい。

0105

◎:60%以上
○:50%以上60%未満
△:40%以上50%未満
×:40%未満

0106

(4)光学フィルムのヘイズ評価
上記光学フィルムのサーモクロミック性評価と同様にして、各二酸化バナジウム含有粒子を用いてそれぞれ光学フィルムを作製し、作製した光学フィルムを用いて次の評価を行った。
ヘイズは、JIS K7136に従い、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を用いて測定し、膜厚100μm換算での値を、下記基準に従って評価した。なお、ヘイズは、小さいほど好ましい。

0107

◎:5未満
○:5以上10未満
△:10以上20未満
×:20以上

0108

0109

実施例

0110

(5)まとめ
表1及び表2に示すように、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、比較例の二酸化バナジウム含有粒子に比べて、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れていることが分かる。更に、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子を用いて作製した光学フィルムも、比較例の光学フィルムに比べて、サーモクロミック性に優れ、ヘイズが小さい。
したがって、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によれば、平均粒径が小さく、サーモクロミック性に優れた二酸化バナジウム含有粒子を製造することができるといえる。

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