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技術 識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法、核酸誘導体及びキット

出願人 凸版印刷株式会社
発明者 荻野雅之
出願日 2015年12月25日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-253085
公開日 2017年6月29日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-112932
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 目的反応物 紫外線吸収量 酸化還元剤 反応工程数 出現パターン 板状基板 バイサルファイト バイサルファイト処理
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

識別対象塩基5−ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)であるか否かを判定する方法において、副反応物の生成を抑制する技術を提供する。

解決手段

識別対象の塩基が5hmCであるか否かを判定する方法であって、核酸試料である第一核酸と、5hmC特異的結合基を有する第二核酸と、第一核酸及び第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5hmC特異的結合基とを近接させる工程と、前記塩基と前記5hmC特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5hmCであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程と、第四核酸が生成された場合には前記塩基が5hmCであると判定する工程(c)と、を備え、第二核酸の塩基配列のうち、5hmC特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、方法。

概要

背景

5−ヒドロキシメチルシトシン修飾核酸一種であり、シトシンの5位がヒドロキシメチル化されたものである。古くからバクテリオファージ等で存在することが知られてきたが、ヒトに関してもエピジェネティクスな遺伝子の発現抑制関与する5−メチルシトシン酵素TET1(Ten Eleven Translocation methylcytosine dioxygenase)により酸化されて生成されることが2009年に報告された(非特許文献1、2)。

この5−ヒドロキシメチルシトシンは脱メチル化過程で生じる中間体であると考えられるが、中枢神経系の細胞に多く集中していることから、それ自体がエピジェネティクスな調整に関与している可能性がある(非特許文献3、4)。

しかしながら、現段階において5−ヒドロキシメチルシトシンの役割には不明な点が多く、胚性幹細胞自己複製能にも影響を与えること等が示されており、今後も研究が進展することにより明らかになっていくものと考えられる。

ヒトなどの哺乳類ゲノム中の5−ヒドロキシメチルシトシンの発見は、生命科学分野に新たな知見をもたらすものであるが、バイサルファイト処理を施して得られたDNA中の5−メチルシトシンの割合に関するデータに影響を与える可能性が高い。これは5−メチルシトシン検出ためのバイサルファイト処理による塩基変換が5−ヒドロキシメチルシトシンでも同様に起こることに起因し、これまでの研究で得られたデータにおいて5−メチルシトシンとして計上された値に5−ヒドロキシメチルシトシンを含むからである。

このような背景から5−メチルシトシンと5−ヒドロキシメチルシトシンを区別して検出する技術は今後のエピジェネティクス研究において非常に重要なものといえる。

現在開発されている、5−ヒドロキシメチルシトシンの検出方法としては、5−ヒドロキシメチルシトシンを含むDNAに対して酸化還元剤を施した後に、改めてバイサルファイト処理を行うもの(特許文献1)、グリコシルトランスフェラーゼヒドロキシル基を糖で修飾した後、酵素TET1にて5−メチルシトシンを脱メチル化処理、更にバイサルファイト処理を行うもの(特許文献2)、タングステン酸化剤による5−ヒドロキシメチルシトシン特異的なウラシル誘導体への塩基変換(特許文献3)等が挙げられる。

概要

識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)であるか否かを判定する方法において、副反応物の生成を抑制する技術を提供する。識別対象の塩基が5hmCであるか否かを判定する方法であって、核酸試料である第一核酸と、5hmC特異的結合基を有する第二核酸と、第一核酸及び第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5hmC特異的結合基とを近接させる工程と、前記塩基と前記5hmC特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5hmCであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程と、第四核酸が生成された場合には前記塩基が5hmCであると判定する工程(c)と、を備え、第二核酸の塩基配列のうち、5hmC特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、方法。

目的

しかしながら、ある特定の疾病に関連した1〜数箇所程度の局所的な検出を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

核酸試料中の識別対象塩基5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法であって、前記核酸試料である第一核酸と、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基とを近接させる工程(a)と、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程(b)と、前記第四核酸の存在を検出し、前記第四核酸が検出された場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであると判定し、前記第四核酸が検出されなかった場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンではないと判定する工程(c)と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、方法。

請求項2

前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合がエステル結合である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基が下記式(1)で表される基である、請求項1又は2に記載の方法。[式(1)中、AはO、S又はNHを表す。]

請求項4

前記第四核酸は、塩基性条件下で前記第一核酸及び前記第二核酸に開裂する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合が配位結合である、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記第二核酸が固相上に固定化されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記第四核酸の存在が蛍光物質を用いて検出される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記第四核酸の存在が電気泳動を用いて検出される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記第四核酸の存在が電気化学的に検出される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記第四核酸の存在が紫外線吸収量の測定により検出される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

下記式(2)で表される核酸誘導体。[式(2)中、AはO、S又はNHを表し、R1はリボース又はデオキシリボースを表し、R4はデオキシリボースを表し、R2、R3及びR5はポリヌクレオチドを表し、R2の塩基配列は、5’末端側から少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである。]

請求項12

核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かの判定用キットであって、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記核酸試料である第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、キット

請求項13

前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基が下記式(1)で表される基である、請求項12に記載のキット。[式(1)中、AはO、S又はNHを表す。]

請求項14

縮合剤を更に備える、請求項12又は13に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、識別対象塩基5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法、核酸誘導体及びキットに関する。

背景技術

0002

5−ヒドロキシメチルシトシンは修飾核酸一種であり、シトシンの5位がヒドロキシメチル化されたものである。古くからバクテリオファージ等で存在することが知られてきたが、ヒトに関してもエピジェネティクスな遺伝子の発現抑制関与する5−メチルシトシン酵素TET1(Ten Eleven Translocation methylcytosine dioxygenase)により酸化されて生成されることが2009年に報告された(非特許文献1、2)。

0003

この5−ヒドロキシメチルシトシンは脱メチル化過程で生じる中間体であると考えられるが、中枢神経系の細胞に多く集中していることから、それ自体がエピジェネティクスな調整に関与している可能性がある(非特許文献3、4)。

0004

しかしながら、現段階において5−ヒドロキシメチルシトシンの役割には不明な点が多く、胚性幹細胞自己複製能にも影響を与えること等が示されており、今後も研究が進展することにより明らかになっていくものと考えられる。

0005

ヒトなどの哺乳類ゲノム中の5−ヒドロキシメチルシトシンの発見は、生命科学分野に新たな知見をもたらすものであるが、バイサルファイト処理を施して得られたDNA中の5−メチルシトシンの割合に関するデータに影響を与える可能性が高い。これは5−メチルシトシン検出ためのバイサルファイト処理による塩基変換が5−ヒドロキシメチルシトシンでも同様に起こることに起因し、これまでの研究で得られたデータにおいて5−メチルシトシンとして計上された値に5−ヒドロキシメチルシトシンを含むからである。

0006

このような背景から5−メチルシトシンと5−ヒドロキシメチルシトシンを区別して検出する技術は今後のエピジェネティクス研究において非常に重要なものといえる。

0007

現在開発されている、5−ヒドロキシメチルシトシンの検出方法としては、5−ヒドロキシメチルシトシンを含むDNAに対して酸化還元剤を施した後に、改めてバイサルファイト処理を行うもの(特許文献1)、グリコシルトランスフェラーゼヒドロキシル基を糖で修飾した後、酵素TET1にて5−メチルシトシンを脱メチル化処理、更にバイサルファイト処理を行うもの(特許文献2)、タングステン酸化剤による5−ヒドロキシメチルシトシン特異的なウラシル誘導体への塩基変換(特許文献3)等が挙げられる。

0008

国際公開第2013/017853号
国際公開第2011/127136号
国際公開第2012/141324号

先行技術

0009

Kriaucionis S. and Heintz N., The nuclear DNA base 5-hydroxymethylcytosine is present in Purkinje neurons and the brain., Science, 324, 929-930, 2009.
Tahiliani M., et al., Conversion of 5-methylcytosine to 5-hydroxymethylcytosine in mammalian DNA by MLLpartner TET1., Science, 324, 930-935, 2009.
Globisch D., et al., Tissue distribution of 5-hydroxymethylcytosine and search for active demethylation intermediates.,PLoS ONE, 5, e15367, 2010.
Szwagierczak A., et al., Sensitive enzymatic quantification of 5-hydroxymethylcytosine in genomic DNA., Nucleic AcidsResearch, 38, e181, 2010.

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1〜3に記載の方法は、DNA中の5−ヒドロキシメチルシトシン全てを一括して処理できることから、塩基配列シーケンシングと組み合わせることにより網羅的な解析が可能となるものである。しかしながら、ある特定の疾病に関連した1〜数箇所程度の局所的な検出を目的とする場合には、余分な情報が多く効率が悪い場合がある。

0011

また、特許文献1及び2に記載の方法は、煩雑なバイサルファイト法に加え、その前段階で酸化還元反応酵素反応を用いる複雑なものである。反応工程数が増加することにより、貴重DNAサンプルのロスや検出感度の低下が問題となる場合がある。

0012

研究の進展に伴い5−ヒドロキシメチルシトシンの頻度出現パターンと疾病やその他の生命現象との関連が明らかになり、DNA中の局所的な5−ヒドロキシメチルシトシン検出及び定量が臨床研究現場で必要になると予想される。

0013

このような背景のもと、発明者らは、以前に、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する新たな方法を開発した。当該方法は、核酸試料である第一核酸と、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基とを近接させる工程と、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程と、前記第四核酸の存在を検出し、前記第四核酸が検出された場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであると判定するものであった。

0014

しかしながら、発明者らは更に、上記判定方法では、目的反応物である第四核酸以外にも、副反応物として核酸誘導体が生じ、検出感度と定量性への影響が懸念される場合があることを見出した。そこで、本発明は、上記副反応物の生成を抑制する技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明は以下の態様を含む。
[1]核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法であって、前記核酸試料である第一核酸と、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基とを近接させる工程(a)と、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程(b)と、前記第四核酸の存在を検出し、前記第四核酸が検出された場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであると判定し、前記第四核酸が検出されなかった場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンではないと判定する工程(c)と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、方法。
[2]前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合がエステル結合である、[1]に記載の方法。
[3]前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基が下記式(1)で表される基である、[1]又は[2]に記載の方法。



[式(1)中、AはO、S又はNHを表す。]
[4]前記第四核酸は、塩基性条件下で前記第一核酸及び前記第二核酸に開裂する、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合が配位結合である、[1]に記載の方法。
[6]前記第二核酸が固相上に固定化されている、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記第四核酸の存在が蛍光物質を用いて検出される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記第四核酸の存在が電気泳動を用いて検出される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[9]前記第四核酸の存在が電気化学的に検出される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[10]前記第四核酸の存在が紫外線吸収量の測定により検出される、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[11]下記式(2)で表される核酸誘導体。



[式(2)中、AはO、S又はNHを表し、R1はリボース又はデオキシリボースを表し、R4はデオキシリボースを表し、R2、R3及びR5はポリヌクレオチドを表し、R2の塩基配列は、5’末端側から少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである。]
[12]核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かの判定用キットであって、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記核酸試料である第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、キット。
[13]前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基が下記式(1)で表される基である、[12]に記載のキット。



[式(1)中、AはO、S又はNHを表す。]
[14]縮合剤を更に備える、[12]又は[13]に記載のキット。

発明の効果

0016

本発明によれば、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法において、副反応物の生成を抑制する技術を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法を説明する模式図である。
実験例1の電気泳動の結果を示す写真である。
実験例2の電気泳動の結果を示す写真である。

0018

<識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法>
1実施形態において、本発明は、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法であって、前記核酸試料である第一核酸と、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸とをハイブリダイズさせ、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基とを近接させる工程(a)と、前記塩基と前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基との結合反応を行い、前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、前記第一核酸と前記第二核酸とが結合した第四核酸が生成される工程(b)と、前記第四核酸の存在を検出し、前記第四核酸が検出された場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであると判定し、前記第四核酸が検出されなかった場合には前記塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンではないと判定する工程(c)と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである方法を提供する。

0019

本実施形態の方法によれば、簡便な操作により、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを正確に識別することができ、副反応物の生成が少ない。本実施形態の方法は、DNA中の局所的な5−ヒドロキシメチルシトシンの検出に特化しており、検出効率がよい。また、従来法と比較して反応工程が少ないため、貴重なDNAサンプルのロスも防ぐことができる。

0020

図1は、本実施形態の方法を説明する図である。図中の第一核酸は核酸試料であり、5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かの識別対象の塩基Xを有する核酸である。また、第二核酸は5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yを有する核酸であり、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yに隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである。ここで、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yは、第二核酸の5’末端に位置していることが好ましい。また、第三核酸は、第一核酸と相補的な領域及び第二核酸と相補的な領域を有する核酸断片であり、第一核酸及び第二核酸とハイブリダイズすることにより、塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとを近接させることができる核酸である。

0021

以下、本実施形態の方法の各工程を説明する。
[工程(a)]
図1に示すように、本工程では、第一核酸と第二核酸と第三核酸とをハイブリダイズさせ、塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとを近接させる。

0022

核酸試料が2本鎖核酸である場合には、熱変性処理化学変性処理等により1本鎖化した後に第一核酸として用いるとよい。

0023

第一核酸、第二核酸及び第三核酸のハイブリダイズは、核酸のハイブリダイゼーションを行う一般的な温度、pH、塩濃度緩衝液等の条件下で行うことができるが、後述する工程(b)における第一核酸と第二核酸との結合反応を行う反応溶液と同一の反応溶液中で行うことが好ましい。

0024

上記の反応溶液は、緩衝作用のある塩を含むことが好ましい。反応溶液のpHは、6.5〜8.5であることが好ましく、pH7.0〜8.0であることがより好ましい。また、緩衝作用のある塩の濃度は、5〜250mMであることが好ましく、10〜100mMであることがより好ましい。緩衝作用のある塩としては、カコジル酸塩、リン酸塩トリス塩等が挙げられる。

0025

緩衝作用のある塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を含むことが好ましい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩としては、例えば塩化ナトリウム塩化マグネシウム等が挙げられる。緩衝作用のある塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0026

本明細書において、核酸は、DNA又はRNAであれば特に限定されず、天然のものであってもよく、合成されたものであってもよい。天然の核酸としては、例えば、動物、植物、微生物培養細胞等の生体試料から抽出された、ゲノムDNA、mRNArRNAhnRNA、miRNA、tRNA等が挙げられる。生体試料からの核酸の抽出は、フェノールクロロホルム法等の公知の方法により行うことができる。

0027

合成された核酸としては、β−シアノエチルホスフォロアミダイト法、DNA固相合成法等の公知の化学的合成法により合成されたDNA、PCR等の公知の核酸増幅法により増幅された核酸、逆転写反応により合成されたcDNA等が挙げられる。核酸増幅法としては、例えば、PCR法LAMP法SMAP法、NASBA法、RCA法等が挙げられる。

0028

[工程(b)]
本工程では、近接させた塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとの結合反応を行う。その結果、塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、第一核酸と第二核酸とが結合した第四核酸が生成される。また、塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシン以外の塩基であった場合には、第四核酸は生成されない。図1においては、塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシンであるため、第四核酸が生成される。図1中、Zは第一核酸と第二核酸との結合部位を表す。

0029

実施例において後述するように、発明者らは、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基と塩基Xとの位置を正確に近接させることが、副反応物の生成の抑制に有効であることを見出した。

0030

このためには、特に5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基の近傍で、第二核酸と第三核酸とのハイブリダイズにより形成される2本鎖核酸の熱的安定性を高めることが有効である。より具体的には、第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基をグアニン又はシトシンにするとよい。これにより、副反応物の生成を抑制することができる。

0031

グアニン又はシトシンは、2本鎖核酸の形成時に3つの水素結合を形成するため、2本鎖核酸の形成時に2つの水素結合しか形成しないアデニンチミン等を用いた場合と比較して熱的安定性をより高めることができる。

0032

第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接するグアニン又はシトシンの数は、例えば4個であってもよく、例えば5個であってもよく、例えば6個であってもよく、例えば7個であってもよく、例えば8個であってもよく、例えば9個であってもよく、例えば10個であってもよい。しかしながら、第二核酸は第三核酸と特異的にハイブリダイズする必要があるため、その塩基配列中にグアニン及びシトシン以外の塩基も含むことが好ましい。また、連続するグアニン又はシトシンの数が多くなると、第二核酸自身が二次構造を形成したり、第二核酸同士でハイブリダイズしたりする場合があるため、グアニン又はシトシンの数の上限は例えば20個以下であってもよく、例えば15個以下であってもよく、例えば10個以下であってもよい。

0033

第二核酸と第三核酸とのハイブリダイズにより形成される2本鎖核酸の熱的安定性を高める方法としては、上記の他にも、少なくとも5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基の近傍を、ペプチド核酸(PNA)、BNA(架橋化核酸)等の核酸誘導体で構成すること等が挙げられる。

0034

本工程において、塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとの結合は、共有結合であってもよく、配位結合であってもよい。

0035

塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとが共有結合により結合される場合、当該結合は、例えばエステル結合であってもよい。

0036

塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとの共有結合は、上述した工程(a)で塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとを適切な位置に近接させた後、縮合剤を反応させることにより形成してもよい。

0037

この場合、縮合剤としては、水中で作用することができる脱水縮合剤等が挙げられる。縮合剤は予め反応溶液中に添加していてもよく、工程(a)の後に反応溶液中に添加してもよい。

0038

より具体的な縮合剤としては、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド;エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられる。

0039

5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yは、下記式(1)で表される基であってもよい。

0040

式(1)中、AはO、S又はNHを表す。5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yが上記式(1)で表される基であることにより、上述した工程(a)で塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとを、両者の特異的な結合に適切な位置に近接させることができる。その結果、塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシンであった場合には、塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとが結合可能になる。

0041

上記式(1)において、AがOである場合、上記式(1)で表される基は、5−カルボキシビニルウラシルの一部である。

0042

塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとの共有結合は、上述した工程(a)で塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとを適切な位置に近接させた後、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Y自身の作用による化学結合で形成してもよい。

0043

このような5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとしては、例えばカルボキシル基が挙げられる。

0044

塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとが共有結合を形成するのに要する時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、1分間以上、5分間以上、10分間以上、又は15分間以上の時間とすることができる。また、60分間以下、45分間以下、又は30分間以下の時間とすることができる。

0045

塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとが共有結合を形成するのに要する時間は、1分間〜60分間であってもよく、1分間〜45分間であってもよく、5分間〜45分間であってもよく、5分間〜30分間であってもよく、10分間〜30分間であってもよく、15分間〜30分間であってもよい。

0046

[工程(c)]
本工程において、上記の第四核酸の存在を検出し、第四核酸が検出された場合には塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシンであると判定し、第四核酸が検出されなかった場合には塩基Xが5−ヒドロキシメチルシトシンではないと判定する。

0047

第四核酸の存在は、例えば電気泳動を用いて検出してもよい。より具体的には、例えば、アガロースゲル電気泳動ポリアクリルアミドゲル電気泳動キャピラリー電気泳動等が挙げられる。この場合、第四核酸に特異的なバンドが検出されるか否かにより、第四核酸の存在を検出することができる。

0048

第四核酸の存在は、例えば蛍光物質を用いて検出してもよい。例えば、第一核酸を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を起こす1組の蛍光色素の一方で標識しておき、第二核酸を、上記蛍光色素の他方で標識しておくことが挙げられる。ここで、FRETを起こす色素分子の組としては特に限定されず、例えばFAMとTAMRA、VICとTAMRA等が挙げられる。この場合、第一核酸と第二核酸とが近接すると、上記1組の色素分子が互いに近接し、FRETを起こす。

0049

上記工程(b)において第四核酸が形成されていた場合、例えば反応溶液の温度を上昇させて、ハイブリダイズした第一核酸、第二核酸及び第三核酸を解離させても、第一核酸と第二核酸が結合しているためFRETが起こる。これに対し、第四核酸が形成されていなかった場合、第一核酸、第二核酸及び第三核酸を解離させると、第一核酸と第二核酸とが離れ、上記1組の色素分子が互いに離れるため、FRETを起こさなくなる。

0050

したがって、FRETが起こるか否かを検出することにより、第四核酸の存在を検出することができる。

0051

第四核酸の存在は、例えば電気化学的に検出してもよい。例えば、第二核酸を固相上に固定化しておき、本実施形態の方法を実施する。続いて、ハイブリダイズした第一核酸、第二核酸及び第三核酸を解離させ、固相から離れた核酸を洗浄除去する。

0052

この結果、第四核酸が形成されていた場合には、固相表面に第四核酸が残り、第四核酸が形成されていなかった場合には、固相表面に第二核酸が残る。第二核酸と第四核酸とは、核酸の長さが異なるため、この差を電気化学的に検出することにより、第四核酸の存在を検出することができる。

0053

電気化学的な検出としては、例えば、表面電位を測定する方法等が挙げられる。

0054

第四核酸の存在は、例えば紫外線吸収量の測定により検出してもよい。塩基Xと5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yとの結合により、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yの紫外線吸収量が変化する。この紫外線吸収量の変化を検出することにより、第四核酸の存在を検出することができる。

0055

上述した工程(b)における第一核酸と第二核酸との結合は可逆的であってもよい。例えば、図1に示すように、上記の第四核酸は、塩基性条件下で第一核酸及び第二核酸に開裂させることが可能であってもよい。

0056

この場合、上記の第四核酸が塩基性条件下で第一核酸と第二核酸とに開裂するか否かを確認することにより、第一核酸と第二核酸との結合が目的の結合であったか否か、すなわち、対象塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであったか否かを確認することができる。第四核酸が塩基性条件下で第一核酸と第二核酸とに開裂するか否かは、例えば、電気泳動等で確認することができる。

0057

本実施形態の方法において、上記の第二核酸は固相上に固定化されていてもよい。固相としては、例えば、ビーズ等の粒子スライドガラス等の板状基板、膜等が挙げられる。

0058

<核酸誘導体>
1実施形態において、本発明は、下記式(2)で表される核酸誘導体を提供する。式(2)中、AはO、S又はNHを表し、R1はリボース又はデオキシリボースを表し、R4はデオキシリボースを表し、R2、R3及びR5はポリヌクレオチドを表し、R2の塩基配列は、5’末端側から少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである。

0059

本実施形態の核酸誘導体は、上述した第四核酸に相当する。より具体的には、R3、R4、R5が第一核酸に由来するポリヌクレオチド鎖であり、R1、R2が第二核酸に由来するポリヌクレオチド鎖である。上述したように、本実施形態の核酸誘導体は、R2の塩基配列の5’末端側から少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンであるため、副反応物の生成を抑制しつつ生成することができる。

0060

上述した、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する方法において、本実施形態の核酸誘導体が形成されることは、識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであることを示す。

0061

<キット>
1実施形態において、本発明は、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かの判定用キットであって、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基を有する第二核酸と、前記核酸試料である第一核酸と相補的な領域及び前記第二核酸と相補的な領域を有する第三核酸と、を備え、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンである、キットを提供する。

0062

本実施形態のキットは、前記第二核酸の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する少なくとも3塩基がグアニン又はシトシンであるため、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する場合に副反応物の生成を抑制することができる。

0063

本実施形態のキットにおいて、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基は、下記式(1)で表される基であってもよい。式(1)中、AはO、S又はNHを表す。

0064

本実施形態のキットは、縮合剤を更に備えていてもよい。縮合剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。

0065

本実施形態のキットにおいて、上記の第二核酸は固相上に固定化されていてもよい。固相としては、上述したものと同様のものが挙げられる。

0066

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0067

[実験例1]
4つの反応チューブに、表1に示す塩基配列を有する、第一核酸(1)、第一核酸(2)、第二核酸(1)、第三核酸(1)、3−モルフォリノプロパンスルフォン酸溶液、MgCl2溶液及び蒸留水を、それぞれ表2に示す濃度となるように混合した。表1中、「hmC」は5−ヒドロキシメチルシトシンを表し、「CVU」は5−カルボキシビニルウラシルを表す。

0068

第二核酸(1)において、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基は5−カルボキシビニルウラシル基(より詳細には、5−カルボキシビニルウラシル基のカルボキシル基)である。また、第二核酸(1)の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接するグアニン又はシトシンの数は2個である。

0069

0070

0071

続いて、反応チューブ2及び4に、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(340mM)を20μLずつ添加して混合した。また、反応チューブ1及び3に、蒸留水を20μLずつ添加して混合した。

0072

続いて、反応チューブ1〜4をサーマルサイクラーにセットし、37℃で12時間静置した。その後、反応チューブ1〜4内の試料を、15%ポリアクリルアミドゲルモノアクリルアミドビスアクリルアミド=19:1)を用いた電気泳動に供し、反応の確認を行った。

0073

図2は、電気泳動の結果を示す写真である。図2レーン1〜4には、それぞれ上記の反応チューブ1〜4内の試料を電気泳動した。標的(核酸試料)として5−ヒドロキシメチルシトシンを含む第一核酸(1)を用いた反応系がレーン1及び2であり、5−ヒドロキシメチルシトシンを含まない第一核酸(2)を用いた反応系がレーン3及び4である。

0074

図2中、「a」で示す位置のバンドは第三核酸に相当する。また、「b」で示す位置のバンドは第一核酸(1)又は第一核酸(2)に相当する。また、「c」で示す位置のバンドは第二核酸(1)に相当する。また、「d」で示す位置のバンドは第四核酸に相当する。また、「e」で示す位置のバンドは第一核酸(1)と第二核酸(1)とが連結した副反応物に相当する。また、「f」で示す位置のバンドは第三核酸(1)と第四核酸とがハイブリダイズしたもの、又は第三核酸と上記の副反応物「e」とがハイブリダイズしたものに相当する。

0075

対照実験として、5−ヒドロキシメチルシトシンを含まない第一核酸(2)を用いた反応系がレーン3及び4である。図2中、「g」で示す位置のバンドは第一核酸(2)と第二核酸(1)とが連結した副反応物に相当する。また、「h」で示す位置のバンドは第三核酸(1)と上記の副反応物「g」とがハイブリダイズしたものに相当する。

0076

これらの結果をまとめると、識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであった第一核酸(1)を反応させた反応チューブ2の試料中のみにおいて、第四核酸の形成が観察された。識別対象の塩基がシトシンであった第一核酸(2)を反応させた反応チューブ4の試料中には、第四核酸の形成は認められなかった。この結果は、本実験例の反応により、識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定することができることを示す。

0077

しかしながら、本実験例においては、副反応物である「e」、「f」、「g」、「h」が生成されることが確認された。これは、第二核酸と第三核酸からなる二本鎖DNAの末端、特に5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基Yを有する修飾塩基CVU近傍の二本鎖構造の熱的安定性が低く、反応系中の温度において揺らぎが生じた結果、反応点がずれて5−ヒドロキシメチルシトシンもしくはシトシンに隣接するグアニンとの連結反応が起こったものと推測された。

0078

[実験例2]
続いて、実験例1の第二核酸(1)の5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接する5塩基をグアニン又はシトシンに変更した、第二核酸(2)を用いて実験例1と同様の実験を行った。また、第二核酸の塩基配列の変更に対応して第三核酸の塩基配列も変更した。

0079

より具体的には、4つの反応チューブに、表3に示す塩基配列を有する、第一核酸(1)、第一核酸(2)、第二核酸(2)、第三核酸(2)、3−モルフォリノプロパンスルフォン酸溶液、MgCl2溶液及び蒸留水を、それぞれ表4に示す濃度となるように混合した。表1中、「hmC」は5−ヒドロキシメチルシトシンを表し、「CVU」は5−カルボキシビニルウラシルを表す。

0080

第二核酸(2)において、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基は5−カルボキシビニルウラシル基(より詳細には、5−カルボキシビニルウラシル基のカルボキシル基)である。また、第二核酸(2)の塩基配列のうち、前記5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接するグアニン又はシトシンの数は5個である。

0081

0082

0083

続いて、反応チューブ6及び8に、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(340mM)を20μLずつ添加して混合した。また、反応チューブ5及び7に、蒸留水を20μLずつ添加して混合した。

0084

続いて、反応チューブ5〜8をサーマルサイクラーにセットし、37℃で12時間静置した。その後、反応チューブ5〜8内の試料を、15%ポリアクリルアミドゲル(モノアクリルアミド:ビスアクリルアミド=19:1)を用いた電気泳動に供し、反応の確認を行った。また、実験例1の反応チューブ1〜4と同様にして作製した試料も同時に電気泳動に供した。

0085

図3は、電気泳動の結果を示す写真である。図3のレーン1〜4には、それぞれ実験例1の反応チューブ1〜4と同様にして作製した試料を電気泳動した。また、図3のレーン5〜8には、それぞれ上記の反応チューブ5〜8内の試料を電気泳動した。

0086

図3中、「a」〜「h」で示す位置のバンドは上述したものと同様である。また、「i」で示す位置のバンドは第一核酸(1)と第二核酸(2)の連結により形成された第四核酸に相当する。また、「j」で示す位置のバンドは第一核酸(1)と第二核酸(2)とが連結した副反応物に相当する。また、「k」で示す位置のバンドは第一核酸(2)と第二核酸(2)とが連結した副反応物に相当する。

0087

その結果、副反応物「j」の生成は、これに対応する副反応物「e」と比較して顕著に抑制されたことが明らかとなった。また、副反応物「k」の生成についても、これに対応する副反応物「g」と比較して抑制されたことが明らかとなった。

実施例

0088

以上の結果は、第二核酸の塩基配列において、5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基に隣接するグアニン又はシトシンの数を3個以上にすることにより、第二核酸と第三核酸とのハイブリダイズにより形成される2本鎖核酸の熱的安定性を高め、副反応を抑制できることを示す。

0089

本発明によれば、核酸試料中の識別対象の塩基が5−ヒドロキシメチルシトシンであるか否かを判定する判定方法において、副反応物の生成を抑制する技術を提供することができる。

0090

X…5−ヒドロキシメチルシトシン、Y…5−ヒドロキシメチルシトシン特異的結合基、Z…結合部位。

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