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技術 常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物

出願人 小川香料株式会社
発明者 渡邉伸秀和田聖己佐々木篤志
出願日 2015年12月24日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-250852
公開日 2017年6月29日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-112889
状態 拒絶査定
技術分野 調味料 種実、スープ、その他の食品
主要キーワード 粘性材 多価アルコール溶媒 青唐辛子 乳化剤含量 飽和脂肪酸モノエステル スパイス感 金属はく ジンジャーオイル
関連する未来課題
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課題

常温喫食レトルトカレー冷温でも液状である植物油脂を使用するため、動物油脂由来コク味ボリューム感不足する。また、冷温下では食品からのフレーバーリリースが低下することから、喫食時に良好な香味を呈さず物足りなさを感じてしまう。

解決手段

常温喫食用レトルト食品用香味料組成物に対して、4〜50質量%の油溶性香味料、5〜40質量%の乳化剤および0.1〜70質量%の多価アルコール溶媒を含有し、さらにD相乳化技術により作成されるゲル状香味料組成物を、常温喫食用レトルトカレーの製造工程または喫食直前に使用する。

概要

背景

レトルト食品とは、気密性及び遮光性を有する容器密封し、加圧加熱殺菌(容器内部の食品中央部において120℃で4分間、またはそれと同等の熱がかかる状態)した食品であり、缶詰レトルトパウチ食品がこれに該当する。
缶詰とは、一般に水分の多い食品を金属缶に詰めて密封した上で微生物による腐敗変敗を防ぐために加熱・殺菌したものである。また、レトルトパウチ食品とは、プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状、又はその他の形状に成形した容器(気密性および遮光性を有するものに限る。)に食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。缶詰およびレトルト食品は、その高い気密性から常温流通、保存することが可能であり、開封後にすぐに喫食することが出来る手軽さから、世界で広く消費されている。近年では、災害時に備えた備蓄食糧として見直され、カレーにおいては調理器具を使用できない状況下でも温めを必要とせずに、常温においても問題なく喫食することが出来る製品販売されている。

通常、カレーやシチューなどのルウ系食品は、比較的安価でコク味のある動物性油脂を用い、これに小麦粉香辛料等を混合加熱して調理される。レトルトカレーは、これに具材を加えた流動性のあるペースト状の食品をレトルトパウチ等に封入し、加圧加熱殺菌処理して製造されている。缶詰においては、調理されたカレーを金属缶に封入後、レトルトカレーと同様に殺菌処理をして製造されている。缶詰のカレーやレトルトカレーを常温で喫食した場合、動物性油脂は常温では固体かペースト状の為、口触りが悪く、ざらつきを感じる場合が多かった。

この問題を解決するために、常温においても液状であるコーン油大豆油紅花油、なたね油などの植物油脂とα化澱粉を使用し滑らかな食感を得る技術(特許文献1)や、リノール酸オレイン酸が50%以上の脂肪酸組成であり融点が5℃以下の油脂を使用し、粘性材としてコミトロールなどにより粉砕処理された野菜を使用することで、常温で喫食しても不快感がないようにする技術(特許文献2)が開示されている。しかし、動物油脂と比較して植物油脂はコク味が不足し、更に低温においてはフレーバーリリースが低下するため、喫食時に本来の風味特徴が発揮されず良好な香味を呈さない、全体として物足りなさを感じるカレーに仕上がる課題が残る。

常温下で液状である油脂を使用していても、良好な香味を呈する常温喫食用のレトルトカレーを提供するために、α化澱粉を含み甘味度およびpHを調整することで、品温5〜10℃における味覚感受性の低下に対応し、風味強化が行われた低温域で喫食するためのペーストルウ食品が開示されている(特許文献3)。また、常温で喫食しても香り立ちの良いレトルトカレーを作成するために、青唐辛子を含有させてすっきりとして爽やかなスパイスの香味を発現した常温喫食用のレトルトカレーが開示されている(特許文献4)。

しかしこれらの技術だけでは、動物性油脂特有のコク味や、香味のボリューム感担保できない上、レトルトカレー調理時にpHの測定および調整の手間を要してしまう。また、青唐辛子由来の強い辛味が存在するため幼児用の甘口カレーには適さないなどの問題点がある。

これまで、動物油脂を植物油脂で代替したために不足したコク味を補うための、より手軽に使用できる風味改善剤考案されてきたが、常温下で喫食するレトルト食品のフレーバーリリースの低下は解決されていなかった(特許文献5)。低下したフレーバーリリースを補うために香料を添加することが考えられるが、水溶性フレーバーでは動物性油脂特有のコク味や香味のボリューム感を十分に増強できず、油溶性香料をそのまま使用すると、味なじみが悪く全体の香味バランス崩れやすいという課題があった。そのため、上記課題を解決できる常温喫食用レトルトカレーのための香味料組成物が求められている。

概要

常温喫食用レトルトカレーは冷温でも液状である植物油脂を使用するため、動物油脂由来のコク味やボリューム感が不足する。また、冷温下では食品からのフレーバーリリースが低下することから、喫食時に良好な香味を呈さず物足りなさを感じてしまう。常温喫食用レトルト食品用香味料組成物に対して、4〜50質量%の油溶性香味料、5〜40質量%の乳化剤および0.1〜70質量%の多価アルコール溶媒を含有し、さらにD相乳化技術により作成されるゲル状香味料組成物を、常温喫食用レトルトカレーの製造工程または喫食直前に使用する。なし

目的

常温下で液状である油脂を使用していても、良好な香味を呈する常温喫食用のレトルトカレーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記(A)、(B)および(C)を含有することを特徴とする、常温喫食レトルト食品用ゲル香味料組成物。(A):油溶性香味料4〜50質量%(B):乳化剤5〜40質量%(C):多価アルコール溶媒0.1〜70質量%

請求項2

乳化剤が、平均重合度6〜10のポリグリセリン炭素数10〜14の飽和脂肪酸モノエステルから選ばれる1種又は2種以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、請求項1記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物。

請求項3

多価アルコール溶媒が、プロピレングリコールグリセリン、糖類、糖アルコール類、およびそれらの水溶液からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物を含有することを特徴とする常温喫食用レトルトカレー

請求項5

下記(B)および(C)を混合し、さらに下記(A)を混合することを特徴とする常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物の製造方法。(A):油溶性香味料4〜50質量%(B):乳化剤5〜40質量%(C):多価アルコール溶媒0.1〜70質量%

請求項6

乳化剤が、平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭素数10〜14の飽和脂肪酸のモノエステルから選ばれる1種又は2種以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、請求項5に記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物の製造方法。

請求項7

多価アルコール溶媒が、プロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類、およびそれらの水溶液からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物の製造方法。

請求項8

請求項1〜3のいずれか一項に記載の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物を添加することを特徴とする常温喫食用レトルトカレーの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、温めずに喫食するレトルト食品に添加することで、喫食中の香味ボディ感を高め、喫食後の後引き部分のボリューム感を上げることで、常温においても風味が維持され、物足りなさを改善するレトルト食品用ゲル香味料組成物に関する。

背景技術

0002

レトルト食品とは、気密性及び遮光性を有する容器密封し、加圧加熱殺菌(容器内部の食品中央部において120℃で4分間、またはそれと同等の熱がかかる状態)した食品であり、缶詰レトルトパウチ食品がこれに該当する。
缶詰とは、一般に水分の多い食品を金属缶に詰めて密封した上で微生物による腐敗変敗を防ぐために加熱・殺菌したものである。また、レトルトパウチ食品とは、プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状、又はその他の形状に成形した容器(気密性および遮光性を有するものに限る。)に食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。缶詰およびレトルト食品は、その高い気密性から常温で流通、保存することが可能であり、開封後にすぐに喫食することが出来る手軽さから、世界で広く消費されている。近年では、災害時に備えた備蓄食糧として見直され、カレーにおいては調理器具を使用できない状況下でも温めを必要とせずに、常温においても問題なく喫食することが出来る製品販売されている。

0003

通常、カレーやシチューなどのルウ系食品は、比較的安価でコク味のある動物性油脂を用い、これに小麦粉香辛料等を混合加熱して調理される。レトルトカレーは、これに具材を加えた流動性のあるペースト状の食品をレトルトパウチ等に封入し、加圧加熱殺菌処理して製造されている。缶詰においては、調理されたカレーを金属缶に封入後、レトルトカレーと同様に殺菌処理をして製造されている。缶詰のカレーやレトルトカレーを常温で喫食した場合、動物性油脂は常温では固体かペースト状の為、口触りが悪く、ざらつきを感じる場合が多かった。

0004

この問題を解決するために、常温においても液状であるコーン油大豆油紅花油、なたね油などの植物油脂とα化澱粉を使用し滑らかな食感を得る技術(特許文献1)や、リノール酸オレイン酸が50%以上の脂肪酸組成であり融点が5℃以下の油脂を使用し、粘性材としてコミトロールなどにより粉砕処理された野菜を使用することで、常温で喫食しても不快感がないようにする技術(特許文献2)が開示されている。しかし、動物油脂と比較して植物油脂はコク味が不足し、更に低温においてはフレーバーリリースが低下するため、喫食時に本来の風味特徴が発揮されず良好な香味を呈さない、全体として物足りなさを感じるカレーに仕上がる課題が残る。

0005

常温下で液状である油脂を使用していても、良好な香味を呈する常温喫食用のレトルトカレーを提供するために、α化澱粉を含み甘味度およびpHを調整することで、品温5〜10℃における味覚感受性の低下に対応し、風味強化が行われた低温域で喫食するためのペーストルウ食品が開示されている(特許文献3)。また、常温で喫食しても香り立ちの良いレトルトカレーを作成するために、青唐辛子を含有させてすっきりとして爽やかなスパイスの香味を発現した常温喫食用のレトルトカレーが開示されている(特許文献4)。

0006

しかしこれらの技術だけでは、動物性油脂特有のコク味や、香味のボリューム感が担保できない上、レトルトカレー調理時にpHの測定および調整の手間を要してしまう。また、青唐辛子由来の強い辛味が存在するため幼児用の甘口カレーには適さないなどの問題点がある。

0007

これまで、動物油脂を植物油脂で代替したために不足したコク味を補うための、より手軽に使用できる風味改善剤考案されてきたが、常温下で喫食するレトルト食品のフレーバーリリースの低下は解決されていなかった(特許文献5)。低下したフレーバーリリースを補うために香料を添加することが考えられるが、水溶性フレーバーでは動物性油脂特有のコク味や香味のボリューム感を十分に増強できず、油溶性香料をそのまま使用すると、味なじみが悪く全体の香味バランス崩れやすいという課題があった。そのため、上記課題を解決できる常温喫食用レトルトカレーのための香味料組成物が求められている。

先行技術

0008

特開平9−206036号公報
特開2009−273391号公報
特開平9−206037号公報
特開2012−217384号公報
特開2011−223942号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明が解決しようとする課題は、従来の技術では成し得なかった、常温喫食用レトルト食品、特に常温喫食用のレトルトカレーに添加することで、カレーの滑らかな食感と香味バランスは維持しながらも、喫食中の香味のボディ感を高め、かつ喫食後の後引き部分のボリューム感が上がり満足感を得ることが出来る、常温喫食用レトルト食品用香味料組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは香味バランスを維持しつつ、喫食中の香味のボディ感を高め、かつ喫食後の後引き部分のボリューム感を増強し、満足感を得ることが出来る常温喫食用レトルト食品用香味料組成物を提供すべく鋭意研究を重ねた。その結果、常温喫食用レトルト食品用香味料組成物に対して、4〜50質量%の油溶性香味料、5〜40質量%の乳化剤、0.1〜70質量%の多価アルコール溶媒を含有するゲル状香味料組成物が、同量の油溶性香味料を含有する溶液製剤乳化製剤と比較して、味なじみが良く、喫食中の香味のボディ感を高め、かつ喫食後の後引き部分のボリューム感を増強し、上記課題を解決する顕著な効果を見出し、発明を完成させるに至った。

発明の効果

0011

本発明の常温喫食用レトルト食品用のゲル状香味料組成物を、常温喫食用のレトルトカレーに添加すると、全体の香味バランスを保ちつつ、喫食中の香味のボディ感を高め、かつ喫食後の香味の後引き部分のボリューム感が上がり、品温が冷温や常温でありながらも温めたカレーの喫食時と同様の満足感を得ることが出来る。

0012

本発明者らは、常温においても香味バランスを維持しつつ、喫食時の香味のボディ感を高め、喫食後の後引き部分のボリューム感を増強する香味料組成物として、詳しいメカニズムは不明であるが、D相乳化工程で得られるゲル状香味料組成物が最適であることを見出した。なお、本発明でいう常温とは非加熱を言い、寒冷地では冷温もあり得る。具体的には日本工業規格に基づき、5℃〜35℃の範囲が該当する。

0013

本発明のゲル状香味料組成物を得るためには、油溶性香味料と乳化剤の構成比が1:0.1〜1:10の範囲内とすることが必要である。

0014

本発明で用いられる乳化剤は、特に限定されないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリン重合したポリグリセリン脂肪酸エステル化したものである。本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは脂肪酸部分炭素数が10〜14の飽和脂肪酸モノエステルが使用される。

0015

本発明者らは、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの平均重合度が高いと本発明品の添加効果である常温喫食用レトルトカレーの香味のボディ感がより増強する傾向があることを見出した。そのため、本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルはグリセリンの平均重合度が6以上のものが望ましい。

0016

本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、ゲル状香味料組成物に対して5〜40質量%で使用することができ、10〜30質量%で使用することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が5質量%未満であると、ゲルが形成されず、40質量%を超えると粘度が高まり、ハンドリング性が低下してしまう。

0017

本発明で用いられる油溶性香味料は、特に限定されないが、常温喫食用レトルト食品にコク味や香味のボリューム感を付与するために、常温下でも固化せず液状である油溶性香味料を使用することが望ましく、具体的には、5℃以下でも液状であるハーブスパイス類果実、その他の植物から、圧搾抽出、超臨界抽出水蒸気蒸留有機溶剤抽出、油脂吸着、等の方法により得られる精油類、オレオレジン類、シーズニングオイル、油溶性の調合香料やそれらの混合物があげられ、その製法によらず使用することが出来る。

0018

本発明で用いられる油溶性香味料は、5℃以下でも液状である油脂類溶剤として使用することができ、それらの例としては中鎖脂肪酸トリグリセリド、コーン油、大豆油、菜種油、紅花油などが挙げられ、特に中鎖脂肪酸トリグリセリドの使用が好ましく用いられる。

0019

本発明で用いられる多価アルコール溶媒とは、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましくはプロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類、およびそれらの水溶液などが例示される。

0020

本発明で用いられる多価アルコール配合率は、ゲル状香味料組成物に対して0.1〜70質量%で使用することができ、20〜50質量%で使用することが好ましく、さらに好ましい配合率は40〜50質量%である。

0021

本発明のゲル状香味料組成物においては、多価アルコール溶媒に加えて、果汁や各種植物エキスを添加することにより、様々な機能性を付加して用いることもできる。

0022

上記記載の乳化剤、油溶性香味料および多価アルコール溶媒を組み合わせた本発明のゲル状香味料組成物は、D相乳化技術を用いて製造することにより、乳化剤と多価アルコール溶媒からなる溶液中に油溶性香味料が微細で均一に分布することを特徴とする。

0023

本発明の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物においては、飲食品用又は医薬用として通常用いられている他の任意成分をゲル状の形態を阻害しない範囲で含有させることができる。用いられる任意成分としては、例えば甘味料着色料保存料、増粘安定剤、酸化防止剤苦味料酸味料調味料強化剤などであり、これらを添加して用いることもできる。

0024

本発明の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物は、常温喫食用レトルト食品の製造工程のみでなく、喫食直前にも使用することができるが、これに限定されるものではない。

0025

本発明の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物を添加するレトルト食品は、常温喫食用であれば特に限定されないが、具体的には常温喫食用のカレー、シチュー、パスタソースなどのルウ系食品、ソース類スープ類、ペースト、スプレッド等が挙げられる。特に常温喫食用のレトルトカレーへの使用が好ましい。

0026

本発明品の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物のレトルト食品への添加量は、使用する油溶性香味料の含有量にもよるが、常温喫食用レトルト食品に対して、0.001〜10質量%添加して用いることが出来る。添加濃度が0.001質量%未満であると、喫食中の香味のボディ感、喫食後の香味のボリューム感増強効果やコク味を不足と感じる場合があり、一方、添加濃度が10質量%を超えると、油溶性香味料そのものの風味が突出し風味バランスを損なう場合がある。本発明の効果を十分に発揮するには、添加量を0.01〜5質量%にすることが望ましく、0.01〜1質量%が最も望ましい。

0027

常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物の製造方法
本発明の常温喫食用レトルト食品用ゲル状香味料組成物は、前述のように、油溶性香味料、乳化剤および多価アルコール溶媒を含有し、油溶性香味料が4〜50質量%、乳化剤が5〜40質量%、多価アルコール溶媒が0.1〜70質量%となるように調製された原料を以下の製造工程により均一に撹拌することにより、得ることが可能である。
製造工程としては、
(a)乳化剤および多価アルコール溶媒を混合する工程
(b)上記混合物に油溶性香味料を混合する工程
を含み、(a)、(b)の順に製造されることが、各原料が均一に分散するために好ましいが、
(c)油溶性香味料と乳化剤を混合する工程
(d)上記混合物に多価アルコール溶媒を混合する工程
を含み、(c)、(d)の順に製造されることも可能であり、製造工程の順番は限定されないが、(a)、(b)の順に製造されることがより好ましい。なお、上記混合工程にて使用される機械は、撹拌機能を有していれば特に限定されることはなく、ホモディスパーホモミキサーなどの特殊な機械を必要としないという利点を有している。本発明の製造方法に関しては、混合に際して処方によっては粘性を示すことがあり、その場合は粘度が高くても均一に分散可能なニーダーのような混練機を使用することが好ましい。混合時の回転数は、100rpm以下であることが好ましく、更に好ましい回転数は50rpm〜10rpmである。

0028

以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。また、実施例中の原料配合に関する表中の数値はすべて質量%を示す。

0029

(製造例1)
本発明品を油溶性香味料そのものおよび油溶性香味料を乳化した乳化物と比較するため、以下の原料を用いて、表1の組成で油溶性香味料(比較例1)、油溶性香味料を乳化した乳化物(比較例2)、本発明品(実施例1)を作成した。油溶性香味料(カレーオイル:小川香料社製、中鎖脂肪酸トリグリセリド:MASESTER-E7000 P.T. Musim Massh社製)、乳化剤(デカグリセリンモノミリステート:DECAGLYN 1-MVEX日光ケミカルズ社製)、多価アルコール溶媒(グリセリン:阪本薬品工業社製果糖ぶどう糖液糖ハイフラクトースF-550 三和澱粉工業株式会社製)。本発明品の製造方法は前記(a)工程および(b)工程の順に真空レオニーダ—(株式会社カジワラ社製型式KQSV−3FTL)を使用し、回転数12rpmにて混合し、ゲル状の香味料組成物である本発明品の実施例1を得た。

0030

比較例1は、表1の中鎖脂肪酸トリグリセリド85gとカレーオイル15gを500ml容量のステンレス製ビーカー内にて混合して製造した。

0031

比較例2の乳化物は以下の方法で製造した。
300ml容量のガラス製ビーカーに中鎖脂肪酸トリグリセリド100gと油溶性香味料150gを入れ混合し、完全に溶解させた(以後、溶解液Aと称する)。2000ml容量のステンレス製ビーカーに、乳化剤としてキラヤ抽出物製剤70g、多価アルコール溶媒としてグリセリン190g、果糖ぶどう糖液糖400g及び水90gをとり、完全に溶解した(以後、溶解液Bと称する)。
上記溶解液Bに溶解液A250gを加え混合し、次いでホモミキサー(プライミクス株式会社製、型式:T.K.ROBOMICS)により12000rpm、40〜50℃で乳化処理を行い、比較例2の乳化物を得た。

0032

0033

市販の常温喫食用レトルトカレーに、総量の0.4%となるように製造例1で作成した油溶性香味料(比較例1)、油溶性香味料の乳化物(比較例2)、本発明品(実施例1)をそれぞれ添加し、良く混合して評価した。香味に関する評価はレトルトカレーの喫食中に感じる香味のボディ感、喫食後に感じる後引きのボリューム感および異味(香味のバランスが崩れたことによる苦味や突出したスパイス感)について、無添加を対照にして、
1:変わらない
2:わずかに強い
3:強い
4:かなり強い
5:非常に強い
として評価した。評価は訓練されたパネリスト5名で行い、上記5段階評価のうち最もあてはまるものを選択し、その平均値を算出した。なお、評価時の品温は17℃であった。

0034

評価の結果を表2に記載する。比較例1の油溶性香味料では、口に含んだ直後の香味の発現が強く、カレーオイルの苦味とスパイシーな香味が突出してしまい非常にバランスが悪くなったと評価された。また、喫食中や喫食後の香味のボリューム感増強効果は無添加の場合と比べて改善が評価されなかった。比較例2の乳化物は無添加のレトルトカレーと比較して喫食中の香味のボディ感や喫食後のボリューム感がやや高まったものの、カレーオイルの苦味を感じると評価され、異味が生じてしまった。本発明品である実施例1はレトルトカレーへの味なじみが良く、自然に喫食中のボディ感を強め、乳化物よりもフレーバーリリースが後半にシフトしたため、喫食後のボリューム感がより増強したと評価された。比較例1および比較例2と同じカレーオイル含量でありながら、香味のボリューム感を自然に増強する効果が得られたことから、本発明のゲル状香味料組成物は、異味が生じない力価の高い香味改善剤として使用出来ることが明らかとなった。

0035

0036

(製造例2)
比較例2の乳化物には高含量の油溶性香味料を乳化するためにキラヤ抽出物製剤を使用した。表2における評価結果にキラヤ抽出物製剤の影響があるかを確認すべく、油溶性香味料の含量を下げ、キラヤ抽出物製剤を使用しない乳化物と本発明品との効果を比較した。キラヤ抽出物を使用していない乳化物(比較例3)および比較例3と同量の油溶性香味料を含む本発明品(実施例2)を表3の組成で製造した。なお、原料および製造方法は製造例1と同じ原料および同じ製法方法で作成した。

0037

0038

市販の常温喫食用レトルトカレーに、総量の0.4%となるように製造例2で作成した乳化物および本発明品をそれぞれ添加し、良く混合して評価した。香味に関する評価は製造例1と同じ条件で行った。

0039

評価の結果を表4に記載する。表4の通り、本発明品である実施例2は、比較例3の乳化物よりも喫食中のボディ感を強め、フレーバーリリースが後半にシフトしたため喫食後のボリューム感を強く感じ、レトルトカレー全体の香味バランスを保ちながら香味のボリューム感を自然に増強させる効果を有しており、高い満足感を得たと評価された。これらの結果より、キラヤ抽出物製剤の有無にかかわらず、同じ油溶性香味料含量であっても、乳化物よりゲル状の本発明品の方が、効果が高いことが明らかになった。

0040

0041

(製造例3)
表1の実施例1と同じ組成で、乳化剤部分のみポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの平均重合度が異なる表5の原料にそれぞれ置き換えたゲル状香味料組成物(実施例3〜5)を作成し、市販の常温喫食用レトルトカレーに、総量の0.4%になるようにそれぞれ添加し、良く混合して評価した。香味に関する評価は製造例1と同じ条件で行った。

0042

評価の結果を表6に記載する。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの平均重合度が増すにつれて、喫食中の香味のボディ感および喫食後の香味のボリューム感を自然に増強させる効果が高まることが確認された。
グリセリン平均重合度が4の際には喫食中のボディ感及び喫食後のボリューム感がやや弱く、苦味が評価されたが、グリセリンの平均重合度が6または10の場合には喫食中のボディ感及び喫食後のボリューム感が強化された一方で苦味は評価されず、優れた効果を示した。

0043

(製造例4)
表7の通り、油溶性香味料の含量をそれぞれ4〜70%に調整して作成した本発明品(実施例6〜8)および比較品(比較例4)を作成し、市販の常温喫食用レトルトカレーに、0.4%濃度になるようにそれぞれ添加し、良く混合して評価した。香味に関する評価は製造例1と全く同じ条件で行った。
なお、使用した原料は、油溶性香味料にコリアンダーオイルと、その溶剤として中鎖脂肪酸トリグリセリドを使用したもの、および乳化剤にデカグリセリンモノカプリレートグリスターMCA-750 阪本薬品工業株式会社製)を使用した以外は製造例1と同じ原料を使用した。

0044

評価の結果を表8に記載する。本発明品における組成において、油溶性香味料の含量が4質量%であると、喫食中のボディ感および喫食後のボリューム感の増強が評価されたが、ゲルの粘度が高く、レトルトカレーへ添加し混合した際に、均一に分散させるための時間を要した。また、油溶性香味料の含量が70質量%であるとゲル状香味料組成物中に油溶性香味料が不均一に分布し、レトルトカレーに添加した際には突出したコリアンダーの香味を強く感じ、全体のバランスが崩れてしまったと評価された。油溶性香味料の含量が21%または50%であるゲル状香味料組成物は、良好なゲルを形成し、レトルトカレーに添加した際の分散性に問題はなく突出した香味や苦味などの異味が評価されなかった。

0045

(製造例5)
表9の通り、乳化剤含量を5〜40%にそれぞれ調整した本発明品(実施例9〜12)を作成し、市販の常温喫食用レトルトカレーに、0.4%濃度になるようにそれぞれ添加し、良く混合して評価した。香味に関する評価は製造例1と全く同じ条件で行った。
なお、使用した原料に関して、油溶性香味料に香味油であるジンジャーオイル(小川香料社製)および残余部としてアップ濃縮果汁(日本果実加工株式会社製 Brix40)を使用した他は実施例1と同じ原料を使用した。

0046

評価の結果を表10に記載する。本発明品における組成において、乳化剤含量が増加するほど喫食中のボディ感が強く、フレーバーリリースが後半にシフトして喫食後のボリューム感が増強したと評価された。ゲル状香味料組成物における乳化剤の含量が高まる程にゲルの粘度が高まるため、特に乳化剤含量が10%〜30%である時にハンドリング性が良く、常温喫食用レトルトカレーに速やかに混合することができた。

0047

実施例1のゲル状香味料組成物を、表11の温度になるようそれぞれ調整した市販の常温喫食用レトルトカレーに総量の0.1%となるようにそれぞれ添加し、良く混合して評価した。評価は製造例1と同じ方法で、喫食時のレトルトカレーの温度を調節して評価した。実施例1のゲル状香味料組成物を添加した常温喫食用レトルトカレーを、喫食時の温度によりそれぞれ実施例13、14および15とした。

実施例

0048

評価の結果を表12に記載する。本発明品を添加したそれぞれの温度のレトルトカレーは、いずれも無添加のレトルトカレーよりも喫食中のボディ感及び喫食後のボリューム感を高め、冷温や常温に限らず、あたためて喫食しても満足感を得ることが出来たと評価された。

0049

常温喫食用レトルトカレーに本発明品を添加することで、簡便に全体の香味バランスを保ちながら違和感なく喫食中のボディ感と喫食後のボリューム感を高め、満足感の得られるレトルトカレーを作成することが出来る。さらに本発明は、常温喫食用レトルトカレーの製造時だけでなく、製造や流通の段階で失われる香味の充足のための風味増強剤として、喫食直前にも用いることが出来る。また、油溶性香味料部分には様々なスパイスの精油やシーズニングオイルを配合することが出来るため、香味のバリエーション豊かな香味料組成物を作成することが出来る。本発明品は常温喫食用レトルトカレーに従来得られなかった十分な香味の発現性をもたらし、レトルトカレーの製造工程や喫食直前といった場面を選ばずに簡便に使用することが出来るため、産業上、非常に有益である。

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