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技術 液体調味料及びその製造方法

出願人 株式会社MizkanHoldings株式会社Mizkan
発明者 鶴水良次
出願日 2015年12月22日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-249474
公開日 2017年6月29日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-112864
状態 特許登録済
技術分野 肉類、卵、魚製品 調味料 食品の着色及び栄養改善 食用海藻
主要キーワード 特定混合比 自生粉砕機 アルコール溶性 質量配合比 鍋つゆ 乾式ミル ジャイレトリークラッシャー 芳香性成分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

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課題

昆布トップ香、余韻香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸び強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された、液体調味料及びその製造方法を提供すること。

解決手段

含水アルコール抽出した昆布エキスと、温水抽出した昆布だしとを、原料昆布の使用量を同一に換算したときの前記昆布エキスと前記昆布だしとの質量混合比が、3:7〜8:2の範囲となるように混合すること、好ましくはさらに酵母エキス及び鰹節微粉砕物を混合することを特徴とする、液体調味料の製造方法、並びに、該方法により得られた液体調味料を提供する。

概要

背景

昆布からその成分を抽出する方法としては、従来から種々の方法が検討されている。例えば、熱水で抽出する方法(特許文献1、2参照)、有機酸食塩を含有する溶液で抽出する方法(特許文献3、4参照)、含水アルコール溶液で抽出する方法(特許文献5、6参照)、アルコール濃度の異なる多段階水溶液で抽出する方法(特許文献7参照)等がある。
これらの従来技術における解決課題は主に、昆布抽出液品質(味、香り)の向上、雑味磯臭さや生臭みの抑制、品質安定性抽出物のぬめりの防止や、成分収率の向上、固液分離の改善、である。

特許文献1においては、温度105℃〜200℃の加圧下の熱水中で海藻類加熱処理することで、加水分解を伴って海藻構成成分を低分子化し、溶出させる方法が開示され、この方法によれば、抽出液のぬめりを伴わず、海藻抽出物の収率を著しく向上できることが開示されている。
本文献には、海藻抽出物の収率の向上に伴って、生理活性物質高濃度に含有されることが示されているが、昆布抽出物調味料風味付けに使用するに際して重要な指標である、味や香りに関する影響及び評価は示されていないことから、本文献の方法によって、調味料の品質に関わる雑味、磯臭さや生臭み成分も多く抽出されていることが容易に推測される。

特許文献2においては、冷水抽出法と熱水抽出法による違いが示されており、上品ですっきりしただしの風味を得るには冷水抽出法が好ましく、熱水抽出法では旨みは強いが雑味も強いことが言及されている。
本文献の方法では、熱水抽出法における前記課題の解決方法として、昆布の熱水抽出中に節類を加えることで、昆布由来旨み成分であるグルタミン酸節類由来の旨み成分である核酸との相乗効果により旨みをさらに増強し、雑味を感じにくくし、また、節類の香りで昆布の磯臭さや生臭みをマスキングして、昆布由来のだしの欠点をカバーすると理解できる。
しかしながら、本法では節類の添加効果による昆布抽出物の品質向上への影響が大きく、また節類添加により、節類由来の酸味がこれを添加した調味料の呈味に影響するため、昆布抽出物そのもの及びこれを利用した調味料の品質の向上方法としては課題が残っていた。

特許文献3においては、有機酸を含む水溶液による抽出法が、海藻特有香気成分を良く抽出することが言及されているが、同時に不溶性固形分も抽出され、抽出液が濁る課題を挙げ、これをろ過除去する解決手段が開示されている。

特許文献4においては、有機酸を含む水溶液による抽出物が、直後に不溶性固形分を除去しても、調味料への添加後、長期保管すると沈殿固形分が発生する課題を挙げ、その長期安定性の解決手段として、昆布抽出液に食塩の添加をすることが開示されており、この方法によって、昆布の香りを減衰させることなく、沈殿固形分の発生の抑止が可能であることが言及されている。
しかしながら、抽出物の著しい濁り清澄化工程を必須とするものであって、品質を伴ったより簡易な製造方法が求められていた。また、有機酸を含む水溶液による抽出物は酸味を有しており、上品さを求められる昆布抽出物を含む調味料において、品質上の課題を伴っていた。

特許文献5においては、10〜54%(v/v)の含水アルコールで海藻を洗浄することで、海藻特有の磯臭さを低減できることが開示されており、この方法によれば、これより低いアルコール濃度で生じる、海藻の膨潤や海藻との固液分離の改善ができることが開示され、高過ぎるアルコール濃度では色素が抽出されやすく、色が濃くなることも示唆されている。

特許文献6においては、水による抽出では香気成分の回収率が低く、抽出の際に加熱を必要とするため、回収率が低い上に香気成分が失われてしまう課題が記載されており、昆布の良い香りである芳香性成分は、アルコール可溶性であること、そして、比較的高濃度の含水アルコールにより低温条件下で抽出することが昆布の良い香りを回収する方法であること、が開示されている。
しかしながら、含水アルコール抽出した昆布エキス官能評価において、昆布のだしの「呈味」については、水抽出したものと比べて差はほとんど無いかやや低いことが示されており、「呈味」についてはさらなる改善の余地があった。

特許文献7においては、上記、水抽出およびアルコール抽出の各課題を解決すべく、抽出溶媒として、アルコール濃度の異なるアルコール溶液を用いて連続的あるいはバッチ式で、多段階の抽出を行い、それぞれの抽出物を混合する方法によって、昆布エキスの風味及び呈味を改善することが開示されている。
しかしながら、本方法によれば、昆布に含まれる水溶性からアルコール溶性の多種類の成分を原料から全て抽出することになり、好ましい香り成分や、好ましい呈味成分を含有する高風味・高呈味の昆布エキスを抽出することはできるが、本質的に目的としない、好ましくない雑味、磯臭さ、生臭み成分も網羅的に抽出されてしまうことになり、効率は良いが、品質の点でやはり改善すべき余地があった。

概要

昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸び強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された、液体調味料及びその製造方法を提供すること。含水アルコール抽出した昆布エキスと、温水抽出した昆布だしとを、原料昆布の使用量を同一に換算したときの前記昆布エキスと前記昆布だしとの質量混合比が、3:7〜8:2の範囲となるように混合すること、好ましくはさらに酵母エキス及び鰹節微粉砕物を混合することを特徴とする、液体調味料の製造方法、並びに、該方法により得られた液体調味料を提供する。なし

目的

本発明は、上記課題を鑑み、異なる抽出方法による昆布抽出物を併用し、さらに酵母エキスや鰹節微粉砕物を添加することによる、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸びが強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された、液体調味料及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

含水アルコール抽出した昆布エキスと、温水抽出した昆布だしとを、原料昆布の使用量を同一に換算したときの前記昆布エキスと前記昆布だしとの質量混合比が、3:7〜8:2の範囲となるように混合することを特徴とする、液体調味料の製造方法。

請求項2

前記昆布エキスが、以下の条件で昆布を含水アルコール抽出することにより得られたものであることを特徴とする、請求項1に記載の液体調味料の製造方法。抽出溶媒:20〜60(v/w)%アルコール水溶液抽出温度:30〜70℃抽出時間:2時間以内

請求項3

前記昆布だしが、以下の条件で昆布を温水抽出することにより得られたものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体調味料の製造方法。抽出温度:60〜80℃抽出時間:2時間以内

請求項4

さらに酵母エキスを混合することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

請求項5

前記酵母エキスが、酵母臭の低減されたものであることを特徴とする、請求項4に記載の液体調味料の製造方法。

請求項6

さらに鰹節微粉砕物を混合することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

請求項7

前記液体調味料が、鍋つゆ麺つゆ、たれ、調味酢、又は液体だしであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

請求項8

請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法により製造された液体調味料。

技術分野

0001

本発明は液体調味料及びその製造方法に関し、詳しくは、異なる抽出方法により得られた昆布抽出物を併用し、さらに酵母エキス鰹節微粉砕物を含有させることで、昆布トップ香、余韻香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、磯臭さ・生臭さが低減され、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸び強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された液体調味料、及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

昆布からその成分を抽出する方法としては、従来から種々の方法が検討されている。例えば、熱水で抽出する方法(特許文献1、2参照)、有機酸食塩を含有する溶液で抽出する方法(特許文献3、4参照)、含水アルコール溶液で抽出する方法(特許文献5、6参照)、アルコール濃度の異なる多段階水溶液で抽出する方法(特許文献7参照)等がある。
これらの従来技術における解決課題は主に、昆布抽出液品質(味、香り)の向上、雑味、磯臭さや生臭みの抑制、品質安定性抽出物のぬめりの防止や、成分収率の向上、固液分離の改善、である。

0003

特許文献1においては、温度105℃〜200℃の加圧下の熱水中で海藻類加熱処理することで、加水分解を伴って海藻構成成分を低分子化し、溶出させる方法が開示され、この方法によれば、抽出液のぬめりを伴わず、海藻抽出物の収率を著しく向上できることが開示されている。
本文献には、海藻抽出物の収率の向上に伴って、生理活性物質高濃度に含有されることが示されているが、昆布抽出物を調味料風味付けに使用するに際して重要な指標である、味や香りに関する影響及び評価は示されていないことから、本文献の方法によって、調味料の品質に関わる雑味、磯臭さや生臭み成分も多く抽出されていることが容易に推測される。

0004

特許文献2においては、冷水抽出法と熱水抽出法による違いが示されており、上品ですっきりしただしの風味を得るには冷水抽出法が好ましく、熱水抽出法では旨みは強いが雑味も強いことが言及されている。
本文献の方法では、熱水抽出法における前記課題の解決方法として、昆布の熱水抽出中に節類を加えることで、昆布由来旨み成分であるグルタミン酸節類由来の旨み成分である核酸との相乗効果により旨みをさらに増強し、雑味を感じにくくし、また、節類の香りで昆布の磯臭さや生臭みをマスキングして、昆布由来のだしの欠点をカバーすると理解できる。
しかしながら、本法では節類の添加効果による昆布抽出物の品質向上への影響が大きく、また節類添加により、節類由来の酸味がこれを添加した調味料の呈味に影響するため、昆布抽出物そのもの及びこれを利用した調味料の品質の向上方法としては課題が残っていた。

0005

特許文献3においては、有機酸を含む水溶液による抽出法が、海藻特有香気成分を良く抽出することが言及されているが、同時に不溶性固形分も抽出され、抽出液が濁る課題を挙げ、これをろ過除去する解決手段が開示されている。

0006

特許文献4においては、有機酸を含む水溶液による抽出物が、直後に不溶性固形分を除去しても、調味料への添加後、長期保管すると沈殿固形分が発生する課題を挙げ、その長期安定性の解決手段として、昆布抽出液に食塩の添加をすることが開示されており、この方法によって、昆布の香りを減衰させることなく、沈殿固形分の発生の抑止が可能であることが言及されている。
しかしながら、抽出物の著しい濁り清澄化工程を必須とするものであって、品質を伴ったより簡易な製造方法が求められていた。また、有機酸を含む水溶液による抽出物は酸味を有しており、上品さを求められる昆布抽出物を含む調味料において、品質上の課題を伴っていた。

0007

特許文献5においては、10〜54%(v/v)の含水アルコールで海藻を洗浄することで、海藻特有の磯臭さを低減できることが開示されており、この方法によれば、これより低いアルコール濃度で生じる、海藻の膨潤や海藻との固液分離の改善ができることが開示され、高過ぎるアルコール濃度では色素が抽出されやすく、色が濃くなることも示唆されている。

0008

特許文献6においては、水による抽出では香気成分の回収率が低く、抽出の際に加熱を必要とするため、回収率が低い上に香気成分が失われてしまう課題が記載されており、昆布の良い香りである芳香性成分は、アルコール可溶性であること、そして、比較的高濃度の含水アルコールにより低温条件下で抽出することが昆布の良い香りを回収する方法であること、が開示されている。
しかしながら、含水アルコール抽出した昆布エキス官能評価において、昆布のだしの「呈味」については、水抽出したものと比べて差はほとんど無いかやや低いことが示されており、「呈味」についてはさらなる改善の余地があった。

0009

特許文献7においては、上記、水抽出およびアルコール抽出の各課題を解決すべく、抽出溶媒として、アルコール濃度の異なるアルコール溶液を用いて連続的あるいはバッチ式で、多段階の抽出を行い、それぞれの抽出物を混合する方法によって、昆布エキスの風味及び呈味を改善することが開示されている。
しかしながら、本方法によれば、昆布に含まれる水溶性からアルコール溶性の多種類の成分を原料から全て抽出することになり、好ましい香り成分や、好ましい呈味成分を含有する高風味・高呈味の昆布エキスを抽出することはできるが、本質的に目的としない、好ましくない雑味、磯臭さ、生臭み成分も網羅的に抽出されてしまうことになり、効率は良いが、品質の点でやはり改善すべき余地があった。

先行技術

0010

特開2006−320320号公報
特開2005−40033号公報
特開2009−225777号公報
特開2013−17432号公報
特開平11−169137号公報
特開2002−142711号公報
特開2007−20558号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、上記課題を鑑み、異なる抽出方法による昆布抽出物を併用し、さらに酵母エキスや鰹節微粉砕物を添加することによる、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸びが強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された、液体調味料及びその製造方法を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0012

そこで、上記課題を解決すべく、本願発明者は鋭意研究を重ねた。
従来、昆布だしの旨みを強くしようとすれば、雑味やぬめり、清澄化工程の組み込み、さらには香りの劣化弱化を伴ってしまう熱水抽出法が採用され、一方で、香りを強くしようとすれば、磯臭さや生臭みを伴い、旨みが少ない含水アルコール抽出法が採用されてきたが、本願発明者は、これらの方法による抽出物を適切な割合で混ぜ合わせることで、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、磯臭さ・生臭さが低減された、昆布抽出物混合物を調製できることを見出した。

0013

また、これに酵母臭が低減された酵母エキスを添加することにより、呈味と香りを減衰することなく、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸びが強化された液体調味料を調製できることを見出した。

0014

さらには、従来、昆布だしを使用した液体調味料には、呈味成分の相乗効果を狙って、鰹だしを添加する場合が多いが、微細化された鰹節を用いることで、鰹節の燻煙臭や酸味により昆布だしの上品な芳香を失わせることなく、香りと味の余韻が強化された液体調味料を調製できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。

0015

すなわち、本発明は、以下の(1)から(8)に関する。
(1)含水アルコール抽出した昆布エキスと、温水抽出した昆布だしとを、
原料昆布の使用量を同一に換算したときの前記昆布エキスと前記昆布だしとの質量混合比が、
3:7〜8:2の範囲となるように混合することを特徴とする、
液体調味料の製造方法。

(2)前記昆布エキスが、以下の条件で昆布を含水アルコール抽出することにより得られたものであることを特徴とする、
前記(1)に記載の液体調味料の製造方法。
抽出溶媒:20〜60(v/w)%アルコール水溶液
抽出温度:30〜70℃
抽出時間:2時間以内

(3)前記昆布だしが、以下の条件で昆布を温水抽出することにより得られたものであることを特徴とする、
前記(1)又は(2)に記載の液体調味料の製造方法。
抽出温度:60〜80℃
抽出時間:2時間以内

(4)さらに酵母エキスを混合することを特徴とする、
前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

(5)前記酵母エキスが、酵母臭の低減されたものであることを特徴とする、
前記(4)に記載の液体調味料の製造方法。

(6)さらに鰹節微粉砕物を混合することを特徴とする、
前記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

(7)前記液体調味料が、
鍋つゆ麺つゆ、たれ、調味酢、又は液体だしであることを特徴とする、
前記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。

(8)前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の方法により製造された液体調味料。

発明の効果

0016

本発明によれば、異なる抽出方法を用いて得られた昆布抽出物を併用することで、昆布のだし感、味の伸び及び香りと味の余韻の伸びが、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強された液体調味料が得られる。

0017

また、この液体調味料に酵母臭の低減された酵母エキスを含有させることで、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、かつ、味の伸びが強化された液体調味料が得られ、さらに鰹節微粉砕物を含有させることで、香りと呈味の余韻が強化された液体調味料が得られる。

0018

本発明について、以下詳細に説明する。

0019

本発明は、液体調味料の製造方法であって、含水アルコール抽出した昆布エキスと、温水抽出した昆布だしとを、特定割合で混合することを特徴とするものである。異なる抽出条件により得られたこれら2種類の昆布抽出物を併用することで、昆布のだし感、味の伸び、及び香りと味の余韻の伸びが、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて著しく増強された液体調味料が得られる。

0020

本発明は、好ましくはさらに酵母エキスを混合することを特徴とし、これにより昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸びが強化された液体調味料が得られる。
本発明は、より好ましくはさらに鰹節微粉砕物を混合することを特徴とし、これにより香りと呈味の余韻が強化された、液体調味料が得られる。

0021

〔昆布エキス〕
本発明において「昆布エキス」とは、昆布の含水アルコール抽出物又はその濃縮物を指し、その形状は液体であっても、粉末等の固体であってもよく、特に限定されない。

0022

原料である昆布としては、特に限定されるものではないが、目的とする香り、味に合わせて、例えば、マコンブ、ホソメコンブ、リシリコンブ、オニコンブミツイシコンブナガコンブガッガラコンブガゴメコンブ、チヂミコンブ、カラフトロロコンブ、トロロコンブ、アツバスジコンブ、ネコアシコンブ、エナガコンブ等から選ばれる1種以上を用いることができ、より好ましくは2種以上、さらに好ましくは3種以上を混合して使用することが望ましい。

0023

これらの昆布の形態は特に限定されないが、乾燥物を用いることが好ましく、乾燥物をさらに細片状又は粉末状に加工したものを用いることもできる。

0024

抽出方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、原料昆布を抽出溶媒に浸漬又は混合し、以下の条件下で静置又は撹拌すること、続いて、その上澄みを採取すること、又は、原料昆布と抽出溶媒の混合物の全量を布で濾して固形分を除くこと、又は、圧搾すること、により昆布エキスを抽出・調製することができる。

0025

抽出溶媒としては、含水アルコール(アルコール水溶液)を用いる。
ここでアルコールとしては、食品用エタノールを用いることが好ましい。
アルコール濃度としては、磯臭さや生臭みの抽出を抑える観点、および色素成分の抽出を抑える観点から、20(v/w)%〜60(v/w)%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20(v/w)%〜40(v/w)%、さらに好ましくは20(v/w)%〜30(v/w)%の範囲とすることができる。

0026

なお、上記抽出溶媒には、抽出される昆布エキスの風味に影響のない範囲において、防腐性や後工程を含めた加工操作合理性の観点から、適宜、砂糖、食塩、食酢、有機酸などの調味料や食品添加物を加えることもできる。

0027

抽出の際の固液比(原料と抽出溶媒の質量比、「抽出倍率」ともいう)としては、特に限定されるものではなく、原料の特性(ぬめり成分を多く含む、膨潤しやすい、可溶性固形分を多く含む等)を把握した上で、適宜調整することが好ましいが、例えば抽出溶媒100質量部に対して原料昆布の乾燥質量として1〜10質量部、好ましくは約3質量部の比で用いて抽出することができる。

0028

抽出温度としては、好ましい昆布の芳香成分をよく抽出し、磯臭さや生臭みの抽出を抑制する観点から、30℃〜70℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは、30℃〜60℃、さらに好ましくは、30℃〜50℃の範囲とすることができる。

0029

抽出時間としては、2時間以内であれば特に限定されるものではないが、原料の特性(芳香成分の抽出されやすさや、軟化性等)を把握した上で、前記アルコール濃度および温度条件に応じて適宜調整すれば良い。

0030

上記条件で昆布を含水アルコール抽出することによって、昆布特有の上品な芳香が強く、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有するとともに、磯臭さや生臭みが少なく、かつ、雑味や固形分沈殿の元となる色素の抽出が抑えられた、昆布エキスを調製することができる。

0031

〔昆布だし〕
本発明において「昆布だし」とは、昆布の温水抽出物又はその濃縮物を指し、その形状は液体であっても、粉末等の固体であってもよく、特に限定されない。

0032

原料である昆布としては、特に限定されるものではないが、目的とする香り、味に合わせて、マコンブ、ホソメコンブ、リシリコンブ、オニコンブ、ミツイシコンブ、ナガコンブ、ガッガラコンブ、ガゴメコンブ、チヂミコンブ、カラフトトロロコンブ、トロロコンブ、アツバスジコンブ、ネコアシコンブ、エナガコンブ等から選ばれる1種以上を用いることができ、より好ましくは2種以上、さらに好ましくは3種以上を混合して使用することが望ましい。

0033

これらの昆布の形態は特に限定されないが、乾燥物を用いることが好ましく、乾燥物をさらに細片状又は粉末状に加工したものを用いることもできる。

0034

抽出方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、原料昆布を抽出溶媒に浸漬又は混合し、以下の条件下で静置又は撹拌すること、続いて、その上澄みを採取すること、又は、原料昆布と抽出溶媒の混合物の全量を布で濾して固形分を除くこと、又は、圧搾すること、により昆布だしを抽出・調製することができる。

0035

抽出溶媒としては、水、好ましくは純水又はイオン交換水、を用いればよい。
なお、上記抽出溶媒には、抽出される昆布だしの風味に影響のない範囲において、防腐性や後工程を含めた加工操作の合理性の観点から、適宜、砂糖、食塩、食酢、有機酸などの調味料や食品添加物を加えることができる。

0036

抽出の際の固液比(原料と抽出溶媒の質量比、「抽出倍率」ともいう)としては、特に限定されるものではなく、原料の特性(ぬめり成分を多く含む、膨潤しやすい、可溶性固形分を多く含む等)を把握した上で、適宜調整することが好ましいが、例えば抽出溶媒100質量部に対して原料昆布の乾燥質量として1〜10質量部、好ましくは約3質量部の比で用いて抽出することができる。

0037

抽出温度としては、好ましい昆布の旨み成分をよく抽出し、ぬめり成分や雑味、沈殿を誘発する固形分の抽出を抑制する観点から、60℃〜80℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは、70℃程度とすることができる。

0038

抽出時間としては、2時間以内であれば特に限定されるものではないが、原料の特性(好ましい旨み成分の抽出されやすさや、膨潤性等)を把握した上で、前記温度条件に応じて適宜調整すれば良い。

0039

上記条件で昆布を温水抽出することによって、ぬめりや雑味、沈殿を誘発する固形分の抽出が抑えられた、昆布特有の旨みが強い昆布だしを調製することができる。

0040

〔昆布抽出物混合物〕
本発明においては、前記昆布エキスと昆布だしとの混合物又はその濃縮物を「昆布抽出物混合物」と称することがあり、その形状は液体であっても、粉末等の固体であってもよく、特に限定されない。

0041

本発明においては、前記昆布エキスと昆布だしとを混合することによって、呈味と香りのバランスが良い昆布抽出物混合物を調製するものであるが、その質量混合比としては、味と香りのバランスおよび混合時の濁りや沈殿の発生の観点から、原料昆布の使用量を同一に換算したとき、昆布エキス:昆布だし=3:7〜8:2の範囲であることが好ましく、4:6〜8:2の範囲であることがより好ましく、5:5〜6:4の範囲であることが特に好ましい。

0042

ここで、「原料昆布の使用量を同一に換算」するとは、抽出時の固液比が異なる昆布エキスと昆布だしを混合する場合、あるいは、濃縮倍率の異なる昆布エキスと昆布だしの濃縮物を混合する場合に、原料の使用量が同じになるように換算することを意味する。例えば、昆布エキスの固液比(質量比)が抽出溶媒100/乾燥原料1であり、昆布だしが抽出溶媒100/乾燥原料3である場合、当該昆布エキスと昆布だしの「原料昆布の使用量を同一に換算したとき」の質量混合比を1:1とするためには、実際の質量混合比は昆布エキス:昆布だし=3:1とする必要がある。

0043

本発明では、上記の特定混合比で昆布エキスと昆布だしを混合することによって、従来の課題を解決した、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、かつ、磯臭さ・生臭さが低減された、昆布抽出物混合物を調製できるのである。

0044

〔酵母エキス〕
また、前記昆布抽出物混合物の味と香りは、液体調味料の調製時において、酵母エキスの添加によって増強させることができる。

0045

酵母エキスとしては特に限定されないが、主に、パン酵母ビール酵母、およびトルラ酵母から製造された酵母エキスが挙げられる。中でも、これら酵母エキスに活性炭処理減圧脱臭処理などの脱臭処理を施すことにより、酵母臭が低減されたものを用いることが好ましく、さらには、トルラ酵母の酵母エキスのように、本来、酵母臭が弱いものを選択することがより好ましい。
これらの酵母エキスは1種のみを用いても良く、2種以上を併用することもできる。

0046

本発明において、酵母エキスの添加量の範囲としては、特に制限されるものではないが、前記昆布抽出物混合物の味や香りを阻害しない添加量を適宜調整して添加することができる。例えば、終濃度として0.01質量%〜1質量%程度であることが好ましく、0.02質量%〜0.5質量%程度がより好ましく、特に0.05質量%程度が望ましい。

0047

上記のように酵母エキスを添加することによって、酵母に含まれる核酸やグルタチオン香味に対するエンハンス(増強)効果が発揮され、前記昆布抽出物混合物が有する昆布のだし感(香りと味)が増強されるために、味の伸びが強化された液体調味料が調製される。

0048

特に、トルラ酵母は核酸やグルタチオンの生産に用いられる酵母であるため、低酵母臭による昆布抽出物混合物の芳香のマスキングを回避できることのみならず、香味の増強効果も強く、最も好ましい。

0049

〔鰹節微粉砕物〕
本発明においては、さらに鰹節微粉砕物を添加することにより、前記昆布抽出物混合物の風味を阻害することなく、香りと味の余韻が強化された液体調味料を調製することができる。

0050

従来の調味料において、昆布だしと鰹だしを合わせて、それぞれに含まれる旨み成分である、グルタミン酸と核酸の旨みの相乗作用を働かせることによって、だしの旨みを増強させることが知られているが、特に昆布だしの芳香や呈味は、鰹だし等の香りや味に比べて上品かつ繊細であって、鰹節や鰹だし類の種類によっては、この添加により昆布だしの芳香や呈味に多大な影響を与えてしまう。具体的には、鰹節の燻煙臭や鰹だしの酸味が、これらをマスキングし、昆布風味を阻害してしまう。

0051

本発明者らは、昆布のグルタミン酸の旨みを増強させる核酸の旨みを十分に含有し、かつ燻煙臭や鰹だしの酸味が弱い鰹素材として、鰹節微粉砕物をさらに添加することが好ましいことを見出した。
これは、微粉砕化の工程における原料の表面積の増大に伴う、香気成分等の放散による生臭み、燻煙臭や酸味と感じさせる香気成分の減衰によるものと推測される。

0052

本発明における「鰹節微粉砕物」としては、鰹節を、ジョークラッシャージャイレトリークラッシャーインパクトクラッシャーなどで粗砕した後、コーンクラッシャーロールクラッシャーカッターミル自生粉砕機スタンプミル石臼乳鉢、らいかい機、リングミルローラーミルジェットミル高速回転粉砕機ハンマーミル)、高速回転粉砕機(ピンミル)、容器駆動型ミル(回転ミル)、容器駆動型ミル(振動ミル)、容器駆動型ミル(遊星ミル)、媒体撹拌ミルアトライター)、媒体撹拌ミル(ビーズミル)などの乾式ミルや、高速回転せん断型撹拌機コロイドミルロールミル高圧噴射式分散機超音波分散機、容器駆動型ミル(回転ミル、振動ミル、遊星ミル)、媒体撹拌ミル(アトライター、ビーズミル、サンドミル)などの湿式ミル、あるいは凍結粉砕処理等によって微粉砕することにより得られる微粉砕処理物が挙げられ、液体調味料における食感のざらつきを抑える観点から、具体的には平均粒径100μm以下まで粒子を細かくしたものが好ましい。
なお、鰹節微粉砕物の平均粒径の測定は、デジタルコールター原理レーザ回折散乱法、動的光散乱光子相関法超遠心沈降法などの原理に基づいた各種装置により行うことができる。

0053

前記鰹節微粉砕物の添加量は特に限定されるものではないが、前記昆布抽出物混合物の旨みを最大限に増強する量であり、かつ味や香りを阻害しない添加量を、適宜調整して添加すれば良い。例えば、液体調味料全量に対する鰹節固形分の添加量として、0.01〜1.0質量/容量%程度であることが好ましく、0.01〜0.1質量/容量%程度がより好ましく、0.02質量/容量%程度がさらに望ましい。

0054

上記のように添加することによって、鰹節微粉砕物の特有の効果により香りと味の余韻が強化された、液体調味料を調製することができる。

0055

〔液体調味料〕
本発明においては、前記昆布抽出物混合物に、水や調味料を加え、好ましくはさらに酵母エキス及び鰹節微粉砕物を加えることによって、液体調味料を製造する。
ここで、「調味料」としては特に限定はないが、例えば醤油、みりん、砂糖、食塩、食酢、有機酸、アミノ酸、核酸などが挙げられる。
尚、本発明の液体調味料においては、調味料以外の食品添加物も適宜添加することができる。

0056

本発明における「液体調味料」としては、昆布だしを含有する液体調味料であれば特に制限されないが、例えば、鍋つゆ、麺つゆ等のつゆ;たれ;ぽん酢等の調味酢;液体だし;ドレッシングソース;などが挙げられる。

0057

上記のような本発明に基づいて調製された液体調味料は、昆布のトップ香、余韻の香りを合わせて有し、呈味と香りのバランスが良く、磯臭さ・生臭さが低減され、昆布のだし感(香りと味)が増強され、味の伸びが強化され、かつ、香りと味の余韻が強化された、液体調味料である。

0058

以下に、本発明を実施例等により説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。

0059

評価試験1]『昆布エキスの調製条件の範囲の検証(1)(アルコール濃度)』

この評価試験1は、本発明に適用される含水アルコール溶液によって抽出された昆布エキスの調整条件の範囲の検証を目的として行った。特に、本発明における前記昆布エキスの品質としては、「香りが強い」昆布エキスを得ることを目的に、先ずは、含水アルコール溶液の濃度条件の範囲を検証した。尚、アルコールの代表例としてエタノールを使用した。

0060

すなわち、原料昆布と抽出溶媒(含水エタノール)とをに入れて加熱し、表1に示す条件により抽出した後、鍋の内容物全量を布で濾して固形分を除き、常温に戻して昆布エキスとした。尚、抽出時間は抽出溶媒のエタノール濃度によって適宜調整した。
上記昆布エキスの官能評価は、専門の開発担当者5名によって、次の基準により行った。結果を表1に示す。

0061

評価基準(香り)
◎:不快な磯臭さ・生臭みが少なく、昆布特有の上品な芳香が強い
○:不快な磯臭さ・生臭みがやや少なく、昆布特有の上品な芳香がやや強い
△:不快な磯臭さ・生臭みがややあり、昆布特有の上品な芳香がやや弱い
×:不快な磯臭さ・生臭みがあり、昆布特有の上品な芳香が弱い

0062

0063

以上から、抽出溶媒のアルコール濃度としては、20〜60容量/質量%が好適であることが分かった。さらに好ましくは、30〜40容量/質量%であることが分かった。尚、50%、60%の場合は、抽出時の経過観察から、より抽出時間を短くしても良い傾向のあることが認められた。尚、いずれの試験区においても、旨みは非常に弱いものであった。

0064

尚、結果の詳細は記載しないが、各昆布エキスのエタノール濃度が異なることに関し、エタノール濃度の低い昆布エキスにエタノールを加えることにより、各昆布エキスのエタノール濃度をそろえて評価を行った。その結果、本操作による昆布エキスの希釈を鑑みても、上記結果の傾向に変化は認められないことから、上記結果は抽出時のエタノール濃度によるものであって、評価時のエタノール濃度による影響は少ないことが分かっている。

0065

[評価試験2]『昆布エキスの調製条件の範囲の検証(2)(抽出温度)』

この評価試験2は、本発明に適用される含水アルコール溶液によって抽出された昆布エキスの調整条件の範囲の検証を目的として行った。特に、本発明における前記昆布エキスの品質としては、「香りが強い」昆布エキスを得ることを目的に、次に、抽出時の温度条件の範囲を検証した。

0066

すなわち、抽出条件を表2に示す通りとしたことを除き、昆布エキスの調製および官能評価は評価試験1と同様に行った。尚、評価試験1の結果から、抽出溶媒のアルコール(エタノール)濃度は30容量/質量%とした。また、抽出時間は抽出温度によって適宜調整した。
結果を表2に示す。

0067

0068

以上から、抽出温度としては、30〜70℃が好適であることが分かった。さらに好ましくは、40〜60℃であることが分かった。尚、30℃の場合は、抽出時の経過観察から、より抽出時間を長くしてもこれ以上の香りの増強は期待できない傾向のあることが認められた。尚、いずれの試験区においても、旨みは非常に弱いものであった。

0069

[評価試験3]『昆布だしの調製条件の範囲の検証(抽出温度)』

この評価試験3は、本発明に適用される温水によって抽出された昆布だしの調整条件の範囲の検証を目的として行った。特に、本発明における前記昆布だしの品質としては、「旨みが強く、雑味が少ない」昆布だしを得ることを目的に、抽出時の温度条件の範囲を検証した。

0070

すなわち、原料昆布と抽出溶媒(水)とを鍋に入れて加熱し、表3に示す条件により抽出した後、鍋の内容物全量を布で濾して固形分を除き、常温に戻して昆布だしとした。尚、抽出時間は抽出温度によって適宜調整した。
上記昆布だしの官能評価は、専門の開発担当者5名によって、次の基準により行った。結果を表3に示す。

0071

評価基準(呈味)
◎:嫌な雑味が弱く、昆布特有の旨みが強い
○:嫌な雑味がやや弱く、昆布特有の旨みがやや強い
△:嫌な雑味がやや強く、昆布特有の旨みがやや弱い
×:嫌な雑味が強く、昆布特有の旨みが弱い

0072

0073

以上から、抽出温度としては、60〜80℃が好適であることが分かった。さらに好ましくは、70℃程度であることが分かった。尚、90℃以上の場合は、ぬめりが強く発生し、固液分離に難のあることが認められた。同様に、許容範囲ではあるが80℃の場合にもぬめりが感じられ、抽出時間をより短くすれば、より品質の良い昆布だしを調製できることが予測された。尚、いずれの試験区においても、評価試験1、2で調製した昆布の含水アルコール抽出物(昆布エキス)に比べて、昆布特有の好ましい芳香は弱いものであった。

0074

[評価試験4]『昆布エキスと昆布だしの質量配合比の範囲の検証』

評価試験1および2の結果から、磯臭さ・生臭みが少なく、昆布特有の上品な芳香が著しく強い昆布エキスを調製する条件は、抽出溶媒のアルコール濃度としては20〜60容量/質量%、かつ、抽出温度としては30〜70℃が好適であることが分かった。
また、評価試験3の結果から、雑味が弱く、昆布特有の旨みが強い昆布だしを調整する条件は、抽出温度としては60〜80℃が好適であることが分かった。
さらに、評価試験1〜3の結果から、昆布エキスおよび昆布だしの抽出時間は、昆布エキスの場合は抽出溶媒のアルコール濃度および抽出温度、昆布だしの場合は抽出温度によって、2時間以内の範囲で適宜調整すれば良いことが分かった。
以上から、この評価試験4は、昆布本来の不快な磯臭さ・生臭みが少なく昆布特有の上品な芳香が強く、かつ、嫌な雑味が弱く昆布特有の旨みおよび好ましい風味が強い昆布抽出物混合物を得るための、本発明に適用される昆布エキスと昆布だしとの混合比率の範囲の検証を目的として行った。

0075

昆布エキスおよび昆布だしの調製は、評価試験1および評価試験3と同様に行った。ただし、評価試験1、2の結果から、昆布エキスの抽出条件としては、エタノール濃度30容量/質量%、60℃、2時間を選択し、評価試験3の結果から、昆布だしの抽出条件としては、70℃、2時間を選択した。
次に、得られた昆布エキスおよび昆布だしを、表4に示す配合割合(質量比)で混合することにより、昆布抽出物混合物を得た。
得られた昆布抽出物混合物の官能評価は、専門の開発担当者5名によって、次の基準により行った。結果を表4に示す。

0076

評価基準(香りと味のバランス)
◎:昆布由来の香りと味のバランスが非常に良い
○:昆布由来の香りと味のバランスが良い
△:昆布由来の香りと味のバランスがやや悪い
×:昆布由来の香りと味のバランスが悪い

0077

評価基準(昆布のだし感、味の伸び、香りと味の余韻の伸び、及びそれらの増強効果)
増強:昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強されている
同等:昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて同等である
減衰:昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて減衰している

0078

尚、「昆布のだし感」とは、昆布だしの風味(香りと味の質・バランス)のことを言う。
「味の伸び」とは、口腔内で昆布だしの風味が長く持続したり、喫食時に希釈されたとしても味が薄まったり、ボケたりせず、満足度が維持されたりする効果のことを言う。
「香りと味の余韻の伸び」とは、喫食後に口腔内や鼻腔内で昆布だしの風味の余韻が長く持続する(残る)ことを言う。
また、「それらの増強効果」とは、各項目の感じ方が強くなることを言う。

0079

0080

以上から、昆布エキスと昆布だしの質量配合比としては、3:7〜8:2の範囲が好適であることが分かった。さらに好ましくは、4:6〜8:2の範囲であることが分かった。特に好ましくは、5:5〜6;4の範囲であることが分かった。

0081

具体的には、4:6(試験4)においては、香りと味のバランスのみならず、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びが、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強されていることが新たに見出された。
また、8:2(試験7)においては、香りと味のバランスのみならず、昆布のだし感、及び、味の伸びが、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強されていることが新たに見出された。
特に、5:5(試験5)〜6:4(試験6)においては、香りと味のバランスのみならず、昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸び、の全ての評価項目において、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強されていることがさらに見出された。

0082

これらの効果は、昆布エキスに由来する香り成分が、昆布エキスの配合比率に伴って、効果を奏する適度な濃度となって、昆布だしに由来する旨みあるいは好ましい風味成分による呈味効果を増強することに起因するものと推測された。
また、昆布エキスと昆布だしの混合によって、味や香りが相殺されたり、その他の評価項目において減衰されたりする現象は認められなかった。

0083

尚、結果の詳細は記載しないが、各昆布抽出物混合物のエタノール濃度が異なることに関し、エタノール濃度の低いものにエタノールを加えてエタノール濃度をそろえて評価を行った。その結果、本操作による昆布抽出物の希釈を鑑みても、上記結果の傾向に変化は認められないことから、上記結果は抽出時のエタノール濃度によるものであって、評価時のエタノール濃度による影響は少ないことが分かっている。

0084

[評価試験5]『酵母エキスの種類と添加効果の検証』

評価試験4の結果から、昆布本来の不快な磯臭さ・生臭みが少なく、昆布特有の上品な芳香が強く、かつ、嫌な雑味が弱く、昆布特有の旨みおよび好ましい風味が強い、昆布抽出物混合物を調製できることが分かった。さらに、配合条件によっては、香りと味のバランスが良いことのみならず、昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びが、増強された昆布抽出物混合物を調製できることが分かった。

0085

一般的に、昆布だしを調味液に混合して用いる場合、香味の増強を目的として酵母エキスを用いたり、昆布だしの旨み成分であるグルタミン酸の旨みを相乗的に増強するため、核酸を含有する鰹節素材が用いられたりする場合が多い。
本発明においては、上述の通り、前記昆布エキスと前記昆布だしの配合条件によっては、香りと味のバランスが良いことのみならず、昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びが増強された昆布抽出物混合物が得られることが分かったことから、前記した酵母エキスや鰹節素材の使用は必ずしも必須ではない。しかしながら、さらにこれらを添加することによって、風味の増強や改善ができる可能性がある。
そこで、この評価試験5は、酵母エキスの添加による風味のさらなる増強効果の有無の検証を目的として行った。

0086

昆布エキスと昆布だしの調製並びに昆布抽出物混合物の調製は、評価試験4と同様に行った。ただし、昆布エキスと昆布だしの配合比は、評価試験4の結果から、質量比で5:5とした。
上記昆布抽出物混合物を用い、表5に示す処方によってつゆを調製した。すなわち、鍋に水、しょうゆ、みりん、砂糖、昆布抽出物混合物(及び各種酵母エキス)を加えて中火にかけ、ひと煮立ちさせた後に室温まで冷まして、つゆとした。

0087

得られたつゆの官能評価は、専門の開発担当者5名により行った。
「昆布の上品な芳香(香り)」、「旨みおよび好ましい風味(味)」、「昆布のだし感」、「味の伸び」、「香りと味の余韻の伸び」については、試験1(酵母エキス無添加)を対照(5段階評価の3点)として、これと比較した強弱を5点満点で評点を付けた。
「香りと味のバランス」、「総合評価」については、以下の基準によって評価した。
結果を表5に示す。

0088

評価基準(香りと味のバランス、総合評価)
◎:対照に比べて優れる
○:対照と同等
△:対照に比べてやや劣る
×:対照に比べて劣る

0089

0090

その結果、酵母エキス無添加のつゆ(試験1)は、本発明の昆布抽出物混合物と同様に、旨みと香りのバランスが良く、つゆへの添加においても上記昆布抽出物混合物の品質は維持されることが分かった。

0091

また、酵母エキス無添加の場合(試験1)に比べて、パン酵母(試験2)およびビール酵母(試験3)由来の酵母エキスを加えた場合には、味の伸びや香りと味の余韻の伸びは、酵母エキス特有の効果として認められたものの、酵母由来の昆布とは異質な強い香りが、昆布の繊細で上品な芳香をマスキングしてしまい、かつ、昆布の旨みおよび好ましい風味の感じ方にも影響することが分かった。また、香りと味のバランスが崩れ、昆布のだし感も弱く感じられることが分かった。
これに対して、トルラ酵母由来の酵母エキスを加えた場合(試験4及び5)には、昆布のだし感や、味の伸び、香りと味の余韻の伸びは、酵母エキス特有の効果として認められ、かつ、昆布の上品な芳香や、旨みおよび好ましい風味に対して影響を及ぼさず、香りと味のバランスを崩すことなく、全体として、酵母エキスを添加しない場合(試験1)に比べて、さらにつゆの品質を向上させることができることが分かった。ただし、トルラ酵母においても、添加量が著しく多くなると(ここでは0.29質量/容量%以上)、昆布風味に影響を及ぼす傾向にあることが分かった(試験6)。

0092

この評価試験5では、トルラ酵母に由来する酵母エキスの選択が好ましいことが分かったが、これはトルラ酵母エキスの酵母特有の臭いが弱いことによるものと推測される。よって、パン酵母やビール酵母由来の酵母エキスであっても、活性炭処理や減圧脱臭処理などによりそれらの酵母臭が低減されたものであれば、その由来は関係なく、酵母の種類によらず適宜選択できることが示唆される。

0093

[評価試験6]『鰹素材の種類と効果の検証』

評価試験5においては、酵母エキスの添加による風味のさらなる増強効果の有無の検証を行ったが、上述の通り、昆布だしを用いる調味液においては、昆布だしの旨み成分であるグルタミン酸の旨みを相乗的に増強するため、核酸を含有する鰹素材が用いられる場合が多い。
そこで、この評価試験6は、特に鰹素材の添加による風味のさらなる増強効果の有無の検証を目的として行った。

0094

昆布エキスと昆布だしの調製並びに昆布抽出物混合物の調製は、評価試験5と同様に行った。上記昆布抽出物混合物を用い、表6に示す処方によってつゆを調製した。なお、酵母エキスの種類と添加量は、評価試験5の結果から、トルラ酵母由来のものを0.2gとした。
すなわち、鍋に水、しょうゆ、みりん、砂糖、昆布抽出物、トルラ酵母エキス(及び各種鰹素材)を加えて中火にかけ、ひと煮立ちさせた後に室温まで冷まして、つゆとした。
ただし、試験2では、一辺が約30mm以下の削り節30gを、その他の材料と共に鍋に加え、5分間沸騰させた後に、布で濾して固形分を除去することにより、つゆを調製した。

0095

なお、試験3で用いた「鰹エキス」とは、鰹を破砕し、プロテアーゼ等の酵素により分解し、濃縮したペースト状の素材である。
試験4で用いた「鰹節煮汁」とは、鰹節を作る際、鰹を煮に入れ1時間程度煮る「煮熟」という操作があるが、この、煮熟の時に出る煮汁を濃縮したペースト状の素材である。
試験5で用いた「鰹節乾式微粉砕物」とは、削り節をハンマークラッシャー(三庄インダストリー社製)で事前に粗砕し、さらに乾式ミル(アシザワ・ファインテック社製、商品名「ドライスターSDA1」)で平均粒径100μm以下となるように微粉砕した粉末である。
試験6で用いた「鰹節湿式微粉砕物」とは、試験5で用いた鰹節乾式微粉砕物50gを450mLの水に混合させた後、湿式ミル(アシザワ・ファインテック社製、商品名「スターミルラボスターミニLMZ015」)を用いて平均粒径100μm以下まで粒子を細かくして得られた、ペースト状の素材である。

0096

得られたつゆの官能評価は評価試験5と同様に行った。ただし、対照である「試験1」としては、酵母エキスを添加しているが、鰹素材は無添加であるつゆを用いた。
結果を表6に示す。

0097

0098

以上から、鰹素材を添加することによって、昆布素材と鰹素材の組み合わせによる特有の効果として総じて味の伸びを増強する傾向にあることは認められたものの、「鰹節削り片(つゆで煮出し)」(試験2)、「鰹エキス」(試験3)、「鰹節煮汁」(試験4)においては、鰹節あるいは鰹由来の「燻煙臭」、「焦げ臭」や「生臭み」が、昆布の繊細で上品な芳香をマスキングしてしまい、かつ、昆布の旨みおよび好ましい風味の感じ方にも影響することが分かった。また、香りと味のバランスが崩れることも分かった。

0099

これらに対して「鰹節乾式微粉砕物」(試験5)、及び、「鰹節湿式微粉砕物」(試験6)を添加した場合には、特に昆布の香りと味の余韻の伸びを著しく増強するだけでなく、だし感や、味の伸びや香りを増強し、かつ、昆布の上品な芳香や旨み、及び、好ましい風味に対して影響を及ぼさず、香りと味のバランスを崩すことなく、全体として、鰹素材を添加しない場合に比べて、さらにつゆの品質を向上させることができることが分かった。
尚、ここでは、微粉砕物として、乾式ミルで微細化したものや、湿式ミルで微細化したものを、用いたが、食感に影響ない粒子レベル(μオーダー(具体的には平均粒径100μm以下))まで微細化され、かつ、減圧脱臭処理等によって鰹素材特有の香りが低減された素材や、凍結粉砕などにより加熱を伴わない微細化処理をされた素材を使用すれば、より高い品質向上効果が奏されるものと考えられる。

0100

以上のように、鰹節微粉砕物は、昆布抽出物混合物の風味を損なうことなく、液体調味料の品質を向上させることが分かったが、これは、微粉砕化の工程における原料の表面積の増大に伴う、香気成分等の放散による生臭み、燻煙臭や酸味と感じさせる香気成分の減衰によるものと推測される。

0101

以上の評価試験1〜6の結果から、昆布エキスと昆布だしを一定の配合条件で混合すると、昆布本来の不快な磯臭さ・生臭みが少なく昆布特有の上品な芳香が強く、かつ、嫌な雑味が弱く昆布特有の旨みおよび好ましい風味が強い昆布抽出物混合物を調製できること、並びに、さらに特定の配合条件下においては、香りと味のバランスのみならず、昆布のだし感、味の伸び及び香りと味の余韻の伸びが、昆布エキス又は昆布だし単体の場合に比べて増強されていることが新たに見出された。したがって、本発明の昆布抽出物混合物の使用によって、昆布の香味が十分に引き出され、さらには、昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びが増強された液体調味料を調製することができる。

0102

また、酵母エキスの添加によって、これら好ましい昆布の香味や昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びがより増強された液体調味料を調製することができる。

0103

さらには、鰹節微粉砕物の添加によって、これら好ましい昆布の香味や昆布のだし感、味の伸び、及び、香りと味の余韻の伸びがさらに増強された液体調味料を調製することができる。特には、昆布の香り及び味の余韻の伸びが増強された液体調味料を調製することができる。

実施例

0104

以上の実施例において、液体調味料の代表例として「つゆ」のみでの検討結果を示したが、他の液体調味料の調製においても、好ましい昆布の香味を阻害しない、他の素材の選択を適宜行えば、昆布の香味が十分に引き出され、さらには、昆布のだし感、味の伸び及び香りと味の余韻の伸びが増強された液体調味料を調製することができることは明らかである。
上記液体調味料の例としては、鍋つゆ、麺つゆ等のつゆ;たれ;ぽん酢等の調味酢;液体だし;ドレッシング;ソース;などが挙げられる。

0105

本発明の方法によれば、旨みと香りのバランスが良く、特に昆布のトップ香が強く、余韻の香りを合わせて有し、昆布のだし感が強く、かつ、味伸び性が強い(口の中で長く広がる)、液体調味料を提供することができる。この液体調味料は、昆布の風味主体の上品な仕上がりのため、様々な料理調味に適しており、しかも調製方法が簡便である。
従って、本発明は、食品産業において、有効に貢献することができる。

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