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技術 CVD装置、及び、CVD膜の製造方法

出願人 株式会社和廣武
発明者 楠原昌樹
出願日 2016年12月2日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-235463
公開日 2017年6月22日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-112366
状態 特許登録済
技術分野 プラズマの発生及び取扱い CVD 気相成長(金属層を除く) 光起電力装置
主要キーワード 被膜体 ガス流路面積 電極引き出し線 兼用装置 通路領域 温室効果ガス排出 石油エネルギー 単位部材
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図面 (13)

課題

低コスト太陽電池を製造できる、大気圧下で窒化膜の成膜が可能なCVD装置を提供する。

解決手段

流路板201、202を所定枚数積み重ねて構成され、流路板のガス出口側端面に、中空部を有するセラミック部材203、204の中空部内に電極線205、206が非接触状態で配置されてなる放電電極が設けられる、プラズマヘッド単位部材を有する。セラミック部材を介して電界又は磁界印加プラズマを発生させるプラズマヘッド単位部材を複数並列に並べたプラズマヘッドにより、誘電体バリア放電による大気圧プラズマCVDで窒化膜を形成する。誘電体バリア放電により大気圧でも安定したグロー放電プラズマを形成することができ、隣接するプラズマ吹出し口から異なるガスのプラズマを発生、反応させることにより、大気圧での窒化膜形成が可能になり、低コストの太陽電池製造が実現可能になった。

概要

背景

特開昭58−220477号公報
特開2002−110671号公報
特開2002−176119号公報
特開2008−98128号公報
特開2004−39993号公報
特開昭63−50025号公報

太陽光発電は、資源枯渇温室効果ガス排出などの問題を抱える石油エネルギーに代わり、クリーンエネルギーとして近年広く用いられるようになってきた。特許文献1には、シリコン太陽電池反射防止膜としてシリコン窒化膜を用いることによりエネルギー変換効率を高める方法が開示されている。窒化膜の形成に用いるプラズマCVD法は、従来、プラズマを安定して発生させるために10−2〜数Torrの減圧下で成膜を行っていた。そのため減圧システムなどの高価な設備成膜室の減圧工程が必要で製造コストの低減が困難であった。太陽光発電のさらなる普及のためには、より低コスト太陽電池を製造する装置や製造方法の開発が望まれていた。
特許文献2には、大気圧CVDにより薄膜を製造する技術が開示されている。図12は、特許文献2に記載された従来の大気圧CVD装置の断面図である。一般的に、大気圧下ではヘリウムなどの特定のガス以外は安定してプラズマ状態を保持することができず、瞬時にアーク放電状態移行することが知られている。図12に示すCVD装置は、容器111の内部に対向する一対の電極114、115を配置し、ガス導入口111から原料ガスを導入し、電極114、115に対しパルス電界印加することにより固体誘電体116、117を介してプラズマを発生させ、プラズマ吹出し口119から基板121上に発生したプラズマ118を吹き付け、薄膜120を形成する。固体誘電体を介して電極に電界を印加することで、気体の種類によらず安定したグロー放電プラズマを発生させることが可能になる。窒化膜の形成方法については特許文献2の実施例3に記載されており、シランガスアンモニアガスアルゴンガス希釈した混合ガスを容器111に導入してプラズマを発生させている。しかし、この方法で実際に成膜を行おうとすると、シリコンプラズマと窒素プラズマが、基板上ではなく、主に容器の内部で反応してしまうため、基板上では窒化膜がほとんど形成されないという問題があった。
特許文献3には、やはり、大気圧CVDにより薄膜を製造する技術が開示されている。特許文献2に開示された方法が、プラズマ吹き付け成膜であるのに対し、特許文献3に開示された方法は、放電空間内成膜である。そのため、基板上の窒化膜の形成は可能になるが、ガス導入口とガス排出口のそれぞれの近傍で成膜速度に差が生じ、特に、窒化膜の形成など複数種のガスを導入する場合に成膜均一性の低下が顕著になるという問題があった。また、放電空間内に基板を配置する方式であるため、基板がプラズマダメージを受けやすいという問題があった。

概要

低コストで太陽電池を製造できる、大気圧下で窒化膜の成膜が可能なCVD装置を提供する。流路板201、202を所定枚数積み重ねて構成され、流路板のガス出口側端面に、中空部を有するセラミック部材203、204の中空部内に電極線205、206が非接触状態で配置されてなる放電電極が設けられる、プラズマヘッド単位部材を有する。セラミック部材を介して電界又は磁界を印加しプラズマを発生させるプラズマヘッド単位部材を複数並列に並べたプラズマヘッドにより、誘電体バリア放電による大気圧プラズマCVDで窒化膜を形成する。誘電体バリア放電により大気圧でも安定したグロー放電プラズマを形成することができ、隣接するプラズマ吹出し口から異なるガスのプラズマを発生、反応させることにより、大気圧での窒化膜形成が可能になり、低コストの太陽電池製造が実現可能になった。

目的

太陽光発電のさらなる普及のためには、より低コストで太陽電池を製造する装置や製造方法の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

流路板所定枚数積み重ねて構成され、前記流路板のガス出口側端面に、中空部を有するセラミック部材の該中空部内に電極線非接触状態で配置されてなる放電電極が設けられていることを特徴とするプラズマCVD装置

請求項2

前記流路板の側面にガス通路が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマCVD装置。

請求項3

前記中空部内が真空であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項4

前記中空部内にガス封入され、前記ガスが貴ガスであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項5

前記中空部内が250Torr以下に減圧されていることを特徴とする請求項4記載のプラズマCVD装置。

請求項6

前記貴ガスがArガス又はNeガスであること特徴とする請求項4又は5のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項7

前記電極線の一端が金属箔に接続され、該金属箔の端が外部引き出し部となり、その途中においては、セラミック部材の一端を絞り込んで該金属箔を接触封止させてあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項8

前記電極線がNi又はNi合金からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項9

前記電極線がTh又はThOを含有するWからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項10

Thの含有量が4重量%以下であることを特徴とする請求項9記載のプラズマCVD装置。

請求項11

前記電極線がコイル状電極線であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項12

前記電極線の表面にエミッタ材からなる層が形成されており、前記エミッタ材が前記電極線の材料よりも仕事関数の小さい材料であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項13

前記エミッタ材がペロブスカイト型結晶構造を有する材料であることを特徴とする請求項12記載のプラズマCVD装置。

請求項14

前記エミッタ材が、TiSrO、MgO、TiOからなる化合物群から選択されたいずれか1種以上の化合物であることを特徴とする請求項12又は13のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項15

前記エミッタ材からなる層が、前記エミッタ材の原料乳鉢粉砕後、水に溶き、にかわを用いて前記電極線の表面に塗布した後、焼成することにより形成した層であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項16

前記エミッタ材からなる層が、MOCVDにより形成した層であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項17

前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする請求項7乃至16のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項18

流路板を所定枚数積み重ねて構成され、前記流路板のガス出口側端面に、セラミック部材の内部に電極線又は金属箔が封入配置されてなる放電電極が設けられていることを特徴とするプラズマCVD装置。

請求項19

前記流路板の側面にガス通路が形成されていることを特徴とする請求項18記載のプラズマCVD装置。

請求項20

前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする請求項18又は19のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項21

前記セラミック石英であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項22

前記セラミックが透光性アルミナであることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項23

前記流路板が耐熱性を有する金属からなることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項24

前記流路板がセラミックからなることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項25

前記流路板の前記ガス出口側端面にほぞ穴を有し、前記放電電極の一面にほぞを有し、該ほぞ穴を該ほぞに嵌合することにより前記放電電極を前記流路板に設けたことを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項26

保持具を用いて、前記放電電極を前記流路板の下面に設けたことを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項27

前記流路板と前記放電電極を一体成形してあることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項28

前記ガス通路を前記流路板と前記放電電極の一体成形後に加工して形成することを特徴とする請求項27記載のプラズマCVD装置。

請求項29

前記ガス通路を前記流路板と前記放電電極の一体成形時に形成することを特徴とする請求項27記載のプラズマCVD装置。

請求項30

前記放電電極に対向した位置に基板を配置してあることを特徴とする請求項1乃至29のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項31

前記基板が移動可能であることを特徴とする請求項30記載のプラズマCVD装置。

請求項32

前記基板がロールツロールで送られる帯状基板であることを特徴とする請求項31記載のプラズマCVD装置。

請求項33

窒化シリコン膜成膜装置であることを特徴とする請求項1乃至32のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項34

シリコン膜の成膜装置であることを特徴とする請求項1乃至32のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項35

前記複数の流路板において、少なくとも窒素源ガスシリコン源ガスを供給し、前記窒素源ガスと前記シリコン源ガスを異なる流路板から供給することを特徴とする請求項1乃至34のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項36

前記複数の流路板において、少なくとも窒素源ガスとシリコン源ガスの混合ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至34のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項37

前記窒化シリコン膜又は前記シリコン膜を連続的に成膜するための装置であることを特徴とする請求項33乃至36のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項38

前記ガス出口が下方向に向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至37のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項39

前記ガス出口が水平方向に向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至37のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項40

複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、隣りあう前記放電電極に対し交互に正のバイアス電圧と負のバイアス電圧を印加し、前記基板に対し負のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする請求項31乃至39のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項41

複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、隣りあう前記放電電極に対し交互に正のバイアス電圧と負のバイアス電圧を印加し、前記基板をフローティング電位として成膜を行うことを特徴とする請求項31乃至39のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項42

複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、前記放電電極に対し正のバイアス電圧を印加し、前記基板に対し負のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする請求項31乃至39のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項43

前記基板の下に誘電体基板を配置し、前記誘電体基板に正のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする請求項40乃至41のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項44

前記放電電極を貴ガス又は不活性ガスにより冷却しながら成膜を行うことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項45

プラズマ生成のために前記放電電極により発生する電界高周波電界又はパルス電界であり、前記高周波電界又はパルス電界の周波数が13.56MHzよりも低い周波数、又は、13.56MHzよりも高い周波数であることを特徴とする請求項1乃至44のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項46

前記ガス通路内に移動可能な石英部材をはめ込んだことを特徴とする請求項1乃至45のいずれか1項記載のプラズマCVD装置。

請求項47

中空部を有するセラミック部材の該中空部内に電極線が非接触状態で配置されてなる放電電極。

請求項48

前記中空部内が真空であることを特徴とする請求項47記載の放電電極。

請求項49

前記中空部内にガスが封入され、前記ガスが貴ガスであることを特徴とする請求項47記載の放電電極。

請求項50

前記中空部内が250Torr以下に減圧されていることを特徴とする請求項49記載の放電電極。

請求項51

前記貴ガスがArガス又はNeガスであること特徴とする請求項49又は50のいずれか1項記載の放電電極。

請求項52

前記電極線の一端が金属箔に接続され、該金属箔の端が外部引き出し部となり、その途中においては、セラミック部材の一端を絞り込んで該金属箔を接触封止させてあることを特徴とする請求項47乃至51のいずれか1項記載の放電電極。

請求項53

前記電極線がNi又はNi合金からなることを特徴とする請求項47乃至52のいずれか1項記載の放電電極。

請求項54

前記電極線がTh又はThOを含有するWからなることを特徴とする請求項47乃至53のいずれか1項記載の放電電極。

請求項55

Thの含有量が4重量%以下であることを特徴とする請求項54記載の放電電極。

請求項56

前記電極線がコイル状電極線であることを特徴とする請求項47乃至55のいずれか1項記載の放電電極。

請求項57

前記電極線の表面にエミッタ材からなる層が形成されており、前記エミッタ材が前記電極線の材料よりも仕事関数の小さい材料であることを特徴とする請求項47乃至56のいずれか1項記載の放電電極。

請求項58

前記エミッタ材がペロブスカイト型結晶構造を有する材料であることを特徴とする請求項57記載の放電電極。

請求項59

前記エミッタ材が、TiSrO、MgO、TiOからなる化合物群から選択されたいずれか1種以上の化合物であることを特徴とする請求項57又は58のいずれか1項記載の放電電極。

請求項60

前記エミッタ材からなる層が、前記エミッタ材の原料を乳鉢で粉砕後、水に溶き、にかわを用いて前記電極線の表面に塗布した後、焼成することにより形成した層であることを特徴とする請求項57乃至59のいずれか1項記載の放電電極。

請求項61

前記エミッタ材からなる層が、MOCVDにより形成した層であることを特徴とする請求項57乃至59のいずれか1項記載の放電電極。

請求項62

前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする請求項52乃至61のいずれか1項記載の放電電極。

請求項63

請求項1乃至46のいずれか1項記載のプラズマCVD装置を用いCVD膜を成膜するCVD膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、誘電体バリア放電プラズマを用いた常圧CVD装置、及び、CVD膜の製造方法に関し、特に、常圧CVD装置による窒化膜の製造方法に関する。

背景技術

0002

特開昭58−220477号公報
特開2002−110671号公報
特開2002−176119号公報
特開2008−98128号公報
特開2004−39993号公報
特開昭63−50025号公報

0003

太陽光発電は、資源枯渇温室効果ガス排出などの問題を抱える石油エネルギーに代わり、クリーンエネルギーとして近年広く用いられるようになってきた。特許文献1には、シリコン太陽電池反射防止膜としてシリコン窒化膜を用いることによりエネルギー変換効率を高める方法が開示されている。窒化膜の形成に用いるプラズマCVD法は、従来、プラズマを安定して発生させるために10−2〜数Torrの減圧下で成膜を行っていた。そのため減圧システムなどの高価な設備成膜室の減圧工程が必要で製造コストの低減が困難であった。太陽光発電のさらなる普及のためには、より低コスト太陽電池を製造する装置や製造方法の開発が望まれていた。
特許文献2には、大気圧CVDにより薄膜を製造する技術が開示されている。図12は、特許文献2に記載された従来の大気圧CVD装置の断面図である。一般的に、大気圧下ではヘリウムなどの特定のガス以外は安定してプラズマ状態を保持することができず、瞬時にアーク放電状態移行することが知られている。図12に示すCVD装置は、容器111の内部に対向する一対の電極114、115を配置し、ガス導入口111から原料ガスを導入し、電極114、115に対しパルス電界印加することにより固体誘電体116、117を介してプラズマを発生させ、プラズマ吹出し口119から基板121上に発生したプラズマ118を吹き付け、薄膜120を形成する。固体誘電体を介して電極に電界を印加することで、気体の種類によらず安定したグロー放電プラズマを発生させることが可能になる。窒化膜の形成方法については特許文献2の実施例3に記載されており、シランガスアンモニアガスアルゴンガス希釈した混合ガスを容器111に導入してプラズマを発生させている。しかし、この方法で実際に成膜を行おうとすると、シリコンプラズマと窒素プラズマが、基板上ではなく、主に容器の内部で反応してしまうため、基板上では窒化膜がほとんど形成されないという問題があった。
特許文献3には、やはり、大気圧CVDにより薄膜を製造する技術が開示されている。特許文献2に開示された方法が、プラズマ吹き付け成膜であるのに対し、特許文献3に開示された方法は、放電空間内成膜である。そのため、基板上の窒化膜の形成は可能になるが、ガス導入口とガス排出口のそれぞれの近傍で成膜速度に差が生じ、特に、窒化膜の形成など複数種のガスを導入する場合に成膜均一性の低下が顕著になるという問題があった。また、放電空間内に基板を配置する方式であるため、基板がプラズマダメージを受けやすいという問題があった。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、高い成膜速度、成膜均一性が得られる大気圧CVD装置の提供を目的とし、主に低コストで太陽電池を製造するため、大気圧下で窒化膜の成膜が可能なCVD装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明(1)は、流路板所定枚数積み重ねて構成され、前記流路板のガス出口側端面に、中空部を有するセラミック部材の該中空部内に電極線非接触状態で配置されてなる放電電極が設けられていることを特徴とするプラズマCVD装置である。
本発明(2)は、前記流路板の側面にガス通路が形成されていることを特徴とする前記発明(1)のプラズマCVD装置である。
本発明(3)は、前記中空部内が真空であることを特徴とする前記発明(1)又は前記発明(2)のプラズマCVD装置である。
本発明(4)は、前記中空部内にガスが封入され、前記ガスが貴ガスであることを特徴とする前記発明(1)又は前記発明(2)のプラズマCVD装置である。
本発明(5)は、前記中空部内が250Torr以下に減圧されていることを特徴とする前記発明(4)のプラズマCVD装置である。
本発明(6)は、前記貴ガスがArガス又はNeガスであること特徴とする前記発明(4)又は前記発明(5)のプラズマCVD装置である。
本発明(7)は、前記電極線の一端が金属箔に接続され、該金属箔の端が外部引き出し部となり、その途中においては、セラミック部材の一端を絞り込んで該金属箔を接触封止させてあることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(6)のプラズマCVD装置である。
本発明(8)は、前記電極線がNi又はNi合金からなることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(7)のプラズマCVD装置である。
本発明(9)は、前記電極線がTh又はThOを含有するWからなることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(7)のプラズマCVD装置である。
本発明(10)は、Thの含有量が4重量%以下であることを特徴とする前記発明(9)のプラズマCVD装置である。
本発明(11)は、前記電極線がコイル状電極線であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(10)のプラズマCVD装置である。
本発明(12)は、前記電極線の表面にエミッタ材からなる層が形成されており、前記エミッタ材が前記電極線の材料よりも仕事関数の小さい材料であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(11)のプラズマCVD装置である。
本発明(13)は、前記エミッタ材がペロブスカイト型結晶構造を有する材料であることを特徴とする前記発明(12)のプラズマCVD装置である。
本発明(14)は、前記エミッタ材が、TiSrO、MgO、TiOからなる化合物群から選択されたいずれか1種以上の化合物であることを特徴とする前記発明(12)又は前記発明(13)のプラズマCVD装置である。
本発明(15)は、前記エミッタ材からなる層が、前記エミッタ材の原料乳鉢粉砕後、水に溶き、にかわを用いて前記電極線の表面に塗布した後、焼成することにより形成した層であることを特徴とする前記発明(12)乃至前記発明(14)のプラズマCVD装置である。
本発明(16)は、前記エミッタ材からなる層が、MOCVDにより形成した層であることを特徴とする前記発明(12)乃至前記発明(14)のプラズマCVD装置である。
本発明(17)は、前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする前記発明(7)乃至前記発明(16)のプラズマCVD装置である。
本発明(18)は、流路板を所定枚数積み重ねて構成され、前記流路板のガス出口側端面に、セラミック部材の内部に電極線又は金属箔が封入配置されてなる放電電極が設けられていることを特徴とするプラズマCVD装置である。
本発明(19)は、前記流路板の側面にガス通路が形成されていることを特徴とする前記発明(18)のプラズマCVD装置である。
本発明(20)は、前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする前記発明(18)又は前記発明(19)のプラズマCVD装置である。
本発明(21)は、前記セラミック石英であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(20)のプラズマCVD装置である。
本発明(22)は、前記セラミックが透光性アルミナであることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(20)のプラズマCVD装置である。
本発明(23)は、前記流路板が耐熱性を有する金属からなることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(22)のプラズマCVD装置である。
本発明(24)は、前記流路板がセラミックからなることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(22)のプラズマCVD装置である。
本発明(25)は、前記流路板の前記ガス出口側端面にほぞ穴を有し、前記放電電極の一面にほぞを有し、該ほぞ穴を該ほぞに嵌合することにより前記放電電極を前記流路板に設けたことを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(24)のプラズマCVD装置である。
本発明(26)は、保持具を用いて、前記放電電極を前記流路板の下面に設けたことを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(24)のプラズマCVD装置である。
本発明(27)は、前記流路板と前記放電電極を一体成形してあることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(24)のプラズマCVD装置である。
本発明(28)は、前記ガス通路を前記流路板と前記放電電極の一体成形後に加工して形成することを特徴とする前記発明(27)のプラズマCVD装置である。
本発明(29)は、前記ガス通路を前記流路板と前記放電電極の一体成形時に形成することを特徴とする前記発明(27)のプラズマCVD装置である。
本発明(30)は、前記放電電極に対向した位置に基板を配置してあることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(29)のプラズマCVD装置である。
本発明(31)は、前記基板が移動可能であることを特徴とする前記発明(30)のプラズマCVD装置である。
本発明(32)は、前記基板がロールツロールで送られる帯状基板であることを特徴とする前記発明(31)のプラズマCVD装置である。
本発明(33)は、窒化シリコン膜成膜装置であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(32)のプラズマCVD装置である。
本発明(34)は、シリコン膜の成膜装置であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(32)のプラズマCVD装置である。
本発明(35)は、前記複数の流路板において、少なくとも窒素源ガスシリコン源ガスを供給し、前記窒素源ガスと前記シリコン源ガスを異なる流路板から供給することを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(34)のプラズマCVD装置である。
本発明(36)は、前記複数の流路板において、少なくとも窒素源ガスとシリコン源ガスの混合ガスを供給することを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(34)のプラズマCVD装置である。
本発明(37)は、前記窒化シリコン膜又は前記シリコン膜を連続的に成膜するための装置であることを特徴とする前記発明(33)乃至前記発明(36)のプラズマCVD装置。
本発明(38)は、前記ガス出口が下方向に向けて開口していることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(37)のプラズマCVD装置である。
本発明(39)は、前記ガス出口が水平方向に向けて開口していることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(37)のプラズマCVD装置である。
本発明(40)は、複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、隣りあう前記放電電極に対し交互に正のバイアス電圧と負のバイアス電圧を印加し、前記基板に対し負のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする前記発明(31)乃至前記発明(39)のプラズマCVD装置である。
本発明(41)は、複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、隣りあう前記放電電極に対し交互に正のバイアス電圧と負のバイアス電圧を印加し、前記基板をフローティング電位として成膜を行うことを特徴とする前記発明(31)乃至前記発明(39)のプラズマCVD装置である。
本発明(42)は、複数の前記放電電極、及び、前記基板に対するバイアス電圧が、前記放電電極に対し正のバイアス電圧を印加し、前記基板に対し負のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする前記発明(31)乃至前記発明(39)のプラズマCVD装置である。
本発明(43)は、前記基板の下に誘電体基板を配置し、前記誘電体基板に正のバイアス電圧を印加して成膜を行うことを特徴とする前記発明(40)乃至前記発明(41)のプラズマCVD装置である。
本発明(44)は、前記放電電極を貴ガス又は不活性ガスにより冷却しながら成膜を行うことを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(43)のプラズマCVD装置である。
本発明(45)は、プラズマ生成のために前記放電電極により発生する電界が高周波電界又はパルス電界であり、前記高周波電界又はパルス電界の周波数が13.56MHzよりも低い周波数、又は、13.56MHzよりも高い周波数であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(44)のプラズマCVD装置である。
本発明(46)は、前記ガス通路内に移動可能な石英部材をはめ込んだことを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(45)のプラズマCVD装置である。
本発明(47)は、中空部を有するセラミック部材の該中空部内に電極線が非接触状態で配置されてなる放電電極である。
本発明(48)は、前記中空部内が真空であることを特徴とする前記発明(47)の放電電極である。
本発明(49)は、前記中空部内にガスが封入され、前記ガスが貴ガスであることを特徴とする前記発明(47)の放電電極である。
本発明(50)は、前記中空部内が250Torr以下に減圧されていることを特徴とする前記発明(49)の放電電極である。
本発明(51)は、前記貴ガスがArガス又はNeガスであること特徴とする前記発明(49)又は前記発明(50)の放電電極である。
本発明(52)は、前記電極線の一端が金属箔に接続され、該金属箔の端が外部引き出し部となり、その途中においては、セラミック部材の一端を絞り込んで該金属箔を接触封止させてあることを特徴とする前記発明(47)乃至前記発明(51)の放電電極である。
本発明(53)は、前記電極線がNi又はNi合金からなることを特徴とする前記発明(47)乃至前記発明(52)の放電電極である。
本発明(54)は、前記電極線がTh又はThOを含有するWからなることを特徴とする前記発明(47)乃至前記発明(53)の放電電極である。
本発明(55)は、Thの含有量が4重量%以下であることを特徴とする前記発明(54)の放電電極である。
本発明(56)は、前記電極線がコイル状電極線であることを特徴とする前記発明(47)乃至前記発明(55)の放電電極である。
本発明(57)は、前記電極線の表面にエミッタ材からなる層が形成されており、前記エミッタ材が前記電極線の材料よりも仕事関数の小さい材料であることを特徴とする前記発明(47)乃至前記発明(56)の放電電極である。
本発明(58)は、前記エミッタ材がペロブスカイト型結晶構造を有する材料であることを特徴とする前記発明(57)の放電電極である。
本発明(59)は、前記エミッタ材が、TiSrO、MgO、TiOからなる化合物群から選択されたいずれか1種以上の化合物であることを特徴とする前記発明(57)又は前記発明(58)の放電電極である。
本発明(60)は、前記エミッタ材からなる層が、前記エミッタ材の原料を乳鉢で粉砕後、水に溶き、にかわを用いて前記電極線の表面に塗布した後、焼成することにより形成した層であることを特徴とする前記発明(57)乃至前記発明(59)の放電電極である。
本発明(61)は、前記エミッタ材からなる層が、MOCVDにより形成した層であることを特徴とする前記発明(57)乃至前記発明(59)の放電電極である。
本発明(62)は、前記金属箔がMo又はMo合金であることを特徴とする前記発明(52)乃至前記発明(61)の放電電極である。
本発明(63)は、前記発明(1)乃至前記発明(46)のプラズマCVD装置を用いCVD膜を成膜するCVD膜の製造方法である。

発明の効果

0006

本発明(1)、(6)、(7)、(47)、(51)、(52)、(63)によれば、大気圧下でも安定したグロー放電の形成が可能になり、膜厚均一性に優れた窒化膜の高速成膜が可能になる。太陽電池の低コスト製造、大量供給が実現する。
本発明(2)〜(5))、(48)〜(50)によれば、グロー放電による安定したプラズマの生成がより容易に実現できる。
本発明(8)〜(10)、(53)〜(55)によれば、電極線の仕事関数が下がり熱電子放出が促進されるので、プラズマの発生が容易になる。
本発明(11)、(56)によれば、電極線の表面積の増加により放電面積を大きくすることができる。
本発明(12)〜(15)、(57)〜(60)によれば、電極線だけでなく、エミッタ材からも電子が放出されるので、より低電力でも放電が開始し、開始後の放電状態も安定になる。
本発明(16)、(61)によれば、エミッタ材によりコイルの隙間を十分に埋めることができる。また、エミッタ材がより緻密に形成でき、組成比も良好になる。
本発明(17)、(62)によれば、セラミック部材との密着性が良好になる。
本発明(18)によれば、大気圧下でも安定したグロー放電の形成が可能になり、膜厚均一性に優れた窒化膜の高速成膜が可能になる。太陽電池の低コスト製造、大量供給が実現する。中空部を設けていないので、装置の作製が容易になる。
本発明(19)〜(22)によれば、グロー放電による安定したプラズマの生成がより容易に実現できる。
本発明(23)によれば、発熱する電極による流路板の熱変形を防止できる。
本発明(24)によれば、セラミックは耐熱性に優れ、また、電極との熱膨張率の差が小さい。
本発明(25)によれば、既存の流路板を利用可能である。
本発明(26)によれば、ほぞ溝加工が不要で、着脱が容易になる。
本発明(27)〜(29)によれば、装置の製造が容易になる。
本発明(30)によれば、グロー放電による安定したプラズマの生成がより容易に実現できる。
本発明(31)、(32)によれば、膜厚均一性の高い大面積の成膜が可能になる。
本発明(33)、(34)によれば、太陽電池等の有用な電子デバイスの低コスト製造が可能である。
本発明(35)によれば、窒化シリコン膜とシリコン膜をひとつの兼用装置高純度に成膜できる。
本発明(36)によれば、装置構成が簡便になる。
本発明(37)によれば、膜厚均一性の高い大面積の成膜が可能になる。
本発明(38)によれば、成膜均一性が向上する。
本発明(39)によれば、装置の設置面積を小さくできる。
本発明(40)によれば、グロー放電による安定したプラズマの生成がより容易に実現できる。プラズマがより広い領域で生成されるので、成膜速度が大きくなる。また、アルゴンなどの正イオンが基板に衝突するのを緩和可能であり、成膜された基板上の薄膜に対するダメージを軽減可能であり、より緻密な薄膜の形成が可能である。
本発明(41)、(42)によれば、グロー放電による安定したプラズマの生成がより容易に実現できる。
本発明(43)によれば、アルゴンなどの正イオンが基板に衝突するのを緩和可能であり、成膜された基板上の薄膜に対するダメージを軽減可能であり、より緻密な薄膜の形成が可能である。
本発明(44)によれば、放電電極の過熱を防止可能である。
本発明(45)によれば、通常プラズマ装置で使用される13.56MHz以外の電力を成膜プロセスに利用可能である。使用周波数を制御することにより基板上の薄膜に対するダメージ軽減も可能である。
本発明(46)によれば、ガスの流路面積を調整でき、プラズマ状態や成膜状態を最適化することが可能である。

図面の簡単な説明

0007

本発明の実施例に係るCVD装置の電極の構造を示す図である。
(a)及び(b)は、本発明の実施例に係るCVD装置の電極を製造する方法を示す図である。
(a)は、本発明のプラズマヘッドの第一の具体例の正面図であり、(b)及び(c)は、第一の具体例の側面図である。
(a)及び(b)は、それぞれ、本発明のプラズマヘッドの第二の具体例の正面図及び側面図である。
(a)は、本発明のプラズマヘッドの単位部材の第一の具体例の正面図であり、(b)及び(c)は、第一の具体例の側面図である。
(a)は、本発明のプラズマヘッドの単位部材の第二の具体例の正面図であり、(b)及び(c)は、第二の具体例の側面図である。
(a)は、本発明のプラズマヘッドの第三の具体例の単位部材の正面図であり、(b)及び(c)は、第三の具体例の側面図である。
本発明の実施例に係るCVD装置の断面図である。
(a)、(b)、(c)は、本発明の実施例に係るCVD装置のプラズマヘッドの断面図である。
本発明の実施例に係るCVD装置のプラズマヘッドの断面図である。
本発明の実施例に係るCVD装置の流路板の断面図である。
従来のCVD装置の断面図である。

実施例

0008

以下、本発明の最良形態について説明する。
(誘電体バリア放電によるグロー放電)
本願発明者等は、シリコン窒化膜の大気圧CVDの実現を主な目的として鋭意検討を行った。まず、基板のプラズマダメージを防止するため、プラズマ吹き付け成膜を採用し、安定したグロー放電を可能とするため、誘電体バリア放電によるプラズマ形成を採用した。従来法の欠点であるプラズマ発生容器内でのプラズマの反応を防止するため、プラズマ生成部であるプラズマヘッドを、それぞれ独立したプラズマ吹出し口を備えた複数の単位部材で構成し、例えば、シリコン窒化膜のCVDにおいては、シリコンプラズマと窒素プラズマをそれぞれの単位部材で別々に生成することにした。さらに、シリコンプラズマ発生用の単位部材と窒素プラズマ発生用の単位部材が隣接するように並列に配置すると、堆積膜の均一性向上に有効であることがわかった。吹出し口から供給されるプラズマは、プラズマヘッドの中では反応せずに、吹出し口と基板の間の空間で反応し窒化膜を形成するため、極めて効率よく基板上に窒化膜を形成することが可能になった。また、それぞれのプラズマヘッドの単位部材に独立して原料ガスを供給し、プラズマ生成のため印加する電気エネルギーを独立して制御できるように電極を配置した。このことにより、各プラズマの生成条件をそれぞれ最適な条件に設定して成膜を行うことが可能になった。
また、従来、大気圧でプラズマを生成する場合は、安定して継続的にプラズマを生成するのが困難であるという問題があった。本願発明者等は、電極の構造、及び、基板を配置する部分の構造にも注目し、電極を石英部材の中に封止し、かつ電極と石英部材の間に空間を設け、さらに、基板を石英からなる支持部材の上に置いて、プラズマヘッドからプラズマを基板に供給することで、プラズマが安定して、窒化膜の堆積速度の向上、膜厚や膜質再現性の向上が可能になることを見出した。
なお、本明細書で「大気圧」とは、装置を使用する場所の気圧や高度にも依存して変化するが、具体的には、8×104〜12×104Paの圧力のことである。この範囲の圧力であれば、減圧や加圧用の大掛かりな装置を用いる必要がなく、設備コストの低減が可能である。

0009

(電極の構造の具体例)
図1は、本発明の実施例に係るCVD装置の電極の構造を示す図である。プロセスガスを流す流路板201、202のガス噴出部に、石英部材203、204が取りつけられ、石英部材203、204の中空部に電極線205、206が配置されている。流路板201、202のガス噴出部から噴き出すプロセスガスを構成するガス分子は、電極線205、206と基板209間の放電により電気エネルギーを与えられ、プラズマになって基板209に噴射され、プラズマ中のイオンの反応により、基板209上に窒化膜が堆積する。電極線205、206と石英部材203、204は、直接接触せずに、中空部の中で浮いた状態で設置するのが好ましい。中空部内の雰囲気は、真空又は減圧状態にするのが好ましい。減圧状態とする場合は、中空部に封入するガスとしては、Ar、Neなどの貴ガスを用いるのが好ましい。減圧の程度としては、250Torr以下とするのが好ましい。中空部を、真空、又は、貴ガス封入により250Torr以下の減圧とすることにより、より低い電力供給でプラズマが自然発火し、均一な放電による安定したプラズマ生成が可能になる。流路板201、202は、例えば、Alからなる板を加工して作製する。基板209は、石英からなる支持部材210の上に置くのが好ましい。プラズマの安定性が向上する。石英部材203、204の形状は、線状の電極を内部に配置できるように長い中空部を備えていれば、特に限定されるものではない。中空部の断面形状も特に限定されるものではないが、円形であるのが特に好ましい。また、石英部材は、流路板に対し、はめ込みにより取りつけられるように凸部を備えているのが好ましい。流路板には、係る凸部に対応した凹部を設けるものとする。逆に、石英部材に凹部を設け、流路板に凸部を設けてもよい。
また、支持部材210の下に電極を設けてプラズマに印加するバイアス電圧を制御するのが好ましい。この場合、電極線205、206等の基板209の上部に配置した電極を上部電極と呼び、基板209の下部(支持部材210の下部)に配置した電極を下部電極と呼ぶ。
図1に示すように、流路板の本体と電極を別の部材として作製し、ほぞとほぞ穴を用い嵌合することも可能であるが、保持具を用いて電極を流路板の下面に設けることも可能である。ほぞ溝加工が不要で、着脱が容易になる。また、流路板の本体と電極を一体成形してもよい。装置の製造が容易になる。ガス通路は流路板と放電電極の一体成形後に加工して形成してもよいし、流路板と放電電極の一体成形時に同時に形成してもよい。
窒化膜のプロセスガスである窒素アンモニアを最初から流してもプラズマは生成されないが、Arを流すとプラズマが生成されることがわかった。従って、最初Arを流してプラズマを生成しておいて、プラズマ中の電子を増やしておき、少しずつ、窒素やアンモニアの流量を増やすことで、窒化膜の生成に必要なプラズマが安定して生成されることがわかった。
図1に示す実施例では、電極線が石英部材に直接接触せずに中空部の中で浮いた状態で設置したものであるが、中空部を設けずに電極線が石英部材に直接接触するように設置してもよい。プラズマヘッドの作製が容易になる。電極線又は金属箔には、Mo又はMo合金を用いるのが好ましい。Mo又はMo合金は、セラミックとの密着性が良好である。
電極線の周りに中空部を設ける場合でも、設けない場合でも、電極を構成する絶縁部材(上記部材203、204に相当する)としては、セラミック部材を用いるのが好ましく、このセラミック部材としては石英又は透光性アルミナを用いるのが好ましい。また、流路板の材質を、耐熱性を有する金属、又は、セラミックとしてもよい。
従来のCVD装置で用いられる電極は、例えば、カーボン露出した構造であるため、カーボンに含まれる不純物が外に出る問題があったが、本発明に係る電極構造は電極線の外側を石英管で覆っているので不純物が外部に出るおそれがない。
電極線の材質は、Wを用いるのが好ましい。また、Th又はThOを含有するWを用いるのがより好ましく、Thの含有量が4重量%以下とするのが好ましい。電極線の仕事関数が下がり、熱電子放出が促進されるので、プラズマの発生が容易になる。
電極線に適切な電流を外部から供給して電極全体を加熱するのが好ましい。電極表面の温度が低いと電極表面に窒化膜やシリコン膜が堆積する可能性があり、流路を狭めたり詰まらせたりする等の問題があり好ましくない。電極を加熱することにより、電極表面における堆積物成長を防止することが可能になる。また、電極の温度を制御することにより、Wからなる電極材料に付加されたThやPTOなどの金属の仕事関数を制御可能になる。これにより金属から放出される電子密度の制御が可能になり、CVDプロセスのより精密な制御が可能になる。
また、電極材の表面に放射性物質を塗布するのが好ましい。例えば、ストロンチウムを塗布するのが好ましい。放射性物質を塗布することによりプラズマが励起しやすくなる。
また、電極線の材料よりも仕事関数の小さい材料をエミッタ材として用い、電極線の表面にエミッタ材からなる層を形成するのが好ましい。エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造を有する材料を用いるのが好ましい。また、TiSrO、MgO、TiOからなる化合物群から選択されたいずれか1種以上の化合物を用いるのが好ましい。いずれの場合も、電極線の仕事関数が下がり、熱電子放出が促進されるので、プラズマの発生が容易になる。
エミッタ材からなる層は、エミッタ材の原料を乳鉢で粉砕後、水に溶き、にかわを用いて電極線の表面に塗布した後、焼成することにより形成する。或いは、MOCVDにより形成してもよい。エミッタ材によりコイルの隙間を十分に埋めることができる。また、エミッタ材がより緻密に形成でき、組成比も良好になる。
また、石英部材の中に配置した電極線からなる石英電極は、上記したように高周波電極として用いるだけでなく、ヒーターとして機能させるのが好ましい。石英電極をヒーターとして用いることにより、被膜体の温度を上げる等、被膜体の温度制御が可能になる。

0010

(電極の製造方法)
図2(a)及び(b)は、本発明の実施例に係るCVD装置の電極を製造する方法を示す図である。最初に図2(a)に示すように、一端に開口部214を有し、もう一端が閉じた中空の石英部材214を用意する。電極212は、例えば、Ni又はNi合金からなる電極線を用いる。図2では、電極線は直線状の電極線であるが、コイル状電極線とするのがより好ましい。コイル状とすることにより電極面積の増加し、放電面積を大きくすることが可能になる。電極212の端部には、引き出し線213を取りつけておく。引出し線は、例えば、Mo又はMo合金からなる厚さ20μm程度の金属箔を用いる。次に、石英部材211の内部を減圧して、真空又は250Torr以下の圧力にし、図2(b)に示すように、開口部214を封止する。これにより、電極216が石英部材215に接触せずに浮いた状態で引き出し線217により支持された電極部材が完成する。
中空部を減圧にする場合の封入ガスは、上記したように、Ar、Neなどの貴ガスを用いるのが好ましい。また、中空部に封入ガスを導入する前に、不純物濃度が10ppb以下のクリーンなガス(例えばArガス)を用いて、中空部内をパージしてから封入ガスを導入するのが好ましい。

0011

(プラズマヘッドの単位部材の第一の具体例)
図5(a)及び(b)は、それぞれ、本発明のプラズマヘッドの単位部材の第一の具体例の正面図及び側面図である。単位部材の第一の具体例は、容量結合プラズマを生成する場合のプラズマヘッドの単位部材である。単位部材は、誘電体部材42と誘電体部材42を挟着する一対の電極45、46とから構成される。誘電体部材42は上下に貫通する孔部を備えており、該孔部がプラズマ生成通路43として機能する。誘電体部材42は一体の部材で構成してもよく、複数の部材を貼り合わせて、或いは、組み合わせて形成してもよい。複数の部材で形成した場合は、接合部でガスがリークしないように加工するのが好ましい。孔部の一端がガス導入口41となり、電極45、46に電界を印加し、導入したガス分子に対し電気エネルギーを与え、ラジカル、イオン、電子からなるプラズマを生成する。電界は、一定電界、高周波電界、パルス電界などを用いるのが好ましく、特に、パルス電界を用いるのが好ましい。誘電体を介して電界を印加するので、一定電界を印加した場合でも、誘電体の表面で電荷蓄積消滅が繰り返される。そのため、プラズマ放電の状態は、アーク放電に至らず安定したグロー放電となる。生成したプラズマは、孔部のもう一つの端部であるプラズマ供給口50から吹き出す。プラズマ生成条件にもよるが、一般的にプラズマ供給口50から数mmから数cmの範囲にプラズマが供給される。単位部材は、図3(b)に側面図を示すように、一つのプラズマ供給口を備えていてもよく、図5(c)に示すように複数のプラズマ供給口を備えていてもよい。小さい基板に成膜を行う場合は、一つのプラズマ供給口からプラズマを供給してもよい。大面積の基板に成膜を行う場合は、複数のプラズマ供給口からプラズマを供給するほうが成膜均一性向上の点で好ましい。
また、図5に示すように、誘電体部材にガス通路用の孔部を設けなくても、誘電体部材を間隔をあけて平行に配置し、間隙部をガス通路として利用することも可能である。

0012

誘電体部材の材料は、プラスティックガラス二酸化シリコン酸化アルミニウムなどの金属酸化物を用いるのが好ましい。特に、石英ガラスを用いるのが好ましい。比誘電率が2以上の誘電体部材を用いるのが好ましい。比誘電率が10以上の誘電体部材を用いるのがさらに好ましい。誘電体部材の厚さは、0.01〜4mmとするのが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、薄すぎるとアーク放電が発生しやすくなる。
電極の材料は、銅、アルミニウムステンレスなどの金属や合金を用いるのが好ましい。電極間の距離は、誘電体部材の厚さ、印加電圧の大きさにもよるが、0.1〜50mmとするのが好ましい。

0013

(プラズマヘッドの構造)
(プラズマヘッドの第一の具体例)
図3(a)は、本発明のプラズマヘッドの第一の具体例の正面図であり、図3(b)及び(c)は、第一の具体例の側面図である。プラズマヘッドは、プラズマヘッド単位部材1、2、3を含め、複数のプラズマヘッド単位部材を順次隣接させて形成されている。図3(a)では、プラズマヘッド単位部材の間に緩衝部材10を挿入してプラズマヘッド単位部材を並列配置している。緩衝部材は必ずしもプラズマヘッドの構成に必須な部材ではないが、挿入することにより、例えば、ガラスなどの破損しやすい部材を誘電体部材5として使用し、複数のプラズマヘッド単位部材を締め付けて固定する際に、誘電体部材5が破損するのを防止できる。プラズマヘッドも、使用する単位部材の構造に応じて、図3(b)に側面図を示すように、一つのプラズマ供給口を備えていてもよく、図3(c)に示すように複数のプラズマ供給口を備えていてもよい。

0014

(プラズマヘッドの第二の具体例)
図4(a)及び(b)は、それぞれ、本発明のプラズマヘッドの第二の具体例の正面図及び側面図である。プラズマヘッドは、プラズマヘッド単位部材21、22、23を含め、複数のプラズマヘッド単位部材を順次隣接させて形成されている。プラズマヘッドは、図2(b)に側面図を示すように、複数のプラズマ供給口を備えている。誘電体部材35は、内部に中空部を備えるように加工されている。この中空部が、ガス分配通路やプラズマ生成通路として機能する。一体の誘電体部材の内部に中空部を形成してもよいし、一枚の誘電体板に凹部を形成し、他の誘電体板を貼り合わせて中空部を形成してもよい。プラズマ生成原料となるガスは、ガス供給口34から供給される。誘電体部材35の上部にはガス供給口34から供給されたガスを複数のプラズマ生成通路36に分配するガス分配通路領域が形成されている。このような構造とすることにより、簡素な構造で、原料ガスを均等に多数のプラズマ生成部に供給できるので、CVD装置の小型化に貢献する。

0015

(CVD装置の構造)
図8は、本発明の実施例に係るCVD装置の断面図である。CVD装置は、第一のガスを供給する原料ガス供給ユニット101と、第二のガスを供給する原料ガスユニット102と、プラズマヘッド単位部材と緩衝部材を順次隣接配置したプラズマヘッド104と、プラズマヘッド単位部材に電力を供給する電源103と、基板を搬送する基板搬送ユニット110とから構成される。プラズマヘッド単位部材は、プラズマ生成通路を備えた誘電体部材と電極からなる。上部のガス導入口から原料ガスを導入し、プラズマ生成通路において、誘電体部材を介して電極から電界を原料ガス分子に印加して励起し、ラジカル、イオン、電子からなるプラズマを生成する。生成したプラズマを下部のプラズマ供給口から基板搬送ユニット110上に置かれた基板109に供給する。搬送ユニットにより基板を移動しながら成膜を行う。これにより連続成膜が可能になる。基板がロールツロールで送られる帯状基板であることがより好ましい。又は、成膜中、基板は静止位置にあり、成膜後搬送ユニットにより次の成膜面に移動する方式を採用してもよい。
なお、基板109の下方には図示しない下部電極があり、基板の下側からバイアス電圧を印加可能になっている。
ガス出口は図8に示すように下方向に向けて開口していてもよいし、水平方向に向けて開口していてもよい。ガス出口を下方向に向けて開口する場合は、成膜均一性が向上する。ガス出口を水平方向に向けて開口する場合は、装置の設置面積を小さくできる。
プラズマ放電は誘電体バリア放電であるため、プラズマは安定したグロー放電となる。また、プラズマは、電子の温度が高く、ラジカル、イオンの温度が低い非平衡プラズマとなる。これにより基板の過剰な温度上昇を回避することが可能になる。
シリコン窒化膜を生成する場合は、例えば、原料ガスは、シランガスとアンモニアガスを用いる。隣接するプラズマヘッド単位部材に交互にシランガスとアンモニアガスを供給し、それぞれのプラズマ生成通路でシリコンプラズマ105と窒素プラズマ106を生成する。シリコンプラズマと窒素プラズマはプラズマ供給口から下方に数mmから数cmの範囲に広がりプラズマ反応領域107が形成される。この領域に接触するように基板109を配置することにより、基板109上に窒化膜108が形成される。
シリコン窒化膜を生成する場合は、他のシリコン源ガスや窒素源ガスを用いることも可能である。シリコン源ガスとしては、シランジシラン、又は、これらのガスを不活性ガスで希釈した混合ガスを用いることができる。窒素源ガスとしては、アンモニアや窒素、又は、これらのガスを不活性ガスで希釈した混合ガスを用いることができる。
複数の流路板のうち、隣接する流路板によりシリコン源ガスと窒素源ガスを独立して供給し、シリコン窒化膜を生成することができる。その際、これらの流路板の両端で窒素などの不活性ガスからなるカーテンシール用のガスを流すことも可能である。シリコン源ガスと窒素源ガスの流量を独立して制御可能であり、プロセス条件精密制御が可能である。
また、シリコン源ガスと窒素源ガスの混合ガスを同一の流路板から供給してシリコン窒化膜を生成することも可能である。装置構成が簡便になる。
シリコン窒化膜以外にも、窒素源ガスを供給せず、シリコン源ガスのみ供給することによりシリコン膜を生成することも可能である。
成膜などのためプラズマを励起する間、流路板の内部の電極近傍に貴ガス又は貴ガスを含む混合ガス(例:アルゴンと窒素)を導入し、電極の空冷を行うのが好ましい。冷却を行わずに、プラズマ励起により電極自体の熱が上昇すると、電極表面に使用している誘電体以外の膜や異物が付着して電極としての機能が損なわれるという問題があり、その防止のため、20℃程度の温度の冷却ガス循環させるのが好ましい。
また、プロセスガスやキャリアガスが通過するガス通路や流路板の間のスペースに移動可能な誘電体部材をはめ込むのが好ましい。誘電体部材は石英を用いるのが好ましい。ガス流路面積を調整することが可能で、プロセスの制御性が向上する。図11(a)、(b)、(c)は、本発明の実施例に係るCVD装置の流路板の断面図である。流路板331と誘電体部材333、334に囲まれた流路332(図11(a))は、誘電体部材333、334を移動させることにより、流路336(図11(b))、流路340(図11(c))に示すように、断面積を制御することが可能である。流路面積を制御することによりガスの流速を制御することが可能になる。例えば、ガスの流路面積を狭くすることによりガスの流速を大きくすることができる。

0016

(プラズマ生成条件)
プラズマを生成する条件は、プラズマを利用する目的に応じて適宜決定される。容量結合プラズマを生成する場合は、一対の電極間に一定電界、高周波電界、パルス電界、マイクロ波による電界を印加しプラズマを発生させる。一定電界以外の電界を印加する場合、使用周波数は、一般的なプラズマ装置で使用される13.56MHzでもよいし、それ以上でも、それ以下でもよい。特許文献6には、プラズマ装置で100MHzの高周波プラズマを用い堆積膜への損傷を防止する技術が開示されている。電界の周波数を制御することにより、堆積速度、堆積膜の膜質等を最適化することができる。
プラズマ生成用の電界は、特に、パルス電界を用いるのが好ましい。パルス電界の電界強度は、10〜1000kV/cmの範囲とするのが好ましい。パルス電界の周波数は、0.5kHz以上とするのが好ましい。

0017

誘導結合プラズマ装置
(プラズマヘッドの単位部材の第二の具体例)
本発明のプラズマヘッドに係る技術的思想は、容量結合プラズマ生成用プラズマヘッドに限定して適用されるものではなく、例えば、誘導結合プラズマ生成用プラズマヘッドに適用することも可能である。
図6(a)は、本発明のプラズマヘッドの単位部材の第二の具体例の正面図であり、図6(b)及び(c)は、第二の具体例の側面図である。第二の具体例は、誘導結合プラズマ生成用プラズマヘッドの単位部材である。単位部材は、誘電体部材62と誘電体部材62の周囲に隣接して配置された誘導コイル64とから構成される。誘電体部材62は上下に貫通する孔部を備えており、該孔部がプラズマ生成通路63として機能する。誘電体部材62は一体の部材で構成してもよく、複数の部材を貼り合わせて、或いは、組み合わせて形成してもよい。複数の部材で形成した場合は、接合部でガスがリークしないように加工するのが好ましい。孔部の一端がガス導入口61となり、誘導コイル64に電流を流し、形成される磁界により導入したガス分子に対し磁気エネルギーを与え、ラジカル、イオン、電子からなるプラズマを生成する。プラズマ放電の状態は、安定したグロー放電となる。生成したプラズマは、孔部のもう一つの端部であるプラズマ供給口65から吹き出す。プラズマ生成条件にもよるが、一般的にプラズマ供給口65から数mmから数cmの範囲にプラズマが供給される。単位部材は、図6(b)に側面図を示すように、一つのプラズマ供給口を備えていてもよく、図6(c)に示すように複数のプラズマ供給口を備えていてもよい。小さい基板に成膜を行う場合は、一つのプラズマ供給口からプラズマを供給してもよい。大面積の基板に成膜を行う場合は、複数のプラズマ供給口からプラズマを供給するほうが好ましい。

0018

(プラズマヘッドの第三の具体例)
図7(a)は、本発明のプラズマヘッドの第三の具体例の単位部材の正面図であり、図7(b)及び(c)は、第三の具体例の側面図である。第三の具体例は、誘導結合プラズマ生成用プラズマヘッドの単位部材である。単位部材は、誘電体部材82と誘電体部材82に隣接して配置された誘導コイル84とから構成される。誘電体部材82は上下に貫通する孔部を備えており、該孔部がプラズマ生成通路83として機能する。誘電体部材82は一体の部材で構成してもよく、複数の部材を貼り合わせて、或いは、組み合わせて形成してもよい。複数の部材で形成した場合は、接合部でガスがリークしないように加工するのが好ましい。誘導コイル84の端子86と端子87は電気的に接触しないように、誘電体部材を介して離間して配置される。孔部の一端がガス導入口81となり、誘導コイル84に電流を流し、形成される磁界により導入したガス分子に対し磁気エネルギーを与え、ラジカル、イオン、電子からなるプラズマを生成する。プラズマ放電の状態は、安定したグロー放電となる。生成したプラズマは、孔部のもう一つの端部であるプラズマ供給口85から吹き出す。プラズマ生成条件にもよるが、一般的にプラズマ供給口85から数mmから数cmの範囲にプラズマが供給される。単位部材は、図7(b)に側面図を示すように、一つのプラズマ供給口を備えていてもよく、図7(c)に示すように複数のプラズマ供給口を備えていてもよい。小さい基板に成膜を行う場合は、一つのプラズマ供給口からプラズマを供給してもよい。大面積の基板に成膜を行う場合は、複数のプラズマ供給口からプラズマを供給するほうが好ましい。

0019

(プラズマヘッドの製造方法)
(貼り合わせ法)
本発明に係るプラズマヘッドを構成する誘電体部材の作製を行うには、プラズマ生成通路やガス分配通路のような複雑な形状の中空部を加工する必要がある。係る中空部を有する誘電体部材は、複数の誘電体部材の表面に凹部を形成した後、凹部を有する誘電体部材同士を貼り合わせる、又は、凹部を有する誘電体部材と平坦な誘電体部材を貼り合わせて形成することが可能である。
係る方法で貼り付けて中空部を形成した誘電体部材を、さらに、電極又は誘導コイルと積層してプラズマヘッド単位部材を形成する。さらに、複数のプラズマヘッド単位をテフロン登録商標)などの緩衝部材を介して積層してプラズマヘッドを形成する。

0020

射出成形法
プラズマヘッド単位は、射出成型法を用いても作製することが可能である。電極又は誘導コイルと中子とを型の中に配置して、誘電体部材の原料を前記型の中に流し込む。その後、型から取り外し、電極又は誘導コイルは残して中子を抜きとる。作製したプラズマヘッド単位部材は、さらに、テフロン(登録商標)などの緩衝部材を介して複数積層してプラズマヘッドを形成する。

0021

(類似の先行技術との相違点
特許文献4には、複数の誘電体細管束ねたプラズマヘッドから誘電体放電により生成したプラズマを物体照射して、物体表面の改質や殺菌を行う方法が開示されている。しかし、特許文献4に開示された技術は、複数のプラズマ吹出し口を備えているものの、ガス導入口やプラズマを生成する電極が、各細管で独立したものではない。また、各細管のそれぞれに独立したガス導入口や電極を備える技術を示唆する記載もない。従って、特許文献4に記載された内容から、本発明に係る複数配置されたプラズマ生成部で異なるプラズマを発生し、プラズマヘッドと基板の間の空間でプラズマ反応させる技術を容易に考案できるものではない。
特許文献5には、TEOSなどの金属含有ガス酸素などの反応ガスを反応させ、酸化シリコンなどの金属含有薄膜を形成する技術が開示されている。しかし、特許文献5に記載された技術は、プラズマ化した反応ガスとプラズマ化していない金属含有ガスを合流させて反応させ薄膜を形成する技術であり、プラズマヘッドを複数の単位部材を並列配置して構成し、該単位部材ごとに異なるプラズマを発生させた後、係る異なるプラズマ同士の反応で薄膜を形成する本発明に係る技術とは異なる。本発明に係る技術は、複数の誘電体部材と電極を交互に積層することにより、異なるプラズマを生成するプラズマ吹出し口を極めて近接させて高密度に形成することが可能な技術であり、特許文献5に記載された内容から本発明に係る技術を容易に考案できるものではない。

0022

以上のように、本発明に係るCVD装置、及び、CVD膜の製造方法を用いることにより、例えば、太陽電池の反射防止膜形成を目的とする高品質窒化膜の低コスト製造が可能になり、エレクトロニクスの分野で大きく貢献する。

0023

以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0024

(実施例1)
(電極試験1)
本発明に係る中空部を備えた電極(上部電極)のプラズマ生成最適条件を調べるために、中空部雰囲気と流路板に流すガスの条件を変更して、プラズマが自然着火する最低供給電力を測定した。比較のため、中空部を持たない放電電極についても測定を行った。また、流路板はセラック部材により形成し、ガス通路は、流路板の側面に形成した。



なお、放電電極を構成する部材は以下のものを用いた。
電極線:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず。
セラミック部材:石英

プラズマが自然着火する電源出力が700W以下の場合が、花火放電が発生せず、プラズマ状態も安定し、成膜に適していることがわかった。その結果、プラズマを安定に維持するため流路板に流すキャリアガスとしては、N2を含まないArを用いるのが好適であることがわかった。また、中空部の雰囲気としては、真空封止にするか、250Torr以下のAr封止とするのが好ましいことがわかった。また、封入ガスを他のガスとして行った実験により、Ar以外のNe等の貴ガスを、キャリアガス及び中空部の封入ガスとして用いた場合でもArと同様の優れた結果が得られた。

0025

(実施例2)
(電極試験2)
次に、本発明に係る電極を用い、部材の材料と流路板に流すガスの条件を変更して、プラズマが自然着火する最低供給電力を測定した。なお、放電電極は中空部あり、貴ガス封入(250Torr)とした。また、流路板は耐熱性金属部材により形成し、ガス通路は、流路板の側面に形成した。




条件1:直線状電極線(Ni合金)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英、Ni合金はNi−W合金を用いた。
条件2:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo合金)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英、Mo合金はMo−W合金を用いた。
条件3:直線状電極線(Th・1重量%含有W)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英
条件4:直線状電極線(Th・4重量%含有W)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英
条件5:直線状電極線(Th・10重量%含有W)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英
条件6:直線状電極線(ThO・4重量%含有W)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英
条件7:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は透光性アルミナ
条件8:コイル状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英

0026

(実施例3)
(電極試験3)
次に、本発明に係る電極を用い、電極線の表面に形成するエミッタ材からなる層と流路板に流すガスの条件を変更して、プラズマが自然着火する最低供給電力を測定した。なお、放電電極は中空部あり、貴ガス封入(250Torr)とした。




条件9:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず、セラミック部材は石英
条件10:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のTiSrOをにかわ塗布・焼成により形成、セラミック部材は石英
条件11:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のMgOをにかわ塗布・焼成により形成、セラミック部材は石英
条件12:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のTiOをにかわ塗布・焼成により形成、セラミック部材は石英
条件13:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のTiSrOをMOCVDにより形成、セラミック部材は石英
条件14:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のMgOをMOCVDにより形成、セラミック部材は石英
条件15:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材として、ペロブスカイト型結晶構造のTiOをMOCVDにより形成、セラミック部材は石英

0027

(実施例4)
(窒化膜の成膜評価1)
誘電体バリア放電用に準備した電極を利用して、高周波電源、或いは、低周波電源を用い、大気圧プラズマを発生させる場合、単に上部及び下部電極間に適切な実行電圧を印加することに加え、例えば、下部電極にバイアスとして電圧を印加し、基板表面に衝突する電子、或いは、荷電した反応分子衝突エネルギー和らげ、基板のダメージを制御し目的とする反応がより良く進行するようにすることもできる。電極と基板間だけでなく、電極と電極の間でプラズマが発生するようにバイアス電圧を印加して窒化シリコン膜を堆積し、膜質を評価した。
図9(a)、(b)、(c)は、本発明の実施例に係るCVD装置のプラズマヘッドの断面図である。図9(a)は、基板をアース電位として、複数の電極に対し順に正のバイアス電圧、負のバイアス電圧を印加した場合のプラズマの生成状態を示す図である。図9(b)は、図9(a)における基板電位フローティングとした場合である。図9(c)は、基板をアース電位として、全ての電極に正のバイアス電圧を印加した場合のプラズマの生成状態を示す図である。
堆積膜を評価したところ、図9(a)に示す場合は、グロー放電による安定したプラズマが生成し、緻密な薄膜が得られたのに対し、図9(b)、(c)の場合は、グロー放電による安定したプラズマが生成したものの、図9(a)の場合にくらべ緻密さに欠ける薄膜が得られた。図9(a)の場合は、隣接する電極間でもプラズマが形成され、プラズマ領域が広く、成膜速度が大きくなる。また、基板に対する正イオンの衝突が緩和されるので、堆積膜におけるダメージが小さくなるものと考えられる。




なお、放電電極を構成する部材は以下のものを用いた。プラズマ励起周波数は13.56MHzを用いた。
中空部あり、真空封止
電極線:直線状電極線(Ni)、一端が金属箔(Mo)に接続、エミッタ材は使用せず。
セラミック部材:石英
従来法として熱CVD法により窒化膜を形成する場合と比較した。本発明の成膜法では、図9(a)、(b)、(c)に示すいずれのバイアス印加の場合も熱CVD法と比較し、堆積速度の向上がみられた。その中でも、図9(a)に示すバイアス印加の場合に、特に高い成膜速度が得られた。一方、堆積した膜の膜質を評価するために、緩衝フッ酸によるエッチング速度を評価した。エッチング速度が小さいほど膜質が緻密であることを示す。熱CVD法では堆積速度は低いものの緻密な膜の形成が可能である。それに対し、図9
(a)、(b)、(c)に示すプラズマヘッドを用いた本発明によるCVD法の中では、特に図9(a)に示す場合が最も膜質が緻密になることがわかった。

0028

(実施例5)
(窒化膜の成膜評価2)
実施例4と同様の成膜評価実験を、プラズマ励起周波数を変化させて行った。

0029

(実施例6)
アルゴンイオン等の正イオンの衝突による基板ダメージの緩和を目的として、基板側に正のバイアス電圧を印加する方式の効果を評価した。図10は、本発明の実施例に係るCVD装置のプラズマヘッドの断面図である。堆積基板324の下に誘電体基板325を配置し、その下にバイアス電圧印加電極326を配置した。バイアス電圧印加電極326には、電源327により正のバイアス電圧を印加している。電極322から堆積基板324に向かうアルゴンの正イオン328による基板ダメージがバイアス電圧印加電極326により形成される電界により緩和されると考えられる。実験の結果、堆積した薄膜の膜質は、電源327により正のバイアス電圧を印加した場合は印加しなかった場合に比べ、より緻密になっていることがわかった。

0030

(実施例7)
放電電極の冷却の効果を調べるため、13.56MHzで2000W
RF電力でArガスプラズマを1時間発生し続けた後、電極温度を測定した。その結果、冷却を行わない場合は、電極温度が150℃になったのに対し、Arガス及び窒素ガスで冷却した場合、それぞれの電極温度は50℃、60℃と十分な冷却の効果が得られた。

0031

1、2、3プラズマヘッド単位部材
4、11、15ガス導入口
5、12、16誘電体部材
6、13、17プラズマ生成通路
7、14、18プラズマ供給口
8、9電極
10緩衝部材
21、22、23 プラズマヘッド単位部材
24。35ガス分配通路
25、33 誘電体部材
26、36 プラズマ生成通路
27、37 プラズマ供給口
28、29 電極
30 緩衝部材
31 ガス分配通路領域
32 プラズマ生成通路領域
34ガス供給配管
41、47、51 ガス導入口
42、48、52 誘電体部材
43、49、53 プラズマ生成通路
44、50、54 プラズマ供給口
45、46 電極
61、66、71 ガス導入口
62、67、72 誘電体部材
63、68、73 プラズマ生成通路
65、70、75 プラズマ供給口
64、69、74誘導コイル
81、88、95 ガス導入口
82、89、96 誘電体部材
83、90、97 プラズマ生成通路
85、91、98 プラズマ供給口
84、92、99 誘導コイル
86、87、93、94コイル端子
101、102原料ガス供給ユニット
103電源
104 プラズマヘッド
105、106プラズマ
107プラズマ反応領域
108薄膜
109基板
110基板搬送ユニット
111 ガス導入口
112 電源
113容器
114、115 電極
116、117固体誘電体
118 プラズマ
119 プラズマ吹出し口
120 薄膜
121 基板
201、202流路板
203、204石英部材
205、206電極線
207、208ガスフローの方向
209 基板
210支持部材
211、215 石英部材
212、216 電極線
213、217電極引き出し線
214 開口部
218封止部
301、306、311、321 流路板
302、307、312、322放電電極
303、308、313、323 プラズマ
304、309、314、324 基板
305、310、315、325誘電体基板
326バイアス電圧印加電極
327バイアス電圧印加電源
328アルゴン正イオン
331、335、339 流路板
332、336、340流路
333、334、337、338、341、342 誘電体部材

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