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技術 一方向性電磁鋼板用熱延板およびその製造方法、ならびにその一方向性電磁鋼板の製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 山縣龍太郎田中一郎藤村浩志
出願日 2015年12月16日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-245612
公開日 2017年6月22日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-110263
状態 特許登録済
技術分野 電磁鋼板の製造 軟質磁性材料
主要キーワード 総析出量 冷却到達温度 一次結晶粒 熱伝導解析 表面近傍領域 ランダム方位 オストワルド成長 析出密度
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

本発明は、変圧器の効率を向上させる鉄心材料に使用される薄手一方向性電磁鋼板において二次再結晶組織を安定化させることができるように、インヒビター制御や結晶粒径の制御を行った一方向性電磁鋼板用熱延板を提供することを目的とする。

解決手段

質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板。

概要

背景

一方向性電磁鋼板変圧器鉄心材料として使用される。一方向性電磁鋼板は、磁化される方向に高い磁束密度を持つことが求められるので、二次再結晶を利用してGossと呼ばれる磁気特性に優れた結晶方位を選択的に成長させて製造する機能材料である。

近年変圧器のエネルギー効率の向上のため、一方向性電磁鋼板の鉄損をさらに低減させることが求められている。一方向性電磁鋼板は板厚を薄くすると鉄損が低減できるので、薄手の一方向性電磁鋼板が求められるようになっている。

一方向性電磁鋼板の鉄損を下げるためには、二次再結晶の発現機構に関連するインヒビターとなる析出物を適切に制御して、Goss集積度の高い二次再結晶組織を得て、磁束密度を向上させなければならない。インヒビターとして用いられる析出物は、一般的には硫化物(MnS等)や窒化物(AlN等)が知られている。インヒビター制御に関する研究は従来から行われているが、MnSを完全溶体化させた後、インヒビターとしてMnSを微細析出させる熱間圧延工程は、二次再結晶組織を安定化させて高磁束密度の一方向性電磁鋼板を製造することを実現する上で重要なプロセスである。また、熱間圧延工程により得られる熱延板に析出するMnSは、続く熱延板焼鈍でのAlNの析出サイトとなり、AlNとともに、冷間圧延後の鋼板にさらに続く脱炭焼鈍を行うことにより得られる一次再結晶粒粒径を決定する。このため、熱延板に析出するMnSは、直接的または間接的に二次再結晶の挙動を支配する。

また、二次再結晶は、仕上げ焼鈍雰囲気の影響を受けやすい鋼板表面近傍で、AlNの酸化などによるインヒビター強度の低下を起点として開始するが、板厚が薄くなると仕上げ焼鈍中雰囲気の影響を受ける板厚方向の領域の割合が大きくなる。そのため、板厚が薄いほどAlNインヒビターの酸化によるインヒビター強度の低下は急速に起こるようになり、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性が弱くなるので、正常粒成長首振りGossの優先成長が発生しやすくなり、二次再結晶が不安定になる。さらに、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性が弱くなる他の理由としては、Goss以外のランダム方位を持つ一次結晶粒がGoss方位粒よりも大きくなることも挙げられる。

したがって、二次再結晶組織を安定化させて高磁束密度の一方向性電磁鋼板を製造することを実現する上では、二次再結晶時において鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性をさらに高めるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行う必要がある。そして、このような一次再結晶集合組織の制御を行うためには、熱間圧延工程の条件を制御すればよい。

熱間圧延工程の条件を制御する技術としては、例えば、特許文献1〜4に開示された技術が知られている。特許文献1に開示された技術では、析出物の完全溶体化後の一方向性電磁鋼板用鋳片の熱延工程について温度および時間の条件を特定しており、徐冷却を特徴とする熱延工程によって、インヒビターとして用いられるMnSを高い分布密度で均一に微細粒として析出させて、磁気特性を向上させるものである。しかしながら、この技術では、特に薄手材で生ずる二次再結晶の不均一さを解消することはできない。

また、特許文献2に開示された技術では、スラブをいったん冷却後再加熱し、再加熱後のスラブに熱間圧延を施している。しかしながら、この技術は、鋼板の表面性状の改善の効果が得られるものの、二次再結晶組織を安定化させるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行うものではない。

また、特許文献3に開示された技術では、スラブを加熱して熱間圧延した後に再加熱し、再加熱後の鋼板を再度熱間圧延する熱間圧延工程において、圧延温度およびパス間時間を規定している。しかしながら、この技術は、超高珪素鋼を製造する場合に、熱間圧延工程において耳割れを生じさせないことを目的とするものであり、珪素濃度が3質量%前後の鋼において二次再結晶組織を安定化させるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行うものではない。

また、特許文献4に開示された技術では、スラブを加熱して熱間圧延した後に再加熱し、再加熱後の鋼板を再度熱間圧延することによって、結晶粒径の制御を行っている。しかしながら、この技術では、最初の熱間圧延後の再加熱時に、析出物の容体化が行われているので、二次再結晶組織を安定化させるといった効果が得られない。

概要

本発明は、変圧器の効率を向上させる鉄心材料に使用される薄手の一方向性電磁鋼板において二次再結晶組織を安定化させることができるように、インヒビター制御や結晶粒径の制御を行った一方向性電磁鋼板用熱延板を提供することを目的とする。質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板。なし

目的

しかしながら、この技術は、超高珪素鋼を製造する場合に、熱間圧延工程において耳割れを生じさせないことを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる一方向性電磁鋼板熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板。

請求項2

板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする請求項1に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板。

請求項3

板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの分布密度に対する板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの分布密度の比が1.10以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板。

請求項4

前記Feの一部に代えて、質量%で、Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0002%以上0.02%以下、ならびにSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0004%以上0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の一方向性電磁鋼板用熱延板。

請求項5

質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳片に熱間圧延を施す熱間圧延工程において、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される圧延の真歪みを、前記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法。

請求項6

前記熱間圧延工程において、表面温度にして900℃以下まで冷却した前記鋳片を、雰囲気温度が1200℃以上の加熱炉装入して、装入後1時間以内に前記加熱炉から抽出した前記鋳片に前記熱間圧延を施すことを特徴とする請求項5に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法。

請求項7

前記熱間圧延工程において、圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上から600〜750℃以下まで2℃/s以上の平均冷却速度で冷却して600〜750℃の温度域に0s〜300s保持した後に、前記圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上1150℃以下の温度まで加熱した後さらに圧延を施すことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法。

請求項8

前記熱間圧延工程において、前記鋳片を表面温度にして1250〜1400℃に加熱した後に、前記加熱後の鋳片に前記熱間圧延を施すことを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれかに記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法。

請求項9

前記鋳片が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0002%以上0.02%以下、ならびにSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0004%以上0.5%以下をさらに含有することを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれかに記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法。

請求項10

請求項5から請求項9までのいずれかに記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法を行って一方向性電磁鋼板用熱延板を製造する熱延板製造工程と、前記一方向性電磁鋼板用熱延板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、前記熱延板焼鈍後の鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、前記冷間圧延後の鋼板に脱炭焼鈍を施す脱炭焼鈍工程と、前記脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。

請求項11

前記熱延板焼鈍工程において、前記一方向性電磁鋼板用熱延板を900〜1050℃の温度域に60s以上保持する熱延板焼純を施すことを特徴とする請求項10に記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。

請求項12

前記脱炭焼鈍工程において、前記冷間圧延後の鋼板を、350℃以下の温度から700℃以上850℃以下の温度まで昇温する昇温過程において100℃/s以上の昇温速度で加熱した後に、前記冷間圧延後の鋼板に前記脱炭焼鈍を施すことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、変圧器鉄心材料に使用される一方向性電磁鋼板を製造するために用いられる析出物が制御された一方向性電磁鋼板用熱延板およびその製造方法、ならびにその一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。

背景技術

0002

一方向性電磁鋼板は変圧器の鉄心材料として使用される。一方向性電磁鋼板は、磁化される方向に高い磁束密度を持つことが求められるので、二次再結晶を利用してGossと呼ばれる磁気特性に優れた結晶方位を選択的に成長させて製造する機能材料である。

0003

近年変圧器のエネルギー効率の向上のため、一方向性電磁鋼板の鉄損をさらに低減させることが求められている。一方向性電磁鋼板は板厚を薄くすると鉄損が低減できるので、薄手の一方向性電磁鋼板が求められるようになっている。

0004

一方向性電磁鋼板の鉄損を下げるためには、二次再結晶の発現機構に関連するインヒビターとなる析出物を適切に制御して、Goss集積度の高い二次再結晶組織を得て、磁束密度を向上させなければならない。インヒビターとして用いられる析出物は、一般的には硫化物(MnS等)や窒化物(AlN等)が知られている。インヒビター制御に関する研究は従来から行われているが、MnSを完全溶体化させた後、インヒビターとしてMnSを微細析出させる熱間圧延工程は、二次再結晶組織を安定化させて高磁束密度の一方向性電磁鋼板を製造することを実現する上で重要なプロセスである。また、熱間圧延工程により得られる熱延板に析出するMnSは、続く熱延板焼鈍でのAlNの析出サイトとなり、AlNとともに、冷間圧延後の鋼板にさらに続く脱炭焼鈍を行うことにより得られる一次再結晶粒粒径を決定する。このため、熱延板に析出するMnSは、直接的または間接的に二次再結晶の挙動を支配する。

0005

また、二次再結晶は、仕上げ焼鈍雰囲気の影響を受けやすい鋼板表面近傍で、AlNの酸化などによるインヒビター強度の低下を起点として開始するが、板厚が薄くなると仕上げ焼鈍中雰囲気の影響を受ける板厚方向の領域の割合が大きくなる。そのため、板厚が薄いほどAlNインヒビターの酸化によるインヒビター強度の低下は急速に起こるようになり、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性が弱くなるので、正常粒成長首振りGossの優先成長が発生しやすくなり、二次再結晶が不安定になる。さらに、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性が弱くなる他の理由としては、Goss以外のランダム方位を持つ一次結晶粒がGoss方位粒よりも大きくなることも挙げられる。

0006

したがって、二次再結晶組織を安定化させて高磁束密度の一方向性電磁鋼板を製造することを実現する上では、二次再結晶時において鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性をさらに高めるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行う必要がある。そして、このような一次再結晶集合組織の制御を行うためには、熱間圧延工程の条件を制御すればよい。

0007

熱間圧延工程の条件を制御する技術としては、例えば、特許文献1〜4に開示された技術が知られている。特許文献1に開示された技術では、析出物の完全溶体化後の一方向性電磁鋼板用鋳片の熱延工程について温度および時間の条件を特定しており、徐冷却を特徴とする熱延工程によって、インヒビターとして用いられるMnSを高い分布密度で均一に微細粒として析出させて、磁気特性を向上させるものである。しかしながら、この技術では、特に薄手材で生ずる二次再結晶の不均一さを解消することはできない。

0008

また、特許文献2に開示された技術では、スラブをいったん冷却後再加熱し、再加熱後のスラブに熱間圧延を施している。しかしながら、この技術は、鋼板の表面性状の改善の効果が得られるものの、二次再結晶組織を安定化させるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行うものではない。

0009

また、特許文献3に開示された技術では、スラブを加熱して熱間圧延した後に再加熱し、再加熱後の鋼板を再度熱間圧延する熱間圧延工程において、圧延温度およびパス間時間を規定している。しかしながら、この技術は、超高珪素鋼を製造する場合に、熱間圧延工程において耳割れを生じさせないことを目的とするものであり、珪素濃度が3質量%前後の鋼において二次再結晶組織を安定化させるために、インヒビター制御や結晶粒径の制御といった一次再結晶集合組織の制御を行うものではない。

0010

また、特許文献4に開示された技術では、スラブを加熱して熱間圧延した後に再加熱し、再加熱後の鋼板を再度熱間圧延することによって、結晶粒径の制御を行っている。しかしながら、この技術では、最初の熱間圧延後の再加熱時に、析出物の容体化が行われているので、二次再結晶組織を安定化させるといった効果が得られない。

先行技術

0011

特開昭48−69720号公報
特開平5−179347号公報
特開平6−150162号公報
特開昭48−53919号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、変圧器の効率を向上させる鉄心材料に使用される薄手の一方向性電磁鋼板において二次再結晶組織を安定化させることができるように、熱間圧延工程においてインヒビター制御や結晶粒径の制御を行った一方向性電磁鋼板用熱延板およびその製造方法、ならびにその一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記課題を解決すべく、薄手の一方向性電磁鋼板において不均一な二次再結晶が発現する原因を調査した。その結果、二次再結晶での優先成長性は、一次再結晶完了時に粒径が大きい方位粒で高まることから、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を安定化させるためには、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒を含む結晶粒平均粒径中心領域よりも粗大化させておき、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を維持させることが有効であることが分かった。

0014

そして、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒を含む結晶粒の平均粒径を中心領域よりも粗大化させておくことができるような熱延板および熱間圧延の条件を検討した結果、表面近傍領域における結晶粒の平均粒径が中心領域よりも大きい熱延板、および鋼板の表面近傍領域の温度が中心領域の温度よりも高い条件下で熱間圧延の全部または一部を施すことが、実用的に適用可能であるとの知見を得た。

0015

本発明はこれらの知見を基になされたものであり、その要旨は、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板である。

0016

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板である。

0017

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの分布密度に対する板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの分布密度の比が1.10以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板である。

0018

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板であって、上記Feの一部に代えて、質量%で、Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0002%以上0.02%以下、ならびにSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0004%以上0.5%以下を含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板である。

0019

また、他の要旨は、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.5〜4.0%、Mn:0.05〜0.1%、S:0.01〜0.04%、Al:0.01〜0.05%、およびN:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳片に熱間圧延を施す熱間圧延工程において、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される圧延の真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法である。

0020

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法であって、上記熱間圧延工程において、表面温度にして900℃以下まで冷却した上記鋳片を、雰囲気温度が1200℃以上の加熱炉装入して、装入後1時間以内に上記加熱炉から抽出した上記鋳片に上記熱間圧延を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法である。

0021

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法であって、上記熱間圧延工程において、圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上から600〜750℃以下まで2℃/s以上の平均冷却速度で冷却して600〜750℃の温度域に0s〜300s保持した後に、上記圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上1150℃以下の温度まで加熱した後さらに圧延を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法である。

0022

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法であって、上記熱間圧延工程において、上記鋳片を表面温度にして1250〜1400℃に加熱した後に、上記加熱後の鋳片に上記熱間圧延を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法である。

0023

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法であって、上記鋳片が、上記Feの一部に代えて、質量%で、Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0002%以上0.02%以下、ならびにSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.0004%以上0.5%以下をさらに含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法である。

0024

さらに、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法を行って一方向性電磁鋼板用熱延板を製造する熱延板製造工程と、上記一方向性電磁鋼板用熱延板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、上記熱延板焼鈍後の鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延後の鋼板に脱炭焼鈍を施す脱炭焼鈍工程と、上記脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法である。

0025

また、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記熱延板焼鈍工程において、上記一方向性電磁鋼板用熱延板を900〜1050℃の温度域に60s以上保持する熱延板焼純を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法である。

0026

さらに、他の要旨は、上述の一方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記脱炭焼鈍工程において、上記冷間圧延後の鋼板を、350℃以下の温度から700℃以上850℃以下の温度まで昇温する昇温過程において100℃/s以上の昇温速度で加熱した後に、上記冷間圧延後の鋼板に上記脱炭焼鈍を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法である。

発明の効果

0027

本発明によれば、均一な二次再結晶を発現させることによって磁気特性を優れたものとした薄手の超低鉄損一方向性電磁鋼板を製造するために用いられる一方向性電磁鋼板用熱延板およびその製造方法、ならびにその一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することができる。

0028

以下、本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板およびその製造方法、ならびにその一方向性電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。

0029

A.一方向性電磁鋼板用熱延板
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板は、下記化学成分を有する一方向性電磁鋼板用熱延板であって、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比が1.10以上であることを特徴とするものである。以下、本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板について詳細に説明する。

0030

1.化学成分
以下、本発明における化学成分の限定理由について詳細に説明する。以下において、各成分の含有量は質量%での値である。

0031

(1)C
Cを添加すると、形成されるオーステナイト相によって熱延時のMnSの核生成、成長を制御できるため有用な元素であるが、0.1%を超えて添加されると脱炭または純化を困難にする。Cが製品板に残存した場合、磁気特性が劣化する時効現象惹起するため、含有量の上限を0.1%とする。

0032

(2)Si
Siは、固有抵抗を高めて、鉄損を低減するのに有用な元素のため、2.5〜4.0%添加する。過剰に添加した場合、熱間圧延または冷間圧延が困難になるため、含有量の上限を4.0%とする。

0033

(3)Mn
Mnは、MnSを熱間圧延中に微細析出させるために必要な元素であるため、0.05〜0.1%添加する。含有量がこれより少ない場合、十分なMnSの体積率が得られず、組織制御ができなくなるため、含有量の下限を0.05%とする。また、過剰にMnを添加しても組織制御への改善効果が得られないため、含有量の上限を0.1%とする。

0034

(4)S
Sは、Mnと同様に、MnSを析出させるための必須元素であるため、0.01〜0.04%添加する。含有量がこれより少ない場合、十分なMnSの体積率が得られず、組織制御ができなくなるため、含有量の下限を0.01%とする。過剰に添加した場合、MnSが粗大化し易くなること、および赤熱脆化で熱延が困難になることから、含有量の上限を0.04%とする。

0035

(5)Al
Alは、MnSを微細析出せしめる熱間圧延後の熱延板を焼鈍することで、微細MnSと地鉄との界面上に微細AlNを析出させるために必要な元素であり、一方向性電磁鋼板の磁束密度を向上させることを目的として、0.01〜0.05%添加する。含有量がこれより少ない場合、AlNの有効な析出量が得られず、仕上げ焼鈍時の組織制御に寄与できず、一方向性電磁鋼板の磁束密度が向上しないため、含有量の下限を0.01%とする。また、含有量がこれより大きい場合、AlNの成長が速くなり、また熱間圧延でAlNが単独で析出しやすくなることで、AlNが比較的粗大に析出し、二次再結晶において有効なピン止め力を発揮せず、Goss方位粒の優先成長に悪影響が及んで磁束密度が低下するため、含有量の上限を0.05%とする。

0036

(6)N
Nは、Alと同様に、熱延板を焼鈍して微細AlNを析出させるのに必要な元素であり、0.001〜0.030%添加する。含有量がこれより少ない場合、微細AlNの有効な析出量が得られず、仕上げ焼鈍時の組織制御に必要な粒界ピン止め力を発揮することができないから、含有量の下限を0.001%とする。また、含有量がこれより大きい場合、熱間圧延でAlNが単独析出しやすくなることで、AlNが比較的粗大に析出し、二次再結晶において有効なピン止め力を発揮せず、Goss方位粒の優先成長に悪影響が及んで磁束密度が低下するため、含有量の上限を0.030%とする。

0037

(7)その他
Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上を、合計で0.02%以下添加し、かつSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上を、合計で0.5%以下添加することが好ましい。後述の「B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法 1.熱間圧延工程」に記載の熱間圧延工程においては、上記加熱後の鋳片の板厚中心温度が表面温度よりも低くなることにより、粒界易動度が上記加熱後の鋳片の中心領域において表面近傍領域よりも小さくなる。さらに、上述の元素の偏析により粒界の移動速度が遅くなるため、上記加熱後の鋳片の中心領域において表面近傍領域よりも結晶粒径は顕著に小さくなる。この結果、一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径を、板厚1/5層〜中心の中心領域よりも顕著に粗大化させておくことができるので、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。
なお、Sn、Bi、Tepb、SbおよびSe、ならびにSb、Sn、およびPは、Feの一部に代えて、添加されるものである。

0038

(8)残部
残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうち粒成長性に悪影響を及ぼすTi、V、Nb、Zrは極力低減することが望ましく、それぞれ0.008%以下とすることが好ましい。

0039

2.結晶粒の平均粒径
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比は1.10以上である。これにより、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒を含む結晶粒の平均粒径を中心領域よりも粗大化させておくことができるので、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を安定化させることができる。
ここで、本発明において、「結晶粒の平均粒径」とは、観察された複数の結晶粒について、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め、平均した値を意味する。

0040

板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径の比は、1.10以上であることが好ましく、中でも1.20以上であることが好ましい。鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持できるからである。

0041

3.析出物
以下、MnSの析出物について詳細に説明する。

0042

(1)平均粒径
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの平均粒径の比は1.10以上であることが好ましい。MnSが表層近傍領域よりも中心領域において微細かつ高密度になることによって、表面近傍領域において一次再結晶組織をGoss方位粒の優先成長に顕著に有利な組織にし、仕上げ焼鈍時に中心領域の一次再結晶粒の成長を顕著に抑制することができるので、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。

0043

ここで、本発明において、「MnSの平均粒径」とは、観察された複数のMnSについて、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め、平均した値を意味する。一方向性電磁鋼板用熱延板において、MnSの総析出量が同一である場合、MnSの平均粒子径が小さいほど、MnSは高い分布密度で析出する。

0044

板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの平均粒径に対する板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの平均粒径の比は、中でも1.20以上であることが好ましく、特に1.30以上であることが好ましい。均質微細なMnSが中心領域で結晶粒成長を抑制するとともに、高温では中心領域の結晶粒成長を抑制しながら、表層近傍領域のMnSがオストワルド成長することで二次再結晶が開始し、結晶粒をさん食して進行する二次再結晶が顕著に起こりやすくなるからである。

0045

板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの平均粒径は、80nm〜300nmであることが好ましく、中でも80nm〜200nm、特に80nm〜160nmであることが好ましい。MnSがこの平均粒径にある場合、尖鋭な二次再結晶組織が得られるからである。また、板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの平均粒径は、50nm〜200nmであることが好ましく、中でも50nm〜180nm、特に50nm〜120nmであることが好ましい。中心領域に微細なMnSを分散させることで、仕上げ焼鈍中の中心領域の結晶粒成長が抑制され、二次再結晶が顕著に安定化されるからである。

0046

(2)分布密度
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域におけるMnSの分布密度に対する板厚1/5層〜中心の中心領域におけるMnSの分布密度の比は1.10以上であることが好ましい。MnSが表面近傍領域よりも中心領域において微細かつ高密度になることによって、表面近傍領域において一次再結晶組織をGoss方位粒の優先成長に顕著に有利な組織にし、仕上げ焼鈍時に中心領域の一次再結晶粒の成長を顕著に抑制することができるので、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。

0047

ここで、本発明において、「MnSの分布密度」とは、鏡面研磨した断面を観察して数えたMnSの個数観察視野面積で除した値を意味する。

0048

4.板厚
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板は、薄手の一方向性電磁鋼板を製造する時に均一な二次再結晶を発現させるようなインヒビター制御を行って得られることを前提としている。そのため熱延板の板厚は2.3mm以下、好ましくは2.1mm以下、より好ましくは2.0mm以下とし、その後の冷間圧延工程では85%以上、92%以下の圧下率で冷間圧延を施し最終板厚とするのが好ましい。一方、冷間圧延後の板厚が極度に薄くなり、本発明による改善が見られないため、熱延板の板厚は1.5mm以上とするのが好ましい。

0049

5.製造方法
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板は、後述の「B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法」に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法により製造することが好適である。

0050

B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法は、上述の化学成分を有する鋳片に熱間圧延を施す熱間圧延工程を有する。以下、本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法について説明する。

0051

1.熱間圧延工程
熱間圧延工程においては、上述の化学成分を有する鋳片に熱間圧延を施す。また、上記熱間圧延工程においては、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される圧延の真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とする。これにより、一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径を、板厚1/5層〜中心の中心領域よりも粗大化させておくことができる。この結果、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒を含む結晶粒の平均粒径を中心領域よりも粗大化させておくことができるので、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を安定化させることができる。ここで、上記熱間圧延全体の真歪みは50%以上であることが好ましい。これにより、MnSの析出が促進され、上記の効果が顕著に高まるからである。

0052

ここで、本発明において、「鋼板の表面温度Ts」とは、接触式温度計あるいは放射温度計によって測定した温度を意味する。また、本発明において、「鋼板の板厚中心温度Tc」とは、通常公知の差分法による熱伝導解析により求めた温度を意味する。

0053

上述の化学成分を有する鋳片は、例えば、転炉または電気炉等により鋼を溶製して、必要に応じて真空脱ガス処理し、次いで連続鋳造もしくは造塊後分塊圧延することによって得られる。

0054

上記熱間圧延工程においては、上記鋳片に粗圧延および仕上げ圧延を施して所望の板厚の熱延板に仕上げる。このとき、後述の条件で上記鋳片を加熱した後に上記熱間圧延を施してもよい。また、上記粗圧延において1または2以上の圧延パスを施した鋼板に、後述の条件で冷却して保持した後に、さらに加熱して上記仕上げ圧延を施してもよい。

0055

上記熱間圧延工程において、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される圧延の真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とするとは、上記粗圧延および仕上げ圧延の全ての圧延パスから任意に選択した1または2以上の圧延パスを上記関係を満たす状態で鋼板に行い、上記関係を満たす状態で鋼板に行う上記1または2以上の圧延パスの真歪みを、上記粗圧延および仕上げ圧延の全ての圧延パスの真歪みの40%以上とすることを意味する。

0056

また、上記熱間圧延工程において、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される圧延の真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とする操業管理の条件としては、主に、以下の二つの好ましい条件がある。

0057

第1の条件では、表面温度にして900℃以下まで冷却した上記鋳片を、雰囲気温度が1200℃以上の加熱炉に装入して、装入後1時間以内に上記加熱炉から抽出した上記鋳片に上記熱間圧延を施す。これにより、上記鋳片の表面温度と板厚中心温度との差が確保され、続く上記熱間圧延工程において、1または2以上の圧延パスを、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に行う。そして、上記関係を満たす状態で鋼板に行う上記1または2以上の圧延パスの真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とする。

0058

第2の条件では、圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上から600〜750℃以下まで2℃/s以上の平均冷却速度で冷却して600〜750℃の温度域に0s〜300s保持した後に、上記圧延後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上1150℃以下の温度まで加熱した後さらに圧延を施す。具体的には、例えば、上記粗圧延または仕上げ圧延において行われる1または2以上の圧延パス後の鋼板を、表面温度Tsにして1100℃以上から600〜750℃以下まで2℃/s以上の平均冷却速度で冷却して600〜750℃の温度域に0s〜300s保持した後に、上記1または2以上の圧延パス後の鋼板を表面温度Tsにして1100℃以上1150℃以下の温度まで加熱した後さらに仕上げ圧延において1または2以上の圧延パスを行う。

0059

これにより、上記粗圧延または仕上げ圧延において行われる1または2以上の圧延パス後の鋼板の表面温度と板厚中心温度の差が確保され、続く上記仕上げ圧延において行われる1または2以上の圧延パスを、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に行う。そして、上記関係を満たす状態で鋼板に行う上記1または2以上の圧延パスの真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とする。

0060

また、上記熱延板製造工程においては、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に施される上述の圧延のうち表面温度Ts1100〜1150℃で鋼板に施される圧延の真歪みを、上記熱間圧延全体の真歪みの40%以上とすることが好ましく、50%以上とすることがさらに好ましい。一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径を、板厚1/5層〜中心の中心領域よりも顕著に粗大化させておくことができる。この結果、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒を含む結晶粒の平均粒径を中心領域よりも顕著に粗大化させておくことができるので、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができる。

0061

また、上記熱間圧延工程においては、上記鋳片を表面温度にして1250〜1400℃に加熱した後に、上記加熱後の鋳片に上記熱間圧延を施すことが好ましい。上記熱間圧延を施す前に既に析出しているMnSを完全に溶体化させることができるため、上記熱間圧延を施すことによって、板厚1/5層〜中心の中心領域においてMnSを板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域よりも、より微細かつ高密度に析出させることができる。これにより、中心領域において結晶粒の成長を顕著に抑制することで、一次再結晶組織をGoss方位粒の優先成長に顕著に有利な組織にし、仕上げ焼鈍時に一次再結晶粒の成長を顕著に抑制することができるので、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。

0062

さらに、上記熱間圧延工程においては、上記鋳片が、上記Feの一部に代えて、質量%で、Bi、Pb、As、およびTeからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.02%以下、ならびにSb、Sn、およびPからなる群から選ばれる1種または2種以上:合計で0.5%以下をさらに含有することが好ましい。上記熱間圧延工程においては、上記加熱後の鋳片の板厚中心温度が表面温度よりも低くなることにより、粒界易動度が上記加熱後の鋳片の中心領域において表面近傍領域よりも小さくなる。さらに、上述の元素の偏析により粒界の移動速度が遅くなるため、上記加熱後の鋳片の中心領域において表面近傍領域よりも結晶粒径は顕著に小さくなる。この結果、一方向性電磁鋼板用熱延板において、板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径を、板厚1/5層〜中心の中心領域よりも顕著に粗大化させておくことができるので、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性を顕著に維持させて、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。

0063

2.一方向性電磁鋼板用熱延板
本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法によって製造される一方向性電磁鋼板用熱延板としては、特に限定されるものではないが、上述の「A.一方向性電磁鋼板用熱延板」に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板が好ましい。より均一な二次再結晶を発現させることによってより磁気特性を優れたものとした薄手の一方向性電磁鋼板を製造するために用いることができるからである。

0064

C.一方向性電磁鋼板の製造方法
本発明の一方向性電磁鋼板の製造方法は、上述の「B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法」に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法を行って一方向性電磁鋼板用熱延板を製造する熱延板製造工程と、上記一方向性電磁鋼板用熱延板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、上記熱延板焼鈍後の鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延後の鋼板に脱炭焼鈍を施す脱炭焼鈍工程と、上記脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の一方向性電磁鋼板の製造方法における各工程について説明する。

0065

1.熱延板製造工程
上記熱延板製造工程においては、上述の「B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法」に記載の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法を行って一方向性電磁鋼板用熱延板を製造する。

0066

熱延板製造条件は、上記「B.一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法 1.熱間圧延工程」の項目に記載の通りである。また、一方向性電磁鋼板用熱延板の構成は、上記「A.一方向性電磁鋼板用熱延板」の項目に記載の通りである。

0067

2.熱延板焼鈍工程
上記熱延板焼鈍工程においては、上記一方向性電磁鋼板用熱延板に熱延板焼鈍を施す。

0068

熱延板焼鈍条件は、特に限定されるものではないが、上記熱延板焼鈍工程においては、上記一方向性電磁鋼板用熱延板を900〜1050℃の温度域に60s以上保持することが好ましい。熱延板焼鈍をこのような条件で施すことにより、AlNが析出してインヒビターとして作用する結果、二次再結晶組織におけるGoss方位への集積度が顕著に向上するからである。
上記熱延板焼鈍工程においては、上記仕上げ熱延後の鋼板をコイル状に巻き取り自己保有熱にて上記の温度域に保持してもよいし、冷却後の熱延板に焼鈍を施して上記の温度域に保持してもよい。

0069

3.冷間圧延工程
上記冷間圧延工程においては、上記熱延板焼鈍後の鋼板に冷間圧延を施す。

0070

4.脱炭焼鈍工程
上記脱炭焼鈍工程においては、上記冷間圧延後の鋼板に脱炭焼鈍を施す。

0071

脱炭焼鈍条件は特に限定されるものではないが、上記脱炭焼鈍工程においては、上記冷間圧延後の鋼板を、350℃以下の温度から700℃以上850℃以下の温度まで昇温する昇温過程において100℃/s以上の昇温速度で加熱した後に、上記冷間圧延後の鋼板に上記脱炭焼鈍を施すことが好ましい。一次再結晶時の昇温での急速加熱の作用によって、一次再結晶完了時に、板厚方向全体においてGoss方位粒をGoss以外のランダム方位を持つ一次結晶粒よりも大きくすることができるからである。これにより、本発明における熱延板の組織による作用との相乗効果が生じることで、一次再結晶完了時点において、表面近傍領域におけるGoss方位粒の平均粒径が顕著に大きくなり、二次再結晶時に鋼板表面近傍におけるインヒビター強度の低下が急速に起こったとしても、鋼板表面近傍におけるGoss方位粒の優先成長性が顕著に維持されることが期待できる。この結果、薄手の一方向性電磁鋼板における二次再結晶組織を顕著に安定化させることができるからである。

0072

5.仕上げ焼鈍工程
上記仕上げ焼鈍工程においては、上記脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す。これにより、上記脱炭焼鈍後の鋼板において二次再結晶を起こして一方向性電磁鋼板を得る。

0073

6.その他
本発明の一方向性電磁鋼板の製造方法は、一般的に一方向性電磁鋼板の製造方法において行われる工程をさらに有するものでもよい。上述以外の代表的な工程としては、溶解、鋳造熱延巻取り、酸洗窒化焼鈍焼鈍分離剤塗布、純化焼鈍絶縁皮膜塗布が挙げられる。これらの工程は、一つの製造装置における1回の通板で複数の工程を行ってもよい。また、これらの工程は、一定の工程を複数回繰り返すことや、順番入れ替えて行ってもよい。

0074

本発明の一方向性電磁鋼板の製造方法において熱延と熱延板焼鈍で単独のAlNが析出してAlNの析出密度不足する場合は上記脱炭焼鈍工程後上記仕上げ焼鈍工程前に、窒化焼鈍を行う窒化焼鈍工程を有してもよい。これにより、AlNの析出密度が不足するのを回避することができる。

0075

上記窒化焼鈍工程においては、上記脱炭焼鈍後の鋼板を、700℃以上800℃以下の温度域に30s以上300s以下保持する窒化焼鈍を行うことが好ましい。

0076

本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

0077

以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。

0078

(実施例1)
下記表1に示す化学成分を有する鋼番号1〜16および鋼番号20〜36の鋳片を雰囲気温度が1320℃の加熱炉に装入して30分間保持することにより、表面温度にして下記表2−1に示す鋳片加熱温度Ts0に加熱した後に、加熱炉から抽出した鋳片に下記表2−1に示す条件で粗圧延および仕上げ圧延を施した。また、下記表1に示す化学成分を有する鋼番号17〜19の鋳片を表面温度にして850℃に冷却した後に、雰囲気温度が1320℃の加熱炉に装入して30分間保持することにより、表面温度にして下記表2−1に示す鋳片加熱温度Ts0に加熱した後に、加熱炉から抽出した鋳片に下記表2−1に示す条件で粗圧延および仕上げ圧延を施した。

0079

上記粗圧延では、鋼番号1〜36の鋳片について、入側での鋼板の表面温度Ts1[℃]、板厚中心温度Tc1[℃]、および板厚t1[mm]を下記表2−1に示すようにして最初の圧延パスを行った。また、上記粗圧延および仕上げ圧延において、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおける最初の圧延パスの入側での鋼板の表面温度Tss[℃]、板厚中心温度Tcs[℃]、Tss−Tcs[℃]、および板厚ts[mm]、ならびに上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおける最終の圧延パスの出側での鋼板の表面温度Tsf[℃]、板厚中心温度Tcf[℃]、Tsf−Tcf[℃]、および板厚tf[mm]を下記表2−1に示すようにして、上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスを行った。
なお、Tss、Tcs、およびtsが、Ts1、Tc1、およびt1となっている鋼番号での熱間圧延においては、上記粗圧延における最初の圧延パスが、上記粗圧延および仕上げ圧延において、上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおける最初の圧延パスに該当する。

0080

以上のように、上記粗圧延および仕上げ圧延を施すことによって、仕上げ板厚tffが2.3mmの熱延板を得た。また、上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおいて施される圧延の真歪みep[−]、および上記粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延全体の真歪みet[−]は、下記表2−1に示されるようになった。また、真歪みetに対する真歪みepの比Ce(ep/et×100)[%]は、下記表2−1に示されるようになった。

0081

さらに、得られた熱延板の板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径Ds[μm]、MnSの平均粒径ds[nm]、およびMnSの分布密度ρs[μm−2]、ならびに得られた熱延板の板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径Di[μm]、MnSの平均粒径di[nm]、およびMnSの分布密度ρi[μm−2]を調査した。また、中心領域における結晶粒の平均粒径Diに対する表面近傍領域における結晶粒の平均粒径Dsの比Ds/Di[−]、中心領域におけるMnSの平均粒径diに対する表面近傍領域におけるMnSの平均粒径dsの比ds/di[−]、および表面近傍領域におけるMnSの分布密度ρsに対する中心領域におけるMnSの分布密度ρiの比ρi/ρs[−]を算出した。結晶粒の平均粒径は観察された複数の結晶粒について、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め平均した値、MnSの平均粒径は観察された複数のMnSについて、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め平均した値、MnSの分布密度は鏡面研磨した断面を観察して数えたMnSの個数を観察視野の面積で除した値である。得られた結果を下記表2−2に示す。

0082

鋼番号20の熱延板は、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回ったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。また、鋼番号21の熱延板は、Ts0が低いために、Ts1100〜1200℃およびTc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たさない状態で熱間圧延全体が施されることになるので、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。さらに、鋼番号22の熱延板は、上記粗圧延の途中で、板厚中心温度Tcsが上昇したため、Ts1100〜1200℃およびTc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で連続して行われる複数の圧延パスにおいて施される真歪みepが小さくなり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0083

また、鋼番号24の熱延板は、鋳片加熱温度Ts0が本発明の好ましい範囲である1250〜1400℃を下回ったため、MnSの分散が不十分で、MnSの平均粒径の比ds/diおよび分布密度の比ρi/ρsが本発明の好ましい範囲を下回り、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0084

また、鋼番号25の熱延板は、鋳片加熱温度Ts0が本発明の好ましい範囲である1250〜1400℃を上回ったため、MnSの平均粒径の比ds/diおよび分布密度の比ρi/ρsが本発明の好ましい範囲を下回り、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0085

また、鋼番号26の熱延板は、C含有量が本発明の範囲を上回っているばかりか、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回ったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。さらに、鋼番号27および28の熱延板は、Si含有量が本発明の範囲外であるばかりか、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回ったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0086

また、鋼番号29および30の熱延板は、Mn含有量が本発明の範囲外であるため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。また、鋼番号31および32の熱延板は、S含有量が本発明の範囲外であるため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0087

また、鋼番号33および34の熱延板は、Al含有量が本発明の範囲外であり、後述の実施例3において、1200℃で保持する仕上げ焼鈍により二次再結晶が発現せず、磁束密度が極めて劣位な一方向性電磁鋼板が得られた。さらに、鋼番号35および36の熱延板は、N含有量が本発明の範囲外であり、後述の実施例3において、1200℃で保持する仕上げ焼鈍により二次再結晶が発現せず、磁束密度が極めて劣位な一方向性電磁鋼板が得られた。

0088

これに対して、本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法における要件満足する条件で熱間圧延を施した鋼番号1〜19の熱延板は、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内となり、MnSの平均粒径の比ds/diおよび分布密度の比ρi/ρsが本発明の好ましい範囲内となった。

0089

0090

0091

0092

(実施例2)
下記表3に示す化学組成を有する鋼番号37〜57の鋳片を雰囲気温度が1320℃の加熱炉に装入して30分間保持することにより、表面温度にして下記表4−1に示す鋳片加熱温度Ts0に加熱した後に、加熱炉から抽出した鋳片に下記表4−1に示す条件で粗圧延および仕上げ圧延を施した。

0093

上記粗圧延では、入側での鋼板の板厚t1[mm]を下記表4−1に示すようにして最初の圧延パスを行った。また、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスを、上記複数の圧延パスにおける最初の圧延パスの入側での鋼板の表面温度Tss[℃]、板厚中心温度Tcs[℃]、Tss−Tcs[℃]、および板厚ts[mm]、ならびに上記複数の圧延パスにおける最終の圧延パスの出側での鋼板の表面温度Tsf[℃]、板厚中心温度Tcf[℃]、Tsf−Tcf[℃]、および板厚tf[mm]を下記表4−1に示すようにして行った。上記粗圧延において、上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおいて施される圧延の真歪みepr[−]は、下記表4−1に示されるようになった。上記粗圧延を施すことによって、粗圧延後板厚tff1が6.0mmまたは8.0mmの粗圧延板を得た。

0094

そして、下記表4−1に示す条件に示すように、上記粗圧延により得られた粗圧延板を、表面温度にして1100℃の冷却開始速度[℃]から550〜800℃の冷却到達速度[℃]まで1.5〜2.5℃/secの平均冷却速度[℃/sec]で冷却した後、180〜600secの保持時間[sec]で上記冷却到達速度に等温保持し、表面温度にして再昇温到達温度[℃]まで加熱した後、下記表4−1に示す条件で施す上記仕上げ圧延を施した。

0095

また、上記仕上げ圧延では、表面温度Ts1100〜1200℃および板厚中心温度Tc1000〜1100℃がTs−Tc>50℃の関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスを、上記複数の圧延パスにおける最初の圧延パスの入側での鋼板の表面温度Tss[℃]、板厚中心温度Tcs[℃]、Tss−Tcs[℃]、および板厚ts[mm]、ならびに上記複数の圧延パスにおける最終の圧延パスの出側での鋼板の表面温度Tsf[℃]、板厚中心温度Tcf[℃]、Tsf−Tcf[℃]、および板厚tf[mm]を下記表4−1に示すようにして行った。上記仕上げ圧延において、上記関係を満たす状態で鋼板に連続して行われる複数の圧延パスにおいて施される圧延の真歪みepf[−]は、下記表4−1に示されるようになった。上記仕上げ圧延を施すことによって、仕上げ板厚tff2が2.3mmの熱延板を得た。

0096

また、上記粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延全体の真歪みet[−]は、下記表4−1に示されるようになった。また、上記粗圧延において上記関係を満たす状態で鋼板に施される真歪みeprおよび上記仕上げ圧延において上記関係を満たす状態で鋼板に施される真歪みepfの合計の真歪みepは、下記表4−1に示されるようになった。また、真歪みetに対する真歪みepの比Ce(ep/et×100)[%]は、下記表4−1に示されるようになった。

0097

さらに、得られた熱延板の板厚1/10〜1/5層の表面近傍領域における結晶粒の平均粒径Ds[μm]、MnSの平均粒径ds[nm]、およびMnSの分布密度ρs[μm−2]、ならびに得られた熱延板の板厚1/5層〜中心の中心領域における結晶粒の平均粒径Di[μm]、MnSの平均粒径di[nm]、およびMnSの分布密度ρi[μm−2]を調査した。また、中心領域における結晶粒の平均粒径Diに対する表面近傍領域における結晶粒の平均粒径Dsの比Ds/Di[−]、中心領域におけるMnSの平均粒径diに対する表面近傍領域におけるMnSの平均粒径dsの比ds/di[−]、および表面近傍領域におけるMnSの分布密度ρsに対する中心領域におけるMnSの分布密度ρiの比ρi/ρs[−]を算出した。結晶粒の平均粒径は観察された複数の結晶粒について、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め平均した値、MnSの平均粒径は観察された複数のMnSについて、投影面積に対する同一面積の円の直径をそれぞれ求め平均した値、MnSの分布密度は鏡面研磨した断面を観察して数えたMnSの個数を観察視野の面積で除した値である。得られた結果を下記表4−2に示す。

0098

鋼番号56および57の熱延板は、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回ったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った。

0099

これに対して本発明の一方向性電磁鋼板用熱延板の製造方法における要件を満足する条件で熱間圧延を施した鋼番号37〜50の熱延板は、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内となり、MnSの平均粒径の比ds/diおよび分布密度の比ρi/ρsが本発明の好ましい範囲内となった。

0100

中でも、本発明の好ましい粗圧延後の冷却速度冷却到達温度、および保持時間を満足する鋼番号37〜46の熱延板については、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diがより好ましい範囲となった。その中でも特に真歪みの比Ceが40〜42%となった鋼番号37、40、および42の熱延板については、同じ化学成分を有し真歪みの比Ceが40〜42%となった鋼番号1よりも結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが好ましい範囲となった。また、真歪みの比Ceが50〜52%となった鋼番号38、41、および44の熱延板についても同様に、同じ化学成分を有し真歪みの比Ceが50〜52%となった鋼番号3よりも結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが好ましい範囲となった。

0101

0102

0103

0104

(実施例3)
実施例1および2で製造された熱延板のうちの一部に対して、下記表5に示す捲取温度CT[℃]でコイルに巻き取った後、下記表5に示す条件で熱延板焼鈍を施した。具体的には、鋼番号1、3、6、17、19、37、38、40、45、20、26、28、33、34、35、36、および56の熱延板については、550℃の捲取温度CTで巻き取ったコイルを1150℃まで昇温後、900℃に80sec保持する熱延板焼鈍を施した。また、鋼番号43、44、および46の熱延板については、950℃の捲取温度CTで巻き取ったコイルを捲取温度CTに80sec保持する熱延板焼鈍を施した。これらの熱延板焼鈍後、下記表5に示すように、それぞれの熱延焼鈍板に対して冷間圧延を施すことによって、冷延板板厚tfffが0.23mmの冷延板を得た。上記冷間圧延後、上記冷延板に対して下記表5に示す条件で脱炭焼鈍を施した。具体的には、鋼番号40以外の熱延板については、835℃で120sec保持する脱炭焼鈍を施し、脱炭焼鈍のために835℃まで昇温する時に、300℃から750℃まで昇温する昇温過程において昇温速度を10℃/secとした。また、鋼番号40の熱延板については、835℃で120sec保持する脱炭焼鈍を施し、脱炭焼鈍のために835℃まで昇温する時に、300℃から750℃まで昇温する昇温過程において昇温速度を200℃/secとした。脱炭焼鈍を行った後、1200℃まで昇温して、1200℃で保持する仕上げ焼鈍を行った。これにより、一方向性電磁鋼板を製造した。

0105

このようにして製造された一方向性電磁鋼板から60mm×300mmの磁気測定試験片せん断し、700℃で歪取り焼鈍を行った後に、磁束密度B8[T]を測定した。結果を下記表5に示す。下記表5においては、B8が1.90T以上の試料では二次再結晶が安定化しているものとして二次再結晶安定性を○印で示し、B8が1.95T以上の試料では二次再結晶がさらに安定化しているものとして二次再結晶安定性を◎印で示し、B8が1.90T未満の試料では二次再結晶が安定化していないものとして二次再結晶安定性を△印で示し、また、二次再結晶が得られなかったものについては二次再結晶安定性を×印で示した。

0106

0107

鋼番号20および26の熱延板は、上記表2−1に示されるように、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回ったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った結果、鋼番号20および26の一方向性電磁鋼板は、B8がいずれも1.90Tを下回り劣位となった。

0108

これに対して、鋼番号20と同じ化学成分を有する鋼番号1の熱延板は、真歪みの比Ceが本発明の範囲内となったため、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内となった結果、鋼番号1の一方向性電磁鋼板では、B8が1.90Tを上回り高くなった。また、鋼番号3の熱延板は、鋼番号1と同じ化学成分を有するが、鋼番号1とは異なり、真歪みの比Ceが本発明の好ましい範囲の50%以上であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の好ましい範囲の1.20以上となった結果、B8が1.946Tとなり鋼番号1よりも高くなった。また、鋼番号6の熱延板は、真歪みの比Ceが鋼番号1と同程度であるが、鋼番号1とは異なり、偏析元素であるBiを含有し、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号1よりも大きくなった結果、B8が1.951Tとなり鋼番号1よりも高くなった。さらに、鋼番号17の熱延板は、鋼番号1と同じ化学成分を有し、真歪みの比Ceが鋼番号1と同程度であるが、鋼番号1とは異なり、鋳片を表面温度にして850℃に冷却した後に、雰囲気温度が1320℃の加熱炉に装入して30分間保持することにより、表面温度にして上記表2−1に示す鋳片加熱温度Ts0に加熱した後に、上記粗圧延および仕上げ圧延を施したものであり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号1よりも大きくなった結果、B8が1.944Tとなり鋼番号1よりも高くなった。

0109

また、鋼番号19の熱延板は、鋼番号1とは異なり、偏析元素であるBiおよびSnを含有し、鋳片を表面温度にして850℃に冷却した後に、雰囲気温度が1320℃の加熱炉に装入して30分間保持することにより、表面温度にして上記表2−1に示す鋳片加熱温度Ts0に加熱した後に、上記粗圧延および仕上げ圧延を施したものであり、真歪みの比Ceが本発明の好ましい範囲の50%以上である。鋼番号19の一方向性電磁鋼板では、B8が1.960Tとなり鋼番号1よりも著しく高くなった。

0110

また、鋼番号26の熱延板は、C含有量が本発明の範囲を上回っているばかりか、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回っており、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った結果、鋼番号26の一方向性電磁鋼板では、B8が1.844Tと極めて劣位となった。

0111

また、鋼番号27の熱延板は、Si含有量が本発明の範囲を上回っているばかりか、真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回っており、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った結果、上記冷間圧延で著しい割れが生じ、一方向性電磁鋼板を製造することができなかった。

0112

また、鋼番号33および34の熱延板は、真歪みの比Ceが本発明の範囲内であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内であるが、Al含有量が本発明の範囲外であり、充分なAlNの分布密度とならず二次再結晶が発現しなかった。同様に、鋼番号35および36の熱延板は、真歪みの比Ceが本発明の範囲内であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内であるが、N含有量が本発明の範囲外であり、充分なAlNの分布密度とならず二次再結晶が発現しなかった。

0113

さらに、鋼番号56の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが本発明の範囲を下回っており、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲を下回った結果、B8が1.868Tと劣位となった。

0114

これに対して、鋼番号37、38、40、43、44、45、および46の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが本発明の範囲内であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが本発明の範囲内となった結果、B8が1.950Tを上回り、良好な磁気特性が得られた。また、これらの熱延板のうちの鋼番号38の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが本発明の好ましい範囲の50%以上であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号37よりも大きくなった結果、B8が1.958Tとなり鋼番号37よりも高くなった。また、鋼番号40の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが鋼番号37と同程度であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号37と同程度となったが、鋼番号37とは異なり、脱炭焼鈍のために835℃まで昇温する時に、300℃から750℃まで昇温する昇温過程において昇温速度を200℃/secとした結果、B8が1.960Tとなり鋼番号37よりも高くなった。また、鋼番号43の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが鋼番号37と同程度であるが、鋼番号37とは異なり、950℃の捲取温度CTで巻き取ったコイルを捲取温度CTに80sec保持する熱延板焼鈍を施した結果、B8が1.956Tとなり鋼番号37よりも高くなった。また、鋼番号45の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが鋼番号37と同程度であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号37と同程度となったが、鋼番号37とは異なり、偏析元素であるBiを含有する結果、B8が1.963Tとなり鋼番号37よりも高くなった。

実施例

0115

さらに、鋼番号44および46の熱延板は、上記粗圧延と上記仕上げ圧延における真歪みの比Ceが本発明の好ましい範囲の50%以上であり、結晶粒の平均粒径の比Ds/Diが鋼番号37よりも大きくなった上に、鋼番号37とは異なり、950℃の捲取温度CTで巻き取ったコイルを捲取温度CTに80sec保持する熱延板焼鈍を施した結果、B8が1.970以上となり、極めて良好な磁気特性が得られた。

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