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技術 モータ制御装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 村松嶺大越潤一
出願日 2015年12月17日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-246262
公開日 2017年6月22日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-109640
状態 特許登録済
技術分野 直流電動機の制御 パワーステアリング機構 走行状態に応じる操向制御
主要キーワード 上下限閾値 検出値同士 検出値間 ブロック矢印 通電ライン アームスイッチ 検出ポート 端子間電圧値
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

端子電圧異常発生時における補償制御ロバスト性を向上させるモータ制御装置を提供する。

解決手段

モータ制御装置の端子電圧検出回路は、モータの第1端子電圧、及び、第2端子電圧についてそれぞれ複数の値M1a、M1b、M2a、M2bを検出する。制御部601の端子間電圧演算部62は、端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて複数の端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calを算出する。また、複数の端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calのうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値Vm_selとして出力する。操舵角速度推定部65は、端子間電圧選択値Vm_sel、及び、モータ電流Imに基づいて操舵角速度Qsを推定する。補償制御部67は、操舵角速度Qsの推定値に基づいて補償制御を実行する。これにより、補償制御のロバスト性が向上し、過剰アシストの発生を防止することができる。

概要

背景

従来、電動パワーステアリング装置アシストトルクを出力するDCモータ制御装置において、操舵角速度及び車速に応じて、ハンドル戻し制御、ダンパ制御摩擦補償制御等の補償制御を行い、操舵フィーリングを調整する技術が知られている。例えば特許文献1に開示された制御装置は、モータ端子間電圧に基づいて操舵角速度を推定演算する。また、2つのモータ端子電圧(以下、「端子電圧」)の和と電源電圧とに基づいて端子電圧の異常を検出し、端子電圧の異常が検出されたとき、操舵角速度を固定値に設定して補償制御電流値演算する。

概要

端子電圧の異常発生時における補償制御のロバスト性を向上させるモータ制御装置を提供する。モータ制御装置の端子電圧検出回路は、モータの第1端子電圧、及び、第2端子電圧についてそれぞれ複数の値M1a、M1b、M2a、M2bを検出する。制御部601の端子間電圧演算部62は、端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて複数の端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calを算出する。また、複数の端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calのうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値Vm_selとして出力する。操舵角速度推定部65は、端子間電圧選択値Vm_sel、及び、モータ電流Imに基づいて操舵角速度Qsを推定する。補償制御部67は、操舵角速度Qsの推定値に基づいて補償制御を実行する。これにより、補償制御のロバスト性が向上し、過剰アシストの発生を防止することができる。

目的

本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、端子電圧の異常発生時における補償制御のロバスト性を向上させるモータ制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

電動パワーステアリング装置に適用され、アシストトルクを発生するDCモータ(8)の一方の端子である第1端子(81)、及び、他方の端子である第2端子(82)の間に端子間電圧(Vm)を印加通電を制御するモータ制御装置であって、前記第1端子に接続される第1ハーフブリッジ(31)、及び、前記第2端子に接続される第2ハーフブリッジ(32)が並列接続されたHブリッジ回路(30)を構成する4つのブリッジ回路スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4)と、前記第1端子の電圧である第1端子電圧、及び、前記第2端子の電圧である第2端子電圧についてそれぞれ複数の値(M1#、M2#)を検出する端子電圧検出回路(51〜56)、又は、前記端子間電圧について複数の値(Vm#_sns)を検出する端子間電圧検出回路(57、58)と、前記端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて複数の端子間電圧算出値(Vm#_cal)を算出し、又は、前記端子間電圧検出回路から複数の端子間電圧検出値を取得し、前記複数の端子間電圧算出値又は前記複数の端子間電圧検出値のうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値(Vm_sel)として出力する端子間電圧演算部(62、63)と、前記端子間電圧選択値、及び、前記DCモータを流れるモータ電流(Im)に基づいて操舵角速度(Qs)を推定する操舵角速度推定部(65)と、前記操舵角速度の推定値に基づいて、アシスト量についての補償制御を実行する補償制御部(67)と、を備えるモータ制御装置。

請求項2

前記端子間電圧演算部は、前記複数の端子間電圧算出値又は前記複数の端子間電圧検出値の符号がいずれか1つでも異なる場合、前記端子間電圧選択値を0とする請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項3

前記端子間電圧演算部は、前記端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて前記複数の端子間電圧算出値を算出するものであり、前記第1端子電圧又は前記第2端子電圧の少なくとも一方の前記複数の端子電圧検出値のうち、いずれか2つの値の偏差(ΔM1、ΔM2)が判定閾値(ΔMth)を超えているとき、端子電圧の異常であると判定する異常判定部(64)をさらに備える請求項1または2に記載のモータ制御装置。

請求項4

前記端子間電圧演算部は、前記端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて前記複数の端子間電圧算出値を算出するものであり、前記第1端子電圧及び前記第2端子電圧の複数の検出値は、前記第1ハーフブリッジの中間点である第1ノード(N1)と前記第2ハーフブリッジの中間点である第2ノード(N2)との間を、前記DCモータを経由して結ぶ通電ラインLP)上の異なる2箇所以上での検出値を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。

請求項5

前記通電ライン上の前記第1ノードと前記第1端子との間、及び、前記第2ノードと前記第2端子との間の少なくとも一方に、前記通電ラインを遮断可能な通電ラインスイッチ(SW5、SW6)をさらに備え、前記通電ラインスイッチが設けられた側の前記第1端子電圧又は前記第2端子電圧の複数の検出値は、前記通電ラインスイッチを挟んで前記Hブリッジ回路側及び前記DCモータ側の2箇所での検出値を含む請求項4に記載のモータ制御装置。

技術分野

0001

本発明は、DCモータ通電を制御するモータ制御装置に関する。

背景技術

0002

従来、電動パワーステアリング装置アシストトルクを出力するDCモータの制御装置において、操舵角速度及び車速に応じて、ハンドル戻し制御、ダンパ制御摩擦補償制御等の補償制御を行い、操舵フィーリングを調整する技術が知られている。例えば特許文献1に開示された制御装置は、モータ端子間電圧に基づいて操舵角速度を推定演算する。また、2つのモータ端子電圧(以下、「端子電圧」)の和と電源電圧とに基づいて端子電圧の異常を検出し、端子電圧の異常が検出されたとき、操舵角速度を固定値に設定して補償制御電流値演算する。

先行技術

0003

特開2003−175850号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1の従来技術では、操舵角速度を固定している間にも実際の操舵角速度は変動している。そのため、操舵角速度の固定値によっては、時間の経過に伴い、意図している補償制御量よりも過度指令値が出力される可能性がある。
また、異常判定の結果に応じて操舵角速度の固定の要否が決定されるため、異常判定が終了しないと補償制御を実行することができない。

0005

また、従来技術では、両端子電圧及びバッテリ電圧の3つの値のばらつきを考慮して異常判定閾値を設定する必要があり、ばらつきを吸収するため正常範囲を広く設定すると、異常発生時に異常を検出不能となるおそれがある。特に、端子間電圧が過大となる異常を検出できない場合、補償制御により過度な指令値が継続して出力されるおそれがある。
要するに従来技術では、操舵角速度の推定値を用いる補償制御において端子電圧の異常発生による影響を受けやすく、ロバスト性欠けるという問題がある。
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、端子電圧の異常発生時における補償制御のロバスト性を向上させるモータ制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係るモータ制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用され、アシストトルクを発生するDCモータ(8)の一方の端子である第1端子(81)、及び、他方の端子である第2端子(82)の間に端子間電圧(Vm)を印加し通電を制御する。
このモータ制御装置は、4つのブリッジ回路スイッチ(SW1−SW4)、端子電圧検出回路(51〜56)又は端子間電圧検出回路(57、58)、端子間電圧演算部(62、63)、操舵角速度推定部(65)及び補償制御部(67)を備える。

0007

4つのブリッジ回路スイッチは、第1端子に接続される第1ハーフブリッジ(31)、及び、第2端子に接続される第2ハーフブリッジ(32)が並列接続されたHブリッジ回路(30)を構成する。
端子電圧検出回路は、第1端子の電圧である第1端子電圧、及び、第2端子の電圧である第2端子電圧についてそれぞれ複数の値(M1#、M2#)を検出する。端子間電圧検出回路(57、58)は、端子間電圧について複数の値(Vm#_sns)を検出する。

0008

端子間電圧演算部は、端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて複数の端子間電圧算出値(Vm#_cal)を算出し、又は、端子間電圧検出回路から複数の端子間電圧検出値を取得する。そして、端子間電圧演算部は、複数の端子間電圧算出値又は複数の端子間電圧検出値のうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値(Vm_sel)として出力する。
操舵角速度推定部は、端子間電圧選択値、及び、DCモータを流れるモータ電流(Im)に基づいて操舵角速度(Qs)を推定する。
補償制御部は、操舵角速度の推定値に基づいて、アシスト量についての補償制御を実行する。

0009

端子電圧の異常発生時、異常の原因によって、ある端子間電圧算出値は異常の影響を大きく受け、それ以外の端子間電圧算出値は異常の影響を少ししか受けない、或いは、全く受けない場合があり得る。そこで、本発明では、過剰アシストを防止する思想に基づき、絶対値が最も小さい端子間電圧算出値を端子間電圧選択値として選択し、その選択値に基づいて操舵角速度Qsを推定する。これにより、補償制御において過度な指令値が出力されることなく、正常時のアシスト量と同等のアシスト量が出力される。
よって、端子電圧の異常発生時における補償制御のロバスト性が向上し、過剰アシストの発生を防止することができる。

0010

さらに本発明では、端子間電圧選択値の演算は異常判定とは独立に実行されるため、異常判定の結果とは関係なく、適切に選択された端子間電圧選択値に基づいて推定された操舵角速度を用いて補償制御を実行することができる。よって、異常判定の結果により操舵角速度の固定の要否を決定する従来技術に対し、補償制御の応答性を向上させることができる。

0011

本発明の端子間電圧演算部は、複数の端子間電圧算出値又は複数の端子間電圧検出値の符号がいずれか1つでも異なる場合、端子間電圧選択値を0とすることが好ましい。これにより、端子間電圧実値の変化に対して端子間電圧選択値を連続的に変化させることができ、端子間電圧の連続性を確保することができる。

0012

また、端子電圧検出回路から取得した複数の端子電圧検出値に基づいて、端子間電圧演算部が複数の端子間電圧算出値を算出する構成では、本発明のモータ制御装置は、さらに異常判定部(64)を備えることが好ましい。
異常判定部は、第1端子電圧又は第2端子電圧の少なくとも一方の複数の端子電圧検出値のうち、いずれか2つの値の偏差(ΔM1、ΔM2)が判定閾値(ΔMth)を超えているとき、端子電圧の異常であると判定する。これにより、検出箇所等の条件が異なる各検出値に対して異常が及ぼす影響が変わる場合に、異常検出が可能となる。

図面の簡単な説明

0013

第1実施形態によるモータ制御装置の概略構成図。
第1実施形態によるモータ制御装置の制御演算部ブロック図。
第1実施形態による端子間電圧演算のフローチャート
複数の端子間電圧算出値又は検出値の符号による端子間電圧選択値の設定を説明する図。
第1実施形態による端子電圧異常判定のフローチャート。
第1実施形態によるモータ制御装置の端子電圧異常発生時の挙動を示す図。
第2実施形態によるモータ制御装置の概略構成図。
第3実施形態によるモータ制御装置の概略構成図。
第3実施形態によるモータ制御装置の制御演算部のブロック図。
従来技術のモータ制御装置の制御演算部のブロック図。
従来技術のモータ制御装置の端子電圧異常発生時の挙動を示す図(1)。
従来技術のモータ制御装置の端子電圧異常発生時の挙動を示す図(2)。

実施例

0014

以下、本発明のモータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。以下の説明で「本実施形態」という場合、第1〜第3実施形態を包括する。
最初に図1を参照し、モータ制御装置の全体構成について説明する。

0015

モータ制御装置101は、バッテリ15とモータ8との間に設けられ、DCモータ(以下、「モータ」)8の通電及び回転方向を制御する。本実施形態のモータ8は、車両の電動パワーステアリング装置において、運転者操舵補助するアシストモータとして用いられる。モータ8は、運転者の操舵方向に応じて、例えばハンドルを右に回すとき正転し、ハンドルを左に回すとき逆転する。操舵角速度やアシスト量の符号は、この方向に対応して定義される。

0016

モータ制御装置101は、Hブリッジ回路30を構成する4つのブリッジ回路スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、2つの通電ラインスイッチSW5、SW6、端子電圧検出回路51〜54、及び、制御部601等を備える。
モータ制御装置101の入力ポートP0には、バッテリ15が接続される。電源リレー20がONされたとき、Hブリッジ回路30の高電位ラインLHにはバッテリ電圧V0が印加される。

0017

以下、本明細書で「スイッチ」とは半導体スイッチング素子を意味する。本実施形態では、スイッチとして、寄生ダイオードを有するMOSFET金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が用いられる。また、図1では、スイッチを「SW」と記す。
4つのブリッジ回路スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、は、高電位ラインLHと低電位ラインLLとの間で、第1ハーフブリッジ31及び第2ハーフブリッジ32が並列に接続されたHブリッジ回路30を構成する。

0018

スイッチSW1は、第1ハーフブリッジ31の上アームスイッチであり、スイッチSW3は、第1ハーフブリッジ31の下アームスイッチである。また、スイッチSW2は、第2ハーフブリッジ32の上アームスイッチであり、スイッチSW4は、第2ハーフブリッジ32の下アームスイッチである。
Hブリッジ回路30の低電位ラインLLは、シャント抵抗43を介してグランドに接続されている。

0019

モータ制御装置101の出力ポートP1、P2は、それぞれ電力ケーブル71、72により、モータ8の一方の端子である第1端子81、及び、他方の端子である第2端子82に接続されている。第1ハーフブリッジ31の中間点である第1ノードN1は、出力ポートP1を介してモータ8の第1端子81に接続され、第2ハーフブリッジ32の中間点である第2ノードN2は、出力ポートP2を介してモータ8の第2端子82に接続される。また、第1ノードN1と第2ノードN2との間を、モータ8を経由して結ぶ電流経路を通電ラインLPという。

0020

2つの通電ラインスイッチSW5、SW6は、通電ラインLPにおいて、寄生ダイオードが互いに向かい合う方向に、間にモータ8を挟んで直列接続されている。本実施形態の通電ラインスイッチSW5、SW6は、Hブリッジ回路30とモータ8との間で通電ラインLPを遮断可能な「モータリレー」として機能する。
プルアップ抵抗41は、高電位ラインLHと、通電ラインLP上で通電ラインスイッチSW5とモータ8の第1端子81との間にある第3ノードN3との間に接続されている。
プルダウン抵抗42は、通電ラインLP上でモータ8の第2端子82と通電ラインスイッチSW6との間にある第4ノードN4と、グランドとの間に接続されている。

0021

PWM制御デッドタイム等に関する説明を省略して単純に述べると、モータ8の正転時には、ブリッジ回路スイッチSW1、SW4をONする。また、通電ラインスイッチSW5をOFFし、通電ラインスイッチSW6をONする。これにより、スイッチSW1→第1ノードN1→スイッチSW5の寄生ダイオード→モータ8→スイッチSW6→第2ノードN2→スイッチSW4の経路でモータ電流Imが流れる。このとき、通電ラインスイッチSW5の寄生ダイオードによって、通電ラインLPにおける逆方向(すなわち、第2ノードN2→第1ノードN1)の電流は遮断される。
図1には、この正転時におけるモータ電流Imの経路を破線で示す。

0022

モータ8の逆転時には、ブリッジ回路スイッチSW2、SW3をONする。また、通電ラインスイッチSW5をONし、SW6をOFFする。これにより、スイッチSW2→第2ノードN2→スイッチSW6の寄生ダイオード→モータ8→スイッチSW5→第1ノードN1→スイッチSW3の経路でモータ電流Imが流れる。このとき、通電ラインスイッチSW6の寄生ダイオードによって、通電ラインLPにおける逆方向(すなわち、第1ノードN1→第2ノードN2)の電流は遮断される。

0023

このように、モータ8の回転方向に応じて通電ラインスイッチSW5、SW6のON/OFFを切り替えることにより、本来の方向と逆方向の電流がモータ8に流れることを防止することができる。
また、本実施形態では、通電時、シャント抵抗43によりモータ電流Imを検出する。なお、他の実施形態ではシャント抵抗43を備えず、通電ラインLPに設けた電流センサによりモータ電流Imを検出してもよい。

0024

モータ制御装置101の制御部601は、ブリッジ回路スイッチSW1〜SW4のON/OFF時間(すなわちデューティ)を操作することによりモータ8の出力を制御する。ただし、DCモータの通常駆動時の制御については周知技術であるため、本明細書では、詳しい説明、及び、関連する入出力信号の図示を省略する。そして、制御部601の構成として、後述の操舵角速度の推定演算に関連する制御構成に関して主に言及する。

0025

次に、本実施形態の特徴である端子電圧の検出に関する構成について説明する。
通電ラインLp上における素子接続端子及び配線等の抵抗を無視すれば、正常時には第1ノードN1から第1端子81までの間の通電ラインLpの電圧は等しく、この電圧を「第1端子電圧M1」という。また、第2ノードN2から第2端子82までの間の通電ラインLpの電圧は等しく、この電圧を「第2端子電圧M2」という。また、第1端子電圧M1と第2端子電圧M2との電圧差を「端子間電圧Vm」という。

0026

第1実施形態のモータ制御装置101は、第1端子電圧M1及び第2端子電圧M2を、それぞれ2箇所で検出する4つの端子電圧検出回路51〜54を備える。
端子電圧検出回路51は、通電ラインスイッチSW5に対しHブリッジ回路30側の第1端子電圧M1aを検出する。端子電圧検出回路52は、通電ラインスイッチSW6に対しHブリッジ回路30側の第2端子電圧M2aを検出する。
端子電圧検出回路53は、通電ラインスイッチSW5に対しモータ8側の第1端子電圧M1bを検出する。端子電圧検出回路54は、通電ラインスイッチSW6に対しモータ8側の第2端子電圧M2bを検出する。

0027

すなわち第1実施形態では、第1端子電圧M1及び第2端子電圧M2について、それぞれ、通電ラインスイッチSW5、SW6を挟んでHブリッジ回路30側及びモータ8側の2箇所で2通りの端子電圧を検出する。なお、端子電圧検出回路51〜54による具体的な電圧検出の構成は、分圧抵抗を用いる方式等、どのような方式のものを用いてもよい。

0028

以下、端子電圧の記号の第3文字は、複数の第1端子電圧M1、及び、複数の第2端子電圧M2を区別するものであり、各検出値の数に応じて、a、b、c・・・の順に付す。また、どの検出値であるかを特定せず包括して表す場合、「M1#」、「M2#」のように記載する。端子間電圧Vmについても同様とする。なお、特許請求の範囲では、括弧内の参照符号について、「#」を用いて記載する。

0029

制御部601は、シャント抵抗43により検出されたモータ電流Im、並びに、端子電圧検出回路51〜54により検出された第1端子電圧検出値M1a、M1b、及び、第2端子電圧検出値M2a、M2bを取得する。
次に図2を参照し、制御部601の詳細な構成を説明する。制御部601は、AD変換部61、端子間電圧演算部62、異常判定部64、操舵角速度推定部65、異常時処置部66、及び、補償制御部67を有する。

0030

AD変換部61は、端子電圧検出回路51〜54から取得したアナログ信号の端子電圧検出値M1#、M2#をデジタル信号にAD変換する。ここで、AD変換部61の内部に各端子電圧に対応する複数のAD変換器を備えて同時にAD変換してもよいし、或いは、共通のAD変換器で複数の端子電圧を逐次タイミングをずらして変換してもよい。また、他の実施形態では、端子電圧検出回路がデジタル信号を出力するようにしてもよい。

0031

端子間電圧演算部62は、減算器621及び電圧値選択部622を有する。
減算器621は、式(1.1)、(1.2)により、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calを算出する。
Vma_cal=M1a−M2a ・・・(1.1)
Vmb_cal=M1b−M2b ・・・(1.2)
電圧値選択部622は、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calのうち絶対値が小さい方の値を端子間電圧選択値Vm_selとして選択し、出力する。また、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの符号が異なる場合、端子間電圧選択値Vm_selとして0を出力する。詳細は、図3図4を参照して後述する。

0032

異常判定部64は、減算器641及び閾値比較部642を有する。
減算器641は、第1端子電圧検出値M1a、M1b、及び、第2端子電圧検出値M2a、M2bについて、式(2.1)、(2.2)により、2つの検出値同士の端子電圧偏差ΔM1、ΔM2を算出する。
ΔM1=|M1a−M1b| ・・・(2.1)
ΔM2=|M2a−M2b| ・・・(2.2)

0033

閾値比較部642は、各端子電圧偏差ΔM1、ΔM2を所定の判定閾値ΔMthと比較する。端子電圧偏差ΔM1、ΔM2がいずれも判定閾値ΔMth以下のとき、異常判定部64は、端子電圧が正常であると判定する。一方、端子電圧偏差ΔM1又はΔM2の少なくともいずれか一方が判定閾値ΔMthを超えているとき、異常判定部64は、端子電圧が異常であると判定し、異常信号を異常時処置部66に出力する。

0034

ここで、判定閾値ΔMthは、各端子電圧検出回路検出誤差配線抵抗等によって、複数の検出値の間でばらつく可能性のある電圧範囲の上限値に設定される。端子電圧偏差ΔM1又はΔM2が判定閾値ΔMthを超えているとき、2つの検出箇所の間で何らかの故障が発生した可能性が推測される。例えば第1実施形態では、通電ラインLp上の2つの検出箇所の間に接続されている通電ラインスイッチSW5又はSW6のオープン故障が発生した可能性が推測される。

0035

操舵角速度推定部65は、端子間電圧演算部62が演算した端子間電圧選択値Vm_sel、及び、シャント抵抗43により検出されたモータ電流Imを取得する。
ここで、モータ8の電圧方程式は、式(3.1)で表される。
Vm=Kφ×N−R×Im ・・・(3.1)
ただし、
Kφ:逆起電圧定数
N:モータ回転数
R:モータ抵抗

0036

式(3.1)をモータ回転数Nについて整理すると、式(3.2)が得られる。
N=(Vm+R×Im)/Kφ ・・・(3.2)
操舵角速度推定部65は、式(3.2)の「Vm」に端子間電圧選択値Vm_selを用いてモータ回転数Nを算出し、さらにモータ回転数Nにギア比を乗じて操舵角速度Qsを推定する。式(3.2)より、端子間電圧Vmの絶対値が大きいほど、操舵角速度Qsの推定値の絶対値は大きくなる。操舵角速度推定部65が推定した操舵角速度Qsは、補償制御部67に出力される。

0037

補償制御部67は、入力された操舵角速度Qsに基づいて、アシスト量についての補償制御を実行する。補償制御は、従来技術である特許文献1(特開2003−175850号公報)に記載された内容に準じたハンドル戻し制御、ダンパ制御、摩擦補償制御等を含むものであり、本明細書では詳しくは言及しない。
基本的に補償制御は操舵角速度Qsに比例する。したがって、端子間電圧Vmの絶対値が大きいほど、補償制御によるアシスト量の絶対値が大きくなる関係にある。

0038

異常時処置部66は、異常判定部64からの異常信号を受信すると、異常時処置を実行する。異常時処置部66は、例えば異常の種類や程度に応じて、破線で示すように、補償制御部67に対し、補償制御の一部又は全部を中止又は抑制する等の処理をしてもよい。また、ウォーニングランプ点灯等により運転者に異常を知らせてもよい。

0039

次に、端子間電圧演算部62による端子間電圧演算処理について、図3のフローチャート及び図4を参照して説明する。以下のフローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。この処理は、モータ制御装置101の動作中、繰り返し実行される。
減算器621は、S11で、上記の式(1.1)、(1.2)により、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calを算出する。

0040

S12〜S16は、電圧値選択部622にて実行される。
S12では、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの符号が一致するか否か判断される。端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの一方の符号が正で、他方の符号が負であるとき、S12でNOと判断され、S13に移行する。電圧値選択部622は、S13で、端子間電圧選択値Vm_selを0として出力する。
また、端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの符号がいずれも正、又はいずれも負であるとき、S12でYESと判断され、S14に移行する。

0041

S12による符号判定の技術的意義について、図4を参照する。図4では、端子間電圧の実値と算出値Vma_cal、Vmb_calとの関係を破線、及び一点鎖線で示す。また、図4(a)には符号判定を実施する場合、図4(b)には符号判定を実施しない場合における端子間電圧選択値Vm_selを太実線で示す。なお、後述の第3実施形態では、縦軸の「端子間電圧算出値」を「端子間電圧検出値」に読み替える。

0042

ここで、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calは、実値に対する傾きが異なり、ある点で大小関係が逆転している。そのため、符号が不一致となる範囲が存在する。すると、図4(b)に示す処理では、符号に関係なく絶対値が小さい方の値を選択するため、Vma_cal=−Vmb_calとなる実値Xにおいて、端子間電圧選択値Vm_selが不連続に変化する。このように不連続に変化する端子間電圧選択値Vm_selに基づいて推定した操舵角速度Qsにより補償制御を行うと、操舵フィーリングに影響を及ぼすおそれがある。

0043

それに対し図4(a)に示す処理では、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの符号が不一致となる範囲で端子間電圧選択値Vm_selを0にすることにより、端子間電圧実値Vmの変化に対し、端子間電圧選択値Vm_selを連続的に変化させることができる。よって、端子間電圧選択値Vm_selに基づいて推定した操舵角速度Qsを用いる補償制御において、良好な操舵フィーリングを維持することができる。

0044

続いて、図3のS14〜S16では、電圧値選択部622は、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの絶対値同士を比較し、絶対値が小さい方の値を端子間電圧選択値Vm_selとして選択し、出力する。
この例では、S14で、|Vma_cal|<|Vmb_cal|であるか否かが判断される。|Vma_cal|が|Vmb_cal|より小さいとき、S14でYESと判断され、S15で、端子間電圧選択値Vm_selとしてVma_calが選択される。|Vma_cal|が|Vmb_cal|以上のとき、S14でNOと判断され、S16で、端子間電圧選択値Vm_selとしてVmb_calが選択される。なお、分解能最小単位でVma_cal=Vmb_calの場合、どちらが選択されてもよい。
以上で、端子間電圧演算処理のルーチンを終了する。

0045

次に、異常判定部64による端子電圧異常判定処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
減算器641は、S21で、第1端子電圧検出値M1a、M1b、及び第2端子電圧検出値M2a、M2bについて、それぞれ、上記の式(2.1)、(2.2)により、2つの検出値同士の端子電圧偏差ΔM1、ΔM2を算出する。

0046

閾値比較部642は、S22で、第1端子電圧偏差ΔM1が判定閾値ΔMth以下であるか否か判断し、S23で、第2端子電圧偏差ΔM2が判定閾値ΔMth以下であるか否か判断する。第1端子電圧偏差ΔM1及び第2端子電圧偏差ΔM2のいずれも判定閾値ΔMth以下であり、S22、S23ともにYESと判断されたとき、S24に移行する。異常判定部64は、S24で、端子電圧が正常と判定し、処理を終了する。

0047

一方、第1端子電圧偏差ΔM1又は第2端子電圧偏差ΔM2の少なくともいずれか一方が判定閾値ΔMthを超えており、S22又はS23でNOと判断されたとき、S25に移行する。異常判定部64は、S25で、異常信号を異常時処置部66に出力する。異常信号を受信した異常時処置部66は、S26で異常時処置を実施する。
以上で、端子電圧異常判定処理のルーチンを終了する

0048

(効果)
(1)後述の第2、第3実施形態を含めた本実施形態に共通する基本的作用効果について、特許文献1に開示された従来技術と対比しつつ説明する。まず、従来技術の構成及び作用について、図10図12を参照する。図10は、特許文献1に開示された構成を第1実施形態と対比しやすいように、本出願人がアレンジした図である。図10に示す従来技術の制御部609において、第1実施形態と実質的に同一と考えてよい構成には、第1実施形態と同一の符号を付す。

0049

従来技術では、第1端子電圧M1及び第2端子電圧M2として、それぞれ1つの値が検出される。端子間電圧演算部68は、第1端子電圧M1から第2端子電圧M2を減じ、1つの端子間電圧Vmを算出し、操舵角速度推定部65に出力する。操舵角速度推定部65は、端子間電圧Vm及びモータ電流Imに基づいて、操舵角速度Qsを推定する。
端子電圧の正常時、補償制御部67は、推定された操舵角速度Qsに基づいて補償制御を実行する。

0050

異常判定部69は、加算器691及び比較部692を有する。加算器691は、第1端子電圧M1と第2端子電圧M2との和(M1+M2)を算出する。比較部692は、端子電圧の和(M1+M2)を、上下限閾値である「バッテリ電圧B±所定値δ1」と比較する。そして、端子電圧の和(M1+M2)が上限閾値よりも大きいか、又は、下限閾値よりも小さいとき、異常判定部69は、端子電圧の異常と判定し、異常信号を異常時処置部669に出力する。

0051

異常時処置部669は、異常信号を受信すると、操舵角速度Qsを所定値に固定する。そのため、端子電圧の異常時、補償制御部67は、固定された操舵角速度Qsに基づいて補償制御を実行する。つまり、従来技術では、異常判定の結果に応じて操舵角速度Qsの要否が決定されるため、異常判定が終了しないと補償制御を実行することができない。

0052

従来技術の構成において端子電圧異常が発生した場合の挙動を図11図12に示す。
図中のアシスト量は、操舵角速度Qsの推定値に基づいて実行される補償制御によって得られたアシスト量を意味する。アシスト量は、ユーザによる操舵トルク等の変化に応じて経時的に変化し、また、バッテリ電圧変動に伴い端子電圧和も経時的に変化する。そして、動作中のブロック矢印で示すタイミングで端子電圧異常が発生した場合を想定する。
従来技術では、端子電圧の和(M1+M2)に対する判定閾値として、「バッテリ電圧B±所定値δ1」が用いられる。ただし、過剰アシストの防止を課題とする本発明では、上限閾値、すなわち「バッテリ電圧B+所定値δ1」との関係にのみ着目し、下限閾値、すなわち「バッテリ電圧B−所定値δ1」については参考に図示するに過ぎない。

0053

図11に示すように、異常判定の所定値δ1を比較的小さく設定する場合、異常発生により端子電圧の和(M1+M2)が増加すると、上限閾値を超え、端子電圧異常が検出される。すると、操舵角速度Qsが固定され、出力されるアシスト量が一定値となる。
しかし、補償制御に用いる操舵角速度Qsを固定している間にも実際の操舵角速度は変動しており、操舵角速度Qsの固定値によっては、時間の経過に伴い、意図している補償制御量よりも過度なアシスト量の指令値が出力される可能性がある。過剰アシストは、操舵フィーリングの低下を招き、また、過電流による発熱等によって別の箇所の故障を引き起こすおそれがある。

0054

また、従来技術では、異常判定の所定値δ1は、両端子電圧、及びバッテリ電圧の3つの値のばらつきを考慮して設定する必要がある。そこで、ばらつきを考慮して所定値δ1を比較的大きく設定すると、図12に示すように、異常発生により端子電圧の和(M1+M2)が増加しても上限閾値を超えないため、端子電圧異常が検出されない。そのため、異常な端子電圧M1、M2から算出された端子間電圧Vmに基づいて推定された操舵角速度Qsにより補償制御が実行される。その結果、本来必要とされるアシスト量よりも過剰なアシスト量が出力される可能性がある。
要するに従来技術では、操舵角速度の推定値を用いる補償制御において端子電圧の異常発生による影響を受けやすく、ロバスト性に欠けるという問題がある。

0055

上記の従来技術に対し、本実施形態のモータ制御装置において端子電圧異常が発生した場合の挙動を図6に示す。図6では、図11図12の「端子電圧の和(M1+M2)」に代えて、「端子間電圧Vm」が経時的に変化する状況を示す。本実施形態では端子間電圧Vmそのものは判定閾値と比較される値ではない。しかし、従来技術における上限閾値との対比のため、端子間電圧Vmに対するばらつき上限を図示する。

0056

本実施形態では、複数の端子間電圧値のうち絶対値が最も小さい値を端子間電圧選択値Vm_selとして選択し、その端子間電圧選択値Vm_selに基づいて操舵角速度Qsを推定することを特徴とする。
特に第1実施形態では、複数箇所で検出された端子電圧M1#、M2#から算出された複数の端子間電圧算出値Vm#_calのうち絶対値が最も小さい値が端子間電圧選択値Vm_selとして選択される。なお、第1実施形態の効果に関する記載中の「端子間電圧算出値」を、後述の第3実施形態では「端子間電圧検出値」と読み替えて解釈する。

0057

端子電圧の異常発生時、異常の原因によって、ある端子間電圧算出値は異常の影響を大きく受け、それ以外の端子間電圧算出値は異常の影響を少ししか受けない、或いは、全く受けない場合があり得る。図6に示す例では、Vma_calが端子電圧異常の影響を受けない正常値であり、Vmb_calが端子電圧異常の影響を受けた異常値に相当する。

0058

そこで本実施形態では、過剰アシストを防止する思想に基づき、絶対値が最も小さい端子間電圧算出値を端子間電圧選択値Vm_selとして選択し、その選択値Vm_selに基づいて操舵角速度Qsを推定する。図6の例では、絶対値が小さいVma_calを選択し、操舵角速度Qsを演算する。これにより、補償制御において過度な指令値が出力されることなく、正常時のアシスト量と同等のアシスト量が出力される。
よって、端子電圧の異常発生時における補償制御のロバスト性が向上し、過剰アシストの発生を防止することができる。

0059

さらに本実施形態では、端子間電圧選択値Vm_selの演算は異常判定とは独立に実行されるため、異常判定の結果とは関係なく、適切に選択された端子間電圧選択値Vm_selに基づいて推定された操舵角速度Qsを用いて補償制御を実行することができる。よって、異常判定の結果により操舵角速度Qsの固定の要否を決定する従来技術に対し、補償制御の応答性を向上させることができる。

0060

(2)本実施形態では、端子間電圧演算部62は、2つの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_calの符号が異なる場合、端子間電圧選択値Vm_selを0とする。これにより、端子間電圧実値Vmの変化に対し、端子間電圧選択値Vm_selを連続的に変化させることができ、端子間電圧の連続性を確保することができる。よって、端子間電圧選択値Vm_selに基づいて推定した操舵角速度Qsを用いる補償制御において、良好な操舵フィーリングを維持することができる。

0061

(3)第1実施形態、及び、次の第2実施形態では、異常判定部64は、第1端子電圧偏差ΔM1又は第2端子電圧偏差ΔM2の少なくとも一方が判定閾値ΔMthを超えているとき、端子電圧の異常であると判定し、異常信号を異常時処置部66に出力する。これにより、検出箇所等の条件が異なる各検出値に対して異常が及ぼす影響が変わる場合に、異常検出が可能となる。

0062

また、従来技術では、両端子電圧及びバッテリ電圧の3つの値のばらつきを考慮して異常判定閾値を設定する必要があり、ばらつきを吸収するため正常範囲を広く設定すると、異常発生時に異常を検出不能となるおそれがある。特に、端子間電圧が過大となる異常を検出できない場合、補償制御により過度な指令値が継続して出力されるおそれがある。

0063

それに対し、第1、第2実施形態の判定閾値ΔMthは、同じ第1端子電圧M1#又は第2端子電圧M2#に対する複数の検出値間での検出誤差のみを考慮して設定すればよいため、適正な設定が可能である。したがって、異常検出性能を向上させることができる。
また上述の通り、本実施形態では、異常判定結果とは関係なく、適切に選択された端子間電圧選択値Vm_selに基づいて推定された操舵角速度Qsを用いて補償制御が実行される。したがって、異常判定の閾値設定とは関係なく、過度な指令値が出力されることを防止することができる。

0064

(4)第1、第2実施形態では、第1端子電圧M1a、M1b、及び、第2端子電圧M2a、M2bは、それぞれ、通電ラインスイッチSW5、SW6を挟んでHブリッジ回路30側及びモータ8側の2箇所で検出される。これにより、通電ラインスイッチSW5、SW6のオープン故障等の場合に、異常判定部64により異常を検出することができる。

0065

(第2実施形態)
次に第2実施形態について、図7を参照して説明する。
第2実施形態のモータ制御装置102は、第1実施形態の端子電圧検出回路51〜54に加え、モータ8の第1端子81の近傍における第1端子電圧M1c、及び、第2端子82の近傍における第2端子電圧M2cを検出する端子電圧検出回路55、56を備える。端子電圧検出値M1c、M2cは、モータ制御装置102の検出ポートP3、P4に接続された信号ケーブル73、74を経由して、端子電圧検出回路55、56に入力される。

0066

第2実施形態の制御部602の構成は、第1実施形態の図2に対し3組目の端子電圧検出値M1c、M2cの入力を追加するのみであり、図2から容易に類推可能であるため、図示を省略する。図2の一部を読み替えつつ参照すると、制御部602において、第1端子電圧検出値M1a、M1b、M1c及び第2端子電圧検出値M2a、M2b、M2cは、AD変換部61でAD変換され、端子間電圧演算部62に取得される。

0067

端子間電圧演算部62は、取得した6個の端子電圧検出値M1a、M1b、M1c、M2a、M2b、M2cに基づき、3通りの端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_cal、Vmc_cal(=M1c−M2c)を算出する。そして、それらのうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値Vm_selとして出力する。仮に、
|Vma_cal|<|Vmb_cal|≒|Vmc_cal|
という関係である場合、端子間電圧演算部62は、端子間電圧選択値Vm_selとしてVma_calを選択する。その点で、第2実施形態による端子間電圧選択の思想は、周知の多数決判定の思想とは全く異なるものである。

0068

また、端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_cal、Vmc_calの符号がいずれか1つでも異なる場合、端子間電圧演算部62は、端子間電圧選択値Vm_selを0とする。言い換えれば、全ての端子間電圧算出値Vma_cal、Vmb_cal、Vmc_calの符号が一致している場合のみ、それらの絶対値が比較され、絶対値が最小の値が選択される。

0069

異常判定部64の減算器641は、第1端子電圧検出値M1a、M1b、M1c、及び第2端子電圧検出値M2a、M2b、M2cについて、それぞれ3つのうち2つの検出値同士の端子電圧偏差ΔM1、ΔM2を算出する。例えば第1端子電圧について、M1aとM1b、M1bとM1c、M1cとM1aの3通りの端子電圧偏差ΔM1を算出する。
閾値比較部642は、減算器641が算出した全ての端子電圧偏差ΔM1、ΔM2のうちいずれか1つでも判定閾値ΔMthを超えているとき、端子電圧異常と判定し、異常信号を異常時処置部66に出力する。

0070

第2実施形態では、モータ制御装置102の内部で検出した端子電圧検出値M1a、M1b、M2a、M2bに加え、電力ケーブル71、72を介してモータ8側で検出した端子電圧検出値M1c、M2cの情報に基づいて、端子間電圧演算、及び端子電圧異常判定を実施する。
これにより、第2実施形態は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する他、電力ケーブル71、72の断線故障時にも異常を検出することができ、且つ、操舵角速度Qsの推定演算において異常による影響を低減することができる。

0071

第2実施形態の変形例として、第1端子電圧M1及び第2端子電圧M2について各4箇所以上で値を検出してもよい。例えば、通電ラインLp上に通電ラインスイッチSW5、SW6以外の素子や接続端子が配置される構成では、各素子や接続端子を挟んだ両側の箇所で端子電圧を検出することにより、いずれの素子や接続端子でオープン故障や断線故障が発生した場合でも、異常を検出することができる。

0072

(第3実施形態)
次に第3実施形態について、図8図9を参照して説明する。
図8に示すように、第3実施形態のモータ制御装置103は、第1実施形態のように第1端子電圧M1及び第2端子電圧M2を個別に検出するのでなく、端子間電圧Vmを直接検出する端子間電圧検出回路57、58を備える。端子間電圧検出回路57は、通電ラインスイッチSW5、SW6に対しHブリッジ回路30側で、第1端子電圧M1aと第2端子電圧M2aとの間の端子間電圧Vmaを検出する。端子間電圧検出回路58は、通電ラインスイッチSW5、SW6に対しモータ8側で、第1端子電圧M1bと第2端子電圧M2bとの間の端子間電圧Vmbを検出する。

0073

図9に示すように、制御部603において、端子間電圧検出値Vma_sns、Vmb_snsは、AD変換部61でAD変換され、端子間電圧演算部63に取得される。端子間電圧演算部63は、取得した端子間電圧検出値Vma_sns、Vmb_snsのうち絶対値が小さい方の値を端子間電圧選択値Vm_selとして出力する。また、端子間電圧検出値Vma_sns、Vmb_snsの符号が異なる場合、端子間電圧選択値Vm_selを0とする。
また、第3実施形態の制御部603は、異常判定部及び異常時処置部を有しておらず、端子間電圧演算のみを行う。このような構成としても、第1実施形態の効果(1)、(2)と同様の効果を奏することができる。

0074

第3実施形態の変形例として、通電ラインLp上の3箇所以上で端子間電圧Vmを検出してもよい。例えば第2実施形態のように、モータ8の第1端子81及び第2端子82の近傍における端子間電圧を検出してもよい。
その場合、端子間電圧演算部は、取得した3つ以上の端子間電圧検出値Vm#_snsのうち絶対値が最小の値を端子間電圧選択値Vm_selとして出力する。また、3つ以上の端子間電圧検出値Vm#_snsの符号がいずれか1つでも異なる場合、端子間電圧選択値Vm_selを0とする。

0075

(その他の実施形態)
(a)第1、第2実施形態では、第1端子電圧及び第2端子電圧の各複数の検出値M1#、M2#は、通電ラインLp上の複数の箇所で検出される。その他の実施形態では、複数の端子電圧検出値M1#、M2#の一部又は全部を同一箇所で検出してもよい。
その場合、例えば、複数の端子電圧検出値を異なるAD変換器で変換してもよい。これにより、一部のAD変換器が故障したとき、異常を検出することができる。或いは、複数の端子電圧検出値毎に電圧検出のロジックを変更してもよい。

0076

(b)上記実施形態の図1図7図8では、端子電圧検出回路51〜56、又は、端子間電圧検出回路57、58を個別に記載している。しかし、各検出値に対し検出回路の一部の機能を共用してもよい。そのため、特許請求の範囲では、「端子電圧検出回路」及び「端子間電圧検出回路」の数について、「複数」であることを特定していない。

0077

(c)4つのブリッジ回路スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、及び2つの通電ラインスイッチSW5、SW6として、MOSFET以外の電界効果トランジスタやIGBT等のトランジスタを用いてもよい。素子自体に寄生ダイオードを付随しないトランジスタを用いる場合には、コレクタエミッタ間に並列接続された還流ダイオードを「寄生ダイオード」とみなしてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。

0078

101、102、103・・・モータ制御装置、
30・・・Hブリッジ回路、
31・・・第1ハーフブリッジ、 32・・・第2ハーフブリッジ、
62、63・・・端子間電圧演算部、
64・・・異常判定部、
65・・・操舵角速度推定部、
8 ・・・モータ(DCモータ)、
SW1、SW2、SW3、SW4・・・ブリッジ回路スイッチ、
SW5、SW6・・・通電ラインスイッチ(モータリレー)。

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