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技術 活性化可能な結合ポリペプチドおよびその同定方法ならびに使用

出願人 ザリージェンツオブザユニバーシティオブカリフォルニアサイトムエックスセラピューティクス,インク.
発明者 ドウゲルティ,パトリック,シーンスタグリアノ,ナンシー,イー.トーマス,ジェリーカマス,キャスリンウエスト,ジェームズ,ダブリューカーレ,サンジャイサガート,ジェイソン
出願日 2016年12月1日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2016-233739
公開日 2017年6月22日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-108737
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析 微生物、その培養処理 化合物または医薬の治療活性 特有な方法による材料の調査、分析 酵素・酵素の調製 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 微生物による化合物の製造 医薬品製剤 突然変異または遺伝子工学 核酸・ペプチド類を含むライブラリー技術 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 候補マス 部分サイクル 未切断状態 解析点 コンピュータコントローラ 開始組成物 マスキング部分 線形形態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月22日)のものです。
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図面 (20)

課題

タンパク質ベース治療法プロドラッグの特徴を持たせるための戦略

解決手段

標的結合部分(TBM)と、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)とを含有する活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供。抗原結合ドメイン(ABD)を含有するTBMと、MMと、CMとを含み、第1のTBMと、第2のTBMと、CMとを含有するABPも提供。ABPは、CMを切断できる切断剤の存在下で、1つのTBMがCMの切断後よりも未切断のときに標的に到達しにくい「活性化可能な」コンホメーションを呈する。さらに、候補ABPのライブラリ、このようなABPを同定するためのスクリーニング方法および使用方法も提供する。また、VEGF、CTLA−4またはVCAMと結合するTBMを有するABPであって、VEGFと結合する第1のTBMとFGFと結合する第2のTBMとを有するABPならびに、組成物および使用方法も提供。

概要

背景

タンパク質医薬品が癌や貧血好中球減少症などの多種多様な疾患に応用されることで、近代医療の状況が変化しつつある。しかしながら、他の医薬品と同様、特に結合される標的が明らかな第2世代のタンパク質医薬品の開発にあたって、標的への特異性選択性を改善した医薬品に対する需要要望に、大きな関心が持たれている。

概要

タンパク質ベース治療法プロドラッグの特徴を持たせるための戦略標的結合部分(TBM)と、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)とを含有する活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供。抗原結合ドメイン(ABD)を含有するTBMと、MMと、CMとを含み、第1のTBMと、第2のTBMと、CMとを含有するABPも提供。ABPは、CMを切断できる切断剤の存在下で、1つのTBMがCMの切断後よりも未切断のときに標的に到達しにくい「活性化可能な」コンホメーションを呈する。さらに、候補ABPのライブラリ、このようなABPを同定するためのスクリーニング方法および使用方法も提供する。また、VEGF、CTLA−4またはVCAMと結合するTBMを有するABPであって、VEGFと結合する第1のTBMとFGFと結合する第2のTBMとを有するABPならびに、組成物および使用方法も提供。なし

目的

分子医薬品の領域では、活性な化学物質の「プロドラッグ」を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

明細書に記載された発明。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2007年8月22日に出願された米国仮特許出願第60/957,449号明細書、2007年8月22日に出願された同第60/957,453号明細書、2008年5月13日に出願された同第61/052,986号明細書(各出願全体を、あらゆる目的で本明細書に援用する)の優先権の利益を主張する。

0002

連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、National Institutes of Healthにより認められた助成番号1 U54 CA119335−01にて連邦政府からの助成金を受けてなされたものである。よって、政府は本発明に対して一定の権利留保する。

背景技術

0003

タンパク質医薬品が癌や貧血好中球減少症などの多種多様な疾患に応用されることで、近代医療の状況が変化しつつある。しかしながら、他の医薬品と同様、特に結合される標的が明らかな第2世代のタンパク質医薬品の開発にあたって、標的への特異性選択性を改善した医薬品に対する需要要望に、大きな関心が持たれている。

発明が解決しようとする課題

0004

分子医薬品の領域では、活性化学物質の「プロドラッグ」を提供する戦略が開発されている。このようなプロドラッグは、比較的不活性な(または有意に活性が低い)形態で投与される。投与後、プロドラッグはin vivoにて代謝されて活性な化合物になる。このようなプロドラッグ戦略は、意図した標的に向けた医薬品の選択性を高めることができるものである。その一例が、有害作用の低減が常に最も重要とされる、多くの抗癌療法に認められる。酸化還元活性化を利用した低酸素癌細胞の標的に用いられる医薬品では、医薬品を細胞毒性のある形態に変換して基本的にこれを活性化させるのに、低酸素細胞に存在するレダクターゼ酵素を大量に利用している。プロドラッグは活性化前の細胞毒性が低いため、非癌性細胞を損傷する危険性が大幅に減り、それによって当該医薬品に関連する副作用が低減される。

0005

タンパク質ベース治療法にプロドラッグの特徴を持たせるための戦略に向けた分野で需要がある。

課題を解決するための手段

0006

本開示は、標的結合部分(TBM)と、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)と、を含む、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものである。ABPは、CMを切断できる切断剤の存在下で、TBMがCMの切断後よりも未切断のときに標的に到達しにくいような「活性化可能な」コンホメーションを呈する。本開示はさらに、候補ABPのライブラリ、このようなABPを同定するためのスクリーニング方法使用方法も提供するものである。本開示はさらに、VEGFと結合するTBMを有するABPならびに、組成物および使用方法を提供するものである。

0007

このため、本開示は、標的結合部分(TBM)と、標的に対するTBMの結合を阻害でき、前記TBMの天然に生じる結合相手アミノ酸配列を有さない、マスキング部分(MM)と、切断状態で標的が存在すればTBMが標的と結合し、未切断状態で標的が存在すると標的に対するTBMの結合がMMによって阻害されるような位置で、活性化可能な結合ポリペプチドにある切断可能部分(CM)と、を含む、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものである。

0008

関連の実施形態では、MMが、未切断状態で標的に対するTBMの結合を阻害し、切断状態では標的に対するTBMの結合を可能にする機能に基づいて、複数の候補ポリペプチドから選択される。他の関連の実施形態では、MMが、ABPが未切断状態にあるときに、立体障害により標的に対するTBMの結合を阻害する。他の関連の実施形態では、MMがシステイン残基を含み、立体障害が、前記システイン残基とTBMに隣接するかその内部の別のシステイン残基との間のジスルフィド結合リンケージによって達成される。別の実施形態では、TBMが細胞外ポリペプチドである。

0009

他の関連の実施形態では、CMが、ABPのTBMとMMとの間に位置し、他の実施形態では、MM内に位置する。特定の実施形態では、CMが、たとえばプラスミン基質カスパーゼ基質またはマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)基質(MMP−1、MMP−2、MMP−9またはMMP−14の基質など)といったプロテアーゼ基質を含む。他の実施形態では、CMが、細胞プロテアーゼの基質であるプロテアーゼ基質を含む。別の実施形態では、CMが、システイン−システインジスルフィド結合を含む。

0010

もうひとつの態様では、本開示は、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)のスクリーニング方法であって、候補となる複数の活性化可能な結合ポリペプチド(候補ABP)と、候補ABPの標的結合部分と結合できる標的およびABPの切断可能部分(CM)を切断できる切断剤とを接触させ、前記標的と結合する前記複数のメンバの第1の個体群を切断剤の存在下でスクリーニングし、前記切断剤の非存在下で第1の個体群と標的とを接触させ、切断剤の非存在下で標的と結合するメンバの前記第1の個体群を除外することで、メンバの第2の個体群を前記第1の個体群からスクリーニングすることを含み、切断剤の存在下での標的結合と比較して、切断剤の非存在下で標的に対する結合が低下する候補ABPを選択できる、前記方法を提供するものである。

0011

関連の実施形態では、切断剤がプロテアーゼまたは還元剤である。他の関連の実施形態では、標的が検出可能な標識を含む。他の実施形態では、第1の個体群が、検出可能な標識の検出によって選択される。他の実施形態では、第2の個体群が、第1の個体群から、検出可能に標識されたメンバを分離することで生成される。

0012

他の関連の実施形態では、前記候補となる複数の活性化可能な結合ポリペプチドが各々、提示足場における複製可能な生命体の表面に存在する。

0013

本開示はさらに、候補となる活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)のライブラリであって、複製可能な生命体の表面で提示される候補となる複数のABPを含む、ライブラリを提供するものである。関連の実施形態では、複製可能な生命体が、細菌細胞酵母細胞哺乳類細胞である。

0014

また、本開示は、ABPをコードする核酸を含む核酸コンストラクトを含む組成物も提供するものである。関連の実施形態では、核酸コンストラクトが、提示足場をコードする核酸をさらに含み、ABPをコードする核酸が、コンストラクトに作動的に挿入され、宿主細胞の表面の提示足場におけるABP提示用融合タンパク質発現する。例示としての提示足場が円順列変異外膜タンパク質X(CPX)である。関連の実施形態では、ABPが、候補MMを有する候補ABPである。

0015

本開示はさらに、複製可能な生命体のゲノムに、候補となる複数の活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)をコードする組換えDNAコンストラクトの集合体を導入することを含む候補となる活性化可能な結合ポリペプチドのライブラリの作製方法であって、前記複数の各メンバが、標的結合部分(TBM)と、切断可能部分(CM)と、候補マスキング部分(MM)とを含み、前記導入することで、組換え複製可能な生命体が生成され、前記方法がさらに、候補ABPの発現および提示に適した条件下で前記組換え複製可能な生命体を培養することを含む、方法を提供するものである。

0016

また、本開示は、治療有効量の活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物も提供するものである。関連の実施形態では、ABPのTBMが、VEGFと結合してVEGFを阻害できるものである。

0017

また、本開示は、投与を必要とする被検体に、治療有効量のABPを投与することを含む、血管形成の阻害が必要な被検体における血管形成の阻害方法を提供するものであり、例示としてのABPには、(腫瘍部位などで)VEGFと結合してVEGF活性を阻害するTBMを有するものがある。

0018

一実施形態では、ABPの標的が、VCAM−1、VEGF−A、CTLA−4またはCD40Lのうちのいずれか1つであるABPが開示される。

0019

また、本開示は、第1の標的結合部分(TBM)と、第2のTBMと、切断可能部分(CM)とを含有する、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものである。ABPは、CMを切断できる切断剤の存在下で、少なくとも1つのTBMがCMの切断後よりも未切断のときに標的に到達しにくいように、「活性化可能な」コンホメーションを呈する。本開示はさらに、このようなコンフィギュレーションを有する候補ABPのライブラリ、当該ABPを同定するためのスクリーニング方法および使用方法を提供するものである。本開示はさらに、VEGFと結合してVEGF活性を阻害するTBMと、FGFと結合してFGF活性を阻害するTBMとを有するABPならびに、組成物および使用方法を提供するものである。

0020

このため、本開示は、第1の標的結合部分(TBM)と、第2のTBMと、切断可能部分(CM)とを含む活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)であって、前記CMが、切断状態で標的の存在下、第1および第2のTBMが標的と結合し、未切断状態で、ABPが、第1のTBMが第2のTBMによって結合される標的に干渉するコンホメーションにあるように、活性化可能な結合ポリペプチドに存在する、活性化可能な結合ポリペプチドを提供するものである。

0021

関連の実施形態では、未切断状態のABPが、第1および第2のTBMが、第1および第2のTBMに対する標的の結合に干渉するようなコンホメーションにある。他の関連の実施形態では、第1および第2のTBMが、FGF2およびVEGFなどの異なる標的と結合できる。他の関連の実施形態では、第1のTBMが、ABPが未切断状態にあるときに前記第1のTBMが標的に対する前記第2のTBMの結合を阻害し、ABPが切断状態にあるときに標的に対する前記第2のTBMの結合を可能にする機能に基づいて、複数の候補ポリペプチドから選択される。もうひとつの実施形態では、第1のTBMが、ABPが未切断状態にあるときに立体障害による前記第2のTBMによって標的結合に干渉する。他の関連の実施形態では、ABPが、前記第1のTBM内またはその付近に第1のシステイン残基を、前記第2のTBM内またはその付近に第2のシステイン残基を含み、立体障害が、前記第1および第2のシステイン残基間のジスルフィド結合リンケージによって達成される。関連の実施形態では、前記第1のTBMおよび前記第2のTBMの標的が細胞外ポリペプチドである。他の実施形態では、CMが、ABPの前記第1のTBMと前記第2のTBMとの間に局在するか、あるいは、CMがシステイン−システイン対を含む場合、前記第1のTBM内または前記第2のTBM内のいずれかにCMを局在させることが可能である。他の関連の実施形態では、CMが、たとえばMMP−1、MMP−2、MMP−9またはMMP−14の基質といったマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)基質などのプロテアーゼ基質を含む。他の関連の実施形態では、プロテアーゼ基質が、細胞内プロテアーゼの基質である。もうひとつの実施形態では、CMがシステイン−システインジスルフィド結合を含む。

0022

本開示はさらに、候補となる複数の活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)であって、前記複数の各メンバが、第1の標的結合部分(TBM)と、第2のTBMと、切断可能部分(CM)とを含む結合ポリペプチドと、前記第1のTBMと結合できる標的およびCMを切断できる切断剤とを接触させ、前記標的と結合する前記複数のメンバの第1の個体群を切断剤の存在下で選択し、前記第1の個体群を切断剤の非存在下で前記標的と接触させ、切断剤の非存在下で前記標的に結合するメンバの前記第1の個体群を除外することで、前記第1の個体群からメンバの第2の個体群を選択することを含み、切断剤の存在下での前記標的に対する結合と比較して、切断剤の非存在下で前記標的に対する結合が低下する候補ABPを選択する、二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を選択するための方法を提供するものである。

0023

関連の実施形態では、切断剤が、プロテアーゼまたはジスルフィド結合還元剤である。他の関連の実施形態では、第1の標的および第2の標的が各々、検出可能な標識を含む。他の関連の実施形態では、第1の個体群が、検出可能な標識の検出によって選択される。他の関連の実施形態では、第2の個体群が、第1の個体群から、検出可能に標識されたメンバを分離することで生成される。さらに他の実施形態では、候補となる複数の活性化可能な結合ポリペプチドが、提示足場において複製可能な生命体の表面に提示される。他の実施形態では、提示足場にて第2のTBMのアミノ酸配列を提供し、第2のTBMに対する標的の結合を検出することで、標的に対する第2のTBMの結合を評価する。

0024

本開示は、候補となる二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)のライブラリであって、複製可能な生命体の表面で提示される候補となる複数の二重標的結合ABPを含む、前記ライブラリも提供するものである。関連の実施形態では、複製可能な生命体が、細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞である。

0025

また、本開示は、二重標的結合ABPをコードする核酸を含む核酸コンストラクトを含む組成物も提供するものである。関連の実施形態では、核酸コンストラクトが提示足場をコードする核酸をさらに含み、ABPをコードする核酸が、コンストラクトに作動的に挿入され、宿主細胞の表面の提示足場におけるABP提示用の融合タンパク質を発現する。他の関連の実施形態では、提示足場が円順列変異外膜タンパク質X(CPX)である。

0026

また、本開示は、候補となる二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチドをコードする核酸を含む核酸コンストラクトを含む組成物であって、前記候補となる活性化可能な結合ポリペプチドが、(a)第1の標的結合部分(TBM)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)第2のTBMとを含み、第1のTBM、CMおよび第2のTBMが、前記第1のTBMが未切断状態で標的に対する前記第2のTBMの結合を阻害し、切断状態では標的に対する前記第2のTBMの結合を可能にする機能を判断することができるように配置される。

0027

関連の実施形態では、核酸コンストラクトが、円順列変異外膜タンパク質X(CPX)をコードする核酸をさらに含む。

0028

本開示は、候補となる二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチドのライブラリの作製方法であって、複製可能な生命体のゲノムに、候補となる複数の二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)をコードする組換えDNAコンストラクトの集合体を導入することを含み、前記複数の各メンバが、第1の標的結合部分(TBM)と、切断可能部分(CM)と、第2のTBMとを含み、前記導入することで、組換え複製可能な生命体が生成され、前記組換え複製可能な生命体を、候補となる二重標的結合ABPの発現および提示に適した条件下で培養することを含む、前記方法を提供するものである。

0029

また、本開示は、治療有効量の二重標的結合活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)と薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供するものである。関連の実施形態では、第1のABPのTBMがVEGFと結合してVEGFを阻害し、第2のTBMが線維芽細胞成長因子−2(FGF2)と結合してFGF2を阻害する。

0030

また、本開示は、投与を必要とする被検体に、二重標的結合ABPを含む医薬組成物を治療有効量で投与することを含む、哺乳類の被検体で血管形成を阻害する方法も提供するものである。

0031

一態様では、本開示は、標的を結合できる抗原結合ドメイン(ABD)を含む組成物であって、前記ABDが少なくとも1つのマスキング部分(MM)とカップリングされ、前記MMが標的に対するABDの特異的結合に干渉する組成物を提供するものである。一実施形態では、この組成物が切断可能部分(CM)をさらに含み、前記組成物が、CMが未切断状態にあってMMが標的に対するABDの特異的結合に干渉する第1のコンフィギュレーションと、CMが切断状態にあってMMが標的に対するABDの特異的結合に干渉しない第2のコンフィギュレーションの2つのコンフィギュレーションを含む。

0032

もうひとつの態様では、本開示は、標的を結合できる少なくとも1つの抗原結合ドメイン(ABD)と、標的に対するABDの特異的結合に干渉できる前記ABDとカップリングされた少なくとも1つのマスキング部分(MM)と、前記ABDにカップリングされた少なくとも1つの切断可能部分(CM)と、を含む、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)であって、未切断状態でMMが標的に対するABDの特異的結合に干渉し、切断状態ではMMが標的に対するABDの特異的結合に干渉しないように前記CMがABPに配置される。特定の実施形態では、CMがABDのC末端にカップリングされる。他の実施形態では、CMがABDのN末端またはABDのVLまたはVH鎖のN末端にカップリングされる。関連の実施形態では、MMがABDのC末端にカップリングされる。他の関連の実施形態では、MMがABDのN末端またはABDのVLまたはVH鎖のN末端にカップリングされる。別の実施形態では、ABPがMMとCMとの間に配置されたリンカーペプチドも含む。関連の実施形態では、リンカーペプチドがABDとCMとの間に配置される。特定の実施形態では、ABDと、CMと、MMとを含むABPが、検出可能な部分をさらに含む。特定の実施形態では、検出可能な部分が診断作用剤である。

0033

一実施形態では、ABDと、CMと、MMとを含むABPが、全長抗体Fabフラグメント、ScFvまたはSCA由来のABDを含有する。特定の実施形態では、ABDの標的が、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、EGFR、FGF−2、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、HER2/neu、DLL4、NOTCHR1、IL1B、IL1R、IL2、IL2R、IL4、IL6、IL12、IL13、IL15、IL18、IL23、IGF、IGF1R、ERBB3、VCAM−1、CXCR4、CD3、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD52、CD80、CD86、CTLA−4、TNFα、TNFR、TRAIL−R1、TRAIL−R2、IgE、IgE受容体、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGFRα、PDGFRβ、GPIIB/IIIA、CLAUDIN−3、CLAUDIN−4、C5相補体、RSVFタンパク質糖タンパク質IIb/IIIa受容体、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンからなる群から選択される。別の実施形態では、ABDを含むABPが、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP14、プラスミン、PSA、PSMA、CATHEPSIN D、CATHEPSIN K、CATHEPSIN S、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、Caspase−1、Caspase−2、Caspase−3、Caspase−4、Caspase−5、Caspase−6、Caspase−7、Caspase−8、Caspase−9、Caspase−10、Caspase−11、Caspase−12、Caspase−13、Caspase−14、TACEからなる群から選択される酵素の基質であるCMをさらに含む。特定の実施形態では、CMがMMP9の基質である。

0034

もうひとつの態様では、本開示は、未切断状態でMMが標的と特異的に結合するためのABDに干渉し、切断状態ではMMが標的と特異的に結合するためのABDに干渉しないように、マスキング部分(MM)および切断可能部分(CM)を前記ABDにカップリングすることを含む、標的と結合できる抗原結合ドメイン(ABD)を含有する組成物を修飾する方法を提供するものである。一実施形態では、MMおよび/またはCMがABDのC末端にカップリングされる。もうひとつの実施形態では、MMおよび/またはCMがABDのN末端にカップリングされる。いくつかの実施形態では、CMが、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP14、プラスミン、PSA、PSMA、CATHEPSIN D、CATHEPSIN K、CATHEPSIN S、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、Caspase−1、Caspase−2、Caspase−3、Caspase−4、Caspase−5、Caspase−6、Caspase−7、Caspase−8、Caspase−9、Caspase−10、Caspase−11、Caspase−12、Caspase−13、Caspase−14、TACEからなる群から選択される酵素の基質である。

0035

特定の実施形態では、ABDの標的が、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、EGFR、FGF−2、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、HER2/neu、DLL4、NOTCHR1、IL1B、IL1R、IL2、IL2R、IL4、IL6、IL12、IL13、IL15、IL18、IL23、IGF、IGF1R、ERBB3、VCAM−1、CXCR4、CD3、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD52、CD80、CD86、CTLA−4、TNFα、TNFR、TRAIL−R1、TRAIL−R2、IgE、IgE受容体、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGFRα、PDGFRβ、GPIIB/IIIA、CLAUDIN−3、CLAUDIN−4、C5相補体、RSVのFタンパク質、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンからなる群から選択される。関連の実施形態では、ABDが、全長抗体、Fabフラグメント、ScFvまたはSCAB由来であり、ABDが、VEGF、EGFR、CTLA−4、TNFα、インテグリンα4、IL2R、相補体C5、CD11a、CD20、CD25、CD33、CD52、糖タンパク質受容体IIb/IIIa、IgE、Her2、RSVのFタンパク質からなる群から選択される標的に対する抗体または抗体フラグメント由来である。他の関連の実施形態では、ABDが、ベバシズマブラニビズマブトラスツズマブインフリキシマブアダリムマブエファリズマブゲムツズマブ・オゾガマイシントシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタンエクリズマブアレムツズマブリツキシマブアブシキシマブセツキシマブダクリズマブバシリキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、ナタリズマブオマリズマブイピリムマブトレリムマブ、パリビズマブからなる群から選択される抗体由来である。特定の実施形態では、ABDが、VEGFに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがベバシズマブまたはラニビズマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDが、TNFαに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがインフリキシマブまたはアダリムマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDがCD20に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDが、トシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタンまたはリツキシマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDがEGFRに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがセツキシマブまたはパニツムマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDが、CTLA−4に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがイピリムマブまたはトレメリムマブ由来である。

0036

また、本開示は、候補ペプチドをスクリーニングして、抗原結合ドメイン(ABD)を含む抗体またはそのフラグメントに対する特異的結合親和性を有するマスキング部分(MM)ペプチドを同定する方法も提供するものである。この方法は、ペプチド足場のライブラリを提供することを含み、各ペプチド足場が、膜貫通タンパク質(TM)と候補ペプチドを含み、ABDを含む抗体またはそのフラグメントをライブラリと接触させ、抗体またはそのフラグメントに含まれるABDに対する特異的結合親和性を有するMMペプチドを同定することを伴う。いくつかの実施形態では、ライブラリが、ウイルス、細胞または胞子を含む。特定の実施形態では、ライブラリが、大腸菌(E.coli)を含む。特定の実施形態では、ペプチド足場が検出可能な部分をさらに含む。

0037

特定の実施形態では、抗体またはそのフラグメントが、MMが標的と結合できることを同定するためにスクリーニング対象となるABDを含み、標的が、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、EGFR、FGF−2、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、HER2/neu、DLL4、NOTCHR1、IL1B、IL1R、IL2、IL2R、IL4、IL6、IL12、IL13、IL15、IL18、IL23、IGF、IGF1R、ERBB3、VCAM−1、CXCR4、CD3、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD52、CD80、CD86、CTLA−4、TNFα、TNFR、TRAIL−R1、TRAIL−R2、IgE、IgE受容体、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGFRα、PDGFRβ、GPIIB/IIIA、CLAUDIN−3、CLAUDIN−4、C5相補体、RSVのFタンパク質、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンからなる群から選択される。関連の実施形態では、MMを同定するのにスクリーニング対象となるABDが、ベバシズマブ、ラニビズマブ、トラスツズマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、トシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、エクリズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、アブシキシマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、ナタリズマブ、オマリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、パリビズマブからなる群から選択される抗体由来である。特定の実施形態では、ABDが、VEGF、EGFR、CTLA−4、TNFα、インテグリンα4、IL2R、相補体C5、CD11a、CD20、CD25、CD33、CD52、糖タンパク質受容体IIb/IIIa、IgE、Her2、RSVのFタンパク質からなる群から選択される標的に対する抗体または抗体フラグメント由来である。特定の実施形態では、ABDが、VEGFに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがベバシズマブまたはラニビズマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDが、TNFαに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがインフリキシマブまたはアダリムマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDがCD20に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDが、トシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタンまたはリツキシマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDがEGFRに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがセツキシマブまたはパニツムマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDが、CTLA−4に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがイピリムマブまたはトレメリムマブ由来である。

0038

他の態様では、本開示は、未切断状態でMMが標的と特異的に結合するためのABDに干渉し、切断状態ではMMが標的と特異的に結合するためのABDに干渉しないように、切断可能部分(CM)およびマスキング部分(MM)にカップリングされた標的と結合できる抗原結合ドメイン(ABD)を含有する抗体またはそのフラグメントを含む組成物を被検体に投与することを含む、被検体における症状を治療および/または診断する方法を提供するものである。特定の実施形態では、ABDが、全長抗体、Fabフラグメント、ScFvまたはSCAB由来である。特定の実施形態では、ABDが、ベバシズマブ、ラニビズマブ、トラスツズマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、トシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、エクリズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、アブシキシマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、ナタリズマブ、オマリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、パリビズマブからなる群から選択される抗体由来である。関連の実施形態では、標的が、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、EGFR、FGF−2、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、HER2/neu、DLL4、NOTCHR1、IL1B、IL1R、IL2、IL2R、IL4、IL6、IL12、IL13、IL15、IL18、IL23、IGF、IGF1R、ERBB3、VCAM−1、CXCR4、CD3、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD52、CD80、CD86、CTLA−4、TNFα、TNFR、TRAIL−R1、TRAIL−R2、IgE、IgE受容体、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGFRα、PDGFRβ、GPIIB/IIIA、CLAUDIN−3、CLAUDIN−4、C5相補体、RSVのFタンパク質、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンからなる群から選択される。他の関連の実施形態では、ABDが、VEGF、EGFR、CTLA−4、TNFα、インテグリンα4、IL2R、相補体C5、CD11a、CD20、CD25、CD33、CD52、糖タンパク質受容体IIb/IIIa、IgE、Her2、RSVのFタンパク質からなる群から選択される標的に対する抗体または抗体フラグメント由来である。特定の実施形態では、ABDが、VEGFに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがベバシズマブまたはラニビズマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDが、TNFαに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがインフリキシマブまたはアダリムマブ由来である。もうひとつの特定の実施形態では、ABDがCD20に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDが、トシツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタンまたはリツキシマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDがEGFRに対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDが、セツキシマブまたはパニツムマブ由来である。さらに別の特定の実施形態では、ABDが、CTLA−4に対する抗体またはその抗体フラグメント由来である。関連の一実施形態では、ABDがイピリムマブまたはトレメリムマブ由来である。

0039

特定の具体的な態様では、本開示は、酵素活性化可能な抗体またはそのフラグメントを提供するものである。特定の実施形態では、酵素が、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP14、プラスミン、PSA、PSMA、CATHEPSIN D、CATHEPSIN K、CATHEPSIN S、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、Caspase−1、Caspase−2、Caspase−3、Caspase−4、Caspase−5、Caspase−6、Caspase−7、Caspase−8、Caspase−9、Caspase−10、Caspase−11、Caspase−12、Caspase−13、Caspase−14、TACEからなる群から選択される。関連の実施形態では、抗体フラグメントが全長抗体由来であるか、scFv、FabまたはSCABである。具体的な一態様では、本開示は、酵素活性化可能な抗VEGF−A抗体またはそのフラグメントを提供するものである。特定の一実施形態では、抗体がラニビズマブである。もうひとつの実施形態では、抗体がMMP9によって活性化される。もうひとつの態様では、本開示は、酵素活性化可能な抗CTLA−4抗体またはそのフラグメントを提供するものである。特定の一実施形態では、抗体がイピリムマブまたはトレメリムマブである。もうひとつの実施形態では、抗体がMMP9によって活性化される。さらに別の関連の態様では、本開示は、酵素活性化可能なVCAM−1抗体またはそのフラグメントを提供するものである。特定の一実施形態では、抗体がMMP9によって活性化される。

0040

一態様では、本開示は、ABPと、前記ABPを切断できるプロテアーゼと、前記ABPの標的とを含む反応混合物を提供するものである。

0041

他の態様および実施形態については、本開示を読めば容易に分かるであろう。

図面の簡単な説明

0042

不活性(未切断状態)および活性(切断状態)なABPを示す、ABPの図である。
ABPの同定および単離に使用できるライブラリスクリーニング手順の概略である。
T7対照コンストラクトのアミノ酸配列を示し、酵素の存在下および非存在下の両方でVEGFが対照コンストラクトと結合することを示す。また、図3は、MMP−2によるMMP−2基質(CM)の切断も示す。
システイン制約ループABPおよびGS対照コンストラクトのアミノ酸配列を示す。また、図4は、不活性(未切断状態)および活性(切断状態)なABPの図も示す。
ABPでのシステイン制約ループの形成によってVEGF結合が干渉されることが分かる、結合実験の結果を示す。切断状態と未切断状態の両方で、GS対照およびABPの図も示してある。
4つの例示としてのコンストラクトライブラリのアミノ酸配列を示し、このライブラリの提示されたコンストラクトを表す図を示す。
図6に示すコンストラクトライブラリを構成するのに適用されるスクリーニング手順の概略である。
図7に示すスクリーニング手順でコンストラクトを選別した後に、スイッチのような挙動を呈する例示としてのライブラリのメンバを同定可能であることを示す。
システイン制約対照よりも選択後のライブラリクローン切り替え活性が改善されることを示す。
最も顕著な「切り替え」表現型を示したライブラリから単離されたクローンのアミノ酸配列を示す。
MMにシステイン残基を有するクローンならびにMMにシステイン残基を欠いたクローンの切り替え活性を示す結合実験の結果を示す。
システイン制約親とMMにシステインを有するライブラリクローンの両方でジスルフィド結合の還元によってコンストラクトのTBMに対するVEGFの結合が増加することを示す、実験結果を示す。
MMP−2処理の非存在下でのKdとの比較で、システイン制約親コンストラクトをVEGFと接触させ、MMP−2で処理した際に生じたKd改善のグラフ図を示す。
MMP−2処理の非存在下でのKdとの比較で、ライブラリクローン2.2A.5をVEGFと接触させ、MMP−2で処理した際に生じたKd改善のグラフ図を示す。
標識された標的の濃度を調節することで拡大されたダイナミックレンジについてマスキング部分ライブラリ1を選別した結果を示す。
標識された標的を調節することで拡大されたダイナミックレンジについてマスキング部分ライブラリ1を選別した結果を示し、ライブラリ1のABPプールに平均4倍のダイナミックレンジを同定する。図16では、EABPという用語が本明細書に記載のABPを示す点に注意されたい。
プロテアーゼ活性化可能なVEGF阻害剤の例示としての実施形態の図を示す。
候補ABPライブラリのスクリーニングで同定された例示としてのABPのアミノ酸配列を示す。
プロテアーゼ−活性化可能なVEGF阻害剤の同定に適した候補マスキング部分を有する候補ABPライブラリの図を示す。
本開示の例示としてのABPを示す概略図である。
図2に示すライブラリスクリーニング手順の実施形態を示す。
システイン含有MMおよび非システイン含有MMを有するさまざまな例示としてのABPの配列を示す。
MMP−2の存在下および非存在下でのライブラリクローン4.2A.11(別名4−2A−11)および2.3B.5(別名2−3B−5)の蛍光値との比較で、MMP−2の存在下および非存在下でのシステイン制約ループ構造の蛍光値を示す。
さまざまなABPライブラリクローンでの酵素処理後の蛍光の増加倍数を示す。
選択されたABPライブラリクローンの切り替え活性を示す。
可溶性タンパク質結合アッセイで利用するマルトース結合タンパク質(MBP)ABP融合体の図を示す。
溶性ABP融合物が酵素による結合特性を保つことを実証するBiacore(商標)でのアッセイ結果を示すグラフである。
抗VCAM−1 scFVに対する選択された候補MMペプチドの結合を示すFACS解析の結果である。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列である。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列である。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列である。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列であり、この場合のABPは封入体としての細胞質発現用に設計されている。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列であり、この場合のABPは封入体としての細胞質発現用に設計されている。
抗VCAM−1 scFVを含む予測的ABPのアミノ酸配列であり、この場合のABPは封入体としての細胞質発現用に設計されている。
TBMが抗VCAM−1 scFV ABDを含み、CMがMMP−1基質を含むABPの活性化と標的結合を示す概略である。
抗原結合ドメイン(ABD)を含有するプロテアーゼ活性化ABPを示す。
MMのスクリーニング;CMのスクリーニング;MM、CM、ABDを含有するTBMのアセンブル;アセンブルしたコンストラクトの発現および精製;アセンブルしたコンストラクトのin vitroおよびin vivoでの活性と毒性のアッセイを含む、抗原結合ドメイン(ABD)を含有するプロテアーゼ活性化ABPを生成するためのプロセスを示す。
例示としてのMMP−9切断可能なマスクされた抗VEGF scFvアミノ酸配列である。
MM 306および314を用いる場合のMBP:抗VEGFscFv ABPのMMP−9活性化を示すELISAデータである。試料をTEVで処理してMBPの融合相手を除去した後、MMP−9での消化によって活性化した。
306 MMを用いる抗VEGFscFv HisコンストラクトのMMP−9依存性VEGF結合を示すELISAデータである。
HEK細胞上清由来のMM 306および314を用いる抗VEGFscFv−Fc ABPのMMP−9依存性VEGF結合を示すELISAデータである。
タンパク質カラムを用いて精製したMM 306および314を用いる抗VEGF scFv−Fc ABPコンストラクトのMMP−9依存性VEGF結合を示すELISAデータである。
scFvコンストラクトをVHVLとVLVHの両方の向きで生成するようSOE−PCRによって接合された抗CTLA4の軽鎖および重鎖を示す。
抗CTLA4 scFv VHVLおよびVLVHコンストラクトのN末端に、MMクローニングのための部位、CM切断配列、GGS2リンカーを加えるのにPCRを用いることを示す。
抗CTLA4 scFvを含むABPの調製時に用いられるMMリンカー−CM−抗CTLA4 scFvリンカーのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列である。

0043

本発明についてさらに説明する前に、本発明はここに記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、それ自体がもちろん可変であることは理解できよう。また、本明細書で用いる専門用語は特定の実施形態を説明するだけのためのものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、限定することを意図したものではない旨も理解できよう。

0044

値の範囲が与えられている場合、それぞれの間にある値、文脈から他の内容が明確に示される場合を除いて下限の10分の1単位、その範囲の上限と下限との間、他の表記の範囲またはその表記の範囲での中間値も本発明に包含されることが理解される。これらのさらに小さな範囲の上限と下限は独立に、さらに小さな範囲に含まれることもあり、表記の範囲で具体的に排除された限界まで本発明内に包含される。表記の範囲が限界のうちの一方または両方を含む場合、この含まれる範囲の一方または両方を排除する範囲も本発明に包含される。

0045

特に定義しないかぎり、本明細書で使用する技術用語および科学用語はいずれも、本発明が属する分野の当業者らに一般に理解されている意味と同一の意味を持つ。本明細書に記載したものと同様または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に用いることが可能であるが、ここでは好ましい方法および材料について説明する。本明細書で言及する刊行物はいずれも、その刊行物を引用することに関して方法および/または材料を説明および開示するために本明細書に援用する。

0046

本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」「an」「and」および「the」は、その指示対象の複数形を含む(文脈から、そうでないことが明白な場合を除く)ことに注意されたい。よって、たとえば、「活性化可能な結合ポリペプチド」とは、複数のこのような活性化可能な結合ポリペプチドを含み、「活性化可能な結合ポリペプチド」とは、1つ以上の活性化可能な結合ポリペプチドならびに当業者間で周知のその等価物を含むといった具合である。また、特許請求の範囲は、任意の要素を排除するようにも記載できる。その際、この記述は、権利請求する要素の記述に関連してこのような排除的な用語を「唯一」「単に」などと使用するか、「負の」限定として使用する先行技術として機能することを意図している点に注意されたい。

0047

本明細書に言及する刊行物は、本出願の出願日前の開示物として提供したものにすぎない。本明細書のいずれの部分も、本発明が先行する発明のおかげでこのような刊行物に先行する資格がないと認めたとは解釈されない。さらに、ここにあげた発行日が実際の発行日とは異なる場合もあり、独立に確認する必要がある場合もある。

0048

例示としての実施形態の詳細な説明
本開示は、活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものであり、これは、標的結合部分(TBM)と、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)とを含有する。ABPは、たとえば切断作用剤(CMの切断部位を認識するプロテアーゼなど)の存在下でCMが未切断のときに切断後よりもTBMが標的に到達しにくいように「活性化可能な」コンホメーションを呈する。本開示はさらに、候補ABPのライブラリ、このようなABPを同定するためのスクリーニング方法および使用方法も提供するものである。本開示はさらに、VEGFと結合するTBMを有するABPならびに、組成物および使用方法も提供するものである。

0049

また、本開示は、第1のTBMと、第2のTBMと、CMとを含有するABPも提供するものである。これらのABPは、CMを切断できる切断剤の存在下で、CMが未切断のときに切断後よりも少なくとも1つのTBMが標的に到達しにくいように「活性化可能な」コンホメーションを呈する。本開示はさらに、このようなコンフィギュレーションを有する候補ABPのライブラリ、当該ABPを同定するためのスクリーニング方法および使用方法も提供するものである。本開示はさらに、VEGFと結合してVEGF活性を阻害するTBMと、FGFと結合してFGF活性を阻害するTBMとを有するABPならびに、組成物および使用方法も提供するものである。

0050

また、本開示は、標的と結合できる抗原結合ドメイン(ABD)を含有する抗体または抗体フラグメントである標的結合部分(TBM)と、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)とを含む活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものである。ABPは、たとえば切断作用剤(CMの切断部位を認識するプロテアーゼなど)の存在下でCMが未切断のときに切断後よりもABDが標的に到達しにくいように「活性化可能な」コンホメーションを呈する。本開示はさらに、候補ABPのライブラリ、ABDの候補MM、このようなABPおよびMMを同定するためのスクリーニング方法および使用方法も提供するものである。本開示はさらに、本明細書に開示の複数の標的のうちの1つ以上と結合するABDを有するABPならびに、組成物および使用方法も提供するものである。

0051

定義
「活性化可能な結合ポリペプチド」または「ABP」という用語は、広義には、標的結合部分(TBM)と、切断可能部分(CM)と、マスキング部分(MM)とを含有するポリペプチドを示す。TBMは通常、標的タンパク質(VEGFなど)への結合用のアミノ酸配列を含有する。いくつかの実施形態では、TBMが、抗体またはその抗体フラグメントの抗原結合ドメイン(ABD)を含む。

0052

CMは通常、酵素および/または還元可能なジスルフィド結合を形成可能なシステイン−システイン対の基質として機能するアミノ酸配列を含む。それ自体、CMとの関連で「切断」、「切断可能な」、「切断された」などの表現を用いる場合、これらの表現は、プロテアーゼなどによる酵素切断ならびに、還元剤への曝露後のジスルフィド結合の還元によるシステイン−システイン対間のジスルフィド結合の破壊を包含する。

0053

MMは、ABPのCMが無傷(すなわち、対応する酵素によって切断されていないおよび/または非還元システイン−システインジスルフィド結合を含有する)である場合に、自らの標的に対するTBMの結合にMMが干渉するアミノ酸配列である。CMのアミノ酸配列は、MMと重なることもあれば、MMに含まれることもある。便宜上、本明細書で用いる「ABP」は、その未切断の(または「ネイティブな」)状態にあるABPと、その切断状態にあるABPの両方を示す点に注意されたい。いくつかの実施形態では、少なくともMMを切り離すプロテアーゼなどによるCMの切断(MMが共有結合によってABPと結合していない場合など(システイン残基間のジスルフィド結合など)が原因で、切断後のABPにMMが欠けている場合がある旨は、当業者であれば自明であろう。例示としてのABPについては、下記において詳細に説明する。

0054

特に関心の対象となる一実施形態では、ABPが2つのTBMを含み、少なくとも1つのTBMが他のTBMに対するマスキング部分(MM)として作用する、および/または未切断のコンホメーションで、少なくとも1つのTBMの標的に対するABPの結合が、ABPが切断されたコンホメーションにある場合に比して少なくなるように、2つのTBMが互いにマスキング部分として機能する。よって、本実施形態における「活性化可能な結合ポリペプチド」または「ABP」は、第1の標的結合部分(TBM)と、第2のTBMと、切断可能部分(CM)とを含有するポリペプチドを包含し、第1および第2のTBMが相互作用して、標的に対する少なくとも1つのTBMの結合を「マスク」する(すなわち、第1および/または第2のTBMが標的結合のマスキング部分(MM)として作用する)。TBMは通常、標的タンパク質(VEGFなど)への結合用のアミノ酸配列を含有する。

0055

後者の実施形態では、ABPのCMが無傷(すなわち、対応する酵素によって切断されていない、および/または非還元システイン−システインジスルフィド結合を含有する)である場合に、第1および第2のTBMの相互作用が、自らの対応する標的に対する一方または両方のTBMの結合に干渉する。便宜上、本明細書で使用する「ABP」は、その未切断の(または「ネイティブな」)状態にあるABPと、その切断状態にあるABPの両方を示す点に注意されたい。いくつかの実施形態では、プロテアーゼなどによるCMの切断が原因で、切断後のABPに上述したような2つのTBMが含まれなくなる場合がある旨は、当業者であれば自明であろう。ABPが、プロテアーゼ切断可能なCMと、ジスルフィド結合を含むCMの両方を含む場合、プロテアーゼ切断可能なCMを切断してもジスルフィド結合が無傷のまま残り、切断後の形態のABPには標的結合が可能な「マスクされない」コンフィギュレーションで2つのTBMが保持される場合もある。例示としてのABPについては、下記において詳細に説明する。

0056

本明細書で使用する場合、「切断剤」という用語は、酵素切断などによってCMの配列を切断できる作用剤あるいは、システイン−システイン対間のジスルフィド結合を還元できる還元剤を示す。「還元剤」は一般に、ジスルフィド結合との還元酸化反応で電子供与化合物として機能する化合物または元素を示す。特に注目される還元剤として、タンパク質などの細胞還元剤あるいは、グルタチオンチオレドキシンNADPH、フラビンアスコルビン酸塩などの生理学的条件下でジスルフィド結合を還元できる他の作用剤があげられる。

0057

「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」という用語は、本明細書では同義に用いられ、長さを問わずアミノ酸ポリマー形態を示し、これには、コードされたアミノ酸およびコードされないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されたまたは誘導体化されたアミノ酸、修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。この用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を含むまたは含まない異種および同種リーダー配列との融合物;免疫学的タグ付けされたタンパク質などを含むがこれに限定されるものではない、融合タンパク質を含む。

0058

「プロテアーゼ」、「プロテイナーゼ」および「ポリペプチドを切断できる酵素」は、本明細書では同義に用いられ、ペプチド結合加水分解するエンドペプチダーゼまたはエキソペプチダーゼなどの酵素、通常はエンドペプチダーゼを示す。

0059

「複製可能な生命体」という表現は、細菌、酵母原虫、哺乳類細胞ならびに、このような細胞に感染し、複製できるさまざまなウイルスおよびバクテリオファージなどをはじめとする自己複製生物細胞を示す。

0060

核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は、同義に用いられ、長さを問わずヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれか、あるいはその類似体を示す。ポリヌクレオチドは、どのような三次元構造であってもよく、周知のまたは周知ではないどのような機能を果たすものであってもよい。ポリヌクレオチドの非限定的な例として、遺伝子、遺伝子断片エキソンイントロンメッセンジャーRNAmRNA)、トランスファーRNAリボソームRNAリボザイムcDNA組換えポリヌクレオチド分岐鎖ポリヌクレオチド、プラスミドベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブプライマーがあげられる。

0061

「でコードされる」とは、ポリペプチド配列をコードする核酸配列を示し、ポリペプチド配列またはその一部は、核酸配列でコードされるポリペプチドから少なくとも3から5アミノ酸、一層好ましくは少なくとも8から10アミノ酸、なお一層好ましくは少なくとも15から20アミノ酸からなるアミノ酸配列を含有する。また、配列によってコードされるポリペプチドで免疫学的に同定可能なポリペプチド配列も包含される。

0062

「コンストラクト」は、本明細書では、共有結合的におよび作動的に結合された要素として特徴付けられるポリペプチドまたは核酸を示すものとして用いられる。たとえば、ABPコンストラクトは、少なくともTBM、MM、CMを含むABPポリペプチド(これが作動的に結合されて本明細書に記載の切り替え可能な表現型が得られる)ならびにこのようなABPポリペプチドをコードする核酸を示し得るものである。

0063

「ベクター」は、遺伝子配列標的細胞に伝達できる。一般に、「ベクターコンストラクト」、「発現ベクター」および「遺伝子導入ベクター」は、宿主細胞で目的の遺伝子の発現を指令できる核酸コンストラクトを意味する。よって、この用語は、クローニングベクターおよび発現媒体(vehicle)ベクターならびに組み込み用(integrating)ベクターも含む。

0064

本明細書で使用する場合、「組換え」は当該技術分野での通常の意味であり、in vitroで合成またはそうでなければ操作されたポリヌクレオチド(「組換えポリヌクレオチド」など)、細胞または他の生物学的系で組換えポリヌクレオチドを用いて遺伝子産物を産生する方法、組換えポリヌクレオチドでコードされるポリペプチド(「組換えタンパク質」)を示す。

0065

「組換え」という表現を細胞に関して用いる場合、細胞が異種核酸を含有するか、このような異種核酸でコードされるペプチドまたはタンパク質を発現し、通常はこのような異種核酸を複製することを示す。組換え細胞は、その細胞のネイティブな(非組換え)形態には見られない遺伝子を含み得る。組換え細胞はまた、その細胞のネイティブな形態に見られる遺伝子も含み得るものであり、これらの遺伝子が修飾されて人工的な手段で細胞に再導入される。この用語はまた、細胞から核酸を除去することなく修飾されている細胞に対して内在性の核酸を含有する細胞も包含する。このような修飾は、遺伝子の代置、部位特異的変異、関連の技法によって得られるものを含む。

0066

異種配列」、「異種核酸」、「異種ポリペプチド」または「異種アミノ酸配列」とは、本明細書で使用する場合、特定の宿主細胞にとって外来である起源に由来するものであり、あるいは、同一起源である場合には、その元の形態から修飾されている。よって、宿主細胞の異種核酸は、特定の宿主細胞に内在するが、修飾されている(宿主細胞に通常は見られない配列を提供するための核酸に対して、天然に生じる核酸または親核酸とは異なるアミノ酸配列をコードするなど)核酸を含む。異種配列の修飾は、DNAを制限酵素で処理して、プロモーターに作動的に結合され得るDNAフラグメントを生成する、あるいはDNAを異種プロモーターに作動的に結合させて宿主細胞にとって内在性ではない発現カセットを提供するなど、多岐にわたる方法で達成可能である。部位特異的突然変異誘発などの技法も異種核酸の修飾には有用である。

0067

「作動的に結合された」という表現は、所望の機能を得るための分子間の機能的リンケージを示す。たとえば、核酸に関して「作動的に結合された」とは、転写翻訳などの所望の機能を得るための核酸間の機能的リンケージ、たとえば核酸発現対照配列(プロモーター、シグナル配列または転写因子結合部位アレイなど)と第2のポリヌクレオチドとの間の機能的リンケージを示し、発現対照配列は第2のポリヌクレオチドの転写および/または翻訳に影響する。ポリペプチドに関して「作動的に結合された」とは、ポリペプチドのここに記載の活性(ABPが未切断にあるときのTBMの「マスキング」、切断を容易にするためのプロテアーゼに対する到達しやすさ、ABPのTBMの「未マスキング」など)を得るためのアミノ酸配列(異なるドメインなど)間の機能的リンケージを示す。

0068

組換え発現カセット」または単に「発現カセット」とは、このような配列と矛盾しない宿主対照要素と作動的に結合された構造的遺伝子の発現に影響できる対照要素を有する組換え的および/または合成的に生成された核酸コンストラクトである。発現カセットは、少なくともプロモーターを含み、任意に、転写終結シグナルも含む。一般に、組換え発現カセットは、少なくとも転写対象となる核酸とプロモーターとを含む。発現させるのに必要または役立つ別の因子も本明細書に記載したようにして使用可能である。たとえば、転写終結シグナル、エンハンサー遺伝子発現に影響する他の核酸配列も発現カセットに含み得るものである。

0069

「ゲノムに導入する」とは、組換え複製可能な生命体(宿主細胞、バクテリオファージなど)を作製することに関して本明細書で使用する場合、複製をするための組換え複製可能な生命体の生成を示し、必要があれば、複製可能な生命体の複製による外来性ポリペプチドの発現を示す。複製可能な生命体が宿主細胞(細菌、酵母または哺乳類細胞など)である場合、「ゲノムに導入する」とは、ゲノムの組み込み(安定した組み込みなど)によるゲノム的導入ならびに、宿主細胞で外来性核酸の安定したまたは一過性の維持を提供するためのエピソーム要素(プラスミドなど)の導入の両方を包含する。「トランスフォーメーション」という用語も同様に、目的のポリペプチドをコードする外来性核酸の導入による組換え細胞の生成を示して用いられ、この場合の外来性核酸は、エピソーム要素(細菌または酵母宿主細胞との関連ではプラスミドなど)と同様に安定してまたは一過的に維持可能であるか、安定してまたは一過性にゲノム組み込み可能である。

0070

「単離された」という表現は、実体(ポリペプチド、核酸など)を、これが本来関連しているまたは合成(組換え、化学合成など)時に関連することがある他の実体から分離したことを示す。「単離された」という用語は、実体が天然に見いだせる状態にないことを意味し、実体が組換えまたは他の合成手段で産生される場合であれば、存在し得る他の成分に対して分離または富化されていることを意味する。よって、たとえば、「単離されたタンパク質」は、天然に見られるようなものではないが実質的に100%未満の純粋なタンパク質のこともある。

0071

「実質的に純粋」とは、実体(ポリペプチドなど)がなす部分が組成物全体(組成物の全タンパク質など)の約50%を超え、一般に、タンパク質全体の約60%を超えることを示す。より一般に、「実質的に純粋」とは、組成物全体の少なくとも75%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%またはそれより多くが目的の実体(全タンパク質のなどである組成物を示す。好ましくは、タンパク質がなす部分が約90%を超え、一層好ましくは組成物のタンパク質全体の約95%を超える。

0072

「富化された」とは、開始組成物に比して、組成物で目的の実体の割合が増したことを示す。たとえば、メンバの10%が所望の属性酵素的に「切り替え可能」など)を呈する開始個体群すなわち第1の個体群を富化して、全体の10%を超える(15%またはそれより多くなど)メンバが所望の活性を呈する第2の個体群を得ることが可能である。富化に選択を伴うなど、富化によって個体群の異なるメンバ全体が減少する場合がある点に注意されたい。

0073

スクリーン」または「スクリーニング」ならびに、「選択」または「選択する」という表現は、本明細書では、所望の属性(酵素的に「切り替え可能」など)を有する個体群のメンバを、属性がそれほど望ましくない(検出可能な酵素的に切り替え可能な表現型がない、あるいは所望のダイナミックレンジにない酵素的に切り替え可能な表現型など)メンバから分離しやすくなるように個体群を処理することを示して用いられる。スクリーニングは、1つ以上の基準を用いてメンバの個体群について実施可能である。スクリーニングは、(たとえばFACSを用いる細胞選別によるなど)分離後の個体群の回復性および/または生存度を維持する手段によって達成可能であるか、あるいは個体群の望ましくないメンバの生存度または回復性を抑えることで達成可能である。

0074

スクリーニング(または選択)には、「ポジティブスクリーニング」または「ネガティブスクリーニング」(本明細書ではそれぞれ、「ポジティブ選択」または「ネガティブ選択」とも呼ぶ)が可能である。「ポジティブスクリーニング」では、所望の属性を呈するメンバを、ポジティブシグナル(検出可能なシグナルの存在、所望の属性を欠いたメンバの成長を阻害する作用剤の存在下での成長など)の存在に応じて選択する。「ネガティブスクリーニング」では、所望の属性を呈するメンバを、減少したシグナルまたは検出できないシグナル(比較的減少または検出できないシグナル;所望の属性を呈するメンバの成長を阻害する作用剤の存在下での成長の低下など)に応じて選択する。

0075

本明細書で使用する場合、「接触」とは通常の意味であり、2つ以上の実体(標的タンパク質、候補ABP、酵素など)を組み合わせることを示す。接触は、たとえば、試験管または他の容器内で(2つ以上の作用剤[切断剤(酵素など)とペプチド提示足場を発現している細胞など]を組み合わせるなど)、細胞ベースの系で(標的タンパク質および/または切断剤(酵素など)と細胞表面に提示されたでABPの接触など)または無細胞系で(無傷細胞を必要とせずにペプチド提示足場を提示するための切断剤(酵素など)と細胞膜合成膜または他の膜とを組み合わせるなどなど)起こり得る。

0076

本明細書で使用する場合、「リガンド」とは、酵素に対する基質、阻害剤またはアロステリックレギュレーターの結合などの結合相手の分子に結合する分子を示し、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸分子、炭水化物、糖、脂質、リポタンパク質、小分子、天然および合成の有機物質および無機物質合成ポリマーなどの天然および合成の生体分子を含む。

0077

「結合」とは、本明細書で使用する場合、主に2つの分子間(本明細書では基質および酵素などの「結合相手」と呼ぶ)での共有結合または非共有結合の相互作用を示し、この結合は通常、特異的である。

0078

本明細書で使用する場合、「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、結合相手が互いに結合するが、その環境(生物学的試料中組織中など)に存在し得る他の分子とは、特定の条件の組(生理学的条件など)のもとで有意なレベルまたは相当なレベルでは結合しないような結合相手間の相互作用を示す。

0079

本明細書で使用する場合、「蛍光基」は、選択した波長の光で励起されると、異なる波長の光を放出する分子を示す。蛍光基を「フルオロフォア」と呼ぶこともある。

0080

本明細書で使用する場合、「提示足場」という用語は、宿主細胞で発現されると、宿主細胞の細胞外到達可能な表面に提示され、作動的に結合された異種ポリペプチドを提示するポリペプチドを示す。たとえば、提示足場には、本明細書に開示した方法で候補ABPのスクリーニングを容易にする用途がある。提示足場は、提示足場からの融合タンパク質の切断と候補ABPの放出を容易にするプロテアーゼの作用によって、目的の異種ポリペプチドを提示足場から容易に放出できるように提供可能である。

0081

「検出する」または「評価する」とは、あらゆる形態の定性的測定または定量的測定を含み、要素の有無を判断することを含む。「判断する」、「測定する」、「見極める」、「評価する」、「アッセイする」という表現は同義に用いられ、定量的および定性的判断を含む。評価は相対的なものであっても絶対的なものであってもよい。「存在を評価する」とは、存在する何かの量を判断することおよび/または有無を判断することを含む。本明細書で使用する場合、「検出する」、「判断する」、「測定する」、「評価する」、「アッセイする」という用語は同義に用いられ、定量的判断と定性的判断の両方を含む。

0082

「有効量」または「治療有効量」という用語は、治療対象となる疾患状態を治療するあるいは、そうでなければ所望の効果(腫瘍サイズの減少、血管形成の低減など)を得るのに十分な薬用量を意味する。厳密な薬用量は、被検体依存の変数年齢、免疫系の健康など)、疾患(癌または腫瘍のタイプなど)、実施する治療などの多岐にわたる要因に応じて変わってくる。

0083

治療部位」という用語は、ABPの一方または両方のTBMの標的とABPのCMを切断できる切断剤とが共存する部位など、本明細書に記載したようにABPが切り替え可能に設計される部位を示すことを意図している。治療部位としては、局所投与(注射、点滴など(カテーテルによるなど))または全身投与(治療部位から離れた部位への投与など)で到達できる組織がある。治療部位は、生物学的に比較的限局された部位(臓器、腫瘍部位など)も含む。

0084

活性化可能な結合ポリペプチド
本開示は、標的タンパク質に対して、「切り替え可能な」結合とも呼ばれる「活性化可能な」結合を呈する活性化可能な結合ポリペプチド(ABP)を提供するものである。ABPは主に、標的結合部分(「TBM」)と、マスキング部分(「MM」)と、切断可能部分(「CM」)とを含む。いくつかの実施形態では、CMが、対象となるプロテアーゼの基質として機能するアミノ酸配列を含有する。他の実施形態では、CMが、還元によって切断可能なシステイン−システインジスルフィド結合を提供する。

0085

ABPの概略を、図1図35および図36に示す。後者の2つは、ABPのTBMが抗原結合ドメイン(ABD)を含有する実施形態を概略的に表したものである。図1図35図36に示すように、切断状態(または比較的「活性な」状態)で標的が存在すればTBMが標的と結合するのに対し、未切断状態(または比較的「不活性な」状態)で標的が存在すると、MMによるTBMの「マスキング」を伴い得るABPのコンホメーションがゆえに、標的に対するTBMの結合が阻害されるような位置にCMがあるような形で、ABPの各要素が配置されている。本明細書で使用する場合、「切断状態」という表現は、プロテアーゼおよび/またはCMのシステイン−システインジスルフィド結合の還元によるCM切断後のABPの様子を示す。「未切断状態」という表現は、本明細書で使用する場合、プロテアーゼによるCMの切断がないおよび/またはCMのシステイン−システインジスルフィド結合の還元がない、ABPの様子を示す。上述したように、「ABP」は、本明細書では便宜上、その未切断の(または「ネイティブな」)状態にあるABPと、その切断状態にあるABPの両方を示すのに用いられる。いくつかの実施形態では、少なくともMMを切り離すプロテアーゼによるCMの切断(MMが共有結合(システイン残基間のジスルフィド結合など)によってABPと結合していない場合などが原因で、切断後のABPにMMが欠けている場合がある旨は、当業者であれば自明であろう。

0086

「活性化可能な」または「切り替え可能な」とは、ABPがネイティブな状態または未切断状態(すなわち、第1のコンホメーション)で標的に対して第1のレベルの結合を呈し、切断状態(すなわち、第2のコンホメーション)で標的に対して第2のレベルの結合を呈し、第2のレベルの標的結合が第1のレベルの結合よりも強いことを意味する。通常、CMを切断できる切断剤の存在下でのほうが、このような切断剤の非存在下よりもABPのTBMへの標的の到達が大きくなる。よって、ネイティブな状態または未切断状態で、TBMは標的結合から「マスクされ」(すなわち、第1のコンホメーションは、これがTBMに対する標的の到達に干渉するようなものである)、切断状態では、TBMが標的結合に対して「マスクされない」。

0087

ABPのCMおよびTBMについては、TBMが目的の標的用の結合部分を表し、CMが被検体の治療部位で標的と共存するプロテアーゼの基質を表すように選択してもよい。上記の代わりまたは上記に加えて、CMは、このジスルフィド結合の還元の結果として切断可能なシステイン−システインジスルフィド結合である。ABPは、少なくとも1つのプロテアーゼ切断可能なCMまたはシステイン−システインジスルフィド結合を含有し、いくつかの実施形態では、両方の種類のCMを含む。本明細書に開示のABPには、たとえば、CMの部位を切断できるプロテアーゼが、非治療部位の組織よりも治療部位の標的含有組織で比較的高めのレベルで存在する場合に、特定の利用法がある。

0088

別の言い方をすると、ABPのCM−TBM対は、標的と共存するプロテアーゼのレベルが高くなることを有効利用するよう設計されている。このため、被検体の非治療部位よりも治療部位で優先的に酵素活性化される(よって、高い標的結合レベルを呈する)ようにABPを設計することが可能である。このように、ABPを用いると、非治療部位でTBMの結合に起因し得る毒性および/または有害な副作用を減らすことが可能である。ABPが、ジスルフィド結合を還元しやすくする還元剤によって切断可能なCMを含有する場合、たとえば非治療部位の環境よりも環境での還元の可能性が高くなるような形で、還元剤のレベルの高さを特徴とする所望の治療部位に目的の標的が存在するTBMの活性化を有効利用するよう、このようなABPのTBMを選択してもよい。

0089

通常、ABPを設計するには、目的のTBMを選択し、コンホメーション的に制限がある場合はMMがTBMをマスクするようABPの残りを構築すればよい。この機能的な特徴を提供するために構造的な設計基準考慮対象となる。たとえば、ABPが、MMと、少なくとも1つのCMと、リンカーとを含む場合、このリンカーは、TBMの標的結合部位からコンストラクトの残りが結合することになるTBMの末端までの距離を代表する長さに対して、一般に少なくとも1.5から2倍、通常は少なくとも2倍になるように選択される。

0090

二重標的結合ABPは、本開示において特に関心の対象となる。このような二重標的結合ABPは2つのTBMを含有し、これらは同一の標的と結合することもあれば異なる標的と結合することもある。この場合、少なくとも1つのTBMが、標的結合と「マスキング」の二重の機能を果たす。上述したように、このような二重標的結合ABPは通常、2つのTBMを含有し、少なくとも1つのTBMが他のTBMに対するマスキング部分(MM)として作用および/またはABPが切断されたコンホメーションにある場合に比して、未切断のコンホメーションで、少なくとも1つのTBMの標的に対するABPの結合が少なくなるように、2つのTBMが互いにマスキング部分として作用する。よって、本実施形態における「ABP」は、第1の標的結合部分(TBM)と、第2のTBMと、切断可能部分(CM)とを含有するポリペプチドを包含し、第1および第2のTBMが相互作用して、標的に対する少なくとも1つのTBMの結合を「マスク」する(すなわち、第1および/または第2のTBMが標的結合のマスキング部分(MM)として作用する)。TBMは、異なる標的(VEGFならびに、FGF2などの線維芽細胞成長因子(FGF)など)に結合するTBMを含み得る。各TBMは、各々が標的に対する結合用の1つ以上の活性部位を含むように、独立して選択可能である。

0091

図20は、ABPが切断されたときにそれぞれの標的を結合し、ABPが未切断のときにTBMの一方または両方の標的に対する結合からABPをマスクする、二重機能を果たし得る2つのTBMを有する本開示の例示としてのABPを示す概略図である。図20の上側には「MM」が示されているが、この場合のMMは単一の結合部位を有する第1のTBMである。図20の中程に、第1のTBMおよび第2のTBM(任意にTBM1およびTBM2と表示)を有し、2つのTBM間に切断可能部分(CM)が位置するABPを示す。切り替え可能な未切断のコンホメーション(すなわちCMが対応する酵素によって切断されていないおよび/または非還元システイン−システインジスルフィド結合を含有する無傷のとき)では、図20の下側に示すように、TBM1がTBM2と相互作用することで、少なくともTBM1の標的に対する結合を「マスク」し、特定の実施形態では、TBM1およびTBM2の両方の標的結合をマスクする。切断されると、各TBMは「マスクされていない」ため、それぞれの標的に自由に結合できる。

0092

二重標的結合TBMについては、ABPのTBMに結合できる標的の一方または両方と標的組織で共存する、切断剤によって切断可能なCMを有するように設計可能である。本開示はさらに、単一のABPを切断剤で切断することで、複数の標的結合フラグメントが放出されるように、TBM1−TBM2ドメインの複数の「単位」を企図するものである。

0093

図20に例示するように、「マスクされた」TBMと、標的または(血清IgG結合タンパク質例証されるような)血清半減期延長などの別の所望の機能を提供し得る目的の部分との間に、第2のCMを配置することが可能である。この第2のCMは、同一または異なる切断剤による切断の影響を受けやすい。

0094

いくつかの実施形態では、プロテアーゼなどによるCMの切断が原因で、切断後のABPに上述したような2つのTBMが含まれなくなる場合がある旨は、当業者であれば自明であろう。ABPが、プロテアーゼ切断可能なCMと、ジスルフィド結合を含むCMの両方を含む場合、プロテアーゼ切断可能なCMを切断してもジスルフィド結合が無傷のまま残り、切断後の形態のABPには標的結合が可能な「マスクされない」コンフィギュレーションで2つのTBMが保持される場合もある。例示としてのABPについては、下記において詳細に説明する。

0095

切断されたコンホメーション対未切断のコンホメーションで標的結合に対する所望のダイナミックレンジを切り替え可能な表現型を呈するABPが、特に関心の対象となる。「ダイナミックレンジ」という用語は、本明細書で使用する場合、主に(a)第1の組の条件下でのパラメータの最大検出レベルと、(b)第2の組の条件下でのそのパラメータの最小検出値との比を示す。たとえば、ABPとの関連では、ダイナミックレンジは、(a)ABPのCMを切断できるプロテアーゼの存在下でABPに結合する標的タンパク質の最大検出レベルと、(b)プロテアーゼの非存在下でABPに結合する標的タンパク質の最小検出レベルとの比を示す。ABPのダイナミックレンジについては、ABP切断剤(酵素など)治療の平衡解離定数と、ABP切断剤治療の平衡解離定数との比として算出可能である。ABPのダイナミックレンジが大きくなればなるほど、ABPの「切り替え可能な」表現型が一層よくなる。ダイナミックレンジの値が比較的大きい(1を超えるなど)ABPは、ABPによる標的タンパク質結合が、ABPのCMを切断できる切断剤(酵素など)の存在下で、切断剤の非存在下よりも大きな度合いで生じる(優先的に生じるなど)ような一層望ましい切り替え表現型を呈する。

0096

ABPは、切り替え可能な表現型が得られるように、TBM、MM、CMがABPに作動的に配置されるかぎり、多岐にわたる構造的コンフィギュレーションで提供可能なものである。ABPの例示としての式を以下にあげておく。TBM、MMおよびCMのN末端からC末端の順序をABP内で反転してもよいことが、特に企図される。また、たとえばCMがMM内に含まれるように、CMとMMのアミノ酸配列が重なってもよいことも特に企図される。

0097

たとえば、ABPについては、以下の式で表すことが可能である(アミノ(「N」)末端領域からカルボキシル(「C」)末端領域への順で以下のとおりであり、
(MM)−(CM)−(TBM)
(TBM)−(CM)−(MM)
式中、MMはマスキング部分であり、CMは切断可能部分であり、TBMは標的結合部分である。上記の式ではMMとCMが別々の成分として示されているが、本明細書に開示の例示としてのすべての実施形態(式を含む)では、CMが完全にまたは部分的にMMの中に含まれるなど、MMとCMのアミノ酸配列が重なってもよい旨に注意されたい。また、上記の式では、ABP要素のN末端側またはC末端側に配置できる別のアミノ酸配列も得られる。いくつかの実施形態では、二重標的結合ABPは、MMが第2のTBMであるようなものである。本開示全体をとおして、ここに記載の式はこのような二重標的結合ABPを包含し、式中の「MM」がTBM1であり、「TBM」がTBM2であり、この場合のTBM1およびTBM2は第1および第2のTBMを任意に示しただけのものであり、TBMと結合できる標的が同一の標的であっても異なる標的であってもよく、同じ標的の同一の結合部位であっても異なる結合部位であってもよい旨は、理解できよう。

0098

通常、ABPは、標的のTBMへの到達が少なくともMMによって阻害されるようなABPの畳み込みの結果として、切り替え可能な表現型を呈することが可能である旨は理解できよう。よって、多くの実施形態では、MM−CM結合部分、CM−TBM結合部分の1つ以上または両方で柔軟性を持たせるために、フレキシブルリンカーなどの1つ以上のリンカーをABPコンストラクトに挿入すると望ましいことがある。たとえば、TBM、MMおよび/またはCMには、所望の柔軟性が得られるほどの十分な数の残基(Gly、Ser、Asp、Asn、特にGlyおよびSer、ことさらGlyなど)が含まれていないことがある。それ自体、このようなABPコンストラクトの切り替え可能な表現型が、フレキシブルリンカーを得るための1つ以上のアミノ酸の導入から恩恵を受けることがある。また、後述するように、ABPがコンホメーション的に制約されたコンストラクトとして提供される場合、フレキシブルリンカーを作動的に挿入して、未切断ABPの環状構造の形成と維持を容易にすることができる。

0099

たとえば、特定の実施形態では、ABPが、以下の式(この場合、後述の式はNからC末端方向またはCからN末端方向のいずれかのアミノ酸配列を示す)のうちの1つを含み、
(MM)−L1−(CM)−(TBM)
(MM)−(CM)−L1−(TBM)
(MM)−L1−(CM)−L2−(TBM)
シクロ[L1−(MM)−L2−(CM)−L3−(TBM)]
式中、MM、CM、TBMは先に定義したとおりであり、L1、L2、L3は各々独立かつ任意に存在するか存在せず、少なくとも1つのフレキシブルアミノ酸(Glyなど)を含む同一または異なるフレキシブルリンカーであり、「シクロ」が含まれる場合は、ABPにおけるシステインの対間のジスルフィド結合がゆえにABPが環状構造である。また、上記の式では、ABP要素のN末端側またはC末端側に存在してもよい別のアミノ酸配列も得られる。式シクロ[L1−(MM)−L2−(CM)−L3−(TBM)]では、ABPがジスルフィド結合構造にある(よって、コンホメーション的に制約された状態である)場合に、ジスルフィド結合を担うシステインをABPに配置して1つまたは2つの「尾」を許容し、これによって「ラッシ」または「オメガ」構造を生成してもよい旨を理解されたい。尾のアミノ酸配列によって、ABPの局在化を容易にするための標的受容体に対する結合、ABPの血清半減期増大などのABPの別の特徴を得ることも可能である。標的部分(標的組織中に存在する細胞の受容体のリガンドなど)と血清半減期延長部分(免疫グロブリン(IgGなど)または血清アルブミンヒト血清アルブミンHSA)などなどの血清タンパク質と結合するポリペプチドなど。

0100

上述したように、上記の式は、式の「MM」がTBM1であり、「TBM」がTBM2であるような二重標的結合ABPを包含し、この場合のTBM1およびTBM2は第1および第2のTBMを任意に示しただけのものであり、TBMと結合できる標的が同一の標的であっても異なる標的であってもよく、同じ標的の同一の結合部位であっても異なる結合部位であってもよい。本開示はさらに、第2のCMが異なるかまたは同じであるようなABPが第2のCMを含み得ることをさらに提供するものであり、目的の部分(標的部分、血清半減期延長部分、ABPを支持体固定化するための部分など)の切断可能な放出を提供するものである。

0101

ABPで使用するのに適したリンカーは通常、「マスクされた」コンホメーションを容易にするための柔軟性をABPに与えるものである。このようなリンカーは通常、「フレキシブルリンカー」と呼ばれる。好適なリンカーは容易に選択可能であり、1アミノ酸(Glyなど)から20アミノ酸、2アミノ酸から15アミノ酸あるいは、4アミノ酸から10アミノ酸、5アミノ酸から9アミノ酸、6アミノ酸から8アミノ酸または7アミノ酸から8アミノ酸をはじめとして3アミノ酸から12アミノ酸など、異なる長さの好適なもののうちどのようなものであってもよく、1、2、3、4、5、6または7アミノ酸であればよい。

0102

例示としてのフレキシブルリンカーには、グリシンポリマー(G)n、グリシン−セリンポリマー(たとえば、(GS)n(GSGGS:配列番号1)nおよび(GGGS:配列番号2)nを含み、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、従来技術において周知の他のフレキシブルリンカーがある。このうちグリシンおよびグリシン−セリンポリマーが注目されているが、これらのアミノ酸が比較的構造化されておらず、成分間の中性テザーとして機能しやすいことがその理由である。グリシンはアラニンよりもかなり多くphi−psiスペースに到達し、側鎖が長めの残基よりも制限がかなり少ないことから、グリシンポリマーが特に注目されている(Scheraga, Rev. Computational Chem. 11173〜142 (1992)を参照のこと)。例示としてのフレキシブルリンカーには、Gly−Gly−Ser−Gly:配列番号3、Gly−Gly−Ser−Gly−Gly:配列番号4、Gly−Ser−Gly−Ser−Gly:配列番号5、Gly−Ser−Gly−Gly−Gly:配列番号6、Gly−Gly−Gly−Ser−Gly:配列番号7、Gly−Ser−Ser−Ser−Gly:配列番号8、などがあるが、これに限定されるものではない。所望のABP構造を得るために、フレキシブルリンカーと、これよりも柔軟性の低い構造となる1つ以上の部分とをリンカーに含み得るように、ABPの設計に全体または一部が柔軟なリンカーを含み得ることは、当業者であれば分かるであろう。

0103

上述した要素に加えて、ABPは、たとえば、ABPのアミノ酸配列N末端またはC末端などの別の要素を含むものであってもよい。たとえば、ABPは、目的の細胞または組織への送達を容易にするための標的部分を含むことができる。さらに、後述するABPライブラリとの関連では、細胞表面でのABPの提示を容易にするための足場タンパク質との関連でABPを提供可能である。

0104

ABPの例示としての基本要素については、下記において詳細に説明する。

0105

標的結合部分(TBM)
ABPの標的結合部分(TBM)は、通常はタンパク質標的である目的の標的と結合でき、通常は特異的に結合できる、多岐にわたる周知のアミノ酸配列のどれを含むものであってもよい。たとえば、目的の標的タンパク質の結合相手のアミノ酸配列を含むようにTBMを選択可能であり、この場合、結合相手と標的の結合によって、標的タンパク質の活性の阻害および/または標的タンパク質の検出などの所望の生物学的作用が得られる。

0106

結合相手のアミノ酸配列(阻害剤など)が周知である例示としてのクラスの標的タンパク質として、細胞表面レセプターおよび分泌結合タンパク質(成長因子など)、可溶性酵素、構造的タンパク質(コラーゲンフィブロネクチンなど)などがあげられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。具体的な例示としての実施形態では、何ら限定することなく、TBMが以下の表1に示すような任意の標的の結合相手である。

0107

0108

いくつかの実施形態では、TBMが、通常は目的のタンパク質標的である目的の標的に結合、特に特異的に結合できる抗原結合ドメイン、抗原結合ドメインフラグメントまたは抗体の抗原結合フラグメント単鎖の抗原結合ドメインなど)を含有する全長抗体または抗体フラグメントを含む。この実施形態では、TBMが、抗原結合ドメイン(ABD)を含有する。ABDを含有するTBMを含むABPの概略を図36に示す。このような実施形態では、ABDは、抗体の軽鎖および/または重鎖の可変領域または高頻度可変領域(VL、VH)、可変フラグメント(Fv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、単鎖抗体(scAb)、単鎖可変領域(scFv)、相補性決定領域(CDR)あるいは、標的タンパク質または標的タンパク質上のエピトープと結合できるABDを含有する従来技術において周知の他のポリペプチドなどの結合ポリペプチドであればよいが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、各ABDが同一または異なる標的と結合できるように、ABDを含有する第1のTBMと、ABDを含有する第2のTBMとをTBMに含む、キメラまたはハイブリッドコンビネーションであるTBMであってもよい。いくつかの実施形態では、TBMが、2つの異なる抗原と結合するよう設計された二重特異性抗体またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態では、活性化可能な形態で第1のTBMにカップリングされた第1のMMと、第2のTBMにカップリングされた第2のMMとがある。ABDの起源としては、天然に生じる抗体またはそのフラグメント、非天然の抗体またはそのフラグメント、合成抗体またはそのフラグメント、ハイブリッド抗体またはそのフラグメントあるいは、改変抗体またはそのフラグメントが可能である。

0109

特定の標的に対する抗体を作製するための方法は、従来技術において周知である。抗体およびそのフラグメント、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(VHおよびVL)、Fv、F(ab’)2、Fabフラグメント、単鎖抗体(scAb)、単鎖可変領域(scFv)、相補性決定領域(CDR)の構造は、十分に理解されている。標的抗原の所望の抗原−結合ドメインを有するポリペプチドを生成するための方法は、従来技術において周知である。別のポリペプチドをカップリングするよう抗体を修飾するための方法も、従来技術において周知である。たとえば、MM、CMまたはリンカーなどのペプチドをカップリングして抗体を修飾し、本開示のABPおよび他の組成物を生成してもよい。図37に概略的に示すような標準的な方法を用いて、プロテアーゼ活性化ABDを含有するABPを開発し、生成することが可能である。

0110

TBMがABDを含有する標的タンパク質の例示としてのクラスとしては、細胞表面レセプターおよび分泌結合タンパク質(成長因子など)、可溶性酵素、構造的タンパク質(コラーゲン、フィブロネクチンなど)などがあげられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。標的は、本明細書に記載し、表1に例示するがこれに限定されるものではない、TBM標的から選択可能である。具体的な例示としての実施形態では、何ら限定することなく、例示としてのABDソースを以下の表2にあげておく。

0111

0112

表2に記載した例示としてのABDソースについては、1つ以上の参考ABDソースの説明について本明細書に援用する、以下の参考文献に一層詳細に論じられている。Remicade(商標)(インフリキシマブ):米国特許第6,015,557号明細書、Nagahira K,Fukuda Y,Oyama Y,Kurihara T,Nasu T,Kawashima H,Noguchi C,Oikawa S,Nakanishi T.Humanization of a mouse neutralizing monoclonal antibody against tumor necrosis factor−alpha(TNF−alpha).J Immunol Methods.1999 Jan 1;222(1−2):83〜92)。KnightDM,Trinh H,Le J,Siegel S,Shealy D,McDonough M,Scallon B,Moore MA,Vilcek J,Daddona P,et al.Construction and initial characterization of a mouse−human chimeric anti−TNF antibody.Mol Immunol.1993 Nov;30(16):1443〜53。Humira(商標)(アダリムマブ):米国特許第6 258 562号明細書の配列。Raptiva(商標)(エファリズマブ):Werther WA,Gonzalez TN,O’Connor SJ,McCabe S,Chan B,Hotaling T,Champe M,Fox JA,Jardieu PM, Berman PW,Presta LG.Humanization of an anti−lymphocyte function−associated antigen(LFA)−1 monoclonal antibody and reengineering of the humanized antibody for binding to rhesus LFA−1。J Immunol.1996 Dec 1;157(11):4986〜95に列挙された配列。Mylotarg(商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン):(CO MS,Avdalovic NM,Caron PC,Avdalovic MV,Scheinberg DA,Queen C:Chimeric and humanized antibodies with specificity for the CD33 antigen.J Immunol 148:1149,1991に列挙された配列)(Caron PC,Schwartz MA,Co MS,Queen C,Finn RD,Graham MC,Divgi CR,LarsonSM,Scheinberg DA.Murine and humanized constructs of monoclonal antibody M195(anti−CD33) for the therapy of acute myelogenous leukemia.Cancer.1994 Feb 1;73(3 Suppl):1049〜56)。Soliris(商標)(エクリズマブ):Hillmen P,Young N,Schubert J,Brodsky R,Socie G,Muus P,Roth A,Szer J,Elebute M,Nakamura R,Browne P,Risitano A,Hill A,Schrezenmeier H, Fu C,Maciejewski J,Rollins S,Mojcik C,RotherR,Luzzatto L(2006)。“The complement inhibitor eculizumab in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria”.N Engl J Med 355(12):1233〜43。Tysabri(商標)(ナタリズマブ):Leger OJ,Yednock TA,Tanner L,Horner HC,Hines DK,Keen S,Saldanha J,Jones ST,Fritz LC,Bendig MM.Humanization of a mouse antibody against human alpha−4 integrin:a potential therapeutic for the treatment of multiple sclerosis.Hum Antibodies.1997;8(1):3〜16に列挙された配列。
Synagis(商標)(パリビズマブ):Johnson S,Oliver C, Prince GA,Hemming VG,Pfarr DS,Wang SC,Dormitzer M,O’Grady J,Koenig S, Tamura JK,Woods R,Bansal G,Couchenour D,Tsao E,Hall WC,Young JF.Development of a humanized monoclonal antibody(MEDI−493)with potent in vitro and in vivo activity against respiratory syncytial virus.J Infect Dis.1997 Nov;176(5):1215〜24に列挙された配列。イピリムマブ:J.Immunother:2007;30(8):825〜830 Ipilimumab(Anti−CTLA4 Antibody)Causes Regression of Metastatic Renal Cell Cancer Associated With Enteritis and Hypophysitis;James C.Yang,Marybeth Hughes,Udai Kammula,Richard Royal,Richard M.Sherry,Suzanne L.Topalian,Kimberly B.Suri,Catherine Levy,Tamika Allen,Sharon Mavroukakis,Israel Lowy,Donald E.White,and Steven A.Rosenberg。
トレメリムマブ:Oncologist 2007;12;873〜883;Blocking Monoclonal Antibody in Clinical Development for Patients with Cancer;Antoni Ribas,Douglas C.Hanson,Dennis A.Noe,Robert Millham,Deborah J.Guyot,Steven H.Bernstein,Paul C.Canniff,Amarnath Sharma and Jesus Gomez−Navarro。

0113

いくつかの実施形態では、ABP(二重標的結合ABPを含む)のTBMが、標的の結合用に複数の活性部位(1、2、3またはそれより多いなど)を含む。これらの活性部位は、同一または異なるアミノ酸配列を有するものであってもよく、通常は、TBMの第1の活性部位の結合が、標的に対するTBMの第2の活性部位の結合に実質的に干渉しないように、目的の標的上の異なる結合部位に結合するよう設計される。特定の実施形態では、活性部位はアミノ酸リンカー配列によって分離されている。複数の活性部位を含むTBMを図17図19に概略的に示す。ABPはさらに、複数のTBM−MM「単位」を含むことが可能であり、これらの単位は、切断剤への曝露時に1つ以上のTBMのマスクが外れるように任意に別のCMで分離されていてもよい。二重標的結合ABPは、複数のTBM1−TBM2単位を含むことが可能であり、これらの単位は、二重標的結合ABPの「アーム」のいずれかに位置する1つ以上のCMで分離可能であって、同一または異なる切断剤で切断可能なものであってもよい。

0114

特定の実施形態では、ABPのTBMが2つ以上のABDを含有することが可能である。いくつかの実施形態では、ABDは二重特異性抗体またはそのフラグメント由来のものであってもよい。他の実施形態では、ABPは、2つの異なる抗体またはそのフラグメント由来のABDを取り込むために合成的に改変されたものであってもよい。このような実施形態では、2つの異なる標的、同じ標的上の2つの異なる抗原または2つの異なるエピトープと結合するようABDを設計可能である。2つ以上の標的部位を結合できる複数のABDを含有するTBMは通常、TBMの第1のABDの結合が、標的に対するTBMの第2のABDの結合に実質的に干渉しないように、目的の標的上の異なる結合部位に結合するよう設計される。複数のABDを含有するABPはさらに、複数のABD−MM「単位」を含むことが可能であり、これらの単位は、切断剤への曝露時に、ABDのマスクが外れるように任意に別のCMで分離されていてもよい。二重標的結合ABPは、複数のABD1−ABD2単位を含むことが可能であり、これらの単位は、二重標的結合ABPの「アーム」のいずれかに位置する1つ以上のCMで分離可能であって、同一または異なる切断剤で切断可能なものであってもよい。

0115

総じて、本開示に企図されるABPは、通常は細胞外タンパク質標的である細胞外標的を結合できるTBMを有するものである。しかしながら、細胞取り込みができ、細胞内で切り替え可能なよう設計されるように、ABPを設計することも可能である。

0116

マスキング部分(MM)
ABPのマスキング部分(MM)は通常、未切断状態では、TBMの標的が存在する場合ですらMMが標的に対するTBMの結合に干渉する、ABPに配置されたアミノ酸配列を示す。しかしながら、ABPが切断状態にあると、TBMの標的結合に対するMMの干渉が低減されることで、TBMが標的に到達しやすくなるとともに、標的が結合される。よって、MMは、ABPが未切断であるときに、TBMを標的結合から「マスキング」するが、ABPが切断されたコンホメーションにあるときにはTBMに対する標的の結合に実質的にまたは有意に干渉または拮抗しないものである。このように、MMとCMの組み合わせによって「切り替え可能な」表現型が容易になり、ABPが未切断のときにはMMが標的の結合を抑え、プロテアーゼによるCMの切断によって標的の結合が増す。

0117

MMの構造的な特性は、標的に対するTBM結合への干渉に必要な最小アミノ酸配列、目的の標的タンパク質−TBM結合対、TBMの長さ、CMの長さ、CMがMM内にあるか否か、未切断のABPでTBMを「マスク」する機能を果たすか否か、リンカーの有無、システイン−システインジスルフィド結合のCMを得るのに適したTBM内にあるまたはこれをフランキングするシステインの有無などの多岐にわたる要因に応じて変化する。

0118

いくつかの実施形態では、MMが共有結合によってABPにカップリングされる。このような一実施形態では、カップリングがABPのC末端へのものである。もうひとつの実施形態では、カップリングがABPの内部アミノ酸への架橋によるものである。もうひとつの実施形態では、ABP組成物がMMをABPのN末端に結合することでマスクされる。さらにもうひとつの実施形態では、MMとABPとの間のシステイン−システインジスルフィドブリッジによってABPがMMにカップリングされる。

0119

MMは、多岐にわたる異なる形態で提供可能なものである。たとえば、標的TBM結合におけるMMの干渉を抑えるためにCMの切断後にTBMが結合するよう設計された標的タンパク質よりも低親和性および/またはアビディティでMMがTBMと結合するかぎり、MMをTBMの周知の結合相手になるよう選択可能である。言い方を変えると、上述したように、MMは、ABPが未切断であるときに、TBMを標的結合から「マスクする」が、ABPが切断されたコンホメーションにあるときには標的の結合に実質的にまたは有意に干渉または拮抗しないものである。特定の一実施形態では、TBMおよびMMが、TBMおよびMMのうちの少なくとも1つが天然に生じる結合相手のメンバのアミノ酸配列を有さないような形で、天然に生じる一対の結合相手のアミノ酸配列を含有しない。特定の一実施形態では、TBMおよびMMが、TNF−αの一対の結合相手、TNF−αの結合相手として作用するTNF受容体の完全または部分細胞外ドメインあるいはその誘導体以外である。もうひとつの特定の実施形態では、TBMおよびMMが、TNF−αの一対の結合相手、TNF−αの結合相手として作用するウイルスT2タンパク質またはその誘導体以外である。もうひとつの特定の実施形態では、TBMおよびMMが、FasLの一対の結合相手ならびに、FasLの結合相手として作用するFas受容体またはその誘導体の完全または部分細胞外ドメイン以外である。もうひとつの特定の実施形態では、TBMおよびMMが、FasLの一対の結合相手ならびに、FasLの結合相手として作用するウイルスタンパク質またはその誘導体以外である。もうひとつの特定の実施形態では、TBMおよびMMが、FasLの一対の結合相手ならびに、FasLに対する結合親和性のある抗体またはそのフラグメント以外である。

0120

たとえば、天然の結合相手ではないようにTBMおよびMMを選択することも可能であり、この場合のMMは、たとえば、切断後にMMがTBM標的結合に実質的にまたは有意に干渉しないように、親和性および/またはTBMへの結合のアビディティを少なくとも若干低下させるアミノ酸の変化を含むTBMの修飾された結合相手であってもよい。ABPは、結合を容易にするアミノ酸配列が分かっている既知の結合相手に基づくものであってもよいため、このようなMM−TBM対の生成は当業者の技量の範囲内である。たとえば、VEGFおよびVEGF阻害剤の相互作用を容易にするアミノ酸配列が周知であり、本明細書に例示されている。

0121

MMは、さまざまなMMを有する候補ABPのライブラリからのスクリーニング手法で同定可能である。たとえば、TBMおよびCMを選択し、所望の酵素/標的の組み合わせを得ることができ、後述するスクリーニング手法によってMMのアミノ酸配列を同定し、切り替え可能な表現型を提供するMMを同定することが可能である。たとえば、本明細書に開示のスクリーニング方法でランダムペプチドライブラリ(約4から約40アミノ酸またはそれより多いなど)を使用して、好適なMMを同定してもよい。ランダムペプチドライブラリはまた、ジスルフィド結合の形成を助け、コンホメーション的に制約された「環状」ABP構造の形成を容易にするためのシステイン残基の標的導入との関連でも利用できる。

0122

他の実施形態では、候補MMからなるペプチド足場のライブラリを提供することを含むスクリーニング手法であって、各足場が膜貫通タンパク質および候補MMで構成されるスクリーニング手法で、抗原結合ドメイン(ABD)に特異的結合親和性のあるMMを同定することが可能である。次に、抗原結合ドメイン(目的の標的の結合もできる)を含有する全長抗体、天然に生じる抗体フラグメントまたは非天然型のフラグメントなどのTBMの全体または一部とライブラリとを接触させ、検出可能な結合ABDを有する1つ以上の候補MMを同定する。スクリーニングは、磁気細胞分離(MACS)または蛍光標識細胞分取(FACS)を1回以上実施することを含み得る。

0123

このようにして、未切断状態で標的に対するTBMの結合を阻害し、切断状態では標的に対するTBMの結合を可能にするMMを有するABPを同定可能であり、さらに切り替え可能な表現型の最適なダイナミックレンジを有するABPを選択できる。望ましい切り替え表現型を有するABPを同定するための方法については、下記において詳細に説明する。

0124

あるいは、MMがTBMと特異的に結合せず、立体障害などの非特異的相互作用によってTBM−標的結合に干渉する形であってもよい。たとえば、折り畳まれたABPがゆえにMMが電荷に基づく相互作用によってTBMを「マスク」でき、これによってMMをTBMへの標的の到達に干渉する適所に保持するように、未切断のABPにMMを配置してもよい。

0125

また、環状構造などのコンホメーション的に制約された構造でABPを提供し、切り替え可能な表現型を容易にすることも可能である。これは、システイン対間のジスルフィド結合の形成によってABPがループまたは環状構造になるよう一対のシステインをABPコンストラクトに含むことで達成可能である。こうすると、TBMへの標的結合を阻害しつつ、ABPは所望のプロテアーゼによって切断可能なままである。CMの切断時、環状構造が「開き」、標的がTBMに到達できるようになる。図6に、ABPの端(この場合、「端」はジスルフィド結合形成前の線形形態のABPを示す)またはその付近の領域にあるシステイン残基間のジスルフィド結合(点線で表示)によってコンホメーション的に制約された未切断のABPの概略をあげておく。このような環状ABPは、未切断のABPではCMから対応するプロテアーゼへの到達性が標的タンパク質結合に対するTBMの到達性よりも大きいように、(後述するスクリーニング方法を用いるなどして)設計または最適化が可能である。TBMへの標的の到達は、ジスルフィド結合の還元後にも生じる場合がある点に注意されたい。

0126

システイン対は、コンホメーション的に制約されたABPが得られるが、CM切断後、TBMへの標的結合に実質的にまたは有意に干渉しないのであれば、ABPのどの位置にあっても構わない。たとえば、システイン対のシステイン残基をMMと、MMおよびTBMあるいは他の好適なコンフィギュレーションによってフランクされたリンカーに配置する。たとえば、MMまたはMMをフランキングするリンカーに1つ以上のシステイン残基を含むことが可能であり、ABPが折り畳まれた状態のときに、このシステイン残基がMMと対向して配置され、システイン残基がジスルフィドブリッジを形成する。通常、ABPの切断後に標的結合との干渉を回避するには、システイン対のシステイン残基がTBMの外側にあると望ましい。ジスルフィド結合対象となるシステイン対のシステインがTBM内にある場合、還元剤への曝露後などの切断剤への曝露後にTBM−標的結合との干渉を回避するよう配置されると望ましい。

0127

システイン間にジスルフィド結合による環状構造を形成できる例示としてのABPには、以下の一般式のものが可能である(NからC末端方向またはCからN末端方向のいずれであってもよい)。
Xn1−(Cys1)−Xm−CM−TBM−(Cys2)−Xn2
Xn1−シクロ[(Cys1)−Xm−CM−TBM−(Cys2)]−Xn2
式中、
Xn1およびXn2は独立に、任意に存在してもしなくてもよく、存在する場合は、独立にアミノ酸を示し、任意に、フレキシブルリンカーのアミノ酸配列(Gly、Ser、Asn、Aspのうちの少なくとも1つ、通常はGlyまたはSerのうちの少なくとも1つ、通常は少なくとも1つのGlyなど)を含むものであってもよく、n1およびn2は独立に、sゼロまたは任意の整数から選択され、通常は1、2、3、4、5、6、7、8、9または10以下であり、
Cys1およびCys2は、ジスルフィド結合を形成できる対の第1および第2のシステインを表し、
Xmは、マスキングモチーフ(MM)のアミノ酸を表し、Xは任意のアミノ酸であり、式中、Xmは任意に、フレキシブルリンカー(少なくとも1つのGly、Ser、Asn、Asp、通常は少なくとも1つのGlyまたはSer、通常は少なくとも1つのGlyなど)を含むことが可能であり、この場合のmは1よりも大きく、通常は2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも大きい整数(上述のとおり)であり、
CMは切断可能部分(本明細書に記載のとおり)を表し、
TBMは標的結合部分(本明細書に記載のとおり)を表す。

0128

上記の式で使用する場合、「シクロ」は、ABPの環状構造を提供するABPのジスルフィド結合を示す。さらに、上記の式は、「MM」がTBM1、「TBM」がTBM2を示す二重標的結合ABPを企図し、この場合のTBM1およびTBM2は第1および第2のTBMを任意に示しただけのものであり、この場合、TBMと結合できる標的が同一の標的であっても異なる標的であってもよく、同じ標的の同一の結合部位であっても異なる結合部位であってもよい。このような実施形態では、TBM1および/またはTBM2が、未切断の二重標的結合ABPに対する標的結合に干渉するためのマスキング部分として作用する。

0129

先に示したように、システインはこうしてABPに配置可能であり、ABPがジスルフィド結合構造にある(よって、コンホメーション的に制約された状態である)場合に、1つまたは2つの「尾」を許容(上記のXn1およびXn2で表される)し、これによって「ラッシ」または「オメガ」構造を生成する。尾のアミノ酸配列によって、ABPの局在化を容易にするための標的受容体に対する結合などのABPの別の特徴を得ることも可能である。

0130

たとえば、TBMとして例示としてのVEGFバインダーを含有するABPでは、TBMがアミノ酸配列NFGYGKWEWDYGKWLEKVGGC:配列番号10を含むことが可能であり、対応するMMがアミノ酸配列PEWGCG:配列番号11を含む。その他の具体例については、下記の実施例のセクションにあげておく。

0131

特定の具体的な実施形態では、MMがABPの細胞侵入を阻害しない。

0132

切断可能部分(CM)
ABPの切断可能部分(CM)は、通常は細胞外プロテアーゼ(すなわち細胞内プロテアーゼ以外)であるプロテアーゼの基質として機能し得るアミノ酸配列を含むものであってもよい。任意に、CMは、ジスルフィド結合を形成できるシステイン−システイン対を含むが、これは還元剤の作用で切断可能である。CMは、標的の存在下でCMが切断剤で切断されて(CMのプロテアーゼ基質がプロテアーゼで切断されるおよび/またはシステイン−システインジスルフィド結合が還元剤への曝露による還元で破壊されるなど)切断状態になると、TBMが標的と結合し、未切断状態では標的が存在しても標的に対するTBMの結合がMMによって阻害されるように、ABPに配置される。CMのアミノ酸配列は、ABPが未切断のコンホメーションにあるときに、CMの全体または一部がTBMの「マスキング」を容易にするように、MMと重なるものであってもよいし、MM内に含まれるものであってもよい旨に注意されたい。

0133

上述したように、CMは、所望のABPの標的のTBMとともに組織内に共存するプロテアーゼに基づいて選択できるものである。目的の標的がプロテアーゼと共存する多岐にわたる異なる条件が周知であり、この場合のプロテアーゼの基質は従来技術において周知である。たとえば、標的組織が癌性組織、特に固体腫瘍の癌性組織の可能性がある。文献には固体腫瘍などの多数の癌で周知の基質を有するプロテアーゼのレベル増大についての多くの報告がなされている。たとえば、La Rocca et al,(2004)British J.of Cancer 90(7):1414〜1421を参照のこと。さらに、VEGFなどの抗血管新生標的も周知である。それ自体、VEGFなどの抗血管新生標的と結合できるようにABPのTBMが選択される場合、好適なCMは、癌性治療部位に存在し、特に非癌性組織と比較して高いレベルで癌性治療部位に存在するプロテアーゼで切断可能なペプチド基質を含むものであろう。たとえば、ABPのTBMには、VEGFと結合するポリペプチド、ペプチドまたは抗原結合ドメイン(ABD)が可能であり、CMには、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)基質が可能であり、よってMMPで切断可能である。

0134

例示としての基質には、以下の酵素すなわち、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−14、PLASMIN、PSA、PSMA、CATHEPSIN D、CATHEPSIN K、CATHEPSIN S、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、Caspase−1、Caspase−2、Caspase−3、Caspase−4、Caspase−5、Caspase−6、Caspase−7、Caspase−8、Caspase−9、Caspase−10、Caspase−11、Caspase−12、Caspase−13、Caspase−14、TACE1つ以上で切断可能な基質があげられるが、これに限定されるものではない。

0135

上記に代えてまたは上記に加えて、ABPのTBMはVEGFと結合するものであればよく、CMはシステイン対のジスルフィド結合を伴い得るものであり、よって、たとえば、固体腫瘍の組織またはその周辺の組織に大量に存在し得る、グルタチオン(GSH)、チオレドキシン、NADPH、フラビン、アスコルビン酸塩などの細胞還元剤などの還元剤で切断可能である。

0136

例示としてのABP
特定の実施形態では、ABPは、TBM、CM、MMを含む活性化可能な抗体または活性化可能な抗体フラグメントである。このような実施形態では、TBMは、ABDまたはABDフラグメントを含む。非限定的な例示としての活性化可能な抗体組成物として、MMP−9活性化可能な、マスクされた抗VEGF scFv、MMP−9活性化可能な、マスクされた抗VCAM scFv、MMP−9活性化可能なマスクされた抗CTLA4があげられる。これらは単に一例としてあげたものにすぎず、このような酵素活性化可能なマスクされた抗体ABPは、表2に列挙したようなものであるがこれに限定されるものではない、任意の抗体を用いて、表1に列挙したようなものであるがこれに限定されるものではない、任意の標的に対して設計可能である。

0137

ABPを同定および/または最適化するための方法および組成物
ABPを同定および/または最適化するための方法ならびに、このような方法で有用な組成物については、後述する。

0138

複製可能な生命体で提示されるABPまたは候補ABPのライブラリ
総じて、切り替え可能な表現型についてABPを同定するおよび/またはABPを最適化するためのスクリーニング方法には、表面に複数の異なる候補ABPを提示する(細胞で例示されるような)複製可能な生命体のライブラリの生成を伴う。ライブラリを生成したら、これらのライブラリにスクリーニング方法を適用し、ABPの1つ以上の所望の特徴を有する候補ABPを同定することが可能である。

0139

候補ABPライブラリは、MM、リンカー(MMの一部であってもよい)、CM(MMの一部であってもよい)、TBMのうちの1つ以上が異なる候補ABPを含み得る。上述したように、ABPは、目的の症状についての周知のプロテアーゼ−標的対を標的するよう設計される。よって、一般に、ライブラリの候補ABPは、TBMおよびCMを事前に選択してMMおよび/またはリンカーごとに可変である。ABPでジスルフィド結合を提供するためのシステイン残基の対をABPに含むのであれば、ABPでのシステインの相対位置も可変である。

0140

スクリーニング用のライブラリは通常、表面に異なる候補ABPを提示する複製可能な生命体のライブラリとして提供される。たとえば、候補ABPのライブラリは、複製可能な生命体の個体群の表面に提示される候補となる複数のABPを含み得るものであり、候補となる活性化可能な結合ポリペプチドの前記複数の各メンバが、(a)標的結合部分(TBM)と、(b)切断可能部分(CM)と、(c)候補マスキング部分(候補MM)とを含み、未切断状態で候補MMが標的に対するTBMの結合を阻害し、切断状態で標的に対するTBMの結合を可能にする機能を判断できるように、TBM、CMおよび候補MMが配置されている。

0141

好適な複製可能な生命体としては、細胞(細菌(大腸菌(E.coli)など)、酵母(S.cerevesiaeなど)、哺乳類細胞など)、バクテリオファージ、ウイルスがあげられる。細菌宿主細胞およびバクテリオファージ、特に細菌宿主細胞が注目される。

0142

複製可能な生命体の表面での候補ABPの提示
複製可能な生命体を用いるさまざまな提示技術が従来技術において周知である。これらの方法および実体として、mRNAおよびリボソーム提示、真核生物ウイルス提示ならびに、細菌、酵母、哺乳類細胞表面提示などの提示方法論があげられるが、これに限定されるものではない。Wilson,D.S.,et al.2001 PNAS USA 98(7):3750〜3755;Muller,O.J.,et al.(2003)Nat.Biotechnol.3:312;Bupp,K.and M.J.Roth(2002)Mol.Ther.5(3):329 3513;Georgiou,G.,et al.,(1997)Nat.Biotechnol.15(1):29 3414;Boder,E.T.and K.D.Wittrup(1997)Nature Biotech.15(6):553 557を参照のこと。表面提示方法は、ライブラリ解析およびスクリーニングに蛍光標識細胞分取(FACS)を適用できるため魅力的である。Daugherty,P.S.,et al.(2000)J.Immuunol.Methods243(1 2):211 2716;Georgiou,G.(2000)Adv.Protein Chem.55:293 315;Daugherty,P.S.,et al.(2000)PNAS USA 97(5):2029 3418;Olsen,M.J.,et al.(2003)Methods Mol.Biol.230:329 342;Boder,E.T.et al.(2000)PNAS USA 97(20):10701 10705;Mattheakis,L.C.,et al.(1994)PNAS USA 91(19):9022 9026;Shusta,E.V.,et al.(1999)Curr.Opin.Biotech.10(2):117 122を参照のこと。目的の生物標的に結合可能なペプチドを同定するのに使用できる別の提示方法論が、米国特許第7,256,038号明細書に記載されており、その開示内容を本明細書に援用する。

0143

ファージ提示には、バクテリオファージ粒子のpIII、pIIVなどのコートタンパク質への末端融合物としてのペプチドの局在化を伴う。Scott,J.K.and G.P.Smith(1990)Science 249(4967):386 390;Lowman,H.B.,et al.(1991)Biochem.30(45):10832 10838を参照のこと。一般に、特定の結合機能を有するポリペプチドは、標的とともにインキュベートし、非結合ファージを洗い流し、結合したファージを溶出した後、細菌の新鮮な培養に感染させてファージ個体群を再増幅することで単離される。

0144

例示としてのファージ提示および細胞提示組成物ならびに方法が、米国特許第5,223,409号明細書、同第5,403,484号明細書、同第7,118,879号明細書、同第6,979,538号明細書、同第7,208,293号明細書、同第5571698号明細書、同第5,837,500号明細書に記載されている。

0145

別の例示としての提示足場および方法として、2007年3月22日公開の米国特許出願公開第2007/0065878号明細書に記載されているものがあげられる。

0146

任意に、提示足場にプロテアーゼ切断部位(CMのプロテアーゼ切断部位とは異なる)を含み、ABPまたは候補ABPを宿主細胞の表面から切断できるようにすることも可能である。

0147

ひとつにおいて、複製可能な生命体が細菌細胞である場合、好適な提示足場は、Rice et al,Protein Sci.(2006)15:825〜836に記載された円順列変異大腸菌(Esccherichia coli)外膜タンパク質OmpX(CPX)を含む。2007年8月14日に発行された米国特許第7,256,038号明細書も参照のこと。

0148

ABPおよび候補ABPをコードするコンストラクト
本開示はさらに、ABPおよび/または候補ABPをコードする配列を含む核酸コンストラクトを提供するものである。好適な核酸コンストラクトは、原核生物または真核生物の細胞を発現できるコンストラクトを含むが、これに限定されるものではない。発現コンストラクトは通常、これを使用することになる宿主細胞と適合するように選択される。

0149

たとえば、ABPコードDNAまたは候補ABPコードDNAを複製および/または宿主細胞での発現を実現するためのプラスミドをはじめとして、非ウイルスおよび/またはウイルスコンストラクトベクターを調製および使用してもよい。どのベクターを選択するかは、増殖が望ましい細胞のタイプや増殖の目的に左右されることになる。所望のDNA配列を大量に増幅および作製するには、特定のコンストラクトが有用である。培養内での細胞の発現には、他のベクターも適している。適切なベクターの選択肢は当業者の技量の範囲内である。このようなベクターの多くが市販されている。コンストラクトを生成するための方法は、従来技術において周知の方法を用いて実現可能である。

0150

宿主細胞での発現を達成するために、ABPまたは候補ABPをコードするポリヌクレオチドを制御配列に適宜作動的に結合し、所望の発現特性を得やすくする。これらの制御配列としては、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターオペレーターリプレッサー誘導物質があげられる。発現コンストラクトも一般に、必要あるいは要望があれば、誘導的または構成的であってもよい転写開始領域および翻訳開始領域となり、この場合のコード領域は、転写開始領域ならびに、転写終結領域および翻訳終結領域の転写制御下で作動的に結合される。これらの制御領域は、核酸を入手した種にとってネイティブであってもよいし、外来起源由来のものであってもよい。

0151

プロモーターは、構成的であっても制御可能であってもよい。状況によっては、誘導型プロモーターなどの条件的活性プロモーター(温度感受性プロモーターなど)を用いると望ましいことがある。誘導的要素は、プロモーターと連動して作用するDNA配列要素であり、リプレッサー(大腸菌(E.coli)のlacO/LAC Iqリプレッサー系など)または誘導物質(酵母のgal1/GAL4誘導物質系など)と結合できる。このような場合、プロモーターが抑制解除または誘導されるまで転写は事実上「遮断」され、抑制解除または誘導の時点で転写が「開始」される。

0152

発現コンストラクトをはじめとするコンストラクトは、たとえば目的のコンストラクトを含有する宿主細胞を成長させやすくするために宿主で作動的な選択可能なマーカーも含むことが可能である。このような選択可能なマーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼなどの形質転換宿主細胞選択用表現型形質または真核生物細胞培養のネオマイシン耐性を提供できるものである。

0153

発現コンストラクトには、ABPおよび/または候補ABPをコードする核酸配列を挿入および除去するための便利な制限部位を含み得る。上記に代えてまたは上記に加えて、発現コンストラクトには、目的のABP−コード配列核酸増幅(PCRベースの増幅など)を容易にするためのプライマーの基礎として機能できるフランキング配列を含み得る。

0154

発現の目的に応じて、上述した発現系を従来の方法で原核生物または真核生物に使用してもよい。いくつかの実施形態では、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、出芽酵母(S.cerevisiae)などの単細胞生物バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞あるいは、脊椎動物などの高等生物の細胞、たとえばCOS 7細胞、HEK 293、CHO、Xenopus卵母細胞などを発現宿主細胞として用いてもよい。これらのクラスおよびタイプの宿主細胞それぞれについての発現系が従来技術において周知である。

0155

複製可能な生命体に提示されるABPまたは候補ABPのライブラリの作製方法
本開示は、本明細書に記載のABPおよび/または候補ABPのライブラリの作製方法を企図する。

0156

一実施形態では、ABPライブラリおよび/または候補ABPライブラリの作製方法が、(a)複数のABPおよび/または候補ABPをコードする、本明細書に記載するような一組の組換えDNAベクターを構成し、(b)ステップ(a)のベクターで宿主細胞を形質転換し、(c)ステップ(b)で形質転換した宿主細胞を融合ポリペプチドに発現および提示に適した条件下で培養することを含む。

0157

候補ABPをコードする核酸配列の生成
スクリーニング方法で用いる候補ABPの生成は、従来技術において周知の方法を用いて実現可能である。ポリペプチド提示、単鎖抗体提示、抗体提示、抗体フラグメント提示は、従来技術において周知の方法である。総じて、候補ABPライブラリで変更の対象となるMMなどのABPの要素をランダム化用に選択する。ライブラリの候補ABPを完全にランダム化してもよいし、ヌクレオチド/残基頻度などのランダム化に、全体的または要素内のアミノ酸の位置で偏らせてもよい。「ランダム化」とは、ランダム化したアミノ酸配列のどの位置でも遺伝的にコード可能なアミノ酸を提供可能であることを意味する。最適化対象となるABPの要素のアミノ酸配列も部分的にランダム化可能である。たとえば、選択した位置でアミノ酸のサブセットだけを提供する(アミノ酸配列の選択した位置でフレキシブルリンカーを提供する、所望の特徴のアミノ酸残基を提供する(たとえば疎水性極性、正に荷電、負に荷電など)ように、ABP要素(候補MMなど)を部分的にランダム化することが可能である。もうひとつの例では、別の方法でランダム化されたアミノ酸配列内の1つ以上の残基が、ABPライブラリメンバの個体群または部分母集団から選択され、不変のものとして保持されるように(候補MM内の所望の位置でシステインが得られるようになど)、ABP要素(候補MMなど)を部分的にランダム化することが可能である。

0158

ABPが二重標的結合ABPである場合、第1のTBMを「固定」してもよく、周知の標的結合活性を有する第2のTBMについては、未修飾の形態(周知の標的結合活性を有するネイティブなアミノ酸配列など)で提供してもよいし、「切り替え可能な」表現型を提供するにあたって修飾(定方向またはランダム突然変異誘発によるなど)して活性をスクリーニングしてもよい。スクリーニング方法で同定したTBMを同定後に目的の標的を結合する活性を見極め、たとえば「マスキング」TBMが所望のレベルの標的結合を保つか否かを判断することが可能である。

0159

このような方法を使用して、変更対象となる要素のアミノ酸配列の長さ方向全体に考えられるさまざまな異なるアミノ酸配列の組み合わせを有する候補ABPを生成し、こうしてランダム化候補ABPのライブラリを提供できる。それ自体、いくつかの実施形態では、要素の任意の位置における配列の優先度または定数を最適化することなく、候補ABPのライブラリを完全にランダム化することが可能である。他の実施形態では、候補ペプチドのライブラリに偏らせる。すなわち、配列内の何らかの位置を一定に保つか、限られた数の可能性から選択する。たとえば、一実施形態では、疎水性アミノ酸親水性残基、架橋用にシステインが生成されるよう立体的に偏らせた(小さいまたは大きい)残基、SH−3ドメイン用のプロリン、セリン、トレオニンチロシンまたはリン酸化部位用のヒスチジンあるいは、プリンに対してなどの定義されたクラス内で、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基をランダム化する。

0160

活性化可能な結合ポリペプチドのスクリーニング方法
本開示は、酵素的に活性化されたABP、還元剤感受性のABPあるいは、酵素的活性化または還元ベースの活性化のいずれかまたは両方で活性化可能なABPが可能なABPを同定する方法を提供するものである。大まかに、この方法は、候補となる複数のABPと、ABPのTBMと結合できる標的およびABPのCMを切断できるプロテアーゼとを接触させ、プロテアーゼへの曝露時に標的に結合する前記複数のメンバの第1の個体群を選択し、プロテアーゼの非存在下で前記第1の個体群を標的と接触させ、プロテアーゼの非存在下で標的と結合するメンバを前記第1の個体群から除外することで、前記第1の個体群からメンバの第2の個体群を選択することを含み、前記方法は、プロテアーゼの存在下での標的結合と比較して、プロテアーゼの非存在下で標的に対する結合が低下する候補ABPを選択できるものである。

0161

総じて、所望の切り替え可能な表現型を有する候補ABPをスクリーニングするための方法は、(プロテアーゼへの曝露後に標的と結合するメンバを同定するための)ポジティブスクリーニングステップと、(プロテアーゼに曝露されないときに標的と結合しないメンバを同定するための)ネガティブスクリーニングステップで達成される。ネガティブスクリーニングステップは、たとえば、プロテアーゼの非存在下で標的と結合するメンバを個体群から除外することで達成可能である。本明細書に記載のライブラリのスクリーニング方法は、まずはネガティブスクリーニングを実施して、酵素処理の非存在下で標識された標的と結合しない(すなわち未切断時に標識された標的と結合しない)候補を選択し、続いてポジティブスクリーニング(すなわち、酵素で処理して、切断状態で標識された標的と結合するメンバを選択)を実施することで開始できるものである点に注意されたい。しかしながら、便宜上、以下では第1のステップとしてのポジティブ選択についてスクリーニング方法を説明する。

0162

フローサイトメトリーを用いてポジティブスクリーニングステップとネガティブスクリーニングステップを適宜実施し、検出可能に標識された標的の結合に基づいて候補ABPを選別することが可能である。たとえば、図18の概略に示すように、プロテアーゼによる切断に感受性のあるCMを有する候補ABP(図18に例示するものなど)を、提示足場(CPXで例示)にて宿主細胞(大腸菌(E.coli)など)で発現させることが可能である。候補ABPを提示している宿主細胞を、CMを切断できるプロテアーゼに曝露し、TBMと結合できる、検出可能に標識された標的に曝露する。図18右側の下側パネルに示すように、FACSを使用して検出可能に標識された標的の検出可能なシグナルの強度(赤色蛍光で例示)に応じて細胞を選別する。検出可能に標識された細胞は、細胞表面に存在し、プロテアーゼで切断可能なCMを含み、かつ、検出可能に標識された標的に結合された候補ABPを提示している細胞を含む。未標識の部分母集団(または相対的に検出可能なシグナルが低めの個体群)は、望ましいレベルで標的と結合できなかった宿主細胞を表す。次に、「標識された」部分母集団を回収し、プロテアーゼの非存在下で候補ABPを検出可能に標識された標的に曝露するネガティブスクリーニングを実施ことが可能である。図18右側の上側パネルで例示したように、未標識の細胞は、個体群の他のメンバに比して検出可能に標識された標的の検出可能な結合が比較的少なめであるかまったくない、自らの表面で候補ABPを示す細胞を含む。検出可能に標識された細胞は、切断の非存在下で標的と結合する候補ABPを提示している細胞を含む。こうして、「未標識の」部分母集団を回収し、必要があれば、さらに回数を重ねてスクリーニングを実施することが可能である。

0163

1「回」または「サイクル」のスクリーニング手順には、ポジティブ選択ステップとネガティブ選択ステップの両方を含む。複数のサイクル(完全サイクルと、1.5サイクル、2.5サイクルなどの部分サイクルを含む)を実施するライブラリでは、この方法を繰り返せばよい。このようにして、得られる個体群で、ABPの切り替えの特徴を呈する候補となる複数のABPのメンバを富化させることができる。

0164

総じて、まずは提示足場にて候補となる複数のABPをコードする核酸ライブラリを生成し、これを複製可能な生命体の表面での発現用に提示足場に導入することで、スクリーニング方法を実施する。本明細書で使用する場合、「複数の候補となる活性化可能な結合ポリペプチド」または「複数の候補ABP」とは、候補ABPをコードするアミノ酸配列を有する複数のポリペプチドを示し、この場合、複数が、MM、CMまたはTBM、通常はMMのアミノ酸配列に関して可変であるなど、複数のメンバがABPの少なくとも1つの成分のアミノ酸配列に関して可変である。

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