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技術 無脂乳固形分を多く含み風味に優れたバター及びその製造方法

出願人 株式会社明治
発明者 辻直樹中岡明美斎藤瑞恵森川裕美
出願日 2016年12月22日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-249269
公開日 2017年6月15日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2017-104110
状態 特許登録済
技術分野 乳製品
主要キーワード チャーン 水溶成分 ダイナミックヘッドスペース法 チャーニング パーミエート 粉配合 評価プロトコル バター粒
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月15日)のものです。
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図面 (17)

課題

無脂乳固形分を多く含みながらも,風味に優れた,さわやかなバターの提供。

解決手段

クリーム混練してバターを得る混練工程を含む,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法であって,前記混練工程は,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに混合したものを混練するか,又は,前記クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに添加する工程である,バターの製造方法。脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバター。

概要

背景

特開2007−20429号公報(下記特許文献1)には,クリーム風味を有するバター及びその製造方法が開示されている。この文献に示される通り,バターは通常,次の工程によって得られる。つまり,乳か遠心分離等で乳脂肪を30%から40%に濃縮してクリームとする。次に,クリームを加熱殺菌して脂肪分解酵素失活させる。その後,5℃程度に急冷し,その状態で一定時間エージングして脂肪球を安定な結晶に調整する。さらにチャーニングチャーン容器による攪拌操作)によって脂肪球を凝集させてバター粒にし,水溶成分バターミルク)を取り除く。加塩バターの場合,食塩などを加え,ワーキング(練圧)してバター粒を充分に練り合わせる。

特開2007−20429号公報(下記特許文献1)では,バター粒子が形成された後にクリームを添加することで,無脂乳固形分を0.06重量%から0.3重量%で増加させている(請求項5,段落[0009] ,段落[0012])。一方,この文献では,無脂乳固形分が1.77重量%及び1.92重量%の比較例が開示されている(段落[0016] ,段落[0017])。この比較例は,バター粒子が形成された後に15%及び20%のクリームが添加されたものである。そして,この特許文献1では,無脂乳固形分を多くすると,クリーム風味が強すぎてバターとしての風味を損ねることが開示されている。

概要

無脂乳固形分を多く含みながらも,風味に優れた,さわやかなバターの提供。クリームを混練してバターを得る混練工程を含む,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法であって,前記混練工程は,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに混合したものを混練するか,又は,前記クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに添加する工程である,バターの製造方法。脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバター。

目的

本発明は,無脂乳固形分を多く含みながらも,風味に優れた,さわやかなバターを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

クリーム混練してバターを得る混練工程を含む,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法であって,前記混練工程は,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに混合したものを混練するか,又は,前記クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を前記クリームに添加する工程である,バターの製造方法。

請求項2

脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を生乳に添加して全脂濃縮乳を得る工程と,前記全脂濃縮遠心分離して前記クリームを得る遠心分離工程と,をさらに含む請求項1に記載のバターの製造方法。

請求項3

前記バターは,脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含む請求項1又は請求項2に記載のバターの製造方法。

請求項4

脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバター。

技術分野

0001

本発明は,無脂乳固形分を多く含みながら,風味に優れたバター及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

特開2007−20429号公報(下記特許文献1)には,クリーム風味を有するバター及びその製造方法が開示されている。この文献に示される通り,バターは通常,次の工程によって得られる。つまり,乳か遠心分離等で乳脂肪を30%から40%に濃縮してクリームとする。次に,クリームを加熱殺菌して脂肪分解酵素失活させる。その後,5℃程度に急冷し,その状態で一定時間エージングして脂肪球を安定な結晶に調整する。さらにチャーニングチャーン容器による攪拌操作)によって脂肪球を凝集させてバター粒にし,水溶成分バターミルク)を取り除く。加塩バターの場合,食塩などを加え,ワーキング(練圧)してバター粒を充分に練り合わせる。

0003

特開2007−20429号公報(下記特許文献1)では,バター粒子が形成された後にクリームを添加することで,無脂乳固形分を0.06重量%から0.3重量%で増加させている(請求項5,段落[0009] ,段落[0012])。一方,この文献では,無脂乳固形分が1.77重量%及び1.92重量%の比較例が開示されている(段落[0016] ,段落[0017])。この比較例は,バター粒子が形成された後に15%及び20%のクリームが添加されたものである。そして,この特許文献1では,無脂乳固形分を多くすると,クリーム風味が強すぎてバターとしての風味を損ねることが開示されている。

先行技術

0004

特開2007−20429号公報

発明が解決しようとする課題

0005

そこで,本発明は,無脂乳固形分を多く含みながらも,風味に優れた,さわやかなバターを提供することを目的とする。

0006

また,本発明は,無脂乳固形分を多く含みながらも,焼き菓子に適するバターを提供することを目的とする。

0007

また,本発明は,無脂乳固形分を多く含みながらも,ソース原料に適するバターを提供することを目的とする。

0008

さらに,本発明は,無脂乳固形分を多く含みながらも,焦がしバターに適するバターを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明は,基本的には,原料乳(乳)をろ過して全脂濃縮乳を得るか,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を原料乳に添加して,全脂濃縮乳を得て,その全脂濃縮乳を遠心分離して得られるクリームを用いることで,無脂乳固形乳が多くとも,風味に優れた,さわやかなバターを得ることができるという知見に基づくものである。

0010

本発明の第1の側面は,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法に関する。この方法は,ろ過工程と,遠心分離工程と,混練工程を含む。

0011

ろ過工程は,原料乳をろ過することで,ろ過による濃縮乳を得るための工程である。遠心分離工程は,濃縮乳を遠心分離してクリームを得るための工程である。混練工程は,クリームを混練してバターを得るための工程である。

0012

先に説明したとおり,脂肪球の結晶を凝集させてバター粒を得つつ,これを練圧することでバターを得ることができる。このため,通常,クリームの原料乳には生乳を用いる。このとき,市販されている牛乳のように均質化された原料乳を用いると,脂肪球や脂肪球の結晶を得にくい。本発明は,あえて,ろ過して得られた全脂濃縮乳や,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を原料乳に添加して得られた全脂濃縮乳を用いることで,無脂乳固形分が多くとも,風味に優れた,さわやかなバターを得ることができたというものである。

0013

本発明の第1の側面の好ましい態様は,原料乳が,第1の脱脂濃縮乳及び第1の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,生乳に添加して得られる全脂濃縮乳である。

0014

無脂乳固形分を多くした原料乳を用いて,ろ過することで,特に焼き菓子やバターソースの用途に優れたバターを得ることができる。

0015

本発明の第1の側面の好ましい態様は,ろ過として,逆浸透ろ過,ナノろ過又は透析ろ過を用いるものである。これらの方法を採用することで,無脂乳固形分が高められ、雑味成分や塩類が取り除かれるため,得られるバターの風味が良いものとなる。

0016

本発明の第1の側面の好ましい態様は,混練工程は,第2の脱脂濃縮乳及び第2の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに混合したものを混練するか,又は,クリームを混練しつつ,クリームに第2の脱脂濃縮乳及び第2の脱脂粉乳のいずれか又は両方を添加する工程である。

0017

混練の際に,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加したクリームを用いることや,クリームに脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加しつつ混練することで,特に焦がしバターにしたときに,焦がしバターとして風味に優れたバターを得ることができる。

0018

本発明の第2の側面は,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法に関する。そして,この製造方法は,全脂濃縮乳取得工程と,遠心分離工程と,混練工程を含む。

0019

全脂濃縮乳取得工程は,第1の脱脂濃縮乳及び第1の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,原料乳に添加するか,原料乳を凍結濃縮して全脂濃縮乳を得るための工程である。遠心分離工程と,混練工程は,第1の側面と同様である。

0020

本発明の第2の側面の好ましい態様は,混練工程は,第2の脱脂濃縮乳及び第2の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに混合したものを混練するか,又は,クリームを混練しつつ,第2の脱脂濃縮乳及び第2の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに添加する工程である。

0021

混練の際に,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加したクリームを用いることや,クリームに脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加しつつ混練することで,特に焼き菓子やバターソースの用途に優れたバターを得ることができる。

0022

本発明の第3の側面は,クリームを混練してバターを得る混練工程を含む,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法に関する。そして,混練工程は,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに混合したものを混練するか,又は,前記クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに添加する工程である。

0023

本発明の第4の側面は,無脂乳固形分を多く含みながら,風味に優れたバターに関する。このバターは,上記した,いずれかの製造方法により得られたバターである。そして,そのバターの成分の例は,脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含む。通常のバターは,無脂乳固形分が1.2重量%程度である。そして,特許文献1に示される通り,一般に無脂乳固形分が0.3重量%で増えただけでも,バターとしての風味は失われる。本発明は,先に説明した製造方法を採用することで,無脂乳固形分が多くても,風味に優れたバターを得ることができる。

発明の効果

0024

そこで,本発明によれば,あえて,ろ過して得られた全脂濃縮乳や,脂濃縮乳又は脱脂粉乳を原料乳に添加して得られた全脂濃縮乳を用いることで,無脂乳固形分を多く含みながらも,風味に優れた,さわやかなバターを提供できる。

0025

また,本発明によれば,混練の際に,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加したクリームを用いることや,クリームに脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加しつつ混練することで,無脂乳固形分を多く含みながらも,焼き菓子に適するバターを提供できる。

0026

また,本発明によれば,混練の際に脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加したクリームを用いることや,クリームに脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加しつつ混練することで,無脂乳固形分を多く含みながらも,ソースの原料に適するバターを提供できる。

0027

さらに,本発明によれば,ろ過処理を施した原料乳を用いて,クリームに脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を添加しつつ混練することで,無脂乳固形分を多く含みながらも,焦がしバターに適するバターを提供できる。

図面の簡単な説明

0028

図1は,試験例1における生食用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図2は,試験例1におけるトースト用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図3は,試験例2におけるトースト用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図4は,試験例2におけるバターソースの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図5は,試験例3におけるトースト用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図6は,試験例3におけるバターソースの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図7は,試験例4における焼き菓子の官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図8は,試験例5におけるトースト用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図9は,試験例6における生食用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図10は,試験例7における生食用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図11は,試験例8における生食用バターの官能評価の結果を示す図面に替わるグラフである。
図12は,メチルケトン分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,2−ペンタノン2−ヘプタノン,2−ノナノン,2−ウンデカノン,及び2−トリデカノンを示す。
図13は,脂肪酸の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,ブタン酸ヘキサン酸オクタン酸デカン酸ドデカノン酸,及びテトラデカノン酸を示す。
図14は,ラクトン分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,δ−ヘキサラクトン,δ−オクタラクトン,δ−デカラクトン,δ−ドデカラクトン,δ−テトラデカラクトン,及びγ−ドデカラクトンを示す。
図15は,フラン類等の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは,左から,2−フランメタノール,2−フランメタノール−5−メチルフルフラール,5−ヒドロキシメチル1−2フルフラール(HMF),2−フランカルボン酸ヒドラジド及びマルトールを示す。
図16は,フラン類・ケトン類の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは,左から,1−ヒドロキシ2−プロパノン,1−(2−フラニル)−エタノンDMHF(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル3(2H)−フラノンフラネオール),及び3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロマルトールを示す。

0029

本発明の第1の側面は,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下(例えば,2重量%以上9重量%以下,2重量%以上6重量%以下,2重量%以上3重量%以下,又は3重量%以上5重量%以下,5重量%以上9重量%以下)で含むバターの製造方法に関する。この方法は,ろ過工程と,遠心分離工程と,混練工程を含む。

0030

バターを製造する一般的な方法は,既に知られている。本発明では,既に知られたバターの製造装置を用いて,当業者に公知の条件を適宜採用してバターを製造できる。以下,バターを製造する方法について説明する。ただし,本発明は,以下の例に限定されるものではなく,以下に説明する例から,当業者に自明な範囲で適宜修正したものも含む。

0031

バターは一般的に,生乳,牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧した乳製品である。バターには,原料乳を乳酸発酵させる発酵バターアシッドクリームバター)と,原料乳を発酵させない無発酵バター(スイートクリームバター)がある。本発明のバターは,発酵バター及び無発酵バターのいずれであっても構わない。さらに,バターには,食塩を添加した有塩バターと,食塩を添加しない無塩(食塩不使用)バターが存在する。本発明のバターは,有塩バターであっても,無塩バターであっても良い。

0032

ろ過工程は,原料乳をろ過することで,ろ過による濃縮乳を得るための工程である。ろ過の条件を適宜調整することにより,無脂乳固形分濃度を適宜調整できる。更には,ろ過の条件を調整することにより,雑味成分や塩類の濃度を調整することもできる。雑味成分や塩類の濃度を調整することは,得られるバターの風味を微調整することとなる。ろ過工程により,濃縮乳の無脂乳固形分濃度を原料乳の1.5倍以上2.5倍以下(例えば,約2倍)で濃縮することが好ましい。このような濃縮処理を行うことで,バターの製造工程の操作は増えるものの,無脂乳固形分濃度を高めつつ,風味に優れたバターを得ることができることとなる。このとき,ろ過による濃縮乳を主に添加した場合,バターの水分を10重量%以上15重量%以下(例えば,13重量%)として,実際に得られるバター(無塩)の無脂乳固形分を例えば,2重量%以上4重量%以下,好ましくは2重量%以上3.5重量%以下,より好ましくは2重量%以上3重量%以下とすることができる。

0033

ろ過の際に,その処理温度として,例えば,1℃以上30℃以下であれば良く,細菌の増殖を抑制する観点から1℃以上10℃以下であれば更に良い。ろ過の際に,その処理条件として,陰圧下であっても加圧下であっても良い。そして,ろ過を加圧下で行う場合,その処理圧力として,例えば,1MPa以上5MPa以下であれば良く,ろ過膜目詰まりを抑制して,ろ過速度を高める観点から1MPa以上3MPa以下であれば更に良い。

0034

原料乳は,生乳であっても良いし,均質化していない牛乳等であっても良い。また,原料乳が,第1の脱脂濃縮乳及び第1の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,生乳に添加して得られる全脂濃縮乳であっても良い。全脂濃縮乳は,生乳等に比べて,固形分濃度が増強された乳であり,無脂乳固形分を多く含む。

0035

ろ過工程には,逆浸透(RO)ろ過,ナノろ過(NF)法,透析ろ過(DF)法の1つ又は2つ以上を組み合わせたものを用いることができる。本発明では,ナノろ過又は透析ろ過を用いるものが好ましく,透析ろ過を用いるものが更に好ましい。これらの方法を採用することで,雑味成分や塩類が取り除かれるため,得られるバターの風味が良いものとなる。ろ過工程では,カルシウム塩を損なわずに,ナトリウム塩又はカリウム塩を低減することが好ましい。ろ過工程を経た後において,カルシウム塩の残存率は,80重量%以上が好ましく,90重量%以上がより好ましく,95重量%以上が更に好ましい。これらの塩類を低減することで,バターの結晶化を促進することができるので,ろ過してから,原料乳を均質化した後においても,バターの製造を促進できる。

0036

逆浸透(RO)ろ過は,逆浸透膜RO膜)を用い,浸透圧を利用して,ろ過する方法である。RO膜は主に水を透過する分離膜である。RO膜の素材には,例えば,ポリアミドがある。RO膜の形状には,例えば,平膜スパイラル膜,板状膜等がある。

0037

ナノろ過(NF)は,ナノろ過膜NF膜:例えば,ナノサイズの貫通孔細孔径が0.5から2nmなど)を持つ膜状のフィルター)を用い,浸透圧を利用して,ろ過する方法である。NF膜は主に1価のイオンと水を透過する分離膜である。本発明では,例えば,1価のイオン(ナトリウムイオンカリウムイオン塩化物イオン),尿素乳酸等を低減できる。このため,ナノろ過を用いることで,ナトリウムカリウムを低減する脱塩処理を行うことができる。なお,ナノろ過では,公知の方法の公知の条件を採用することができる。

0038

NF膜の素材には,例えば,ポリアミド,酢酸セルロースポリエーテルスルホンポリエステルポリイミドビニルポリマーポリオレフィンポリスフォン再生セルロース,及びポリカーボネートがある。本発明では,塩類を効率的に低減するため,NF膜の素材として,ポリアミド,酢酸セルロース,ポリエーテルスルホンが好ましく,具体的には,ダウケミカル製のNF45(商品名「NF−3838/30−FF」)が更に好ましい。NF膜の形状には,例えば,平膜,スパイラル膜,板状膜等がある。ろ過の圧力の取扱いには,例えば,加圧ろ過法,減圧ろ過法がある。ろ過の処理液の取扱いには,デッドエンドろ過法クロスフローろ過法がある。ここで,ろ過膜の目詰まりを抑制して,ろ過速度を高める観点から,商業的には,クロスフローろ過法を用いることが好ましく,これにより,原料乳から調製される濃縮乳の成分等のばらつきを抑制して,バターの品質を一定に保つことができる。

0039

そして,このナノろ過によって原料乳から,保持液リテンテート)と透過液パーミエート)が得られることとなる。実際に使用するNF膜に応じて,加圧や減圧の程度を変えることで,保持液量と透過液量比率は変わる。ナノろ過によって得られる保持液(NF濃縮乳)には,通常,原料乳の全固形分(TS:total−solids)が1.5〜2.5倍,好ましくは1.6〜2.2倍,より好ましくは1.7〜2.1倍,更に好ましくは1.8〜2倍の範囲内(例えば,約2倍)で濃縮されている。具体的に、濃縮乳の全固形分を例えば,19重量%以上33重量%以下,好ましくは20重量%以上29重量%以下,より好ましくは22重量%以上28重量%以下,更に好ましくは23重量%以上26重量%以下(例えば,約26重量%)とすることができる。

0040

ナノろ過によって得られる保持液には,原料乳の全固形分(TS)のうち,乳脂肪(FAT)と,主要な無脂乳固形分(SNF)であるタンパク質乳糖に加えて,ビタミン類と塩類の一部が濃縮されている。ここで,本明細書では,ナノろ過によって得られた濃縮乳をナノろ過濃縮乳ともいう。ナノろ過によって得られた透過液には,原料乳の水分の多くと,水溶性のビタミン類と塩類の一部(特に1価のイオン)が含まれている一方,原料乳の全固形分が殆ど含まれていないこととなる。ここで,ビタミン類や塩類とは,ビタミンA,B1,B2,ナイアシン等や,ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),塩素(Cl),リン(P)等の無機質の総称である。

0041

ナノろ過する前に,NF膜を透過しない電解質を原料乳に添加することは,本発明の好ましい態様である。NF膜を透過しない電解質を添加することにより,脱塩を促進できることがある。NF膜を透過しない電解質には,例えば,乳脂肪,ミルクカゼインホエイタンパク質,乳糖,ビタミン類,塩類等がある。

0042

透析ろ過(DF)は,ろ過して濃縮した乳等(保持液)に水分を加えて希釈し,ろ過前の乳等の量の近くに乳等の量(保持液量)を戻した上で,更にろ過する方法である。本発明では,透析ろ過として,例えば,ナノろ過によって得られた濃縮乳(ナノろ過濃縮乳)に水分を加えて希釈した後に,更にナノろ過する方法である。

0043

遠心分離工程は,濃縮乳を遠心分離するか,又は濃縮乳に水分を加えて希釈してから遠心分離してクリームを得るための工程である。遠心分離工程では,通常,遠心分離機を用いて,濃縮乳を遠心分離し,クリームと脱脂乳に分離する。クリームは乳脂肪を多く含み,脱脂乳は乳脂肪を殆ど含まない。遠心分離機は既に知られているもので良く,遠心分離の処理条件は,クリームや脱脂粉乳などの製造において公知の条件を適宜採用することができる。

0044

ただし,本発明では,クリームと脱脂乳に遠心分離される従来の原料乳に比べて,遠心分離される濃縮乳が無脂乳固形分を多く含んでいるため,遠心分離の処理条件は幾らか異なる可能性がある。具体的には,遠心分離される濃縮乳が無脂乳固形分を多く含むことで,クリームと脱脂乳の比重差が大きくなれば,クリームと脱脂乳を分離しやすくなる。遠心分離の際に,その処理温度として,例えば,30℃以上80℃以下であれば良く,クリームやバターの風味の観点等から35℃以上70℃以下であれば更に良く、40℃以上60℃以下であれば特に良い。

0045

混練工程は,クリームを混練してバターを得るための工程である。混練工程では,通常,混練機を用いて,クリームを混練し,バターとバターミルクに分離する。混練機は既に知られているもので良く,混練の処理条件は,バターの製造において公知の条件を適宜採用することができる。

0046

ただし,本発明では,バターとバターミルクに分離される従来のクリームに比べて,混練されるクリームが無脂乳固形分を多く含んでいるため,混練の処理条件は幾らか異なる可能性がある。具体的には,混練されるクリームが無脂乳固形分を多く含むことで,バターとバターミルクの比重差が大きくなれば,バターとバターミルクを分離しやすくなる。混練の際に,その処理温度として,例えば,30℃以上50℃以下であれば良く,バターの風味の観点等から35℃以上45℃以下であれば更に良い。

0047

混練工程では,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに混合したものを混練しても良い。また,混練工程では,クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに添加しても良い。脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳の添加量は,実際に得られるバターの無脂乳固形分が2重量%以上10重量%以下(例えば,2重量%以上9重量%以下,2重量%以上6重量%以下,2重量%以上3重量%以下,又は3重量%以上5重量%以下,5重量%以上9重量%以下)となるように調整すれば良い。このとき,脱脂濃縮乳を主に添加した場合,バターの水分を10重量%以上15重量%以下(例えば,13重量%)として,実際に得られるバター(無塩)の無脂乳固形分を例えば,2.5重量%以上5重量%以下,好ましくは3重量%以上5重量%以下,より好ましくは3重量%以上4重量%以下とすることができる。そして,脱脂粉乳を主に添加した場合,バターの水分を10重量%以上15重量%以下(例えば,13重量%)として,実際に得られるバター(無塩)の無脂乳固形分を例えば,4重量%以上10重量%以下,好ましくは5重量%以上9重量%以下,より好ましくは4重量%以上8重量%以下とすることができる。

0048

本発明のバターの製造方法は,バターの製造に関する公知の工程を適宜含んでも良い。そのような工程には,例えば,原料乳の発酵工程,クリームやバターと発酵乳の混合工程,殺菌工程,冷却工程,及び包装工程がある。

0049

本発明の第2の側面は,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下(例えば,2重量%以上9重量%以下,2重量%以上6重量%以下,2重量%以上3重量%以下,又は3重量%以上5重量%以下,5重量%以上9重量%以下)で含むバターの製造方法に関する。そして,この製造方法は,全脂濃縮乳取得工程と,遠心分離工程と,混練工程を含む。

0050

全脂濃縮乳取得工程は,第1の脱脂濃縮乳及び第1の脱脂粉乳のいずれか又は両方を,原料乳に添加するか,原料乳を凍結濃縮して全脂濃縮乳を得るための工程である。遠心分離工程と,混練工程は,第1の側面と同様である。

0051

全脂濃縮乳は,生乳等に比べて,固形分濃度が増強された乳であり,無脂乳固形分を多く含む。脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳の原料乳への添加量は,実際に得られるバターの無脂乳固形分が2重量%以上10重量%以下(例えば,2重量%以上6重量%以下,2重量%以上3重量%以下,又は3重量%以上5重量%以下)となるように調整すれば良い。一方,原料乳を凍結濃縮する方法は公知である。すなわち,公知の冷凍設備を用いて,原料乳を凍結させ,水分を低減することで,無脂乳固形分濃度を上昇させることができる。また,原料乳を凍結させる際に,成分毎に異なる固化温度を利用して,無脂乳固形分濃度が高い部分を分離することで,無脂乳固形分濃度を上昇させることができる。

0052

本発明の第3の側面は,クリームを混練してバターを得る混練工程を含む,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下で含むバターの製造方法に関する。そして,混練工程は,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに混合したものを混練するか,又は,前記クリームを混練しつつ,脱脂濃縮乳及び脱脂粉乳のいずれか又は両方を,クリームに添加する工程である。

0053

この側面の製造方法は,先に説明した条件を適宜採用することができる。

0054

本発明の第4の側面は,無脂乳固形分を多く含みながら,風味に優れたバターに関する。このバターは,上記した,いずれかの製造方法により得られたバターである。そして,そのバターの成分は,脂肪分を80重量%以上93重量%以下,水分を5重量%以上17重量%以下,無脂乳固形分を2重量%以上10重量%以下(例えば,2重量%以上6重量%以下,2重量%以上3重量%以下,又は3重量%以上5重量%以下)で含む。なお,無脂乳固形分濃度を主にろ過処理のみにより高めた場合,得られるバターの無脂乳固形分は例えば,2重量%以上3.6重量%以下(好ましくは2重量%以上3重量%以下)とすることができる。ろ過処理に加えて,脱脂濃縮乳を主に添加した場合,バターの水分を10重量%以上15重量%以下(例えば,13重量%)として,得られるバターの無脂乳固形分を例えば,2.5重量%以上5重量%以下(好ましくは3重量%以上4重量%以下)とすることができる。ろ過処理に加えて,脱脂粉乳を主に添加した場合,バターの水分を10重量%以上15重量%以下(例えば,13重量%)として,得られるバターの無脂乳固形分を例えば,4重量%以上10重量%以下(好ましくは6重量%以上9重量%以下)とすることができる。

0055

全脂乳(固形分13重量%)から一般的なクリーム(脂肪分45重量%)を調製した。このクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂濃縮乳(固形分33重量%)を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,有塩バターを製造した(脱濃配合品)。脱濃配合品の組成は,乳脂肪分80.8重量%,無脂乳固形分2.9重量%,塩分1.5重量%であった。(試料2)

0056

全脂乳(固形分13重量%)に対し,ナノろ過(NF)法を用いて,固形分26重量%まで濃縮して全脂濃縮乳を得た(NF全脂濃縮乳)。NF膜として,ダウケミカル社製のNF−3838/30−FF(NF45)を用いた。このNF全脂濃縮乳を常法に従って,遠心分離と殺菌してクリーム(脂肪分45重量%)を得た(NFクリーム)。このNFクリームから常法に従って,有塩バターを製造した(NFろ過品)。NFろ過品の組成は,乳脂肪分82.5重量%,無脂乳固形分2.4重量%,塩分1.5重量%であった。(試料3)

0057

実施例2と同様にして得たNFクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂濃縮乳(固形分33重量%)を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,有塩バターを製造した(NFろ過・脱濃配合品)。NFろ過・脱濃配合品の組成は,乳脂肪分80.8重量%,無脂乳固形分3.8重量%,塩分1.5重量%であった。(試料4)
[比較例1:(試料1)]

0058

全脂乳から一般的なクリーム(脂肪分45重量%)を調製し,このクリームから常法に従って,有塩バターを製造した(対照品(有塩))。

0059

[試験例1]
実施例1で得たバターと比較例1で得たバターについて,専門パネル(24名)による官能評価を実施した。このとき,比較例と同程度のものは0点,(やや強い)1点,(強い)2点というように点数を付けて集計した。バターを生食用として官能評価した場合,バターを15℃に調温し,3gのバターを試食した。バターをトースト用として官能評価した場合,食パンの8枚切を約4分の1に等分してからトーストし,3gのバターが溶けた状態にして試食した。その結果を表1(生食用)と表2(トースト用)に示す。各表の結果をまとめたものを図1(生食用)と図2(トースト用)に示す。実施例1で得たバターと比較例1で得たバターを生食用として官能評価した場合,乳風味の程度,乳由来甘味総合評価の各項目において有意な差があり,実施例1で得たバターが高く評価されている。また,実施例1で得たバターと比較例1で得たバターをトースト用として官能評価した場合,サッパリ感の程度の項目において,実施例1で得たバターが高く評価されており,バターの風味が良好であるといえる。

0060

0061

0062

[試験例2]
試験例1と同様にして,実施例2で得たバターと比較例1で得たバターについても,専門パネル(トースト:29名,バターソース:18名)による官能評価を実施した。なお,バターソースの官能評価の場合,バターソースを25℃に調温し,30gのバターソースを試食した。その結果を表3(トースト用)と表4(バターソース)に示す。各表の結果をまとめたものを図3(トースト用)と図4(バターソース)に示す。実施例2で得たバターと比較例1で得たバターをトースト用として官能評価した場合,香ばしさの程度,全体の香り,総合評価の各項目において,実施例2で得たバターが高く評価されているといえる。また,実施例2で得たバターと比較例1で得たバターをバターソースとして官能評価した場合,バターの甘い香り,総合評価の各項目において,実施例2で得たバターが高く評価されており,風味が良好であるといえる。バターソースなどの調理品に使用した場合,乳風味が特に強調され,ワイン酸味をまろやかにするとの結果も得られた。

0063

0064

0065

[試験例3]
試験例1及び2と同様にして,実施例3で得たバターと比較例1で得たバターについても,専門パネル(トースト:24名,バターソース:20名)による官能評価を実施した。なお,バターソースの官能評価の場合,バターソースを55℃に調温し,30gのバターソースを試食した。その結果を表5(トースト用)と表6(バターソース)に示す。各表の結果をまとめたものを図5(トースト用)と図6(バターソース)に示す。実施例3で得たバターと比較例1で得たバターをトースト用として官能評価した場合,香ばしさの程度,脂肪感の程度の各項目において有意な差があり,実施例3で得たバターが高く評価されている。さらに,全体の香りの項目においても,実施例3で得たバターが高く評価されているといえる。また,実施例3で得たバターと比較例1で得たバターをバターソースとして官能評価した場合,まろやかさの程度,総合評価の各項目において有意な差があり,実施例3で得たバターが高く評価されている。さらに,濃厚感の程度の項目においても,実施例3で得たバターが高く評価されており,風味が良好であるといえる。バターソースなどの調理品に使用した場合,乳風味が特に強調され,ワインの酸味をまろやかにするとの結果も得られた。

0066

0067

0068

実施例1,実施例2及び実施例3のバターは比較例1のバターに比べて,風味などの観点で圧倒的に優れていた。一方,焼き菓子へ利用した場合や,バターソースへ調理した場合,実施例2及び実施例3のバターは実施例1のバターに比べて,風味の観点で顕著に優れていた。

0069

全脂乳(固形分13重量%)から一般的なクリーム(脂肪分45重量%)を調製した。このクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂粉乳を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,無塩バターを製造した(脱粉配合品)。脱粉配合品の組成は,乳脂肪分80.8重量%,無脂乳固形分2.3重量%であった。(試料6)

0070

全脂乳(固形分13重量%)に対し,ナノろ過(NF)法を用いて,固形分26重量%まで濃縮して全脂濃縮乳を得た(NF全脂濃縮乳)。このNF全脂濃縮乳に固形分が13重量%になるまで加水し,これに対し,再度,ナノろ過(NF)法を用いて,固形分26重量%まで濃縮して全脂濃縮乳(DF全脂濃縮乳)を得た。さらに,このDF全脂濃縮乳を常法に従って,遠心分離と殺菌してクリームを得た(DFクリーム)。このDFクリームから常法に従って,無縁バターを製造した(DFろ過品)。DFろ過品の組成は,乳脂肪分82.5重量%,無脂乳固形分2.1重量%であった。(試料7)

0071

実施例5と同様にして得たDFクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂粉乳を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,無塩バターを製造した(DFろ過・脱濃配合品)。DFろ過・脱濃配合品の組成は,乳脂肪分80.8重量%,無脂乳固形分5.0重量%であった。(試料8)

0072

[比較例2:(試料5)]
全脂乳から一般的なクリーム(脂肪分45重量%)を調製し,このクリームから常法に従って,無塩バターを製造した(対照品(無塩))。

0073

[試験例4]
実施例4で得たバターと比較例2で得たバターを,フィナンシェクッキーなどの焼菓子に利用し,その焼菓子について,専門パネル(24名)による官能評価を実施した。焼菓子を官能評価した場合,バターを約180℃,10分間で加熱した状態に相当する。その結果を表7(焼菓子)に示す。この表の結果をまとめたものを図7(焼菓子)に示す。実施例4で得たバターと比較例2で得たバターを焼菓子として官能評価した場合,濃厚感の程度,バター風味の程度の各項目において有意な差があり,実施例4で得たバターが高く評価されている。さらに,乳風味の程度,総合評価,甘い香りの程度の各項目においても,実施例4で得たバターが高く評価されており,焼菓子の風味が良好であるといえる。実施例4で得たバターを焼菓子に使用した場合,バターの乳の香りと乳の甘さが強く残ったためと考えられる。

0074

0075

[試験例5]
試験例1と同様にして,実施例5で得たバターと比較例2で得たバターについても,専門パネル(20名)による官能評価を実施した。その結果を表8(生食用)に示す。この表の結果をまとめたものを図8(生食用)に示す。実施例5で得たバターと比較例2で得たバターを生食用として官能評価した場合,サッパリ感の程度,乳風味の程度,総合評価の各項目において,実施例5で得たバターが高く評価されており,バターの風味が良好であるといえる。

0076

0077

[試験例6]
試験例1と同様にして,実施例6で得たバターと比較例2で得たバターについても,専門パネル(22名)による官能評価を実施した。その結果を表9(生食用)に示す。各表の結果をまとめたものを図9(生食用)に示す。実施例6で得たバターと比較例2で得たバターを生食用として官能評価した場合,全体の香りの項目において有意な差があり,実施例6で得たバターが高く評価されている。さらに,香ばしさの程度,脂肪感の程度,乳風味の程度,総合評価の各項目においても,実施例6で得たバターが高く評価されており,バターの風味が良好であるといえる。

0078

0079

実施例4,実施例5及び実施例6のバターは比較例2のバターに比べて,風味などの観点で圧倒的に優れていた。一方,実施例5及び実施例6のバターは実施例4のバターに比べて,風味の観点で顕著に優れていた。

0080

実施例2と同様の方法で,一般的なクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂濃縮乳を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,無塩バターを製造した(脱濃配合品(無塩))。脱濃配合品(無塩)の組成は,乳脂肪分82重量%,無脂乳固形分3重量%であった。(試料9)

0081

実施例2と同様の方法で,一般的なクリームをバター製造機で混練する際に,混練中において,脱脂粉乳を添加(配合)しながら,その他の製造方法は常法に従って,無塩バターを製造した(脱粉配合品(無塩))。脱粉配合品(無塩)の組成は,乳脂肪分82重量%,無脂乳固形分7重量%であった。(試料10)

0082

[試験例7]
試験例1と同様にして,実施例7で得たバターと比較例1で得たバターについて,専門パネル(21名)による官能評価を実施した。その結果を表10(生食用)に示す。この表の結果をまとめたものを図10(生食用)に示す。実施例7で得たバターと比較例1で得たバターを生食用として官能評価した場合,甘味の程度の項目において有意な差があり,実施例7で得たバターが高く評価されている。さらに,コクの程度,乳風味の程度,総合評価の各項目においても,実施例7で得たバターが高く評価されており,バターの風味が良好であるといえる。

0083

0084

[試験例8]
試験例1と同様にして,実施例8で得たバターと比較例1で得たバターについても,専門パネル(27名)による官能評価を実施した。その結果を表11(生食用)に示す。この表の結果をまとめたものを図11(生食用)に示す。実施例8で得たバターと比較例1で得たバターを生食用として官能評価した場合,甘味の程度,コクの程度,乳風味の程度の各項目において有意な差があり,実施例8で得たバターが高く評価されており,バターの風味が良好であるといえる。

0085

0086

[試験例9]
実施例3(NFろ過・脱濃配合品:高SNF品)で得たバターと比較例1で得たバターについて,焦がしバターを調製し,香気成分を分析・比較した。焦がしバターの調製では,バターを約180℃,2分間で加熱した。香気成分は,ダイナミックヘッドスペース法捕集操作とGC/MSの分析を併用して得られたピーク面積値により評価した。

0087

香気成分の評価プロトコルは,以下の通りであった。
(1)試料(重量:0.2g)をバイアルビン(容量:20mL)に採取し,密封する。
(2)バイアルビンを 加温(180℃,2min)する。
(3)バイアルビンを 加温(50℃,5min)する。
(4)バイアルビンを 加温(50℃)しつつ,気体窒素置換流速:40mL/min,20分間)する。
(5)窒素ガスで置換した気体に存在する「香気成分」を 加温(40℃)した状態で,捕集剤(TENAX TA)に回収する。
(6)捕集剤(TENAX TA)をGC/MSに導入して加熱(240℃)し,香気成分を脱着する。
(7)GC/MS(カラム:DB−WAX)の分析により,クロマトグラムを得る。
(8)クロマトグラムにあるピークマススペクトルをNISTマススペクトルライブラリと照合して,香気成分を定性する。
(9) 香気成分の主要なフラグメントイオンピーク面積を検出量とする。

実施例

0088

その結果を図12から図16に示す。図12は,メチルケトンの分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,2−ペンタノン,2−ヘプタノン,2−ノナノン,2−ウンデカノン,及び2−トリデカノンの量を示す。図13は,脂肪酸の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,ブタン酸,ヘキサン酸,オクタン酸,デカン酸,ドデカノン酸,及びテトラデカノン酸を示す。図14は,ラクトン分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは左から,δ−ヘキサラクトン,δ−オクタラクトン,δ−デカラクトン,δ−ドデカラクトン,δ−テトラデカラクトン,及びγ−ドデカラクトンを示す。図15は,フラン類等の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは,左から,2−フランメタノール,2−フランメタノール−5−メチル,フルフラール,5−ヒドロキシメチル1−2フルフラール(HMF),2−フランカルボン酸,ヒドラジド及びマルトールである。図16は,フラン類・ケトン類の分析結果を示す図面に替わるグラフである。グラフは,左から,1−ヒドロキシ−2−プロパノン,1−(2−フラニル)−エタノン,DMHF(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル3(2H)−フラノン;フラネオール),及び3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロマルトールを示す。実施例3で得たバターでは,比較例1で得たバターに比べて,マルトールやフラネオールが高濃度で検出された。マルトールやフラネオールは飴のような香ばしい好ましい香気として知られており,焦がしバターを調製した際に,バターの香りが良好であるといえる。

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