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技術 膨張剤

出願人 物産フードサイエンス株式会社
発明者 阿久沢京子栃尾巧小林恵理子
出願日 2015年12月10日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-240855
公開日 2017年6月15日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-104054
状態 特許登録済
技術分野 ベイカリー製品及びその製造方法 菓子
主要キーワード 膨脹作用 試験区間 網目構造形成 膨張作用 セルクル 乾燥生地 バウムクーヘン 食味試験
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月15日)のものです。
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図面 (4)

課題

苦味による食品風味低下を生じず、人体に対する安全性への懸念もない膨張剤およびこれを用いた菓子の製造方法を提供する。

解決手段

小麦粉および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられる、1−ケストースを有効成分とする膨張剤およびこれを用いた菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法。本発明によれば、苦味による食品の風味低下や人体に対する安全性への懸念を生じることなく、良好な膨らみ、味質および食感を有する菓子を製造することができる。

概要

背景

膨張剤とは、一般に、パン菓子類などの生地を膨らませる作用を有する物質をいう。従来、膨張剤としては、炭酸水素ナトリウム重曹)やベーキングパウダーが多用されている。ベーキングパウダーは、ガスを発生して膨張作用を発揮する基剤と、基剤によるガス発生を助ける酸化剤と、保存中にガス発生反応が進まないよう、基剤と酸化剤とを隔てておく遮蔽剤とからなる。その他、特許文献1には、従来の膨脹剤と油脂および炭酸カルシウムとを含有することを特徴とする膨脹剤組成物が開示されている。

概要

苦味による食品風味低下を生じず、人体に対する安全性への懸念もない膨張剤およびこれを用いた菓子の製造方法を提供する。小麦粉および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられる、1−ケストースを有効成分とする膨張剤およびこれを用いた菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法。本発明によれば、苦味による食品の風味低下や人体に対する安全性への懸念を生じることなく、良好な膨らみ、味質および食感を有する菓子を製造することができる。

目的

本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、苦味による食品の風味低下を生じず、人体に対する安全性への懸念もない膨張剤およびこれを用いた菓子の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

小麦粉および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられる、1−ケストースを有効成分とする膨張剤

請求項2

下記(ア)〜(ウ)のいずれかの配合量で前記生地に配合して用いられることを特徴とする、請求項1に記載の膨張剤;(ア)前記甘味料のうちの20重量%以上、(イ)前記小麦粉、卵および甘味料のうちの6.67重量%以上、(ウ)前記生地のうちの5重量%以上。

請求項3

ベーキングパウダー代替して用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の膨張剤。

請求項4

1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱して、前記膨張剤により前記生地を膨張させる工程を有する菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、小麦粉および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられる、1−ケストースを有効成分とする膨張剤ならびにこれを用いる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法に関する。

背景技術

0002

膨張剤とは、一般に、パン菓子類などの生地を膨らませる作用を有する物質をいう。従来、膨張剤としては、炭酸水素ナトリウム重曹)やベーキングパウダーが多用されている。ベーキングパウダーは、ガスを発生して膨張作用を発揮する基剤と、基剤によるガス発生を助ける酸化剤と、保存中にガス発生反応が進まないよう、基剤と酸化剤とを隔てておく遮蔽剤とからなる。その他、特許文献1には、従来の膨脹剤と油脂および炭酸カルシウムとを含有することを特徴とする膨脹剤組成物が開示されている。

先行技術

0003

特開2001−286255号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、重曹は、その分解によって生じる炭酸ナトリウム苦味を呈して食品風味を損なうため、配合量の調整などの取扱いが難しいという課題がある。ベーキングパウダーも基剤として重曹を含むことが多いため、同様の課題がある。さらに、ベーキングパウダーに酸化剤として含まれる硫酸アルミニウムリン酸ナトリウムグルコノデルタラクトンなどは、人体に対する安全性が懸念されるという課題がある。この点、特許文献1に記載の膨張剤組成物は、保存期間中の膨脹作用の低下や吸湿を防止して、従来の膨張剤の長期保存を可能にするものであって、従来の膨張剤を含有するため、これら苦味や安全性への懸念といった課題を解決するものではない。以上のことから、苦味による食品の風味低下を生じず、人体に対する安全性への懸念もない膨張剤が求められていた。

0005

本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、苦味による食品の風味低下を生じず、人体に対する安全性への懸念もない膨張剤およびこれを用いた菓子の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、鋭意研究の結果、1−ケストースが、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子の製造において、膨張作用を発揮することを見出した。そこで、この知見に基づいて、下記の各発明を完成した。

0007

(1)本発明に係る膨張剤は、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられ、1−ケストースを有効成分とする。

0008

(2)本発明に係る膨張剤は、下記(ア)〜(ウ)のいずれかの配合量で、小麦粉、卵および甘味料を含む生地に配合して用いられることが好ましい;(ア)前記甘味料のうちの20重量%以上、(イ)前記小麦粉、卵および甘味料のうちの6.67重量%以上、(ウ)前記生地のうちの5重量%以上。

0009

(3)本発明に係る膨張剤は、ベーキングパウダーに代替して用いることができる。

0010

(4)本発明に係る菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法は、1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱して、前記膨張剤により前記生地を膨張させる工程を有する。

発明の効果

0011

本発明によれば、苦味による食品の風味低下や人体に対する安全性への懸念を生じることなく、菓子に良好な膨らみや食感を与える膨張剤を得ることができる。また、本発明に係る膨張剤や本発明に係る菓子の製造方法によれば、膨張剤の配合量の厳密な調整を行わずとも、良好な膨らみならびに良好な味質および食感を有する菓子を製造することができる。さらに、1−ケストースはビフィズス菌増殖効果アトピー性皮膚炎改善効果、皮膚の保湿性向上といった生理的作用が知られているところ(特許第4162147号公報、特許第4704007号公報)、本発明に係る膨張剤や本発明に係る菓子の製造方法によれば、これら生理的作用を期待しうるに足る量の1−ケストースを含有する菓子を製造することができる。

図面の簡単な説明

0012

(A)は、砂糖または1−ケストースを用いたフィナンシェの生地の配合と焼成後の測定結果とを示す表である。(B)は、当該フィナンシェの断面を示す写真である。
(A)は、砂糖を用いたマドレーヌ、砂糖を用い、かつベーキングパウダー(BP)を用いたマドレーヌおよび1−ケストースを用いたマドレーヌの生地の配合と焼成後の測定結果とを示す表である。(B)は、当該マドレーヌの断面を示す写真である。
(A)は、1−ケストースの配合量を変化させたマドレーヌの生地の配合と焼成後の重量比体積百分率とを示す表である。(B)は、当該マドレーヌの重量比体積の百分率を示す棒グラフである。

0013

以下、本発明に係る膨張剤および菓子の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る膨張剤は、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)の製造に用いられる膨張剤であって、1−ケストースを有効成分とする。

0014

本発明において、「小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子(ただし、クッキーを除く)」とは、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を、焼く、蒸す、揚げるなどにより加熱して製造される菓子であって、クッキーを除くものをいう。このような菓子として、具体的には、例えば、バターケーキパウンドケーキバウムクーヘン、マドレーヌ、フィナンシェなど)、スポンジケーキワッフルマフィンパンケーキホットケーキ、どら焼き、まんじゅう、カステラ、蒸しカステラ、ドーナツ、蒸しパン、中華まんじゅうなどを挙げることができる。

0015

ここで、本発明において「甘味料」とは、食品に甘味を与える食品材料をいう。甘味料として、具体的には、例えば、単糖類ブドウ糖果糖など)、二糖類麦芽糖ショ糖トレハロースパラチノースなど)、オリゴ糖(1−ケストースやニストースフラクトフラノシルニストースなどのフラクトオリゴ糖キシロビオースキシロトリオースなどのキシロオリゴ糖など)、砂糖(上白糖グラニュー糖、和三盆、黒糖、三温糖など)、糖アルコールマルチトールキシリトールソルビトールなど)、蜂蜜メープルシロップモラセス糖蜜)、水飴ブドウ糖果糖液糖甘草抽出物ステビア抽出物合成甘味料アスパルテームアセスルファムカリウムスクラロースサッカリンサッカリンナトリウムなど)などを挙げることができる。

0016

1−ケストースは、1分子グルコースと2分子のフルクトースからなる三糖類のオリゴ糖である。本発明に係る「1−ケストース」は、スクロース基質として酵素反応を行うことにより得ることができる。具体的には、まず、β−フルクトフラノシダーゼスクロース溶液に添加し、37℃〜50℃で20時間程度静置して、1−ケストース含有反応液を得る。この1−ケストース含有反応液をクロマト分離法に供することよって1−ケストースと他の糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖、4糖以上のオリゴ糖)とを分離して精製することにより、高純度1−ケストース溶液を得る。続いて、この高純度1−ケストース溶液を濃縮した後、結晶化することにより、1−ケストースを得ることができる。また、1−ケストースは市販のフラクトオリゴ糖に含まれるため、本発明に係る1−ケストースとして、これを用いてもよい。

0017

次に、本発明に係る膨張剤の使用方法について述べる。本発明に係る膨張剤は、菓子の製造において、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を調製する際に、当該生地に配合して用いることができる。ここで、本発明に係る膨張剤の有効成分である1−ケストースは、グルテン網目構造形成を抑制して生地の伸展性を良くすることにより膨張作用を発揮すると本発明者らは考えている。グルテンの網目構造は小麦粉に水分を加えて捏ねると形成されることから、1−ケストースによる膨張作用をより効果的に発揮させるためには、1−ケストースの存在下で、小麦粉と水分を含む材料とを混合することが好ましい。

0018

すなわち、好ましい使用方法としては、まず、膨張剤と卵や牛乳、水などの水分を含む材料とを予め混合し、ここに小麦粉を混合して生地を調製する。あるいは、膨張剤と小麦粉とを予め混合し、ここに、水分を含む材料を混合して生地を調製する。続いて、調製した生地を、焼く、揚げるまたは蒸すなどにより加熱して、本発明に係る膨張剤により生地を膨張させる方法を挙げることができる。係る使用方法によれば、本発明に係る膨張剤により良好に膨らんだ菓子を製造することができる。

0019

ここで、本発明に係る膨張剤の当該生地における配合量は、後述の実施例4に示すように、高い膨張効果を得る観点から下記(ア)〜(ウ)のいずれかが好ましく、(エ)〜(カ)のいずれかがより好ましく、(キ)〜(ケ)がさらに好ましい;
(ア)前記甘味料のうちの20重量%以上、(イ)前記小麦粉、卵および甘味料のうちの6.67重量%以上、または(ウ)前記生地のうちの5重量%以上、
(エ)甘味料のうちの25重量%以上、(オ)小麦粉、卵および甘味料のうちの8.33重量%以上または(カ)生地全体のうちの6.25重量%以上、
(キ)甘味料のうちの30重量%以上、(ク)小麦粉、卵および甘味料のうちの10.00重量%以上または(ケ)生地全体のうちの7.50重量%以上。

0020

また、本発明に係る膨張剤は、後述する実施例3に示すように、ベーキングパウダーに代替して用いることができる。すなわち、パウンドケーキやマドレーヌ、マフィンなどの通常ベーキングパウダーを生地に配合する菓子の製造において、ベーキングパウダーに代えて本発明に係る膨張剤を生地に配合し、これを加熱することにより、良好な膨らみを有し、ベーキングパウダーに由来する苦味や安全性への懸念のない菓子を製造することができる。

0021

次に、本発明は、菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法を提供する。本発明に係る菓子(ただし、クッキーを除く)の製造方法は、(A)1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱して、前記膨張剤により前記生地を膨張させる工程を有する。なお、本発明に係る製造方法において、上述した本発明に係る膨張剤と同じまたは相当する発明特定事項については、再度の説明を省略する。

0022

(A)の工程に係る「1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を含む生地」は、1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を混合することにより調製することができる。ここで、上述のとおり、膨張作用をより効果的に発揮させるためには、本発明に係る膨張剤の存在下で、小麦粉と卵(水分を含有する材料)とを混合して当該生地を調製することが好ましい。なお、「1−ケストースを有効成分とする膨張剤」が「甘味料」をも兼ねる場合は、前記生地には、1−ケストース以外の甘味料を配合しなくてもよく、配合してもよい。

0023

(A)の工程において、前記生地を加熱する方法としては、例えば、焼く、揚げる、蒸すなどを挙げることができる。温度や時間などの加熱条件は、前記生地の配合、量、製造する菓子の種類などにより適宜設定することができる。

0024

(A)の工程において、「1−ケストースを有効成分とする膨張剤、小麦粉、卵および甘味料を含む生地」を加熱した際に、前記膨張剤により前記生地が膨張したか否かは、例えば、次の方法により確認することができる。すなわち、「1−ケストースを有効成分とする膨張剤」を含む生地と含まない生地とを、当該膨張剤の有無以外は同条件にて調製し、同条件にて加熱して製造した菓子の体積を菜種法により測定して比較する。この場合に、前者の生地を加熱したものの体積が、後者の生地を加熱したものの体積よりも大きい場合は、前記膨張剤により前記生地が膨張したと判断することができ、それらの体積が同じ、または後者の生地を加熱したものの体積の方が大きい場合は、前記膨張剤により前記生地が膨張しなかったと判断することができる。

0025

以下、本発明に係る膨張剤および菓子の製造方法について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。

0026

<実施例1>フィナンシェ製造における1−ケストースの膨張作用の検討
甘味料として砂糖または1−ケストースを用いてフィナンシェを製造した。具体的には、常温卵白120gをハンドミキサーを用いて3速で15秒撹拌し、はちみつ20gおよび甘味料90gを加えてさらに2速で30秒撹拌した。続いて、予め混合してふるっておいたアーモンドプードル90gおよび小麦粉50gを加え、ゴムベラでしっかり混ぜた後、予め50℃に温めて融解させた油脂(バター)140gを混合して、フィナンシェ生地を調製した。このフィナンシェ生地を焼き型に15gずつ分注し、180℃で17分焼成してフィナンシェを製造した。焼成後、型に入れたまま10分放冷し、型からはずしてさらに30分放冷した。

0027

その後、フィナンシェ20個あたりの重量を測定し、1個あたりの重量を算出した。また、室温に放置して完全に冷ました後、菜種法により10個あたりの体積を測定し、1個あたりの体積を算出した。続いて、1個あたりの重量および体積に基づいて、重量1g当たりの体積(mL/g;重量比体積)を算出し、甘味料として砂糖を用いたものの重量比体積を100%として百分率で表した。また、円心を通るようにフィナンシェを切断して断面を観察した。フィナンシェ生地の配合ならびに焼成後の測定結果および観察結果図1に示す。

0028

図1(A)に示すように、1−ケストースを用いたフィナンシェの重量比体積の百分率は113%であり、砂糖を用いたフィナンシェと比較して13%も大きかった。また、図1(B)に示すように、1−ケストースを用いたフィナンシェの内相はふっくらとして詰まっておらず、その中心部は十分な高さが出ていたのに対して、砂糖を用いたフィナンシェの内相は部分的に詰まっており、その中心部の高さも比較的低かった。この結果から、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子の製造において、1−ケストースは膨張作用を有することが明らかになった。

0029

<実施例2>パンケーキ製造における1−ケストースの膨張作用の検討
甘味料として砂糖または1−ケストースを用いてパンケーキを製造した。具体的には、常温の全卵50gをハンドミキサーを用いて3速で15秒撹拌し、水50gおよび甘味料50gを加え、30℃に温めて甘味料を完全に溶解した後、3速で30秒撹拌した。続いて、予めふるっておいた小麦粉100gを加えてゴムベラでしっかり混ぜて、パンケーキ生地を調製した。電磁調理器で180℃に熱したフライパンの上に直径10cmの円形セルクルを載せ、その中にパンケーキ生地を30gずつ流し入れた。続いて、これを表面に気泡が出るまでの約60〜90秒程度焼成した後、反転させて、15〜30秒程度焼成してパンケーキを製造した。焼成後、室温に放置して完全に冷ました。

0030

その後、菜種法によりパンケーキ5枚あたりの体積を測定し、1枚あたりの体積を算出した。また、不作為に選択したパンケーキ5枚を円心を通るように切断して断面を観察した後、中心部の高さを測定してその平均値を算出した。続いて、甘味料として砂糖を用いたものの体積および中心部高さをそれぞれ100%として百分率で表した。また、食味試験を行い、パンケーキの食感を確認した。パンケーキ生地の配合および焼成後の測定結果を表1に示す。

0031

0032

表1に示すように、1−ケストースを用いたパンケーキの体積の百分率は110%であり、砂糖を用いたパンケーキと比較して10%も大きかった。また、1−ケストースを用いたパンケーキの中心部高さの百分率は113%であり、砂糖を用いたパンケーキと比較して13%も大きかった。また、砂糖を用いたパンケーキの内相はやや詰まり気味であり、その食感はもちっとしていたのに対して、1−ケストースを用いたパンケーキの内相は比較的詰まっておらず、その食感はふわっとして柔らかい食感であった(結果は図示しない)。この結果から、小麦粉、卵および甘味料を含み、かつ油脂を含まない生地を加熱してなる菓子の製造においても、1−ケストースは膨張作用を有することが明らかになった。

0033

<実施例3>マドレーヌ製造における1−ケストースの膨張作用の検討
甘味料として砂糖または1−ケストースを用いてマドレーヌを製造した。1−ケストースを用いた場合はベーキングパウダー(BP)を配合しないもののみを製造し、砂糖を用いた場合は、1gまたは1.5gのBPを配合したものとしないものとを製造した。BPは、市販のBP(アイコク社)を用いた。

0034

具体的には、全卵100gに甘味料100gを加え、35℃に温めて甘味料を完全に溶解した後、ハンドミキサーを用いて3速で30秒攪拌し、続いて2速で1分撹拌した。ここに、予めふるっておいた小麦粉100g、予め混合してふるっておいた小麦粉100gおよびBP1gまたは予め混合してふるっておいた小麦粉100gおよびBP1.5gを加え、ゴムベラで均一になるまで混合した。続いて、50℃に温めて融解させた油脂(コンパウンドマーガリン)100gを混合して、マドレーヌ生地を調製した。このマドレーヌ生地を焼き型に30gずつ分注し、170℃で20分焼成してマドレーヌを製造した。焼成後、型に入れたまま10分放冷し、型からはずしてさらに30分放冷した。

0035

その後、実施例1に記載の方法により、11個あたりのマドレーヌの重量および11個または5個あたりの体積を測定して重量比体積の百分率を求めた。また、円心を通るようにマドレーヌを切断して断面を観察した。マドレーヌ生地の配合ならびにマドレーヌの重量比体積の百分率および観察結果を図2に示す。なお、図2において、1gのBPを配合したマドレーヌの写真は省略する。

0036

図2(A)に示すように、重量比体積の百分率は、砂糖を用い、かつ1gのBPを配合したマドレーヌでは110%であり、砂糖を用い、かつ1.5gのBPを配合したマドレーヌでは117%であったのに対して、1−ケストースを用いたマドレーヌでは134%であった。すなわち、1−ケストースを用いたマドレーヌは、砂糖を用いたマドレーヌならびに砂糖および1gまたは1.5gのBPを用いたマドレーヌのいずれよりも、膨張の程度が大きかった。また、図2(B)に示すように、1−ケストースを用いたマドレーヌは、砂糖を用いたマドレーヌならびに砂糖および1.5gのBPを用いたマドレーヌのいずれよりも、中心部の高さが高かった。この結果から、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子の製造において、1−ケストースはベーキングパウダーに代替する膨張剤として使用可能であることが明らかになった。

0037

<実施例4>1−ケストースの配合量の検討
砂糖および1−ケストースの配合量が異なる(a)〜(i)の9つの試験区を設定し、実施例3に記載の方法によりマドレーヌを製造した。各試験区の生地における砂糖および1−ケストースの配合量は、図3(A)に示すとおりとした。その後、実施例1に記載の方法により、各試験区毎に11個あたりのマドレーヌの重量および体積を測定して、重量比体積の百分率を求め、棒グラフに表した。マドレーヌ生地の配合ならびに重量比体積の百分率を図3(A)に、棒グラフを図3(B)にそれぞれ示す。

0038

図3(A)および(B)に示すように、重量比体積の百分率は、試験区(a)(1−ケストースの配合量が0重量%)の100%に対して、試験区(b)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの20重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの6.67重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの5.00重量%)では103%、試験区(c)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの25重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの8.33重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの6.25重量%)では105%、試験区(d)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの30重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの10.00重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの7.50重量%)では109%、試験区(e)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの35重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの11.67重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの8.75重量%)では114%、試験区(f)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの40重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの13.33重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの10.00重量%)では118%、試験区(g)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの60重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの20.00重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの15.00重量%)では127%、試験区(h)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの80重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの26.67重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの20.00重量%)では130%、試験区(i)(1−ケストースの配合量が甘味料のうちの100重量%、小麦粉、卵および甘味料のうちの33.33重量%ならびにマドレーヌ生地全体のうちの25.00重量%)では130%であった。

0039

すなわち、試験区(b)〜(i)のいずれも、試験区(a)と比較して重量比体積の百分率が大きかった。この結果から、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子の製造において、1−ケストースは、配合量にかかわらず膨張作用を有することが明らかになった。また、重量比体積の百分率の大小を試験区間で比較すると、(a)<(b)<(c)<(d)<(e)<(f)<(g)<(h)=(i)であった。この結果から、高い膨張効果を得るためには、1−ケストースの配合量が、甘味料のうちの20重量%以上、小麦粉、卵および甘味料のうちの6.67重量%以上または生地全体のうちの5重量%以上が好ましく、甘味料のうちの25重量%以上、小麦粉、卵および甘味料のうちの8.33重量%以上または生地全体のうちの6.25重量%以上がより好ましく、甘味料のうちの30重量%以上、小麦粉、卵および甘味料のうちの10.00重量%以上または生地全体のうちの7.50重量%以上がさらに好ましいことが明らかになった。

0040

<実施例5>焼成後の1−ケストース残存率の確認
実施例3で製造した、1−ケストースを用いたマドレーヌについて、1−ケストースの含有量を測定した。具体的には、マドレーヌを減圧乾燥した後、石油エーテルにより脱脂を行い、続いて超純水により抽出し、さらに脱塩を行うことによりHPLCサンプルを得た。このHPLCサンプルを下記の条件によりHPLCに供して1−ケストースの量を測定し、これを残存ケストース量とした。

0041

《HPLCの条件》
カラム:Shodex HPX−87C
移動相:超純水
流速:0.6mL/分
注入量:20μL
温度:85℃
検出器:SHIMADZU LC−2030

0042

一方、焼成前のマドレーヌ生地の水分含量に基づいて、乾燥生地(水分を除去したマドレーヌ生地)中の1−ケストースの量を算出し、これを生地中ケストース量とした。続いて、次式によりケストース残存率を算出した。式;ケストース残存率(%)=(残存ケストース量/生地中ケストース量)×100。

実施例

0043

その結果、ケストース残存率は90%以上の値であった。すなわち、1−ケストースは菓子製造における加熱工程では、殆ど分解せずに残存することが明らかになった。この結果から、小麦粉、卵および甘味料を含む生地を加熱してなる菓子の製造において、当該生地に1−ケストースを配合することにより、膨張効果が得られることに加えて、生理的効果を発揮するに足る1−ケストースを含有する菓子を製造できることが示された。

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    【課題】スクラッチ生地製法や冷凍生地製法で製造されるパンにおいて、乳化剤特有の風味がなく、ボリューム、歯切れ及び口溶けが良好なパンを製造することができる、製パン用水中油型乳化油脂組成物及びそれを含むパ... 詳細

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