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技術 ビーム走査装置、ビーム走査方法、およびパターン描画装置

出願人 株式会社ニコン
発明者 渡辺智行倉重貴広加藤正紀
出願日 2015年12月2日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2015-235352
公開日 2017年6月8日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2017-102272
状態 未査定
技術分野 機械的光走査系 レーザービームプリンタ ホトレジスト感材への露光・位置合せ FAXの走査装置
主要キーワード 置土台 テンション調整ローラ 照射中心軸 金属性薄膜 原点パルス 偏向調整 エッジポジション 遅延時間補正
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図面 (12)

課題

原点センサ位置ずれによる原点信号発生タイミングのずれを検出し、走査開始タイミングを調整することができるビーム走査装置を提供する。

解決手段

光源装置からのビームスポット光基板の被照射面に投射しつつ、スポット光を被照射面上で1次元走査するビーム走査装置であって、ビームを1次元の走査のために偏向する複数の反射面RPを有するポリゴンミラーPMと、ポリゴンミラーの反射面に対して計測光Bgaを照射し、反射面が所定の回転角度位置にくると計測光の反射光Bgbを受光することで原点信号(SZ1、SZa1、SZb1)を出力する複数の原点センサ(OP1、SOPa1、SOPb1)とを備え、複数の原点センサの各々は、ポリゴンミラーの互いに異なる反射面に向けて計測光を照射して、異なる反射面毎に原点信号を出力する。

概要

背景

下記に示す特許文献1には、レーザビーム感光ドラム投射しつつ、回転したポリゴンミラーによってレーザビームを走査ラインに沿って1次元方向に主走査しつつ、感光ドラムを回転させることで、感光ドラム上に所望するパターンや画像(文字、図形、写真等)を描画するレーザプリンターが開示されている。また、走査ライン上の最初の走査位置に原点センサを設け、この原点センサの検出信号である原点パルスを用いて、描画開始タイミングやポリゴンミラーの回転を制御することも記載されている。ここで、レーザビームを走査(偏向)するポリゴンミラーの反射面(以下、偏向反射面)の周りには、偏向反射面にレーザビームを送光するための光学系や、偏向反射面で反射したレーザビームを対象物である感光ドラムに導くための露光用の光学系が配置される。したがって、レーザビームを反射する偏向反射面の近傍に原点センサを設ける構成にした場合は、原点センサを設けるスペースがあまりないため、安定的に原点センサを配置することが難しく、原点センサが熱や振動によってその設置位置から微妙にずれたりする。その場合、原点信号発生タイミングもずれることになり、描画開始タイミングもずれてしまう。その結果、レーザビームが走査される走査ラインの位置が主走査の方向にシフトドリフト)してしまう。

概要

原点センサの位置ずれによる原点信号の発生タイミングのずれを検出し、走査開始タイミングを調整することができるビーム走査装置を提供する。光源装置からのビームスポット光基板の被照射面に投射しつつ、スポット光を被照射面上で1次元に走査するビーム走査装置であって、ビームを1次元の走査のために偏向する複数の反射面RPを有するポリゴンミラーPMと、ポリゴンミラーの反射面に対して計測光Bgaを照射し、反射面が所定の回転角度位置にくると計測光の反射光Bgbを受光することで原点信号(SZ1、SZa1、SZb1)を出力する複数の原点センサ(OP1、SOPa1、SOPb1)とを備え、複数の原点センサの各々は、ポリゴンミラーの互いに異なる反射面に向けて計測光を照射して、異なる反射面毎に原点信号を出力する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

光源装置からのビームスポット光対象物の被照射面に投射しつつ、前記スポット光を前記被照射面上で1次元走査するビーム走査装置であって、前記ビームを前記1次元の走査のために偏向する複数の反射面を有する回転多面鏡と、前記回転多面鏡の反射面に対して計測光を照射し、前記反射面が所定の回転角度位置にくると前記計測光の反射光受光することで原点信号を出力する複数の原点センサと、を備え、前記複数の原点センサの各々は、前記回転多面鏡の互いに異なる前記反射面に向けて前記計測光を照射して、前記異なる前記反射面毎に前記原点信号を出力する、ビーム走査装置。

請求項2

請求項1に記載のビーム走査装置であって、前記複数の原点センサは、前記回転多面鏡の複数の前記反射面のうち、前記ビームを偏向して前記スポット光の前記1次元の走査を行う前記反射面を用いて第1の原点信号を出力する第1の原点センサと、前記スポット光の前記1次元の走査を行う前記反射面とは異なる位置の前記反射面を用いて第2の原点信号を出力する第2の原点センサとを有する、ビーム走査装置。

請求項3

請求項2に記載のビーム走査装置であって、前記第1の原点信号の出力タイミングと前記第2の原点信号の出力タイミングとを用いて、前記第1の原点センサの位置ずれによる前記第1の原点信号の出力タイミングのずれを検出する制御装置を備える、ビーム走査装置。

請求項4

請求項3に記載のビーム走査装置であって、前記制御装置は、前記第1の原点センサの位置ずれによる前記第1の原点信号の出力タイミングのずれを検出した場合は、前記第1の原点信号の出力タイミングのずれ量を算出する、ビーム走査装置。

請求項5

請求項4に記載のビーム走査装置であって、前記制御装置は、前記第1の原点信号の出力タイミングに基づいて、前記スポット光の走査開始タイミングを決定し、前記ずれ量が算出された場合は、前記ずれ量を用いて前記スポット光の走査開始タイミングを調整する、ビーム走査装置。

請求項6

請求項2〜5のいずれか1項に記載のビーム走査装置であって、複数の前記第2の原点センサを備え、前記複数の第2の原点センサの各々は、互いに異なる位置の前記反射面を用いて前記第2の原点信号を出力する、ビーム走査装置。

請求項7

光源装置からのビームのスポット光を対象物の被照射面に投射しつつ、前記スポット光を前記被照射面上で1次元に走査するビーム走査方法であって、回転多面鏡を用いて前記ビームを前記1次元の走査のために偏向する偏向工程と、前記回転多面鏡の互いに異なる少なくとも2つの反射面に対して計測光を照射し、前記少なくとも2つの前記反射面の各々が所定の回転角度位置にくると前記計測光の反射光を受光することで、前記少なくとも2つの前記反射面の各々に対応した少なくとも2つの原点信号を出力する出力工程と、を含む、ビーム走査方法。

請求項8

請求項7に記載のビーム走査方法であって、前記出力工程は、前記ビームを偏向して前記スポット光の前記1次元の走査を行う前記反射面を用いて第1の原点信号を出力する第1の出力工程と、前記スポット光の前記1次元の走査を行う前記反射面とは異なる位置の前記反射面を用いて第2の原点信号を出力する第2の出力工程と、を含む、ビーム走査方法。

請求項9

請求項8に記載のビーム走査方法であって、前記第1の原点信号の出力タイミングと前記第2の原点信号の出力タイミングとを用いて、前記第1の原点信号の出力タイミングのずれを検出する検出工程を含む、ビーム走査方法。

請求項10

請求項9に記載のビーム走査方法であって、前記第1の原点信号の出力タイミングのずれを検出した場合は、前記第1の原点信号の出力タイミングのずれ量を算出する算出工程を含む、ビーム走査方法。

請求項11

請求項10に記載のビーム走査方法であって、前記第1の原点信号の出力タイミングに基づいて、前記スポット光の走査開始タイミングを決定し、前記ずれ量が算出された場合は、前記ずれ量を用いて前記スポット光の走査開始タイミングを調整する決定工程を含む、ビーム走査方法。

請求項12

請求項7〜11のいずれか1項に記載のビーム走査方法であって、前記第2の出力工程は、互いに異なる位置の前記反射面を用いて複数の前記第2の原点信号を出力する、ビーム走査方法。

請求項13

対象物上でビームを走査しつつ、走査の間にパターン情報に応じて前記ビームを変調させて、前記対象物上にパターンを描画するパターン描画装置であって、前記走査のために、前記ビームを偏向する複数の反射面を有する回転多面鏡と、前記回転多面鏡の複数の反射面のうちのいずれか1つの第1反射面が所定角度範囲内で回転している間、前記第1反射面で反射された前記ビームを入射して前記対象物に向けて投射する投射光学系と、前記第1反射面が前記所定角度範囲に至る時点を表す第1の原点信号を出力する第1原点検出器と、前記回転多面鏡の複数の反射面のうちの前記第1反射面とは異なる第2反射面が所定の回転角度位置になった時点を表す第2の原点信号を出力する第2原点検出器と、前記第1の原点信号と前記第2の原点信号とに基づいて、前記ビームの変調の開始タイミングを制御する描画制御部と、を備える、パターン描画装置。

技術分野

0001

本発明は、対象物の被照射面上に照射されるビームスポット光走査して、所定のパターン描画露光するビーム走査装置ビーム走査方法、およびパターン描画装置に関する。

背景技術

0002

下記に示す特許文献1には、レーザビーム感光ドラム投射しつつ、回転したポリゴンミラーによってレーザビームを走査ラインに沿って1次元方向に主走査しつつ、感光ドラムを回転させることで、感光ドラム上に所望するパターンや画像(文字、図形、写真等)を描画するレーザプリンターが開示されている。また、走査ライン上の最初の走査位置に原点センサを設け、この原点センサの検出信号である原点パルスを用いて、描画開始タイミングやポリゴンミラーの回転を制御することも記載されている。ここで、レーザビームを走査(偏向)するポリゴンミラーの反射面(以下、偏向反射面)の周りには、偏向反射面にレーザビームを送光するための光学系や、偏向反射面で反射したレーザビームを対象物である感光ドラムに導くための露光用の光学系が配置される。したがって、レーザビームを反射する偏向反射面の近傍に原点センサを設ける構成にした場合は、原点センサを設けるスペースがあまりないため、安定的に原点センサを配置することが難しく、原点センサが熱や振動によってその設置位置から微妙にずれたりする。その場合、原点信号発生タイミングもずれることになり、描画開始タイミングもずれてしまう。その結果、レーザビームが走査される走査ラインの位置が主走査の方向にシフトドリフト)してしまう。

先行技術

0003

特開平7−35995号公報

0004

本発明の第1の態様は、光源装置からのビームのスポット光を対象物の被照射面に投射しつつ、前記スポット光を前記被照射面上で1次元に走査するビーム走査装置であって、前記ビームを前記1次元の走査のために偏向する複数の反射面を有する回転多面鏡と、前記回転多面鏡の反射面に対して計測光を照射し、前記反射面が所定の回転角度位置にくると前記計測光の反射光受光することで原点信号を出力する複数の原点センサと、を備え、前記複数の原点センサの各々は、前記回転多面鏡の互いに異なる前記反射面に向けて前記計測光を照射して、前記異なる前記反射面毎に前記原点信号を出力する。

0005

本発明の第2の態様は、光源装置からのビームのスポット光を対象物の被照射面に投射しつつ、前記スポット光を前記被照射面上で1次元に走査するビーム走査方法であって、回転多面鏡を用いて前記ビームを前記1次元の走査のために偏向する偏向工程と、前記回転多面鏡の互いに異なる少なくとも2つの反射面に対して計測光を照射し、前記少なくとも2つの前記反射面の各々が所定の回転角度位置にくると前記計測光の反射光を受光することで、前記少なくとも2つの前記反射面の各々に対応した少なくとも2つの原点信号を出力する出力工程と、を含む。

0006

本発明の第3の態様は、対象物上でビームを走査しつつ、走査の間にパターン情報に応じて前記ビームを変調させて、前記対象物上にパターンを描画するパターン描画装置であって、前記走査のために、前記ビームを偏向する複数の反射面を有する回転多面鏡と、前記回転多面鏡の複数の反射面のうちのいずれか1つの第1反射面が所定角度範囲内で回転している間、前記第1反射面で反射された前記ビームを入射して前記対象物に向けて投射する投射光学系と、前記第1反射面が前記所定角度範囲に至る時点を表す第1の原点信号を出力する第1原点検出器と、前記回転多面鏡の複数の反射面のうちの前記第1反射面とは異なる第2反射面が所定の回転角度位置になった時点を表す第2の原点信号を出力する第2原点検出器と、前記第1の原点信号と前記第2の原点信号とに基づいて、前記ビームの変調の開始タイミングを制御する描画制御部と、を備える。

図面の簡単な説明

0007

実施の形態の基板露光処理を施す露光装置を含むデバイス製造システム概略構成図である。
基板が巻き付けられた状態の図1に示す回転ドラムを示す斜視図である。
スポット光の描画ラインおよび基板上に形成されたアライメント用のマークを示す図である。
図1に示す露光装置の要部拡大図である。
図4に示す走査ユニットの構成を説明するための図である。
図5に示す走査ユニットのポリゴンミラーの近傍に配置された原点センサの配置を模式的に示す図である。
図6に示す原点センサの構成を示す図である。
ポリゴンミラーと、原点センサと、副原点センサとの配置関係を示す図である。
原点センサによる原点信号の発生タイミングと、副原点センサによる副原点信号の発生タイミングとの関係の一例を示すタイミングチャートである。
走査ユニットによって走査されるスポット光の描画変調および走査ユニットのポリゴンミラーの回転制御を行う機能ブロック図である。
図11Aは、原点センサの位置ずれが生じていない場合における原点信号、描画イネーブル信号、および、シリアルデータの発生状態の一例を示すタイムチャートであり、図11Bは、原点センサの位置ずれが生じている場合における原点信号、描画イネーブル信号、および、シリアルデータの発生状態の一例を示すタイムチャートである。

実施例

0008

本発明の態様に係るビーム走査装置、ビーム走査方法、およびパターン描画装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。

0009

図1は、実施の形態の基板(被照射体である対象物)FSに露光処理を施す露光装置EXを含むデバイス製造システム10の概略構成図である。なお、以下の説明においては、特に断わりのない限り、重力方向をZ方向とするXYZ直交座標系を設定し、図に示す矢印にしたがって、X方向、Y方向、およびZ方向を説明する。なお、−Z方向が、重力が働く方向とする。

0010

デバイス製造システム10は、基板FSに所定の処理(露光処理等)を施して、電子デバイスを製造するシステム基板処理装置)である。デバイス製造システム10は、電子デバイスを製造する製造ライン構築された製造システムである。電子デバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイフィルム状のタッチパネル液晶表示パネル用のフィルム状のカラーフィルターフレキシブル配線、フレキシブル・センサー等が挙げられる。本実施の形態では、電子デバイスとしてフレキシブル・ディスプレイを前提として説明する。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば、有機ELディスプレイ液晶ディスプレイ等がある。デバイス製造システム10は、可撓性のシート状の基板(シート基板)FSをロール状に巻いた図示しない供給ロールから基板FSが送出され、送出された基板FSに対して各種処理を連続的に施した後、各種処理後の基板FSを図示しない回収ロールで巻き取る、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll To Roll)方式の構造を有する。基板FSは、基板FSの移動方向が長手方向(長尺)となり、幅方向が短手方向短尺)となる帯状の形状を有する。前記供給ロールから送られた基板FSは、順次、プロセス装置PR1、露光装置EX、および、プロセス装置PR2等で各種処理が施され、前記回収ロールで巻き取られる。

0011

なお、X方向は、水平面内において、プロセス装置PR1から露光装置EXを経てプロセス装置PR2に向かう方向(搬送方向)である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板FSの幅方向(短尺方向)である。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(上方向)であり、重力が働く方向と平行である。

0012

基板FSは、例えば、樹脂フィルム、若しくは、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂ポリエステル樹脂エチレンビニル共重合体樹脂ポリ塩化ビニル樹脂セルロース樹脂ポリアミド樹脂ポリイミド樹脂ポリカーボネート樹脂ポリスチレン樹脂、および、酢酸ビニル樹脂のうち、少なくとも1つ以上を含んだものを用いてもよい。また、基板FSの厚みや剛性ヤング率)は、デバイス製造システム10内の搬送路を通る際に、基板FSに座屈による折れ目非可逆的シワが生じないような範囲であればよい。基板FSの母材として、厚みが25μm〜200μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルムは、好適なシート基板の典型である。

0013

基板FSは、プロセス装置PR1、露光装置EX、および、プロセス装置PR2等で施される各処理において熱を受ける場合があるため、熱膨張係数が顕著に大きくない材質の基板FSを選定することが好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって熱膨張係数を抑えることができる。無機フィラーは、例えば、酸化チタン酸化亜鉛アルミナ、または、酸化ケイ素等でもよい。また、基板FSは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラス単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。

0014

ところで、基板FSの可撓性(flexibility)とは、基板FSに自重程度の力を加えてもせん断したり破断したりすることはなく、その基板FSを撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、基板FSの材質、大きさ、厚さ、基板FS上に成膜される層構造、温度、湿度などの環境等に応じて、可撓性の程度は変わる。いずれにしろ、本実施の形態によるデバイス製造システム10内の搬送路に設けられる各種の搬送用ローラ、回転ドラム等の搬送方向転換用の部材に基板FSを正しく巻き付けた場合に、座屈して折り目がついたり、破損(破れ割れが発生)したりせずに、基板FSを滑らかに搬送できれば、可撓性の範囲といえる。

0015

プロセス装置PR1は、露光装置EXで露光処理される基板FSに対して前工程の処理を行う。プロセス装置PR1は、前記供給ロールから送られてきた基板FSを露光装置EXに向けて所定の速度で搬送しつつ、基板FSに対して前工程の処理を行う。この前工程の処理により、露光装置EXへ送られる基板FSは、その表面に感光性機能層感光層)が一様または選択的に形成された基板(感光基板)となる。

0016

この感光性機能層は、溶液として基板FS上に塗布され、乾燥することによって層(膜)となる。感光性機能層の典型的なものはフォトレジスト(液状またはドライフィルム状)であるが、現像処理が不要な材料として、紫外線の照射を受けた部分の親撥液性改質される感光性シランカップリング剤(SAM)、或いは紫外線の照射を受けた部分にメッキ還元基露呈する感光還元剤等がある。感光性機能層として感光性シランカップリング剤を用いる場合は、基板FS上の紫外線で露光されたパターン部分が撥液性から親液性に改質される。そのため、親液性となった部分の上に導電性インク(銀や銅等の導電性ナノ粒子を含有するインク)や半導体材料を含有した液体等を選択塗布することで、ディスプレイ用の電子デバイスを構成する回路または配線(例えば、薄膜トランジスタ等を構成するソース電極ドレイン電極、およびゲート電極や、半導体絶縁、或いは接続用の配線等)となるパターン層(パターンが形成された層)を形成することができる。感光性機能層として、感光性還元剤を用いる場合は、基板FS上の紫外線で露光されたパターン部分にメッキ還元基が露呈する。そのため、露光後、基板FSを直ちにパラジウムイオン等を含むメッキ液中に一定時間浸漬することで、パラジウムによるパターン層が形成(析出)される。このようなメッキ処理アディティブ(additive)なプロセスであるが、その他、サブトラクティブ(subtractive)なプロセスとしてのエッチング処理を前提にする場合、露光装置EXへ送られる基板FSは、母材をPETやPENとし、その表面にアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属性薄膜を全面または選択的に蒸着し、さらにその上にフォトレジスト層を積層したものであってもよい。

0017

本実施の形態においては、露光装置EXは、マスクを用いない直描方式の露光装置、いわゆるラスタースキャン方式の露光装置(ビーム走査装置、パターン描画装置)である。プロセス装置PR1から供給された基板FSの被照射面(感光性機能層の表面、以下、感光面と呼ぶ場合がある)に対して、ディスプレイ用の電子デバイスを構成する回路または配線等を表す所定のパターンに応じた光パターンを照射する。後で詳細に説明するが、露光装置EXは、基板FSを+X方向(副走査の方向)に搬送しながら、露光用のビームLBのスポット光SPを、基板FSの被照射面上で所定の走査方向(主走査方向、Y方向)に1次元に走査(主走査)しつつ、スポット光SPの強度をパターンデータ(描画データ、パターン情報)に応じて高速に変調(オンオフ)する。これにより、基板FSの被照射面に電子デバイスを構成する回路または配線等の所定のパターンに応じた光パターンが描画露光される。つまり、基板FSの副走査と、スポット光SPの主走査とで、スポット光SPが基板FSの被照射面上で相対的に2次元走査されて、基板FSに所定のパターンが描画露光される。基板FSは、搬送方向(+X方向)に沿って搬送されているので、露光装置EXによってパターンが露光される露光領域Wは、基板FSの長尺方向(搬送方向)に沿って所定の間隔をあけて複数設けられることになる(図3参照)。この露光領域Wに電子デバイスが形成されるので、露光領域Wは、デバイス形成領域でもある。

0018

プロセス装置PR2は、露光装置EXで露光処理された基板FSに対しての後工程の処理(例えば、導電性インクの塗布、メッキ処理、または、現像・エッチング処理等)を行う。プロセス装置PR2は、露光装置EXから送られてきた基板FSを前記回収ロールに向けて所定の速度で搬送しつつ、基板FSに対して後工程の処理を行う。この後工程の処理により、基板FS上に電子デバイスのパターン層が形成される。

0019

上述したように、デバイス製造システム10の少なくとも各処理を経て、1つのパターン層が生成される。そのため、複数のパターン層で構成される電子デバイスを生成するために、図1に示すようなデバイス製造システム10の各処理を少なくとも2回は経なければならない。したがって、基板FSが巻き取られた回収ロールを供給ロールとして別のデバイス製造システム10に装着することで、パターン層を積層することができる。処理後の基板FSは、複数の電子デバイスが所定の間隔をあけて基板FSの長尺方向に沿って連なった状態となる。つまり、基板FSは、多面取り用の基板となっている。

0020

基板FSの長尺方向に沿って電子デバイスが連なった状態で形成された基板FSを回収した前記回収ロールは、図示しないダイシング装置に装着されてもよい。前記回収ロールが装着されたダイシング装置は、処理後の基板FSを電子デバイス(デバイス形成領域である露光領域W)毎に分割(ダイシング)する。これにより、複数の枚葉になった電子デバイスが形成される。なお、基板FSの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺方向)の寸法が10m以上である。なお、基板FSの寸法は、上記した寸法に限定されない。

0021

次に、露光装置EXについて詳しく説明する。露光装置EXは、温調チャンバーECVを有している。この温調チャンバーECVは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板FSの温度による形状変化を抑制する。温調チャンバーECVは、パッシブまたはアクティブ防振ユニットSU1、SU2を介して製造工場の設置面Eに配置される。防振ユニットSU1、SU2は、設置面Eからの振動を低減する。この設置面Eは、工場床面自体であってもよいし、水平面を出すために床面上に設置される設置土台ペデスタル)上の面であってもよい。露光装置EXは、温調チャンバーECV内に、基板搬送機構12と、光源装置(パルス光源装置)14と、露光ヘッド16と、制御装置18と、複数のアライメント顕微鏡ALGm(m=1、2、3、4)と、複数のエンコーダENja、ENjb(j=1、2、3)とを少なくとも備えている。制御装置18は、露光装置EXの各部を制御するものである。この制御装置18は、コンピュータプログラムが記録された記録媒体等とを含み、該コンピュータがプログラムを実行することで、本実施の形態の制御装置18として機能する。

0022

基板搬送機構12は、プロセス装置PR1から搬送される基板FSを、露光装置EX内で所定の速度で搬送した後、プロセス装置PR2に所定の速度で送り出す。この基板搬送機構12によって、露光装置EX内で搬送される基板FSの搬送路が規定される。基板搬送機構12は、基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)から順に、エッジポジションコントローラEPC、駆動ローラニップローラ)R1、テンション調整ローラRT1、回転ドラム(円筒ドラムステージ)DR、テンション調整ローラRT2、および、駆動ローラ(ニップローラ)R2、R3を有している。プロセス装置PR1からの搬送されてきた基板FSは、エッジポジションコントローラEPC内のローラ、駆動ローラR1〜R3、回転ドラムDR、および、テンション調整ローラRT1、RT2に掛け渡されて、プロセス装置PR2に向かって搬送される。

0023

エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置PR1から搬送される基板FSの幅方向(Y方向であって基板FSの短尺方向)における位置を調整する。つまり、エッジポジションコントローラEPCは、所定のテンションが掛けられた状態で搬送されている基板FSの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲(許容範囲)に収まるように、基板FSの幅方向における位置を調整する。エッジポジションコントローラEPCは、所定のテンションが掛けられた状態で基板FSが掛け渡されるローラと、基板FSの幅方向の端部(エッジ)の位置を検出する図示しないエッジセンサ端部検出部)とを有する。エッジポジションコントローラEPCは、前記エッジセンサが検出した検出信号に基づいて、エッジポジションコントローラEPCの前記ローラをY方向に移動させて、基板FSの幅方向における位置を調整する。駆動ローラR1は、エッジポジションコントローラEPCから搬送される基板FSの表裏両面を保持しながら回転し、基板FSを回転ドラムDRへ向けて搬送する。なお、エッジポジションコントローラEPCは、回転ドラムDRに巻き付く基板FSの長尺方向が、回転ドラムDRの中心軸AXoに対して常に直交するように前記ローラをY方向に移動させて基板FSの幅方向における位置を適宜調整する。エッジポジションコントローラEPCは、基板FSの進行方向における傾き誤差補正するように、エッジポジションコントローラEPCの前記ローラの回転軸と中心軸AXoとの平行度を適宜調整してもよい。

0024

回転ドラムDRは、Y方向に延びるとともに重力が働く方向(Z方向)と交差した方向に延びた中心軸AXoと、中心軸AXoから一定半径円筒状の外周面とを有する円筒状のドラムステージである。回転ドラムDRは、この外周面(円周面)に倣って基板FSの一部を長尺方向に円筒面状湾曲させて支持(保持)しつつ、中心軸AXoを中心に回転して基板FSを+X方向に搬送する。回転ドラムDRは、露光ヘッド16からのビームLB(スポット光SP)が投射される基板FS上の領域(部分)をその外周面で支持する。回転ドラムDRは、電子デバイスが形成される面(感光面が形成された側の面)とは反対側の面(裏面)側から長尺方向に基板FSを支持(密着保持)する。回転ドラムDRのY方向の両側には、回転ドラムDRが中心軸AXoの周りを回転するように環状のベアリングで支持されたシャフトSftが設けられている。このシャフトSftは、制御装置18によって制御される図示しない回転駆動源(例えば、モータ減速機構等)からの回転トルクが与えられることで中心軸AXo回りに一定の回転速度で回転する。なお、便宜的に、中心軸AXoを含み、YZ平面と平行な平面を中心面Pocと呼ぶ。

0025

駆動ローラR2、R3は、基板FSの搬送方向(+X方向)に沿って所定の間隔を空けて配置されおり、露光後の基板FSに所定の弛み(あそび)を与えている。駆動ローラR2、R3は、駆動ローラR1と同様に、基板FSの表裏両面を保持しながら回転し、基板FSをプロセス装置PR2へ向けて搬送する。テンション調整ローラRT1、RT2は、−Z方向に付勢されており、回転ドラムDRに巻き付けられて支持されている基板FSに長尺方向に所定のテンションを与えている。これにより、回転ドラムDRにかかる基板FSに付与される長尺方向のテンションを所定の範囲内に安定化させている。制御装置18は、図示しない回転駆動源(例えば、モータや減速機構等)を制御することで、駆動ローラR1〜R3を回転させる。なお、駆動ローラR1〜R3の回転軸、および、テンション調整ローラRT1、RT2の回転軸は、原則として回転ドラムDRの中心軸AXoと平行している。

0026

光源装置14は、光源パルス光源)を有し、パルス状のビーム(パルスビームパルス光レーザ)LBを射出するものである。このビームLBは、370nm以下の波長帯域ピーク波長を有する紫外線光であり、ビーム(パルス光)LBの発光周波数発振周波数)をFeとする。光源装置14が射出したビームLBは、露光ヘッド16に入射する。光源装置14は、制御装置18の制御にしたがって、発光周波数FeでビームLBを発光して射出する。光源装置14として、赤外波長域のパルス光を発生する半導体レーザ素子、その赤外波長域のパルス光を増幅するファイバー増幅器、増幅された赤外波長域のパルス光を紫外波長域のパルス光に変換する波長変換素子高調波発生素子)等で構成されるファイバーアンプレーザ光源を用いてもよい。その場合、発振周波数Feが数百MHzで、1パルス光の発光時間がピコ秒程度高輝度な紫外線のパルス光を得ることができる。なお、光源装置14は、パルス状のビームLBを射出するものとしたが、連続発光するビームを射出する光源(CWレーザ紫外LED等)としてもよい。

0027

露光ヘッド16は、光源装置14からのビームLBがそれぞれ入射する複数の走査ユニットMDn(n=1、2、・・・、6)を備えている。露光ヘッド16は、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によって、回転ドラムDRの外周面で支持されている基板FSの一部分にスポット光SPを照射しつつ、そのスポット光SPをY方向に走査する。これにより、基板FSの被照射面上(基板FS上)に所定のパターンが描画される。露光ヘッド16は、同一構成の複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)を配列した、いわゆるマルチビーム型の露光ヘッドとなっている。各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、光源装置14からのビームを用いて基板FS上にパターンを描画する。なお、以下、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射する光源装置14からのビームLBをLBn(LB1〜LB6)で表す場合がある。したがって、走査ユニットMD1に入射するビームLBnはLB1で表され、同様に、走査ユニットMD2〜MD6に入射するビームLBnはLB2〜LB6で表される。

0028

図2にも示すように、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、所定の配置関係で配置されている。複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、中心面Pocを挟んで基板FSの搬送方向(X方向)に2列に千鳥配列で配置される。奇数番の走査ユニットMD1、MD3、MD5は、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)に配置され、且つ、Y方向に沿って所定の間隔をあけて1列に配置されている。偶数番の走査ユニットMD2、MD4、MD6は、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の下流側(+X方向側)に配置され、且つ、Y方向に沿って所定の間隔をあけて1列に配置されている。奇数番の走査ユニットMD1、MD3、MD5と、偶数番の走査ユニットMD2、MD4、MD6とは、中心面Pocに対して対称に設けられている。

0029

各走査ユニット(走査モジュール)MDn(MD1〜MD6)は、光源装置14からのビームLBn(LB1〜LB6)を基板FSに向けて投射しつつ、投射したビームLBn(LB1〜LB6)を基板FSの被照射面上でスポット光SPに収斂する。また、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、その基板FS上で収斂したスポット光SPを、回転するポリゴンミラーPM(図5参照)によって1次元(Y方向)に走査する。各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の回転したポリゴンミラーPMによって、基板FSの被照射面上でビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPが主走査方向(Y方向)に1次元に走査され、1ライン分のパターンが描画される直線的な描画ライン(走査線)SLn(SL1〜SL6)が基板FSの被照射面上に規定される。描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、基板FS上に照射されたビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPの走査軌跡を示すものである。走査ユニットMDnの構成については、後で詳しく説明する。

0030

走査ユニットMD1は、ビームLB1のスポット光SPを描画ラインSL1に沿って主走査方向(Y方向)に走査し、同様に、走査ユニットMD2〜MD6は、ビームLB2〜LB6のスポット光SPを描画ラインSL2〜SL6に沿って主走査方向(Y方向)に走査する。複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の各々の描画ライン(走査線)SLn(SL1〜SL6)は、図2図3に示すように、Y方向(基板FSの幅方向、走査方向)に関して互いに分離することなく、継ぎ合わされるように設定されている。この各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射するビームLBn(LB1〜LB6)は、所定の方向に偏光した直線偏光P偏光またはS偏光)のビームであり、本実施の形態では、P偏光のビームが入射するものとする。

0031

図2図3に示すように、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の全部で露光領域Wの幅方向の全てをカバーするように、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は走査領域を分担している。これにより、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、基板FSの幅方向に分割された複数の領域毎にパターンを描画することができる。例えば、1つの走査ユニットMDnによるY方向の走査幅(描画ラインSLnの長さ)を20〜60mm程度とすると、奇数番の走査ユニットMD1、MD3、MD5の3個と、偶数番の走査ユニットMD2、MD4、MD6の3個との計6個の走査ユニットMDnをY方向に配置することによって、描画可能なY方向の幅を120〜360mm程度に広げている。各描画ラインSLn(SL1〜SL6)の長さ(走査長)は、原則として同一とする。つまり、描画倍率初期値倍率補正なし)の場合に、描画ラインSL1〜SL6の各々に沿って走査されるビームLB1〜LB6のスポット光SPの走査距離は同一とする。なお、露光領域Wの幅を広くしたい場合は、描画ラインSLn自体の長さを長くするか、Y方向に配置する走査ユニットMDnの数を増やすことで対応することができる。

0032

なお、実際の各描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、スポット光SPが被照射面上を実際に走査可能な最大の長さ(最大走査長)よりも僅かに短く設定される。例えば、主走査方向(Y方向)の描画倍率が初期値(倍率補正無し)の場合にパターン描画可能な描画ラインSLnの走査長を30mmとすると、スポット光SPの被照射面上での最大走査長は、描画ラインSLnの走査開始点描画開始点)側と走査終了点描画終了点)側の各々に0.5mm程度の余裕を持たせて、31mm程度に設定されている。このように設定することによって、スポット光SPの最大走査長31mmの範囲内で、30mmの描画ラインSLnの位置を主走査方向にシフト(微調整)したり、描画倍率を微調整したりすることが可能となる。スポット光SPの最大走査長は31mmに限定されるものではなく、主に走査ユニットMDn内のポリゴンミラーPMの後に設けられるfθレンズFT(図5参照)の口径および位置等によって決まる。

0033

複数の描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、中心面Pocを挟んで、回転ドラムDRの周方向に2列に千鳥配列で配置される。奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5は、中心面Pocに対して回転ドラムDRに巻き付けられた基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)の被照射面上に位置する。偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6は、中心面Pocに対して回転ドラムDRに巻き付けられた基板FSの搬送方向の下流側(+X方向側)の被照射面上に位置する。描画ラインSL1〜SL6は、基板FSの幅方向(Y方向)、つまり、回転ドラムDRの中心軸AXoに沿って略平行となっている。

0034

描画ラインSL1、SL3、SL5は、基板FSの幅方向(走査方向)に沿って所定の間隔を空けて直線上に1列に配置されている。描画ラインSL2、SL4、SL6も同様に、基板FSの幅方向(走査方向)に沿って所定の間隔を空けて直線上に1列に配置されている。このとき、描画ラインSL2は、基板FSの幅方向において、描画ラインSL1と描画ラインSL3との間に配置される。同様に、描画ラインSL3は、基板FSの幅方向において、描画ラインSL2と描画ラインSL4との間に配置にされる。描画ラインSL4は、基板FSの幅方向において、描画ラインSL3と描画ラインSL5との間に配置され、描画ラインSL5は、基板FSの幅方向において、描画ラインSL4と描画ラインSL6との間に配置される。

0035

奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の各々に沿って走査されるビームLB1、LB3、LB5のスポット光SPの走査方向は、一次元の方向となっており、−Y方向となっている。偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6の各々に沿って走査されるビームLB2、LB4、LB6のスポット光SPの走査方向は、一次元の方向となっており、+Y方向となっている。したがって、描画ラインSL1、SL3、SL5に沿って走査されるスポット光SPの走査方向と、描画ラインSL2、SL4、SL6に沿って走査されるスポット光SPの走査方向とは互いに逆方向となっている。これにより、描画ラインSL1、SL3、SL5の各々で描画されたパターンの描画開始点側の端部と、描画ラインSL2、SL4、SL6の各々で描画されたパターンの描画開始点側の端部とはY方向に関してぴったり隣接、または予め決められた長さ(例えば、スポット光SPの寸法、または数μm〜数十μm)で重複して継ぎ合わされる。また、描画ラインSL3、SL5の各々で描画されたパターンの描画終了点側の端部と、描画ラインSL2、SL4の各々で描画されたパターンの描画終了点側の端部とはY方向に関して互いにぴったり隣接、または予め決められた長さで重複する。なお、Y方向に隣り合う描画ラインSLnによって描画されるパターンの端部同士を一部重複させる長さ(予め決められた長さ)は、例えば、各描画ラインSLnの長さに対して、描画開始点または描画終了点を含んでY方向に数%以下の範囲であってもよい。このように、描画ラインSLnをY方向に継ぎ合わせるとは、描画ラインSLnで描画されたパターンの端部同士を隣接または一部(予め決められた長さ)重複させることを意味する。

0036

この描画ラインSLnの副走査方向の幅(X方向の寸法)は、スポット光SPのサイズ(直径)φに応じた太さである。例えば、スポット光SPのサイズφが3μmの場合は、各描画ラインSLnの副走査方向の幅も3μmとなる。スポット光SPは、所定の長さ(例えば、スポット光SPのサイズφの半分)だけオーバーラップするように、描画ラインSLnに沿って照射されてもよい。また、Y方向に隣り合う描画ラインSLn(例えば、描画ラインSL1と描画ラインSL2)同士を互いに継ぐ場合も、所定の長さ(例えば、スポット光SPのサイズφの半分)だけオーバーラップさせるのがよい。なお、スポット光SPの実効的なサイズφは、スポット光SPの強度分布ガウス分布近似される場合は、スポット光SPのピーク強度の1/e2(または半値全幅1/2)で決まる。

0037

本実施の形態の場合、光源装置14からのビームLB(LBn)がパルス光であるため、主走査の間に描画ラインSLn上に投射されるスポット光SPは、ビームLB(LBn)の発振周波数Feに応じて離散的になる。そのため、ビームLB(LBn)の1パルス光によって投射されるスポット光SPと次の1パルス光によって投射されるスポット光SPとを、主走査方向にオーバーラップさせる必要がある。そのオーバーラップの量は、スポット光SPのサイズφ、スポット光SPの走査速度Vs、ビームLB(LBn)の発振周波数Feによって設定されるが、本実施の形態では、φ/2程度とする。したがって、副走査方向(描画ラインSLnと直交した方向)に関しても、描画ラインSLnに沿ったスポット光SPの1回の走査と、次の走査との間で、基板FSがスポット光SPの実効的なサイズφの略1/2以下の距離だけ移動するように設定することが望ましい。また、基板FS上の感光性機能層への露光量の設定は、ビームLB(LBn)のピーク値の調整で可能であるが、ビームLB(LBn)の強度を上げられない状況で露光量を増大させたい場合は、スポット光SPの主走査方向の走査速度Vsの低下、ビームLB(LBn)の発振周波数Feの増大、或いは基板FSの副走査方向の搬送速度Vtの低下等のいずれかによって、スポット光SPの主走査方向または副走査方向に関するオーバーラップ量を実効的なサイズφの1/2以上に増加させればよい。スポット光SPの主走査方向の走査速度Vsは、ポリゴンミラーPMの回転数(回転速度Vp)に比例して速くなる。

0038

各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、少なくともXZ平面において、ビームLBn(LB1〜LB6)が基板FSの被照射面に対して垂直となるように、ビームLBn(LB1〜LB6)を基板FSに向けて照射する。つまり、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、XZ平面において、回転ドラムDRの中心軸AXoに向かって進むように、すなわち、被照射面の法線と平行となるように、ビームLBn(LB1〜LB6)を基板FSに対して照射(投射)する。また、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、描画ラインSLn(SL1〜SL6)に照射するビームLBn(LB1〜LB6)が、YZ平面と平行な面内では基板FSの被照射面に対して垂直となるように、ビームLBn(LB1〜LB6)を基板FSに向けて照射する。すなわち、被照射面でのスポット光SPの主走査方向に関して、基板FSに投射されるビームLBn(LB1〜LB6)はテレセントリックな状態で走査される。ここで、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によって規定される所定の描画ラインSLn(SL1〜SL6)の特定点(例えば、中点)を通って基板FSの被照射面と垂直な線(または光軸とも呼ぶ)を、照射中心軸Len(Le1〜Le6)と呼ぶ(図2参照)。したがって、描画ラインSLnの特定点を通るように各走査ユニットMDnから基板FSの被照射面上に投射されるビームLBnは、照射中心軸Lenと同軸となる。

0039

この各照射中心軸Len(Le1〜Le6)は、XZ平面において、描画ラインSLn(SL1〜SL6)と中心軸AXoとを結ぶ線となっている。奇数番の走査ユニットMD1、MD3、MD5の各々の照射中心軸Le1、Le3、Le5は、XZ平面において同じ方向となっている。奇数番の走査ユニットMD2、MD4、MD6の各々の照射中心軸Le2、Le4、Le6は、XZ平面において同じ方向となっている。また、XZ平面において、照射中心軸Le1、Le3、Le5と照射中心軸Le2、Le4、Le6とは、中心面Pocに対しての角度が±θ1となるように設定されている(図1図2参照)。

0040

図1に示したアライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、図3に示すように、基板FSの形成された複数のアライメント用のマークMKm(m=1、2、3、4)の位置情報マーク位置情報)を検出するためのものであり、Y方向に沿って設けられている。マークMKm(MK1〜MK4)は、基板FSの被照射面上の露光領域Wに描画される所定のパターンと、基板FSとを相対的に位置合わせする(アライメントする)ための基準マークである。複数のアライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、回転ドラムDRの円周面で支持されている基板FS上で、複数のマークMKm(MK1〜MK4)の位置情報を検出するためにマークMKm(MK1〜MK4)を撮像する。アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、露光ヘッド16によるスポット光SPの基板FS上の被照射領域(描画ラインSL1〜SL6)よりも基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)に設けられている。

0041

アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、アライメント用の照明光を基板FSに投射する光源と、基板FSの表面のマークMKm(MK1〜MK4)を含む観察領域Vwm(Vw1〜Vw4)の拡大像を得る観察光学系対物レンズを含む)と、その拡大像を基板FSが搬送方向に移動している間に高速シャッターで撮像するCCD、CMOS等の撮像素子とを有する。各アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)が撮像した撮像信号は制御装置18に送られる。制御装置18は、撮像信号の画像解析と、撮像した瞬間の回転ドラムDRの回転位置の情報(後述するエンコーダEN1a、EN1bによって計測される情報)とに基づいて、基板FS上のマークMKm(MK1〜MK4)の位置情報を検出する。なお、アライメント用の照明光は、基板FS上の感光性機能層に対してほとんど感度を持たない波長域の光、例えば、波長500〜800nm程度の光である。

0042

複数のマークMKm(MK1〜MK4)は、各露光領域Wの周りに設けられている。マークMK1、MK4は、露光領域Wの基板FSの幅方向の両側に、基板FSの長尺方向に沿って一定の間隔Dhで複数形成されている。マークMK1は、基板FSの幅方向の−Y方向側に、マークMK4は、基板FSの幅方向の+Y方向側にそれぞれ形成されている。このようなマークMK1、MK4は、基板FSが大きなテンションを受けたり、熱プロセスを受けたりして変形していない状態では、基板FSの長尺方向(X方向)に関して同一位置になるように配置される。さらに、マークMK2、MK3は、マークMK1とマークMK4の間であって、露光領域Wの+X方向側と−X方向側との余白部に基板FSの幅方向(短尺方向)に沿って形成されている。マークMK2は、基板FSの幅方向の−Y方向側に、マークMK3は、基板FSの+Y方向側に形成されている。さらに、基板FSの−Y方向側の端部に配列されるマークMK1と余白部のマークMK2とのY方向の間隔、余白部のマークMK2とマークMK3とのY方向の間隔、および、基板FSの+Y方向側の端部に配列されるマークMK4と余白部のマークMK3とのY方向の間隔は、いずれも同じ距離に設定されている。これらのマークMKm(MK1〜MK4)は、第1層のパターン層の形成の際に一緒に形成されてもよい。例えば、第1層のパターンを露光する際に、パターンが露光される露光領域Wの周りにマークMKm用のパターンも一緒に露光してもよい。なお、マークMKmは、露光領域W内に形成されてもよい。例えば、露光領域W内であって、露光領域Wの輪郭に沿って形成されてもよい。また、露光領域W内に形成される電子デバイスのパターン中の特定位置のパターン部分、或いは特定形状の部分をアライメント用のマークMKmとして利用してもよい。

0043

なお、図3では、露光領域Wが変形していない状態時における複数のマークMKm(MK1〜MK4)の配列を示している。したがって、大きなテンションを受けたり、熱プロセスの影響を受けたりして基板FSが変形して露光領域Wが変形した(歪んだ)場合は、複数のマークMKm(MK1〜MK4)の基板FSに対する配列も変形する(歪む)ことになる。

0044

複数のアライメント顕微鏡ALG1〜ALG4は、複数のマークMK1〜MK4の位置に対応して、基板FSの−Y方向側からALG1〜ALG4の順で設けられている。具体的には、アライメント顕微鏡ALG1は、基板FSの幅方向に関して(Y方向に関して)、対物レンズによる観察領域(検出領域)Vw1内にマークMK1が位置するように配置される。同様に、アライメント顕微鏡ALG2〜ALG4は、基板FSの幅方向(Y方向に関して)、対物レンズによる観察領域Vw2〜Vw4内にマークMK2〜MK4が位置するように配置される。複数のアライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、X方向に関して、露光位置(描画ラインSL1〜SL6)とアライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)の観察領域Vwm(Vw1〜Vw4)との距離が、露光領域WのX方向の長さよりも短くなるように設けられている。なお、Y方向に設けられるアライメント顕微鏡ALGmの数は、基板FSの幅方向に形成されるマークMKmの数に応じて変更可能である。また、観察領域Vwmの基板FSの被照射面上の大きさは、マークMKmの大きさやアライメント精度位置計測精度)に応じて設定されるが、100〜500μm角程度の大きさである。

0045

図1図2に示すように、回転ドラムDRの両端部には、回転ドラムDRの外周面の周方向の全体に亘って環状に形成された目盛を有するスケール部SDa、SDbが設けられている。このスケール部SDa、SDbは、回転ドラムDRの外周面の周方向に一定のピッチ(例えば、20μm)で凹状または凸状の格子線刻設した回折格子であり、インクリメンタル型スケールとして構成される。このスケール部SDa、SDbは、中心軸AXo回りに回転ドラムDRと一体に回転する。このスケール部SDa、SDbと対向するように、複数のエンコーダヘッド(スケール読取ヘッド)ENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)が設けられている。このエンコーダヘッド(以下、単にエンコーダとも呼ぶ)ENja、ENjbは、回転ドラムDRの回転位置を光学的に検出するものである。回転ドラムDRの−Y方向側の端部に設けられたスケール部SDaに対向して、3つのエンコーダENja(EN1a〜EN3a)が設けられ、回転ドラムDRの+Y方向側の端部に設けられたスケール部SDbに対向して、3つのエンコーダENjb(EN1b〜EN3b)が設けられている。エンコーダEN1a、EN1bは、回転ドラムDRの回転方向(X方向)に関して同一位置に配置されている。同様に、エンコーダEN2a、EN2b、および、エンコーダEN3a、EN3bも回転ドラムDRの回転方向(X方向)に関して同一位置に配置されている。

0046

エンコーダENja、ENjbは、スケール部SDa、SDbに向けて計測用光ビームを投射し、その反射光束回折光)を光電検出することにより、スケール部SDa、SDbの目盛(回折格子)の周方向の位置変化に応じた検出信号(sin波とcos波の2相信号)を制御装置18に出力する。制御装置18は、その検出信号を不図示の内挿処理回路とデジタルカウンタ回路デジタル化することにより、回転ドラムDRの回転角度位置および角度変化、或いは基板FSの移動量をサブミクロン分解能で計測することができる。このカウンタ回路は、各エンコーダENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)の検出信号をそれぞれ個別にカウントする。制御装置18は、回転ドラムDRの角度変化から、基板FSの搬送速度も計測することができる。各エンコーダENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)のそれぞれに対応した前記カウンタ回路は、エンコーダENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)によってスケール部SDa、SDbの周方向の一ヶ所に形成された原点マーク原点パターンZZ図2参照)が検出されると、原点マークZZを検出したエンコーダENja、ENjbに対応するカウンタ回路のカウント値を0にリセットする。

0047

エンコーダEN1a、EN1bは、XZ平面に関して、設置方位線Lx1上に配置されている。設置方位線Lx1は、XZ平面に関して、エンコーダEN1a、EN1bの計測用の光ビームのスケール部SDa、SDbへの投射位置(読取位置)と、中心軸AXoとを結ぶ線となっている。したがって、エンコーダEN1a、EN1bによって検出された検出信号に基づくカウント値は、設置方位線Lx1から見た回転ドラムDRの回転角度位置を表していることになる。また、設置方位線Lx1は、XZ平面において、各アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)の観察領域Vwm(Vw1〜Vw4)と中心軸AXoとを結ぶ線となっている。つまり、各アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)は、XZ平面において、設置方位線Lx1上に配置されている。

0048

エンコーダEN2a、EN2bは、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)に設けられており、且つ、エンコーダEN1a、EN1bより基板FSの搬送方向の下流側(+X方向側)に設けられている。エンコーダEN2a、EN2bは、XZ平面に関して、設置方位線Lx2上に配置されている。設置方位線Lx2は、XZ平面に関して、エンコーダEN2a、EN2bの計測用の光ビームのスケール部SDa、SDb上への投射位置(読取位置)と、中心軸AXoとを結ぶ線となっている。したがって、エンコーダEN2a、EN2bによって検出された検出信号に基づくカウント値は、設置方位線Lx2から見た回転ドラムDRの回転角度位置を表していることになる。この設置方位線Lx2は、XZ平面に関して、照射中心軸Le1、Le3、Le5と同角度位置となって重なっている。

0049

エンコーダEN3a、EN3bは、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の下流側(+X方向側)に設けられている。エンコーダEN3a、EN3bは、XZ平面に関して、設置方位線Lx3上に配置されている。設置方位線Lx3は、XZ平面に関して、エンコーダEN3a、EN3bの計測用の光ビームのスケール部SDa、SDb上への投射位置(読取位置)と、中心軸AXoとを結ぶ線となっている。したがって、エンコーダEN3a、EN3bによって検出された検出信号に基づくカウント値は、設置方位線Lx3から見た回転ドラムDRの回転角度位置を表していることになる。この設置方位線Lx3は、XZ平面に関して、照射中心軸Le2、Le4、Le6と同角度位置となって重なっている。設置方位線Lx2と設置方位線Lx3とは、XZ平面において、中心面Pocに対して角度が±θ1となるように設定されている(図1図2参照)。

0050

ところで、基板FSは、回転ドラムDRの両端のスケール部SDa、SDbより内側に巻き付けられている。図1では、スケール部SDa、SDbの外周面の中心軸AXoからの半径を、回転ドラムDRの外周面の中心軸AXoからの半径より小さく設定した。しかしながら、図2に示すように、スケール部SDa、SDbの外周面を、回転ドラムDRに巻き付けられた基板FSの外周面と同一面となるように設定してもよい。つまり、スケール部SDa、SDbの外周面の中心軸AXoからの半径(距離)と、回転ドラムDRに巻き付けられた基板FSの外周面(被照射面)の中心軸AXoからの半径(距離)とが同一となるように設定してもよい。これにより、各エンコーダENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)は、回転ドラムDRに巻き付いた基板FSの被照射面と同じ径方向の位置でスケール部SDa、SDbを検出することができる。したがって、エンコーダENja、ENjbによる計測位置と処理位置(描画ラインSL1〜SL6)とが回転ドラムDRの径方向で異なることで生じるアッベ誤差を小さくすることができる。

0051

ただし、被照射体としての基板FSの厚さは十数μm〜数百μmと大きく異なるため、スケール部SDa、SDbの外周面の半径と、回転ドラムDRに巻き付けられた基板FSの外周面の半径とを常に同一にすることは難しい。そのため、図2に示したスケール部SDa、SDbの場合、その外周面(スケール面)の半径は、回転ドラムDRの外周面の半径と一致するように設定される。さらに、スケール部SDa、SDbを個別の円盤で構成し、その円盤(スケール円盤)を回転ドラムDRのシャフトSftに同軸に取り付けることも可能である。その場合も、アッベ誤差が許容値内に収まる程度に、スケール円盤の外周面(スケール面)の半径と回転ドラムDRの外周面の半径とを揃えておくのがよい。

0052

回転ドラムDRの周回方向の1ヶ所に付設された原点マークZZに対する各設置方位線Lx1、Lx2、Lx3における回転ドラムDRの回転角度位置が同一の場合は、エンコーダEN1a、EN1bに対応したカウンタ回路のカウント値と、エンコーダEN2a、EN2bに対応したカウンタ回路のカウント値と、エンコーダEN3a、EN3bに対応したカウンタ回路のカウント値とは同一となる。そのため、制御装置18は、エンコーダEN1a、EN1bに基づくカウント値、エンコーダEN2a、EN2bに基づくカウント値、および、エンコーダEN3a、EN3bに基づくカウント値に基づいて、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によるスポット光SPの走査開始タイミングを制御することができる。

0053

具体的には、制御装置18は、複数のアライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)およびエンコーダEN1a、EN1bを用いて検出した基板FS上のマークMKm(MK1〜MK4)の位置情報に基づいて、基板FSの長尺方向(X方向)における露光領域Wの描画露光の開始位置を決定する。そのときのエンコーダEN1a、EN1bに基づくカウント値を、例えば、100とする。この場合は、エンコーダEN2a、EN2bに基づくカウント値が100になると、基板FSの長尺方向における露光領域Wの描画露光の開始位置が描画ラインSL1、SL3、SL5上に位置することになる。したがって、制御装置18は、エンコーダEN2a、EN2bに基づくカウント値が100になると、走査ユニットMD1、MD3、MD5によるスポット光SPの走査を開始する。また、エンコーダEN3a、EN3bに基づくカウント値が100になると、基板FSの長尺方向における露光領域Wの描画露光の開始位置が描画ラインSL2、SL4、SL6上に位置することになる。したがって、制御装置18は、エンコーダEN3a、EN3bに基づくカウント値が100になると、走査ユニットMD2、MD4、MD6によるスポット光SPの走査を開始する。

0054

なお、エンコーダEN1a、EN1bに基づくカウント値(計数値)とは、エンコーダEN1a、EN1bによって検出された検出信号に基づいてカウンタ回路で計数されるカウント値の一方、若しくは、2つのカウント値の平均値を意味する。同様に、エンコーダEN2a、EN2bに基づくカウント値(計数値)とは、エンコーダEN2a、EN2bによって検出された検出信号に基づいてカウンタ回路で計数されるカウント値の一方、若しくは、2つのカウント値の平均値を意味し、エンコーダEN3a、EN3bに基づくカウント値(計数値)とは、エンコーダEN3a、EN3bによって検出された検出信号に基づいてカウンタ回路で計数されるカウント値の一方、若しくは、2つのカウント値の平均値を意味する。回転ドラムDRの製造誤差等によって回転ドラムDRが中心軸AXoに対して偏心して回転している場合等を除き、原則として、エンコーダEN1aによって検出された検出信号に基づいて計数されたカウント値と、エンコーダEN1bによって検出された検出信号に基づいて計数されたカウント値とは同一となる。このことは、エンコーダEN2a、EN2b、エンコーダEN3a、EN3bについても同様である。

0055

図4は、露光装置EXの要部拡大図である。露光装置EXは、複数の光導入光学系BDUn(n=1、2、・・・、6)と、本体フレームUBとをさらに備える。複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)は、光源装置14からのビームLB(LBn)を複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に導く。光導入光学系BDU1は、ビームLB1を走査ユニットMD1に導き、同様に、光導入光学系BDU2〜BDU6は、ビームLB2〜LB6を走査ユニットMD2〜MD6に導く。各光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)は、ビームLBn(LB1〜LB6)の光軸が照射中心軸Len(Le1〜Le6)と同軸となるように、ビームLBn(LB1〜LB6)を対応する走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に射出する。つまり、光導入光学系BDU1から走査ユニットMD1に入射するビームLB1は、照射中心軸Le1と同軸となる。同様に、光導入光学系BDU2〜BDU6から走査ユニットMD2〜MD6に入射するビームLB2〜LB6は、照射中心軸Le2〜Le6と同軸となる。なお、光源装置14からのビームLBは、ビームスプリッタ或いはスイッチング用の光偏向器(例えば、音響光学変調器)等の光学部材によって、各光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)に分岐して入射、或いは選択的に入射される。

0056

複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)は、複数の描画用光学素子AOMn(n=1、2、・・・、6)を有する。複数の描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)は、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に導くビームLBn(LB1〜LB6)の強度をパターンデータに応じて高速に変調(オン/オフ)する。光導入光学系BDU1は、描画用光学素子AOM1を有し、同様に、光導入光学系BDU2〜BDU6は、描画用光学素子AOM2〜AOM6を有する。描画用光学素子AOMnは、ビームLBに対して透過性を有する音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator)である。描画用光学素子AOMnは、超音波信号高周波信号)を用いることで、入射した光源装置14からのビームLBを高周波周波数に応じた回折角回折させて、ビームLBの光路、つまり、進行方向を変える。描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)は、制御装置18からの高周波信号である駆動信号のオン/オフにしたがって、入射したビームLBを回折させた1次回折光(ビームLBn)の発生をオン/オフする。

0057

描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)は、制御装置18からの駆動信号(高周波信号)がオフの状態のときは、入射した光源装置14からのビームLBを回折させずに透過することで、光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)内に設けられた図示しない吸収体にビームLBを導く。この吸収体は、ビームLBの外部への漏れを抑制するためのビームLBを吸収する光トラップである。したがって、駆動信号がオフの状態のときは、描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)を透過したビーム(0次光、0次ビーム)LBは、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射しない。つまり、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内を通るビームLBn(LB1〜LB6)の強度は低レベル(ゼロ)になる。このことは、基板FSの被照射面上で見ると、被照射面上に照射されるビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPの強度が低レベル(ゼロ)に変調されていることを意味する。

0058

一方、描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)は、制御装置18からの駆動信号(高周波信号)がオンの状態のときは、入射したビームLBを回折させた1次回折光を発生し、1次回折光であるビームLBn(LB1〜LB6)を走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に導く。したがって、駆動信号がオンの状態のときは、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内を通るビームLBn(LB1〜LB6)の強度が高レベルになる。このことは、基板FSの被照射面上で見ると、被照射面上に照射されるビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPの強度が高レベルに変調されていることを意味する。このように、オン/オフの駆動信号を描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)に印加することで、描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)をオン/オフにスイッチングすることができる。

0059

制御装置18は、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によって描画されるパターンに応じたパターンデータに基づいて、各描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)に印加する駆動信号(高周波信号)をオン/オフする。パターンデータは、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)毎に設けられている。パターンデータは、図示しないメモリに記憶されている。

0060

ここで、パターンデータについて簡単に説明すると、パターンデータは、各走査ユニットMDnによって描画されるパターンを、スポット光SPのサイズφに応じて設定される寸法Pxyの画素によって分割し、複数の画素の各々を前記パターンに応じた論理情報(画素データ)で表したものである。つまり、パターンデータは、スポット光SPの走査方向(主走査方向、Y方向)に沿った方向を行方向とし、基板FSの搬送方向(副走査方向、X方向)に沿った方向を列方向とするように2次元に分解された複数の画素の論理情報で構成されているビットマップデータである。この画素の論理情報は、「0」または「1」の1ビットのデータである。「0」の論理情報は、基板FS上に照射するスポット光SPの強度を低レベルにすることを意味し、「1」の論理情報は、基板FS上に照射するスポット光SPの強度を高レベルにすることを意味する。したがって、制御装置18は、画素の論理情報が「0」のときは、描画用光学素子AOMnに印加する駆動信号(高周波信号)をオフの状態にし、画素の論理情報が「1」のときは、描画用光学素子AOMnに印加する駆動信号(高周波信号)をオンの状態にする。

0061

パターンデータの1列分の画素は、1本分の描画ラインSLnに対応するものであり、1本の描画ラインSLnに沿って基板FSの被照射面に投射されるスポット光SPの強度が、1列分の画素の論理情報に応じて変調される。すなわち、描画ラインSLnとは、1列分の画素の論理情報によってスポット光SPが強度変調されて走査される、つまり、描画される走査線のことをいう。この1列分の画素の論理情報をシリアルデータDLnと呼ぶ。つまり、パターンデータは、1列目のシリアルデータDLn、2列目のシリアルデータDLn、・・・、等の複数のシリアルデータDLnが列方向に並んだビットマップデータである。走査ユニットMD1のシリアルデータDLnをDL1とし、同様に、走査ユニットMD2〜MD6のシリアルデータDLnをDL2〜DL6とする。シリアルデータDLn(DL1〜DL6)に基づく描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)の駆動を開始することで、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)による描画ラインSLn(SL1〜SL6)に沿ったスポット光SPの走査が開始される。つまり、シリアルデータDLn(DL1〜DL6)に基づいて描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)を駆動している期間中に、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)による描画ラインSLn(SL1〜SL6)に沿ったスポット光SPの走査が行われることになる。

0062

なお、1列分の画素の数(シリアルデータDLnの画素の数)は、被照射面上での画素の寸法と描画ラインSLnの長さとに応じて決まり、1画素の寸法はスポット光SPのサイズφによって決まる。上述したように、被照射面上で続けて照射されるスポット光SPをサイズφの1/2程度だけオーバーラップさせる場合は、1画素の寸法は、スポット光SPのサイズφと同程度、或いはそれ以上に設定される。スポット光SPの実効的なサイズφが3μmの場合は、1画素の寸法は3μm角程度、或いはそれ以上に設定される。例えば、1画素の寸法を3μm角にし、直径サイズφが3μmのスポット光SPをサイズφの1/2程度だけオーバーラップさせる場合は、2個のスポット光SPが1画素に対応する。したがって、パターンデータの1列分の画素の数は、描画ラインSLnに沿って投射されるスポット光SPの数(パルス数)の1/2倍となる。なお、より微細なパターンを描画するためには、スポット光SPの実効的なサイズφをより小さくして、1画素の寸法を小さく設定すればよい。

0063

本体フレームUBは、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)と複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)を保持する。本体フレームUBは、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)を保持する第1フレームUb1と、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)を保持する第2フレームUb2とを有する。第1フレームUb1は、第2フレームUb2によって保持された複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の上方(+Z方向)側で、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)を保持する。第1フレームUb1は、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)を下方(−Z方向)側から支持する。奇数番の光導入光学系BDU1、BDU3、BDU5は、第1フレームUb1によって奇数番の走査ユニットMD1、MD3、MD5の位置に対応した配置位置で支持されている。つまり、奇数番の光導入光学系BDU1、BDU3、BDU5は、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の上流側(−X方向側)で、Y方向に沿って所定の間隔をあけて1列に配置される。偶数番の光導入光学系BDU2、BDU4、BDU6は、第1フレームUb1によって偶数番の走査ユニットMD2、MD4、MD6の位置に対応した配置位置で支持されている。つまり、偶数番の光導入光学系BDU2、BDU4、BDU6は、中心面Pocに対して基板FSの搬送方向の下流側(+X方向側)で、Y方向に沿って所定の間隔をあけて1列に配置される。

0064

第1フレームUb1には、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)に対応して複数の開口部Hsn(Hs1〜Hs6)が設けられている。この複数の開口部Hsn(Hs1〜Hs6)によって、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)から射出されるビームLBn(LB1〜LB6)が第1フレームUb1によって遮られることなく、対応する走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射する。つまり、光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)から射出されるビームLBn(LB1〜LB6)は、開口部Hsn(Hs1〜Hs6)を通って、対応する走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射する。なお、第1フレームUb1は、複数の光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)を、上方(+Z方向)側から支持してもよく、側方(X方向)側から支持してもよい。

0065

第2フレームUb2は、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の各々が照射中心軸Len(Le1〜Le6)回りに回動(回転)できるように、複数の走査ユニットMDn(MD1〜MD6)を回動可能に保持する。各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)が照射中心軸Len(Le1〜Le6)回りに回動することによって、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)が回動した場合であっても、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に入射するビームLBn(LB1〜LB6)と走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内の光学的な部材との位置関係が変わることがない。したがって、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)が回動した場合であっても、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、ビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPを基板FSに投射しつつ、スポット光SPを規定された各描画ラインSLn(SL1〜SL6)に沿って走査することができる。この各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の回動によって、各描画ラインSLn(SL1〜SL6)が、基板FSの被照射面上で照射中心軸Len(Le1〜Le6)回りに回転する。これにより、各描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、Y軸(中心軸AXo)と平行な状態から傾くことになる。なお、この各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)の照射中心軸Len回りの回動は、制御装置18の制御の下、図示しないアクチュエータによって行われる。

0066

なお、走査ユニットMDnの照射中心軸Lenと、走査ユニットMDnが実際に回動する軸(回動中心軸)とが完全に一致しなくても、所定の許容範囲内で同軸であればよい。この所定の許容範囲は、例えば、走査ユニットMDnを所定の角度θsmだけ回動させたときの実際の描画ラインSLnの描画開始点(または描画終了点)と、照射中心軸Lenと回動中心軸とが完全に一致すると仮定したときの走査ユニットMDnを所定の角度θsmだけ回動させたときの設計上の描画ラインSLnの描画開始点(または描画終了点)との差分量が、スポット光SPの主走査方向に関して、所定の距離(例えば、スポット光SPのサイズφの直径)以内となるように設定されている。また、走査ユニットMDnに実際に入射するビームLBnの光軸が、走査ユニットMDnの回動中心軸と完全に一致しなくても、前記した所定の許容範囲内で同軸であればよい。

0067

図5は、走査ユニットMDnの構成を説明するための図である。各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)は、同一の構成を有することから、走査ユニットMD1を例に挙げて説明する。また、図5においては、XtYtZt直交座標系を用いて説明する。Zt方向は、照射中心軸Le1と平行する方向である。そして、Xt方向は、Zt方向と直交する平面上にあって、基板FSがプロセス装置PR1から露光装置EXを経てプロセス装置PR2に向かう方向であり、Yt方向は、Zt方向と直交する平面上にあって、Xt方向と直交する方向とする。つまり、XtYtZt直交座標系は、図1および図4のXYZ直交座標系を、Y軸を中心にZ軸が照射中心軸Le1と平行となるように回転させた3次元座標系である。

0068

図5に示すように、走査ユニットMD1内には、ビームLB1の入射位置から基板FSの被照射面までのビームLB1の進行方向に沿って、反射ミラーM10、ビームエキスパンダーBE、反射ミラーM11、偏光ビームスプリッタBS、反射ミラーM12、像シフト光学部材(平行平板)SR、偏向調整光学部材(プリズムDPフィールドアパーチャFA、反射ミラーM13、λ/4波長板QW、シリンドリカルレンズCYa、反射ミラーM14、ポリゴンミラーPM、fθレンズFT、反射ミラーM15、シリンドリカルレンズCYbが設けられる。さらに、走査ユニットMD1内には、基板FSの被照射面または回転ドラムDRからの反射光を偏光ビームスプリッタBSを介して検出するための光学レンズG10および光検出器DTが設けられる。

0069

走査ユニットMD1に入射するビームLB1は、−Zt方向に向けて進み、XtYt平面に対して45度傾いた反射ミラーM10に入射する。走査ユニットMD1に入射するビームLB1は、その光軸が照射中心軸Le1と同軸となるように反射ミラーM10に入射する。反射ミラーM10は、ビームLB1を受けて走査ユニットMD1内に入射させる入射光学部材として機能する。反射ミラーM10は、入射したビームLB1をXt軸と平行に設定される光軸AXaに沿って、反射ミラーM10から−Xt方向に離れた反射ミラーM11に向けて−Xt方向に反射する。したがって、光軸AXaは、XtZt平面と平行な面内で照射中心軸Le1と直交する。反射ミラーM10で反射したビームLB1は、光軸AXaに沿って配置されるビームエキスパンダーBEを透過して反射ミラーM11に入射する。ビームエキスパンダーBEは、透過するビームLB1の径を拡大させる。ビームエキスパンダーBEは、集光レンズBe1と、集光レンズBe1によって収斂された後に発散するビームLB1を平行光にするコリメートレンズBe2とを有する。

0070

反射ミラーM11は、YtZt平面に対して45度傾いて配置され、入射したビームLB1を、反射ミラーM11から−Yt方向に離れて配置された偏光ビームスプリッタBSに向けて−Yt方向に反射する。偏光ビームスプリッタBSの偏光分離面は、YtZt平面に対して45度傾いて配置されている。偏光ビームスプリッタBSは、P偏光のビームを反射し、P偏光と直交する方向に偏光した直線偏光(S偏光)のビームを透過する。走査ユニットMD1に入射するビームLB1は、P偏光のビームなので、偏光ビームスプリッタBSは、反射ミラーM11からのビームLB1を−Xt方向に反射して反射ミラーM12に導く。

0071

反射ミラーM12は、XtYt平面に対して45度傾いて配置され、入射したビームLB1を、Zt軸と平行な光軸AXcに沿って、反射ミラーM12から−Zt方向に離れて配置された反射ミラーM13に向けて−Zt方向に反射する。反射ミラーM12で反射されたビームLB1は、光軸AXcに沿って配置される像シフト光学部材SR、偏向調整光学部材DP、および、フィールドアパーチャ(視野絞り)FAを通過して、反射ミラーM13に入射する。像シフト光学部材SRは、ビームLB1の進行方向(光軸AXc)と直交する平面(XtYt平面)内において、ビームLB1の断面内の中心位置を2次元的に調整する。像シフト光学部材SRは、光軸AXcに沿って配置される2枚の石英の平行平板Sr1、Sr2で構成され、平行平板Sr1は、Xt軸回りに傾斜可能(回転可能)であり、平行平板Sr2は、Yt軸回りに傾斜可能(回転可能)である。この2枚の平行平板Sr1、Sr2がそれぞれ、Xt軸、Yt軸回りに傾斜することで、ビームLB1の進行方向と直交するXtYt平面において、ビームLB1の断面内の中心位置を2次元に微小量シフトする。平行平板Sr1、Sr2は、制御装置18の制御の下、図示しないアクチュエータ(駆動部)によって駆動する。

0072

偏向調整光学部材DPは、反射ミラーM12で反射されて像シフト光学部材SRを通ってきたビームLB1の光軸AXcに対する傾きを微調整するものである。偏向調整光学部材DPは、光軸AXcに沿って配置される2つの楔状のプリズムDp1、Dp2で構成される。プリズムDp1、Dp2の各々は独立して光軸AXcを中心に360度回転可能に設けられている。2つのプリズムDp1、Dp2の回転角度位置を調整することによって、反射ミラーM13に到達するビームLB1の軸線を光軸AXcと平行状態にし、または、基板FSの被照射面に到達するビームLB1の軸線を照射中心軸Le1と平行状態にする。なお、2つのプリズムDp1、Dp2によって平行調整された後のビームLB1の中心位置は、ビームLB1の断面と平行な面内で2次元にシフトしている場合があるが、そのシフトは、像シフト光学部材SRによって元に戻すことができる。このプリズムDp1、Dp2は、制御装置18の制御の下、図示しないアクチュエータ(駆動部)によって駆動する。

0073

像シフト光学部材SRと偏向調整光学部材DPとを通ったビームLB1は、フィールドアパーチャFAの円形開口を透過して反射ミラーM13に達する。フィールドアパーチャFAの円形開口は、ビームエキスパンダーBEで拡大されたビームLB1の断面内の強度分布の裾野部分カットする絞りである。フィールドアパーチャFAを、円形開口の口径を調整可能な可変虹彩絞りにすると、スポット光SPの強度(輝度)を調整することができる。

0074

反射ミラーM13は、XtYt平面に対して45度傾いて配置され、入射したビームLB1を、反射ミラーM13から+Xt方向に離れて配置された反射ミラーM14に向けて+Xt方向に反射する。反射ミラーM13で反射したビームLB1は、λ/4波長板QWおよびシリンドリカルレンズCYaを透過した後反ミラーM14に入射する。反射ミラーM14は、入射したビームLB1をポリゴンミラー(走査用偏向部材)PMに向けて反射する。ポリゴンミラーPMは、入射したビームLB1を、ポリゴンミラーPMから+Xt方向側に離れて配置されたfθレンズFTに向けて+Xt方向側に反射する。ポリゴンミラーPMは、ビームLB1のスポット光SPを基板FSの被照射面上で走査するために、入射したビームLB1をXtYt平面と平行な面内で1次元に偏向(反射)する。具体的には、ポリゴンミラーPMは、Zt方向に延びる回転軸AXpと、回転軸AXpの周りに形成された複数の反射面RP(本実施の形態では8つの反射面RP)とを有する回転多面鏡である。回転軸AXpを中心にこのポリゴンミラーPMを所定の回転方向に回転させることで反射面RPに照射されるパルス状のビームLB1の反射角を連続的に変化させることができる。

0075

これにより、1つの反射面RPによってビームLB1の反射方向(偏向方向)が連続的に変化し、基板FSの被照射面上に照射されるビームLB1のスポット光SPを描画ラインSL1に沿って主走査方向(基板FSの幅方向、Y方向)に1次元に走査することができる。つまり、1つの反射面RPによって、発振周波数Feで発振するパルス状のビームLB1のスポット光SPを1本の描画ラインSL1に沿って走査することができる。したがって、ポリゴンミラーPMの1回転で、基板FSの被照射面上の描画ラインSL1に沿ったスポット光SPの走査回数は、反射面RPの数と同じ8回となる。ポリゴンミラーPMは、制御装置18の制御の下、デジタルモータ等を含むポリゴン駆動部RMによって一定の速度(回転数)で回転する。

0076

母線がYt方向と平行となっているシリンドリカルレンズCYaは、ポリゴンミラーPMによる走査方向(回転方向)と直交する非走査方向(Zt方向)に関して、入射したビームLB1をポリゴンミラーPMの反射面RP上で収斂する。これにより、ポリゴンミラーPMの反射面RP上で収斂するビームLB1は、Yt方向が長手方向、Zt方向が短手方向となるスリット状となる。このシリンドリカルレンズCYaと、後述のシリンドリカルレンズCYbとによって、反射面RPがZt方向に対して傾いている場合(XtYt平面の法線に対する反射面RPの傾き)があっても、その影響を抑制することができる。例えば、基板FSの被照射面上に照射されるビームLB1の照射位置(描画ラインSL1)が、ポリゴンミラーPMの反射面RP毎の僅かな傾き誤差によってXt方向にずれることを抑制することができる。

0077

Xt軸方向に延びる光軸AXfを有するfθレンズFTは、ポリゴンミラーPMによって反射されたビームLB1を、XtYt平面において、光軸AXfと平行となるように反射ミラーM15に投射するテレセントリック系スキャンレンズである。ビームLB1のfθレンズFTへの入射角(光軸AXfに対するビームLB1の入射角)θは、ポリゴンミラーPMの回転角(θ/2)に応じて変わる。fθレンズFTは、反射ミラーM15およびシリンドリカルレンズCYbを介して、その入射角θに比例した基板FSの被照射面上の像高位置にビームLB1を投射する。焦点距離をfoとし、像高位置をyとすると、fθレンズFTは、y=fo・θ、の関係(歪曲収差)を満たすように設計されている。したがって、このfθレンズFTによって、ビームLB1をYt方向(Y方向)に正確に等速で走査することが可能になる。fθレンズFTへの入射角θが0度のときに、fθレンズFTに入射したビームLB1は、光軸AXf上に沿って進む。

0078

反射ミラーM15は、入射したビームLB1を、シリンドリカルレンズCYbを介して基板FSに向けて−Zt方向に反射する。fθレンズFTおよび母線がYt方向と平行となっているシリンドリカルレンズCYbによって、基板FSに投射されるビームLB1が基板FSの被照射面上で直径数μm程度(例えば、3μm)の微小なスポット光SPに収斂される。また、基板FSの被照射面上に投射されるスポット光SPは、回転しているポリゴンミラーPMによって、Yt(Y)方向に延びる描画ラインSL1に沿って1次元走査される。なお、fθレンズFTの光軸AXfと照射中心軸Le1とは、同一の平面上にあり、その平面はXtZt平面と平行である。したがって、光軸AXf上に進んだビームLB1は、反射ミラーM15によって−Zt方向に反射し、照射中心軸Le1と同軸になって基板FSに投射される。本実施の形態において、少なくともfθレンズFTは、ポリゴンミラーPMによって偏向されたビームLB1を基板FSの被照射面に投射する投射光学系として機能する。また、少なくとも反射部材(反射ミラーM11〜M15)および偏光ビームスプリッタBSは、反射ミラーM10から基板FSまでのビームLB1の光路を折り曲げ光路偏向部材として機能する。この光路偏向部材によって、反射ミラーM10に入射するビームLB1の入射軸と照射中心軸Le1とを略同軸にすることができる。XtZt平面に関して、走査ユニットMD1内を通るビームLB1は、略U字状またはコ字状の光路を通った後、−Zt方向に進んで基板FSに投射される。

0079

このように、基板FSが副走査方向(+X方向)に副走査(搬送)されている状態で、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によって、ビームLBn(LB1〜LB6)のスポット光SPを主走査方向(Y方向)に一次元に主走査することで、スポット光SPを基板FSの被照射面に相対的に2次元走査することができる。したがって、基板FSの露光領域Wに所定のパターンを描画露光することができる。なお、描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)を、光導入光学系BDUn(BDU1〜BDU6)に設けるようにしたが、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内に設けるようにしてもよい。この場合は、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内の反射ミラーM10と反射ミラーM14との間に描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)を設けるとよい。

0080

なお、一例として、実効的な直径φが3μmのスポット光SPの1/2ずつ、つまり、1.5(=3×1/2)μmずつ、オーバーラップさせながらスポット光SPを描画ラインSLn(SL1〜SL6)に沿って基板FSの被照射面上に照射する場合は、パルス状のスポット光SPは、1.5μmの間隔で照射される。そして、描画ラインSLn(SL1〜SL6)の実効的な長さを30mmとすると、1回の走査で照射されるスポット光SPの数は、20000(=30〔mm〕/1.5〔μm〕)個となる。また、基板FSの副走査方向の送り速度(搬送速度)Vtを2.419mm/secとし、副走査方向についてもスポット光SPの走査が1.5μmの間隔で行われるものとすると、描画ラインSLnに沿った1回の走査開始描画開始)時点と次の走査開始時点との時間差Tpxは、約620μsec(≒1.5〔μm〕/2.419〔mm/sec〕)となる。この時間差Tpxは、8反射面RPのポリゴンミラーPMが1面分の角度β(β=45度=360度/8)だけ回転する時間である。この場合、ポリゴンミラーPMの1回転の時間が、約4.96msec(=8×620〔μsec〕)となるように設定される必要があるので、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpは、毎秒約201.613回転(=1/4.96〔msec〕)、すなわち、約12096.8rpmに設定される。

0081

ポリゴンミラーPMが1反射面RP分の角度β回転する間に、実際にスポット光SPの走査を行うことができる回転角度範囲をα(α<β)とすると、1反射面RP分の走査効率は、α/β、で表すことができる。本実施の形態では、ポリゴンミラーPMは8つの反射面RPを有する正八角形の形状を有するので角度βは45度となり、走査効率は、α/45度で表される。この実走査に寄与する回転角度範囲αとは、fθレンズFTがポリゴンミラーPMの反射面RPで反射したビームLB1を入射して基板FSに向けて投射することができるポリゴンミラーPMの回転角度範囲である。つまり、反射ミラーM14から照射されるビームLB1をfθレンズFTに向けて反射するポリゴンミラーPMの反射面(以下、偏向反射面)RPが、回転角度範囲(所定角度範囲)α内で回転している場合に、偏向反射面RPで反射したビームLB1がfθレンズFTに入射されて、基板FSに投射される。この回転角度範囲αは、fθレンズFTの焦点距離、口径、および、位置等によっておおよそ決まってしまう。回転角度範囲αが大きい程、描画ラインSLnの最大走査長は長くなる。

0082

本実施の形態では、実走査に寄与する回転角度範囲αを15度とするので、走査効率は1/3(=15度/45度)となる。そのため、描画ラインSLnの最大走査長(例えば、31mm)分だけスポット光SPを走査するのに必要な時間Tsは、Ts=Tpx×走査効率、となり、先の数値例の場合は、時間Ts、約206.666・・・μsec(=620〔μsec〕/3)、となる。本実施の形態における描画ラインSLn(SL1〜SL6)の実効的な走査長を30mmとするので、この描画ラインSLnに沿ったスポット光SPの1走査の走査時間Tspは、約200μsec(≒206.666・・・〔μsec〕×30〔mm〕/31〔mm〕)、となる。したがって、この走査時間Tspの間に、20000のスポット光SP(パルス光)を照射する必要があるので、光源装置14からのビームLBの発光周波数(発振周波数)Feは、Fe≒20000回/200μsec=100MHzとなる。なお、ポリゴンミラーPMの1反射面RPで反射したビームLB1が有効にfθレンズFTに入射する最大入射角度は、回転角度範囲αの2倍である30度(fθレンズFTの光軸AXfを中心として±15度)となる。

0083

図5に示す光検出器DTは、入射した光を光電変換する光電変換素子を有する。回転ドラムDRの表面には、予め決められた基準パターンが形成されている。この基準パターンが形成された回転ドラムDR上の部分は、ビームLB1の波長域に対して低めの反射率(10〜50%)の素材で構成されている。そして、基準パターンが形成されていない回転ドラムDR上の他の部分は、ビームLB1の波長域に対して反射率が10%以下の材料または光を吸収する材料で構成される。そのため、基板FSが巻き付けられていない状態(または基板FSの透明部を通した状態)で、回転ドラムDRの基準パターンが形成された領域に走査ユニットMD1からビームLB1のスポット光SPを照射すると、その反射光が、シリンドリカルレンズCYb、反射ミラーM15、fθレンズFT、ポリゴンミラーPM、反射ミラーM14、シリンドリカルレンズCYa、λ/4波長板QW、反射ミラーM13、フィールドアパーチャFA、偏向調整光学部材DP、像シフト光学部材SR、および、反射ミラーM12を通過して偏光ビームスプリッタBSに入射する。ここで、偏光ビームスプリッタBSと基板FSとの間、具体的には、反射ミラーM13とシリンドリカルレンズCYaとの間には、λ/4波長板QWが設けられている。これにより、基板FSに照射されるビームLB1は、このλ/4波長板QWによってP偏光から円偏光のビームLB1に変換され、基板FSから偏光ビームスプリッタBSに入射する反射光は、このλ/4波長板QWによって、円偏光からS偏光に変換される。したがって、基板FSからの反射光は偏光ビームスプリッタBSを透過し、光学レンズG10を介して光検出器DTに入射する。

0084

このとき、光導入光学系BDU1の描画用光学素子AOM1をオンにした状態で、つまり、パルス状のビームLB1が連続して走査ユニットMD1に入射する状態で、回転ドラムDRを回転して走査ユニットMD1がスポット光SPを主走査することで、回転ドラムDRの外周面には、スポット光SPが2次元的に照射される。したがって、回転ドラムDRに形成された基準パターンの画像を光検出器DTによって取得することができる。具体的には、制御装置18は、光検出器DTから出力される光電信号強度変化を、スポット光SPのパルス発光のためのクロックパルス信号(光源装置14内で作られる発振周波数Feのクロックパルス信号)に応答してデジタルサンプリングすることでYt方向の1次元の画像データを取得する。制御装置18は、スポット光SPの走査毎にこの1次元の画像データを取得する。さらに、制御装置18は、描画ラインSL1が配置される設置方位線Lx2における回転ドラムDRの回転角度位置を計測するエンコーダEN2a、EN2bの計測値に応答して、副走査方向の一定距離(例えばスポット光SPのサイズφの1/2)毎にYt方向の1次元の画像データをXt方向に並べることにより、回転ドラムDRの表面の2次元の画像情報を取得する。制御装置18は、この取得した回転ドラムDRの基準パターンの2次元の画像情報に基づいて、走査ユニットMD1の描画ラインSL1の傾きを計測する。この描画ラインSL1の傾きとは、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)間における相対的な傾きであってもよく、回転ドラムDRの中心軸AXoに対する傾き(絶対的な傾き)であってもよい。なお、同様にして、各描画ラインSL2〜SL6の傾きも計測することができることはいうまでもない。

0085

ここで、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内には、スポット光SPの基板FS上での主走査の開始点(または描画開始点)を規定するために、パルス状の原点信号(第1の原点信号)SZn(SZ1〜SZ6)を発生(出力)する原点センサ(第1の原点センサ、第1原点検出器)OPn(OP1〜OP6)が設けられている。各原点センサ(原点検出器)OPn(OP1〜OP6)の構成は互いに同一である。また、各原点センサOPn(OP1〜OP6)と、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内のポリゴンミラーPM等の他の部材との相対的な位置関係は互いに同一であることから、走査ユニットMD1内に設けられた原点センサOP1を例に挙げて以下詳しく説明する。

0086

図6は、走査ユニットMD1のポリゴンミラーPMの近傍に配置された原点センサOP1の配置を模式的に示す図であり、図7は、原点センサOP1の構成を示す図である。原点センサOP1は、ポリゴンミラーPMの各反射面RPによるスポット光SPの走査開始可能タイミングを示すパルス状の原点信号SZ1を発生する。原点センサOP1は、ポリゴンミラーPMの回転位置が、反射面RPによるスポット光SPの走査が開始可能な所定位置にくると原点信号SZ1を発生する。原点センサOP1は、実際にこれからビームLB1の偏向を行う反射面RP、つまり、反射ミラーM14から照射されるビームLB1をfθレンズFTに向けて反射する反射面RPである偏向反射面RPを用いて原点信号SZ1を発生する。したがって、原点センサOP1は、これからスポット光SPの走査を行う偏向反射面RPの回転角度位置がXtYt平面と平行な面内で所定の回転角度位置になったときに原点信号SZ1を発生する。具体的にこの所定の回転角度位置とは、スポット光SPの走査を行う偏向反射面RPの回転角度位置が回転角度範囲(所定角度範囲)αに入るタイミングにおける偏向反射面RPの回転角度位置のことである。

0087

したがって、原点センサOP1は、回転しているポリゴンミラーPMの偏向反射面RPが回転角度範囲αに入るタイミングで、ポリゴンミラーPMが45°回転する度に原点信号SZ1を発生する。ポリゴンミラーPMは、8つの反射面RPを有するので、ポリゴンミラーPMが1回転する期間で、原点センサOP1は8回原点信号SZ1を出力することになる。なお、ポリゴンミラーPMの各反射面RPを区別するため、図6図7において、偏向反射面RPとなっている反射面RPをRPaで表し、その他の反射面RPを、反射面RPaから反時計方向回り(ポリゴンミラーPMの回転方向とは反対の方向回り)に、RPb〜RPhで表す。また、ポリゴンミラーPMは時計方向に回転していることから、偏向反射面RPとなる反射面RPは、RPa→RPb→RPc→・・・、という順番で反時計方向回りに切り換わることになる。

0088

原点センサOP1は、偏向反射面RP(図6図7では、RPa)に向けて計測光(レーザビーム)Bgaを射出するビーム送光系opaと、偏向反射面RPで反射した計測光Bgaの反射光Bgbを受光するビーム受光系opbとを有する。ビーム受光系opbは、反射光Bgbを受光すると、原点信号SZ1を発生(出力)する。具体的には、図7に示すように、ビーム送光系opaは、基板FSの感光性機能層に対して感度を持たない波長域の計測光Bgaを発生する光源部20と、光源部20からの計測光Bgaを反射させてポリゴンミラーPMの偏向反射面RP(図6図7では、RPa)に投射するミラー22、24とを有する。ビーム受光系opbは、反射光Bgb(計測光Bga)に対して感度を有する受光部26と、偏向反射面RP(図6図7では、RPa)からの反射光Bgbを受光部26に導くミラー28、30と、ミラー30で反射した反射光Bgbを受光部26の受光面上で微小なスポット光に収斂(集光)するレンズ系32とを有する。受光部26は、レンズ系32によって収斂された反射光Bgbのスポット光を電気信号に変換する光電変換素子を有する。ここで、計測光BgaがポリゴンミラーPMの各反射面RPに投射される位置は、レンズ系32の瞳面(焦点位置)となるように設定されている。

0089

受光部26内の前記光電変換素子の受光面の直前には、微小幅スリット開口を備えた遮光体(図示略)が設けられている。偏向反射面RP(図6図7では、RPa)の回転角度位置が所定の角度範囲内にある間は、反射光Bgbがレンズ系32に入射して、反射光Bgbのスポット光が受光部26内の前記遮光体上を一定方向に走査する。その走査中に、前記遮光体のスリット開口を透過した反射光Bgbのスポット光が前記光電変換素子で受光され、その受光信号増幅器(図示略)で増幅されてパルス状の原点信号SZ1として出力される。

0090

ビーム送光系opaとビーム受光系opbとは、所定の位置関係で配置される。つまり、ビーム送光系opaとビーム受光系opbとは、これからスポット光SPの走査を行う偏向反射面RPの回転角度位置が所定の回転角度位置になると、ビーム送光系opaからの計測光Bga(反射光Bgb)をビーム受光系opbが受光することができるような位置関係で配置されている。そのため、原点センサOP1は、偏向反射面RP(RPa)の近傍に配置されている。この原点センサOP1(ビーム送光系opaおよびビーム受光系opb)は、走査ユニットMD1内の図示しない第1の支持部材によって固定支持されている。なお、図6図7の符号Msfは、回転軸AXpと同軸に配置されたポリゴン駆動部RMのデジタルモータRMaのシャフトである(図10参照)。

0091

制御装置18は、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に設けられた原点センサOPn(OP1〜OP6)が発生した原点信号SZn(SZ1〜SZ6)に基づいて、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によるスポット光SPの走査(描画)開始タイミングを決定している。具体的には、制御装置18は、原点センサOPn(OP1〜OP6)が原点信号SZn(SZ1〜SZ6)を発生したタイミングから所定の遅延時間(オフセット時間)Tdn(Td1〜Td6)経過した後に、シリアルデータDLn(DL1〜DL6)に基づく描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)の駆動を開始する。これにより、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によるスポット光SPの描画(スポット光SPの走査およびその強度変調)が原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生から遅延時間Tdn(Td1〜Td6)経過後に開始される。例えば、原点信号SZ1が発生したタイミングから遅延時間Td1経過後にシリアルデータDL1に基づいて制御装置18が描画用光学素子AOM1の駆動を開始することで、走査ユニットMD1は、描画ラインSL1に沿ったスポット光SPによる描画を開始する。

0092

制御装置18は、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)が発生してから、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によるスポット光SPの描画を開始するまでの遅延時間Tdn(Td1〜Td6)を変えることによって、描画ラインSLn(SLn1〜SL6)の基板FS上における位置を主走査方向(Y方向)にシフトすることができる。例えば、遅延時間Tdn(Td1〜Td6)を短くすると描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、主走査の向きと反対側の方向にシフトし、遅延時間Tdn(Td1〜Td6)を長くすると描画ラインSLn(SL1〜SL6)は、主走査の方向にシフトする。なお、この遅延時間Tdn(Td1〜Td6)は、例えば、長さが30mmの描画ラインSLn(SL1〜SL6)の中心位置が、31mmの最大走査長の中心位置となるように、初期値としては、最大走査長におけるスポット光SPの走査開始点に対して、描画ラインSLnの描画開始点が0.5mmだけずれるような時間に予め設定されている。

0093

図6に示すように、偏向反射面RP(RPa)の近傍には、シリンドリカルレンズCYa、反射ミラーM14、および、fθレンズFT等の光学部材が配置される。そのため、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内には、偏向反射面RP(RPa)の近傍で原点センサOPn(OP1〜OP6)を支持する前記第1の支持部材を設けるスペースが十分にない。したがって、原点センサOPn(OP1〜OP6)をリジッドに安定的に固定することが難しい。つまり、前記第1の支持部材を設けるスペースが十分にないため、前記第1の支持部材の剛性、強度を高くすることができない。そのため、回転ドラムDRまたはポリゴンミラーPMの回転等によって前記第1の支持部材が振動したり、露光装置EX内に生じた熱によって前記第1の支持部材が膨張する場合がある。前記第1の支持部材が振動したり膨張したりすると、原点センサOPn(OP1〜OP6)のビーム送光系opaとビーム受光系opbとポリゴンミラーPMとの相対的な位置関係が微小にずれてしまう。これにより、時間軸上における原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミングが、設計上の初期の発生タイミングとずれてしまう。上述したように、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の時間軸上における発生タイミングに基づいて基板FS上における描画ラインSLn(SL1〜SL6)の主走査方向における位置が決定される。したがって、振動や熱による原点センサOPn(OP1〜OP6)の位置ずれによって、基準となる原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミング自体が時間軸上でずれてしまうと、描画ラインSLn(SL1〜SL6)が主走査方向にシフトしてしまい、描画露光の精度が低下してしまう。

0094

そこで、本実施の形態では、原点センサOPn(OP1〜OP6)の位置ずれによる原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミングのずれを検出するために、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)のポリゴンミラーPMの周りに、図8に示すように、2つの副原点センサ(第2の原点センサ、第2原点検出器)SOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)を設けるようにした。この2つの副原点センサ(原点センサ、原点検出器)SOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)は、描画用のビームLBnを反射する偏向反射面RPとは異なる位置の反射面RPを用いて副原点信号(第2の原点信号)SZan(SZa1〜SZa6)、SZbn(SZb1〜SZb6)を発生する。2つの副原点センサSOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)に関しても、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内のポリゴンミラーPM等の他の部材との相対的な位置関係は互いに同一であることから、走査ユニットMD1内に設けられた2つの副原点センサSOPa1、SOPb1を例に挙げて以下詳しく説明する。なお、副原点センサSOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)は、基本的な構成は原点センサOPn(OP1〜OP6)と同一である。したがって、副原点センサSOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)も、ビーム送光系opaとビーム受光系opbとから構成される。また、副原点センサSOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)は、走査ユニットMDn(MD1〜MD6)内の図示しない第2の支持部材によって支持されている。

0095

図8は、ポリゴンミラーPMと、原点センサOP1と、副原点センサSOPa1、SOPb1との配置関係を示す図である。図8においても、ビームLB1の偏向を行っている反射面(偏向反射面)RPをRPaで表し、その他の反射面RPを、反射面RPaから反時計方向回り(ポリゴンミラーPMの回転方向とは反対の方向回り)に、RPb〜RPhで表す。上述したように、原点センサOP1が偏向反射面RPaで原点信号SZ1を発生し得る状態のとき、副原点センサSOPa1、SOPb1は、それぞれ偏向反射面RPa以外の反射面RPc、RPfに関して副原点信号SZa1、SZb1を発生する。

0096

副原点センサSOPa1、SOPb1は、偏向反射面(第1反射面)RPaより2つ隣り以上離れた反射面RPを用いて副原点信号SZa1、SZb1を発生することが好ましい。図8に示す例においては、副原点センサSOPa1は、ポリゴンミラーPMの回転方向を基準に偏向反射面RPaの2つ手前の反射面RPcを用いて副原点信号SZa1を発生する。同様に、副原点センサSOPb1は、ポリゴンミラーPMの回転方向を基準に、偏向反射面RPaの3つ後の反射面RPf、つまり、偏向反射面RPaの5つ手前の反射面RPfを用いて副原点信号SZb1を発生する。このように、原点センサOP1および副原点センサSOPa1、SOPb1は、ポリゴンミラーPMの互いに異なる位置の反射面RPを用いて原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1を発生(出力)する。なお、副原点センサSOPa1、SOPb1は、偏向反射面(第1反射面)RPaとは異なる反射面(第2反射面)RP(図8では、RPc、RPf)が所定の回転角度位置になったタイミングで副原点信号SZa1、SZb1を発生するが、原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1の3つを、時間軸上で全く同じタイミングで発生させる必要はない。

0097

図6に示すように、偏向反射面RP(図6では、RPa)の近傍には、シリンドリカルレンズCYa、反射ミラーM14、および、fθレンズFTの光学部材が密集して配置されるが、偏向反射面RPaとは異なる位置の反射面RPにおいては、比較的スペースが空いており、ゆとりがある。したがって、副原点センサSOPa1、SOPb1を支持する図示しない前記第2の支持部材の剛性、強度を高くすることができ、前記第2の支持部材は、副原点センサSOPa1、SOPb1をリジッドに安定的に支持することができる。

0098

図9は、原点センサOP1による原点信号SZ1の発生タイミングと、副原点センサSOPa1、SOPb1による副原点信号SZa1、SZb1の発生タイミングとの関係の一例を示すタイミングチャートである。原点センサOP1および副原点センサSOPa1、SOPb1は、時間Tpx間隔で原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1を発生する。この時間Tpxは、ポリゴンミラーPMが1面分(45度)回転する時間である。なお、図9においては、ポリゴンミラーPMは、断わりのない限り一定の回転速度Vpで回転しているものとする。さらに、図9においては、説明を簡単にするため、原点センサOP1の位置がずれていない(変動がない)場合は、原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1の時間軸上における発生タイミングが同じとなるよう設定されているものとする。もちろん、原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1の発生タイミングは異なっていてもよい。

0099

図8に示すように、原点センサOP1は、偏向反射面RPを用いて原点信号SZ1を発生する。したがって、原点信号SZ1の発生に用いられる偏向反射面RPとなる反射面RPは、RPa→RPb→RPc→・・・→RPh→RPa、というように切り換わる。副原点センサSOPa1は、ポリゴンミラーPMの回転方向を基準に偏向反射面RPから2つ手前の反射面RPを用いて副原点信号SZa1を発生する。したがって、副原点信号SZa1の発生に用いられる反射面RPは、RPc→RPd→RPe→・・・→RPb→RPc、というように切り換わる。副原点センサSOPb1は、ポリゴンミラーPMの回転方向を基準に偏向反射面RPから5つ手前の反射面RPを用いて副原点信号SZb1を発生する。したがって、副原点信号SZb1の発生に用いられる反射面RPは、RPf→RPg→RPh→・・・→RPe→RPf、というように切り換わる。図9においては、発生した原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1の上に、括弧書きで、原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1を発生させた反射面RPを図示している。なお、本明細書中においては、原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1の後に括弧書きで、原点信号SZ1を発生させた反射面RPを付す場合がある。例えば、反射面RPaによって発生した原点信号SZ1および副原点信号SZa1、SZb1を、原点信号SZ1(RPa)および副原点信号SZa1(RPa)、SZb1(RPa)と表す場合がある。

0100

次に、この図9を用いて原点信号SZ1の発生タイミングのずれ検出方法およびずれ量S1の算出方法について説明する。なお、原点信号SZ1の発生タイミングのずれ検出およびそのずれ量S1の算出は、反射面RP毎に行うが、説明をわかり易くするために反射面RPdにおける原点信号SZ1のずれ検出およびそのずれ量S1の算出を例に挙げて説明する。

0101

原点センサOP1が反射面RPdによって原点信号SZ1(RPd)を発生するタイミングと、副原点センサSOPa1が反射面RPdによって副原点信号SZa1(RPd)を発生するタイミングとのインターバル時間(時間差)をTaとする。また、原点センサOP1が反射面RPdによって原点信号SZ1(RPd)を発生するタイミングと、副原点センサSOPb1が反射面RPdによって副原点信号SZb1(RPd)を発生するタイミングとのインターバル時間(時間差)をTbとする。すなわち、原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングと、この原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングと最も近いタイミングで発生した副原点信号SZa1(RPd)、SZb1(RPd)の各発生タイミングとの時間差の絶対値を、それぞれインターバル時間Ta、Tbとする。そして、この2つのインターバル時間Ta、Tbの時間差をΔTab(=Ta−Tb)とする。

0102

原点センサOP1の位置が変動すると、原点信号SZ1の発生タイミングは、時間軸上で矢印Aのように移動(タイムシフト)する。これにより、インターバル時間Ta、Tbが初期状態(原点センサOP1の位置ずれが発生していない状態)のものから変動し、時間差ΔTabも初期状態のものから変化する。

0103

そのため、制御装置18は、原点信号SZ1(RPd)の発生(出力)タイミングと副原点信号SZa1(RPd)、SZb1(RPd)の発生(出力)タイミングとを用いて、インターバル時間Ta、Tbおよび時間差ΔTabを逐次算出する。ここで、初期状態のときのインターバル時間Ta、Tbおよび時間差ΔTabと、制御装置18が逐次求めたインターバル時間Ta、Tbおよび時間差ΔTabとを区別するため、初期状態のときのインターバル時間Ta、TbをITa、ITbで表し、時間差ΔTabをΔITabで表す。そして、制御装置18は、算出した時間差ΔTabをモニタリングすることによって、原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングのずれを検出する。つまり、制御装置18は、算出した時間差ΔTabが初期状態のときの時間差ΔITab(初期値)と等しければ、原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングはずれていないと判断する。そして、制御装置18は、時間差ΔTabと時間差ΔITabとに差が生じた場合は、原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングが初期状態からずれたと判断する。初期状態のときのインターバル時間ITa、ITbおよび時間差ΔITabは、実験、計算等によって予め求めておくことができる。その際、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpは、ポリゴンミラーPMを回転するモータ等に接続されたタコジェネレータやエンコーダ、或いは、副原点信号SZa1、SZb1の周波数(周期)等によって精密に求めておくとよい。

0104

制御装置18は、原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングのずれを検出した場合は、初期状態のときから原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングがどのくらいずれたかを示すずれ量(ずれ時間)S1を算出する。制御装置18は、初期状態のときのインターバル時間ITa(初期値)と計測されたインターバル時間Taとの差ΔTa(=ITa−Ta)、または、初期状態のときのインターバル時間ITb(初期値)と計測されたインターバル時間Tbとの差ΔTb(=Tb−ITb)を算出し、これをずれ量S1とする。したがって、初期状態のインターバル時間ITa、ITbと計測されたインターバル時間Ta、Tbとが等しい場合は、ずれ量S1は0となり、ずれはない。差ΔTaと差ΔTbとは、原則として、差ΔTa=差ΔTb、の関係を有する。なお、制御装置18は、初期状態のときの時間差ΔITabと計測された時間差ΔTabとの時間差(ΔITab−ΔTab)を2で除算した値を算出し、これをずれ量S1としてもよい。つまり、ずれ量S1は、S1=(ΔITab−ΔTab)/2、の関係式でも求められる。

0105

ずれ量S1の値が正(+)の場合は、時間軸上での原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングが、初期状態のときに比べ早まる方向にずれたことを意味する。逆に、ずれ量S1の値が負(−)の場合は、時間軸上での原点信号SZ1(RPd)の発生タイミングが、初期状態のときに比べ遅くなる方向にずれたことを意味する。

0106

なお、本実施の形態においては、原点信号SZ1の発生タイミングを補正するために、原点センサOP1の他に、2つの副原点センサSOPa1、SOPb1を設けるようにしたが、副原点センサSOPは1つであってもよい。つまり、2つの副原点センサSOPa1、SOPb1のうち一方のみを設けてもよい。この場合は、制御装置18は、初期状態のときのインターバル時間ITa(またはITb)と、計測されたインターバル時間Ta(またはTb)とを比較し、計測されたインターバル時間Ta(またはTb)がインターバル時間ITa(またはITb)と等しくなくなると、原点信号SZ1の発生タイミングが初期状態からずれたと判断する。そして、制御装置18は、差ΔTa(=ITa−Ta)、または、差ΔTb(=Tb−ITb)をずれ量S1として算出する。

0107

このようにして、制御装置18は、各走査ユニットMDn(MD1〜MD6)に設けられた原点センサOPn(OP1〜OP6)で検出される原点信号SZn(SZ1〜SZ6)と、副原点センサSOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)で検出される副原点信号SZan(SZa1〜SZa6)、SZbn(SZb1〜SZb6)の少なくとも一方とを用いて、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミングのずれ量Sn(S1〜S6)を逐次検出(計測)する。

0108

制御装置18は、算出したずれ量Sn(S1〜S6)を用いて走査ユニットMDn(MD1〜MD6)によるスポット光SPの走査開始タイミングを調整する。具体的には、制御装置18は、ずれ量Sn(S1〜S6)を用いて遅延時間Tdn(Td1〜Td6)を補正する。この補正後の遅延時間Tdn(Td1〜Td6)を、Tdn´(Td1´〜Td6´)で表す。この遅延時間Tdn´は、Tdn´=Tdn+Sn、の関係式で表すことができる。そして、制御装置18は、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)が発生したタイミングから、遅延時間Tdn´(Td1´〜Td6´)経過後に、シリアルデータDLn(DL1〜DL6)に基づく描画用光学素子AOMn(AOM1〜AOM6)の駆動を開始する。これにより、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)が発生してから遅延時間Tdn´(Td1´〜Td6´)経過後に、スポット光SPの走査が開始されて、その強度が変調される。つまり、原点信号SZnが発生してから遅延時間Tdn´経過後に描画が開始される。例えば、走査ユニットMD2に関しては、原点信号SZ2が発生してから遅延時間Td2´(=Td2+S2)経過後に、シリアルデータDL2に基づいて描画用光学素子AOM2を駆動することで、描画ラインSLn2に沿ったスポット光SPによる描画を開始する。

0109

このように、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミングのずれが発生した場合は、ずれ量Sn(S1〜S6)を用いて、スポット光SPの走査開始タイミングが調整される。ずれ量Sn(S1〜S6)が正の値の場合は、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)が発生してからスポット光SPの走査開始タイミングまでの時間がずれ量Sn(S1〜S6)分だけ長くなる。逆に、ずれ量Sn(S1〜S6)が負の値の場合は、原点信号SZn(SZ1〜SZ6)が発生してからスポット光SPの走査開始タイミングまでの時間がずれ量Sn(S1〜S6)分だけ短くなる。

0110

なお、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpのムラ(回転速度Vpの変動)を求め、該回転速度Vpのムラも考慮して原点信号SZn(SZ1〜SZ6)の発生タイミングのずれ量Sn(S1〜S6)を求めるようにしてもよい。このポリゴンミラーPMの回転速度Vpのムラは、副原点信号SZan(SZa1〜SZa6)、または、SZbn(SZb1〜SZb6)の発生間隔から求めてもよいし、インターバル時間Ta、インターバル時間Tb、または、時間差ΔTabの変動から求めるようにしてもよい。

0111

図10は、走査ユニットMD1によって走査されるスポット光SPの描画変調および走査ユニットMD1のポリゴンミラーPMの回転制御を行う機能ブロック図である。制御装置18は、制御回路50、描画データ出力部52、AOM駆動回路54、および、ポリゴン駆動回路56を備える。露光ヘッド16は、走査ユニットMDnを6つ有するので、制御装置18は、図10に示す制御回路50、描画データ出力部52、AOM駆動回路54、および、ポリゴン駆動回路56を、走査ユニットMDn毎に備える。ここでは、走査ユニットMD1に関してのみ説明するが、他の走査ユニットMD2〜MD6についても同様である。

0112

制御回路(描画制御部)50は、ずれ検出部60、回転ムラ算出部62、ずれ量算出部64、遅延時間補正部66、および、回転ムラ補正制御部68を備える。この制御回路50は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)で構成されている。原点センサOP1が発生した原点信号SZ1は、ずれ検出部60および遅延時間補正部66に入力され、副原点センサSOPa1、SOPb1が発生した副原点信号SZa1、SZb1は、ずれ検出部60に入力される。

0113

ずれ検出部60は、原点信号SZ1と、副原点信号SZa1、SZb1の一方または両方とを用いて原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じているか否かを検出する。具体的には、ずれ検出部60は、反射面RP毎に発生した原点信号SZ1および副原点信号SZa1から、インターバル時間Taを反射面RP毎に逐次算出する。また、ずれ検出部60は、反射面RP毎に発生した原点信号SZ1および副原点信号SZb1から、インターバル時間Tbを反射面RP毎に逐次算出する。したがって、ずれ検出部60は、インターバル時間Taの計測では、副原点信号SZa1の1つのパルス信号が発生した瞬間を基準として、その時点から原点信号SZ1の2つ目のパルス信号が発生するまでの時間を計測し、インターバル時間Tbの計測では、原点信号SZ1の1つのパルス信号が発生した瞬間を基準として、その時点から副原点信号SZb1の3つ目のパルス信号が発生するまでの時間を計測する。本実施の形態では、例えば、特定の反射面(図9では反射面PRd)によって順次生成される原点信号SZ1、副原点信号SZa1、副原点信号SZb1の各々の1つのパルス信号を選択して、インターバル時間Ta、Tbが計測される。

0114

このインターバル時間Taは、原点信号SZ1の発生タイミングと副原点信号SZa1の発生タイミングとの時間差の絶対値である。インターバル時間Tbは、原点信号SZ1の発生タイミングと副原点信号SZb1の発生タイミングとの時間差の絶対値である。そして、ずれ検出部60は、算出した2つのインターバル時間Ta、Tbの時間差ΔTab(=Ta−Tb)を反射面RP毎に逐次算出する。ずれ検出部60は、初期状態の時間差ΔITabと算出した時間差ΔTabとを反射面RP毎に逐次比較し、両者にずれが生じる場合は、原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じたと判断する。つまり、原点センサOP1の位置がずれたと判断する。ずれ検出部60は、図示しない内部メモリに、この初期値としての時間差ΔITabを記憶してもよいし、制御装置18の一部を構成する図示しない露光制御部からこの時間差ΔITabを取得してもよい。

0115

なお、ずれ検出部60は、インターバル時間Taと初期値であるインターバル時間ITaとを反射面RP毎に逐次比較し、両者にずれが生じる場合は、原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じた、つまり、原点センサOP1の位置がずれたと判断してもよい。この場合は、インターバル時間Tbおよび時間差ΔTabを算出する必要はないので、副原点センサSOPb1を設けなくてもよい。また、ずれ検出部60は、インターバル時間Tbと初期値であるインターバル時間ITbとを反射面RP毎に比較し、両者にずれが生じる場合は、原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じた、つまり、原点センサOP1の位置がずれたと判断してもよい。この場合は、インターバル時間Taおよび時間差ΔTabを算出する必要はないので、副原点センサSOPa1を設けなくてもよい。ずれ検出部60は、図示しない内部メモリに、この初期値としてのインターバル時間ITa、ITbを記憶してもよいし、前記した露光制御部からこのインターバル時間ITa、ITbを取得してもよい。

0116

ずれ検出部60は、原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じたことを検出すると、反射面RP毎に逐次算出した時間差ΔTabおよびインターバル時間Ta、Tbの少なくとも1つを回転ムラ算出部62およびずれ量算出部64に出力する。

0117

回転ムラ算出部62は、逐次算出された時間差ΔTab、インターバル時間Ta、または、インターバル時間Tbを用いて、走査ユニットMD1のポリゴンミラーPMの回転速度Vpの変動(ムラ)を示す回転ムラ情報ΔRを反射面RP毎に逐次求める。回転ムラ算出部62は、算出された時間差ΔTab、インターバル時間Ta、または、インターバル時間Tbの変動から、走査ユニットMD1のポリゴンミラーPMの回転ムラ情報ΔRを算出する。回転ムラ算出部62は、逐次算出した回転ムラ情報ΔRを、ずれ量算出部64および回転ムラ補正制御部68に出力する。回転ムラ情報ΔRは、指定された目標回転速度に対する変動率を示す情報であり、例えば、その単位は、[ppm]または[%]である。なお、回転ムラ算出部62は、副原点センサSOPa1(またはSOPb1)が発生した副原点信号SZa1(またはSZb1)を用いて回転ムラ情報ΔRを算出するようにしてもよい。この場合は、回転ムラ算出部62には、副原点センサSOPa1、SOPb1が発生した副原点信号SZa1、SZb1の少なくとも一方が入力され、回転ムラ算出部62は、副原点信号SZa1(またはSZb1)の発生タイミング(取得タイミング)の時間間隔の変動から回転ムラ情報ΔRを算出する。

0118

ここで、ポリゴンミラーPMは、回転速度Vpが一定となるように制御されるが、ポリゴンミラーPMを回転軸AXp回りで回転させるために設けられるベアリングの特性または回転中における風損空気抵抗等)等によっては、描画の品質に影響を与えるような回転速度Vpのムラが生じる場合がある。

0119

ずれ量算出部64は、算出された時間差ΔTab、インターバル時間Ta、または、インターバル時間Tbと、回転ムラ情報ΔRとを用いて、原点センサOP1が発生した原点信号SZ1の発生タイミングのずれ量(ずれ時間)S1を反射面RP毎に逐次算出する。ずれ量算出部64は、時間差ΔTabを用いる場合は、初期値である時間差ΔITabと算出された時間差ΔTabとの時間差(ΔITab−ΔTab)を2で除算した値に回転ムラ情報ΔRを乗算した値を算出し、これをずれ量S1とする。ずれ量算出部64は、インターバル時間Taを用いる場合は、初期値としてのインターバル時間ITaと算出されたインターバル時間Taとの差ΔTa(=ITa−Ta)に回転ムラ情報ΔRを乗算した値を算出し、これをずれ量S1とする。ずれ量算出部64は、インターバル時間Tbを用いる場合は、初期状態としてのインターバル時間ITbと算出されたインターバル時間Tbとの差ΔTb(=Tb−ITb)に回転ムラ情報ΔRを乗算した値を算出し、これをずれ量S1とする。つまり、ずれ量S1は、S1=ΔR・(ΔITab−ΔTab)/2=ΔR・(ITa−Ta)=ΔR・(Tb−ITb)、の関係式で算出可能である。ずれ量算出部64は、図示しない内部メモリに、この初期値としてのインターバル時間ITa、ITbまたは時間差ΔITabを記憶してもよいし、前記した露光制御部またはずれ検出部60からこのインターバル時間ITa、ITbまたは時間差ΔITabを取得してもよい。ずれ量算出部64は、反射面RP毎に逐次算出したずれ量S1を遅延時間補正部66に出力する。原点信号SZ1の発生タイミングが、時間軸上で、初期状態(原点センサOP1の位置ずれがなく、ポリゴンミラーPMの回転速度が目標の回転速度の場合)の発生タイミングより遅れると、ずれ量S1の値は負(−)となる。逆に、原点信号SZ1の発生タイミングが、時間軸上で、初期状態の発生タイミングより早まると、ずれ量S1の値は正(+)となる。

0120

ここで、ずれ量S1を算出するのに回転ムラ情報ΔRを考慮する理由としては、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpにムラが生じると、原点センサOP1の位置ずれが生じていない場合であっても、原点信号SZ1の発生タイミングにずれが生じしてしまう。したがって、原点センサOP1の位置ずれによる原点信号SZ1の発生タイミングのずれ量S1を正確に把握するために、この回転ムラ情報ΔRを用いている。なお、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpのムラを考慮しない場合は、上記したずれ量S1を求める式において、ΔR=1、とすればよい。

0121

遅延時間補正部66は、原点信号SZ1が発生してから実際の描画(スポット光SPの走査および強度変調)が開始されるまでのオフセット時間である遅延時間Td1をずれ量S1を用いて補正する。遅延時間補正部66は、遅延時間Td1を補正した遅延時間Td1´を生成する。遅延時間補正部66は、反射面RP毎に遅延時間Td1を補正して、遅延時間Td1´を逐次生成する。具体的には、遅延時間補正部66は、Td1´=Td1+S1、の関係式を用いて、遅延時間Td1´を反射面RP毎に逐次算出する。そして、遅延時間補正部66は、原点センサOP1からの原点信号SZ1の発生タイミングから遅延時間Td1´経過後に、描画イネーブル信号STP1を描画データ出力部52およびAOM駆動回路54に出力する。この描画イネーブル信号STP1は、描画(スポット光SPの走査およびその強度変調)を許可する信号である。描画イネーブル信号STP1は、原点信号SZ1の発生から遅延時間Td1´経過した時点から一定時間(少なくともスポット光SPの走査時間Tsp)の間だけHレベル(「1」)になる信号である。この描画イネーブル信号STP1は、Hレベルの期間だけ描画を許可する。

0122

遅延時間Td1は、前記した露光制御部から遅延時間補正部66に送られてくる。前記露光制御部は、原則として、長さが30mmの描画ラインSLn(SL1〜SL6)の中心位置が、31mmの最大走査長の中心位置となるように遅延時間Td1を決定するが、描画ラインSL1を主走査方向にシフトする場合等は、シフト量に応じて遅延時間Td1を決定する。前記露光制御部は、例えば、アライメント顕微鏡ALGm(ALG1〜ALG4)による撮像信号と、エンコーダEN1a、EN1bの計測情報とを用いて検出した基板FS上におけるマークMKm(MK1〜MK4)の位置情報を用いて描画ラインSL1をシフトするか否か、シフトする場合はそのシフト量も決定する。例えば、検出したマークMKm(MK1〜MK4)の位置に基づいて、露光領域Wの形状が変形している(歪んでいる)場合は、その露光領域Wの形状に応じて、描画露光するパターンも変形しなければならない。そのため、描画ラインSL1を照射中心軸Le1回りに回転させたり、描画ラインSL1を主走査方向にシフトする必要がある。

0123

描画データ出力部52は、走査ユニットMD1に対応した上記したパターンデータ(描画データ)を格納している。描画データ出力部52は、描画イネーブル信号STP1(Hレベル)が送られてくると、描画イネーブル信号STP1が入力されている期間中(Hレベルの期間中)にシリアルデータ(1列分の画素の論理情報)DL1をAOM駆動回路54に出力する(図11A、図11B参照)。描画データ出力部52は、描画イネーブル信号STP1が送られてくる度に、出力するシリアルデータDL1の列を順次シフトさせる。例えば、ある反射面RPによって発生した原点信号SZ1に応じた描画イネーブル信号STP1が送られてくると、描画データ出力部52は、1列目のシリアルデータDL1をAOM駆動回路54に出力する。その後、次の反射面RPによって発生した原点信号SZ1に応じた描画イネーブル信号STP1が送られてくると、描画データ出力部52は、次の列である2列目のシリアルデータDL1をAOM駆動回路54に出力する。このような具合で、描画データ出力部52は、描画イネーブル信号STP1が入力される度に、AOM駆動回路54に出力するシリアルデータDL1の列を順次シフトする。なお、描画データ出力部52は1列分のシリアルデータDL1を出力する期間は、描画イネーブル信号STP1が入力される期間(Hレベルの期間)より短い。

0124

図11Aは、原点センサOP1の位置ずれが生じていない場合における原点信号SZ1、描画イネーブル信号STP1、および、シリアルデータDL1の発生状態の一例を示すタイムチャートであり、図11Bは、原点センサOP1の位置ずれが生じている場合における原点信号SZ1、描画イネーブル信号STP1、および、シリアルデータDL1の発生状態の一例を示すタイムチャートである。図11A、図11Bを見比べるとわかるように、原点センサOP1の位置ずれによって原点信号SZ1の発生タイミングが遅れた場合は、ずれ量S1は負の値となるので、遅延時間Td1´は、遅延時間Td1よりずれ量S1だけ短い時間となる。そのため、描画イネーブル信号STP1(Hレベル)が出力されるタイミングは、原点センサOP1の位置ずれが生じていないときと同一となる。したがって、原点センサOP1の位置ずれが生じた場合であっても、AOM駆動回路54へのシリアルデータDL1の出力タイミングは変わらないので、原点センサOP1の位置ずれに起因して描画ラインSL1が主走査方向にシフトすることを抑えることができる。

0125

AOM駆動回路54は、描画イネーブル信号STP1がHレベルの期間中に、描画データ出力部52から送られてきたシリアルデータDL1に基づいて描画用光学素子AOM1を駆動制御する。これにより、描画用光学素子AOM1がシリアルデータDL1に基づいてスイッチングされ、描画が開始される。具体的には、AOM駆動回路54は、描画イネーブル信号STP1がHレベルの期間中に、シリアルデータDL1に基づいて描画用光学素子AOM1に出力する駆動信号(高周波信号)をオン/オフする。AOM駆動回路54は、シリアルデータDL1の画素の論理情報が「1」の場合は、描画用光学素子AOM1に出力する駆動信号(高周波信号)をオン状態にし、画素の論理情報が「0」の場合は、描画用光学素子AOM1に出力する駆動信号(高周波信号)をオフの状態にする。これにより、描画用光学素子AOM1がオンオフにスイッチングされるので、スポット光SPが走査されるとともにその強度が変調される。なお、言うまでもないが、描画イネーブル信号STP1およびシリアルデータDL1が送られてきていない期間においては、AOM駆動回路54が描画用光学素子AOM1に出力する駆動信号はオフの状態である。

0126

回転ムラ補正制御部68は、回転ムラ算出部62から送られてきた回転ムラ情報ΔRに基づいて、回転速度Vpのムラを補正するための補正信号Dpsを生成する。回転ムラ補正制御部68は、生成した補正信号Dpsをポリゴン駆動回路56に出力する。ポリゴンミラーPMを回転させるポリゴン駆動部RMは、高速回転(数万rpm)が可能なデジタルモータRMaと、デジタルモータRMaの1回転毎に1パルスの信号(計測パルス信号)を発生するエンコーダRMbを有する。ポリゴン駆動回路56は、エンコーダRMbからの計測パルス信号を用いて、デジタルモータRMaが指定された速度(一定の速度)で回転するようにフィードバック制御を行うとともに、補正信号Dpsも用いてよりきめ細やかな回転速度Vpのムラを補正する。回転ムラ情報ΔRは、ポリゴンミラーPMの反射面RP毎に算出されるので、回転ムラ補正制御部68は、ポリゴンミラーPMの1回転中に生じる回転速度Vpのムラの傾向(一般的に周期的な傾向)を、生成する補正信号Dpsに反映させることができる。

0127

ここで、要求されるずれ量S1の算出精度について具体的な数値例を交えて説明する。ポリゴンミラーPMの反射面RPの数を8、fθレンズFTに入射するビームLB1の最大振れ角(最大入射角)が、fθレンズFTの光軸AXfを中心として±15度とする。この場合は、ポリゴンミラーPMの1つの反射面RP(RPa〜RPhのいずれか1つ)が、回転角で15度(回転角度範囲α)回ることによって、スポット光SPによる1回の走査が完了する。また、スポット光SPの1回の走査で形成される描画ラインSL1の長さを30mm、描画ラインSL1の最大走査長を31mmとし、ポリゴンミラーPMの回転速度Vpを約12096.8rpmとする。

0128

この場合は、スポット光SPが30mmの描画ラインSL1を横切る時間Tsp、つまり、スポット光SPが30mmの描画ラインSL1を走査する時間Tspは、Tsp=(60〔秒〕/12096.8〔rpm〕)・(15度/360度)×(30[mm]/31〔mm〕)で求められ、時間Tspは、約200μsecとなる。この時間Tspの間に、スポット光SPは30mm(=30000μm)だけ走査されるので、基板FSに描画されるパターンの最小寸法(複数の画素から構成される)が9μmの場合は、この最小寸法9μmのラインパターンを描画するためのスポット光SPの走査時間Tcsは、Tcs=Tsp・(9〔μm〕/30000〔μm〕)で求められる。したがって、走査時間Tcsは、約60nsecとなる。さらに、基板FS上に既に形成された下地のパターン層に対して、新たなパターンを重ね合わせ露光する際の重ね合わせ精度は、最小寸法9μmの1/5以下とされることから、9μmのラインパターンの場合の重ね合わせ精度(±1.8μm)に対応するスポット光SPの走査時間は、Tcs/5、より、12nsecとなる。このことから、遅延時間Td1´およびずれ量S1は、12nsec以下の精度、または再現性で算出される必要がある。本実施の形態では、副原点センサSOPa1、SOPb1を設けることによって、原点センサOP1の位置ずれに起因したずれ量S1や回転ムラ情報ΔRを高精度にモニターすることができる。

0129

以上のように、光源装置14からのビームLBのスポット光SPを基板(対象物)FSの被照射面に投射しつつ、スポット光SPを被照射面上で1次元に走査する露光装置(ビーム走査装置)EXは、ビームLBを1次元の走査のために偏向する複数の反射面RPを有するポリゴンミラー(回転多面鏡)PMと、ポリゴンミラーPMの反射面RPに対して計測光Bgaを照射し、反射面RPが所定の回転角度位置にくると計測光Bgaの反射光Bgbを受光することで原点信号SZ(SZn、SZan、SZnb)を出力する複数の原点センサ(原点センサOPnおよび副原点センサSOPan、SOPbn)と、を備える。この複数の原点センサの各々は、ポリゴンミラーPMの互いに異なる反射面RPに向けて計測光Bgaを照射して、異なる反射面RP毎に原点信号SZを出力する。このように、複数の原点センサを設け、複数の原点センサが出力する原点信号SZを用いることにより、正確に、描画開始タイミングを決定することが可能となる。

0130

複数の原点センサは、ポリゴンミラーPMの複数の反射面RPのうち、ビームLBを偏向してスポット光SPの1次元の走査を行う反射面RPを用いて原点信号(第1の原点信号)SZnを出力する原点センサ(第1の原点センサ)OPnと、スポット光SPの1次元の走査を行う反射面RPとは異なる位置の反射面RPを用いて副原点信号(第2の原点信号)SZan、SZbnを出力する副原点センサ(第2の原点センサ)SOPan、SOPbnとを有する。したがって、副原点信号SZan、SZbnを用いて、原点信号SZnの発生タイミングを補正することが可能となり、原点センサOPnの位置ずれに起因して描画ラインSLnが主走査方向にシフトすることを抑えることができる。

0131

原点信号SZnの出力タイミングと副原点信号SZan、SZbnの出力タイミングとを用いて、原点センサOPnの位置ずれによる原点信号SZnの出力タイミングのずれを検出する制御装置18を備える。これにより、露光装置EXは、原点信号SZnの発生タイミングにずれが生じたか否かを正確に検出することができる。

0132

制御装置18は、原点センサOPnの位置ずれによる原点信号SZnの出力タイミングのずれを検出した場合は、原点信号SZnの出力タイミングのずれ量Snを算出する。これにより、露光装置EXは、原点信号SZnの発生タイミングのずれ量Snを正確に算出することができる。

0133

制御装置18は、原点信号SZnの出力タイミングに基づいて、スポット光SPの走査開始タイミングを決定し、ずれ量Snが算出された場合は、ずれ量Snを用いてスポット光SPの走査開始タイミングを調整する。これにより、正確に、描画開始タイミングを決定することができ、原点センサOPnの位置ずれに起因して、描画ラインSLnが主走査方向にシフトすることを抑えることができる。

0134

複数の副原点センサSOPan、SOPbnを備え、複数の副原点センサSOPan、SOPbnの各々は、互いに異なる位置の反射面RPを用いて副原点信号SZan、SZbnを出力する。これにより、例えば、副原点センサSOPan、SOPbnの一方が故障した場合であっても、正確に、描画開始タイミングを決定することができ、原点センサOPnの位置ずれに起因して、描画ラインSLnが主走査方向にシフトすることを抑えることができる。

0135

以上のように、本実施の形態では、基板FS上でビームLBを走査しつつ、走査の間にパターンデータに応じてビームLBを変調させて、基板FS上にパターンを描画する露光装置(パターン描画装置)EXは、走査のために、ビームLBを偏向する複数の反射面RPを有するポリゴンミラーPMと、ポリゴンミラーPMの複数の反射面RPのうちのいずれか1つの第1反射面RPaが所定角度範囲α内で回転している間、第1反射面RPaで反射されたビームLBを入射して対象物に向けて投射するfθレンズ(投射光学系)FTと、第1反射面RPaが所定角度範囲αに至る時点を表す原点信号SZnを出力する原点センサ(第1原点検出器)OPnと、ポリゴンミラーPMの複数の反射面RPのうちの第1反射面RPaとは異なる第2反射面RPc(またはRPf)が所定の回転角度位置になった時点を表す副原点信号SZan(またはSZbn)を出力する副原点センサ(第2原点検出器)SOPan(またはSOPbn)と、原点信号SZnと副原点信号SZan(またはSZbn)とに基づいて、ビームLBの変調の開始タイミングを制御する制御回路(描画制御部)50と、を備える。これにより、正確に、描画開始タイミングを決定することができ、原点センサOPnの経時的なドリフト等による位置ずれや、緩やかな振動等に起因して、描画ラインSLnが主走査方向にシフトすることを抑えることができる。

0136

10…デバイス製造システム12…基板搬送機構
14…光源装置16…露光ヘッド
18…制御装置20…光源部
26…受光部 50…制御回路
52…描画データ出力部 54…AOM駆動回路
56…ポリゴン駆動回路 60…ずれ検出部
62…回転ムラ算出部 64…ずれ量算出部
66…遅延時間補正部 68…回転ムラ補正制御部
ALGm(ALG1〜ALG4)…アライメント顕微鏡
AOMn(AOM1〜AOM6)…描画用光学素子
AXo…中心軸AXp…回転軸
BDUn(BDU1〜BDU6)…光導入光学系
CYa、CYb…シリンドリカルレンズDR…回転ドラム
ENja(EN1a〜EN3a)、ENjb(EN1b〜EN3b)…エンコーダ
EX…露光装置FS…基板
FT…fθレンズLB、LBn(LB1〜LB6)…ビーム
Len(Le1〜Le6)…照射中心軸Lx1、Lx2、Lx3…設置方位線
MDn(MD1〜MD6)…走査ユニットMKm(MK1〜MK4)…マーク
OPn(OP1〜OP6)…原点センサPM…ポリゴンミラー
RP(RPa〜RPh)…反射面 SDa、SDb…スケール部
SLn(SL1〜SL6)…描画ライン
SOPan(SOPa1〜SOPa6)、SOPbn(SOPb1〜SOPb6)…副原点センサ
SP…スポット光STP1…描画イネーブル信号
SZn(SZ1〜SZ6)…原点信号
SZan(SZa1〜SZa6)、SZbn(SZb1〜SZb6)…副原点信号
UB…本体フレームW…露光領域

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