図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2017年6月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

抗原包型免疫誘導剤を提供することを目的とする。

解決手段

ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤であって、前記ウイルス様粒子が、ウイルス由来外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、前記抗原に対する生体免疫作用誘導する、前記免疫誘導剤によって上記の課題を解決する。

概要

背景

ウイルス様粒子(Virus Like Particle)を用いて細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、ウイルス性疾患がん治療できることが知られている。たとえば、特許文献1には、SV40のVP1のループ領域CTLエピトープを導入し、それを発現させて得られたウイルス様粒子を免疫することでCTLエピトープ特異的なCTLを誘導できることが記載されている。

概要

抗原包型免疫誘導剤を提供することを目的とする。ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤であって、前記ウイルス様粒子が、ウイルス由来外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、前記抗原に対する生体免疫作用を誘導する、前記免疫誘導剤によって上記の課題を解決する。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤であって、前記ウイルス様粒子が、・ウイルス由来外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、・前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、・前記抗原に対する生体免疫作用誘導する、前記免疫誘導剤。

請求項2

前記外殻タンパク質が、ポリオーマウイルス属ウイルス由来する、請求項1に記載の免疫誘導剤。

請求項3

前記ポリオーマウイルス属ウイルスがSV40であり、前記外殻タンパク質がVP1である、請求項2に記載の免疫誘導剤。

請求項4

前記抗原結合タンパク質が、前記抗原のアミノ酸配列と、配列番号9で表されるアミノ酸配列とを含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の免疫誘導剤。

請求項5

抗原に対する生体の免疫作用を誘導する免疫誘導剤の製造方法であって、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを混合することにより、ウイルス様粒子を調製する工程を含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されている、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤の製造方法。

請求項6

前記調製工程の前に前記外殻タンパク質をコードするDNAと、前記抗原結合タンパク質をコードするDNAとを宿主細胞に導入し、前記宿主細胞に前記外殻タンパク質と前記抗原結合タンパク質とを発現させることにより、前記外殻タンパク質と前記抗原結合タンパク質とを取得する工程、を含む、請求項5に記載の製造方法。

請求項7

前記宿主細胞が、昆虫細胞大腸菌酵母植物細胞からなる群より選択される、請求項6に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、免疫誘導剤およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、その外殻抗原を内包するウイルス様粒子を含む免疫誘導剤およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

ウイルス様粒子(Virus Like Particle)を用いて細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、ウイルス性疾患がん治療できることが知られている。たとえば、特許文献1には、SV40のVP1のループ領域CTLエピトープを導入し、それを発現させて得られたウイルス様粒子を免疫することでCTLエピトープ特異的なCTLを誘導できることが記載されている。

先行技術

0003

米国特許出願公開第2014−0286978号

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、特許文献1では、VP1の特定領域にエピトープを組み込む必要があるため、エピトープが公知の抗原しか用いることができない。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、鋭意検討の結果、その外殻に抗原を内包するウイルス様粒子を用いても生体免疫反応を誘導できることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0006

すなわち、本発明によれば、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤であって、前記ウイルス様粒子が、ウイルス由来外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、前記抗原に対する生体の免疫作用を誘導する、前記免疫誘導剤が提供される。

0007

また、本発明によれば、抗原に対する生体の免疫作用を誘導する免疫誘導剤の製造方法であって、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを混合することにより、ウイルス様粒子を調製する工程を含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されている、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤の製造方法が提供される。

発明の効果

0008

本発明によると、エピトープが公知であるか未知であるかに拘らず、特定の抗原に対する生体の免疫反応を誘導できる免疫誘導剤が提供される。

図面の簡単な説明

0009

ウイルス様粒子の一例の模式図である。
組換えバキュロウイルスに感染した昆虫細胞から精製されたVLPにおいてVP2-M1およびwt VP1が存在することを示すSDS-PAGEの写真である。
VP2-M1/wtSV40VP1 VLPが形成されていることを示す電子顕微鏡写真である。
昆虫細胞から精製したVP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを投与されたマウス脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
pM01ベクターのベクターマップである。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(リン酸緩衝液ベース)を腹腔内投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(Tris緩衝液ベース)を腹腔内投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含む加熱処理カイコ蛹磨砕液(リン酸緩衝液ベース)を腹腔内投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含む加熱処理カイコ蛹磨砕液(Tris緩衝液ベース)を腹腔内投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(リン酸緩衝液ベース)を経鼻投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(リン酸緩衝液ベース)を経口投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(Tris緩衝液ベース)を経口投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含む加熱処理カイコ蛹磨砕液(Tris緩衝液ベース)を経口投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-M1/wt SV40 VP1 VLPを含むカイコ蛹磨砕液(リン酸緩衝液ベース)を注腸投与されたマウスの脾臓から得たリンパ球について行ったICS解析の結果を示す図である。
VP2-OVA/wt SV40 VP1 VLPを腹腔内投与されたマウスの血清中の抗OVA抗体産生測定の結果を示す図である。
VP2-OVA/wt SV40 VP1 VLPを経鼻投与されたマウスの血清中の抗OVA抗体産生測定の結果を示す図である。

0010

本実施形態の免疫誘導剤は、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含むウイルス様粒子を含む。
ウイルス様粒子とは、当該技術分野において周知のように、通常はウイルスゲノムを有しない構造体である。後述の外殻タンパク質および殻内ペプチドは、ウイルス由来するタンパク質を用いることができる。

0011

本実施形態の免疫誘導剤に含まれるウイルス様粒子の一例の模式図を図1に示す。この模式図で表されるウイルス様粒子は、外殻タンパク質VP1により構成される外殻を有する。外殻には、抗原を融合させたVP2が内包されている。VP1、VP2は何れもSV40に由来する。

0012

外殻タンパク質および殻内ペプチドの由来となるウイルスの種類は、少なくとも1種の外殻タンパク質と、少なくとも1種の殻内ペプチドとを有するものであれば特に限定されない。ウイルスの種類としては、例えばポリオーマウイルス属ウイルス(SV40(Simian virus 40)、JCウイルス、BKウイルス等を含む)、パピローマウイルス科に属するウイルス(α、β、γおよびμパピローマウイルス属ウイルス等を含む)、カウドウイルス目サイフォウイルス科に属するウイルス(HK97ウイルス等を含む)、レオウイルス科に属するウイルス(イネ萎縮ウイルス(RDV)、ブルータングウイルス等を含む)およびトンブスウイルス科に属するウイルス(トマトブッシースタントウイルス(TBSV)等を含む)等が挙げられる。ウイルスは、好ましくはポリオーマウイルス属のウイルスであり、より好ましくはSV40、JCウイルス、BKウイルス等であり、SV40が特に好ましい。外殻タンパク質と殻内ペプチドとは、同じウイルスに由来することが好ましい。

0013

ポリオーマウイルス属(Genus: Polyomavirus)とは、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)により2014年に公表されたウイルス分類における一属を意味する。
ウイルス分類においては、分類の再編や属名等の改変が頻繁に行われる。よって、将来ICTVまたはそれに準ずる学術的権威機関による分類において分類が再編されたり、属名等が改変されたりしたとしても、2014年のICTV分類におけるポリオーマウイルス属に属するウイルスの各々と同じ属(Genus)に分類されるウイルスは、本明細書でいうところのポリオーマウイルス属ウイルスに包含されるものとする。
また、当該分野においては新種のウイルスが度々発見されるため、将来ICTVまたはそれに準ずる学術的権威機関により公表されるウイルス分類において、現在のポリオーマウイルス属またはそれに相当する分類群に属することとなる新種のウイルスも本明細書でいうところのポリオーマウイルス属ウイルスに包含されるものとする。

0014

ポリオーマウイルス属以外に上記で挙げたウイルスの目(Order)、科(Family)、属名等も2014年に公表されたICTV分類に基づくものである。これらの定義についてもポリオーマウイルス属について述べたことと同じことがあてはまる

0015

外殻タンパク質とは、ウイルス様粒子の外殻を構成し、かつ、構成された外殻に抗原結合タンパク質を内包し得るタンパク質である。ここで、「外殻タンパク質がウイルス様粒子の外殻を構成する」とは、外殻が実質的に外殻タンパク質からなることを意味する。すなわち、外殻は、外殻タンパク質のみで構成されていてもよいし、または外殻の構造が維持される範囲において外殻タンパク質および該外殻タンパク質に結合可能なペプチドまたはタンパク質で構成されていてもよい。例えば、野生型SV40ウイルスの外殻はVP1五量体ユニットが72個集合することによって構成され、構成された外殻の内側にはVP2およびVP3が裏打ちとして結合しているが、SV40のVP1は、VP2やVP3がなくてもそれだけで外殻を構成することが可能である。つまり、本実施形態において、外殻タンパク質は、SV40 VP1のように、実質的にそれらだけで外殻を構成し得るタンパク質を意味する。外殻タンパク質は、ウイルス由来の全長アミノ酸配列のうち外殻形成に最低限必須のアミノ酸配列を少なくとも含むペプチドまたはタンパク質であり得るが、全長アミノ酸配列を有するタンパク質であることが好ましい。このような外殻タンパク質としては、例えばポリオーマウイルス属、パピローマウイルス科、カウドウイルス目サイフォウイルス科、レオウイルス科およびトンブスウイルス科に属するウイルスの外殻タンパク質、より具体的にはポリオーマウイルス属ウイルスであるSV40 (Simian virus 40)やJCウイルス等のVP1、パピローマウイルス科に属するウイルスのL1、イネ萎縮ウイルス(RDV)のP8等が挙げられる。外殻形成に最低限必須のアミノ酸配列を少なくとも含むペプチドまたはタンパク質としては、例えばトマトブッシースタントウイルス(TBSV)由来のβ-アニュラス構造を形成する24マーのペプチド等が挙げられる。外殻タンパク質は、より好ましくはポリオーマウイルス属ウイルスの外殻タンパク質、更に好ましくはSV40、JCウイルス、BKウイルス等の外殻タンパク質であり、SV40 VP1であることが特に好ましい。外殻タンパク質は、1種以上であり得る。

0016

なお、SV40のVP2やVP3のように、野生型ウイルスにおいてその外殻を構成するメンバーであるが、それらだけで外殻を構成し得ないタンパク質は、本実施形態においては、以下で説明する「殻内ペプチド」に包含され得る。しかしながら、上記のことは、SV40のVP2やVP3のような「殻内ペプチド」を含む他の物質が、外殻の構成要素から排除されることを意味するものではなく、このような他の物質は、外殻を構成する非必須のメンバーであるか、または何らかの形で外殻の形成に関与していてもよい。
「内包」とは、抗原結合タンパク質中の少なくとも抗原が、外殻タンパク質によって形成される外殻の内側に存在する状態をいう。

0017

外殻タンパク質は、野生型ウイルスのものと完全に同一のアミノ酸配列を有している必要はなく、外殻形成に支障がなく、かつ、形成された外殻に抗原結合タンパク質を内包し得る限り、アミノ酸配列が変異していてもよい。ここで、アミノ酸配列の変異とは、野生型の配列に比べてアミノ酸残基の1つ又は複数が置換欠失、または付加されていることを意味する。外殻タンパク質は、その自己集合化能により外殻を形成するものであってもよいし、宿主内在する因子の作用によって外殻を形成するものであってもよい。外殻タンパク質は、単量体のまま外殻を形成するものであってもよいし、多量体から構成される外殻形成ユニット(カプソメア)を形成し、それが集合することによって外殻を形成するものであってもよい。外殻タンパク質は、好ましくは2〜10量体、より好ましくは3〜5量体のカプソメアが50〜500個程度集合して外殻を形成するものである。外殻タンパク質は、天然のタンパク質を抽出・精製したものであってもよいし、遺伝子工学的手法などにより人工的に合成されたものであってもよい。

0018

外殻の形状は特に限定されない。球状であってもよいし、管状であってもよい。外殻は、たとえば、正八面体正二十面体の略球状である。
外殻が外殻タンパク質の単量体から構成される場合、1つの外殻を構成する単量体の数は特に限定されないが、好ましくは100〜1000個、より好ましくは150〜500個である。
外殻がカプソメアから構成される場合、1つの外殻を構成するカプソメアの数は、好ましくは50〜390個、より好ましくは72〜260個である。
外殻の直径は、特に限定されないが、好ましくは30〜300 nm、より好ましくは45〜200 nmである。

0019

抗原結合タンパク質は、抗原と殻内ペプチドとの融合タンパク質である。抗原結合タンパク質は、所望の抗原のアミノ酸配列と、ウイルス由来の殻内ペプチドのアミノ酸配列とを含む。殻内ペプチドは、本実施形態のウイルス様粒子を構成するものであれば特に限定されない。殻内ペプチドは、ウイルス由来の全長アミノ酸配列のうち、本実施形態のウイルス様粒子を構成するために必要なアミノ酸配列を少なくとも含む。殻内ペプチドは、好ましくは、全長アミノ酸配列を有する。殻内ペプチドとしては、例えばSV40(Simian virus 40)やJCウイルス等のVP2およびVP3、パピローマウイルス科に属するウイルスのL2、RDVのP3等が挙げられる。上記のウイルス由来の全長アミノ酸配列のうち、本実施形態のウイルス様粒子を構成するために必要なアミノ酸配列を少なくとも含むペプチドとしては、例えば配列番号8のアミノ酸配列からなるペプチド(具体的にはSV40のVP2およびVP3に共通のVP1結合ドメインからなるペプチド)等が挙げられる。より好ましくは、殻内ペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質であり、更に好ましくは配列番号9又は11のアミノ酸配列からなるタンパク質(具体的には、それぞれSV40のVP3およびVP2;核酸配列はそれぞれ配列番号10および12に示す)である。殻内ペプチドは、1種以上であり得る。

0020

殻内ペプチドは、野生型ウイルスのものと完全に同一のアミノ酸配列を有していてもよいし、本実施形態のウイルス様粒子を構成する限り、アミノ酸配列が変異していてもよい。殻内ペプチドは、外殻タンパク質の内側に外殻の裏打ちを形成するように結合するものであってもよいし、外殻タンパク質に結合することなく外殻に内包化されるものであってもよいし、例えばRDVのP3のように外殻の内側に内殻を形成するものであってもよい。なお、このような内殻を形成する殻内ペプチドを用いる実施形態においては、外殻内に存在する限り、「殻内」の用語が用いられる。また、殻内ペプチド以外の物質が内殻を形成する場合、殻内ペプチドが内殻内および内殻外の何れに存在しても、殻内ペプチドが外殻内に存在する限り、「殻内」に存在する、という。殻内ペプチドの一部は、外殻から露出していてもよい。殻内ペプチドには、例えば抗原結合タンパク質の発現を確認するためのタグ、例えばFLAGタグ等が付加されていてもよい。

0021

好ましい実施形態において、ウイルスは、ポリオーマウイルス属SV40である。この実施形態では、外殻タンパク質はVP1であり、抗原結合タンパク質はVP2および/またはVP3と抗原との融合タンパク質である。VP1はメジャーカプシドタンパク質、VP2およびVP3はマイナーカプシドタンパク質とも呼ばれる。SV40のVP1ならびにVP2および/またはVP3を用いる場合、VP2およびVP3は、外殻タンパク質VP1の内側に外殻の裏打ちを形成するように結合する。一般に、ウイルスの外殻がしばしばカプシドと称されるため、SV40のVP2およびVP3等のように外殻形成に関与するタンパク質は広義には外殻タンパク質であるとも解され得る。しかしながら、本実施形態においては、SV40のVP1のように、それ自体で外殻そのものを構成するタンパク質を「外殻タンパク質」と称する。つまり、一般に外殻タンパク質またはカプシドタンパク質と称され得るタンパク質であっても、SV40のVP2およびVP3のように、本明細書においては「殻内ペプチド」に包含される場合がある。本実施形態では、VP2および/またはVP3に抗原を結合させることにより、抗原を外殻に内包させることが可能である。

0022

抗原の種類は特に限定されず、ポリペプチド糖鎖核酸、脂質などが例示される。ただし、本明細書において、外殻タンパク質および殻内ペプチドは「抗原」に含まれない。これらのうち、ポリペプチドが好ましい。抗原としてポリペプチドを用いた場合は、遺伝子工学的に抗原と殻内ペプチドとを含む融合タンパク質を容易に生産することができる。また、抗原としては、病原体に由来するポリペプチドを用いることが好ましい。病原体に由来するポリペプチドは、全長ポリペプチドであってもよいし、一部の配列のみを含むポリペプチドであってもよい。例えば、インフルエンザウイルスHA、NA、M1、M2、NP、NS1、NS2、PA、PB1、PB2、PB1-F2など、HIVのGag、Pol、Env、Tat、Nef、Revなど、C型肝炎ウイルス(HCV)のE1、E2、Core、NS2、NS3、NS4、NS5など、パピローマウイルス科に属するウイルスのE6、E7など、癌細胞に特異的なタンパク質であるMelan-A/MART-1、gp100、MAGEA3、MAGE-A10、CEAHER2/new、NY-E50-1、WT-1、hTERTなどが挙げられる。これらの中では、インフルエンザウイルスのM1、NP、NS1、PA、PB1、PB2、癌細胞に特異的なタンパク質であるHER2/new、WT-1、MAGE-A3などが好ましい。

0023

抗原は、ウイルス様粒子の外殻に内包されるように、殻内ペプチドに結合している。従来、外殻タンパク質が外殻を形成したときに当該外殻の外側に露出される上記外殻タンパク質中の部分に抗原エピトープを組み込んだウイルス様粒子(具体的には、SV40VP1のDEループ又はHIループにエピトープを組み込んだウイルス様粒子)が知られている(特許文献1)。この場合、組み込まれる抗原エピトープのアミノ酸長が長すぎると外殻構造破壊され得ることやエピトープを外殻タンパク質の特定領域に組み込む必要があること等から、現実的にはエピトープが短く(5〜15アミノ酸程度)、かつ、その配列が公知の抗原しか用いることができない。一方、本実施形態では、外殻に抗原を内包させるため、従来のエピトープを外殻構造中に組み込む方法と比較して、より長いアミノ酸長を有する抗原を内包させることが可能となり、全長の抗原を用いることもできる。しかも、抗原に対してアジュバントを加えることなく、免疫誘導することが可能である。このことは、本発明者らが意外にも見出した観点である。

0024

抗原のサイズは、外殻に内包され得る限り特に限定されない。抗原のサイズは、好ましくは200〜600アミノ酸長である。

0025

抗原と殻内ペプチドとを融合させる方法は特に限定されず、当業者に公知の方法、例えば遺伝子組換え技術等を用いることができる。抗原と殻内ペプチドとは、当業者に公知の1以上のリンカー、例えばGGGGSリンカーを介して融合させてもよい。

0026

本実施形態の免疫誘導剤は、ウイルス様粒子の外殻に内包された抗原に対する生体の免疫作用を誘導する。ここで、「免疫作用を誘導する」とは、抗体や細胞傷害性T細胞を誘導することにより、生体の免疫を活性化することをいう。たとえば、疾患(がん等)の発症前または病原体(ウイルス等)への感染前に生体に投与して抗体を産生させる作用および/またはメモリーCTLを誘導する作用を増強し、将来の疾患を予防すること(予防ワクチンとして用いること)、疾患(がん、感染症等)を有する生体に投与することによって、生体の細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導し、疾患を治療すること(免疫療法のために用いること)などが挙げられる。

0027

免疫誘導剤は、ウイルス性疾患の予防又は治療用ワクチンや各種癌の予防又は治療用ワクチンとして使用できる。具体的には、免疫誘導剤は、疾患、例えば感染症(インフルエンザ免疫不全症候群C型肝炎等)、がん(子宮頸がん咽頭乳頭腫等)、疣贅(常性疣贅、封入体疣贅、扁平疣贅等)、HPV関連表皮様嚢腫、疣贅状表皮発育異常症尖圭コンジローマ、ボーエン丘疹症等の予防又は治療用ワクチンとして用いることができる。

0028

免疫誘導剤において、ウイルス様粒子は、当業者に公知の医薬品添加物と共に製剤化されていてもよい。このような医薬品添加物としては、限定されないが、賦形剤滑沢剤結合剤崩壊剤コーティング剤カプセル基剤可塑剤着色剤溶剤、安定剤、保存剤緩衝剤無痛化剤基剤乳化剤および懸濁化剤、その他矯味剤甘味剤吸着剤溶解補助剤pH調節剤増粘剤等張化剤分散剤防腐剤湿潤剤着香剤抗酸化剤等が挙げられる。

0029

賦形剤としては、限定されないが、例えばマンニトール白糖ブドウ糖トウモロコシデンプン結晶セルロースリン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、限定されないが、例えばステアリン酸マグネシウムタルクコロイドシリカなどが挙げられる。

0030

結合剤としては、限定されないが、例えばアラビアゴムヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポビドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
崩壊剤としては、限定されないが、例えば架橋カルメロースナトリウムカルメロースカルシウム、架橋ポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。

0031

コーティング剤としては、限定されないが、白糖、タルクなどの糖衣用コーティング剤、カルボキシメチルエチルセルロースなどの腸溶性コーティング剤ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどの胃溶性コーティング剤などが挙げられる。

0032

カプセル基剤としては、限定されないが、ゼラチンなどが挙げられる。
可塑剤としては、限定されないが、トリアセチン中鎖脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。
着色剤としては、限定されないが、食用タール色素レーキ色素三酸化二鉄などが挙げられる。

0033

溶剤としては、限定されないが、注射用水滅菌精製水などの水性溶剤植物油(オリーブ油ダイズ油ゴマ油等を含む)などの非水性溶剤などが挙げられる。
安定剤としては、限定されないが、窒素二酸化炭素などの不活性ガスEDTAなどのキレート剤L-アスコルビン酸などの還元物質などが挙げられる。
保存剤としては、限定されないが、パラオキシ安息香酸エステルクロロブタノールなどが挙げられる。
緩衝剤としては、限定されないが、クエン酸酢酸リン酸などのナトリウム塩などが挙げられる。
無痛化剤としては、限定されないが、ベンジルアルコールプロカイン塩酸塩、ブドウ糖などが挙げられる。

0034

基剤としては、限定されないが、カカオ脂、ゼラチンなどの坐剤用基剤および流動パラフィンカルナウバロウなどの軟膏用基剤などが挙げられる。
乳化剤としては、限定されないが、アラビアゴム、ポリソルベートラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤としては、限定されないが、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウムトラガントモノステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。

0035

免疫誘導剤は、それ自体で十分な免疫誘導効果を有するので、アジュバントを含まなくてもよいが、含んでいてもよい。免疫誘導剤がアジュバントを含む場合、使用するアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲル完全フロイントアジュバント不完全フロイントアジュバント百日咳菌アジュバントポリ(I,C)、CpG-DNA等が挙げられる。

0036

免疫誘導剤は、固形製剤半固形製剤液状製剤注射剤、坐剤、その他当業者に公知の製剤形態のいずれであってもよい。具体的な剤形としては、限定されないが、例えば錠剤丸剤顆粒剤散剤カプセル剤トローチ剤、注射剤、液剤エリキシル剤シロップ剤リモナーデ剤、坐剤、軟膏剤懸濁剤乳剤リニメント剤ローション剤経皮吸収型製剤貼付剤パップ剤エアゾール剤などが挙げられる。

0037

液状製剤は、たとえば、ウイルス様粒子を発現した宿主細胞からウイルス様粒子を抽出し、必要に応じて適切な溶媒希釈することにより調製される。
懸濁剤は、たとえば、ウイルス様粒子を発現した宿主細胞をホモジナイズして得られたホモジネートを精製し、必要に応じて抽出、精製、溶媒による希釈などにより調製される。具体的には、カイコなどの鱗翅目昆虫固体を宿主とした場合、ウイルス様粒子を発現した個体を摩砕し、粗精製して調製され得る。

0038

免疫誘導剤の投与経路は、特に限定されないが、例えば経口投与、経粘膜投与(例えば経鼻投与、鼻内投与口腔投与及び注腸投与等)、非経口的投与(例えば腹腔内注射皮下注射静脈内注射筋肉内注射組織間隙の空間への注射等)、経皮的投与等が挙げられる。即ち、本実施形態の免疫誘導剤は、負担の大きい注射等による投与だけでなく、経口での摂取、点鼻薬での投与、浣腸など負担の少ない投与も可能である。例えば、免疫誘導剤を動物混入させることによって、動物用ワクチンとして用いることができる。

0039

免疫誘導剤の投与量および投与回数は、抗原の種類、投与対象動物種、投与対象の症状、年齢、体重、投与形態等に応じて当業者が適宜設定できるが、通常0.01μg〜100mg、好ましくは0.1μg〜50mg、より好ましくは1.0μg〜10mgであり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。

0040

免疫誘導剤は、生体、より具体的にはヒトやヒト以外の動物(ヒト以外のほ乳類鳥類は虫類など)を投与対象とすることができる。ヒト以外の動物としては、例えば、ウシウマブタニワトリイヌネコ、マウス、ラットウサギサルなどを挙げることができる。

0041

本実施形態の免疫誘導剤は、免疫誘導の観点から薬理学的に有効な量のウイルス様粒子を含有する医薬組成物である。ウイルス様粒子は、投与した際に医学的に許容できる副作用が生じてもよいが、投与対象の動物にとって病原性がなく、副作用が生じないことが好ましい。
本実施形態の免疫誘導剤は、当業者に公知の方法に従ってウイルス様粒子を調製し、必要に応じて医薬的に許容される賦形剤等と混合して製剤化することによって製造することができる。

0042

ウイルス様粒子の調製は、例えば、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを混合することによって行うことができる。混合条件は、当業者が適宜設定できる。外殻タンパク質と抗原結合タンパク質とを混合することにより、抗原結合タンパク質は外殻タンパク質によって形成される外殻に内包化される。

0043

ウイルス様粒子を調製する前に、外殻タンパク質をコードするDNAと、抗原結合タンパク質をコードするDNAとを宿主細胞に組み込み、前記宿主細胞に前記外殻タンパク質と前記抗原結合タンパク質とを発現させることにより、前記外殻タンパク質と前記抗原結合タンパク質とを取得してもよい。これらのタンパク質の取得は、当業者に公知の方法、例えば遺伝子組換え等によって行うことができる。

0044

宿主細胞は、ウイルス様粒子の形成に支障がない限り特に限定されない。宿主細胞は、例えば昆虫細胞(カイコのような昆虫個体を含む)、大腸菌酵母、植物からなる群より選択される。宿主細胞は、好ましくは昆虫細胞、より好ましくは鱗翅目昆虫個体、さらに好ましくはカイコである。

0045

宿主細胞において外殻タンパク質および抗原結合タンパク質を発現させる場合、ウイルス様粒子は、宿主細胞内で発現された外殻タンパク質と抗原結合タンパク質とが接触することにより調製されてもよい。あるいは、宿主細胞に対するホモジナイズ、精製、抽出などの製造過程においてウイルス様粒子が形成されてもよい。

0046

宿主細胞内で形成されたウイルス様粒子は、必要に応じて回収してもよい。回収方法は特に限定されないが、主に宿主細胞の種類によって当業者が適宜選択できる。例えば、宿主細胞が昆虫細胞や大腸菌細胞等である場合には超音波処理等による細胞溶解等、宿主細胞が鱗翅目昆虫のである場合には磨砕等によってウイルス様粒子を溶出させ、遠心分離後に上清を回収する方法を用いることができる。

0047

好ましい実施形態では、まず外殻タンパク質をコードするDNAおよび抗原結合タンパク質をコードするDNAが組み込まれたバキュロウイルスを昆虫細胞又は昆虫個体に感染させる。次に、昆虫細胞又は昆虫個体を超音波処理または磨砕し、その後遠心分離又は濾過して上清を回収することによってウイルス様粒子を取得することができる。あるいは、外殻タンパク質をコードするDNAおよび抗原結合タンパク質をコードするDNAが組み込まれたバキュロウイルスに代えて、外殻タンパク質をコードするDNAが組み込まれた第1バキュロウイルスおよび抗原結合タンパク質をコードするDNAが組み込まれた第2バキュロウイルスを宿主細胞に感染させてもよい。

0048

ウイルス様粒子は、必要に応じて精製してもよい。精製方法としては特に限定されず、例えば密度勾配遠心分離クロマトグラフィ等の当業者に公知の方法等が挙げられる。

0049

ウイルス様粒子は、必要に応じて加熱処理してもよい。加熱方法としては特に限定されず、例えば宿主細胞としてのカイコ蛹を沸騰水中でインキュベートする方法等が挙げられる。

0050

製剤化は、当業者に公知の方法によって、例えばウイルス様粒子と適切な医薬品添加物とを混合し、所望の剤形に成型し、必要に応じてコーティングすることによって行うことができる。
具体的には、剤形を固形製剤、例えば錠剤とする場合には、例えばウイルス様粒子と適切な賦形剤、結合剤および/または崩壊剤とを混合し、適切な滑沢剤を添加して更に混合し、混合物打錠し、必要に応じてコーティングすることなどによって製剤化することができる。
剤形を注射剤や液状製剤とする場合には、例えばウイルス様粒子を適切な溶剤に分散させ、必要により濾過または滅菌処理し、所定の容器充填することなどにより製剤化することができる。

0051

剤形を軟膏剤とする場合には、例えば、適切な軟膏用基剤を加温装置付き混合機中で溶融させ、加温をやめ、軟膏状に固まるまで低速で混合し、固まる直前にウイルス様粒子を加え、所定の容器に充填することなどにより製剤化することができる。
剤形を坐剤とする場合には、例えばウイルス様粒子と、予め低温融解した適切な坐剤用基剤とを混合し、鋳型に注いで冷却し固めることなどにより製剤化することができる。

0052

別の実施形態は、生体の免疫作用を誘導するためのウイルス様粒子に関する。より具体的には、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含む、前記抗原に対する生体の免疫作用を誘導するためのウイルス様粒子であって、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されている、前記ウイルス様粒子に関する。
ウイルス様粒子、ウイルス、外殻タンパク質、外殻、抗原結合タンパク質、抗原等については上記したとおりである。

0053

本実施形態のウイルス様粒子は、生体に投与することによりその外殻に内包された抗原に対する生体の免疫作用を誘導することによって、ウイルス性疾患の予防又は治療用ワクチンや各種癌の予防又は治療用ワクチンとして使用できる。したがって、上記のウイルス様粒子は、疾患、例えば感染症(インフルエンザ、HIV、C型肝炎等)、がん(子宮頸がん、咽頭乳頭腫等)、疣贅(尋常性疣贅、封入体疣贅、扁平疣贅等)、HPV関連表皮様嚢腫、疣贅状表皮発育異常症、尖圭コンジローマ、ボーエン様丘疹症等の予防又は治療用ワクチンとして用いることができる。

0054

よって、別の実施形態は、疾患を治療するためのウイルス様粒子に関するということもできる。より具体的には、本実施形態は、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含む、疾患を治療するためのウイルス様粒子であって、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されている、前記ウイルス様粒子に関する。
ウイルス様粒子、ウイルス、外殻タンパク質、外殻、抗原結合タンパク質、抗原、疾患等については上記したとおりである。

0055

また、別の実施形態は、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤を生体に投与することを含む、生体の免疫作用を誘導する方法に関する。より具体的には、本実施形態は、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤を生体に投与することを含む、生体の免疫作用を誘導する方法であって、前記ウイルス様粒子が、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、前記抗原に対する生体の免疫作用を誘導する、前記生体の免疫作用を誘導する方法に関する。
ウイルス様粒子、ウイルス、外殻タンパク質、外殻、抗原結合タンパク質、抗原、免疫誘導剤およびその投与方法、生体等については上記したとおりである。

0056

また、別の実施形態は、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤を生体に投与することを含む、疾患を予防又は治療する方法に関するということもできる。より具体的には、本実施形態は、ウイルス様粒子を含む免疫誘導剤を生体に投与することを含む、疾患を予防又は治療する方法であって、前記ウイルス様粒子が、ウイルス由来の外殻タンパク質と、抗原結合タンパク質とを含み、前記外殻タンパク質が前記ウイルス様粒子の外殻を構成し、前記抗原結合タンパク質が前記外殻内に内包されており、前記抗原に対する生体の免疫作用を誘導する、疾患を予防又は治療する方法に関する。
ウイルス様粒子、ウイルス、外殻タンパク質、外殻、抗原結合タンパク質、抗原、免疫誘導剤およびその投与方法、生体、疾患等については上記したとおりである。

0057

また、別の実施形態では、免疫誘導剤の製造におけるウイルス様粒子の用途に関する。
ウイルス様粒子、ウイルス、外殻タンパク質、外殻、抗原結合タンパク質、抗原、免疫誘導剤およびその投与方法、生体、疾患等については上記したとおりである。

0058

以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0059

実施例1:VP2-M1内包SV40VP1 VLPの調製とその免疫によるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞の誘導

0060

野生型(wt: wild type) simian virus 40 (SV40) VP1を発現するバキュロウイルスの作製
wt SV40 VP1遺伝子(配列番号1;アミノ酸配列は配列番号2に示す)をpFastBac1プラスミド(invitrogen)のSal Iサイト及びKpn Iサイトに挿入した。得られたプラスミドで、バキュロウイルスゲノムを保持する大腸菌DH10bac (invitrogen)を形質転換し、VP1を組込んだ組換えバキュロウイルスゲノムを調製した。組換えバキュロウイルスゲノムをSf-9細胞トランスフェクションした。三日後にその上清を回収して、組換えバキュロウイルスを含む溶液とした。この溶液の一部を再び、Sf-9細胞(invitrogen)に感染させることで、組換えバキュロウイルスタイターを上昇させた。これを組換えバキュロウイルスのストック溶液とした。

0061

VP2融合M1タンパク質を発現するバキュロウイルスの作製
wtSV40VP2のアミノ末端(N末端: amino terminus)をコードするコドン上流にFLAGタグのコード配列(配列番号13)を付加して更にその上流にBamHIサイトを導入した。また、wt SV40 VP2のストップコドンを除いてEcoRIサイトを導入した。得られたポリヌクレオチドをpFastBac1プラスミドのBamHIサイト、および、EcoRIサイトを介して挿入し、wt SV40 VP2遺伝子を含むプラスミドを作製した。M1タンパク質のN末端をコードするコドンの上流にGGGGSGGGGSGGGGSリンカー(配列番号3;核酸配列は配列番号14に示す)のコード配列を導入し、更にその上流にEcoRIサイトを導入した。また、M1タンパク質コード配列の下流にストップコドンを付加して更にその下流にSal Iサイトを導入した。得られたポリヌクレオチドを、上記のwt SV40 VP2遺伝子を含むプラスミドのEcoRIサイト、および、Sal Iサイトを介して導入し、VP2コード配列の下流にM1コード配列を融合した遺伝子を保持したプラスミドを作製した。

0062

このプラスミドで、バキュロウイルスゲノムを保持する大腸菌DH10bac (invitrogen)を形質転換し、wtSV40VP2にM1を融合したタンパク質VP2-M1(配列番号4;核酸配列は配列番号5に示す)を発現する組換えバキュロウイルスゲノムを調製した。これらの組換えバキュロウイルスゲノムをSf-9細胞にトランスフェクションした。三日後にその上清を回収して、組換えバキュロウイルスを含む溶液とした。

0063

上記で得られた溶液の一部を再び、Sf-9細胞に感染させることで、組換えバキュロウイルスタイターを上昇させた。これを組換えバキュロウイルスのストック溶液とした。

0064

VP2-M1を含むwtSV40VP1 VLPの調製
wt SV40 VP1を組込んだ組換えバキュロウイルス(M.O.I. (multiplicity of infection) = 0.05〜0.2)と、VP2-M1を組込んだバキュロウイルス(M.O.I. = 0.015〜0.06)とを、3x107個のSf-9細胞を撒いた15 cm培養ディッシュ中で共感染させた(wt SV40 VP1 : VP2-M1 = 1 : 0.3の感染比率(M.O.I.ベース))。これを計10枚作成した。感染3日後に、これら10枚のディッシュに撒いた計3x108個のSf-9細胞を回収した。PBS(-)で洗浄後、細胞を10 mlのVP1超音波処理用バッファー(20 mM Tris-HCl (pH7.9), 1% (w/vol)デオキシコール酸)で再懸濁した。その後、内在性プロテアーゼ活性を抑制するため、2 mM フッ化フェニルメタンスルホニル(最終濃度2 μM) 、及び、キモスタチン(最終濃度1 μg/ml)、アプロチニン(最終濃度1 μg/ml)、ロイペプチン(最終濃度1 μg/ml)、アンチパイン(最終濃度1 μg/ml)、ペプスタチン(最終濃度1 μg/ml) を加えて、超音波破砕した。その後、15,000 rpm、4℃で5分間遠心分離して上清とペレットに分け、上清をライセート溶液とした。

0065

塩化セシウム密度勾配遠心分離用に20% CsCl溶液(20 mM Tris-HCl (pH7.9), 20% (w/vol) 塩化セシウム), 30% CsCl溶液 (20 mM Tris-HCl (pH7.9), 30% (w/vol) 塩化セシウム), 40% CsCl溶液 (20 mM Tris-HCl (pH7.9), 40% (w/vol) 塩化セシウム), 50% CsCl溶液 (20 mM Tris-HCl (pH7.9), 50% (w/vol) 塩化セシウム) をUltra-Clear遠心分離用チューブ(14 x 89 mm, Beckman coulter)に密度の高い方から順に1.5 mlずつ重層した。そして、更にVP2-M1を含むwtSV40VP1を含むライセート溶液5 mlを重層した。その後、35,000 rpm, 3時間, 4℃で超遠心分離した (SW41Ti rotor, Beckman)。

0066

超遠心分離後、中央に現れる白いバンドを23G, 1 mlのテルモシリンジ(0.60 x 32 mm、TERUMO)で回収した。この画分を37% CsCl溶液(20 mM Tris-HCl (pH7.9), 37% (w/vol)塩化セシウム) と混合し、Ultra-Clear遠心分離用チューブ(11 x 60 mm, Beckman coulter)に移した。その後、50,000 rpm, 20時間, 4℃で超遠心分離した (SW60Ti rotor, Beckman)。超遠心分離後、中央に現れる白いバンドを23G, 1 mlのテルモシリンジ (0.60 x 32 mm、TERUMO)で回収した。この画分をPBS(-) の溶媒で透析(Slide-A-LyzerMINI Dialysis Units, 3,500MWCO, ThermoSCIENTIFIC)して、その画分を15,000 rpm, 5分, 4℃で遠心分離した。上清を回収して精製VP2-M1を含むwtSV40VP1 VLP画分とした。この画分をSDS-PAGEで展開後、CBB染色した。その結果、確かにVP2-M1由来のバンドとwt SV40 VP1 VLP由来のバンドの2本が精製されていることが明らかとなった(図2A)。また、この画分に含まれるVP2-M1内包wt SV40 VP1 VLP (VP2-M1/ wt SV40 VP1VLP)試料を電子顕微鏡で観察した。その結果、wt SV40 VP1 によって形成されたVLPが確認できた(図2B)。このVLP内部にVP2-M1が内包されていることが示唆された。

0067

VP2-M1/wtSV40VP1 VLPの免疫
以下の実験はC57BL/6をバックグラウンドとし、HLA-A*0201とH-2Dbのキメラでさらにヒトのβ2mを融合したものを発現しているトランスジェニックマウス(以下、HHDマウス)を使用した。このマウスは、マウスのβ2mおよびH-2Dbをノックアウトしているため、マウス由来MHCclass Iは細胞表面に露出していないと考えられる。

0068

上記の100 μl のVP2-M1/ wtSV40VP1 VLP(500μg/ml) を8週齢のトランスジェニックマウスに腹腔内の経路で免疫した。免疫には、27ゲージニードルを挿入した1 mlのシリンジ(マイジェクター注射針付きシリンジ、インスリン用、TERUMO,SS-10M2713)を用いた。
または、40 μl のVP2-M1/ wt SV40 VP1 VLP (500μg/ml)を、全身麻酔を施した8週齢のトランスジェニックマウスに点鼻投与の経鼻経路で投入した。

0069

投入後1週間後に、免疫したマウスの脾臓を回収した。下記の方法でリンパ球を調製し、下に記すIntra-cellular staining (ICS)解析を行った。

0070

マウスの脾臓からのリンパ球の調製
免疫したマウスから脾臓を摘出し、5 mlのRPMI-1640培地の入ったφ6 cmディッシュに置いた。ピンセットを用いて脾臓を培地内で、良く揉みほぐし、培地に溶出されたリンパ球を含む溶液を15 mlチューブに移した。もう一度、φ6 cm ディッシュを5 mlのRPMI-1640 培地で洗浄した。上清を上記の15 ml チューブに加え、総量 10 mlとした。すぐに15 ml チューブの底にたまる組織断片を残して、上清を再び新しい15 ml チューブに移した。その後、室温、1,200 rpmで5分間遠心分離し、リンパ球を含むペレットを得た。上清を除いて、ペレットをほぐした。その後、赤血球を除くために、250 μlのNH4Cl-トリス溶液を加えかき混ぜた。その後、すばやく10 mlのRPMI-1640 培地を加え、室温、1,2000 rpmで5分間遠心分離し、リンパ球を含むペレットを得た。上清を除いて、ペレットをほぐした。その後、再び10 mlのRPMI-1640 培地を加えた。変性した赤血球を極力吸わないようにしてピペットでリンパ球を含む培地を新しい15 ml チューブに移した。その後、再び室温、1,200 rpmで5分間遠心分離した。上清を除いた後、ペレットをほぐした。もう一度10 mlのRPMI-1640 培地で懸濁し、室温、1,200 rpmで5分間遠心分離した。上清を除いて、最後に2 mlの10%FCS混入RPMI-1640 培地で懸濁した。リンパ球を数えるために、490 μlの2%酢酸溶液に10 μlの上記懸濁溶液を加えた。ビュルケチュルク血球計算版で、細胞数を算出した。1x107細胞/mlとなるように10%FCS混入RPMI-1640 培地で希釈した。

0071

Intra-cellular staining (ICS)解析
マウスへ免疫後に、脾臓から回収したリンパ球中に、M1のCTLエピトープ配列(GILGFVFTL) に反応して誘導されるCTLが存在することを調べるために、ICS解析を行った。96ウェル丸底プレートに10%FCS混入RPMI-1640培地で25倍希釈したBD GolgiPlug (商標)(BD) を1 ウェル当り5 μl加えた。そこにさらに10% FCS混入RPMI-1640 培地で希釈した20 μMのM1のCTLエピトープのペプチド(GILGFVFTL, Operon)を100 μl加えた。ネガティブコントロールとして、ペプチドを含まない10% FCS混入RPMI-1640 培地を100 μl加えた。このウェルに上記で調製したリンパ球を100 μl加えた。その後、5時間、37℃、5% CO2でインキュベートした。

0072

インキュベート後4℃、1,400 rpmでスピンダウンして上清を除き、ボルテックスミキサーで細胞をほぐした。その後、FACSバッファー(2%FCS, 0.1%アジ化ナトリウム, 1xPBS(-))を1ウェル当り200 μl加えた。再び4℃、1,400 rpmでスピンダウンして上清を除き、細胞をほぐした。その後、FACS バッファーで5 μg/mlに希釈したMouse BD Fc Block(商標)(BD Pharmingen) を100 μl加えて、4℃で10分間インキュベートした。

0073

インキュベート後、4℃、1,400 rpmでスピンダウンして上清を除き、細胞をほぐした。その後、FACSバッファーを1ウェル当り200 μl加え、再び4℃、1,400 rpmでスピンダウンして上清を除いた。もう一度FACS バッファーによる洗浄操作を行った。ほぐした細胞に、FACS バッファーで10 μg/mlに希釈したFITCRat Anti-Mouse CD8a Clone: 53-6.7 (BD Pharmingen) を1 ウェル当り50 μl加えて、4℃暗所で30分間インキュベートした。

0074

インキュベート後、200 μlのFACSバッファーでの洗浄操作を2回行った。その後、ほぐした細胞に、1ウェル当り100 μlのBD Cytofix/Cytoperm(商標)(BD Biosciences)を加えて、4℃暗所で20分間インキュベートした。インキュベート後、FACS バッファーに代えて200 μlの1xBD Perm/Wash(商標)(BD biosciences)を用いて、上記と同様の洗浄操作を2回行った。その後、ほぐした細胞に、1xBD Perm/Wash(商標)で10 μg/mlに希釈したPE anti-mouse IFN-γClone: XMG1.2 (BioLegend) を50 μl加えて、4℃暗所で30分間インキュベートした。

0075

インキュベート後、200 μlの1xBD Perm/Wash(商標)を用いて上記と同様の洗浄操作を2回行った。その後、ほぐした細胞に、1ウェル当り100 μlのFACS固定バッファー (1%ホルムアルデヒド, 1xFACSバッファー)を加えて、4℃暗所で一晩インキュベートした。

0076

インキュベート後、400 μlのFACSバッファーを5 mlのポリスチレンチューブ(BD Falcon, 5 ml polystyrene round-bottom tube 12 x 75 mm style)に加えた。そこに100 μlのFACS固定バッファーで固定したサンプルを加えた。その後、FACScan (BD) でドットプロット解析を行った。解析にはCell Quest (BD) のソフトウェアを使用した。ICSの2次元解析の結果を図2Cに示す。

0077

ICS解析の結果、腹腔内(i.p.)ルートの免疫でも経鼻ルートの免疫でもFMP:58-66ペプチド添加依存的にCD8+IFN-γ+T細胞が出現した。このことから、確かにVP2-M1/ wtSV40VP1VLP免疫によってM1タンパク質中に含まれるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte) が誘導されることが明らかになった(図2C)。

0078

これらの結果から、昆虫細胞から精製したVP2-M1/ wtSV40VP1 VLPを腹腔内経路または経鼻的にHHDマウスに投与するとM1 CTLepitope特異的CTLが誘導できることが示された。

0079

実施例2:VP2-M1、および、SV40wild type VP1 が共発現しているカイコ蛹磨砕液の免疫(腹腔内、経鼻、経口、注腸投与)によるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞の誘導

0080

VP2-M1とwtSV40VP1共発現カイコ蛹磨砕液の調製
wt SV40 VP1遺伝子断片をpM01ベクター(シスメックス株式会社;図3にベクターマップを示す)のマルチクローニングサイト制限酵素SmaI)へ組み込んだ。得られたプラスミドコンストラクトをwtSV40 VP1_pM01と呼ぶ。
さらにVP2-M1遺伝子をpM01ベクター(シスメックス株式会社)のマルチクローニングサイト(制限酵素SmaI)へ組み込んだ。得られたプラスミドコンストラクトをVP2-M1_pM01と呼ぶ。

0081

組換えバキュロウイルスの作製は、Maedaらの方法(InverterbrateCell system and Applications, Vol.1, p.167-181,CRCPress, Boca Raton(1989))を改変して行った。具体的には、上記のプラスミドコンストラクトwtSV40VP1_pM01、またはVP2-M1_pM01(各50ng)と直鎖化したCPdバキュロウイルス(システインプロテアーゼ欠損ウイルス株、シスメックス)のDNA(20ng)とをリポフェクション試薬(X-tremeGENE 9 DNATransfection Reagent:ロシュ社)を用いて、BmN細胞(Maeda, 1989)にコトランスフェクトした。感染兆候を確認した後、培養上清を回収した。これにより、wtSV40 VP1遺伝子、またはVP2-M1を組み込んだ組換えバキュロウイルスを得た。

0082

組換えバキュロウィルスをカイコ蛹(品種:錦和, 上田種社より蚕購入し、シスメックス株式会社にて蛹まで人工飼育)に接種した。ウイルス接種から6日後に蛹を回収し−80℃で凍結した。

0083

凍結した蛹5頭、または凍結状態から10分間沸騰水中でインキュベートした蛹5頭あたりに25 mLのTris緩衝液(20mM Tris-HCl (pH 8.0), 150mM NaCl, 1mMEDTA, 1mM EGTA, 10%(w/v)グリセロール, 1mM DTT,プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche社 Complete-EDTA-free))、またはリン酸緩衝液(137mM NaCl, 2.7mM KCl, 8.1mM Na2HPO4, 1.47mM KH2PO4(pH7.4))を加えた。ホモジナイザーエルメックス,型式SH-IIM,パドル破砕)を用いて蛹を破砕して懸濁液を得た。この懸濁液をメッシュで濾過することにより蛹表皮等の残渣を除去し、この濾液をカイコ蛹磨砕液とした。

0084

(腹腔内投与)
VP2-M1/wtSV40VP1 VLPの免疫
VP2-M1/ wt SV40 VP1 VLPを発現させたカイコから調製した磨砕液(リン酸緩衝液で調製したカイコ蛹磨砕液(図4A)、Tris緩衝液で調製したカイコ蛹磨砕液(図4B)、リン酸緩衝液で調製した加熱処理カイコ蛹磨砕液(図4C)、およびTris緩衝液で調製した加熱処理カイコ蛹磨砕液(図4D)) 100 μlを、8週齢のHHDマウスに腹腔内の経路で免疫した。免疫には、27ゲージのニードルを挿入した1 mlのシリンジ(マイジェクター、注射針付きシリンジ、インスリン用、TERUMO,SS-10M2713)を用いた。

0085

投入後1週間後に、免疫したマウスの脾臓を回収した。実施例1に記載した方法でリンパ球を調製してIntra-cellular staining (ICS)解析を行った。

0086

ICS解析の結果、i.p.免疫において、FMP:58-66ペプチド添加依存的にCD8+IFN-γ+T細胞の出現が確認された(図4A〜4D)。これらの結果から、VP2-M1/ wtSV40VP1 VLPを発現させたカイコ蛹から調製した磨砕液のi.p.免疫によって、M1タンパク質中に含まれるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte) が誘導されることが明らかになった。このCTLの誘導は、蛹の加熱処理の有無に拘らず、また、調製に用いた緩衝液の種類(Tris緩衝液またはリン酸緩衝液)に拘らず検出された。

0087

(経鼻投与)
VP2-M1/wtSV40VP1 VLPの免疫
VP2-M1/ wt SV40 VP1 VLPを発現させたカイコから調製した磨砕液20 μlを、全身麻酔を施した8週齢のHHDマウスに点鼻投与の経鼻経路で投入した。投入から1週間後に、免疫したマウスの脾臓を回収した。実施例1に記載した方法でリンパ球を調製してIntra-cellular staining (ICS)解析を行った。

0088

ICS解析の結果、経鼻免疫において、FMP:58-66ペプチド添加依存的にCD8+IFN-γ+T細胞が出現した(図5)。このことから、確かにVP2-M1/ wtSV40VP1VLPの経鼻免疫によって、M1タンパク質中に含まれるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte) が誘導されることが明らかになった。

0089

(経口投与)
VP2-M1/wtSV40VP1 VLPの免疫
VP2-M1/ wt SV40 VP1 VLPを発現させたカイコ磨砕液(リン酸緩衝液で調製した非加熱カイコ蛹磨砕液100 μl(図6A)、Tris緩衝液で調製した非加熱カイコ蛹磨砕液100 μl(図6B)、およびTris緩衝液で調製した加熱処理カイコ蛹磨砕液100 μl(図6C))を、全身麻酔を施した8週齢のHHDマウスに経口経路で投入した。投入には、経口ゾンデ(経口ゾンデ針 マウス用 φ0.9 x L50 mm (A),ナツメセイサク, KN-348) を挿入した1 mlのシリンジ(TERUMO)を用いた。投入から1週間後に、免疫したマウスの脾臓を回収した。実施例1に記載した方法でリンパ球を調製してIntra-cellular staining (ICS)解析を行った。

0090

上記ICS解析の結果から、経口免疫において、FMP:58-66ペプチド添加依存的にCD8+IFN-γ+T細胞が出現した(図6A〜6C)。このことから、確かに非加熱または加熱処理をしたVP2-M1/ wtSV40VP1VLPを含むカイコ磨砕液の経口免疫によって、M1タンパク質中に含まれるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte) が誘導されることが明らかになった。

0091

(注腸投与)
VP2-M1/wtSV40VP1 VLPの免疫
100 μl、 または、200 μlのVP2-M1/ wt SV40 VP1 VLPを発現させたカイコ磨砕液を、全身麻酔を施した8週齢のHHDマウスに注腸経路で投入した。投入には、経口ゾンデ(DISPOSABLE経口ゾンデ、マウス用減菌済、5200S, FUCHIGAMI) を挿入した1 mlのシリンジ(TERUMO)を用いた。

0092

投入から1週間後に、免疫したマウスの脾臓を回収した。実施例1に記載した方法でリンパ球を調製してIntra-cellular staining (ICS)解析を行った。

0093

ICS解析の結果、注腸免疫において、FMP:58-66ペプチド添加依存的にCD8+IFN-γ+T細胞が出現した(図7)。このことから、確かにVP2-M1/ wtSV40VP1VLP免疫によって、M1タンパク質中に含まれるFMP:58-66エピトープ特異的な細胞傷害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte) が誘導されることが明らかになった。

0094

実施例3:VP2-卵白アルブミン(Ovalbmin, OVA)内包wtSV40VP1 VLPの免疫による抗OVA抗体産生誘導

0095

野生型(wt: wild type) simian virus 40 (SV40) VP1を発現するバキュロウイルスの作製
実施例1に記載したとおりにして、wt SV40 VP1を発現するバキュロウイルスを作製した。

0096

VP2融合OVAタンパク質を発現するバキュロウイルスの作製
まず、wtSV40VP2のアミノ末端(N末端: amino terminus)をコードするコドンの上流にFLAGタグのコード配列(配列番号13)を付加して更にその上流にBamHIサイトを導入した。また、wt SV40 VP2のストップコドンを除いてEcoRIサイトを導入した。得られたポリヌクレオチドをpFastBac1プラスミドのBamHIサイト、および、EcoRIサイトを介して挿入し、wt SV40 VP2遺伝子を含むプラスミドを作製した。OVAタンパク質のN末端をコードするコドンの上流にGGGGSGGGGSGGGGSリンカー(配列番号3;核酸配列は配列番号14に示す)のコード配列を導入し、更にその上流にEcoRIサイトを導入した。また、OVAタンパク質コード配列の下流にストップコドンを付加して更にその下流にSal Iサイトを導入した。得られたポリヌクレオチドを、上記のwt SV40 VP2遺伝子を含むプラスミドのEcoRIサイト、および、Sal Iサイトを介して導入し、VP2コード配列の下流にOVAコード配列を融合した遺伝子を保持したプラスミドを作製した。

0097

このプラスミドで、バキュロウイルスゲノムを保持する大腸菌DH10bac (invitrogen) を形質転換し、wtSV40VP2にOVAを融合したタンパク質VP2-OVA(配列番号6;核酸配列は配列番号7に示す)を発現する組換えバキュロウイルスゲノムを調製した。組換えバキュロウイルスゲノムをSf-9細胞にトランスフェクションした。三日後にその上清を回収して、組換えバキュロウイルスを含む溶液とした。この溶液の一部を再び、Sf-9細胞に感染させることで、組換えバキュロウイルスタイターを上昇させた。これを組換えバキュロウイルスのストック溶液とした。

0098

VP2-OVAを含むwtSV40VP1 VLPの調製
実施例1の「VP2-M1を含むwtSV40 VP1 VLPの調製」と同じ方法で、VP2-OVAを含むwtSV40 VP1 VLPを調製した。

0099

VP2-OVA/ wtSV40VP1 VLPの免疫(腹腔内投与、および経鼻投与)
上記の100 μl VP2-OVA/ wt SV40 VP1 VLP (500μg/ml) を8週齢のHHDマウスに腹腔内の経路で免疫した。免疫には、27ゲージのニードルを挿入した1 mlのシリンジ(マイジェクター、注射針付きシリンジ、インスリン用、TERUMO,SS-10M2713)を用いた。また、VP2-OVA/ wt SV40 VP1 VLP 免疫の対象群として100μL OVA溶液(1mg/mL)をマウスの皮下に接種した。
または、40 μl VP2-OVA/ wt SV40 VP1 VLP (500μg/ml)を全身麻酔を施した8週齢のHHDマウスに点鼻投与の経鼻経路で投入した。

0100

免疫から1週間後に追加免疫を行った。初回免疫から2週間後にマウスを全身麻酔させた後、マウス心臓から血液を回収した。得られた血液において血餅形成を誘導し、上清のマウス血清を回収した。

0101

免疫により誘導された抗体の検出(ELISA法
OVAに反応して血清中に誘導される抗OVA抗体が存在することを確認するために、上記のようにして回収したマウス血清を用いて、抗体検出を次のようにして行った。OVAをTBS(20mM Tris-HCl (pH 8.0), 150mM NaCl)に1μg/100μLになるように溶解した。これを96穴プレート(Nunc MaxiSorp flat-bottom 96 well plate)の各ウェルに100μLずつ添加した。室温で2時間、または4℃で一晩静置し、OVAをプレート底面に結合させた。OVA固定化後、TBS-T (20mM Tris-HCl (pH 8.0), 150mM NaCl、0.005%(w/v) Tween 20)でプレートを洗浄した。その後、5%(w/v)スキムミルク溶液を各ウェルに300μLずつ添加し室温で2時間、または4℃で一晩静置した。スキムミルク溶液を除いた後、TBS-Tで各ウェルを洗浄した。上記で得られたマウス血清をTBS-Tで所望の濃度に希釈した溶液を50μLずつ各ウェルに添加し室温で1時間静置した。マウス血清溶液を取り除き、TBS-Tで各ウェルを洗浄した。その後、TBS-Tで2,000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG(H+L鎖) (MBL社)を各ウェルに100μLずつ添加して室温で1時間静置した。静置後、各ウェルをTBS-Tで洗浄した。TMBパーオキシダーゼEIA複合基質キット(Bio-Rad社)をキット付属説明書にしたがって各ウェルに添加し、各ウェル中に存在するHRP標識抗マウスIgG (H+L鎖)を測定した。なお、測定はiMark microplate Absorbance Reader (Bio Rad 社)を用いて655nmの吸光値を測定した。

実施例

0102

結果を図8Aおよび図8Bに示す。図8Aに示されるように、VP2-OVA/SV40wtVP1 VLPを腹腔内投与されたマウスでは抗OVA抗体の産生が誘導され、OVAを単独で投与されたマウスよりも高い抗体価を示した。抗OVA抗体産生の誘導は、VP2-OVA/SV40 wtVP1VLPを経鼻投与されたマウスにおいても見られた(図8B)。これらの結果から、VP2-OVA/SV40 wtVP1 VLPの腹腔内投与または経鼻投与により、OVAに特異的な抗体の産生を誘導できることが示された。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ