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課題

大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れたセメント板を提供する。

解決手段

セメント質硬化体からなるセメント板1であって、セメント質硬化体が、セメントBET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末最大粒径が1.2mm以下の骨材高性能減水剤消泡剤及び水を含み、かつセメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合が55〜65体積%、シリカフュームの割合が5〜25体積%、無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物硬化してなるものであるセメント板1。

概要

背景

砂粒を含む流水波浪に曝される水理構造物(例えば、砂防ダムエプロン部分や、余水路開水路、及び堤防等の表面部分等)、及び、車両や歩行者通行荷物運搬が多い構造物(例えば、舗装デッキ浮床等)の構築または補修等において、耐摩耗性に優れた板状の部材が使用されている。
例えば、特許文献1には、コンクリート製品コンクリート構造物アスファルト構造物等の耐摩耗性を向上できるセメント質補強板として、少なくとも、セメントポゾラン質微粉末粒径2mm以下の細骨材減水剤、及び水を含む配合物硬化体からなることを特徴とする補強板が記載されている。
なお、特許文献1に記載されている上記配合物の硬化体の用途として、特許文献2に、床版用補強板が記載されており、また、特許文献3に、既設コンクリート橋脚に適用するための耐震補強パネルが記載されている。

概要

大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れたセメント板を提供する。セメント質硬化体からなるセメント板1であって、セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末最大粒径が1.2mm以下の骨材高性能減水剤消泡剤及び水を含み、かつセメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合が55〜65体積%、シリカフュームの割合が5〜25体積%、無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物硬化してなるものであるセメント板1。

目的

本発明は、大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れたセメント板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

セメント質硬化体からなるセメント板であって、上記セメント質硬化体が、セメントBET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤消泡剤及び水を含み、かつ上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物硬化してなるものであることを特徴とするセメント板。

請求項2

上記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含み、50%体積累積粒径が10〜18μmで、かつブレーン比表面積が2,100〜2,900cm2/gのものである請求項1に記載のセメント板。

請求項3

上記セメント組成物が、金属繊維有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含み、かつ上記セメント組成物中の上記繊維の割合が、3体積%以下である請求項1又は2に記載のセメント板。

請求項4

上記セメント質硬化体の圧縮強度が330N/mm2以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント板。

請求項5

上記セメント組成物が、最大粒径が1.2mmを超え、13mm以下の骨材Bを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント板。

請求項6

上記セメント質硬化体の圧縮強度が300N/mm2以上である請求項5に記載のセメント板。

請求項7

上記セメント板が耐摩耗板である請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメント板。

請求項8

上記セメント板が補強板である請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメント板。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載のセメント板を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後硬化体を得る加熱養生工程と、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、上記セメント板を得る高温加熱工程、を含むことを特徴とするセメント板の製造方法。

請求項10

上記常温養生工程と上記加熱養生工程の間に、上記硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含む請求項9に記載のセメント板の製造方法。

請求項11

上記セメント板が耐摩耗板又は補強板である請求項9又は10に記載のセメント板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、セメント板及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

砂粒を含む流水波浪に曝される水理構造物(例えば、砂防ダムエプロン部分や、余水路開水路、及び堤防等の表面部分等)、及び、車両や歩行者通行荷物運搬が多い構造物(例えば、舗装デッキ浮床等)の構築または補修等において、耐摩耗性に優れた板状の部材が使用されている。
例えば、特許文献1には、コンクリート製品コンクリート構造物アスファルト構造物等の耐摩耗性を向上できるセメント質補強板として、少なくとも、セメントポゾラン質微粉末粒径2mm以下の細骨材減水剤、及び水を含む配合物硬化体からなることを特徴とする補強板が記載されている。
なお、特許文献1に記載されている上記配合物の硬化体の用途として、特許文献2に、床版用補強板が記載されており、また、特許文献3に、既設コンクリート橋脚に適用するための耐震補強パネルが記載されている。

先行技術

0003

特開2003−267764号公報
特開2001−248112号公報
特開2001−279933号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上述の特許文献1〜2に記載された実施例における補強板用の配合物の圧縮強度は、210〜230MPaである。また、特許文献3に記載された耐震補強パネル用の配合物の圧縮強度は、170〜200MPaである。
この点、より大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れたセメント板があれば、該セメント板を用いて構築された構造物の補修や補強頻度を少なくすることができ、また、該セメント板を補強板として用いた場合、既存の構造物の耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性をより向上させることができる。さらに、経年劣化等によって低下した既存の構造物の力学的性能を回復させる、または、大幅に向上させることができる。
そこで、本発明は、大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れたセメント板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤消泡剤及び水を含み、かつセメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメント、シリカフューム及び無機粉末の各割合が特定の数値範囲内であるセメント組成物硬化してなるセメント板によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。

0006

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[11]を提供するものである。
[1]セメント質硬化体からなるセメント板であって、上記セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含み、かつ上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物を硬化してなるものであることを特徴とするセメント板。
[2] 上記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含み、50%体積累積粒径が10〜18μmで、かつブレーン比表面積が2,100〜2,900cm2/gのものである請求項1に記載のセメント板。
[3] 上記セメント組成物が、金属繊維有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含み、かつ上記セメント組成物中の上記繊維の割合が、3体積%以下である前記[1]又は[2]に記載のセメント板。
[4] 上記セメント質硬化体の圧縮強度が330N/mm2以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント板。
[5] 上記セメント組成物が、最大粒径が1.2mmを超え、13mm以下の骨材Bを含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント板。
[6] 上記セメント質硬化体の圧縮強度が300N/mm2以上である前記[5]に記載のセメント板。
[7] 上記セメント板が耐摩耗板である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のセメント板。
[8] 上記セメント板が補強板である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のセメント板。

0007

[9] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載のセメント板を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、上記セメント板を得る高温加熱工程、を含むことを特徴とするセメント板の製造方法。
[10] 上記常温養生工程と上記加熱養生工程の間に、上記硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含む前記[9]に記載のセメント板の製造方法。
[11] 上記セメント板が耐摩耗板又は補強板である前記[9]又は[10]に記載のセメント板の製造方法。

発明の効果

0008

本発明のセメント板は、大きな圧縮強度を有し、かつ、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性(例えば、セメント板に塩化物イオン硫酸イオン等が浸透しにくいこと)に優れたものである。

図面の簡単な説明

0009

本発明のセメント板の一例を示す斜視図である。
ローター回転軸に対して垂直な方向に切断した断面を部分的に含む、高速気流撹拌装置の一例の正面図である。
実施例28におけるコンクリート梁と補強板からなる試験体bの側面図である。
実施例28における試験体(a)〜(d)について、図3に示すコンクリート梁をA−A線で鉛直に切断した状態を示す断面図である。

0010

本発明のセメント板は、セメント質硬化体からなるセメント板であって、セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム(以下、「シリカフューム」と略すことがある。)、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末(以下、「無機粉末」と略すことがある。)、最大粒径が1.2mm以下の骨材A(以下、「骨材A」と略すことがある。)、高性能減水剤、消泡剤及び水を含み、かつセメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合が55〜65体積%、シリカフュームの割合が5〜25体積%、無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物を硬化してなるものである。

0011

セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメント超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させる観点から、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。

0012

また、セメント組成物の流動性を向上させ、かつセメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、セメントとして、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを構成する粒子を研磨処理してなる、角張った表面部分を丸みを帯びた形状に変形させてなる粒径20μm以上の粗粒子、及び、上記研磨処理によって生じる粒径20μm未満の微粒子を含み、50%体積累積粒径が10〜18μmで、かつブレーン比表面積が2,100〜2,900cm2/gであるセメント(以下、「セメントの研磨処理物」ともいう。)を使用することがより好ましい。

0013

上記粗粒子の粒径の上限は、特に限定されるものではないが、研磨処理されるセメントの一般的な粒径を考慮すると、通常200μm以下であり、セメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、好ましくは100μm以下である。
上記微粒子の粒径の下限は、特に限定されるものではないが、セメント組成物の流動性の向上、及び、セメント板を製造する際の作業性向上の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。

0014

セメントの研磨処理物に関し、50%体積累積粒径は、好ましくは10〜18μm、より好ましくは12〜16μmであり、ブレーン比表面積は、好ましくは2,100〜2,900cm2/g、より好ましくは2,200〜2,700cm2/gである。
上記50%体積累積粒径が10μm以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。上記50%体積累積粒径が18μm以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。
上記ブレーン比表面積が2,100cm2/g以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。上記ブレーン比表面積が2,900cm2/g以下であれば、セメント組成物の流動性が向上する。

0015

上記研磨処理は、セメント(中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメント)を構成する粒子を研磨することが可能な公知の研磨処理装置を用いればよい。研磨処理装置としては、市販の高速気流撹拌装置(例えば、奈良機械製作所社製、商品名「ハイブリタイザーNHS−3型」)等が挙げられる。
以下、高速気流撹拌装置について、図2を参照しながら詳しく説明する。
原料であるセメントは、高速気流撹拌装置10の上部の投入口14から、開閉弁18を開いた状態で投入される。投入後、開閉弁18を閉じる。
投入されたセメントは、循環回路13の途中に設けられた開口部から循環回路13内に入り、その後、循環回路13の出口13bから、被処理物を収容する空間である衝突室17内に入る。
原料を投入後、固定体であるステーター16の内部に配設されているローター(回転体)11を高速回転させることで、ローター11及びローター11に固着されたブレード12によって高速気流が発生し、衝突室17内のセメントが撹拌される。撹拌中、セメントを構成する粒子は、衝突室17内に設けられた、循環回路13の入口13aから、循環回路13内に入り、衝突室17の中央部分に設けられた、循環回路13の出口13bから、再び衝突室17内に投入されることで循環する。
なお、図2中、点線で示す矢印は、粒子(セメントを構成する粒子、並びに、研磨処理によって生じた粗粒子および微粒子を含む。)の流れを示す。

0016

撹拌によって、セメントを構成する粒子が衝突室17の内壁面、ローター11及びブレード12と衝突すること、並びに、セメントを構成する粒子同士が衝突することにより、セメントを構成する粒子が研磨されて、該粒子表面の角張った部分が丸みを帯びた形状に変化した粗粒子(粒径が20μm以上である粒子)、及び、微粒子(粒径が20μm未満である粒子)が生じる。

0017

ローター11の回転速度は、好ましくは3,000〜4,200rpm、より好ましくは3,500〜4,000rpmである。該回転速度が3,000rpm以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該回転速度が4,200rpmを超える場合、セメント組成物の流動性の向上効果が頭打ちとなる。また、高速気流撹拌装置の性能上、回転速度が4,200rpmを超えることは、困難である。
研磨処理の時間は、好ましくは10〜60分間、より好ましくは20〜50分間、さらに好ましくは20〜40分間、特に好ましくは20〜30分間である。該時間が10分間以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該時間が60分間を超える場合、セメント組成物の流動性の向上効果が頭打ちとなる。
得られた研磨処理物(粗粒子と微粒子の混合物)は、排出弁19を開くことによって、排出口15から排出される。

0018

シリカフュームのBET比表面積は、15〜25m2/g、好ましくは17〜23m2/g、特に好ましくは18〜22m2/gである。該比表面積が15m2/g未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。該比表面積が25m2/gを超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。

0019

50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末としては、例えば、石英粉末珪石粉末)、火山灰、及びフライアッシュ分級または粉砕したもの)、スラグ粉末石灰石粉末長石粉末ムライト類粉末、アルミナ粉末シリカゾル炭化物粉末窒化物粉末等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、石英粉末またはフライアッシュを使用することが好ましい。
なお、本明細書中、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末には、セメントは含まれないものとする。

0020

無機粉末の50%体積累積粒径は、0.8〜5μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1.1〜3.5μm、特に好ましくは1.2μm以上、3μm未満である。該粒径が0.8μm未満の場合、セメント組成物の流動性が低下する。該粒径が5μmを超える場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。
無機粉末の50%体積累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRAモデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%体積累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させる溶媒であるエタノール20cm3に対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。

0021

無機粉末の最大粒径は、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くする観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
無機粉末の95%体積累積粒径は、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くする観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。

0022

無機粉末としては、SiO2を主成分とするもの(例えば、石英粉末)が好ましい。無機粉末中のSiO2の含有率が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。

0023

セメント組成物において、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合は55〜65体積%(好ましくは、57〜63体積%)、シリカフュームの割合は5〜25体積%(好ましくは、7〜23体積%)、無機粉末の割合は15〜35体積%(好ましくは17〜33体積%)である。
セメントの割合が55体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。セメントの割合が65体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
シリカフュームの割合が5体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。シリカフュームの割合が25体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
無機粉末の割合が15体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。無機粉末の割合が35体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。

0024

骨材Aとしては、川砂砂、海砂砕砂珪砂天然エメリー砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材や、人工人造)エメリー砂や、アルミナまたは炭化物(例えば、炭化ケイ素炭化ホウ素等)の粗粉砕物)、再生細骨材またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Aの最大粒径は、1.2mm以下、好ましくは1.1mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。該最大粒径が1.2mm以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度が高くなる。
骨材Aの粒度分布は、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、0.6mm以下の粒径の骨材の割合が、95質量%以上、0.3mm以下の粒径の骨材の割合が、40〜50質量%、及び、0.15mm以下の粒径の骨材の割合が、6質量%以下であることが好ましい。
セメント組成物中の骨材Aの割合は、好ましくは20〜40体積%、より好ましくは22〜38体積%、さらに好ましくは30〜37体積%、特に好ましくは32〜36体積%である。該割合が20体積%以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。

0025

高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の高性能減水剤を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.2〜1.5質量部であり、より好ましくは0.4〜1.2質量部である。該量が0.2質量部以上であれば、減水性能が向上し、セメント組成物の流動性が向上する。該量が1.5質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。

0026

消泡剤としては、市販品を使用することができる。
消泡剤の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.01〜0.07質量部、特に好ましくは0.01〜0.05質量部である。該量が0.001質量部以上であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。該量が0.1質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果が頭打ちとなる。

0027

セメント組成物は、セメント質硬化体の曲げ強度破壊エネルギー等を向上させる観点から、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含んでもよい。なお、本発明のセメント板を、経年劣化等によって低下した既存の構造物の力学的性能を回復させる又は向上させるための補強板として使用する場合、セメント組成物は金属繊維を含むことが好ましい。
セメント組成物中の繊維の割合は、好ましくは3体積%以下、より好ましくは0.3〜2.5体積%、特に好ましくは0.5〜2.3体積%である。該割合が3体積%以下であれば、セメント組成物の流動性や作業性を低下させることなく、セメント質硬化体の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させることができる。

0028

金属繊維としては、鋼繊維ステンレス繊維アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れており、また、コストや入手のし易さの観点から好適である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止や、セメント質硬化体の曲げ強度の向上の観点から、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、金属繊維のアスペクト比繊維長繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
さらに、金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)であることが好ましい。螺旋状等の形状であれば、金属繊維とマトリックスとが、引き抜けながら応力担保するため、セメント質硬化体の曲げ強度が向上する。

0029

有機繊維としては、後述する本発明のセメント板の製造方法における加熱に耐えうるものであればよく、例えば、アラミド繊維ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維ポリエチレン繊維ポリアリート繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維ピッチ系炭素繊維が挙げられる。
有機繊維及び炭素繊維の寸法は、セメント組成物中におけるこれらの繊維の材料分離の防止や、セメント質硬化体の破壊エネルギーの向上の観点から、直径が0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmであることが好ましく、直径が0.01〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、有機繊維及び炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは30〜150である。

0030

水としては、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは11〜18質量部、特に好ましくは14〜16質量部である。該量が10質量部以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該量が20質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度がより高くなる。

0031

上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)の硬化前のフロー値は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した値(以下、「0打ちフロー値」ともいう。)として、好ましくは200mm以上、より好ましくは210mm以上、特に好ましくは220mm以上である。
該フロー値が200mm以上であれば、セメント板を製造する際の作業性を向上させることができる。
また、上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは330N/mm2以上、より好ましくは350N/mm2以上、さらに好ましくは370N/mm2以上、特に好ましくは400N/mm2以上である。
なお、上記骨材Aとして、修正モース硬度が9以上(好ましくは9〜14、より好ましくは10〜13、特に好ましくは11〜13)のもの(例えば、天然または人工(人造)のエメリー砂、アルミナまたは炭化物の粗粉砕物等)を使用したセメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)によれば、セメント質硬化体の圧縮強度を450N/mm2以上にすることができる。特に、天然または人工(人造)のエメリー砂によれば、セメント質硬化体の圧縮強度を500N/mm2以上にすることができる。

0032

本発明のセメント組成物は、最大粒径が1.2mmを超え、13mm以下の骨材Bを含むことができる。
骨材Bとしては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、天然エメリー砂人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材)、再生細骨材、川砂利山砂利、陸砂利砕石人工粗骨材(例えば、スラグ粗骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成粗骨材や、人工エメリー砂)、再生粗骨材またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Bの最大粒径は、13mm以下、好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下、特に好ましくは10mm以下である。該最大粒径が13mm以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上し、例えば、300N/mm2以上の圧縮強度を発現することができる。
また、骨材Bの最大粒径は、コストの低減等の観点から、1.2mmを超える値であり、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは7mm以上である。
なお、本明細書中、骨材Bの最大粒径が5mm以上の場合における「最大粒径」とは、骨材B全体の90質量%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいの呼び寸法で示される骨材Bの粒径(一般に、粗骨材の最大粒径の定義として知られているもの)をいう。

0033

骨材Bの最小粒径は、好ましくは骨材Aの最大粒径を超える値であり、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、特に好ましくは5mm以上(この場合、粗骨材に該当する。)である。
なお、本明細書中、骨材Bの最小粒径とは、骨材Bの中の最も粒径が小さいものから粒径が大きなものに向かって累積していった場合において、骨材B全体の15質量%に達したときの骨材Bの粒径をいう。

0034

本発明において、セメント組成物中の骨材Aと骨材Bの合計量の割合は、好ましくは25〜40体積%、より好ましくは28〜38体積%、特に好ましくは30〜36体積%である。該割合が25体積%以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント組成物の強度発現性を向上させることができる。
骨材Aと骨材Bの合計量に対する骨材Bの割合は、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。該割合が40体積%以下であれば、セメント組成物の強度発現性(例えば、圧縮強度)を向上させることができる。
骨材Bを含むセメント組成物(例えば、コンクリート)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm2以上、より好ましくは320N/mm2以上、さらに好ましくは340N/mm2以上、特に好ましくは360N/mm2以上である。

0035

以下、上述したセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体からなるセメント板の製造方法について詳しく説明する。
本発明のセメント板の製造方法の一例は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体からなるセメント板を得る高温加熱工程を含むものである。

0036

[成形工程]
本工程は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
打設を行う前に、セメント組成物を混練する方法としては、特に限定されるものではない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサパン型ミキサ二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。さらに、打設(成形)方法も特に限定されるものではない。
なお、本工程における未硬化の成形体は、セメント組成物中の気泡を低減又は除去したセメント組成物からなるものであってもよい。セメント組成物中の気泡を低減又は除去することで、セメント組成物の強度発現性をより向上させることができる。
セメント組成物中の気泡を低減又は除去する方法としては、(1)セメント組成物の混練を減圧下で行う方法、(2)混練後のセメント組成物を、型枠内に打設する前に減圧して脱泡させる方法、(3)セメント組成物を型枠内に打設した後、減圧して脱泡させる方法等が挙げられる。

0037

[常温養生工程]
本工程は、未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜96時間、より好ましくは24〜72時間、特に好ましくは24〜48時間)、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間をより短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、セメント質硬化体(セメント板)の圧縮強度をより高くすることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠け割れ等の欠陥が生じにくくなる。
また、本工程において、硬化した成形体が、好ましくは20〜100N/mm2、より好ましくは30〜80N/mm2の圧縮強度を発現した時に、硬化した成形体を型枠から脱型することが好ましい。該圧縮強度が20N/mm2以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。該圧縮強度が100N/mm2以下であれば、後述する吸水工程において、少ない労力で、硬化した成形体に吸水させることができる。

0038

[加熱養生工程]
本工程は、前工程で得られた硬化した成形体について、70℃以上100℃未満(好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜92℃)で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃(好ましくは160〜190℃)で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る工程である。
本工程において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは24時間以上、より好ましくは24〜96時間、特に好ましくは36〜72時間である。オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは8〜60時間、より好ましくは12〜48時間である。蒸気養生もしくは温水養生とオートクレーブ養生の両方を行う場合(例えば、蒸気養生もしくは温水養生を行った後、さらにオートクレーブ養生を行う場合)、蒸気養生もしくは温水養生における養生時間は、好ましくは6〜72時間、より好ましくは12〜48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1〜24時間、より好ましくは4〜18時間である。
本工程において、養生温度が前記範囲内であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
また、本工程において、養生時間が前記範囲内であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。

0039

[高温加熱工程]
本工程は、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃(好ましくは170〜190℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは36〜48時間)、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体からなるセメント板を得る工程である。
本工程における加熱は、通常、乾燥雰囲気下(換言すると、水や水蒸気を人為的に供給しない状態)で行われる。
加熱温度が150℃以上であれば、加熱時間をより短くすることができる。加熱温度が200℃以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くすることができる。
加熱時間が24時間以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くすることができる。

0040

[吸水工程]
常温養生工程と加熱養生工程の間に、常温養生工程において得られた硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含んでもよい。
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。また、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、セメント質硬化体の圧縮強度を大きくする観点から、(1)該成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法、(2)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法、又は(3)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を沸騰している水から取り出して、次いで、40℃以下の水に浸漬させる方法、(4)該成形体を、加圧下の水の中に浸漬させる方法、又は(5)該成形体への水の浸透性を向上させる薬剤を溶解させた水溶液の中に、該成形体を浸漬させる方法、が好ましい。

0041

上記成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法としては、真空ポンプや大型の減圧容器等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させる方法としては、高温高圧容器熱温水水槽等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は特に限定されるものではないが、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。

0042

吸水工程における吸水率は、セメント組成物が粗骨材を含まない場合(セメント組成物が骨材Bを含まない、あるいは、セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当しない場合)、φ50×100mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%であり、セメント組成物が粗骨材を含む場合(セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当する場合)、φ100×200mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%である。
これらの吸水率が0.2体積%以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度をより高めることができる。

0043

本発明のセメント板は、高い圧縮強度を有するセメント質硬化体からなるため、ひび割れ等の発生が発生しにくいものである。また、セメント板の厚みを小さくすることができ、この場合、セメント板の軽量化を図ることができる。さらに、通常、圧縮強度が高くなれば、耐摩耗性がより優れたものとなることから、上記セメント質硬化体からなるセメント板は、耐摩耗性に優れたものである。
また、上記セメント質硬化体の「ASTMC779」に準拠して測定した、60分経過後のすりへり深さは、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下、特に好ましくは0.3mm以下であり、該セメント質硬化体からなるセメント板は、耐摩耗性に優れている。

0044

また、本発明のセメント板は、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れている。
さらに、上記セメント質硬化体が繊維を含む場合、上記セメント質硬化体の「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準拠して測定した、曲げ強度は、好ましくは20N/mm2以上、より好ましくは30N/mm2以上、特に好ましくは35N/mm2以上であり、該セメント質硬化体からなるセメント板は、高い曲げ強度を有する。

0045

本発明のセメント板は、高い圧縮強度を有しかつ優れた耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性を有することから、高い圧縮強度および優れた耐摩耗性等が求められる構造物の構築、補修または補強に用いられる部材(例えば、耐摩耗板や補強板)として好適である。
具体的には、沿岸等の海水防護板や、砂防ダムのエプロン部分や、余水路、開水路、及び堤防等の表面部分や、鋼製支柱照明用、標識用等)において地中埋設部近傍に配設される防護板や、舗装や、デッキや、浮床等に使用することができる。
また、本発明のセメント板は、経年劣化等によって低下した、既存の構造物の力学的性能を回復させる又は向上させるための補強板として用いることもできる。本発明のセメント板を補強板として用いた場合、既存の構造物の力学的性能を大幅に向上させることもできる。
なお、本明細書において、「補強板」には「補修板」も含まれるものとする。
また、本発明のセメント板は、エポキシ樹脂等の接着剤ボルト等を用いて、既存の構造物に固着することができる。

0046

本発明のセメント板の形状は、特に限定されるものではなく、該セメント板を用いて構築、補修または補強する構造物の形状に合わせて、適宜定めればよく、汎用性の観点から、図1に示すセメント板1のような、矩形正方形または長方形)の板状であってもよい。矩形のセメント板1の一辺の長さは、作業性およびコストの観点から、通常、10〜200cmである。また、セメント板1の厚さは、耐摩耗性や強度等の観点から、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは10mm以上であり、軽量化による作業性の向上の観点から、100mm以下、より好ましくは50mm以下、特に好ましくは30mm以下である。

0047

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料
実施例1〜15及び比較例1における使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)シリカフュームA:BET比表面積20m2/g
(3)シリカフュームB:BET比表面積17m2/g
(4)無機粉末A:珪石粉末、50%体積累積粒径2μm、最大粒径12μm、95%体積累積粒径5.8μm
(5)無機粉末B:珪石粉末、50%体積累積粒径7μm、最大粒径67μm、95%体積累積粒径27μm
(6)骨材A1(細骨材):珪砂(最大粒径1.0mm、0.6mm以下の粒径のもの:98質量%、0.3mm以下の粒径のもの:45質量%、0.15mm以下の粒径のもの:3質量%)
(7)ポリカルボン酸系高性能減水剤:固形分量27.4質量%、フローリック社製、商品名「フローリックSF500U」
(8)消泡剤:BASFジャパン社製、商品名「マスターエア404」
(9)水:水道水
(10)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(11)骨材B(粗骨材):硬質砂岩砕石1005(粒径:5〜10mm)

0048

[実施例1]
セメント、シリカフュームA及び無機粉末Aを、粉体原料(セメント、シリカフューム及び無機粉末)の合計量100体積%中、セメント等の各割合が表2に示す割合となるように混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材A1の割合が表2に示す割合となる量の骨材A1を、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表2に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。
混練後、オムニミキサ内側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。なお、本明細書中、該フロー値を「0打ちフロー値」という。

0049

得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。脱型時の圧縮強度は50N/mm2であった。
この成形体を、表3に示す時間、減圧したデシケーター内で水に浸漬した(表3中、「減圧下」と示す。)。なお、減圧は、アズワン社製の「アスピレーター(AS−01)」を使用して行った。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体を90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃まで降温した後、180℃で48時間加熱を行った。
加熱後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
また、上記セメント質硬化体(加熱後の成形体)と同様にして、30×30×6cmの供試体を製造し、「ASTMC779」に準拠して、60分経過後のすりへり深さを測定した。

0050

[実施例2]
粉体原料100質量部当たりの水の配合量を、13質量部から15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、セメント組成物の0打ちフロー値の測定等を行った。なお、脱型時の圧縮強度は45N/mm2であった。

0051

[実施例3]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、沸騰している水(沸騰水)に、表3に示す時間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、吸水率の算出、及び、セメント質硬化体の圧縮強度の測定を行った。
[実施例4]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、実施例3と同様に沸騰水への浸漬等を行った以外は、実施例2と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、吸水率の算出、及び、セメント質硬化体の圧縮強度の測定を行った。

0052

[実施例5]
シリカフュームAの配合割合を10体積%から20体積%に変更し、かつ、無機粉末Aの配合割合を30体積%から20体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、0打ちフロー値の測定等を行った。なお、脱型時の圧縮強度は50N/mm2であった。

0053

また、得られたセメント質硬化体の透水係数を、「地盤工学会基準JGS 0311−2009(土の透水試験方法)」の変水位透水試験方法に準じて測定した。その結果、水の浸透は認められず、透水係数は「0」であった。
また、得られたセメント質硬化体を人工海水に6カ月間浸漬した。なお、人工海水は各試薬を、蒸留水に表1に示す量で溶解することで調製した。浸漬後、セメント質硬化体中の塩化物イオンの濃度を、EPMA(日本電子社製)を用いて測定し、塩化物イオンの拡散係数(表中、「拡散係数」と示す。)を算出した。
さらに、得られたセメント質硬化体に対して、「JIS A 1148(コンクリートの凍結溶解試験方法)」に準拠して測定した値を用いて、「ASTMC666 75」の耐久性指数(300サイクル)を算出した。
なお、耐久性指数は、最大値が100であり、最大値に近いほど凍結融解抵抗性に優れていることを示す。

0054

0055

[実施例6]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、実施例3と同様に沸騰水への浸漬等を行った以外は、実施例5と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、吸水率の算出、及び、セメント質硬化体の圧縮強度の測定を行った。

0056

[実施例7]
シリカフュームAの配合割合を10体積%から20体積%に変更し、かつ、無機粉末Aの配合割合を30体積%から20体積%に変更した以外は、実施例2と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、0打ちフロー値の測定等を行った。なお、脱型時の圧縮強度は45N/mm2であった。
[実施例8]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、実施例3と同様にして沸騰水への浸漬等を行った以外は、実施例7と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例1と同様にして、吸水率の算出、及び、セメント質硬化体の圧縮強度及びすへり深さの測定を行った。
また、実施例5と同様にして、透水係数の測定、塩化物イオンの拡散係数及び耐久性指数の算出を行った。

0057

[実施例9]
セメント、シリカフュームA及び無機粉末Aを、粉体原料(セメント、シリカフューム及び無機粉末)の合計量100体積%中、セメント等の各割合が表2に示す割合となるように混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材A1の割合が表2に示す割合となる量の骨材A1を、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表2に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練を行った後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。その後、セメント組成物中の金属繊維の割合が表2に示す割合となる量の金属繊維を、オムニミキサに投入して、さらに2分間混練を行った。
得られたセメント組成物について、実施例1と同様にして、0打ちフロー値を測定した。
また、得られたセメント組成物を材料として用いて、実施例1と同様の方法で、セメント質硬化体(成形体)を得た。
得られたセメント質硬化体(成形体)について、実施例1と同様にして、吸水率及び圧縮強度を測定した。
さらに、得られたセメント質硬化体の曲げ強度を、「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準じて測定した。

0058

[実施例10]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、実施例3と同様に沸騰水への浸漬等を行った以外は、実施例9と同様にして、セメント組成物及びその硬化体を得た。
セメント組成物及びその硬化体について、実施例9と同様にして、各種物性を測定した。
また、実施例5と同様にして、透水係数の測定、塩化物イオンの拡散係数及び耐久性指数の算出を行った。
[実施例11]
高性能減水剤の配合量を0.74質量部から0.78質量部に変更し、消泡剤の配合量を0.02質量部から0.04質量部に変更し、金属繊維の配合割合を2体積%から2.2体積%に変更する以外は実施例10と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。
セメント組成物及びその硬化体について、実施例9と同様にして、各種物性を測定した。

0059

[実施例12]
粉体原料100質量部当たりの水の配合量を、13質量部から11質量部に変更し、骨材A1の配合量を35.5体積%から30.0体積%に変更し、高性能減水剤の配合量を0.69質量部から0.76質量部に変更し、かつ、成形体を水に浸漬しなかった以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。
実施例1と同様にして、セメント組成物の0打ちフロー値の測定等を行った。なお、脱型時の圧縮強度は54N/mm2であった。

0060

[実施例13]
脱型後の成形体を、沸騰している水(沸騰水)に、表3に示す時間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した以外は、実施例12と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。
実施例1と同様にして、吸水率の算出、及び、セメント質硬化体の圧縮強度等の測定を行った。
また、実施例5と同様にして、透水係数の測定、塩化物イオンの拡散係数及び耐久性指数の算出を行った。

0061

[実施例14]
骨材A1の配合量を、30.0体積%から24.0体積%に変更し、セメント組成物中の骨材Bの割合が6.0体積%となる量の骨材Bを使用した以外は実施例12のセメント組成物と同様の配合で、セメント組成物を製造した。
セメント組成物の製造は、実施例1と同様にして、各材料(粉体原料、骨材A1、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤)を混練した後、さらに骨材Bをオムニミキサに投入して、1分間混練することで行った。
得られたセメント組成物(混練物)を、φ100×200mmの円筒形の型枠に打設し、かつ、成形体を水に浸漬しなかった以外は実施例1と同様にして、セメント質硬化体を得た。
実施例1と同様にして、セメント質硬化体の圧縮強度を測定した。なお、脱型時の圧縮強度は43N/mm2であった。

0062

[実施例15]
骨材A1の配合量を、35.5体積%から28.5体積%に変更し、セメント組成物中の骨材Bの割合が7.0体積%となる量の骨材Bを使用した以外は実施例8のセメント組成物と同様の配合で、セメント組成物を製造した。
セメント組成物の製造は、実施例1と同様にして、各材料(粉体原料、骨材A1、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤)を混練した後、さらに、骨材Bをオムニミキサに投入して、1分間混練することで行った。
得られたセメント組成物(混練物)を、φ100×200mmの円筒形の型枠に打設する以外は実施例8と同様にして、セメント質硬化体を得た。
実施例8と同様にして、吸水率の算出およびセメント質硬化体の圧縮強度の測定を行った。なお、脱型時の圧縮強度は37N/mm2であった。
また、実施例5と同様にして、透水係数の測定、塩化物イオンの拡散係数及び耐久性指数の算出を行った。

0063

[比較例1]
セメント、シリカフュームB及び無機粉末Bを、粉体原料(セメント、シリカフューム及び無機粉末)の合計量100体積%中、セメント等の各割合が表2に示す割合となるように混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材A1の割合が表2に示す割合となる量の骨材A1を、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表2に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。
得られた混練物を材料として用いて、実施例1と同様にして、セメント質硬化体を得た。
得られた混練物(セメント組成物)及びその硬化体について、実施例1と同様にして、各種物性を測定した。
以上の結果を表3に示す。

0064

0065

0066

[使用材料]
実施例16〜27及び比較例2〜4における使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)中庸熱ポルトランドセメント:太平洋セメント社製
(2)低熱ポルトランドセメント:太平洋セメント社製
(3)シリカフュームC:BET比表面積14m2/g
(4)シリカフュームD:BET比表面積20m2/g
(5)無機粉末:珪石粉末、50%体積累積粒径2μm、最大粒径12μm、95%体積累積粒径5.8μm(実施例1〜15で用いた無機粉末Aと同じもの)
(6)骨材A1(細骨材):珪砂、最大粒径1.0mm、0.6mm以下の粒径のもの:98質量%、0.3mm以下の粒径のもの:45質量%、0.15mm以下の粒径のもの:3質量%(実施例1〜15で用いた骨材A1と同じもの)
(7)骨材A2(細骨材):掛川産山砂
(8)ポリカルボン酸系高性能減水剤:固形分量27.4質量%;フローリック社製、商品名「フローリックSF500U」
(9)消泡剤:BASFジャパン社製、商品名「マスターエア404」
(10)水:上水道水
(11)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(12)骨材B(粗骨材):硬質砂岩砕石1005(粒径:5〜10mm)

0067

[中庸熱ポルトランドセメント及び低熱ポルトランドセメントの各研磨処理物の製造]
中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを、高速気流撹拌装置(奈良機械製作所社製、商品名「ハイブリタイザーNHS−3型」)を用いて、回転速度4,000rpmの条件で、30分間研磨処理した。なお、研磨処理において、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの仕込み量は、1バッチあたり800gとした。中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメント、及び、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の、50%体積累積粒径及びブレーン比表面積を測定した。結果を表4に示す。
また、走査型電子顕微鏡を用いて、研磨処理物の二次電子像を観察したところ、研磨処理物の粗粒子(粒径20μm以上の粒子)は、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントの粒子(研磨処理前のもの)と比べて、角張った表面部分が少なく、表面部分が丸みを帯びた形状に変形していた。また、粗粒子と粗粒子の間の空隙には、微粒子(粒径20μm未満の粒子)が存在している様子が見られた。

0068

0069

[実施例16]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームD、無機粉末、及び骨材A1を、低熱ポルトランドセメントの研磨処理物等の各割合が表5に示す割合となるように、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表5に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。なお、消泡剤の添加量は、粉体原料100質量部に対して0.02質量部とした。
混練後、オムニミキサの側面に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。
また、混練後のセメント組成物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で72時間静置した。次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は52N/mm2であった。
さらに、上記成形体を90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃になるまで降温させた後、さらに、乾燥炉を用いて180℃で48時間加熱した。
加熱後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。なお、圧縮強度は、島津製作所社製の100t万能試験機油圧式)を使用して測定した。

0070

[実施例17]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物を使用した以外は、実施例16と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は55N/mm2であった。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。
[実施例18]
粉体原料100質量部当たりの水の量を、12質量部から15質量部に変更した以外は、実施例17と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は50N/mm2であった。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。

0071

[実施例19]
脱型後の成形体を、沸騰している水(沸騰水)に30分間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま水温が25℃となるまで冷却した(表6中「沸騰水」と示す。)後に蒸気養生を行った以外は、実施例16と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置測定限界(511N/mm2)を超えていた。
また、浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
さらに、実施例5と同様にして、すりへり深さ及び透水係数の測定、並びに、塩化物イオンの拡散係数及び耐久性指数の算出を行った。

0072

[実施例20]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した(表6中、「減圧下」と示す。)後に蒸気養生を行った以外は、実施例16と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm2)を超えていた。

0073

[実施例21]
シリカフュームDの配合割合を10体積%から20体積%に変更し、かつ、無機粉末の配合割合を30体積%から20体積%に変更した以外は、実施例16と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は51N/mm2であった。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。
[実施例22]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例21と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm2)を超えていた。

0074

[実施例23]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例18と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。

0075

[実施例24]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームD、無機粉末、及び骨材A1を、低熱ポルトランドセメントの研磨処理物等の各割合が表5に示す割合となるように、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表5に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。なお、消泡剤の添加量は、粉体原料100質量部に対して0.02質量部とした。
混練後、オムニミキサの側面に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。その後、セメント組成物中の金属繊維の割合が表5に示す割合となる量の金属繊維を、オムニミキサに投入して、さらに2分間混練を行った。
得られたセメント組成物について、実施例16と同様にして0打ちフロー値を測定した。
また、得られたセメント組成物を材料として用いて、実施例19と同様の方法で、セメント質硬化体(成形体)を得た。
得られたセメント質硬化体(成形体)について、実施例19と同様にして、吸水率及び圧縮強度を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm2)を超えていた。
また、得られたセメント質硬化体の曲げ強度を、「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準じて測定した。

0076

[実施例25]
脱型後の成形体を、沸騰している水に30分間浸漬する代わりに、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例24と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
セメント組成物及びセメント質硬化体(加熱後の成形体)について、実施例24と同様にして、各種物性を測定した。なお、硬化体の圧縮強度は、測定装置の測定限界(511N/mm2)を超えていた。

0077

[実施例26]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームD、無機粉末、及び骨材A1を、低熱ポルトランドセメントの研磨処理物等の各割合が表5に示す割合となるように、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表5に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。なお、消泡剤の添加量は、粉体原料100質量部に対して0.02質量部とした。
混練後、オムニミキサの側面に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。その後、骨材Bを、その割合が表5に示す割合となるように、オムニミキサに投入して、さらに1分間混練を行った。
混練後のセメント組成物を、φ100×200mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で72時間静置した。次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。該成形体の脱型時の圧縮強度は41N/mm2であった。
さらに、上記成形体を90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃になるまで降温させた後、さらに、乾燥炉を用いて180℃で48時間加熱した。
得られたセメント質硬化体(加熱後の成形体)について、実施例16と同様にして圧縮強度を測定した。

0078

[実施例27]
低熱ポルトランドセメントの研磨処理物の代わりに、中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物を使用し、脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で30分間水に浸漬した後に蒸気養生を行った以外は、実施例26と同様にして、セメント質硬化体(加熱後の成形体)を得た。
セメント質硬化体について、実施例19と同様にして、吸水率及び圧縮強度を測定した。

0079

[比較例2]
中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物、シリカフュームC、骨材A2、高性能減水剤、水を、表5に示す割合となるように、一括してホバートミキサに投入した後、低速で12分間混練して、セメント組成物を調製した以外は、実施例16と同様にして、セメント組成物の硬化体を得た。実施例16と同様にして、セメント組成物のフロー値(0打ち)等を測定した。
[比較例3]
中庸熱ポルトランドセメントの研磨処理物と、骨材A2と、高性能減水剤と、水を、表5に示す割合となるように、一括してホバートミキサに投入して、セメント組成物を調製しようとしたが、混練することができなかった。
[比較例4]
中庸熱ポルトランドセメントと、シリカフュームCと、骨材A2と、高性能減水剤と、水を、表5に示す配合で一括してホバートミキサに投入して、セメント組成物を調製しようとしたが、混練することができなかった。
以上の結果を表6に示す。

0080

0081

0082

表3及び表6から、実施例1〜13および実施例16〜25のセメント質硬化体の圧縮強度は350N/mm2以上と、大きいものである。特に、研磨処理したセメントを用いた場合(実施例16〜25)のセメント質硬化体の圧縮強度は420N/mm2以上であり、非常に大きいものである。また、実施例9〜11及び実施例24〜25(セメント組成物が金属繊維を含むもの)は、得られたセメント質硬化体について、圧縮強度が454N/mm2以上であり、著しく大きく、かつ、曲げ強度が40N/mm2以上である。
また、骨材B(粗骨材)を含む場合(実施例14〜15、実施例26〜27)であっても、セメント質硬化体の圧縮強度は333N/mm2以上であり、大きいものである。
また、実施例1〜2、5、8、10、13、15、19のセメント質硬化体のすりへり深さは0.37mm以下であり、小さいものである。
さらに、実施例5、8、10、13、15、19のセメント質硬化体の透水係数、塩化物イオンの拡散係数、耐久性指数から、得られたセメント質硬化体が遮水性、遮塩性、及び凍結融解抵抗性に優れていることがわかる。
これらの結果から、本発明のセメント板は、大きな圧縮強度を有し、耐摩耗性、遮水性、凍結融解抵抗性、及び遮塩性に優れていることがわかる。
一方、比較例1〜2のセメント質硬化体の圧縮強度は290N/mm2であり、実施例1〜27と比べて小さいことがわかる。また、比較例1のセメント質硬化体のすりへり深さは0.57mmであり、実施例に比べて大きいことがわかる。また、比較例3〜4のセメント組成物は、混練できないことがわかる。

0083

[実施例28]
実施例11と同様の方法によって、加熱後の成形体(セメント質硬化体)として、縦1,800mm×横300mm×厚さ20mmの側面補強用補強板と、縦1,800mm×横150mm×厚さ20mmの底面補強用補強板を製造した。
次いで、図3、4に示す寸法(図3、4中の数値の単位はmmである。)のRCコンクリート梁20を製造した。なお、該梁を構成するコンクリート21の圧縮強度は35N/mm2であった。鉄筋22としてD6SD295を使用し、鉄筋23としてD22SBPD930を使用した。また、鉄筋のかぶり厚さは30mmであった。
RCコンクリート梁20と、底面補強用補強板24と側面補強用補強板25を用いて、以下の試験体a〜dを製造した。
試験体a:RCコンクリート梁20のみからなるもの(図4の(a)参照)
試験体b:RCコンクリート梁20の底面に底面補強用補強板24を固着したもの(図3および図4の(b)参照)
試験体c:RCコンクリート梁20の両側面に側面補強用補強板25を固着したもの(図4の(c)参照)
試験体d:RCコンクリート梁20の底面に底面補強用補強板24を、RCコンクリート梁20の両側面に側面補強用補強板25を固着したもの(図4の(d)参照)
なお、底面補強用補強板24及び側面補強用補強板25は、エポキシ系接着剤アンカーボルトを用いてRCコンクリート梁20に固着した。

実施例

0084

各試験体最大荷重を、200トン耐圧試験機を用いて測定した。なお、最大荷重を測定する際の載荷位置は、図3に示すとおりである。
その結果、試験体a(補強板による補強を行っていないもの)の最大荷重は150kNであった。一方、試験体b(底面のみを補強したもの)の最大荷重は252kN、試験体c(両側面のみを補強したもの)の最大荷重は345kN、試験体d(底面及び両側面を補強したもの)の最大荷重は404kNであった。
実施例28より、本発明のセメント板をコンクリート梁の補強板として用いることにより、補強後のコンクリート梁の力学的性能が、補強前のコンクリート梁と比較して大幅に向上することが分かる。

0085

1セメント板
10高速気流撹拌装置
11ローター
12ブレード
13循環回路
13a 循環回路の入口
13b 循環回路の出口
14投入口
15 排出口
16ステーター
17衝突室
18開閉弁
19排出弁
20 RCコンクリート梁
21コンクリート
22鉄筋(D6SD295)
23 鉄筋(D22SBPD930)
24 底面補強用補強板
25 側面補強用補強板
26 アンカーボルト

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