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技術 放射線画像処理装置および方法並びにプログラム

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 内藤慧川村隆浩
出願日 2017年3月8日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2017-043534
公開日 2017年6月8日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-100022
状態 特許登録済
技術分野 放射線診断機器
主要キーワード インタースペース グリッド密度 仮想グリッド エアギャップ量 推定関数 集束距離 点拡散関数 一次成分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

放射線画像処理装置、方法およびプログラムにおいて、放射線照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽されて放射線撮影された遮蔽画像領域と非遮蔽画像領域とを有する被写体画像において、非遮蔽画像領域の散乱線推定誤差を抑制して、非遮蔽画像領域の散乱線成分を好適に抑制する。

解決手段

被写体画像Ikを取得し、被写体画像Ikの非遮蔽画像領域RAと遮蔽画像領域RBとを特定する領域情報を取得し、被写体画像Ikに散乱線除去グリッドの散乱線除去効果仮想的に付与するために設定された仮想的なグリッドの散乱線透過率一次線透過率とを表す仮想グリッド特性を取得し、被写体画像Ikの散乱線含有率分布を取得し、領域情報と仮想グリッド特性と散乱線含有率分布とに基づいて、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を除去する。

概要

背景

従来、被写体を透過した放射線により被写体の放射線画像撮影する際、特に被写体の厚さが大きいと、被写体内において放射線が散乱し、この散乱放射線(以下散乱線とする)により、取得される放射線画像のコントラストが低下するという問題がある。

この問題に鑑み、被写体の放射線画像から散乱線成分画像処理によって抑制する様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1、2および非特許文献1には、被写体の体厚に対応する散乱線の強度分布関数を表す関係式に基づいて、被写体画像における各位置に到達する散乱線成分を算出し、算出された散乱線成分を被写体画像の対応する位置の画素値から低減することによって、散乱線成分を抑制する方法が提案されている。

概要

放射線画像処理装置、方法およびプログラムにおいて、放射線の照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽されて放射線撮影された遮蔽画像領域と非遮蔽画像領域とを有する被写体画像において、非遮蔽画像領域の散乱線の推定誤差を抑制して、非遮蔽画像領域の散乱線成分を好適に抑制する。被写体画像Ikを取得し、被写体画像Ikの非遮蔽画像領域RAと遮蔽画像領域RBとを特定する領域情報を取得し、被写体画像Ikに散乱線除去グリッドの散乱線除去効果仮想的に付与するために設定された仮想的なグリッドの散乱線透過率一次線透過率とを表す仮想グリッド特性を取得し、被写体画像Ikの散乱線含有率分布を取得し、領域情報と仮想グリッド特性と散乱線含有率分布とに基づいて、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を除去する。

目的

本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、遮蔽画像領域と非遮蔽画像領域を有する被写体画像に対して、非遮蔽画像領域における散乱線成分の推定誤差を低減して、被写体画像の非遮蔽画像領域の散乱線成分を好適に抑制することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被写体に放射線照射する放射線源と、前記被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、前記被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影ステムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、前記放射線源からの放射線の照射方向において前記遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、前記検出器から前記遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得部と、前記被写体画像のうち前記非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、前記被写体画像のうち前記遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得部と、前記被写体画像に散乱線除去グリッド散乱線除去効果仮想的に付与するために設定された仮想的なグリッドの散乱線透過率及び一次線透過率を表す仮想グリッド特性を取得する特性取得部と、前記被写体画像の散乱線含有率分布を表す散乱線情報を取得する散乱線情報取得部と、前記領域情報と前記仮想グリッド特性と前記散乱線情報とに基づいて、前記非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を除去する除去処理部と、を有する散乱線抑制部とを備えた放射線画像処理装置

請求項2

前記特性取得部はグリッド情報を取得し、取得した前記グリッド情報に応じて前記仮想グリッド特性を取得する請求項1記載の放射線画像処理装置。

請求項3

前記グリッド情報は前記仮想的なグリッドのグリッド比である、請求項2記載の放射線画像処理装置。

請求項4

前記散乱線含有率分布は、前記撮影条件、前記被写体画像、前記被写体の体厚分布、前記被写体の線減弱係数の少なくとも1つに基づき算出された散乱線含有率分布である、請求項1から3のいずれか1項記載の放射線画像処理装置。

請求項5

前記除去処理部は、前記被写体画像を互いに異なる周波数帯域周波数分解し、該周波数分解された各周波数成分を、前記散乱線含有率分布を用いて当該周波数成分の散乱線成分と当該周波数成分の一次線成分とに分解し、当該周波数成分の散乱線成分に前記仮想グリッド特性の散乱線透過率を乗じることにより変換された散乱線成分を算出し、当該周波数成分の一次線成分に前記仮想グリッド特性の一次線透過率を乗じることにより変換された一次線成分を算出し、前記変換された散乱線成分および前記変換された一次線成分を周波数合成することにより、前記被写体画像の散乱線成分を抑制する請求項1から4のいずれか1記載の放射線画像処理装置。

請求項6

前記散乱線情報取得部は、前記領域情報に対応する一次線推定関数を用いて、前記散乱線含有率分布を算出する、請求項1から5のいずれか1記載の放射線画像処理装置。

請求項7

前記一次線推定関数は、前記非遮蔽画像領域内の各位置においては一次線成分の画素値を前記被写体の指数減弱則に基づいて推定し、前記遮蔽画像領域内の各位置においては一次成分の画素値をゼロとして前記散乱線含有率分布を算出する、請求項6記載の放射線画像処理装置。

請求項8

放射線画像処理装置によって実行される放射線画像処理方法であって、被写体に放射線を照射する放射線源と、前記被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、前記被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、前記放射線源からの放射線の照射方向において前記遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、前記検出器から前記遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得ステップと、前記被写体画像のうち前記非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、前記被写体画像のうち前記遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得ステップと、前記被写体画像に散乱線除去グリッドの散乱線除去効果を仮想的に付与するために設定された仮想的なグリッドの散乱線透過率及び一次線透過率を表す仮想グリッド特性を取得する特性取得ステップと、前記被写体画像の散乱線含有率分布を表す散乱線情報を取得する散乱線情報取得ステップと、前記領域情報と前記仮想グリッド特性と前記散乱線情報とに基づいて、前記非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を除去する除去処理ステップを有する散乱線抑制ステップとを有することを特徴とする放射線画像処理方法。

請求項9

コンピュータを、被写体に放射線を照射する放射線源と、前記被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、前記被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、前記放射線源からの放射線の照射方向において前記遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、前記検出器から前記遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得部と、前記被写体画像のうち前記非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、前記被写体画像のうち前記遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得部と、前記被写体画像に散乱線除去グリッドの散乱線除去効果を仮想的に付与するために設定された仮想的なグリッドの散乱線透過率及び一次線透過率を表す仮想グリッド特性を取得する特性取得部と、前記被写体画像の散乱線含有率分布を表す散乱線情報を取得する散乱線情報取得部と、前記領域情報と前記仮想グリッド特性と前記散乱線情報とに基づいて、前記非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を除去する除去処理部と、を有する散乱線抑制部として機能させることを特徴とする放射線画像処理プログラム

技術分野

0001

本発明は、放射線画像に対して画像処理を施す放射線画像処理装置および方法並びに放射線画像処理方法コンピュータに実行させるためのプログラムに関する。

背景技術

0002

従来、被写体を透過した放射線により被写体の放射線画像を撮影する際、特に被写体の厚さが大きいと、被写体内において放射線が散乱し、この散乱放射線(以下散乱線とする)により、取得される放射線画像のコントラストが低下するという問題がある。

0003

この問題に鑑み、被写体の放射線画像から散乱線成分を画像処理によって抑制する様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1、2および非特許文献1には、被写体の体厚に対応する散乱線の強度分布関数を表す関係式に基づいて、被写体画像における各位置に到達する散乱線成分を算出し、算出された散乱線成分を被写体画像の対応する位置の画素値から低減することによって、散乱線成分を抑制する方法が提案されている。

0004

特許第3423828号公報
特許第3540914号公報

先行技術

0005

秀起、「ディジタルX線画像の後処理による散乱線成分除去法」, 日本放射線技術学雑誌第62巻第9号, 2006年9月, p.1359-1368

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにおいて、放射線源からの照射範囲照射野絞りなどの遮蔽物によって制限されることにより、被写体を放射線撮影して得られた被写体画像が、放射線源からの放射線の照射範囲の画像を表す非遮蔽画像領域と、放射線源からの放射線の照射範囲外の画像を表す遮蔽画像領域とを有する画像となる場合がある。もし、このような被写体画像に対して、特許文献1、2および非特許文献1に記載された手法を適用した場合には、放射線の照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽された遮蔽被写体部分に対応する散乱線の強度分布を誤って推定することにより、被写体画像の非遮蔽画像領域に到達する散乱線を過剰に見積もってしまう可能性がある。

0007

本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、遮蔽画像領域と非遮蔽画像領域を有する被写体画像に対して、非遮蔽画像領域における散乱線成分の推定誤差を低減して、被写体画像の非遮蔽画像領域の散乱線成分を好適に抑制することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明による放射線画像処理装置は、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、放射線源からの放射線の照射方向において遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、検出器から遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得部と、被写体画像のうち非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、被写体画像のうち遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得部と、撮影条件と領域情報とに基づいて、被写体画像において、放射線源からの放射線の照射方向に放射線が透過する被写体部分である非遮蔽被写体部において発生した散乱線の広がりを推定し、放射線源からの放射線の照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽された被写体部分である遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域の各位置に到達することによる非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制する散乱線抑制部とを備えたことを特徴とする。

0009

本発明による放射線画像処理方法は、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、放射線源からの放射線の照射方向において遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、検出器から遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得ステップと、被写体画像のうち非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、被写体画像のうち遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得ステップと、撮影条件と領域情報とに基づいて、被写体画像において、放射線源からの放射線の照射方向に放射線が透過する被写体部分である非遮蔽被写体部において発生した散乱線の広がりを推定し、放射線源からの放射線の照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽された被写体部分である遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域の各位置に到達することによる非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制する散乱線抑制ステップとを有することを特徴とする。

0010

本発明による放射線画像処理プログラムは、コンピュータを、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物と、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出器とを備えた撮影システムにより撮影された放射線画像であって、あらかじめ定められた撮影条件で、放射線源からの放射線の照射方向において遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部と、検出器から遮蔽検出部を除いた検出器部分である非遮蔽検出部とによって検出された被写体画像を取得する画像取得部と、被写体画像のうち非遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域と、被写体画像のうち遮蔽検出部の各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域とを特定する情報である領域情報を取得する領域情報取得部と、撮影条件と領域情報とに基づいて、被写体画像において、放射線源からの放射線の照射方向に放射線が透過する被写体部分である非遮蔽被写体部において発生した散乱線の広がりを推定し、放射線源からの放射線の照射方向に遮蔽物によって放射線が遮蔽された被写体部分である遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域の各位置に到達することによる非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制する散乱線抑制部として機能させることを特徴とする。

0011

「被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物」とは、放射線源と被写体との間に位置し、放射線源から照射されて被写体画像の形成に寄与する放射線の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽物を意味する。遮蔽物としては、放射線源から被写体に照射される放射線を実質的に遮蔽することができるものであれば、任意の形状、構造および材質とを採用してよく、放射線源と被写体との間の任意の位置に配置してよい。遮蔽物は、例えば、照射野絞り(コリメータ)とすることができる。

0012

「放射線源からの放射線の照射方向において遮蔽物によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部」とは、検出器のうち、被写体画像の放射線撮影の際に照射された放射線の照射方向において放射線源と検出器との間に遮蔽物が位置した検出器部分を意味する。

0013

「放射線源からの放射線の照射方向において遮蔽物によって放射線が遮蔽された被写体部分である遮蔽被写体部」とは、被写体のうち、被写体画像の放射線撮影の際に照射された被写体画像の形成に寄与する放射線の照射方向において放射線源と被写体との間に遮蔽物が位置した被写体部分を意味する。

0014

放射方向において放射線が透過する被写体部分である非遮蔽被写体部」とは、被写体のうち、被写体画像の放射線撮影の際に照射された被写体画像の形成に寄与する放射線の照射方向に放射線が透過した被写体部分を意味する。

0015

上記「非遮蔽被写体部において発生した散乱線の広がりを推定」するとは、少なくとも非遮蔽被写体部において発生した散乱線の広がりを推定することを意味し、例えば、非遮蔽被写体部から発生した散乱線の広がりに加えて、被写体画像の放射線撮影の際に被写体画像の形成に寄与する放射線が透過した空気媒体などの他の要素から発生した散乱線の広がりをさらに推定する場合も含む。

0016

「推定した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制する」とは、非遮蔽画像領域の各位置において推定した散乱線成分の量が大きくなるほど抑制される散乱線成分の量が大きくなるように、散乱線成分を低減することを意味する。

0017

また、「遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定し」とは、例えば、被写体画像の各位置における散乱線成分を推定する散乱線推定関数に対して、適宜パラメータ所要の処理の条件設定を行うことにより遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないという条件を反映することを意味する。

0018

本発明による放射線画像処理装置において、散乱線抑制部は、被写体画像の各位置における一次線成分に応じた散乱線の広がりを表す広がり分布を推定し、推定した散乱線の広がり分布に基づいて、非遮蔽画像領域の各位置に対して、非遮蔽画像領域の位置に到達する散乱線の総和をかかる位置の散乱線成分として推定する散乱線推定関数を用いて、非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を算出することが好ましい。

0019

上記の場合に、散乱線抑制部は、遮蔽被写体部からの散乱線の到達を打ち消す第1条件を散乱線推定関数に設定することにより、遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定してもよい。あるいは、散乱線抑制部は、遮蔽画像領域の各位置における一次線成分がであるという第2条件を散乱線推定関数に設定することにより、遮蔽被写体部から非遮蔽画像領域へ広がる散乱線がないと推定してもよい。

0020

本発明による放射線画像処理装置において、散乱線抑制部は、非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を非遮蔽画像領域の対応する各位置の画素値から減算することにより、非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制してもよい。

0021

本発明による放射線画像処理装置において、散乱線抑制部は、非遮蔽画像領域の各位置の画素値を散乱線成分と一次線成分とに分離し、非遮蔽画像領域の各位置において、かかる位置の散乱線成分から第1の割合に対応する散乱線成分を低減し、かかる位置の一次線成分から第1の割合以下の第2の割合に対応する一次線成分を低減することにより、非遮蔽画像領域の各位置の散乱線成分を抑制してもよい。

0022

上記「第1の割合」は、非遮蔽画像領域中の各位置における、全散乱線成分の量に対する全散乱線成分の量から除去される散乱線成分の量の比を意味する。第1の割合は、非遮蔽画像領域中の1つの位置の全散乱線成分の量を1とすると、0より大きく1以下の値に設定される。また、「第2の割合」は、非遮蔽画像領域中の各位置における、全一次線成分の量に対する全一次線成分の量から除去される一次線成分の量の割合を意味する。また、第1および第2の割合は、一次線成分に対する散乱線成分の相対的な割合の要求に応じて適宜設定される。

発明の効果

0023

本発明によれば、非遮蔽画像領域における散乱線成分の推定誤差を低減して、被写体画像の非遮蔽画像領域の散乱線成分を好適に抑制することができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明の第1の実施形態による放射線画像処理装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図
被写体画像を放射線撮影する際の撮影装置と被写体との位置関係を説明する図
被写体画像における遮蔽画像領域と非遮蔽画像領域を説明する図
第1の実施形態において放射線画像処理装置に行われる処理を示すフローチャート
第2の実施形態における散乱線抑制部の構成を示す概略ブロック図
第2の実施形態において放射線画像処理装置に行われる処理を示すフローチャート

実施例

0025

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による放射線画像処理装置を適用した放射線画像撮影システム1の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影システム1は、撮影装置10と、放射線画像撮影システム1を制御する制御装置20と、放射線画像処理装置30(以下、画像処理装置30と記載する)とを備える。

0026

撮影装置10は被写体Kに放射線Xを照射する放射線源12と、被写体Kを透過したX線を検出して被写体Kの放射線画像を取得する放射線検出器14(以下、検出器14と記載する)と照射野絞り16とを備える。

0027

なお、本実施形態においては、被写体Kと検出器14との間には、被写体Kを透過した放射線Xのうち、被写体Kにより散乱した散乱線を除去するための散乱線除去グリッドは配置されない。

0028

制御装置20は、設定された撮影条件に従って放射線源12を駆動制御する線源駆動制御部22と、検出器14を制御し、放射線画像を取得する検出器制御部24と、照射野絞り16の略矩形形状の開口の短辺と長辺の長さおよび検出器14に対する相対角度を制御する照射野制御部23を備える。照射野制御部23は、照射野絞り16の開口領域情報(略矩形形状の開口の短辺と長辺の長さおよび検出器14に対する相対角度)を、要求に応じて後述の領域情報取得部32に送信する。

0029

画像処理装置30は、画像処理装置30に対する操作者の各種入力を受け付ける入力部41と、表示部42、中央処理装置(CPU)、半導体メモリ通信インターフェースおよびハードディスクSSD等の記憶部39を備えたコンピュータであり、画像処理装置30には、各実施形態にかかる放射線画像処理プログラムがインストールされている。そして、かかる放射線画像処理プログラムの実行により、画像処理装置30の中央処理装置およびメモリ協働して、被写体Kを放射線撮影して得られた被写体画像Ikを取得する画像取得部31と、領域情報取得部32と、散乱線抑制部33として機能する。なお、入力部38は、キーボードマウスタッチパネル等から構成される。また、表示部42は、CRT液晶ディスプレイ等からなり、撮影装置10により取得された放射線画像の表示や各種その他の所望の処理に必要な情報の表示を行う。

0030

画像取得部31は、被写体Kを放射線撮影して得られた被写体画像Ikを取得する。

0031

被写体画像Ikは、撮影装置10において、放射線源12からの放射線の照射方向において被写体Kに照射された放射線を部分的に遮蔽するように照射野絞り16(遮蔽物)を位置決めした状態で、あらかじめ定められた撮影条件で撮影されたものである。

0032

図2は、被写体画像Ikの放射線撮影時の放射線源12と被写体Kと検出器14と照射野絞り16との位置関係を説明する図であり、図3は、被写体画像Ikと非遮蔽画像領域RAと遮蔽画像領域RBとの関係を説明するための図である。ここでは、略矩形形状の検出器14の短手方向をX方向、長手方向をY方向とすると、X方向に対して短辺がXY平面内で傾き角度Eを有する略矩形状の開口を形成するように照射野絞り16が位置決めされ、かかる位置決めされた開口に対応する照射領域に放射線Xが照射される。また、被写体Kの体軸がY軸方向に平行になるように被写体Kが位置決めされる。上記のように位置決めされた状態で放射線撮影が行われると、図2に示すように、放射線源12からの放射線の照射方向において遮蔽物16によって放射線が遮蔽された検出器部分である遮蔽検出部14Bと、検出器14から遮蔽検出部14Bを除いた検出器部分である非遮蔽検出部14Aによって被写体Kを表す被写体画像Ikが検出される。言い替えると、遮蔽検出部14Bは放射線源12における照射範囲外に位置する検出器部分であり、非遮蔽検出部14Aは放射線源12における照射範囲内に位置する検出器部分である。

0033

図3に示すように、図2のように位置決めされた状態で放射線撮影が行われて検出器14に検出された被写体画像Ikは、遮蔽検出部14Bの各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域RBと、非遮蔽検出部14Aの各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域RAとを有するものとなる。なお、図3における破線は、照射領域に対応する領域を示す。また、図2に示すように、照射野絞り16によって、放射線Xの照射範囲が制限されているため、被写体Kのうち、放射線Xの照射範囲に位置する被写体部分である非遮蔽被写体部KAには放射線Xが放射線の照射方向に直接入射して非遮蔽被写体部KAを透過する。一方、放射線Xの照射範囲外に位置する被写体部分である遮蔽被写体部KBには放射線Xが放射線の照射方向に照射野絞り16によって遮蔽されているため、放射線が照射方向に直接入射しない。

0034

なお、「被写体に照射された放射線を部分的に遮蔽する遮蔽物」とは、放射線源と被写体との間に位置し、放射線源から照射されて被写体画像の形成に寄与する放射線の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽物を意味する。遮蔽物としては、放射線源から被写体に照射される放射線を実質的に遮蔽することができるものであれば、任意の構造および材質とを採用してよく、放射線源と被写体との間の任意の位置に配置してよい。

0035

領域情報取得部32は、被写体画像Ikのうち非遮蔽検出部14Aの各位置に対応する画素値を表す非遮蔽画像領域RAと、被写体画像Ikのうち遮蔽検出部14Bの各位置に対応する画素値を表す遮蔽画像領域RBとを特定する情報である領域情報を取得する。ここでは、検出器14の大きさや検出器14の照射野絞り16に対する相対位置は既知である。領域情報取得部32は、照射野制御部23から、被写体画像の放射線撮影された際の開口領域情報と、検出器14の大きさや検出器14の照射野絞り16に対する相対的な位置関係とに基づいて、非遮蔽画像領域RAと遮蔽画像領域RBとを特定することにより領域情報を取得する。

0036

また、領域情報取得部32は、非遮蔽画像領域RAと遮蔽画像領域RBを特定する任意の方法を採用可能であり、例えば、放射線画像内の照射領域を公知の画像解析技術により認識して(特開昭63−259538号公報、特開平10−275213号公報など参照)、認識された照射領域を非遮蔽画像領域RAとし、放射線画像の非遮蔽画像領域を遮蔽画像領域RBとしてもよく、照射野絞りの開口形状と放射線源と検出器の相対的な位置関係に基づいて放射線画像内の照射領域を特定し(特開2010−200945号公報など参照)して、特定された照射領域を非遮蔽画像領域RAとし、放射線画像の非照射領域を遮蔽画像領域RBとしてもよい。

0037

散乱線抑制部33は、撮影条件と領域情報とに基づいて、非遮蔽被写体部KAにおいて発生した散乱線の広がりを推定し、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域RAの各位置に到達することによる非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制する。

0038

ここで、特許文献1〜3に示されるように、被写体画像の各位置に到達する一次線成分に応じた散乱線の広がりを表す散乱線の強度分布をそれぞれ算出し、被写体画像中の1つの対象位置に対して、被写体画像の対象位置以外の各位置から散乱線の強度分布に従って広がって対象位置に到達する散乱線の総和を、かかる位置の散乱線成分の量であると推定する散乱線推定関数を用いて散乱線成分を抑制する技術が知られている。しかしながら、これらの技術を、遮蔽画像領域RBと非遮蔽画像領域RAとを有する被写体画像Ikにそのまま適用した場合には、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線の強度分布が適用されて散乱線成分が推定され、非遮蔽画像領域RAにおける対象位置において、散乱線が生じないはずの遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がった散乱線が誤って加算され、散乱線成分の量が過剰に見積もられてしまう可能性がある。特に、非遮蔽画像領域RA中の遮蔽画像領域RBに近い部分ほど、この散乱線成分の誤差が大きくなると推定される。なお、一次線成分とは、放射線源から放射線の照射方向に検出器に入射する放射線成分を意味する。

0039

上記問題に鑑み、本発明は、非遮蔽被写体部KAにおいて発生した散乱線の広がりを推定し、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域RAの各位置に到達することによる非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制することにより、非遮蔽画像領域RAにおける散乱線成分の推定誤差を低減するものである。

0040

詳細には、散乱線抑制部33は、被写体画像Ikの各位置における一次線成分に応じた散乱線の広がりを表す広がり分布を推定し、推定した散乱線の広がり分布に基づいて、非遮蔽画像領域RAの各位置に対して、非遮蔽画像領域RAの位置に到達する散乱線の総和をかかる位置の散乱線成分として推定する散乱線推定関数を用いて、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出する。

0041

ここでは、散乱線抑制部33は、下記の式(1)で定義される散乱線推定関数を用いて、被写体画像Ikの各位置の散乱線成分Is(x,y)を表す散乱線画像Isを推定する。なお、式(1)におけるIpは、式(2)によって定義される。

0042

ここで、(x,y)は被写体画像Ikの位置の座標、Ip(x,y)は位置(x,y)における一次線成分に対応する画素値、Is(x,y)は位置(x,y)における散乱線成分に対応する画素値、Io(x,y)は被写体Kが存在しないと仮定した場合に位置(x,y)における検出器14で検出される到達線量を表す画素値(位置(x、y)に対応する被写体表面の位置における入射線量を表す画素値)、μは被写体の線減弱係数、KS(x,y,Tn(x’,y’),θ(x’,y’))は画素位置(x’,y’)を中心とした点拡散関数(Point Spread Function)を表す(散乱線の広がり分布を表す)畳み込みカーネルである。また、かかる畳み込みカーネルKSは、位置(x’,y’)における被写体Kの体厚分布Tk(x’,y’)と、位置(x’,y’)におけるパラメータθ(x’,y’)とに応じて選択される。なお、Io(x,y)は、放射線源12と検出器14の検出面との距離(SID)、管電圧および撮影線量に応じて変化する。なお、式(2)は公知の指数減弱則に基づく式であり、被写体画像Ikの各位置について、位置(x,y)の一次線成分に対応する画素値Ip(x,y)を、かかる位置に対応する画素値Ioと、被写体Kの体厚分布Tk(x,y)と、被写体Kの放射線吸収度合いを表す線源弱係数μによって定義するものである。

0043

パラメータθ(x’,y’)は、位置(x’,y’)における畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))を特定するパラメータである。ここでは、パラメータθ(x’,y’)は、撮影線量(管電流と照射時間の積)と管電圧とを表す撮影条件ごとに設けられた、撮影条件を表すパラメータである。記憶部39は、予め作成された、被写体の体厚分布Tk(x’,y’)と、パラメータθ(x’,y’)と、畳み込みKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))とを対応づけたテーブルを記憶する。そして、散乱線抑制部33は、式(1)において、位置(x’,y’)ごとに、このテーブルを参照して、被写体画像Ikにおける被写体Kの体厚分布Tk(x’,y’)と放射線撮影時の撮影条件に対応するパラメータθ(x’,y’)とに対応する畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))を用いる。

0044

また、式(1)に示す散乱線推定関数において、散乱線成分Is(x,y)を、一次線成分Ipに対する点拡散関数(式(1)におけるKS)の畳み込みにより近似する。また、式(1)に示す散乱線推定関数は、遮蔽画像領域RB内の各位置においては散乱線の広がり分布を打ち消し、非遮蔽画像領域RA内の各位置においては散乱線の広がり分布を維持するデルタ関数δ(x’,y’)を備える。具体的には、非遮蔽画像領域RA内の各位置(x’,y’)においては、δ(x’,y’)=1として、各位置の一次線成分の画素値Ip(x’,y’)と畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))との乗算結果を維持する。そして、遮蔽画像領域RB内の各位置(x’,y’)においては、δ(x’,y’)=0として、遮蔽画像領域RB内の位置の一次線成分の画素値Ip(x’,y’)と畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))との乗算結果を零とする(打ち消す)。このようにして、デルタ関数δにより、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線を打ち消す第1条件を散乱線推定関数に設定して反映する。

0045

また、式(1)に示す散乱線推定関数において、各位置の一次線成分の画素値Ip(x’,y’)と畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))とデルタ関数δ(x’,y’)との乗算結果に基づいて、被写体画像Ikの各位置(x’,y’)から位置(x,y)に到達する散乱線の総和が位置(x,y)の散乱線成分に対応する画素値Is(x,y)(散乱線成分の量)として定義される。

0046

なお、各位置の散乱線の広がり分布は、被写体の体厚によって変化し、さらに、撮影条件、被写体の組成を表す情報、エアギャップ量、および放射線検出器の特性等の各種の変動要素によっても変化する。このため、式(1)に示すような散乱線推定関数において、点拡散関数を特定するパラメータθ(x’,y’)を、上記のような各種の変動要素から選択される1つ以上の要素の任意の組み合わせごとに設けて、パラメータθ(x’,y’)をかかる各組み合わせを表すパラメータとしてもよい。また、パラメータθ(x’,y’)に反映される撮影条件として、例えば、撮影時の撮影距離(SID)、撮影線量、管電圧、線源のターゲットおよびフィルタの材質、並びに撮影に使用される放射線検出器の種類等から選択された1つ以上の要素の任意の組み合わせを用いることができる。また、畳み込みカーネルKSは、被写体の体厚、被写体の組成を表す情報および撮影条件等に応じて実験的に求めることができる。

0047

散乱線抑制部33は、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を被写体画像Ikにおける非遮蔽画像領域RAの対応する各位置の画素値から減算することにより、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制して、散乱線成分が抑制された散乱線抑制画像を取得する。また、散乱線抑制部33は、散乱線抑制画像を記憶部39に記憶する。

0048

ここでは、散乱線抑制部33は、式(1)によって被写体画像Ikの各位置の一次線成分を算出して、被写体画像Ikの各位置の一次線成分を表す画像を一次線画像Ipも取得し、式(2)によって非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出して、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線の画素値Is(x,y)を表す散乱線画像Isを取得する。なお、する。そして、被写体画像Ikと散乱線画像Isの対応する位置を位置合わせして、非遮蔽画像領域RAから散乱線画像Isを減算して散乱線成分が抑制された散乱線抑制画像を取得して、記憶部39に記憶する。

0049

また、散乱線抑制部33は、散乱線推定関数として、被写体画像Ikの各位置の散乱線の広がり分布を表すことができる任意の関数を採用してよく、散乱線推定関数において、遮蔽画像領域RBに対して遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないという条件を任意の方法で設定してよい。

0050

例えば、散乱線抑制部33は、式(2)に代えて式(3)を用いるようにしてもよい。式(3)に示す散乱線推定関数は、非遮蔽画像領域RA内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を指数減弱則に基づいて推定し、遮蔽画像領域RB内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を零とする一次線推定関数を備えるものである。なお、式(3)において、式(3)における畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))は、式(2)における畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))と共通である。式(3)における散乱線推定関数は、非遮蔽画像領域RA内の各位置においては一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を式(1)によって定まる値とし、遮蔽画像領域RB内の各位置においては一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を零の値とすることにより、遮蔽画像領域RBの各位置における一次線成分が零であるという第2条件を散乱線推定関数に設定する。そして、また、式(3)に示す関数において、各位置の一次線成分の画素値Ip(x’,y’)と畳み込みカーネルKS(x,y,Tk(x’,y’),θ(x’,y’))との乗算結果に基づいて、被写体画像Ikの各位置(x’,y’)から位置(x,y)に到達する散乱線の総和が位置(x,y)の散乱線成分の画素値Is(x,y)(散乱線成分の量)として定義される。

0051

図4は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置30によって行われる処理を示すフローチャートである。図4に従って、画像処理装置30によって行われる処理の流れを説明する。

0052

まず、画像取得部31は、被写体画像Ikを取得する(ST01)。次いで、領域情報取得部32は、被写体画像Ikの領域情報を取得する(ST02)。続いて、散乱線抑制部33は、撮影条件と領域情報と条件式(1)、(2)に基づいて、非遮蔽画像領域RAの各位置における散乱線成分Is(x,y)を算出し、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を表す散乱線画像Isを生成する(ST03)。散乱線抑制部33は、散乱線画像Isを非遮蔽画像領域RA(被写体画像Ikのうち、非遮蔽検出部14Aによって検出された画像)から減算することにより、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制して、散乱線成分が抑制された散乱線抑制画像を取得する(ST04)。また、散乱線抑制部33は、散乱線抑制画像を記憶部39に記憶して処理を終了する。その後、画像処理装置30は、必要に応じて、散乱線抑制画像に対して、ノイズ除去処理階調処理および周波数処理等の所要の画像処理を行って処理後画像を取得し、処理後画像を記憶部39に記憶する。また、画像処理装置30は、ユーザーからの表示要求を受け付けると処理後画像を表示部42に表示させる。

0053

本実施形態によれば、非遮蔽被写体部KAにおいて発生した散乱線の広がりを推定し、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないと推定して、推定された散乱線が非遮蔽画像領域RAの各位置に到達することによる非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出し、算出した散乱線成分に応じて非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制することにより、非遮蔽画像領域RAにおける散乱線成分の推定誤差を低減して、非遮蔽画像領域RAの散乱線成分を好適に抑制することができる。

0054

また、散乱線抑制部33が、被写体画像Ikの各位置における一次線成分に応じた散乱線の広がりを表す広がり分布を推定し、推定した散乱線の広がり分布に基づいて、非遮蔽画像領域RAの各位置に対して、非遮蔽画像領域RAの位置に到達する散乱線の総和をかかる位置の散乱線成分として推定する散乱線推定関数を用いて、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を算出することにより、非遮蔽画像領域RAにおける各位置の散乱線成分を好適に推定することができる。

0055

また、式(2)に例示するように、非遮蔽画像領域RAに対して遮蔽被写体部KBからの散乱線の到達を打ち消す第1条件を散乱線推定関数に設定して、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないという条件を反映した場合には、好適に非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分の推定誤差を抑制して、非遮蔽画像領域RAから好適に散乱線成分を抑制することができる。また、式(2)に示すように、散乱線推定関数を、遮蔽画像領域RB内の各位置においては散乱線の広がり分布を打ち消し、非遮蔽画像領域RA内の各位置においては散乱線の広がり分布を維持する関数を備えるものとしたため、比較的簡易な方法で第1条件を散乱線推定関数に設定することができる。

0056

また、式(3)に例示するように、遮蔽画像領域RBの各位置における一次線成分が零であるという第2条件を散乱線推定関数に設定して、遮蔽被写体部KBから非遮蔽画像領域RAへ広がる散乱線がないという条件を反映した場合には、好適に非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分の推定誤差を抑制して、非遮蔽画像領域RAから好適に散乱線成分を抑制することができる。また、式(3)に示すように、散乱線推定関数を、非遮蔽画像領域RA内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を指数減弱則に基づいて推定し、遮蔽画像領域RB内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を零とする一次線推定関数を備えたことにより、比較的簡易な方法で第2条件を散乱線推定関数に設定することができる。

0057

また、散乱線抑制部33が非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を非遮蔽画像領域RAの対応する各位置の画素値から減算することにより、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制するものであるため、比較的簡易な方法で好適に被写体画像Ikの散乱線成分を低減した散乱線処理画像を提供することができる。このため、散乱線処理画像を、必要に応じてさらに所要の画像処理を行うなどして、表示部42に表示した場合には、観察に適した高品質な画像を提供することができる。

0058

また、散乱線抑制部33は、散乱線推定関数において推定された非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を低減できる任意の手法を採用してよい。例えば、本発明の第2の実施形態に示すように、散乱線抑制部33を、非遮蔽画像領域RAの各位置の画素値を散乱線成分と一次線成分とに分離し、非遮蔽画像領域RAの各位置において、その位置の散乱線成分から第1の割合に対応する散乱線成分を低減し、必要に応じてその位置の一次線成分から第1の割合以下の第2の割合に対応する一次線成分を低減することにより、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制するようにしてもよい。

0059

図5図6を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る散乱線抑制部33の構成を示す概略ブロック図であり、図6は、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像処理装置によって行われる処理を示すフローチャートである。

0060

図5に示すように、第2の実施形態に係る画像処理装置30は、グリッドを使用することなく撮影を行うことにより取得された被写体画像に対して、実際にグリッドを使用して撮影を行った場合と同様の散乱線を除去する効果を付与する散乱線抑制部33を備える。第2の実施形態は、散乱線抑制部33が、仮想的なグリッドの特性である仮想グリッド特性を取得する特性取得部34と、散乱線情報として被写体画像Ikに含まれる放射線の散乱線成分を表す散乱線情報を取得する散乱線情報取得部35と、特性取得部34に取得された仮想グリッド特性および散乱線情報取得部35が取得した散乱線情報に基づいて、非遮蔽画像領域RAの散乱線除去処理を行う除去処理部36とを備えた点が上記各実施形態と異なる。なお、第2の実施形態においては、散乱線抑制部33における処理が第1の実施形態の散乱線抑制部33と異なるが、それ以外の構成や機能については第1の実施形態と共通するため、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、共通部分については同じ符号を付して適宜説明を省略する。

0061

特性取得部34は、操作者による入力部41からの入力により仮想グリッド特性を取得する。第2の実施形態においては、仮想グリッド特性は、仮想グリッドについての散乱線透過率Ts、および被写体Kを透過して直接検出器14に照射される一次線の透過率(一次線透過率)Tpとする。なお、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpは0〜1の間の値をとる。

0062

特性取得部34は、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpの値の入力を直接受け付けることにより仮想グリッド特性を取得してもよいが、第2の実施形態においては、グリッドの種類を表すグリッド情報、被写体についての情報(被写体情報)、および被写体画像Ikの取得時の撮影条件の少なくとも1つの指定を受け付けることにより、仮想グリッド特性、すなわち散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpを取得する。なお、以下、特性取得部34に用いられる撮影条件を、特性取得用撮影条件と記載する。

0063

ここで、グリッド情報とは、グリッド比グリッド密度収束型か平行型か、収束型の場合の集束距離インタースペース素材アルミニウムファイバーベークライト等)等の、グリッドの種類を特定する情報の少なくとも1つを含む。散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpはグリッドの種類に応じて異なるものとなる。このため、グリッド情報に関して、各種グリッド情報の少なくとも1つと仮想グリッド特性とを対応づけたテーブルが記憶部39に記憶されている。

0064

被写体情報は、胸部腹部および頭部等の被写体の種類を表すものである。ここで、被写体画像Ikの撮影時には、一般的に撮影部位に応じて使用するグリッドの種類が決められており、グリッドの種類に応じて散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpが異なるものとなる。このため、被写体情報に関して、各種被写体情報と仮想グリッド特性とを対応づけたテーブルが記憶部39に記憶されている。なお、被写体情報は、被写体の種類に加えて、被写体の放射線画像上での位置、被写体の組成の分布、被写体の大きさおよび被写体の厚さ等に関する情報を含んでもよい。

0065

特性取得用撮影条件は、撮影時の撮影距離(SID)、撮影線量、管電圧、線源のターゲットおよびフィルタの材質、並びに撮影に使用される放射線検出器の種類等のうちの少なくとも1つを含む。ここで、被写体画像Ikの撮影時には、一般的に撮影条件に応じて使用するグリッドの種類が決められており、グリッドの種類に応じて散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpが異なるものとなる。このため、特性取得用撮影条件に関して、各種特性取得用撮影条件と仮想グリッド特性とを対応づけたテーブルが記憶部39に記憶されている。なお、特性取得用撮影条件は、仮想グリッド特性の取得に必要なパラメータを含むものであれば、体厚分布の決定に用いる撮影条件(体厚分布決定用撮影条件)や後述の散乱線情報の取得に用いる散乱線情報取得用撮影条件と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。

0066

特性取得部34は、記憶部39に記憶されたテーブルを参照して、入力部41から入力されたグリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件の少なくとも1つに基づいて、仮想グリッド特性を取得する。なお、グリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件は、入力部41の直接の入力を受け付ければよいが、各種グリッド情報、各種被写体情報および各種特性取得用撮影条件のリストを表示部42に表示し、リストからのグリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件の少なくとも1つの選択を受け付けることにより、グリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件の入力を行うようにしてもよい。

0067

また、第2の実施形態においては,散乱線除去処理は、後述するように被写体画像Ikを周波数分解することにより行われる。第2の実施形態においては、仮想グリッド特性は、周波数分解による得られる被写体画像Ikの複数の周波数帯域のそれぞれについて取得される。このため、上記テーブルにおける仮想グリッド特性は、複数の周波数帯域のそれぞれに対応づけられたものとなっている。

0068

また、グリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件のすべてと仮想グリッド特性とを対応づけたテーブルを記憶部39に記憶しておき、グリッド情報、被写体情報および特性取得用撮影条件のすべてに基づいて仮想グリッド特性を取得するようにしてもよい。この場合、テーブルは、各種グリッド情報、各種被写体情報および各種特性取得用撮影条件と、仮想グリッド特性とを対応づけた少なくとも4次元のテーブルとなる。

0069

なお、グリッドを使用することによって増加する照射線量の増加率である露出倍数、グリッドを使用した場合と使用しない場合とのコントラストの比率であるコントラスト改善係数、および一次線透過率の散乱線透過率に対する比率である選択度は、グリッドの特性を表す特性値であり、これらの特性値から散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpを算出することができる。このため、特性取得部34において、露出倍数、コントラスト改善係数および選択度の少なくとも1つの指定を受け付けることにより、仮想グリッド特性、すなわち散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpを算出して取得するようにしてもよい。

0070

また、第2の実施形態において画像処理装置30は、仮想グリッド特性のみならず、散乱線情報にも基づいて散乱線除去処理を行う。このため、散乱線情報取得部35は散乱線情報としてさらに散乱線情報を取得する。第2の実施形態においては、散乱線情報は、例えば被写体Kが胸部であれば、縦隔が存在する被写体画像Ikの中央部分ほど散乱線が多く、肺野が存在する周辺部ほど散乱線が少ないという、被写体画像Ikにおける散乱線含有率分布とする。

0071

散乱線情報取得部35は、撮影により取得された被写体画像Ikを解析することにより、散乱線情報すなわち散乱線含有率分布を取得する。

0072

散乱線情報取得部35は、被写体Kの体厚分布Tk(x,y)と被写体画像Ikの放射線撮影時の撮影条件とから、第1の実施形態と同様に式(1)に従って各位置の一次線成分Ip(x,y)および散乱線成分Is(x,y)を算出し、算出した一次線成分Ip(x,y)および散乱線成分Is(x,y)から式(4)に基づいて、散乱線含有率分布S(x,y)を算出する。なお、散乱線含有率分布S(x,y)は0〜1の間の値をとる。なお、第2の実施形態においても、式(1)に代えて、式(3)を用いてもよい。すなわち、式(3)のように、散乱線推定関数を、非遮蔽画像領域RA内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を指数減弱則に基づいて推定し、遮蔽画像領域RB内の各位置において一次線成分の画素値Ip(x’,y’)を零とする一次線推定関数を備えることにより、散乱線推定関数に遮蔽被写体部KBからの散乱線がないことを表す条件を反映してもよい。
S(x,y) = Is(x,y)/(Is(x,y)+Ip(x,y)) (4)

0073

なお、第2の実施形態においては上記式(2)において、被写体表面への入射線量Io(x,y)は、どのような値を定義してもS(x,y)を算出する際に除算によってキャンセルされるため、例えば値を1とする等、任意の値としてもよい。

0074

除去処理部36は、仮想グリッド特性および散乱線情報に基づいて、被写体画像Ikにおける散乱線と見なせる周波数帯域の周波数成分を低減させることにより、散乱線除去処理を行う。このため、除去処理部36は、被写体画像Ikを周波数分解して複数の周波数帯域毎の周波数成分を取得し、少なくとも1つの周波数成分のゲインを低減する処理を行い、処理済みの周波数成分およびこれ以外の周波数成分を合成して、散乱線除去処理済みの被写体画像Ikを取得する。なお、周波数分解の手法としては、被写体画像Ikを多重解像度変換する手法の他、ウェーブレット変換フーリエ変換等、公知の任意の手法を用いることができる。

0075

除去処理部36は、仮想グリッド特性である散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tp、並びに散乱線含有率分布S(x,y)から、周波数成分を変換する変換係数R(x,y)を下記の式(5)により算出する。なお、散乱線透過率Tsは、全散乱線成分を1とした場合の散乱線成分を透過する割合を表すものであるため、散乱線成分が低減される第1の割合は1−Tsで表される。同様に、一次線透過率Tpは、全一次線成分を1とした場合の一次線成分を透過する割合を表すものであるため、一次線成分が低減される第2の割合は1−Tpで表される。第2の割合は第1の割合以下とされ、第1の割合と第2の割合との比率は、所望の散乱線抑制結果となるように適宜設定される。
R(x,y) = S(x,y)×Ts + (1-S(x,y))×Tp (5)

0076

散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tp、並びに散乱線含有率分布S(x,y)は0〜1の間の値となるため、変換係数R(x,y)も0〜1の間の値となる。除去処理部36は、変換係数R(x,y)を複数の周波数帯域のそれぞれについて算出する。

0077

なお、以降の説明において、被写体画像Ikの画素値をIk(x,y)、周波数分解により得られる周波数成分画像をIk(x,y,r)、周波数合成をIk(x,y)=ΣrIk(x,y,r)、周波数帯域毎の変換係数をR(x,y,r)、周波数帯域毎の散乱線透過率および一次線透過率をTs(r)、Tp(r)で表すものとする。なお、rは周波数帯域の階層を表し、rが大きいほど低周波であることを表すものとする。したがって、Ik(x,y,r)は、ある周波数帯域の周波数成分画像となる。散乱線含有率分布S(x,y)は被写体画像Ikについてのものをそのまま用いればよいが、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpと同様に周波数帯域のそれぞれについて取得するようにしてもよい。

0078

第2の実施形態においては、周波数成分毎に変換係数R(x,y,r)を算出し、周波数成分画像Ik(x,y,r)に対して対応する周波数帯域の変換係数R(x,y,r)を乗算して、周波数成分画像Ik(x,y,r)の画素値を変換し、変換係数R(x,y,r)が乗算された周波数成分画像Ik(x,y,r)(すなわち、Ik(x,y,r)×R(x,y,r))を周波数合成して処理済みの被写体画像Ik′(x,y)を取得する。したがって、除去処理部36において行われる処理は、下記の式(6)により表される。なお、変換係数R(x,y,r)は0〜1の間の値となるため、周波数成分Ik(x,y,r)に対して対応する周波数帯域の変換係数R(x,y,r)を乗算することにより、その周波数成分の画素位置(x,y)における画素値すなわちゲインが低減されることとなる。
Ik′(x,y)=Σr{Ik(x,y,r)×R(x,y,r)}
=Σr{Ik(x,y,r)×(S(x,y)×Ts(r)+(1-S(x,y))×Tp(r))} (6)

0079

ここで、第2の実施形態においては、被写体画像Ikを6つの周波数帯域に周波数分解するものとし、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpは6つの周波数帯域について取得されるものとする。この場合、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpは、例えば下記式(7)に示す値となる。なお、式(7)では右側ほど低周波数帯域の値を表すものとする。
Ts={0.7, 0.7, 0.7, 0.7, 0.3, 0.2}
Tp={0.7, 0.7, 0.7, 0.7, 0.7, 0.7} (7)

0080

式(7)に示すように、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpは、高周波数帯域(r=1〜4)では同一の値であるが、低周波数帯域(r=5〜6)においては、散乱線透過率Tsの方が低い値となる。これは、グリッドは散乱線の周波数成分が支配的である低周波帯域ほどその除去率が高いが、一次線成分については除去率の周波数依存性が小さいからである。

0081

例えば、胸部を放射線撮影して得られた被写体画像であれば、散乱線の含有率が高い縦隔部および肺野の周囲において、式(5)、(7)に基づいて算出した変換係数の値が小さくなり、より大きく画素値が低減されることとなる。したがって、このように算出した変換係数を用いて式(6)に示す処理を行うことにより取得された処理済みの散乱線抑制画像Ik′においては、使用が想定されるグリッドの種類に応じて散乱線成分が除去されたものとなる。

0082

なお、除去処理部36においては、下記のようにして被写体画像Ikの散乱線を除去するようにしてもよい。まず、上記と同様に周波数合成をIk(x,y)=ΣrIk(x,y,r)で表すとすると、除去処理部36は、周波数成分画像Ik(x,y,r)を、下記の式(8)により、散乱線含有率分布S(x,y)を用いて、散乱線成分Is(x,y,r)(散乱線成分に対応する画素値)と一次線成分Ip(x,y,r)(一次線成分に対応する画素値)とに分解する。
Is(x,y,r)= S(x,y)×Ik(x,y,r)
Ip(x,y,r)=(1-S(x,y))×Ik(x,y,r) (8)

0083

さらに除去処理部36は、下記の式(9)により、散乱線成分Is(x,y,r)および一次線成分Ip(x,y,r)のそれぞれに対して、仮想グリッド特性である散乱線透過率Ts(r)および一次線透過率Tp(r)を適用して画像変換し、変換された散乱線成分Is′(x,y,r)および一次線成分Ip′(x,y,r)を算出する。
Is′(x,y,r)=Is(x,y,r)×Ts(r)=S(x,y)×Ik(x,y,r)×Ts(r)
Ip′(x,y,r)=Ip(x,y,r)×Tp(r)=(1-S(x,y))×Ik(x,y,r)×Tp(r) (9)

0084

そして下記の式(10)により、Is′(x,y,r)および一次線成分Ip′(x,y,r)を周波数合成して、散乱線抑制処理済みの散乱線抑制画像Ik(x,y)′を算出する。
Ik′(x,y)=Σr{Is′(x,y,r)+Ip′(x,y,r)}
=Σr{S(x,y)×Ik(x,y,r)×Ts(r)+(1-S(x,y))×Ik(x,y,r)×Tp(r)}
=Σr{Ik(x,y,r)×(S(x,y)×Ts(r)+(1-S(x,y))×Tp(r))} (10)

0085

次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図6は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。撮影装置10において取得された被写体画像Ikが画像処理装置30に入力されると、画像取得部31は、被写体画像Ikを取得する(ST21)。次いで、領域情報取得部32は、被写体画像Ikに対応する領域情報を取得する(ST22)。続いて、散乱線抑制部33は、特性取得部34がグリッド情報、被写体情報および撮影条件の少なくとも1つの入力部41からの入力を受け付けて、仮想グリッド特性、すなわち散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tpを取得する(ST23)。

0086

また、散乱線情報取得部35が撮影条件と領域情報と条件式(1)、(2)に基づいて、各位置における散乱線成分と一次線成分を推定し、推定された散乱線成分と一次線成分に基づいて散乱線成分情報、すなわち散乱線含有率分布S(x,y)を取得する(ST24)。一方、除去処理部36は、被写体画像Ikを周波数分解する。なお、ST23の処理とST24の処理とST25の処理とを、任意の順に実施してよく、並列して実施してもよい。

0087

そして、除去処理部36は、上記式(5)により周波数帯域毎の変換係数R(x,y,r)を算出し(ST25)、変換係数R(x,y,r)により周波数成分画像Ik(x,y,r)を変換することにより散乱線成分を抑制する(ST26)。そして変換された周波数成分画像Ik′(x,y,r)を周波数合成して散乱線抑制画像Ik′を生成する(ST27)。その後、除去処理部36は、散乱線抑制画像Ik′を記憶部39に記憶して処理を終了する。その後、画像処理装置30は、必要に応じて、散乱線抑制画像に対して、ノイズ除去処理、階調処理および周波数処理等の所要の画像処理を行って処理後画像を取得し、処理後画像を記憶部39に記憶する。また、画像処理装置30は、ユーザーからの表示要求を受け付けると処理後画像を表示部42に表示させる。

0088

第2の実施形態によれば、散乱線抑制部33が、非遮蔽画像領域RAの各位置の画素値を散乱線成分と一次線成分とに分離し、非遮蔽画像領域RAの各位置において、かかる位置の散乱線成分から第1の割合に対応する散乱線成分を低減し、かかる位置の一次線成分から第1の割合以下の第2の割合に対応する一次線成分を低減することにより、非遮蔽画像領域RAの各位置の散乱線成分を抑制するものであるため、被写体画像の各位置の散乱線成分の推定誤差を抑制して、各位置の散乱線成分と一次線成分の割合を所望の割合になるように調整して被写体画像から好適に散乱線成分を抑制することができる。

0089

第2の実施形態における散乱線抑制部33は、被写体画像Ikの撮影時に散乱線を除去するために使用が想定されるグリッドの特性である仮想グリッド特性を取得し、さらに散乱性成分情報を取得し、仮想グリッド特性および散乱線成分情報に基づいて、被写体画像Ikの散乱線除去処理を行うようにしたものである。このため、グリッドを使用しないで撮影された被写体画像に対して、実際にグリッドを使用して撮影を行った場合と同様の散乱線を除去する効果を付与することができる。また、被写体画像Ikの画質を、様々な種類の散乱線除去グリッドを使用して撮影を行うことにより取得した被写体画像の画質に近づけることができる。

0090

また、収束型のグリッドを使用した場合、放射線の斜入により被写体画像Ikに濃度ムラが発生するおそれがあるが、第2の実施形態においては、グリッドを使用しないで撮影された被写体画像に対して散乱線を除去する処理を実施することにより、放射線の斜入による濃度ムラが発生しなくなるため、より高画質の散乱線抑制画像Ik′を取得することができる。

0091

また、上記の実施形態におけるシステム構成ハードウェア構成処理フローモジュール構成ユーザインターフェースや具体的処理内容等に対して、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な改変を行ったものも、本発明の技術的範囲に含まれる。たとえば、画像解析装置の構成要素の一部または全部は、1台のワークステーションにより構成されたものであってもよく、ネットワークを介して接続された一台以上のワークステーション、サーバ記憶装置によって構成されたものであってもよい。また、体厚分布を取得するために任意の方法を採用してよい。例えば、特願2013−229941号、特願2013−229942号などに記載された体厚分布取得方法を採用してよい。

0092

また、上記実施形態においては、検出器14を用いて被写体の放射線画像を撮影する撮影装置10において取得した放射線画像を用いて散乱線除去処理を行っているが、特開平8−266529号公報、特開平9−24039号公報等に示される放射線検出体としての蓄積性蛍光体シートに被写体の放射線画像情報蓄積記録し、蓄積性蛍光体シートから光電的に読み取ることにより取得した放射線画像を用いた場合においても、本発明を適用できることはもちろんである。

0093

10撮影装置
12放射線源
14放射線検出器
20制御装置
22線源駆動制御部
24検出器制御部
30放射線画像処理装置
31画像取得部
32領域情報取得部
33散乱線抑制部
39 記憶部
41 入力部
42 表示部
K 被写体
KA 非遮蔽被写体部
KB遮蔽被写体部
14A 遮蔽検出部
14B 非遮蔽検出部
Ik被写体画像
RA 非遮蔽画像領域
RB 遮蔽画像領域

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