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図面 (10)

課題

本願発明は、形状の乱れが少ない磁区を効率的に形成できる磁気記録媒体を提供する。

解決手段

磁気記録媒体1は、基板10上に細線状に形成された磁性体である磁性細線30を備え、磁性細線30の細線方向2値のデータを異なる2方向の磁化として記録するものであって、磁性細線30にデータを書き込む記録ヘッド42と、磁性細線30を挟んで記録ヘッド42に対向する位置に配置された、矩形状のSUL20を備え、記録ヘッド42は、磁極43から磁気シールド45までの方向が磁性細線30と平行になり、SUL20の長さが、磁極43と磁気シールド45との距離以上であることを特徴する。

概要

背景

従来より、可動部のない超高速記録素子として、磁性細線中の磁区を用いた磁気記録媒体が提案されている。この磁気記録媒体は、磁性体を細線状に形成すると、その長さ方向に磁区が形成され、さらに当該長さ方向に駆動電流を供給すると磁区同士を区切る磁壁が移動する磁壁移動型記録媒体である。

概要

本願発明は、形状の乱れが少ない磁区を効率的に形成できる磁気記録媒体を提供する。磁気記録媒体1は、基板10上に細線状に形成された磁性体である磁性細線30を備え、磁性細線30の細線方向2値のデータを異なる2方向の磁化として記録するものであって、磁性細線30にデータを書き込む記録ヘッド42と、磁性細線30を挟んで記録ヘッド42に対向する位置に配置された、矩形状のSUL20を備え、記録ヘッド42は、磁極43から磁気シールド45までの方向が磁性細線30と平行になり、SUL20の長さが、磁極43と磁気シールド45との距離以上であることを特徴する。

目的

そこで、本願発明は、形状の乱れが少ない磁区を効率的に形成できる磁壁移動型記録媒体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

基板上に細線状に形成された磁性体である磁性細線を備え、前記磁性細線の細線方向2値のデータを異なる2方向の磁化として記録する磁壁移動型記録媒体であって、前記磁性細線に前記データを書き込むデータ書込手段と、前記磁性細線を挟んで前記データ書込手段に対向する位置に配置された、矩形状の高透磁率軟磁性下地層と、を備えることを特徴する磁壁移動型記録媒体。

請求項2

前記データ書込手段として、磁極及び磁気シールドを有し、前記データを前記磁性細線に書き込む記録ヘッドを備え、前記記録ヘッドは、前記磁極から前記磁気シールドまでの方向が前記磁性細線と直交し、前記高透磁率軟磁性下地層は、前記磁性細線を挟んで前記記録ヘッドに対向する位置に配置され、前記記録ヘッドに対する長さが前記磁極と前記磁気シールドとの距離以上であり、前記記録ヘッドに対する幅が前記磁極の幅以上、かつ、前記磁極の幅4倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁壁移動型記録媒体。

請求項3

前記データ書込手段として、磁極及び磁気シールドを有し、前記データを前記磁性細線に書き込む記録ヘッドを備え、前記記録ヘッドは、前記磁極から前記磁気シールドまでの方向が前記磁性細線と平行になり、前記高透磁率軟磁性下地層は、前記磁性細線を挟んで前記記録ヘッドに対向する位置に配置され、前記記録ヘッドに対する長さが、前記磁極と前記磁気シールドとの距離以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁壁移動型記録媒体。

技術分野

0001

本願発明は、基板上に細線状に形成された磁性体である磁性細線を備える磁壁移動型記録媒体に関する。

背景技術

0002

従来より、可動部のない超高速記録素子として、磁性細線中の磁区を用いた磁気記録媒体が提案されている。この磁気記録媒体は、磁性体を細線状に形成すると、その長さ方向に磁区が形成され、さらに当該長さ方向に駆動電流を供給すると磁区同士を区切る磁壁が移動する磁壁移動型の記録媒体である。

先行技術

0003

特開2011−123943号公報

発明が解決しようとする課題

0004

前記した磁壁移動型記録媒体は、従来のHDD(Hard Disk Drive)と同様の記録ヘッドを採用した場合、記録ヘッドからの磁束が広がってしまい、磁性細線に磁区が形成されず、データを書き込めないという問題があった。
また、磁壁移動型記録媒体は、高透磁率軟磁性下地層(SUL:Soft Under Layer)を磁性細線の下側に形成すると、磁区の形成自体は可能となるが、磁性細線とSULとが重なり合う箇所で磁区の形状が乱れてしまい、データの書き込みを正常に行うことができなくなる。

0005

そこで、本願発明は、形状の乱れが少ない磁区を効率的に形成できる磁壁移動型記録媒体を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

前記した課題に鑑みて、本願発明に係る磁壁移動型記録媒体は、基板上に細線状に形成された磁性体である磁性細線を備え、前記磁性細線の細線方向2値のデータを異なる2方向の磁化として記録する磁壁移動型記録媒体であって、前記磁性細線に前記データを書き込むデータ書込手段と、前記磁性細線を挟んで前記データ書込手段に対向する位置に配置された、矩形状の高透磁率軟磁性下地層と、を備える構成とした。

0007

かかる構成によれば、磁壁移動型記録媒体は、データ書込手段の下側にSULを配置しているので、データ書込手段、磁性細線及びSULの間で閉磁路を形成できる。これにより、磁壁移動型記録媒体は、少ない書き込み磁界で急峻な磁界勾配を形成し、磁束を磁性細線の書込領域に集中させることができる。
さらに、磁壁移動型記録媒体は、閉磁路の形成に寄与しないSULを余分に配置しないので、磁性細線とSULとが重なり合う箇所が少なくなり、磁気モーメントの乱れを抑制することができる。

発明の効果

0008

本願発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本願発明に係る磁壁移動型記録媒体は、磁束が磁性細線の書込領域に集中するので、磁区を効率的に形成することができる。さらに、磁壁移動型記録媒体は、磁気モーメントの乱れが抑制されるので、磁区の形状の乱れを少なくすることができる。

図面の簡単な説明

0009

本願発明の第1実施形態に係る記録装置の構成を示す概略図である。
図1の磁気記録媒体の構造を示す斜視図である。
図2の磁気記録媒体の断面図であり、(a)は図2のA−A断面を表し、(b)は図2のB−B断面を表す。
(a)〜(d)は、図1の磁気記録媒体の製造方法を説明する説明図である。
本願発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体の構造を示す斜視図である。
図5の磁気記録媒体の断面図であり、(a)は図5のA−A断面を表し、(b)は図5のB−B断面を表す。
本願発明の実施例1について、磁化分布シミュレーションの結果を表す画像である。
(a)及び(b)は、比較例1,2について、磁化分布シミュレーションの結果を表す画像である。
(a)及び(b)は、本願発明の実施例2,3について、磁化分布シミュレーションの結果を表す画像であり、(c)は、比較例3について、磁化分布シミュレーションの結果を表す画像である。

0010

以下、本願発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の手段及び同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
本実施形態では、記録装置100の構成、磁壁移動型記録媒体(以下、「磁気記録媒体」)1の構造、磁気記録媒体1の製造方法の順で詳細に説明する。

0011

(第1実施形態)
[記録装置の構成]
図1を参照し、記録装置100の構成について説明する。
図1のように、記録装置100は、磁気記録媒体1を内蔵すると共に、この磁気記録媒体1にデータを書き込むものである。つまり、記録装置100は、磁気記録媒体1の磁性細線(トラック)30の先端から後端に向かう細線方向(長さ方向)に電流を供給して、磁性細線30の後端から先端に向かう細線方向に沿って、後記する磁壁DW(Domain Wall)及び磁区Dを移動させることで、データの書き込みと駆動を行う。

0012

この記録装置100は、磁気記録媒体1を現行のDVD(Digital Versatile Disc)装置のように脱着可能(交換可能)としても、現行のHDD装置と同様に非可換としてもよい。本実施形態では、磁気記録媒体1が非可換であることとする。

0013

なお、図1では、磁気記録媒体1の膜厚方向において上向きの磁化は、上向きの矢印で図示し、磁気記録媒体1の膜厚方向において下向きの磁化は、下向きの矢印で図示した。
また、図1では、磁壁DW及び磁区Dの移動方向を磁壁移動方向として図示した。

0014

図1のように、記録装置100は、後記する磁気記録媒体1と、電流供給手段110とを備える。
電流供給手段110は、磁気記録媒体1の磁性細線30の両端に接続し、磁壁DW及び磁区Dを断続的に移動させるパルス電流(駆動電流)を、磁性細線30の先端から後端に向かう細線方向(長さ方向)に供給するものである。

0015

すなわち、電流供給手段110は、磁気記録媒体100の磁性細線30に接続して、パルス電流を磁性細線30に供給する。このパルス電流により、後記するように、磁性細線30中を、磁区D及び磁壁DWが当該磁性細線30の細線方向(パルス電流とは逆方向)に沿って移動する。このように、記録装置100においては、磁気記録媒体1自体が駆動するものではない。

0016

なお、磁区Dは、磁性細線30において、2値の一方のデータ(例えば、「0」)を記録した領域、及び、2値の他方のデータ(例えば、「1」)を記録した領域のことである。つまり、磁区Dは、図1のように、上向きの矢印、及び、下向きの矢印が図示された領域のことである。
また、磁壁DWは、磁区Dを区切るものである。つまり、磁壁DWは、図1で上向きの矢印が図示された領域と、下向きの矢印が図示された領域との境界である。

0017

ここで、磁性細線30は、その長さ方向(細線方向)の所定の単位長さ(データ長)毎に、2値のデータ、すなわち「0」又は「1」のデータを、磁気記録媒体1の膜厚方向に対して、一方向又はその反対方向の磁化の磁区として記録する。この磁性細線30において、1つのデータを格納された単位領域を「データ領域」と呼ぶ。図1の例では、上向きの矢印の磁区D(D1,D3)がそれぞれ1個のデータ領域m1,m4で構成され、下向きの矢印の磁区D(D2)が2個のデータ領域m2,m3で構成されている。

0018

[磁気記録媒体の構造]
図1図2を参照し、磁気記録媒体1の構造について説明する。
磁気記録媒体1は、磁性細線30に2値のデータを異なる2方向の磁化として記録するものである。本実施形態では、磁気記録媒体1は、磁化方向を磁気記録媒体1の膜厚方向とした垂直磁気記録型であることとする。
図2のように、磁気記録媒体1は、基板10と、SUL20と、磁性細線30と、磁気ヘッド40とを備える。

0019

基板10は、磁性細線30等を形成するための磁気記録媒体1の基材であり、非磁性材料からなる。例えば、基板10は、表面に熱酸化膜が形成されたSi、SiO2、SiC、MgO、サファイア、又は、Geからなる基板である。また、基板10の寸法や形状は、特に制限されず、磁気記録媒体1の形態や用途に応じて、方形状、円盤(円環)形状等に加工される。本実施形態では、基板10は、一本の磁性細線30が形成できるように長方形状とした。

0020

SUL20は、後記する磁気ヘッド40から大きな磁界を発生させると共に、磁束を書込領域32に集中させるものである。このSUL20は、磁気記録媒体1の膜厚方向において、磁性細線30を挟んで記録ヘッド42に対向する位置に形成(配置)されている。つまり、SUL20は、磁気ヘッド40が磁性細線30に接続される位置の下側に矩形状に形成されている。

0021

ここで、SUL20は、金属材料又は絶縁材料で形成できる。また、SUL20は、既知の垂直磁気記録型HDD(Hard Disk Drive)と同様、磁気ヘッド40から大きな磁界を発生させるために、磁力飽和磁束密度)が大きく、保磁力の比較的小さな磁性体からなることが好ましい。具体的には、SUL20の素材としては、軟磁性金属フェライト系材料ガーネット系材料、又は、コバルト系材料があげられる。例えば、軟磁性金属としては、ニッケル合金があげられる。また、フェライト系材料としては、例えば、FeCoB、FeCoZr、又は、FeCoTaがあげられる。また、ガーネット系材料としては、例えば、(Bi,Lu)3(Fe,Ga)5O12があげられる。また、コバルト系材料としては、例えば、CoZrNb、CoZrTa、又は、CoZrTaNbがあげられる。
なお、SUL20の寸法については、詳細を後記する。

0022

磁性細線30は、磁気記録媒体1にデータを記録するために、基板10の上に細線状に形成された記録領域である。本実施形態では、磁性細線30は、SUL20の幅方向で中心位置を通過するように形成されている。従って、SUL20の幅方向の中心位置において、磁性細線30及びSUL20が重なり合う。

0023

この磁性細線30は、磁性体(垂直磁気異方性材料)である。具体的には、磁性細線30としては、Co等の遷移金属とPd,Pt,Cuとを繰り返し積層したCo/Pd多層膜のような多層膜、又は、TbFeCo、GdFe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE−TM合金)があげられる。また、磁性細線30の寸法や形状は、特に制限されず、磁気記録媒体1の形態や用途に応じて加工される。例えば、磁性細線30は、その厚さ(膜厚)が5〜100nm、その幅が10〜200nmである。また、磁性細線30の長さは、厚さ及び幅に対して十分であればよい。

0024

書込領域32は、磁性細線30の磁化方向を記録ヘッド42からの磁束により変化させるための領域であり、磁性細線30において1つのデータ領域mに含まれることとする。また、書込領域32の位置は、磁性細線30で固定されている。

0025

なお、SUL20を金属材料とした場合、磁性細線30に印加した磁区Dの駆動電流がSUL20に流れ込んでしまい、この駆動電流が増加する場合がある。この場合、SUL20及び磁性細線30の間に膜厚5nm以上の絶縁層(不図示)を形成することで、この駆動電流の増加を抑制できる。
また、磁性細線30の磁気モーメントを垂直方向配向させ易くなるので、SUL20及び磁性細線30の間に非磁性層(不図示)を形成してもよい。
すなわち、絶縁層及び非磁性層の何れも、磁性細線30及びSUL20が重なり合う箇所に形成される。また、絶縁層及び非磁性層の両方を形成する場合、これらの順番は特に制限されないが、磁気記録媒体1の膜厚方向で下側から順に、SUL20、絶縁層、非磁性層及び磁性細線30を形成することが好ましい。

0026

磁気ヘッド40は、既知の垂直磁気記録型HDDと同様、磁性細線30にデータを読み書きするためのヘッドである。図2のように、磁気ヘッド40は、再生ヘッド41と、記録ヘッド(データ書込手段)42とが一体化されたものである。

0027

再生ヘッド41は、磁性細線30に記録されたデータを読み出すためのヘッドであり、例えば、図示を省略したGMR(Giant Magneto Resistive effect)素子、又は、TMR素子(Tunnel Magneto Resistance effect)を備える。
なお、再生ヘッド41は、SUL20の寸法に関係しないため、図2では一点鎖線で図示すると共に、既知の垂直磁気記録型HDDと同様のため、その説明を省略する。

0028

記録ヘッド42は、磁性細線30にデータを書き込むためのヘッドである。本実施形態では、記録ヘッド42が磁性細線30に接続されており、記録ヘッド42の方向が磁性細線30と平行になっている。従って、記録ヘッド42は、磁極43及び磁気シールド45が磁性細線30の上に位置する。
なお、記録ヘッド42の方向とは、磁極43から磁気シールド45までの方向のことである。

0029

ここで、「記録ヘッドが磁性細線に接続される」とは、記録ヘッド42が、磁性細線30にデータを書き込めるように配置された状態のことである。つまり、「磁気ヘッドが磁性細線に接続される」とは、後記する磁極43が書込領域32に接した状態に加え、磁極43が書込領域32からわずかに離れた状態も含まれる。

0030

図2のように、記録ヘッド42は、磁極43と、コイル44と、磁気シールド45とを備える。
磁極43は、書込領域32への磁束を発生させるものである。本実施形態では、磁極43は、磁気記録媒体1の膜厚方向で先端側が、角筒状に絞られて先細に形成されている。
コイル44は、記録ヘッド42に巻かれており、印加された電流により磁極43を磁化させるものである。
磁気シールド45は、磁極43からの磁束が外部に漏れないように、この磁束を磁気シールド45に収束させるものである。

0031

なお、記録ヘッド42は、既知の垂直磁気記録型HDDと同様のため、これ以上の説明を省略する。
また、本実施形態において、磁性細線30に書き込まれたデータを再生する手法は、特に制限されない。例えば、再生ヘッド41を用いて、このデータを再生してもよい。

0032

<SULの寸法>
図3を参照し、SUL20の寸法について説明する(適宜図2参照)。
この図3では、図面を見やすくするため、基板10、SUL20及び磁性細線30の断面を図示し、記録ヘッド42の正面及び側面を図示した(図6も同様)。
また、SUL20の寸法は、記録ヘッド42の方向を基準として表される。具体的には、SUL20の長さLAは、記録ヘッド42の方向を基準として表される。また、SUL20の幅WAは、記録ヘッド42の方向に直交する方向を基準として表される。

0033

図3(a)のように、SUL20は、記録ヘッド42に対する長さLAが、磁極43と磁気シールド45との距離LB以上となる。つまり、SUL20の長さLAは、磁極43の平坦面から磁気シールド45の平坦面までの距離LB以上となる。ここで、SUL20の長さLAは、SUL20が金属材料の場合、磁区Dの駆動電流を抑制するため、短い方が好ましい。本実施形態では、SUL20の長さLAが、磁極43と磁気シールド45との距離LBと等しいこととした。

0034

図3(b)のように、SUL20の幅WAは、磁性細線30の幅WB以上となる。また、SUL20の幅WAは、閉磁路の形成に寄与しないSUL20の側面部における磁気モーメントの変化分がSUL20の内部で打ち消し合えるように、300nm以上1μm以下であることが好ましい。
SUL20の厚さTAは、特に制限されないが、既知の垂直磁気記録型HDDと同様、20〜50nmである。

0035

すなわち、磁気記録媒体1は、前記したSUL20を磁性細線30の下側に配置することで、記録ヘッド42で発生した磁束を書込領域32に集中させる。そして、磁気記録媒体1では、その磁束が磁性細線30及びSUL20を経て磁気シールド45に戻るので、磁極43と、磁性細線30と、SUL20と、磁気シールド45との間で閉磁路が形成される(図2参照)。

0036

<データの書き込み>
以下、図1戻り、磁性細線30におけるデータの書き込みについて説明する。
本実施形態では、磁性細線30は垂直磁気異方性材料からなり、その磁化方向は上又は下を示すため、データ「0」は下方向の磁化、「1」は上方向の磁化として、所定の単位長さ(データ長)のデータ領域mに記録されている。磁性細線30におけるデータ領域m1〜m4の領域は、磁化方向が上、下、下、上であるため、データ領域m1に対応する磁区D1、データ領域m2,m3の2つの連続する格納データに対応する磁区D2、データ領域m4に対応する磁区D3、の3つの磁区が形成されている。データ長は、磁性細線30の幅及び厚さにもよるが10〜200nmが好ましく、短いほど磁気記録媒体1の記録容量を大きくでき、また磁性細線30の1本における再生速度を速くすることができる。

0037

磁性細線30の、磁化方向の異なる磁区D1,D2間(データ領域m1,m2間)及び磁区D2,D3間(データ領域m3,m4間)には、それぞれ磁壁DW1,DW2が生成される。すなわち、磁性細線30において、データ「0」を記録された領域とデータ「1」を記録された領域との間には磁壁DWが生成される。磁壁DW1内では磁区D1の磁化方向(上方向)から磁区D2の磁化方向(下方向)へと磁化が徐々に変化すなわち回転しており、磁壁DW2においても同様に磁化が回転している。磁壁DW1,DW2の領域の長さ(磁性細線30の長さ方向長)は、磁性細線30の幅及び厚さならびにデータ長にもよるが、5〜100nm程度になる。

0038

この磁性細線30に、その両端から、細線方向に所定の大きさの電流を供給して、紙面上、右方向に電子注入する。すると、電子スピントルクに影響されて、磁壁DW1,DW2がそれぞれ、紙面上、右へ移動する。そして、磁壁DW1,DW2が1データ長の距離を移動するまでの電流を供給した後、電流の供給を休止すると、磁区D1〜D3も移動する。再び磁性細線30に左方向に電流を供給して、磁壁DW1,DW2をさらに右へ1データ長移動させて電流の供給を停止すると、磁区D1〜D3もさらに右に1データ長だけ移動する。

0039

このように、磁性細線30への電流の所定時間の供給と停止とを繰り返すことで、磁壁DW、すなわち、その両側の磁区Dを一定の距離ずつ移動させては停止させることができる。すなわち、パルス幅(電流供給時間)を調整してパルス電流を供給することで、磁性細線30におけるデータ領域mを1データ長ずつ長さ方向(細線方向)にシフトさせることができる。

0040

そして、駆動電流として所定のパルス電流を電流供給手段110から磁性細線30に供給し、データの記録対象となる磁区D(データの記録対象となる単一又は連続したデータ領域m)を記録ヘッド42の直下まで移動させる。この断続的な移動における静止時に、記録ヘッド42から書込領域32の直下に位置するデータ領域mに磁界を印加することで、このデータ領域mが上向き又は下向きに磁化され、例えば1つのデータ領域mに1ビットのデータが記録される。

0041

このようにして、記録装置100は、パルス電流に同期して、データの書き込みを行うことができる。なお、パルス電流における電流の停止時間はデータの書き込みに要する時間以上に設定すればよい。電流の大きさについては、磁性細線30の断面積あたりの電流密度を大きくすると磁壁移動速度が速くなるので、磁性細線30の幅と厚さに基づいて設定し、磁壁移動方向と逆の一定の向きに電流を供給するために正又は負のいずれかの直流とする。

0042

[磁気記録媒体の製造方法]
図4を参照し、磁気記録媒体1の製造方法として、矩形状のSUL20を磁性細線30の下側に形成する手法を説明する(適宜図2参照)。

0043

まず、図4(a)のように、SUL20を形成するための矩形凹部11を、電子線リソグラフィー及びイオンミリング反応性イオンエッチングRIE:Reactive Ion Etching)等のエッチングで基板10に形成する。そして、SUL20となる軟磁性材料スパッタリング法堆積させる。その後、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)で矩形凹部11以外の軟磁性材料を除去すると、図4(b)のように、矩形状のSUL20が基板10に形成される。

0044

続いて、図4(c)のように、磁性細線30を形成するための溝34を、電子線リソグラフィー及びイオンミリングや反応性イオンエッチング等のエッチングで基板10及びSUL20に形成する。このとき、前記した絶縁層や非磁性層を積層させてもよい。そして、磁性細線30となる垂直磁気異方性材料を堆積させる。さらに、化学機械研磨で溝34以外の垂直磁気異方性材料を除去すると、図4(d)のように、磁性細線30が形成される。

0045

その後、図示を省略した磁気ヘッド40を基板10に配置すればよい。
なお、SUL20の形成以外、磁気記録媒体1は、磁性細線30をダマシン法で形成するなど既知の手法で製造できるので、これ以上の説明を省略する

0046

[作用・効果]
以上のように、本願発明の第1実施形態に係る磁気記録媒体1は、記録ヘッド42の下側にSUL20を配置しているので、磁極43と、書込領域32と、SUL20と、磁気シールド45との間で閉磁路を形成することができる。これにより、磁気記録媒体1は、少ない書き込み磁界で急峻な磁界勾配を形成し、磁束を書込領域32に集中させるので、磁区Dを効率的に形成することができる。このようにして、磁気記録媒体1は、データの書き込みが正常に行われない事態を減少させることができる。

0047

さらに、磁気記録媒体1は、閉磁路の形成に寄与しない位置にSUL20を配置しないので、磁性細線30とSUL20とが重なり合う箇所が少なくなる。これにより、磁気記録媒体1は、SUL20側部で発生する磁気モーメントの乱れが抑制されるので、磁区Dの形状の乱れを少なくすることができる。

0048

(第2実施形態)
[磁気記録媒体の構造]
図5を参照し、本願発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体1Bの構造について、第1実施形態と異なる点を説明する(適宜図1参照)。
記録装置100Bは、図1の磁気記録媒体1の代わりに、磁気記録媒体1Bを備えるものである。
磁気記録媒体1Bは、基板10と、SUL20Bと、磁性細線30と、磁気ヘッド40Bとを備える。この磁気記録媒体1Bは、記録ヘッド42Bの方向、及び、SUL20Bの寸法が、第1実施形態と異なっている。

0049

具体的には、記録ヘッド42Bの方向は、磁性細線30と直交している。また、磁極43は、第1実施形態と同様、書込領域32に接するか、書込領域32からわずかに離れた状態となっている。つまり、記録ヘッド42Bは、磁極43が磁性細線30の上側に位置するが、磁気シールド45が磁性細線30の上側から外れている。
本実施形態では、磁性細線30は、SUL20Bの長さ方向で磁気ヘッド43がある位置を通過するように形成されている。従って、SUL20Bで磁気ヘッド43が位置する端部分において、磁性細線30及びSUL20Bが重なり合う。

0050

<SULの寸法>
図6を参照し、SUL20Bの寸法について説明する(適宜図5参照)。
図6(a)のように、SUL20Bは、記録ヘッド42Bに対する長さLAが、磁極43と磁気シールド45との距離LB以上となる。本実施形態では、SUL20Bの長さLAは、第1実施形態と同様、短い方が好ましいので、磁極43と磁気シールド45との距離LBと等しいこととした。

0051

図6(b)のように、SUL20Bは、記録ヘッド42Bに対する幅WAが、磁極43の幅WC以上、かつ、幅WCの幅4倍以下である。ここで、磁極43の幅WCとは、磁極43が先細に形成された先端部の幅である。

0052

この他、磁気記録媒体1Bは、その構造及び製造方法が第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
また、本実施形態において、磁性細線30に書き込まれたデータを再生する手法は、特に制限されない。例えば、磁壁移動方向で記録ヘッド42Bの後段に、第2の磁気ヘッドを配置すればよい。この場合、第2の磁気ヘッドに含まれる再生ヘッドが磁性細線30の上に位置する。

0053

[作用・効果]
以上のように、本願発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体1Bは、第1実施形態と同様、磁区Dを効率的に形成することができる。
さらに、磁気記録媒体1Bは、SUL20B及び磁性細線30の重なる箇所が最小限になるので、磁区Dの形状の乱れをより少なくすることができる。具体的には、図2の磁気記録媒体1では、SUL20及び磁性細線30の重なる箇所がSUL20の全長LAとなる。一方、図5の磁気記録媒体1Bでは、SUL20B及び磁性細線30の重なる箇所がSUL20Bの全幅WAとなり、SUL20の全長LAよりも短くなるので、前記した磁区Dの乱れを最小限に抑えられる。

0054

さらに、磁気記録媒体1Bは、SUL20B及び磁性細線30の重なる箇所が最小限になるので、SUL20Bが金属材料の場合、磁性細線30からSUL20Bに流れ込む駆動電流が少なくなる。従って、磁気記録媒体1Bは、SUL20Bが金属材料の場合でも絶縁層を設けずとも、磁区Dの駆動電流の増加を最小限に抑えられる。

0055

以上、本願発明の各実施形態を詳述してきたが、本願発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。

0056

前記した各実施形態では、磁気記録媒体が1本の磁性細線を備えることとして説明したが、複数の磁性細線を備えてもよい。この場合、一方向に長い1枚のSULの上側に複数の磁性細線を形成すればよい。
前記した各実施形態では、磁気記録媒体が非可換であることとして説明したが、磁気記録媒体を脱着可能としてもよい。この場合、磁気記録媒体と電流供給手段とを配線で接続せず、電極パッドを介して接続すればよい。

0057

図7図9を参照し、本願発明の実施例として、磁気記録媒体にデータを書き込んだ際の磁化分布シミュレーションの結果を説明する。

0058

(実施例1)
以下、第1実施形態と同様の構造を有する磁気記録媒体を実施例1と呼ぶ。この実施例1では、記録ヘッド、磁性細線及びSULに関するパラメータが表1のとおりである。また、実施例1では、磁性細線及びSULの寸法が表2のとおりである。ここで、磁性細線及びSULの膜厚は、磁性細線及びSULが重なり合う位置の膜厚である。このとき、磁極と磁気シールドとの距離は550nmであった。

0059

0060

0061

そして、磁性細線の初期磁化方向を磁気記録媒体の膜厚方向で上向きとし、下向きの磁化を与えるシミュレーションを行った。この実施例1において、一定時間毎の磁性細線最上面の磁化分布を図7に示す。この図7では、赤色が上向きの磁化方向を表し、青色が下向きの磁化方向を示す。
この図7より、実施例1では、1.2ns後において、記録ヘッドからの磁界を利用して磁性細線に磁区を形成できると共に、磁区の形状の乱れを抑えられることも分かった。

0062

この実施例1と比較すべく、磁性細線の下側にSULを形成しない磁気記録媒体(以後、「比較例1」)の磁化分布シミュレーションを行った。この比較例1では、SULを形成しない以外、パラメータ及び寸法が実施例1と同様である。
この比較例1における磁性細線最上面の磁化分布を図8(a)に示す。この図8(a)より、比較例1では、閉磁路が形成されず、磁性細線に磁区を形成できないことが分かった。

0063

さらに、磁性細線の下側全体にSULを形成した磁気記録媒体(以後、「比較例2」)の磁化分布シミュレーションを行った。この比較例2では、パラメータ及び寸法が表3のとおりである。
この比較例2における磁性細線最上面の磁化分布を図8(b)に示す。この図8(b)より、比較例2では、閉磁路を形成できるものの、磁性細線に形成された磁区の形状が乱れることが分かった。

0064

0065

(実施例2)
以下、第2実施形態と同様の構造を有する磁気記録媒体において、SULの幅を60nm、200nm、400nmと変えて、磁化分布シミュレーションを行った。それぞれ、実施例2、実施例3及び比較例3と呼ぶ。
ここで、実施例2、実施例3及び比較例3では、磁性細線及びSULの寸法が表4のとおりであり、他は実施例1と同様である。つまり、実施例2、実施例3及び比較例3では、磁性細線は同寸である。このとき、磁極の幅は50nmであった。

0066

実施例

0067

この実施例2及び実施例3における磁性細線最上面の磁化分布を図9(a)及び図9(b)に示す。この図9(a)及び図9(b)より、実施例2及び実施例3では、記録ヘッドからの磁界を利用して磁性細線に磁区を形成できることが分かった。
また、比較例3における磁性細線最上面の磁化分布を図9(c)に示す。この図9(c)より、SULの幅が太過ぎると、磁束密度が低下し、磁区を形成できないことが分かった。

0068

1,1B磁気記録媒体(磁壁移動型記録媒体)
10基板
20,20B SUL(高透磁率軟磁性下地層)
30磁性細線
40,40B磁気ヘッド
41再生ヘッド
42,42B記録ヘッド(データ書込手段)
43磁極
44コイル
45磁気シールド
100,100B記録装置
110電流供給手段
120 制御手段

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