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技術 BCG−CWSの油性懸濁液製剤の製造方法

出願人 株式会社MBR
発明者 柳義和
出願日 2015年11月18日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-238925
公開日 2017年6月1日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-095431
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 動物,微生物物質含有医薬
主要キーワード 油成分中 製品規格 形成基材 テルペノイド誘導体 マンニトール水溶液 不溶性残渣 免疫活性化作用 免疫活性化剤
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課題

保存安定性に優れたBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の新規な製造方法を提供することである。

解決手段

本発明は、エマルション製剤凍結乾燥工程を回避するため、BCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤を作製することをおこなった。これにより、用時調製で水中油型エマルション製剤を容易に作製することができるようになった。その結果、無菌無塵が担保され、安全性が高く、工業的に大量製造が可能な水中油型エマルション製剤を提供できるようになった。

概要

背景

自然免疫とは、人間が生まれつきもっている免疫で、体内入り込んできた病原体発見し最初に攻撃をしかけるシステムである。自然免疫を担当する細胞は、顆粒球マクロファージ樹状細胞ナチュラルキラー細胞NK細胞)等が担当している。例えば、ナチュラルキラー細胞は、常に体内を巡回し、がん細胞を発見すると司令官役の細胞の指示を受けずとも攻撃する役割を果たしている。また、顆粒球・マクロファージなどは病原体を自ら飲み込んで破壊する役割を果たしている。更に、マクロファージや樹状細胞は、病原体を発見するとその情報を「獲得免疫」のヘルパーTリンパ球(Th)やキラーTリンパ球(CTL)へ伝える役割を果たしている。この情報伝達のことを「抗原提示」といい、免疫細胞の中でも特に樹状細胞は強い抗原提示能力を持っていて、自然免疫から獲得免疫への橋渡しをする極めて重要な細胞といわれている。

微生物死菌や細菌の細胞壁骨格成分などの細菌菌体成分は、未成熟な樹状細胞を成熟化させ貪食能を持った樹状細胞に変化させる作用があり、その結果として、免疫活性化作用を有している。このことから、上記菌体成分は、実験腫瘍系およびヒト癌の免疫療法において抗腫瘍活性を示すことが知られている。特にBCGマイコバクテリウムボビスカルメットゲラン菌)は、様々な癌の能動免疫治療に効果的なアジュバントとして使用されている(非特許文献1)。また、BCG生菌免疫療法は20年以上にわたってヒトにおける膀胱尿道移行上皮癌の治療と予防に使用されている(非特許文献2)。更に、BCG−CWS(BCGの細胞壁骨格成分)は有効な抗体産生用アジュバントであることが動物試験で見出されており(非特許文献3)、BCG−CWSによる免疫治療は多くの癌患者で良好な予後を示している(非特許文献4)。

上記BCG−CWSによる免疫治療には、BCG−CWSを油成分中に分散、乳化させて、水中油型エマルション製剤として使用されている(非特許文献5、6及び7を参照)。しかし、一般に細菌−CWSを含有する水中油型エマルション製剤は不安定であり、現在、臨床現場では、使用時に少量の水中油型エマルション製剤を用時調製している。しかし、常に一定の製剤を手作業で調製することは難しく、また用時調製では事実上医薬品としての実用化は不可能である。
そこで、水中油型エマルション製剤を凍結乾燥して凍結乾燥製剤とし、使用時に分散溶媒を加えて水中油型エマルション製剤を再調製させる方法が検討され、いくつかの凍結乾燥製剤に関する報告がなされた(特許文献1及び2を参照)。
BCG−CWSを含む水中油型エマルション製剤を医薬品として供給するためには、(1)医薬品として求められる長期保存定性を有すること、(2)使用前に簡便、迅速に水中油型エマルションを調製できること、そのためには凍結乾燥製剤が候補になるが、(3)凍結乾燥製剤については、注射用蒸留水等の分散溶媒を添加して得られるエマルションが、凍結乾燥前の水中油型エマルションと実質的に同等であること等が重要である。しかしながら、これまでに知られていた凍結乾燥製剤は、上記の3つの条件を満たすために、用時調製の手作業で少量作られていた水中油型エマルション製剤と対比して、BCG−CWSに対する油成分の比率を3〜7倍と高くせざるを得ないことなどの問題点があった。即ち、油成分の比率が高くなると刺激性が高くなり、副反応としての皮膚障害潰瘍形成)が増大することが想定された。
そこで、副反応を軽減させるために油成分の使用量を抑えて、しかも、保存安定性に優れ、注射用蒸留水などの分散溶媒を添加することにより簡便、迅速に水中油型エマルションを用時調製できる製造方法、しかも、今までヒトで試験的に使われていた製剤処方と比較して油成分の比率が近い水中油型エマルション製剤の製造方法が求められている状況であった。

概要

保存安定性に優れたBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の新規な製造方法を提供することである。本発明は、エマルション製剤の凍結乾燥工程を回避するため、BCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤を作製することをおこなった。これにより、用時調製で水中油型エマルション製剤を容易に作製することができるようになった。その結果、無菌無塵が担保され、安全性が高く、工業的に大量製造が可能な水中油型エマルション製剤を提供できるようになった。なし

目的

国際公開パンフレット第00/3724号国際公開パンフレット第2004/012751号


DeVita,V.T.JR.ら,1991,Biological therapy of cancer(フィラデルフィア・J.B.Lippincott社編Alexandroff,A.B.ら,1999,Lancet 353:1689−1694Azuma,i.ら,1974,J.Natl.CancerInst.52:95−101Hayashi,A.ら,1998,Proc.Japan Acad.74(B):50−55J.Nat.CancerInst.48,831−835(1972)J.Bacteriol、92,869−879(1966)Gann,69,619−626(1978)




本願発明の目的は、保存安定性に優れた、使用時に注射用蒸留水などの分散溶媒を添加することにより簡便、迅速にBCG−CWSの水中油型エマルションを調製することができるBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の新規な製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法であって、a)糖及び/又はアミノ酸水溶液凍結乾燥して、多孔質状基剤を作製する、b)薬物と油成分の有機溶媒溶液を作製し、c)上記有機溶媒溶液を上記多孔質状基剤に含浸させる、d)含浸後、有機溶媒減圧乾燥で留去して、e)有機溶媒留去後に得られた薬物と油成分が含有された多孔質状基剤を得る、f)界面活性剤を含有する水溶液を上記薬物含有の多孔質状基剤に添加し、g)混合撹拌して、水中油型エマルション製剤を作製することを特徴とする、水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項2

糖及び/又はアミノ酸が、マンニトールであることを特徴とする、請求項1に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項3

油成分が、モンタナイド(Montanide)ISA51又はドレコール(Drakeol)6VRであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項4

上記薬物が、BCG−CWSであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項5

有機溶媒が、n−ヘプタンエタノール混合溶媒であることを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項6

BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油成分が4〜16重量部存在することを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項7

BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油成分が4〜8重量部存在することを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項8

油成分が、BCG−CWSを1として6重量部存在することを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項9

マンニトール水溶液が、7.5%(w/v)水溶液であることを特徴とする、請求項2に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項10

マンニトールの多孔質状基剤に、マンニトールを1としてBCG−CWが0.01〜0.05重量部となるように、BCG−CWSの有機溶媒溶液を添加することを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項11

界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項12

非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート80であることを特徴とする、請求項11に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項13

BCG−CWS含有のマンニトール多孔質状基剤に添加する界面活性剤が、BCG−CWSを1として2〜15重量部であることを特徴とする、請求項4に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

請求項14

界面活性剤を含有する水溶液が、1%(w/v)水溶液であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、自然免疫活性化させるために使用される、BCG−CWSの油性懸濁液製剤の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

自然免疫とは、人間が生まれつきもっている免疫で、体内入り込んできた病原体発見し最初に攻撃をしかけるシステムである。自然免疫を担当する細胞は、顆粒球マクロファージ樹状細胞ナチュラルキラー細胞NK細胞)等が担当している。例えば、ナチュラルキラー細胞は、常に体内を巡回し、がん細胞を発見すると司令官役の細胞の指示を受けずとも攻撃する役割を果たしている。また、顆粒球・マクロファージなどは病原体を自ら飲み込んで破壊する役割を果たしている。更に、マクロファージや樹状細胞は、病原体を発見するとその情報を「獲得免疫」のヘルパーTリンパ球(Th)やキラーTリンパ球(CTL)へ伝える役割を果たしている。この情報伝達のことを「抗原提示」といい、免疫細胞の中でも特に樹状細胞は強い抗原提示能力を持っていて、自然免疫から獲得免疫への橋渡しをする極めて重要な細胞といわれている。

0003

微生物死菌や細菌の細胞壁骨格成分などの細菌菌体成分は、未成熟な樹状細胞を成熟化させ貪食能を持った樹状細胞に変化させる作用があり、その結果として、免疫活性化作用を有している。このことから、上記菌体成分は、実験腫瘍系およびヒト癌の免疫療法において抗腫瘍活性を示すことが知られている。特にBCG(マイコバクテリウムボビスカルメットゲラン菌)は、様々な癌の能動免疫治療に効果的なアジュバントとして使用されている(非特許文献1)。また、BCG生菌免疫療法は20年以上にわたってヒトにおける膀胱尿道移行上皮癌の治療と予防に使用されている(非特許文献2)。更に、BCG−CWS(BCGの細胞壁骨格成分)は有効な抗体産生用アジュバントであることが動物試験で見出されており(非特許文献3)、BCG−CWSによる免疫治療は多くの癌患者で良好な予後を示している(非特許文献4)。

0004

上記BCG−CWSによる免疫治療には、BCG−CWSを油成分中に分散、乳化させて、水中油型エマルション製剤として使用されている(非特許文献5、6及び7を参照)。しかし、一般に細菌−CWSを含有する水中油型エマルション製剤は不安定であり、現在、臨床現場では、使用時に少量の水中油型エマルション製剤を用時調製している。しかし、常に一定の製剤を手作業で調製することは難しく、また用時調製では事実上医薬品としての実用化は不可能である。
そこで、水中油型エマルション製剤を凍結乾燥して凍結乾燥製剤とし、使用時に分散溶媒を加えて水中油型エマルション製剤を再調製させる方法が検討され、いくつかの凍結乾燥製剤に関する報告がなされた(特許文献1及び2を参照)。
BCG−CWSを含む水中油型エマルション製剤を医薬品として供給するためには、(1)医薬品として求められる長期保存定性を有すること、(2)使用前に簡便、迅速に水中油型エマルションを調製できること、そのためには凍結乾燥製剤が候補になるが、(3)凍結乾燥製剤については、注射用蒸留水等の分散溶媒を添加して得られるエマルションが、凍結乾燥前の水中油型エマルションと実質的に同等であること等が重要である。しかしながら、これまでに知られていた凍結乾燥製剤は、上記の3つの条件を満たすために、用時調製の手作業で少量作られていた水中油型エマルション製剤と対比して、BCG−CWSに対する油成分の比率を3〜7倍と高くせざるを得ないことなどの問題点があった。即ち、油成分の比率が高くなると刺激性が高くなり、副反応としての皮膚障害潰瘍形成)が増大することが想定された。
そこで、副反応を軽減させるために油成分の使用量を抑えて、しかも、保存安定性に優れ、注射用蒸留水などの分散溶媒を添加することにより簡便、迅速に水中油型エマルションを用時調製できる製造方法、しかも、今までヒトで試験的に使われていた製剤処方と比較して油成分の比率が近い水中油型エマルション製剤の製造方法が求められている状況であった。

0005

国際公開パンフレット第00/3724号国際公開パンフレット第2004/012751号

先行技術

0006

DeVita,V.T.JR.ら,1991,Biological therapy of cancer(フィラデルフィア・J.B.Lippincott社編Alexandroff,A.B.ら,1999,Lancet 353:1689−1694Azuma,i.ら,1974,J.Natl.CancerInst.52:95−101Hayashi,A.ら,1998,Proc.Japan Acad.74(B):50−55J.Nat.CancerInst.48,831−835(1972)J.Bacteriol、92,869−879(1966)Gann,69,619−626(1978)

発明が解決しようとする課題

0007

本願発明の目的は、保存安定性に優れた、使用時に注射用蒸留水などの分散溶媒を添加することにより簡便、迅速にBCG−CWSの水中油型エマルションを調製することができるBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の新規な製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、抗がん剤あるいは免疫活性化剤として臨床応用が可能なBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の開発を進めるために、保存安定性が優れたBCG−CWSの凍結乾燥製剤の開発を鋭意検討してきた。しかしながら、BCG−CWSの水中油型エマルション製剤は、凍結乾燥するとエマルションの変性が起こりやすく、復水後のエマルション製剤は、凍結乾燥前のエマルション製剤とは同じ形状の製剤にはなり難いものであった。即ち、復水後のエマルション製剤においては、凍結乾燥前のエマルションの状態を再現することが困難であった。
本発明者らは、その原因を鋭意検討の結果、(1)凍結乾燥製剤そのものの長期保存安定性については問題がなく、(2)問題は凍結乾燥製剤に復水して得られるエマルションが、凍結乾燥前のエマルションと同等ではない、と言うことを見出した。即ち、水中油型エマルションの凍結時に問題が起き、エマルション構造が壊れることに原因があると考えられた。即ち、凍結乾燥製剤の復水を行う過程ではあまりエマルションの変性は起きていないことが考えられた。

0009

本発明者らは、用時調製の少量の水中油型エマルション製剤を小分けし、凍結方法を検討した。凍結の方法としては、液体窒素による急速凍結、あるいは、できるだけ徐々に温度を下げながら凍結する方法など種々検討した。しかし、凍結前の水中油型エマルションの状態を再現することができなかった。
なお、特許文献2や再表2005−102369などの凍結乾燥製剤では、BCG−CWSに対して重量比で油成分(スクワラン)が約13倍や約38倍になっている。一方、これまで用時調整の少量スケールで作製されていたBCG−CWSエマルション製剤では、BCG−CWSに対して油成分(ドレコール)の重量比が4〜8倍となっている。このように、特許文献2等に記載のエマルション凍結乾燥製剤では、BCG−CWSに対する油成分の重量比が増大して、3〜4倍になっている。これは凍結乾燥中に生じる水中油型エマルションの変性を抑制し、エマルションの構造を安定に維持するためにはBCG−CWSに対する油成分の重量比を増大させ、油成分の量を増加させることが必要になったと考えられる。
しかし、油成分の量が増大すれば、副反応としての皮膚障害(潰瘍形成)が増大することが想定されていたので、用時調整の少量スケールで作製されていたBCG−CWSエマルション製剤に近い油成分の重量比のものが求められていた。

0010

なお、BCG−CWSのエマルション製剤を医薬品として提供するには、長期保存の安定性が求められるため、注射液剤と同様にエマルションの凍結乾燥製剤として提供することが求められていた。そして、注射液と同様に、無菌、無塵の製品規格満足させることが求められていた。
そこで、本発明者らは、油成分の比率を低減して副反応の皮膚障害を抑制すると共に、復水後のエマルションの変性が少ない、これまでにない水中油型エマルション製剤の製造方法の検討に着手した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、製造方法を図1に示すように大きく変更した。即ち、オートクレーブ滅菌したBCG−CWSに対して、無菌濾過した油成分(MontanideISA51、スクワラン、ドレコール6VRなど)を含む有機溶媒を加えて懸濁し、その懸濁有機溶媒をマンニトール多孔質状基剤(無菌無塵のマンニトール水溶液を凍結乾燥して得られた多孔質状の基剤)に含浸させ、真空乾燥して溶媒留去することを行った。このことにより、BCG−CWSの油状ペーストがマンニトールの多孔質状基剤に吸着された無菌無塵の乾燥製剤を作製することができた。
上記の製造方法により得られたBCG−CWSの乾燥製剤は、極めて保存安定性が良好であった。そして、上記BCG−CWSの乾燥製剤に、界面活性剤を含有する水溶液を添加して混合することにより、再現性良くBCG−CWSの水中油型エマルションを無菌無塵で作製できることを見出した。
更に、上記エマルションの製造方法は、薬剤がBCG−CWS以外の薬剤にも応用でき、医薬品の水中油型エマルション製剤に有効に応用できることを見出した。即ち、本発明者らは、以上の知見により本発明を完成した。

0011

本発明の要旨は以下の通りである。
(1)薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法であって、
a)糖及び/又はアミノ酸の水溶液を凍結乾燥して、多孔質状基剤を作製する、
b)薬物と油成分の有機溶媒溶液を作製し、
c)上記有機溶媒溶液を上記多孔質状基剤に含浸させる、
d)含浸後、有機溶媒を減圧乾燥で留去して、
e)有機溶媒留去後に得られた薬物と油成分が含有された多孔質状基剤を得る、
f)界面活性剤を含有する水溶液を上記薬物含有の多孔質状基剤に添加し、
g)混合撹拌して、水中油型エマルション製剤を作製する
ことを特徴とする、水中油型エマルション製剤の製造方法。
(2)糖及び/又はアミノ酸が、マンニトールであることを特徴とする、上記(1)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(3)油成分が、モンタナイド(Montanide)ISA51又はドレコール(Drakeol)6VRであることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(4)上記薬物が、BCG−CWSであることを特徴とする、上記(2)又は(3)に記載の薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法。
(5)有機溶媒が、n−ヘプタンエタノール混合溶媒であることを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(6)BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油成分が4〜16重量部存在することを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(7)BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油成分が4〜8重量部存在することを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(8)油成分が、BCG−CWSを1として6重量部存在することを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(9)マンニトール水溶液が、7.5%(w/v)水溶液であることを特徴とする、上記(2)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(10)マンニトールの多孔質状基剤に、マンニトールを1としてBCG−CWSが0.01〜0.05重量部となるように、BCG−CWSの有機溶媒溶液を添加することを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(11)界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(12)非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート80であることを特徴とする、上記(11)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(13)BCG−CWS含有のマンニトール多孔質状基剤に添加する界面活性剤が、BCG−CWSを1として2〜15重量部であることを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(14)界面活性剤を含有する水溶液が、1%(w/v)水溶液であることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(15)マンニトールの多孔質状基剤に、マンニトールを1としてBCG−CWが0.02重量部となるように、BCG−CWSの有機溶媒溶液を添加することを特徴とする、上記(10)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(16)有機溶媒溶液のBCG−CWS含量が、2.5mg/mLであることを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。
(17)BCG−CWS含有のマンニトール多孔質状基剤に添加する界面活性剤が、BCG−CWSを1として10重量部であることを特徴とする、上記(4)に記載の水中油型エマルション製剤の製造方法。

0012

(18)薬物と油成分を含有するマンニトール多孔質状基剤であって、
a)マンニトールが、薬物を1として25〜100重量部であり、
b)油成分が、薬物を1として4〜16重量部である
ことを特徴とする、マンニトール多孔質状基剤。
(19)薬物と油成分が、マンニトール多孔質基剤の間隙包含されていることを特徴とする、上記(16)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(20)薬物が油成分の中に分散又は溶解していることを特徴とする、上記(19)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(21)油成分が、モンタナイド(Montanide)ISA51又はドレコール(Drakeol)6VRであることを特徴とする、上記(18)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(22)薬物が、BCG−CWSであることを特徴とする、上記(18)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(23)油成分が、BCG−CWSを1として4〜8重量部存在することを特徴とする、上記(22)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(24)油成分が、BCG−CWSを1として6重量部存在することを特徴とする、上記(22)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(25)マンニトールが、BCG−CWSを1として50重量部存在することを特徴とする、上記(22)に記載のマンニトール多孔質状基剤。
(26)5〜10%(w/v)のマンニトール水溶液を凍結乾燥して得られることを特徴とする、上記(18)に記載のマンニトール多孔質状基剤。

0013

(27)薬物と油成分を含有するマンニトール多孔質状基剤の製造方法であって、
a)マンニトール水溶液を凍結乾燥して、多孔質状の基剤を作製する、
b)薬物と油成分を含有する有機溶媒溶液を作製し、
c)上記有機溶媒溶液を上記マンニトールの多孔質状基剤に含浸させる、
d)含浸後、有機溶媒を減圧乾燥で留去する
ことを特徴とする、マンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(28)油成分が、モンタナイド(Montanide)ISA51又はドレコール(Drakeol)6VRであることを特徴とする、上記(27)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(29)有機溶媒が、n−ヘプタンとエタノールの混合溶媒であることを特徴とする、上記(27)又は(28)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(30)薬物が、BCG−CWSであることを特徴とする、上記(27)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(31)BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油状物が4〜16重量部存在することを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(32)BCG−CWSと油成分が、BCG−CWSを1として油状物が4〜8重量部存在することを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(33)油成分が、BCG−CWSを1として6重量部存在することを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(34)マンニトール水溶液が、5〜10%(w/v)水溶液であることを特徴とする、上記(27)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(35)マンニトール水溶液を1バイアル当たり0.2mL充填して凍結乾燥させることを特徴とする、上記(27)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(36)マンニトールの多孔質状基剤に、マンニトールを1としてBCG−CWが0.01〜0.05重量部となるように、BCG−CWSの有機溶媒溶液を添加することを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(37)マンニトールの多孔質状基剤に、マンニトールを1としてBCG−CWが0.02重量部となるように、BCG−CWSの有機溶媒溶液を添加することを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。
(38)有機溶媒溶液のBCG−CWS含量が、2.5mg/mLであることを特徴とする、上記(30)に記載のマンニトール多孔質状基剤の製造方法。

発明の効果

0014

本発明の薬物の水中油型エマルション製剤の製造方法は、一般的な注射剤の製造方法に関するものとは異なり、マンニトール多孔質状基剤を使用する方法である。これまで、無菌無塵で作製し難かったBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の製造方法として、本発明の製造方法を使用することにより、医薬品として実用的な無菌無塵のBCG−CWSエマルション製剤を作製することができた。
更に本件発明では、本発明のマンニトール多孔質状基剤を使用することにより、水中油型エマルション製剤の凍結乾燥工程を経由することなく、新たな水中油型エマルション製剤を作製できることが明らかとなった。即ち、他の薬物の水中油型エマルション製剤についても、このマンニトール多孔質状基剤を使用する製造方法により、凍結乾燥工程における変性劣化を避けることができ、一般的な注射液剤と同様の取り扱いが可能なエマルション用の凍結乾燥製剤が作製できるようになった。
このように、本発明のマンニトール多孔質状基剤を使用すれば、注射液剤の凍結乾燥工程を回避して、注射液剤の凍結乾燥製剤よりも変性劣化の少ない製剤を作製でき、薬物の保存安定性の向上が図れると共に、使用直前に界面活性剤を含有する水溶液を添加することで、一般的な注射用製剤と同様の方法で、エマルション製剤が作製できるようになった。
本発明のマンニトール多孔質状基剤を使用する製造方法は、薬物が水に難溶であるか否かを問わず、水中油型エマルション製剤として、多方面で使用できる製剤方法であることが明らかとなった。

図面の簡単な説明

0015

本発明の一例として、BCG−CWS(SMP−105)を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法の一つのフローチャートを表した図である。無菌無塵の処理が初期の工程で実施されている。本発明の一例として、BCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤の外見と、ポリソルベート80の1%水溶液を添加して作製されたBCG−CWSの水中油型エマルション製剤の粒度分布を表した図である。

0016

本発明の第一の態様は、薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法に関するものである。
本発明の「薬物」とは、医薬品として使用されるものであれば特に限定されるものではないが、特に水中油型エマルション製剤として使用され、有効性を発揮するものが望ましい。例えば、がんワクチンなどで使用されるポリペプチド(例えばWT1ペプチド、FK−156、FK−565など)、菌体成分(例えばBCG−CWS、百日咳菌体成分、ノカルジア菌体成分など)など、例えば抗がん剤として使用されるタキソールシスプラチン及びその類縁体などを挙げることができる。
本発明の「BCG−CWS」とは、BCGの細胞壁骨格成分(CWS)とは、BCGの菌体物理的に粉砕した後、ヌクレアーゼによる除核酸、プロテアーゼによる除蛋白、有機溶媒での洗浄による脱脂などの精製工程を経て、不溶性残渣として得られるものを表し、その製法は公知である(J. Nat.Cancer Inst..52, 95−101 (1974))。
なお、本発明において、水中油型エマルションに含まれるBCG−CWSの濃度は、エマルションとして0.01〜10mg/mlになるように使用される。好ましくは、0.1mg/ml〜2mg/ml、さらに好ましくは0.2mg/ml〜1mg/ml、さらに好ましくは0.5mg/ml〜1mg/mlである。
本発明の「多孔質状(スポンジケーキ状)基剤」とは、凍結乾燥して水分を除去した際に、溶解している試剤で形成され構築される多孔質状の基剤(外観からスポンジケーキ状の形状になっている)のことを言う。凍結乾燥して多孔質状の基剤を形成する試剤としては、特に限定されるものではない。例えば、マンニトール、トレハロース等の糖類や、グリシン等のアミノ酸を挙げることができる。好ましくは、マンニトールを挙げることができる。なお、薬物を含有する油状物を均一に分散して含浸できるように、多孔質の空隙を均等に作成する必要がある。そのためには、多孔質形成基材の糖類やアミノ酸を含む水溶液の濃度を適宜調節して、所望の空隙が作製できるようにする。好ましくは、凍結乾燥させる前の水溶液の濃度は、3〜10%(w/v)であることが望ましい。より好ましくは、5〜10%の水溶液を挙げることができる。また、薬物を含有する油状物を、多孔質の間隙の中に担持するために、多孔質基剤を形成するマンニトール等の糖類やアミノ酸などの量を適宜調節することができる。好ましくはマンニトール等の糖類やアミノ酸などの量が、薬物を1として、25〜100重量部であることが望ましい。より好ましくは、40〜100重量部であることが挙げられる。

0017

本発明の「油成分」とは、Immunology第27巻、第311〜329項(1974年)に記載されているような鉱物油動植物油が挙げられる。鉱物油としては、例えば、流動パラフィン(ドレコール6VR、モレスコバオレスU−6、モレスコバイオレスU−8、モンタナイドISA51等)、バイオール(Bayol F)等が挙げられる。植物油としては、例えば大豆油シンセラン4、オレイン酸エチル落花生油椿油ゴマ油、AD−65(落花生油とアラセルアルミニウムモノステアレートの混合物)等が挙げられる。動物油としては、例えば、スクワラン、スクワレンのようなテルペノイド誘導体が挙げられる。また、これら、動植物油、鉱物油の中から選ばれる複数の油の混合物を挙げることができる。好ましいものとしては、流動パラフィンにマンニトールモノオレート(Mannide monoolate)が添加されたモンタナイドISA51、ドレコール6VR、各種流動パラフィンなどの鉱物油とスクワランの混合物が挙げられる。より好ましくは、モンタナイドISA51を挙げることができる。
薬物を含有する水中油型エマルションを良好に作成するためには、油成分の量が、薬物を1として、4〜16重量部であることが望ましい。より好ましくは、4〜8重量部を挙げることができる。

0018

本発明の「有機溶媒」とは、例えば国際公開パンフレット第2004/012751号で挙げられるもののことを言い、好ましくはn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素系溶媒、5〜20%のエタノール等のアルコール系溶媒を含むn−ヘプタン等の炭化水素系溶媒、1,2−ジクロロエタンクロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を挙げることができる。より好ましくは、n−ヘプタンと5〜20%のエタノールのことを言い、より好ましいものとしては、n−ヘプタンとエタノールが9:1であるものを挙げることができる。
本発明の「凍結乾燥」とは、汎用凍結乾燥機を使用して達成されるものであり、目的と状況に応じて凍結温度乾燥温度は調節される。凍結温度として、好ましくは、−20℃以下の温度で行い、室温以上の乾燥温度条件で行うことが挙げられる。
本発明の「減圧乾燥」とは、常温において減圧下で水や有機溶媒を留去することを言う。減圧度と乾燥時間などは、目的と使用溶媒に応じて適宜調節することができる。好ましくは、室温から40℃で静置し、徐々に減圧を行い、有機溶媒を留去する。最後には、30inHgの減圧で60℃、1時間の有機溶媒留去を行うことが挙げられる。

0019

本発明の「界面活性剤」とは、「界面活性剤」としては、医薬品製剤に使用される界面活性剤であれば特に制限されるものではない。例えばリン脂質、非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。リン脂質としては、ホスファチジルアミンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトールホスファチジルセリンスフィンゴミエリンまたはレシチン等を挙げることができる。また、水素添加されたリン脂質も使用することができる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。当該ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートポリソルベート20)、同モノパルミテート(ポリソルベート40)、同モノステアレート(ポリソルベート60)、または同モノオレート(ポリソルベート80)等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート(Span20)、同モノパルミネート(Span40)、同モノステアレート(Span60)、同モノオレート(Span80)等を挙げることができる。
好ましい界面活性剤としては、卵黄ホスファチジルコリン卵黄レシチン大豆レシチン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールプルロニックF68)を挙げることができる。より好ましくはポリソルベート80、ポリソルベート40、ポリソルベート60等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類)が挙げられ、特に好ましい界面活性剤としてポリソルベート80を挙げることができる。
界面活性剤の濃度は、水中油型エマルションにおいて0.01〜10%w/wの範囲が適当であり、0.01〜3%w/wが好ましく、0.05%〜1%w/wが更に好ましい。これら界面活性剤は一種類に限らず、適宜、数種類を組み合わせて使用することができる
本発明の「混合撹拌」とは、均一に拡散又は溶解するように混合することを言う。汎用する機器を使用して達成されるものであり、特に限定されるものではない。

0020

本発明の水中油型エマルション製剤の製造方法においては、本発明の効果を妨げない範囲で、更に、抗酸化剤pH調整剤等の添加物を含んでいても良い。これらの添加剤は、市販の試薬を適宜目的に応じて使用することができる。
抗酸化剤としては、例えばBHT没食子酸プロピルアスコルビン酸ナトリウム等の有機系抗酸化剤、例えばチオ硫酸ナトリウム亜硫酸水素ナトリウム亜硫酸ナトリウムピロ亜硫酸ナトリウム等の無機系抗酸化剤を挙げることができる。
pH調節剤としては、例えばクエン酸酢酸酒石酸等の有機酸、例えばリン酸塩酸等の無機酸を挙げることができる。

0021

本発明の第二の態様は、薬物と油状物を含有するマンニトール多孔質状基剤とその製造方法に関するものである。
本発明の「マンニトール多孔質状基剤」とは、マンニトールのみによって形成ざれる多孔質状基剤(スポンジ状の基剤)である。その基剤の多孔質の間隙の中に、薬物を含有する油状物が含浸されているものが本発明の第二の態様の製剤である。
薬物等を含有する油状物を、多孔質の間隙の中に担持するためには、マンニトール量が、薬物を1として、25〜100重量部であることが望ましい。より好ましくは、40〜100重量部であることが挙げられる。界面活性剤量は、薬物を1として、5〜20重量部であることが望ましく、より好ましくは10重量部であることが挙げられる。
本発明のマンニトール多孔質状基剤とその製造方法においては、本発明の第一の態様と同様に、効果を妨げない範囲で、更に、抗酸化剤、pH調整剤等の添加物を含んでいても良い。これらの添加剤は、市販の試薬を適宜目的に応じて使用することができる。
なお、この第二の態様において、第一の態様と同一の用語が使用される場合には、同じ意味を表すものとする。

0022

以下、実施例および試験例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。

0023

BCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤の製造
(1)マンニトールのみからなる多孔質状(スポンジケーキ状)基剤の製造
マンニトールのみからなる5%(W/V)水溶液を作製し、ミリポアフィルター(pore size0.22μm)で無菌無塵の濾過処理を行う。その濾過液の0.67mLを採取し、2mLガラスバイアル分注する。分注後のバイアルを、ミリポアフィルター(pore size0.22μm)で外気と連結したステンレス製滅菌に入れ、−20℃以下でマンニトール水溶液を凍結させ、その後、凍結乾燥処理を行った。
その結果、白色のマンニトール多孔質状(スポンジケーキ状)の基剤を得ることができた。
(2)BCG−CWSを含有した無菌無塵の有機溶媒溶液の製造
BCG−CWSを量してオートクレーブ滅菌(123℃、25分)をし、乾燥させる(真空乾燥器、60℃、60分間)。
別途、n−ヘプタンとエタノールの混合溶媒(9:1、v/v)を作製し、その混合溶媒にモンタナイド(Montanide)ISA51を添加し、40mg/mLになるように調整した。その混合溶媒を疎水性ミリポアフィルター(pore size0.2μm、マイクス−FG、日本ミリポア株式会社)で濾過し、無菌無塵処理を行った。
濾過後の混合有機溶媒を、滅菌乾燥させたBCG−CWSに添加し、BCG−CWSの濃度が2.5mg/mLの懸濁溶液になるように作製した。その懸濁溶液を38℃で2分間超音波処理をしてBCG−CWSを充分懸濁させた。
(3)BCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤の製造
上記(1)で作製した2mLバイアル中のマンニトール多孔質状基剤(D−マンニトール50mg/バイアル)の上に、上記BCG−CWS懸濁溶液の0.4mL(BCG−CWS:1.0mg、モンタナイドISA51:16mg)を添加し、含浸させた。
添加後のバイアルを、ミリポアフィルター(pore size0.22μm)で外気と連結したステンレス製の滅菌缶に入れ、真空乾燥機中で40℃、30分間静置した後、40℃で徐々に減圧を行い、有機溶媒を留去した。更に、減圧度−30mHgで60℃、1時間、有機溶媒を留去した。
これにより、得られたBCG−CWSを含有するマンニトール多孔質状基剤(1バイアル当たりBCG−CWS:1.0mg、モンタナイドISA51:16mg、マンニトール:50mg)は、−20℃で保存する。これにより、保存安定性が向上し、復水時に影響が出ないことが明らかとなった。

実施例

0024

BCG−CWSを含有する水中油型エマルション製剤の製造
実施例1で得られた1バイアルのマンニトール多孔質状基剤(1バイアル当たりBCG−CWS:1.0mg、モンタナイドISA51:16mg、マンニトール:50mg)に、1%のポリソルベート80水溶液(8.4mMホスフェート緩衝液、pH7.4)を1.0mL添加し、ボルテックスミキサー(Voltex mixer)で振盪することによって、BCG−CWSを含有する水中油型エマルション製剤が作製できた。このエマルション製剤全体の製造工程は、例えば図1でまとめて示すことができる。
なお、得られたエマルション製剤は、粒度分布計(島津製作所製SALD−2200)で測定すると、図2で示されるように2μmに粒度分布の中心があり、5μmを上限とする均一な粒子径のエマルション製剤が製造できている。そして、図2に示されるように、BCG−CWSを含まないエマルション製剤とBCG−CWSを含むエマルション製剤は、ほぼ同じ粒子径分布をしていることが明らかとなった。

0025

本発明の薬物を含有する水中油型エマルション製剤の製造方法では、薬物や製剤の品質の劣化を回避するため、エマルション製剤の凍結乾燥工程を回避することを行った。そのため、薬物を含有するマンニトール多孔質状基剤を作製し、これを使用することにより、用時調製で水中油型エマルション製剤を容易に作製することができるようになった。その結果、無菌無塵が担保され、安全性が高く、工業的に大量製造が可能な水中油型エマルション製剤を提供できるようになった。
特に、薬物がBCG−CWSのような難溶で分子量の大きい薬物であっても、本発明の製造方法で容易に用時調製で水中油型エマルション製剤を作製することができるようになった。その結果、安定した品質のものを作製できるようになり、臨床試験が可能となり、上市に向けた臨床治験が実施できるようになった。

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