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技術 グラフェン基板の製造方法

出願人 学校法人名城大学
発明者 成塚重弥山田純平
出願日 2015年11月27日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-231673
公開日 2017年6月1日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-095327
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 炭素・炭素化合物 物理蒸着
主要キーワード n型半導体 面内振動 ラマン散乱分光法 カーバイド層 リフトオフ処理 ラマンピーク グラフェン層 炭化物層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

良好にグラフェン基板を製造することができるグラフェン基板の製造方法を提供する。

解決手段

グラフェン基板の製造方法は、サファイア基板10の表面側に、C(炭素)及びグラフェン11Cの形成に利用する触媒金属であるNi(ニッケル)11Bを含む第1層11を積層する第1工程と、第1工程後に第1層11内のC(炭素)を表面側に析出させない第2層12を第1層11の表面側に積層する第2工程と、第2工程後に熱処理して第1層11内のC(炭素)をNi(ニッケル)11Bに溶解させる第3工程と、第3工程後に冷却してサファイア基板10と第1層11との間にグラフェン11Cを形成させる第4工程とを備えている。

概要

背景

グラフェンは、その優れた電気的特性光学的特性から配線材料透明電極等、様々な応用が期待される。現在、グラフェンを形成する際に、触媒金属であるCu(銅)やNi(ニッケル)等を用いるCVD(化学気相成長)が主に使われている。しかし、グラフェンをデバイスに応用する際、触媒金属の表面に形成したグラフェンを所望の基板の表面に転写する工程が必要であるため、生産性の上で大きな問題となっている。大きな面積のグラフェンの転写は技術的に難易度が高く、転写時のグラフェンの品質の低下が問題となっている。このため、所望の基板の表面に直接グラフェンを形成することができる方法の確立が求められている。

特許文献1は従来のグラフェンの製造方法を開示している。このグラフェンの製造方法は、C(炭素)及び金属を具備する炭化物層を有した基板の表面に液体のGa(ガリウム)を配置して熱処理を行う。すると、炭化物層を有した基板からC(炭素)及び金属がGa(ガリウム)内に溶解する。そして、Ga(ガリウム)が配置された基板を冷却すると、Ga(ガリウム)内に溶解したC(炭素)がグラフェンとして炭化物層の表面に析出する。これにより、このグラフェン基板の製造方法は基板の表面に直接グラフェンを容易に形成してグラフェン基板を製造することができる。

概要

良好にグラフェン基板を製造することができるグラフェン基板の製造方法を提供する。グラフェン基板の製造方法は、サファイア基板10の表面側に、C(炭素)及びグラフェン11Cの形成に利用する触媒金属であるNi(ニッケル)11Bを含む第1層11を積層する第1工程と、第1工程後に第1層11内のC(炭素)を表面側に析出させない第2層12を第1層11の表面側に積層する第2工程と、第2工程後に熱処理して第1層11内のC(炭素)をNi(ニッケル)11Bに溶解させる第3工程と、第3工程後に冷却してサファイア基板10と第1層11との間にグラフェン11Cを形成させる第4工程とを備えている。

目的

本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、良好にグラフェン基板を製造するグラフェン基板の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

基板の表面側に、C(炭素)及びグラフェンの形成に利用する触媒金属である第1金属を含む第1層を積層する第1工程と、前記第1工程後に前記第1層内の前記C(炭素)を表面側に析出させない第2層を前記第1層の表面側に積層する第2工程と、前記第2工程後に熱処理して前記第1層内の前記C(炭素)を前記第1金属に溶解させる第3工程と、前記第3工程後に冷却して前記基板と前記第1層との間にグラフェンを形成させる第4工程と、を備えていることを特徴とするグラフェン基板の製造方法。

請求項2

前記第2層は、前記C(炭素)と結合して前記第1層との界面にカーバイド層を形成する第2金属を含むことを特徴とする請求項1記載のグラフェン基板の製造方法。

請求項3

前記第1工程は、前記基板の表面側に前記C(炭素)と前記第1金属とを交互に積層させることを特徴とする請求項1又は2記載のグラフェン基板の製造方法。

請求項4

前記第2工程は、前記第1層の表面側に前記第2層を所定の回路パターンで積層させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のグラフェン基板の製造方法。

請求項5

前記第2工程と前記第3工程との間に、前記第2層の表面側に、前記第1層及び前記第2層を保護する保護層を積層する第5工程を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のグラフェン基板の製造方法。

技術分野

0001

本発明はグラフェン基板の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

グラフェンは、その優れた電気的特性光学的特性から配線材料透明電極等、様々な応用が期待される。現在、グラフェンを形成する際に、触媒金属であるCu(銅)やNi(ニッケル)等を用いるCVD(化学気相成長)が主に使われている。しかし、グラフェンをデバイスに応用する際、触媒金属の表面に形成したグラフェンを所望の基板の表面に転写する工程が必要であるため、生産性の上で大きな問題となっている。大きな面積のグラフェンの転写は技術的に難易度が高く、転写時のグラフェンの品質の低下が問題となっている。このため、所望の基板の表面に直接グラフェンを形成することができる方法の確立が求められている。

0003

特許文献1は従来のグラフェンの製造方法を開示している。このグラフェンの製造方法は、C(炭素)及び金属を具備する炭化物層を有した基板の表面に液体のGa(ガリウム)を配置して熱処理を行う。すると、炭化物層を有した基板からC(炭素)及び金属がGa(ガリウム)内に溶解する。そして、Ga(ガリウム)が配置された基板を冷却すると、Ga(ガリウム)内に溶解したC(炭素)がグラフェンとして炭化物層の表面に析出する。これにより、このグラフェン基板の製造方法は基板の表面に直接グラフェンを容易に形成してグラフェン基板を製造することができる。

先行技術

0004

国際公開第2012—060468号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献1のグラフェン基板の製造方法は、液体のGa(ガリウム)を用いているため、外部からの振動等が液体のGa(ガリウム)に伝達してGa(ガリウム)が振動し、グラフェンの形成に影響を与えるおそれがある。また、重力の影響も受けるため、基板が液体のGa(ガリウム)の下側に配置される必要がある。さらに、液体のGa(ガリウム)は表面張力等の影響により凝集する。このため、液体のGa(ガリウム)を用いて積層構造を作製することは困難であり、液体のGa(ガリウム)を所定の回路パターンの形状に形成して保持することもできない。また、液体のGa(ガリウム)が流れないようにするためのホルダを用いているため、基板の面積を大きくすることに困難が伴う。また、熱処理の際に精密な温度の制御が必要なため、熱処理の実施が容易でない。

0006

本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、良好にグラフェン基板を製造するグラフェン基板の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。

課題を解決するための手段

0007

本発明のグラフェン基板の製造方法は、
基板の表面側に、C(炭素)及びグラフェンの形成に利用する触媒金属である第1金属を含む第1層を積層する第1工程と、
前記第1工程後に前記第1層内の前記C(炭素)を表面側に析出させない第2層を前記第1層の表面側に積層する第2工程と、
前記第2工程後に熱処理して前記第1層内の前記C(炭素)を前記第1金属に溶解させる第3工程と、
前記第3工程後に冷却して前記基板と前記第1層との間にグラフェンを形成させる第4工程と、
を備えていることを特徴とする。

0008

本発明のグラフェン基板の製造方法は第2層を第1層の表面に積層することによって直接グラフェンが基板の表面に形成される。このため、このグラフェン基板の製造方法は液体のGa(ガリウム)等の金属を用いることなく、直接グラフェンを基板の表面に形成することができる。つまり、このグラフェン基板の製造方法は外部からの振動や基板を保持する方向等の影響を受けることなく良好にグラフェン基板を製造することができる。

0009

したがって、本発明のグラフェン基板の製造方法を用いれば良好にグラフェン基板を製造することができる。

図面の簡単な説明

0010

実施例1のグラフェン基板の製造方法を示す概略図である。
実施例2のサンプルをラマン散乱分光法で評価した結果を示すグラフである。
実施例3〜5のサンプルをラマン散乱分光法で評価した結果を示すグラフであって、(A)は実施例3のサンプルを評価した結果であって、(B)は実施例4のサンプルを評価した結果であって、(C)は実施例5のサンプルを評価した結果である。
実施例6及び比較例1のサンプルのそれぞれの表面をXRD(X線回折)で測定した結果である。
実施例7のサンプルをラマン散乱分光法で評価した結果を示すグラフである。
実施例8のサンプルの構成、LED素子発光している状態、及び電気的特性を示す図であって、(A)はサンプルの概略図であり、(B)はLED素子が発光した状態を上方向から示した図であり、(C)は電圧の大きさに対する電流の大きさを示すグラフである。
第2層を積層した後に保護層を積層した状態を示す概略図であって、(A)は第2層を所定の回路パターンに形成していない状態であり、(B)は第2層を所定の回路パターンに形成している状態である。
実施例9のグラフェン基板の製造方法を示す概略図である。
実施例10のサンプルのNi(ニッケル)及びW(タングステン)を王水エッチングして除去する前の表面の状態、及びラマン散乱分光法で評価した結果であって、(A)はサンプルの表面の状態を示し、(B)はNi(ニッケル)の表面にW(タングステン)が積層されている領域の表面を評価した結果であり、(C)はNi(ニッケル)の表面にW(タングステン)が積層されていない領域の表面を評価した結果である。
実施例10のサンプルのNi(ニッケル)及びW(タングステン)を王水でエッチングして除去した後の表面の状態、及びラマン散乱分光法で評価した結果であって、(A)はサンプルの表面の状態を示し、(B)はNi(ニッケル)の表面にW(タングステン)が積層されていた領域の表面を評価した結果であり、(C)はNi(ニッケル)の表面にW(タングステン)が積層されていなかった領域の表面を評価した結果である。

実施例

0011

本発明における好ましい実施の形態を説明する。

0012

本発明の前記第2層は、前記C(炭素)と結合して前記第1層との界面にカーバイド層を形成する第2金属を含み得る。この場合、第1層と第2層との界面に形成されたカーバイド層は、第1層の表面に緻密に形成される。これにより、このグラフェン基板の製造方法はC(炭素)が第1層の表面側、及び第2層の表面側に析出することを阻止することができ、直接グラフェンを基板の表面に確実に形成することができる。

0013

本発明の前記第1工程は、前記基板の表面側に前記C(炭素)と前記第1金属とを交互に積層させ得る。この場合、このグラフェン基板の製造方法は第1層のC(炭素)と第1金属との量の割合を積層するそれぞれの層厚層数を調節して変更することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層でのC(炭素)と第1金属との量の割合を所望の量に容易に変更することができる。また、このグラフェン基板の製造方法はC(炭素)及び第1金属のそれぞれの層厚をより薄く形成することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法はより低温で、より短時間に、C(炭素)を第1金属に溶解させることができる。

0014

本発明の前記第2工程は、前記第1層の表面側に前記第2層を所定の回路パターンで積層させ得る。この場合、このグラフェン基板の製造方法は第2層を所定の回路パターンで積層することによって基板の表面に形成されるグラフェンの形状を所望の形状に容易に変更することができる。

0015

本発明のグラフェン基板の製造方法は、前記第2工程と前記第3工程との間に、前記第2層の表面側に、前記第1層及び前記第2層を保護する保護層を積層する第5工程を備え得る。この場合、このグラフェン基板の製造方法は第1層及び第2層が保護層によって被覆されるため、第1層及び第2層が熱処理の際に使用される水素ガス不活性ガス大気、及び大気中に含まれる酸素不純物等の影響を受けることを抑えることができる。

0016

次に、従来のグラフェン基板の製造方法について図示を省略して説明する。

0017

先ず、CVD法(化学気相成長)を用いて触媒金属であるCu(銅)の表面にグラフェンを成長させる。次に、Cu(銅)の表面に形成されたグラフェンをCu(銅)の表面から所望の基板の表面に転写する。先ず、触媒金属であるCu(銅)の表面に形成されたグラフェンの表面にスピンコート法を用いてポリメタクリル酸メチル樹脂(以下、PMMAという)を塗布する。次に、表面に形成されたグラフェンにPMMAを塗布したCu(銅)を塩化第二鉄溶液におよそ24時間浸す。このときCu(銅)を下側にして塩化第二鉄溶液に浸す。こうして、Cu(銅)が塩化第二鉄溶液に溶解し、PMMA及びグラフェンはエッチング溶液に溶解せず塩化第二鉄溶液の表面に浮かぶ。次に、PMMA及びグラフェンを塩酸におよそ30分間浮かべる。このとき、PMMA及びグラフェンはスライドガラス等を用いて塩化第二鉄溶液の表面からそっと持ち上げて塩酸の表面に移す。グラフェンはPMMAの下側に位置している。こうしてPMMA及びグラフェンに付着した塩化第二鉄を塩酸で溶かして除去する。次に、PMMA及びグラフェンを純水におよそ30分間浮かべる。グラフェンはPMMAの下側に位置している。こうしてPMMA及びグラフェンに付着した塩酸を純水により洗浄する。

0018

次に、PMMA及びグラフェンを所望の基板で純水からすくい上げる。そして、PMMA及びグラフェンを基板の表面に載置する。このとき、基板の表面にグラフェンの下面が当接している。そして、PMMA及びグラフェンと基板とに70℃でおよそ24時間の乾燥処理を施す。こうして、水分等を蒸発させることによってグラフェンと基板との密着性を向上させる。そして、PMMA及びグラフェンと基板とをアセトン溶液におよそ24時間浸すことによってPMMAを除去する。そして、グラフェンと基板とに70℃でおよそ24時間の乾燥処理を施しアセトンを除去する。こうして、およそ5日間かけて以上の工程を実行することによって、所望の基板の表面にグラフェンを転写する。こうして、従来のグラフェン基板の製造方法によってグラフェン基板を製造することができる。

0019

次に、本発明のグラフェン基板の製造方法を具体化した実施例1〜10、及び比較例1について、図面を参照しつつ説明する。

0020

<実施例1〜8、比較例1>
実施例1のグラフェン基板の製造方法は所望の基板の表面の全面に亘り直接グラフェンを形成することができる。先ず、図1(A)に示すように、基板であるサファイア基板10を用意する。そして、サファイア基板10を真空蒸着装置チャンバー内にセットする(図示せず。)。サファイア基板10は(0001)面が表面(表は図1における上側である。以下同じ)である。この真空蒸着装置は電子ビーム蒸着を実行することができる。

0021

次に、図1(B)に示すように、サファイア基板10の表面に第1層11を積層する(第1工程)。詳しくは、先ず、サファイア基板10の表面にC(炭素)であるアモルファスカーボン11Aを蒸着して積層する。次に、アモルファスカーボン11Aの表面に触媒金属であるNi(ニッケル)11Bを蒸着して積層する。つまり、第1工程はサファイア基板10の表面側にC(炭素)とNi(ニッケル)11Bとを交互に積層させる。こうして、サファイア基板10の表面側に、C(炭素)及びグラフェン11Cの形成に利用する触媒金属であるNi(ニッケル)11Bを含む第1層11を積層する第1工程を終了する。

0022

次に、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に第2層12を積層する(第2工程)。詳しくは、サファイア基板10の表面に積層された第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に第2金属であるW(タングステン)12Aを蒸着して積層する。こうして、第1工程後に第1層11内のアモルファスカーボン11Aを表面側に析出させない第2層12を第1層11の表面側に積層する第2工程を終了する。

0023

次に、図1(C)に示すように、サファイア基板10に熱処理を施す(第3工程)。詳しくは、サファイア基板10を真空蒸着装置のチャンバーから取り出して、熱処理装置内にセットする(図示せず。)。熱処理装置は赤外線ランプアニール装置である。そして、サファイア基板10をセットした状態で熱処理装置内を真空状態にする。そしてサファイア基板10の温度を所定の温度まで上昇させる。所定の温度はおよそ600℃〜900℃である。そして、サファイア基板10に対して所定の時間の熱処理を施す。このとき、第1層11のアモルファスカーボン11AがNi(ニッケル)11Bに溶解する。また、第1層11のNi(ニッケル)11Bに溶解して第1層11の表面側に拡散したアモルファスカーボン11AのC(炭素)と第2層12のW(タングステン)12Aとが結合して、第1層11の表面にタングステンカーバイド層12Bが形成される。つまり、第2層12はC(炭素)と結合して第1層11との界面にタングステンカーバイド層12Bを形成するW(タングステン)12Aを含んでいる。タングステンカーバイド層12Bは第1層11の表面に緻密に形成される。こうして、第2工程後に熱処理して第1層11内のC(炭素)をNi(ニッケル)11Bに溶解させる第3工程を終了する。

0024

次に、図1(D)に示すように、サファイア基板10を冷却する(第4工程)。詳しくは、熱処理装置内にサファイア基板10をセットした状態で、サファイア基板10の温度を急激に下げる。すると、Ni(ニッケル)11Bに溶解したアモルファスカーボン11Aがサファイア基板10の表面にグラフェン11Cとして析出する。これは、タングステンカーバイド層12Bが第1層11の表面に緻密に形成されているため、Ni(ニッケル)11Bに溶解したアモルファスカーボン11Aが第1層11の表面に析出することが阻止されるためと考えられる。こうして、第3工程後に冷却してサファイア基板10と第1層11との間にグラフェン11Cを形成させる第4工程を終了する。また、サファイア基板10を冷却する際、サファイア基板10の温度を徐々に下げると、より結晶品質の良いグラフェン11Cを析出させることができると考えられる。

0025

次に、図1(E)に示すように、サファイア基板10にエッチングを施す。詳しくは、サファイア基板10を熱処理装置内から取り出して王水でエッチングを施して、第1層11のNi(ニッケル)11B、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に形成されたタングステンカーバイド層12B、及び第2層12を除去する。エッチングの時間は24時間以上である。こうして、サファイア基板10の表面の全面に亘り直接グラフェン11Cを形成してグラフェン基板14を製造することができる。

0026

また、図1(F)、(G)に、第4工程を実行した後、Ni(ニッケル)11B、タングステンカーバイド層12B、及びW(タングステン)12Aを所定の回路パターンでエッチングした状態を示す。図1(G)はサファイア基板10を上方から見た平面図である。また、図1(F)は図1(G)に示すX−X端面図である。Ni(ニッケル)11B、タングステンカーバイド層12B、及びW(タングステン)12Aを所定の回路パターンでエッチングし除去してグラフェン11Cが露出した4つの領域を形成する(図1(G)参照。)。これら4つの領域31は第1領域30A、第2領域30B、第3領域30C、及び第4領域30Dを具備している。第1領域30A、第2領域30B、及び第3領域30Cは上方からの平面視において矩形状をなしている。第4領域30Dは上方からの平面視において右端部の奥側(奥は図1(G)における上側である)に左方向手前側(手前は図1(G)における下側である。以下同じ)に突出した突出部30Eが形成されている。これら4つの領域31は第1領域30Aの手前側に僅かに間隔を設けて第2領域30Bが形成されている。また、これら4つの領域31は第1領域30Aの右側側に僅かに間隔を設けて第4領域30Dが形成されている。また、これら4つの領域31は第2領域30Bの右側で第4領域30Dの手前側に僅かに間隔を設けて第3領域30Cが形成されている。なお、突出部30Eが設けられた領域は、エッチングされなかったNi(ニッケル)11B、タングステンカーバイド層12B、及びW(タングステン)12Aのサファイア基板10の外形からの幅の寸法が大きく形成されているため、電線の1端を容易に電気的に接続することができる。こうしてこれら4つの領域31を形成することによって、大電流を流す必要がある透明電極等に応用することができる。

0027

実施例1のグラフェン基板の製造方法を用いて実施例2のサンプルを用意した。実施例2のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。このサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrの真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。また、実施例2のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0028

実施例2のサンプルをラマン散乱分光法で評価した結果を図2に示す。ラマン散乱分光法はグラフェンの評価において一般的に用いられている。グラフェンはDピーク、Gピーク、及びG’ピークの3種類のラマンピークを基にして評価することができる。Dピークはグラフェンの構造欠陥、及びグラフェンのエッジ由来するピークである。Gピークはグラフェンの面内振動、及びsp2結合に由来するピークである。G’ピークはグラフェン層構造の評価に利用することができるピークである。なお、ラマン散乱分光法を用いてグラフェンを評価した結果において、Gピーク及びG’ピークが出現している場合、グラフェンが形成されていることを示す。また、Gピーク及びG’ピークのそれぞれのピークの大きさを比べることによって形成されたグラフェンの積層された層数が分かる。実施例2のサンプルはグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れている。これにより、実施例2のサンプルはサファイア基板の表面に直接グラフェンが形成されていることが分かった。

0029

次に、アモルファスカーボンとNi(ニッケル)との積層する順番がおよぼす効果について検討する実験を実施した。この実験を実施するため、実施例3〜5のサンプルを用意した。

0030

実施例3のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。このサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。また、実施例3のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0031

実施例4のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。このサンプルも第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。また、実施例4のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0032

実施例5のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である150nmの厚みのNi(ニッケル)、第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である150nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。このサンプルも第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。また、実施例5のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0033

実施例3〜5のサンプルのそれぞれをラマン散乱分光法で評価した結果を図3(A)〜(C)に示す。実施例3〜5のサンプルのそれぞれにグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れている。これにより、実施例3〜5のサンプルのそれぞれのサファイア基板の表面に直接グラフェンが形成されていることが分かった。また、アモルファスカーボンをNi(ニッケル)に対して積層する位置を変更してもサファイア基板の表面に直接グラフェンを形成できることが分かった。このことから、アモルファスカーボン及びNi(ニッケル)を積層する順番よりも、W(タングステン)がアモルファスカーボン及びNi(ニッケル)の表面側に積層されていることが重要であることが分かった。

0034

ここで、W(タングステン)を積層した後に熱処理がW(タングステン)に及ぼす影響について検討する実験を実施した。この実験を実施するため、実施例6及び比較例1のサンプルを用意した。

0035

実施例6及び比較例1のサンプルはそれぞれが共に、サファイア基板の表面に第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。実施例6のサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施されている。これに対し、比較例1のサンプルは第3工程である熱処理が施されていない。

0036

実施例6及び比較例1のサンプルのそれぞれの表面をXRD(X線回折)で測定した結果を図4に示す。実施例6のサンプルはタングステンカーバイド層のピークP1が現れた。また、比較例1のサンプルはタングステンカーバイド層のピークが現れなかった。つまり、実施例6のサンプルは熱処理によってタングステンカーバイド層がNi(ニッケル)の表面に形成されることが分かった。このことから、タングステンカーバイド層が形成された領域において、Ni(ニッケル)の表面へC(炭素)が析出することが阻止され、サファイア基板の表面に直接グラフェンが形成されたと考えられる。

0037

ここで、W(タングステン)に替えてTi(チタン)を積層した場合について検討する実験を実施した。この実験を実施するため、実施例7のサンプルを用意した。実施例7のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのTi(チタン)をこの順番で蒸着して積層している。このサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。また、実施例7のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0038

実施例7のサンプルをラマン散乱分光法で評価した結果を図5に示す。このサンプルはグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れている。これにより、W(タングステン)に替えてTi(チタン)を用いてもサファイア基板の表面に直接グラフェンが形成できることが分かった。Ti(チタン)の融点は1600℃以上であり、C(炭素)と結合することによってチタンカーバイドを形成することができる。このため、Ti(チタン)をNi(ニッケル)の表面に積層してもW(タングステン)をNi(ニッケル)の表面に積層した場合と同様の効果が得られたと考えられる。

0039

ここで、サファイア基板に替えてデバイス構造であるLED素子を形成したGaN(窒化ガリウム)基板の表面に直接形成したグラフェンを透明電極として用いた場合について検討する実験を実施した。この実験を実施するため、実施例8のサンプルを用意した。実施例8のサンプルは図6(A)に示すように、GaN(窒化ガリウム)基板40の表面にn型半導体層41、発光層42、及びp型半導体層43がこの順番で積層されてLED素子44が形成されている。

0040

また、このサンプルはp型半導体層43の表面に、グラフェンであるグラフェン透明電極45を形成している。詳しくは、p型半導体層43の表面に第1層である1nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。そして、このサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で700℃で15分間の熱処理が施された後、温度が急激に下げられている。なお、この熱処理の温度、及び熱処理の時間はLED素子44の耐性条件に合わせた設定である。つまり、グラフェンを形成する基板や素子等の耐性条件に合わせて熱処理の温度、及び時間を調節してグラフェンを形成することができる。またこのサンプルは王水でエッチングが施されている。こうして、このサンプルはp型半導体層43の表面にグラフェン透明電極45を形成している。グラフェン透明電極45はp側電極として用いられる。

0041

また、このサンプルはn側電極としてGaN(窒化ガリウム)基板40の裏側に銀ペースト46を用いて銅板47を接着している。銅板47は右側がGaN(窒化ガリウム)基板40の右方に突出している。そして、銅板47の表面、及びグラフェン透明電極45の表面のそれぞれに針48(プローブ)の先端が接して設けられている。これら針48(プローブ)を用いこのサンプルに電流を供給することができる。

0042

こうして構成された実施例8のサンプルはこれら針48(プローブ)から電流が供給されると発光層42が発光することが確認できた(図6(B)参照。)。なお、発光層42が発光した光はグラフェン透明電極45を通り抜けた光である。これにより、LED素子44のp型半導体層43側の表面にグラフェン透明電極45を形成することができ、LED素子44に電流を供給できることが分かった。つまり、サファイア基板以外の基板の表面、及び様々な構造を有する素子の表面にグラフェンを形成できることが分かった。また、図6(C)に示すように、このサンプルはこれら針48(プローブ)の間の電圧がおよそ7Vを超えたところで電流が流れ始めることが分かった。

0043

なお、図7(A)に示すように、第2層12を積層した後、第2層12の表面に保護層13としてSiO2(2酸化ケイ素)を積層することができる(第5工程)。この後、第3工程である熱処理、第4工程である冷却を実行し、フッ化アンモニウム溶液、及び王水でエッチングを施して、第1層11のNi(ニッケル)11B、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に形成されたタングステンカーバイド層12B、及び第2層12と共に保護層13除去する。なお、フッ化アンモニウム溶液は保護層13を除去するために用いる。つまり、第2工程と第3工程との間に、第2層12の表面側に、第1層11及び第2層12を保護する保護層13を積層する。これにより、第1層11及び第2層12が保護層13によって被覆されるため、第1層11及び第2層12が熱処理の際に使用される水素ガス、不活性ガス、大気、及び大気中に含まれる酸素や不純物等の影響を受けることを抑えることができる。

0044

このように、このグラフェン基板の製造方法は第2層12を第1層11の表面に積層することによって直接グラフェン11Cがサファイア基板10の表面に形成される。このため、このグラフェン基板の製造方法は液体のGa(ガリウム)等の金属を用いることなく、直接グラフェン11Cをサファイア基板10の表面に形成することができる。つまり、このグラフェン基板の製造方法は外部からの振動や基板を保持する方向等の影響を受けることなく良好にグラフェン基板14を製造することができる。

0045

したがって、このグラフェン基板の製造方法を用いれば良好にグラフェン基板14を製造することができる。

0046

また、このグラフェン基板の製造方法の第2層12は、C(炭素)と結合して第1層11との界面にタングステンカーバイド層12Bを形成するW(タングステン)12Aを含んでいる。このため、第1層11と第2層12との界面に形成されたタングステンカーバイド層12Bは、第1層11の表面に緻密に形成される。これにより、このグラフェン基板の製造方法はC(炭素)が第1層11の表面側、及び第2層12の表面側に析出することを阻止することができ、直接グラフェン11Cをサファイア基板10の表面に確実に形成することができる。

0047

また、このグラフェン基板の製造方法の第1工程は、サファイア基板10の表面側にアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとを交互に積層させている。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11のアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとの量の割合を積層するそれぞれの層厚や層数を調節して変更することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11でのアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとの量の割合を所望の量に容易に変更することができる。また、このグラフェン基板の製造方法はアモルファスカーボン11A及びNi(ニッケル)11Bのそれぞれの層厚をより薄く形成することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法はより低温で、より短時間に、アモルファスカーボン11AをNi(ニッケル)11Bに溶解させることができる。

0048

また、このグラフェン基板の製造方法は、第2工程と第3工程との間に、第2層12の表面側に、第1層11及び第2層12を保護する保護層13を積層する第5工程を備えている。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11及び第2層12が保護層13によって被覆されるため、第1層11及び第2層12が熱処理の際に使用される水素ガス、不活性ガス、大気、及び大気中に含まれる酸素や不純物等の影響を受けることを抑えることができる。

0049

<実施例9、10>
従来のグラフェン基板の製造方法の場合、所定の回路パターンに形成されたグラフェンを触媒金属であるCu(銅)、及びNi(ニッケル)の表面からサファイア基板に転写することが難しい。しかし、本発明のグラフェン基板の製造方法において、サファイア基板の表面に回路パターンを形成する際に用いる一般的な手法であるフォトリソグラフィを用いることによって、所望のサファイア基板の表面に直接グラフェンを形成することができる。

0050

実施例9のグラフェン基板の製造方法は、第1層の表面にレジストを塗布する点、フォトリソグラフィを用いてレジストを所定の回路パターンの外形に形成する点、レジストが除去され露出した第1層の表面、及び除去されていないレジストの表面にW(タングステン)を蒸着して積層する点、及び第1層の表面に蒸着して積層されたW(タングステン)を残して、レジストを除去する点が実施例1〜8と異なる。他の工程は実施例1乃至8と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、同一の工程は詳細な説明を省略する。

0051

実施例9のグラフェン基板の製造方法は所望の基板の表面に直接所定の回路パターンのグラフェンを形成することができる。先ず、サファイア基板10を用意する。そして、サファイア基板10を真空蒸着装置のチャンバー内にセットする(図示せず。)。サファイア基板は(0001)面が表面がである。そして、サファイア基板10の表面にアモルファスカーボン11Aと触媒金属であるNi(ニッケル)11Bとを交互に蒸着して積層する(第1工程)(図8(A)、(B)参照。)。

0052

次に、図8(C)に示すように、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面にレジスト20を塗布する。詳しくは、サファイア基板10を真空蒸着装置のチャンバーから取り出す。そして、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面にスピンコート法を用いてレジスト20を塗布する。

0053

次に、図8(D)に示すように、レジスト20を所定の回路パターンの外形に形成する。詳しくは、フォトリソグラフィを用いて、レジスト20を所定の回路パターンの外形に形成する。このとき、レジスト20が除去された領域は第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面が露出する。なお、レジスト20は場合によってポジ型、又はネガ型を選択して用いることができる。

0054

次に、図8(E)に示すように、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に第2層112積層する(第2工程)。詳しくは、サファイア基板10を再び真空蒸着装置のチャンバー内にセットする。そして、レジスト20が除去されて露出した第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面、及び所定の回路パターンの外形に形成されたレジスト20の表面にW(タングステン)12Aを蒸着して積層する。

0055

そして、図8(F)に示すように、第1層11の表面に所定の回路パターンの外形に形成されたレジスト20を除去する。詳しくは、サファイア基板10を真空蒸着装置のチャンバーから取り出す。そして、アセトン等の有機溶剤を用いて第1層11の表面に所定の回路パターンの外形に形成されたレジスト20を除去する。このとき、レジスト20の表面に蒸着して積層されたW(タングステン)12Aもレジスト20と共に除去される。また、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に蒸着して積層されたW(タングステン)12Aは除去されない。この工程をリフトオフという。つまり、第2工程は第1層11の表面側に第2層112を所定の回路パターンで積層させる。こうして、第1工程後に第1層11内のC(炭素)を表面側に析出させない第2層112を第1層11の表面側に積層する第2工程を終了する。

0056

次に、図8(G)に示すように、サファイア基板10に熱処理を施す(第3工程)。詳しくは、サファイア基板10にリフトオフ処理を施した後、サファイア基板10を熱処理装置内にセットする(図示せず。)。熱処理装置は赤外線ランプアニール装置である。そして、サファイア基板10をセットした状態で熱処理装置内を真空状態にする。そしてサファイア基板10の温度を所定の温度まで上昇させる。所定の温度はおよそ600℃〜900℃である。そして、サファイア基板10に対して所定の時間の熱処理を施す。このとき、第1層11のアモルファスカーボン11AがNi(ニッケル)11Bに溶解する。また、第2層112が積層された第1層11の表面の領域に第1層11のNi(ニッケル)11Bに溶解して第1層11の表面側に拡散したアモルファスカーボン11AのC(炭素)と第2層112のW(タングステン)12Aとが結合して、タングステンカーバイド層112Bが形成される。つまり、第2層112はC(炭素)と結合して第1層11との界面にタングステンカーバイド層112Bを形成するW(タングステン)12Aを含んでいる。タングステンカーバイド層112Bは第1層11の表面に緻密に形成される。こうして、第2工程後に熱処理して第1層11内のC(炭素)をNi(ニッケル)11Bに溶解させる第3工程を終了する。

0057

次に、図8(H)に示すように、サファイア基板10を冷却する(第4工程)。詳しくは、熱処理装置内にサファイア基板10をセットした状態で、サファイア基板10の温度を急激に下げる。すると、タングステンカーバイド層112Bが形成されていない領域では、Ni(ニッケル)11Bに溶解したアモルファスカーボン11Aが第1層11の表面にグラフェン111Dとして析出する。また、タングステンカーバイド層112Bが形成された領域では、Ni(ニッケル)11Bに溶解したアモルファスカーボン11Aがサファイア基板10の表面にグラフェン111Cとして析出する。これは、タングステンカーバイド層112Bが第1層11の表面に緻密に形成されているため、Ni(ニッケル)11Bに溶解したアモルファスカーボン11Aがタングステンカーバイド層112Bが形成された第1層11の表面の領域に析出することが阻止されるためと考えられる。こうして、第3工程後に冷却してサファイア基板10と第1層11との間にグラフェン111Cを形成させる第4工程を終了する。また、サファイア基板10を冷却する際、サファイア基板10の温度を徐々に下げると、より結晶品質の良いグラフェン111C、及び111Dを析出させることができると考えられる。

0058

次に、図8(I)に示すように、サファイア基板10にエッチングを施す。詳しくは、サファイア基板10を熱処理装置内から取り出して王水でエッチングを施して、第1層11のNi(ニッケル)11B、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に形成されたタングステンカーバイド層112B、第2層112、及びグラフェン111Dを除去する。エッチングの時間は24時間以上である。こうして、サファイア基板10の表面に直接所定の回路パターンのグラフェン111Cを形成してグラフェン基板114を製造することができる。

0059

実施例9のグラフェン基板の製造方法を用いて実施例10のサンプルを用意した。実施例10のサンプルはサファイア基板の表面に第1層である5nmの厚みのアモルファスカーボン、第1層である300nmの厚みのNi(ニッケル)、及び第2層である25nmの厚みのW(タングステン)をこの順番で蒸着して積層している。また、このサンプルはフォトリソグラフィを用いて、Ni(ニッケル)の表面に複数のW(タングステン)のパターンを形成している。詳しくは、図9(A)に示すように、これら第2層であるW(タングステン)12Aは上方からの平面視においてそれぞれが帯状をなしている。これらW(タングステン)12Aは帯状の左右方向の幅の寸法M1がおよそ24μmである。また左右方向に隣り合う帯状のW(タングステン)12Aの間の寸法M2はおよそ6μmである。つまり、これら帯状のW(タングステン)12AはNi(ニッケル)11Bの表面に等間隔の状に配置して形成されている。このサンプルは第3工程として真空度が10-5〜10-6Torrである真空雰囲気で900℃で30分間の熱処理が施された後、第4工程として冷却が施されている。また、実施例10のサンプルは王水でエッチングが施されている。

0060

図9(B)、(C)に、王水でエッチングする前の実施例9のサンプルのNi(ニッケル)11B及びW(タングステン)12Aのそれぞれの表面をラマン散乱分光法で評価した結果を示す。Ni(ニッケル)11Bの表面にW(タングステン)12Aが積層された領域の表面ではグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れなかった(図9(B)参照。)。これに対し、Ni(ニッケル)11Bの表面にW(タングステン)12Aが積層されていない領域の表面ではグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れた(図9(C)参照。)。

0061

図10(B)、(C)に、王水でエッチングした後の実施例10のサンプルの表面をラマン散乱分光法で評価した結果を示す。実施例10のサンプルは王水でエッチングすることによって、Ni(ニッケル)11B及びW(タングステン)12Aが除去されている。Ni(ニッケル)11Bの表面にW(タングステン)12Aが積層されていた領域の表面ではグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れた(図10(B)参照。)。これに対し、Ni(ニッケル)11Bの表面にW(タングステン)12Aが積層されていなかった領域の表面ではグラフェン由来のピークであるGピーク及びG’ピークが現れなかった(図10(C)参照。)。これらのことから、W(タングステン)12Aを所定の回路パターンに形成することによって、W(タングステン)12Aの所定の回路パターンを反映したグラフェン111Cを直接サファイア基板10の表面に形成できることが分かった。

0062

なお、図7(B)に示すように、第2層112を積層した後、第2層112の表面、及びNi(ニッケル)11Bの表面に保護層113としてSiO2(2酸化ケイ素)を積層することができる(第5工程)。この後、第3工程である熱処理、第4工程である冷却を実行し、フッ化アンモニウム溶液、及び王水でエッチングを施して、第1層11のNi(ニッケル)11B、第1層11のNi(ニッケル)11Bの表面に形成されたタングステンカーバイド層112B、第2層112、及びグラフェン111Dと共に保護層113除去する。なお、フッ化アンモニウム溶液は保護層113を除去するために用いる。つまり、第2工程と第3工程との間に、第2層112の表面側に、第1層11及び第2層112を保護する保護層113を積層する。これにより、第1層11及び第2層112が保護層113によって被覆されるため、第1層11及び第2層112が熱処理の際に使用される水素ガス、不活性ガス、大気、及び大気中に含まれる酸素や不純物等の影響を受けることを抑えることができる。

0063

このように、このグラフェン基板の製造方法も第2層112を第1層11の表面に積層することによって直接グラフェン111Cがサファイア基板10の表面に形成される。このため、このグラフェン基板の製造方法は液体のGa(ガリウム)等の金属を用いることなく、直接グラフェン111Cをサファイア基板10の表面に形成することができる。つまり、このグラフェン基板の製造方法も外部からの振動や基板を保持する方向等の影響を受けることなく良好にグラフェン基板114を製造することができる。

0064

したがって、このグラフェン基板の製造方法を用いれば良好にグラフェン基板114を製造することができる。

0065

また、このグラフェン基板の製造方法の第2層112は、C(炭素)と結合して第1層11との界面にタングステンカーバイド層112Bを形成するW(タングステン)12Aを含んでいる。このため、第1層11と第2層112との界面に形成されたタングステンカーバイド層112Bは、第1層11の表面に緻密に形成される。これにより、このグラフェン基板の製造方法はC(炭素)が第1層11の表面側、及び第2層112の表面側に析出することを阻止することができ、直接グラフェン111Cをサファイア基板10の表面に確実に形成することができる。

0066

また、このグラフェン基板の製造方法の第1工程は、サファイア基板10の表面側にアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとを交互に積層させている。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11のアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとの量の割合を積層するそれぞれの層厚や層数を調節して変更することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11でのアモルファスカーボン11AとNi(ニッケル)11Bとの量の割合を所望の量に容易に変更することができる。また、このグラフェン基板の製造方法はアモルファスカーボン11A及びNi(ニッケル)11Bのそれぞれの層厚をより薄く形成することができる。このため、このグラフェン基板の製造方法はより低温で、より短時間に、アモルファスカーボン11AをNi(ニッケル)11Bに溶解させることができる。

0067

また、このグラフェン基板の製造方法の第2工程は、第1層11の表面側に第2層112を所定の回路パターンで積層させている。このため、このグラフェン基板の製造方法は第2層112を所定の回路パターンで積層することによって直接サファイア基板10の表面に形成されるグラフェン111Cの形状を所望の形状に容易に変更することができる。

0068

また、このグラフェン基板の製造方法は、第2工程と第3工程との間に、第2層112の表面側に、第1層11及び第2層112を保護する保護層113を積層する第5工程を備えている。このため、このグラフェン基板の製造方法は第1層11及び第2層112が保護層113によって被覆されるため、第1層11及び第2層112が熱処理の際に使用される水素ガス、不活性ガス、大気、及び大気中に含まれる酸素や不純物等の影響を受けることを抑えることができる。

0069

本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1〜10に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1〜10では、王水を用いてエッチングしているが、これに限らず、硝酸硫酸、塩酸、過酸化水素水、及びこれらの酸の混合液を用いてエッチングしても良い。
(2)実施例1〜7、9〜10では、(0001)面を表面にしたサファイア基板を用いているが、これに限らず、他の面を表面にしたサファイア基板、ZnO(酸化亜鉛)、Si(ケイ素)、及びGaN(窒化ガリウム)等を用いても良い。また、表面に予めデバイス構造を形成したGaN(窒化ガリウム)等を用いても良い。
(3)実施例1〜4、6〜10では、第1層のC(炭素)及びNi(ニッケル)をそれぞれ1層ずつ積層しているが、これに限らず、第1層のC(炭素)及びNi(ニッケル)のそれぞれをより薄くして複数積層しても良い。これにより、より低温で、より短時間で熱処理することができる。
(4)実施例1〜10では、C(炭素)及びNi(ニッケル)を積層しているが、これに限らず、C(炭素)及びNi(ニッケル)を混合した層であっても良い。
(5)実施例1〜10では、第1層にNi(ニッケル)を用いているが、これに限らず、熱処理によってC(炭素)が溶解できれば良く、Fe(鉄)、Cu(銅)、Co(コバルト)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、及びSi(ケイ素)等を用いても良い。
(6)第1層及び第2層を保護する保護層としてSiO2(2酸化ケイ素)替えてAlO(酸化アルミニウム)やSiN(窒化ケイ素)等を積層しても良い。また、保護層を設けなくても良い。
(7)実施例1〜6、8〜10は第2層としてW(タングステン)を用いているが、これに限らず、カーバイド層を形成できれば良く、第2層としてMo(モリブデン)、Ti(チタン)、及びSi(ケイ素)等を用いても良い。また、カーバイド層に限らず、C(炭素)の拡散を抑えるその他の層を形成することができる物質を用いても良い。
(8)実施例8では、p型半導体層の表面にグラフェンを積層しているが、これに限らず、GaN(窒化ガリウム)の裏面にグラフェンを積層しても良い。また、n型半導体層が発光層の上側に積層されている場合、n型半導体層の表面にグラフェンを積層しても良い。

0070

10…サファイア基板(基板)
11…第1層
11A…アモルファスカーボン(C(炭素))
11B…Ni(ニッケル)(第1金属)
11C,111C,111D,45…グラフェン
12,112…第2層
12A…W(タングステン)(第2金属)
12B,112B…タングステンカーバイド層(カーバイド層)
13,113…保護層
40…GaN(窒化ガリウム)基板(基板)

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