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課題
インクジェット印刷機における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法を提供する。
解決手段
インク漏れを検出するための方法であって、ワークフローシステムによって、インク滴の量を合算することによって、前段階の印刷データから、理論上消費されるインク量を計算するステップと、理論上消費されるインク量を、ワークフローシステムによって、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェアに送信するステップと、実際に消費されたインク量を、インクタンクの充填レベルセンサを分析することによって求めるステップと、理論上消費されるインク量を、求められた、実際に消費されたインク量と比較するステップと、実際に消費されたインク量が、理論上消費されるインク量よりも多い場合に、漏れアラームを表示するステップと、を有している。
概要
背景
印刷産業では、多くの異なる印刷方法が使用されている。大量印刷用の最も広く用いられている印刷方法は、依然として、平版印刷方法の領域に属するオフセット印刷方法である。実行のために、印刷紙に印刷をする、基板に基づく枚葉オフセット印刷機並びに巻取紙状の印刷基板に印刷をするオフセット輪転機が存在する。
近年、従来のオフセット印刷と並んで、印刷産業において、いわゆるデジタル印刷もますます重要になってきている。概念「デジタル印刷」はここでは、例えば印刷前段階または印刷を実行する機械だけが電子制御されて実行されるのではなく、その方法自体が電子制御されて実行されるということを全てが共通して有している種々の印刷方法に対する上位概念である。電子的に実行される平版印刷方法であるレーザー印刷の他に、ここでは、特に、インクジェット印刷とも称されるインク噴射式印刷方法が重要である。特に、インクジェット印刷によって、近頃は、従来のオフセット印刷の印刷結果に匹敵する印刷結果が得られる。インクジェット印刷およびレーザー印刷が個人的な用途およびオフィスにおいて何年か使用された後、これらは現在、印刷産業においても使用を増している。ここで、全てのデジタル印刷方法のように、インクジェット印刷は、従来のオフセット印刷と比べて、柔軟性および効率において大きな利点を有している。なぜなら、もはや、印刷版を作成しなくてよいからである。インクジェット印刷では印刷像は、インクを印刷基板上に供給する多数の小さい印刷ノズルを有する1つまたは複数の印刷ヘッドを介して作成される。すなわち、使用される印刷インクの供給、搬送並びに保管は、インクジェット印刷において、極めて重要なファクターである。ここで、インク保管から、搬送を介した、印刷ヘッドまでの一連の処理全体において、不所望なインク漏れが生じないことが保証されるように、特別な注意が向けられる。このような漏れは、漏れの箇所によっては、極めて好ましからぬ影響を有するだろう。これらの影響は、単なるインク消費量の増大から、メンテナンスコストの増大および印刷基板近傍における漏れの場合の刷り損じの発生を経て、印刷機の完全な故障までを生じさせ得る。
従って、インク供給部において場合によって生じる漏れに関する印刷機のコントロールは、インクジェット印刷機の動作時の重要なポイントである。
ここで従来技術は、インクジェット印刷機での漏れコントロールのために、種々のアプローチに通じている。ここで、最も広く使用されているアプローチは、極めて多様な複数の漏れセンサを、印刷機における漏れに敏感な領域に取り付ける、ということである。ここで米国特許第6402277号明細書(US6,402,277B1)から、漏れコントロールのために、複数のセンサをインクジェット印刷機の特定の領域に取り付けることが公知である。この文献ではこれらのセンサは、インク用の小さい受容容器からなり、ここには、2つの小さい、電流が流れる導電体が取り付けられている。これらの導電体は空間的に相互に分けられている。センサの箇所で不所望なインクが流出すると、このインクは受容容器内に流れる。この際に、電流を通すインクが、空間的に分けられている2つの導体の間の電路を閉じ、これによって、センサ回路が、インクの不所望な存在を識別する。これによって、漏れが発生していることを推測することができる。
従って、複数のセンサを取り付けることは、従来技術から公知の確実な方法である。これはさらに、インク漏れが発生している箇所が大まかに画定される、という利点を有している。しかし複数のセンサによる漏れ検出における欠点は、インクジェット印刷機に複数のセンサを取り付ける手間と、これに伴うコスト、並びに、センサの結果のコントロールおよび監視である。さらに、例えば、上述したセンサの受容容器が清掃されずに、乾いたインクが2つの導体を覆って、新たに進入したインクがこれら2つの導体の間の電路を閉じることができなくなることによって、センサが故障してしまうことがある。
従って、センサによってサポートされたこの検出プロセスがもたらすこのような欠点を回避するために、複数の漏れセンサの取り付けおよび動作を省くことができる方法を用いることは極めて有利である。
ここで、そこへ到達する過程での重要なステップは、印刷機の大まかなインク消費量を計算することである。このために、独国特許出願公開第19754663号明細書(DE197 54 663 A1)から、インクジェット印刷機内のインク残量を計算する方法が公知である。ここでは、インク残量は、存在しているインク量が判明している状態で、消費されたインク量を合算していくことによって明らかになる。ここでは、印刷ノズルに対して周期的に行われる清掃過程が、消費された総インク量を予測するために使用される。清掃過程は特定のインク量が通過した後に自動的に行われ、さらに、印刷ノズルの数が既知であるので、清掃過程の記録時に、大まかな総消費量が予測される。
インクジェット印刷機におけるインク消費量を計算する別の方法は、中国特許出願公開第103593559号明細書(CN 10 359 35 59 A)から公知である。この文献は、印刷されるべき全ての頁上の印刷されるべき領域が判明している状態で、印刷基板上のインクの層厚を予測することによって、インク消費量を計算する方法を開示している。これによって、さらに実行されるべき印刷タスクに対するインク消費量を予測することができる。この方法の目的は、インクの予算を作成すること、並びに、目下の印刷タスクに対するコストを計算することである。独国特許出願公開第19754663号明細書(DE197 54 663 A1)からの、インク残量を計算する方法とは異なり、ここでは、実行されている動作中に消費量が測定若しくは計算されず、消費量は、印刷タスクの開始前に、実現されるべき印刷像に基づいて予測される。
従って、従来技術から公知のこれらの方法によって、インクジェット印刷機の消費量が計算若しくは予測されるが、漏れ検出のために複数のセンサを使用しなくてもよい、漏れコントロールは依然として実現されていない。
概要
インクジェット印刷機における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法を提供する。インク漏れを検出するための方法であって、ワークフローシステムによって、インク滴の量を合算することによって、前段階の印刷データから、理論上消費されるインク量を計算するステップと、理論上消費されるインク量を、ワークフローシステムによって、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェアに送信するステップと、実際に消費されたインク量を、インクタンクの充填レベルセンサを分析することによって求めるステップと、理論上消費されるインク量を、求められた、実際に消費されたインク量と比較するステップと、実際に消費されたインク量が、理論上消費されるインク量よりも多い場合に、漏れアラームを表示するステップと、を有している。
目的
ここで、そこへ到達する過程での重要なステップは、印刷機の大まかなインク消費量を計算することである
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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請求項1
インクジェット印刷機(16)における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法であって、前記インクジェット印刷機(16)は、印刷タスクをコントロールする計算機(1)上のワークフローシステム(2)と、充填レベルセンサを有するインクタンク(8)を備えた、前記印刷機(16)用のインク供給ユニット(6)と、前記インク供給ユニットを駆動制御するためのソフトウェア(7)を備えた制御計算機と、を有しており、印刷ヘッド(3)は、種々の大きさのインク滴を作成することができ、前記方法は、・前記ワークフローシステム(2)によって、インク滴の量を合算することによって、前段階の印刷データ(5)から、理論上消費されるインク量(13)を計算するステップと、・前記理論上消費されるインク量(13)を、前記ワークフローシステム(2)によって、前記インク供給ユニットを駆動制御するためのソフトウェア(7)に送信するステップと、・実際に消費されたインク量(14)を、前記インクタンク(8)の前記充填レベルセンサを分析することによって求めるステップと、・前記理論上消費されるインク量(13)を、求められた、前記実際に消費されたインク量(14)と比較するステップと、・前記実際に消費されたインク量(14)が、前記理論上消費されるインク量(13)よりも多い場合に、漏れアラームを表示するステップと、を有している方法。
請求項2
請求項3
目下の印刷プロセスの各印刷頁に対する、前記理論上消費されるインク量(13)を、前記ワークフローシステム(2)によって計算する、請求項1または2記載の方法。
請求項4
複数の印刷頁のインク滴の量を、定められた理論上の最低消費インク量(13)まで、前記ワークフローシステム(2)によって合算する、請求項3記載の方法。
請求項5
新しい測定周期の開始時に、同期信号を、前記インク供給ユニットを駆動制御するソフトウェア(7)に前記ワークフローシステム(2)によって送信し、前記定められた理論上のインク量(13)を消費した後に、前記新たな測定周期を終了させるために第2の同期信号を送信する、請求項4記載の方法。
請求項6
前記実際に消費されたインク量(14)の算出を、前記測定周期の間、前記インクタンク(8)の目下測定されている充填レベルと、前記新たな測定周期の開始時の、記憶されている、前記インクタンク(8)の充填レベルと、の差分形成によって行う、請求項5記載の方法。
請求項7
前記実際に消費されたインク量(14)が、前記理論上消費されるインク量(13)を、事前に定められたトレランス値(15)ぶん上回ったときにのみ、漏れアラームを表示する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
請求項8
識別された前記漏れに対する前記特別な措置は、前記インクジェット印刷機(16)における全てのインクポンプ(9)の停止を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
請求項9
インクジェット印刷機(16)におけるインク漏れを検出するための装置であって、前記インクジェット印刷機(16)は、印刷タスクをコントロールする計算機(1)上のワークフローシステム(2)と、充填レベルセンサを有するインクタンク(8)を備えた、前記印刷機(16)用のインク供給ユニット(6)と、前記インク供給ユニットを駆動制御するためのソフトウェア(7)を備えた制御計算機と、を有しており、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている装置において、前記ワークフローシステム(2)は、印刷前段階における画像データ(5)に基づいて、特定の時間の間、理論上消費されるインク量(13)を計算し、前記値(13)を、前記インク供給ユニット(6)の前記制御計算機に送信するように構成されており、前記インク供給ユニット(6)の前記制御計算機は、前記時間の間、実際に消費されたインク量(14)を、前記インクタンク(8)の前記充填レベルセンサを用いて検出し、前記インク供給ユニット(6)の前記制御計算機は、前記2つの値(13,14)を比較し、差が確認された場合に、漏れアラームをトリガするように構成されている、装置。
技術分野
0001
本発明は、インクジェット印刷機における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法および装置に関する。
0002
本発明は、インクジェット印刷の技術領域にある。
背景技術
0003
印刷産業では、多くの異なる印刷方法が使用されている。大量印刷用の最も広く用いられている印刷方法は、依然として、平版印刷方法の領域に属するオフセット印刷方法である。実行のために、印刷紙に印刷をする、基板に基づく枚葉オフセット印刷機並びに巻取紙状の印刷基板に印刷をするオフセット輪転機が存在する。
0004
近年、従来のオフセット印刷と並んで、印刷産業において、いわゆるデジタル印刷もますます重要になってきている。概念「デジタル印刷」はここでは、例えば印刷前段階または印刷を実行する機械だけが電子制御されて実行されるのではなく、その方法自体が電子制御されて実行されるということを全てが共通して有している種々の印刷方法に対する上位概念である。電子的に実行される平版印刷方法であるレーザー印刷の他に、ここでは、特に、インクジェット印刷とも称されるインク噴射式印刷方法が重要である。特に、インクジェット印刷によって、近頃は、従来のオフセット印刷の印刷結果に匹敵する印刷結果が得られる。インクジェット印刷およびレーザー印刷が個人的な用途およびオフィスにおいて何年か使用された後、これらは現在、印刷産業においても使用を増している。ここで、全てのデジタル印刷方法のように、インクジェット印刷は、従来のオフセット印刷と比べて、柔軟性および効率において大きな利点を有している。なぜなら、もはや、印刷版を作成しなくてよいからである。インクジェット印刷では印刷像は、インクを印刷基板上に供給する多数の小さい印刷ノズルを有する1つまたは複数の印刷ヘッドを介して作成される。すなわち、使用される印刷インクの供給、搬送並びに保管は、インクジェット印刷において、極めて重要なファクターである。ここで、インク保管から、搬送を介した、印刷ヘッドまでの一連の処理全体において、不所望なインク漏れが生じないことが保証されるように、特別な注意が向けられる。このような漏れは、漏れの箇所によっては、極めて好ましからぬ影響を有するだろう。これらの影響は、単なるインク消費量の増大から、メンテナンスコストの増大および印刷基板近傍における漏れの場合の刷り損じの発生を経て、印刷機の完全な故障までを生じさせ得る。
0006
ここで従来技術は、インクジェット印刷機での漏れコントロールのために、種々のアプローチに通じている。ここで、最も広く使用されているアプローチは、極めて多様な複数の漏れセンサを、印刷機における漏れに敏感な領域に取り付ける、ということである。ここで米国特許第6402277号明細書(US6,402,277B1)から、漏れコントロールのために、複数のセンサをインクジェット印刷機の特定の領域に取り付けることが公知である。この文献ではこれらのセンサは、インク用の小さい受容容器からなり、ここには、2つの小さい、電流が流れる導電体が取り付けられている。これらの導電体は空間的に相互に分けられている。センサの箇所で不所望なインクが流出すると、このインクは受容容器内に流れる。この際に、電流を通すインクが、空間的に分けられている2つの導体の間の電路を閉じ、これによって、センサ回路が、インクの不所望な存在を識別する。これによって、漏れが発生していることを推測することができる。
0007
従って、複数のセンサを取り付けることは、従来技術から公知の確実な方法である。これはさらに、インク漏れが発生している箇所が大まかに画定される、という利点を有している。しかし複数のセンサによる漏れ検出における欠点は、インクジェット印刷機に複数のセンサを取り付ける手間と、これに伴うコスト、並びに、センサの結果のコントロールおよび監視である。さらに、例えば、上述したセンサの受容容器が清掃されずに、乾いたインクが2つの導体を覆って、新たに進入したインクがこれら2つの導体の間の電路を閉じることができなくなることによって、センサが故障してしまうことがある。
0009
ここで、そこへ到達する過程での重要なステップは、印刷機の大まかなインク消費量を計算することである。このために、独国特許出願公開第19754663号明細書(DE197 54 663 A1)から、インクジェット印刷機内のインク残量を計算する方法が公知である。ここでは、インク残量は、存在しているインク量が判明している状態で、消費されたインク量を合算していくことによって明らかになる。ここでは、印刷ノズルに対して周期的に行われる清掃過程が、消費された総インク量を予測するために使用される。清掃過程は特定のインク量が通過した後に自動的に行われ、さらに、印刷ノズルの数が既知であるので、清掃過程の記録時に、大まかな総消費量が予測される。
0010
インクジェット印刷機におけるインク消費量を計算する別の方法は、中国特許出願公開第103593559号明細書(CN 10 359 35 59 A)から公知である。この文献は、印刷されるべき全ての頁上の印刷されるべき領域が判明している状態で、印刷基板上のインクの層厚を予測することによって、インク消費量を計算する方法を開示している。これによって、さらに実行されるべき印刷タスクに対するインク消費量を予測することができる。この方法の目的は、インクの予算を作成すること、並びに、目下の印刷タスクに対するコストを計算することである。独国特許出願公開第19754663号明細書(DE197 54 663 A1)からの、インク残量を計算する方法とは異なり、ここでは、実行されている動作中に消費量が測定若しくは計算されず、消費量は、印刷タスクの開始前に、実現されるべき印刷像に基づいて予測される。
0011
従って、従来技術から公知のこれらの方法によって、インクジェット印刷機の消費量が計算若しくは予測されるが、漏れ検出のために複数のセンサを使用しなくてもよい、漏れコントロールは依然として実現されていない。
発明が解決しようとする課題
0012
従って本発明の課題は、インクジェット印刷機のインク供給部におけるインク漏れを効率良く、および、低コストで、付加的なハードウェアを用いることなく識別することができる方法および装置を開示することである。
課題を解決するための手段
0013
上述の課題は、本発明に相応して、インクジェット印刷機における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法によって解決される。
0014
ここで扱われるのは、印刷タスクをコントロールする計算機上のワークフローシステムと、充填レベルセンサを有するインクタンクを備えた、印刷機用のインク供給ユニットと、インク供給ユニットを駆動制御するためのソフトウェアを備えた制御計算機とを有するインクジェット印刷機における印刷プロセス中にインク漏れを検出するための方法である。ここで印刷ヘッドは、種々の大きさのインク滴を作成することができる。この方法は、以下のステップを有している。
1.ワークフローシステムによってインク滴の量を合算することによって、前段階の印刷データから、理論上消費されるインク量を計算するステップ
2.理論上消費されるインク量を、ワークフローシステムによって、インク供給部(インク供給ユニット)を駆動制御するためのソフトウェアに送信するステップ
3.実際に消費されたインク量を、インクタンクの充填レベルセンサを分析することによって求めるステップ
4.理論上消費されるインク量を、求められた、実際に消費されたインク量と比較するステップ
5.実際に消費されたインク量が、理論上消費されるインク量よりも多い場合に、漏れアラームを表示するステップ
0015
ここで本発明の原理は、印刷タスクの処理中に、実際に測定されたインク消費量を、印刷タスクの開始前に計算された理論上のインク消費量と比較する、ということである。実際のインク消費量が、事前に計算された、理論上のインク消費量より格段に多い場合、インク供給部において漏れが存在することが推測されるはずである。ここで、理論上のインク消費量は、印刷前段階によって、より詳細には、印刷タスクの準備および実行を監視するワークフローがインストールされている計算機によって計算される。この計算のために、印刷データ、印刷紙の数、または、頁数並びに使用されるインクに関する情報が必要である。このようなデータによって、従来技術から公知のように、この印刷タスクに対する大まかなインク消費量が計算される。この理論上の消費値は、次に、ワークフローシステムを備えた計算機から、インクジェット印刷機、より詳細には、インク供給部の駆動制御を担当する制御計算機に送信される。この制御計算機は、インクタンクの充填レベル表示に基づいて、この印刷タスクに対する実際に消費されたインク量を特定し、理論的に求められたインク消費値と比較した際に、漏れアラームを求め、表示する。
0017
本発明の方法の有利な発展形態では、漏れアラームの発生時に、特別な措置が、識別された漏れに対して講じられる。システムによって漏れが識別されると、印刷機の二次損傷を阻止するために迅速に措置が講じられる。この措置は、インクのさらなる流出を阻止するために、例えば、インク供給部における全てのポンプの迅速な停止を含み得る。通常はこれに、目下行われている印刷タスクの停止が伴う。
0018
ここで、本発明の方法の別の有利な発展形態は、目下の印刷プロセスの各印刷頁に対する、理論上消費されるインク量が、ワークフローシステムによって計算されることである。個々の印刷頁若しくは印刷紙それぞれに対する理論上消費される最低量の計算と、この情報の、インク供給部の駆動制御部への送信とが必要であり、これによって、この駆動制御部が、印刷タスクの終了時にはじめて漏れを識別することができるのではなく、個々の印刷頁に対する印刷動作中に漏れを識別することができる。
0019
本発明の方法の別の有利な発展形態は、ここで、複数の印刷頁のインク滴の量を、定められた理論上の最低消費量まで、ワークフローシステムによって合算することである。上述した、実行されている、インク漏れ監視の枠内では、実際に消費されたインク値と理論的に計算されたインク消費値との規則的な比較が必要であり、従って、ここでは、インク充填レベルセンサが、ある程度の最低インク量だけを確実に識別することができる、ということが考慮されなければならない。従って、インク充填レベルセンサのこのような制限された分解能に基づいて、理論上得られるインク消費量と、実際に得られたインク消費量との確実な比較は、ある程度の最低インク量に対してのみ行うことができる。従ってこのような相応する最低インク量の比較を保証するために、印刷頁の印刷に必要なインク量が、複数の印刷頁に対して、インク供給部の充填レベルセンサが識別することができるこのような最低インク量に達するまで合算されなければならない。合算されたこの最低消費量は、次に、ワークフローシステムからインク供給部の駆動制御ソフトウェアに送信され、この駆動制御ソフトウェアは次に、合算された印刷頁若しくは印刷紙の印刷の後に、実際の消費量が、計算された消費量を超え、漏れが存在しているか否かを計算することができる。
0020
本発明の方法の別の有利な発展形態では、新たな測定周期を開始するために、同期信号がインク供給部を駆動制御するためのソフトウェアに、ワークフローシステムによって送信され、定められた理論上の最低量の消費後に、この新たな測定周期を終了させるために第2の同期信号が送信される。上述した方法を合理的に同期させるために、ワークフローシステムは、同期信号を、インク供給部の駆動制御ソフトウェアに送信する。最低消費インク量に達するために必要な印刷頁がインクジェット印刷機に送信され、印刷されると、ワークフローシステムは、この測定周期を終了させるために、第2の同期メッセージを、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェアに送信する。従って、この駆動制御ソフトウェアは、同期信号の開始時点の充填レベルと、測定周期の任意の各時点での充填レベルとに基づいて、実際の消費量を計算し、これを、ワークフローシステムによって供給された、理論的に計算された、印刷された印刷頁に対するインク消費量と比較する。この実際のインク消費量が、この測定周期内で、若しくは、この測定周期の終了時まで、理論的に計算されたインク消費量よりも多い場合に、漏れが推測される。
0021
本発明の方法の別の有利な発展形態では、実際に消費されたインク量の算出を、測定周期の間、インクタンクの目下測定されている充填レベルと、新たな測定周期の開始時の、記憶されている、インクタンクの充填レベルとの差分形成によって行う。
0022
本発明の方法の別の有利な発展形態では、実際に消費されたインク量が、理論上消費されるインク量を、事前に定められたトレランス値ぶん上回った場合にのみ、漏れアラームが表示される。理論上のインク消費量の計算にも、測定時間における、実際に消費されたインク量の測定にも、常に、ある程度の変動が存在し、従ってこれらの値は決して完全に一致し得ないので、トレランス閾値を採用するのは合理的であり、これによって、このトレランス値を超えたときにはじめて、漏れアラームが表示される。
0023
本発明の方法の別の有利な発展形態では、これは、インクジェット印刷機における全てのインクポンプを停止させる、識別された漏れに対する特別な措置を含む。
0024
これに加えて、本発明の課題のさらなる解決策は、インクジェット印刷機内のインク漏れを検出するための装置である。ここでこの装置は、印刷タスクをコントロールする計算機上のワークフローシステムと、充填レベルセンサを備えたインクタンクを有する印刷機用のインク供給ユニットと、インク供給ユニットを駆動制御するためのソフトウェアを備えた制御計算機とから成り、上述した請求項のいずれか1項に記載された方法を実行するように構成されている。この装置は、印刷前段階における画像データに基づいて、特定の時間の間、理論上消費されるインク量を計算し、この値を、インク供給ユニットの制御計算機に送信するようにワークフローシステムが構成されており、インク供給ユニットのこの制御計算機は、この時間の間、実際に消費されたインク量を検出し、インク供給ユニットのこの制御計算機は、これら2つの値を比較し、差が確認された場合に、漏れアラームをトリガするように構成されている、という特徴を有している。この装置によって、インクジェット印刷機におけるインク漏れを検出するための、提示された本発明の方法が実行される。
0025
本発明の方法並びにこの方法の機能的に有利な発展形態を以降で、属する図面を参照して、少なくとも1つの有利な実施例に基づいて詳細に説明する。図面では、相応する要素にそれぞれ、同じ参照番号が付けられている。
図面の簡単な説明
0026
インク漏れを検出するための装置の概略図
インク漏れを検出するための本発明の方法の概略的なフローチャート
実施例
0027
図1には、本発明の装置の有利な構成が示されている。これは、主軸において、画像形成のためのソフトウェア2が動作される計算機1から成る。これは、印刷タスクを処理するためのワークフローシステム2に相応する。画像形成のためのソフトウェア2を介して、メッセージが、インクジェット印刷機16に送信される。このメッセージは、ここで、一方では、元来の印刷データ5を含んでおり、この印刷データ5は、インクジェット印刷機16の印刷ヘッド3に送信される。このメッセージは他方で、計算された理論上のインク消費量13と、同期信号とを含んでおり、これらは、インク供給部6、若しくはより詳細には、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7に送信される。インク供給部6は、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7がその上で動作する、集積された形態でも存在し得る計算機から成る。インク供給部6はさらに、インクタンク8を含む。このインクタンク8は、充填レベルセンサを有する。この充填レベルセンサは、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7によって問い合わせされる。さらに、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7は、インク12を印刷ヘッド3に転送するポンプ9も、インクポンプの駆動制御部11の形態でコントロールする。
0028
本発明の方法の基本的な流れを図2に概略的に示す。
0029
インクジェット印刷機16による高質印刷時に、個々の画像点は、グレースケールで印刷され、これによって、微細な色段階が可能になる。このグレースケールは、その量が比較的詳細に判明している、種々の大きさのインク滴によって作成される。この量は、計算機1上の、画像形成のためのソフトウェア2によって計算される。このソフトウェア2は、画像点に対するデータを、印刷機16の印刷ヘッド3に送信し、これによって、各印刷像5で、理論上消費されるインク量13が、インク滴の量を合算することによって計算される。インク12は、インク供給ユニット6から印刷ヘッド3に圧送される。ここで、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7には、画像形成のためのソフトウェア2から、接続を介して、メッセージ4が送信される。
0030
実際に消費されたインク量14は、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7によって、是認できるコストでは、数ミリリットルの領域においてしか、十分正確に測定されないので、画像形成のためのソフトウェア2は、定められた理論上のインク量13、例えば、50mlが印刷されるまで、複数の印刷像5のインク滴の量を合算しなければならない。このインク量13は、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7に、メッセージ4において伝達される。
0031
測定を同期させるために、画像形成のためのソフトウェア2は、新たな測定周期が開始されたときに、メッセージ4を、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7に送信する。インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7は、この時点で、インクタンク8内の充填レベル10を記憶する。
0032
定められた理論上のインク量が印刷されたことを画像形成のためのソフトウェア2が計算した後に、新たなメッセージ4が、インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7に送信され、これによって、測定周期が終了する。
0033
インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7は規則的に若しくは定められたインターバル内で、測定周期の間のインクタンク8内の充填量10と、測定開始時点の、記憶されている充填レベル10とから、実際のインク消費量14を計算する。インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア7は、この消費値14を、事前に伝送された理論上のインク量13と比較する。実際の消費値14のほうが大きい場合には、インク供給部における漏れが推測される。
0034
しかし、実際に消費されたインク量14が、事前に計算された理論上のインク量13の値と完全に一致することは希なので、さらに、双方の値13、14が相違することが許されるトレランス値15を規定することが必要である。
0035
特に、これは当然ながら、実際に消費されたインク14に対する格段に大きい値に当てはまる。第2の同期メッセージの到着前または到着と同時に、実際の消費値14が、トレランス15を引いた、理論上の消費値13よりも大きい場合には、予期せぬ多くのインク12が消費されている。
0036
ここで、以下の関係が当てはまる。
Vreal−Vth>VTol
0037
従って、この予期されない高いインク消費14は、インクシステム6内の漏れを示している。このトレランス超過の結果として、漏れが表示され、インク12のさらなる流出を阻止するために、インク供給部6において、全てのポンプ9が停止される。
0038
同時に、当然ながら、逆のシナリオも、これに含まれている。例えば、理論上の消費値13が、トレランス15を引いた、実際の消費値14よりも大きい場合には、相応に、消費されたインク12は少なすぎる。
0039
Vth−Vreal>VTol
という関係になる。
0040
これは例えば、印刷ヘッド3の故障によって生じ得る。このような欠陥も、本発明のシステムを介して表示される。しかし、インク漏れのシナリオとは異なり、このシナリオの場合には、多くの理由が考えられるので、この測定結果に対する正確な欠陥特定は困難である。
0041
1計算機
2ワークフローシステム
3印刷ヘッド
4インク供給部へのメッセージ(同期理論上のインク消費)
5印刷データ
6インク供給ユニット、インク供給部
7 インク供給部を駆動制御するためのソフトウェア
8充填レベルセンサを備えたインクタンク
9インクポンプ
10充填レベル、充填量
11 インクポンプの駆動制御部
12 インク
13,Vth 理論上のインク消費量
14,Vreal 実際のインク消費量
15,VTolトレランス値
16 インクジェット印刷機
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