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技術 立体物の製造に用いられる粒子群、およびそれを用いた立体物の製造方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 杉山享羽生由紀夫佐藤尚武齋藤有弘高橋祐彦
出願日 2015年11月24日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2015-229178
公開日 2017年6月1日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2017-094605
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし)
主要キーワード 造形材 加熱手法 サポート体 構造体部分 材料層間 積層造形法 材料密度 積層造形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

積層造形法を用いて空隙が少ない立体物を製造することのできる造形材を提供する。

解決手段

積層造形法の造形材として用いられる粒子群であって、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下であることを特徴とする。

概要

背景

近年、造形目的物である立体物造形対象物)の断面データに基づいて、造形材を積層する積層造形法が注目されている。

特許文献1には、電子写真プロセスを用い、造形対象物の断面データに応じて造形用粒子(造形対象物を構成する粒子)とサポート用粒子を配置した層を、融着接合させながら順次積層する方法が開示されている。造形用粒子およびサポート用粒子は、それぞれ母材周り接合材が形成された構造を有しており、造形用粒子の接合材がサポート用粒子の接合材よりも厚く形成されている。その結果、サポート用粒子よりも造形用粒子を強固に融着することができ、造形終了後、サポート用粒子の除去が容易になる。

概要

積層造形法を用いて空隙が少ない立体物を製造することのできる造形材を提供する。 積層造形法の造形材として用いられる粒子群であって、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下であることを特徴とする。 なし

目的

上記課題を解決するためになされたものであって、積層不良を低減し、材料密度の高い立体物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

積層造形法造形材として用いられる粒子群であって、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下であることを特徴とする粒子群。

請求項2

前記Dv/Dnが1.3より大きく5.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子群。

請求項3

平均円形度が0.90以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子群。

請求項4

前記粒子群に含まれる粒子熱可塑性物質を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子群。

請求項5

前記熱可塑性物質が水溶性であることを特徴とする請求項4に記載の粒子群。

請求項6

造形材を配置して材料層を形成する工程と、前記材料層を溶融および積層させる工程と、を含む立体物の製造方法であって、前記造形材として、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準の平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下の粒子群を用いることを特徴とする立体物の製造方法。

請求項7

前記造形材として、前記Dv/Dnが1.3より大きく5.0以下の粒子群を用いることを特徴とする請求項6に記載の立体物の製造方法。

請求項8

平均円形度が0.90以上である粒子群を用いることを特徴とする請求項6または7に記載の立体物の製造方法。

請求項9

前記材料層を、電子写真方式を用いて形成することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の立体物の製造方法。

請求項10

前記材料層を溶融を熱エネルギーを与えることにより行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の立体物の製造方法。

請求項11

前記粒子群を構成する粒子が熱可塑性物質を含有することを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の立体物の製造方法。

請求項12

前記造形材として複数種類の粒子群を用い、前記複数種類の粒子群は、種類ごとに、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準の平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下であることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の立体物の製造方法。

請求項13

前記複数種類の粒子群には、立体物を構成する構造材の粒子群と、製造中に前記構造材をサポートするサポート材の粒子群と、が含まれることを特徴とする請求項12に記載の立体物の製造方法。

請求項14

前記サポート材の粒子群を構成する粒子が、水溶性の熱可塑性物質を含有することを特徴とする請求項13に記載の立体物の製造方法。

請求項15

前記材料層を溶融および積層させて形成された造形物から、前記サポート材で構成された部分を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項13または14に記載の立体物の製造方法。

請求項16

前記サポート材で構成された部分を除去する工程で、前記サポート材で構成された部分を、水を含む溶媒により溶解して前記造形物から除去することを特徴とする請求項15に記載の立体物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、立体物の製造に用いられる粒子群、およびそれを用いた立体物の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、造形目的物である立体物(造形対象物)の断面データに基づいて、造形材を積層する積層造形法が注目されている。

0003

特許文献1には、電子写真プロセスを用い、造形対象物の断面データに応じて造形用粒子(造形対象物を構成する粒子)とサポート用粒子を配置した層を、融着接合させながら順次積層する方法が開示されている。造形用粒子およびサポート用粒子は、それぞれ母材周り接合材が形成された構造を有しており、造形用粒子の接合材がサポート用粒子の接合材よりも厚く形成されている。その結果、サポート用粒子よりも造形用粒子を強固に融着することができ、造形終了後、サポート用粒子の除去が容易になる。

先行技術

0004

特開平10−86224号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1には、造形用粒子とサポート用粒子それぞれの構成、母材や接合材についての開示はあるが、各粒子を粒子群としてみた時の特性については何ら開示されていない。

課題を解決するための手段

0006

しかし、特許文献1のような造形材として粒子を用いる積層造形法において、粒子の粒径や粒子群の粒径分布は、造形工程中に発生する不良や得られる立体物の質に大きな影響を与える。具体的には、積層する層の中に穴や空隙が生じた場合に部分的に積層不良が発生したり、得られる立体物に空隙が含まれて密度が低下したりするという課題が生じる。

0007

上記課題を解決するためになされたものであって、積層不良を低減し、材料密度の高い立体物を提供することを目的とする。

0008

本発明の第一態様は、積層造形法の造形材として用いられる粒子群であって、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下であることを特徴とする。

0009

本発明の第二態様は、造形材を配置して材料層を形成する工程と、前記材料層を溶融および積層させる工程と、を含む立体物の製造方法であって、前記造形材として、平均円形度が0.80以上であり、かつ、体積基準の平均粒径をDv、個数基準の平均粒径をDnとして、Dv/Dnが1.3より大きく23以下の粒子群を用いることを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、積層不良を低減し、材料密度の高い立体物を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

粒子群の粒度分布に関わる課題を説明する図である。
粒子群1の粒径分布を表すグラフである。
粒子群2を用いて作製したシート光学顕微鏡画像である。
粒子群4を用いて作製したシートの光学顕微鏡画像である。
粒子群5を用いて作製したシートの光学顕微鏡画像である。
造形材として本発明にかかる粒子群を用いる造形装置の概略図である。

実施例

0012

以下、図面を参照して本発明について説明する。各図面において、同一あるいは対応する部材には、同一の符号を付している。また、特に図示や説明をしない事項については、周知技術または公知技術を適用することができる。

0013

まず、説明に用いる用語について説明しておく。造形目的物である立体物を造形対象物と呼び、造形対象物を構成する材料を構造材、構造材からなる粒子を構造材粒子と呼ぶ。造形対象物がオーバーハング可動部を含む構造を有する場合、構造材のない空間の上に構造材を設ける必要が生じる。そこで、このような空間となる部分には、製造中に構造材を支持するための材料が設けられる。この材料をサポート材、サポート材からなる粒子をサポート材粒子と呼ぶ。構造材とサポート材の区別をつけない場合は、これらをまとめて造形材と呼び、その粒子を造形材粒子と呼ぶ。

0014

造形対象物のスライスデータに基づいて構造材とサポート材が積層された物体を、造形物と呼ぶ。造形物には、構造材からなる構造体とサポート材からなるサポート体が含まれるが、サポート体は造形対象物にとっては不要となる部分である。従って、所定の造形が完了した造形物からサポート体を除去して得られる立体物(構造体)が、造形対象物である。なお、サポート体は、造形対象物の形状とその積層方向(造形方向)に応じて、必要であったり不要であったりするため、造形物にはサポート体が含まれない場合もあり得る。

0015

次に、本発明にかかる粒子群が適用される積層造形法について説明する。積層造形法は、次の工程を含んでいる。
(I)スライスデータに従って構造材粒子を配置し、材料層を形成する工程
(II)材料層を溶融し、積層する工程

0016

(I)と(II)の工程を造形対象物のスライスデータに応じた回数繰り返すことで、造形物を得ることができる。以下、各工程について説明する。

0017

(I)スライスデータに応じて構造材粒子を配置し、材料層を形成する工程
スライスデータは、造形対象物の構造を表す三次元データと積層方向に基づいて、サポート体を付加して得られる造形物の三次元データを、積層方向に一定間隔スライスして得られるデータである。あるいは、造形対象物の構造を表す三次元データを積層方向に一定間隔でスライスして得られるデータに、サポート体のデータを付加したものである。従って、スライスデータには、各層における構造材およびサポート材の少なくとも一方の配置が含まれている。本工程では、このスライスデータに従って構造材粒子とサポート材粒子が配置され、材料層が形成される。なお、サポート体が不要な形状の造形対象物のスライスデータには、サポート材粒子の配置は含まれない。

0018

スライスデータに従って構造材粒子やサポート材粒子を配置する方法としては、電子写真方式インクジェット方式など、公知の手法を適宜用いることができる。

0019

(II)材料層を溶融し、積層する工程
構造材粒子およびサポート材粒子の少なくとも一方を配置して形成された材料層は、加熱やバインダー液などの噴霧によって溶融され、積層される。材料層の積層は、基部の面または、基部の上の作製中の造形物の表面に対して行われる。基部の上の造形物の表面に積層する場合は、造形物の積層面の材料を溶融しておくのが好ましい。なお、「粒子層を溶融させる」という概念には、粒子層を溶融させることおよび粒子層に含まれる粒子同士が融着する概念が含まれる。

0020

種々の造形粒子群を用いて(I)(II)の工程を含む造形を行ったところ、材料層を溶融する際に以下の課題が発生することが分かった。

0021

図1は、造形材粒子群からなる材料層が加熱された時の様子を模式的に示す図である。図1(a)は、ほぼ一定の粒径を有する粒子群からなる材料層の場合、図1(b)は粒径が異なる粒子が適度に混じりあった粒子群からなる材料層の場合、図1(c)は比較的小さな径を有する粒子が多く混じる粒子群からなる材料層の場合である。

0022

図1(a)に示すように、一定の粒径を有する粒子11からなる材料層の場合、粒子間に粒径に対して大きな空隙12が存在する。構造材として広く利用される樹脂は、熱伝導率が0.3[W/mK]程度であるのに対し、空気の熱伝導率は、0.02[W/mK]程度である。従って、粒子間にある空隙12は、粒子を溶融する際の熱の伝搬阻害することになる。そのため、限られた時間内では、図1(a)の右端に示す図のように、材料層を均一な厚みに溶融させることができない場合が生じる。このような課題は、特に材料層を片面から加熱する場合に生じやすい。

0023

厚みが不均一な材料層を積層した場合、材料層間に空隙ができて結着力が低下し、積層時に剥がれなどの積層不良が発生したりする。このような積層によって得られる造形物は、造形精度が低く、強度も弱い。

0024

また、図1(c)に示すように、比較的大きな粒径を有する粒子11aに対して、比較的小さな粒径を有する粒子11bが多く混じる粒子群で形成される材料層の場合、粒子間の空隙12の体積が小さくなり、熱の伝搬に対する影響は小さくなる。しかし、小さな粒子が溶融した材料は、比較的大きな粒子11aが溶融した材料の表面張力によって引き込まれて凝集し、結果として均一な厚みに溶融させることができなくなる。

0025

そこで、粒径が異なる粒子が適切に分布している粒子群で材料層を形成すれば、均一な厚みに溶融された材料層を実現し得ると考えた。具体的には、図1(b)のように、比較的大きな粒子11aと小さな粒子11bとが適切に混合された粒子群を用いて材料層を形成すれば、熱の伝導を阻害する粒子間の空気層の体積を小さくすることができる。さらに、比較的小さな粒子が先に溶解して、系全体の表面エネルギーを低下させるべく広がり、比較的大きな粒子間の空隙を充填する効果も期待できる。これらの結果、材料層を均一な厚みに溶融させ、効果的に空隙を低減することができると考えられる。

0026

そこで、溶融後に均一な厚みの材料層を実現し、精度のよい積層造形を行うのに好適な粒径分布を有する粒子群について検討を行った。

0027

粒子群の粒径分布の検討は、まず、粒径分布が異なる複数種類の粒子群を作製し、それぞれの粒子群を用いて材料層を形成して溶融し、得られた層の空隙率を評価した。その後、それぞれの粒子群を用いて実際に造形を行い、造形物の外観を評価した。材料層の溶融には、熱エネルギーを与える方法を採用した。

0028

以下、検討内容について詳細に説明する。

0029

(粒子群の作製)
粒子群の作製にあたっては、粒径分布以外は、積層造形法に好ましい条件を満たすようにした。積層造形法に好適な粒子の特徴は、次のとおりである。

0030

材料層に熱エネルギーを与えて溶融する方法を採用する場合、粒子は少なくとも熱可塑性物質を含有することが好ましい。熱可塑性物質とは、常温では変化しにくいが、適当に加熱すると塑性を示して自由な変形が可能となり、また冷却すると再び固くなる特性を持つ物質のことを指す。なお、本発明において「Aを含有する粒子」と記載する場合は、粒子を構成する全ての材料のうちの一部がAである場合と、粒子を構成する全ての材料がAである場合のいずれの場合も含むものとする。なお、前者には、粒子の主成分(例えば90重量%以上)がAである場合も当然含まれる。

0031

熱可塑性物質としては、公知の物質を採用するとよい。例えば、ABSアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、PMMAポリメタクリル酸メチル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PA(ナイロンポリアミド)、PC(ポリカーボネイト)、POM(ポリアセタール)、PBTポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)、フッ素樹脂ウレタン樹脂エラストマーPVA(ポリビニルアルコール)が挙げられ、他にも、金属、無機物質が挙げられる。これら物質は単独もしくは混合して用いても良い。これらの材料で作製した粒子は、構造材粒子として好適に用いることができる。

0032

また、水溶性の造形材粒子を作製するのに好適な熱可塑性物質としては、ヒドロキシル基を有する化合物であり、より具体的には、水溶性の無機物質、水溶性食物繊維などの水溶性炭水化物糖質ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコールが挙げられる。水溶性食物繊維の具体例としては、ポリデキストロースイヌリンが挙げられ、糖質の具体例としては、スクロースラクトースマルトーストレハロースメレジトーススタキオースマルトテトラオースが挙げられる。また、ポリアルキレンオキシドの具体例としてはPEG(ポリエチレングリコール)が挙げられる。これらの材料で作製した粒子をサポート材粒子として使用した場合、水との接触により造形物からサポート体を容易に除去することができるため好ましい。

0033

粒子は、熱可塑性物質以外に目的とする三次元造形物の機能に合わせて、顔料などの機能性物質を含んでいても良い。また、粒子群の流動性向上のために、シリカナノ粒子などの微粉末を粒子の表面に付着させても良い。

0034

粒子群を構成する粒子の平均円形度は0.80以上が好ましく、0.90以上がより好ましい。これは、平均円形度が0.80以上であることで粒子が流動しやすくなり最密充填を形成しやすく、エネルギー伝播、物質の拡散が効率的に実施されるからである。

0035

粒子の円形度は、以下のように測定することができ、平均円形度は、任意の造形用粒子10個以上について測定して得られた円形度を平均して得ることができる。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)

0036

ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。

0037

円形度は粒子の凹凸度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。

0038

粒子の円形度は、電子顕微鏡などの観察画像画像処理、および、市販のフロー式粒子像測定装置(例えば、東亜医用電子社製FPIA−3000型)を用いて測定を行うことができる。

0039

粒子のガラス転移温度軟化温度溶融温度は、材料層を溶融する温度によって適宜選択することができるが、好ましくは40℃以上300℃以下である。

0040

40℃以上であることにより、得られる立体物が変形しにくくなり、300℃以下であることにより、造形装置に求められる耐熱性を低くすることができ、溶融プロセスにおける加熱手法選択肢も増える。

0041

粒子群の体積基準の平均粒径は5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以上80μm以下である。体積基準の平均粒径が5μm以上であることにより、粒子を複数層積み重ねて材料層を形成しなくても一回の積層膜厚を厚くすることができ、材料層の膜厚の制御が容易となる。さらに、粒子群の中で、相対的に粒径が小さな粒子の取る粒径範囲が広くなる傾向にあるため、空隙を埋める効果を得やすくなる傾向にある。また、粒径が100μm以下であることにより、良好な積層精度を実現しやすくなる。

0042

粒子の作製方法には、公知の方法を用いることができる。具体例としては、機械粉砕法、溶融状態媒体中に分散させ冷却することで粒子を得る溶融分散冷却法、媒体中で重合粒子を作製する懸濁重合法などの化学重合法が挙げられる。中でも粒子の形状、粒度分布を比較的自由に制御できる点で、媒体を用いた粒子作製方法が好ましい。

0043

上記条件の範囲内で複数種類の粒子群を作製し、その粒径分布と造形との関係について検証した。粒子群の粒径分布は、下記の(1)式で表されるパラメータを用いて評価した。
Dv/Dn ・・・(1)

0044

ここで、Dvは粒子群の体積基準の平均粒径、Dnは粒子群の個数基準の平均粒径である。

0045

粒子群の体積基準の平均粒径Dv、および、個数基準の平均粒径Dnは、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置、例えば、LA−950(HORIBA社製)を用いて測定することができる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属専用ソフトを用いる。

0046

より具体的には、まず、測定溶媒が入ったバッチ式セルをレーザー回折散乱式粒度分布測定装置にセットし、光軸の調整とバックグラウンドの調整とを行なう。ここで、測定に使用する溶媒には、粒子が溶解しないものを選択する必要がある。また、測定する粒子の分散向上のために必要に応じて適宜分散剤を溶媒中に添加してもよい。

0047

測定対象の粒子群を、タングステンランプ透過率が95%〜90%になるまでバッチ式セルに添加し、粒度分布の測定を行う。得られた測定結果から、公知の手順に従ってDv、Dnそれぞれを算出することができる。

0048

粒径分布の調整は、粒子群の作製条件を制御して行ってもよいし、作製した粒子群を分級する方法で行ってもよいし、これらを組み合わせて行ってもよい。分級は、を用いる方法やエルボージェットなどの風力を用いる方法など、公知の方法から適宜選択することができる。作製した粒子群に対して、分級を複数回行ってもよい。また、分級によって得られた粒子に平均粒径が異なる粒子群を混合して、粒子群の粒径分布を調整してもよい。

0049

作製したのは、次の粒子群1〜5である。

0050

<粒子群1の調整>
ポリプロピレンPP(ノーブレンW−531 住友化学工業社製)を二軸押出し混練機で任意のバレル温度にて溶融混練した。

0051

冷却後ハンマーミルを用いて凍結粉砕、分級することで粒子群を得た。得られた粒子群100gに対してシリコーンオイル処理を施した一次粒径7nmのシリカ微粒子1gをコーヒーミルを用いて外添することで粒子群1を得た。図2に、粒子群1の粒径分布を示しておく。

0052

<粒子群2の調整>
ポリプロピレン(ノーブレンW−531 住友化学工業社製)とポリエチレングリコール(PEG#20000 三洋化成株式会社)を1:6の比率で混合し、温度200℃で溶融混練した。その後、冷却し、水でPEGを洗浄および乾燥することで粒子群4を得た。

0053

<粒子群3の調整>
ポリデキストロースPD(スターライト3 Tate&Lyle社製)をハンマーミルにて粉砕した後に、分級することで粒子群3を得た。

0054

<粒子群4の調整>
分級条件を変更する以外は粒子群1と同様にして、粒子群4を得た。

0055

<粒子群5の調製>
ポリデキストロースPD(スターライト3 Tate&Lyle社製)をハンマーミルにて粉砕することで粒子群6を得た。

0056

以上、得られた粒子群1〜5それぞれの物性を、まとめて表1に記す。なお、表1中で、「PP」はポリプロピレンを示し、「PD」はポリキストロースを示す。

0057

(材料層の作製と評価)
作製した粒子群1〜5を用いて材料層を形成し、加熱して一旦溶融させた後、冷却して固化することによって得られる、シート層の空隙率について評価を行った。

0058

まず、作製した粒子群ごとに、LBPプリンターカートリッジに充填し、2.0cm×2.0cmのサイズの材料層がフィルムシート上に70μm程度の厚みとなるように印刷した。次いで、印刷面上にフィルムシートを重ね、プリンターのローラー定着ユニット定着温度スピードが調整できるように改良を施した定着器にて温度170度、スピード30mm/secにて溶融し、シート化した。

0059

フィルムシートを剥離し得られた各シートについて空隙の存在比率を算出した。空隙の存在比率の算出手順は次のとおりである。

0060

光学顕微鏡を用いて、100倍の倍率でシートの縦2.4mm×横3.2mmの視野の表面観察を行い、画像を保存した。得られた画像に対して、暗部(空隙箇所)を黒、明部(空隙以外の領域)を白の2値で表す画像処理を行った。画像解析ソフトを使用して、各画像における黒色部分の面積と、各画像の全体面積(白色と黒色部分の面積の和)における割合を取り、空隙の存在比率[%]とした。得られた空隙の存在比率を表1に示す。

0061

0062

表から分かるように粒子群1〜3を用いて作製したシートには空隙が少なく、ほぼ透明な外観であった。中でも粒子群1または2で作製したシートは好ましく、粒子群2で作製したシートは空隙が目立たず特に好ましかった。一方、粒子群4、5を用いて作製したシートには、空隙による白濁が観察された。

0063

粒子群1、4、5のそれぞれを用いて作製したシートの光学顕微鏡画像を、図3、4、5に示す。図3〜5からわかるように、粒子群1を用いて作製したシートは、空隙箇所20の発生頻度が低く、かつ、空隙が占める面積が小さく、粒子群4または5を用いて作製したシートは空隙箇所20の発生頻度が高いか空隙が占める面積が大きいことが分かる。

0064

(積層造形による評価)
粒子群1〜5それぞれを用いて、材料層を形成し、170℃で加熱したのち冷却することにより、材料層を順次積層させる工程を20回ずつ繰り返して造形物を作製し、その外観を評価した。

0065

粒子群1〜3で作製した造形物はいずれも空隙は目立たなかったが、特に粒子群2を用いて作製した造形物は透明度が高く外観に優れていた。粒子群4、5を用いた造形においては、作製したシートの積層時に、数枚積層した段階で空隙によりシートの一部が積層されない積層不良個所が発生した。また、積層できた箇所の造形物も、部分的に白濁して外観に劣っていた。

0066

表1および積層造形による評価から、平均円形度が0.80以上であって、粒径分布Dv/Dnが1.3より大きく23以下の粒子群が積層造形法の造形材として好ましく、Dv/Dnが1.3より大きく5.0以下の粒子群がより好ましいことが分かった。

0067

前述したように、積層造形を行う際には、造形対象物である立体物を構成するための構造粒子や、造形対象物の形状によってはサポート材粒子など、複数種類の粒子を用いて造形する場合がある。ここで記載する「複数種類の粒子」とは、化学構造が異なる材料からなる粒子を複数含むことを示す。

0068

このような複数種類の粒子を用いる造形では、複数種類の粒子全てを溶融可能な温度領域は狭いため、溶融の際の温度が複数種類の粒子全てを溶融可能な温度領域をはずれてしまい、充分に熱が伝わらなくなる場合がある。そして、粒子間の空隙の影響が材料層の溶融に影響を与えやすい傾向がある。従って、本発明は、複数種類の粒子を用いて造形に対して、特に有効である。

0069

複数種類の粒子を含む材料層を形成する際には、粒子の配置自由度が高いという点で、静電力を利用した電子写真方式が特に好適である。静電力を利用した電子写真方式による粒子層の形成方法の例としては、種類ごとに粒子を帯電ドラム上で配置し、各種類の粒子を、ベルトなどの基材上へと転写することにより、複数種類の粒子からなる材料層を形成する方法が挙げられる。粒子の転写は複数回、実施してもよく、複数回実施することで粒子が最密構造を取りやすくなり、本発明の効果を得やすくなる。

0070

造形に用いる複数種類の粒子は、種類ごとの粒子群の平均円形度が0.80以上、かつ、粒径分布Dv/Dnが1.3より大きく、かつ23以下の条件を満たしているとよい。

0071

粒子群が造形材粒子で構成されていれば、単一種類の粒子で構成されていても良く、複数種類の粒子で構成されていても良いが、同じ種類の粒子が、前述の粒径分布条件を満たしていることが好ましい。これは、同じ種類の粒子が、前述の粒径分布条件を満たしている場合、溶融時の表面エネルギー差が小さいため、より均質な造形物を形成することが可能であるからである。

0072

材料層を作製中の造形物の上に積層する際は、作製中の造形物の積層面を溶融させた上に、形成した材料層を積層するのが好ましい。ただし、材料層もしくは溶融させた材料層に他の材料層を直接形成しても良い。また、材料層の溶融は、積層の前、積層と同時、積層後のいずれで行っても良いし、それらのうちの複数のタイミングで行っても良い。

0073

(粒子群の適用例)
以下、積層造形に用いる造形装置の具体例と共に、構造材、サポート材として、本発明にかかる粒子群を用いた立体物の製造方法の一例を説明する。材料層の形成には、電子写真方式を用いる造形装置を例にとっているが、インクジェットを利用する方法(国際公開第2014/092205号参照)など、公知手法を用いることが可能である。

0074

図6が、積層造形に用いる造形装置500の構成例である。造形装置500は、材料層形成部501と、造形部502と、材料層形成部と造形部とを結ぶ搬送体24と、を備えている。

0075

材料層形成部501は、造形粒子の種類数に応じて、材料供給部21、感光体22、光源(不図示)と、を備えており、搬送体24の上に材料層を形成する。図5では、構造材、サポート材をそれぞれ1種類ずつ用いる場合の構成を示しているが、用いる造形材の種類の数に応じて、材料層形成部501に設ける材料供給部21、感光体22、光源のセットを増やせばよい。

0076

光源から射出されるレーザー光23aが感光体22aを、レーザー光23bが感光体22bを、各々走査して、感光体22aおよび22bに潜像が形成される。具体的には、スライスデータの構造体部分の潜像が感光体22aに、スライスデータのサポート体部分の潜像が感光体22bに形成される。

0077

材料供給部21aには、構造材粒子を含む粒子群が収納されており、材料供給部21bには、サポート材粒子を含む粒子群が収納されている。構造材の粒子群およびサポート材の粒子群は、それぞれ平均円形度が0.80以上であって、粒径分布Dv/Dnが1.3より大きく、23以下を満たすものを用いる。

0078

材料供給部21aから構造材粒子が感光体22aへ補給され、感光体22a上に構造材粒子からなる層が形成される。また、材料供給部21bからはサポート材粒子が感光体22bへ補給され、感光体22bにサポート材粒子からなる層が形成される。感光体22a、22bの各々に形成された層は、搬送体24に順に静電転写され、1層分のスライスデータに応じた、構造材粒子およびサポート材粒子からなる材料層が形成される。なお、材料層を搬送体24へ転写する順番はこれに限定されるものではなく、構造材粒子およびサポート材粒子のうち一方の粒子からなる層を転写した後、他方の粒子からなる層を転写して形成するとよい。

0079

搬送体24上に形成された材料層は、加熱溶融され、基部25上の作製中の造形物の上に転写され積層される。積層の際には、対向部材26とステージ25とで造形途中の造形物と加熱された材料層とを挟んで加圧することができる。材料層は、ヒーターを内蔵する対向部材26によって加熱されても良いし、対向部材26とは別の加熱手段で加熱されても良い。これにより、構造材粒子からなる部分の構造体27aと、サポート材粒子からなる部分のサポート体27bとからなる造形物が形成される。

0080

電子写真方式に好適な造形装置は、図5の構成に限定されるものではない。材料供給部21と感光体22の機能をカートリッジにまとめ、造形装置をカートリッジ交換可能な構造にすると、材料の補給や交換が容易になるため好ましい。カートリッジは、感光体と、感光体を帯電させるための帯電手段と、レーザー光を感光体に照射するための開口部と、材料供給部に相当する、材料収容部および材料供給手段と、を備えているとよい。材料収容部には、本発明にかかる平均円形度が0.80以上であって、粒径分布Dv/Dnが1.3より大きく、23以下を満たす粒子群を造形材として収容しておく。

0081

スライスデータに応じた枚数の材料層を積層して、造形物が完成する。その後、造形物からサポート体を除去することで、造形対象物である立体物を得ることができる。サポート材粒子として、水溶性の熱可塑性物質からなる粒子を用いた場合、水を含む溶媒に造形物を浸漬すれば、サポート体が水に溶解して容易に造形物から除去することができる。

0082

以上説明した通り、本発明にかかる粒子群を造形材として用いて造形を行えば、材料層を均一な厚さに溶融することができ、積層時に生じる空隙を低減することができる。その結果、空隙が少なくて強度が高く、外観に優れた立体物を得ることができる。

0083

11a、11b粒子
12、20 空隙
21a、21b材料供給部
22a、22b感光体
23a、23b露光光源
24搬送体
25 基部
26対向部材
27a構造体
27bサポート体
500造形装置
501材料層形成部
502造形部

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