図面 (/)

技術 ロボットのダイレクト教示方法

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 渡邊雅之西村正幸
出願日 2015年11月24日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-228685
公開日 2017年6月1日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-094440
状態 特許登録済
技術分野 マニプレータ 数値制御
主要キーワード ライン生産方式 標準点 移動制限情報 指令角度 アーム移 静摩擦力 外力検出 位相制御動作
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

複数のロボットアームを備えたロボットにおいて、複数のロボットアームを連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業簡易とすることを目的とする。

解決手段

複数のロボットアームのうち1本をマスタアームに指定し、余のロボットアームのうち少なくとも1本をスレイブアームに指定し、教示者がツールを含むマスタアームの任意の箇所に直接的に力を加えることによってマスタアームを任意の教示位置へ動かしている間に、マスタアームのリスト部とスレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、スレイブアームをマスタアームに対し協調動作させ、マスタアームが任意の教示位置に到達したときのマスタアーム及びスレイブアームの少なくとも一方の位置情報を記憶する。

概要

背景

従来、産業用ロボット動作プログラムロボットへの教示によって作成され、ロボットはティーチングプレイバック機能を有する。上記のような産業用ロボットの教示方式の一つとして、ダイレクト教示方式が知られている。ダイレクト教示方式では、教示者がロボットのアームを教示したい位置まで手動で動かし、ロボット自身が位置センサ位置情報(即ち、教示位置)を記憶することによって教示が行われる。特許文献1では、この種のロボットの教示に関する技術が示されている。

特許文献1に係るダイレクト教示方式ロボットは、リスト部に加わる力を検出する力覚センサが該リスト部に設けられ、この検出信号を入力とするコンプライアンス制御によって動作し、教示者がツールに力を加えることによってロボットを移動させ、教示者の意図する位置に手操作でツールを位置づけて位置情報をロボットに入力するものである。このロボットでは、ツールの先端の移動に際し、ロボットの動作を拘束されない自由な動きと、特定の直線上、或いは面上に拘束される動きを選択できる。

ところで、複数のロボットが協調しながら作業するマルチロボットシステム構築されることがある。複数のロボットの協調作業には、複数のロボットの互いに衝突を回避しながらの動作、複数のロボットで一つの対象物ハンドリングする動作、などがある。

概要

複数のロボットアームを備えたロボットにおいて、複数のロボットアームを連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業簡易とすることを目的とする。複数のロボットアームのうち1本をマスタアームに指定し、余のロボットアームのうち少なくとも1本をスレイブアームに指定し、教示者がツールを含むマスタアームの任意の箇所に直接的に力を加えることによってマスタアームを任意の教示位置へ動かしている間に、マスタアームのリスト部とスレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、スレイブアームをマスタアームに対し協調動作させ、マスタアームが任意の教示位置に到達したときのマスタアーム及びスレイブアームの少なくとも一方の位置情報を記憶する。

目的

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、複数のロボットアームを備えたロボットにおいて、複数のロボットアームを連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業を簡易とする技術を提案することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数のロボットアームを備えたロボットのダイレクト教示方法であって、前記複数のロボットアームのうち1本をマスタアームに指定し、余のロボットアームのうち少なくとも1本をスレイブアームに指定し、教示者がツールを含む前記マスタアームの任意の箇所に直接的に力を加えることによって前記マスタアームを任意の教示位置へ動かしている間に、前記マスタアームのリスト部と前記スレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、前記スレイブアームを前記マスタアームに対し協調動作させ、前記マスタアームが前記任意の教示位置に到達したときの前記マスタアーム及び前記スレイブアームの位置情報を記憶する、ロボットのダイレクト教示方法。

請求項2

前記マスタアーム及び前記スレイブアームが動く前の前記マスタアームのリスト部と前記スレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢を前記所定の関係として記憶する、請求項1に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項3

前記マスタアームに標準点を規定し、前記標準点の移動が前記所定の移動経路に制限される制限モードと、前記標準点の移動が前記所定の移動経路に限定されないフリーモードとを選択可能である、請求項1又は2に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項4

前記標準点の移動を前記所定の移動経路上に制限し、前記教示者が前記マスタアームを動かしている間に、前記マスタアームの制御軸軸角度を検出し、前記軸角度に基づいて前記標準点の現在位置を求め、前記現在位置を前記所定の移動経路に投影した位置を目標位置とするマスタアーム位置指令値を生成し、前記マスタアーム位置指令値と前記所定の関係とに基づいてスレイブアーム位置指令値を生成し、前記スレイブアーム位置指令値に基づいて前記スレイブアームの制御軸を駆動するとともに前記マスタアーム位置指令値に基づいて前記マスタアームの前記制御軸を駆動することを、前記マスタアームの前記制御軸の各々について前記マスタアーム位置指令値と対応する軸角度と検出された軸角度との偏差がゼロになるまで繰り返し、前記偏差がゼロになったあとで前記マスタアーム及び前記スレイブアームの位置情報を記憶する、請求項3に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項5

前記マスタアームの前記制御軸の位置ゲイン及び速度ゲインが任意に設定可能である、請求項4に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項6

前記マスタアームの前記制御軸のうち少なくとも一つに対して重力補償演算を行い、その演算結果を当該制御軸のトルク指令値加算する、請求項4又は5に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項7

前記マスタアームを動かす前に、前記マスタアームの前記制御軸の軸角度に基づいて前記マスタアームに取り付けられた前記ツールの初期姿勢を求め、前記教示者が前記マスタアーム又はそれに取り付けられた前記ツールを動かしている間に前記ツールの前記初期姿勢が維持されるように前記マスタアーム位置指令値を生成する、請求項4〜6のいずれか一項に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項8

前記標準点の前記所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸方向のいずれか、又は、ツール座標系のxyz直交3軸方向のいずれかと平行な直線上である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項9

前記標準点の前記所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸のうち2つの組み合わせ、又は、ツール座標系のxyz直交3軸のうち2つの組み合わせにより規定される平面と平行な平面上である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項10

前記標準点の前記所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸のいずれか、又は、ツール座標系のxyz直交3軸のいずれかを回転の中心とする回転軌跡上である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のロボットのダイレクト教示方法。

請求項11

前記現在位置から前記マスタアーム位置指令値を生成することが、前記所定の移動経路上の移動ベクトルを求め、前記移動ベクトルが新たな座標系のxyz直交3軸のいずれかと平行となるように、基本座標系を前記新たな座標系に変換する座標変換行列を求め、前記基本座標系の前記標準点の前記現在位置を前記新たな座標系に座標変換し、前記新たな座標系の前記現在位置を前記所定の移動経路に投影した位置を前記新たな座標系の目標位置とし、その目標位置を前記基本座標系に座標変換して前記目標位置を求めることを含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載のロボットのダイレクト教示方法。

技術分野

0001

本発明は、複数のロボットアームを備えたロボットのダイレクト教示方法に関する。

背景技術

0002

従来、産業用ロボット動作プログラムはロボットへの教示によって作成され、ロボットはティーチングプレイバック機能を有する。上記のような産業用ロボットの教示方式の一つとして、ダイレクト教示方式が知られている。ダイレクト教示方式では、教示者がロボットのアームを教示したい位置まで手動で動かし、ロボット自身が位置センサ位置情報(即ち、教示位置)を記憶することによって教示が行われる。特許文献1では、この種のロボットの教示に関する技術が示されている。

0003

特許文献1に係るダイレクト教示方式ロボットは、リスト部に加わる力を検出する力覚センサが該リスト部に設けられ、この検出信号を入力とするコンプライアンス制御によって動作し、教示者がツールに力を加えることによってロボットを移動させ、教示者の意図する位置に手操作でツールを位置づけて位置情報をロボットに入力するものである。このロボットでは、ツールの先端の移動に際し、ロボットの動作を拘束されない自由な動きと、特定の直線上、或いは面上に拘束される動きを選択できる。

0004

ところで、複数のロボットが協調しながら作業するマルチロボットシステム構築されることがある。複数のロボットの協調作業には、複数のロボットの互いに衝突を回避しながらの動作、複数のロボットで一つの対象物ハンドリングする動作、などがある。

先行技術

0005

特開平9−141580号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1の技術では、リスト部やツールに加わる外力を検出又は推定して、その外力に応じてツールを移動させるようにロボットが動作する。そのために、ロボットは力覚センサを備えており、制御が複雑となる。また、ロボットが検出された外力に基づいて動作するので、教示者がロボットアーム又はツールを直接的に力を与えて動かすにあたり、ロボットアーム又はツールの位置の微調整が難しい。

0007

通常、ロボットのダイレクト教示作業では、ロボットアームを1本ずつ教示することが想定されているが、複数のロボットアームをダイレクト教示するとなると、1本のロボットアームでさえ前述の通り位置の微調整が難しいのであるから、複数のロボットアームの相対的な位置や姿勢を厳密に調整する作業は専門性が高く、非常に煩雑な作業となりうる。

0008

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、複数のロボットアームを備えたロボットにおいて、複数のロボットアームを連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業を簡易とする技術を提案することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一態様に係るロボットのダイレクト教示方法は、複数のロボットアームを備えたロボットのダイレクト教示方法であって、
前記複数のロボットアームのうち1本をマスタアームに指定し、余のロボットアームの内少なくとも1本をスレイブアームに指定し、
教示者がツールを含む前記マスタアームの任意の箇所に直接的に力を加えることによって前記マスタアームを任意の教示位置へ動かしている間に、前記マスタアームのリスト部と前記スレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、前記スレイブアームを前記マスタアームに対し協調動作させ、
前記マスタアームが前記任意の教示位置に到達したときの前記マスタアーム及び前記スレイブアームの位置情報を記憶することを特徴としている。

0010

上記ロボットのダイレクト教示方法によれば、教示者によって直接的に動かされているマスタアームの動きに追従して、マスタアームのリスト部とスレイブアームのリスト部との相対的位置及び姿勢が所定の関係を維持するようにスレイブアームが自動的に協調動作する。これにより、複数のロボットアームの教示作業において、複数のロボットアームの相対的な位置及び姿勢を調整するための煩雑で専門性の高い作業を省略することができ、教示作業が単純となる。また、教示者はロボットアームの位置及び姿勢の関係を視覚的に捉えることができるので、教示者は複数のロボットアームの状況を容易に確認することができる。

発明の効果

0011

本発明によれば、複数のロボットアームを備えたロボットにおいて、複数のロボットアームを連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業を簡易とすることができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、本発明の一実施形態に係る多関節ロボットの全体的な構成を示す概略正面図である。
図2は、ロボットの模式的平面図である。
図3は、ロボットの制御系統概略構成を示す図である。
図4は、ロボットの制御系統の概略構成を示す図である。
図5は、サーボ制御部を中心とした具体的な電気的構成を示す図である。
図6は、ロボットアームの標準点の移動を説明する概念図である。
図7は、座標変換行列Qによる座標変換を説明する図である。
図8は、ダイレクト教示動作時の制御装置の処理の流れを示す図である。

実施例

0013

次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態に係る多関節ロボット(以下、単に「ロボット1」ということがある)は、例えば、ライン生産方式又はセル生産方式で、電気電子部品等を組み立てて製品生産する生産工場で利用され、この生産工場に設けられた作業台に沿って配置され、作業台上のワークに対して、移送パーツの組み付けや配置換え姿勢変換などの作業のうち少なくとも1つを行うことができる。但し、本発明に係るロボットの実施態様は上記に限定されず、水平多関節型・垂直多関節型を問わず多関節ロボットに広く適用することができる。

0014

まず、ロボット1の概略構成から説明する。図1は本発明の一実施形態に係るロボット1の全体的な構成を示す正面図であり、図2はその模式的平面図である。図1及び2に示すように、ロボット1は、台車17と、台車17に支持された一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」という)10A,10Bと、各アーム10A,10Bの先端に装着されたツール5(エンドエフェクタ)と、アーム10A,10B及びツール5の動作を制御する制御装置6とを備えている。

0015

実施形態に係るロボット1は、左右のアーム10A,10Bを備えた双腕ロボットである。左右のアーム10A,10Bは、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。左右のアーム10A,10Bは実質的に同じ構造であり、左右のアーム10A,10Bを区別しないときは「アーム10」と添え字アルファベットを省いて示す。

0016

各アーム10は水平多関節型ロボットアームであって、第1リンク11と、第2リンク12と、ツール5が取り付けられるメカニカルインターフェースを有するリスト部13とを備え、これらが直列的に連結されている。

0017

第1リンク11は、台車17の上面に固定された基軸16と回転関節により連結されている。第1リンク11は、基軸16の軸心を通る垂直な回転軸線L1まわりに回動可能である。また、第2リンク12は、第1リンク11の先端と回転関節により連結されている。第2リンク12は、第1リンク11の先端に規定された垂直な回転軸線L2まわりに回動可能である。

0018

リスト部13は、第2リンク12の先端と直進関節及び回転関節を介して連結されている。リスト部13は、直進関節によって、第2リンク12に対し昇降移動可能である。また、リスト部13は、回転関節によって、第2リンク12に対し垂直な回転軸線まわりに回動可能である。

0019

上記構成のアーム10は、各関節に対応して設けられた4つの制御軸J1〜J4を有する。そして、アーム10には、各制御軸J1〜J4に対応付けられるように、駆動用サーボモータM1〜M4、及び、サーボモータM1〜M4の回転角を検出するエンコーダE1〜E4(図4、参照)が設けられている。なお、各制御軸J1〜J4を特に区別しないときは「制御軸J」と添え字の数字を省いて示し、各サーボモータM1〜M4を特に区別しないときは「サーボモータM」と添え字の数字を省いて示し、各エンコーダE1〜E4を特に区別しないときは「エンコーダE」と添え字の数字を省いて示すこととする。

0020

上記構成の2本のアーム10A,10Bの第1リンク11の回転軸線L1は同一直線上にあり、一方のアーム10Aの第1リンク11と他方のアーム10Bの第1リンク11は上下に高低差を設けて配置されている。ロボット1の基本座標系原点は第1リンク11の回転軸線L1上に規定されている。これにより、2本のアーム10A,10Bを連係させて動作させるにあたり、その制御・演算が単純となる。

0021

続いて、制御装置6について説明する。制御装置6は、ロボット1の通常動作及び教示動作を制御する。図3及び図4は、ロボット1の制御系統の概略構成を示す図である。左右のアーム10A,10Bの制御系統の構成は実質的に同一であるので、図4ではそのうち一つのアーム10の制御系統の構成についてより詳細に示されている。

0022

図3及び図4に示すように、制御装置6は、ホスト制御部22と、各アーム10A,10Bに対応したサーボ制御部23A,23Bと、各アーム10A,10Bに対応した駆動部24A,24Bとを備えている。なお、本実施形態では、1つのホスト制御部22で2本のアーム10A,10Bの動作を制御するようにしているが、各アーム10A,10Bにつきホスト制御部が設けられてもよい。2つのサーボ制御部23A,23Bは実質的に同一の構成を有しており、各サーボ制御部23A,23Bを特に区別しないときは「サーボ制御部23」と添え字の数字を省いて示すこととする。また、2つの駆動部24A,24Bは実質的に同一の構成を有しており、各駆動部24A,24Bを特に区別しないときは「駆動部24」と添え字の数字を省いて示すこととする。

0023

駆動部24は、アーム10の制御軸J1〜J4の各々に対応して設けられている。但し、図4では1本のアーム10に対して設けられた4つの駆動部24のうち一つが詳細に示され、他は省略されている。各駆動部24にはサーボ制御部23が接続され、サーボ制御部23にはホスト制御部22が接続され、これらにより制御装置6が構成されている。

0024

ホスト制御部22へ操作指令を入力する入力装置62として、グラフィカルインターフェースを有するタブレット型コンピュータが用いられる。入力装置62と制御装置6とは無線通信可能であり、教示者(操作者)が入力装置62に入力した指令は制御装置6に入力される。この入力装置62は、ロボット1を教示する際の制御装置6への入力手段であるティーチペンダントとしての機能も併せ備えている。

0025

制御装置6は、いわゆるコンピュータであって、CPU等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部を有している(いずれも図示せず)。記憶部には、演算処理部が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。演算処理部は、例えば入力装置62などの外部装置とデータの送受信を行う。また、演算処理部は、各種センサからの検出信号の入力や各制御対象への制御信号の出力を行う。制御装置6では、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを演算処理部が読み出して実行することにより、ロボット1の各種動作を制御するための処理が行われる。特に、制御装置6のホスト制御部22は、ロボット1を教示する際にロボット1の動作を制御するための処理を行う教示制御部22aとしての機能を少なくとも備えている。なお、制御装置6は単一のコンピュータによる集中制御により各処理を実行してもよいし、複数のコンピュータの協働による分散制御により各処理を実行してもよい。また、制御装置6は、マイクロコントローラプログラマブルロジックコントローラPLC)等から構成されていてもよい。

0026

ホスト制御部22は、位置指令値を生成しサーボ制御部23へ出力する。サーボ制御部23は、ホスト制御部22から取得した位置指令値に基づいて駆動指令値トルク指令値)を生成し、増幅回路26へ出力する。増幅回路26は、入力された駆動指令値に対応した駆動電流をサーボモータMへ供給する。サーボモータMには、その出力回転角などを検出するエンコーダEが設けられている。エンコーダEで検出された回転角は、ホスト制御部22及びサーボ制御部23へ伝達される。

0027

図5は、サーボ制御部23を中心とした具体的な電気的構成を示す図である。図5に示すように、ホスト制御部22からサーボ制御部23へ位置指令値が入力されると、入力された位置指令値は減算器29のプラス側の入力に与えられる。この減算器29のマイナス側の入力には、エンコーダEで検出された回転角を表す信号が与えられる。減算器29では、位置指令値から回転角が減算される。

0028

減算器29の出力は係数器31に与えられ、ここで位置ゲインKpで増幅されてから、加算器32の一方の入力に与えられる。この加算器32の他方の入力には、エンコーダEからの回転角が微分回路33で微分され、更に係数器34で速度ゲインKvで増幅されたものが与えられる。加算器32の出力は、積分器35に与えられ、積分演算が行われる。積分器35のゲインG1は、次の第1式で示される。なお、第1式(1)において、Kxは定数であり、sは演算子である。

0029

0030

上記積分器35の出力は位相補償器36に与えられて位相制御動作時に位相補償の演算が行われる。位相補償器36の位相補償の演算のゲインG2は、次の第2式で示される。なお、第2式においてαは定数である。

0031

0032

位相補償器36の出力は、もう1つの加算器37の一方の入力に与えられる。この加算器37の他方の入力には、エンコーダEの出力に応答する重力補償演算器22bからの出力(重力補償値)が与えられて加算され、その加算出力は駆動指令値として増幅回路26へ入力される。

0033

なお、本実施形態に係るアーム10では、複数の制御軸Jのうち第3制御軸J3に重力による負荷が作用する。そこで、第3制御軸J3の制御系統ではホスト制御部22に重力補償演算器22bを備えている。他の制御軸の駆動部24の制御系統では、重力補償演算器22bは備えられないか、又は、備えられても出力がゼロとされる。重力補償演算器22bは、エンコーダEで検出した第3制御軸J3の回転角に基づき予め記憶された計算式によって重力補償値を演算する。これにより、第3制御軸J3の制御系統では、サーボ制御部23から出力される駆動指令値には、重力補償演算器22bから出力された重力補償値が加味されており、その結果、重力補償トルクが発生するように第3制御軸J3の駆動部24が動作する。

0034

〔ダイレクト教示に係る制御〕
ここで、ロボット1の教示動作時の制御装置6の処理の流れを説明する。まず、教示者は、入力装置62を用いて、教示に係る各種情報を制御装置6へ入力する。

0035

例えば、入力装置62には、2本のアーム10A,10Bのうちいずれか一方を単独で教示する単独教示か、2本のアーム10A,10Bが協調動作するように2本のアーム10を連係させて教示する協調教示かを選択する、単独・協調選択画面が示される。単独・協調選択画面で単独の選択が入力されると、続いて、2本のアーム10A,10Bのうちいずれか一本を教示するアームとして選択するアーム選択画面が入力装置62に示される。また、単独・協調選択画面で協調の選択が入力されると、続いて、2本のアーム10A,10Bのうちいずれか一方をマスタアーム10Mとして選択するアーム選択画面が入力装置62に示される。いずれのアーム選択画面でも、2本のアーム10A,10Bのうちいずれか一方の選択を入力することができる。

0036

次に、入力装置62には、教示方式を選択する教示方式選択画面が示される。教示者は、この教示方式選択画面で、入力装置62をティーチングペンダントとして用いた遠隔操作教示、ダイレクト教示などの複数の教示方式からいずれか一つを選択することができる。ここでダイレクト教示が選択された場合には、入力装置62にはアーム移動モードを選択するアーム移動モード選択画面が表示される。教示者は、このアーム移動モード選択画面で、アーム10又はツール5に規定された所定の標準点Kが自在に動くフリーモードと、標準点Kの移動経路が所定の直線上、所定の平面上、又は、所定の軸回りに制限される制限モードとのいずれか一方を選択することができる。標準点Kは、例えば、リスト部13のメカニカルインターフェース座標系において定めたツールの代表点手首標準点などの任意の点に規定される。ここで制限モードが選択された場合には、入力装置62には移動制限指定画面が表示される。教示者は、この移動制限指定画面で、アーム10の標準点Kの移動が拘束される直線、平面、又は軸を選択することができる。

0037

以下では、2本のアーム10A,10Bの、協調・制限モード・ダイレクト教示動作時の制御装置6の処理の流れの一例を説明する。この例では、2本のアーム10A,10Bのうち一方をマスタアーム10Mとし他方をスレイブアーム10Sとし、標準点Kはマスタアーム10Mの先端に規定される。そして、図6に示すように、この標準点Kの移動経路が初期位置PSから移動ベクトルVと平行な方向に制限される。そして、教示者がマスタアーム10M又はそのツール5に直接的に力を与えて、初期位置PSでのツール5の初期姿勢Sを保持したまま、標準点Kを初期位置PSから図中二点鎖線で示す所定の移動経路に沿って移動させる。

0038

ロボット1の教示中は、マスタアーム10Mの制御軸Jのうち動作が許容される制御軸Jの位置及び速度の各ゲインが十分に低く設定される。そのため、教示者がマスタアーム10M又はそのツール5に外力を与えてマスタアーム10Mを動かすと、標準点Kに変位が生じる。このことがエンコーダEによって検出されると、標準点Kの変位を所定の移動経路に投影することにより求めた目標位置Pcom、換言すれば、所定の移動経路が有する方向成分のみ標準点Kの現在位置Prを置き換えた目標位置Pcomが、ホスト制御部22によって求められる。ホスト制御部22は、この目標位置Pcomに対応したマスタアーム位置指令値Tcomを生成してサーボ制御部23へ出力する。以下、制御装置6のホスト制御部22で行われる具体的な処理の流れについて、図8を用いて説明する。

0039

前述のように、入力装置62に入力された教示に係る各種情報は、制御装置6へ伝達され、ホスト制御部22はこれらの情報を取得して、位置指令値Tcomを生成するための演算処理を開始する。教示に係る各種情報には、マスタアーム10Mの選択情報、標準点Kの移動が拘束される直線、平面、又は軸などの移動制限情報が含まれている。

0040

処理を開始したホスト制御部22は、先ず、アーム選択画面で入力された情報に基づき、2本のアーム10A,10Bのうち選択された一方のアームをマスタアーム10Mに指定し、他方のアームをスレイブアーム10Sに指定する(ステップS1)。そして、ホスト制御部22は、マスタアーム10MのエンコーダEから各制御軸Jの回転角を取得し、これに基づいて各制御軸Jの初期の軸角度θ0を検出する(ステップS2)。次に、ホスト制御部22は、マスタアーム10Mの各軸角度θ0に基づいて標準点Kの基本座標系の初期位置PS、及び、そのツール5の初期姿勢Sを求め、更に、マスタアーム10Mの初期位置PS及び姿勢Sを表す姿勢回転行列R(θ0)を求める(ステップS3)。

0041

続いて、ホスト制御部22は、移動ベクトルVを算出する(ステップS4)。移動ベクトルVは、標準点Kの許容される移動方向を表す単位ベクトルである。制御装置6は、取得した移動制限情報(即ち、移動が拘束される直線、平面、又は軸などの移動経路を特定する情報)に基づいて移動ベクトルVを求める。例えば、標準点Kの移動経路が或る直線上に拘束される場合、移動ベクトルVはその直線と平行な単位ベクトルである。

0042

また、ホスト制御部22は、姿勢回転行列R(θ0)などを用いて、座標変換行列Qを算出する(ステップS5)。座標変換行列Qは、基準座標系座標を新たなQ座標系の座標へ座標変換する行列である。座標変換行列Qは、移動ベクトルVがQ座標系のx’y’z’直交3軸のうちの一つ、例えばx’軸と平行になるような変換を表す行列であることが望ましい。

0043

図7は、座標変換行列Qによる座標変換を説明する図である。図7に示すように、座標変換行列Qは、移動ベクトルVと、基本座標系のx軸をQ座標系に変換したx’軸とが平行になるような変換を行う行列である。このように移動ベクトルVがQ座標系のx’y’z’直交3軸のいずれか1軸に平行であれば、Q座標系での演算が容易となる。

0044

続いて、ホスト制御部22は、サーボ制御部23の制御パラメータの値を変更する(ステップS6)。具体的には、マスタアーム10Mの制御軸Jのうち動作が許容された制御軸Jに対応するサーボ制御部23の、係数器31の位置ゲインKp及び係数器34の速度ゲインKvを十分に小さく設定し、積分器35のゲインKxをゼロとし、その積分器35の内容をゼロにクリアし、更に位相補償器36の機能を停止する。つまり、加算器32の出力がそのまま加算器37に与えられるようにする。なお、制御パラメータの値の変更(ステップS6)は、ステップS1の後から後述するステップS8の前までの間に行われればよいのであって、その処理の順序は本実施形態に限定されない。

0045

更に、ホスト制御部22は、重力補償の必要な制御軸Jについて重力補償を開始する(ステップS7)。本実施形態では、制御軸J3を駆動するサーボモータM3の制御系統において重力補償の演算が開始される。

0046

ここで、教示者がマスタアーム10M又はそのツール5の任意の箇所に直接的に力を加えてマスタアーム10Mを動かし、標準点Kを所望の教示点へ徐々に移動させる。この移動の間に標準点Kの位置は刻々と変化するが、標準点Kの移動が所定の移動経路上に規制され、且つ、教示者がマスタアーム10M又はそのツール5に与える力をアシストするように、マスタアーム10Mの各制御軸Jが動作する。

0047

ステップS8において、ホスト制御部22は、標準点Kが変位したときのマスタアーム10Mの各制御軸Jの軸角度θ1を検出する。ホスト制御部22は、検出された各制御軸Jの軸角度θ1に基づいて、標準点Kの基本座標系の現在位置Prを算出する(ステップS9)。更に、ステップS10において、ホスト制御部22は、算出した標準点Kの現在位置Prを、Q座標系の標準点Kの現在位置Pr’に座標変換する(Pr’=Q・Pr)。

0048

ステップS11において、ホスト制御部22は、算出された標準点Kの基本座標系の現在位置Prに基づいて、基本座標系における標準点Kの移動量dPrを求める。更に、ホスト制御部22は、移動量dPrをQ座標系における標準点Kの移動量dPr’に変換する(ステップS12)。

0049

ステップS13において、ホスト制御部22は、現在位置Pr’を所定の移動経路に投影した位置をQ座標系の目標位置Pcom’とする(図6、参照)。換言すれば、ホスト制御部22は、所定の移動経路が有する方向成分を現在位置に置き換えた、Q座標系の目標位置Pcom’を求める。例えば、x’方向へのみ移動が許容されている場合の目標位置Pcom’は、y’成分及びz’成分が0であり、x’成分は移動量dPr’のx’成分である。また、例えば、x’y’平面内でのみ移動が許容されている場合の目標位置Pcom’は、z’成分が0であり、x’成分及びy’成分はそれぞれ移動量dPr’のx’成分、y’成分である。

0050

ステップS14において、ホスト制御部22は、Q座標系の目標位置Pcom’を基本座標系に逆変換し(Pcom=Q−1・Pcom’)、基本座標系での目標位置Pcomを求める。

0051

ステップS15において、ホスト制御部22は、目標位置Pcom及び姿勢Sと対応するマスタアーム位置指令値Tcomを生成する。更に、ホスト制御部22は、このマスタアーム位置指令値Tcomに基づいて、スレイブアーム位置指令値Tcom’を生成する(ステップS16)。

0052

マスタアーム位置指令値Tcom(位置及び姿勢)と、スレイブアーム位置指令値Tcom’(位置及び姿勢)とは、予め記憶された関係(所定の関係)を有する。この「所定の関係」は、予めホスト制御部22に記憶されている。或いは、初期のマスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的な位置及び姿勢を求め、これが所定の関係としてホスト制御部22に記憶されていてもよい。ホスト制御部22は、この所定の関係を表す変換行列などを用いて、マスタアーム位置指令値Tcomに基づいてスレイブアーム位置指令値Tcom’を生成することができる。

0053

ホスト制御部22は、上記のように生成したマスタアーム位置指令値Tcomをマスタアーム10Mのサーボ制御部23Aへ出力するとともに、生成したスレイブアーム位置指令値Tcom’をスレイブアーム10Sのサーボ制御部23Bへ出力する(ステップS17)。

0054

上記のようにマスタアーム位置指令値Tcomを取得したマスタアーム10Mのサーボ制御部23Aは、マスタアーム位置指令値Tcomに基づいて各制御軸Jを駆動し、これによりマスタアーム10Mが動作する。これと同時に、スレイブアーム位置指令値Tcom’を取得したスレイブアーム10Sのサーボ制御部23Bは、スレイブアーム位置指令値Tcom’に基づいて各制御軸Jを駆動し、これによりスレイブアーム10Sが動作する。上記のように動作するマスタアーム10Mとスレイブアーム10Sでは、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的な位置及び姿勢が所定の関係に維持される。

0055

アーム10の標準点Kが変位し続ける間は、上記のステップS8からS17までの処理が所定時間間隔で繰り返される。この間、マスタアーム位置指令値Tcomと対応する指令角度θcomと検出された各制御軸Jの軸角度θとに偏差が生じているので、この偏差がゼロになるように各駆動部24が負帰還制御される。これにより、教示者がマスタアーム10Mを動かすためにアーム10へ与える力がアシストされる。

0056

そして、マスタアーム10Mの標準点Kが教示者の所望の教示位置に至り、教示者が外力の付与を止めると、指令角度θcomと検出された各制御軸Jの軸角度θとの偏差がゼロとなり(ステップS18でNO)、マスタアーム10Mの動作が停止し、ロボット1によるアシスト力が止む。同時に、スレイブアーム10Sも停止する。

0057

マスタアーム10Mが変位しなくなると、ホスト制御部22は、入力装置62を介して教示者に位置教示指令の入力を促す。教示者が入力装置62を介してホスト制御部22に入力された位置教示指令を取得すると(ステップS19でYES)、ホスト制御部22は標準点Kの現在位置情報(或いは、マスタアーム10Mの位置情報及びスレイブアーム10Sの位置情報)を教示位置の一つとして記録し(ステップS20)、重力補償演算を終了し(ステップS21)、制御系統のゲイン等の制御パラメータを元に戻す(ステップS22)。

0058

以上に説明した通り、本実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、制御装置6が、2本のアーム10にマスタアーム10Mとスレイブアーム10Sとを割り当て、教示者がツール5を含むマスタアーム10Mの任意の箇所に直接的に力を加えることによってマスタアーム10Mを任意の教示位置へ動かしている間に、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、スレイブアーム10Sをマスタアーム10Mに対し協調動作させる。そして、制御装置6は、マスタアーム10Mが任意の教示位置に到達したときのマスタアーム10M及びスレイブアーム10Sの位置情報を記憶する。

0059

上記方法によれば、教示者によって直接的に動かされているマスタアーム10Mの動きに追従して、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢が所定の関係を維持するようにスレイブアーム10Sが自動的に協調動作する。これにより、2本のアーム10の教示作業において、2本のアーム10の相対的な位置及び姿勢を調整するための煩雑で専門性の高い作業を省略することができ、教示作業が単純となる。また、教示者はアーム10の位置及び姿勢の関係を視覚的に捉えることができるので、教示者は2本のアーム10の状況を容易に確認することができる。

0060

また、本実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、制御装置6が、マスタアーム10M及びスレイブアーム10Sが動く前のマスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢を所定の関係として記憶し、これを教示制御に利用している。

0061

これによれば、教示作業の開始時に、マスタアーム10Mとスレイブアーム10Sとで、例えば、ハンドリングされるワークを持たせるだけで、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢の関係を設定することができ、教示作業が簡易となる。

0062

また、本実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、マスタアーム10Mに標準点Kを規定し、標準点Kの移動が所定の移動経路に制限される制限モードと、標準点Kの移動が所定の移動経路に限定されないフリーモードとを選択可能である。

0063

このように、ダイレクト教示において制限モードとフリーモードとが選択可能であるので、教示者はその状況に応じてモードを選択することができ、マスタアーム10M及び/又はツール5に教示者の意図に応じた移動をさせることが容易となる。

0064

また、本実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、教示者がマスタアーム10Mを動かしている間に、マスタアーム10Mの制御軸Jの軸角度θ1を検出し、軸角度θ1に基づいて標準点Kの現在位置Prを求め、現在位置Prを所定の移動経路(移動方向)に投影した位置を目標位置Pcomとするマスタアーム位置指令値Tcomを生成し、マスタアーム位置指令値Tcomと所定の関係とに基づいてスレイブアーム位置指令値Tcom’を生成し、スレイブアーム位置指令値Tcom’に基づいてスレイブアーム10Sの制御軸Jを駆動するとともにマスタアーム位置指令値Tcomに基づいてマスタアーム10Mの制御軸Jを駆動することを、マスタアーム10Mの制御軸Jの各々についてマスタアーム位置指令値Tcomと対応する軸角度(指令角度θcom)と検出された軸角度θとの偏差がゼロになるまで繰り返し、偏差がゼロになったあとでマスタアーム10M及びスレイブアーム10Sの少なくとも一方の位置情報を制御装置6に記憶する。ここで、ロボット1のダイレクト教示中のマスタアーム10Mの標準点Kの移動は、所定の移動経路上に制限されている。

0065

上記では、ロボット1のダイレクト教示中に、制御装置6が、マスタアーム10Mの各軸角度θ1を検出し、これに基づいて現在位置Prを算出し、現在位置Prを予め定める移動経路(移動方向)に投影して目標位置Pcomを求め、この目標位置Pcomに基づいてマスタアーム位置指令値Tcomを生成する演算処理を繰り返す。

0066

このように、ロボット1のダイレクト教示中に、マスタアーム10Mの各制御軸Jがマスタアーム位置指令値Tcomに基づいて駆動されることによって、教示者がマスタアーム10M又はツール5に与えた外力をアシストするようにマスタアーム10M自身が動作する。ここで、マスタアーム位置指令値Tcomは逐次変化するマスタアーム10Mの各軸角度θ1に基づいて逐次変更されるので、標準点Kが教示者の意図を超えて移動することはない。従って、標準点Kを所望の教示位置に位置決めするにあたり、マスタアーム10M及び/又はツール5の位置の微調整が容易である。また、ロボット1は、従来備えている機能を発揮させることによって上記動作を行うことができるので、マスタアーム10Mに付与された外力を検出する外力検出手段及びそのための制御が不要である。

0067

また、ロボット1のダイレクト教示中に、標準点Kの移動は所定の移動経路(所定の移動方向)に制限されるので、例え教示者がマスタアーム10M又はツール5に与えた外力の方向が標準点Kの移動方向と一致しなくとも、標準点Kは所定の移動経路に沿って移動する。よって、標準点Kを教示者の所望する位置へ移動させることが容易となる。また、ダイレクト教示中のマスタアーム10Mの各制御軸Jの動作によって教示者がマスタアーム10M又はツール5に与える力がアシストされるので、教示者は、静摩擦力が大きい軸(例えば、基端側の第1制御軸J1)などをも、比較的小さな力で動かすことができる。なお、本実施形態においては、1本のマスタアーム10Mにつき4本の制御軸J1〜J4を備えたロボット1のダイレクト教示方法について説明したが、マスタアーム10Mの制御軸Jの数は上記に限定されない。

0068

また、上記実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、マスタアーム10Mの制御軸Jの位置ゲイン及び速度ゲインが任意に設定可能である。本実施形態においては、マスタアーム10Mの制御軸Jのうち、ダイレクト教示中に動作が許容される制御軸Jの位置及び速度の各ゲインが十分に低く設定される。

0069

これにより、教示者がマスタアーム10M又はツール5に与えた力によって軸が変位しやすくなる。更に、教示者がマスタアーム10M又はツール5に与える僅かの力に対してもアシスト力を生じさせることができる。

0070

また、上記実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、マスタアーム10Mの制御軸Jのうち少なくとも一つ(第3制御軸J3)に対して重力補償演算を行い、その演算結果を当該制御軸のトルク指令値(駆動指令値)に加算している。

0071

これにより、ロボット1のダイレクト教示中に、マスタアーム10Mの制御軸Jの姿勢が変化しても、その姿勢に対応した重力補償を正確に行うことが可能になる。

0072

また、上記実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、教示者がマスタアーム10Mを動かす前に、マスタアーム10Mの制御軸Jの軸角度θ0に基づいてツール5の初期姿勢Sを求め、教示者がマスタアーム10Mを動かしている間にツール5の初期姿勢が維持されるようにマスタアーム位置指令値Tcomが生成される。

0073

これにより、ロボット1のダイレクト教示中に、ツール5の初期姿勢Sを維持したまま、マスタアーム10Mだけを移動させることができる。つまり、ツール5の初期姿勢Sを維持したまま、ツール5の位置だけを変化させることができる。なお、上記実施形態では、ロボット1のダイレクト教示中にツール5の初期姿勢Sを維持するようにしたが、ロボット1のダイレクト教示中に、マスタアーム10Mの移動に伴ってツール5の位置及び姿勢を変化させたり、ツール5の位置を固定してツール5の姿勢のみを変化させたりするようにしてもよい。

0074

なお、上記実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、図7に示すように、標準点Kの所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸においてx−y平面と平行な或る直線上に規定されている。但し、本発明において所定の移動経路(移動方向)はこれに限定されず、標準点Kの初期位置PSと、次の教示位置との関係に基づいて適宜決定される。

0075

例えば、標準点Kの所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸方向のいずれか、又は、ツール座標系のxyz直交3軸方向のいずれかと平行な直線上であってよい。また、例えば、標準点Kの所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸のうち2つの組み合わせ、又は、ツール座標系のxyz直交3軸のうち2つの組み合わせにより規定される平面と平行な平面上であってよい。また、例えば、標準点Kの所定の移動経路が、基本座標系でのxyz直交3軸のいずれか、又は、ツール座標系のxyz直交3軸のいずれかを回転の中心とする回転軌跡上であってよい。

0076

また、上記実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法では、現在位置Prからマスタアーム位置指令値Tcomを生成するにあたり、所定の移動経路上の移動ベクトルVを求め、移動ベクトルVが新たなQ座標系のx’y’z’直交3軸のいずれかと平行となるように基本座標系をQ座標系に変換する座標変換行列Qを求め、基本座標系の標準点Kの現在位置PrをQ座標系に座標変換し、Q座標系の現在位置Pr’を所定の移動経路に投影した位置をQ座標系の目標位置Pcom’とし、その目標位置Pcom’を基本座標系に座標変換して目標位置Pcomを求めている。

0077

このように座標変換を利用することで、制御装置6の演算処理を単純化することができる。

0078

以上の通り、本実施形態に係るロボット1のダイレクト教示方法によれば、複数のアーム10を備えたロボット1において、複数のアーム10を連係させながらダイレクト教示するにあたり、その教示作業を簡易とすることができる。

0079

以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。

0080

上記実施形態では、ロボット1は2本のアーム10A,10Bを備えた双腕ロボットであるが、ロボット1が備えるアーム10の数は3本以上の複数であってもよい。この場合、前述のステップS1において、複数のアーム10のうち1本をマスタアーム10Mと指定し、余のアーム10のうち少なくとも1本をスレイブアーム10Sと指定する。ここで、スレイブアーム10Sが2本以上の場合には、各スレイブアーム10Sにつき、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢を所定の関係として制御装置6に記憶されている。そして、ロボット1のダイレクト教示中に、制御装置6は、マスタアーム10Mのリスト部13とスレイブアーム10Sのリスト部13との相対的位置及び姿勢が所定の関係となるように、各スレイブアーム10Sをマスタアーム10Mに対し協調動作させる。なお、複数のアーム10のうちマスタアーム10M及びスレイブアーム10Sのいずれにも指定されなかったアーム10は、ロボット1のダイレクト教示中に静止させておいてよい。

0081

以上の説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。

0082

1 :ロボット
5 :ツール
6 :制御装置
10,10A,10B :ロボットアーム
22 :ホスト制御部
22b :重力補償演算器
23(23A,23B) :サーボ制御部
24(24A,24B) :駆動部
26 :増幅回路
62 :入力装置
E(E1〜E4) :エンコーダ
J(J1〜J4) :制御軸
K :標準点
M(M1〜M4) :サーボモータ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 川崎重工業株式会社の「 医療用マニピュレータ」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】アームの回動に伴うケーブルへの負担を抑制しつつ、周辺機器の設置スペースを確保することが可能な医療用マニピュレータを提供する。【解決手段】医療用マニピュレータは、先端部に医療器具を保持する多自由... 詳細

  • ファナック株式会社の「 機械学習装置、制御システム及び機械学習方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】機械端の振動低減と移動軌跡の誤差の低減を両立する。【解決手段】モータを制御するモータ制御装置に設けられたフィルタの第1の係数及び該モータ制御装置に設けられたサーボ制御部の速度フィードフォワード... 詳細

  • NTN株式会社の「 パラレルリンク機構およびリンク作動装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能なパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供する。【解決手段】パラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つのリンク機構1... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ