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技術 分散アレーアンテナシステム、分散アレー制御装置および分散アレー制御方法

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 鈴木義規須崎皓平五藤大介山下史洋小林聖
出願日 2015年11月13日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2015-222981
公開日 2017年5月25日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2017-092804
状態 特許登録済
技術分野 無線伝送方式一般(ダイバーシチ方式等)
主要キーワード 実験検証 同期状況 位相誤差δ アレー制御 運用レベル 送信レベル情報 過疎地 稼働後
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

分散アレーアンテナ稼動状態追従して、EIRP最大化もしくは短時間で合成利得を得る。

解決手段

複数のアンテナ装置と、複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムにおいて、分散アレー制御装置は、補足追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、同相合成状態の確立後に再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備える。

概要

背景

衛星通信システムは広範なサービスエリア災害に強い特徴を有しているため、地上回線の使用困難な洋上やデジタルディバイド地域、災害時の通信環境構築に広く利用されている。しかしながら、36,000km上空静止衛星中継して通信する場合に伝搬損失が非常に大きいので、伝送速度や伝送容量を向上させるために地球局装置の性能を向上させる必要がある。非特許文献1では、地球局装置の性能向上を低コストで実現する技術として、複数のアンテナ装置を組み合わせて協調的に動作させる分散アレーアンテナを用いた構成が検討されている。

一般的な地球局装置は、図6(a) に示すように、1つのアンテナ装置11と変復調装置13により構成される。分散アレーアンテナを用いた地球局装置は、図6(b) に示すように、複数のアンテナ装置11−1〜11−N(Nは2以上の整数)と、これらのアンテナ装置を協調的に動作させる分散アレー制御装置12と、分散アレー制御装置12を介して各アンテナ装置に接続される変復調装置13とにより構成される。分散アレー制御装置12の機能は、送信時においては、変復調装置13からの送信信号をアンテナ装置11−1〜11−Nへ分配し、各アンテナ装置から通信衛星アンテナに対して同相となるように位相制御を行うことで、EIRP(Equivalent Isotropically Radiated Power :送信性能実効放射電力)を向上させる。一方、受信時は、各アンテナ装置11−1〜11−Nの受信信号が同相または最大比合成されるように利得および位相制御を行うことで、G/T(Gain to Noise Temperature Ratio :受信性能)を向上させる。

概要

分散アレーアンテナの稼動状態追従して、EIRPを最大化もしくは短時間で合成利得を得る。複数のアンテナ装置と、複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムにおいて、分散アレー制御装置は、補足追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、同相合成状態の確立後に再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備える。

目的

本発明では、移動する地球局装置に分散アレーアンテナを搭載する場合において、時々刻々と変化するアンテナの稼動状態に追従して、EIRPを最大化もしくは短時間で合成利得を得ることができる分散アレーアンテナシステム、分散アレー制御装置および分散アレー制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

分散配置される各アンテナ通信衛星の搭載アンテナを捕捉追尾する複数のアンテナ装置と、前記複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムにおいて、前記分散アレー制御装置は、前記補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、前記複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、前記同相合成状態の確立後に前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備えたことを特徴とする分散アレーアンテナシステム。

請求項2

請求項1に記載の分散アレーアンテナシステムにおいて、前記第1の送信レベル制御手段は、前記アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働する構成であることを特徴とする分散アレーアンテナシステム。

請求項3

請求項1に記載の分散アレーアンテナシステムにおいて、前記同相合成制御手段は、前記出力を停止したアンテナ装置を再稼働する前後の送信レベルのモニタ値と、当該アンテナ装置を再稼働する際に低下させた送信レベルの値とを用いて送信した信号の位相誤差を算出し、前記位相誤差補償に供する構成であることを特徴とする分散アレーアンテナシステム。

請求項4

請求項1に記載の分散アレーアンテナシステムにおいて、前記同相合成制御手段は、前記出力を停止したアンテナ装置を再稼働する前後の送信レベルのモニタ値を比較し、再稼働後のモニタ値が小さくなる場合には、再稼働するアンテナ装置に 180度位相を与える構成であることを特徴とする分散アレーアンテナシステム。

請求項5

分散配置される各アンテナが通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾する複数のアンテナ装置と、前記複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムの分散アレー制御装置において、前記補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、前記複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、前記同相合成状態の確立後に前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備えたことを特徴とする分散アレー制御装置。

請求項6

請求項5に記載の分散アレー制御装置において、前記第1の送信レベル制御手段は、前記アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP(送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働する構成であることを特徴とする分散アレー制御装置。

請求項7

分散配置される各アンテナが通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾する複数のアンテナ装置と、前記複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムの分散アレー制御方法において、前記補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1のステップと、前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、前記複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う第2のステップと、前記同相合成状態の確立後に前記再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第3のステップとを有することを特徴とする分散アレー制御方法。

請求項8

請求項7に記載の分散アレー制御方法において、前記第1のステップは、前記アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP(送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働することを特徴とする分散アレー制御方法。

技術分野

0001

本発明は、衛星通信システム地球局装置に複数のアンテナ装置協調動作させる分散アレーアンテナを用いた分散アレーアンテナシステム、分散アレー制御装置および分散アレー制御方法に関する。

背景技術

0002

衛星通信システムは広範なサービスエリア災害に強い特徴を有しているため、地上回線の使用困難な洋上やデジタルディバイド地域、災害時の通信環境構築に広く利用されている。しかしながら、36,000km上空静止衛星中継して通信する場合に伝搬損失が非常に大きいので、伝送速度や伝送容量を向上させるために地球局装置の性能を向上させる必要がある。非特許文献1では、地球局装置の性能向上を低コストで実現する技術として、複数のアンテナ装置を組み合わせて協調的に動作させる分散アレーアンテナを用いた構成が検討されている。

0003

一般的な地球局装置は、図6(a) に示すように、1つのアンテナ装置11と変復調装置13により構成される。分散アレーアンテナを用いた地球局装置は、図6(b) に示すように、複数のアンテナ装置11−1〜11−N(Nは2以上の整数)と、これらのアンテナ装置を協調的に動作させる分散アレー制御装置12と、分散アレー制御装置12を介して各アンテナ装置に接続される変復調装置13とにより構成される。分散アレー制御装置12の機能は、送信時においては、変復調装置13からの送信信号をアンテナ装置11−1〜11−Nへ分配し、各アンテナ装置から通信衛星アンテナに対して同相となるように位相制御を行うことで、EIRP(Equivalent Isotropically Radiated Power :送信性能実効放射電力)を向上させる。一方、受信時は、各アンテナ装置11−1〜11−Nの受信信号が同相または最大比合成されるように利得および位相制御を行うことで、G/T(Gain to Noise Temperature Ratio :受信性能)を向上させる。

先行技術

0004

鈴木,須崎,廣山,“衛星通信システムにおける分散アレイアンテナ構成技術,”NTT技術ジャーナル,Vol.25,No.5,pp.42-44,2013年5月
須崎,鈴木,廣瀬,小林,杉山,“衛星通信システムにおける上地球局向け分散アレーアンテナ技術の実験検証,”電子情報通信学会論文誌,Vol.J97-B,No.11,pp.1022-1031,2014年11月

発明が解決しようとする課題

0005

分散アレーアンテナを用いた地球局装置の技術適用範囲は、一般的な衛星通信システムと同様、地上回線の使用が困難な洋上や離島過疎地等のデジタルディバイド地域、災害時の通信環境構築が想定される。しかしながら、地球局装置が置かれる状況によって、分散アレーアンテナで必須となる位相制御(同相合成制御)の実現方法には大きく違いが生じる。

0006

デジタルディバイド地域や災害時の通信環境の構築、衛星通信基地局等、地球局装置自体が移動環境に無い固定局向けの場合、アンテナ装置間の位相変動要因は、アンテナ装置を構成するRF機器であるBUC(Block Up Convertor)やLNB(Low Noise Block Converter )である。各RF機器の位相変動は独立事象であるため、時間が経つにつれて相対的に位相関係が変動する。

0007

一方、船舶航空機ヘリコプター等に搭載される地球局装置のように移動環境にある移動局向けの場合、前述のRF機器の位相変動のみならず、移動・動揺に伴い通信衛星アンテナと各アンテナ装置間の経路長位相)が変動する。非特許文献1では、固定局向けのRF機器の位相変動補償を実現する具体例が報告され、非特許文献2では、移動局向けのRF機器の位相変動補償および移動・動揺に伴う経路長補償を実現する具体例が報告されている。

0008

また、船舶に搭載した地球局装置が船舶の移動に伴い、分散アレーアンテナを構成する各アンテナ装置と通信衛星との伝播路マスト船橋等の構造物が入る場合に、図7(a),(b) に示すように、一部のアンテナ装置の伝播路が遮蔽されることがある。移動体衛星通信業務においては、通信の相手方となる通信衛星の搭載アンテナを追尾捕捉)していない状態では、電波を発射することができないため、当該アンテナ装置からの電波を停止することが求められる。

0009

しかしながら、非特許文献2においては、一部のアンテナ装置の伝播路が遮蔽されることや、再度、通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾し、アンテナ装置を再稼動することに言及していない。したがって、記載の方法をそのまま適用した場合は、送信信号のフィードバックが途切れるため、再稼動するまでの時間に発生したBUCの位相変動量を特定および補償できないために位相誤差となる。

0010

各アンテナ装置からの送信信号の位相に誤差が生じると、位相誤差に応じて損失が生じる。同一性能の2つのアンテナ装置で構成される分散アレーアンテナを用いた地球局装置の位相誤差に伴う損失をプロットしたものを図8に示すが、位相誤差に応じてEIRPが低下する。例えば、位相差が120 度を超えると、損失が6dBを超えるため、分散アレー制御により得られるはずのEIRP向上による効果が得られず、逆に単体アンテナの特性を下回る、すなわち合成しない方が良いことになる。

0011

本発明では、移動する地球局装置に分散アレーアンテナを搭載する場合において、時々刻々と変化するアンテナの稼動状態追従して、EIRPを最大化もしくは短時間で合成利得を得ることができる分散アレーアンテナシステム、分散アレー制御装置および分散アレー制御方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

第1の発明は、分散配置される各アンテナが通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾する複数のアンテナ装置と、複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムにおいて、分散アレー制御装置は、補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、同相合成状態の確立後に再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備える。

0013

第1の発明の分散アレーアンテナシステムにおいて、第1の送信レベル制御手段は、アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP(送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働する構成である。

0014

第1の発明の分散アレーアンテナシステムにおいて、同相合成制御手段は、出力を停止したアンテナ装置を再稼働する前後の送信レベルのモニタ値と、当該アンテナ装置を再稼働する際に低下させた送信レベルの値とを用いて送信した信号の位相誤差を算出し、位相誤差補償に供する構成である。

0015

第1の発明の分散アレーアンテナシステムにおいて、同相合成制御手段は、出力を停止したアンテナ装置を再稼働する前後の送信レベルのモニタ値を比較し、再稼働後のモニタ値が小さくなる場合には、再稼働するアンテナ装置に 180度位相を与える構成である。

0016

第2の発明は、分散配置される各アンテナが通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾する複数のアンテナ装置と、複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムの分散アレー制御装置において、補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1の送信レベル制御手段と、再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う同相合成制御手段と、同相合成状態の確立後に再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第2の送信レベル制御手段とを備える。

0017

第2の発明の分散アレー制御装置において、第1の送信レベル制御手段は、アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP(送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働する構成である。

0018

第3の発明は、分散配置される各アンテナが通信衛星の搭載アンテナを捕捉・追尾する複数のアンテナ装置と、複数のアンテナ装置で送受信する送信信号および受信信号の分配・合成および位相制御を行う分散アレー制御装置とを備えた分散アレーアンテナシステムの分散アレー制御方法において、補足・追尾外れを検出したアンテナ装置の出力を停止した後に当該アンテナ装置を再稼働する際に、送信レベルを低下させる制御を行う第1のステップと、再稼働するアンテナ装置の送信レベルを低下させた状態で、複数のアンテナ装置の位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行う第2のステップと、同相合成状態の確立後に再稼働するアンテナ装置の送信レベルを運用レベルに設定する第3のステップとを有する。

0019

第3の発明の分散アレー制御方法において、第1のステップは、アンテナ装置の停止により生じる位相誤差に伴うEIRP(送信性能)の低下が許容誤差の範囲になる送信レベルまで低下させて再稼働する。

発明の効果

0020

本発明は、非稼動状態のアンテナが再稼動する際、位相誤差に伴うEIRPの低下を許容誤差内に抑えるために低レベルで送信し、その状態で送信信号レベルモニタによる位相誤差量検出および位相誤差補償により同相合成状態を確立することができる。これにより、移動環境下におけるアンテナ再稼働時にEIRP低下を許容誤差内に抑え、より短い時間で同相合成を確立する、もしくは合成利得を得ることが可能となり、アンテナ稼動状態に応じて適切なEIRPを実現することができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の分散アレーアンテナシステムおよび分散アレー制御装置の構成例を示す図である。
アンテナ稼働状態遷移を示す図である。
アンテナ再稼働時の制御手順例を示すフローチャートである。
再稼働アンテナの減衰量逆相合成時の損失との関係を示す図である。
再稼働アンテナの減衰量と合成前後の利得が等しくなる位相誤差との関係を示す図である。
一般的な地球局装置と分散アレーアンテナを用いた地球局装置の構成を示す図である。
船舶に搭載した分散アレーアンテナの稼働状態を示す図である。
分散アレーアンテナを用いた地球局装置の位相誤差に伴う損失を示す図である。

実施例

0022

図1は、本発明の分散アレーアンテナシステムおよび分散アレー制御装置の構成例を示す。
図1において、本発明の分散アレーアンテナシステムは、N個のアンテナ装置11−1〜11−N、分散アレー制御装置12、変復調装置13により構成される。

0023

各アンテナ装置11は、移動環境下において通信衛星1の搭載アンテナを常に捕捉・追尾するアンテナ110および追尾アンテナ駆動・制御部111と、アンテナ110で送受信する無線周波数帯の送信信号と受信信号を分離するOMT(Ortho-Mode Transducer )112と、変復調装置13の変調部131から分散アレー制御装置12を介して入力する送信信号を無線周波数帯に変換し、所定の出力レベル増幅してOMT112を介してアンテナ110から送信させるBUC113と、アンテナ110に受信する微弱な無線周波数帯の受信信号をOMT112を介して入力して低雑音で増幅し、所定の周波数帯に変換した受信信号を出力するLNB114とにより構成される。

0024

なお、追尾アンテナ駆動・制御部111は、通信衛星の軌道情報位置情報、地球局装置(移動体)の傾き、進行方向、受信信号等が与えられることにより、通信衛星1を追尾するためのアンテナ110の制御量を算出し、この結果を元に捕捉・追尾制御を行う。また、受信信号(自局向け通信信号ビーコン、アンテナ追尾用の信号等)から追尾状況を把握する機能を有する。

0025

分散アレー制御装置12は、送信系においては、変復調装置13の変調部131から入力する送信信号をアンテナ装置数に分配する信号分配部121と、分配された各送信信号に対して、移動環境下で発生する経路長変動量を補償する移動動揺補償部122と、BUC間の相対的な位相変動を補償するBUC変動補償部123と、送信信号レベルを調整する送信振幅調整部124とにより構成される。受信系においては、各アンテナ装置のLNB114から出力される受信信号に対して受信信号レベルを調整する受信振幅調整部125と、各LNB対応の受信振幅調整部125から出力される受信信号の最大比合成または同相合成を行う信号合成部126とを備え、LNB間の相対的な位相変動および移動環境下で発生する経路長変動量の補償を行い、変復調装置13の復調部132に出力する。

0026

また、分散アレー制御装置12では、送信系の各調整部、補償部のための制御量を算出する各種手段を有する。移動動揺補償量算出部C1は、各受信信号の位相の時間変動をモニタし、送信信号との波長比を考慮することで、送信系における移動動揺補償量を算出し、移動動揺補償部122を制御する。送信レベル検出部C2は、固定局分散アレーと同様、各アンテナ装置11からの送信信号に対する通信衛星1の折り返し信号をモニタすることで送信レベルを検出する。もしくは、制御回線等を介して、各アンテナ装置11の送信レベル情報通知を受けてもよい。BUC間位相差算出部C3は、送信レベル検出部C2で検出される各アンテナ装置11の送信レベルを元に、BUC間位相差を算出する。

0027

振幅調整制御部C4は、送信振幅調整部124に対して、各アンテナ装置11の追尾状況を元に停波処理(最大の減衰量設定、もしくは、終端器への切り替え)を実施し、再稼動時や衛星事業者からの指示に応じて送信出力の調整を行う。受信振幅調整部125に対しては、各アンテナ装置11の追尾状態に応じて、信号合成部126への雑音混入を回避するための減衰量設定、もしくは、終端器への切り替えを行う。BUC変動補償制御部C5は、送信レベル検出部C2で検出される各アンテナ装置11の送信レベルをモニタしながら、BUC変動補償部123で付与する位相を決定する。衛星追尾状況検出部C6は、各アンテナ装置11の追尾状況を受信信号レベル、追尾アンテナ駆動・制御部111からの追尾状況、各アンテナ装置11で受信した信号の同期状況から、追尾状況を検出する。

0028

変復調装置13は、変調部131と復調部132とにより構成され、分散アレーアンテナに特化したものではなく通常の機能を備える。

0029

本発明は、非特許文献1および非特許文献2では考慮されていない移動環境下において刻々と変化するアンテナ稼働状況に応じて、EIRPの最大化もしくはアレー利得を獲得するための制御手順を特徴とする。アンテナの稼動状態としては、
1.遮蔽/追尾外れに伴う稼動アンテナの減少(減少時)
2. 稼動アンテナ数に変更なし(定常時)
3. 再捕捉・追尾に伴う再稼動による稼動アンテナの増大(増大時)
の3つである。

0030

減少時状態1については、追尾外れを検出後、即時に当該アンテナの出力を停止する必要がある。このとき、送信振幅調整部124および受信振幅調整部125の減衰量を最大にする、もしくは終端器に接続すればよい。定常時状態2については、定常的な動作としてBUC変動補償部123および移動動揺変動補償部122を稼働する。

0031

本発明のポイントは、増大時状態3において、アンテナ再稼動時に所定のEIRPを実現する制御手順にある。各状態間の遷移としては、図2に示すように、
減少時状態1と定常時状態2の相互遷移
定常時状態2と増大時状態3の相互遷移
増大時状態3から減少時遷移1への遷移
が考えられる。なお、減少時状態1から増大時状態3への遷移が想定されていないのは、稼動アンテナの減少時は出力を停止するだけであり、出力停止してすぐに定常時状態2に移行するためである。アンテナ再稼動時の課題としては、位相誤差が残留した状態で信号を送信すると、位相誤差に応じて損失が発生し、位相誤差が大きい場合、アンテナを再稼動したことによりEIRPが低下することである。

0032

(実施例1)
図3は、アンテナ再稼働時の制御手順例を示す。
図3において、アンテナ再稼動時に、振幅調整制御部C4および送信振幅調整部124を用いて送信レベルを低下させる制御を行い(S1)、その状態で送信レベル検出部C2、BUC変動補償制御部C5およびBUC変動補償部123を用いて、位相誤差補償により同相合成状態を確立する制御を行い(S2)、その後に振幅調整制御部C4および送信振幅調整部124を用いて送信レベルを運用レベルに設定する制御を行う(S3)。各手順の詳細は以下に説明する。これにより、アンテナ再稼動時の位相誤差が大きくても、EIRPの低下を最小限に抑えることができる。

0033

図4は、アンテナ装置数を2とした場合の再稼動アンテナの減衰量と逆相合成時の損失との関係を示す。図4において、アンテナ再稼動時に送信レベルを20dB減衰させた場合、逆相合成時にEIRPの1dB程度の低下が確認できるが、減衰量については許容低下量に応じて決定すればよい。

0034

アンテナ再稼働時の制御手順S1〜S3では、移動動揺補償部122は実行しながら定常のBUC変動補償部123は停止して、以下の手順を実施する。
S11:アンテナ再稼動前の送信レベル検出部C2のモニタ値をr12 とする。
S12:再稼動アンテナから既知である任意の位相の信号に所定の減衰量を与えて送信し(減衰後の送信レベルはr22 )、送信レベル検出部C2で検出するモニタ値r2を元に、送信した信号の位相誤差δθを下式より算出する。
cos(δθ) =|(r2 −r12 −r22 )/2r1r2|

0035

S13:S12で算出した位相誤差δθは、符号の情報がないため、BUC変動補償部123において一定量の位相変化(+φ)を与えたときに、送信レベル検出部C2におけるモニタ値がr2より大きくなれば正しい符号であることを、小さくなれば与えた符号の誤りであることを確認する。

0036

S14:S13において符号を含めた位相誤差が確認できたため、これを補償する位相をBUC変動補償部123の設定値として与えることで同相合成状態を確立する。
S15:再稼動アンテナの減衰量を稼動時の値(運用レベル)に設定する。
S16:増大時状態3から定常時状態2に遷移する。

0037

なお、本手順においては、S12およびS13のステップで設定を変えて送信し、その衛星折り返し信号を元に送信レベル検出部C2でモニタした結果によって位相誤差を検出するため、通信衛星の遅延時間(250ms)を考慮しても、 500ms後にはアンテナの再稼動が実現できることになる。なお、送信レベル検出については、伝播に伴うフェージングの影響や、再稼動アンテナにおける送信レベルが小さい等で、十分に精度が得られないことが想定されるが、S16のBUCの変動補償再開により、結果として同相合成状態は確立することが可能となる。

0038

(実施例2)
実施例2として、より簡易な手法で、アンテナ再稼動後にEIRPを最大化して合成利得を得る方法について説明する。
図5は、アンテナ装置数を2とした場合の再稼動アンテナの減衰量と合成前後の利得が等しくなる位相誤差との関係を示す。

0039

図5において、曲線より下の領域は、合成後の利得が合成前の利得より大きくなる(合成後に利得が獲得できる)領域であり、曲線より上の領域は、合成後の利得が合成前の利得より小さくなる(合成後に損失となる)領域である。図5から、合成後の利得が合成前の利得より小さくなるのは、位相誤差が90度以上の場合であり、位相誤差を90度以下にすることにより、合成後の利得が合成前の利得より大きくなることが分かる。

0040

よって、アンテナ再稼働時の制御手順S1〜S3として、以下の手順を実施する。
S21:アンテナ再稼動前の送信レベル検出部C2のモニタ値をr12 とする。
S22:再稼動アンテナから所定の減衰量を与えて送信し、送信レベル検出部C2のモニタ値をr2とする。

0041

S23:r12 >r2の場合は、位相誤差が90度以上であるため、再稼動アンテナに 180度位相を与えることで位相誤差は必ず90度以下となり、利得を獲得できるようになる。一方、r12 ≦r2の場合は、利得が得られているので、そのままの位相とする。
S24:再稼動アンテナの減衰量を稼動時の値(運用レベル)に設定する。
S25:増大時状態から定常時状態に遷移する。

0042

本手順においては、定常時においても位相誤差が残留していることが想定されるが、定常状態におけるBUC変動補償により徐々に位相誤差が解消される。実施例1に比べて、1ステップ少なく再稼動アンテナの減衰量を稼動時の値に設定しても、利得を獲得できる点が特徴である。ステップS23を実施する際に、送信レベル検出部C2のモニタ値r2の検出については、伝播に伴うフェージングの影響や、再稼動アンテナにおける送信レベルが小さい等で、レベル差が確認できない場合は、レベル差が検出できるまで徐々に再稼動アンテナに与える減衰量を小さくし、出力を増大させてもよい。

0043

(実施例3)
実施例3としては、実施例1において再稼動アンテナから信号を送信後、モニタ値が低下した場合は、実施例2に記載の通り 180度位相を与え、一旦、合成利得を得た状態から位相誤差/符号を検出して同相合成状態を確立する処理手順でもよい。

0044

なお、本手順は移動体通信におけるアンテナ停止からアンテナ再稼動時の制御方法を示すが、固定局において、一部アンテナが故障した後、故障から復帰させる際の手順として適用してもよい。固定局に適用する場合は、移動動揺変動補償の実施は不要となる。

0045

1通信衛星
11アンテナ装置
12 分散アレー制御装置
13変復調装置
110アンテナ
111追尾アンテナ駆動・制御部
112 OMT(Ortho-Mode Transducer )
113 BUC(Block Up Convertor)
114 LNB(Low Noise Block Converter )
121信号分配部
122 移動動揺補償部
123 BUC変動補償部
124送信振幅調整部
125受信振幅調整部
126信号合成部
131変調部
132復調部

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