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技術 イオン発生装置及びイオン検出装置

出願人 株式会社リコー
発明者 氏本勝也
出願日 2016年8月26日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2016-165265
公開日 2017年5月25日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2017-092022
状態 特許登録済
技術分野 スパークプラグ
主要キーワード 配線引き出し用 マイクロ波加熱方式 非対称電界 MEMSマイク 異極鉱 ニオブ酸ナトリウムカリウム トパーズ 宙吊り状態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

イオンを安定して生成できるイオン発生装置を提供する。

解決手段

イオン発生部100は、発熱体としてのヒータ11と、該ヒータ11の一側に配置された対向電極20と、ヒータ11と対向電極20との間に配置された焦電体膜14と、ヒータ11と焦電体膜14との間に焦電体膜14に接触して配置された電極13と、ヒータ11の温度を制御する温度制御回路30と、を備えている。この場合、イオンを安定して生成できるイオン発生装置を提供できる。

概要

背景

近年、焦電効果圧電効果を用いてイオンを発生させる技術の開発が盛んに行われている(例えば特許文献1参照)。

概要

イオンを安定して生成できるイオン発生装置を提供する。イオン発生部100は、発熱体としてのヒータ11と、該ヒータ11の一側に配置された対向電極20と、ヒータ11と対向電極20との間に配置された焦電体膜14と、ヒータ11と焦電体膜14との間に焦電体膜14に接触して配置された電極13と、ヒータ11の温度を制御する温度制御回路30と、を備えている。この場合、イオンを安定して生成できるイオン発生装置を提供できる。

目的

詳述すると、特許文献1には、数ボルト程度の小さな印加電圧電子やイオンなどの電荷が放出できるようにした電荷エミッタを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

発熱体と、前記発熱体の一側に配置された対向電極と、前記発熱体と前記対向電極との間に配置された少なくとも1つの、焦電体又は圧電体からなる部材と、前記発熱体と前記部材との間に該部材に接触して配置された電極と、前記発熱体の温度を制御する温度制御回路と、を備えるイオン発生装置

請求項2

前記温度制御回路は、前記発熱体の発熱による前記部材の温度変化量所定値になるように前記発熱体の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。

請求項3

前記温度制御回路は、前記発熱体の温度を前記所定値に対応する目標値に制御することを特徴とする請求項2に記載のイオン発生装置。

請求項4

前記温度制御回路は、電源を有する電源装置を含み、前記電源装置からの電流の一部は、前記発熱体に供給され、前記温度制御回路は、前記電源装置からの電流の残部が供給される、電気抵抗可変基準抵抗と、前記発熱体に供給される電流と前記基準抵抗に供給される電流の比を制御する電流制御回路と、前記発熱体での電圧降下と前記基準抵抗での電圧降下に基づいて前記電源装置の出力を制御する電源出力制御回路と、を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項5

前記基準抵抗は、複数の抵抗器を含み、前記温度制御回路は、前記複数の抵抗器を選択的に並列接続可能なスイッチ装置を更に含むことを特徴とする請求項4に記載のイオン発生装置。

請求項6

前記基準抵抗は、可変抵抗であることを特徴とする請求項4に記載のイオン発生装置。

請求項7

前記電流制御回路は、前記発熱体に供給される電流と前記基準抵抗に供給される流れる電流の比を略一定に制御することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項8

前記電源出力制御回路は、前記発熱体での電圧降下と前記基準抵抗での電圧降下が略同一になるように前記電源装置の出力を制御することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項9

前記電流制御回路は、前記発熱体の上段に接続された第1の抵抗器と、前記基準抵抗の上段に接続された第2の抵抗器と、前記第1の抵抗器の下流端に第1の入力端が接続され、かつ前記第2の抵抗器の下流端に第2の入力端が接続されたオペアンプと、前記オペアンプの出力端ゲートが接続され、かつ前記第2の抵抗器の下流端にソースが接続され、かつ前記基準抵抗の上流端にドレインが接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項10

前記電源出力制御回路は、前記基準抵抗の上流端に第1の入力端が接続され、かつ前記発熱体の上流端に第2の入力端が接続された別のオペアンプを有することを特徴とする請求項9に記載のイオン発生装置。

請求項11

前記電源装置は、前記別のオペアンプの出力端にベースが接続され、かつ前記電源にエミッタが接続され、かつ前記第1及び第2の抵抗器の上流端にコレクタが接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする請求項10に記載のイオン発生装置。

請求項12

前記発熱体と前記電極とに挟まれた絶縁体を更に備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項13

前記対向電極と前記部材との間に該部材に接触して配置された電極を更に備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項14

前記発熱体と前記対向電極との間に、前記電極と前記部材が交互に並んでいることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項15

前記対向電極に最も近い前記電極は、前記対向電極に対向していることを特徴とする請求項13又は14に記載のイオン発生装置。

請求項16

前記対向電極に最も近い前記電極の前記対向電極側の面は、複数の突起を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項17

前記対向電極から最も遠い前記電極と前記対向電極は、略等電位であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項18

前記対向電極の前記発熱体側の面は、複数の突起を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項19

前記発熱体の前記対向電極側とは反対側の面に接触して配置された別の絶縁体を更に備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項20

発熱体、絶縁体、電極、焦電体又は圧電体からなる部材がこの順に積層された積層体と、前記部材の前記電極とは反対側に配置された対向電極と、前記発熱体の温度を制御する温度制御回路と、を備えるイオン発生装置。

請求項21

前記発熱体は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項22

前記発熱体は、発光素子であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項23

前記部材は、分極方向が部分的に異なる焦電体又は圧電体からなることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載のイオン発生装置。

請求項24

請求項1〜23のいずれか一項に記載のイオン発生装置と、前記イオン発生装置からのイオン選別するイオンフィルタと、前記イオンフィルタで選別されたイオンを検出する検出器と、を備えるイオン検出装置

技術分野

0001

本発明は、イオン発生装置及びイオン検出装置に関する。

背景技術

0002

近年、焦電効果圧電効果を用いてイオンを発生させる技術の開発が盛んに行われている(例えば特許文献1参照)。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、イオンを安定して生成できなかった。

0004

本発明は、発熱体と、前記発熱体の一側に配置された対向電極と、前記発熱体と前記対向電極との間に配置された少なくとも1つの、焦電体又は圧電体からなる部材と、前記発熱体と前記部材との間に該部材に接触して配置された電極と、前記発熱体の温度を制御する温度制御回路と、を備えるイオン発生装置である。

発明の効果

0005

本発明によれば、イオンを安定して生成できる。

図面の簡単な説明

0006

一実施形態に係るイオン検出装置の概略構成図である。
イオンの移動度電界強度依存性を説明するための図である。
イオンフィルタ部の電極間における3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)の移動の軌跡を説明するための図(その1)である。
電極Aと電極Bとの間に発生させる電界波形を説明するための図である。
イオンフィルタ部の電極間における3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)の移動の軌跡を説明するための図(その2)である。
イオン発生部の概略構成を示す図である。
図7(A)は、イオン発生部(但し温度制御回路を除く)の分解斜視図であり、図7(B)は、ヒータの平面図である。
温度制御回路のハードウェア構成を示すブロック図である。
温度制御回路の回路図である。
電気抵抗温度依存性を表すグラフである。
図11(A)及び図11(B)は、それぞれ基準抵抗の構成例1、2を示す図である。
ヒータ支持構造(その1)示す図である。
変形例1のイオン発生部の概略構成を示す図である。
変形例2のイオン発生部の概略構成を示す図である。
変形例3のイオン発生部の概略構成を示す図である。
変形例4のイオン発生部の概略構成を示す図である。
変形例5のイオン発生部の概略構成を示す図である。
ヒータの支持構造(その2)を示す図である。
実施形態2のイオン発生部の概略構成を示す図である。
実施形態3のイオン発生部の概略構成を示す図である。
実施形態4のイオン発生部の概略構成を示す図である。

実施例

0007

概要
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るイオン検出装置10の概略構成が示されている。

0008

このイオン検出装置10は、イオン発生部100、イオンフィルタ部200、検出部600、及び制御部900などを備えている。なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系を用い、被測定分子の進行方向を+Z方向とする。

0009

イオン発生部100は、被測定分子をイオン化する。イオンフィルタ部200は、イオン発生部100からのイオンを選別する。検出部600は、イオンフィルタ部200で選別されたイオンを検出する。制御部900は、装置全体を制御する。

0010

イオン検出装置10の基本的な検出原理について説明する。

0011

イオンフィルタ部200は、対向して配置された2つの電極(電極A、電極B)を有している。

0012

イオンは、電界Eの環境下では次の(1)式で示される移動速度Vで移動する。ここで、Kは、該イオンの移動度である。
V=K×E ……(1)

0013

ところで、イオンの移動度には電界強度依存性がある。そして、この電界強度依存性は、イオンの種類によって異なっている。図2には、一例として、種類が異なる3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)における移動度の電界強度依存性が示されている。なお、図2では、分かりやすくするため、各イオンの移動度が電界強度0で等しくなるように正規化されている。

0014

3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)の移動度は、電界強度が9kV/cm以下の低電界強度ではほぼ変化なしである。電界強度が約10kV/cmから増すにつれてイオンの種類固有の特性が移動度に現れる。イオンAの移動度は、電界強度が増加するに従って大きく増加し、Emaxで最大となる。イオンBの移動度は、イオンAよりも緩やかに増加する。イオンCの移動度は、緩やかに減少する。このように三者三様の特性を示している。イオンフィルタ部200は、低電界強度での移動度と高電界強度での移動度との違いを利用してイオンの選別を行う。

0015

図3には、イオンフィルタ部200の電極間における3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)の移動の軌跡が示されている。なお、ここでは、分かりやすくするため、便宜的に、電極A及び電極Bを導電体でできた平行平板としている。

0016

電極Aと電極Bとの間に発生する電界の波形を非対称電界波形とすることによって、任意のイオン(図3では、イオンB)のみを検出部600に到達させることができる。

0017

図4には、電極Aと電極Bとの間に発生させる電界波形の一例が示されている。この電界波形は、正の高電界(Emax)と負の低電界(Emin)を交互に繰り返している。そして、高電界の期間(t1)は低電界の期間(t2)よりも短く、t1とt2の比は1:3〜1:5である。このように電界波形は、上下に関して非対称である。この非対称電界波形は、時間平均電界がであり、次の(2)式が成り立つように設定されている。
|Emax|×t1=|Emin|×t2 ……(2)

0018

すなわち、図4における領域Aの面積と領域Bの面積が一致するように設定されている。

0019

なお、以下では、次の(3)式に示されるように、|Emax|×t1の値、及び|Emin|×t2の値をβとする。
|Emax|×t1=|Emin|×t2=β ……(3)

0020

ところで、高電界の期間(t1)に、イオンがY軸方向に関して移動する速度Vupは、次の(4)式で示される。ここで、K(Emax)は、高電界(Emax)のときのイオンの移動度である。
Vup=K(Emax)×|Emax| ……(4)

0021

例えば、|Emax|が約10kV/cm以上の場合、3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)では、イオン毎に移動度が異なる(図2参照)ので、3つのイオンの移動速度Vupは三者三様に異なる。すなわち、図5に示されるように、高電界の期間(t1)では、3つのイオンの移動軌跡の傾斜は互いに異なっている。

0022

そして、高電界の期間(t1)に、イオンがY軸方向に関して移動した距離である変位yup(図5参照)は、次の(5)式で示される。
yup=Vup×t1 ……(5)

0023

一方、低電界の期間(t2)に、イオンがY軸方向に関して移動する速度Vdownは、次の(6)式で示される。ここで、K(Emin)は、低電界(Emin)のときのイオンの移動度である。
Vdown=−K(Emin)×|Emin| ……(6)

0024

例えば、|Emin|が約5kV/cm以下の場合、3つのイオン(イオンA、イオンB、イオンC)では、移動度がほぼ同一である(図2参照)ので、3つのイオンの移動速度Vdownはほぼ同一である。すなわち、図5に示されるように、低電界の期間(t2)では、3つのイオンの移動軌跡の傾斜はほぼ同じである。

0025

そして、低電界の期間(t2)に、イオンがY軸方向に関して移動した距離である変位ydown(図5参照)は、次の(7)式で示される。
ydown=Vdown×t2 ……(7)

0026

非対称電界波形の1周期(T)内では、イオンは、+Z方向に移動しつつ、期間t1の間に+Y方向に移動し、期間t2の間に−Y方向に移動する。

0027

そこで、図5に示されるように、ジグザグ運動を繰り返しながら電極Aに向かうもの(イオンA)と、ジグザグ運動を繰り返しながら電極Bに向かうもの(イオンC)と、+Y方向の変位と−Y方向の変位とが釣り合い、検出部に向かうもの(イオンB)とに分かれることとなる。

0028

ところで、非対称電界波形における1周期(T)での、イオンのY軸方向に関する平均変位ΔyRFは、次の(8)式で表される。
ΔyRF=yup+ydown
=K(Emax)×|Emax|×t1−K(Emin)×|Emin|×t2 ……(8)

0029

そして、上記(8)式は、上記(3)式を用いて次の(9)式のように表すことができる。
ΔyRF=β{K(Emax)−K(min)} ……(9)

0030

ここで、K(Emax)−K(min)をΔKとおくと、上記(9)式は次の(10)式のように表される。
ΔyRF=βΔK ……(10)

0031

βは電極Aと電極Bとの間に印加される非対称電界で決まる定数である。そこで、非対称電界波形の1周期(T)あたりのイオンのY軸方向に関する変位は、低電界(Emin)での移動度と高電界(Emax)での移動度の差分であるΔKに依存する。

0032

キャリアガスだけがイオンをZ軸方向に移送させると仮定すると、イオンが電極Aと電極Bとの間に滞在しているときの、該イオンのY軸方向に関する変位Yは、次の(11)式となる。ここで、tresは、イオンが電極Aと電極Bとの間に滞在している平均時間(平均イオン滞在時間)である。

0033

平均イオン滞在時間tresは、次の(12)式で表される。ここで、Aはイオンフィルタ部の断面積、LはZ軸方向に関する電極の長さ(電極深さ)(図5参照)、Qはキャリアガスの容積流量である。Vはイオンフィルタ部の容積(=AL)である。

0034

上記(11)式は、上記(12)式及び上記(3)を用いて、次の(13)式のように表すことができる。ここで、Dは非対称電界波形のデューティであり、D=t1/Tである。

0035

非対称電界波形における高電界Emax、イオンフィルタ部の容積V、非対称電界波形のデューティD、及びキャリアガスの容積流量Qについて、すべてのイオン種に対して同一の値を用いると、上記(13)式から、変位Yは、イオン種固有の低電界(Emin)での移動度と高電界(Emax)での移動度との差分ΔKに比例することがわかる。

0036

なお、図5ではイオンBのみが、変位Yが最小であり、検出部600に到達することができるが、デューティDを変化させることによってイオンBとは異なるΔKを有するイオンを検出部600に到達させることができる。さらに、デューティDを小刻みに変化させていくことで、ΔKが異なる様々なイオンの有無や量を検出することができる。

0037

また、イオン検出装置10において、ΔKが異なる様々なイオン種を検出する方法として、非対称電界波形に低強度のDC電界を重畳する方法がある。この方法によると、期間t1及び期間t2でのY軸方向に関する変位量を変化させることができる。そこで、電極A又は電極Bに接触せずに検出部600に到達することができるイオン種を連続的に変えることができる。なお、非対称電界波形に重畳するDC電界は補償電圧CV:compensasion voltages)と呼ばれている。この方法では、補償電圧を掃引してΔKが異なる様々なイオン種の有無や量を検出する。

0038

ところで、検出部600に到達する前に電極A又は電極Bに接触したイオンは、中和されてイオンでなくなり検出されない。

0039

なお、制御部900は、従来のイオン検出装置における制御部とほぼ同様であるため、ここでは制御部900の動作についての詳細な説明は省略する。

0040

[詳細]
以下、イオン発生部100について詳細に説明する。図6には、イオン発生部100の概略構成が断面図にて示されている。図7(A)には、イオン発生部100(但し一部を除く)の分解斜視図が示されている。図7(B)には、イオン発生部100が有するヒータの平面図が示されている。

0041

イオン発生部100は、図6及び図7(A)に示されるように、発熱体としてのヒータ11と、絶縁膜12と、電極13及び焦電体膜14がこの順に積層された積層体1000と、焦電体膜14に対向する対向電極20とを備えている。ここでは、電極13及び対向電極20は、薄膜状に形成されている。

0042

すなわち、積層体1000と対向電極20は、焦電体膜14と対向電極20とが向き合うように積層体1000の積層方向に並べて配置されている。

0043

ヒータ11は、金属線合金線で形成されたMEMSマイクロヒータ(熱容量が小さいヒータ)であり、ジュール熱によって発熱する。ここでは、ヒータ11は、蛇行した金属線や合金線で形成され、一端部1から電流が流入し、他端部2から電流が流出する(図7(B)参照)。図7(A)、図7(B)における符号3は、電極13に設けられた配線引き出し用コンタクトホールを示している。ヒータ11の材料としては、電気抵抗の温度依存性が明らかな材料が適しており、例えばPtが挙げられる。

0044

焦電体膜14の材料である焦電体としては、焦電効果を奏するものであれば良く、例えばLiNbO3(ニオブ酸リチウム)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、LiTaO3(タンタル酸リチウム)、PZTチタン酸ジルコン酸鉛)、ロッシェル塩(KNaC4H4O6)、硝酸セシウム(CsNO3)、電気石トルマリン)、異極鉱( Zn4Si2O7(OH)2・H2O)等が挙げられる。

0045

絶縁膜12としては、絶縁性が良く熱膨張係数が他の部材(ヒータ11や電極13)に近いものが好適である。

0046

ヒータ11の発熱によって焦電体膜14に焦電効果が生じる。すなわち、ヒータ11の発熱による(発熱前後での)焦電体膜14の温度変化により該焦電体膜14の表面(対向電極20側の面)と裏面(電極13側の面)との間に電位差(電圧)が生じる。この電位差は、後述する(1)式から分かるように、焦電体膜14の温度変化に比例する。

0047

電極13と対向電極20は、配線で接続され、略等電位になっている。電極及び対向電極の材料としては、例えば、放電に起因するスパッタリングによる劣化が少ないタングステンが好適である。

0048

そこで、焦電効果によって生じる電圧を電極13と対向電極20の間隔で除算した電界Eが電極13と対向電極20の間に生じる。

0049

この電界Eの強度を、気体絶縁破壊電界近傍にすることで、積層体1000と対向電極20との間で該気体を放電させ、該気体をイオン化させることができる。すなわち、イオンを生成することができる。

0050

ここで、例えば環境温湿度の変化によりヒータ11の温度が変化すると、焦電体膜14の温度変化量が変動して焦電体膜14に生じる電圧が変化し、電極13と対向電極20との間に生じる電界Eの強度が変化する。この結果、イオン生成量イオン発生量)が変動してしまう。すなわち、イオンを安定して生成できなくなる。

0051

逆に言うと、電界Eの強度は、ヒータ11の温度を制御して、焦電体膜14の温度変化を制御することにより、すなわち焦電体膜14に生じる電圧の大きさを制御することにより、調整することができる。これにより、イオン生成量を一定(所望の値)にすることができる。すなわち、イオンを安定して生成することができる。

0052

ところで、通常、kVオーダーの電圧の生成には大きな昇圧回路が必要であるが、焦電体材料自体が自発的に持っている静電エネルギーである、自発分極の温度依存性(焦電効果)を利用することで、小型の焦電体に対して小さい入力エネルギーでkVオーダーの電圧を生成することができる。

0053

焦電効果による起電圧ΔVは、次の(1)式で表せる。
ΔV = d ×φ× ΔT / ε・・・(1)
d:焦電材料の厚み、φ:焦電係数、ΔT:温度変化、ε:焦電材料の誘電

0054

本実施形態のイオン発生部100では、焦電体材料をMEMSマイクロヒータの一側近傍に形成することで、熱容量を小さくすることができるので、従来の単結晶を用いる場合よりも高速で温度を制御することが可能であり、すなわち高速で電圧を制御することが可能である。この結果、高速で気体をイオン化することができる。すなわち、高速応答を実現できる。

0055

このとき、焦電体材料の温度変化を環境温湿度によらず正確に制御することで、発生電圧を制御することができ、この結果、イオン生成量を制御することができる。

0056

一般的に、焦電体材料の焦電係数及び誘電率は温度依存性を有する。したがって、上記(1)式より、使用する材料に適した温度制御を行うことで、発生電圧を制御することができる。

0057

結果として、焦電体を用いてイオンを安定して生成するためには、焦電体の温度変化を誘発する発熱体(ヒータ)の温度を環境温湿度によらず一定に制御する必要がある。

0058

そこで、本実施形態のイオン発生部100は、ヒータ11の温度を制御する温度制御回路30を更に備えている。すなわち、ヒータ11は、温度制御回路30によって温度制御される。

0059

以下に、温度制御回路30による温度制御のメカニズムについて説明する。

0060

ヒータ11の温度は、印加される電流や環境温湿度などにより変化するヒータ11の発熱量によって決まる。

0061

ヒータ11の発熱量をH、印加される電流をI、電気抵抗(抵抗値)をR、電流Iの印加時間をtとすると、H=I2Rtが成り立つ。そして、H/t=I2R=P(電力)である。

0062

すなわち、ヒータ11の発熱量Hは、電流Iと電気抵抗Rと印加時間tに依存する。

0063

そして、電気抵抗Rは、温度依存性がある。すなわち、温度が上がると電気抵抗Rが上がる。

0064

また、ヒータ11で生じる電圧V、電気抵抗R、電流Iには、V=IRの関係が成立する。

0065

結果として、ヒータ11の温度は、電流Iの印加時間tが同一の条件下では、電圧Vと電流Iで決まる。

0066

そこで、温度制御回路30は、後に詳述するように、ヒータ11で生じる電圧Vと基準抵抗33(図8参照)で生じる電圧が等しくなるようにヒータ11への入力電流を調整することで、ヒータ11の温度を設定温度目標値)に制御する。

0067

この結果、環境温湿度の変化によらず、ヒータ11を設定温度に制御することができる。

0068

温度制御回路30は、図8に示されるように、電源31を含む電源装置電流制御回路32、基準抵抗33、電源出力制御回路34などを含む。

0069

電流制御回路32は、電源装置と、ヒータ11及び基準抵抗33との間に接続され、ヒータ11及び基準抵抗33に流れる電流の比を一定にする。例えば、ヒータ11に流れる電流を基準抵抗33に流れる電流のN倍(例えば10倍)にすることができる。なお、N≧1であることが好ましい。

0070

また、基準抵抗33の電気抵抗は可変となっている。基準抵抗33で生じる電圧は、基準抵抗33の電気抵抗と印加される電流で決まる。ここでは、基準抵抗33に印加される電流は発熱がほとんど生じないほど小さくなっている。すなわち、基準抵抗33は、温度変化がほぼ0であり、抵抗値の温度変化がほとんどない。

0071

電源出力制御回路34は、ヒータ11で生じる電圧と基準抵抗33で生じる電圧が略同一となるように電源31の出力を制御する。

0072

ヒータ11の電気抵抗、基準抵抗33の電気抵抗、基準抵抗に印加される電流、ヒータ11で生じる電圧、基準抵抗33で生じる電圧をそれぞれ、RH、Rref、i、VH、Vrefとすると、次の(2)式、(3)式が成立する。
VH = RH × N × i・・・(2)
Vref = Rref × i・・・(3)

0073

そして、電源出力制御回路34でVH = Vref となるように電源31の出力が制御されるため、次の(3)式が成立する。
RH = Rfef / 10・・・(3)

0074

つまり、環境温湿度の変化などによってヒータ11の温度が変化しても、ヒータ11の電気抵抗が基準抵抗33の電気抵抗の1/Nとなるように電源出力制御回路34が電源31の出力を制御する。

0075

結果として、基準抵抗33の電気抵抗(抵抗値)が所定の大きさに制御され、ひいてはヒータ11の温度が設定値(目標値)に制御される。

0076

図9には、温度制御回路30の回路図が示されている。図9において、ヒータ11は、抵抗器R3であり、基準抵抗33は、抵抗器R4である。

0077

図9において、抵抗器R3に流れる電流は、抵抗器R1に流れる電流と等しい。抵抗器R4に流れる電流は、抵抗器R2に流れる電流と等しい。

0078

電源装置は、電源31に加えて、該電源31の下段に接続されたトランジスタTr2を含む。ここでは、トランジスタTr2として、例えばバイポーラトランジスタが用いられているが、例えば接合型FETMOSFET等の電界効果トランジスタを用いても良い。

0079

電流制御回路32は、抵抗器R1、抵抗器R2、オペアンプOA1、トランジスタTr1を含んで構成されている。ここでは、トランジスタTr1として、例えば接合型FET、MOSFET等の電界効果トランジスタが用いられているが、例えばバイポーラトランジスタを用いても良い。

0080

オペアンプOA1の出力電圧は、抵抗器R1で生じる電圧と抵抗器R2で生じる電圧が略等しくなるように出力され、トランジスタTr1のゲートに印加される。このとき、抵抗器R1及び抵抗器R2の抵抗値の比によって、抵抗R3及び抵抗R4に流れる電流の比を決定できる。すなわち、抵抗R3と抵抗R4に流れる電流の比を、抵抗器R1と抵抗器R2の抵抗値の比(一定)に制御できる。

0081

電源出力制御回路34は、オペアンプOA2を含んで構成されている。

0082

オペアンプOA2の出力電圧は、抵抗器R3で生じる電圧と抵抗器R4で生じる電圧が略等しくなるように出力され、電源装置のトランジスタTr2のベースに印加される。これによって、抵抗器R1(抵抗器R3)と抵抗器R2(抵抗器R4)に流れる電流の和が制御される。

0083

この状態で抵抗器R4の抵抗値を制御すると、抵抗器R3で生じる電圧と抵抗器R4で生じる電圧が略等しくなるように抵抗器R3に流れる電流が制御され、結果的に抵抗器R3の抵抗値が制御される。

0084

抵抗器R3は電流によって発熱しており、その抵抗値は温度によって変化する。結果的に、抵抗器R3の抵抗値は抵抗器R4の1/Nとなる(抵抗器R1と抵抗器R2の抵抗値の比を1:Nにした場合)。

0085

すなわち、抵抗器R3の抵抗値が抵抗器R4の抵抗値の1/Nとなるように抵抗器R3に流れる電流が制御される。

0086

図10には、抵抗器R3の抵抗値の温度依存性がグラフにて示されている。例えば、N=10としたとき、抵抗器R3の温度を300℃にしたければ、抵抗器R3の抵抗値は250Ωであればよい。そのために、抵抗器R4の抵抗値を、250Ωの10倍の2.5kΩとすれば良い。

0087

結果として、基準抵抗33の抵抗値を制御することで、ヒータ11の温度制御が可能となる。

0088

ここで、基準抵抗33の抵抗値が可変な構成例1、2をそれぞれ図11(A)、図11(B)を参照して説明する。

0089

先ず、構成例1は、図11(A)に示されるように、複数の抵抗器を選択的に並列接続可能な構成である。具体的には、基準抵抗33は、常時接続された1つの抵抗器Raと、該抵抗器Raに複数のスイッチSb、Sc・・・を介してそれぞれ接続された複数の抵抗器Rb、Rc・・・とを有する。各スイッチとしては、例えばリレーやトランジスタが用いられる。

0090

この場合、抵抗器Raの抵抗値によって、基準抵抗33の最低の抵抗値が決まることになる。

0091

ユーザは、操作部を介して、スイッチSb、Sc・・・のオンオフを独立に切り替えることができる。これにより、基準抵抗33の抵抗値を制御できる。

0092

一方、構成例2では、図11(B)に示されるように、基準抵抗33は可変抵抗であり、調整ダイヤルを介して手動で抵抗値を切り替えることができる。

0093

以下に、ヒータ11の支持構造に関して具体例を挙げて説明する。

0094

図12は、ヒータ11の支持構造(その1)を示す図である。図12上図は積層体1000をヒータ11側から見た図であり、図12下図は積層体1000の断面図(図12上図のP−P´断面図)である。

0095

先ず、ヒータ支持構造(その1)では、図12に示されるように、両端が対峙するL字状の一対の開口部が積層体1000に形成され、該積層体1000の絶縁膜12の一対の開口部間の中央の正方形状もしくは矩形状の領域にヒータ11の蛇行部が支持され、該開口部間の両端の細長い領域にヒータ11の2つの直線部(蛇行部の両端に連続する部分)が支持されている。積層体1000の一対の開口部の周囲の部分は、該一対の開口部に対応する正方形状もしくは矩形状の開口が形成された基板に支持されている。なお、図12上図では、基板の図示が省略されている。

0096

すなわち、積層体1000において、ヒータ11の蛇行部を支持する部分と、その周囲の部分との間には、所定の空間があり、これにより、該空間がない場合に比べて熱容量の低減が図られ、ヒータ11の発熱による焦電体膜14の温度変化を高速化することができる。すなわち、高速応答を実現できる。

0097

以上説明した本実施形態のイオン発生部100(イオン発生装置)は、第1の観点からすると、発熱体としてのヒータ11と、該ヒータ11の一側に配置された対向電極20と、ヒータ11と対向電極20との間に配置された焦電体膜14と、ヒータ11と焦電体膜14(焦電体からなる部材)との間に該焦電体膜14に接触して配置された電極13と、ヒータ11の温度を制御する温度制御回路30と、を備えている。

0098

この場合、ヒータ11の発熱により焦電体膜14の温度が変化し、焦電体膜14と対向電極20との間でイオンが発生する。この際、ヒータ11の温度を制御することで、環境温湿度によらず焦電体膜14の温度変化量を一定に制御できる。
この結果、イオンを安定して生成できる。

0099

また、温度制御回路30は、ヒータ11の発熱による焦電体膜14の温度変化量が所定値になるようにヒータ11の温度を制御する。
この場合、イオンをより安定して生成できる。

0100

また、温度制御回路30は、ヒータ11の温度を上記所定値に対応する目標値(設定温度)に制御する。
この場合、焦電体膜14の温度変化量を上記所定値に簡単に設定することができる。なお、予め、ヒータ11の温度の目標値と、焦電体膜14の温度変化量との関係を取得し、テーブル化しておくことが好ましい。これにより、焦電体膜14の所望の温度変化量に対するヒータ11の設定温度を容易に見つけることができる。

0101

また、イオン発生部100は、ヒータ11と電極13とに挟まれた絶縁膜12を更に備えている。
この場合、ヒータ11と電極13とを確実に絶縁することができる。また、ヒータ11、絶縁膜12、電極13及び焦電体膜14をユニット化一体化)できる。

0102

また、温度制御回路30は、電源31を有する電源装置を含み、該電源装置からの電流の一部は、ヒータ11に供給され、温度制御回路30は、電源装置からの電流の残部が供給される、電気抵抗が可変な基準抵抗33と、ヒータ11に供給される電流と基準抵抗33に供給される電流の比を制御する電流制御回路32と、ヒータ11での電圧降下と基準抵抗33での電圧降下に基づいて電源装置の出力を制御する電源出力制御回路34と、を更に含む。

0103

また、基準抵抗33は、複数の抵抗器を含み、温度制御回路30は、複数の抵抗器を選択的に並列接続可能なスイッチ装置を更に含むことが好ましい。あるいは、基準抵抗33は、可変抵抗であることが好ましい。

0104

また、電流制御回路32は、ヒータ11及び基準抵抗33へ流れる電流の比を略一定に制御する。

0105

さらに、電源出力制御回路34は、ヒータ11での電圧降下と基準抵抗33での電圧降下が略同一になるように電源装置の出力を制御する。

0106

また、電流制御回路32は、ヒータ11の上段に接続された抵抗器R1と、基準抵抗33の上段に接続された抵抗器R2と、抵抗器R1の下流端に第1の入力端が接続され、かつ抵抗器R2の下流端に第2の入力端が接続されたオペアンプOA1と、該オペアンプOA1の出力端にゲートが接続され、かつ抵抗器R2の下流端にソースが接続され、かつ基準抵抗33の上流端にドレインが接続されたトランジスタTr1と、を有する。

0107

また、電源出力制御回路34は、基準抵抗33の上流端に第1の入力端が接続され、かつヒータ11の上流端に第2の入力端が接続されたオペアンプOA2を有する。

0108

また、電源装置は、オペアンプOA2の出力端にベースが接続され、かつ電源31にエミッタが接続され、かつ抵抗器R1及び抵抗器R2の上流端にコレクタが接続されたトランジスタTr2と、を有する。なお、トランジスタTr2は、必須ではない。すなわち、電源装置は、電源31のみで構成されても良い。

0109

また、本実施形態のイオン発生部100は、第2の観点からすると、ヒータ11、絶縁膜12、電極13、焦電体膜14がこの順に積層された積層体と、焦電体膜14に対向する対向電極20と、ヒータ11の温度を制御する温度制御回路30と、を備えている。

0110

この場合、ヒータ11の発熱により焦電体膜14の温度が変化し、焦電体膜14と対向電極20との間でイオンが発生する。この際、ヒータ11の温度を制御することで、環境温湿度によらず焦電体膜14の温度変化量を制御できる。
この結果、イオンを安定して生成できる。

0111

以下に、上記実施形態の幾つかの変形例を説明するが、各変形例では、上記実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。

0112

《変形例1》
変形例1のイオン発生部210は、図13に示されるように、焦電体膜14と対向電極20との間に焦電体膜14に接触して配置された電極15を更に備えている点、すなわち対向電極20に対向する電極15を積層体が更に有している点が上記実施形態と異なる。

0113

変形例1によれば、焦電体膜14の表面(対向電極20側の面)が電極15で覆われているため、焦電体膜14の表面電荷を放電部(積層体と対向電極20との間の空間)に効率良く送ることができ、イオンをより安定して生成できる。

0114

《変形例2》
変形例2のイオン発生部300は、図14に示されるように、焦電体膜14と対向電極20との間に焦電体膜14に接触して配置された電極15´が、対向電極20側の面に複数の突起を有している点が上記変形例1と異なる。

0115

変形例2によれば、電極13と対向電極20との間に発生する電界を集中させることができ、放電に必要な電圧を低減することができる。

0116

《変形例3》
変形例3のイオン発生部400は、図15に示されるように、対向電極20が積層体側の面に複数の突起を有している点が上記変形例1と異なる。

0117

変形例3によれば、電極13と対向電極20との間に発生する電界を集中させることができ、放電に必要な電圧を低減することができる。

0118

《変形例4》
変形例4のイオン発生部500は、図16に示されるように、絶縁膜12と対向電極20との間に電極と焦電体膜が交互に並んでいる。ここでは、ヒータ11側から対向電極20側にかけて、電極13、焦電体膜14、電極15、焦電体膜16、電極17がこの順に交互に並んでいる。すなわち、電極17が対向電極20に対向している。なお、電極17を設けずに、焦電体膜16を対向電極20に対向させても良い。要は、電極及び焦電体膜の数がいずれも複数であることが好ましい。

0119

変形例4によれば、薄型の焦電体膜を複数用いることで、厚型の焦電体膜と同等の発生電圧を得ることができる。すなわち、変形例4は、焦電体膜の厚膜化が困難な場合に特に有効である。

0120

《変形例5》
変形例5のイオン発生部610は、図17に示されるように、ヒータ11の対向電極20と反対側の面上に絶縁膜9が設けられている点が上記実施形態と異なる。

0121

変形例5によれば、ヒータ11の物理的、化学的な劣化を抑制できる。

0122

以上説明した変形例1〜5以外にも、上記実施形態は、種々の変形が可能である。

0123

例えば、図18に示されるようなヒータ支持構造(その2)を採用しても良い。図18上図は、積層体1000をヒータ11側から見た図であり、図18下図は、積層体1000の断面図(図18上図のQ−Q´断面図)である。このヒータ支持構造(その2)では、積層体1000が、基板に形成された正方形状もしくは矩形状の開口の略中央に挿入され、ヒータ11の一端及び他端に接続されたワイヤを介して基板に宙吊り状態で支持されている。

0124

この場合、積層体1000と、その周囲の基板との間には空間があり、該空間がない場合に比べて熱容量の低減が図られ、ヒータ11の発熱による焦電体膜14の温度変化の高速化を図ることができる。すなわち、高速応答を実現できる。

0125

なお、ヒータ支持構造は、図12及び図18に示される構造に限らず、要は、ヒータ11及び焦電体膜14を含むユニットの熱容量が極力小さくなる構造であることが好ましい。

0126

また、上記実施形態及び各変形例では、発熱体として、抵抗加熱方式のヒータが用いられているが、これに限らず、例えば赤外線加熱方式のヒータ、マイクロ波加熱方式のヒータ、誘電加熱方式のヒータ等を用いても良い。

0127

また、上記実施形態及び各変形例では、ヒータ11と電極13との間に絶縁膜12を配置しているが、該絶縁膜12を設けずに、ヒータ11と電極13との間に空間を設けても良い。この場合、該空間の気体層(例えば空気層)がヒータ11と電極13との間の絶縁機能を有する。

0128

また、上記変形例1〜4において、対向電極と該対向電極に最も近い電極との間に電圧を印加して、電子を引き出しても良い。

0129

また、上記実施形態及び各変形例において、焦電体膜14の代わりに圧電体膜を用いても良い。圧電体は、ヒータ11による加熱で変形し電圧を発生させるため、焦電体膜14を用いるときと同様な効果を期待できる。

0130

圧電体膜の材料である圧電体としては、圧電効果を奏するものであれば良く、
(1)天然結晶である例えばベルリナイト燐酸アルミニウム:AlPO4)、蔗糖石英水晶)(SiO2)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム-ナトリウム)(KNaC4H4O6)、トパーズ黄玉ケイ酸塩)(Al2SiO4(F,OH)2)、電気石(トルマリン)グループ鉱物等や、
(2)人口結晶である例えばオルト(正)燐酸ガリウムGaPO4)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)等や、
(3)人工セラミックスであるチタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(ジルコニウム酸-チタン酸鉛)PZT、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、タングステン酸ナトリウム(NaXWO3)、酸化亜鉛(ZnO、Zn2O3)、Ba2NaNb5O5、Pb2KNb5O15、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)等や、
(4)鉛フリーセラミックスであるニオブ酸ナトリウムカリウム((K,Na)NbO3)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)、チタン酸ビスマス(Bi4Ti3O12)、チタン酸ビスマスナトリウム(Na0.5Bi0.5TiO3)等が挙げられる。以上の圧電体の中には、圧電効果のみならず、焦電効果を奏するものもある。

0131

また、上記実施形態及び各変形例で用いた材料、数値、形状等は、一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0132

《実施形態2》
実施形態2のイオン発生部700は、図19に示すように、上記実施形態のイオン発生部100におけるヒータ11をペルチェ素子11´に置き換えた構成を有している。
イオン発生部700では、ペルチェ素子11´に印加する電圧の極性によって焦電体膜14を加熱又は冷却することができる。また、焦電効果によって生じる電圧は、加熱時と冷却時で極性が逆になる。このため、ペルチェ素子11´を用いることによって、1つの焦電体膜14において、陽イオン陰イオンの双方を生じさせることができる。

0133

《実施形態3》
実施形態3のイオン発生部800は、図20に示すように、上記実施形態のイオン発生部100におけるヒータ11、絶縁膜12をそれぞれ発光素子11´´、光吸収層に置き換えた構成を有している。
イオン発生部800では、熱源としてヒータ11に替えて発光素子11´´を用いることで、熱源の熱容量を排除することができるで、温度変化が高速になり、焦電効果によって生じる電圧応答も速くなる。

0134

《実施形態4》
実施形態4のイオン発生部900は、図21に示すように、上記実施形態のイオン発生部100における焦電体膜14を分極方向が部分的に異なる分極構造(ここでは分極方向がA方向の第1部分と分極方向が−A方向の第2部分を含む構造)とした構成を有している。
イオン発生部900では、焦電効果によって生じる電圧は、第1部分と第2部分で極性が逆になる。このため、上記分極構造を有することにより、1つの焦電体膜14において、陽イオンと陰イオンの双方を生じさせることができる。

0135

なお、以上説明した上記実施形態、上記変形例1〜5、実施形態2〜4の構成の一部を適宜組み合わせることも可能である。

0136

以下に、発明者が上記各実施形態及び各変形例を発案するに至った思考プロセスを説明する。

0137

気体をイオン化させる方法として、焦電効果を用いることは既に知られている(例えば、J Am Soc Mass Spectrom 2009, 20, 2093-2099 )。焦電材料は温度変化によって表面電位が変化する材料であり、発生する電圧によって気体を電離させることができる。

0138

また、熱容量の小さいヒータの上に焦電薄膜を形成することで、小型、低消費電力、高速応答が期待できる技術が既に知られている(例えば特許文献1参照)。

0139

詳述すると、特許文献1には、数ボルト程度の小さな印加電圧で電子やイオンなどの電荷が放出できるようにした電荷エミッタを提供すると共に、これを用いた表示装置を提供することが目的で、真空中で焦電体を熱容量の小さいヒータで加熱して、加熱により変化した自発分極量の変化に基づく吸着浮遊電荷を、電極から放出させる。この電荷エミッタを用いた放出電荷衝突による蛍光体発光や、放出電荷により気体放電させて、その発光色を利用するか、放射する紫外線などで蛍光体を刺激して発光させるかなどして、画像のフルカラー表示させることを特徴とする電荷エミッタが開示されている。

0140

しかし、特許文献1等の焦電効果を用いた従来の技術では、発生電圧やイオン生成量の制御を目的とした温度制御が行われておらず、イオンの生成量が不安定であった。

0141

そこで、発明者は、この問題を解決するために上記各実施形態及び各変形例を発案した。

0142

10…積層体、11…ヒータ(発熱体)、11´…ペルチェ素子(発熱体)、11´´…発光素子(発熱体)、12…絶縁膜(絶縁体)、13…電極、14、16…焦電体膜(焦電体からなる部材)、15、15´、17…電極、20、20´…対向電極、100、210、300、400、500、610、700、800、900…イオン発生部(イオン発生装置)。

先行技術

0143

特開2004−241162号公報

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