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技術 エンジン始動装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 中岡卓郎蛭間淳之井村彰宏
出願日 2015年11月11日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2015-221069
公開日 2017年5月25日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-089508
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の始動装置
主要キーワード 予備過程 モータ回転力 通電ライン コイル巻き数 押出機構 シフトレバ 相対回転数差 電磁スイッチ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

ピニオン9とリングギヤ10との当接音および噛み合い音を低減できるエンジン始動装置を提供する。

解決手段

エンジン始動装置は、回転力を発生する第1の始動機2と第2の始動機3を備える。エンジン1の始動要求が発生して第1の始動機2及び第2の始動機3に対し駆動指令が出力されると、第1の始動機2がエンジン1のクランク軸1aを回転させ、第2の始動機3がソレノイドSLの電磁力によりピニオン9を押し出してリングギヤ10に噛み合わせる。これにより、第2の始動機3は、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまでモータ7を回転させる必要がない。つまり、ソレノイドSLの電磁力によりピニオン9を押し出すだけで良いので、ソレノイドSLが発生する電磁力を小さくできる。また、ピニオン9がリングギヤ10に当接した時にピニオン9を回す必要がないので、ピニオン9とリングギヤ10との相対回転数差を小さくできる。

概要

背景

従来、自動車等の車両が交差点等で一時停止した際にエンジンを自動的に停止させるアイドリングストップが知られている。エンジンが停止した状態から運転者発進操作(例えば、ブレーキペダルから足を離す動作)を行うと、スタータが作動してエンジンを再始動させることができる。アイドリングストップからスタータによりエンジンを迅速に再始動させる方法として特許文献1が公知である。
特許文献1には、エンジンが停止した状態で電磁スイッチソレノイド通電してピニオン押し出す予備過程を行い、その後、発進時にモータを回転させてピニオンをリングギヤに噛み合わせることでエンジンの再始動を行う方法が開示されている。

概要

ピニオン9とリングギヤ10との当接音および噛み合い音を低減できるエンジン始動装置を提供する。エンジン始動装置は、回転力を発生する第1の始動機2と第2の始動機3を備える。エンジン1の始動要求が発生して第1の始動機2及び第2の始動機3に対し駆動指令が出力されると、第1の始動機2がエンジン1のクランク軸1aを回転させ、第2の始動機3がソレノイドSLの電磁力によりピニオン9を押し出してリングギヤ10に噛み合わせる。これにより、第2の始動機3は、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまでモータ7を回転させる必要がない。つまり、ソレノイドSLの電磁力によりピニオン9を押し出すだけで良いので、ソレノイドSLが発生する電磁力を小さくできる。また、ピニオン9がリングギヤ10に当接した時にピニオン9を回す必要がないので、ピニオン9とリングギヤ10との相対回転数差を小さくできる。

目的

本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、ピニオンがリングギヤに当接する際に生じる当接音およびピニオンとリングギヤとの噛み合い時に生じる噛み合い音を低減できるエンジン始動装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エンジン(1)のクランク軸(1a)に連結されて回転力を発生することで前記クランク軸を駆動できる第1の始動機(2)と、ソレノイド(SL)が発生する電磁力によってピニオン(9)を前記エンジンのリングギヤ(10)に向けて押し出す機能を有する第2の始動機(3)とを備え、前記エンジンをクランキングする際に最初の圧縮上死点乗り越すのに必要なトルク初回乗り越しトルクと呼び、前記エンジンの始動要求が発生した時に、前記第1の始動機が前記クランク軸を前記初回乗り越しトルクより小さいトルクで回転させ、前記第2の始動機が前記ピニオンを前記リングギヤに向けて押し出すことを特徴とするエンジン始動装置

請求項2

請求項1に記載したエンジン始動装置において、前記第1の始動機は、電源周波数に応じて回転速度を可変する交流機であり、前記交流機に印加する周波数を可変するインバータ(5)を有することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項3

請求項2に記載したエンジン始動装置において、前記インバータは、前記エンジンの始動要求に応答して前記第1の始動機の動作タイミングと前記第2の始動機の動作タイミングとを制御する機能を有することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項4

請求項1または2に記載したエンジン始動装置において、前記エンジンの始動要求に応答して前記第1の始動機の動作タイミングと前記第2の始動機の動作タイミングとを制御する制御装置(15)を有することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項5

請求項4に記載したエンジン始動装置において、前記制御装置は、前記第1の始動機の回転数または前記回転数に相関する物理量に基づいて前記ピニオンが前記リングギヤに噛み合ったか否かを判定することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項6

請求項4に記載したエンジン始動装置において、前記制御装置は、前記ソレノイドに通電された後、一定時間経過した時点で前記ピニオンが前記リングギヤに噛み合ったと判定することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項7

請求項2に記載したエンジン始動装置において、前記エンジンの始動要求に応答して前記第1の始動機の動作タイミングと前記第2の始動機の動作タイミングとを制御する制御装置(15)を有し、前記制御装置は、前記インバータが前記第1の始動機の動作制御のために管理している物理量に基づいて前記ピニオンが前記リングギヤに噛み合ったか否かを判定することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項8

請求項4〜7のいずれか一項に記載したエンジン始動装置において、前記第2の始動機は、前記ピニオンを回転駆動するモータ(7)を有し、前記制御装置は、前記第1の始動機が前記クランク軸を回転できない状態を検出した時に前記ソレノイドが発生する電磁力を大きくして前記モータを作動させることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項9

請求項4〜7のいずれか一項に記載したエンジン始動装置において、前記第2の始動機は、前記ピニオンを回転駆動するモータ(7)を有し、前記第1の始動機が正常に動作できる動作温度の下限値が設定され、前記制御装置は、前記第1の始動機が前記動作温度の下限値より低い温度を検出した時に前記ソレノイドが発生する電磁力を大きくして前記モータを作動させることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項10

請求項8または9に記載したエンジン始動装置において、前記ソレノイドのコイル巻き数が少ない状態で通電する第1の通電ライン(L1)と、前記ソレノイドのコイル巻き数が多い状態で通電する第2の通電ライン(L2)と、前記第1の通電ラインと前記第2の通電ラインのどちらか一方を選択的に切り替え切替スイッチ(18、19)とを有し、前記制御装置は、前記切替スイッチの動作を制御して前記第1の通電ラインから前記第2の通電ラインへ切り替えることで前記ソレノイドが発生する電磁力を大きくすることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項11

請求項8または9に記載したエンジン始動装置において、前記ソレノイドの通電ライン(L)に設けられる半導体スイッチ(20)を有し、前記制御装置は、前記半導体スイッチのオンオフ動作PWM制御して前記ソレノイドが発生する電磁力を大きくすることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項12

請求項8〜11のいずれか一項に記載したエンジン始動装置において、前記第2の始動機は、前記モータの通電経路に設けられるメイン接点(14)を開閉して前記モータへの通電をオンオフする機能と、前記ピニオンを前記リングギヤに向けて押し出す機能とを独立して制御できるタンデムソレノイドスタータであることを特徴とするエンジン始動装置。

技術分野

0001

本発明は、回転力を発生する二つの始動機によってエンジン始動を行うエンジン始動装置に関する。

背景技術

0002

従来、自動車等の車両が交差点等で一時停止した際にエンジンを自動的に停止させるアイドリングストップが知られている。エンジンが停止した状態から運転者発進操作(例えば、ブレーキペダルから足を離す動作)を行うと、スタータが作動してエンジンを再始動させることができる。アイドリングストップからスタータによりエンジンを迅速に再始動させる方法として特許文献1が公知である。
特許文献1には、エンジンが停止した状態で電磁スイッチソレノイド通電してピニオン押し出す予備過程を行い、その後、発進時にモータを回転させてピニオンをリングギヤに噛み合わせることでエンジンの再始動を行う方法が開示されている。

先行技術

0003

特許第4232069号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところが、特許文献1のエンジン始動方法では、予備過程で押し出されたピニオンがリングギヤに当接した後、モータを回転させてピニオンをリングギヤに噛み合わせる際に、電磁スイッチに内蔵されるドライブスプリング反力が利用される。すなわち、ピニオンがリングギヤに当接した後、モータの回転を受けてピニオンがリングギヤと噛み合い可能な位置まで回転すると、それまでに蓄えられたドライブスプリングの反力によりピニオンが押し込まれてリングギヤとの噛み合いが成立する。このため、ソレノイドが発生する電磁力は、ピニオンがリングギヤに当接した状態でドライブスプリングを圧縮できるだけの強さを有している。このため、ピニオンを押し出す力が大きくなり、予備過程で押し出されたピニオンがリングギヤに当接する際に生じる当接音が大きくなる。

0005

また、モータに回転駆動されるピニオンのイナーシャが小さいため、モータの回転を受けてピニオンがリングギヤに噛み合う時の回転速度が高くなる。言い換えると、ピニオンとリングギヤとの相対回転数差が大きいため、ピニオンがリングギヤに噛み合う時の衝撃が大きくなり、噛み合い時に生じる噛み合い音も大きくなる。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、ピニオンがリングギヤに当接する際に生じる当接音およびピニオンとリングギヤとの噛み合い時に生じる噛み合い音を低減できるエンジン始動装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

請求項1に係る本発明のエンジン始動装置は、エンジンのクランク軸に連結されて回転力を発生することで前記クランク軸を駆動できる第1の始動機と、ソレノイドが発生する電磁力によってピニオンを前記エンジンのリングギヤに向けて押し出す機能を有する第2の始動機とを備え、前記エンジンをクランキングする際に最初の圧縮上死点乗り越すのに必要なトルク初回乗り越しトルクと呼び、前記エンジンの始動要求が発生した時に、前記第1の始動機が前記クランク軸を前記初回乗り越しトルクより小さいトルクで回転させ、前記第2の始動機が前記ピニオンを前記リングギヤに向けて押し出すことを特徴とする。

0007

本発明のエンジン始動装置は、エンジンの始動要求が発生した時に、第1の始動機によりクランク軸を回転させ、第2の始動機によりピニオンを押し出すことでピニオンをリングギヤに噛み合わせることができる。第1の始動機は、エンジンの初回乗り越しトルクより小さいトルクによってクランク軸を回転させるので、第1の始動機がクランク軸を回転させてもエンジンが自立回転することはない。言い換えると、第1の始動機は、エンジンが自立回転しない程度の低速度でクランク軸を回転させるので、特許文献1に記載されたエンジン始動方法と比較してピニオンがリングギヤに噛み合う時の相対回転数差を小さくできる。これにより、ピニオンがリングギヤに噛み合う時の衝撃が小さくなるため、噛み合い音を小さくできる。なお、第1の始動機と第2の始動機は、どちらを先に作動させても良い。つまり、第1の始動機を第2の始動機より先に作動させる、あるいは第2の始動機を第1の始動機より先に作動させることもできる。

0008

第2の始動機によって押し出されたピニオンがリングギヤに当接すると、リングギヤがピニオンと噛み合い可能な位置まで回転することでピニオンとリングギヤとの噛み合いが成立する。この場合、従来スタータに用いられるドライブスプリングの反力でピニオンを押し込む必要はないので、仮に第2の始動機がドライブスプリングを有する構成であっても、そのドライブスプリングが実質機能しないようにできる。もしくは、第2の始動機からドライブスプリングを廃止することも可能である。これにより、第2の始動機は、ピニオンがリングギヤに当接した後、ドライブスプリングを圧縮する必要がないので、従来スタータと比較してソレノイドが発生する電磁力を小さくできる。その結果、ピニオンを押し出す力が小さくなるため、ピニオンがリングギヤに当接する際に生じる当接音を低減できる。

図面の簡単な説明

0009

実施例1に係るエンジン始動装置の構成図である。
実施例1に係るエンジン始動装置の動作説明図である。
実施例1に係る第1の始動機のインバータ構成図である。
実施例2に係るエンジン始動装置の構成図である。
実施例2の動作手順を示す第1のフローチャートである。
実施例2の動作手順を示す第2のフローチャートである。
実施例3に係るエンジン始動装置の構成図である。
実施例3の動作手順を示すフローチャートである。
実施例3に係るエンジン始動装置の他の構成図である。
実施例4に係るエンジン始動装置の構成図である。
実施例4の動作手順を示すフローチャートである。
実施例5に係るエンジン始動装置の構成図である。
実施例5に係るエンジン始動装置の動作説明図である。

0010

本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。

0011

〔実施例1〕
実施例1のエンジン始動装置は、図1に示すように、回転力を発生してエンジン1の始動を行う第1の始動機2と第2の始動機3を備える。
第1の始動機2は、例えば、電動機及び発電機として機能するモータジェネレータであり、ロータ軸2aとエンジン1のクランク軸1aとが互いのプーリ(図示せず)に掛け渡されるベルト4を介して連結される。電動機として働くモータジェネレータは、インバータ5(図3参照)よりステータ巻線2bに三相交流印加されて回転磁界を発生し、その回転磁界にロータ(図示せず)が吸引されて回転する。
インバータ5は、図3に示すように、バッテリ6に接続される複数のスイッチング素子5aと、スイッチング素子5aのオンオフ動作を制御する制御回路5bとを有し、バッテリ6の直流交流に変換して周波数を変えることにより第1の始動機2の回転数を任意に制御できる。

0012

第2の始動機3は、回転力を発生するモータ7と、このモータ7に駆動される出力軸8と、この出力軸8の軸上を移動可能に配置されるピニオン9と、このピニオン9をエンジン1のリングギヤ10に向けて押し出すピニオン押出機構等より構成される。リングギヤ10は、クランク軸1aに取り付けられるAT車ドライブプレートまたはMT車のフライホイールの外周に設けられる。
ピニオン押出機構は、ソレノイドSLを内蔵する電磁スイッチ11によって構成される。電磁スイッチ11は、ソレノイドSLが発生する電磁力によりプランジャ12を駆動し、このプランジャ12に連結されるレバー13を介してピニオン9を押し出すと共に、モータ回路に設けられるメイン接点14を開閉してモータ電流オンオフする働きを有する。

0013

〔実施例1の作用および効果〕
実施例1のエンジン始動装置は、二つの始動機(第1の始動機2と第2の始動機3)によってエンジン1の始動を行う。すなわち、エンジン1の始動要求が発生して第1の始動機2及び第2の始動機3に対し駆動指令が出力されると、第1の始動機2がクランク軸1aを回転させ、第2の始動機3がソレノイドSLの電磁力によりピニオン9を押し出してリングギヤ10に噛み合わせる。この時、第1の始動機2は、エンジン1が最初の圧縮上死点を乗り越すのに必要な初回乗り越しトルクより小さいトルクでクランク軸1aを回転させる。第2の始動機3は、図2に示すように、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合った状態でメイン接点14を閉成する。言い換えると、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまでの間、メイン接点14が閉成することはない。

0014

第1の始動機2がクランク軸1aを回転させてリングギヤ10を回すので、ピニオン9をリングギヤ10に噛み合わせる過程で第2の始動機3のモータ回転力を利用する必要はない。つまり、ソレノイドSLの電磁力によって押し出されたピニオン9がリングギヤ10に当接した場合、モータ7によってピニオン9を回転させなくても、リングギヤ10が回転することでピニオン9とリングギヤ10との噛み合いが成立する。
ここで、第1の始動機2のロータ軸2aに掛かる慣性モーメントは、第2の始動機3の出力軸8に掛かる慣性モーメントより大きいので、モータ7によりピニオン9を回転させる従来スタータと比較してピニオン9とリングギヤ10との相対回転数差を小さくできる。その結果、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合う時の衝撃が低減されて噛み合い音を小さくできる。

0015

また、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまではモータ7によってピニオン9を回す必要がないので、ピニオン9がリングギヤ10に当接した後、メイン接点14を閉成するためにドライブスプリング(図示せず)を圧縮する必要はない。すなわち、ドライブスプリングの反力でピニオン9を押し込む必要はないので、ドライブスプリングを実質機能しないようにできる。もしくは、第2の始動機3からドライブスプリングを廃止することも可能である。これにより、ソレノイドSLが発生する電磁力を小さくできるので、ピニオン9を押し出す力が小さくなってピニオン9がリングギヤ10に当接する際に生じる当接音を低減できる。また、リングギヤ10に噛み合ったピニオン9は、出力軸8に設けられるストッパ(図示せず)に当接することで軸方向の移動が規制されるが、ピニオン9を押し出す力が小さいので、ピニオン9がストッパに当接する時に生じるストッパ当接音も低減できる。
さらに、第1の始動機2は、エンジン1の初回乗り越しトルクより小さいトルクでクランク軸1aを回転させるので、第1の始動機2の体格を小さくすることが可能である。

0016

以下、本発明に係る他の実施例について説明する。
なお、実施例1と共通する部品および構成を示すものは、実施例1と同一の符号を付与して詳細な説明は省略する。
〔実施例2〕
実施例2では、エンジン1の始動要求により第1の始動機2及び第2の始動機3が動作を開始してピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまでの流れを図5に示すフローチャートに沿って説明する。第1の始動機2及び第2の始動機3の動作タイミングは、制御装置であるECU15(図4参照)によって制御される。

0017

ECU15は、アイドリングストップが実行された後、所定の再始動条件が成立してエンジン1の始動要求が発生すると、第1の始動機2及び第2の始動機3に対し駆動指令を出力する。なお、所定の再始動条件とは、例えば、運転者がブレーキペダルを緩める、シフトレバーをNレンジからDレンジに入れる等の動作が行われた時に成立する。
下記のステップS1〜S10は、図5に示すフローチャートの各ステップに付したS1〜S10に該当する。
ステップS1…クランク軸1aの回転が停止している、つまりエンジン回転数=0であることを確認してステップS2へ進む。
ステップS2…エンジン1の始動要求が発生したか否かを判定する。始動要求が発生した時(判定結果YES)にステップS3へ進む。

0018

ステップS3…第1の始動機2に対する駆動指令を出力する。
ステップS4…第1の始動機2が動作を開始する。この時、第1の始動機2は、エンジン1が最初の圧縮上死点を乗り越すのに必要な初回乗り越しトルクより小さいトルクでクランク軸1aを回転させる。
ステップS5…第1の始動機2に発生する回転力がクランク軸1aに伝達されてリングギヤ10が回転する。
ステップS6…第2の始動機3に対する駆動指令を出力する。
ステップS7…電磁スイッチ11のソレノイドSLに通電される。
ステップS8…ソレノイドSLが発生する電磁力によりレバー13が駆動されてピニオン9が押し出される。

0019

ステップS9…ピニオン9とリングギヤ10との噛み合い判定を行う。具体的には、ソレノイドSLに通電された後、一定時間経過したか否かを判定する。あるいは、インバータ5が第1の始動機2の動作制御のために管理している物理量に基づいて噛み合い判定を行う。第1の始動機2の動作制御のために管理している物理量とは、例えば、第1の始動機2に印加される電流または電圧、第1の始動機2が発生するトルク(電流より換算可能)、第1の始動機2の回転数、電流値相関する第1の始動機2の温度などである。

0020

ステップS10…ソレノイドSLに通電後、一定時間経過した時点でピニオン9とリングギヤ10との噛み合いが完了したと判定する。あるいは、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うと、第1の始動機2のロータ軸2aに掛かる慣性モーメントが増大して前記物理量に変化が生じるため、その物理量の変化が検出された時に噛み合いが完了したと判定する。物理量の変化とは、電流値の上昇、電圧値の低下、トルク値の上昇、回転数の低下、温度の上昇などである。

0021

なお、図5に示すフローチャートでは、ECU15からの駆動指令を受けて第1の始動機2の方が第2の始動機3より先に動作を開始するが、図6のフローチャートに示すように、第2の始動機3の方が第1の始動機2より先に動作を開始しても良い。つまり、図5のフローチャートのステップS6〜S8が図6のフローチャートのステップS3〜S5へ移り、同様に、図5のフローチャートのステップS3〜S5が図6のフローチャートのステップS6〜S8へ移る。
また、ECU15は、第1の始動機2に対する駆動指令と、第2の始動機3に対する駆動指令とを同一タイミングで出力することもできる。
上記のように、第1の始動機2と第2の始動機3の動作タイミングを一つのECU15が制御するので、エンジン1の始動要求に応答して速やかにピニオン9をリングギヤ10に噛み合わせることができる。

0022

〔実施例3〕
実施例3のエンジン始動装置は、バッテリ6からソレノイドSLに通電する二系統通電ラインを有し、その通電ラインを切り替えることでソレノイドSLが発生する電磁力を可変する一例である。
ソレノイドSLは、図7に示すように、直列に接続される第1コイル16と第2コイル17とを有する。ソレノイドSLへの通電ラインは、第1コイル16のみ通電する第1の通電ラインL1と、第1コイル16と第2コイル17の両方に通電する第2の通電ラインL2とが設けられる。
第1の通電ラインL1と第2の通電ラインL2には、それぞれ電磁石によって接点を開閉する機械式スイッチが設けられ、ECU15より出力される制御信号によって電磁石のオンオフ状態が制御される。以下、第1の通電ラインL1に設けられる機械式スイッチを通常始動用スイッチ18と呼び、第2の通電ラインL2に設けられる機械式スイッチを低温始動用スイッチ19と呼ぶ。

0023

以下、実施例3の動作手順を図8に示すフローチャートを基に説明する。
ステップS1…クランク軸1aの回転が停止している、つまりエンジン回転数=0であることを確認してステップS2へ進む。
ステップS2…エンジン1の始動要求が発生したか否かを判定する。始動要求が発生した時(判定結果YES)にステップS3へ進む。
ステップS3…第1の始動機2が実質的に動作できない低温状態であるか否かを判定する。第1の始動機2が実質的に動作できない低温状態とは、第1の始動機2が正常に動作できる動作温度の下限値より低い温度状態を言う。判定結果がNO(第1の始動機2が正常に動作できる温度)の場合はステップS4へ進み、判定結果がYESの場合はステップS5へ進む。

0024

ステップS4…通常始動用スイッチ18をオン制御してステップS6へ進む。
ステップS5…低温始動用スイッチ19をオン制御してステップS9へ進む。
ステップS6…第1の始動機2に対する駆動指令を出力する。
ステップS7…第1の始動機2が動作を開始する。
ステップS8…第1の始動機2に発生する回転力がクランク軸1aに伝達されてリングギヤ10が回転する。
ステップS9…第2の始動機3に対する駆動指令を出力する。

0025

ステップS10…電磁スイッチ11のソレノイドSLに通電される。
ステップS11…ソレノイドSLが発生する電磁力によりレバー13が駆動されて、ピニオン9がリングギヤ10に向けて押し出される。
ステップS12…ピニオン9とリングギヤ10との噛み合い判定を行う(実施例1と同じ)。
ステップS13…ピニオン9とリングギヤ10との噛み合いが完了する(実施例1と同じ)。

0026

この実施例3では、通常始動用スイッチ18をオンすると、ソレノイドSLの第1コイル16のみ通電されるため、ソレノイドSLが発生する電磁力を小さくできる。また、低温始動用スイッチ19をオンすると、ソレノイドSLの第1コイル16と第2コイル17の両方に直列に通電されるため、ソレノイドSLが発生する電磁力を大きくできる。従って、第1の始動機2が正常に動作できない低温状態の時は、低温始動用スイッチ19をオンしてソレノイドSLが発生する電磁力を大きくすることにより、第2の始動機3のみでピニオン9をリングギヤ10に噛み合わせることができる。
ここで、低温始動用スイッチ19をオンした状態で生じるソレノイドSLの電磁力は、ピニオン9がリングギヤ10に当接した後、ドライブスプリングを圧縮しながらプランジャ12を吸引してメイン接点14を閉成できるだけの強さを有する。これにより、第1の始動機2がクランク軸1aを回転できなくても、ピニオン9がモータ7に駆動されてリングギヤ10と噛み合い可能な位置まで回転することでリングギヤ10に噛み合うことができる。

0027

なお、第1の始動機2が低温状態で実質的に動作できない場合とは、第1の始動機2が故障して動作できないのではなく、低温状態で正常に動作できなくなっているに過ぎない。これに対し、第1の始動機2が故障を含む何らかの不具合により動作できない場合も考えられる。そこで、低温状態であるか否かを判定する代わりに、例えば、第1の始動機2に対する駆動指令が出力されたにも係わらず、第1の始動機2が動作しない、あるいはクランク軸1aが回転しないことを検出した時に低温始動用スイッチ19をオンすることも有効である。この場合、第1の始動機2が低温状態で実質的に動作できない場合だけでなく、故障を含む何らかの不具合により動作できない場合にも対応できるので、信頼性の向上に寄与する。
実施例3の通常始動用スイッチ18および低温始動用スイッチ19は、図7に示す機械式スイッチに替えて、図9に示す半導体スイッチを用いることもできる。

0028

〔実施例4〕
実施例4は、図10に示すように、ソレノイドSLの通電ラインLに半導体スイッチ20を設け、その半導体スイッチ20のオンオフ動作をPWM制御することでソレノイドSLが発生する電磁力を可変する一例である。
実施例4の動作手順を図11に示すフローチャートを基に説明する。
ステップS1〜S3は実施例3と同じである。
ステップS4…半導体スイッチ20を駆動するPWM信号デューティ比を小さくする。
ステップS5…半導体スイッチ20を駆動するPWM信号のデューティ比を大きくする。
ステップS6〜S13は実施例3と同じである。

0029

半導体スイッチ20を駆動するPWM信号のデューティ比を小さくしてソレノイドSLへの通電量を低減することにより、ソレノイドSLが発生する電磁力を小さくできる。一方、PWM信号のデューティ比を大きくしてソレノイドSLへの通電量を増大することにより、ソレノイドSLが発生する電磁力を大きくできる。よって、第1の始動機2が正常に動作できない低温状態の時は、PWM信号のデューティ比を大きくしてソレノイドSLが発生する電磁力を大きくすることにより、第2の始動機3のみでピニオン9をリングギヤ10に噛み合わせることができる。
また、低温状態であるか否かを判定する代わりに、第1の始動機2に対する駆動指令が出力されたにも係わらず、第1の始動機2が動作しない、あるいはクランク軸1aが回転しないことを検出した時にPWM信号のデューティ比を大きくすることも有効である。

0030

〔実施例5〕
実施例5に示すエンジン始動装置は、第2の始動機3をタンデムソレノイドスタータとする一例である。
タンデムソレノイドスタータは、図12に示すように、ピニオン9を押し出すためのソレノイドSL1と、メイン接点14を開閉するためのソレノイドSL2とを有し、図13に示すECU15によって両ソレノイドSL1、SL2の動作を独立に制御できる。
ECU15は、エンジン1の始動要求が発生すると、第1の始動機2とソレノイドSL1に対し駆動指令を出力し、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合った後、ソレノイドSL2に対し駆動指令を出力する。

0031

ピニオン9がリングギヤ10に噛み合うまでの動作は、例えば、実施例1と同じである。すなわち、第1の始動機2がクランク軸1aを回転させ、ソレノイドSL1がピニオン9を押し出すことでピニオン9をリングギヤ10に噛み合わせることができる。これにより、実施例1と同様に、ピニオン9とリングギヤ10との相対回転数差を小さくできるので、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合う時の噛み合い音を小さくできる。また、ピニオン9を押し出すソレノイドSL1の電磁力を小さくできるので、ピニオン9がリングギヤ10に当接する際に生じる当接音及びストッパに当接する際に生じるストッパ当接音を低減できる。

0032

さらに、両ソレノイドSL1、SL2の動作を独立に制御できるので、ピニオン9がリングギヤ10に噛み合った後、第1の始動機2の動作を停止してソレノイドSL2を駆動することにより、モータ7の回転力によってエンジン1をクランキングできる。この場合、第1の始動機2の動作を停止してソレノイドSL2への駆動指令を出力する際に、その切替タイミングを時間ロスなく制御できる。

実施例

0033

〔変形例〕
本発明のエンジン始動装置は、第1の始動機2に直流モータを使用する構成でも良い。
実施例2では、第1の始動機2の動作タイミングと第2の始動機3の動作タイミングとをECU15が制御しているが、両始動機2、3の動作タイミングをインバータ5によって管理することも可能である。

0034

1エンジン1aクランク軸
2 第1の始動機3 第2の始動機
5インバータ7モータ
9ピニオン10リングギヤ
11電磁スイッチ15 ECU(制御装置)
18通常始動用スイッチ(切替スイッチ)
19低温始動用スイッチ(切替スイッチ)
20半導体スイッチ SLソレノイド
L1 第1の通電ラインL2 第2の通電ライン

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