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図面 (14)

課題

プロペラからの逆入力に起因するエンジン逆転を高精度で検出する。

解決手段

船外機2は、エンジン5と、クランク軸回転センサ25と、プロペラ4に結合されたプロペラ軸19と、前後進切替機構20とを含む。前後進切替機構20は、シフトイン状態と、ニュートラル状態とに切り替わる。船外機2は、シフトイン状態およびニュートラル状態のいずれの状態であるかを検出するニュートラルスイッチ33と、燃焼室49に空気を供給する吸気通路50と、スロットルバルブ48と、吸気圧センサ51と、エンジンECU6とを含む。エンジンECU6は、センサ類25,33,51の出力に基づき、逆転記録条件の成否を判断し、その条件が成立すると、逆転情報を記憶する。逆転記録条件は、クランク軸23が正転方向に回転している状態でニュートラルからシフトイン状態に切り替わった後に、吸気圧吸気圧閾値よりも大きくなるという条件を含む。

概要

背景

船舶推進機の一つの例は船外機である。船外機は、たとえば、エンジンと、プロペラと、エンジンの駆動力をプロペラに伝達する駆動力伝達機構とを含む。駆動力伝達機構は、エンジンの回転力のプロペラへの伝達を切り替えシフト機構を含む。シフト機構は、船外機のシフト位置を切り替える。シフト位置は、エンジンの回転をプロペラの前進方向回転正転)に変換する「前進」と、エンジンの回転をプロペラの後進方向回転(逆転)に変換する「後進」と、エンジンの回転をプロペラに伝達しない「ニュートラル」とを含む。このようなシフト機構を備えることで、エンジンの回転が常に一方に回転しているにも関わらず、プロペラおよびプロペラシャフトの回転方向を正転方向と逆転方向とに切り替えることができる。

船外機を搭載した船舶高速に前進航走している状態で、操船者がシフト位置を前進から後進に切り替えると、エンジンからのプロペラシャフトに伝達される駆動力が逆転方向の回転であるにも関わらず、船舶に作用する慣性により発生する水流によってプロペラが正転方向に回転させられる。このような操作方法は、船舶の安定性およびエンジン保護の観点から本来推奨されるものではないが、仮にこのような操作が行われると、エンジンのクランク軸を逆転させようとする回転力がプロペラから入力されてしまう。このプロペラからの逆入力による回転力がエンジンの駆動力を上回ると、クランク軸が逆転する。とくに、水中に排気口を有する船外機においては、クランク軸の逆転によって、排気口から水が吸い上げられ、エンジン内に進入するおそれがある。

そこで、エンジンの逆転を検出し、ユーザに報知したり、エンジンを停止したり、シフト位置を強制的にニュートラルにして動力伝達経路遮断したりすることが提案されている。
たとえば、特許文献1の先行技術では、クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいてエンジンの逆転を検出し、エンジンの逆転が検出されると点火および燃料噴射を停止している。また、特許文献2の先行技術では、クランク軸およびカム軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいてクランク軸の逆転を検出し、逆転が検出されるとシフト位置が強制的にニュートラルに移行させられる。

一方、特許文献3の先行技術では、クランク軸の回転によって駆動されるオイルポンプまたは冷却水ポンプ圧力変化監視して逆転を検出している。たとえば、最小油圧Pminを設定し、シフト切替時に最小油圧Pminを下回った場合には、オイルポンプによるオイル供給がされていないと判断できるため、それに基づいて、ポンプ駆動軸連動するクランク軸が逆転方向へ回転していると判断している。

概要

プロペラからの逆入力に起因するエンジンの逆転を高精度で検出する。船外機2は、エンジン5と、クランク軸回転センサ25と、プロペラ4に結合されたプロペラ軸19と、前後進切替機構20とを含む。前後進切替機構20は、シフトイン状態と、ニュートラル状態とに切り替わる。船外機2は、シフトイン状態およびニュートラル状態のいずれの状態であるかを検出するニュートラルスイッチ33と、燃焼室49に空気を供給する吸気通路50と、スロットルバルブ48と、吸気圧センサ51と、エンジンECU6とを含む。エンジンECU6は、センサ類25,33,51の出力に基づき、逆転記録条件の成否を判断し、その条件が成立すると、逆転情報を記憶する。逆転記録条件は、クランク軸23が正転方向に回転している状態でニュートラルからシフトイン状態に切り替わった後に、吸気圧吸気圧閾値よりも大きくなるという条件を含む。

目的

この発明の一実施形態は、プロペラからの逆入力に起因するエンジンの逆転を高精度で検出できる船舶推進機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

クランク軸正転方向に回転させるエンジンと、前記クランク軸の回転速度を検出する回転速度検出ユニットと、プロペラに結合されたプロペラ軸と、前記クランク軸の回転を前記プロペラ軸に伝達するシフトイン状態と、前記クランク軸と前記プロペラ軸との間での回転の伝達が遮断されるニュートラル状態とに切り替わるように構成されたシフト切替ユニットと、前記シフト切替ユニットが、前記シフトイン状態および前記ニュートラル状態のうちのいずれの状態であるかを検出するシフト状態検出ユニットと、前記エンジンの燃焼室に空気を供給する吸気通路と、前記吸気通路に設けられ、前記燃焼室に供給される空気量を調整するスロットルバルブと、前記スロットルバルブと前記燃焼室の間の前記吸気通路内吸気圧を検出する吸気圧センサと、前記回転速度検出ユニット、前記シフト状態検出ユニットおよび前記吸気圧センサの検出値が入力され、所定の逆転記録条件成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定し、逆転情報を記憶するようにプログラムされた制御ユニットとを含み、前記逆転記録条件が、前記クランク軸が前記正転方向に回転している状態で前記シフト切替ユニットが前記ニュートラル状態から前記シフトイン状態に切り替わった後の吸気圧が、大気圧以上の第1の値よりも大きいという第1条件を含む、船舶推進機

請求項2

前記制御ユニットは、当該制御ユニットが起動されたときの大気圧測定値を前記大気圧として記憶するようにプログラムされている、請求項1に記載の船舶推進機。

請求項3

前記制御ユニットは、当該制御ユニットが起動されたときの前記吸気圧センサの検出値を前記大気圧として記憶するようにプログラムされている、請求項1に記載の船舶推進機。

請求項4

前記第1の値が、大気圧に1kPa以上の値を加えた値に設定されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の船舶推進機。

請求項5

前記逆転記録条件が、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されているという第2条件をさらに含み、前記制御ユニットが、前記第2条件が成立し、かつ前記第1条件が成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定するようにプログラムされている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の船舶推進機。

請求項6

前記逆転記録条件が、前記回転速度検出ユニットが検出する回転速度が第2の値よりも大きい状態が所定時間以上継続しているという第3条件と、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されているという第4条件とをさらに含み、前記制御ユニットが、前記第4条件が成立し、かつ前記第1条件および前記第3条件のうちの少なくとも一つが成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定するようにプログラムされている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の船舶推進機。

請求項7

前記第2の値が、前記エンジンのアイドル回転速度よりも小さく、前記エンジンのストール回転速度よりも大きい、請求項6に記載の船舶推進機。

請求項8

前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されると、前記エンジンの失火制御を実行するようにプログラムされている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶推進機。

請求項9

前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されて前記失火制御を実行した後に、前記逆転記録条件が成立した場合に、前記逆転情報を記憶するようにプログラムされている、請求項8に記載の船舶推進機。

請求項10

前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されると、前記シフト切替ユニットを前記ニュートラル状態に切り替えるようにプログラムされている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の船舶推進機。

技術分野

0001

この発明は、エンジン内燃機関)を駆動源とする船舶推進機に関する。

背景技術

0002

船舶推進機の一つの例は船外機である。船外機は、たとえば、エンジンと、プロペラと、エンジンの駆動力をプロペラに伝達する駆動力伝達機構とを含む。駆動力伝達機構は、エンジンの回転力のプロペラへの伝達を切り替えシフト機構を含む。シフト機構は、船外機のシフト位置を切り替える。シフト位置は、エンジンの回転をプロペラの前進方向回転正転)に変換する「前進」と、エンジンの回転をプロペラの後進方向回転(逆転)に変換する「後進」と、エンジンの回転をプロペラに伝達しない「ニュートラル」とを含む。このようなシフト機構を備えることで、エンジンの回転が常に一方に回転しているにも関わらず、プロペラおよびプロペラシャフトの回転方向を正転方向と逆転方向とに切り替えることができる。

0003

船外機を搭載した船舶高速に前進航走している状態で、操船者がシフト位置を前進から後進に切り替えると、エンジンからのプロペラシャフトに伝達される駆動力が逆転方向の回転であるにも関わらず、船舶に作用する慣性により発生する水流によってプロペラが正転方向に回転させられる。このような操作方法は、船舶の安定性およびエンジン保護の観点から本来推奨されるものではないが、仮にこのような操作が行われると、エンジンのクランク軸を逆転させようとする回転力がプロペラから入力されてしまう。このプロペラからの逆入力による回転力がエンジンの駆動力を上回ると、クランク軸が逆転する。とくに、水中に排気口を有する船外機においては、クランク軸の逆転によって、排気口から水が吸い上げられ、エンジン内に進入するおそれがある。

0004

そこで、エンジンの逆転を検出し、ユーザに報知したり、エンジンを停止したり、シフト位置を強制的にニュートラルにして動力伝達経路遮断したりすることが提案されている。
たとえば、特許文献1の先行技術では、クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいてエンジンの逆転を検出し、エンジンの逆転が検出されると点火および燃料噴射を停止している。また、特許文献2の先行技術では、クランク軸およびカム軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいてクランク軸の逆転を検出し、逆転が検出されるとシフト位置が強制的にニュートラルに移行させられる。

0005

一方、特許文献3の先行技術では、クランク軸の回転によって駆動されるオイルポンプまたは冷却水ポンプ圧力変化監視して逆転を検出している。たとえば、最小油圧Pminを設定し、シフト切替時に最小油圧Pminを下回った場合には、オイルポンプによるオイル供給がされていないと判断できるため、それに基づいて、ポンプ駆動軸連動するクランク軸が逆転方向へ回転していると判断している。

先行技術

0006

特開2003−120397号公報
特開2008−274970号公報
特開2012−7658号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1,2の先行技術では、所定期間におけるパルス信号出力パターンを検出するため、通常のエンジン停止操作時であっても、圧縮上死点直前ピストンが押し戻され、その結果、エンジンの逆転が検出されるおそれがある。また、燃料切れ障害物がプロペラに当たった場合など、操船者の操作によらないエンジンストールの際にも同様の逆転が検出されるおそれがある。さらには、センサ信号へのノイズ混入センサ信号線配線不良、バッテリ電圧の変動なども、逆転誤検知の原因となる。したがって、特許文献1,2の先行技術では、プロペラからの逆入力によるエンジンの逆転を必ずしも正確に検出できるとは限らない。

0008

一方、オイル冷却水の圧力を監視する特許文献3の先行技術は、ポンプ製造公差や温度による粘度変動の影響を受けるため、しきい値の設定が困難であり、必ずしも精度の高い検出が可能であるとは限らない。
そこで、この発明の一実施形態は、プロペラからの逆入力に起因するエンジンの逆転を高精度で検出できる船舶推進機を提供する。

課題を解決するための手段

0009

この発明の一実施形態は、クランク軸を正転方向に回転させるエンジンと、前記クランク軸の回転速度を検出する回転速度検出ユニットと、プロペラに結合されたプロペラ軸と、前記クランク軸の回転を前記プロペラ軸に伝達するシフトイン状態と、前記クランク軸と前記プロペラ軸との間での回転の伝達が遮断されるニュートラル状態とに切り替わるように構成されたシフト切替ユニットと、前記シフト切替ユニットが、前記シフトイン状態および前記ニュートラル状態のうちのいずれの状態であるかを検出するシフト状態検出ユニットと、前記エンジンの燃焼室に空気を供給する吸気通路と、前記吸気通路に設けられ、前記燃焼室に供給される空気量を調整するスロットルバルブと、前記スロットルバルブと前記燃焼室の間の前記吸気通路内吸気圧を検出する吸気圧センサと、前記回転速度検出ユニット、前記シフト状態検出ユニットおよび前記吸気圧センサの検出値が入力され、所定の逆転記録条件成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定し、逆転情報を記憶するようにプログラムされた制御ユニットとを含み、前記逆転記録条件が、前記クランク軸が前記正転方向に回転している状態で前記シフト切替ユニットが前記ニュートラル状態から前記シフトイン状態に切り替わった後の吸気圧が、大気圧以上の第1の値よりも大きいという第1条件を含む、船舶推進機を提供する。

0010

この構成によれば、シフト状態がニュートラル状態からシフトイン状態に切り替わった後の吸気圧が大気圧以上の第1の値よりも大きいという第1条件を含む逆転記録条件が成立すると、プロペラ軸からの逆入力によるクランク軸の逆転が生じていると判定され、逆転情報が記憶される。
通常の運転では、吸気通路から空気を吸入して排気通路へと排気するので、スロットルバルブと燃焼室との間の吸気通路内の気圧(吸気圧)は、大気圧よりも低い。一方、クランク軸が逆転すると、エンジン内の空気の流れが逆転し、排気側から吸気して吸気側から排気する動作となる。このとき、吸気圧センサが検出する吸気圧は大気圧よりも高くなる。

0011

したがって、上記のような動作によって、シフト切替に起因するプロペラ軸からの逆入力によるクランク軸の逆転を確実に検出して、逆転情報を記憶できる。
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットは、当該制御ユニットが起動されたときの大気圧測定値を前記大気圧として記憶するようにプログラムされている。この構成により、大気圧の変動の影響を排除できるので、プロペラ軸からの逆入力によるクランク軸の逆転を、吸気圧の監視を通じて、正確に検出できる。

0012

この発明の一実施形態では、前記制御ユニットは、当該制御ユニットが起動されたときの前記吸気圧センサの検出値を前記大気圧として記憶するようにプログラムされている。これにより、吸気圧センサを利用して大気圧の変動の影響を排除した正確な逆転検出が可能となる。
この発明の一実施形態では、前記第1の値が、大気圧に1kPa以上の値を加えた値に設定されている。この構成により、吸気圧に基づく判断の閾値が大気圧よりも十分に大きく設定されているので、プロペラからの逆入力によるエンジンの逆転をより正確に検出できる。

0013

この発明の一実施形態では、前記逆転記録条件が、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されているという第2条件をさらに含み、前記制御ユニットが、前記第2条件が成立し、かつ前記第1条件が成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定するようにプログラムされている。

0014

この構成により、クランク軸に応じて出力されるパルスに基づく条件が付加されているので、プロペラ軸からの逆入力によるエンジンの逆転を一層高精度に検出できる。
この発明の一実施形態では、前記逆転記録条件が、前記回転速度検出ユニットが検出する回転速度が第2の値よりも大きい状態が所定時間以上継続しているという第3条件と、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されているという第4条件とをさらに含み、前記制御ユニットが、前記第4条件が成立し、かつ前記第1条件および前記第3条件のうちの少なくとも一つが成立した場合に、前記プロペラ軸から入力される外力によって前記クランク軸が前記正転方向とは反対の方向に逆転していると判定するようにプログラムされている。

0015

この構成によれば、クランク軸の回転に応じたパルスに基づく逆転判定(第4条件の成立)を前提とし、この逆転判定が成立しているときに、第1条件または第3条件の成立により、クランク軸の逆転を判定して逆転情報が記憶される。すなわち、第1条件が成立する場合だけでなく、クランク軸の回転速度が第2の値よりも大きい状態が所定時間以上継続する場合にも、クランク軸に逆転が生じていると判定される。したがって、通常のエンジン停止時のように瞬間的な逆転が生じるに過ぎない場合には、逆転情報の記録は行われない。これにより、プロペラ軸からの逆入力に起因するエンジンの逆転を一層正確に検出して記録できる。

0016

この発明の一実施形態では、前記第2の値が、前記エンジンのアイドル回転速度よりも小さく(好ましくはアイドル回転速度の1/2以下)、前記エンジンのストール回転速度よりも大きい。この構成により、第3条件に基づくエンジンの逆転をより正確に検出できる。
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されると、前記エンジンの失火制御を実行するようにプログラムされている。この構成により、クランク軸の逆転状態でのエンジンの運転継続を回避できる。

0017

この発明の一実施形態では、前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されて前記失火制御を実行した後に、前記逆転記録条件が成立した場合に、前記逆転情報を記憶するようにプログラムされている。この構成により、失火制御を実行した後に逆転記録条件の成否を判定しているので、より正確な逆転判定を行うことができる。

0018

この発明の一実施形態では、前記制御ユニットは、前記クランク軸の回転に応じて出力されるパルスに基づいて前記クランク軸が逆転していると判定されると、前記シフト切替ユニットを前記ニュートラル状態に切り替えるようにプログラムされている。この構成により、クランク軸の逆転が生じると、シフト状態がニュートラル状態に自動的に切り替えられるので、プロペラからの逆入力の経路を遮断できる。それにより、逆転によるエンジンの損傷を回避できる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、この発明の一実施形態に係る船舶推進機としての船外機を備えた船舶の構成を説明するための図解的な平面図である
図2は、シフト操作およびアクセル操作のためのリモートコントローラの側面図である。
図3は、船外機の側面図である。
図4は、前記船外機に備えられたエンジンの概略図である。
図5は、船舶の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図6Aは、エンジンの逆転判定および逆転情報の記録に関連する処理例を説明するためのフローチャートである(吸気圧閾値の設定、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定)。
図6Bは、エンジンの逆転判定および逆転情報の記録に関連する処理例を説明するためのフローチャートである(クランク軸回転パルス等に基づく逆転判定)。
図6Cは、エンジンの逆転判定および逆転情報の記録に関連する処理例を説明するためのフローチャートである(エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定)。
図6Dは、エンジンの逆転判定および逆転情報の記録に関連する処理例を説明するためのフローチャートである(総合判定および記録)。
図7は、エンジンの逆転連れ回りが生じるときの動作の一例を説明するためのタイムチャートである。
図8は、エンジンの逆転連れ回りが生じずにエンジンが停止するときの動作例を説明するためのタイムチャートである。
図9は、この発明の他の実施形態に係る船舶の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図10は、エンジンの逆転判定および逆転情報の記録に関連する処理を説明するためのフローチャートである。

実施例

0020

以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る船舶推進機を備えた船舶の構成を説明するための図解的な平面図である。船舶1は、船舶推進機の一例である船外機2と、船体3とを含む。船外機2は、船体3の後部に取り付けられている。船外機2は、船体3を推進させる推進力を発生する。船外機2は、プロペラ4を回転させるエンジン5と、船外機2を制御するエンジンECU6(電子制御ユニット)とを含む。船外機2に関連して、船外機2を左右に転舵させるためのステアリング装置11が備えられている。また、船体3は、操舵部材としてのステアリングホイール7と、リモートコントローラ8とを含む。ステアリングホイール7が操作されると、それに応じてステアリング装置11が船外機2を左右に転舵し、それにより船舶1が操舵される。船舶1の速度は、リモートコントローラ8に備えられた操作レバー81が操作されることにより調整される。さらに、船舶1の前進および後進は、操作レバー81が操作されることにより切り替えられる。

0021

ステアリングホイール7に加えられた操作力は、ステアリング操作ケーブル9を介して、ステアリング装置11に機械的に伝達される。その操作力によってステアリング装置11が作動することにより、船外機2が船体3に対して左右方向に回動(転舵)し、それに応じて、船体3に与えられる推進力の方向が左右に変化する。リモートコントローラ8は、シフト操作ケーブル10Aおよびスロットル操作ケーブル10Bによって、船外機2に機械的に結合されている。操船者が操作レバー81を操作すると、その操作力がシフト操作ケーブル10Aおよびスロットル操作ケーブル10Bによって船外機2に伝えられる。シフト操作ケーブル10Aによって伝達される操作力により、船外機2のシフト位置が変化する。すなわち、操作レバー81の操作によって、船外機2の推進力の方向を前進方向と後進方向とに切り替えることができ、さらにエンジン5の動力がプロペラ4に伝達されないニュートラル状態とすることができる。一方、船外機2内では、スロットル操作ケーブル10Bの変位が検出され、その検出結果に応じて、エンジンECU6がエンジン5のスロットルバルブ48(図4参照)の開度を制御する。それにより、操作レバー81の操作に応答する電子制御によってスロットル開度が変化し、それに応じて、エンジン5の出力が変動する。

0022

図2は、リモートコントローラ8の側面図である。図2に示すように、リモートコントローラ8の操作レバー81は、その下端部を中心に前後に回動可能である。操作レバー81は、操船者によって、概ね垂直な中立位置Nを中心に前後に傾けられる。中立位置Nは、たとえば、操作レバー81が概ね垂直な位置である。操作レバー81が中立位置Nから前進シフトイン位置Finまで前に傾けられると、船外機2のシフト位置がニュートラルから前進に変化し、それに応じて、船外機2は、船体3を前進させる前進方向への推進力を発生する。また、操作レバー81が中立位置Nから後進シフトイン位置Rinまで後ろに傾けられると、船外機2のシフト位置がニュートラルから後進に変化し、それに応じて、船外機2は、船体3を後進させる後進方向への推進力を発生する。前進シフトイン位置Finと後進シフトイン位置Rinとの間の領域は、船外機2のシフト位置がニュートラルとなって、船外機2からの推進力の発生が停止される中立領域Tnである。

0023

また、操作レバー81が前進シフトイン位置Finから前進全開位置Ffullの方にさらに前に傾けられると、操作レバー81の傾き量に応じてエンジン5のスロットル開度が増大し、前進方向への推進力が増加する。同様に、操作レバー81が後進シフトイン位置Rinから後進全開位置Rfullの方にさらに後ろに傾けられると、エンジン5のスロットル開度が増大し、操作レバー81の傾き量に応じて後進方向への推進力が増加する。すなわち、前進シフトイン位置Finから前進全開位置Ffullまでの領域は、前進出力調整領域Tfである。また、後進シフトイン位置Rinから後進全開位置Rfullまでの領域は、後進出力調整領域Trである。

0024

図3は、船外機2の側面図である。船外機2は、船外機本体12と、取付機構13とを含む。船外機本体12は、取付機構13によって船体3の後部に取り付けられている。取付機構13は、スイベルブラケット14と、クランプブラケット15と、ステアリング軸16と、チルト軸17とを含む。ステアリング軸16は、上下に延びるように配置されている。チルト軸17は、左右に延びるように水平に配置されている。スイベルブラケット14は、ステアリング軸16を介して船外機本体12に連結されている。また、クランプブラケット15は、チルト軸17を介してスイベルブラケット14に連結されている。クランプブラケット15は、船体3の後部に固定されている。

0025

船外機本体12は、取付機構13によって、概ね垂直な姿勢で船体3に取り付けられている。船外機本体12およびスイベルブラケット14は、クランプブラケット15に対して、チルト軸17まわりに上下に回動可能である。船外機本体12がチルト軸17まわりに回動されることにより、船外機本体12が、船体3およびクランプブラケット15に対して傾けられる。また、船外機本体12は、スイベルブラケット14およびクランプブラケット15に対して、ステアリング軸16とともに左右に回動可能である。操船者がステアリングホイール7を操作すると、その操作力がステアリング操作ケーブル9によってステアリング装置11に伝達されて、ステアリング装置11が作動する。このステアリング装置11の駆動力がレバー16Aを介してステアリング軸16に伝達される。それにより、ステアリング軸16とともに船外機本体12が左右に回動する。これにより、船舶1が操舵される。

0026

また、船外機本体12は、ドライブ軸18と、プロペラ軸19と、前後進切替機構20とを含む。また、船外機本体12は、エンジンカバー21と、ケーシング22とを含む。エンジン5は、エンジンカバー21内に収容されている。ドライブ軸18は、エンジンカバー21およびケーシング22内で上下に延びている。プロペラ軸19は、ケーシング22の下部内で前後に延びている。ドライブ軸18の上端部は、エンジン5のクランク軸23に連結されている。また、ドライブ軸18の下端部は、前後進切替機構20によってプロペラ軸19の前端部に連結されている。プロペラ軸19の後端部は、ケーシング22から後方に突出している。プロペラ4は、プロペラ軸19の後端部に連結されている。プロペラ4は、プロペラ軸19とともに回転する。

0027

エンジン5は、たとえばガソリンなどの燃料燃焼させて動力を発生する内燃機関である。エンジン5は、クランク軸23と、複数(たとえば4つ)のシリンダ24と、カム軸39A,39Bと、クランク軸回転センサ25と、カム軸回転センサ42とを含む。エンジン5は、クランク軸23が上下に延びるように配置されている。ドライブ軸18の上端部は、クランク軸23の下端部に連結されている。クランク軸23は、鉛直軸線まわりに回転可能である。クランク軸23は、各シリンダ24での燃焼によって一方の回転方向D1に回転駆動される。クランク軸23の回転(エンジン5の回転)は、クランク軸回転センサ25によって検出される。クランク軸回転センサ25の出力信号(パルス信号)は、エンジンECU6に入力される。エンジンECU6は、クランク軸回転センサ25が出力するパルス信号に基づいて、クランク軸23の回転角を検出し、かつエンジン回転速度を演算する。

0028

スロットル操作ケーブル10Bは、エンジンカバー21内に導入されている。エンジンカバー21内には、スロットル操作ケーブル10Bの変位を検出するアクセル位置センサ80が備えられている。アクセル位置センサ80は、スロットル操作ケーブル10Bの変位を検出することにより、操作レバー81(図2参照)の操作量(アクセル操作量)を検出する。アクセル位置センサ80の出力信号は、エンジンECU6に入力される。

0029

前後進切替機構20は、シフト切替ユニットの一例である。前後進切替機構20は、駆動ギヤ26と、前進ギヤ27と、後進ギヤ28と、ドッグクラッチ29と、シフト機構30とを含む。駆動ギヤ26、前進ギヤ27、および後進ギヤ28は、たとえば、筒状の傘歯車である。駆動ギヤ26は、ドライブ軸18の下端部に連結されている。前進ギヤ27および後進ギヤ28は、駆動ギヤ26に噛み合わされている。前進ギヤ27および後進ギヤ28は、互いの歯部が前後に間隔を空けて向かい合うように配置されている。前進ギヤ27および後進ギヤ28は、それぞれ、プロペラ軸19の前端部を取り囲んでいる。駆動ギヤ26の回転が前進ギヤ27および後進ギヤ28に伝達されると、前進ギヤ27および後進ギヤ28は、互いに反対方向に回転する。

0030

ドッグクラッチ29は、前進ギヤ27および後進ギヤ28の間に配置されている。ドッグクラッチ29は、たとえば、筒状である。ドッグクラッチ29は、プロペラ軸19の前端部を取り囲んでいる。ドッグクラッチ29は、たとえばスプラインによって、プロペラ軸19の前端部に連結されている。したがって、ドッグクラッチ29は、プロペラ軸19の前端部とともに回転する。また、ドッグクラッチ29は、プロペラ軸19の前端部に対して軸方向に移動可能である。ドッグクラッチ29は、シフト機構30によってプロペラ軸19の軸方向に移動される。

0031

シフト機構30は、たとえば、上下に延びるシフトロッド31と、ニュートラルスイッチ33とを含む。シフトロッド31は、シフト操作ケーブル10Aに結合されており、このシフト操作ケーブル10Aから入力される操作力によってその軸線まわりに回動する。ドッグクラッチ29は、シフトロッド31が回動されることにより、プロペラ軸19の軸方向に移動される。ドッグクラッチ29は、前進位置、後進位置、およびニュートラル位置のいずれかの位置に配置される。ニュートラルスイッチ33は、ドッグクラッチ29の位置がニュートラル位置か否かを検出する。ニュートラルスイッチ33の検出値は、エンジンECU6に入力される。ニュートラルスイッチ33は、シフト状態検出ユニットの一例である。

0032

前進位置は、ドッグクラッチ29が前進ギヤ27に噛み合う位置であり、後進位置は、ドッグクラッチ29が後進ギヤ28に噛み合う位置である。また、ニュートラル位置は、ドッグクラッチ29がいずれのギヤ(前進ギヤ27および後進ギヤ28)にも噛み合わない位置である。ニュートラル位置は、前進位置および後進位置の間の位置である。ドッグクラッチ29が前進位置に配置されている状態では、ドライブ軸18の回転が、前進ギヤ27を介してプロペラ軸19に伝達される。すなわち、船外機2のシフト位置は「前進」である。また、ドッグクラッチ29が後進位置に配置されている状態では、ドライブ軸18の回転が、後進ギヤ28を介してプロペラ軸19に伝達される。すなわち、船外機2のシフト位置は「後進」である。また、ドッグクラッチ29がニュートラル位置に配置されている状態では、ドライブ軸18の回転がプロペラ軸19に伝達されない。すなわち、船外機2のシフト位置は「ニュートラル」である。したがって、ニュートラルスイッチ33は、船外機2のシフト位置がニュートラルか否かを検出する。

0033

ドライブ軸18の回転が、前進ギヤ27を介してプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が前進回転方向に回転する。これにより、前進方向への推進力が発生する。また、ドライブ軸18の回転が、後進ギヤ28を介してプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が、前進回転方向とは反対の後進回転方向に回転する。これにより、後進方向への推進力が発生する。したがって、ドッグクラッチ29の位置が切り替えられることにより、プロペラ4の回転方向が切り替えられる。プロペラ4の回転方向は、リモートコントローラ8の操作レバー81が操作されることにより切り替わる。

0034

船外機本体12は、船外機本体12の内部に設けられた排気通路34を含む。排気通路34は、エンジン5に接続された排気入口と、プロペラ4に接続された排気出口とを含む。船舶1が水に浮かべられている状態では、排気通路34の出口は、水中に位置している。したがって、船舶1が水に浮かべられている状態では、排気通路34の出口を通過した水が、排気通路34の下流部に進入している。たとえばエンジン5が高速回転しているときには、排気通路34内の水が、エンジン5から排出された排気の圧力によって押されて、排気と共に排気通路34の出口から排出される。これにより、エンジン5で生成された排気が水中に排出される。

0035

図4は、エンジン5の概略図である。エンジン5は、各シリンダ24内に配置されたピストン35と、ピストン35をクランク軸23に連結するコネクティングロッド36と、吸気ポート37および排気ポート38とを含む。吸気ポート37および排気ポート38は、シリンダヘッド43に形成されている。クランク軸23が回転駆動されると、クランク軸23の回転が吸気カム軸39Aおよび排気カム軸39Bに伝達される。そして、カム軸39A,39Bの回転によって、吸気バルブ40および排気バルブ41がそれぞれ駆動され、吸気ポート37および排気ポート38がそれぞれ吸気バルブ40および排気バルブ41によって所定のタイミングで開閉される。

0036

カム軸回転センサ42は、図4の例では、排気カム軸39Bの回転を検出している。ただし、カム軸回転センサ42は、吸気カム軸39Aの回転を検出してもよい。また、吸気カム軸39Aの回転を検出するカム軸回転センサと、排気カム軸39Bの回転を検出するカム軸回転センサとの両方を設けてもよい。
カム軸回転センサ42の出力信号(パルス信号)は、エンジンECU6に入力される。エンジンECU6は、カム軸回転センサ42が出力するパルス信号に基づいて、カム軸39A,39Bの回転を検出する。さらに、エンジンECU6は、クランク軸回転センサ25が出力するパルス信号と、カム軸回転センサ42が出力するパルス信号とに基づいて、クランク軸23の逆転(エンジン5の逆転)の有無を判定する。

0037

エンジン5は、シリンダヘッド43に取り付けられた点火プラグ44と、点火プラグ44に接続された点火コイル45とを含む。また、エンジン5は、各シリンダ24の吸気ポート37に接続された吸気管46と、吸気ポート37に設けられた燃料噴射装置47と、吸気管46に設けられたスロットルバルブ48と、スロットルバルブ48を駆動するスロットルアクチュエータ55とを含む。吸気ポート37および吸気管46によって形成される吸気通路50には、スロットルバルブ48と吸気ポート37との間に、吸気圧センサ51が配置されている。吸気圧センサ51は、スロットルバルブ48と吸気ポート37との間の吸気通路50における気圧(吸気圧)を検出する。吸気圧センサ51の出力信号は、エンジンECU6に入力される。スロットルアクチュエータ55は、エンジンECU6によって制御され、スロットルバルブ48を駆動してスロットル開度を変化させる。

0038

エンジンECU6は、点火コイル45によって高電圧を発生させる。これにより、高電圧が点火プラグ44に印加され、点火プラグ44は、ピストン35とシリンダ24とシリンダヘッド43とで区画された燃焼室49内で火花放電する。そのため、燃料と空気の混合気が燃焼室49内で燃焼する。混合気は、吸気管46から吸気ポート37を通って燃焼室49内に供給される。エンジンECU6は、アクセル位置センサ80の出力信号に応じてスロットルアクチュエータ55を制御する。したがって、スロットルバルブ48の開度は、リモートコントローラ8の操作レバー81の操作によって変動する。それにより、シリンダ24への混合気の供給流量が調整され、エンジン5の出力が調整される。スロットルバルブ48の開度は、スロットル開度センサ52によって検出される。スロットル開度センサ52の出力信号はエンジンECU6に入力される。エンジンECU6は、吸入空気量と燃料噴射装置47から噴射される燃料の噴射量とを制御することにより、空燃比を調整する。

0039

図5は、船舶1の電気的構成を説明するためのブロック図であり、主としてエンジンECU6の構成が表されている。エンジンECU6は、制御ユニットの一例である。エンジンECU6は、CPU(Central Processing Unit)60、ROM(Read Only Memory)等のプログラムメモリ61、RAM(Random Access Memory)を含むワークメモリ62、およびデータメモリ63を含む。エンジンECU6は、さらに、センサインターフェース(I/F)回路65a,65b,65c,65d,65e,65f、インジェクタドライバ回路66、点火コイルドライバ回路67、およびスロットルアクチュエータドライバ回路69を含む。

0040

CPU60はプログラムメモリ61に記憶された各種プログラム等に従う演算処理を行い、エンジンECU6における処理全体を制御する。CPU60は、演算処理の際に、ワークメモリ62の記憶領域を利用する。データメモリ63には、たとえば、CPU60が実行する自己診断処理の結果が書き込まれる。データメモリ63は、エンジンECU6の電源が遮断された後も記憶情報が保持されるメモリデバイス(たとえば不揮発性メモリ)で構成されることが好ましい。

0041

センサインターフェース回路65a〜65fは、クランク軸回転センサ25、カム軸回転センサ42、吸気圧センサ51、スロットル開度センサ52、ニュートラルスイッチ33、およびアクセル位置センサ80からそれぞれ送信された信号をCPU60に供給するために必要な処理を行う。インジェクタドライバ回路66、点火コイルドライバ回路67、およびスロットルアクチュエータドライバ回路69は、CPU60における処理結果に基づいて、燃料噴射装置47、点火コイル45、およびスロットルアクチュエータ55を駆動させるために必要な各種処理を行う。

0042

CPU60は、プログラムメモリ61に記憶されたプログラムを実行することによって、複数の機能処理ユニットとして機能する。具体的には、CPU60は、エンジン5の逆転の有無を判定する逆転判定ユニット71、エンジン5の逆転が生じたときにエンジン5を失火させて停止させる失火制御ユニット72、データメモリ63に逆転情報を記録する逆転記録ユニット73、クランク軸回転センサ25の出力に基づいてエンジン回転速度を演算するエンジン回転速度演算ユニット74などとして機能する。クランク軸回転センサ25およびエンジン回転速度演算ユニット74は、回転速度検出ユニットの一例である。

0043

図6A図6Dは、エンジン5の逆転の判定および逆転情報の記録に関連するCPU60の処理例を説明するためのフローチャートである。
図6Aに示すように、エンジンECU6の電源が投入されると、CPU60は、吸気圧センサ51が検出している吸気圧を取得して、その吸気圧を大気圧としてワークメモリ62に書き込んで記憶させる(ステップS1)。また、CPU60は、その大気圧に対して所定値(好ましくは1kPa以上。たとえば10kPa)を加算した値を吸気圧閾値として求め、ワークメモリ62に書き込んで記憶させる(ステップS2)。

0044

CPU60は、さらに、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期で、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定を繰り返し実行する。具体的には、CPU60は、吸気圧センサ51が検出する吸気圧と吸気圧閾値とを比較する(ステップS3)。吸気圧が吸気圧閾値を超えていれば(ステップS3:YES)、CPU60は、クランク軸23がプロペラ4からの逆入力によってプロペラ4とともに逆転方向に連れ回されていると判定して、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値を「1」とする(ステップS4)。

0045

エンジン5の通常の運転時には、吸気ポート37からシリンダ24内の燃焼室49に空気が流入し、燃焼した後の排気が排気ポート38から排出される。このとき、吸気圧センサ51が検出する吸気通路50内の空気圧は、大気圧よりも低い負圧となる。一方、クランク軸23がプロペラ4に連れ回されて逆転しているときには、空気の流れ方向が反対になり、排気ポート38から燃焼室49へと空気が流れ込んで吸気ポート37へと排気される。そのため、吸気圧センサ51が検出する吸気通路50内の空気圧は、大気圧よりも高い正圧となる。

0046

そこで、この実施形態では、吸気圧センサ51が検出する吸気圧が、大気圧よりも所定値だけ高い吸気圧閾値を超えると、CPU60は、プロペラ4によってクランク軸23が連れ回されていると判定する。吸気圧閾値を設定するために大気圧に加算される「所定値」(図6AのステップS2参照)は、逆転連れ回りが生じているときの吸気圧センサ51の出力が当該吸気圧閾値を上回るように、予め定めておけばよい。この「所定値」は、具体的には1kPa以上、たとえば10kPaに設定されてもよい。この所定値をとし、吸気圧閾値を大気圧と同じ値に設定してもよい。ただし、この場合には、誤検出を防止するため、吸気圧閾値を超えている時間が所定時間以上であることなどの条件を追加することが好ましい。

0047

吸気圧センサ51が検出する吸気圧が吸気圧閾値以下の場合には(ステップS3:NO)、CPU60は、逆転連れ回りは生じていないと判定して、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値を「0」とする(ステップS5)。
なお、CPU60は、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期でエンジン回転速度の演算を常時行い、かつ所定の周期で吸気圧センサ51の出力信号を取得して吸気圧を常時監視する。CPU60は、クランク軸回転センサ25が出力する複数のパルス間の間隔を計測して適切な演算(たとえば平均値演算)を実行することにより、エンジン回転速度を演算する。これは、CPU60のエンジン回転速度演算ユニット74としての機能である。さらに、CPU60は、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期でニュートラルスイッチ33の出力を監視して、前後進切替機構20がニュートラルから前進または後進にシフトインされたかどうかを常時監視する。

0048

一方、図6Bに示すように、CPU60は、クランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42がそれぞれ出力するクランク軸回転パルス信号およびカム軸回転パルス信号に基づいて、クランク軸23の逆転の有無を判定する(ステップS6)。さらに、CPU60は、その判定結果に応じて、逆転検知フラグセット状態「1」(ステップS7)またはリセット状態「0」(ステップS8)とする。これは、CPU60の逆転判定ユニット71としての機能である。

0049

たとえば、クランク軸回転センサ25は、クランク軸23が所定角回転するごとにパルス信号を発生し、かつクランク軸23の基準回転角において基準信号を発生するように構成されている。そこで、CPU60は、クランク軸回転センサ25の出力信号に基づいて、基準回転角から所定数のパルス信号が出力される回転角範囲を「判定回転角範囲」として特定する。一方、CPU60は、その特定された判定回転角範囲でカム軸回転センサ42が出力するパルスの出現パターンを監視する。このパルス出現パターンは、クランク軸23が正転しているときと逆転しているときとで異なる。したがって、CPU60は、判定回転角範囲におけるカム軸回転センサ42のパルス出現パターンに基づいて、クランク軸23の逆転が生じているかどうかを判定できる。この判定には、たとえば、特許文献2に開示されている技術が適用されてもよい。

0050

CPU60は、逆転検知フラグがセットされなければ(ステップS8)、以下の処理を実行せず、ステップS6からの処理を繰り返す。逆転検知フラグがセットされると(ステップS7)、CPU60は、失火制御を実行する(ステップS9)。失火制御とは、エンジン5を停止させるための制御であり、具体的には、点火カット制御噴射カット制御などである。点火カット制御とは、点火プラグ44の点火を停止させる制御であり、具体的には、点火コイル45への電力供給が停止される。燃料噴射制御とは、燃料噴射装置47による燃料噴射を停止させる制御である。CPU60は、点火カット制御および噴射カット制御のうちのいずれか一方のみを実行してもよいし、その両方を実行してもよい。CPU60は、点火カット制御および/または噴射カット制御と併せて、スロットルバルブ48を全閉に制御するようにスロットルアクチュエータ55を駆動する。この機能は、CPU60の失火制御ユニット72としての機能である。

0051

CPU60は、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期で図6Bの処理を繰り返し実行する。
CPU60は、さらに、図6Cに示すように、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期で、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定を繰り返し実行する。CPU60は、逆転検知フラグがセットされているかどうかを判断する(ステップS10)。逆転検知フラグがセットされていなければ(ステップS10:NO)、以下の処理は省かれる。逆転検知フラグがセットされていると(ステップS10:YES)、CPU60は、ニュートラルからのシフトインが検知されてから所定の判定時間(たとえば1秒)以内に逆転検知フラグがオンしたか(「1」にセットされたか)どうかを判断する(ステップS11)。この判断が否定であれば、以下の処理は省かれる。

0052

シフトインの検知から所定の判定時間以内に逆転検知フラグがオンしていた場合には(ステップS11:YES)、CPU60は、エンジン回転速度が所定のエンジン回転速度閾値を超えているかどうかを判断する(ステップS12)。エンジン回転速度がエンジン回転速度閾値を超えているときには(ステップS12:YES)、CPU60は、その状態が所定の継続判定時間(たとえば1秒)に渡って継続しているかどうかを判断する(ステップS13)。この判断が否定であれば、ステップS12に戻る。所定の継続判定時間にわたってエンジン回転速度がエンジン回転速度閾値を超えている状態が継続すると(ステップS13:YES)、CPU60は、逆転連れ回りが生じていると判定して、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値を「1」とする(ステップS14)。

0053

ニュートラルからのシフトインが検知されて速やかに逆転検知フラグがオンになる場合には、クランク軸23の逆転が生じたと考えられる。その後、エンジン回転速度がエンジン回転速度閾値を超える状態が継続判定時間にわたって継続するとすれば、失火制御を行ったにもかかわらずエンジン5の逆転が継続したことになるから、プロペラ4からの逆入力による連れ回りが生じたと考えられる。そこで、このような場合には、CPU60は、プロペラ4によってクランク軸23が連れ回されていると判定する。

0054

エンジン回転速度閾値は、エンジン5のアイドル回転速度よりも小さく(好ましくはアイドル回転速度の1/2以下)、エンジン5のストール回転速度よりも大きい値に設定される。たとえば、エンジン回転速度閾値は、200rpm程度に設定されてもよい。「ストール回転速度」は、エンジンECU6がエンジンストールと判定する回転速度(たとえば50rpm)である。

0055

エンジン回転速度がエンジン回転速度閾値以下の場合には(ステップS12:NO)、CPU60は、逆転連れ回りは生じていないと判定して、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値を「0」とする(ステップS15)。
CPU60は、さらに、図6Dに示すように、エンジンECU6に電源が投入されている期間中、所定の周期で、吸気圧およびエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定に基づく総合判定を実行する。具体的には、CPU60は、次の判断を実行する。これらの判断は、同時並行処理で実行される。これらの判断を順次実行してもよいけれども、その場合の実行順にとくに制限はない。

0056

ステップS20:逆転検知フラグがセットされているか。
ステップS21:シフトイン状態か(ニュートラルスイッチ33がニュートラルを検出していないか)。
ステップS22:吸気圧およびエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値の少なくとも一方が「1」であるか。

0057

ステップS20〜S22の判断が全て肯定であれば、CPU60は、逆転連れ回りが生じたと判断して、「総合判定値」を「1」とする(ステップS23)。総合判定値が「1」になると、CPU60は、逆転情報をデータメモリ63に記録する(ステップS24)。これは、CPU60の逆転記録ユニット73としての機能である。ただし、この逆転情報の記録は、総合判定値が「1」になった後の任意のタイミングで行えばよい。すなわち、総合判定値が「1」になった直後に逆転情報を記録してもよいし、エンジンECU6の電源が遮断されるときの終了処理に逆転情報の記録を含ませてもよい。

0058

ステップS20〜S22のいずれかの判断が否定であれば、CPU60は、逆転連れ回りが生じていないと判断して、「総合判定値」を「0」とする(ステップS25)。
データメモリ63に記録された情報は、ボートビルダ等の保守作業員が保有する専用ツールによって読み出すことができるため、ユーザの使用状況をより高精度で確認することができる。

0059

なお、ステップS20〜S22の条件に加えて、「メインスイッチがオン状態であること」、および/または「キルスイッチオフ状態であること」を、総合判定値を「1」とするための必要条件としてもよい。
図7は、動作の一例を説明するためのタイムチャートである。図7(a)は船舶1の前進速度を示し、図7(b)はニュートラルスイッチ33の状態を示し、図7(c)は逆転検知フラグを示し、図7(d)は吸気圧を示し、図7(e)は吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値を示し、図7(f)はエンジン回転速度を示し、図7(g)はエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値を示す。図7(h)は、吸気圧およびエンジン回転速度にそれぞれ基づく逆転連れ回り判定値に基づく総合判定値を示す。

0060

リモートコントローラ8のレバー81がたとえば前進全開位置Ffullにあって、船舶1が高速に航走している状態で、操船者が操作レバー81を操作して後進シフトイン位置Rinまたはそれよりも後進側に傾けた場合を考える。この操作に応じて、船外機2のシフト位置は、前進からニュートラルを経て後進へと切り替えられる。それに応じて、ニュートラルスイッチ33が、時刻t1からの微小期間だけオン状態となって、すぐにオフ状態となる。これにより、CPU60は、シフトインを検出することになる。

0061

シフト位置が後進のとき、エンジン5からドライブ軸18を介してプロペラ軸19に入力される駆動トルクは、プロペラ軸19を後進回転させようとする。一方、船体3は慣性によって高速に前進しているので、その間、プロペラ4は周囲の水流からの逆入力トルクによって、前進回転方向に回転させられる。水流による逆入力トルクがエンジン5からの駆動トルクよりも大きいとき、プロペラ軸19は前進回転方向に回転する。したがって、ドライブ軸18およびクランク軸23は、プロペラ軸19の回転に連れ回されて、逆回転することになる。より詳細には、エンジン回転速度(クランク軸23の回転速度)は、シフト位置が後進となると急減し、その後、クランク軸23の逆回転が始まると、増加に転じる。

0062

クランク軸23の逆回転が始まると、クランク軸回転センサ25が出力するパルスパターンに対するカム軸回転センサ42が出力するパルスパターンの関係が通常回転時と異なる関係となる。これがCPU60によって検知され、クランク軸23の逆転が始まった後の時刻t2において、逆転検知フラグが「1」にセットされる。
逆転検知フラグが「1」にセットされることによって、CPU60は失火制御を実行する。しかし、船体3の前進速度が速いときには、クランク軸23の逆回転が継続する。

0063

吸気圧センサ51が検出する吸気圧は、クランク軸23が正常方向に回転しているときには、大気圧よりも低い値である。しかし、クランク軸23が逆回転すると、排気ポート38から燃焼室49へと空気が吸い込まれ、燃焼室49から吸気ポート37へとその空気が排出されるので、吸気通路50内の気圧(吸気圧)が増加する。そして、クランク軸23の逆回転が継続することにより、吸気圧は、大気圧に達し、ついには吸気圧閾値を超える。この吸気圧閾値を超える時刻t3に、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値(図7(e))が通常値「0」から「1」に変化する。

0064

一方、ニュートラルスイッチが「1」(ニュートラル状態)から「0」(シフトイン状態)に変化した後の所定の判定時間(たとえば1秒)以内に逆転検知フラグがオン状態「1」となると、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定が行われる。船体3の前進速度が速く、クランク軸23の回転速度がエンジン回転速度閾値を超えた状態が所定の継続判定時間(たとえば1秒)に渡って継続すると、時刻t4に、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値(図7(g))が通常値「0」から「1」に変化する。エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値は、エンジン回転速度がエンジン回転速度閾値以下になると、時刻t5に、「1」から「0」に変化する。逆転検知フラグは、たとえば、エンジンECU6がエンジンストールと判定した後、所定の時間(たとえば0.5秒)の経過を待って、「0」にリセットされる。

0065

CPU60は、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値(図7(e))およびエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値(図7(g))の論理和をとって、逆転連れ回り総合判定値(図7(h))を生成する。この逆転連れ回り総合判定値は、逆転検知フラグが「1」から「0」になる時刻t6に、「0」にリセットされる。CPU60は、逆転連れ回り総合判定値が「1」になると、逆転情報をデータメモリ63に書き込む。ただし、前述のとおり、逆転情報の書き込みは、逆転連れ回り総合判定値が「1」になった直後である必要はない。

0066

図8は、後進にシフトインする操作に伴ってエンジン5が停止し、水流に伴うエンジン5の逆転連れ回りが生じない場合の動作例を示す。図7の場合と同じく、図8(a)は船舶1の前進速度を示し、図8(b)はニュートラルスイッチ33の状態を示し、図8(c)は逆転検知フラグを示し、図8(d)は吸気圧を示し、図8(e)は吸気圧に基づく逆転連れ回り判定値を示し、図8(f)はエンジン回転速度を示し、図8(g)はエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定値を示す。図8(h)は、吸気圧およびエンジン回転速度にそれぞれ基づく逆転連れ回り判定値に基づく総合判定値を示す。

0067

船外機2のシフト位置が前進であって、船舶1が前進している状態で、操船者が操作レバー81を操作して後進シフトイン位置Rinまたはそれよりも後進側に傾けると、ニュートラルスイッチ33が、時刻t11からの微小期間だけオン状態となって、すぐにオフ状態となる。これにより、CPU60は、シフトインを検出する。
船体3は慣性によって前進しているので、その間、プロペラ4は周囲の水流からの逆入力トルクによって、前進回転方向への逆入力トルクを受ける。この逆入力トルクは、エンジン5からの駆動トルクとは反対方向であるので、エンジン回転速度(クランク軸23の回転速度)は、シフト位置が後進となると急減する。

0068

図8の例では、プロペラ4からの逆入力トルクによってエンジン5が停止している。エンジン5が停止する際、クランク軸23の回転に対する抵抗は、圧縮上死点の直前で最大となる。そのため、クランク軸23は、圧縮上死点の直前まで回転し、シリンダ24内で圧縮された空気からの抵抗を受けて微小回転角だけ押し戻されて逆転した後に停止する場合がある。これにより、クランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42が出力するパルスのパターンに基づいてCPU60がクランク軸23の逆転を検知し、それに応じて、時刻t12に、逆転検知フラグが「1」にセットされる。

0069

エンジン回転速度の低下に伴って吸気圧は大気圧まで増加するが、クランク軸23の回転が停止するので、吸気圧が大気圧を超えて吸気圧閾値に達することはない。エンジン回転速度は、クランク軸回転センサ25が出力する複数のパルス間の間隔に基づいて演算されるので、クランク軸23の微小角の逆転に直ちには追従しない。そのため、エンジン回転速度は、速やかに減少して零に至るが、クランク軸23の逆転が持続しない限り、増加に転じることはない。

0070

したがって、クランク軸23の瞬間的な逆転によって逆転検知フラグが「1」にセットされるけれども、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定は否定され、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定も否定される。よって、逆転連れ回り総合判定値が「1」にならないので、逆転情報はデータメモリ63に書き込まれない。
キルスイッチ等の操作による通常のエンジン停止の際にも、圧縮上死点の直前でピストン35が押し戻されることにより、クランク軸23は微小時間だけ逆転する場合がある。この場合にも、逆転検知フラグがオンすることになるけれども、吸気圧およびエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定はいずれも否定となる。したがって、通常のエンジン停止の際の逆転がデータメモリ63に記録されることはない。

0071

その他、燃料切れや障害物がプロペラに当たった場合など、操船者の操作によらないエンジンストールの際も同様であり、逆転検知フラグが「1」にセットされるとしても、逆転情報がデータメモリ63に記録されることはない。さらには、センサ信号へのノイズの混入、センサ信号線の配線不良、バッテリ電圧の変動などに起因して逆転検知フラグが「1」にセットされたとしても、同様に、逆転情報がデータメモリ63に書き込まれることはない。

0072

このように、この実施形態では、シフト状態がニュートラルからシフトイン状態に切り替わった後の吸気圧が吸気圧閾値よりも大きいという条件(第1条件)を含む逆転記録条件が成立するかどうかが判断される。逆転記録条件とは、逆転連れ回りが生じていると判定して逆転情報をデータメモリ63に記録するための条件である。逆転記録条件が成立すると、プロペラ軸19からの逆入力によるクランク軸23の逆転が生じていると判定され、逆転情報がデータメモリ63に記憶される。

0073

通常の運転では、吸気通路50から空気を吸入して排気通路34へと排気するので、スロットルバルブ48と燃焼室49との間の吸気通路50内の気圧(吸気圧)は、大気圧よりも低い。一方、クランク軸23が逆転すると、エンジン5内の空気の流れが逆転し、排気側から吸気して吸気側から排気する動作となる。このとき、吸気圧センサ51が検出する吸気圧は大気圧よりも高くなり、吸気圧閾値に達する。したがって、上記のような動作によって、シフト切替に起因するプロペラ軸19からの逆入力によるクランク軸23の逆転を確実に検出して、逆転情報をデータメモリ63に記憶できる。

0074

また、この実施形態では、エンジンECU6に電源が投入されてCPU60が起動されたときに吸気圧センサ51によって大気圧(起動時の吸気圧)を測定して、それを吸気圧閾値を設定するための大気圧としてワークメモリ62に記憶している。したがって、大気圧の変動の影響を排除できるので、プロペラ軸19からの逆入力によるクランク軸23の逆転を、吸気圧の監視を通じて、正確に検出できる。また、大気圧測定のために専用のセンサを備える必要がなく、既存の吸気圧センサ51を大気圧測定のために兼用しているので、構造が複雑になることがない。

0075

また、この実施形態では、吸気圧閾値は、大気圧に1kPa以上の所定値(たとえば10kPa)加えた値に設定されている。したがって、吸気圧閾値が大気圧よりも十分に大きいので、プロペラ4からの逆入力によるエンジン5の逆転連れ回りをより正確に検出できる。
さらに、この実施形態では、クランク軸23の回転に応じてクランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42が出力するパルスに基づく逆転判定結果を表す逆転検知フラグがセットされているという条件(第2条件、第4条件)が、逆転記録条件に含まれている。すなわち、逆転検知フラグがセットされており、かつ吸気圧が吸気圧閾値を超えていることが、逆転連れ回りが発生していると判定して逆転情報をデータメモリ63に記録するための逆転記録条件とされている。それにより、プロペラ軸19からの逆入力によるエンジン5の逆転連れ回りを一層高精度に検出してデータメモリ63に逆転情報を記録できるので、データメモリ63に信頼性の高い逆転情報を記録できる。

0076

また、この実施形態では、エンジン回転速度がエンジン回転速度閾値を超えている状態が所定時間以上継続しているという条件(第3条件)が、逆転記録条件に含まれている。そして、この第3条件と、吸気圧が吸気圧閾値を超えているという第1条件とのうちの少なくとも一方が成立すると、逆転連れ回りが生じていると判定されて、逆転情報がデータメモリ63に書き込まれる。したがって、通常のエンジン停止時のように瞬間的な逆転が生じるに過ぎない場合には、逆転情報の記録は行われない。これにより、クランク軸23からの逆入力に起因するエンジン5の逆転連れ回りの発生を正確に検出してデータメモリ63に記録できる。

0077

そして、この実施形態では、クランク軸23の回転に応じてクランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42が出力するパルスに基づいて逆転検知フラグがセットされているという条件(第2条件、第4条件)の成立を前提として、第1条件および第3条件についての判定が行われる。それにより、一層正確にエンジン5の逆転連れ回りを検出して、データメモリ63に逆転情報を記録できる。

0078

しかも、この実施形態では、ニュートラルからのシフトインが検知されてから所定の判定時間(たとえば1秒)以内に逆転検知フラグがオンしたことを、エンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定のための前提条件としている。それにより、高速前進航走状態からの後進側へのシフトインに起因する逆転連れ回り判定をより正確に行える。
エンジン回転速度閾値は、エンジン5のアイドル回転速度よりも小さく(好ましくはアイドル回転速度の1/2以下)、エンジン5のストール回転速度よりも大きい。したがって、エンジン回転速度に基づくエンジン5の逆転連れ回りの判定をより正確に実行できる。

0079

また、この実施形態では、クランク軸23の回転に応じてクランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42が出力するパルスに基づいて逆転検知フラグがセットされると、エンジン5の失火制御が実行されてエンジン5が停止させられる。これにより、クランク軸23が逆転状態でエンジン5の運転が継続されることを回避できる。したがって、エンジン5の逆転を速やかに解消して、エンジン5を保護することができる。

0080

そして、この実施形態では、逆転検知フラグがセットされ、したがって失火制御が実行された後に、前記第1条件および前記第3条件のうちの少なくとも一方が成立すると、逆転記録条件が成立となり、逆転情報がデータメモリ63に記録される。したがって、失火制御を実行した後に逆転記録条件の成否が判定されるので、より正確な逆転連れ回り判定を行うことができ、正確な逆転情報をデータメモリ63に記録できる。

0081

図9は、この発明の他の実施形態に係る船舶の電気的構成を説明するためのブロック図である。図8において、前述の図5に示した各部の対応部分には同一参照符号を付す。
この実施形態では、リモートコントローラ8と船外機2との間の接続が、操作ケーブルによる機械的な接続でなく、電気的な接続に置き換えられている。より具体的には、リモートコントローラ8に対応するリモコンECU8Aが備えられており、リモコンECU8Aは通信線90を介してエンジンECU6に備えられた通信回路64に接続されている。通信線90は船舶1内のCAN(Controller Area Network)を構成するケーブルで構成されていてもよい。リモートコントローラ8には、操作レバー81の操作位置を検出する操作位置センサ82が備えられている。操作位置センサ82の出力信号は、リモコンECU8Aに入力されている。操作位置センサ82の出力信号に基づいて、リモコンECU8Aは、エンジン5の出力を調整するためのアクセル指令信号と、前後進切替機構20のシフト位置を指令するためのシフト指令信号とを出力する。

0082

一方、船外機2は、シフトロッド31を回動させて前後進切替機構20のシフト位置を変更するためのシフトアクチュエータ56を備えている。
エンジンECU6は、シフトアクチュエータ56に電力を供給するシフトアクチュエータドライバ回路70を備えている。
エンジンECU6は、リモコンECU8Aからのアクセル指令信号に応じてスロットルアクチュエータ55を作動させることによって、エンジンの5出力(より具体的にはスロットル開度)を調整する。したがって、操船者は、操作レバー81の操作によって、エンジン5の出力を調整できる。また、エンジンECU6は、リモコンECU8Aからのシフト指令信号に応じてシフトアクチュエータ56を作動させることによって、船外機2のシフト位置を変化させる。したがって、操船者は、操作レバー81の操作によって、船外機2の推進力の方向を前進方向と後進方向とに切り替えることができ、さらにエンジン5の動力がプロペラ4に伝達されないニュートラル状態とすることができる。

0083

図2を再び参照して、たとえば、操作レバー81が中立位置Nから前進シフトイン位置Finに移動されると、船外機2のシフト位置をニュートラルから前進に切り替えるシフト指令信号がリモコンECU8AからエンジンECU6に入力される。これにより、船外機2のシフト位置がエンジンECU6によって前進に切り替えられ、船体3が前方に推進される。さらに、操作レバー81が前進シフトイン位置Finから前進全開位置Ffullの方に傾けられると、エンジン5の出力を増加させるアクセル指令信号がリモコンECU8AからECU6に入力され、エンジン5のスロットル開度が増加させられて、船舶1の航走が加速される。同様に、操作レバー81が中立位置Nから後進シフトイン位置Rinに移動されると、船外機2のシフト位置をニュートラルから後進に切り替えるシフト指令信号がリモコンECU8AからエンジンECU6に入力される。これにより、船外機2のシフト位置がエンジンECU6によって後進に切り替えられ、船体3が後方に推進される。さらに、操作レバー81が後進シフトイン位置Rinから後進全開位置Rfullの方に傾けられると、エンジン5の出力を増加させるアクセル指令信号がリモコンECU8AからECU6に入力され、エンジン5のスロットル開度が増加させられて、船舶1の後方への航走が加速される。

0084

図10は、エンジンECU6が実行する処理を説明するためのフローチャートである。図10において、図6Bに示されたステップと同様の処理が行われるステップは同一参照符号で示す。エンジンECU6は、前述の第1の実施形態に関連して説明した図6A図6C〜図6Eの処理を実行し、かつ前述の図6Bの処理の代わりに、図10の処理を実行する。

0085

この実施形態では、逆転検知フラグがセットされると(ステップS7)、エンジンECU6は、シフトアクチュエータ56を制御して、前後進切替機構20のシフト位置を強制的にニュートラルに制御する(ステップS30)。これにより、プロペラ4とエンジン5との間の動力伝達経路が遮断されるので、プロペラ4からの逆入力が長時間に渡ってエンジン5に入力されることを回避できる。したがって、エンジン5の損傷を確実に回避できる。なお、ステップS9の失火制御の開始とステップS30のニュートラルへのシフトの開始とは、いずれが先に開始されてもよく、同時に開始されてもよい。

0086

シフトアクチュエータ56を駆動してニュートラルへのシフトを開始しても、前後進切替機構20におけるギヤの噛み合いのために、すぐにニュートラルへのシフトが達成されるわけではない。したがって、逆転の検知から実際にニュートラルへのシフトが生じるまでの期間に、逆転連れ回りが生じる場合がある。このような逆転連れ回りが、吸気圧およびエンジン回転速度に基づいて精度良く検出され、それに応じて精度の高い逆転情報が記録される。

0087

以上、この発明の2つの実施形態について説明したけれども、この発明は、さらに他の形態で実施することも可能である。
たとえば、前述の実施形態では、吸気圧に基づく逆転連れ回り判定(ステップS3。第1条件)およびエンジン回転速度に基づく逆転連れ回り判定(ステップS12,S13。第3条件)の両方が実行されているけれども、これらのうちの一方を省いてもよい。また、前述の実施形態では、クランク軸23およびカム軸39A,39Bの回転に伴ってクランク軸回転センサ25およびカム軸回転センサ42から出力されるパルス信号に基づく逆転判定(ステップS6。第2条件、第4条件)が行われているが、この判定が省かれてもよい。

0088

また、前述の実施形態では、シフト状態検出ユニットとしてニュートラルスイッチ33が設けられているが、前進、後進およびニュートラルを区別して検出するシフト位置センサを代わりに用いてもよい。
さらに、前述の第1の実施形態において、第2の実施形態のようなシフトアクチュエータ56を備えてもよい。

0089

また、前述の実施形態では、吸気圧センサ51によって大気圧を測定しているが、大気圧の測定のためのセンサを吸気圧センサ51とは別に設けてもよい。吸気圧センサ51を大気圧の検出のために兼用する場合には、図6AのステップS1,S2の処理はエンジン5が始動される前に行う必要がある。一方、吸気圧センサ51とは別のセンサで大気圧を測定する場合には、大気圧の測定(ステップS1)および吸気圧閾値(ステップS2)の設定は、任意のタイミングで行うことができ、エンジン5の始動後にそれらを実行してもよい。

0090

さらに、前述の実施形態では、エンジンECU6に電源が投入されたときに大気圧を測定して、その大気圧に基づいて吸気圧閾値を設定している。しかし、大気圧の測定を省いて、一定の吸気圧閾値を適用してもよい。
また、前述の実施形態では、操作レバー81の位置をアクセル位置センサ80または操作位置センサ82で検出し、エンジンECU6によってスロットル開度を電子的に制御する電子スロットルが採用されている。しかし、この発明は、操作レバー81の操作をスロットル操作ケーブルによって機械的にスロットルバルブ48に伝達するメカニカルスロットルを備えた構成に適用されてもよい。

0091

さらに、前述の図4には、燃料噴射装置47が吸気ポート37に燃料を噴射するポート噴射式のエンジンを示したが、この発明は、シリンダ24内に燃料を直接噴射する直噴式のエンジンにも適用できる。
また、前述の実施形態では、船外機を例にとって説明したが、船内機船内外機などの他の形態の船舶推進機に対してこの発明が適用されてもよい。

0092

その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。

0093

1 :船舶
2 :船外機
3 :船体
4 :プロペラ
5 :エンジン
6 :エンジンECU
7 :ステアリングホイール
8 :リモートコントローラ
11 :ステアリング装置
18 :ドライブ軸
19 :プロペラ軸
20 :前後進切替機構
23 :クランク軸
24 :シリンダ
25 :クランク軸回転センサ
33 :ニュートラルスイッチ
34 :排気通路
35 :ピストン
37 :吸気ポート
38 :排気ポート
39A :吸気カム軸
39B :排気カム軸
40 :吸気バルブ
41 :排気バルブ
42 :カム軸回転センサ
43 :シリンダヘッド
44 :点火プラグ
45 :点火コイル
47 :燃料噴射装置
48 :スロットルバルブ
49 :燃焼室
50 :吸気通路
51 :吸気圧センサ
52 :スロットル開度センサ
60 :CPU
63 :データメモリ
71 :逆転判定ユニット
72 :失火制御ユニット
73 :逆転記録ユニット
74 :エンジン回転速度演算ユニット
80 :アクセル位置センサ
81 :操作レバー
82 :操作位置センサ

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