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技術 銅合金素材

出願人 三菱マテリアル株式会社
発明者 矢野翔一郎佐藤志信坂本敏夫
出願日 2015年11月9日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-219851
公開日 2017年5月25日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-088948
状態 特許登録済
技術分野 非鉄金属または合金の熱処理 鋳型中の金属の処理
主要キーワード ミクロエッチング RD方向 時効処理材 プローブ径 銅合金素材 鋳造用モールド 成分調製 銅原料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年5月25日)のものです。
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図面 (6)

課題

500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供する。

解決手段

Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察において前記Cr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされており、前記Cr−Zr−P化合物は、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされていることを特徴とする。

概要

背景

従来、C18150等のCu−Cr−Zr系合金は、優れた耐熱性及び導電性を備えていることから、特許文献1−3に示すように、使用環境高温となる鋳造用モールド材や溶接用部材素材として利用されている。
このようなCu−Cr−Zr系合金は、通常、Cu−Cr−Zr系合金鋳塊塑性加工を施し、例えば保持温度が950〜1050℃、保持時間が0.5〜1.5時間の溶体化処理と、例えば保持温度が400〜500℃、保持時間が2〜4時間の時効処理と、を行い、最後に機械加工により所定の形状に仕上げる製造工程によって製造される。また、Cu−Cr−Zr系合金における溶体化処理工程は、塑性加工工程と併せて行うことも可能であり、熱間圧延加工と同時に溶体化処理を行う、いわゆるインライン溶体化処理に替えて製造されることもある。
そして、Cu−Cr−Zr系合金においては、溶体化処理でCr及びZrをCuの母相中に固溶し、時効処理によってCrやZrの析出物微細分散させることで、強度及び導電率の向上を図っている。

概要

500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供する。Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察において前記Cr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされており、前記Cr−Zr−P化合物は、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされていることを特徴とする。なし

目的

この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察において前記Cr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされており、前記Cr−Zr−P化合物は、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされていることを特徴とする銅合金素材

請求項2

1000℃で30分保持熱処理を実施した後の平均結晶粒径が200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載に記載の銅合金素材。

請求項3

さらに、Coを0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内で含み、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅合金素材。

請求項4

不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計が0.10mass%以下とされていることを特徴とする請求項3に記載の銅合金素材。

技術分野

0001

本発明は、例えば鋳造用モールド材やコンタクトチップ等の溶接用部材等の高温環境下で使用される部材に適した銅合金素材に関するものである。

背景技術

0002

従来、C18150等のCu−Cr−Zr系合金は、優れた耐熱性及び導電性を備えていることから、特許文献1−3に示すように、使用環境高温となる鋳造用モールド材や溶接用部材の素材として利用されている。
このようなCu−Cr−Zr系合金は、通常、Cu−Cr−Zr系合金鋳塊塑性加工を施し、例えば保持温度が950〜1050℃、保持時間が0.5〜1.5時間の溶体化処理と、例えば保持温度が400〜500℃、保持時間が2〜4時間の時効処理と、を行い、最後に機械加工により所定の形状に仕上げる製造工程によって製造される。また、Cu−Cr−Zr系合金における溶体化処理工程は、塑性加工工程と併せて行うことも可能であり、熱間圧延加工と同時に溶体化処理を行う、いわゆるインライン溶体化処理に替えて製造されることもある。
そして、Cu−Cr−Zr系合金においては、溶体化処理でCr及びZrをCuの母相中に固溶し、時効処理によってCrやZrの析出物微細分散させることで、強度及び導電率の向上を図っている。

先行技術

0003

特開昭62−182238号公報
特開昭62−182239号公報
特開平04−210438号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、上述のCu−Cr−Zr系合金においては、優れた耐熱性を有しているが、ピーク温度が500℃以上の使用環境にさらされると、析出物の再固溶が始まり、それにともなって強度及び導電率が低下するとともに結晶粒の粗大化が発生することがある。
結晶粒の粗大化が起きた場合には、亀裂の伝播速度が増大し、製品寿命が短くなるおそれがあった。また、結晶粒の粗大化が局所的に発生することで、強度及び伸び等の機械的特性が著しく低下するといった問題があった。

0005

この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記の課題を解決するために、本発明の銅合金素材は、Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察において前記Cr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされており、前記Cr−Zr−P化合物は、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされていることを特徴としている。

0007

この構成の銅合金素材においては、Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成とされているので、時効処理によって微細な析出物を析出させることにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させることができる。
そして、本発明の銅合金素材においては、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察において前記Cr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされている。このCrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物は、1000℃程度の高温条件においても消失しないことから、高温環境下で使用した場合であっても、Cr−Zr−P化合物による結晶粒界ピン止め効果によって、結晶粒の粗大化を抑制することができる。
また、Cr−Zr−P化合物が、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされているので、上述のピン止め効果を確実に奏功せしめることが可能となる。

0008

ここで、本発明の銅合金素材においては、1000℃で30分保持熱処理を実施した後の平均結晶粒径が200μm以下とされていることが好ましい。
この場合、1000℃で30分保持の熱処理を実施した後でも、結晶粒が粗大化しておらず、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、機械的特性や導電率が安定している。

0009

また、本発明の銅合金素材においては、さらに、Coを0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内で含み、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、Cr及びZrに加えてさらにCoを0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内で含んでいるので、CoP化合物及びCo2P化合物が存在することになり、上述のCr−Zr−P化合物とともに、結晶粒界のピン止め効果を発揮することができ、高温環境下で使用した場合であっても結晶粒の粗大化を確実に抑制することができる。
また、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされているので、余剰のCoやPが母相中に固溶することを抑制でき、導電率の低下を抑制することができる。

0010

さらに、Coを含有する本発明の銅合金素材においては、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計が0.10mass%以下とされていることが好ましい。
この場合、Pと化合物を形成する元素であるTi及びHfの合計含有量が0.10mass%以下に制限されているので、CoP化合物及びCo2P化合物が確実に形成され、結晶粒界のピン止め効果を効果的に発揮させることができ、結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。

発明の効果

0011

本発明によれば、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の一実施形態である銅合金素材の製造方法のフロー図である。
実施例における組織観察写真である。(a)が本発明例2、(b)が比較例1である。
1000℃で30分保持の熱処理を実施した後の組織観察写真である。(a)が本発明例2、(b)が比較例1である。
本発明例2のSEM−EPMA画像である。
比較例2のSEM−EPMA画像である。
Cu−Zr−P化合物の面積率を算出する際のSEM−EPMA画像の一例である。

0013

以下に、本発明の一実施形態である銅合金素材について説明する。
本実施形態である銅合金素材は、例えば鋳造用モールドや溶接用部材等の高温環境下で使用される部材に用いられるものである。

0014

本実施形態である銅合金素材は、Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有する。
なお、本実施形態である銅合金素材においては、必要に応じて、さらにCoを0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内で含み、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされていてもよい。また、Coを含有する場合には、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計が0.10mass%以下であることが好ましい。

0015

そして、本実施形態である銅合金素材においては、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察においてCr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされている。また、上述のCr−Zr−P化合物は、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされている。
さらに、本実施形態である銅合金素材においては、1000℃で30分保持の熱処理を実施した後の平均結晶粒径が200μm以下とされている。

0016

以下に、本実施形態である銅合金素材において、成分組成結晶組織等を上述のように規定した理由について説明する。

0017

(Cr:0.1mass%以上1.5mass%以下)
Crは、時効処理によって母相結晶粒内Cr系の析出物を微細に析出させることにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Crの含有量が0.1mass%未満の場合には、時効処理において析出量が不十分となり、強度(硬さ)向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Crの含有量が1.5mass%を超える場合には、粗大なCr晶出物が形成され、加工性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Crの含有量を0.1mass%以上1.5mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Crの含有量の下限を0.3mass%以上とすることが好ましく、Crの含有量の上限を1.0mass%以下とすることが好ましい。

0018

(Zr:0.05mass%以上0.25mass%以下)
Zrは、時効処理によって母相の結晶粒界にZr系の析出物を微細に析出することにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Zrの含有量が0.05mass%未満の場合には、時効処理において析出量が不十分となり、強度(硬さ)向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Zrの含有量が0.25mass%を超える場合には、導電率及び熱伝導率が低下してしまうおそれがある。また、Zrを0.25mass%を超えて含有しても、さらなる強度向上の効果が得られないおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Zrの含有量を0.05mass%以上0.25mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Zrの含有量の下限を0.07mass%以上とすることが好ましく、Zrの含有量の上限を0.15mass%以下とすることが好ましい。

0019

(P:0.005mass%以上0.10mass%以下)
Cu−Cr−Zr合金にPを添加することにより、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が生成する。このCr−Zr−P化合物は、1000℃といった高温条件でも消失しないことから、高温環境下で使用した場合でも結晶粒界のピン止め効果を発揮し、結晶の粗大化を抑制することが可能となる。
ここで、Pの含有量が0.005mass%未満の場合には、上述のCr−Zr−P化合物を十分に形成することができなくなるおそれがある。一方、Pの含有量が0.10mass%を超える場合には、導電率が低下するとともに、Cr−Zr−P化合物が粗大化し、ピン止め効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Pの含有量を0.005mass%以上0.10mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Pの含有量の下限を0.01mass%以上とすることが好ましく、Pの含有量の上限を0.05mass%以下とすることが好ましい。

0020

(Co:0.02mass%以上0.15mass%以下)
Coを添加することにより、CoP化合物及びCo2P化合物が形成され、これらCoP化合物及びCo2P化合物と上述のCr−Zr−P化合物とによって、結晶粒界のピン止め効果が発揮され、高温環境下で使用した場合であっても結晶粒の粗大化を確実に抑制することができる。
ここで、Coの含有量が0.02mass%未満の場合には、CoP化合物及びCo2P化合物を十分に形成することができず、Coを添加したにもかかわらず、さらなるピン止め効果の向上を図ることができないおそれがある。一方、Coの含有量が0.15mass%を超える場合には、CoP化合物及びCo2P化合物が粗大化し、Coを添加したにもかかわらず、さらなるピン止め効果の向上を図ることができないおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Coを添加する場合には、Coの含有量を0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Coの含有量の下限を0.03mass%以上とすることが好ましく、Coの含有量の上限を0.1mass%以下とすることが好ましい。また、Coを意図的に添加しない場合には、Coを不純物として0.02mass%未満含有していてもよい。

0021

(CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕:0.5以上5.0以下)
また、Coを添加する場合には、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とする。このようにCoとPの原子比〔Co〕/〔P〕を規定することにより、CoP化合物及びCo2P化合物の形成に寄与しない余剰のCoやPが母相中に固溶して導電率が低下することを抑制できる。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕の下限を1.0以上とすることが好ましく、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕の上限を3.0以下とすることが好ましい。

0022

(Ti.Hfの合計:0.10mass%以下)
さらに、Coを添加する場合には、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計が0.10mass%以下とすることが好ましい。これらTi、Hfといった元素は、Coとの化合物を生成しやすいことから、CoP化合物及びCo2P化合物を十分に形成することができなくなるおそれがある。よって、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計を上述のように規定することで、CoP化合物及びCo2P化合物を確実に形成し、ピン止め効果を発揮させることができる。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計量を0.03mass%以下とすることが好ましい。

0023

(その他の不可避不純物:0.05mass%以下)
なお、上述したCr,Zr,P,Co,Ti,Hf以外のその他の不可避的不純物としては、B、Al,Fe,Sn,Zn,Si,Mg,Ag,Ca,Te,Mn,Ni,Sr,Ba,Sc,Y,V,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Os,Se,Rh,Ir,Pd,Pt,Au,Cd,Ga,In,Li,Ge,As,Sb,Tl,Pb,Be,N,H,Hg,Tc,Na,K,Rb,Cs,Po,Bi,ランタノイド、O,S,C等が挙げられる。これらの不可避不純物は、導電率及び熱伝導率を低下させるおそれがあるため、総量で0.05mass%以下とすることが好ましい。

0024

(Cr−Zr−P化合物の面積率:0.5%以上5.0%以下)
上述のCr−Zr−P化合物の面積率が0.5%未満の場合には、Cr−Zr−P化合物による結晶粒界のピン止め効果が不十分となり、結晶粒の粗大化を抑制できなくなるおそれがある。一方、Cr−Zr−P化合物の面積率が5.0%を超えると、加工性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Cr−Zr−P化合物の面積率を0.5%以上5.0%以下に規定している。なお、Cr−Zr−P化合物の面積率の下限は1.0%以上とすることが好ましく、Cr−Zr−P化合物の面積率の上限は3.0%以下とすることが好ましい。

0025

(針状、粒状のCr−Zr−P化合物の最長の辺となる長さ:100μm以下)
針状、粒状の形態をなすCr−Zr−P化合物の最長の辺となる長さが100μmを超える場合には、上述のピン止め効果が十分に発揮されないおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Cr−Zr−P化合物の最長の辺となる長さを100μm以下に規定している。なお、Cr−Zr−P化合物の最長の辺となる長さの上限は80μm以下とすることが好ましい。

0026

(1000℃で30分保持の熱処理を実施した後の平均結晶粒径:200μm以下)
1000℃で30分保持の熱処理後の平均結晶粒径が200μm以下とされることにより、例えば500℃以上の高温環境下で使用した際の結晶粒の粗大化が確実に抑制され、強度等の特性が安定することになる。
以上のことから、本実施形態では、1000℃で30分保持の熱処理を実施した後の平均結晶粒径を200μm以下としている。

0027

次に、本発明の一実施形態に係る銅合金素材の製造方法を、図1のフロー図を参照して説明する。

0028

(溶解・鋳造工程S01)
まず、銅の純度が99.99mass%以上の無酸素銅からなる銅原料を、カーボンるつぼ装入し、真空溶解炉を用いて溶解し、銅溶湯を得る。次いで、得られた溶湯に、所定の濃度となるように前述の添加元素を添加して、成分調製を行い、銅合金溶湯を得る。
ここで、添加元素であるCr、Zr、Pの原料としては、純度の高いものを使用し、例えばCrの原料は純度99.99mass%以上のものを使用し、Zrの原料は純度99.95mass%以上、Pの原料は純度99.99mass%以上のものを使用する。また、Coを必要に応じて添加する。なお、Cr、Zr、Co,Pの原料として、Cuとの母合金を用いてもよい。
そして、成分調製された銅合金溶湯を鋳型注湯して鋳塊を得る。

0029

均質化処理工程S02)
次に、得られた鋳塊の均質化のために熱処理を行う。
具体的には、鋳塊を大気雰囲気にて、950℃以上1050℃以下、1時間以上の条件で均質化処理を行う。

0030

熱間加工工程S03)
次いで、鋳塊に対して900℃以上1000℃以下の温度範囲で、加工率50%以上99%以下の熱間圧延を行い、圧延材を得る。なお、熱間加工の方法は、熱間鍛造であっても良い。この熱間加工後、直ちに水冷によって冷却する。

0031

(溶体化処理工程S04)
次いで、熱間加工工程S03で得られた圧延材を、920℃以上1050℃以下、0.5時間以上5時間以下の条件で加熱処理を施し、溶体化処理を行う。加熱処理は、例えば大気または不活性ガス雰囲気で行い、加熱後の冷却は、水冷によって行う。

0032

なお、インライン溶体化処理を行うことにより、熱間加工工程S03と溶体化処理工程S04を同時に行ってもよい。
具体的には、鋳塊に対して900℃以上1000℃以下の温度範囲で、加工率50%以上99%以下の熱間圧延を行うとともに、920℃以上1050℃以下の温度から直ちに水冷によって冷却することにより、溶体化処理を行う。

0033

(時効処理工程S05)
次に、溶体化処理工程S04の後に、時効処理を実施し、Cr系析出物及びZr系析出物などの析出物を微細に析出させ、時効処理材を得る。
ここで、時効処理は、例えば400℃以上530℃以下、0.5時間以上5時間以下の条件で行う。
なお、時効処理時熱処理方法は、特に限定しないが、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、加熱処理後冷却方法は、特に限定しないが、水冷で行うことが好ましい。
このような工程により、本実施形態である銅合金素材が製造される。

0034

以上のような構成とされた本実施形態に係る銅合金素材によれば、Crを0.1mass%以上1.5mass%以下、Zrを0.05mass%以上0.25mass%以下、Pを0.005mass%以上0.10mass%以下、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成とされているので、時効処理によって微細な析出物を析出させることにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させることができる。

0035

そして、本実施形態においては、CrとZrとPを含むCr−Zr−P化合物が存在し、組織観察においてCr−Zr−P化合物の面積率が0.5%以上5.0%以下の範囲内とされているので、高温環境下で使用した場合でもCr−Zr−P化合物が消失せず、このCr−Zr−P化合物のピン止め効果によって、結晶粒の粗大化を抑制することができる。

0036

また、本実施形態においては、Cr−Zr−P化合物が、針状もしくは粒状の形態をとり、最長となる辺の長さが100μm以下とされているので、上述のピン止め効果を確実に奏功せしめることが可能となる。
さらに、本実施形態においては、1000℃で30分保持の熱処理を実施した後の平均結晶粒径が200μm以下とされているので、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒が粗大化せず、機械的特性や導電率が安定している。

0037

また、本実施形態において、さらにCoを0.02mass%以上0.15mass%以下の範囲内で含み、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされている場合には、CoP化合物及びCo2P化合物が形成され、上述のCr−Zr−P化合物とともに、結晶粒界のピン止め効果を発揮することができ、高温環境下で使用した場合であっても結晶粒の粗大化を確実に抑制することが可能となる。また、CoとPの原子比〔Co〕/〔P〕が、0.5≦〔Co〕/〔P〕≦5.0の範囲内とされているので、余剰のCo、Pが母相中に固溶することを抑制でき、導電率の低下を抑制することができる。
さらに、Coを含有する場合には、不可避不純物であるTi、Hfの含有量の合計が0.10mass%以下とすることにより、CoP化合物及びCo2P化合物を確実に形成することができ、結晶粒界のピン止め効果を効果的に発揮させ、結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。

0038

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0039

以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
純度99.99mass%以上の無酸素銅からなる銅原料を準備し、これをカーボンるつぼに装入し、真空溶解炉(真空度10−2Pa以下)で溶解し、銅溶湯を得た。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1に示す成分組成に調製し、5分間保持した後、銅合金溶湯を鋳鉄製の鋳型に注湯して鋳塊を得た。鋳塊の大きさは、幅約80mm、厚さ約50mm、長さ約130mmとした。
なお、添加元素であるCrの原料は純度99.99mass%以上、Zrの原料は純度99.95mass%以上のものを使用した。

0040

次に、大気雰囲気において1000℃で1時間の条件で均質化処理を行った後、熱間圧延を実施した。熱間圧延時の圧下率を80%とし、幅約100mm×厚さ約10mm×長さ約520mmの熱間圧延材を得た。
なお、本実施例においては、熱間圧延終了時に表1に示す冷却速度で冷却することで溶体化処理を兼ねており、いわゆるインライン溶体化を実施した。
次に、500(±15)℃で3時間の条件で時効処理を実施した。これにより、銅合金素材を得た。

0041

得られた銅合金素材について、時効処理後の銅合金素材の組織観察を行い、Cr−Zr−P化合物について評価した。また、時効処理後の銅合金素材の導電率及び引張強度を測定した。
さらに、時効処理後の銅合金素材に対して、1000℃で30分保持後の熱処理を実施し、その後水冷した銅合金素材について、平均結晶粒径及び引張強度を評価した。

0042

組成分析
得られた銅合金素材の成分組成は、ICP−MS分析によって測定した。測定結果を表1に示す。

0043

(Cr−Zr−P化合物)
得られた銅合金素材の板厚板幅中心部から10mm×15mmの試料切り出し、圧延方向(RD方向)の面を研磨後ミクロエッチングを行った。
この試料をSEM観察し、SEM−EPMA画像(250μm×250μmの視野)において、母相よりもCr,Zr,P濃度が高い領域を「Cr−Zr−P化合物」であると判断し、最長となる辺の長さを測定した。そして、Cu−Zr−P化合物の面積率を以下の式で求めた。
面積率=(Cr−Zr−P化合物が占める面積)/(250μm×250μm)
図4に本発明例2のSEM−EPMA画像を、図5に比較例1のSEM−EPMA画像を示す。また、Cu−Zr−P化合物の面積率を算出する際のSEM−EPMA画像(250μm×250μmの視野)の一例を図6に示す。

0044

(平均結晶粒径)
銅合金素材の板厚で板幅中心部から10mm×15mmの試料を切り出し、圧延方向(RD方向)の面を研磨後、ミクロエッチングを行った。
この試料を観察し、JIS H 0501に規定された切断法により、平均結晶粒径を測定した。

0045

(導電率)
日本フェルスター社製SIGMA TEST D2.068(プローブ径φ6mm)を用いて、10×15mmのサンプルの断面中心部を3回測定し、その平均値を求めた。

0046

(引張強度)
圧延方向を引張方向としてJIS Z 2241 2号試験片採取し、100kN引張試験機を用いて試験に供した。

0047

0048

0049

Pを添加していない比較例1においては、針状、粒状のCr−Zr−P化合物が生成しないため、1000℃30分の熱処理後に引張強度が大きく低下した。
針状、粒状のCr—Zr−P化合物の面積率が本発明の範囲を超えた比較例2においては、1000℃30分の熱処理後に引張強度が大きく低下した。
Zrの含有量が本発明の範囲を超えた比較例3においては、導電率が低く、1000℃30分の熱処理後に引張強度が大きく低下した。
Coの含有量が本発明の範囲を超えた比較例4においては、導電率が低くかった。
針状、粒状のCr—Zr−P化合物の面積率が本発明の範囲よりも少ない比較例5においては、1000℃30分の熱処理後に引張強度が大きく低下した。

0050

これに対して、本発明例1−6においては、導電率が高く、かつ、1000℃30分の熱処理後においても引張強度が大きく低下することがなかった。また、1000℃30分の熱処理後の結晶粒径が200μm以下とされた本発明例3−6においては、さらに、1000℃30分の熱処理後の引張強度の低下が抑えられていた。

実施例

0051

以上のことから、本発明例によれば、500℃以上の高温環境下で使用された場合であっても、結晶粒の粗大化を抑制でき、特性が安定し、かつ、使用寿命に優れた銅合金素材を提供可能であることが確認された。

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