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技術 コークス製造用炭材、その製造方法及びコークスの製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 野村誠治
出願日 2016年10月24日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-207726
公開日 2017年5月25日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-088869
状態 特許登録済
技術分野 コークス工業
主要キーワード 収縮係数 極大温度 次収縮 石炭利用技術 粘結力 単位温度 枯渇状態 再固化温度
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課題

亀裂を抑制し、十分な強度及び粒度コークスを製造できるコークス製造用炭材を提供する。

解決手段

石炭乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材において、前記石炭は、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有し、前記炭材は、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内であることを特徴とするコークス製造用炭材。

概要

背景

高炉操業に使用されるコークスは、高炉内通気性を確保するために、所要の強度及び粒度が求められる。このようなコークスは、多種の石炭粉砕・配合した後、コークス炉装入して、炉内で乾留して製造される。コークス製造用の石炭に、良質な石炭を用いることで、十分な強度のコークスを製造することができるが、良質な石炭は、資源的に枯渇状態にある。それに対して、劣質な石炭は、埋蔵量豊富であり、劣質な石炭を用いて、十分な強度を有するコークスを製造することが望まれている。

コークスの強度は、コークスの亀裂と関係があり、十分な強度のコークスを得るためには、コークスの亀裂を抑制する必要がある。このようなコークスの亀裂は、石炭の乾留過程における石炭の収縮により発生するとされている。

石炭の乾留過程における、加熱温度に対するコークス収縮係数の変化(収縮係数曲線)には、1次収縮による第1次ピーク極大)と2次収縮による第2次ピーク(極大)がある。第1次ピークは、石炭が400〜500℃程度の温度範囲軟化溶融し、その後固化するときに起こる収縮によるピークであり、第2次ピークは、約700℃の脱水素するときに起こる収縮によるピークである。

1次収縮率は石炭の種類により異なり、揮発分が高い劣質な石炭では1次収縮が大きい。そのため、数種類の石炭を配合してコークスを製造する方法において、揮発分が高い劣質な石炭を配合すると、石炭同志の収縮の差が大きくなり、ミクロな亀裂が発生し易い。一方、2次収縮率は石炭の種類によらずほぼ一定であるものの、ミクロな亀裂を進展させる。

このような亀裂を抑制し、コークス粒度を拡大して、十分な強度のコークスを得るために、石炭の再固化温度以上での収縮率が石炭より小さいコークス粉等の炭材を添加するとともに、炭材と石炭粒子接着強度補強するために、ピッチ等の歴青物をあわせて添加する技術が知られている(例えば、特許文献1、参照)。

概要

亀裂を抑制し、十分な強度及び粒度のコークスを製造できるコークス製造用炭材を提供する。石炭を乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材において、前記石炭は、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有し、前記炭材は、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内であることを特徴とするコークス製造用炭材。

目的

それに対して、劣質な石炭は、埋蔵量が豊富であり、劣質な石炭を用いて、十分な強度を有するコークスを製造することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

石炭乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材において、前記石炭は、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有し、前記炭材は、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内であることを特徴とするコークス製造用炭材。

請求項2

石炭を乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材の製造方法であって、前記石炭について、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係を測定し、当該石炭の再固化温度以上の温度うち、コークス収縮係数の極小を示す温度を求め、前記石炭の前記極小を示す温度未満の温度で、前記炭材を製造するための原料石炭を炭化して、前記炭材が、当該原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度で炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内となるようにすることを特徴とするコークス製造用炭材の製造方法。

請求項3

前記原料石炭として、ドライベース揮発分VMが35〜50%と、粘結力指数CIが20以上の少なくとも一方の条件を満たすものを用いることを特徴とする請求項2に記載のコークス製造用炭材の製造方法。

請求項4

前記原料石炭として、平均粒度3mm以上の粒状物または造粒物を用いることを特徴とする請求項2または3に記載のコークス製造用炭材の製造方法。

請求項5

石炭にコークス製造用炭材を添加して乾留するコークスの製造方法であって、前記石炭として、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において、当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有するものを用い、前記炭材として、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内であるものを用いることを特徴とするコークスの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、乾留する石炭に添加して、コークスを製造するためのコークス製造用炭材に関するものである。

背景技術

0002

高炉操業に使用されるコークスは、高炉内通気性を確保するために、所要の強度及び粒度が求められる。このようなコークスは、多種の石炭を粉砕・配合した後、コークス炉装入して、炉内で乾留して製造される。コークス製造用の石炭に、良質な石炭を用いることで、十分な強度のコークスを製造することができるが、良質な石炭は、資源的に枯渇状態にある。それに対して、劣質な石炭は、埋蔵量豊富であり、劣質な石炭を用いて、十分な強度を有するコークスを製造することが望まれている。

0003

コークスの強度は、コークスの亀裂と関係があり、十分な強度のコークスを得るためには、コークスの亀裂を抑制する必要がある。このようなコークスの亀裂は、石炭の乾留過程における石炭の収縮により発生するとされている。

0004

石炭の乾留過程における、加熱温度に対するコークス収縮係数の変化(収縮係数曲線)には、1次収縮による第1次ピーク極大)と2次収縮による第2次ピーク(極大)がある。第1次ピークは、石炭が400〜500℃程度の温度範囲軟化溶融し、その後固化するときに起こる収縮によるピークであり、第2次ピークは、約700℃の脱水素するときに起こる収縮によるピークである。

0005

1次収縮率は石炭の種類により異なり、揮発分が高い劣質な石炭では1次収縮が大きい。そのため、数種類の石炭を配合してコークスを製造する方法において、揮発分が高い劣質な石炭を配合すると、石炭同志の収縮の差が大きくなり、ミクロな亀裂が発生し易い。一方、2次収縮率は石炭の種類によらずほぼ一定であるものの、ミクロな亀裂を進展させる。

0006

このような亀裂を抑制し、コークス粒度を拡大して、十分な強度のコークスを得るために、石炭の再固化温度以上での収縮率が石炭より小さいコークス粉等の炭材を添加するとともに、炭材と石炭粒子接着強度補強するために、ピッチ等の歴青物をあわせて添加する技術が知られている(例えば、特許文献1、参照)。

先行技術

0007

特開平6−264069号公報
特開昭56−136880号公報
特開昭56−136881号公報
特開昭56−136882号公報
特開平07−003309号公報
国際公開第2010/087468号

発明が解決しようとする課題

0008

この石炭より収縮率が小さい炭材を添加する技術において、乾留する石炭の種類によっては、亀裂が十分に抑制されず、十分な粒度及び強度のコークスが得られないことがあった。
本発明は、このような実情に鑑み、亀裂を抑制し、十分な強度及び粒度のコークスを製造できるコークス製造用炭材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために、まず、石炭に添加する炭材について調査した。炭材としては、劣質な石炭をコークス製造の原料とするために、450〜600℃で予備乾留したチャーが広く知られている(例えば、特許文献2〜6、参照)。

0010

本発明者らは、種々の温度で予備乾留して得られた炭材を準備し、石炭に炭材を添加し、乾留して、炭材の違いと亀裂との関係を調査した。その結果、特定の石炭と炭材との組み合わせにおいて、亀裂が抑制されることを知見した。

0011

そこで、亀裂が抑制された組合せの石炭と炭材において、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係と、炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係とを測定したところ、石炭のコークス収縮係数の第1次ピーク(極大)と第2次ピーク(極大)の間の極小に、炭材の収縮係数のピーク(極大)が存在していた。

0012

このように、石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係に対して、炭材を、特定の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係を有するものとすることで、石炭と炭材の混合物を乾留したとき、500〜1000℃の温度帯を通じて、コークス収縮係数の変化が少なく、低位に保つことができ、その結果、亀裂の発生を抑制することができることを見出した。

0013

本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)石炭を乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材において、
前記石炭は、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有し、
前記炭材は、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内である
ことを特徴とするコークス製造用炭材。

0014

(2)石炭を乾留してコークスを製造する際に当該石炭に添加されるコークス製造用炭材の製造方法であって、
前記石炭について、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係を測定し、当該石炭の再固化温度以上の温度うち、コークス収縮係数の極小を示す温度を求め、
前記石炭の前記極小を示す温度未満の温度で、前記炭材を製造するための原料石炭を炭化して、前記炭材が、当該原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度で炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内となるようにする
ことを特徴とするコークス製造用炭材の製造方法。
(3)前記原料石炭として、ドライベースの揮発分VMが35〜50%と、粘結力指数CIが20以上の少なくとも一方の条件を満たすものを用いることを特徴とする上記(2)に記載のコークス製造用炭材の製造方法。
(4)前記原料石炭として、平均粒度3mm以上の粒状物または造粒物を用いることを特徴とする上記(2)または(3)に記載のコークス製造用炭材の製造方法。

0015

(5)石炭にコークス製造用炭材を添加して乾留するコークスの製造方法であって、
前記石炭として、当該石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において、当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有するものを用い、
前記炭材として、当該炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係において、前記石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、当該極大を示す温度が前記石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内であるものを用いる
ことを特徴とするコークスの製造方法。

0016

なお、本発明および明細書では、コークス製造用の石炭を単に「石炭」と表記し、炭材製造用の石炭を「原料石炭」と表記する。

発明の効果

0017

本発明によれば、コークス製造用炭材を、石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係に対して、特定の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数の関係を有するものとしたので、亀裂が抑制され、十分な強度及び粒度を有するコークスを製造することができる。

図面の簡単な説明

0018

乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す図である。
石炭A及びBの乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す図である。
石炭Aの乾留時の加熱温度と収縮係数との関係、No.1〜4の炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す図である。

0019

本発明のコークス製造用炭材(以下、「本発明の炭材」という)は、コークスを製造する際に石炭に添加するものであり、原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数の関係において、石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、該極大を示す温度が、石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において、コークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内のものである。

0020

以下、本発明の炭材に至った検討の経緯について説明する。なお、特段の断りの無い限り、石炭及び炭材の配合率、揮発分の「%」は「質量%」を示す。

0021

本発明者らは、コークスの製造において、亀裂を抑制し、十分な強度及び粒度のコークスを製造できる炭材について次のような調査を実施した。まず、種々の温度で予備乾留して得られた炭材を準備し、1種の石炭にそれぞれ添加し、複数の混合物を得て、それらを乾留して、炭材の違いと亀裂との関係を調査した。その結果、特定の炭材において、亀裂が抑制された。

0022

そこで、石炭、亀裂が抑制された炭材X及び亀裂が発生した炭材Yにおいて、それぞれ乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を測定した。図1に、乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す。図1において、実線が石炭、点線Xが亀裂が抑制された炭材X、点線Yが亀裂が発生した炭材Yの乾留時の加熱温度と収縮係数との関係である。

0023

石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係では、400〜500℃程度の温度範囲で軟化溶融し、その後固化するときに起こる1次収縮による第1次ピークP1(極大)と、約700℃の脱水素するときに起こる2次収縮による第2次ピーク(極大)が確認された。亀裂が抑制された炭材X及び亀裂が発生した炭材Yでは、石炭の再固化温度以上の温度、具体的には、炭材Xでは約570℃、炭材Yでは約700℃にピークが確認された。

0024

これより、亀裂が抑制された炭材Xでは、石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係における、第1次ピークP1と第2次ピークP2に挟まれた極小に相当する位置に、炭材収縮係数のピークが存在していた。それに対して、亀裂が発生した炭材Yでは、石炭のコークス収縮係数の極大(第2次ピークP2)と重なるように、炭材収縮係数のピークが存在していた。

0025

そうすると、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度と同等にすると、炭材と石炭の混合物のコークス収縮係数の変化が少なくなり、コークスの亀裂を抑制できるが、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、石炭のコークス収縮係数の極大を示す温度と同等にすると、炭材と石炭の混合物のコークス収縮係数の変化が大きくなり、コークスに歪が生じ、コークスに亀裂が発生すると考えた。

0026

そこで、種々の炭材の収縮係数の極大を示す温度と、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度との差と、亀裂の有無との関係について詳細に検討した結果、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内とすることで、コークスの亀裂を抑制できることを知見した。

0027

本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)〜(5)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。

0028

本発明の炭材は、コークスを製造する際に石炭に添加するものであり、原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数の関係において、石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、該極大を示す温度が、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃であるものである。
まず、本発明の炭材の添加対象の石炭について説明する。

0029

(石炭)
本発明の炭材の添加対象の石炭は、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において、石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有するものであれば、特に限定されるものでない。この極小は、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係において、石炭の軟化溶融の後に固化するときに起こる1次収縮による第1次ピーク(極大)と、約700℃の脱水素により熱収縮するときに起こる2次収縮による第2次ピーク(極大)の間に観測されるものであり、少なくとも、再固化温度以上1000℃以下の温度範囲において、観測されるものである。

0030

この石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係の求め方は、特開2005−232349号公報に詳細に記載されているため、この関係の求め方に関しては、以下に簡潔に説明する。

0031

細管に、石炭試料充填して、細管内の石炭試料の上にピストンを挿入して、例えば3℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温する。ピストンの位置に基づいて昇温中の試料長さを測定し、温度に対する試料長さの関係を求める。再固化温度での試料の長さをLR、温度Tでの試料長さをLTとしたとき、温度Tでのコークス収縮率R(−)を以下の式で定義する。そして、単位温度変化あたりのコークス収縮率Rの変化をコークス収縮係数(−/℃)とし、温度とコークス収縮係数との関係を求める。
R=(LR−LT)/LR

0032

また、本発明の炭材の添加対象の石炭は、1銘柄から構成される単味炭でも複数銘柄から構成される配合炭でもよい。ただし、非微粘結炭の配合率が50%未満では、炭材配合によるコークスの割れ抑制や、強度向上の効果が小さいため、非微粘結炭を50%以上配合した配合炭とすることが好ましい。また、石炭の揮発分及び粒度は、特に限定されるものでなく、ドライベースの揮発分VMが17〜40%、粒度が3mm以下の比率を60%〜95%であるものが例示される。

0033

(炭材)
本発明の炭材は、原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数の関係において、対象とする石炭の再固化温度以上の温度に炭材収縮係数の極大を有し、該極大を示す温度が、該石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内であるものとする。ちなみに、原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係の求め方は、上記の温度とコークス収縮係数との関係の求め方と同様の条件である。
後述の実施例に示されるように、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、対象とする石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内とすることで、500〜1000℃の温度域を通じて、コークス収縮係数の変化を少なく、低位に保つことができ、亀裂の発生を抑制できる。

0034

対象とする石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度は、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係の図面から読み取っても、該関係の近似曲線の式を微分して求めてもよい。

0035

炭材の収縮係数の極大値は、特に限定されるものでなく、石炭のコークス収縮係数の極小値より大きくても、小さくてもよい。また、炭材収縮係数の極大値を有するピークの形状は、特に限定されるものでなく、シャープな形状でもブロードな形状でもよい。

0036

炭材が、そのような石炭の再固化温度以上の温度で収縮係数の極大を示すには、炭材に揮発分を残存させておくことが重要であるが、その量は特に限定されるものではなく、コークスの亀裂を抑制できる範囲に適宜設定すればよい。
また、炭材の粘結力指数CIは、20以上とすることが好ましい。粘結力指数CIが20未満では、周囲の粒子接着し難いため、石炭とともに乾留して製造したコークスの強度が低下することがある。

0037

ここで、揮発分VMは、JIS M8812で規定される方法により測定されるものである。また、粘結力指数CIは、石炭利用技術用語辞典(社団法人燃料協会編)p.255に記載されており、0.25mm以下の劣質炭1gに0.25〜0.30mmの粉コークス9gを混合し、磁性るつぼで950℃、7分間乾留した後、0.30mm以上の篩分けし、篩上に残存した質量の百分率で表示した値である。

0038

次に、本発明のコークス製造用炭材の製造方法(以下、「本発明の炭材の製法」という)、及び、本発明のコークスの製造方法(以下、「本発明のコークスの製法」という)の流れについて説明するとともに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。

0039

本発明の炭材の製法は、炭材製造用の原料石炭を、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度未満の温度で炭化して、炭材が石炭の再固化温度以上の温度で炭材収縮係数が極大を有し、かつ、該極大を示す温度が石炭の前記極小を示す温度の±30℃以内となるように製造する方法であり、原料石炭の性状(揮発分、平均粒度等)に応じて目的の炭材収縮係数を有する炭材となるように炭化条件を調整するものである。

0040

まず、石炭を準備する。石炭は、上述するように、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係において、当該石炭の再固化温度以上の温度にコークス収縮係数の極小を有するものであれば、特に限定されるものでなく、単味炭でも配合炭でもよい。

0041

そして、上述するように特開2005−232349号公報に記載の方法により、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係を測定し、当該石炭の再固化温度以上の温度でコークス収縮係数の極小を示す温度を求める。該極小を示す温度は、石炭乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係の図面から読み取って求めることができる。

0042

次に、炭材製造用の原料石炭を準備する。
原料石炭は、炭材としたときに、収縮係数の極大を示す温度が上記のような範囲になるようなものであれば、その他の特性は特に限定されるものではないが、ドライベースの揮発分VMが35〜50%の石炭を採用することが好ましい。また、原料石炭の粘結力指数CIは、20以上とすることが好ましい。

0043

原料石炭のVMの値は炭材の収縮係数に影響を与え、その値が35%未満では、炭材に残留する揮発分が少なくなるために収縮係数の絶対値が小さくなる。この場合は、収縮係数が異なるものを組み合わせて応力緩和して亀裂発生を抑制する効果が小さくなるために、収縮係数極大温度が上記の範囲に入っていても、コークス粒径を向上させる効果が効果的に発揮できない場合が生じる。また、50%超では、炭材に残留する揮発分が多くなるために収縮係数の絶対値が大きくなり、収縮係数極大温度が上記の範囲に入っていてもコークスの亀裂が発生する可能性があり、これによりコークス粒径を向上させる効果が効果的に発揮できない場合が生じる。

0044

原料石炭のCIについては、その値が20未満では、石炭の粘結性不足して、石炭粒子接着性阻害し、コークス強度を低下させる場合が生じる。

0045

また、原料石炭は平均粒度3mm以上とすることが好ましい。粒度が小さい原料石炭は、伝熱が早く、かつ、比表面積が大きいため、炭化の際に揮発分が放出され易くなり、炭材に必要な量の揮発分が残留し難くなる結果、最適な収縮率極大温度を持つ炭材を調整可能な温度範囲が狭くなると考えられる。更に、粒度が大きい原料石炭は、予定とする炭化温度よりも高温炭化処理された場合であっても、揮発分を残存させることができる。このため、原料石炭は平均粒度3mm以上の粒状物とすることが好ましく、更に好ましくは、平均粒度10mm以上の粒状物である。

0046

なお、3mm未満の微粒であっても、造粒して平均粒度を3mm以上の造粒物とすることで、揮発分の脱離速度を抑えることができるため、炭材に必要な量の揮発分を残留させ易くなり、粒径向上効果を向上させることができる。しかしながら、平均粒度3mm以上の粒状物と比較すると、造粒物は微粒と微粒の界面から揮発分が脱離しやすいので、同じ平均粒度で比較すると、粒径向上効果は粗粒の方が大きくなる。

0047

ここで、平均粒度は、JIS Z 8801に規定する篩を用いて篩分け、それぞれの篩上に残った試料の質量を計測し、この累積分布から求めることができる。

0048

また、原料石炭を、ピッチ等のバインダー混練し、造粒した造粒物を用いることが好ましい。これにより、原料石炭は、ピッチ等のバインダーで被覆され、揮発分の脱離速度を抑えることができるため、炭材に必要な量の揮発分を残留させることができる。更に、バインダーで被覆された原料石炭は、予定とする炭化温度よりも高温で炭化処理された場合であっても、揮発分を残存させることができる。

0049

造粒物とする際に原料石炭に添加するバインダーは、特に限定されるものでなく、石油系及び石炭系のバインダー(タール、ピッチ等)のいずれも使用することができる。バインダーの添加量も、特に限定されるものでなく、原料石炭に対する外数で5〜15質量%が例示される。

0050

次に、原料石炭を、炭材の収縮係数の極大を示す温度が石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内となるよう炭化する。例えば、石炭の該極小を示す温度よりも低い温度(温度差ΔT=20〜80℃)で原料石炭を炭化(乾留)することで、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内とすることができることを、実験的に知見した。この点は、対象とする炭材製造用石炭の性状に対応して、適宜、事前に実験等で確認して設定することが好ましい。また、原料石炭の炭化において、加熱炉は特に限定されるものでなく、特許文献2〜6に記載されているような、キルンシャフト炉を用いて、原料石炭を炭化することができる。

0051

このように原料石炭を炭化すると、炭化温度で揮発する成分は炭材から抜けるものの、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度よりも20〜80℃低い温度における、炭材の収縮係数は極めて低い値(理想的にはほぼゼロ)となる様な原料石炭を用いることが好ましい。一方、炭化温度以上で揮発する成分は、炭材に残留しており、炭化温度より高温にすると揮発分が抜けて収縮係数が増大する。これにより、炭材の収縮係数の極大を示す温度を、石炭のコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃以内とすることができる様な原料石炭を用いることが重要である。

0052

次に、本発明のコークスの製法について説明する。
本発明のコークスの製法は、上述の石炭に、本発明の炭材を添加して、コークス炉に装入し、乾留してコークスを製造するものである。

0053

石炭は、所定の粒度に粉砕し、炭材を添加する。石炭の粉砕では、3mm以下の比率を60%〜95%の粒度に粉砕することが例示される。また、石炭は、必要に応じて、非微粘結炭を50%以上配合した配合炭とする。

0054

石炭に対する炭材の配合率は、特に限定されるものでなく、例えば、内数で1〜10%とする。1%未満では、コークスの亀裂を抑制できないことがある。また、10%超では、コークス強度が低下するこがある。

0055

そして、コークス炉の炭化室へ石炭及び炭材を装入する。装入嵩密度は、特に限定されるものでなく、例えば、750kg/m3が例示される。装入嵩密度が750kg/m3未満では、粘結力指数CIが低い炭材の場合、粘結性が不足してコークス強度が低下することがある。

0056

次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。

0057

まず、石炭A〜Fを準備した。石炭A及びBがコークス製造用の石炭であり、石炭C〜Fが炭材製造用の原料石炭である。表1に、灰分量、ドライベースの揮発分VM、流動性を示す。なお、流動性はJIS M 8801に規定される方法で測定した。

0058

0059

石炭A及びBについて、乾留時の加熱温度とコークス収縮係数との関係を測定した。図2に、石炭A及びBの乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す。図2より、石炭A及びBのコークス収縮係数の極小を示す温度を求めた。石炭Aのコークス収縮係数の極小を示す温度は550℃で、石炭Bのコークス収縮係数の極小を示す温度は570℃であった。

0060

次に、表2に示すように、石炭C〜Fの粒度を調整して原料石炭とした。表2において、平均粒度3〜5mm、10〜15mmを、それぞれ、+3mm、+10mmと表記し、篩下粒度3mm以下の比率が100%を、−3mm 100%と表記する。また、No.6、12は、篩下粒度3mm以下の比率を100%とした石炭Cに、外数でバインダーを10質量%添加し、混練、造粒して、平均粒度3mm以上のバインダーで被覆して作製した原料石炭であり、+3mm造粒と表記している。

0061

0062

No.1〜19の原料石炭について、表3に示す炭化温度で炭化して、炭材とした。そして、No.1〜19について、原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数との関係を測定し、No.1〜19の炭材収縮係数の極大を示す温度を求めた。表3に、No.1〜19の炭材収縮係数の極大を示す温度(極大の温度)、及び、No.1〜19の炭材収縮係数の極大を示す温度と石炭A又はBのコークス収縮係数の極小を示す温度との差(温度差)を示す。

0063

そして、表3に示す石炭に、No.1〜19の炭材をそれぞれ5%添加してコークスを製造し、コークスの平均粒度とコークス強度を測定した。表3に、コークスの平均粒度とコークス強度DI15015を示す。コークス強度は、コークスをJIS K2151記載のドラム試験機により150回転した後、15mmふるい上のコークスの百分率DI15015を実測して求めた。なお、コークス強度DI15015を、以下、コークス強度DIと簡略化して記載する。

0064

0065

図3に、石炭Aの乾留時の加熱温度と収縮係数との関係、No.1〜4の炭材の原料石炭乾留時の加熱温度と収縮係数との関係を示す。
No.2、3、5、6、8、10〜15は、原料石炭乾留時の加熱温度と収縮係数の関係において、炭材の収縮係数の極大を示す温度が、石炭Aのコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃(石炭A:520〜580℃)であるため、No.1、4、7、9と比較して、コークス強度DIが大きくなった。また、平均粒度の大きいコークスが得られ、コークスの亀裂が抑制された。

0066

特に、+3mmの粒状物の場合は、炭化温度525℃(No.3)と475℃(No.2)の広い温度範囲で望ましい炭材を作ることができた。
また、同じ温度差10℃のNo.8、10、12を比較すると、平均粒度は、No.8(−3mm 100%)<No.12(+3mm造粒)<No.10(+3mm)の順となっており、+3mmの粒状物が好ましい結果が得られた。

0067

No.1、4は、炭化温度が適切でないため、揮発分が必要以上に抜けてしまい、又は、必要以上に残存し、炭材の収縮係数の極大を示す温度が、石炭Aのコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃外であり、発明例と比較して、コークス強度DIが小さくなった。また、発明例と比較して、平均粒度の小さいコークスとなり、コークスの亀裂が抑制されなかった。

0068

また、No.7、9は、炭材の原料石炭の粒度が小さいため、揮発分が必要以上に抜けてしまい、炭材収縮係数の極大を示す温度が、石炭Aのコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃外であり、No.8の発明例と比較して、コークス強度DIが小さくなった。また、発明例と比較して、平均粒度の小さいコークスとなり、コークスの亀裂が抑制されなかった。

0069

次に、No.17、18は、原料石炭乾留時の加熱温度と収縮係数の関係において、炭材の収縮係数の極大を示す温度が、石炭Bのコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃(石炭B:540〜600℃)であり、No.16、19と比較して、コークス強度DIが大きくなった。また、平均粒度の大きいコークスが得られ、コークスの亀裂が抑制された。

実施例

0070

No.16、19は、炭化温度が適切でないため、揮発分が必要以上に抜けてしまい、又は、必要以上に残存し、炭材の収縮係数の極大を示す温度が、石炭Bのコークス収縮係数の極小を示す温度の±30℃外であり、発明例と比較して、コークス強度DIが小さくなった。また、発明例と比較して、平均粒度の小さいコークスとなり、コークスの亀裂が抑制されなかった。

0071

本発明によれば、コークス製造用炭材を、石炭の乾留時の加熱温度とコークス収縮係数の関係に対して、特定の原料石炭乾留時の加熱温度と炭材収縮係数の関係を有するものとしたので、亀裂が抑制され、十分な強度及び粒度を有するコークスを製造することができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。

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