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技術 パワーステアリング装置、およびパワーステアリング装置の制御装置

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 佐々木光雄後藤信
出願日 2015年11月4日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-216317
公開日 2017年5月25日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-087781
状態 特許登録済
技術分野 パワーステアリング機構 走行状態に応じる操向制御
主要キーワード 確定カウンタ 判断カウンタ 延び広がり 数式演算 破断部位 介入条件 加速度領域 交流制御
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

異常検出の精度を向上できるパワーステアリング装置を提供すること。

解決手段

パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、操舵機構に発生する操舵トルクを検出するトルクセンサと、操舵トルクに基づき、電動モータを駆動制御する指令信号演算し、電動モータに出力するコントロールユニットと、コントロールユニットに設けられ、ステアリングホイールの回転方向である操舵方向信号を受信する操舵方向信号受信部と、コントロールユニットに設けられ、操舵方向信号が切り替わる領域を含む所定領域における操舵トルクの変化に基づき装置の異常検出を行う異常検出回路と、を有する。

概要

背景

特許文献1には、ハウジング内への水の浸入に起因する動力伝達機構の動作の悪化を回避するパワーステアリング装置が開示されている。

概要

異常検出の精度を向上できるパワーステアリング装置を提供すること。 パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、操舵機構に発生する操舵トルクを検出するトルクセンサと、操舵トルクに基づき、電動モータを駆動制御する指令信号演算し、電動モータに出力するコントロールユニットと、コントロールユニットに設けられ、ステアリングホイールの回転方向である操舵方向信号を受信する操舵方向信号受信部と、コントロールユニットに設けられ、操舵方向信号が切り替わる領域を含む所定領域における操舵トルクの変化に基づき装置の異常検出を行う異常検出回路と、を有する。

目的

本発明の目的の1つは、異常検出の精度を向上できるパワーステアリング装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、前記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、前記操舵機構に発生する操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記操舵トルクに基づき、前記電動モータを駆動制御する指令信号演算し、前記電動モータに出力するコントロールユニットと、前記コントロールユニットに設けられ、前記ステアリングホイールの回転方向である操舵方向信号を受信する操舵方向信号受信部と、前記コントロールユニットに設けられ、前記操舵方向信号が切り替わる領域を含む所定領域における前記操舵トルクの変化に基づき装置の異常検出を行う異常検出回路と、を有するパワーステアリング装置

請求項2

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記所定領域における前記操舵トルクの変化量が異常判断閾値以上のとき、装置の異常と判断することを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項3

請求項2に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記操舵トルクの変化量が前記異常判断閾値以上のとき、異常判断カウンタカウントアップする異常確定カウンタを備え、前記異常判断カウンタが所定値に到達したとき、装置の異常を確定することを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項4

請求項3に記載のパワーステアリング装置において、前記異常確定カウンタは、前記操舵トルクの変化量が前記異常判断閾値未満のとき、前記異常判断カウンタをカウントダウンすることを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項5

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記所定領域において前記操舵トルクの方向が切り替わるとき、前記異常検出を行うことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項6

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、車速信号を受信する車速信号受信部を有し、前記異常検出回路は、車速信号の大きさが所定値以上のとき、前記異常検出を行うことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項7

請求項6に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記所定領域における前記操舵トルクの変化量が異常判断閾値以上のとき、装置の異常と判断すると共に、前記車速信号の変化に応じて前記異常判断閾値を可変制御することを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項8

請求項7に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記車速信号が大きいほど前記異常判断閾値を小さくすることを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項9

請求項6に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、舵角信号を受信する舵角信号受信部を有し、前記異常検出回路は、前記舵角信号の大きさが所定値以上のとき、前記異常検出を行うことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項10

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出回路は、前記転舵輪に発生するセルフアライニングトルクの大きさが所定値以上のとき、前記異常検出を行うことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項11

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、舵角信号を受信する舵角信号受信部を有し、前記異常検出回路は、前記舵角信号の大きさが所定値未満のとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項12

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、舵角速度信号を受信する舵角速度信号受信部を有し、前記異常検出回路は、前記舵角速度信号の大きさが所定値以上のとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項13

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、車両の加速度信号を受信する加速度信号受信部を備え、前記異常検出回路は、前記加速度信号の大きさが所定値以上のとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項14

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、タイヤ空気圧信号を受信する空気圧信号受信部を備え、前記異常検出回路は、前記空気圧信号が所定値以下のとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項15

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、舵角信号を受信する舵角信号受信部を有し、前記異常検出回路は、前記舵角信号に基づき前記転舵輪がストロークエンドにあると判断されるとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項16

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、前記指令信号を制限する指令信号制限回路を備え、前記異常検出回路は、前記指令信号制限回路が前記指令信号の制限を行っているとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項17

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、雰囲気温度信号を受信する温度信号受信部を備え、前記異常検出回路は、前記温度信号が所定値以下のとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項18

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、前記操舵トルク以外の信号に基づき前記指令信号を演算する代替指令信号演算部を備え、前記異常検出回路は、前記代替指令信号演算部が前記指令信号を演算するとき、前記異常検出を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項19

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、前記異常検出回路によって装置の異常が検出されたときから車両の始動スイッチがオフされるまでの間は前記指令信号を演算し、前記電動モータに前記指令信号を出力すると共に、その後、前記始動スイッチが再度オンされるとき、前記電動モータへの前記指令信号の出力を行わないことを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項20

請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記操舵機構と前記電動モータの間に減速機を備え、前記操舵機構は、前記ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、前記操舵軸の回転に応じて軸方向運動するラックバーと、を有し、前記減速機は、前記ラックバーの外周側に設けられ螺旋状の溝形状を有する転舵軸ボールねじ溝と、前記ラックバーを包囲するように鉄系金属材料によって環状に設けられ、前記ラックバーに対し回転自在に設けられたナットと、前記ナットの内周側に設けられ螺旋状の溝形状を有し前記転舵軸側ボールねじと共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、鉄系金属材料で形成され前記ボール循環溝内に設けられた複数のボールと、前記ナットの回転軸に対する径方向において前記ナットの外側に設けられ、前記複数のボールが前記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環可能に前記ボール循環溝の一端側と他端側とを接続する循環部材と、から構成されるボールねじ機構であることを特徴とするパワーステアリング装置。

請求項21

パワーステアリング装置の制御装置であって、前記パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、前記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、前記操舵機構に発生する操舵トルクを検出するトルクセンサと、を備え、前記操舵トルクに基づき、前記電動モータを駆動制御する指令信号を演算し、前記電動モータに出力する指令信号演算部と、前記ステアリングホイールの回転方向である操舵方向信号を受信する操舵方向信号受信部と、前記操舵方向信号が切り替わる領域を含む所定領域における前記操舵トルクの変化に基づき装置の異常検出を行う異常検出回路と、を有するパワーステアリング装置の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、パワーステアリング装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、ハウジング内への水の浸入に起因する動力伝達機構の動作の悪化を回避するパワーステアリング装置が開示されている。

先行技術

0003

特開2014−234102号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の目的の1つは、異常検出の精度を向上できるパワーステアリング装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

本発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置は、操舵方向信号が切り替わる領域を含む所定領域における操舵トルクの変化に基づき異常検出を行う異常検出回路を有する。

発明の効果

0006

よって、異常検出の精度を向上できる。

図面の簡単な説明

0007

第1実施形態のパワーステアリング装置の斜視図である。
第1実施形態のパワーステアリング装置の正面図である。
図2のIII-III視断面図である。
第1実施形態のパワーステアリング装置の、ラック軸軸心を通る断面図である。
第1実施形態の制御システムを示す。
第1実施形態の操舵トルクとモータ電流指令値との関係を示す。
第1実施形態の異常検出処理の流れを示す。
第1実施形態のフェイルセーフ制御の流れを示す。
第1実施形態の実験初日における舵角と操舵トルクとの関係を示す。
第1実施形態の実験3日目における舵角と操舵トルクとの関係を示す。
第1実施形態の実験初日における舵角、舵角速度、及び操舵トルクの時間変化を示す。
第1実施形態の実験3日目における舵角、舵角速度、及び操舵トルクの時間変化を示す。
第2実施形態の異常検出処理の流れを示す。
第3実施形態の異常検出処理の流れを示す。
第4実施形態の異常検出処理の流れを示す。
第4実施形態の異常判断閾値車速との関係を示す。
第5実施形態の異常検出処理の流れを示す。

実施例

0008

[第1実施形態]
本実施形態のパワーステアリング装置1(以下、装置1と記載する)について説明する。まず構成を説明する。図1は装置1の斜視図である。図2は装置1の正面図である。図3は図2のIII-III視断面図である。図4はラック軸23の軸心Pと電動機31の軸心Qとを通る装置1の断面図である。装置1は、自動車エンジンルーム内に設けられ、転舵輪補助動力を付与する。装置1は、電動(直結)式であって、ラック軸23の軸方向運動に対して電動機31が補助動力を付与するラックアシスト式である。装置1は、操舵機構2と、アシスト機構3と、操舵トルクセンサ4と、舵角センサ5と、コントロールユニット6と、を有する。

0009

操舵機構2は、運転者操舵する操舵輪ステアリングホイール)の回転を転舵輪に伝達する。操舵機構2は、操舵軸ステアリングシャフト)21と、ピニオン軸22と、ラック軸23と、を有する。操舵軸21は、ステアリングホイールに連結する操舵入力軸である。操舵軸21は、ステアリングホイールからの回転力が伝達され、ステアリングホイールの回転に伴い回転する。操舵軸21は、ステアリングホイールと共にステアリング装置操作機構として機能する。ピニオン軸22とラック軸23は、ラック&ピニオンギヤを構成しており、操舵軸21の回転運動を転舵輪の車軸方向運動に変換する。両軸22,23は、ステアリング装置のギヤ機構として機能する。ピニオン軸22は、トーションバー24を介して操舵軸21に連結する操舵出力軸であり、操舵軸21からの回転力が伝達され、操舵軸21と一体に回転する。ピニオン軸22の外周にはピニオンギヤ220が形成される。ラック軸23は、軸方向移動可能に設けられたラックバーである。ラック軸23の外周の一部にはラック歯ラックギヤ)230が形成される。ピニオンギヤ220とラック歯230は噛み合う。ラック軸23の軸方向両端には、リンク機構としてのラックエンド231,232を介して、転舵輪が連結される。ラック軸23は、操舵軸21(ピニオン軸22)の回転に応じて軸方向運動し、転舵輪を転舵させる。ラック軸23は転舵軸として機能する。

0010

アシスト機構3は、電動機31と減速機32を有する。電動機31は、電動式モータ電動モータ)であり、例えば3相ブラシレスDCモータを用いる。図4に示すように、電動機31は、ステータ311及びロータ312を備える。電動機31の出力軸313には、出力軸313の回転角ないし回転位置を検出するレゾルバ等の回転角センサ7が設けられる。電動機(以下、モータという)31は、車両に搭載される電源バッテリ)から供給される電力により駆動され、インバータ回路6n(スイッチング素子)により3相電流を制御される。モータ31は、減速機32を介してラック軸23にアシスト力を付与する。

0011

減速機32は、操舵機構2(ラック軸23)とモータ31との間に設けられ、出力軸313の回転を減速し(モータ31が発生するトルク増幅し)、モータ31の出力をラック軸23に伝達する。減速機32は、ベルト伝動機構33とボールねじ機構34を有する。ベルト伝動機構33は、入力プーリ331と、出力プーリ332と、ベルト333とを有する。両プーリ331,332は円筒状であり、鉄系金属材料によって形成される。入力プーリ331は出力軸313に固定され、出力軸313と一体に回転する。出力プーリ332はボールねじ機構34のナット343に固定され、ナット343と一体に回転する。ベルト333は出力プーリ332と入力プーリ331との間に巻回される。ボールねじ機構34は、第1ボールねじ溝341と、第2ボールねじ溝342と、ナット343と、複数のボール344と、チューブ346とを有する。第1ボールねじ溝341は、ラック軸23の側に設けられており、ラック軸23の外周(ラック歯230が形成される部位とは軸方向に離れた位置)を、軸心Pの周り螺旋状に延びる。ナット343は環状であり、鉄系金属材料によって形成される。第2ボールねじ溝342は、ナット343の側に設けられており、ナット343の内周を、ナット343の軸心の周りに螺旋状に延びる。ナット343は、ラック軸23を包囲するように配置され、ラック軸23に対し回転自在に設けられる。両溝341,342により、チューブ状のボール循環溝345が形成される。複数のボール344は、鉄系金属材料で形成され、ボール循環溝345の内部に配置される。チューブ346は、ナット343の軸心(回転軸)に対する径方向においてナット343の外側に設けられ、ボール循環溝345の一端側と他端側とを接続する。

0012

出力軸313の回転は、入力プーリ331、ベルト333、及び出力プーリ332を介して、ナット343の回転に変換される。ナット343が回転すると、ボール循環溝345の内部をボール344が移動することにより、ナット343に対してラック軸23が軸方向に移動する。ボール344はチューブ346を介してボール循環溝345の一端側から他端側へ循環可能である。チューブ346はボール344を循環させるための部材(循環部材)として機能する。このように、モータ31の駆動力がボールねじ機構34を介してラック軸23に伝達されることで、運転者の操舵力に対するアシスト力(操舵アシスト力)が付与される。

0013

操舵トルクセンサ4は、運転者の操舵操作によりステアリングホイールに入力され、操舵機構2に発生するトルク(操舵トルクT)を検出する。図3に示すように、操舵トルクセンサ4は、操舵軸21とピニオン軸22との間に設けられており、第1回転角センサ41と第2回転角センサ42を有する。第1回転角センサ41は、操舵軸21の回転角を検出する。具体的には、第1回転角センサ41は、磁石ホール素子ホールIC)を備え、操舵軸21の回転位置に応じて変化する磁界変化電気信号電圧正弦波信号)として出力する。同様に、第2回転角センサ42は、ピニオン軸22の回転角を検出し、これを電気信号として出力する。これらの電気信号はコネクタ部15を介してコントロールユニット(以下、ECUという)6に出力される。

0014

舵角センサ5は、ステアリングホイール(操舵軸21)の回転角、言換えると操舵絶対角(舵角θ)を検出する。舵角センサ5は、操舵軸21に設けられる。具体的には、舵角センサ5は、大歯車である入力ギヤ50と、小歯車であり互いに割り切れない歯数を有する第1ギヤ51および第2ギヤ52と、磁気抵抗効果センサとを備える。入力ギヤ50は操舵軸21と一体に回転し、第1ギヤ51は入力ギヤ50と噛合い、第2ギヤ52は第1ギヤ51と噛合う。第1,第2ギヤ51,52には磁性部材が装着され、磁性部材には周方向にN極とS極が並んで着磁される。第1,第2ギヤ51,52に対向して基板53が配置される。基板53には、磁性部材と対向する位置に、磁気抵抗効果センサがそれぞれ設置される。各磁気抵抗効果センサは、対向するギヤ51,52の回転角を検出する。具体的には、第1ギヤ51に対向する磁気抵抗効果センサは、第1ギヤ51の回転位置に応じて変化する磁気抵抗の変化を電気信号(電圧の正弦波信号)として出力する。同様に、第2ギヤ52に対向する磁気抵抗効果センサは、第2ギヤ52の回転角を検出し、これを電気信号として出力する。これらの電気信号はコネクタ部15を介してECU6に出力される。

0015

ECU6は、装置1の制御装置として機能する電子制御ユニットマイクロコンピュータ)であり、モータ31を制御することでアシスト制御を実行可能である。ECU6は、モータ31(回転角センサ7)、操舵トルクセンサ4、舵角センサ5、及び表示装置8(図5参照)と電気的に接続される。ECU6は、CAN通信線を介して他のセンサコントローラとも接続されており、これらから信号を受信可能である。ECU6は、ケース60と、基板61と、電子部品とを有する。電子部品は、例えば、モータ31を駆動制御するために設けられており、電源リレーや、バッテリから供給される直流電力交流電力に変換してモータ31に供給するインバータ回路6n等を備える。電子部品は基板61に搭載される。ケース60は樹脂製であり、基板61を収容する。ケース60にはコネクタ部600が設けられる。コネクタ部600には、基板61と電気的に接続する端子が設けられる。コネクタ部600には、操舵トルクセンサ4等との接続用ハーネスが接続される。運転者によりステアリングホイールが操舵されると、操舵トルクTが操舵トルクセンサ4により検出される。検出されたトルク信号はECU6に出力される。ECU6は、入力される操舵トルクT等の情報に基づき目標の操舵アシスト力を演算し、この目標操舵アシスト力及び入力されるモータ回転位置等の信号に基づきモータ31に駆動信号を出力する。ECU6がモータ31に流れる電流を制御してモータ31の出力を制御することにより、ラック軸23に対して適切な補助動力が与えられ、運転者の操舵力がアシストされる。

0016

操舵機構2と減速機32はギヤハウジング10に設置され、モータ31はモータハウジング310に設置される。これらのハウジング10,310はアルミ系金属材料によって形成される。なお、ギヤハウジング10が鉄系金属材料によって形成されてもよい。ギヤハウジング10は、第1ハウジング10Aと第2ハウジング10Bを有する。第1,第2ハウジング10A,10Bはボルト10Cにより一体に固定される。ギヤハウジング10は、ラック軸収容部101と、ギヤ収容部102と、センサ収容部103と、減速機収容部104とを有する。ラック軸収容部101は、筒状であり、軸方向両端が開口する。ラック軸収容部101の内周面は円筒状であり、その径はラック軸23の径よりも若干大きい。ラック軸収容部101は、ラック軸23を収容するラックチューブである。ラック軸23はラック軸収容部101を貫通するように設置され、ラック軸23の両端がギヤハウジング10(ラック軸収容部101)から露出する。ラック軸23の軸方向両端にはラックエンド231,232がそれぞれ連結される。図1に示すように、ラック軸収容部101の両端には、ラック軸23とラックエンド231,232との連結部位を覆うように、ダストブーツ233,234がそれぞれ装着される。ダストブーツ233,234は蛇腹状であり、ゴム材料によって形成される。ダストブーツ233,234は、ラック軸収容部101の軸方向両端の開口部から、ラック軸収容部101の内周面とラック軸23の外周面との間の隙間を通ってギヤハウジング10の内部に水等の異物侵入することを防止する機能を有する。

0017

ギヤ収容部102及びセンサ収容部103は、ラック軸収容部101の軸方向一方側の端部に設けられ、ラック軸収容部101の内周面の軸心Pに対し径方向に延びる。ギヤ収容部102は、図3に示すように、ラック軸収容部101と部分的に重なる。ギヤ収容部102の内周面は有底円筒状であり、その一部はラック軸収容部101の内周面に開口する。ギヤ収容部102は、ピニオン軸22におけるピニオンギヤ220が設けられた一端側、及びラック軸23におけるラック歯230が設けられた部位の一部を収容する。ギヤ収容部102の内周面の底部側には、ニードルベアリング111を介してピニオン軸22の上記一端側が支持される。ラック軸収容部101には、ラック軸23を挟んでギヤ収容部102(ピニオン軸22の上記一端側)と対向する部位に、コイルスプリング12及びリテーナ13が設けられる。コイルスプリング12は、ラック軸23に向けてリテーナ13を付勢することで、ラック歯230をピニオンギヤ220に押付ける。

0018

センサ収容部103の内周面は、ギヤ収容部102の内周面と略同軸に延びる段付きの円筒状である。センサ収容部103の内周面の軸方向一端側はギヤ収容部102の内周面に連続し、センサ収容部103の軸方向他端側の開口は蓋部材14により閉塞される。センサ収容部103は、操舵軸21の一部、ピニオン軸22の他端側、操舵トルクセンサ4、及び舵角センサ5を収容する。センサ収容部103の内周面には、ボールベアリング112を介してピニオン軸22の他端側が支持される。操舵軸21は、蓋部材14を貫通してピニオン軸22と略同軸上に延びる。操舵軸21はニードルベアリング113を介して蓋部材14に支持され、操舵軸21の一端側はピニオン軸22の上記他端側の凹部221に回転自在に嵌合する。操舵軸21は上記一端側に開口する有底の軸方向孔211を有し、この軸方向孔211にトーションバー24が設置される。トーションバー24の一端側はピン241を介して操舵軸21に固定され、トーションバー24の他端側は圧入によりピニオン軸22の上記他端側に固定される。センサ収容部103には、操舵軸21の周りに、操舵トルクセンサ4及び舵角センサ5が設置される。センサ収容部103の軸方向で、操舵トルクセンサ4はギヤ収容部102に近い側に配置され、舵角センサ5(基板53等)は蓋部材14に近い側に配置される。センサ収容部103の外周面にはコネクタ部15が設けられる。コネクタ部15は、端子を介して操舵トルクセンサ4及び舵角センサ5と接続される。コネクタ部15には、ECU6との接続用のハーネスが接続される。

0019

減速機収容部104は、ラック軸収容部101の軸方向他方側に鍔状に設けられ、軸心Pに対し径方向外側に延びる。減速機収容部104は、ボールねじ機構収容部105とベルト伝動機構収容部106を有し、減速機32を収容する。これらの収容部105,106は部分的に重なる。図4に示すように、ボールねじ機構収容部105の内周面は、ラック軸収容部101の内周側と略同軸に延びる円筒状である。ボールねじ機構収容部105の内周面の軸方向一端側は第1ハウジング10Aのラック軸収容部101の内周面に連続し、軸方向他端側は第2ハウジング10Bのラック軸収容部101の内周面に連続する。ボールねじ機構収容部105はボールねじ機構34を収容する。ボールねじ機構収容部105の内周面には、軸受16を介してナット343の軸方向一端側が支持される。軸受16はナット343をギヤハウジング10に対して回転自在に軸支する。軸受16はボールベアリングであり、アウタレース161と、インナレース162と、ボール163と、ケージ164とを有する。インナレース162は、ナット343の上記軸方向一端側と一体である。ケージ162は、ボール163をインナレース162とアウタレース161の間に略等間隔に配置する。ボールねじ機構収容部105には、円環状のロックリング17が設置される。アウタレース161は、ボールねじ機構収容部105の内周面とロックリング17とにより挟まれ、これによりアウタレース161の軸方向移動が規制される。

0020

ベルト伝動機構収容部106は、ボールねじ機構収容部105から径方向外側へ延びる。減速機収容部104の径方向外側にはモータハウジング310の軸方向一端側が固定される。ベルト伝動機構収容部106の内周面の径方向内側はボールねじ機構収容部105の内周面に連続し、径方向外側はモータハウジング310の内周面に連続する。ベルト伝動機構収容部106はベルト伝動機構33を収容する。ベルト伝動機構収容部106の内周側には、モータ31の出力軸313の一端側が、ラック軸23(軸心P)と略平行に突出して収容される。出力軸313の上記突出部分の外周に、入力プーリ331が固定される。ナット343の軸方向他端側の外周に、出力プーリ332が固定される。両プーリ331,332に巻き付くベルト333は、出力軸313及びラック軸23と略平行に延び広がり、ベルト伝動機構収容部106に収容される。

0021

モータハウジング310は有底円筒状であり、内周面にステータ311が固定される。出力軸313は軸受114を介してモータハウジング310に支持される。ロータ312は、出力軸313に固定され、ステータ311の内周側に配置される。モータハウジング310の軸方向他端側(開口部)にはECU6のケース60が固定される。基板61は、出力軸313と略直交する方向に広がる。基板61は、端子を介してステータ311と接続される。

0022

図5は装置1の制御システムの構成を示すブロック線図である。ECU6は、車速信号受信部6aと、トルク信号処理部6bと、舵角信号処理部6cと、舵角速度演算部6dと、加速度信号受信部6eと、空気圧信号受信部6fと、温度信号受信部6gと、アシスト制御部6hと、異常検出回路6iと、フェイルセーフ処理部6jとを備える。車速信号受信部6aは、車速センサ9aにより検出された車速信号を、CANを介して受信する。トルク信号処理部6bは、操舵トルクセンサ4(第1,第2回転角センサ41,42)により検出された操舵軸21の回転角信号とピニオン軸22の回転角信号を受信し、これらを処理してトルク信号を生成する。操舵トルクTによりトーションバー24に捻れが発生すると、両軸21,22の間に回転角差が生じる。各センサ41,42が検出する回転角の差にトーションバー24のヤング率を乗じることでTを算出する。なお、ノイズ除去位相補償を適宜行う。トルク信号処理部6bは、実質的に、トルク信号を受信するトルク信号受信部として機能する。なお、操舵トルク信号を、ECU6が算出するのではなく、ECU6が受信してこれを取り込むようにしてもよい。

0023

舵角信号処理部6cは、舵角センサ5(各磁気抵抗効果センサ)により検出された第1ギヤ51の回転角信号と第2ギヤ52の回転角信号を受信し、これらを処理して舵角信号を生成する。操舵軸21が回転すると、第1,第2ギヤ51,52の間に回転角差が生じる。各磁気抵抗効果センサが検出する回転角の差を用いて操舵軸21の回転角すなわち舵角θを算出する。舵角信号処理部6cは、実質的に、舵角信号を受信する舵角信号受信部として機能する。なお、舵角信号を、ECU6が算出するのではなく、ECU6が受信してこれを取り込むようにしてもよい。舵角速度演算部6dは、算出された舵角θに基づき舵角速度dθ/dtを演算する。舵角速度演算部6dは、実質的に、舵角速度信号を受信する舵角速度信号受信部として機能する。なお、舵角速度信号を、ECU6が算出するのではなく、ECU6が受信してこれを取り込むようにしてもよい。

0024

加速度信号受信部6eは、車両加速度センサ9eにより検出された車両の重力(G)加速度信号を、CANを介して受信する。車両加速度信号は、このように加速度センサ9eの出力信号であってもよいし、ECU6が車速Vと舵角θに基づき演算してもよい。空気圧信号受信部6fは、空気圧センサ9fにより検出された転舵輪のタイヤの空気圧信号を、CANを介して受信する。温度信号受信部6gは、温度センサ9gにより検出された雰囲気温度信号を、CANを介して受信する。雰囲気温度は、例えば大気温であり、装置1(操舵機構2)の周囲の温度を代表する。

0025

アシスト制御部6hは、指令信号演算部6kと、指令信号制限回路6lと、電流制御部6mと、インバータ回路6nとを備える。指令信号演算部6kは、操舵トルクTに基づき、モータ31を駆動制御するための指令信号を演算する。具体的には、Tと車速Vに基づき、モータ31のトルク指令値としての電流指令値I*を演算する。例えば、図6のような特性を備えるマップを用いてI*を得る。転舵の各方向(Tの正負方向)で、Tが大きいほどI*を大きくする。Tが大きいときは小さいときよりも、Tの増加分に対するI*の増加分を大きくする。Vが高いほどI*を小さくする。Vが高いときは低いときよりも、Vの上昇分に対するI*の減少分を小さくする。なお、Tに基づき得られるI*を、Vに限らず車両の他の運転状態に応じて補正するようにしてもよい。また、上記特性を備えるI*を演算により実現してもよい。また、指令信号は、電流値に関するものに限らず、トルクに関するものであってもよい。指令信号制限回路6lは、制限指令信号に応じて、上記指令信号を制限する。上記制限指令信号は、ECU6(異常検出回路6i等)において検出された異常に関する信号であってもよいし、装置1以外の装置から出力されCANを介して受信された信号であってもよい。例えば、モータ31やインバータ回路6nの過熱等が検知されると、指令信号制限回路6lは、I*の大きさを所定の上限値以下に制限する。制限量は、例えばモータ31等の温度に応じた値に設定可能である。

0026

電流制御部6m及びインバータ回路6nは、モータ31の駆動電力を供給する供給部として機能する。電流制御部6mは、モータ31に流れる電流の値を検出し、この電流検出値が上記電流指令値I*(交流制御をする場合には3相の電流指令値とし、ベクトル制御をする場合にはd軸、q軸の電流指令値とする)と一致するような電圧指令値を算出する。また、モータ31の回転角(回転位置)を検出し、この回転角と電圧指令値とからモータ31の3相の目標電圧値を算出する。インバータ回路6nは、3相の目標電圧値に応じたパルス幅変調信号を生成し、スイッチング素子(FET等)を動作させることにより、バッテリの直流電圧を3相の交流電圧に変換してモータ31(ステータ311)の3相のコイルに供給する。

0027

異常検出回路6iは、操舵トルクT等に基づき装置1の異常検出を行う。具体的には、アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化や、操舵トルクセンサ4や舵角センサ5の検出精度の低下を検出する。フェイルセーフ処理部6jは、装置1の異常が検出されると、運転者にとってより安全な方向に処理(フェイルセーフ処理)を行う。具体的には、アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化を検出すると、これを車両の表示装置8等により運転者に知らせたり、アシスト制御を停止したりする。また、センサ4,5の一方の検出精度の低下を検出すると、他方の検出値を用いてアシスト制御を継続したり、検出精度の低下を運転者に知らせたりする。フェイルセーフ処理部6jは、記録部6oと代替指令信号演算部6pを備える。記録部6oは、アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化が検出されこれ(異常)が確定されると、これ(異常の確定)を記録する。代替指令信号演算部6pは、例えば、操舵トルクセンサ4の検出精度の低下を検出すると、舵角センサ5の検出値(及び車速V等)に基づき上記指令信号を演算する。舵角θ若しくは舵角速度dθ/dt、または両者に基づき上記指令信号を演算可能である。アシスト制御部6hは、指令信号演算部6kではなく代替指令信号演算部6pが演算した指令信号(代替指令信号)を用いてモータ31を駆動制御することで、アシスト制御を継続する。

0028

図7は、異常検出回路6iにて実行される、異常(アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化)を検出する制御の流れを示す。このフロー所定周期(例えば1ms)で繰り返し実行される。ステップS1(以下、ステップをSと略記する)では、異常検出回路6iが各データ(車速V、操舵トルクT、舵角θ、舵角速度dθ/dt、車両加速度、空気圧、雰囲気温度、指令信号の制限の有無、代替指令信号の有無)を取り込み、S2へ進む。S2では、Vの大きさ|V|が所定値V*(例えば15km/h)以上であるか否かを判定する。|V|がV*以上であればS3へ進み、V*未満であればS24へ進む。S3では、舵角θの大きさ|θ|が所定値θ*(例えば10deg)以上であるか否かを判定する。|θ|がθ*以上であればS4へ進み、θ*未満であればS24へ進む。S4では、舵角速度dθ/dtの大きさ|dθ/dt|が所定値α未満であるか否かを判定する。|dθ/dt|がα未満であればS5へ進み、α以上であればS24へ進む。S5では、車両加速度の大きさが所定値未満であるか否かを判定する。車両加速度の大きさが所定値未満であればS6へ進み、所定値以上であればS24へ進む。S6では、転舵輪のタイヤ空気圧が所定値より高いか否かを判定する。空気圧が所定値より高ければS7へ進み、所定値以下であればS24へ進む。S7では、転舵輪がストロークエンド(転舵輪の可動範囲における限界位置)にないか否か、言換えるとラック軸23がストロークエンド(ラック軸23の可動範囲における限界位置)にないか否かを、θに基づき判定する。転舵輪がストロークエンドになければS8へ進み、ストロークエンドにあればS24へ進む。S8では、指令信号が制限されていないか否かを判定する。指令信号が制限されていなければS9へ進み、制限されていればS24へ進む。S9では、雰囲気温度が所定値より高いか否かを判定する。雰囲気温度が所定値より高ければS10へ進み、所定値以下であればS24へ進む。

0029

S10では、代替指令信号が演算されていないか否かを判定する。代替指令信号が演算されていなければS11へ進み、演算されていればS24へ進む。S11では、|dθ/dt|が所定の閾値β(例えば5deg/sec)未満であるか否かを判定する。|dθ/dt|がβ未満であればS12へ進み、β以上であればS17へ進む。S12では、フラグが1であるか否かを判定する。フラグが1でなければS13へ進み、1であればS15へ進む。S13では、現時点の(今回のサイクルのS1で取り込んだ)操舵トルクTsを記憶し、S14へ進む。S14では、フラグを1とし、S15へ進む。S15では、異常判断カウンタCAが所定値CA*(例えば5)以上であるか否かを判定する。CAがCA*以上であればS16へ進み、CA*未満であれば今回のサイクルを終了する。S16では、異常を確定し、今回のサイクルを終了する。S17では、フラグが1であるか否かを判定する。フラグが1であればS18へ進み、1でなければS25へ進む。S18では、現時点の(今回のサイクルのS1で取り込んだ)操舵トルクTdを記憶し、S19へ進む。S19では、記憶されたTsが0以上である否かを判定する。Tsが0以上であればS20へ進み、0未満であればS26へ進む。S20では、TsがTdより大きいか否かを判定する。TsがTdより大きければS21へ進み、Td以下であればS24へ進む。S21では、TsからTdを減算し、操舵トルクTの変化量としての差分値ΔTtを得た後、S22へ進む。S22では、ΔTtが所定値ΔTt*(例えば1Nm)以上である否かを判定する。ΔTtがΔTt*以上であればS23へ進み、ΔTt*未満であればS28へ進む。S23では、CAに1を加算(CAをカウントアップ)し、S24へ進む。S24では、フラグを0とし、S25へ進む。S25では、Ts,Tdをクリア(記憶から消去)し、S15へ進む。S26では、TsがTdより小さいか否かを判定する。TsがTdより小さければS27へ進み、Td以上であればS24へ進む。S27では、TdからTsを減算し、ΔTtを得た後、S22へ進む。S28では、CAを0とし、S24へ進む。

0030

図8は、フェイルセーフ処理部6jにて実行される、異常(アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化)が検出された場合のフェイルセーフ処理の流れを示す。このフローは所定周期(例えば1ms)で繰り返し実行される。S101では、車両の始動スイッチがオフからオンへ切り替わったか否かを判定する。始動スイッチがオフからオンへ切り替わればS102へ進み、オンのままであればS103へ進む。S102では、異常の確定が記録部6oにより記録されている否かを判定する。異常確定が記録されていればS107へ進み、記録されていなければS103へ進む。S103では、アシスト制御を実行可能とする。具体的には、指令信号演算部6kによる指令信号の演算を許可する。その後、S104へ進む。S104では、異常検出回路6iにより異常が確定された否かを判定する。異常が確定されればS105へ進み、確定されなければ今回のサイクルを終了する。S105では、異常の確定を記録部6oにより記録し、S106へ進む。S106では、表示装置8に異常の発生を表示することで運転者に警告し、今回のサイクルを終了する。S107では、アシスト制御の実行を禁止する。具体的には、指令信号演算部6kによる指令信号の演算を禁止する。その後、今回のサイクルを終了する。

0031

〔作用〕
次に作用効果を説明する。
(異常検出処理)
本発明者は、ダストブーツ233,234をカットしてギヤハウジング10の内部に塩泥水注入した車両を40km/hで走行させ、操舵状態を日ごとに計測する実験を行った。図9は、塩泥水注入直後の初日における舵角−操舵トルク特性を示す。図10は、塩泥水注入から3日後における上記特性を示す。操舵操作における舵角θと操舵トルクTの変化方向を矢印で示す。操舵方向が切り替わる切り返し時には(すなわち、破線で囲んで示す、操舵方向の切り替わり領域では)Tが変化する(ヒステリシス特性)。このTの変化量ΔTt0は、初日には小さいのに対し、3日後には大きかった。これは、塩泥水による錆の進行に伴い、減速機32(ボールねじ機構34)を含む操舵機構2のフリクションが増大し、その動きく(鈍く)なったことに起因すると考えられる。すなわち、渋さから、舵が円滑に戻らなくなり、操舵の引っ掛かりが生じる。3日後には、舵の切り返し時におけるTの変化前後におけるTの(正負)符号が異なった。これは、切り返し時に運転者が手を離してもステアリングホイールが自動的に中立側に戻されなくなり、運転者が手によってステアリングホイールを中立側に戻す必要が生じたことを意味する。このように、装置1に異常が生じ、引っ掛かりにより正常な操舵操作が行われなくなると、操舵方向の切り替わり領域におけるTの変化が顕著となることが分かった。

0032

図11は、塩泥水注入直後の初日における舵角θ、舵角速度dθ/dt、及び操舵トルクTの時間変化を示す。図12は、塩泥水注入から3日後における上記時間変化を示す。舵の切り返し時には、dθ/dtの符号が正と負の一方から他方へ切り替わると共に、Tが変化する。具体的には、時刻t1で、dθ/dtが、(常に)正と負の一方である状態から、0を含む所定領域(0の近傍)に滞留する状態となる。これを保舵状態という。時刻t2で、保舵状態から、dθ/dtが(常に)正と負の他方である状態へと切り替わる。これを切り戻し状態という。保舵状態の時間帯t1〜t2と、Tが変化する時間帯t10〜t20とは、重なる。舵の切り返し時におけるTの変化量ΔTt0は、保舵状態(t1〜t2)の間のTの変化量ΔTt(=|Ts−Td|)によって近似できる。初日に比べ3日後には、保舵状態の時間(t2-t1)が長く、ΔTtは大きかった。これは、切り返し時に運転者がステアリングホイールに入力するTを大きく変化させても、保舵状態から切り戻し状態へなかなか移行せずステアリングホイールが中立側に戻ろうとしない(戻ろうとするまでの時間が長い)こと、すなわち引っ掛かりの発生を意味する。

0033

本発明者は、装置1の異常発生時には舵の切り返しに際し引っ掛かりが発生することに着目し、異常検出回路6iが、舵の切り返し時における保舵状態でのTの変化に基づき装置1の異常を検出するように構成した。すなわち、異常検出回路6iは、dθ/dtの符号が切り替わる領域(dθ/dt が0となる領域)を含むdθ/dtの所定領域(0を挟んで閾値±βの領域。すなわち−β操舵トルクTの変化に基づき装置1の異常検出を行う。dθ/dtが−β操舵の引っ掛かりは上記異常が進行する過程における比較的初期に発生するため、初期段階で異常を検出できる。また、ギヤハウジング10の内部における錆等の異物や水を検知する等の特別な異常検知機能が不要となるため、装置1の簡素化・低コスト化を図ることができる。なお、dθ/dtは、ステアリングホイールの回転方向である操舵方向信号に相当する。dθ/dtは、受信されたギヤ51,52の回転角信号(を用いて算出されるθ)に基づき生成される。舵角速度演算部6dは、操舵方向信号を受信する操舵方向信号受信部として機能する。なお、操舵方向を含む転舵状態(保舵状態、切り戻し状態)の信号を、ECU6が検出するのではなく、他のシステムからECU6が受信してこれを取り込むようにしてもよい。

0034

(フェイルセーフ処理)
ECU6は、フェイルセーフ処理部6jを備える。よって、異常を検出した後、運転者にとってより安全な方向に処理を行うことができる。フェイルセーフ処理部6jは、車両の始動スイッチがオンされた状態で、異常検出回路6iによって装置1の異常が検出(確定)されると、表示装置8により運転者に対し警告を出力する(図8のS101→S103〜S106)。これにより、運転者は異常に気づくことができる。なお、異常が検出された時点で、異常の確定前に、警告を出力してもよい。また、警告の手段は、表示装置8による視覚的表示に限らず、警報音等を用いることができる。フェイルセーフ処理部6jは、異常が検出(確定)されても、その後、始動スイッチがオフされるまでの間は、アシスト制御を実行可能とする(S101→S103)。異常発生時、操舵性能は低下するものの、アシスト制御自体は可能だからである。具体的には、ECU6は、異常が検出(確定)されたときから始動スイッチがオフされるまでの間は指令信号を演算し、モータ31に指令信号を出力する。このように始動スイッチがオフされるまで操舵アシストを継続することにより、走行中における運転者の操舵負荷の軽減を図ることができる。よって、例えば、警告によって異常に気づいた運転者は、修理のため、車両を運転して移動させることが容易にできる。

0035

フェイルセーフ処理部6jは、異常が確定されると、これを記録する(S104→S105)。その後、始動スイッチがオフされ、再度オンされると、フェイルセーフ処理部6jは、アシスト制御の実行を禁止する(S101→S102→S107)。ECU6は、モータ31への指令信号の出力を行わない。このように、一旦、車両が停止され、始動スイッチが再度オンされたときは、操舵アシストを行わないことにより、安全性を向上させることができる。操舵アシストを行わないことにより、運転者に修理を促すことができる。尚、車両の始動スイッチは、イグニッションスイッチであってもよいし、電気自動車HEVスタートスイッチであってもよく、特に限定されない。

0036

異常検出処理について、以下、具体的に説明する。異常が発生していない場合について、図11を使って説明する。図7のS2〜S10の条件が満たされているとする(S1→S2〜S10→S11)。時刻t1〜t2の近傍で、舵が切り返され、操舵方向が切り替わる。時刻t1以前では、|dθ/dt |がβ以上である(切り込み状態)。よって、図7でS11→S17→S25→S15→リターンとなる。時刻t1で、|dθ/dt |がβ未満となる(保舵状態の開始)。よって、S11→S12→S13〜S15→リターンとなる。時刻t1でのTをTs(正値)として記憶する(S13)と共に、フラグを1とする(S14)。時刻t1以後、時刻t2まで、|dθ/dt |がβ未満である(保舵状態)。よって、S11→S12→S15→リターンとなる。時刻t2で、|dθ/dt |がβ以上となる(切り戻し状態)。よって、S11→S17〜S19となり、時刻t2(保舵状態の終了)でのTをTd(正値)として記憶する(S18)。Ts≧0でありTs>Tdであるため、S19→S20→S21→S22となり、ΔTt(正値)を算出する(S21)。ΔTtがΔTt*未満であるため、S22→S28→S24→S25→S15となり、CAを0とする(S28)と共に、フラグを0とし(S24)、Ts,Tdをクリアする(S25)。CAがCA*未満であるため、S15→リターンとなり、異常と判断しない。時刻t2以後、|dθ/dt |がβ以上である。よって、S11→S17→S25→S15となる。CAがCA*未満であるため、S15→リターンとなり、異常と判断しない。

0037

異常が発生している場合について、図12を使って説明する。S2〜S10の条件が満たされているとする(S1→S2〜S10→S11)。時刻t2までは、図11と同様である。時刻t2で、|dθ/dt |がβ以上となる。よって、図11と同様、時刻t2でのT(負値)をTdとして記憶し、ΔTt(正値)を算出する。ΔTtがΔTt*以上であるため、S22→S23〜S25→S15となり、CAに1を加算する(S23)と共に、フラグを0とし(S24)、Ts,Tdをクリアする(S25)。舵の切り返し毎に、同じ条件が成立すれば、CAがカウントアップされる。今回の切り返しで累積された(合計の)CAがCA*未満であれば、S15→リターンとなり、異常を確定しない。今回の切り返しで累積されたCAがCA*以上であれば、S15→S16→リターンとなり、異常を確定する。時刻t2以後、|dθ/dt |がβ以上である。よって、S11→S17→S25→S15となる。累積されたCAに変動はないため、異常の確定については上記の通りである。

0038

異常検出回路6iは、dθ/dtの所定領域における(すなわちdθ/dtが−β操舵トルクTの変化量ΔTtがΔTt*以上のとき、装置1の異常と判断する。ΔTt*は異常判断閾値として機能する。上記のように、装置1に異常が生じている場合、正常時に比べ、切り返し領域におけるTの変化が大きくなる。このTの変化の増大を、ΔTtがΔTt*以上であるか否かにより検出することで、精度の高い異常検出を行うことができる。ΔTt*は実験やシミュレーション(実験等)に基づき設定できる。

0039

異常検出回路6iは、操舵トルクTの変化量ΔTtがΔTt*以上のとき、異常判断カウンタCAをカウントアップし(S22,S23)、CAが所定値CA*に到達したとき、装置1の異常を確定する(S15,S16)。S22,S23は異常確定カウンタとして機能する。言換えると、異常検出回路6iは、異常確定カウンタを備える。このように、単発異常値による異常検出ではなく、CAの累積により異常を確定することで、誤検出を抑制することができる。例えば、路面状態により単発的に発生するΔTtの増大を、装置1の異常として誤検出することを抑制できる。なお、CA*は実験等に基づき設定できる。CA*は5に限らず、例えば誤検出の抑制と異常確定の迅速性とを両立可能なように、任意の値に設定できる。

0040

なお、舵の切り返し時における操舵トルクTの変化が顕著となる(引っ掛かりが生じる)装置1の異常は、減速機32だけでなく、操舵機構2における他の部分(ギヤ噛合い部等)の動作の渋りによっても生じうる。この動作の渋りは、これらの部分に発生した錆だけでなく、これらの部分に付着する等の異物によっても生じうる。錆は、ギヤハウジング10の内部に水が浸入することで生じる。ギヤハウジング10の内部への水や泥・埃等の浸入は、ダストブーツ233,234の破断部位だけでなく、他の部位における隙間を介しても生じうる。この隙間は、ダストブーツ233,234以外の部品の破損等によっても生じうる。本実施形態の装置1は、操舵機構2とモータ31の間に減速機32を備える。装置1はラックアシスト式であり、減速機32はラック軸23に設けられる。よって、ダストブーツ233,234の破損により、ギヤハウジング10の内部に水等が浸入すると、減速機32の動作の渋りが発生しやすい。浸入した水等はギヤハウジング10の鉛直方向下側(ラック軸収容部101)に貯留しやすいからである。この減速機32が用いられた装置1に異常検出処理を適用することで、異常を精度良く検出することができ、装置1の安全性をより向上させることができる。なお、減速機32はボールねじ機構34に限らず、ウォームギヤ機構等であってもよい。減速機32は、ボールねじ機構34である。ボールねじ機構34は、その内部に錆が生じたり異物が?み込んだりした場合、負荷の増大を招きやすい。このボールねじ機構34が用いられた装置1に異常検出処理を適用することで、異常を精度良く検出することができ、装置1の安全性をより向上させることができる。具体的には、ボールねじ機構34は、ラック軸23の外周側に設けられた第1ボールねじ溝341と、ラック軸23を包囲するように鉄系金属材料によって環状に設けられ、ラック軸23に対し回転自在に設けられたナット343と、ナット343の内周側に設けられ第1ボールねじ溝341と共にボール循環溝345を構成する第2ボールねじ溝342と、鉄系金属材料で形成されボール循環溝345の内部に設けられた複数のボール344とを有する。よって、ボール循環溝345やボール344に錆が生じたり両者の間に異物が?み込んだりした場合、負荷が増大し、ボールねじ機構34やラック軸23の動作が鈍くなるおそれがある。

0041

(異常検出処理の介入条件
転舵輪にセルフアライニングトルク(SAT)が発生した状態では、ステアリングホイールの切り戻し時、装置1が正常であれば、SATによってスムーズにステアリングホイールが中立側に戻される。一方、装置1に異常がある場合、SATによってもステアリングホイールが中立側に戻されづらくなる。このように、SATが発生する運転領域においては、装置1の正常時と異常時における操舵トルクTの変化の差ΔTtが顕著に現れる。異常検出回路6iはこのSAT発生領域において異常検出を行う。よって、顕著に現れるΔTtを用いて、精度の高い異常検出を行うことができる。異常検出の精度が向上することで、例えば、フェイルセーフ処理が誤って実行されることを抑制できる。

0042

具体的には、車速Vの上昇に応じてSATが発生する。Vが所定値以上のときは、SATが発生することで、ΔTtが顕著に現れる。異常検出回路6iは、車速信号の大きさが所定値V*以上のとき、異常検出を行う(S2→S3)。よって、SAT(ΔTt)が十分に発生する車速領域で異常検出を行うことにより、異常検出精度を向上させることができる。言換えると、異常検出回路6iは、車速信号の大きさがV*未満のとき、異常検出を行わない(S2→S24)。SAT(ΔTt)が不十分となる低車速領域で異常検出を行わないことにより、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。なお、V*は実験等に基づき設定できる。V*は、異常検出に十分なSAT(ΔTt)を発生させることができる値であればよく、15km/hに限らない。

0043

また、舵角θの増大に応じてSATが発生する。θの大きさが所定値以上のときは、SATが発生することで、ΔTtが顕著に現れる。異常検出回路6iは、舵角信号の大きさが所定値θ*以上のとき、異常検出を行う(S3→S4)。SAT(ΔTt)が十分に発生する舵角領域で異常検出を行うことにより、検出精度を向上させることができる。言換えると、異常検出回路6iは、舵角信号の大きさがθ*未満のとき、異常検出を行わない(S3→S24)。SAT(ΔTt)が不十分となる舵角領域で異常検出を行わないことにより、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。なお、θ*は実験等に基づき設定できる。θ*は、異常検出に十分なSAT(ΔTt)を発生させることができる値であればよく、10degに限らない。また、θが大きすぎるとSATが小さくなるため、舵角信号の大きさが(SATが小さくなりすぎないような第2の)所定値以下のとき、異常検出を行うようにしてもよい。

0044

言換えると、異常検出回路6iは、SATの大きさが(異常検出に十分なΔTtが発生する)所定値以上のとき、異常検出を行い、SATの大きさが上記所定値未満のとき、異常検出を行わない。なお、上記所定値は実験等に基づき設定できる。異常検出回路6iは、SATを(例えばθとVと車両諸元等とにより)直接演算し、そのSATが上記所定値以上であると判断したとき、異常検出を行うようにしてもよい。

0045

モータ31の回転速度(に相当するステアリングホイールの回転速度)を上回る速度で操舵操作が行われた場合、モータ31が負荷となり、この負荷による操舵トルクTの増大を装置1の異常と誤検出するおそれがある。異常検出回路6iは、舵角速度信号の大きさが所定値α以上のとき、異常検出を行わない(S4→S24)。モータ31が負荷となる舵角速度領域で異常検出を行わないことにより、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。言換えると、異常検出回路6iは、舵角速度信号の大きさがα未満のとき、異常検出を行う(S4→S5)。モータ31が負荷とならない舵角速度領域で異常検出を行うことにより、検出精度を向上させることができる。なお、上記所定値は実験等に基づき設定できる。

0046

車両加速度が大きいと、車両のサスペンション等のこじれが増大し、操舵機構2に負荷が発生する。この負荷は操舵トルクTの変化特性ヒステリシス)にも影響を与えるため、装置1の異常が誤検出されるおそれがある。異常検出回路6iは、加速度信号の大きさが所定値以上のとき、異常検出を行わない(S5→S24)。Tの変化特性に影響を与える加速度領域で異常検出を行わないことにより、異常の誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。言換えると、異常検出回路6iは、加速度信号の大きさが上記所定値未満のとき、異常検出を行う(S5→S6)。Tの変化特性への影響が少ない加速度領域で異常検出を行うことにより、検出精度を向上させることができる。なお、上記所定値は実験等に基づき設定できる。加速度信号は、加速度センサの出力信号であってもよいし、車速信号と舵角信号に基づき演算してもよい。

0047

転舵輪のタイヤの空気圧が減少すると、操舵トルクT(操舵負荷)が増大し、またSATが減少する。このTの増大は、装置1の異常とは別の原因によるものである。よって、装置1の異常が誤検出されるおそれがある。また、SATが減少することで、検出精度が低下するおそれがある。異常検出回路6iは、空気圧信号が所定値以下のとき、異常検出を行わない(S6→S24)。言換えると、異常検出回路6iは、空気圧信号が上記所定値より高いとき、異常検出を行う(S6→S7)。よって、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。なお、上記所定値は実験等に基づき設定できる。

0048

転舵輪(ラック軸23)がストロークエンドにあって更に切り込み方向に操舵操作が行われるとき、その他の操舵状態に比べ、操舵トルクTが大きくなる。この操舵トルクTの増大は、装置1の異常とは別の原因によるものである。よって、装置1の異常が誤検出されるおそれがある。異常検出回路6iは、舵角信号に基づき転舵輪(ラック軸23)がストロークエンドにあると判断されるとき、異常検出を行わない(S7→S24)。例えば、θの大きさ|θ|が所定値以上であれば、転舵輪(ラック軸23)がストロークエンドにあると判断する。なお、上記所定値は実験等に基づき設定できる。言換えると、異常検出回路6iは、転舵輪(ラック軸23)がストロークエンドにない(可動範囲内にある)と判断されるとき、異常検出を行う(S7→S8)。よって、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。

0049

モータ31の過熱等、何等かの原因によりモータ31の指令信号の制限が行われているときは、操舵負荷が増大し、操舵トルクTが大きくなる。この操舵トルクTの増大は、装置1の異常(アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化)とは別の原因によるものである。よって、上記異常が誤検出されるおそれがある。異常検出回路6iは、指令信号制限回路6lが指令信号の制限を行っているとき、異常検出を行わない(S8→S24)。言換えると、異常検出回路6iは、指令信号の制限が行われていないとき、異常検出を行う(S8→S9)。よって、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。

0050

雰囲気温度が低いとき、操舵機構2に塗布されたグリス粘性の上昇や付着した水分の凍結により、操舵負荷が増大し、操舵トルクTが増大するおそれがある。このTの増大は、装置1の異常とは別の原因によるものである。異常検出回路6iは、温度信号が所定値以下のとき、異常検出を行わない(S9→S24)。言換えると、異常検出回路6iは、温度信号が所定値より高いとき、異常検出を行う(S9→S10)。上記所定値は、例えば、水分が凍結する0℃である。よって、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。なお、上記所定値を実験等に基づき設定することもできる。

0051

代替指令信号演算部6pが指令信号を演算するときは、操舵トルク信号に異常が生じているおそれがあり、この操舵トルク信号を用いると装置1の異常(アシスト機構3を含む操舵機構2の動作の悪化)が誤検出されるおそれがある。異常検出回路6iは、代替指令信号が演算されるとき、異常検出を行わない(S10→S24)。言換えると、異常検出回路6iは、代替指令信号が演算されないとき、操舵トルク信号を用いた異常検出を行う(S10→S11)。よって、誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。

0052

[第2実施形態]
図13は、本実施形態の異常検出処理の流れを示す、図7と同様の図である。この流れは、S13に代えてS131を有し、S18に代えてS181を有し、S20に代えてS201を有し、S25に代えてS251を有し、S26に代えてS261を有する点を除き、図7と同じである。S131では、現時点の(今回のサイクルのS1で取り込んだ)操舵トルクTs及び舵角θsを記憶する。S181では、現時点の(今回のサイクルのS1で取り込んだ)操舵トルクTd及び舵角θdを記憶する。S201では、TsがTdより大きく、かつ、θsとθdとの差の大きさ|θs-θd|が所定値Δθ*(例えば2deg程度の微小値)未満であるか否かを判定する。TsがTdより大きく、かつ、|θs-θd|がΔθ*未満であればS21へ進み、TsがTd以下であるか、または|θs-θd|がΔθ*以上であればS24へ進む。S251では、Ts,Td,θs,θdをクリアする。S261では、TsがTdより小さく、かつ、|θs-θd|がΔθ*未満であるか否かを判定する。TsがTdより小さく、かつ、|θs-θd|がΔθ*未満であればS27へ進み、TsがTd以上であるか、または|θs-θd|がΔθ*以上であればS24へ進む。他の構成は第1実施形態と同様である。

0053

異常検出回路6iは、dθ/dtの所定領域(−β舵角θの変化量|θs-θd|が所定値Δθ*未満のとき、この領域(−β操舵トルクTの変化に基づき装置1の異常検出を行う(S201,S261)。このように、舵の切り返し時における保舵状態(図11,図12の時刻t1〜t2)を、|θs-θd|がΔθ*未満であるか否かにより判断することで、保舵状態の持続時間にかかわらず、保舵状態であるか否かを精度よく判断できる。よって、保舵状態におけるTの変化に基づく異常検出の精度がより良くなる。なお、Δθ*は実験等に基づき設定できる。Δθ*は保舵状態を判断できる値であればよく、2degに限らない。

0054

[第3実施形態]
図14は、本実施形態の異常検出処理の流れを示す、図7と同様の図である。この流れは、S20に代えてS202を有し、S26に代えてS262を有する点を除き、図7と同じである。S202では、TsとTdの(正負)符号が異なるか否かを判定する。TsとTdが異符号(すなわちTsが正、Tdが負)であればS21へ進み、同符号(すなわちTs,Tdが正)であればS24へ進む。S262では、TsとTdが異符号であるか否かを判定する。TsとTdが異符号(すなわちTsが負、Tdが正)であればS27へ進み、同符号(すなわちTs,Tdが負)であればS24へ進む。他の構成は第1実施形態と同様である。

0055

異常検出回路6iは、dθ/dtの所定領域(−β操舵トルクTの方向が切り替わるとき、装置1の異常検出を行う。具体的には、dθ/dtがこの領域(−β時刻t1)とこの領域から出る時点(図11,図12の時刻t2)とでTの符号が異なるとき、この領域におけるTの変化に基づき装置1の異常検出を行う。すなわち、舵の切り返し時の保舵状態においてTの方向が変化(保舵状態の前後でTの符号が反転)する場合、この保舵状態におけるTの変化が顕著である。このような場合に、Tの変化に基づき装置1の異常検出を行うことで、異常をより確実に(精度よく)検出できる。

0056

[第4実施形態]
図15は、本実施形態の異常検出処理の流れを示す、図7と同様の図である。この流れは、S18とS19との間にS29を有する点を除き、図7と同じである。S29では、所定値ΔTt*を設定する。異常検出回路6iは、車速Vに基づき、ΔTt*を演算する。例えば、図16のような特性を備えるマップを用いて、ΔTt*を得ることができる。Vが高いほどΔTt*を小さくする。低車速側所定範囲では、Vが高いときは低いときよりも、Vの上昇分に対するΔTt*の減少分を小さくする。高車速側の所定範囲では、ΔTt*を一定値とする。なお、Vに限らずθ等、車両の他の運転状態に応じてΔTt*を設定してもよい。他の構成は第1実施形態と同様である。

0057

舵の切り返し時の保舵状態における操舵トルクTの変化の特性は、車速Vに応じて変化する。例えば、Vが高くなるほど、SATが大きくなるため、保舵状態におけるTの変化量ΔTtが小さくなる。異常検出回路6iは、車速信号の変化に応じて異常判断閾値ΔTt*を可変制御する。Vに応じて変化するTの変化特性に合わせてΔTt*を設定することで、Vに起因する影響を除去しつつ、装置1の異常に起因するTの変化(ΔTtの大小)を判断できる。このため、異常の誤検出を抑制し、ΔTt*を用いた異常検出の精度をより向上させることができる。具体的には、異常検出回路6iは、車速信号が大きいほどΔTt*を小さくする。仮に装置1の異常が生じていても、Vが高いほど、SATの増大によりTの変化量ΔTtが小さくなる。仮にΔTt*がそのままであれば、装置1の異常に起因するTの変化を判断しにくくなる。これに対し、Vが高いほど、ΔTt*が小さくなるようにΔTt*を変更することで、Vに起因する影響を除去しつつ、装置1の異常に起因するTの変化を判断しやすくなる。よって、異常の検出精度を向上しつつ、より早期に異常を検出できる。

0058

[第5実施形態]
図17は、本実施形態の異常検出処理の流れを示す、図7と同様の図である。この流れは、S28に代えてS281を有し、さらにS30〜S32を有する点を除き、図7と同じである。S22では、ΔTtがΔTt*未満であればS30へ進む。S30では、正常判断カウンタCNが所定値CN*(例えば3)以上である否かを判定する。CNがCN*以上であればS281へ進み、CN*未満であればS32へ進む。S281では、CAから1を減算し(CAをカウントダウンし)、S31へ進む。S31では、CNを0とし、S24へ進む。S32では、CNに1を加算し、S24へ進む。他の構成は第1実施形態と同様である。

0059

ノイズ等により異常判断カウンタCAが誤ってカウントアップされる場合がある(S23)。このようなCAが累積すると、装置1の異常が誤って確定されるおそれがある。操舵トルクTの変化量ΔTtが異常判断閾値ΔTt*未満のとき、S281では、異常判断カウンタCAをカウントダウンする。これにより、誤ったCAの累積が抑制されるため、異常の誤確定を抑制できる。すなわち、一旦、CAが誤ってカウントアップされても(S23)、その後のサイクルで、ΔTtがΔTt*未満であれば、装置1は正常であると判断できるため、CAをカウントダウンする(S281)。改めてCAがCA*に到達したとき、装置1の異常を確定する(S15,S16)。S22,S23に加え、S281は異常確定カウンタとして機能する。

0060

なお、装置1が正常であると判断される場合、CAを0とするのではなく、CAから1を減算する(S281)。これにより、装置1の異常発生時、CAが0から改めてCA*まで累積するのを待つ必要がなくなる。よって、異常をより早期に確定することができる。すなわち、ノイズ等により誤って装置1が正常であると判断(S22で否定判断)される場合がある。その後のサイクルで、ΔTtがΔTt*以上であれば、装置1は異常であると判断できる。このため、今回のサイクルで装置1が正常であると判断されても、CAを一律に0とするのではなく、CAを徐々にカウントダウンする(S281)。よって、誤った正常判断による異常確定の遅延を抑制できる。

0061

なお、異常検出回路6iは、ΔTtがΔTt*未満のとき、正常判断カウンタCNをカウントアップし(S32)、CNがCN*に到達したとき、異常判断カウンタCAをカウントダウンする(S30→S281)。このように、単発の正常値による正常検出ではなく、CNの累積によりCAのカウントダウンを実行することで、誤検出を抑制することができる。例えば、路面状態により単発的に発生するΔTtの減少を、装置1の正常として誤検出することを抑制できる。なお、CN*は実験等に基づき設定できる。CN*は3に限らず、例えば誤検出の抑制と正常確定の迅速性とを両立可能なように、任意の値に設定できる。

0062

〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施形態に限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、パワーステアリング装置は、ラックアシスト式に限らず、ピニオンアシスト式でもよい。各種の演算部及び受信部は、実施形態においてはマイクロコンピュータ内のソフトウェアによって実現されるが、電子回路によって実現してもよい。演算は、数式演算だけでなく、ソフトウェア上での処理全般を意味する。受信部は、マイクロコンピュータ内のインターフェイスであってもよいし、マイクロコンピュータ内のソフトウェアであってもよい。

0063

1パワーステアリング装置
2操舵機構
21操舵軸
23ラック軸(ラックバー)
31電動モータ
32減速機
34ボールねじ機構
341 第1ボールねじ溝(転舵軸側ボールねじ溝)
342 第2ボールねじ溝(ナット側ボールねじ溝
343ナット
344ボール
346チューブ(循環部材)
4操舵トルクセンサ
6コントロールユニット(制御装置)
6a車速信号受信部
6c舵角信号処理部(舵角信号受信部)
6d舵角速度演算部(舵角速度信号受信部、操舵方向信号受信部)
6e加速度信号受信部
6f空気圧信号受信部
6g温度信号受信部
6i異常検出回路
6k指令信号演算部
6l 指令信号制限回路
6p代替指令信号演算部

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