図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
フォークリフトに限られず、運転手により運転される車両は、一般に運転手の十分な視界性が求められる。求められる視界性は、車両の種類によって様々である。例えば、人の移動を主な目的とする乗用車では、前方への移動が殆どであるから、前方の視界性が特に重視されるのに対し、フォークリフトのような産業用車両は、定められた敷地内で縦横に移動して作業に従事するので、側方および後方の視界性も重視される。
視界性を向上させた産業用車両である油圧ショベルとして、そのキャビンにおける支柱の断面を前部支柱よりも後部支柱で大きくさせたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の産業用車両(油圧ショベル)では、前部支柱による死角が小さくなるので、視界性を向上させることができる。
上記特許文献1に記載の産業用車両は、後部支柱による死角が大きいので、後方の視界性が前方および側方ほど確保されないという特徴もある。しかしながら、上記特許文献1に記載の産業用車両は、油圧ショベルを想定しており、そのショベルにより作業を行う方向である前方および側方の視界性が後方よりも重視されるので、後部支柱による死角が若干大きくても問題にならない。これに対して、フォークリフトは、図6および図7に示すように、コンテナなどの荷Cを積み上げ下ろしする際など、前方Fだけでなく後方Rの視界性も重視される。このため、上記特許文献1に開示された油圧ショベルの構成をフォークリフト100に適用することはできない。したがって、非特許文献1(図6および図7も同様)に示すように、現在のフォークリフト100では、前方Fおよび後方Rの視界性を向上させるために、キャビン110の前面窓51および後面窓52を支柱で遮らない工夫がされている。
概要
強度を低下させることなく、前方および後方の視界性を確保しつつ、側方の視界性を向上させ得るフォークリフトのキャビンを提供する。フォークリフトのキャビン10であって、前面41、後面42および側面43,44と、内部に配置された運転席12と、支柱60と、前面41の左右端に亘る前面窓51と、後面42の左右端に亘る後面窓52と、側面43,44に設けられてドア窓82およびドア枠83を有するドア58とを備える。上記支柱60が、上記運転席12とドア枠83との間に位置する。
目的
本発明は、強度を低下させることなく、前方および後方の視界性を確保しつつ、側方の視界性を向上させ得るフォークリフトのキャビンを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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技術分野
背景技術
0002
フォークリフトに限られず、運転手により運転される車両は、一般に運転手の十分な視界性が求められる。求められる視界性は、車両の種類によって様々である。例えば、人の移動を主な目的とする乗用車では、前方への移動が殆どであるから、前方の視界性が特に重視されるのに対し、フォークリフトのような産業用車両は、定められた敷地内で縦横に移動して作業に従事するので、側方および後方の視界性も重視される。
0003
視界性を向上させた産業用車両である油圧ショベルとして、そのキャビンにおける支柱の断面を前部支柱よりも後部支柱で大きくさせたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の産業用車両(油圧ショベル)では、前部支柱による死角が小さくなるので、視界性を向上させることができる。
0004
上記特許文献1に記載の産業用車両は、後部支柱による死角が大きいので、後方の視界性が前方および側方ほど確保されないという特徴もある。しかしながら、上記特許文献1に記載の産業用車両は、油圧ショベルを想定しており、そのショベルにより作業を行う方向である前方および側方の視界性が後方よりも重視されるので、後部支柱による死角が若干大きくても問題にならない。これに対して、フォークリフトは、図6および図7に示すように、コンテナなどの荷Cを積み上げ下ろしする際など、前方Fだけでなく後方Rの視界性も重視される。このため、上記特許文献1に開示された油圧ショベルの構成をフォークリフト100に適用することはできない。したがって、非特許文献1(図6および図7も同様)に示すように、現在のフォークリフト100では、前方Fおよび後方Rの視界性を向上させるために、キャビン110の前面窓51および後面窓52を支柱で遮らない工夫がされている。
0005
特開2004−42740号公報
先行技術
発明が解決しようとする課題
0007
キャビン110を具備するフォークリフト100は、一般的に大型の荷Cを運搬できる仕様であるから、図8に示すように、その車両本体の左右幅(つまり車幅)より大きな幅の荷Cを運搬することが多い。このため、キャビン110を具備するフォークリフト100では、後進する際に、キャビン110の側方にある物と運搬している荷Cとが衝突しないためにも、側方Sの視界性も重視する必要がある。
0008
しかしながら、図9に示すようなキャビン110の平断面図から明らかなように、支柱170およびドア枠83により運転席12に着いている運転手(図示省略)の側方Sに死角Bが生じる。特に、フォークリフト100のキャビン110では、運転席12がドア58の近くに配置されることも多く、これにより上記死角Bが広がることになるので、側方Sの視界性が一層不十分になる。一方で、支柱の断面積を小さくすれば、側方Sの視界性が向上するものの、強度が低下することになってしまう。
0009
そこで、本発明は、強度を低下させることなく、前方および後方の視界性を確保しつつ、側方の視界性を向上させ得るフォークリフトのキャビンを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0010
上記課題を解決するため、第1の発明に係るフォークリフトのキャビンは、前面、後面および側面と、内部に配置された運転席と、支柱と、前面の左右端に亘る前面窓と、後面の左右端に亘る後面窓と、側面に設けられてドア窓およびドア枠を有するドアとを備え、
上記支柱が、上記運転席とドア枠との間に位置するものである。
0011
また、第2の発明に係るフォークリフトのキャビンは、第1の発明に係るフォークリフトのキャビンにおける側面が、ピラーを有し、
支柱が、運転席と上記ピラーおよびドア枠との間に収まるものである。
0013
加えて、第4の発明に係るフォークリフトのキャビンは、第2または第3の発明に係るフォークリフトのキャビンにおける支柱が、ピラーと一体構造であるものである。
発明の効果
0014
上記フォークリフトのキャビンによると、支柱により強度を低下させることなく、前面窓および後面窓により前方および後方の視界性を確保しつつ、運転席とドア枠との間に位置する支柱が追加の死角を生じさせないので、側方の視界性を向上させることができる。
図面の簡単な説明
0015
本発明の実施の形態に係るキャビンを具備したフォークリフトの斜視図である。
同フォークリフトの側面図である。
同フォークリフトのキャビン近傍を拡大した側面図である。
図3のA−A断面図である。
図4のうち運転席から左側面までを拡大した平断面図である。
非特許文献1に示すような従来のフォークリフトの側面図であり、荷を持ち上げた状態を示す。
非特許文献1に示すような従来のフォークリフトの側面図であり、荷を持ち上げたまま後進する状態を示す。
非特許文献1に示すような従来のフォークリフトの平面図であり、荷を持ち上げたまま後進する状態を示す。
非特許文献1に示すような従来のフォークリフトのキャビンにおける運転席から左側面までを拡大した平断面図である。
実施例
0016
以下、本発明の実施の形態に係るフォークリフトのキャビンについて図面に基づき説明する。
まず、上記キャビンを具備するフォークリフトの概略について簡単に説明する。
0017
このフォークリフトは、図1および図2に示すように、駆動用の前輪21および操舵用の後輪22を備える車両本体2と、この車両本体2の前部に設けられたリフト装置3と、上記車両本体2の上部に設けられたキャビン10とを具備する。
0018
上記車両本体2は、キャビン10の内部にいる運転手の運転により、走行し、リフト装置3にコンテナなどの荷を昇降させるものである。
上記リフト装置3は、図示しない支持体と、この支持体に設けられて上下に伸縮自在のマスト機構31と、このマスト機構31を車両本体2に対して傾動させ得る左右一対のチルトシリンダ30と、上記マスト機構31により荷の昇降が可能なキャリッジ37とを有する。このマスト機構31は、チルトシリンダ30を介して車両本体2に接続される外マストと、この外マストの内側に配置されて上部にシーブ33が設けられた内マストと、この内マストを外マストに対して昇降させ得るリフトシリンダ35と、外マストの底部およびキャリッジ37を接続するとともに上記シーブ33に巻回された昇降用チェーン36とを有する。上記キャリッジ37は、荷を直接に、または荷が載置されたパレットごと持ち上げる(掬い上げる)左右一対のフォーク38と、この左右一対のフォーク38を互いに離間および接近させ得るフォークシフト装置39とを有する。
0019
次に、上記キャビン10について詳細に説明する。
このフォークリフト1のキャビン10は、図3および図4に示すように、前面41、後面42、左側面43、右側面44、天面45および底面46からなる鋼製箱体11と、この鋼製箱体11の内部に配置された運転席12と、この鋼製箱体11の内部に配置されてフォークリフト1を運転するための運転機器(図4では簡単のためハンドル15のみ図示する)とを備える。
0020
上記鋼製箱体11は、運転手が出入りするために、左側面43および右側面44に形成された出入口50と、これら出入口50を開閉し得る外開式のドア58とを有する。左側面43および右側面44における出入口50の縁(つまり前後上下の縁)はドア58の開閉に耐え得るように補強されており、出入口50の補強された縁のうち、図4に示すように、前の縁が前ピラー60fであり、後の縁が後ピラー60rである。なお、以下では、前ピラー60fおよび後ピラー60rをまとめてピラー60と言う。
0021
上記鋼製箱体11は、図3および図4に示すように、運転席12からの視界を確保するために、前面41の左右端に亘る前面窓51と、後面42の左右端に亘る後面窓52と、ドア58に設けられたドア窓82とを有する。上記前面窓51は、前面41の左右端に亘るだけでなく左側面43および右側面44の前部まで達し、一方で上記後面窓52は、後面42の左右端に亘るだけでなく左側面43および右側面44の後部まで達する。このため、上記前面窓51および後面窓52は、運転席12からの前方および後方に極めて良好な視界を確保するものである。
0022
上記鋼製箱体11は、その耐久性を向上させるためにも、フレーム構造である。このため、上記鋼製箱体11は、図4に示すように、上記前ピラー60fおよび後ピラー60rの近傍にそれぞれ配置された前支柱70fおよび後支柱70rを有する。なお、以下では、前支柱70fおよび後支柱70rをまとめて支柱70と言う。
0023
以下、ピラー60、ドア58および支柱70の配置、つまり本発明の要旨について図5に基づき詳細に説明する。なお、以下では、説明を簡単にするために、図5では図4のうち運転席12から左側面43までを拡大して示す。
0024
上記ピラー60は、図5に示すように、閉じたドア58と外面が略面一となる外部材61と、この外部材61に平行に配置されて閉じたドア58よりも鋼製箱体11の内部側に位置する内部材62と、これら外部材61および内部材62に垂直に配置されて外部材61および内部材62を接続する接続部材63と、が一体にされたものである。この接続部材63で接続される外部材61および内部材62の部分は、前ピラー60fの場合は外部材61の後端部および内部材62の前端部であり、後ピラー60rの場合は外部材61の前端部および内部材62の後端部である。また、上記ピラー60は、内部材62の外面に沿って配置されて上記ドア58に接し得るシール用および緩衝用のゴム枠64を有する。
0025
上記ドア58は、側方Sの視界を確保するドア窓82と、このドア窓82をその周囲である上下前後から保持するドア枠83と、このドア枠83の前部外面に設けられた開閉用の取っ手84と、ドア枠83の後部外面および後ピラー60rにおける外部材61の外面に設けられてドア58を開閉させる蝶番85とを有する。
0026
上記支柱70は、上記内部材62の先端(接続部材63が設けられてない方の端)および内面に接続されて、横断面が略五角形にされたものである。また、上記支柱70は、ドア枠83およびピラー60により運転席12に着いている運転手からの死角bとなる範囲に収まる形状および大きさである。この死角bとなる範囲は、運転席の中心13から外部材61の端(前ピラー60fでは前端、後ピラー60rでは後端)までの面b1と、運転席の中心13からドア枠83の端(前ピラー60fではドア枠83の前部後端、後ピラー60rではドア枠83の後部前端)までの面b2と、の間である。なお、上記運転席の中心13とは、運転席12に着いている運転手の想定される目の位置である。この運転席12に着いている運転手の想定される目の位置は、例えば、運転席12に設けられるヘッドレスト14から運転手の想定される頭の厚みだけ前の位置や、運転席12に着いている運転手の想定される重心の位置などである。
0027
上記支柱70は、上記死角bとなる範囲に収まりつつ、高い強度を有することを目的に、鋼製箱体11の内部側における一方(前支柱70fでは前側、後支柱70rでは後側)の角を面取りした形状である。具体的に説明すると、上記支柱70は、上記内部材62の先端(接続部材63が設けられてない方の端)に連続する連続板71と、この連続板71から鋼製箱体11の内部側に向けて配置された左右板72と、この左右板72から前方または後方(前支柱70fでは前方、後支柱70rでは後方)に向けて配置された前後板73と、上記面取りに相当する面取板74と、上記内部材62の内面に接続される接続板75とからなる。また、上記支柱70は、上記死角bとなる範囲に辛うじて収まる程度に大きい方が強度の点で好ましい。このためには、上記面取板74は、運転席の中心13から外部材61の端(前ピラー60fなら前端、後ピラー60rなら後端)までの面b1に沿う位置にあり、上記連続板71は、運転席の中心13からドア枠83の端(前ピラー60fならドア枠83の前部後端、後ピラー60rならドア枠83の後部前端)までの面b2に辛うじて達しない程度の前後幅を有する。一方で、上記連続板71は、ピラー60の応力が支柱70に伝達されるためにも、ピラー60の内部材62と一体構造である。これにより、ピラー60および支柱70がドア58の開閉(特に閉)による衝撃を一体として受けることになる。
0028
以下、上記フォークリフト1のキャビン10における作用について説明する。
図4に示すように、鋼製箱体11の運転席12からは、前面41の左右端に亘るだけでなく左側面43および右側面44の前部まで達する前面窓51と、後面42の左右端に亘るだけでなく左側面43および右側面44の後部まで達する後面窓52とにより、前方および後方に極めて良好な視界が確保される。また、鋼製箱体11の運転席12からは、ドア枠83およびピラー60により死角bとなる範囲に収まる支柱70により、支柱70が追加の死角を実質的に生じさせることがないので、従来の支柱70が追加の死角を実質的に生じさせるキャビン10に比べて、良好な視界が確保される。一方で、支柱70を使用する以上、従来のキャビン10に比べて強度が低下しない。
0029
このように、上記フォークリフト1のキャビン10によると、支柱70の使用により強度を低下させることがなく、また、上記前面窓51および後面窓52により前後の視界性を確保することができる。さらに、側面に配置された支柱70が追加の死角を実質的に生じさせることがないので、側方Sの視界性を向上させることができる。
0030
加えて、上記死角bの面b1に沿う上記面取板74により、側方の視界性を確保しつつ支柱70の強度を高くすることができ、さらに、運転手における支柱70との衝突による負傷が防止されるので、安全性を向上させることができる。
0031
また、一体構造であるピラー60および支柱70がドア58の開閉(特に閉)による衝撃を一体として受けることにより、耐久性を向上させることができる。
ところで、上記実施の形態では、ドア58は鋼製箱体11の左側面43および右側面44に設けられる構成について説明したが、左側面43および右側面44のいずれか一方のみに設けられる構成であってもよい。この場合、左側面43および右側面44のドア58が設けられない方には、視界性を確保するために、窓が設けられる。
0032
また、上記実施の形態で説明した支柱70の形状は一例に過ぎず、支柱70が、上記運転席12とドア枠83との間に位置すればよい。
0033
1フォークリフト
10キャビン
12運転席
41 前面
42 後面
43 左側面
44 右側面
60ピラー
61外部材
62内部材
63接続部材
70支柱
71連続板
72左右板
73 前後板
74 面取板
75接続板
82ドア窓
83 ドア枠