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技術 圧電素子、圧電モジュール、電子機器、及び圧電素子の製造方法

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 宮澤弘伊藤浩中村友亮山田昌佳山崎清夏舩坂司
出願日 2015年10月29日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-213454
公開日 2017年5月18日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-085425
状態 特許登録済
技術分野 圧電、電歪、磁歪装置 超音波変換器
主要キーワード 亀裂表面 グラウンド回路 亀裂進行 センサー窓 圧電モジュール 送信用素子 アッテネーター 受信用素子
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

高い圧電特性圧電体を有する圧電素子圧電モジュール電子機器、及び圧電素子の製造方法を提供する。

解決手段

受信用トランスデューサー52は、可撓部412Dと、可撓部412Dに設けられた圧電膜423と、可撓部412Dの圧電膜423が設けられる側の第一面412B1、及び、圧電膜423の可撓部412Dとは反対側の面である第二面423Aの間に設けられた第一電極422と、第一面412B1及び第二面423Aの間に設けられ、可撓部412Dの厚さ方向から見た平面視で、第一電極422とギャップを介して対向する第二電極424と、を備える。

概要

背景

従来、可撓膜上に圧電体を形成し、当該圧電体に駆動電圧印加して可撓膜を振動させる圧電素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、可撓膜上に圧電層を形成し、この圧電層の同じ表面上に、第一の電極と、第二の電極とを対向させて配置した超音波トランスデューサー(圧電素子)が開示されている。

概要

高い圧電特性の圧電体を有する圧電素子、圧電モジュール電子機器、及び圧電素子の製造方法を提供する。受信用トランスデューサー52は、可撓部412Dと、可撓部412Dに設けられた圧電膜423と、可撓部412Dの圧電膜423が設けられる側の第一面412B1、及び、圧電膜423の可撓部412Dとは反対側の面である第二面423Aの間に設けられた第一電極422と、第一面412B1及び第二面423Aの間に設けられ、可撓部412Dの厚さ方向から見た平面視で、第一電極422とギャップを介して対向する第二電極424と、を備える。

目的

本発明は、高い圧電特性の圧電体を有する圧電素子、圧電モジュール、電子機器、及び圧電素子の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

可撓膜と、前記可撓膜に設けられた圧電体と、前記可撓膜の前記圧電体が設けられる側の第一面、及び、前記圧電体の前記可撓膜とは反対側の第二面の間に設けられた第一電極と、前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極と、を備えることを特徴とする圧電素子

請求項2

請求項1に記載の圧電素子において、前記第一電極及び前記第二電極は、前記可撓膜と、前記圧電体との間に設けられていることを特徴とする圧電素子。

請求項3

請求項1に記載の圧電素子において、前記第一電極及び前記第二電極は、前記圧電体の内部に埋め込まれていることを特徴とする圧電素子。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記第一電極及び前記第二電極は、前記第一面と平行な面内に設けられていることを特徴とする圧電素子。

請求項5

請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記第一電極は、前記第二電極に対向する第一端面を有し、前記第二電極は、前記第一電極に対向する第二端面を有し、前記第一端面及び前記第二端面は平行となることを特徴とする圧電素子。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記平面視において、前記第一電極及び前記第二電極の間に設けられ、かつ、前記第一電極及び前記第二電極と第二ギャップを介して対向する少なくとも1つ以上の中間電極をさらに備えることを特徴とする圧電素子。

請求項7

請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記圧電体は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物により構成されることを特徴とする圧電素子。

請求項8

請求項7に記載の圧電素子において、前記圧電体は、PbとZrとTiを含むことを特徴とする圧電素子。

請求項9

請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記可撓膜は、前記圧電体に接する第一層を含み、当該第一層は、遷移金属酸化物により構成されていることを特徴とする圧電素子。

請求項10

請求項9に記載の圧電素子において、前記第一層は、ZrO2により構成されていることを特徴とする圧電素子。

請求項11

請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の圧電素子において、前記第一ギャップは、2μm以上8μm以下であることを特徴とする圧電素子。

請求項12

可撓膜と、前記可撓膜に接する第一面、及び前記第一面とは反対側の第二面を有する圧電体と、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられた第一電極と、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極と電気的に接続される端子部を有する配線基板と、を備えることを特徴とする圧電モジュール

請求項13

請求項12に記載の圧電モジュールにおいて、前記配線基板は、前記第一電極及び前記第二電極の間に10kV/cm以上の電界印加して分極処理を行う分極回路を備えることを特徴とする圧電モジュール。

請求項14

可撓膜、前記可撓膜に接する第一面、及び前記第一面とは反対側の第二面を有する圧電体、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられた第一電極、及び、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極を備えた圧電素子と、前記圧電素子を制御する制御部と、を備えることを特徴とする電子機器

請求項15

可撓膜上に、第一電極と、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極とを形成する電極形成工程と、前記可撓膜上に、前記第一電極の一部から前記第二電極の一部を覆う圧電体を形成する圧電体形成工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。

請求項16

可撓膜上に、第一圧電層を形成する第一圧電層形成工程と、前記第一圧電層上に、第一電極と、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極とを形成する電極形成工程と、前記第一圧電層上に、前記第一電極の一部から前記第二電極の一部を覆う第二圧電層を形成する第二圧電層形成工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、圧電素子圧電モジュール電子機器、及び圧電素子の製造方法等に関する。

背景技術

0002

従来、可撓膜上に圧電体を形成し、当該圧電体に駆動電圧印加して可撓膜を振動させる圧電素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、可撓膜上に圧電層を形成し、この圧電層の同じ表面上に、第一の電極と、第二の電極とを対向させて配置した超音波トランスデューサー(圧電素子)が開示されている。

先行技術

0003

特開2002−271897号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、上記特許文献1に記載の超音波トランスデューサーでは、圧電層の表面上に第一の電極と第二の電極とが設けられている。このような構造の超音波トランスデューサーは、可撓膜上に圧電体を形成し、その圧電体上に電極を設けることで形成する。しかしながら、圧電体上に電極を形成する際に圧電体が劣化してしまい、圧電体における圧電特性が劣化する(例えば圧電定数が低下する)との課題がある。

0005

本発明は、高い圧電特性の圧電体を有する圧電素子、圧電モジュール、電子機器、及び圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係る一適用例の圧電素子は、可撓膜と、前記可撓膜に設けられた圧電体と、前記可撓膜の前記圧電体が設けられる側の第一面、及び、前記圧電体の前記可撓膜とは反対側の第二面の間に設けられた第一電極と、前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極と、を備えることを特徴とする。

0007

本適用例では、可撓膜に設けられた圧電体に対し、可撓膜の膜厚方向から見た平面視において第一電極と第二電極とが第一ギャップを介して対向して配置されている。すなわち、第一電極及び第二電極の間の第一ギャップには、圧電体が介在している。
このような構成では、圧電体上に第一電極及び第二電極を設ける構成に比べて、圧電体の圧電特性の劣化を抑制できる。つまり、圧電体を設けた後に、第一電極及び第二電極を設ける場合では、圧電体上に第一電極及び第二電極の形成した際に、圧電体が劣化し、圧電e定数が低下する。これに対して、例えば、可撓膜上に第一電極及び第二電極を設け、その上から圧電体を設ける場合では、圧電体を形成する前に第一電極及び第二電極が形成されることになり、電極形成による圧電体の劣化を防止できる。また、可撓膜上に圧電体の下層を形成し、その後、第一電極及び第二電極を形成し、その上部に圧電体を形成してもよい。この場合では、圧電体の下層では、第一電極及び第二電極の形成による劣化が発生するものの、圧電体の上層における劣化がないので、圧電体の第二面(表面)に第一電極及び第二電極を形成する場合に比べて圧電体の劣化を抑制でき、圧電体の圧電特性を高めることができる。
これに加え、本適用例では、第一電極及び第二電極の間に圧電体が介在する構成となり、第一電極及び第二電極の間に電圧を印加した際(特に、第一電極及び第二電極間高電圧を印加して分極処理を行う場合)の絶縁破壊を抑制できる。

0008

本適用例の圧電素子において、前記第一電極及び前記第二電極は、前記可撓膜と、前記圧電体との間に設けられていることが好ましい。
本適用例では、第一電極及び第二電極は、可撓膜と圧電体との間に設けられる。このような構成は、可撓膜上に第一電極及び第二電極を形成した後に、圧電体を形成することができる。つまり、圧電体上に第一電極や第二電極が形成されないため、これらの第一電極や第二電極の形成による圧電体の劣化が抑制されて圧電特性を高めることができる。

0009

本適用例の圧電素子において、前記第一電極及び前記第二電極は、前記圧電体の内部に埋め込まれていることが好ましい。
本適用例では、圧電体の内部に第一電極及び第二電極が埋め込まれている。このような構成は、可撓膜上に圧電体の一部を形成した後、第一電極及び第二電極を形成し、その後、圧電体の残部を形成することで形成することができる。この場合、可撓膜上に形成された圧電体の一部においては、上部に第一電極及び第二電極が形成されることで、圧電特性が劣化するものの、その上部に形成される圧電体の残部では、圧電特性の劣化が抑制される。従って、例えば可撓膜上に圧電体を形成し、その表面上に第一電極及び第二電極を形成する場合に比べ、圧電体の圧電特性を高めることができる。

0010

本適用例の圧電素子では、前記第一電極及び前記第二電極は、前記第一面と平行な面内に設けられていることが好ましい。
本適用例では、第一電極及び第二電極が第一面と平行な面内に設けられている。この場合、第一電極と第二電極とを同時に形成することができるので、圧電素子の製造工程を簡略化できる。
また、第一電極や第二電極は、例えばスパッタリング蒸着法等により、可撓膜または圧電体の一部の表面上を覆った後、電極形状パターニングする。従って、第一電極と第二電極とを別の高さ位置とする(同一平面に設けない)場合で、例えば、可撓膜上に圧電体の一部を形成した後、第一電極を形成し、その上面に圧電体の他の一部を形成し、その上面に第二電極を形成し、その後、圧電体の残部を形成する場合、2回の電極膜形成工程が入ることで圧電体の劣化がより進行する。これに対して、上記のように、第一電極と第二電極と同一平面内に設ける場合では、上記のように、第一電極及び第二電極を同時に形成できるため、圧電体の劣化も抑制できる。

0011

本適用例の圧電素子において、前記第一電極は、前記第二電極に対向する第一端面を有し、前記第二電極は、前記第一電極に対向する第二端面を有し、前記第一端面及び前記第二端面は平行となることが好ましい。
互いに対向する第一電極及び第二電極に電荷を保持させる場合、第一電極及び第二電極の互いに対向する領域のうち電極間の距離が最短となる位置を中心に電荷が保持される。よって、本適用例では、平行に配置された第一電極の第一端面と、第二電極の第二端面との間で、変位電流が流れることになる。例えば、可撓膜の変位により圧電体から出力される変位電流を電圧の形で取得(検出)する場合、第一電極及び第二電極が平行に設置されているならば、圧電体の広い範囲における変位電流を検出でき、電圧の検出精度を向上できる。また、例えば、第一電極及び第二電極の間に駆動電圧を印加して圧電体を駆動させる場合では、圧電体の広い範囲で均一に変位電流が流れるため、圧電体を均一に歪ませることができる。

0012

本適用例の圧電素子において、前記平面視において、前記第一電極及び前記第二電極の間に設けられ、かつ、前記第一電極及び前記第二電極と第二ギャップを介して対向する少なくとも1つ以上の中間電極をさらに備えることが好ましい。
本適用例では、平面視において、第一電極と第二電極との間に1つ以上の中間電極が設けられる。これにより、第一電極及び中間電極の間や、第二電極及び中間電極の間、さらに複数の中間電極を設ける場合には中間電極間にそれぞれ静電容量が形成される。このような構成では、互いに対向する電極の対向領域面積が増大し、圧電素子におけるトータルの静電容量を増大させることができる。したがって、上述の外部回路が有する浮遊容量の影響を抑制でき、受信信号における電圧の低下を回避することができる。

0013

本適用例の圧電素子において、前記圧電体は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物により構成されることが好ましい。
本適用例では、圧電体としてペロブスカイト型遷移金属酸化物を用いる。ペロブスカイト型遷移金属酸化物は圧電材料において圧電特性(圧電e定数)が高い。このため、可撓膜を変位させた際に圧電体から出力される電圧を大きくできる。

0014

本適用例の圧電素子において、前記圧電体は、PbとZrとTiを含むことが好ましい。
本適用例では、圧電体は、PbとZrとTiを含む。このような圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛PZT)等が挙げられ、ペロブスカイト型遷移金属酸化物において特に圧電特性が高い。よって、可撓膜を変位させた際に圧電体から出力される電圧をより高くできる。

0015

本適用例の圧電素子において、前記可撓膜は、前記圧電体に接する第一層を含み、当該第一層は、遷移金属酸化物により構成されていることが好ましい。
ここで、第一層は複数層により構成された可撓膜のうちの一層であってもよく、可撓膜が1層(遷移金属酸化物の第一層のみ)により構成されていてもよい。
本適用例では、可撓膜の圧電体に接する第一層が、遷移金属酸化物により構成されている。このような可撓膜上に圧電体を形成する場合、圧電体中に含まれるPb等の蒸気圧の高い元素拡散を抑制することができる。また、(100)配向の圧電体を形成しやすく、圧電体における圧電特性を高めることができる。

0016

本適用例の圧電素子において、前記第一層は、ZrO2により構成されていることが好ましい。
本適用例では、上記第一層が、ZrO2により構成されているため、圧電体中に含まれるPb等の蒸気圧の高い元素の拡散を抑制でき、かつ、圧電体の結晶配向を、(100)配向により揃えやすくなり、圧電体における圧電特性をより高めることができる。
さらに具体的には、ZrO2上には10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層された後に、その上に圧電体が形成されると、圧電体は(100)優先配向する。
なお、前記Ti、あるいはBiFeTiO3は、製造プロセス中の熱工程を経た後に酸化膜となり、高い絶縁性を有していることが求められる。すなわち、第一電極と第二電極の間に導電性を有する領域が存在すると、高い受信感度を得ることができない。

0017

本適用例の圧電素子において、前記第一ギャップは、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
本適用例では、第一電極と第二電極との間が2μm以上8μm以下となる。第一電極と第二電極との間の第一ギャップの寸法が2μm未満である場合、圧電体の歪み量に対する、圧電体から出力される電圧が小さくなる。この場合、例えば可撓膜の変位量を、圧電体からの出力電圧に基づいて検出する場合に、出力電圧が小さくなるので検出精度も低下する。一方、第一電極と第二電極との間の第一ギャップの寸法が8μmより大きい場合、圧電体を分極処理する際の印加電圧を高電圧にする必要がある。これに対して、本適用例では、上記範囲の第一ギャップが設けられることで、圧電体の歪み量に対する圧電体から出力される電圧を大きくでき、かつ、分極処理時における印加電圧も実用的な範囲に留めることができる。

0018

本発明の一適用例に係る圧電モジュールは、可撓膜と、前記可撓膜に接する第一面、及び前記第一面とは反対側の第二面を有する圧電体と、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられた第一電極と、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極と電気的に接続される端子部を有する配線基板と、を備えることを特徴とする。

0019

本適用例の圧電モジュールは、上述した圧電素子と、圧電素子の第一電極及び第二電極に接続される端子部を有する配線基板とを備える。このため、上記適用例と同様、圧電体の圧電特性を高くできる。特に、可撓膜の変位によって圧電体から出力される電圧を配線基板に設けられた受信回路受信処理する場合に、圧電体から高い電圧信号が出力されるため、受信精度を向上させることができる。

0020

本適用例の圧電モジュールにおいて、前記配線基板は、前記第一電極及び前記第二電極の間に10kV/cm以上の電界を印加して分極処理を行う分極回路を有することが好ましい。
本適用例では、分極回路は、第一電極及び第二電極の間に、10kV/cm以上の電界を印加させて、圧電体の分極処理を実施する。本適用例では、例えば膜状の圧電体を厚み方向に沿って一対の電極で挟み込む構成に比べ、第一電極と第二電極との距離が長くなるため、10kV/cm未満の電界では、適正な分極処理ができない。これに対して、10kV/cm以上の電界を第一電極及び第二電極間に印加することで、好適に圧電体の分極を行うことができる。

0021

本発明の一適用例に係る電子機器は、可撓膜、前記可撓膜に接する第一面、及び前記第一面とは反対側の第二面を有する圧電体、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられた第一電極、及び、前記圧電体の前記第一面及び前記第二面の間に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極を備えた圧電素子と、前記圧電素子を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。

0022

本適用例の電子機器は、上述した圧電素子と、圧電素子を制御する制御部とを備える。このため、上記適用例と同様、圧電体の圧電特性を高くできる。特に、可撓膜の変位によって圧電体から出力される電圧を検出することで、所定の処理を実施する電子機器では、圧電体から高い電圧信号が出力されるため、電圧の検出精度が高く、電子機器における処理精度も向上させることができる。

0023

本発明の一適用例に係る圧電素子の製造方法は、可撓膜上に、第一電極と、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極とを形成する電極形成工程と、前記可撓膜上に、前記第一電極の一部から前記第二電極の一部を覆う圧電体を形成する圧電体形成工程と、を含むことを特徴とする。

0024

本適用例では、圧電体を形成する前に第一電極及び第二電極が形成することになり、電極形成による圧電体の劣化を抑制でき、高い圧電特性の(圧電e定数が高い)圧電体を容易に製造できる。

0025

本発明の一適用例に係る圧電素子の製造方法は、可撓膜上に、第一圧電層を形成する第一圧電層形成工程と、前記第一圧電層上に、第一電極と、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と第一ギャップを介して対向する第二電極とを形成する電極形成工程と、前記第一圧電層上に、前記第一電極の一部から前記第二電極の一部を覆う第二圧電層を形成する第二圧電層形成工程と、を含むことを特徴とする
本適用例では、可撓膜上に圧電体を構成する第一圧電層を形成した後、第一電極及び第二電極を形成し、その後、圧電体を構成する第二圧電層を形成する。この場合、第一圧電層においては、上部に第一電極及び第二電極が形成されることで、圧電特性が劣化するものの、第二圧電層では、圧電特性の劣化が抑制される。よって、例えば可撓膜上に圧電体を形成し、その表面上に第一電極及び第二電極を形成する場合に比べ、高い圧電特性の圧電体を製造することができる。

図面の簡単な説明

0026

第一実施形態の超音波測定装置概略構成を示す斜視図。
第一実施形態の超音波測定装置の概略構成を示すブロック図。
第一実施形態における超音波センサーの概略構成を示す平面図。
第一実施形態の超音波デバイスにおける素子基板送信領域の概略構成を示す平面図。
図4におけるA−A線で切断した超音波センサーの断面図。
第一実施形態の超音波デバイスにおける素子基板の受信領域の概略構成を示す平面図。
第一実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す平面図。
図7におけるB−B線で切断した超音波センサーの概略構成を示す断面図。
第一実施形態における受信用トランスデューサーの製造方法を示すフローチャート
第一実施形態における受信用トランスデューサーの製造方法における各工程の概略を模式的に示す図。
第二実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す断面図。
第二実施形態における受信用トランスデューサーの製造方法を示すフローチャート。
第二実施形態における受信用トランスデューサーの製造方法における各工程の概略を模式的に示す図。
第二実施形態の変形例の受信用トランスデューサーの概略構成を示す断面図。
第三実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す平面図。
第三実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す断面図。
第四実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す平面図。
第四実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す断面図。
受信用トランスデューサーの一変形例の概略構成を示す平面図。
実施例4〜8、比較例2に対する受信感度の測定結果を示す図。

0027

[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態の電子機器としての超音波測定装置について、図面に基づいて説明する。
[超音波測定装置1の構成]
図1は、本実施形態の超音波測定装置1の概略構成を示す斜視図である。図2は、超音波測定装置1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の超音波測定装置1は、本発明における電子機器に相当し、図1に示すように、超音波プローブ2と、超音波プローブ2にケーブル3を介して電気的に接続された制御装置10と、を備えている。
この超音波測定装置1は、超音波プローブ2を生体(例えば人体)の表面に当接させ、超音波プローブ2から生体内に超音波送出する。また、生体内の器官にて反射された超音波を超音波プローブ2にて受信し、その受信信号に基づいて、例えば生体内の内部断層画像を取得したり、生体内の器官の状態(例えば血流等)を測定したりする。

0028

[超音波プローブ2の構成]
図3は、超音波プローブ2における超音波センサー24の概略構成を示す平面図である。
超音波プローブ2は、筐体21と、筐体21内部に設けられた超音波デバイス22と、超音波デバイス22を制御するためのドライバ回路等が設けられた配線基板23と、を備えている。なお、超音波デバイス22と、配線基板23とにより超音波センサー24が構成され、当該超音波センサー24は、本発明の圧電モジュールを構成する。

0029

[筐体21の構成]
筐体21は、図1示すように、例えば平面視矩形状の箱状に形成され、厚み方向に直交する一面(センサー面21A)には、センサー窓21Bが設けられており、超音波デバイス22の一部が露出している。また、筐体21の一部(図1に示す例では側面)には、ケーブル3の通過孔21Cが設けられ、ケーブル3は、通過孔21Cから筐体21の内部の配線基板23に接続されている。また、ケーブル3と通過孔21Cとの隙間は、例えば樹脂材等が充填されることで、防水性が確保されている。
なお、本実施形態では、ケーブル3を用いて、超音波プローブ2と制御装置10とが接続される構成例を示すが、これに限定されず、例えば超音波プローブ2と制御装置10とが無線通信により接続されていてもよく、超音波プローブ2内に制御装置10の各種構成が設けられていてもよい。

0030

[超音波デバイス22の構成]
超音波デバイス22は、図3に示すように、超音波を送信する送信アレイTRと、超音波を受信する受信アレイRRと、が形成されたアレイ領域Ar1を有する。なお、図3では、送信アレイTRと受信アレイRRとが略同一アレイ面積を有しているが、これに限定されず、例えば、受信アレイRRが送信アレイTRよりも小さいサイズに構成されていてもよい。また、送信アレイTR及び受信アレイRRの配置位置に関しても、図3の例に限られず、例えば、送信アレイTR内の一部に、受信アレイRRが設けられる構成や、送信アレイTRと受信アレイRRとが例えばX方向(スキャン方向)に沿って交互に配列される構成などとしてもよい。
送信アレイTRは、超音波を送信する複数の送信用超音波トランスデューサー51(以降、送信用トランスデューサー51と略す)がアレイ状に配置され構成される。また、受信アレイRRは、超音波を受信する複数の受信用超音波トランスデューサー52(以降、受信用トランスデューサー52と略す)がアレイ状に配置され構成される。このように構成された超音波デバイス22では、送信アレイTRから超音波を送信し、測定対象で反射された反射波を受信アレイRRで受信する。
なお、以下の説明では、後述する1次元アレイ構造を有する送信アレイTRのスキャン方向をX方向とし、スキャン方向に直交するスライス方向をY方向とする。

0031

図4は、超音波デバイス22の送信アレイTRにおける素子基板41を、封止板43とは反対側(作動面側)から見た平面図である。図5は、図4におけるA−A線で切断した超音波センサー24の断面図である。図6は、受信アレイRRの構成を模式的に示す図である。図7は、素子基板41の作動面側から見た受信用トランスデューサー52を模式的に示す平面図である。また、図8は、図7のA−A線で切断した際の断面を模式的に示す断面図である。
超音波センサー24を構成する超音波デバイス22は、図5及び図8に示すように、素子基板41と、封止板43と、音響整合層44と、音響レンズ45(図1参照)と、により構成されている。本実施形態では、図5から図8に示すように、送信アレイTR及び受信アレイRRにおいて、素子基板41、封止板43、音響整合層44、及び音響レンズ45は共通となる。
本実施形態では、素子基板41のアレイ領域Ar1は、送信領域Ar11と、受信領域Ar12とを含む。送信領域Ar11には、複数の送信用トランスデューサー51(図4,5参照)がアレイ状に配置されることで送信アレイTRが構成される。また、受信領域Ar12には、複数の受信用トランスデューサー52(図6,7,8参照)がアレイ状に配置されることで受信アレイRRが構成される。以下、これらの送信アレイTR、及び受信アレイRRについて、より詳細に説明する。

0032

(送信アレイTRの構成)
送信アレイTRは、図4に示すように、素子基板41の送信領域Ar11にアレイ状に配置された複数の送信用トランスデューサー51により構成される。
送信アレイTRでは、Y方向(スライス方向)に並ぶ複数の送信用トランスデューサー51により、1つの送信チャンネルとしての送信用トランスデューサー群51Aが構成される。また、送信アレイTRでは、複数の送信用トランスデューサー群51Aが、X方向(スキャン方向)に沿って設けられて1次元アレイを構成する。

0033

(送信用トランスデューサー51の構成)
送信用トランスデューサー51は、図5に示すように、素子基板41の一部と、素子基板41上に設けられた駆動素子413と、を含み構成される。
素子基板41は、基板本体部411と、基板本体部411に積層された支持膜412と、を備えている。また、素子基板41のアレイ領域Ar1の外側には、端子領域Ar2が設けられており、各送信用トランスデューサー51に接続された電極線が引き出されている。
基板本体部411は、例えばSi等の半導体基板である。この基板本体部411の送信領域Ar11内には、各送信用トランスデューサー51に対応した開口部411Aが設けられている。これらの開口部411Aの開口サイズは、送信アレイTRから送信する超音波の周波数に基づいたサイズとなる。
支持膜412は、基板本体部411の一方の面に設けられ、開口部411Aを閉塞する。支持膜412のうち、開口部411Aを閉塞する領域は、後述する駆動素子413の駆動により、膜厚方向に振動される振動部412Cとなり、振動部412Cが振動されることで、超音波が出力(送信)される。つまり、上述する送信用トランスデューサー51を構成する素子基板41の一部とは、開口部411Aを閉塞する支持膜412の振動部412Cであり、振動部412Cと駆動素子413により送信用トランスデューサー51が構成される。

0034

より具体的には、支持膜412は、2層により構成されており、基板本体部411の封止板43とは反対側に設けられ、開口部411Aを閉塞する支持層412Aと、支持層412Aの基板本体部411とは反対側に設けられ、駆動素子413が積層される表面層412Bとを備える。支持層412Aは、例えばSiO2等により構成されている。基板本体部411をSiにより構成し、支持層412AをSiO2により構成する場合、例えば、基板本体部411の一面側を熱酸化処理することで、容易に支持層412Aを形成することが可能となる。

0035

また、表面層412Bは、本発明における第一層を形成する層であり、遷移金属酸化物により構成されている。この表面層412Bの支持層412Aとは反対側の面は、本発明における第一面412B1となる。
この表面層412Bは、表面に駆動素子413を構成する下部電極414及び圧電膜415の一部と、図6,7,8に示すような受信素子421を構成する第一電極422、圧電膜423、及び第二電極424が積層される層である。したがって、表面層412Bとしては、これらの電極材料や圧電材料に対して高い密着性を有することが好ましい。また、詳細は後述するが、受信アレイRRでは、表面層412B上に、第一電極422及び第二電極424に挟まれる圧電膜423が積層配置される。したがって、表面層412Bとして、圧電膜423が積層された際に、圧電膜413中に含まれるPb等の蒸気圧の高い元素の拡散を阻止でき、かつ、圧電膜423の結晶配向性を(100)配向に揃えやすい膜材を用いることが好ましい。このような表面層412Bとして、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、特に、Pbの拡散を抑えやすいZrO2により構成されることがより好ましい。さらに具体的には、ZrO2上には10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層された後、その上に圧電膜423が形成されると、圧電膜423を構成する圧電体は(100)優先配向する。

0036

駆動素子413は、各開口部411Aを閉塞する支持膜412上に設けられ、下部電極414、圧電膜415、及び上部電極416を備える。
このような駆動素子413は、下部電極414及び上部電極416の間に所定周波数矩形波電圧が印加されることで、圧電膜415が、面内方向に伸縮する。圧電膜415の支持膜412側は下部電極414を介して支持膜412に接合されているので、圧電膜415の支持膜412側と、反対側とでは、伸縮量が異なり、この差によって圧電膜415が膜厚方向に変位して振動する。この圧電膜415の振動により、支持膜412の振動部412Cも振動して超音波が送出される。

0037

また、本実施形態では、図4に示すように、上記のような送信用トランスデューサー51が、素子基板41の送信領域Ar11内に、X方向及びY方向に沿って複数設けられている。
ここで、下部電極414は、Y方向に沿う直線状に形成され、Y方向に沿って並ぶ複数の送信用トランスデューサー51に跨って設けられている。下部電極414で連結されたY方向(スライス方向)に並ぶ複数の送信用トランスデューサー51により上述の送信用トランスデューサー群51Aが構成される。また、下部電極414は、端子領域Ar2まで延出する。端子領域Ar2において、下部電極414の端部に設けられた下部電極端子414Pは、配線基板23に電気的に接続されている。

0038

一方、上部電極416は、X方向に沿って並ぶ複数の送信用トランスデューサー51に跨って設けられた上部電極本体部416Aと、上部電極本体部416Aの端部同士を連結する上部電極連結部416Bとを備えている。上部電極連結部416Bの端部は、端子領域Ar2まで延出する。端子領域Ar2において、上部電極連結部416Bの端部に設けられた上部電極端子416Pは、配線基板23に電気的に接続されている。

0039

(受信アレイRRの構成)
受信アレイRRは、図6に示すように、素子基板41のアレイ領域Ar1における受信領域Ar12にアレイ状に配置された複数の受信用トランスデューサー52により構成される。本実施形態の受信アレイRRでは、複数の受信用トランスデューサー52により1つの受信チャンネルとしての受信用トランスデューサー群52Aが構成され、当該受信用トランスデューサー群52AがX方向に複数設けられている。

0040

受信用トランスデューサー群52Aは、図6に示すように、Y方向に沿って設けられた一対の電極線521,522と、これら一対の電極線521,522の間で、並列に接続された複数の受信用トランスデューサー52と、を備える。
電極線521,522は、受信領域Ar12から端子領域Ar2に亘って設けられ、端子領域Ar2の端子521P,522Pにて配線基板23に電気的に接続されている。

0041

(受信用トランスデューサー52の構成)
受信用トランスデューサー52は、本発明の圧電素子であり、素子基板41の一部と、素子基板41の支持膜412上に積層された受信素子421と、を含み構成されている。
上述したように、本実施形態では、送信アレイTRと受信アレイRRとにおいて、素子基板41は共通部材であり、基板本体部411及び支持膜412により構成されている。
基板本体部411の受信領域Ar12内には、図6,7,8に示すように、各受信用トランスデューサー52に対応した開口部411Bが設けられている。これらの開口部411Bは、受信する超音波の周波数に応じた開口サイズを有する。例えば、送信アレイTRから測定対象に超音波を送信し、測定対象にて反射された2次高調波を受信アレイRRにて受信する場合、開口部411Bの開口サイズは、送信用トランスデューサー51における開口部411Aよりも小さい開口サイズとなる。

0042

また、支持膜412は、送信用トランスデューサー51と同様、開口部411Bを閉塞する。支持膜412のうち、開口部411Bを閉塞する領域は、超音波を受信した際に変位し可撓部412Dとなり、本発明における可撓膜を構成する。可撓部412Dが変形すると、可撓部412D上に設けられた受信素子421も変形し、受信素子421から電気信号が出力される。つまり、上述した受信用トランスデューサー52を構成する素子基板41の一部とは、開口部411Bを閉塞する支持膜412の可撓部412Dであり、可撓部412Dと受信素子421により受信用トランスデューサー52が構成される。

0043

受信素子421は、第一電極422と、圧電膜423と、第二電極424とを備える。
第一電極422及び第二電極424は、図8に示すように、支持膜412の表面層412B上に設けられている。
これらの第一電極422及び第二電極424は、例えば、Ir,Pt,IrOx,TiOx,SrRuO3,LaNiO3等の導電性の電極材料により形成される。この際、支持膜412の表面層412Bが遷移金属酸化物であるZrO2により構成されていることで、電極材料を表面層412B上に好適に密着させることが可能となる。

0044

ここで、第一電極422は、電極線521に接続され、図6,7に示すようなZ方向に沿って見た平面視(以下、単に平面視とも称する)において、電極線521から開口部411Bの−X側の所定位置まで、開口部411Bの内外に亘って設けられている。また、第二電極424は、電極線522に接続され、平面視において、電極線522から開口部411Bの+X側の所定位置まで、開口部411Bの内外に亘って設けられている。
第一電極422及び第二電極424は、開口部411Bの中心点を通りY方向と平行な仮想線L(図7参照)に対して線対称な形状となる。

0045

また、第一電極422の+X側の端面である第一端面422Aは、開口部411Bの内側に位置し、Y方向に平行な平面となる。また、第二電極424の−X側の端面である第二端面424Aは、開口部411Bの内側に位置し、Y方向に平行な平面となる。すなわち、この第一端面422A及び第二端面424Aは平行となり、ギャップG1(第一ギャップ)を介して対向する。

0046

圧電膜423は、本発明の圧電体に相当し、図6,7,8に示すように、可撓部412D上で、第一電極422の第一端面422Aを含む一部から、第二電極424の第二端面424Aを含む一部を覆って設けられている。また、第一電極422及び第二電極424の間では、圧電膜423は、可撓部412Dの表面層412Bに当接する。よって、本実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間のギャップG1には、圧電膜423が介在する構成となる。また、圧電膜423の表面(支持膜412とは反対側の面)は、本発明の第二面423Aとなる。すなわち、本実施形態では、第一面412B1から第二面423Aの間に第一電極422及び第二電極424が配置される構成となる。

0047

圧電膜423としては、ペロブスカイト型遷移金属酸化物により構成されていることが好ましく、より好ましくは、PbとZrとTiとを含むペロブスカイト型遷移金属酸化物である。このような圧電膜423としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等を挙げることができる。
このようなペロブスカイト型遷移金属酸化物(特にPZT)により構成された圧電膜423は、圧電特性(圧電e定数)が特に高く、圧電膜423が変形した際に出力される電気信号が大きくなる。また、圧電膜423は、第一電極422、第二電極424、及び可撓部412Dの表面層412B上に設けられている。この場合、圧電膜423における結晶配向性を、(100)配向に容易に揃えることが可能となり、この点においても、圧電膜423の圧電特性を高めることが可能となる。さらに具体的には、第一電極422、第二電極424、及び可撓部412Dの表面層412B上には、10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層された後、その上に圧電膜423が形成されており、これにより、圧電体(圧電膜423)は(100)優先配向する。

0048

[受信用トランスデューサー52の特性]
上述の受信素子421を含む受信用トランスデューサー52では、測定対象により反射された反射超音波が可撓部412Dで受信されると、可撓部412Dが振動する。この可撓部412Dの振動により受信素子421も振動し、圧電膜423が変形する。これにより、圧電膜423内で変形(歪み)に応じて電荷が移動し、第一電極422及び第二電極424間に電位差が発生する。したがって、第一電極422及び第二電極424間の電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。

0049

ところで、一般に、圧電膜423の変形量(歪み量η)と、圧電体から出力される電圧Vとは比例する。また、第一電極422及び第二電極424の間の静電容量C、各電極422,424における電荷をQとすると、下記式(1)が成立する。

0050

[数1]
V=Q/C ・・・(1)

0051

ここで、電荷Qは、各電極422,424においてキャパシターとして機能する領域の面積S、単位面積当たりの電荷(電荷密度)qを用いて下記式(2)にて表される。また、静電容量Cは、電極422,424間の誘電率(圧電体の誘電率)ε、電極422,424間の距離dを用いて下記式(3)にて表される。さらに、圧電膜423の変位量(歪み量)をη、圧電定数(圧電e定数)をeとした場合に、電荷密度qと歪み量ηとは、下記(4)にて表される。これらの式(1)から式(4)より、以下の式(5)を導くことができる。

0052

[数2]
Q=Sq ・・・(2)
C=Sε/d ・・・(3)
q=eη ・・・(4)
V=(de/ε)×η ・・・(5)

0053

上記式(1)に示すように、可撓部412Dを変位させた際に圧電膜423から出力される電圧Vは、静電容量Cが小さく、電荷Qが大きくなる程、大きい電圧値となり、超音波受信時の受信感度を向上させることが可能となる。より具体的には、式(2)〜(5)に示すように、電極422,424間の距離dを大きく、圧電e定数を大きく、誘電率εを小さくすることで、受信感度を向上させることが可能となる。

0054

ここで、本実施形態では、第一電極422及び第二電極424の距離dは、2μm以上8μm以下となる。通常、圧電膜423は400nm程度の厚み寸法に構成されている。つまり、圧電膜423の厚み寸法が大きすぎると、可撓部412Dの振動を阻害することになり、良好な受信感度が得られない。また、厚み寸法を小さくしすぎると、例えばPZTであればPbの抜けの影響が大きくなる等により、圧電膜423の圧電特性が劣化してしまう。以上から、圧電膜423としては、圧電特性の劣化が生じない程度に十分に薄く形成されていることが好ましく、400nm程度の厚み寸法とされることが好ましい。
このような圧電膜423に対して、例えば、膜厚方向から一対の電極で挟み込む構成とすると、距離dが圧電膜423の膜厚となって、非常に小さい値となり、圧電膜423の歪み量ηに対する出力電圧Vが小さくなってしまう。すなわち、電極間の距離dが2μm未満となる構成では、圧電膜423から十分な出力電圧Vが得られないため、受信用トランスデューサー52の受信感度が低下する。
これに対して、本実施形態では、上記のように、支持膜412上に第一電極422及び第二電極424を配置する構成となるため、電極422,424間の距離を大きくでき、2μm以上8μm以下とすることが可能となる。これにより、従来のように圧電膜423を膜厚方向から一対の電極で挟み込む構成に比べて、受信素子421(圧電膜423)から出力される電圧Vを大きくできる。
なお、電極422,424間の距離dを8μm以下とすることで、後述する分極回路235による分極処理の効率性を向上させることが可能となる。つまり、電極422,424間の距離dが8μmを超えると、圧電膜423の分極処理を行う際に、電極422,424間に印加する分極電圧を高める必要が生じる。この場合、分極回路235に組み込まれる電源構成として、高価格な電源を用いる必要があり、装置コストが増大してしまう。これに対し、距離dを8μm以下とすることで、分極処理時の分極電圧を小さくでき、すなわち、分極回路235に組み込む電源として低コストの電源を用いればよいので、装置コストの低減を図れる。

0055

また、本実施形態の圧電膜423は、圧電特性(圧電e定数)が高いため、この点でも圧電膜423が変形した際の出力電圧Vを大きくでき、受信用トランスデューサー52の受信感度を向上できる。
つまり、本実施形態では、圧電膜423は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物のPZTにより構成されているため、圧電特性を高くできる。また、電極422,424上、または、遷移金属酸化物(ZrO2)により構成された表面層412B上に10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層された後、その上に圧電膜423が形成されているので、圧電膜423の結晶配向性を好適に(100)配向に揃えることができる。この点からも、圧電膜423の圧電特性をより高めることが可能となる。

0056

さらに、本実施形態では、圧電膜423により第一電極422及び第二電極424が、覆われる構成となる。このような受信素子421は、支持膜412上に第一電極422及び第二電極424を形成した後、圧電膜423を形成することになるため、圧電膜423の劣化を抑制することが可能となる。
例えば、仮に圧電膜423の第二面423A上に各電極422,424を形成する構成とした場合、圧電膜423を形成した後、電極材料をスパッタリング等により形成し、その後、エッチング処理(例えばイオンミリング等)により電極材料をパターニングする必要がある。この場合、電極材料のスパッタリング時に圧電膜423にダメージ入り、さらに、電極材料のパターニング時(エッチング処理時)においても圧電膜423にダメージが入り、例えば結晶中に欠陥が生じて圧電e定数が数十%程度低下してしまう。これに対して、本実施形態では、上記のように、電極422,424を覆うように圧電膜423が設けられる構成であり、製造プロセスにおいても、まず電極422,424を形成した後、圧電膜423を形成する。よって、圧電膜423に対して電極422,424の形成時のダメージは全く入らず、圧電膜423の圧電e定数の低下(圧電特性の劣化)を抑制できる。
この点においても、本実施形態の圧電膜423は、高い圧電特性(圧電e定数)を有し、圧電膜423の歪み量ηに対する出力電圧Vをより大きくできる。

0057

[封止板43、音響整合層44、音響レンズ45の構成]
封止板43は、素子基板41の強度を補強するために設けられ、例えば42アロイ等の金属板や、半導体基板等により構成され、素子基板41に接合されている。封止板43の材質や厚みは、送信用トランスデューサー51及び受信用トランスデューサー52の周波数特性に影響を及ぼすため、送受信する超音波の中心周波数に基づいて設定することが好ましい。

0058

音響整合層44は、図5及び図8に示すように、素子基板41の封止板43とは反対側の面に設けられている。具体的には、音響整合層44は、素子基板41と音響レンズ45との間に充填され、かつ、基板本体部411の表面から所定の厚み寸法で形成される。
音響レンズ45は、音響整合層44上に設けられ、図1に示すように、筐体21のセンサー窓21Bから外部に露出する。
これらの音響整合層44や音響レンズ45は、送信用トランスデューサー51から送信された超音波を測定対象である生体に効率よく伝搬させ、また、生体内で反射した超音波を効率よく受信用トランスデューサー52に伝搬させる。このため、音響整合層44及び音響レンズ45は、素子基板41の各トランスデューサー51,52の音響インピーダンスと、生体の音響インピーダンスとの中間の音響インピーダンスに設定されている。

0059

[配線基板23の構成]
配線基板23は、超音波デバイス22が接合され、各トランスデューサー51,52を制御するためのドライバ回路等が設けられる。この配線基板23は、図2に示すように、端子部231、選択回路232、送信回路233、受信回路234、分極回路235及びコネクタ部236(図3参照)を備えている。
端子部231は、配線基板23に超音波デバイス22が接合された際に、素子基板41の端子領域Ar2に引き出された各電極線(下部電極414、上部電極416、電極線521,522)が例えばFPC25を介して電気的に接続される。各電極線と端子部231とは、FPC(Flexible PrintedCircuits)25(図3参照)により接続される。

0060

なお、本実施形態では、各送信用トランスデューサー51の共通電極である上部電極416が接続された端子部231は、例えばグラウンド回路等に接続され、上部電極416が、所定の共通電位(例えば0電位)に設定される。
また、本実施形態では、受信用トランスデューサー52に接続される電極線521,522のうちの一方、例えば、電極線522が接続された端子部231は、例えばグランド回路等に接続され、共通電位(例えば0電位)に設定される。

0061

選択回路232は、制御装置10の制御に基づいて、超音波センサー24と送信回路233とを接続する送信接続、及び超音波センサー24と受信回路234とを接続する受信接続切り替える。
送信回路233は、制御装置10の制御により送信接続に切り替えられた際に、選択回路232を介して超音波センサー24に超音波を発信させる旨の送信信号を出力する。
受信回路234は、制御装置10の制御により受信接続に切り替えられた際に、選択回路232を介して超音波センサー24から入力された受信信号を制御装置10に出力する。受信回路234は、例えば低雑音増幅回路電圧制御アッテネータープログラマブルゲインアンプローパスフィルター、A/Dコンバーター等を含んで構成されており、受信信号のデジタル信号への変換、ノイズ成分の除去、所望信号ベルへの増幅等の各信号処理を実施した後、処理後の受信信号を制御装置10に出力する。

0062

分極回路235は、下部電極端子414P及び上部電極端子416Pの間に、第一分極電圧を印加して、駆動素子413の圧電膜415の分極処理を行う。
また、分極回路235は、端子521P及び端子522Pの間に、第二分極電圧を印加して、受信素子421の圧電膜423の分極処理を行う。
ここで、本実施形態では、受信用トランスデューサー52の第一電極422及び第二電極424の間のギャップG1の寸法が大きく、圧電膜423の圧電特性を十分に高めるためには、第一分極電圧よりも大きい第二分極電圧が必要となる。この第二分極電圧は、各受信用トランスデューサー52の第一電極422及び第二電極424の間に、10kV/cm以上の電界が加わるように設定されている。
なお、本実施形態では、電極422,424間の距離dは、d=6μmであり、第二分極電圧として30Vが印加される。したがって、各受信用トランスデューサー52の圧電膜423に500kV/cmの電界が印加されることになる。

0063

コネクタ部236は、送信回路233、受信回路234に接続されている。また、コネクタ部236にはケーブル3が接続されており、上述したように、このケーブル3は、筐体21の通過孔21Cから引き出されて制御装置10に接続されている。

0064

[制御装置10の構成]
制御装置10は、図2に示すように、例えば、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、演算部14と、を備えて構成されている。この制御装置10は、例えば、タブレット端末スマートフォンパーソナルコンピューター等の端末装置を用いてもよく、超音波プローブ2を操作するための専用端末装置であってもよい。
操作部11は、ユーザーが超音波測定装置1を操作するためのUI(user interface)であり、例えば表示部12上に設けられたタッチパネルや、操作ボタンキーボードマウス等により構成することができる。
表示部12は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、画像を表示させる。
記憶部13は、超音波測定装置1を制御するための各種プログラムや各種データを記憶する。
演算部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算回路や、メモリー等の記憶回路により構成されている。そして、演算部14は、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、送信回路233に対して送信信号の生成及び出力処理の制御を行い、受信回路234に対して受信信号の周波数設定ゲイン設定などの制御を行う。

0065

また、演算部14は、分極回路235を制御して、送信用トランスデューサー51の圧電膜415と、受信用トランスデューサー52の圧電膜423の分極処理を実施する。分極処理を実施するタイミングとしては、工場出荷時の他、例えば、超音波測定を実施する毎であってもよく、所定時間毎(例えば1時間等)であってもよい。

0066

[受信用トランスデューサー52の製造方法]
次に、受信用トランスデューサー52の製造方法を説明する。
図9は、本実施形態の受信用トランスデューサー52の製造方法を示すフローチャートである。図10(A)〜図10(E)は、受信用トランスデューサー52の製造方法における各工程を模式的に示す図である。
受信用トランスデューサー52の製造では、まず、Siにより構成された基板本体部411の一面に対して、熱酸化処理を実施する(図9のステップS1:基板熱酸化工程)。このステップS1により、図10(A)に示すように、基板本体部411の表面のSiが酸化処理されてSiO2となり、支持膜412の支持層412Aが形成される。

0067

次に、図10(B)に示すように、支持層412A上に表面層412Bを形成して、支持膜412を形成する(図9のステップS2:支持膜形成工程)。具体的には、ステップS1にて形成された支持層412A上に、例えばスパッタリング等によってZr層を形成し、当該Zr層に熱酸化処理を施すことで、ZrO2により構成された表面層412Bを形成する。

0068

そして、図10(C)に示すように、支持膜412上に第一電極422及び第二電極424を形成する(図9のステップS3:電極形成工程)。第一電極422及び第二電極424は、例えば、スパッタリングにより電極材料を形成し、電極材料をエッチング処理等によりパターニングすることで形成される。電極材料としては、上述したように、例えばIr,Pt,IrOx,TiOx,SrRuO3,LaNiO3等を用いることができ、本実施形態ではPtを用いる。
さらに具体的には、第一電極422、第二電極424、及び可撓部412Dの表面層412B上には、10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層される。この場合、後述の圧電体形成工程で圧電膜423を形成する際に、圧電膜423を構成する圧電体が(100)優先配向する。

0069

次に、図10(D)に示すように、圧電膜423を形成する(図9のステップS4:圧電膜形成工程(圧電体形成工程))。
このステップS4では、例えば溶液法によりPZTを形成する。ここで、PZTにおける各成分の組成比としては、Zr:Ti=52:48とすることが好ましい。このような組成とすることで、圧電膜423の圧電特性の更なる向上を図れる。溶液法を用いたPZTの形成では、表面層412B、第一電極422、及び第二電極424上にPZT溶液を塗布する(塗布工程)。この後、塗布されたPZT溶液を焼成する(焼成工程)。焼成工程では、例えばプレベーク400℃、RTA焼成700℃の条件にて実施する。
この際、上述したように、Ptにより構成された電極422,424や、ZrO2により構成された表面層412B上にPZTが形成されることで、PZTの結晶配向性を(100)配向に揃えやすくなる。
なお、塗布工程及び焼成工程は、複数回繰り返して実施され、これにより、所望厚み寸法の圧電膜が形成される。
この後、形成された圧電膜を、エッチング処理(イオンミリング)によりパターニングし、図10(D)に示すような圧電膜423を形成する。

0070

この後、基板本体部411の支持膜412とは反対側の面に対してエッチング処理を行い、図10(E)に示すように、基板本体部411に開口部411Bを形成する(図9のステップS5:開口部形成工程)。このステップS5では、支持膜412のSiO2により構成された支持層412Aをエッチングストッパとして、Siにより構成された基板本体部411をエッチングする。
以上により、受信用トランスデューサー52が形成される。

0071

[第一実施形態の作用効果
本実施形態の超音波測定装置1は、超音波プローブ2を備え、当該超音波プローブ2には、配線基板23と超音波デバイス22とにより構成された超音波センサー24が設けられている。また、超音波デバイス22は、超音波を受信する受信用トランスデューサー52が複数設けられた受信アレイRRを備えている。そして、受信用トランスデューサー52は、可撓部412Dと、可撓部412D上に設けられた第一電極422と、可撓部412Dに設けられ、平面視においてギャップG1を介して第一電極422に対向する第二電極424と、第一電極422の第一端面422Aを含む一部及び第二電極424の第二端面424Aを含む一部を覆う圧電膜423と、を備える。

0072

このような受信用トランスデューサー52は、圧電膜423の形成前に第一電極422及び第二電極424を形成し、その後、圧電膜423を形成することで構成される。したがって、電極形成時における圧電膜423の圧電特性の劣化が生じず、例えば圧電膜423の第二面423A上に電極422,424を設けられる構成に比べて、圧電特性を高くできる。このため、各受信用トランスデューサー52における受信感度を高めることができ、送信アレイTRから超音波を送信し、測定対象にて反射された反射超音波を受信アレイRRにて受信する際に、超音波の受信タイミングや反射超音波の強度を精度よく検出することができる。

0073

また、第一電極422及び第二電極424の間に圧電膜423が介在する構成となるため、圧電膜423の絶縁破壊を抑制することができる。
一般に、電極422,424と圧電膜423とを接触させてなる受信素子421では、電極422,424と圧電膜423との間に、ナノスケールの空隙又はトンネル構造が存在する。ここで、例えば、圧電膜423の第二面423A上に第一電極422及び第二電極424を設ける構成とした場合、分極処理時において、大気中からのH2O分子が、空隙やトンネル構造を通って電極422,424と圧電膜423との境界面内に拡散する。
この場合、プラスマイナス振れ印加パルス電圧の影響を受けて、H2O分子は、前記境界面で電気分解を起こす。その結果、生成されたH基やOH基が圧電膜423に存在するナノスケールの亀裂表面に付着して、圧電膜423の亀裂を進行させ、絶縁破壊を発生させる。圧電膜423を構成するペロブスカイト型遷移金属酸化物をABO3で表すとき、H基はAサイト吸着し、OH基はBサイトに吸着して安定化し、亀裂進行が促進される。
これに対して、本実施形態では、第一電極422と第二電極424との間には、圧電膜423が介在する構成となり、大気中のH2O分子が境界面に入らない。このため、上記のような絶縁破壊の発生を抑制することができ、長期に亘って高い受信感度を維持することができ、受信用トランスデューサー52の信頼性を高めることができる。

0074

さらに、本実施形態では、第一電極422及び第二電極424は、2μm以上8μm以下の間隔を開けて離間する。このような構成では、圧電膜423の分極処理において、送信用トランスデューサー51のような圧電膜415を下部電極414と上部電極416とで膜厚方向から挟む構成に比べて、高い分極電圧が必要となる。よって、例えば、圧電膜423の第二面423Aに、第一電極422及び第二電極424を設ける構成とした場合、第一電極422及び第二電極424の間の空気中で放電が起こり、圧電膜423の分極処理が十分に行えない場合がある。これに対して、本実施形態では、上述のように、第一電極422及び第二電極424の間は、空気層が介在せず、圧電膜423が介在する。よって、上記のような放電が発生せず、分極処理において、圧電膜423の分極処理を適切に実施することができる。

0075

本実施形態の受信用トランスデューサー52では、第一電極422及び第二電極424は、可撓部412D上に設けられている。つまり、第一電極422及び第二電極424は、表面層412Bの表面である第一面412B1と圧電膜423との間に設けられている。
この場合、可撓部412D上に第一電極422及び第二電極424を形成した後に、圧電膜423を形成することができるため、電極形成時において、圧電膜423が形成されておらず、電極形成時における圧電膜423の劣化がない。よって、圧電膜423の劣化が抑制され、圧電特性をより高めることができる。

0076

本実施形態では、第一電極422の第一端面422Aと、第二電極424の第二端面424Aとが平行となる。
一般に、互いに対向する電極間に電位差がある場合、各電極の距離が最短となる位置に電荷が移動する。本実施形態では、圧電膜423が変形した際に、第一端面422A及び第二端面424Aの対向する後半範囲に電荷が保持されることになり、電圧の検出精度を向上できる(受信感度を向上できる)。

0077

本実施形態では、圧電膜423は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物であるPZTにより構成されている。ペロブスカイト型遷移金属酸化物は圧電材料において圧電特性が高く、PZTは、その中でも特に圧電特性が高い(圧電e定数が高い)。このため、式(5)に示すように、可撓部412Dを変位させた際に圧電膜423から出力される電圧Vを大きくでき、受信用トランスデューサー52における受信感度を向上できる。

0078

本実施形態では、可撓部412Dを構成する支持膜412は、圧電膜423に接する表面層412Bを含み、この表面層412Bは、遷移金属酸化物であるZrO2により構成されている。遷移金属酸化物(特にZrO2)は、その表面にPZT等の圧電膜423を形成する際に、圧電膜423の結晶配向性を(100)配向に揃えやすい。よって、このような表面層412Bを設けることで、圧電膜423の圧電特性をより高めることができ、受信用トランスデューサー52における受信感度をさらに高めることができる。

0079

本実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間のギャップG1は、2μm以上8μm以下の距離dとされている。ここで、ギャップG1の距離が2μm未満である場合、圧電膜423の歪み量ηに対する出力電圧Vが小さくなり、受信感度が低下する。また、ギャップG1の距離が8μmより大きい場合、分極処理時において、第二分極電圧としてより大電圧を印加する必要が生じる。よって、分極回路235に用いられる電源構成が高価なものになり、装置コストが増大する。これに対して、上記のようなギャップG1を用いることで、圧電膜423の歪み量ηに対する出力電圧Vを十分に大きくでき、かつ、分極処理時における第二分極電圧も実用的な範囲に留めることができる。

0080

本実施形態の配線基板23は、受信用トランスデューサー52の第一電極422及び第二電極424の間に第二分極電圧を印加する分極回路235を備え、当該分極回路235は、第二分極電圧として、各受信用トランスデューサー52の第一電極422及び第二電極424の間で、10kV/cm以上の電界を印加する。
上述したように、本実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間のギャップG1は、2μm以上8μm以下の距離で離間する。よって、第二分極電圧を10kV/cm未満の電界とすると、圧電膜423の適正な分極処理ができない。これに対して、10kV/cm以上の電界を第一電極及び第二電極間に印加することで、好適に圧電体の分極を行うことができる。

0081

[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、支持膜412の第一面412B1上に第一電極422及び第二電極424を形成する例を示した。これに対して、第二実施形態では、第一電極422及び第二電極424の形成位置が相違する。

0082

図11は、第二実施形態における受信用トランスデューサーの概略構成を示す断面図である。なお、以降の説明にあたり、第一実施形態と同様の構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
本実施形態の受信用トランスデューサー53では、図11に示すように、第一電極422B及び第二電極424Bは、圧電膜425内に埋め込まれる構成となる。
具体的には、圧電膜425は、可撓部412D上に積層される第一圧電層425Aと、第一圧電層425A上に積層される第二圧電層425Bとにより構成される。

0083

そして、第一電極422B及び第二電極424Bは、可撓部412Dにおける第一面412B1と、圧電膜425の可撓部412Dとは反対側の面である第二面425B1との間に設けられる。すなわち、第一電極422B及び第二電極424Bは、第一圧電層425Aと第二圧電層425Bとの間で、第一圧電層425Aの第二圧電層425B側の面(第三面425A1)に形成されている。
また、第一電極422Bと第二電極424Bとの間のギャップG1には、第二圧電層425Bが介在することになり、上記第一実施形態と同様、空気層が介在しない。

0084

[受信用トランスデューサー53の製造方法]
次に、上記のような受信用トランスデューサー53の製造方法について説明する。
図12は、受信用トランスデューサー53の製造方法を示すフローチャートである。図13(A)〜図13(E)は、受信用トランスデューサー52の製造方法における各工程を模式的に示す図である。
本実施形態の受信用トランスデューサー53の製造では、図12に示すように、第一実施形態と同様のステップS1及びステップS2を実施し、図13(A)に示すような素子基板41を形成する。

0085

この後、本実施形態では、第一圧電層425Aを形成する(ステップS11:第一圧電層形成工程)。このステップS11では、表面層412Bの第一面412B1上に、第一圧電層425Aを形成する。この際、表面層412Bは、遷移金属酸化物であるZrO2により構成されているため、第一実施形態の圧電膜423と同様、第一圧電層425Aの結晶配向性を(100)配向に揃えることが可能となる。さらに具体的には、ZrO2からなる可撓部412Dの表面層412B上には、10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層され、その上に第一圧電膜425Aが形成される。これにより、第一圧電膜425Aを構成する圧電体は(100)優先配向する。
第一圧電層425Aの形成は、第一実施形態における圧電膜423の形成と同様であり、例えばPZT溶液の塗布工程と、焼成工程とを繰り返し行うことで、複数層からなるPZTの積層体を形成する。この後、PZTの積層体をエッチング処理(イオンミリング)して、アイランドを形成し、図13(B)に示すような第一圧電層425Aを形成する。

0086

この後、第一電極422B及び第二電極424Bを形成する(ステップS12:電極形成工程)。このステップS12では、第一圧電層425Aの表面の第三面425A1から支持膜412に亘る領域に電極材料を成膜し、エッチング処理によりパターニングし、図13(C)に示すような第一電極422B及び第二電極424Bを形成する。さらに具体的には、第一電極422A、第二電極424B、第一圧電体425Aの上側表面には、10nm以下のTi、あるいは100nm以下のBiFeTiO3が積層される。この場合、後述のステップS13の第二圧電層形成工程において形成される第二圧電層425Bを構成する圧電体が(100)優先配向する。

0087

次に、第二圧電層425Bを形成する(ステップS13:第二圧電層形成工程)。ステップS13では、第一電極422Bの一部、第二電極424Bの一部、及び第一圧電層425Aを覆う第二圧電層425Bを形成する。
このステップS13では、ステップS11と同様の溶液法により、例えばPZT溶液の塗布工程と、焼成工程とを繰り返し行うことで、複数層からなるPZTの積層体を形成する。この後、PZTの積層体をエッチング処理(イオンミリング)して、アイランドを形成し、図13(D)に示すような第一圧電層425Aを形成する。
この後、第一実施形態のステップS5と同様、素子基板41に開口部411Bを形成して、可撓部412Dを形成する。以上により、受信用トランスデューサー53が製造される。

0088

ところで、本実施形態では、ステップS12において、第一圧電層425Aの上面に第一電極422B及び第二電極424Bを形成する。このため、ステップS12で、第一圧電層425Aが劣化し、圧電特性も劣化してしまう。しかしながら、ステップS13で形成される第二圧電層425Bは、電極形成工程の後に形成されるため第二圧電層425Bの圧電特性の劣化は抑制される。このため、例えば、一対の電極を圧電膜425の第二面425B1上に設ける場合に比べて、圧電特性の劣化が抑制される。

0089

また、PZT溶液を用いて複数回の塗布工程及び焼成工程を繰り返し実施すると、PZT内のPbが拡散されることにより、圧電膜425の下層側(可撓部412D側)のPb濃度が、上層側(第二面425B1側)のPb濃度よりも若干低くなる。Pb濃度が低くなると、圧電膜425の圧電特性が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、第二圧電層425Bの形成時において、第一電極422B及び第二電極424Bが第三面425A1に形成されている。このため、第二圧電層425Bの形成時における、第二圧電層425BのPbの第一圧電層425Aへの拡散が抑制される。このため、圧電膜425におけるPb濃度分布が、例えば第一実施形態の圧電膜423よりも均一となり、この点で、圧電膜425の圧電特性の向上を図ることができる。

0090

[第二実施形態の作用効果]
本実施形態の受信用トランスデューサー53では、第一電極422B及び第二電極424Bは、圧電膜425の内部に埋め込まれている。
この場合、第一圧電層425Aを形成した後、第三面425A1に第一電極422B及び第二電極424Bを形成するため、第一圧電層425Aが劣化するが、第二圧電層425Bは、電極形成工程の後に形成されるため、第二圧電層425Bの劣化は抑制される。
また、第二圧電層形成工程では、新たに形成される第二圧電層425Bから第一圧電層425Aに原子拡散が生じる。よって、電極形成工程において第一圧電層425Aに生じた結晶欠陥修復されることになる。
このため、例えば圧電膜425の第三面425A1上に電極を形成する場合に比べて、圧電膜425の圧電特性を高めることができる。

0091

さらに、第一電極422B及び第二電極424Bが、第一圧電層425Aの表面(第三面425A1)に形成されているので、第二圧電層425Bを形成する際に、第二圧電層425BのPbが第一圧電層425A側に拡散されるのが抑制される。このため、第二圧電層425Bの圧電特性の劣化がさらに抑制されることになる。
すなわち、可撓部412Dが変位した際、圧電膜425の第二圧電層425Bの歪み量は、第一圧電層425Aの歪み量よりも大きくなる。よって、第一圧電層425Aと第二圧電層425Bとを比べた場合に、第二圧電層425Bの圧電特性(圧電e定数)が高い方が好ましい。本実施形態では、上記したように、第一圧電層425Aよりも、第二圧電層425Bの圧電特性の劣化が抑制される構成となり、これにより、受信用トランスデューサー53の受信感度の向上を図ることが可能となる。

0092

さらには、本実施形態では、第一電極422B及び第二電極424Bが、同一平面(第三面425A1上)に設けられる。この場合、第一電極422B及び第二電極424Bを同時に形成することができるので、製造効率性を向上させることが可能となる。

0093

[第二実施形態の変形例]
なお、上記第二実施形態では、第二圧電層425Bが、第三面425A1上の第一電極422B及び第二電極424Bを覆う構成を例示したがこれに限定されない。
図14は、第二実施形態の変形例における受信用トランスデューサー53Aの概略構成を示す断面図である。
図14に示すように、第二圧電層425Bは、第一電極422B及び第二電極424Bの、第一圧電層425A上に乗り上げ領域全体を覆うように形成されてもよい。
第一圧電層425Aの端部は、図14に示すように、テーパ上となり、例えばスパッタリングやスピンコート等により電極材料を成膜する場合、このテーパ部分に対する電極厚み寸法が薄くなる。これに対して、本変形例のような第二圧電層425Bを形成することで、第一圧電層425Aのテーパ部に形成される厚み寸法が電極部分を覆って保護することができ、第一電極422Bや第二電極424Bの断線を予防することができる。

0094

[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、受信用トランスデューサー52は、第一電極422及び第二電極424が対向して配置されていた。これに対して、第三実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間に、中間電極が配置される点で相違する。

0095

図15は、素子基板41の作動面側から見た受信用トランスデューサー54を模式的に示す平面図である。また、図16は、図15のB−B線で切断した際の断面を模式的に示す断面図である。
本実施形態の受信用トランスデューサー54は、図15及び図16に示すように、受信素子421Aは、第一電極422と、第二電極424と、圧電膜423と、中間電極426と、を備える。

0096

中間電極426は、平面視において、Y方向に沿って開口部411Bの内外に亘って支持膜412上に設けられる。この中間電極426は、平面視において圧電膜423と重なる中間電極本体部426Aと、中間電極本体部426Aの±Y側の端部からY方向に沿って延出する中間引出部426Bと、を有する。

0097

中間電極本体部426Aは、平面視において、第一電極422と第二電極424との間で、かつ、各電極422,424から等距離となる位置に配置されている。中間電極426の−X側端面426C1は、第一電極422の第一端面422Aと対向し、ギャップG2(第二ギャップ)を介して離間している。また、中間電極426の+X側端面426C2は、第二電極424の第二端面424Aと対向し、ギャップG3(第二ギャップ)を介して離間している。これらのギャップG2及びギャップG3のギャップ寸法(電極間の離間距離)は同一となる。

0098

なお、中間電極426は、Y方向に沿って、受信領域Ar12から端子領域Ar2に亘って設けられる。すなわち、中間電極426は、Y方向に沿って設けられた複数の受信用トランスデューサー53において共通の電極となる。

0099

このように構成された受信用トランスデューサー54では、第一電極422及び第二電極424は、それぞれ電極線521及び電極線522を介して、配線基板23の受信回路234に含まれる共通電位回路に接続され、共通電位(例えば0電位)に設定されている。すなわち、第一電極422及び第二電極424は、共通電極(COM電極)として機能する。
一方、中間電極426は、端子領域Ar2において配線基板23の受信回路234に接続されている。これにより、中間電極426と第一電極422との間の電位差、及び中間電極426と第二電極424との間の電位差に応じた信号が、配線基板23の受信回路234において検出される。すなわち、中間電極426は、上記電位差に応じた信号を出力する信号電極(SIG電極)として機能する。
なお、本実施形態では、中間電極426をSIG電極とし、第一電極422及び第二電極424をCOM電極とする例を示したが、これに限定されず、例えば、中間電極426をCOM電極とし、第一電極422及び第二電極424をSIG電極として機能させてもよい。この場合、第一電極422及び第二電極424から出力された電圧信号を加算して、超音波の受信信号として検出する。

0100

[第三実施形態の作用効果]
本実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間に中間電極426が配置され、第一電極422及び中間電極426の間と、第二電極424及び中間電極426の間とに静電容量が形成される。このような構成では、互いに対向する各電極間の対向面の面積を増大させることができ、受信用トランスデューサー52における合成静電容量を増大させることができる。
ここで、受信用トランスデューサー52が有する合成静電容量をC0とし、外部回路(例えば配線基板23の受信回路234までの回路等)における浮遊容量をC1とすると、受信回路234において検出される出力電圧Vは、以下式(6)により示される。

0101

[数3]
V=Q/(C0+C1)
=(Q/C0)×{C0/(C0+C1)} ・・・(6)

0102

式(6)に示されるように、受信回路234にて検出される出力電圧Vは、本来検出したい値(Q/C0)とはならず、浮遊容量C1に基づいた誤差成分が含まれる。
これに対して、本実施形態では、上述のように、受信用トランスデューサー52が有する合成静電容量C0を大きくできるため、式(6)におけるC0/(C0+C1)の値を「1」に近付けることが可能となる。このため、外部回路の浮遊容量C1の影響を抑制でき、受信信号における電圧の低下を回避することができる。

0103

また、第一電極422及び中間電極426のギャップG2と、第二電極424及び中間電極426のギャップG3とが、同一寸法となる。すなわち、静電容量を形成する各電極対において電極間の距離が等しくなるように構成されている。このため、電極間の距離が最小となる電極対に電荷が集中することを抑制できる。したがって、各電極対をキャパシターとして機能させることができ、静電容量をより確実に増大させることができる。

0104

[第四実施形態]
次に、本発明に係る第四実施形態について説明する。
上記第三実施形態では、第一電極422と、第二電極424との間に一つの中間電極426が配置されていた。これに対して、第四実施形態では、複数の中間電極が第一電極及び第二電極との間に配置される点で、上記第三実施形態と相違する。

0105

図17は、素子基板41の作動面側から見た受信用トランスデューサー55を模式的に示す平面図である。また、図18は、図17のC−C線で切断した際の断面を模式的に示す断面図である。
本実施形態の受信用トランスデューサー55の受信素子421Bは、図17に示すように、第一電極422及び第二電極424と、圧電膜423との他に、第一中間電極427と、第二中間電極428と、を備える。

0106

第一中間電極427は、本発明の中間電極であり、平面視において、Y方向に沿って開口部411Bの内外に亘って支持膜412上に設けられる。第一中間電極427は、第三実施形態の受信用トランスデューサー54が備える中間電極426と同様に構成され、第一中間電極本体部427Aと、第一中間引出部427Bと、を有する。この第一中間電極427は、−X側の端面427C1が、第一電極422の第一端面422Aと、ギャップG4(第二ギャップ)を介して離間して対向するように配置されている。

0107

第二中間電極428は、本発明の中間電極に相当し、第一中間電極427と略同様に構成され、第一電極422、第二電極424、及び第一中間電極427と同一平面上に配置されている。この第二中間電極428は、平面視において、−X側の端面428C1が、第一中間電極427の+X側の端面427C2と、ギャップG5(第二ギャップ)を介して離間している。また、第二中間電極428は、+X側の端面428C2が、第二電極424の第二端面424Aと、ギャップG6(第二ギャップ)を介して離間している。
そして、これらのギャップG4、ギャップG5、及びギャップG6のギャップ寸法(電極間の離間距離)は、同一寸法となる。

0108

このように構成された受信用トランスデューサー55は、Y方向に沿い、圧電膜423の平面視における中心位置を通り、Y方向に沿う仮想線Lに対して線対称となるように構成される。すなわち、第一電極422と、第一中間電極427と、第二中間電極428と、第二電極424とが、平面視において等間隔に配置される。また、第一中間電極427と第二中間電極428とは、平面視において、仮想線Lを挟み、圧電膜423の中心を挟む位置に配置される。つまり、可撓部412Dが振動した際の振幅が最大となる位置であり、圧電膜423の歪み量が最大となる位置に、電極が形成されていない。したがって、本実施形態では、圧電膜423の最も歪みが大きい位置において発生する電位差を第一中間電極427及び第二中間電極428により検出することが可能となる。

0109

本実施形態では、第一電極422及び第二中間電極428はCOM電極として機能し、共通電位(例えば0電位)に設定されている。一方、第二電極424及び第一中間電極427はSIG電極として機能し、配線基板23の受信回路234に電極間の電位差に応じた信号を出力する。

0110

[第四実施形態の作用効果]
本実施形態では、第三実施形態と同様の作用効果に加えて、更に、以下の作用効果を奏する。
すなわち、本実施形態では、圧電膜423の中心位置と重ならない位置に、中間電極427,428が設けられている。すなわち、圧電膜423の歪みが最大となる位置に電極が配置されておらず、圧電膜423からの出力電圧Vを大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。

0111

[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
上記各実施形態では、第一電極422(422B)及び第二電極424(424B)が同一平面内に設けられる構成としたが、これに限定されない。
例えば、第一電極422が、可撓部412D上に設けられ、第二電極424が圧電膜423内に埋め込まれている構成などとしてもよい。

0112

また、第三実施形態及び第四実施形態では、第一実施形態の受信用トランスデューサー52に対して、中間電極426,427,428を可撓部412D上に設ける構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第二実施形態の受信用トランスデューサー53に対して中間電極426,427,428を設ける構成としてもよい。この場合では、第一圧電層425Aの第二圧電層425B側の面(第三面425A1)に、中間電極426,427,428を設けることが好ましい。この場合、第一電極422B、第二電極424B、及び中間電極426,427,428を同時に形成することが可能となるため、圧電膜425の劣化を抑制できる。
なお、上記変形例のように、中間電極426,427,428を第一電極422(422B)や第二電極424(424B)と異なる平面に形成してもよい。

0113

上記実施形態では、第一電極422(422B)の第一端面422Aと、第二電極424(424B)の第二端面424Aとが平行となる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第一端面422A及び第二端面424Aの一部のみが平行となる構成などとしてもよい。

0114

第三実施形態では、第一電極422及び第二電極424の間に1つの中間電極426が設けられる構成を例示し、第四実施形態において、第一電極422及び第二電極424の間に2つの中間電極427,428が設けられる例を示したが、さらに、3つ以上の中間電極が設けられる構成としてもよい。
ただし、この場合、圧電膜423(425)を分極処理する際の第二分極電圧も増大する。したがって、中間電極の数としては、第三実施形態や第四実施形態のように、1〜2個とすることが好ましい。

0115

上記各実施形態では、圧電膜423,425として、ペロブスカイト型遷移金属酸化物であるPZTを例示したが、これに限定されない。
圧電膜423,425を構成するペロブスカイト型遷移金属酸化物として、PZTの他、例えばBiBaFeTiO3,KNaNbO3,BST(チタン酸バリウムストロンチウム:(BaxSr1−x)TiO3),SBTタンタル酸ビスマスストロンチウム:SrBi2Ta2O9)等を用いてもよい。

0116

また、支持膜412が支持層412Aと表面層412Bとの2層により構成される例を示したが、これに限定されない。例えば、支持膜412が、遷移金属酸化物(ZrO2)である表面層412Bのみにより構成されていてもよく、3層以上の積層体により構成される構成としてもよい。

0117

さらに、表面層412Bとして、ZrO2層により構成される例を示したがこれに限定されない、例えばTiO2等により構成されていてもよい。

0118

上記第一実施形態では、受信用トランスデューサー群52Aは、電極線521,522の間で、複数の受信用トランスデューサー52が並列に接続される構成を示すが、これに限定されない。
図19は、受信アレイRRの一変形例を模式的に示す平面図である。
図19に示す例の受信用トランスデューサー群52Bは、Y方向に沿って設けられた一対の電極線521,522と、これら一対の電極線521,522の間で複数(図19に示す例では3つ)の受信用トランスデューサー52がX方向に沿って直列に接続された直列部SCと、を有する。そして、直列部SCは、Y方向に沿って複数配置され、一対の電極線521,522の間で並列に接続されている。
このような構成では、直列部SCに接続された各受信用トランスデューサー52から出力される電圧信号が加算されて出力されるので、受信信号を大きくでき、受信感度の向上を図れる。

0119

上記実施形態において、第一電極422(422B)及び第二電極424(424B)が、2μm以上8μm以下の寸法のギャップG1を介して離間する例を示したが、これに限定されない。
例えばギャップG1の寸法としては、2μm未満としてもよい。ただし、この場合では、上述したように、電極間の距離dが小さく、圧電膜423(425)からの出力電圧Vが低下することが考えられるが、分極処理における第二分極電圧を小さくできる。また、図19に示すように、複数の受信用トランスデューサー52により、直列部SCを構成することで、受信信号の増大と図れる。
また、分極回路235として、分極処理に各受信用トランスデューサー52に印加する第二分極電圧として、より大きい電圧を印加可能な電源構成を用いる場合では、ギャップG1の寸法を8μmより大きくしてもよい。

0120

上記各実施形態では、受信用トランスデューサー52,53,53A,54,55は、平面視において、Y方向に平行で、かつ、圧電膜423(425)の中心位置を通る仮想線Lに対して略線対称に構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、平面視において、第一電極422(422B)と第二電極424(424B)とのギャップG1の中心位置が、上記仮想線Lと重ならないように構成されてもよい。

0121

上記各実施形態では、受信用トランスデューサー52,53,53A,54,55は、平面視において矩形状の圧電膜423(425)を有し、矩形状の第一電極422(422B)及び第二電極424(424B)を備える構成としたが、これに限定されない。例えば、本発明の圧電体として、平面視において、各種多角形状、円状、及び楕円状等となる圧電膜を用いてもよい。具体的には、受信用トランスデューサーとして、平面視において円状の圧電膜と、圧電膜の中心位置に重なる円状の第一電極と、第一電極の周囲の少なくとも一部を囲む環状の第二電極と、を備える構成を採用してもよい。また、さらに、第一電極と第二電極との間に、環状の中間電極を備える構成としてもよい。

0122

上記各実施形態では、送信アレイTR(送信用トランスデューサー51)及び受信アレイRR(受信用トランスデューサー52,53,53A,54,55)において、素子基板41、封止板43、音響整合層44、及び音響レンズ45を共通部材とする例を示したが、これに限定されない。
例えば、送信用素子基板に送信アレイTRを設け、受信用素子基板に受信アレイRRを設ける構成としてもよい。封止板43、音響整合層、及び音響レンズ45においても同様に、送信アレイTRと受信アレイRRとにおいて、それぞれ別部材としてもよい。

0123

上記実施形態では、支持膜412(可撓部412D)の基板本体部411とは反対側に、音響整合層44及び音響レンズ45が設けられる構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、音響整合層44及び音響レンズ45が支持膜412(可撓部412D)の基板本体部411側に設けられ、開口部411A,411B内に音響整合層44が充填される構成としてもよい。この場合、封止板43は、支持膜412の基板本体部411とは反対側に設けられ、平面視において、開口部411A,411Bに対向する位置に凹溝を備える構成とする。このような構成では、送信用トランスデューサー51や受信用トランスデューサー52,53,53A,54,55の各電極が、音響整合層44側に露出せず、超音波デバイス22における防水性を高めることができる。

0124

上記各実施形態では、生体内の器官を測定対象とする超音波測定機を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種構造物を測定対象として、当該構造物の欠陥の検出や老朽化検査を行う超音波測定機に、本発明を適用することができる。また、例えば、半導体パッケージウェハ等を測定対象として、当該測定対象の欠陥を検出する超音波測定機にも本発明を適用することができる。

0125

その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。

0126

以下に、実施例および比較例により、本発明における耐湿度(絶縁破壊)に対する信頼性の評価結果を示す。

0127

(実施例1〜3、比較例1)
実施例1は、第一実施形態に示す受信用トランスデューサー52を用いた。
実施例2は、第二実施形態に示す受信用トランスデューサー53を用いた。
実施例3は、第二実施形態の変形例に示す受信用トランスデューサー53Aを用いた。
比較例1は、支持膜の可撓部上に圧電膜を形成し、圧電膜の可撓部とは反対側の面である第二面に第一電極及び第二電極を対向配置した受信用トランスデューサーを用いた。
ここで、各受信用トランスデューサーにおいて、第一電極及び第二電極の間の距離寸法の条件、圧電膜の条件、可撓部の条件を以下の条件に設定した。
第一電極及び第二電極の間の距離寸法:6μm
圧電膜:400nmの厚み寸法のPZT
可撓部:共振周波数が8.6MHzとなるように、開口部の幅寸法を調整

0128

(耐湿度に対する試験
各受信用トランスデューサーを90%の湿度環境下に置き、第一電極及び第二電極の間に振幅10V、周波数1MHzのサイン波電圧を印加する耐湿度試験を行い、1時間以内に絶縁破壊するか否かを評価した。試験結果を表1に示す。なお、表1において、絶縁破壊が生じた場合には「×」を示し、絶縁破壊が生じない場合は「○」を示す。

0129

0130

(評価結果)
表1に示すように、比較例1では、絶縁破壊が確認された。
なお、比較例1においても、圧電膜と電極との境界部分に耐水性の保護膜(例えばAl2O3やTa2O5)を覆うことで絶縁破壊の発生を抑制できるが、この場合、保護膜の成膜によって圧電膜に対してダメージが入り(結晶欠損が生じ)、圧電膜の圧電特性が低下する。
これに対して、実施例1〜3では、絶縁破壊は確認されず、高湿度下でのパルス電圧印加に対して高い耐久性を有することがわかる。圧電膜であるPZTは、耐水性を有するため、PZTにより第一電極及び第二電極を覆う構成とすることで、高い防水性を実現でき、絶縁破壊の発生が抑制される。また、PZTに対して保護膜等を成膜しないため、製造工程において、PZTへのダメージが入らず、高い圧電特性を実現できる。

0131

次に、実施例および比較例における、圧電体に対する電極(第一電極及び第二電極)の位置と受信感度との関係を示す。

0132

(実施例4〜8、比較例2)
実施例4は、第一実施形態に示す受信用トランスデューサー52を用いた。
実施例5は、第二実施形態に示す受信用トランスデューサー53であり、支持膜412から電極(第一電極422B,第二電極424B)までの距離を80nmとした。
実施例6は、第二実施形態に示す受信用トランスデューサー53であり、支持膜412から電極(第一電極422B,第二電極424B)までの距離を160nmとした。
実施例7は、第二実施形態に示す受信用トランスデューサー53であり、支持膜412から電極(第一電極422B,第二電極424B)までの距離を240nmとした。
実施例8は、第二実施形態に示す受信用トランスデューサー53であり、支持膜412から電極(第一電極422B,第二電極424B)までの距離を320nmとした。
比較例2は、上記比較例1と同様であり、支持膜の可撓部上に圧電膜を形成し、圧電膜の可撓部とは反対側の面である第二面に第一電極及び第二電極を対向配置した受信用トランスデューサーを用いた。
ここで、各受信用トランスデューサーにおいて、第一電極及び第二電極の間の距離寸法の条件、圧電膜の条件、可撓部の条件を以下の条件に設定した。
第一電極及び第二電極の間の距離寸法:6μm
圧電膜:400nmの厚み寸法のPZT
可撓部:共振周波数が8.6MHzとなるように、開口部の幅寸法を調整

実施例

0133

受信感度測定
各受信用トランスデューサーに対する受信感度を、有限要素法(FEM)を用いて求めた。求めた受信感度を図20に示す。
図20に示すように、支持膜412から電極(第一電極422,422B及び第二電極424,424B)までの距離を変化させた場合でも、受信感度が大きく変動しないことが確認できる。
従来は、電極の形成位置は、圧電膜の歪み量が最大となる上面(支持膜412から最も遠い面)に設けることが最適であると考えられていた。この場合、上述したように、電極の形成時の圧電体の劣化や、第一電極と第二電極との間に空気が介在することによる絶縁破壊等の課題があった。これに対して、本発明の発明者は、図20に示すように、電極の位置(支持膜412から電極までの距離)によらず、受信用トランスデューサーの受信感度は略一定となることを見出し、本発明の構成を導き出して、上述した従来の課題を解決した。つまり、本発明では、図20に示すように受信感度を低下させることなく、また、上記各実施形態や実施例1〜3にて示すように圧電特性の低下や絶縁破壊のリスクを低減させることが可能となり、受信用トランスデューサーの性能及び信頼性を飛躍的に向上させることができる。

0134

1…超音波測定装置(電子機器)、2…超音波プローブ、10…制御装置、13…記憶部、14…演算部、22…超音波デバイス、23…配線基板、24…超音波センサー(圧電モジュール)、41…素子基板、43…封止板、44…音響整合層、45…音響レンズ、52,53,53A,54,55…受信用トランスデューサー、52A,52B…受信用トランスデューサー群、233…送信回路、234…受信回路、235…分極回路、411…基板本体部、411B…開口部、412…支持膜、412A…支持層、412B…表面層、412B1…第一面、412D…可撓部(可撓膜)、421,421A,421B…受信素子、422,422B…第一電極、422A…第一端面、423,425…圧電膜、423A,425B1…第二面、424,424B…第二電極、424A…第二端面、425A…第一圧電層、425A1…第三面、425B…第二圧電層、426…中間電極、427…第一中間電極、428…第二中間電極、521,522…電極線、Ar12…受信領域、G1〜G6…ギャップ、RR…受信アレイ。

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