図面 (/)

技術 半導体製造装置用部材、その製法及びシャフト付きヒータ

出願人 日本碍子株式会社
発明者 永井明日美西村昇勝田祐司
出願日 2016年9月28日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-189843
公開日 2017年5月18日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-085087
状態 特許登録済
技術分野 セラミックスの接合 半導体装置の製造処理一般 セラミック製品 ウエハ等の容器、移送、固着、位置決め等 半導体のドライエッチング
主要キーワード 各積層構造体 構成元素比率 接合部位近傍 高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法 筒状シャフト 低熱伝導材料 給電ロッド 接合材ペースト
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年5月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

窒化アルミニウム基部材接合されたときに、その窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができ、耐食性にも優れる半導体製造装置用部材を提供する。

解決手段

本発明の半導体製造装置用部材は、窒化アルミニウム基部材に接合される部材であって、材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素アルミニウム酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられる。窒化アルミニウム擬似多形は、27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有するか、又は、窒化アルミニウム擬似多形のX線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れる。複合材料の室温での熱伝導率は50W/mK以下である。

概要

背景

従来、抵抗発熱体を有するセラミックス製のウエハ保持部と、ウエハ保持部を支持する支持体とを備えたシャフト付きヒータが知られている。こうしたシャフト付きヒータとして、支持体の熱伝導率がウエハ保持部よりも低いものが提案されている(特許文献1参照)。具体的には、熱伝導率が170W/mKのAlN製のウエハ保持部に、熱伝導率が80W/mKのAlN製の支持体や熱伝導率が4W/mKのムライト製の支持体をガラス接合したシャフト付きヒータが開示されている。これらのウエハ保持部と支持体との熱膨張係数差は0.1〜0.5ppm/℃である。このような保持体について、ウエハを保持する面全体の均熱性を測定したところ、±0.5%以内とすることができたと説明されている。

概要

窒化アルミニウム基部材接合されたときに、その窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができ、耐食性にも優れる半導体製造装置用部材を提供する。本発明の半導体製造装置用部材は、窒化アルミニウム基部材に接合される部材であって、材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素アルミニウム酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられる。窒化アルミニウム擬似多形は、27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有するか、又は、窒化アルミニウム擬似多形のX線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れる。複合材料の室温での熱伝導率は50W/mK以下である。なし

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、窒化アルミニウム基部材に接合されたときに、その窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができ、耐食性にも優れる半導体製造装置用部材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

窒化アルミニウム基部材接合される半導体製造装置用部材であって、材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素アルミニウム酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられ、前記窒化アルミニウム擬似多形が27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有し、前記複合材料の室温での熱伝導率が50W/mK以下である、半導体製造装置用部材。

請求項2

窒化アルミニウム基部材に接合される半導体製造装置用部材であって、材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素、アルミニウム、酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられ、前記窒化アルミニウム擬似多形のX線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れ、前記複合材料の熱伝導率が室温で50W/mK以下である、半導体製造装置用部材。

請求項3

前記複合材料の窒化アルミニウムには、ケイ素及び酸素の少なくとも1つの元素が固溶している、請求項1又は2に記載の半導体製造装置用部材。

請求項4

前記複合材料のAl,N,Si,Oの質量割合は、Al,N,Si,Oの総質量を100としたとき、Al:N:Si:O=59〜63:29〜34:1〜5:2〜8である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項5

前記複合材料は、希土類金属酸化物及び希土類金属の酸窒化物の少なくとも一方を含有し、前記希土類金属元素を除く元素の総質量を100としたときの前記希土類金属元素の質量割合が0より大きく3.0以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項6

前記複合材料の550℃での熱伝導率は30W/mK以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項7

前記複合材料の40〜1000℃での熱膨張係数は5.5〜6.0ppm/℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項8

前記複合材料の開気孔率は0.5%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項9

前記複合材料の4点曲げ強度は250MPa以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。

請求項10

窒化アルミニウムとアルミナ窒化ケイ素との合計質量に対して窒化アルミニウムが81〜95質量%、アルミナが3〜13質量%、窒化ケイ素が2〜9質量%となるように混合して調合粉末とし、該調合粉末を成形して成形体とし、該成形体を1750〜1850℃で焼成することにより、請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材を得る、半導体製造装置用部材の製法

請求項11

前記調合粉末には焼結助剤成分として希土類酸化物が添加される、請求項10に記載の半導体製造装置用部材の製法。

請求項12

請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材であるシャフトと、前記シャフトに接合され、窒化アルミニウム基材料を材料として用いたウエハ支持ヒータと、を備えたシャフト付きヒータ

請求項13

前記シャフトと前記ウエハ支持ヒータとの40〜1000℃での熱膨張係数差は0.3ppm/℃以下である、請求項12に記載のシャフト付きヒータ。

請求項14

前記シャフトと前記ウエハ支持ヒータとを接合する接合層は、窒化アルミニウム、スピネル及び希土類フッ化物を含む、請求項12又は13に記載のシャフト付きヒータ。

技術分野

0001

本発明は、半導体製造装置用部材、その製法及びシャフト付きヒータに関する。

背景技術

0002

従来、抵抗発熱体を有するセラミックス製のウエハ保持部と、ウエハ保持部を支持する支持体とを備えたシャフト付きヒータが知られている。こうしたシャフト付きヒータとして、支持体の熱伝導率がウエハ保持部よりも低いものが提案されている(特許文献1参照)。具体的には、熱伝導率が170W/mKのAlN製のウエハ保持部に、熱伝導率が80W/mKのAlN製の支持体や熱伝導率が4W/mKのムライト製の支持体をガラス接合したシャフト付きヒータが開示されている。これらのウエハ保持部と支持体との熱膨張係数差は0.1〜0.5ppm/℃である。このような保持体について、ウエハを保持する面全体の均熱性を測定したところ、±0.5%以内とすることができたと説明されている。

先行技術

0003

特許第4311910号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、熱伝導率が170W/mKのAlN製のウエハ保持部に、熱伝導率が80W/mKのAlN製の支持体をガラス接合したシャフト付きヒータでは、均熱性が十分高いとは言い難かった。また、熱伝導率が170W/mKのAlN製のウエハ保持部に、熱伝導率が4W/mKのムライト製の支持体をガラス接合したシャフト付きヒータでは、均熱性は優れるものの、ムライト製支持体の耐食性が低いことが問題になる。特に、ムライトに含まれるシリコン成分ハロゲンガスに対する耐食性が極めて低く、使用中にエッチングが進んだり、パーティクル発生源になったりすることが懸念される。

0005

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、窒化アルミニウム基部材接合されたときに、その窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができ、耐食性にも優れる半導体製造装置用部材を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の第1の半導体製造装置用部材は、
窒化アルミニウム基部材に接合される半導体製造装置用部材であって、
材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素アルミニウム酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられ、
前記窒化アルミニウム擬似多形が27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有し、前記複合材料の室温での熱伝導率が50W/mK以下である、
ものである。

0007

この半導体製造装置用部材に含まれる窒化アルミニウム擬似多形は、低熱伝導率の27R相及び/又は21R相であるため、室温での熱伝導率が50W/mK以下と低い。そのため、この半導体製造装置用部材を窒化アルミニウム基部材に接合したときに、窒化アルミニウム基部材の熱が半導体製造装置用部材へ逃げるのを抑制することができる。したがって、この半導体製造装置用部材によれば、窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができる。あるいは窒化アルミニウム基部材からの熱を断熱することができる。更に、擬似多形の熱膨張係数が窒化アルミニウム基部材に近いため、複合材料の熱膨張係数も窒化アルミニウム基部材に近づけ易い。また、この半導体製造装置用部材は、ムライトなどシリコン成分を多量に含有した部材に比べて耐食性に優れている。なお、窒化アルミニウムと窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とするとは、XRDプロファイルで確認される構成相をピーク強度が高いものから順に見たとき、窒化アルミニウム及び窒化アルミニウム擬似多形の一方が最も高く、もう一方が次に高いことを意味する。また、周期構造とは、六方晶層状構造におけるAlを含む層又はAl及びSiを含む層と、Nを含む層又はN及びOを含む層とが一定の順序で積層されていることをいう。

0008

本発明の第2の半導体製造装置用部材は、
窒化アルミニウム基部材に接合される半導体製造装置用部材であって、
材料として、窒化アルミニウムと、ケイ素、アルミニウム、酸素及び窒素を含む窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられ、
前記窒化アルミニウム擬似多形のX線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れ、前記複合材料の熱伝導率が室温で50W/mK以下である、
ものである。

0009

この半導体製造装置用部材は、X線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れる低熱伝導率の窒化アルミニウム擬似多形を有し、室温での熱伝導率が50W/mK以下と低い。そのため、この半導体製造装置用部材を窒化アルミニウム基部材に接合したときに、窒化アルミニウム基部材の熱が半導体製造装置用部材へ逃げるのを抑制することができる。したがって、この半導体製造装置用部材によれば、窒化アルミニウム基部材の均熱性を十分高くすることができる。あるいは窒化アルミニウム基部材の熱を断熱することができる。更に、擬似多形の熱膨張係数が窒化アルミニウム基部材に近いため、複合材料の熱膨張係数も窒化アルミニウム基部材に近づけ易い。また、この半導体製造装置用部材は、ムライトなどシリコン成分を多量に含有した部材に比べて耐食性に優れている。

0010

なお、擬似多形とは、AlN(2H)の結晶構造ベースに、Alの一部にSiが固有し、Nの一部にOが固有した構造を有するものであり、AlNの周期構造が少しずつ変化した材料群をいう。この擬似多形は、AlNが多い側から、27R相(SiAl8O2N8)、21R相(SiAl6O2N6)、12H相(SiAl5O2N5)、15R相(SiAl4O2N4)などが存在する。本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材としては、半導体製造装置において窒化アルミニウム基部材と接合されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ヒータ静電チャック等のサセプタープレートなどが挙げられる。また、窒化アルミニウム基部材とは、窒化アルミニウムを主成分(例えば全体の質量に対してアルミニウムと窒素の合計が70質量%以上)とする部材である。

0011

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料の窒化アルミニウムにはケイ素及び酸素の少なくとも1つの元素が固溶していることが好ましい。この場合、窒化アルミニウム結晶自体の熱伝導率を小さくすることができ、複合相として導入する擬似多形の割合を少なくすることができる。この擬似多形の割合が少ないと、複合材料の熱膨張係数の窒化アルミニウムからのずれを更に小さくできる利点がある。またハロゲンプラズマ耐食性においても、擬似多形は窒化アルミニウムよりもやや劣る。そのため、擬似多形の割合が少ない方がより高い耐食性が得られるため望ましい。

0012

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料のAl,N,Si,Oの質量割合は、Al,N,Si,Oの総質量を100としたとき、Al:N:Si:O=59〜63:29〜34:1〜5:2〜8であることが好ましい。各元素の質量割合がこの範囲内にあれば、半導体製造装置用部材の熱伝導率を確実に50W/mK以下にすることができる。前記複合材料のAl,N,Si,Oの質量割合は、Al,N,Si,Oの総質量を100としたとき、Al:N:Si:O=59.6〜62.7:29.9〜33.1:1.5〜4.5:2.7〜7.1であることがより好ましい。

0013

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料は、希土類金属酸化物及び希土類金属の酸窒化物の少なくとも一方を含有し、前記希土類金属元素を除く元素の総質量を100としたときの前記希土類金属元素の質量割合が0より大きく3.0以下であることが好ましい。この場合、希土類金属元素含有成分が複合材料の焼結を促進するため、常圧にて緻密な複合材料を作製することができる。なお、希土類金属元素の有無によらず、ホットプレスHIP加圧下にて焼結を進め、緻密な複合材料を得てもなんら問題ない。

0014

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料の550℃での熱伝導率は30W/mK以下であることが好ましい。この場合、ヒータ用部材等、高温で使われる部材にて特に効果が高い。

0015

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料の40〜1000℃での熱膨張係数は5.5〜6.0ppm/℃であることが好ましい。この場合、窒化アルミニウムの熱膨張係数との差が小さくなるため、窒化アルミニウム基部材に接合したときに熱膨張係数のミスマッチによって生じる応力が小さくなり、接合状態を良好に維持することができる。特にヒータ等、加熱と冷却が繰り返されるような部材にて、亀裂等の入りにくいものができる。

0016

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料の開気孔率は0.5%以下であることが好ましい。この場合、部材の表面を平滑に仕上げることができると共に、複合材料自身や他材との接合部位近傍でのガスリークを無くすことができる。更に、ハロゲンガスプラズマの接触等によるパーティクルの発生にも強いものになる。

0017

本発明の第1及び第2の半導体製造装置用部材において、前記複合材料の4点曲げ強度は250MPa以上であることが好ましい。この場合、既存の半導体製造装置に使用されているセラミック部材と同等、或いはそれ以上の強度であるため、構造用部材として十分である。

0018

本発明の半導体製造装置用部材の製法は、
窒化アルミニウムとアルミナ窒化ケイ素との合計質量に対して窒化アルミニウムが81〜95質量%、アルミナが3〜13質量%、窒化ケイ素が2〜9質量%となるように混合して調合粉末とし、該調合粉末を成形して成形体とし、該成形体を1750〜1850℃で焼成することにより、上述したいずれかの半導体製造装置用部材を得る、
ものである。

0019

この製法によれば、上述したいずれかの半導体製造装置用部材を比較的容易に製造することができる。例えば、常圧焼成を採用する場合、調合粉末を一軸加圧成形静水圧加圧成形、押出成形キャスティング成形したあと、その成形体を焼成炉不活性雰囲気(窒素、アルゴンなど)下、温度1750〜1850℃で常圧焼成してもよい。また、ホットプレス焼成を採用する場合、調合粉末を一軸加圧成形等によって成形体とし、その成形体を焼成用モールド収納し、真空雰囲気下又は不活性雰囲気下、プレス圧力100〜400kgf/cm2、温度1750〜1850℃でホットプレス焼成してもよい。半導体製造装置用部材の形状が複雑な場合には、常圧焼成を採用することが好ましい。調合粉末は、窒化アルミニウムとアルミナと窒化ケイ素との合計質量に対して窒化アルミニウムが81.4〜94.2質量%、アルミナが3.0〜12.6質量%、窒化ケイ素が2.8〜8.2質量%となるように混合するのが好ましい。

0020

本発明の半導体製造装置用部材の製法において、前記調合粉末には焼結助剤成分として希土類酸化物が添加されてもよい。希土類酸化物としては、Y2O3,La2O3,CeO2,Sm2O3,Eu2O3,Gd2O3,Dy2O3,Ho2O3,Er2O3,Yb2O3などが挙げられるが、このうちY2O3,Yb2O3が好ましい。希土類酸化物の添加量が多くなりすぎると複合材料の熱膨張係数が高くなるため、その添加量は、調合粉末全体の質量に対して3質量%以下であることが好ましい。

0021

本発明のシャフト付きヒータは、
上述したいずれかの半導体製造装置用部材であるシャフトと、
前記シャフトに接合され、窒化アルミニウム基材料を材料として用いたウエハ支持ヒータと、
を備えたものである。

0022

このシャフト付きヒータによれば、ウエハ支持ヒータの均熱性を十分高くすることができる。また、シャフト部の低い熱伝導率によりシャフト自体を短くすることができ、シャフト付きヒータを小さくできる。更に、耐食性にも優れている。

0023

本発明のシャフト付きヒータにおいて、前記シャフトと前記ウエハ支持ヒータとの40〜1000℃での熱膨張係数差が0.3ppm/℃以下であることが好ましい。この場合、接合部に熱応力が発生しないか発生したとしても微小なため、加熱と冷却が繰り返される使用下において、亀裂が入るのを抑えることができる。

0024

本発明のシャフト付きヒータにおいて、前記シャフトと前記ウエハ支持ヒータとを接合する接合層は、窒化アルミニウム、スピネル及び希土類フッ化物を含むことが好ましい。希土類酸フッ化物としては、YOF,LaOF,CeOF,NdOF,TbOF,YbOF,LuOFなどが好ましく、特にYOF,YbOFが好ましい。

図面の簡単な説明

0025

シャフト付きヒータ10の断面図。
筒状シャフト30の斜視図。
実験例1の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ
実験例2の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ。
実験例3の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ。
実験例5の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ。
実験例11の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ。
実験例18の焼結体材料のXRDプロファイルを示すグラフ。
実験例7の焼結体材料のEPMA画像。
実験例7の焼結体材料のEPMA画像。
積層構造体の斜視図。

0026

本発明の好適な実施形態について、以下に説明する。図1は本実施形態のシャフト付きヒータ10の断面図、図2は筒状シャフト30の斜視図である。

0027

シャフト付きヒータ10は、プラズマCVD工程などの加熱処理を施すウエハを加熱するのに用いられるものであり、図示しない真空チャンバ内に設置される。このシャフト付きヒータ10は、ウエハを載置可能で抵抗発熱体22が埋設されたウエハ支持ヒータ20と、このウエハ支持ヒータ20の背面に接合された筒状シャフト30とを備えている。

0028

ウエハ支持ヒータ20は、窒化アルミニウム製円板部材(窒化アルミニウム基部材)である。ウエハ支持ヒータ20の一例は、窒化アルミニウム粉末焼結助剤イットリアが添加されて焼結されたものであり、室温での熱伝導率は150W/mK以上、550℃での熱伝導率は80W/mK以上、熱膨張係数は5.7ppm/℃である。このウエハ支持ヒータ20は、抵抗発熱体22としてモリブデン抵抗発熱体が埋設されている。また、ウエハ支持ヒータ20の背面の中央付近には、第1孔24と第2孔26が開けられている。抵抗発熱体22は、ウエハ支持ヒータ20の略中央に位置する一端22aから端を発し、いわゆる一筆書き要領でウエハ支持ヒータ20のほぼ全面にわたって配線されたあと、ウエハ支持ヒータ20の略中央に位置する他端22bに至っている。この抵抗発熱体22の一端22a及び他端22bは、それぞれウエハ支持ヒータ20の第1孔24及び第2孔26から外部に露出している。なお、ウエハ支持ヒータ20には、高周波電極として平板電極23も埋設されている。

0029

筒状シャフト30は、材料として、窒化アルミニウムと窒化アルミニウム擬似多形とを主たる構成相とする複合材料が用いられた半導体製造装置用部材である。窒化アルミニウム擬似多形は、ケイ素、アルミニウム、酸素及び窒素を含み、27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有する。あるいは、窒化アルミニウム擬似多形は、X線回折ピークが少なくとも2θ=59.8〜60.8°に現れるものである。複合材料の室温での熱伝導率は、好ましくは50W/mK以下、より好ましくは40W/mK以下である。複合材料の作動温度(550℃)での熱伝導率は、好ましくは30W/mK以下、より好ましくは25W/mK以下、更に好ましくは20W/mK以下である。複合材料の窒化アルミニウムには、ケイ素及び酸素の少なくとも1つの元素が固溶していることが好ましい。複合材料のAl,N,Si,Oの質量割合は、Al:N:Si:O=59〜63:29〜34:1〜5:2〜8であることが好ましく、Al:N:Si:O=59.6〜62.7:29.9〜33.1:1.5〜4.5:2.7〜7.1であることがより好ましい。複合材料は、40〜1000℃での熱膨張係数(CTE)が5.5〜6.0ppm/℃であることが好ましく、開気孔率が0.5%以下であることが好ましく、4点曲げ強度が250MPa以上であることが好ましい。複合材料は、希土類金属の酸化物及び希土類金属の酸窒化物の少なくとも一方を含有していてもよい。その場合、希土類金属元素を除く元素の総質量を100としたときの希土類金属元素の質量割合は0より大きく3.0以下であることが好ましい。筒状シャフト30とウエハ支持ヒータ10との40〜1000℃での熱膨張係数差は0.3ppm/℃以下であることが好ましい。

0030

この筒状シャフト30は、途中に段差32を有しており、段差32を境にしてウエハ支持ヒータ20側が大径部34、ウエハ支持ヒータ20と反対側が小径部36となっている。大径部34の端部及び小径部36の端部には、それぞれフランジ34a,36aが形成されている。そして、筒状シャフト30のうち大径部34の端部がウエハ支持ヒータ20の背面に接合されている。筒状シャフト30の内部空間には、抵抗発熱体22の一端22a及び他端22bにそれぞれ接合された給電ロッド38,38が軸方向に沿って設けられている。ウエハ支持ヒータ20の抵抗発熱体22には、この給電ロッド38,38を介して電力が供給される。

0031

筒状シャフト30の製法の一例を以下に説明する。ここでは、筒状シャフト30の形状が図2に示す通りやや複雑なため、常圧焼成を採用した例を示す。まず、窒化アルミニウムとアルミナと窒化ケイ素との合計質量に対して窒化アルミニウムが81〜95質量%、アルミナが3〜13質量%、窒化ケイ素が2〜9質量%となるように混合して調合粉末とする。好ましくは、窒化アルミニウムが81.4〜94.2質量%、アルミナが3.0〜12.6質量%、窒化ケイ素が2.8〜8.2質量%となるように混合して調合粉末とする。次に、この調合粉末を型に充填し、冷間静水圧プレスCIP)を用いて筒状の成形体にする。こうして得られたシャフトの成形体を常圧焼成炉を用いて、1750〜1850℃で焼成することにより、筒状シャフト30を得る。なお、調合粉末には、焼結助剤成分として希土類酸化物(例えばY2O3,Yb2O3など)を添加してもよい。希土類酸化物の添加量は、調合粉末全体の質量に対して3質量%以下とすることが好ましい。また必要に応じて、加工をすることにより所望の形状を有した筒状のシャフトにする。

0032

筒状シャフト30は、ウエハ支持ヒータ20に接合層40を介して接合されている。ウエハ支持ヒータ20と筒状シャフト30との接合は、例えば以下のようにして行う。窒化アルミニウム原料として、窒化アルミニウム粉末(粒径0.8μm、酸素含有量4.8質量%)を用いる。そして、窒化アルミニウム原料50〜90質量%と、市販のフッ化マグネシウム純度99.9%以上)10〜50質量%を合計100質量%となるように量し、アルミナ乳鉢を用いて混合し、接合材組成物を得る。アクリル系樹脂テルピネオールに溶解させ45質量%溶液としたものをバインダーとして、接合材組成物に対して30%の質量比で加え、アルミナ乳鉢で混合することにより、接合材ペーストを得る。接合材ペーストを、ウエハ支持ヒータ20の接合面及び筒状シャフト30の接合面の少なくとも一方に塗布し、乾燥し、接合材ペーストの溶媒揮発させることにより、接合材組成物を接合面に固着させる。その後、ウエハ支持ヒータ20の接合面と筒状シャフト30の接合面とを重ね合わせ、窒素ガス中で、接合温度最高温度)1400℃で2時間保持する。このとき、接合面と垂直な方向から両者がくっつく方向に加圧する。こうすることにより、筒状シャフト30はウエハ支持ヒータ20に接合層40を介して接合される。接合層40の結晶相には、AlN,MgAl2O4(スピネル)及びYOF(希土類酸フッ化物)が含まれる。MgAl2O4やYOFに含まれるO元素は、窒化アルミニウム原料中のO元素や焼結助剤として添加されたY2O3に由来するものであり、YOFに含まれるY元素は焼結助剤として添加されたY2O3に由来するものであると推察される。

0033

ここで、筒状シャフト30の熱伝導率を変化させた場合のシャフト付きヒータ10の筒状シャフト30からの放熱量をシミュレーションにより求めた。筒状シャフト30の室温での熱伝導率が80W/mK、作動温度(550℃)での熱伝導率が50W/mKのものを比較対象とした。筒状シャフト30の室温での熱伝導率を40W/mK、550℃での熱伝導率を30W/mKとした場合、比較対象と比べて放熱量が70%に低減された。筒状シャフト30の室温での熱伝導率を40W/mK、作動温度である550℃での熱伝導率を25W/mKとした場合、比較対象と比べて放熱量が65%に低減された。筒状シャフト30の室温での熱伝導率を40W/mK、作動温度である550℃での熱伝導率を20W/mKとした場合、比較対象と比べて放熱量が60%に低減された。筒状シャフト30からの放熱量が比較対象よりも少ないことから、ウエハ支持ヒータ20のうち筒状シャフト30との接合部分から熱が逃げてその部分がクールスポットになるのを防止でき、その結果、ウエハ支持ヒータ20の均熱性が比較対象よりも向上する。

0034

以上説明した本実施形態によれば、筒状シャフト30の熱伝導率が低いため、窒化アルミニウム基部材であるウエハ支持ヒータ20の熱が筒状シャフト30へ逃げるのを抑制することができる。したがって、ウエハ支持ヒータ20の均熱性を十分高くすることができる。また、特許文献1で用いられるムライトに比べてSiの含有量が少ないため、耐食性にも優れている。

0035

なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。

0036

例えば、上述した実施形態では、本発明の半導体製造装置用部材の一例としてウエハ支持ヒータ20に接合される筒状シャフト30を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、窒化アルミニウム基部材に接合される半導体製造装置用部材であればよい。

0037

上述した実施形態では、AlN,スピネル及びYOFを含む接合層40を介してウエハ支持ヒータ20と筒状シャフト30とを接合したが、特にこれに限定されるものではなく、例えばロウ材を利用して接合してもよいし、直接接合により接合してもよい。

0038

I.実験例1−21
実験例5−20が本発明の実施例に相当し、実験例1−4,21が比較例に相当する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。

0039

1.製造条件
原料
AlN原料は、市販の高純度微粒粉末(酸素含有量0.9%、酸素を除く不純物成分含有量0.1%以下、平均粒径1.1μm)を使用した。Al2O3原料は、市販の高純度微粒粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.5μm)を使用した。Si3N4原料は、市販の高純度微粒粉末(酸素含有量1.3%、酸素を除く不純物成分含有量0.1%以下、平均粒径0.6μm)を使用した。Y2O3原料は、市販の高純度微粒粉末(純度99.9%以上、平均粒径1μm)を使用した。

0040

調合
AlN原料、Al2O3原料及びSi3N4原料(場合によってはY2O3も)を表1に示した原料組成の割合で秤量し、ナイロン製のポット、φ20mmの鉄芯入りナイロン玉石を用いてアルコールを溶媒として4時間湿式混合した。混合後、スラリーを取り出し、窒素気流中110℃で乾燥した。その後、30メッシュに通し、調合粉末とした。

0041

成型
調合粉末を100kgf/cm2の圧力で一軸加圧成形し、φ65mm、厚さ20mm程度の円柱状の成形体を作製した。その後、2.5ton/cm2の圧力で冷間静水圧プレスを行った。なお、筒状のシャフトの代わりとして、円柱状の成形体を用いて材料を作製し、各種特性を評価した。

0042

(焼成)
成形体をBN製のるつぼ焼成容器)に入れ、カーボン製のヒータからなる雰囲気焼成炉にて表1に示した焼成温度(最高温度)及び焼成温度での保持時間で焼成した。なお、室温から900℃までは真空とし、900℃到達後に窒素を導入して最高温度で所定時間焼成した後、1400℃まで冷却し、焼成を終了した。窒素の圧力は1.5気圧昇温温速度は100〜300℃/時間とした。

0043

0044

2.基本特性の測定
得られた各実験例の焼結体について、各種試験片を作製し、以下の基本特性を測定した。その結果を表2及び表3に示す。

0045

(開気孔率及び嵩密度
純水を媒体としたアルキメデス法により測定した。

0046

(4点曲げ強度)
JIS−R1601にしたがって求めた。

0047

線熱膨張係数
リガク(株)製、熱機械分析装置TMA8310を使用し、アルゴン雰囲気中、昇温速度20℃/分の条件で1000℃までの熱膨張曲線を測定し、40〜1000℃の平均線熱膨張計数(CTE)を算出した。標準試料にはアルミナを使用した。表2及び表3において、△CTEは、各実験例で得られた焼結体のCTEと窒化アルミニウム基部材(ここでは実験例1の焼結体)のCTEとの差を表す。

0048

(熱伝導率(TC))
比熱示差走査熱量法DSC)、熱拡散率レーザーフラッシュ法により測定し、熱伝導率(TC)=比熱×熱拡散率×嵩密度の計算式により算出した。TCは、室温及び550℃のそれぞれについて算出した。

0049

(構成相の同定)
複合材料を乳鉢粉砕内部標準(Si)を添加混合した粉末について、X線回折装置により結晶相を同定した。測定条件はCuKα,40kV,40mA,2θ=5〜70°とし、封入管式X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス製 D8 ADVANCE)を使用した。

0050

構成元素比率
Al、Y:焼結体を粉砕後、融解酸分解して溶液化したのち、キレート滴定法、或いは高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法により定量した。
Si:焼結体を粉砕後、重量法により定量した(JIS R 1616準拠)。なお、含有量が少ない場合にはAl、Yと同様に高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法による測定を行った。
N:焼結体を粗粉砕後、不活性ガス融解−熱伝導度法にて定量した。
O:焼結体を粗粉砕後、不活性ガス融解−非分散赤外線吸収法にて定量した。

0051

0052

0053

3.評価
(実験例1)
実験例1の焼結体材料は、AlNに焼結助剤としてY2O3を添加し焼成した材料で、AlN、Al2Y4O9(YAM)、YAlO3(YAL)から構成されていた。調合粉末にAl2O3、Si3N4を含まない場合には、擬似多形は生成せず、AlNへのSi、Oの固溶が少ないため、熱伝導率が高くなった。実験例1の焼結体材料のXRDプロファイルを図3に示す。図中の*は、焼結体のXRD測定用に内部標準として添加したSiによるものである。

0054

(実験例2)
実験例2の焼結体材料は、AlNにSi3N4とY2O3を添加して焼成した材料であり、AlN、Y2Si3O3N4と微量の擬似多形としての27R相から構成されていた。但し、調合粉末にAl2O3を添加していないため十分な量の擬似多形は生成せず、AlNへのSi、Oの固溶も起こるが程度が軽微であるため、熱伝導率の低下が不十分であった。実験例2の焼結体材料のXRDプロファイルを図4に示す。

0055

(実験例3)
実験例3の焼結体材料は、AlNにAl2O3を添加して焼成した材料であり、AlN、Al5O6Nから構成されていた。調合粉末にY2O3を添加しておらず焼結性が悪いため、ホットプレス(20MPa)にて作製した材料である。この材料ではSi3N4成分を添加していないため擬似多形は生成せず、AlNへのSi、Oの固溶も少ないため、熱伝導率の低下が不十分であった。実験例3の焼結体材料のXRDプロファイルを図5に示す。

0056

(実験例4)
実験例4の焼結体材料は、AlNにAl2O3とSi3N4とY2O3を添加して焼成した材料であり、AlN、Al5Y3O12(YAG)及び27R相から構成されていた。本材料は、調合粉末におけるSi3N4、Al2O3の質量%が低く、擬似多形の生成量が少ないと共に、AlNへのSi、Oの固溶が不十分となり、熱伝導率の低下が不十分となったと考察される。

0057

(実験例5〜20)
実験例5〜20の焼結体材料は、構成相としてAlNのほか、27R相及び21R相の少なくとも一方の擬似多形を含んでいた。つまり、27R相及び21R相の少なくとも一方の周期構造を有していた。また、2θ=59.8〜60.8°にX線回折ピークが見られた。実験例5,7〜9,11〜15,18〜20は、Y2O3を原料に添加しているため、構成相としてYAGも含んでいた。なお、実験例6,10,16,17はY2O3を原料に添加していないため、ホットプレス(20MPa)にて焼結を行った材料である。実験例5〜20では、調合粉末におけるAlN,Al2O3,Si3N4の質量割合が適切であり、得られた焼結体材料におけるAl,Si,N,Oの質量割合も適切であったため、擬似多形の生成とAlNへのSi、Oの固溶が適量となり、熱伝導率が十分に低下したと考察される。また、特許文献1で用いられたムライトに比べてSi含有量が少ないため、ハロゲンガス等に対する耐食性に優れる。

0058

代表例として、実験例5,11,18の焼結体材料のXRDプロファイルを図6〜8に示す。図6〜8から、これらはいずれもAlN、27R相、YAGを構成相として含み、更に図7,8では21R相も含んでいた。また、2θ=59.8〜60.8°にX線回折ピークが見られた。実験例5,11,18の順に、調合粉末中のAlNの質量%は低く、Al2O3とSi3N4の質量%は高くなっており、焼結体材料中のO,Siの質量%も順に高くなっている。焼結体材料のXRDプロファイルを見ると、AlNのピーク強度や擬似多形のピーク強度は調合粉末中のAlNの質量%や焼結体材料中のO,Siの質量%に伴って変化していることがわかる。つまりXRDプロファイルのピーク強度の関係から、実験例5の材料ではAlNが主相であり、実験例11の材料では擬似多形の割合が増加し、実験例18の材料ではAlNよりも擬似多形が主相になっていると推察される。これら各材料の熱伝導率は、Si、Oの構成元素比率が高い程低下していることより、擬似多形相の含有量及びAlNへのSi、Oの固溶量が多い材料程熱伝導率が低下すると考察された。また、これら実験例5〜20の材料は熱膨張係数が5.5〜6.0ppm/℃に制御できており、実験例1に示すような高熱伝導率窒化アルミニウム材料(5.7ppm/℃)との熱膨張係数差が0.3ppm/℃以下で非常に小さい。更に、いずれも250MPa以上の曲げ強度を有しており、半導体製造装置用部材として十分構成に耐えられる特性である。つまり、これらの材料は、高熱伝導率の窒化アルミニウム材料に対する熱膨張係数のマッチング性が非常に高く、十分な強度を有した低熱伝導材料と言える。

0059

図9は、実験例7の焼結体材料のEPMA画像である。図9では、濃度を表すカラースケールは、便宜上白黒で表されているが、実際には、最も高濃度の場合は赤、そこから濃度が低くなるにつれて、橙、黄、黄緑水色、青、紺の順に色分けされ、最も低濃度の場合は黒で示される。図9(a)は全体的な元素分布を示したものである。図9(b)は、Nの分布を示したものであり、グレー濃淡画素が点描画のように全体に散らばっているが、実際には青と黄緑の画素が全体に散らばっている。図9(c)は、Oの分布を示したものであり、黒っぽく見える部分は実際には紺か黒でAlNが存在しており、やや明るいグレーの柱状部分は実際には水色で擬似多形(27R相)が存在している。柱状部分のうち一段と明るいグレーは実際には黄緑から黄であり、その中に赤も点在しYAGが存在している。図9(d)は、Alの分布を示したものであり、全体に明るいグレーであるが、実際には黄緑、黄、赤が全体に散らばっており、全体にAlが存在することがわかる。赤い部分がAlNである。図9(e)は、Siの分布を示したものであり、黒っぽく見える部分は実際には紺か黒でSiが少ない部分であり、明るいグレーの柱状部分は実際には黄緑から黄で擬似多形(27R相)が存在している。図9(f)は、Yの分布を示したものであり、黒っぽく見える部分は実際には紺か黒、明るいグレーの点状部分は実際には黄緑(一部赤)でYAGが存在している。暗いグレーの部分は、AlNのマトリックスの中の擬似多形の27R相が柱状に生成している部分と一致しており、YはYAGの部分以外に一部が27R相へ固溶していることが示唆される。

0060

図9(c)や図9(e)では、AlNマトリックス中にOやSiが固溶しているか否か十分判断できない。そのため、カラースケールの濃度範囲を低濃度が分かるように変更したのが図10(c’)と図10(e’)である。図10(c’)では、AlNマトリックスの部分が明るいグレーであるが、実際には青や黄緑、黄であり、Oが存在していることがわかる。図10(e’)でも、AlNマトリックスの部分が明るいグレーであるが、実際には青や黄緑、黄であり、Siが存在していることがわかる。これらの画像から、実験例7の焼結体材料のAlNには、O及びSiが固溶していることがわかる。AlN部の熱伝導率はOやSiの固溶によって低くなっていると考えられ、27R相等の熱伝導率の低い粒界相複合化と併せて、実験例7の焼結体材料の低熱伝導率に寄与していると言える。特に、AlN部の熱伝導率を下げることは、熱膨張係数をAlNと同程度に維持するために重要であるため、この固溶によってAlN以外の低熱伝導率の相の導入量を減らすことができる。

0061

(実験例21)
実験例21の焼結体材料は、更に調合粉末のAl2O3、Si3N4の質量%を高くしたものであり、21R相、12H相から構成されていた。この実験例21はY2O3を原料に添加していないため、ホットプレス(20MPa)にて焼結を行った。本材料は、構成相にAlNを含まないため、熱伝導率は十分低いが熱膨張係数が増加して6.1ppm/℃となり、窒化アルミニウムとの熱膨張係数差が0.4ppm/℃となった。

0062

4.耐食性
本発明の実施例に相当する実験例11の試験片と、比較例に相当する実験例1の試験片(窒化アルミニウム製の試験片)と、ムライト製の試験片とを用意した。試験片としては、15mm×15mm×2mmの柱状体を用意し、その柱状体の15mm×15mmの面の一方を研磨によって鏡面状に仕上げたものを用いた。ムライト製の試験片は、市販のムライト粉末(純度99.9%以上)を直径50mm、厚さ20mm程度に成形し、ホットプレス炉を用いて、プレス圧力200kgf/cm2、1600℃で5時間、Ar雰囲気下で焼結したものから切り出した。このムライト製の試験片は、嵩密度が3.15g/cm3、開気孔率が0.01%以下で、十分緻密化したものであった。

0063

耐食性試験は、以下の手順で行った。まず、試験片の鏡面仕上げした面の一部をアルミナ焼結材料で覆い残部を露出させた。次に、その試験片を、希釈ガスとしてArガス、ハロゲンガスとしてNF3を使用し、試験温度550℃、ガス圧0.1Torr下で5時間暴露した。そして、ハロゲンガスが暴露された面とアルミナで覆われ暴露されなかった面との段差を測定し、エッチング量とした。

0064

その結果、実験例11の試験片と実験例1の試験片では顕著な段差ができず、エッチング量はゼロであったのに対し、ムライト製の試験片は0.2μmの段差が見られ、耐食性に相違が見られた。すなわち、本発明の実施例に相当する実験例1の試験片のハロゲンガス耐食性は、ムライトよりも十分高く、かつ、窒化アルミニウム材料と同等であることから、半導体製造装置用部材として、高い適性があることが確認できた。

0065

II.実験例22〜25
実験例22では、実験例1の窒化アルミニウム焼結体からなる第1構造体と、実験例11の焼結体からなる第2構造体とを、それぞれφ50mm、厚み10mmに加工し、窒化アルミニウム(AlN)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化アルミニウム(Al2O3)を67.3質量%、19.0質量%、4.7質量%の割合で混合した粉末と溶媒、有機バインダーを任意の割合で混合したペースト片方の構造体に塗布、乾燥させた後、もう一方の構造体を積層し、黒鉛モールドに収めて1430℃、5時間ホットプレス焼成荷重60kgf/cm2)して積層構造体を得た。この積層構造体の斜視図を図11に示す。実験例23では、第2構造体として実験例18の焼結体を用い、実験例24では、第2構造体として実験例21の焼結体を用い、実験例25では、第2構造体として実験例9の焼結体を用いた以外は、実験例22と同様にして積層構造体を得た。

0066

実験例22〜25で得られた積層構造体は、外観上亀裂等は認められず、良好に接合されていた。しかし、各積層構造体につき、接合面に対し垂直に切断加工を行ったところ、実験例22,23,25の積層構造体では亀裂が認められなかったのに対し、実験例24の積層構造体では第1構造体の端部に亀裂が認められた(表4参照)。実験例22,23,25の積層構造体では第1構造体と第2構造体の熱膨張係数差(ΔCTE)が0.3ppm/℃以下だったのに対し、実験例24では熱膨張係数差が0.4ppm/℃と大きかったため接合時に熱応力が発生し、切断加工時に応力が開放されることで亀裂が生じたと考えられる。つまり、より安定性信頼性の高い接合体を得るには、両構造体の熱膨張係数差は0.3ppm/℃以下であることが望ましいと言える。なお、実験例22,23,25は本発明の実施例に相当し、実験例24は比較例に相当する。

実施例

0067

0068

10シャフト付きヒータ、20ウエハ支持ヒータ、22抵抗発熱体、22a 一端、22b 他端、23平板電極、24 第1孔、26 第2孔、30筒状シャフト、32段差、34 大径部、34aフランジ、36小径部、36a フランジ、38給電ロッド、40接合層。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社デンソーの「 ピックアップ装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】ウェハの外周近傍のチップをピックアップすること。【解決手段】シート2が載置されるステージ4と、ステージ4に一部が載置され、後方側の端部5cがスライダ5を前進させた状態であるときにステージ4の後... 詳細

  • 株式会社ダイヘンの「 インピーダンス整合装置及びインピーダンス整合方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】電源から負荷に供給される高周波電力が振幅偏移変調される場合であっても、電源と負荷との整合を図ることが可能なインピーダンス整合装置及びインピーダンス整合方法を提供する。【解決手段】第1期間及び第... 詳細

  • 株式会社新興製作所の「 エピ用化合物複合基板及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】本発明は、炭化珪素、窒化ガリウム系等の化合物半導体の成長に用いる基板に関し、廉価で良質なエピ用化合物複合基板とその製造方法を提供する。【解決手段】エピ用化合物複合基板は、エピ用化合物基板とSi... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ