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技術 原子発振器

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 今井保貴
出願日 2015年10月27日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2015-210822
公開日 2017年5月18日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-084935
状態 特許登録済
技術分野 発信器の安定化、同期、周波数シンセサイザ メーザ 半導体レーザ
主要キーワード 低熱伝導率層 高周波制御 活性層上方 駆動温度 被酸化層 量子干渉効果 セシウム原子 ルビジウム原子
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

光源出力波長光出力とを独立して調整することが可能であり、制御が容易な原子発振器を提供する。

解決手段

アルカリ金属原子封入したガスセルと、前記ガスセルに光を照射する光源100と、前記ガスセルを透過した光の光量を検出する光検出部と、を含み、前記光源は、基板10と、前記基板上方に配置された第1ミラー層20と、前記第1ミラー層上方に配置された活性層22と、前記活性層上方に配置された第2ミラー層24と、前記第2ミラー層上方に配置された第1コンタクト層50と、前記第1コンタクト層上方に配置された光吸収層52と、前記光吸収層上方に配置された第2コンタクト層54と、を有する。

概要

背景

原子遷移エネルギー基準周波数として用いる原子発振器は、最も高精度な発振器の1つとして、通信基地局などで広く用いられている。原子発振器にはいくつかの方式があるが、ルビジウム(Rb)ランプを用いたマイクロ波二重共鳴方式が最も一般的に用いられている。

近年、量子干渉効果の1つであるCPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれる現象を用いた原子発振器が提案され(例えば特許文献1参照)、従来に比べ原子発振器の小型化、低消費電力化が期待されている。CPT方式の場合、光源にはレーザーなどのコヒーレントな光源を用い、高周波信号重畳することで、その側波帯をCPT現象の発現に用いる。CPT方式の原子発振器は、アルカリ金属原子に異なる2種類の波長周波数)を有するコヒーレント光照射すると、コヒーレント光の吸収が停止する電磁誘起透過現象EIT現象:Electromagnetically Induced Transparency)を利用した発振器である。

原子発振器の光源としてCPT現象を発現させるためには、レーザー素子等の出力波長の高精度な調整が必要となる。レーザー素子等への注入電流を変化させると出力波長を調整することが可能である。

概要

光源の出力波長と光出力とを独立して調整することが可能であり、制御が容易な原子発振器を提供する。アルカリ金属原子を封入したガスセルと、前記ガスセルに光を照射する光源100と、前記ガスセルを透過した光の光量を検出する光検出部と、を含み、前記光源は、基板10と、前記基板上方に配置された第1ミラー層20と、前記第1ミラー層上方に配置された活性層22と、前記活性層上方に配置された第2ミラー層24と、前記第2ミラー層上方に配置された第1コンタクト層50と、前記第1コンタクト層上方に配置された光吸収層52と、前記光吸収層上方に配置された第2コンタクト層54と、を有する。

目的

本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光源の出力波長と光出力とを独立して調整することが可能であり、制御が容易な原子発振器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アルカリ金属原子封入したガスセルと、前記ガスセルに光を照射する光源と、前記ガスセルを透過した光の光量を検出する光検出部と、を含み、前記光源は、基板と、前記基板上方に配置された第1ミラー層と、前記第1ミラー層上方に配置された活性層と、前記活性層上方に配置された第2ミラー層と、前記第2ミラー層上方に配置された第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層上方に配置された光吸収層と、前記光吸収層上方に配置された第2コンタクト層と、を有する、ことを特徴とする原子発振器

請求項2

前記第2ミラー層と前記第1コンタクト層との間に、前記第2ミラー層よりも熱伝導率が低い断熱層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。

請求項3

前記活性層および前記第1ミラー層の積層方向からみて、前記断熱層の面積は、前記第1コンタクト層の面積よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載の原子発振器。

請求項4

前記断熱層の周囲に、前記断熱層よりも熱伝導率が低い層が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の原子発振器。

請求項5

前記第2ミラー層と前記第1コンタクト層との間に、前記第2ミラー層よりも熱伝導率が高い熱拡散層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。

請求項6

前記活性層に注入する電流を制御して前記光源から射出される光の出力および波長を変化させ、かつ、前記光吸収層に印加する電圧を制御して、前記光吸収層における光吸収量を変化させる制御部を含む、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子発振器。

請求項7

前記制御部は、前記光源から射出される光の出力が一定となるように、前記光吸収層に印加する電圧を制御する、ことを特徴とする請求項6に記載の原子発振器。

技術分野

0001

本発明は、原子発振器に関する。

背景技術

0002

原子遷移エネルギー基準周波数として用いる原子発振器は、最も高精度な発振器の1つとして、通信基地局などで広く用いられている。原子発振器にはいくつかの方式があるが、ルビジウム(Rb)ランプを用いたマイクロ波二重共鳴方式が最も一般的に用いられている。

0003

近年、量子干渉効果の1つであるCPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれる現象を用いた原子発振器が提案され(例えば特許文献1参照)、従来に比べ原子発振器の小型化、低消費電力化が期待されている。CPT方式の場合、光源にはレーザーなどのコヒーレントな光源を用い、高周波信号重畳することで、その側波帯をCPT現象の発現に用いる。CPT方式の原子発振器は、アルカリ金属原子に異なる2種類の波長周波数)を有するコヒーレント光照射すると、コヒーレント光の吸収が停止する電磁誘起透過現象EIT現象:Electromagnetically Induced Transparency)を利用した発振器である。

0004

原子発振器の光源としてCPT現象を発現させるためには、レーザー素子等の出力波長の高精度な調整が必要となる。レーザー素子等への注入電流を変化させると出力波長を調整することが可能である。

先行技術

0005

特開2015−62167号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、レーザー素子への注入電流を変化させると、同時にレーザー素子等の光出力が変化してしまうため、これを考慮して原子発振器の制御ループを形成する必要があり、複雑な制御が必要となる。

0007

本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光源の出力波長と光出力とを独立して調整することが可能であり、制御が容易な原子発振器を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る原子発振器は、
アルカリ金属原子を封入したガスセルと、
前記ガスセルに光を照射する光源と、
前記ガスセルを透過した光の光量を検出する光検出部と、
を含み、
前記光源は、
基板と、
前記基板上方に配置された第1ミラー層と、
前記第1ミラー層上方に配置された活性層と、
前記活性層上方に配置された第2ミラー層と、
前記第2ミラー層上方に配置された第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層上方に配置された光吸収層と、
前記光吸収層上方に配置された第2コンタクト層と、
を有する。

0009

このような原子発振器では、活性層に注入する電流量を変化させて、光源から射出される光の中心波長を変化させる場合に、光源から射出される光の光出力(光量)が所定の値からずれたとしても、光吸収層に印加する電圧を変化させることにより、光源から射出される光の光出力を所定の値に戻すことができる。このように、原子発振器では、光源の出力波長(中心波長)と光出力とを独立して調整することが可能であり、制御が容易である。

0010

なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下、「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下、「B」という)を形成する」などと用いる場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。

0011

本発明に係る原子発振器において、
前記第2ミラー層と前記第1コンタクト層との間に、前記第2ミラー層よりも熱伝導率が低い断熱層が設けられていてもよい。

0012

このような原子発振器では、光吸収層が光を吸収して発熱したとしても、断熱層によって、該熱が、第2ミラー層や活性層に到達することを抑制することができる。

0013

本発明に係る原子発振器において、
前記活性層および前記第1ミラー層の積層方向からみて、前記断熱層の面積は、前記第1コンタクト層の面積よりも小さくてもよい。

0014

このような原子発振器では、光吸収層が光を吸収して発熱したとしても、該熱が、断熱層および第2ミラー層と第1コンタクト層との間の空間によって、第2ミラー層や活性層に到達することを抑制することができる。

0015

本発明に係る原子発振器において、
前記断熱層の周囲に、前記断熱層よりも熱伝導率が低い層が設けられていてもよい。

0016

このような原子発振器では、第2ミラー層と第1コンタクト層との間に空間が設けられている場合に比べて、耐衝撃性を向上させることができる。

0017

本発明に係る原子発振器において、
前記第2ミラー層と前記第1コンタクト層との間に、前記第2ミラー層よりも熱伝導率が高い熱拡散層が設けられていてもよい。

0018

このような原子発振器では、光吸収層が光を吸収して発熱したとしても、該熱を、熱拡散層を介して外部に拡散させることができ、該熱が、第2ミラー層や活性層に到達することを抑制することができる。

0019

本発明に係る原子発振器において、
前記活性層に注入する電流を制御して前記光源から射出される光の出力および波長を変化させ、かつ、前記光吸収層に印加する電圧を制御して、前記光吸収層における光吸収量を変化させる制御部を含んでもよい。

0020

このような原子発振器は、制御部によって光源の出力波長と光出力とを独立して制御することが可能である。

0021

本発明に係る原子発振器において、
前記制御部は、前記光源から射出される光の出力が一定となるように、前記光吸収層に印加する電圧を制御してもよい。

0022

このような原子発振器では、制御部は、例えば、光吸収層における光吸収量を変化させることができ、光源から射出される光の出力を一定にすることができる。

図面の簡単な説明

0023

本実施形態に係る原子発振器の機能ブロック図。
共鳴光周波数スペクトラムを示す図。
アルカリ金属原子のΛ型3準位モデルと第1側帯波および第2側帯波の関係を示す図。
本実施形態に係る原子発振器の光源を模式的に示す平面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源を説明するための回路図。
i型のGaAs層において、光の波長と感度との関係を示すグラフ
本実施形態に係る原子発振器の光源の製造工程を模式的に示す断面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源の製造工程を模式的に示す断面図。
本実施形態に係る原子発振器の光源の製造工程を模式的に示す断面図。
本実施形態の第1変形例に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。
本実施形態の第1変形例に係る原子発振器の光源を模式的に示す平面図。
本実施形態の第1変形例に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。
本実施形態の第2変形例に係る原子発振器の光源を模式的に示す平面図。
本実施形態の第2変形例に係る原子発振器の光源を模式的に示す断面図。

実施例

0024

以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。

0025

1.原子発振器
1.1. 構成
まず、本実施形態に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る原子発振器1000の機能ブロック図である。

0026

原子発振器1000は、図1に示すように、光源100と、ガスセル102と、光検出部104と、光出力可変部106と、中心波長可変部108と、高周波発生部110と、吸収検出部112と、EIT検出部114と、制御部120と、を含む。制御部120は、光出力制御部122と、中心波長制御部124と、高周波制御部126と、を有している。原子発振器1000は、2つの異なる周波数成分を有する共鳴光対(第1光および第2光)によってアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる。

0027

光源100は、互いに周波数が異なる第1光および第2光を発生させて、ガスセル102に封入されたアルカリ金属原子を照射する。光源100の詳細な構成については後述す
る。

0028

ここで、図2は、共鳴光の周波数スペクトラムを示す図である。図3は、アルカリ金属原子のΛ型3準位モデルと第1側帯波(第1光)W1および第2側帯波(第2光)W2の関係を示す図である。光源100から射出される光Lは、図2に示す、中心周波数f0(=c/λ0:cは光の速さ、λ0はレーザー光の中心波長)を有する基本波Fと、中心周波数f0に対して上側サイドバンドに周波数f1を有する第1側帯波W1と、中心周波数f0に対して下側サイドバンドに周波数f2を有する第2側帯波W2と、を含む。第1側帯波W1の周波数f1は、f1=f0+fmであり、第2側帯波W2の周波数f2は、f2=f0−fmである。

0029

図3に示すように、第1側帯波W1の周波数f1と第2側帯波W2の周波数f2との周波数差が、アルカリ金属原子の基底準位GL1と基底準位GL2とのエネルギー差ΔE12に相当する周波数と一致している。したがって、アルカリ金属原子は、周波数f1を有する第1側帯波W1と、周波数f2を有する第2側帯波W2と、によってEIT現象を起こす。

0030

ここで、EIT現象について説明する。アルカリ金属原子と光との相互作用は、Λ型3準位系モデルで説明できることが知られている。図3に示すように、アルカリ金属原子は、2つの基底準位を有し、基底準位GL1と励起準位とのエネルギー差に相当する波長(周波数f1)を有する第1側帯波W1、あるいは基底準位GL2と励起準位とのエネルギー差に相当する波長(周波数f2)を有する第2側帯波W2を、それぞれ単独でアルカリ金属原子に照射すると、光吸収が起きる。ところが、図2に示すように、このアルカリ金属原子に、周波数差f1−f2が基底準位GL1と基底準位GL2のエネルギー差ΔE12に相当する周波数と正確に一致する第1側帯波W1と第2側帯波W2とを同時に照射すると、2つの基底準位の重ね合わせ状態、すなわち量子干渉状態になり、励起準位への励起が停止して第1側帯波W1と第2側帯波W2とがアルカリ金属原子を透過する透明化現象(EIT現象)が起きる。このEIT現象を利用し、第1側帯波W1と第2側帯波W2との周波数差f1−f2が基底準位GL1と基底準位GL2とのエネルギー差ΔE12に相当する周波数からずれた時の光吸収挙動の急峻な変化を検出し制御することで、高精度な発振器をつくることができる。

0031

ガスセル102は、容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム原子ルビジウム原子セシウム原子等)を封入したものである。セシウム原子は、例えば、80℃程度に加熱されて気体状となる。このガスセル102に対して、アルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数(波長)を有する2つの光波(第1光および第2光)が照射されると、アルカリ金属原子がEIT現象を起こす。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、D1線における基底準位GL1と基底準位GL2とのエネルギー差に相当する周波数が9.19263・・・GHzなので、周波数差が9.19263・・・GHzの2つの光波が照射されるとEIT現象を起こす。

0032

光検出部104は、ガスセル102を透過した(ガスセル102に封入されたアルカリ金属原子を透過した)光の光量を(強度を)検出する。光検出部104は、アルカリ金属原子を透過した光の量に応じた検出信号を出力する。光検出部104としては、例えば、フォトダイオードを用いる。

0033

光出力可変部106は、光出力制御部122からの信号に基づいて、光源100の電極60,62(後述する図5参照)間に電圧を印加し、光源100の光出力(光量)を変化させる。光出力可変部106は、電極60,62間に電圧を印加する電源4(後述する図8参照)を含んで構成されていてもよい。

0034

中心波長可変部108は、中心波長制御部124からの信号に基づいて、光源100の電極30,32(図5参照)間に電圧を印加して活性層22に電流を注入し、光源100から射出される光Lの中心波長を変化させる。これにより、光Lに含まれる共鳴光対(第1光および第2光)の中心波長を変化させることができる。中心波長可変部108は、電極30,32間に電圧を印加する電源2(図8参照)を含んで構成されていてもよい。

0035

高周波発生部110は、高周波制御部126からの信号に基づいて、光源100の電極30,32間に高周波信号を供給して共鳴光対を生成する。高周波発生部110は、専用回路によって実現されていてもよい。

0036

吸収検出部112は、例えば、光Lの中心波長を変えたときの光検出部104が出力した検出信号の信号強度最小値(吸収の底)を検出する。吸収検出部112は、専用回路によって実現されていてもよい。

0037

EIT検出部114は、光検出部104が出力した検出信号を同期検波して、EIT現象を検出する。EIT検出部114は、専用回路によって実現されていてもよい。

0038

光出力制御部122は、光検出部104が出力した検出信号の光量の平均(DC成分)に基づいて、光出力可変部106を制御することにより、光源100の光吸収層52(図5参照)に印加する電圧を制御して、光吸収層52における光吸収量を変化させる。これにより、光出力制御部122は、光源100の光出力(光量)を変化させることができる。光出力制御部122は、検出信号の光量の移動平均に基づいて、光出力可変部106を制御してもよい。光出力制御部122は、光源100から射出される光出力が一定となるように(例えば光検出部104が出力した検出信号のDC成分が一定となるように)、光吸収層52に印加する電圧を制御する。光出力制御部122は、APC(Auto Power Control)回路を含んで構成されていてもよい。

0039

中心波長制御部124は、吸収検出部112からの信号に基づいて、中心波長可変部108を制御することにより、光源100の活性層22(図5参照)に注入する電流を制御して、光源100から射出される光Lの光出力(光量)および波長(中心波長)を変化させる。

0040

高周波制御部126は、EIT検出部114からの信号に基づいて、高周波発生部110に、高周波信号を発生する信号を入力する。

0041

なお、制御部120は、専用回路によって実現して上記の制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部120は、例えばCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、上記の制御を行うように構成されていてもよい。

0042

次に、原子発振器1000の動作について説明する。まず、停止状態の原子発振器1000を起動する際の初期動作について説明する。

0043

高周波制御部126は、高周波発生部110に信号を入力し、高周波発生部110から光源100に高周波信号を入力する。このとき、高周波信号の周波数を、EIT現象が発生しないように僅かにずらしておく。例えばガスセル102のアルカリ金属原子としてセシウムを用いた場合、4.596・・・GHzの値からずらす。

0044

次に、中心波長制御部124は、中心波長可変部108を制御して、光Lの中心波長をスイープさせる。このとき、高周波信号の周波数は、EIT現象が発生しないように設定されているので、EIT現象は発生しない。吸収検出部112は、光Lの中心波長をスイープしたときに、光検出部104において出力される検出信号の強度の最小値(吸収の底)を検出する。吸収検出部112は、例えば、光Lの中心波長に対する、検出信号の強度変化が一定となったところを、吸収の底とする。

0045

吸収検出部112が吸収の底を検出すると、中心波長制御部124は、中心波長可変部108を制御して、中心波長を固定する(ロックする)。すなわち、中心波長制御部124は、光Lの中心波長を、吸収の底に相当する波長に固定する。

0046

次に、光出力制御部122は、光検出部104が出力した検出信号のDC成分に基づいて、光出力可変部106を制御し、光源100の光出力を変化させる。具体的には、光出力制御部122は、検出信号のDC成分が所定の値になるように、光源100の光出力を変化させる。

0047

次に、高周波制御部126は、高周波発生部110を制御して、高周波信号の周波数をEIT現象が発生する周波数に合わせる。その後、ループ動作移行して、EIT検出部114によりEIT信号を検出する。

0048

次に、原子発振器1000のループ動作について説明する。

0049

EIT検出部114は、光検出部104が出力した検出信号を同期検波し、高周波制御部126は、EIT検出部114から入力される信号に基づいて、高周波発生部110が発生する高周波信号の周波数を、ガスセル102のアルカリ金属原子のΔE12の半分に相当する周波数となるように制御する。

0050

吸収検出部112は、光検出部104が出力した検出信号を同期検波し、中心波長制御部124は、吸収検出部112から入力される信号に基づいて、光Lの中心波長が、光検出部104において出力される検出信号の強度の最小値(吸収の底)に相当する波長となるように、中心波長可変部108を制御する。

0051

光出力制御部122は、光検出部104が出力した検出信号のDC成分に基づいて、光出力可変部106を制御する。具体的には、検出信号のDC成分が所定の値より小さくなった場合に、光出力制御部122は、検出信号のDC成分が所定の値になるように、光出力可変部106を制御する。光出力制御部122の制御により、光Lの中心波長が、吸収の底に相当する波長からずれたとしても、上記の中心波長制御部124の制御により、光Lの中心波長を、吸収の底に相当する波長に合わせることができる。さらに、中心波長制御部124の制御により、検出信号のDC成分が所定の値からずれたとしても、上記の光出力制御部122の制御により、検出信号のDC成分を所定の値に戻すことができる。

0052

なお、原子発振器1000では、光源100の温度(駆動温度)が一定となるように制御されていてもよい。

0053

1.2.光源
次に、本実施形態に係る原子発振器1000の光源100について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る光源100を模式的に示す平面図である。図5は、本実施形態に係る光源100を模式的に示す図4のV−V線断面図である。図6は、本実施形態に係る光源100を模式的に示す図4のVI−VI線断面図である。図7は、本
実施形態に係る光源100を模式的に示す図4のVII−VII線断面図である。図8は、本実施形態に係る光源100を説明するための回路図である。

0054

光源100は、図4図7に示すように、基板10と、第1ミラー層20と、活性層22と、第2ミラー層24と、電流狭窄層26と、第1電極30と、第2電極32と、断熱層40と、第1コンタクト層50と、光吸収層52と、第2コンタクト層54と、第3電極60と、第4電極62と、絶縁層70,72,74と、を含む。

0055

基板10は、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板である。

0056

第1ミラー層20は、基板10上に配置されている。第1ミラー層20は、第1導電型の半導体層である。第1ミラー層20は、高屈折率層と、高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層と、を交互に積層した分布ブラッグ反射型(DBRミラーである。高屈折率層は、例えば、n型のAl0.12Ga0.88As層である。低屈折率層は、例えば、n型のAl0.9Ga0.1As層である。高屈折率層と低屈折率層との積層数ペア数)は、例えば10ペア以上50ペア以下であり、具体的には40.5ペアである。

0057

活性層22は、第1ミラー層20上に配置されている。活性層22は、例えば、i型のIn0.06Ga0.94As層とi型のAl0.3Ga0.7As層とから構成される量子井戸構造を3層重ねた多重量子井戸MQW)構造を有している。

0058

第2ミラー層24は、活性層22上に配置されている。第2ミラー層24は、第2導電型(例えばp型)の半導体層である。第2ミラー層24は、高屈折率層と、高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層と、を交互に積層した分布ブラッグ反射型(DBR)ミラーである。高屈折率層は、例えば、p型のAl0.12Ga0.88As層である。低屈折率層は、例えば、p型のAlGaAs層である。高屈折率層と低屈折率層との積層数(ペア数)は、例えば3ペア以上40ペア以下であり、具体的には20ペアである。

0059

第2ミラー層24、活性層22、および第1ミラー層20は、垂直共振器型pinダイオードを構成している。図8に示すように、電源2と電気的に接続された電極30,32間に、pinダイオード3の順方向の電圧を印加すると、活性層22において電子正孔との再結合が起こり、発光が生じる。活性層22で発生した光は、第1ミラー層20と第2ミラー層24との間を往復し(多重反射し)、その際に誘導放出が起こって、強度が増幅される。そして、光利得光損失を上回ると、レーザー発振が起こり、第2コンタクト層54の上面から、垂直方向に(活性層22および第1ミラー層20の積層方向に)レーザー光が射出される。該レーザー光の波長は、例えば、800nm以上950nm以下であり、具体的には、852nmや895nmである。

0060

電流狭窄層26は、第1ミラー層20と第2ミラー層24との間に設けられている。図5に示す例では、電流狭窄層26は、活性層22上に設けられている。電流狭窄層26は、開口部が形成された絶縁層であり、該開口部には第2ミラー層24が設けられている。電流狭窄層26の平面形状(活性層22および第1ミラー層20の積層方向からみた形状)は、リング状である。電流狭窄層26は、電極30,32によって垂直共振器に注入される電流が平面方向(活性層22および第1ミラー層20の積層方向と直交する方向)に広がることを抑制することができる。

0061

電流狭窄層26、第2ミラー層24、活性層22、および第1ミラー層20は、柱状部28を構成している。柱状部28の平面形状は、例えば、円形である。

0062

第1電極30は、基板10下に配置されている。第1電極30は、例えば、第1電極3
0とオーミックコンタクトする層(図5に示す例では基板10)の下面に設けられている。第1電極30は、第1ミラー層20と電気的に接続されている。第1電極30としては、例えば、基板10側から、Cr層、AuGe層Ni層Au層順序で積層したものを用いる。第1電極30は、活性層22に電流を注入するための一方の電極である。

0063

第2電極32は、第2ミラー層24上に配置されている。第2電極32は、第2ミラー層24と電気的に接続されている。第2電極32としては、例えば、第2ミラー層24側から、Cr層、Pt層Ti層、Pt層、Au層の順序で積層したものを用いる。第2電極32は、活性層22に電流を注入するための他方の電極である。

0064

第2電極32は、図4に示すように、接触部32aと、引出部32bと、パッド部32cと、を有している。接触部32aは、第2ミラー層24と接触している。図4に示す例では、接触部32aは、平面視において(活性層22および第1ミラー層20の積層方向からみて)、リング形状の一部を切り取った形状を有し、第1コンタクト層50を取り囲むように設けられている。引出部32bの平面形状は、例えば、直線状である。引出部32bは、接触部32aとパッド部32cとを接続している。引出部32bおよびパッド部32cは、絶縁層70上に設けられている。パッド部32cは、電極パッドとして外部の配線等と接続される。図示の例では、パッド部32cの平面形状は、円形である。なお、絶縁層70は、例えば、柱状部28の側面に接して、柱状部28を取り囲むように設けられている。絶縁層70は、例えば、ポリイミド層酸化シリコン層である。

0065

第2電極32、第2ミラー層24、活性層22、第1ミラー層20、および第1電極30は、面発光レーザーVCSEL:Vertical Cavity Surface
Emitting Laser)を構成している。

0066

断熱層40は、第2ミラー層24上に配置されている。断熱層40は、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間に設けられている。断熱層40は、例えば、第2ミラー層24と第1コンタクト層50とを電気的に分離している。図示の例では、断熱層40の平面形状は、円形である。断熱層40の面積は、例えば、第2ミラー層24の上面の面積よりも小さく、断熱層40は、第2ミラー層24の外縁の内側に設けられている。断熱層40の熱伝導率は、第2ミラー層24の熱伝導率よりも低い。具体的には、断熱層40の熱伝導率は、第2ミラー層24を構成する高屈折率層の熱伝導率よりも低く、かつ第2ミラー層24を構成する低屈折率層の熱伝導率よりも低い。断熱層40は、例えば、酸化アルミニウム層(AlxOy層)である。例えば、Al2O3の熱伝導率は、0.3W/(cm・K)である。

0067

第1コンタクト層50は、断熱層40上に配置されている。図4に示す例では、第1コンタクト層50の平面形状は、円形である。平面視において、第1コンタクト層50の面積と断熱層40の面積とは、例えば、同じである。第1コンタクト層50は、例えば、n型のGaAs層である。

0068

光吸収層52は、第1コンタクト層50上に配置されている。平面視において、光吸収層52の面積は、第1コンタクト層50の面積よりも小さく、光吸収層52は、第1コンタクト層50の外縁の内側に設けられている。光吸収層52は、例えば、i型のGaAs層である。

0069

第2コンタクト層54は、光吸収層52上に配置されている。図4に示す例では、第2コンタクト層54の平面形状は、円形である。第2コンタクト層の材質は、例えば、p型のGaAs層である。

0070

第2コンタクト層54、光吸収層52、および第1コンタクト層50は、pinダイオード(pinフォトダイオード)を構成している。図8に示すように、電源4と電気的に接続された電極60,62間に、pinダイオード5の逆方向の電圧を印加すると、光吸収層52において光を吸収することができる。これにより、活性層22において生じた光(面発光レーザーにおいて生じたレーザー光)を吸収することができる。光吸収層52に印加する電圧の大きさによって、光吸収層52における光の吸収量を調整することができる。

0071

なお、光吸収層52およびコンタクト層50,54を含んで構成されるpinフォトダイオードは、光吸収層52で光を吸収して励起される電子と正孔とによる光電流を、外部回路に信号として取り出してもよいし、取り出さなくてもよい。

0072

第3電極60は、第1コンタクト層50上に配置されている。第3電極60は、例えば、第1コンタクト層50とオーミックコンタクトしている。第3電極60の材質は、例えば、第1電極30の材質と同じである。第3電極60は、光吸収層52に電圧を印加するための一方の電極である。

0073

第3電極60は、図4に示すように、接触部60aと、引出部60bと、パッド部60cと、を有している。接触部60aは、第1コンタクト層50と接触している。図4に示す例では、接触部60aは、平面視において、リング形状の一部を切り取った形状を有し、第2コンタクト層54を取り囲むように設けられている。引出部60bの平面形状は、例えば、直線状である。引出部60bは、接触部60aとパッド部60cとを接続している。引出部60bおよびパッド部60cは、絶縁層72上に設けられている。パッド部60cは、電極パッドとして外部の配線等と接続される。図示の例では、パッド部60cの平面形状は、円形である。なお、絶縁層72は、図7に示すように、断熱層40および第1コンタクト層50の側面に接して、絶縁層70上に設けられている。絶縁層72の材質は、例えば、絶縁層70の材質と同じである。

0074

第4電極62は、第2コンタクト層54上に配置されている。第4電極62は、例えば、第2コンタクト層54とオーミックコンタクトしている。第4電極62の材質は、例えば、第2電極32の材質と同じである。第4電極62は、光吸収層52に電圧を印加するための他方の電極である。

0075

第4電極62は、図4に示すように、接触部62aと、引出部62bと、パッド部62cと、を有している。接触部62aは、第2コンタクト層54と接触している。図4に示す例では、接触部62aの平面形状は、リング形状である。引出部62bの平面形状は、例えば、直線状である。引出部62bは、接触部62aとパッド部62cとを接続している。引出部62bおよびパッド部62cは、絶縁層74上に設けられている。パッド部62cは、電極パッドとして外部の配線等と接続される。図示の例では、パッド部62cの平面形状は、円形である。平面視において、パッド部32c,60c,62cの面積は、例えば、同じである。なお、絶縁層74は、図6に示すように、光吸収層52および第2コンタクト層54の側面に接して、絶縁層72上に設けられている。絶縁層74の材質は、例えば、絶縁層70の材質と同じである。

0076

ここで、図9は、光吸収層としてのi型のGaAs層において、光の波長と感度との関係を示すグラフである。縦軸の感度は、i型のGaAs層に1Wの光出力で光を入射した場合に、取り出すことができる電流量を示している。感度が高いほど、i型のGaAs層における光の吸収量が多くなる。本実験では、i型のGaAs層に印加する電圧(逆バイアス)を、0V、2V、4Vと変化させた。

0077

図9に示すように、印加電圧によってi型のGaAs層の光吸収量が変化した。したがって、印加電圧によってi型のGaAs層の光吸収量を調整できることがわかった。これは、印加電圧によってi型のGaAs層にかかる電界が変化し、Franz−Keldysh振動により吸収特性が振動した(変化した)ためである。Franz−Keldysh振動では、高電界がかかると、吸収端波長よりも短波側で吸収係数が振動する。

0078

なお、図示はしないが、絶縁層72は、断熱層40および第1コンタクト層50を取り囲むように設けられていてもよく、絶縁層74は、光吸収層52および第2コンタクト層54を取り囲むように設けられていてもよい。

0079

また、上記では、AlGaAs系の光源について説明したが、本発明に係る光源は、発振波長に応じて、例えば、GaInP系、ZnSSe系、InGaN系、AlGaN系、InGaAs系、GaInNAs系、GaAsSb系の半導体材料を用いてもよい。

0080

1.3.光源の製造方法
次に、本実施形態に係る光源100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図10図12は、本実施形態に係る光源100の製造工程を模式的に示す断面図である。

0081

図10に示すように、基板10上に、第1ミラー層20、活性層22、酸化されて一部が電流狭窄層26となる被酸化層26a、第2ミラー層24、酸化されて断熱層40となる被酸化層40a、第1コンタクト層50、光吸収層52、および第2コンタクト層54を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法が挙げられる。

0082

図11に示すように、第2コンタクト層54、光吸収層52、第1コンタクト層50、被酸化層40a、第2ミラー層24、被酸化層26a、活性層22、第1ミラー層20を、所定形状にパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。第2コンタクト層54および光吸収層52は、同一の工程で(例えば同時に)パターニングされてもよい。第1コンタクト層50および被酸化層40aは、同一の工程でパターニングされてもよい。第2ミラー層24、被酸化層26a、活性層22、第1ミラー層20は、同一の工程でパターニングされてもよい。各層をパターニングする順序は、特に限定されない。本工程により柱状部28を形成することができる。

0083

図12に示すように、被酸化層26aの一部を酸化して電流狭窄層26を形成し、被酸化層40aを酸化して断熱層40を形成する。被酸化層26aは、例えば、AlxGa1−xAs(x≧0.95)層である。被酸化層40aは、例えば、AlAs層である。例えば、400℃程度の水蒸気雰囲気中に、各層が形成された基板10を投入することにより、被酸化層26aおよび被酸化層40aを側面から酸化して、電流狭窄層26および断熱層40を形成する。

0084

図5に示すように、柱状部28の周囲に絶縁層70を形成する。絶縁層70は、例えば、スピンコート法CVD法による成膜、およびパターニングより形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。

0085

図6および図7に示すように、絶縁層70上に、絶縁層72,74を形成する。絶縁層72,74は、例えば、スピンコート法やCVD法による成膜、およびパターニングより
形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。

0086

図5に示すように、基板10下に第1電極30を形成し、第2ミラー層24上に第2電極32を形成し、第1コンタクト層50上に第3電極60を形成し、第2コンタクト層54上に第4電極62を形成する。電極30,32,60,62は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法組合せ等により形成される。なお、電極30,32,60,62を形成する順序は、特に限定されない。

0087

以上の工程により、光源100を製造することができる。

0088

原子発振器1000は、例えば、以下の特徴を有する。

0089

原子発振器1000では、光源100は、基板10上方に配置された第1ミラー層20と、第1ミラー層20上方に配置された活性層22と、活性層22上方に配置された第2ミラー層24と、第2ミラー層24上方に配置された第1コンタクト層50と、第1コンタクト層50上方に配置された光吸収層52と、光吸収層52上方に配置された第2コンタクト層54と、を有する。そのため、原子発振器1000では、活性層22に注入する電流量を変化させて、光源100から射出される光(第2コンタクト層54の上面から射出される光)の中心波長を変化させる場合に、光源100から射出される光の光出力(光量)が所定の値からずれたとしても、光吸収層52に印加する電圧を変化させることにより、光源100から射出される光の光出力を所定の値に戻すことができる。このように、原子発振器1000では、光源100の出力波長(中心波長)と光出力とを独立して調整する(制御する)ことが可能であり、制御が容易である。

0090

さらに、活性層に注入する電流量を一定とし光源の駆動温度を一定として光源を駆動させた場合においても、長期的には、光源の出力波長および光出力は、変化する場合がある。このような場合においても、原子発振器1000では、光源100の出力波長と光出力とを独立して調整することができ、原子発振器1000の長期安定度の向上を図ることができる。

0091

原子発振器1000の光源100では、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間に、第2ミラー層24よりも熱伝導率が低い断熱層40が設けられている。そのため、原子発振器1000では、光吸収層52が光を吸収して発熱したとしても、該熱を断熱層40により断熱し、該熱が、第2ミラー層24や活性層22に到達することを抑制することができる。これにより、原子発振器1000では、光吸収層52において発生した熱による光源100の温度変化を抑制することができる。したがって、原子発振器1000では、光源100の温度によって中心波長が変動することを抑制することができ、活性層22への注入電流量と、光吸収層52への印加電圧と、によって、光源100の出力波長と光出力とを独立して調整することができる。原子発振器1000では、例えば、光源100の中心波長を一定にするために、数十mKという単位で光源100の駆動温度を制御する必要があり、断熱層40を設けることによって、温度の制御を容易にすることができる。

0092

原子発振器1000では、活性層22に注入する電流を制御して光源100から射出される光の出力および波長(中心波長)を変化させ、かつ、光吸収層52に印加する電圧を制御して、光吸収層52における光吸収量を変化させる制御部120を含む。そのため、原子発振器1000では、制御部120によって、光源100の出力波長と光出力とを独立して制御することができる。

0093

原子発振器1000では、制御部120は、光源100から射出される光の出力が一定となるように、光吸収層52に印加する電圧を制御する。そのため、制御部120は、例えば、光吸収層52における光吸収量を変化させることができ、光源100から射出される光の出力を一定にすることができる。これにより、例えば、原子発振器1000の(光源100の)周波数安定度の向上を図ることができる。光出力の変動は、光源100の周波数変動を引き起こす場合がある。

0094

2.原子発振器の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器2000の光源100を模式的に示す断面図ある。図14は、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器2000の光源100を模式的に示す平面図ある。なお、便宜上、図14では、第4電極62の接触部62a、第1コンタクト層50、および断熱層40以外の部材の図示を省略している。

0095

以下、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器2000において、本実施形態に係る原子発振器1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2変形例に係る原子発振器についても同様である。

0096

原子発振器1000の光源100では、図5に示すように、平面視において、断熱層40の面積は、第1コンタクト層50の面積と同じであった。

0097

これに対し、原子発振器2000の光源100では、図13および図14に示すように、平面視において、断熱層40の面積は、第1コンタクト層50の面積よりも小さい。断熱層40は、平面視において、第1コンタクト層50の外縁の内側に設けられている。第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間には、空間6が設けられている。図示の例では、平面視において、断熱層40の直径R1は、第4電極62の接触部62aの外径と同じ大きさであり、直径R1は、接触部62aの内径R2よりも大きい。平面視において、断熱層40の面積は、接触部62aによって規定される開口部162の面積よりも大きく、開口部162は、断熱層40の外縁の内側に設けられている。さらに、図示の例では、平面視において、断熱層40の直径R1は、電流狭窄層26に設けられた開口部の内径よりも大きい。

0098

断熱層40は、例えば、フッ化水素(HF)で選択的にエッチングすることにより、直径R1を調整することができる。なお、フッ化水素で断熱層40をエッチングする際には、レジスト等で電流狭窄層26を保護しておく。

0099

原子発振器2000の光源100では、平面視において、断熱層40の面積は、第1コンタクト層50の面積よりも小さい。そのため、原子発振器2000では、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間には、空間6が設けられている。これにより、原子発振器2000では、光吸収層52が光を吸収して発熱したとしても、該熱を断熱層40および空間6により断熱し、該熱が、第2ミラー層24や活性層22に到達することを抑制することができる。

0100

原子発振器2000の光源100では、平面視において、断熱層40の面積は、接触部62aによって規定される開口部162の面積よりも大きく、開口部162は、断熱層40の外縁の内側に設けられている。そのため、原子発振器2000では、活性層22で生じ第2コンタクト層54の上面から射出される光が、断熱層40と空間6との境界を通過することを抑制することができる。これにより、原子発振器2000では、断熱層40と
空間6との境界における光の散乱損失を抑制することができる。

0101

なお、図15に示すように、断熱層40の周囲に、断熱層よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層41が設けられていてもよい。低熱伝導率層41は、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間に設けられている。低熱伝導率層41は、例えば、ポリイミド層である。例えば、ポリイミドの熱伝導率は、0.018W/(cm・K)である。低熱伝導率層41は、例えば、CVD法、スピンコート法により形成される。低熱伝導率層41を設けることによって、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間に空間6が設けられている場合(図13に示す場合)に比べて、耐衝撃性を向上させることができる。さらに、光吸収層52が光を吸収して発熱したとしても、該熱を断熱層40および低熱伝導率層41により断熱し、該熱が、第2ミラー層24や活性層22に到達することを抑制することができる。

0102

2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態の第2変形例に係る原子発振器3000の光源100を模式的に示す平面図ある。図17は、本実施形態の第2変形例に係る原子発振器3000の光源100を模式的に示す図16のXVII−XVII線断面図ある。

0103

原子発振器1000の光源100では、図5に示すように、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間には、第2ミラー層24よりも熱伝導率が低い断熱層40が設けられていた。

0104

これに対し、原子発振器3000の光源100では、図17に示すように、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間には、第2ミラー層24よりも熱伝導率が高い熱拡散層42が設けられている。熱拡散層42の熱伝導率は、第2ミラー層24を構成する高屈折率層の熱伝導率よりも高く、かつ第2ミラー層24を構成する低屈折率層の熱伝導率よりも高い。熱拡散層42は、例えば、i型のAlAs層、i型のGaAs層である。例えば、i型のGaAsの熱伝導率は、0.55W/(cm・K)である。

0105

図示の例では、熱拡散層42の平面形状は、円形である。平面視において、熱拡散層42の面積は、第2ミラー層24の上面の面積よりも小さく、熱拡散層42は、第2ミラー層24の外縁の内側に設けられている。平面視において、熱拡散層42の面積と第1コンタクト層50の面積とは、例えば、同じである。

0106

熱拡散層42は、例えば、MOCVD法MBE法により形成される。電流狭窄層26を形成する工程では、熱拡散層42が酸化しないように、熱拡散層42の側面をレジスト等で覆う。

0107

原子発振器3000の光源100では、図16に示すように、第3電極60は、接触部60aと、接触部60aに接続されたパッド部60cと、を有している。パッド部60cは、第1部分601と第2部分602とを有している。平面視において、第1部分601の面積は、パッド部32cの面積、およびパッド部62cの面積よりも大きい。平面視において、第2部分602の面積は、パッド部32cの面積、およびパッド部62cの面積よりも大きい。図示の例では、第1部分601および第2部分602の平面形状は、略四角形である。平面視において、第1部分601および第2部分602は、第2コンタクト層54の中心に関して点対称に設けられていてもよい。

0108

原子発振器3000の光源100では、第2ミラー層24と第1コンタクト層50との間には、第2ミラー層24よりも熱伝導率が高い熱拡散層42が設けられている。そのた
め、原子発振器3000では、光吸収層52が光を吸収して発熱したとしても、該熱を、熱拡散層42を介して外部に拡散させることができ、該熱が、第2ミラー層24や活性層22に到達することを抑制することができる。具体的には、光吸収層52において発生した熱は、第1コンタクト層50、熱拡散層42、接触部60a、およびパッド部60cを介して外部に放出される。

0109

原子発振器3000の光源100では、第3電極60のパッド部60cは、第1部分601および第2部分602を有し、平面視において、第1部分601の面積は、パッド部32c,62cの面積よりも大きく、第2部分602の面積は、パッド部32c,62cの面積よりも大きい。そのため、原子発振器3000では、例えば、パッド部60cの面積がパッド部32c,62cの面積と同じ場合に比べて、光吸収層52において発生した光を、パッド部60cから効率よく外部に放出することができる。

0110

なお、図示はしないが、原子発振器1000の光源100に熱拡散層42を設けてもよい。すなわち、断熱層40と第1コンタクト層50との間に、熱拡散層42を設けてもよい。同様に、原子発振器2000の光源100に熱拡散層42を設けてもよい。断熱層40と熱拡散層42とを設けることにより、光吸収層52において発生した光が第2ミラー層24や活性層22に到達することを、より確実に抑制することができる。

0111

本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。

0112

本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

0113

2…電源、3…pinダイオード、4…電源、5…pinダイオード、6…空間、10…基板、20…第1ミラー層、22…活性層、24…第2ミラー層、26…電流狭窄層、26a…被酸化層、28…柱状部、30…第1電極、32…第2電極、32a…接触部、32b…引出部、32c…パッド部、40…断熱層、40a…被酸化層、41…低熱伝導率層、42…熱拡散層、50…第1コンタクト層、52…光吸収層、54…第2コンタクト層、60…第3電極、60a…接触部、60b…引出部、60c…パッド部、62…第4電極、62a…接触部、62b…引出部、62c…パッド部、70,72,74…絶縁層、100…光源、102…ガスセル、104…光検出部、106…光出力可変部、108…中心波長可変部、110…高周波発生部、112…吸収検出部、114…EIT検出部、120…制御部、122…光出力制御部、124…中心波長制御部、126…高周波制御部、162…開口部、601…第1部分、602…第2部分、1000,2000,3000…原子発振器

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